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特許7122842グレア抑制および測距システムならびに方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】グレア抑制および測距システムならびに方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20220815BHJP
   G01S 17/36 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
G01C3/06 120Q
G01S17/36
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018057658
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2018200302
(43)【公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/476,967
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/604,390
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【弁理士】
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャンフェン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ウェイド・パケット
(72)【発明者】
【氏名】ティエカン・チゥ
(72)【発明者】
【氏名】グレン・エイ.・サンダース
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0147341(US,A1)
【文献】特開2002-040368(JP,A)
【文献】特開2008-175698(JP,A)
【文献】特表2017-536547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/06
G01S 17/36
G01B 11/00
G01B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレア抑制および測距システムであって、
処理システムと
前記処理システムに結合されたグレア低減および測距光学システムと
を含み、前記グレア低減および測距光学システムが
光源光ビームを生成するように構成された源と
前記光源に結合された第1信号生成器と
前記第1信号生成器が前記光源光ビームのパワー・スペクトル密度を変更するように構成され、
前記光源光ビームに光学的に結合された第1ビーム・スプリッタと
前記第1ビーム・スプリッタが、出力光ビームと第1基準光ビームとを形成するように構成され
前記出力光ビームが、放出され、散乱ビームと反射ビームとを生成するように構成され、
前記第1基準光ビームに光学的に結合された第2ビーム・スプリッタと
前記第2ビーム・スプリッタが第2基準光ビームを形成するように構成され
前記第1基準光ビームの振幅および位相を調節するように構成された第3光プロセッサと
前記第2基準光ビームの遅延およびパワー・スペクトル密度を調節し、前記第2基準光ビームを周波数変調するように構成された第2光プロセッサと
前記光源光ビームの遅延を調節するように構成された第1光プロセッサと、
画素を含み、前記散乱ビーム、前記反射ビーム、第3光基準ビーム、および第4基準光ビームを受光するように構成された撮像センサと
を含む、グレア抑制および測距システム。
【請求項2】
請求項1記載のグレア抑制および測距システムであって、更に、前記撮像センサに光学的に結合された対物レンズを含む、グレア抑制および測距システム。
【請求項3】
請求項1記載のグレア抑制および測距システムにおいて、前記第3プロセッサが、
前記処理システムに結合された第1振幅変調器と、
前記第1振幅変調器および前記処理システムに結合された第1位相変調器と、
を含み、
前記第2光プロセッサが、
第1可変光遅延線と、
前記第1可変光遅延線に結合された第2振幅変調器と、
前記第2振幅変調器に結合された第2位相変調器と、
前記第2振幅変調器に結合された第2信号生成器と、
前記第2位相変調器および前記処理システムに結合された第3信号生成器と、
を含む、グレア抑制および測距システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 本願は、2017年3月27日に出願された米国仮特許出願第62/476967号の権利を主張する。この仮特許出願をここで引用したことにより、その内容全体が本願にも含まれるものとする。
【0002】
[0002] 光学撮像システムと撮像ターゲットとの間に散在する散乱媒体は、反射またはグレアを発生する可能性があり、ターゲットを曖昧にする。グレアは、特にターゲットからの光反射が弱い場合には、ターゲットの画像を検出し検知するという光学撮像システムの能力を著しく損なう可能性がある。グレアを抑制するためには、弱め合う光干渉(destructive optical interference)を使用することができる。弱め合う干渉を使用する光学撮像システムは、他に取り得る撮像技法よりも高い感度を有することもできる。
【0003】
[0003] システムによっては、例えば、遠隔検知システムには撮像ターゲットの距離を得ることが必要になる。しかしながら、弱め合う光干渉を採用する光学撮像システムは、撮像ターゲットの距離を検出することができない。したがって、光学撮像システムにおいてグレア低減および測距双方を容易にする技法が求められている。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 一実施形態では、画素を用いた撮像センサを有する光学システムのグレア低減および測距を行う方法を提供する。この方法は、パワー・スペクトル密度を有する第1光ビームを生成するステップと、この第1光ビームから基準光ビームを生成するステップと、パワー・スペクトル密度を有する第1光ビームを放出するステップと、散乱媒体およびターゲットからそれぞれ反射した散乱光および反射光を集光するステップと、第1光ビームが散乱光と実質的にコヒーレントとなるように、第1光ビームのパワー・スペクトル密度を決定するステップと、基準光ビームが散乱光と実質的にコヒーレントとなるように第1光ビームのパワー・スペクトル密度を調節するステップと、画素毎に、各画素におけるDC光パワーを最小にするように、基準光ビームの振幅および位相を変更するステップと、画素毎に実質的に最小の検出DC光パワーが得られた変更振幅および位相を格納するステップと、第2基準光ビームのパワー・スペクトル密度を高めるステップと、第2基準光ビームの振幅を、周波数を有する正弦波信号によって変調するステップと、画素毎に、基準光ビームの第2遅延を調節することによって、変調周波数における実質的に最大の信号レベルを画素上において検出するステップと、ターゲットまでの距離を判定するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
[0005] 図面は例示的な実施形態を図示するに過ぎず、したがって範囲を限定すると見なしてはならないことを理解の上で、添付図面を使用することにより、例示的な実施形態について更に具体的にそして詳細に説明する。
図1図1は、グレア低減および測距システムを含む輸送機関システム(vehicle system)の一実施形態を示す。
図2図2は、グレア低減および測距光学撮像システムの一実施形態を示す。
図3図3は、第1光プロセッサの一実施形態を示す。
図4図4は、第3光プロセッサの一実施形態を示す。
図5図5は、第2光プロセッサの一実施形態を示す。
図6図6は、第4光プロセッサの一実施形態を示す。
図7図7は、第5光プロセッサの一実施形態を示す。
図8図8は、処理システムの一実施形態を示す。
図9図9は、グレア抑制および測距方法の一実施形態を示す。
【0006】
[0015] 慣習にしたがって、説明する種々の特徴は、同じ拡縮率で描かれるのではなく、実施形態例に関連する具体的な特徴を強調するように描かれることとする。参照符号は、図および本文を通して同様のエレメントを指す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0016] 以下の詳細な説明は、性質上単なる例示に過ぎず、本発明または本願および本発明の使用を限定することを意図するのではない。本明細書において使用する場合、「例示的な」(exemplary)という単語は、「一例、実例、または例示(example, instance or illustration)として役割を果たす」ことを意味する。したがって、「例示的」であるとして本明細書において説明するいずれの実施形態も、他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると、必ずしも解釈される訳ではない。本明細書において説明する実施形態の全ては、当業者が本発明を行うまたは使用することを可能にし、更に特許請求の範囲によって定められる発明の範囲を限定しないために提供される例示的な実施形態である。更に、明示または黙示を問わず、前述の背景および摘要または以下の詳細な説明において紹介される理論による拘束を受けることは意図していない。
【0008】
[0017] 図1は、グレア低減および測距システム102を含む輸送機関101システムの一実施形態を示す。他の実施形態では、輸送機関101は、自動車、トラック、列車、航空機、ヘリコプタ、ドローン、船舶、または任意の他のタイプの輸送機関でもよい。更に他の実施形態では、輸送機関101は、更に、少なくとも1つの入力/出力デバイス(I/O)105、少なくとも1つのセンサ108、時間、位置、およびベクトル速度検出システム107、ならびに/あるいはグレア抑制および測距システム102に結合された通信システム109も含む。更に別の実施形態では、少なくとも1つの入力/出力デバイス105は、1つ以上のディスプレイを含み、ターゲット112の画像および/または距離を、例えば、輸送機関101の乗員に表示するために使用される。
【0009】
[0018] 一実施形態では、グレア低減および測距システム102は、グレア低減および測距光学撮像システム106に結合された処理システム104を含む。他の実施形態では、処理システム104は、グレア抑制および測距システム102の外部に、例えば、輸送機関におけるいずれかの場所に配置される。更に他の実施形態では、処理システム102が、飛行管理システムまたは飛行管理コンピュータのような、輸送機関101の他のシステムの一部であってもよい。更に別の実施形態では、少なくとも1つの入力/出力デバイス105、少なくとも1つのセンサ108、および/または通信システム109は、処理システム104に、その位置に関係なく、結合される。
【0010】
[0019] グレア低減および測距システム102は、光学的に、散乱媒体110の後ろ側にあるターゲット112を撮像し、その距離を検出する。他の実施形態では、ターゲット112は、任意のタイプの物理的物体、例えば、輸送機関、人、動物、あるいは人工構造物または自然構造物とすることができる。更に他の実施形態では、散乱媒体は、気体、液体、または固体物体、例えば、雲、霧、雨、または反射鏡とすることができる。
【0011】
[0020] 一実施形態では、グレア低減および光学測距システムは、出力光ビーム114Bを放出し、出力光ビーム114Bは散乱媒体110およびターゲット112に入射する。出力光ビーム114Bの一部、またはかなりの部分が散乱することもあり、散乱媒体110から反射する。出力光ビーム114Bの一部、即ち、散乱光114Sは、反射して、グレア低減および測距光学撮像システム106に戻される。ターゲット112に達した出力光ビーム114Bの一部、即ち、反射光114Rは、反射して低減および測距光学撮像システム106に戻される。散乱光114Sのパワーは、通常では反射光114Rが検出不可能になる程に、反射光114Rのパワーよりも遙かに大きい場合もある。しかしながら、グレア低減および測距光学撮像システム106は、反射光114Rを検出できるように、散乱光114Sを抑制することができる。反射光114Rを検出することにより、ターゲット112の撮像および距離判定が可能になる。光のグレアから生ずる問題は、Zhou et al., "Glare Suppression by Coherence Gated Negation"(コヒーレンス制御打ち消しによるグレア抑制), Optical, Vol. 3, No. 10, October 2016, pp. 1107-1113、および対応する公開補遺原稿(published Supplementary Material)に更に記載されている。これらの文献をここで引用したことにより、それらの内容全てが本願にも含まれるものとする。
【0012】
[0021] 一実施形態では、少なくとも1つのセンサ108は、LIDARおよび/またはRADARを含む。少なくとも1つのセンサ108は、少なくとも1つのセンサ108から散乱媒体110および/またはターゲット112までの距離(distance)を測定するように構成されている。つまり、処理システムは、第1および/または第2可変光遅延線に対して、距離に2を乗算し光速で除算することによって、後に記述される時間遅延を推定することができる。他の実施形態では、少なくとも1つのセンサ108およびグレア抑制および測距システム102からの第1オフセット距離が分かっており、処理システム104に格納されている。これらの距離および時間遅延は、この第1オフセット・ベクトル距離を補償することによって、一層精度高く推定することができる。これは、当業者には知られている技法である。
【0013】
[0022] 一実施形態では、通信システム109は、HF、VHF、衛星、セルラ・ネットワーク、Wi-Fi、Wi-Max、および/またはAeroMAC通信送受信機の内1つ以上、ならびに関連するアンテナを含む。他の実施形態では、通信システム109は、処理システム109に結合される。更に他の実施形態では、散乱媒体110および/またはターゲット112の三次元位置および/またはベクトル速度、例えば、これらの質量中心を、他の輸送機関(1つまたは複数)、衛星(1つまたは複数)、および/または地上局(1つまたは複数)によって、例えば、LIDARおよび/またはRADARによって測定することもできる。次いで、測定された三次元位置および/またはベクトル速度は、通信システム109を介して輸送機関101に送信される。更に別の実施形態では、グレア抑制および測距システム102によって行われるターゲット112の測距測定値および撮像測定値は、他の輸送機関(1つまたは複数)、衛星(1つまたは複数)、および/または地上局(1つまたは複数)に、通信システム109を介して伝達される。
【0014】
[0023] 一実施形態では、時間、位置、およびベクトル速度検出システム107は、全地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)受信機、例えば、GPS受信機、および/または慣性管理ユニット(IMU)を含む。他の実施形態では、IMUは少なくとも1つのジャイロスコープおよび/または少なくとも1つの加速度計を含む。更に他の実施形態では、GNSS受信機およびIMUは、互いに結合すること、および/または処理システム104に結合することもできる。時間、位置、およびベクトル速度検出システム107は、現在の時刻、輸送機関101の位置、および輸送機関101のベクトル速度を監視する。更に別の実施形態では、測距および対応する時間遅延計算の精度を高めるために、少なくとも1つのセンサ108ならびにグレア低減および測距光学撮像システム106によって行われる測定にはタイム・スタンプが付けられる。スタンプの時刻は、時間、位置、およびベクトル速度検出システム107から発せられる。
【0015】
[0024] 一実施形態では、提供された情報に基づいて推定された散乱媒体110および/またはターゲット112の位置は、通信システム109を介して処理システム104に伝達される。この情報に基づいて、処理システム104は、輸送機関101ならびに散乱媒体110および/またはターゲット112の双方が移動していても、グレア抑制および測距システム102と散乱媒体110および/またはターゲット112との間の相対距離(したがって、対応する時間遅延)を判定または推定することができる。他の実施形態では、時間、位置、およびベクトル速度検出システム107の位置(またはこのシステムによって判定される輸送機関における対応する位置)、ならびにグレア抑制および測距システム102からの第2オフセット・ベクトル距離が分かっており、処理システム104に格納される。これらの距離および時間遅延は、当業者には周知の方法で、第2オフセット・ベクトル距離を考慮することによって一層精度高く推定することができる。
【0016】
[0025] 図2は、グレア低減および測距光学撮像システム206の一実施形態を示す。グレア低減および測距光学撮像システム206は、他の方法で実現することができる。例えば、グレア低減および測距光学撮像システム206は、ミラーの他の実施態様を用いて実現することもできる。
【0017】
[0026] 図示するグレア低減および測距光学撮像システム206は、光源220、第1信号生成器221A、第1ビーム・スプリッタ(BS)222A、第1ミラー226A、第2ビーム・スプリッタ222B、第2ミラー226B、第2光プロセッサ224B、第3ビーム・スプリッタ222C、撮像センサ228、第3ミラー226C、第4ミラー226D、第4ビーム・スプリッタ222D、および第5ビーム・スプリッタ222Eを含む。他の実施形態では、グレア低減および測距光学撮像システム206は、第1光プロセッサ224Aを含む。更に他の実施形態では、撮像センサ228は、高感度(intensified)電荷結合デバイスまたはシングル・フォトン・アバランシェ・ダイオード・アレイのような、細かい時間分解能を有する高速光検出器である。更に別の実施形態では、撮像センサ228は、X×Y、例えば、100×100の画素229を有する。更に別の実施形態では、画素サイズは、いずれの所与の画素においても、その表面にわたって位相のばらつきが起こらないことを確保するために、対応する画像スペックル・サイズよりも小さい。
【0018】
[0027] 一実施形態では、光源220はレーザ、例えば、電流制御形分散ブラグ・リフレクタ・レーザ(current controlled distributed Bragg reflector laser)であり、半導体レーザであってもよい。他の実施形態では、光源220は約1550ナノメートルの波長において動作する。第1信号生成器221Aは、光源220に結合されている。第1信号生成器221Aは、光源220の搬送波周波数上で周波数ドメインにおける第1パワー・スペクトル密度(時間ドメインにおける第1コヒーレント関数に対応する)を有する信号、例えば、電流信号を生成する。更に他の実施形態では、第1コヒーレンス関数および第1パワー・スペクトル密度はガウス分布を有する。しかしながら、第1パワー・スペクトル密度は、任意のコヒーレンス関数を生成するように実現することができる。つまり、光源220は、第1パワー・スペクトル密度を有する連続波である光源ビーム214Aを生成する。更に別の実施形態では、光源220は直線(垂直または水平)偏光ビームを放出する。
【0019】
[0028] 一実施形態では、第1信号生成器221Aは処理システム104に結合される。他の実施形態では、処理システム104は、第1信号生成器221Aによって生成される信号を制御することによって、光源ビーム214Aのパワー・スペクトル密度を制御する。更に他の実施形態では、第1信号生成器221Aは任意の波形生成器である。
【0020】
[0029] 以下のことは、光源ビーム214Aがターゲット112上に、例えば、散乱媒体110を介して投射されるときに行われる(undertaken)。一実施形態では、最初に、光源ビーム214Aのパワー・スペクトル密度が、例えば、光源220によって生成され、比較的狭いガウス分布を有する、デフォルトのパワー・スペクトル密度となる。続いて、光源ビーム214Aのパワー・スペクトル密度の幅を段階的に広げていく(increased)。他の実施形態では、これは処理システム104によって行われ、処理システム104は、光源ビーム214Aの所望のパワー・スペクトル密度を対応して形成する信号を生成するように、第1信号生成器221Aを制御する。光源ビーム214Aのパワー・スペクトル密度の幅が広がるに連れて、対応するコヒーレンス関数の幅は狭くなる。
【0021】
[0030] デフォルトのパワー・スペクトル密度を含んで、1刻み毎に、処理システム104は、撮像センサ228によって検出された最大および最小グレー・スケール値(異なる画素における)、つまり、検出されたグレー・スケール・ダイナミック・レンジを判定し、例えば、格納する。一実施形態では、このグレー・スケールはゼロ(入射信号が全くない、即ち、黒)から1(入射信号が全域に存在する、即ち白)までの範囲を取る。更に他の実施形態では、処理システム104は、ダイナミック・レンジの局所最大値(例えば、撮像センサ228の異なる画素における最大グレー・スケール値と最小グレー・スケール値との間の最大の差)と、対応するパワー・スペクトル密度とを判定し、例えば、格納する。最大グレー・スケール・ダイナミック・レンジは、光源ビーム214Aが散乱光114Sと非常にコヒーレントであるために、グレア抑制および測距システム102によって散乱光114Sを打ち消す、または実質的に打ち消すことができるときに対応する。次いで、処理システム104は、最大グレー・スケール・ダイナミック・レンジに対応するパワー・スペクトル密度を有する信号を、光源ビーム214Aに生成させる信号を生成するように、第1信号生成器221Aを制御する。
【0022】
[0031] 光源ビーム214Aは、次いで、第1ビーム・スプリッタ222Aに入射する。一実施形態では、本明細書において説明するビーム・スプリッタの内1つ以上が、立方体ビーム・スプリッタまたは平板ビーム・スプリッタである。第1ビーム・スプリッタ222Aは、光源ビーム214Aを出力前光ビーム(pre-output light beam)214Pおよび第1基準光ビーム214Cに分割する。
【0023】
[0032] 一実施形態では、第1基準光ビーム214Cは第1光プロセッサ224Aに結合される。この実施形態では、第1光プロセッサ224Aは、以下で例をあげるように、第1基準光ビーム214Cを光学的に処理し、処理済み第1基準光ビーム214Dを生成する。しかしながら、第1光プロセッサ224が利用されない場合、第1基準光ビーム214Cはその場合第2基準光ビーム214Cとも呼ばれ、第2基準光ビーム214Cと同じになる。
【0024】
[0033] 一実施形態では、次に、処理積み第1基準光ビーム214Dは、第1ミラー226Aに入射する。第1ミラー226Aは、処理済み第1基準光ビーム214Dを、例えば、90度の角度で反射する。他の実施形態では、処理済み第1基準光ビーム214Dは、次に、第2ビーム・スプリッタ222Bに入射する。第2ビーム・スプリッタ222Bは、処理済み第1基準光ビームの第1部分214D’が第3光プロセッサ224Cに結合され、そして処理済み第1基準光ビームの第2部分214D"が第2光プロセッサ224Bに結合されるように、処理済み第1基準光ビーム214Dを分割する。更に他の実施形態では、第2ミラーが、例えば、90度の角度で、処理済み第1基準光ビームの第2部分214D”を反射し、これを第2光プロセッサ224Bに結合する。
【0025】
[0034] 第2光プロセッサ224Bは、以下で例をあげるように、処理済み第1基準光ビームの第2部分214D”を光学的に処理し、第2基準光ビーム214Eを生成する。第2基準光ビーム214Eは、第4ビーム・スプリッタ222Dに入射し、第4ビーム・スプリッタ222Dは、第2基準光ビーム214Eを撮像センサ228に導く。
【0026】
[0035] 処理済み第1基準光ビームの第1部分214D’は、第3光プロセッサ224Cに結合される。第3光プロセッサ224Cは、以下で例をあげるように、処理済み第1基準光ビームの第1部分214D’を光学的に処理し、第3基準光ビーム214Fを生成する。第3光プロセッサ224Cは、第3基準光ビーム214Fを第3ビーム・スプリッタ222Cに結合する。第3ビーム・スプリッタ222Cは、第3基準光ビーム214Fを第4ビーム・スプリッタ222Dに導く。第4ビーム・スプリッタ222Dは、第3基準光ビーム214Fを撮像センサ228に導く。
【0027】
[0036] 一実施形態では、出力前光ビーム214Pが第5光プロセッサ224Eに導かれる。他の実施形態では、出力前光ビーム214Pは、例えば、90度の角度だけ、第3ミラー226Cによって反射され、第5光プロセッサ224Eに導かれる。第5光プロセッサ224Eは、以下で例をあげるように、出力前光ビーム214Pを光学的に処理し、出力光ビーム214Bを生成する。第5光プロセッサ224Eは、出力光ビーム214Bを第5ビーム・スプリッタ222Eに導く。更に他の実施形態では、出力光ビーム214Bは、例えば、90度の角度だけ、第4ミラー226Dによって反射され、第5ビーム・スプリッタ222Eに導かれる。第5ビーム・スプリッタ222Eを通過した後、出力光ビーム214Bは、グレア低減および測距光学撮像システム206から、例えば、自由空間内に、ターゲット112に向けて放出される。
【0028】
[0037] 一実施形態では、散乱光214Sおよび反射光214Rは、それぞれ、散乱媒体110およびターゲット112から反射して、グレア低減および測距光学撮像システム206に戻される。散乱光214Sおよび反射光214Rは、第5ビーム・スプリッタ222Eに入射し、これを通過する。
【0029】
[0038] 散乱光214Sおよび反射光214Rは、第5ビーム・スプリッタ222Eによって、第4光プロセッサ224Dに結合される。第4光プロセッサ224Dは、以下で例をあげるように、散乱光214Sおよび反射光214Rを光学的に処理し、処理済み散乱光214S’および処理済み反射光214R’を生成する。
【0030】
[0039] 処理済み散乱光214S’および処理済み反射光214R’は、第4光プロセッサ224Dから第3ビーム・スプリッタ222Cに結合される。第3ビーム・スプリッタ222Cは、処理済み散乱光214S’および処理済み反射光214R’を第4ビーム・スプリッタ222Dに結合する。第4ビーム・スプリッタ222Dは、処理済み散乱光214S’および処理済み反射光214R’を撮像センサ228に結合する。
【0031】
[0040] 一実施形態では、撮像センサ228およびその内部にある各画素は、光パワーに対して線形応答を有する。他の実施形態では、撮像センサ228およびその内部にある各画素は、光場(optical field)に対して二乗則応答(square law response)を有する。非線形性応答のために、処理済み散乱光214S’、処理済み反射光214R’、第2基準光ビーム214E、および第3基準光ビーム214Fは混合され、混合物(mixing product)を生成する。所望の混合物の検出、および望まない混合物の抑制によって、グレア低減、ターゲット112の撮像、およびターゲット112の測距が可能になる。これについて続いて説明する。
【0032】
[0041] 図3は、第1光プロセッサ324Aの一実施形態を示す。図示する第1光プロセッサは、第1直線偏光フィルタ(LPF)332Aを含む。他の実施形態では、第1光プロセッサ324Aは第1可変光遅延線334Aを含む。第1可変光遅延線334Aは、処理システム104に結合されている。他の実施形態では、第1光プロセッサ324Aは第1可変光遅延線334Aのみを含む。第1偏光フィルタ332A、ならびに第4光プロセッサ224Dおよび第5光プロセッサ224Eにおける対応する偏光フィルタは、散乱光214Sの抑制、ターゲット112の撮像、およびターゲット112の測距をし易くするために、光源220によって生成される光源ビーム214Aの直線偏光と同じ直線偏光(垂直または水平)を有する。
【0033】
[0042] 第1基準光ビーム214Cは、望まれる直線偏光だけが伝搬し続けるように、第1直線偏光フィルタ(LPF)332Aによって濾波される。一実施形態では、本明細書において説明する直線偏光板(liner polarizer)はポリマーで形成される。直線偏光された第1基準光ビームは、次に、第1可変光遅延線334Aを通過する。他の実施形態では、本明細書において説明する可変光遅延線は、光学フィルタ、微小電気機械式システム、および/またはソリッド・ステート・デバイスを使用する、プログラマブルあるいは電子的に制御される電子または電気機械式可変光遅延線である。
【0034】
[0043] 一実施形態では、第1光遅延線334Aの遅延は、処理システム104によって、例えば、散乱媒体110から反射した散乱光214Sの伝送(transmission)および反射経路の時間遅延における遅延に等しくなるように、制御される、例えば、プログラミングされる。他の実施形態では、この時間遅延は分かっているか、または外部データ源によって提供される距離データ、または前述のような少なくとも1つのセンサ108によって生成される距離データから計算される。
【0035】
[0044] 図4は、第3光プロセッサ424Cの一実施形態を示す。第1基準光ビームの第1部分214D’は、第3光プロセッサ424Cに結合される。第3光プロセッサ424Cは、第3基準光ビーム214Fを放出する。
【0036】
[0045] 図示する第3光プロセッサ424Cは、第1光位相変調器(PM)438Aに結合された第1光振幅変調器(AM)436Aを含む。他の実施形態では、第1光振幅変調器436Aおよび第1光位相変調器438Aは、処理システム104に結合され、処理システム104によって制御される。更に他の実施形態では、第1光振幅変調器436Aおよび第1光位相変調器438Aは、電子的にプログラマブルなデバイスである。更に別の実施形態では、本明細書において説明する光振幅変調器は、2つのマッチド・ニオブ酸リチウム結晶を含む、電子的制御可能ポッケル・セル型変調器(Pockel cell type modulator)である。更に別の実施形態では、本明細書において説明する光位相変調器は、電子的に制御可能であり、光位相シフトを有する結晶を含む。光位相シフトは、この結晶の両端間に印加される電圧のレベルに基づいて変化する。
【0037】
[0046] 一実施形態では、撮像センサ228の画素毎に、第1光振幅変調器436Aおよび第1光位相変調器438Aは、振幅および位相値の範囲、例えば、N個の振幅刻みおよびY個の位相刻みで、振幅および位相が入れ替えられる(permutated)。望ましくない散乱光214Sの打ち消しは、NおよびYの整数を調節することによって、増やすことができる。
【0038】
[0047] 振幅および位相の組み合わせ毎に各画素によって検出されたDC信号振幅を測定する。各画素によって検出されたDC信号振幅の内、最も低いものを生成した1組の振幅および位相値を格納する。この1組は、画素毎に、振幅および位相値に対応し、望まれない散乱光214Sのパワーの実質的に最大の打ち消しを可能にする(provide)、弱め合う光干渉を生成する。この弱め合う光干渉を達成するために、第2基準光ビーム214Fは、処理済み散乱光214S’と実質的に同じ振幅と、処理済み散乱光214S’の位相から180度ずれた位相とを、0、有する。最も低いDC成分を有する信号は、画素上におけるターゲットの画像信号を表す。
【0039】
[0048] 次いで、画素毎に、処理システム104は、望まれない散乱光214Sの干渉の実質的に最大の打ち消しを可能にするように、第1光振幅変調器436Aおよび第1光位相変調器438Aそれぞれの振幅および位相の設定を電子的に制御することができる。その結果、ターゲット112の撮像および測距を一層精度高く判定することができる。
【0040】
[0049] 一実施形態では、第3光プロセッサ424Cは、第1レンズ442A、例えば、平行化レンズを含む。他の実施形態では、第1光位相変調器438Aの出力は第1レンズ442Aに結合され、第1レンズ442Aの出力は第2基準光ビーム214Fとなる。
【0041】
[0050] 図5は、第2光プロセッサ524Bの一実施形態を示す。第1基準光ビームの第2部分214D”が、第2光プロセッサ524Bに結合される。第2光プロセッサ524Bは、第2基準光ビーム214Eを放出する。
【0042】
[0051] 図示する第2光プロセッサ524Bは、第2光振幅変調器536Bに結合されている第2可変光遅延線534Bを含む。第2信号生成器512Bも第2光振幅変調器536Bに結合されている。
【0043】
[0052] 一実施形態では、第2光振幅変調器は、第2光位相変調器538Bに結合される。第2光位相変調器538Bは、第3信号生成器521Cに結合される。他の実施形態では、第2可変光遅延線534Bは、処理システム104に結合され、この処理システム104によって制御、例えば、プログラミングされる。
【0044】
[0053] 第2信号生成器521Bは、第1基準光ビーム214Dの第2部分を振幅変調する正弦波を生成する。この正弦波の周波数は比較的低くてもよいが、第1基準光ビーム214Dの第2部分を変調することによって、第1基準光ビーム214Dの第2部分は、散乱光214Sの実質的に最大の打ち消しを得ることを妨害する、時間可変DC成分を含まなくなる。一実施形態では、正弦波の周波数は1kHzと1MHzとの間である。
【0045】
[0054] 第3信号生成器521Cは、出力光ビーム214B、したがって、処理済み反射光214R’のパワー・スペクトル密度よりも広いパワー・スペクトル密度と、したがって、 出力光ビーム214Bのコヒーレンス関数よりも狭いコヒーレンス関数とを、第1基準光ビームの第2部分214D”にそれぞれ有させるように、第2位相変調器538Bを変調する信号を生成する。一実施形態では、第1基準光ビームの第2部分214D”のパワー・スペクトル密度およびコヒーレンス関数は、ガウス分布を有する。第2基準光ビーム214Eのコヒーレンス関数は減少するので、ターゲット112の距離の測定精度は高くなる。他の実施形態では、第3信号生成器521Cは処理システム104に結合される。処理システム104は、出力光ビーム214Bのパワー・スペクトル密度よりも広いパワー・スペクトル密度と、したがって、出力光ビーム214Bのコヒーレンス関数よりも狭いコヒーレンス関数とを、第1基準光ビーム214D”にそれぞれ有させる信号を生成するように、第3信号生成器521Cを制御する。更に他の実施形態では、第3信号生成器521Cは、任意の波形生成器によって実装される。
【0046】
[0055] 第2可変光遅延線534Bに戻り、一実施形態では、画素毎に、第2可変光遅延線534Bの遅延を、例えば、ゼロ遅延から徐々に(incrementally)大きくする。他の実施形態では、第2可変光遅延線534Bの遅延を画素毎に変化させない。
【0047】
[0056] このような遅延が、ターゲットと散乱媒体110との間の往復距離、例えば、ターゲット112の質量中心と散乱媒体110との間の往復距離に等しいとき、または近似するときに、画素の測定出力、例えば、電圧または電流レベルは、振幅変調、例えば、正弦波の周波数において、実質的に最大値すなわちピークに達する。この時間遅延値は、ターゲットの距離(distance)を計算するために使用される。
【0048】
[0057] したがって、第1可変光遅延線334Aおよび第2可変光遅延線534Bの遅延の和は、反射光214の往復時間に等しい。つまり、グレア低減および測距光学撮像システム206からターゲットまでの距離は、第1可変光遅延線334Aおよび第2可変光遅延線534Bの遅延の和を2で除算し、光速を乗算した値となる。一実施形態では、このような距離は処理システム104において判定することができる。
【0049】
[0058] 一実施形態では、第2光プロセッサ524Bは第2レンズ524B、例えば、平行化レンズを含む。他の実施形態では、第2光位相変調器538Bの光出力は第2レンズ542Bに結合され、第2レンズ542Bの出力は第2基準光ビーム214Eとなる。
【0050】
[0059] 図6は、第4光プロセッサ624Dの一実施形態を示す。散乱光214Sおよび反射光214Rは、第4光プロセッサ624Dに結合される。第4光プロセッサ624Dは、処理済み散乱光214S’および処理済み反射光214R’を放出する。
【0051】
[0060] 図示する第4光プロセッサ624Dは、第2直線偏光フィルタ632Bに結合されている対物レンズ644を含む。対物レンズ644は、散乱光214Sおよび反射光214Rを集光する。次いで、集光された散乱光214Sおよび反射光214Rは、意図する直線偏光だけが第4光プロセッサ624Dを通過するように、第2直線偏光フィルタ632Bによって濾波される。
【0052】
[0061] 一実施形態では、第4光プロセッサ624Dは第3レンズ624C、例えば、平行化レンズを含む。他の実施形態では、第2直線偏光フィルタ632Bの光出力は第3レンズ642Cに結合され、第3レンズ642Cの出力は、処理済み散乱光214S’および処理済み反射光214R’となる。
【0053】
[0062] 図7は、第5光プロセッサ724Eの一実施形態を示す。出力前光ビーム214Pが第5光プロセッサ724Eに結合される。第5光プロセッサ724Eは、出力光ビーム214Bを放出する。
【0054】
[0063] 図示する第5光プロセッサ724Eは、第3直線偏光フィルタ732Cを含む。出力前光ビーム214Pは、意図する線形偏光だけが第5光プロセッサ724Eを通過するように、第3線形偏光フィルタ732Cによって濾波される。
【0055】
[0064] 図8は、処理システム804の一実施形態を示す。図示する実施形態は、プロセッサ804Bに結合されているメモリ801Aを含む。他の実施形態では、プロセッサ804Bに結合されているメモリ801Aの全部または一部が、状態機械またはフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイによって実装されてもよい。
【0056】
[0065] 一実施形態では、メモリ801Aは、距離判定および撮像システム804A-1およびグレア抑制システム804A-2を含む(comprise)。他の実施形態では、距離判定システムおよび撮像システム804A-1は、本明細書において説明した技法を使用して、第1可変光遅延線334Aおよび第2可変光遅延線534Bに対する遅延設定値を決定および制御する。例えば、第1可変光遅延線334Aに対する第1時間遅延は、輸送機関101と散乱媒体110との間の距離(range)を、LIDARおよび/またはRADARを使用して測定することによって、決定することができる。第1可変光遅延線334Aに対する時間遅延は、本明細書において説明したように、測定された距離から計算することができる。また、例えば、第2可変光遅延線534Bに対する第2時間遅延は、第2基準光ビーム214Eおよび処理済み反射光214R’の混合物の実質的なピーク即ち最大値が検出されるまで、第2時間遅延を、例えば、ゼロから増やしていくことによって、決定することができる。他の実施形態では、距離判定および撮像システム804A-1は、このような最大値または値(maximum or values)および対応する第2遅延を、画素毎に識別および格納する。このように、距離判定および撮像システム804A-1はターゲット112の画像も格納する。
【0057】
[0066] 一実施形態では、グレア抑制システム804A-2は、撮像センサ228の画素229毎に、第1光振幅変調器436Aおよび第1光位相変調器436Bそれぞれの振幅および位相設定値を1刻みずつ変化させるための振幅および位相設定値を格納する。また、グレア抑制システム803A-2は、測定されたDC値ならびに対応する振幅および位相設定値も格納する。更に、グレア抑制システム804A-2は、画素229毎に、最小測定DC値ならびに対応する振幅および位相設定値も識別および格納する。
【0058】
[0067] 一実施形態では、グレア抑制システム804A-2は、グレア抑制を改善する補間システムを含む。この補間システムは、測定されたDC値ならびに対応する振幅および位相設定値の対に基づいて、最小DC値を与える振幅および位相設定値を計算する。他の実施形態では、補間システムは、最小DC値ならびに対応する振幅および位相設定値の対を計算するために、最小平均二乗当てはめを使用する。
【0059】
[0068] 図9は、グレア抑制および測距方法900の一実施形態を示す。図9に示す方法900の実施形態が、ここでは図1から図8までに示したシステムにおいて実装されるものとして説明される範囲内において、他の実施形態を他の方法で実現できることは理解されてしかるべきである。流れ図のブロックは、説明を容易にするために、全体的に逐次並べられている。しかしながら、この配列は単なる例示であることは理解されてしかるべきであり、この方法(および図に示すブロック)に関連する処理は異なる順序で行うことができる(例えば、ブロックに関連する処理の少なくとも一部は、並列におよび/またはイベント・ドリブン方式で実行される)ことは認められてしかるべきである。
【0060】
[0069] 一実施形態では、ブロック950において、例えば、グレア低減および測距光撮像システム106から、散乱媒体110までの往復遅延に実質的に等しい第1遅延を得る。他の実施形態では、例えば、処理システム804のメモリ804Aからこの遅延を得る。更に他の実施形態では、少なくとも1つのセンサ108、例えば、LIDARまたはRADARから散乱媒体110までの距離を求め、この測定した距離から第1遅延を決定する。更に他の実施形態では、例えば、他の輸送機関、地上局、または衛星からの通信システム109を介して、散乱媒体110の位置を求め、第1遅延を計算する。
【0061】
[0070] ブロック952において、特定のコヒーレンス関数に対応するパワー・スペクトル密度を有する出力光ビーム114Bを生成する。一実施形態では、パワー・スペクトル密度および対応するコヒーレンス関数はガウス分布を有する。
【0062】
[0071] ブロック954において、第1光ビームから基準光ビームを生成する。ブロック956において、パワー・スペクトル密度を有する第1光ビームを、例えば、散乱媒体110およびターゲット112に向けて放出する。
【0063】
[0072] ブロック958において、散乱媒体110およびターゲット112からそれぞれ反射した散乱光214Sおよび反射光214Rを集光する。ブロック959において、出力光ビーム114B、つまり、第1基準光ビームが実質的に散乱光114Sとコヒーレントとなるように、例えば、前述のように、センサによって測定された最大グレー・スケール・ダイナミック・レンジに対応する出力光ビーム114Bのパワー・スペクトル密度を決定する。他の実施形態では、出力光ビーム114B、つまり、第1基準光ビームが実質的に散乱光114Sとコヒーレントとなるように、出力光ビーム114Bのパワー・スペクトル密度を調節する。
【0064】
[0073] 一実施形態では、ブロック960において、基準光ビームを第1遅延だけ遅延させる。ブロック962において、集光された散乱光214Sの振幅と丁重に実質的に等しく、そして集光された散乱光214Sから180度位相ずれとなるように(例えば、各画素に入射する収集散乱光214Sを実質的に打ち消すために)、画素毎に、遅延させた基準光ビームの振幅および位相を変更する。この結果、各画素において、実質的に最小の検出DC光パワー、または最小DC光パワーが得られる。一実施形態では、ブロック963において、基準光ビーム(一実施形態では、遅延されている)の対応する変更振幅および位相を格納する。他の実施形態では、各画素における最小DC光パワーを格納する。更に他の実施形態では、第1振幅変調器436Aおよび第1位相変調器438Aの設定値を格納する。他の実施形態では、補間によって(測定値ならびに対応する位相および振幅値に基づいて)、各画素において最小検出DC光パワーが得られる遅延基準光ビームの変更振幅および位相を計算する。
【0065】
[0074] ブロック966において、第2基準光ビーム、例えば、第1基準光ビームの第2部分214D”のパワー・スペクトル密度を、出力光ビーム214Bのパワー・スペクトル密度よりも広くなるように、つまり、出力光ビーム214Bのコヒーレンス関数よりも狭いコヒーレンス関数を有するように、高める。ブロック968において、一実施形態では遅延された第1基準ビームの振幅を、正弦波信号によって変調する。
【0066】
[0075] ブロック970において、画素毎に、基準光ビームの第2遅延を、ゼロ遅延から、画素に入射する実質的に最大の入射光レベルが検出されるまで調節することによって、例えば、徐々に増大させることによって、正弦波信号の変調周波数における実質的に最大の入射信号レベルを画素上において検出する。画素に対して第2遅延を増大させる前に、その画素に入射する収集散乱光214Sを実質的に打ち消すように、基準ビームの振幅および位相を調節する。一実施形態では、撮像センサ228の全ての画素の内一部(subset)についてブロック970を実行する。
【0067】
[0076] 一実施形態では、画素毎に実質的に最大の入射光レベルを格納する。他の実施形態では、ブロック974において、例えば、第1遅延(第1遅延が使用されない場合ゼロになる)および第2遅延を加算し、その結果得られた和を2で除算し、その結果得られた積に光速を乗算することによって、ターゲット112までの距離を計算する。更に他の実施形態では、画素毎にこの距離を計算するか、または代わりに画素毎に測定された第2遅延全ての平均を取る。更に別の実施形態では、ブロック976において、ターゲット112の画像、例えば、画素毎に実質的に最小の入射DC光レベル、および計算した距離を表示する。
実施形態例
[0077] 例1は、画素を含む撮像センサを有するグレア低減および測距光学撮像システムの動作方法であって、この方法は、パワー・スペクトル密度を有する第1光ビームを生成するステップと、第1光ビームから基準光ビームを生成するステップと、パワー・スペクトル密度を有する第1光ビームを放出するステップと、散乱媒体およびターゲットからそれぞれ反射した散乱光および反射光を集光するステップと、第1光ビームが散乱光と実質的にコヒーレントとなるように、第1光ビームのパワー・スペクトル密度を決定するステップと、基準光ビームが散乱光と実質的にコヒーレントとなるように、第1光ビームのパワー・スペクトル密度を調節するステップと、画素毎に、各画素におけるDC光パワーを最小にするために基準光ビームの振幅および位相を変更するステップと、画素毎に実質的に最小の検出DC光パワーが得られた変更振幅および位相を格納するステップと、第2基準光ビームのパワー・スペクトル密度を高めるステップと、第2基準光ビームの振幅を、周波数を有する正弦波信号によって変調するステップと、画素毎に、基準光ビームの第2遅延を調節することによって、変調周波数における実質的に最大の信号レベルを画素上において検出するステップと、ターゲットまでの距離を判定するステップとを含む。
【0068】
[0078] 例2は、例1の方法であって、更に、ターゲットの画像および計算した距離の内少なくとも1つを表示するステップを含む。
[0079] 例3は、例1~2のいずれかの方法であって、更に、基準光ビームを第1遅延だけ遅延させるステップを含む。
【0069】
[0080] 例4は、例1~3のいずれかの方法であって、更に、散乱媒体とグレア低減および測距光学撮像システムとの間の往復遅延に実質的に等しい第1遅延を得るステップを含む。
【0070】
[0081] 例5は、例4の方法であって、第1遅延を得るステップが、少なくとも1つのセンサから第1遅延を得るステップを含む。
[0082] 例6は、例1~5のいずれかの方法であって、画素毎に実質的に最小の検出DC光パワーが得られた変更振幅および位相を格納するステップが、補間によって決定された変更振幅および位相を格納するステップを含む。
【0071】
[0083] 例7は、グレア抑制および測距システムであって、処理システムと、処理システムに結合されたグレア低減および測距光学システムとを含み、グレア低減および測距光学システムが、光源光ビームを生成する光源と、光源に結合された第1信号生成器であって、光源光ビームのパワー・スペクトル密度を変更するように構成される、第1信号生成器と、光源光ビームに光学的に結合された第1ビーム・スプリッタであって、第1ビーム・スプリッタが出力光ビームおよび第1基準光ビームを形成し(create)、出力ビームが放出され、散乱ビームおよび反射ビームを生成するように構成される、第1ビーム・スプリッタと、第1基準光ビームに光学系に結合された第2ビーム・スプリッタであって、第2ビーム・スプリッタが第2基準光ビームを形成する、第2ビーム・スプリッタと、第1基準光ビームの振幅および位相を調節するように構成された第1光プロセッサと、遅延およびパワー・スペクトル密度を調節し、第2基準光ビームを周波数変調するように構成された第2光プロセッサと、画素を含み(comprise)、散乱ビーム、反射ビーム、調節第1光基準ビーム、および調節第2基準光ビームを受光するように構成された撮像センサとを含む。
【0072】
[0084] 例8は、例7のグレア抑制および測距システムであって、更に、光源光ビームの遅延を調節するように構成された第3光プロセッサを含む。
[0085] 例9は、例7~8のいずれかのグレア抑制および測距システムであって、処理システムが、更に、メモリと、メモリに結合されたプロセッサとを含む。
【0073】
[0086] 例10は、例9のグレア抑制および測距システムであって、メモリが、距離判定および撮像システムと、グレア抑制システムとを含む。
[0087] 例11は、例7~10のいずれかのグレア抑制および測距システムであって、第1光変調器が、処理システムに結合された第1振幅変調器と、振幅変調器および処理システムに結合された第1位相変調器とを含む。
【0074】
[0088] 例12は、例7~11のいずれかのグレア抑制および測距システムであって、第2光変調器が、第1可変光遅延線と、第1光遅延線に結合された第2振幅変調器と、第2振幅変調器に結合された第2位相変調器と、第2振幅変調器に結合された第2信号生成器と、第2位相変調器および処理システムに結合された第3信号生成器とを含む。
【0075】
[0089] 例13は、例7~12のいずれかのグレア抑制および測距システムであって、更に、撮像センサに光学的に結合された対物レンズを含む。
[0090] 例14は、グレア抑制および測距システムを含むシステムであって、グレア抑制および測距システムが、処理システムと、処理システムに結合されたグレア低減および測距光学システムとを含む。グレア低減および測距光学システムは、光源光ビームを生成する光源と、光源に結合された第1信号生成器であって、第1信号生成器が光源光ビームのパワー・スペクトル密度を変更するように構成される、第1信号生成器と、光源光ビームに光学的に結合された第1ビーム・スプリッタであって、第1ビーム・スプリッタが出力光ビームと第1基準光ビームとを生成し、出力光ビームが放出されるように構成され、散乱ビームおよび反射ビームを生成する、第1ビーム・スプリッタと、第1基準光ビームに光学的に結合された第2ビーム・スプリッタであって、第2ビーム・スプリッタが第2基準光ビームを形成する、第2ビーム・スプリッタと、第1基準光ビームの振幅および位相を調節するように構成された第1光プロセッサと、遅延およびパワー・スペクトル密度を調節し、第2基準光ビームを周波数変調するように構成された第2光プロセッサと、画素を含み(comprise)、散乱ビーム、反射ビーム、調節第1光基準ビーム、および調節第2基準光ビームを受光するように構成された撮像センサと、少なくとも1つの入力/出力デバイスとを含む。
【0076】
[0091] 例15は、例14のシステムであって、更に、(a)グレア抑制および測距システムに結合された少なくとも1つのセンサ、(b)グレア抑制および測距システムに結合された時間、位置、およびベクトル速度検出システム、ならびに(c)グレア抑制および測距システムに結合された通信システムの内少なくとも1つを含む。
【0077】
[0092] 例16は、例14~15のいずれかのグレア抑制および測距システムであって、更に、光源光ビームの遅延を調節するように構成された第3光プロセッサを含む。
[0093] 例17は、例14~16のいずれかのグレア抑制および測距システムであって、 処理システムが、更に、メモリと、メモリに結合されたプロセッサとを含む。
【0078】
[0094] 例18は、例14~17のいずれかのグレア抑制および測距システムであって、メモリが、距離判定および撮像システムと、グレア抑制システムとを含む。
[0095] 例19は、例14~18のいずれかのグレア抑制および測距システムであって、第1光変調器が、処理システムに結合された第1振幅変調器と、振幅変調器および処理システムに結合された第1位相変調器とを含む。
【0079】
[0096] 例20は、例14~19のいずれかのグレア抑制および測距システムであって、第2光変調器が、第1可変光遅延線と、第1光遅延線に結合された第2振幅変調器と、第2振幅変調器に結合された第2位相変調器と、第2振幅変調器に結合された第2信号生成器と、第2位相変調器および処理システムに結合された第3信号生成器とを含む。
【0080】
[0097] 本明細書では、具体的な実施形態について例示および説明したが、同じ目的を達成すると考えられる任意の構成(arrangement)を、図示した具体的な実施形態の代わりに使用してもよいことは、当業者には認められよう。したがって、本発明は、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることを意図しているのは明らかである。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9