(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】船外機
(51)【国際特許分類】
B63H 20/12 20060101AFI20220815BHJP
B63H 20/02 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
B63H20/12 100
B63H20/02 100
(21)【出願番号】P 2018092953
(22)【出願日】2018-05-14
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512013765
【氏名又は名称】マリーン カナダ アクイジション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Marine Canada Acquisition Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南條 盛彦
(72)【発明者】
【氏名】ノーム ディーン ダビッドソン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード タイラー レッドファーン
(72)【発明者】
【氏名】マーク アイザック ダイク
(72)【発明者】
【氏名】エリック ビー.フェッチコ
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-193739(JP,A)
【文献】特開2015-054627(JP,A)
【文献】特開2009-083596(JP,A)
【文献】特開2006-219130(JP,A)
【文献】特開2005-153748(JP,A)
【文献】特開2003-320995(JP,A)
【文献】特開2003-285797(JP,A)
【文献】米国特許第06402577(US,B1)
【文献】米国特許第06276977(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 20/12
B63H 20/02
B63H 25/42
B63H 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びるステアリングシャフトと、
プロペラを回転させる動力を発生する原動機を含み、前記ステアリングシャフトとともに前記ステアリングシャフトの中心線まわりに回動する船外機本体と、
前記ステアリングシャフトから前方に延びており、前記ステアリングシャフトとともに前記ステアリングシャフトの中心線まわりに回動するステアリングアームと、
左右方向に移動する移動体を含むステアリングアクチュエータと、
前後方向に前記ステアリングアームが挿入されたブッシュホルダーと、前記ステアリングアームと前記ブッシュホルダーとの間に介在しており、左右方向に直交する鉛直断面が凸円弧状の一対の第1摺動部が設けられた外面を含むブッシュと、を含み、左右方向への前記移動体の移動を前記ステアリングシャフトの中心線まわりの前記ステアリングアームの回動に変換する運動変換機構と、を備える、船外機。
【請求項2】
前記ブッシュの外面は、左右方向に直交する鉛直断面が凸円弧状の前記一対の第1摺動部と、上下方向に直交する水平断面が凸円弧状の一対の第2摺動部とを含む、請求項1に記載の船外機。
【請求項3】
上下方向に延びるステアリングシャフトと、
プロペラを回転させる動力を発生する原動機を含み、前記ステアリングシャフトとともに前記ステアリングシャフトの中心線まわりに回動する船外機本体と、
前記ステアリングシャフトから前方に延びており、前記ステアリングシャフトとともに前記ステアリングシャフトの中心線まわりに回動するステアリングアームと、
左右方向に移動する移動体を含むステアリングアクチュエータと、
前記ステアリングアームが前後方向に挿入されたブッシュホルダーと、前記ステアリングアームと前記ブッシュホルダーとの間に介在しており、球冠状の一対の摺動部を有する外面を含むブッシュと、を含み、左右方向への前記移動体の移動を前記ステアリングシャフトの中心線まわりの前記ステアリングアームの回動に変換する運動変換機構と、を備える、船外機。
【請求項4】
前記船外機本体は、前記船外機本体が最も右方に操舵された右最大転舵位置と、前記船外機本体が最も左方に操舵された左最大転舵位置と、の間で前記ステアリングシャフトの中心線まわりに回動可能であり、
前記ステアリングアームの前部は、前記船外機本体が前記右最大転舵位置および左最大転舵位置のいずれに配置されているときでも、少なくとも前記ブッシュの中間点を超えている、請求項2または3に記載の船外機。
【請求項5】
前記ブッシュホルダーは、前記ステアリングアームが挿入されたアーム挿入穴を形成する内周面を含み、
左右方向への前記アーム挿入穴の長さは、前記アーム挿入穴の後端に近づくにしたがって増加している、請求項2~4のいずれか一項に記載の船外機。
【請求項6】
前記ステアリングアクチュエータは、前記移動体を左右方向に貫通する支持軸をさらに含み、
前記移動体は、前記支持軸を取り囲むベアリングと、前記ベアリングを取り囲むハウジングと、を含み、
前記ベアリングは、前記ハウジングとともに前記支持軸の中心線まわりに回転する外輪と、前記外輪の内側で前記支持軸を取り囲む内輪と、前記外輪と前記内輪との間に配置された回転要素と、を含み、
前記船外機は、前記ブッシュホルダーを前記ハウジングに固定する固定部材をさらに備える、請求項2~5のいずれか一項に記載の船外機。
【請求項7】
前記ブッシュは、前記移動体の後方に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の船外機。
【請求項8】
前記ブッシュは、前記移動体の下方に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の船外機。
【請求項9】
前記ブッシュは、前記移動体の上方に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の船外機。
【請求項10】
前記船外機は、
船体の後面に取付可能なクランプブラケットと、
左右方向に延びるチルト軸線まわりに前記クランプブラケットに対して前記船外機本体および移動体とともに回転可能なスイベルブラケットと、をさらに備え、
前記移動体は、側面視で前記チルト軸線に重なっている、請求項1~9のいずれか一項に記載の船外機。
【請求項11】
前記船外機は、
内側面と、前記内側面で開口する内周面と、船体の後面に取付可能な取付部とがそれぞれに設けられ、左右方向に間隔を空けて配置された一対のクランプブラケットと、
前記一対のクランプブラケットの間に配置されており、左右方向に延びるチルト軸線まわりに前記一対のクランプブラケットに対して回転可能なスイベルブラケットと、をさらに備え、
前記移動体は、前記スイベルブラケットの上方の位置と前記クランプブラケットの前記内周面で取り囲まれた空間内の位置とを含む複数の位置に移動可能であり、前記移動体の少なくとも一部は、側面視で前記クランプブラケットの前記内周面に取り囲まれている、請求項1~10のいずれか一項に記載の船外機。
【請求項12】
前記船外機は、前記チルト軸線と平行または略平行な軸方向に延びており、前記軸方向に前記クランプブラケットを貫通する支持軸をさらに含み、
前記移動体は、前記支持軸に沿って前記支持軸の軸方向に移動可能である、請求項11に記載の船外機。
【請求項13】
前記スイベルブラケットは、前記チルト軸線を取り囲んでおり、前記クランプブラケットの前記内周面内に挿入された筒状部を含み、
前記移動体は、前記クランプブラケットの前記内周面および筒状部の両方に取り囲まれた空間内の位置に移動可能である、請求項11または12に記載の船外機。
【請求項14】
前記ステアリングアクチュエータは、前記移動体を左右方向に貫通する支持軸をさらに含む、請求項1または3に記載の船外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶を推進させる船外機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、船外機を備える舶用推進装置が開示されている。舶用推進装置は、ト
ランサムに取り付けられるトランサムブラケットと、チルト軸線まわりに回転可能にトラ
ンサムブラケットに支持されたスイベルブラケットと、スイベルブラケットに対してステ
アリング軸線まわりに船外機を回動させるステアリングシリンダとを備えている。船外機
のカウルの前端部は、トランサムブラケットの上方に配置されている。ステアリングシリ
ンダは、トランサムブラケットと船外機のカウルとの間に配置されている。
【0003】
ステアリングシリンダは、左右方向に移動するピストン部材を収容している。ピストン
部材は、ステアリングアームが挿入されたピボット部材を支持するピボット支持構造と、
ピボット支持構造の右方および左方にそれぞれ配置された2つのエンドポーションとを含
む。ピボット部材は、上下方向に延びる円柱状であり、ピボット支持構造に対してピボッ
ト部材の中心線まわりに回動可能である。ステアリングアームは、前後方向に延びる円柱
状であり、ピボット部材を前後方向に貫通する貫通穴に挿入されている。
【0004】
ステアリングシリンダがピストン部材を左右方向に移動させると、ピボット部材がピボ
ット支持構造によって左右方向に押され、ピボット部材がピボット部材の中心線まわりに
回動しながら、ステアリングアームがステアリング軸線まわりに回動する。これにより、
船外機がステアリングアームとともにステアリング軸線まわりに回動し、船舶が操舵され
る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
船外機が大きな推力を発生すると、船外機はスイベルブラケットに対して僅かながら前
方または後方に倒れる場合がある。この場合、ステアリングアームの前端を上方または下
方に斜め後ろ方向に移動させる力が発生する。この力は、ステアリングアームからピボッ
ト部材に伝達され、ピボット部材の一部を高い圧力でピボット支持構造に押し付ける。こ
の状態でピストン部材が左右方向に移動すると、大きな摩擦力がピボット部材とピボット
支持構造との間で発生し、ステアリングシリンダから船外機に伝達される力の伝達効率が
低下してしまう。
【0007】
そこで、本発明の目的の一つは、船外機本体を操舵する力の伝達効率の低下を防止でき
る船外機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、上下方向に延びるステアリングシャフトと、プロペラを回転さ
せる動力を発生する原動機を含み、前記ステアリングシャフトとともに前記ステアリング
シャフトの中心線まわりに回動する船外機本体と、前記ステアリングシャフトから前方に
延びており、前記ステアリングシャフトとともに前記ステアリングシャフトの中心線まわ
りに回動するステアリングアームと、左右方向に移動する移動体を含むステアリングアク
チュエータと、前後方向に前記ステアリングアームが挿入されたブッシュホルダーと、前
記ステアリングアームと前記ブッシュホルダーとの間に介在しており、左右方向に直交す
る鉛直断面が凸円弧状の一対の第1摺動部が設けられた外面を含むブッシュと、を含み、
左右方向への前記移動体の移動を前記ステアリングシャフトの中心線まわりの前記ステア
リングアームの回動に変換する運動変換機構と、を備える、船外機を提供する。
【0009】
この構成によれば、ステアリングアクチュエータが移動体を左右方向に移動させると、
左右方向への移動体が運動変換機構によってステアリングアームの回動に変換される。ス
テアリングアームの回動は、ステアリングシャフトを介して船外機本体に伝達される。こ
れにより、船外機本体がステアリングシャフトの中心線まわりに回動し、船外機本体が操
舵される。
【0010】
ステアリングアームは、ステアリングシャフトから前方に延びており、前後方向にブッ
シュホルダーに挿入されている。ブッシュは、ステアリングアームとブッシュホルダーと
の間に介在している。ブッシュの外面は一対の第1摺動部を含む。ブッシュは、少なくと
も一対の第1摺動部を介してブッシュホルダーに保持されている。第1摺動部は、左右方
向に直交する凸円弧状の鉛直断面を有している。つまり、第1摺動部の鉛直断面は円弧で
ある。
【0011】
船外機本体の原動機がプロペラを回転させると、船体を前方または後方に推進させる推
力が発生する。推力の発生に伴ってステアリングアームの前端を上方または下方に斜め後
ろ方向に移動させる力が発生すると、ブッシュの外面の一対の第1摺動部がブッシュホル
ダーに摺動しながら、ブッシュを通り左右方向に延びる回動軸線まわりにブッシュがブッ
シュホルダーに対して回動する。これにより、ブッシュをブッシュホルダーに押し付ける
力が弱まる。
【0012】
このように、ステアリングアームの前端を上方または下方に斜め後ろ方向に移動させる
力が発生すると、意図的にステアリングアームおよびブッシュをブッシュホルダーに対し
て移動させる。したがって、ブッシュが高い圧力でブッシュホルダーに押し付けられるこ
とを防止でき、ステアリングアクチュエータの力を効率的に船外機本体に伝達できる。
原動機は、エンジン(内燃機関)または電動モータであってもよいし、エンジンおよび
電動モータの両方であってもよい。ステアリングアクチュエータは、電力や油圧などのエ
ネルギーを左右方向への移動体の直線運動に変換する。ステアリングアクチュエータは、
電動アクチュエータまたは油圧アクチュエータであってもよいし、これら以外のアクチュ
エータであってもよい。ブッシュの外面に設けられた第1摺動部は、球冠状であってもよ
いし、円弧状の断面を有する帯状であってもよい。つまり、第1摺動部は、球面の一部で
あってもよいし、円筒面の一部であってもよい。
【0013】
前記実施形態において、以下の特徴の少なくとも一つが、前記船外機に加えられてもよ
い。
前記ブッシュの外面は、左右方向に直交する鉛直断面が凸円弧状の前記一対の第1摺動
部と、上下方向に直交する水平断面が凸円弧状の一対の第2摺動部とを含む。
この構成によれば、凸円弧状の鉛直断面を有する第1摺動部だけでなく、凸円弧状の水
平断面を有する第2摺動部も、ブッシュの外面に設けられている。ステアリングアクチュ
エータの移動体が左右方向に移動するのに対し、ステアリングアームは上下方向に延びる
ステアリングシャフトの中心線まわりに回動する。移動体およびステアリングアームの移
動方向が互いに異なるので、移動体を左右方向に移動させると、ブッシュを通る鉛直な軸
線まわりにブッシュを回動させる力が発生する。
【0014】
この力が発生すると、ブッシュの外面の一対の第2摺動部がブッシュホルダーに摺動し
ながら、ブッシュが鉛直な軸線まわりにブッシュホルダーに対して回動する。これにより
、ブッシュが高い圧力でブッシュホルダーに押し付けられることを防止できる。さらに、
第1摺動部および第2摺動部がブッシュに設けられているので、第1摺動部および第2摺
動部がそれぞれ別々の部材に設けられている場合に比べて船外機を小型化できる。
【0015】
本発明の他の実施形態は、上下方向に延びるステアリングシャフトと、プロペラを回転
させる動力を発生する原動機を含み、前記ステアリングシャフトとともに前記ステアリン
グシャフトの中心線まわりに回動する船外機本体と、前記ステアリングシャフトから前方
に延びており、前記ステアリングシャフトとともに前記ステアリングシャフトの中心線ま
わりに回動するステアリングアームと、左右方向に移動する移動体を含むステアリングア
クチュエータと、前記ステアリングアームが前後方向に挿入されたブッシュホルダーと、
前記ステアリングアームと前記ブッシュホルダーとの間に介在しており、球冠状の一対の
摺動部を有する外面を含むブッシュと、を含み、左右方向への前記移動体の移動を前記ス
テアリングシャフトの中心線まわりの前記ステアリングアームの回動に変換する運動変換
機構と、を備える、船外機を提供する。
【0016】
この構成によれば、ステアリングアームは、ステアリングシャフトから前方に延びてお
り、前後方向にブッシュホルダーに挿入されている。ブッシュは、ステアリングアームと
ブッシュホルダーとの間に介在している。ブッシュの外面は一対の摺動部を含む。ブッシ
ュは、少なくとも一対の摺動部を介してブッシュホルダーに保持されている。摺動部は、
円弧の中点と当該円弧の中心とを通る直線まわりに当該円弧を回転させることにより得ら
れた回転体である。
【0017】
船外機本体の原動機がプロペラを回転させると、船体を前方または後方に推進させる推
力が発生する。推力の発生に伴ってステアリングアームの前端を上方または下方に斜め後
ろ方向に移動させる力が発生すると、ブッシュの外面の一対の摺動部がブッシュホルダー
に摺動しながら、ブッシュを通り左右方向に延びる回動軸線まわりにブッシュがブッシュ
ホルダーに対して回動する。
【0018】
さらに、ステアリングアクチュエータの移動体が左右方向に移動するのに対し、ステア
リングアームは上下方向に延びるステアリングシャフトの中心線まわりに回動するので、
移動体を左右方向に移動させると、ブッシュを通る鉛直な軸線まわりにブッシュを回動さ
せる力が発生する。このとき、ブッシュの外面の一対の摺動部がブッシュホルダーに摺動
しながら、ブッシュが鉛直な軸線まわりにブッシュホルダーに対して回動する。
【0019】
このように、推力の発生に伴ってステアリングアームの前端を上方または下方に斜め後
ろ方向に移動させる力が発生すると、ブッシュがブッシュホルダーに対して回動する。同
様に、ステアリングアクチュエータが移動体を左右方向に移動させると、ブッシュがブッ
シュホルダーに対して回動する。つまり、どのような軸線まわりのトルクがブッシュに加
わったとしても、ブッシュがブッシュホルダーに対して回動し、このトルクが逃がされる
。これにより、ブッシュが高い圧力でブッシュホルダーに押し付けられることを防止でき
、ステアリングアクチュエータの力を効率的に船外機本体に伝達できる。
【0020】
前記2つの実施形態において、以下の特徴の少なくとも一つが、前記船外機に加えられ
てもよい。
前記船外機本体は、前記船外機本体が最も右方に操舵された右最大転舵位置と、前記船
外機本体が最も左方に操舵された左最大転舵位置と、の間で前記ステアリングシャフトの
中心線まわりに回動可能であり、前記ステアリングアームの前部は、前記船外機本体が前
記右最大転舵位置および左最大転舵位置のいずれに配置されているときでも、少なくとも
前記ブッシュの中間点を超えている。前記ステアリングアームの前端は、前記船外機本体
が前記右最大転舵位置および左最大転舵位置のいずれに配置されているときでも、前記ブ
ッシュの前方に位置していてもよい。
【0021】
この構成によれば、船外機本体が操舵されると、ブッシュは、ステアリングシャフトの
中心線に直交する方向にステアリングアームに沿って移動する。船外機本体が右最大転舵
位置または左最大転舵位置に配置されているときは、ブッシュがステアリングシャフトの
中心線から最も離れおり、ステアリングシャフトの中心線からブッシュまでの距離が最も
長い。船外機本体が右最大転舵位置および左最大転舵位置の中間の原点位置に近づくと、
ブッシュはステアリングシャフトの中心線に近づく。
【0022】
船外機本体が右最大転舵位置および左最大転舵位置のいずれに配置されているときでも
、ステアリングアームの前端はブッシュの前方に配置されている。したがって、船外機本
体が右最大転舵位置から左最大転舵位置までの範囲内のいずれの位置に配置されていると
きでも、ステアリングアームはブッシュから前方に突出しており、ステアリングアームの
前端はブッシュの前方に配置されている。
【0023】
ステアリングアームの前端がブッシュの中に配置されている場合、船外機本体が操舵さ
れると、ブッシュがステアリングアームに沿って移動し、ステアリングアームにおいてブ
ッシュに接触している部分の長さが変化する。したがって、ステアリングアームの前端を
常にブッシュの前方に位置させることにより、ステアリングアームとブッシュとの接触面
積を安定させることができ、両者の間で発生する圧力の変動を抑えることができる。
【0024】
前記ブッシュホルダーは、前記ステアリングアームが挿入されたアーム挿入穴を形成す
る内周面を含み、左右方向への前記アーム挿入穴の長さは、前記アーム挿入穴の後端に近
づくにしたがって増加している。
この構成によれば、ステアリングアームがブッシュホルダーのアーム挿入穴に挿入され
ている。ステアリングアクチュエータが移動体を左右方向に移動させると、アーム挿入穴
に対するステアリングアームの角度が変化する。アーム挿入穴の幅、つまり、左右方向へ
のアーム挿入穴の長さは、アーム挿入穴の後端に近づくにしたがって増加している。した
がって、移動体が左右方向に移動したときに、ステアリングアームがブッシュホルダーに
接触することを防止できる。
【0025】
前記ステアリングアクチュエータは、前記移動体を左右方向に貫通する支持軸をさらに
含み、前記移動体は、前記支持軸を取り囲むベアリングと、前記ベアリングを取り囲むハ
ウジングと、を含み、前記ベアリングは、前記ハウジングとともに前記支持軸の中心線ま
わりに回転する外輪と、前記外輪の内側で前記支持軸を取り囲む内輪と、前記外輪と前記
内輪との間に配置された回転要素と、を含み、前記船外機は、前記ブッシュホルダーを前
記ハウジングに固定する固定部材をさらに備える。
【0026】
この構成によれば、ブッシュホルダーが固定部材によって移動体のハウジングに固定さ
れている。ハウジングは、ベアリングを介してステアリングアクチュエータの支持軸に支
持されている。ステアリングアームの前端を上方または下方に移動させる力がブッシュお
よびブッシュホルダーを介してハウジングに伝達されると、ハウジングは支持軸の中心線
まわりに回動する。したがって、この力は、ブッシュホルダーに対するブッシュの回動だ
けでなく、支持軸に対するハウジングの回動によっても吸収される。そのため、より大き
な力を吸収できる。
【0027】
前記ブッシュは、前記移動体の後方に配置されている。
この構成によれば、ブッシュが移動体の後方に配置されており、側面視で移動体に重な
っていない。前述の先行技術では、ピボット部材がピストン部材の中に配置されている。
したがって、前述の先行技術に比べて移動体の構造を簡素化できる。さらに、前述の先行
技術に比べて移動体を左右方向に短縮できるので、左右方向への移動体の移動範囲を広げ
ることができ、船外機本体の転舵角(ステアリングシャフトの中心線まわりの回転角)を
広げることができる。
【0028】
前記ブッシュは、前記移動体の下方に配置されていてもよいし、前記移動体の上方に配
置されていてもよい。
前記船外機は、船体の後面に取付可能なクランプブラケットと、左右方向に延びるチル
ト軸線まわりに前記クランプブラケットに対して前記船外機本体および移動体とともに回
転可能なスイベルブラケットと、をさらに備え、前記移動体は、側面視で前記チルト軸線
に重なっている。
【0029】
この構成によれば、船外機本体がチルト軸線まわりに上下に回動すると、移動体もチル
ト軸線まわりに上下に回動する。移動体が側面視でチルト軸線に重なっている場合、重な
っていない場合と比較すると、移動体が通過する空間の体積が小さい。したがって、船外
機本体がチルトアップされた際に船外機本体の一部が配置される船体内のスペースを減少
させることができる。これにより、船体内のスペースを有効に利用できる。
【0030】
前記船外機は、内側面と、前記内側面で開口する内周面と、船体の後面に取付可能な取
付部とがそれぞれに設けられ、左右方向に間隔を空けて配置された一対のクランプブラケ
ットと、前記一対のクランプブラケットの間に配置されており、左右方向に延びるチルト
軸線まわりに前記一対のクランプブラケットに対して回転可能なスイベルブラケットと、
をさらに備え、前記移動体は、前記スイベルブラケットの上方の位置と前記クランプブラ
ケットの前記内周面で取り囲まれた空間内の位置とを含む複数の位置に移動可能であり、
前記移動体の少なくとも一部は、側面視で前記クランプブラケットの前記内周面に取り囲
まれている。
【0031】
前述の先行技術では、ステアリングシリンダがトランサムブラケットと船外機のカウル
との間に配置されているので、ステアリングシリンダが配置される空間をトランサムブラ
ケットと船外機のカウルとの間に確保する必要がある。この構成によれば、移動体は、側
面視でクランプブラケットの内周面に取り囲まれている。したがって、移動体を配置する
空間をクランプブラケットと船外機本体のカウルとの間に設けなくてもよい。さらに、移
動体がクランプブラケットの内周面内に移動可能なので、クランプブラケットを移動体の
移動範囲の側方に配置しなくてもよい。そのため、一対のクランプブラケットが左右方向
に大型化することを抑制できる。
【0032】
船外機本体がステアリングシャフトの中心線まわりに左右方向に回転すると、右または
左のクランプブラケットに船外機本体が近づく。左右方向への一対のクランプブラケット
の幅が大きいと、船外機本体がクランプブラケットに接触するかもしれない。そのため、
これを未然に回避するために、クランプブラケットを前後方向に短くする、もしくは、ク
ランプブラケットを左右方向に薄くする必要がある。この構成によれば、一対のクランプ
ブラケットの幅を抑えることができるので、このような対策を行わなくてよい。
【0033】
前記船外機は、前記チルト軸線と平行または略平行な軸方向に延びており、前記軸方向
に前記クランプブラケットを貫通する支持軸をさらに含み、前記移動体は、前記支持軸に
沿って前記支持軸の軸方向に移動可能である。
この構成によれば、移動体は、支持軸に沿って支持軸の軸方向に移動する。支持軸が長
ければ、移動体の移動範囲を広げることができる。移動体の移動範囲が大きければ、船外
機本体の転舵角を増やすことができる。支持軸は、クランプブラケットを貫通する長さを
有している。したがって、移動体の移動範囲を広げることができ、船外機本体の転舵角を
増やすことができる。
【0034】
前記スイベルブラケットは、前記チルト軸線を取り囲んでおり、前記クランプブラケットの前記内周面内に挿入された筒状部を含み、前記移動体は、前記クランプブラケットの前記内周面および筒状部の両方に取り囲まれた空間内の位置に移動可能である。
この構成によれば、チルティングシャフトに相当する筒状部が、スイベルブラケットに設けられている。スイベルブラケットは、クランプブラケットに対して筒状部まわりに回転可能である。移動体は、筒状部の中にまで移動可能である。言い換えると、クランプブラケットに挿入されるチルティングシャフトが、移動体を配置する空間をクランプブラケットの中に形成している。これにより、移動体の移動範囲を確保しながら、一対のクランプブラケットの幅を抑えることができる。
前記ステアリングアクチュエータは、前記移動体を左右方向に貫通する支持軸をさらに含む。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、船外機本体を操舵する力の伝達効率の低下を防止できる船外機を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係る船外機の左側面を示す模式図である。
【
図2】船外機に備えられた懸架装置を上から見た模式図である。
【
図3】トップカバーが取り外された懸架装置および操舵装置を上から見た部分断面図である。
【
図4】エンドキャップが取り外された懸架装置の上部を左方から見た側面図である。
【
図5】基準面で切断した懸架装置および操舵装置の断面を示す部分断面図である。
【
図6】操舵装置を左斜め後ろ上方から見た斜視図である。
【
図7】左右方向に直交する運動変換機構の鉛直断面を示す断面図である。
【
図8】運動変換機構の水平断面を示す断面図である。
【
図9】トップカバーが取り外された懸架装置を上から見た部分断面図であり、ステアリングチューブが左に移動した状態を示している。
【
図10】基準面で切断した懸架装置および操舵装置の断面を示す部分断面図であり、船外機本体が船体を前方に推進させているときの操舵装置の状態を示している。
【
図11】基準面で切断した懸架装置および操舵装置の断面を示す部分断面図であり、船外機本体が船体を後方に推進させているときの操舵装置の状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
後述するように、船外機本体2は、ステアリング軸線Asまわりに左右に回動可能であ
り、チルト軸線Atまわりに上下に回動可能である。以下では、特に断りがない限り、基
準姿勢の船外機本体2について説明する。基準姿勢は、クランクシャフト7の回転軸線A
cが上下方向に延び、プロペラシャフト10の中心線Apが前後方向に延びる姿勢である
。前後、上下および左右の各方向は、基準姿勢の船外機本体2に基づいて定義される。幅
方向は、左右方向に相当する。側方は、幅方向における外方を意味する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態に係る船外機1の左側面を示す模式図である。
図2は、船
外機1に備えられた懸架装置3を上から見た模式図である。
図2は、トランサムT1の上端と等しい高さにおける船外機本体2の外面の輪郭形状を
太線、一点鎖線、および二点鎖線で示している。太線は、船外機本体2が右最大転舵位置
と左最大転舵位置との中間の原点位置に位置している状態を示している。一点鎖線は、船
外機本体2が右最大転舵位置に位置している状態を示しており、二点鎖線は、船外機本体
2が左最大転舵位置に位置している状態を示している。
【0039】
図1に示すように、船外機1は、船舶を推進させる推力を発生する船外機本体2と、船
外機本体2を船体H1に取り付ける懸架装置3と、上下方向に延びるステアリング軸線A
sまわりに船外機本体2を左右に回動させる操舵装置4と、左右方向に延びるチルト軸線
Atまわりに船外機本体2を上下に回動させるチルト装置5とを含む。
船外機本体2は、プロペラ11を回転させる動力を発生する原動機の一例であるエンジ
ン6と、エンジン6の動力をプロペラ11に伝達する動力伝達装置8~10とを含む。船
外機本体2は、さらに、エンジン6を収容するエンジンカウル12と、動力伝達装置8~
10を収容するケーシング13~15を含む。ケーシング13~15は、エンジンカウル
12の下方に配置されている。
【0040】
エンジン6は、上下方向に延びる回転軸線Acまわりに回転可能なクランクシャフト7
を含む。ケーシングは、エンジン6が置かれたエギゾーストガイド13と、エギゾースト
ガイド13の下方に配置されたアッパーケース14と、アッパーケース14の下方に配置
されたロワーケース15とを含む。動力伝達装置は、アッパーケース14およびロワーケ
ース15内で上下方向に延びるドライブシャフト8と、ロワーケース15内で前後方向に
延びるプロペラシャフト10と、ドライブシャフト8からプロペラシャフト10に回転を
伝達する前後進切替機構9とを含む。プロペラ11は、ロワーケース15から後方に突出
したプロペラシャフト10の後端部に取り付けられている。
【0041】
エンジン6は、クランクシャフト7を一定の回転方向に回転させる。クランクシャフト
7の回転は、ドライブシャフト8、前後進切替機構9、およびプロペラシャフト10を介
して、プロペラ11に伝達される。これにより、プロペラ11がプロペラシャフト10と
ともにプロペラシャフト10の中心線Apまわりに回転し、船体H1を前方または後方に
推進させる推力が発生する。ドライブシャフト8からプロペラシャフト10に伝達される
回転の方向は、前後進切替機構9によって切り替えられる。これにより、プロペラ11の
回転方向が、互いに反対の方向である正転方向および逆転方向の間で切り替えられる。
【0042】
図2に示すように、懸架装置3は、船体H1の後部に設けられたトランサムT1に取付
可能な一対のクランプブラケット16と、左右方向に延びるチルト軸線Atまわりに回転
可能に一対のクランプブラケット16に支持されたスイベルブラケット19と、上下方向
に延びるステアリング軸線Asまわりに回転可能にスイベルブラケット19に支持された
ステアリングシャフト23とを含む。
【0043】
一対のクランプブラケット16は、それぞれ、スイベルブラケット19の右方および左
方に配置されている。クランプブラケット16は、船体H1に取り付けられる取付部17
と、スイベルブラケット19を支持するスイベル支持部18とを含む。取付部17は、ト
ランサムT1の後方に配置される。スイベル支持部18は、トランサムT1の上方に配置
される。クランプブラケット16を船体H1に固定するボルトB1は、取付部17を貫通
する通り穴17hに挿入される。
【0044】
スイベルブラケット19は、船外機本体2の前方に配置されている。スイベルブラケッ
ト19は、操舵装置4を収容する収容部20と、一対のクランプブラケット16のスイベ
ル支持部18に支持された一対の筒状部21と、ステアリングシャフト23を回転可能に
支持する筒状のシャフト支持部22とを含む。一対の筒状部21は、それぞれ、収容部2
0の右方および左方に配置されている。筒状部21は、収容部20から側方に突出してい
る。シャフト支持部22は、筒状部21よりも後方に配置されている。ステアリングシャ
フト23は、シャフト支持部22内に挿入されている。ステアリングシャフト23の中心
線は、ステアリング軸線As上に位置している。
【0045】
懸架装置3は、スイベルブラケット19の上方に配置されたトップカバー24と、一対
のクランプブラケット16の右方および左方にそれぞれ配置された一対のエンドキャップ
25と含む。操舵装置4は、トップカバー24とスイベルブラケット19との間に配置さ
れている。操舵装置4の両端部(後述するステアリングロッド32の両端部)は、それぞ
れ、一対のエンドキャップ25に支持されている。一対のエンドキャップ25は、それぞ
れ、スイベルブラケット19の一対の筒状部21に固定されている。したがって、操舵装
置4は、一対のエンドキャップ25を介してスイベルブラケット19に支持されている。
【0046】
図1に示すように、懸架装置3は、ステアリングシャフト23の上端部を操舵装置4に
連結するステアリングアーム26と、上ダンパーマウントM1を介してステアリングシャ
フト23の上端部を船外機本体2に連結する上マウントブラケット27と、下ダンパーマ
ウントM2を介してステアリングシャフト23の下端部を船外機本体2に連結する下マウ
ントブラケット28とを含む。
【0047】
ステアリングアーム26は、スイベルブラケット19の上方に配置されている。ステア
リングアーム26は、ステアリングシャフト23から前方に延びている。ステアリングア
ーム26は、ステアリングシャフト23とともにステアリング軸線Asまわりに回転する
。ステアリングアーム26の前端部は、トップカバー24とスイベルブラケット19との
間に配置されている。ステアリングアーム26および上マウントブラケット27は、一つ
の一体の部材である。ステアリングアーム26は、上マウントブラケット27とは別の部
材であってもよい。
【0048】
上マウントブラケット27および下マウントブラケット28は、それぞれ、スイベルブ
ラケット19の上方および下方に配置されている。上マウントブラケット27は、ボルト
によって上ダンパーマウントM1に連結されており、下マウントブラケット28は、ボル
トによって下ダンパーマウントM2に連結されている。上ダンパーマウントM1および下
ダンパーマウントM2は、船外機本体2に保持されている。上マウントブラケット27お
よび下マウントブラケット28は、ステアリングシャフト23とともにステアリング軸線
Asまわりに回転する。
【0049】
次に、懸架装置3および操舵装置4について説明する。
図3は、トップカバー24が取り外された懸架装置3および操舵装置4を上から見た部
分断面図である。
図4は、エンドキャップ25が取り外された懸架装置3の上部を左方か
ら見た側面図である。
図5は、基準面WOで切断した懸架装置3および操舵装置4の断面
を示す部分断面図である。基準面WOは、ステアリング軸線Asを通り且つ左右方向に直
交する鉛直面を意味する。
【0050】
図3に示すように、スイベルブラケット19の収容部20は、一対のクランプブラケッ
ト16の間に配置された底壁20bと、底壁20bの前縁から上方に延びる前壁20fと
、底壁20bの右縁および左縁からそれぞれ上方に延びる2つの側壁20sとを含む。ト
ップカバー24(
図5参照)は、ボルトによって収容部20に連結されている。トップカ
バー24および収容部20は、操舵装置4を収容する収容室を形成している。
【0051】
スイベルブラケット19の一対の筒状部21は、収容部20の側壁20sから右方また
は左方に突出している。筒状部21の内周面21iは、側壁20sの内側面で開口してい
る。
図4に示すように、筒状部21の内周面21iは、筒状部21の端面でも開口してい
る。筒状部21は、側面視でチルト軸線Atを取り囲んでいる。筒状部21は、側面視で
チルト軸線Atを取り囲む円環部21aと、円環部21aの内周面から内方に突出する複
数の突出部21pとを含む。複数の突出部21pは、筒状部21の端面で開口する複数の
雌ネジ穴21hに整合する位置に配置されている。エンドキャップ25をスイベルブラケ
ット19に固定する複数のボルトB2(
図3参照)は、複数の雌ネジ穴21hに取り付け
られる。
【0052】
図3に示すように、クランプブラケット16のスイベル支持部18は、筒状部21とス
イベル支持部18との間に介在するスリーブブッシュ29を介してスイベルブラケット1
9の筒状部21を支持している。スイベル支持部18の内周面18iは、筒状部21を取
り囲んでいる。スイベル支持部18の内周面18iは、クランプブラケット16の内側面
16iおよび外側面16oの両方で開口している。スイベルブラケット19の筒状部21
は、スイベル支持部18を左右方向に貫通しており、スイベル支持部18から側方に突出
している。
【0053】
エンドキャップ25は、クランプブラケット16のスイベル支持部18とスイベルブラ
ケット19の筒状部21の側方に配置されている。エンドキャップ25の外径は、スイベ
ル支持部18の内径(スイベル支持部18の内周面18iの直径)よりも大きい。筒状部
21の端面に設けられた開口は、エンドキャップ25によって塞がれている。エンドキャ
ップ25は、複数のボルトB2によって筒状部21に固定されている。
【0054】
操舵装置4は、電力や油圧などのエネルギーを左右方向への直線運動に変換するステア
リングアクチュエータ31と、ステアリングアクチュエータ31から生じた直線運動をス
テアリングアーム26の回動に変換する運動変換機構51とを含む。ステアリングアクチ
ュエータ31は、左右方向に延びるステアリングロッド32と、ステアリングロッド32
に沿って左右方向に往復するステアリングチューブ33とを含む。ステアリングチューブ
33は、左右方向に移動する移動体の一例であり、ステアリングロッド32は、移動体を
支持する支持軸の一例である。
【0055】
図3は、ステアリングアクチュエータ31が電力を左右方向へのステアリングチューブ
33の直線運動に変換する電動アクチュエータであり、電動アクチュエータの減速装置4
0がローラスクリューアッセンブリーである例を示している。ステアリングアクチュエー
タ31は、油圧アクチュエータなどの電動アクチュエータ以外のアクチュエータであって
もよい。減速装置40は、ボールネジ機構などのローラスクリューアッセンブリー以外の
装置であってもよい。
【0056】
ステアリングアクチュエータ31が電動アクチュエータである場合、ステアリングチュ
ーブ33は、ステアリングロッド32を取り囲むインナーチューブ43と、インナーチュ
ーブ43を回転させる電動モータ39とを含む。ステアリングチューブ33は、さらに、
インナーチューブ43またはステアリングロッド32の回転に伴って、インナーチューブ
43およびステアリングロッド32をステアリングロッド32の軸方向に相対移動させる
減速装置40と、インナーチューブ43、電動モータ39、および減速装置40を収容す
るハウジング34とを含む。電動モータ39が回転すると、ハウジング34は、電動モー
タ39および減速装置40などのハウジング34に収容された収容物とともにステアリン
グロッド32に対して左右方向に移動する。
【0057】
ステアリングロッド32は、ステアリングチューブ33を支持している。ステアリング
ロッド32は、ステアリングチューブ33を左右方向に貫通している。ステアリングロッ
ド32は、さらに、スイベルブラケット19を左右方向に貫通している。つまり、ステア
リングロッド32は、スイベルブラケット19の2つの筒状部21の内周面21iによっ
て取り囲まれた空間とスイベルブラケット19の収容部20内の空間とを左右方向に通過
している。ステアリングロッド32の両端部は、スイベルブラケット19の2つの筒状部
21から側方に突出している。
【0058】
ステアリングロッド32は、ステアリングチューブ33を左右方向に貫通する大径部3
2Lと、大径部32Lの端面から側方に突出する小径部32sと、小径部32sの端面か
ら側方に突出する雄ネジ部32mとを含む。大径部32L、小径部32s、および雄ネジ
部32mは、同軸である。小径部32sの外径は、大径部32Lの外径よりも小さく、雄
ネジ部32mの外径は、小径部32sの外径よりも小さい。大径部32Lは、小径部32
sおよび雄ネジ部32mのいずれよりも左右方向に長い。大径部32Lは、スイベルブラ
ケット19を左右方向に貫通している。
【0059】
ステアリングロッド32の両端部は、それぞれ、一対のエンドキャップ25に支持され
ている。ステアリングロッド32の小径部32sは、エンドキャップ25の中央部を左右
方向に貫通する通り穴に挿入されている。ステアリングロッド32の雄ネジ部32mは、
エンドキャップ25の側方に配置されている。固定ナットN1は、雄ネジ部32mにねじ
止めされている。エンドキャップ25は、固定ナットN1の内側面と大径部32Lの端面
とによって左右方向に挟まれている。これにより、エンドキャップ25がステアリングロ
ッド32に固定されている。したがって、ステアリングロッド32は、エンドキャップ2
5を介してスイベルブラケット19に固定されている。
【0060】
ハウジング34は、ステアリングロッド32を取り囲む筒状のメインチューブ35と、
左右方向におけるメインチューブ35の中央部から上方、前方、および後方に突出したセ
ンターボックス36とを含む。ハウジング34は、さらに、センターボックス36の上方
に配置されたアッパーカバー37と、メインチューブ35の両端にそれぞれ配置された環
状の2つのエンドプレート38と、2つのエンドプレート38とステアリングロッド32
との間の空間を密閉する2つのシールリングS1(
図4参照)とを含む。
【0061】
図4に示すように、メインチューブ35は、側面視で、スイベルブラケット19の筒状
部21の内周面21iによって取り囲まれている。メインチューブ35は、側面視で、筒
状部21のいずれの部分にも重なっていない。メインチューブ35およびステアリングロ
ッド32の中心線は、チルト軸線At上に配置されている。エンドプレート38は、メイ
ンチューブ35によって取り囲まれている。エンドプレート38の外周面は、メインチュ
ーブ35に接しており、エンドプレート38の内周面は、ステアリングロッド32を取り
囲んでいる。2つのシールリングS1は、それぞれ、2つのエンドプレート38に支持さ
れている。
【0062】
図3に示すように、センターボックス36は、メインチューブ35よりも左右方向に短
い。アッパーカバー37は、センターボックス36の上端部に取り付けられている。セン
ターボックス36の上端部は、上向きに開いた開口を形成している。センターボックス3
6の開口は、アッパーカバー37によって覆われている。センターボックス36の後面は
、前方に凹んだ凹部36rを形成している。
図3は、船外機本体2が原点位置に配置され
ているときの操舵装置4を示している。船外機本体2が原点位置に配置されているとき、
ステアリングアーム26の前端26fは、センターボックス36の凹部36r内に配置さ
れる。
【0063】
ステアリングチューブ33は、スイベルブラケット19の収容部20内に配置されてい
る。収容部20の前壁20fは、ステアリングチューブ33の前方に配置されており、収
容部20の底壁20bは、ステアリングチューブ33の下方に配置されている。船外機本
体2が原点位置に配置されているとき、収容部20の2つの側壁20sは、それぞれ、メ
インチューブ35の右方および左方に配置されている。後述するように、ステアリングア
クチュエータ31がステアリングチューブ33を左右方向に移動させると、メインチュー
ブ35は、クランプブラケット16のスイベル支持部18とスイベルブラケット19の筒
状部21との両方に取り囲まれた空間内に入る。
【0064】
ハウジング34は、電動モータ39および減速装置40を収容している。電動モータ3
9は、減速装置40を取り囲むローター39rと、ローター39rを取り囲むステーター
39sとを含む。減速装置40は、左右方向に延びるセンターシャフト41と、センター
シャフト41のまわりに配置された複数の円柱ローラ42とを含む。インナーチューブ4
3は、複数の円柱ローラ42を取り囲んでいる。
【0065】
センターシャフト41の中心線は、チルト軸線At上に配置されている。センターシャ
フト41は、ステアリングロッド32と一体であってもよいし、ステアリングロッド32
に固定されたステアリングロッド32とは別の部材であってもよい。各円柱ローラ42の
外周面に設けられたらせん状のネジ山は、センターシャフト41の外周面に設けられたら
せん状のネジ山と、インナーチューブ43の内周面に設けられたらせん状のネジ山とに噛
み合っている。
【0066】
センターシャフト41の回転は、センターシャフト41、円柱ローラ42、およびイン
ナーチューブ43によって、インナーチューブ43の直線運動に変換される。同様に、イ
ンナーチューブ43の回転は、センターシャフト41、円柱ローラ42、およびインナー
チューブ43によって、センターシャフト41の直線運動に変換される。センターシャフ
ト41およびインナーチューブ43の一方を回転させると、センターシャフト41および
インナーチューブ43の他方が直線運動し、センターシャフト41およびインナーチュー
ブ43がセンターシャフト41の軸方向(左右方向)に相対移動する。
【0067】
ステアリングチューブ33は、ハウジング34とインナーチューブ43との間に介在す
る一対のベアリング44を含む。各ベアリング44は、ステアリングロッド32を取り囲
む内輪44iと、内輪44iを取り囲む外輪44oと、内輪44iと外輪44oとの間に
配置された複数の回転要素44rとを含む。ベアリング44の内輪44iと電動モータ3
9のローター39rとは、インナーチューブ43とともにステアリングロッド32の中心
線まわりに回転する。ベアリング44の外輪44oと電動モータ39のステーター39s
とは、ハウジング34とともに回転する。
【0068】
電動モータ39がインナーチューブ43を回転させると、電動モータ39からインナー
チューブ43に伝達されたトルクが、センターシャフト41、円柱ローラ42、およびイ
ンナーチューブ43によって、インナーチューブ43を左右方向に直線移動させる駆動力
に変換される。ステアリングチューブ33は、この駆動力によってステアリングロッド3
2に対して右方向または左方向に移動する。ステアリングチューブ33の移動量および移
動方向は、電動モータ39の回転量および回転方向によって制御される。
【0069】
次に、操舵装置4の運動変換機構51および転舵角検出装置61について説明する。
図6は、操舵装置4を左斜め後ろ上方から見た斜視図である。
図7は、左右方向に直交
する運動変換機構51の鉛直断面を示す断面図である。
図8は、運動変換機構51の水平
断面を示す断面図である。
図6に示すように、運動変換機構51は、ステアリングアーム26の前端部に取り付け
られた球状のブッシュ52と、ブッシュ52を保持するブッシュホルダー53とを含む。
図7に示すように、ブッシュホルダー53は、ステアリングアーム26が挿入されたメイ
ンホルダー54と、メインホルダー54とともにブッシュ52を保持するインナーホルダ
ー55とを含む。
【0070】
ブッシュ52、メインホルダー54、およびインナーホルダー55は、ハウジング34
のセンターボックス36の後方に配置されている。メインホルダー54は、固定部材の一
例であるボルトB3(
図6参照)によってセンターボックス36に固定されている。イン
ナーホルダー55は、メインホルダー54の中に配置されている。インナーホルダー55
は、ボルトによってメインホルダー54に固定されている。メインホルダー54およびイ
ンナーホルダー55は、ステアリングチューブ33とともにステアリングロッド32に対
して左右方向に移動する。
【0071】
メインホルダー54は、ブッシュ52の下方に配置された半球状の下支持面54sを含
む。インナーホルダー55は、ブッシュ52の上方に配置された半球状の上支持面55s
を含む。上支持面55sおよび下支持面54sの曲率半径は、ブッシュ52の球状の外面
52oの曲率半径に一致または概ね一致している。ブッシュ52は、上支持面55sおよ
び下支持面54sによって上下に挟まれている。ブッシュ52は、ブッシュ52を通る任
意の軸線まわりにブッシュホルダー53に対して回動可能である。
【0072】
ブッシュ52の外面52oは、上支持面55sおよび下支持面54sに接触する複数の
摺動部52sを含む。ブッシュ52の中心は、ブッシュ52の中間点に相当する。ブッシ
ュ52の中心を通る平面であれば、どのような平面で摺動部52sを切断しても、凸円弧
状の断面が現れる。例えば
図7に示すように、ブッシュ52の中心を通り且つ左右方向に
直交する鉛直面で摺動部52sを切断すると、上方向または下方向に凸の円弧状の断面が
現れる。
図8に示すように、ブッシュ52の中心を通る水平面で摺動部52sを切断する
と、右方向または左方向に凸の円弧状の断面が現れる。
【0073】
ステアリングアーム26の前端部は、メインホルダー54の後面から前方に延びるアー
ム挿入穴54hに挿入されている。ブッシュ52は、アーム挿入穴54hの前方に配置さ
れている。ステアリングアーム26の前端部は、ブッシュ52の外面52oから前方に延
びる差し込み穴52hに挿入されている。したがって、ステアリングアーム26の前端部
は、アーム挿入穴54hおよび差し込み穴52hの両方に挿入されている。
【0074】
メインホルダー54のアーム挿入穴54hは、メインホルダー54の後面で開口してい
る。アーム挿入穴54hは、メインホルダー54の後面からブッシュ52まで前方に延び
ている。
図8に示すように、アーム挿入穴54hの幅(左右方向の長さ)は、ブッシュ5
2に近づくにしたがって減少している。メインホルダー54の後面におけるアーム挿入穴
54hの幅は、ブッシュ52の外径の最大値よりも大きい。
図7に示すように、メインホ
ルダー54の後面におけるアーム挿入穴54hの高さ(上下方向の長さ)は、ブッシュ5
2の外径の最大値よりも小さい。アーム挿入穴54hは、全周が閉じた穴ではなく、切欠
きであってもよい。
【0075】
ブッシュ52の差し込み穴52hは、ブッシュ52の内周面52iによって形成されて
いる。ブッシュ52の内周面52iは、前後方向に直交する円形の鉛直断面を有している
。ブッシュ52の内径(ブッシュ52の内周面52iの直径)は、差し込み穴52hの前
端から差し込み穴52hの後端まで一定である。差し込み穴52hの前端から差し込み穴
52hの後端まで断面形状が一様であれば、ブッシュ52の内周面52iの鉛直断面は、
多角形などの円形以外の形状であってもよい。
【0076】
ブッシュ52の内周面52iは、ステアリングアーム26の外周面26oを取り囲んで
いる。ステアリングアーム26の外周面26oは、ブッシュ52の内周面52iと同様の
断面形状を有している。
図7および
図8は、ステアリングアーム26の外周面26oの断
面形状が円形である例を示している。ステアリングアーム26の外周面26oの外径は、
ステアリングアーム26の外周面26oの前端(ステアリングアーム26の前端26fに
一致)からステアリングアーム26の外周面26oの後端26r(
図8参照)まで一定で
ある。ブッシュ52は、ステアリングアーム26の外周面26oに沿ってステアリング軸
線As(
図6参照)に直交する方向にステアリングアーム26に対して移動可能である。
【0077】
図7および
図8に示すように、ステアリングアーム26は、ブッシュ52の後方から差
し込み穴52hに挿入されている。ステアリングアーム26は、ブッシュ52を前後方向
に貫通しており、ブッシュ52から前方に突出している。ステアリングアーム26の前端
26fは、ハウジング34のセンターボックス36の後方に位置しており、センターボッ
クス36から離れている。
【0078】
後述するように、船外機本体2が原点位置から操舵されると、ブッシュ52は、ステア
リングアーム26に沿ってステアリングアーム26の前端26fの方に移動する。船外機
本体2が右最大転舵位置および左最大転舵位置のいずれに配置されているときでも、ステ
アリングアーム26は、ブッシュ52を貫通しており、ステアリングアーム26の前端2
6fは、ブッシュ52の外に配置されている。したがって、船外機本体2がステアリング
軸線Asまわりのいずれの位置に配置されているときでも、ステアリングアーム26の前
端26fはブッシュ52の外に配置される。
【0079】
図7に示すように、操舵装置4は、船外機本体2の転舵角を検出する転舵角検出装置6
1を含む。
図7は、転舵角検出装置61がブッシュ52の回転角を検出する例を示してい
る。この例では、転舵角検出装置61は、ブッシュ52とともに回転するマグネット63
と、マグネット63の回転角を検出する転舵角センサー62と、マグネット63を保持す
るとともに、ブッシュ52の回転をマグネット63に伝達するマグネットホルダー64と
を含む。転舵角検出装置61は、ステアリングアーム26などのブッシュ52以外の可動
部の移動量を検出してもよい。
【0080】
転舵角センサー62は、マグネット63の上方に配置されている。転舵角センサー62
は、マグネット63に非接触である。転舵角センサー62は、ハウジング34に保持され
ている。マグネット63は、ステアリング軸線Asと平行で且つブッシュ52を通る回動
軸線A1まわりに転舵角センサー62に対して移動可能である。マグネット63は、マグ
ネットホルダー64およびインナーホルダー55の上方に配置されている。
【0081】
マグネットホルダー64は、マグネット63が差し込まれたカップ部64cと、ブッシ
ュ52に接するベース部64bと、ベース部64bからカップ部64cに延びる円柱状の
シャフト部64sとを含む。マグネット63およびカップ部64cは、インナーホルダー
55の上方に配置されている。ベース部64bは、インナーホルダー55の下方に配置さ
れている。シャフト部64sは、インナーホルダー55の上支持面55sから上方に延び
る通り穴55hに挿入されている。マグネット63およびマグネットホルダー64は、イ
ンナーホルダー55に対してシャフト部64sまわりに回転可能である。
【0082】
マグネットホルダー64のベース部64bは、ブッシュ52の外面52oからブッシュ
52の中心の方に凹んだ嵌合溝52gに差し込まれている。
図8に示すように、ブッシュ
52の嵌合溝52gは、平面視において前後方向に延びる帯状である。同様に、ベース部
64bは、平面視において前後方向に延びる帯状である。
図7に示すように、ブッシュ5
2の嵌合溝52gは、ブッシュ52の外面52oと同心の円弧状の底面を含む。ベース部
64bは、嵌合溝52gの底面の曲率半径と等しいまたは概ね等しい曲率半径を有する円
弧状の下面を含む。ベース部64bは、嵌合溝52gよりも前後方向に短い。ベース部6
4bは、嵌合溝52gの底面に沿って嵌合溝52gに対して前後方向に移動可能である。
【0083】
ブッシュ52を回動軸線A1まわりに回動させる力が発生すると、ベース部64bの右
側面および左側面が嵌合溝52gの右側面および左側面によって押され、マグネットホル
ダー64がブッシュ52とともにブッシュホルダー53に対して回動する。これにより、
転舵角センサー62およびマグネット63が回動軸線A1まわりに相対的に移動し、マグ
ネット63の回転角が検出される。船外機本体2の転舵角は、転舵角センサー62の検出
値に基づいて測定される。
【0084】
次に、船外機本体2を操舵するときの操舵装置4の動作について説明する。
図9は、トップカバー24が取り外された懸架装置3を上から見た部分断面図であり、
ステアリングチューブ33が左に移動した状態を示している。
ステアリングアクチュエータ31がステアリングチューブ33を左方向に移動させる右
操舵力を発生すると、この右操舵力は、ハウジング34、ブッシュホルダー53、および
ブッシュ52を介してステアリングアーム26に伝達される。これにより、ステアリング
アーム26が左方に押され、ステアリングアーム26およびステアリングシャフト23が
ステアリング軸線Asまわりに左方に回動する。これにより、船外機本体2がステアリン
グ軸線Asまわりに右方に回動する。
【0085】
図3および
図9を比較すると分かるように、ステアリングアクチュエータ31が右操舵
力を発生すると、ブッシュ52の外面52oがブッシュホルダー53に擦れながら、ステ
アリング軸線Asと平行で且つブッシュ52を通る回動軸線A1まわりにステアリングア
ーム26およびブッシュ52がブッシュホルダー53に対して回動する。さらに、ブッシ
ュ52は、ステアリングアーム26の外周面26oに沿ってステアリング軸線Asに直交
する方向に移動する。
【0086】
同様に、ステアリングアクチュエータ31がステアリングチューブ33を右方向に移動
させる左操舵力を発生すると、この左操舵力は、ハウジング34、ブッシュホルダー53
、およびブッシュ52を介してステアリングアーム26に伝達される。これにより、ステ
アリングアーム26が右方に押され、ステアリングアーム26およびステアリングシャフ
ト23がステアリング軸線Asまわりに右方に回動する。これにより、船外機本体2がス
テアリング軸線Asまわりに左方に回動する。
【0087】
ステアリングアクチュエータ31が左操舵力を発生すると、ブッシュ52の外面52o
がブッシュホルダー53に擦れながら、ステアリング軸線Asと平行で且つブッシュ52
を通る回動軸線A1まわりにステアリングアーム26およびブッシュ52がブッシュホル
ダー53に対して回動する。さらに、ブッシュ52は、ステアリングアーム26の外周面
26oに沿ってステアリング軸線Asに直交する方向に移動する。
【0088】
図9は、船外機本体2が右最大転舵位置に配置されているときの操舵装置4の状態を示
している。船外機本体2が右最大転舵位置に配置されると、ステアリングチューブ33の
左端部は、左方のクランプブラケット16のスイベル支持部18とスイベルブラケット1
9の左方の筒状部21との両方に取り囲まれた空間内に配置される。このとき、ステアリ
ングアーム26の前端26fは、ブッシュ52の外に配置されている。さらに、ステアリ
ングアーム26は、ブッシュホルダー53のアーム挿入穴54hの内周面54iに接触し
ておらず離れている。
【0089】
ステアリングチューブ33を右方向に移動させると、船外機本体2はステアリング軸線
Asまわりに左方に回動する。左最大転舵位置は、基準面WOに関して右最大転舵位置と
対称な位置である。船外機本体2が左最大転舵位置に配置されると、ステアリングチュー
ブ33の右端部は、右方のクランプブラケット16のスイベル支持部18とスイベルブラ
ケット19の右方の筒状部21との両方に取り囲まれた空間内に配置される。このとき、
ステアリングアーム26の前端26fは、ブッシュ52の外に配置されている。さらに、
ステアリングアーム26は、ブッシュホルダー53のアーム挿入穴54hの内周面54i
に接触しておらず離れている。
【0090】
次に、推力の発生に伴って船外機本体2を前方または後方に倒す傾倒力が発生したとき
の操舵装置4の動作について説明する。
図10および
図11は、基準面WOで切断した懸架装置3および操舵装置4の断面を示
す部分断面図である。
図10は、船外機本体2が船体H1を前方に推進させているときの
操舵装置4の状態を示しており、
図11は、船外機本体2が船体H1を後方に推進させて
いるときの操舵装置4の状態を示している。
【0091】
船体H1(
図1参照)を前方に推進させる推力が大きいと、船外機本体2(
図1参照)
を後方に倒す傾倒力、つまり、船外機本体2の上部を船体H1に対して後方に移動させ、
船外機本体2の下部を船体H1に対して前方に移動させる力が発生する。これとは反対に
、船体H1を後方に推進させる推力が大きいと、船外機本体2を後方に倒す傾倒力、つま
り、船外機本体2の上部を船体H1に対して前方に移動させ、船外機本体2の下部を船体
H1に対して後方に移動させる力が発生する。
【0092】
船外機本体2を前方または後方に倒す傾倒力は、船外機本体2を介してステアリングシ
ャフト23に伝達される。ステアリングシャフト23は、スイベルブラケット19のシャ
フト支持部22内に挿入されており、ステアリングシャフト23を取り囲むスリーブブッ
シュ65を介してシャフト支持部22に支持されている。傾倒力がステアリングシャフト
23に伝達されると、ステアリングシャフト23は、スリーブブッシュ65の内周面とス
テアリングシャフト23の外周面との間の僅かな隙間の範囲内でシャフト支持部22に対
して前方または後方に倒れる。このとき、ステアリングアーム26の前端26fは、スイ
ベルブラケット19に対して僅かながら上方または下方に移動する。
【0093】
図10に示すように、船体H1を前方に推進させる推力が大きいと、ステアリングアー
ム26の前端26fをスイベルブラケット19に対して上方に移動させる力が発生する。
これにより、ブッシュ52がステアリングアーム26によって上方に押され、ブッシュホ
ルダー53がブッシュ52によって上方に押される。このとき、ブッシュ52の外面52
oがブッシュホルダー53に擦れながら、ブッシュ52を通り左右方向に延びる回動軸線
A2まわりにステアリングアーム26およびブッシュ52がブッシュホルダー53に対し
て回動する。
【0094】
さらに、ステアリングアーム26の前端26fをスイベルブラケット19に対して上方
に移動させる力は、ブッシュ52およびブッシュホルダー53を介してハウジング34に
伝達される。そのため、ブッシュホルダー53およびハウジング34がチルト軸線Atま
わりに上方に回動する。これらの動作によってステアリングアーム26の前端26fがス
イベルブラケット19に対して上方に移動する。そのため、ステアリングアーム26がブ
ッシュ52を上方に押す力が弱まり、ブッシュ52がブッシュホルダー53を上方に押す
力が弱まる。
【0095】
図11に示すように、船体H1を後方に推進させる推力が大きいと、ステアリングアー
ム26の前端26fをスイベルブラケット19に対して下方に移動させる力が発生する。
これにより、ブッシュ52がステアリングアーム26によって下方に押され、ブッシュホ
ルダー53がブッシュ52によって下方に押される。このとき、ブッシュ52の外面52
oがブッシュホルダー53に擦れながら、ブッシュ52を通り左右方向に延びる回動軸線
A2まわりにステアリングアーム26およびブッシュ52がブッシュホルダー53に対し
て回動する。
【0096】
さらに、ステアリングアーム26の前端26fをスイベルブラケット19に対して下方
に移動させる力が、ブッシュ52およびブッシュホルダー53を介してハウジング34に
伝達される。そのため、ブッシュホルダー53およびハウジング34がチルト軸線Atま
わりに下方に回動する。これらの動作によってステアリングアーム26の前端26fがス
イベルブラケット19に対して下方に移動する。そのため、ステアリングアーム26がブ
ッシュ52を下方に押す力が弱まり、ブッシュ52がブッシュホルダー53を下方に押す
力が弱まる。
【0097】
このように、船外機本体2が大きい推力を発生しており、ステアリングシャフト23が
スイベルブラケット19に対して前後に傾いても、ステアリングアーム26が高い圧力で
ブッシュ52に押し付けられることを防止でき、ブッシュ52が高い圧力でブッシュ52
に押し付けられることを防止できる。したがって、船外機本体2が大きい推力を発生して
いる状態で船外機本体2を操舵するときに、大きな摩擦力がステアリングアーム26、ブ
ッシュ52、およびブッシュホルダー53に加わることを防止できる。これにより、操舵
装置4から船外機本体2に効率的に操舵力を伝達できる。
【0098】
以上のように本実施形態では、ステアリングアーム26は、ステアリングシャフト23
から前方に延びており、前後方向にブッシュホルダー53に挿入されている。ブッシュ5
2は、ステアリングアーム26とブッシュホルダー53との間に介在している。ブッシュ
52の外面52oは一対の摺動部52sを含む。ブッシュ52は、少なくとも一対の摺動
部52sを介してブッシュホルダー53に保持されている。摺動部52sは、円弧の中点
と当該円弧の中心とを通る直線まわりに当該円弧を回転させることにより得られた回転体
である。
【0099】
船外機本体2のエンジン6がプロペラ11を回転させると、船体H1を前方または後方
に推進させる推力が発生する。推力の発生に伴ってステアリングアーム26の前端26f
を上方または下方に斜め後ろ方向に移動させる力が発生すると、ブッシュ52の外面52
oの一対の摺動部52sがブッシュホルダー53に摺動しながら、ブッシュ52を通り左
右方向に延びる回動軸線A2まわりにブッシュ52がブッシュホルダー53に対して回動
する。
【0100】
さらに、ステアリングアクチュエータ31のステアリングチューブ33が左右方向に移
動するのに対し、ステアリングアーム26は上下方向に延びるステアリングシャフト23
の中心線まわりに回動するので、ステアリングチューブ33を左右方向に移動させると、
ブッシュ52を通り上下方向に延びる回動軸線A1まわりにブッシュ52を回動させる力
が発生する。このとき、ブッシュ52の外面52oの一対の摺動部52sがブッシュホル
ダー53に摺動しながら、ブッシュ52が鉛直な軸線まわりにブッシュホルダー53に対
して回動する。
【0101】
このように、推力の発生に伴ってステアリングアーム26の前端26fを上方または下
方に斜め後ろ方向に移動させる力が発生すると、ブッシュ52がブッシュホルダー53に
対して回動する。同様に、ステアリングアクチュエータ31がステアリングチューブ33
を左右方向に移動させると、ブッシュ52がブッシュホルダー53に対して回動する。つ
まり、どのような軸線まわりのトルクがブッシュ52に加わったとしても、ブッシュ52
がブッシュホルダー53に対して回動し、このトルクが逃がされる。これにより、ブッシ
ュ52が高い圧力でブッシュホルダー53に押し付けられることを防止でき、ステアリン
グアクチュエータ31の力を効率的に船外機本体2に伝達できる。
【0102】
本実施形態では、船外機本体2が操舵されると、ブッシュ52は、ステアリングシャフ
ト23の中心線に直交する方向にステアリングアーム26に沿って移動する。船外機本体
2が右最大転舵位置または左最大転舵位置に配置されているときは、ブッシュ52がステ
アリングシャフト23の中心線から最も離れおり、ステアリングシャフト23の中心線か
らブッシュ52までの距離が最も長い。船外機本体2が右最大転舵位置および左最大転舵
位置の中間の原点位置に近づくと、ブッシュ52はステアリングシャフト23の中心線に
近づく。
【0103】
船外機本体2が右最大転舵位置および左最大転舵位置のいずれに配置されているときで
も、ステアリングアーム26の前端26fはブッシュ52の前方に配置されている。した
がって、船外機本体2が右最大転舵位置から左最大転舵位置までの範囲内のいずれの位置
に配置されているときでも、ステアリングアーム26はブッシュ52から前方に突出して
おり、ステアリングアーム26の前端26fはブッシュ52の前方に配置されている。
【0104】
ステアリングアーム26の前端26fがブッシュ52の中に配置されている場合、船外
機本体2が操舵されると、ブッシュ52がステアリングアーム26に沿って移動し、ステ
アリングアーム26においてブッシュ52に接触している部分の長さが変化する。したが
って、ステアリングアーム26の前端26fを常にブッシュ52の前方に位置させること
により、ステアリングアーム26とブッシュ52との接触面積を安定させることができ、
両者の間で発生する圧力の変動を抑えることができる。
【0105】
本実施形態では、ステアリングアーム26がブッシュホルダー53のアーム挿入穴54
hに挿入されている。ステアリングアクチュエータ31がステアリングチューブ33を左
右方向に移動させると、アーム挿入穴54hに対するステアリングアーム26の角度が変
化する。アーム挿入穴54hの幅、つまり、左右方向へのアーム挿入穴54hの長さは、
アーム挿入穴54hの後端に近づくにしたがって増加している。したがって、ステアリン
グチューブ33が左右方向に移動したときに、ステアリングアーム26がブッシュホルダ
ー53に接触することを防止できる。
【0106】
本実施形態では、ブッシュホルダー53が固定部材の一例であるボルトB3によってス
テアリングチューブ33のハウジング34に固定されている。ハウジング34は、ベアリ
ング44を介してステアリングアクチュエータ31のステアリングロッド32に支持され
ている。ステアリングアーム26の前端26fを上方または下方に移動させる力がブッシ
ュ52およびブッシュホルダー53を介してハウジング34に伝達されると、ハウジング
34はステアリングロッド32の中心線まわりに回動する。したがって、この力は、ブッ
シュホルダー53に対するブッシュ52の回動だけでなく、ステアリングロッド32に対
するハウジング34の回動によっても吸収される。そのため、より大きな力を吸収できる
。
【0107】
本実施形態では、ブッシュ52がステアリングチューブ33の後方に配置されており、
側面視でステアリングチューブ33に重なっていない。前述の先行技術では、ピボット部
材がピストン部材の中に配置されている。したがって、前述の先行技術に比べてステアリ
ングチューブ33の構造を簡素化できる。さらに、前述の先行技術に比べてステアリング
チューブ33を左右方向に短縮できるので、左右方向へのステアリングチューブ33の移
動範囲を広げることができ、船外機本体2の転舵角(ステアリングシャフト23の中心線
まわりの回転角)を広げることができる。
【0108】
本実施形態では、船外機本体2がチルト軸線Atまわりに上下に回動すると、ステアリ
ングチューブ33もチルト軸線Atまわりに上下に回動する。ステアリングチューブ33
が側面視でチルト軸線Atに重なっている場合、重なっていない場合と比較すると、ステ
アリングチューブ33が通過する空間の体積が小さい。したがって、船外機本体2がチル
トアップされた際に船外機本体2の一部が配置される船体H1内のスペースを減少させる
ことができる。これにより、船体H1内のスペースを有効に利用できる。
【0109】
前述の先行技術では、ステアリングシリンダがトランサムブラケットと船外機のカウル
との間に配置されているので、ステアリングシリンダが配置される空間をトランサムブラ
ケットと船外機のカウルとの間に確保する必要がある。本実施形態では、ステアリングチ
ューブ33は、側面視でクランプブラケット16のスイベル支持部18の内周面18iに
取り囲まれている。したがって、ステアリングチューブ33を配置する空間をクランプブ
ラケット16と船外機本体2のエンジンカウル12との間に設けなくてもよい。さらに、
ステアリングチューブ33がクランプブラケット16のスイベル支持部18の内周面18
i内に移動可能なので、クランプブラケット16をステアリングチューブ33の移動範囲
の側方に配置しなくてもよい。そのため、一対のクランプブラケット16が左右方向に大
型化することを抑制できる。
【0110】
船外機本体2がステアリングシャフト23の中心線まわりに左右方向に回転すると、右
または左のクランプブラケット16に船外機本体2が近づく。左右方向への一対のクラン
プブラケット16の幅が大きいと、船外機本体2がクランプブラケット16に接触するか
もしれない。そのため、これを未然に回避するために、クランプブラケット16を前後方
向に短くする、もしくは、クランプブラケット16を左右方向に薄くする必要がある。本
実施形態では、一対のクランプブラケット16の幅を抑えることができるので、このよう
な対策を行わなくてよい。
【0111】
本実施形態では、ステアリングチューブ33は、ステアリングロッド32に沿ってステ
アリングロッド32の軸方向に移動する。ステアリングロッド32が長ければ、ステアリ
ングチューブ33の移動範囲を広げることができる。ステアリングチューブ33の移動範
囲が大きければ、船外機本体2の転舵角を増やすことができる。ステアリングロッド32
は、クランプブラケット16を貫通する長さを有している。したがって、ステアリングチ
ューブ33の移動範囲を広げることができ、船外機本体2の転舵角を増やすことができる
。
【0112】
本実施形態では、チルティングシャフトに相当する筒状部21が、スイベルブラケット
19に設けられている。スイベルブラケット19は、クランプブラケット16に対して筒
状部21まわりに回転可能である。ステアリングチューブ33は、筒状部21の中にまで
移動可能である。言い換えると、クランプブラケット16に挿入されるチルティングシャ
フトが、ステアリングチューブ33を配置する空間をクランプブラケット16の中に形成
している。これにより、ステアリングチューブ33の移動範囲を確保しながら、一対のク
ランプブラケット16の幅を抑えることができる。
【0113】
他の実施形態
本発明は、前述の実施形態の内容に限定されるものではなく、種々の変更が可能である
。
例えば、操舵装置4の運動変換機構51は、ボールブッシュ52の代わりに、上下方向
に延びる円柱状のブッシュと、左右方向に延びる円柱状のブッシュとを備えていてもよい
。この場合、左右方向に延びる円柱状のブッシュが、ブッシュホルダー53に保持され、
ブッシュホルダー53とステアリングアーム26との間に配置される。
【0114】
船外機本体2が右最大転舵位置または左最大転舵位置に配置されているときに、ステア
リングアーム26の前端26fは、ブッシュ52の差し込み穴52h内に配置されていて
もよい。この場合、ステアリングアーム26の前端26fは、中間点に相当するブッシュ
52の中心(
図8において回動軸線A1が通る点)の前方に配置されていてもよいし、ブ
ッシュ52の中心よりも後方に配置されていてもよい。
【0115】
ブッシュ52は、ステアリングチューブ33の後方ではなく、ステアリングチューブ3
3の下方または上方に配置されていてもよい。
メインホルダー54のアーム挿入穴54hの幅は、アーム挿入穴54hの前端からアー
ム挿入穴54hの後端まで一定であってもよい。
操舵装置4のハウジング34は、ステアリングロッド32に対してステアリングロッド
32の中心線まわりに回転不能であってもよい。
【0116】
ハウジング34がステアリングロッド32に対して回らない場合でも、推力の発生に伴
ってステアリングアーム26の前端26fを上方または下方に斜め後ろ方向に移動させる
力が発生すると、ブッシュ52がブッシュホルダー53に摺動しながら、ブッシュ52を
通り左右方向に延びる回動軸線A2まわりにブッシュ52がブッシュホルダー53に対し
て回動する。したがって、ブッシュ52が高い圧力でブッシュホルダー53に押し付けら
れることを防止できる。
【0117】
ステアリングチューブ33およびステアリングロッド32の中心線は、チルト軸線At
上に配置されていなくてもよい。この場合、ステアリングチューブ33およびステアリン
グロッド32は、側面視においてチルト軸線Atに重なっていても重なっていなくてもよ
い。
ステアリングチューブ33は、スイベルブラケット19の筒状部21の中に進入せずに
、スイベルブラケット19の収容部20内で左右方向に往復してもよい。
【0118】
ステアリングアクチュエータ31は、スイベルブラケット19の収容部20の外に配置
されていてもよい。この場合、ステアリングロッド32は、クランプブラケット16を左
右方向に貫通していなくてもよい。
クランプブラケット16のスイベル支持部18の内周面18i内に挿入される筒状部2
1は、スイベルブラケット19の収容部20とは別の部材であってもよい。この場合、ス
イベルブラケット19に対する筒状部21の固定方法は、圧入、溶接、およびボルトによ
る締結のいずれかであってもよいし、これら以外の方法であってもよい。
【0119】
前述の全ての構成の2つ以上が組み合わされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能で
ある。
【符号の説明】
【0120】
1:船外機、2:船外機本体、3:懸架装置、4:操舵装置、6:エンジン、11:プ
ロペラ、16:クランプブラケット、16i:クランプブラケットの内側面、17:クラ
ンプブラケットの取付部、18:クランプブラケットのスイベル支持部、18i:スイベ
ル支持部の内周面、19:スイベルブラケット、21:スイベルブラケットの筒状部、2
1i:筒状部の内周面、23:ステアリングシャフト、26:ステアリングアーム、26
o:ステアリングアームの外周面、26f:ステアリングアームの前端、31:ステアリ
ングアクチュエータ、32:ステアリングロッド、33:ステアリングチューブ、34:
ハウジング、35:メインチューブ、36:センターボックス、37:アッパーカバー、
38:エンドプレート、39:電動モータ、40:減速装置、41:センターシャフト、
42:円柱ローラ、43:インナーチューブ、44:ベアリング、44i:内輪、44o
:外輪、44r:回転要素、51:運動変換機構、52:ブッシュ、52o:ブッシュの
外面、52s:ブッシュの摺動部、52h:ブッシュの差し込み穴、52i:ブッシュの
内周面、52g:ブッシュの嵌合溝、53:ブッシュホルダー、54:メインホルダー、
54s:メインホルダーの下支持面、54h:メインホルダーのアーム挿入穴、54i:
アーム挿入穴の内周面、55:インナーホルダー、55s:インナーホルダーの上支持面
、As:ステアリング軸線、B3:ボルト、H1:船体