(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】建築用シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/84 20060101AFI20220815BHJP
【FI】
E06B9/84 C
(21)【出願番号】P 2018111743
(22)【出願日】2018-06-12
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】泉澤 永士
(72)【発明者】
【氏名】岩階 章
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-102949(JP,A)
【文献】実開平04-008693(JP,U)
【文献】特開2015-180804(JP,A)
【文献】特開2001-207752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
E06B 9/56 - 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に立設するガイドレールの案内溝に案内されて開閉作動するシャッターカーテンを備え、該シャッターカーテン最下端スラットに設けられる座板を、該最下端スラットに一連状に連結される上座板部と、該上座板部に上下動自在に設けられる下座板部とで構成し、上座板部に対する下座板部の上動を受けて障害物検知をするよう構成した建築用シャッター装置において、
前記両座板部を、左右両端部がガイドレールの案内溝には挿入しない左右長さに設定する一方、
前記上座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する振れ止め部材が取り付けられ、
前記下座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する延長部材が取り付けられたものとして構成するにあたり、
前記振れ止め部材は、延長部材よりも左右方向外方に向けて長くなっていて、延長部材と共に該案内溝に挿入するものであって、
該振れ止め部材は、延長部材が上下方向に出入り自在に嵌入する嵌入部と、該嵌入部の左右方向外側において前後方向に連結された連結部とを備え
、
下座板部が上座板部に対して上動した状態では、振れ止め部材の下端縁部と、延長部材の下端縁部とが面一状になることを特徴とする建築用シャッター装置。
【請求項2】
左右に立設するガイドレールの案内溝に案内されて開閉作動するシャッターカーテンを備え、該シャッターカーテン最下端スラットに設けられる座板を、該最下端スラットに一連状に連結される上座板部と、該上座板部に上下動自在に設けられる下座板部とで構成し、上座板部に対する下座板部の上動を受けて障害物検知をするよう構成した建築用シャッター装置において、
前記両座板部を、左右両端部がガイドレールの案内溝には挿入しない左右長さに設定する一方、
前記上座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する振れ止め部材が取り付けられ、
前記下座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する延長部材が取り付けられたものとして構成するにあたり、
前記振れ止め部材は、延長部材よりも左右方向外方に向けて長くなっていて、延長部材と共に該案内溝に挿入するものであって、
該振れ止め部材は、延長部材が上下方向に出入り自在に嵌入する嵌入部と、該嵌入部の左右方向外側において前後方向に連結された連結部とを備え、
前記振れ止め部材における嵌入部の下端縁部は、前後方向内側に向いた折り返し部に形成されていることを特徴とする建築用シャッター装置。
【請求項3】
左右に立設するガイドレールの案内溝に案内されて開閉作動するシャッターカーテンを備え、該シャッターカーテン最下端スラットに設けられる座板を、該最下端スラットに一連状に連結される上座板部と、該上座板部に上下動自在に設けられる下座板部とで構成し、上座板部に対する下座板部の上動を受けて障害物検知をするよう構成した建築用シャッター装置において、
前記両座板部を、左右両端部がガイドレールの案内溝には挿入しない左右長さに設定する一方、
前記上座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する振れ止め部材が取り付けられ、
前記下座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する延長部材が取り付けられたものとして構成するにあたり、
前記振れ止め部材は、延長部材よりも左右方向外方に向けて長くなっていて、延長部材と共に該案内溝に挿入するものであって、
該振れ止め部材は、延長部材が上下方向に出入り自在に嵌入する嵌入部と、該嵌入部の左右方向外側において前後方向に連結された連結部とを備え、
延長部材には、下座板部の左右方向外端縁を塞ぐ下座板部カバーが一体に形成されていることを特徴とする建築用シャッター装置。
【請求項4】
前記上座板部の左右方向外端縁部には、該外端縁部を塞ぐ上座板部カバーが設けられ、下座板部カバーには、下座板部が上動するとき上座板部カバーの内側に入り込むよう段差状部が形成されていることを特徴とする請求項
3記載の建築用シャッター装置。
【請求項5】
前記振れ止め部材の下端縁部と延長部材の上端縁部との間には、隙間が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一記載の建築用シャッター装置。
【請求項6】
延長部材は、断面凵字状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至
5の何れか一記載の建築用シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の前後方向に通過可能な出入り口等の開口部に建て付けられる障害物検知手段を備えた建築用シャッター装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築用シャッター装置の障害物検知装置として、シャッターカーテンの最下端に上座板部を連結し、該上座板部に対して上下動自在な状態で下座板部を取り付け、該上座板部に対して下座板部が上動することを障害物検知作動とし、これを障害物検知センサが検知をする構成にしたものが提唱されている。
このような障害物検知装置では、該座板の前後幅はガイドレールにおけるレール溝の溝幅よりも幅広であるため、左右幅はシャッターカーテンの左右幅よりも幅狭のものとしてレール溝には入らないよう構成され、レール際やレール溝内における障害物検知をすることが難しい。そこで、下座板部に延長部材を、該下座板部の左右端から左右方向外方に向けて突出した状態で一体的に取り付けることで、延長部材がレール溝内にまで挿入された状態とし、レール溝内において障害物が該延長部材に当接すると、延長部材と共に下座板部が上動して、検知スイッチを作動させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
そしてこのものでは、上座板部に振れ止め部材が、左右端から左右方向外方に向けて突出した状態で一体的に取り付けられたものとして、該振れ止め部材をレール溝内に挿入された状態としている。この場合に、振れ止め部材の下面を開口させた冂字状のものとして構成し、下座板部の延長部材が障害物に当接して振れ止め部材に対して上動すると、該延長部材が振れ止め部材の開口から振れ止め部材内部に挿入すると共に、延長部材と共に上動した下座板部が障害物検知センサの検知作動をさせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこのような障害物検知装置において、振れ止め部材は、全閉時、床面に接地することもあるため強度的な点で考慮しなければならないが、前記従来の振れ止め部材は、下端縁を開口した冂字状となるように構成したものであるため強度が弱いものとなってしまい、延長部材やガイドレールと接触すると開口が開いてしまったり、変形したりするという惧れがあり、ここに本発明が解決せんとする課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、左右に立設するガイドレールの案内溝に案内されて開閉作動するシャッターカーテンを備え、該シャッターカーテン最下端スラットに設けられる座板を、該最下端スラットに一連状に連結される上座板部と、該上座板部に上下動自在に設けられる下座板部とで構成し、上座板部に対する下座板部の上動を受けて障害物検知をするよう構成した建築用シャッター装置において、前記両座板部を、左右両端部がガイドレールの案内溝には挿入しない左右長さに設定する一方、前記上座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する振れ止め部材が取り付けられ、前記下座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する延長部材が取り付けられたものとして構成するにあたり、前記振れ止め部材は、延長部材よりも左右方向外方に向けて長くなっていて、延長部材と共に該案内溝に挿入するものであって、該振れ止め部材は、延長部材が上下方向に出入り自在に嵌入する嵌入部と、該嵌入部の左右方向外側において前後方向に連結された連結部とを備え、下座板部が上座板部に対して上動した状態では、振れ止め部材の下端縁部と、延長部材の下端縁部とが面一状になることを特徴とする建築用シャッター装置である。
請求項2の発明は、左右に立設するガイドレールの案内溝に案内されて開閉作動するシャッターカーテンを備え、該シャッターカーテン最下端スラットに設けられる座板を、該最下端スラットに一連状に連結される上座板部と、該上座板部に上下動自在に設けられる下座板部とで構成し、上座板部に対する下座板部の上動を受けて障害物検知をするよう構成した建築用シャッター装置において、前記両座板部を、左右両端部がガイドレールの案内溝には挿入しない左右長さに設定する一方、前記上座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する振れ止め部材が取り付けられ、前記下座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する延長部材が取り付けられたものとして構成するにあたり、前記振れ止め部材は、延長部材よりも左右方向外方に向けて長くなっていて、延長部材と共に該案内溝に挿入するものであって、該振れ止め部材は、延長部材が上下方向に出入り自在に嵌入する嵌入部と、該嵌入部の左右方向外側において前後方向に連結された連結部とを備え、前記振れ止め部材における嵌入部の下端縁部は、前後方向内側に向いた折り返し部に形成されていることを特徴とする建築用シャッター装置である。
請求項3の発明は、左右に立設するガイドレールの案内溝に案内されて開閉作動するシャッターカーテンを備え、該シャッターカーテン最下端スラットに設けられる座板を、該最下端スラットに一連状に連結される上座板部と、該上座板部に上下動自在に設けられる下座板部とで構成し、上座板部に対する下座板部の上動を受けて障害物検知をするよう構成した建築用シャッター装置において、前記両座板部を、左右両端部がガイドレールの案内溝には挿入しない左右長さに設定する一方、前記上座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する振れ止め部材が取り付けられ、前記下座板部の左右各端部には、ガイドレールの案内溝内に挿入する延長部材が取り付けられたものとして構成するにあたり、前記振れ止め部材は、延長部材よりも左右方向外方に向けて長くなっていて、延長部材と共に該案内溝に挿入するものであって、該振れ止め部材は、延長部材が上下方向に出入り自在に嵌入する嵌入部と、該嵌入部の左右方向外側において前後方向に連結された連結部とを備え、延長部材には、下座板部の左右方向外端縁を塞ぐ下座板部カバーが一体に形成されていることを特徴とする建築用シャッター装置である。
請求項4の発明は、前記上座板部の左右方向外端縁部には、該外端縁部を塞ぐ上座板部カバーが設けられ、下座板部カバーには、下座板部が上動するとき上座板部カバーの内側に入り込むよう段差状部が形成されていることを特徴とする請求項3記載の建築用シャッター装置である。
請求項5の発明は、前記振れ止め部材の下端縁部と延長部材の上端縁部との間には、隙間が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一記載の建築用シャッター装置である。
請求項6の発明は、延長部材は、断面凵字状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一記載の建築用シャッター装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、振れ止め部材の強度を十分なものとすることができ、しかも、ガイドレール際やガイドレール案内溝内における障害物検知を確実に行うことができる。さらに、振れ止め部材と延長部材の下端縁部が面一状となることで、隙間を塞ぐことができ、外観上も優れたものとすることができる。
請求項2の発明とすることにより、振れ止め部材の強度を十分なものとすることができ、しかも、ガイドレール際やガイドレール案内溝内における障害物検知を確実に行うことができる。さらに、折返し片部を形成することで、嵌入部の下端縁部位がガイドレール案内溝内をスムーズに上下動することができる。
請求項3の発明とすることにより、振れ止め部材の強度を十分なものとすることができ、しかも、ガイドレール際やガイドレール案内溝内における障害物検知を確実に行うことができる。さらに、部品点数の削減と作業の効率化を図ることができる。
請求項4の発明とすることにより、上下座板部の左右方向の位置ズレを規制することができるだけでなく、下座板部の上座板部に対する上動をスムーズに案内することができる。
請求項5の発明とすることにより、下座板部や延長部材が障害物に当接して傾斜したような場合であっても、スムーズに上動することができる。
請求項6の発明とすることにより、延長部材の強度を十分なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】座板の振れ止め部材部位の拡大正面図である。
【
図5】座板の振れ止め部材部位の拡大平面図である。
【
図6】(A)(B)(C)(D)は振れ止め部材の左側面図、正面図、右側面図、底面図である。
【
図7】(A)(B)は振れ止め部材の斜視図、展開図である。
【
図8】(A)(B)(C)(D)は下座板部カバー及び延長部材の平面図、左側面図、正面図、右側面図である。
【
図9】(A)(B)は下座板部カバー及び延長部材が振れ止め部材に対して上下動する様子を示す斜視図である。
【
図10】(A)(B)は下座板部カバー及び延長部材が振れ止め部材に対して上下動する様子を示す斜視図である。
【
図11】(A)(B)(C)は下座板部カバー及び延長部材が振れ止め部材に対して上動する様子を示す正面図及び側面図である。
【
図12】(A)(B)は第二の実施の形態における振れ止め部材の斜視図、展開図である。
【
図13】(A)(B)は第二の実施の形態における下座板部カバー及び延長部材が振れ止め部材に対して上下動する様子を示す斜視図である。
【
図14】(A)(B)(C)は参考例における座板の振れ止め部材部位の拡大平面図、正面図、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の第一の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は前後方向に通過可能な開口部の開閉をするため設けられる建築用シャッター装置(建築用開閉装置)であって、該建築用シャッター装置1は、開口部の左右両側に設けられるガイドレール2、該ガイドレール2に上下(昇降)案内移動されることで開口部の開閉をするシャッターカーテン(開閉体)3、開口部の上端部に設けられ、シャッターカーテン3が巻装される巻取りドラム4、巻取りドラム4の正逆駆動をする電動式の開閉機5、開閉機5の駆動制御をする制御部6等の各種の部材装置を備えて構成されること等は何れも従来通りである。尚、前後の方向性についての定義は、開口部を通常に通過する方向を前後方向とし、開口部を基準として手前側を「前」、反対側(向こう側、手先側)を「後」と前後の定義を便宜上しているが、これに限定されないものであることは言うまでもない。
【0009】
前後シャッターカーテン3の最下端部には、ガイドレール2の案内溝2aには挿入しない長さに設定される左右方向に長い座板7が設けられるが、該座板7は、シャッターカーテン3の最下端スラット3aに連結される(設けられる)上座板部8と、該上座板部8に対して上下動自在に設けられる下座板部9と、これら上下座板部8、9間に介装される中間検知部材10と、上座板部8と中間検知部材10とのあいだに配される状態で上座板部8に設けられる障害物検知センサ11とを備えて構成されている。
【0010】
前記上座板部8は下側(下端縁部)が開口したものであって、天井側の上片部8aと前後両側の側片部8bとを備えた冂形状に形成されるが、そのうちの上片部8aは、本実施の形態では、上下方向を向いた前後の段差片部8cをあいだに介する状態で前後方向中央(中間)部位が高くなった第一上片部8dと、該第一上片部8dよりも低い状態で前後に配される第二上片部8eとを備えた凸形状に形成されるが、第一上片部8dの前後方向中央(中間)部位には上方に向けて連結片部8fが突設形成されている。そして上座板部8は、連結片部8fが最下端スラット3aに締結金具であるボルト3bを介して固定されている。
さらに前記側片部8bは、第二上片部8eの前後方向外端縁から垂下状に設けられるが、該側片部8bの下端部には、前後方向に向けて水平状に突出する水平片部8gが突出形成されている。そして該水平片部8gのうち、反対側(対向する側)の側片部8b側に向けて延出する部位は、後述するように下座板部9受止め係止するための係止受け部8hとなっている。
【0011】
一方、下座板部9は、上側が開口したものであって、底側の下片部9aと、該下片部9aの前後方向両端縁から起立上に設けられる前後の側片部9bとを備えることで凹陥状に形成されたものであるが、側片部9bは、下片部9aの前後両端縁部から立設する下側の第一側片部9cと、該第一側片部9cの上端部から前後方向内側に向くよう形成された段差片部9dと、該段差片部9dの前後方向内端部から上方に向けて形成された第二側片部9eと、該第二側片部9eの上端部から前後方向外方に向けて水平状に形成された上片部9fとを備えたものとして形成され、本実施の形態においては前後の第一側片部9c間、及び第二側片部9e間に上下方向に続く状態で凹陥状のスペースSが形成されている。
【0012】
そして下座板部9は、前記上座板部係止受け部8hの前後方向内端に第二側片部9eが遊嵌状に(前後方向に間隙(隙間)を存する状態で)内嵌することにより、上片部9fが係止受け部8hの上面に係止する位置を下限とし、段差片部9dが係止受け片8hの下面に当接する位置を上限として上下移動自在に構成されているが、該下座板部9は、前後両上片部9fが上座板部8の前後両係止受け部8hに受止め係止された状態が自然の下動姿勢となっており、これによって上片部9fは、上座板部8に対して下座板部9を係止するための係止部を構成している。
【0013】
そして、シャッターカーテン3が下降している開口部の閉鎖過程において、下座板部9に障害物が下側から当接することで、該下座板部9は上座板部8に対して上動する(持ち上げられる)ことになり、これを受けて中間検知部材10が揺動して、障害物検知センサ11が非検知状態から検知状態に切換わる(スイッチ切換えされる)ように設定されている。
【0014】
次に、座板7の左右方向外端縁部分について説明する。
上座板部8の左右方向外端縁部は、該上座板部8の外端縁部と略同形状(凸形状)をした面部12aを有する上座板部カバー12を取り付けることで塞がれている。該上座板部カバー12は、面部12aから、上座板部8の側片部8bの内側に挿入される第一取付片部12bと、該第一取付片部12bの上端から内面側に向けてL字状に折曲形成され、第二上片部8eの内面側に挿入される第二取付片部12cと、上座板部第一上片部8dの下面側に挿入される第三取付片部12dとが左右方向内方に向けて延出形成されている。そして、各取付片部12b、12c、12dを上座板部8内に挿入した状態で、第二取付片部12cと上座板部第二上片部8eとを螺子13によって螺子止め固定することで上座板部カバー12は上座板部8に取り付けられる。
【0015】
さらに、上座板部8の左右方向外端縁部からは、左右方向外方(ガイドレール2の溝奥側)に向けて突出するように振れ止め部材14が取り付けられる。
該振れ止め部材14は、金属製の板材を折曲して形成したものであって、一枚状の板材を、底面部14aと、該底面部14aの前後両端から上方に延出する一対の側面部14bと、該側面部14bの上端縁から前後方向内方に向いた前後一対の上面部14cとを有するよう折曲形成することで角筒状の筒部14dが形成されたものとなっており、前記上面部14cの内端縁から上方に向けて取付片部14eがさらに折曲形成されているが、さらに一方の取付片部14eの左右方向内側には延長片部14fが面一状に形成されており、該延長片部14fに形成される長孔14gで、前述したボルト3bを介して最下端スラット3aおよび上座板部8の連結片部8fに共締めすることで振れ止め材14は上座板部8に取り付けられている。
しかも底面部14aは、左右方向内部位が開口した状態になっていて後述する嵌入部14hが形成され、該嵌入部14hの左右方向外側部位は、前後側面部14b同士が連結された連結部14iになっている。
なお、側面部14bの嵌入部14hに対応する部位の下端縁部は、前後方向内側に向けて折り返し折曲される折返し片部14jを形成した折曲部14kとなっている。
【0016】
一方、下座板部9の左右方向外端縁は、側面視凸形状をした面材からなる下座板部カバー16を取り付けることで塞がれている。該下座板部カバー16は、下座板部9の上半側を塞ぐ上半部16aと下半部側を塞ぐ幅広の下半部16bとを備えて構成されるが、上半部16aは、上下方向中間部に段差状部16cを有して、上側の第一上半部16a1、下側の第二上半部16a2で構成されているが、下半部16bと面一状の第二上半部16a2から、該段差状部16cを存して、下半部16bに対して左右方向内側に偏倚した状態の第一上半部16a1となっている。また、下半部16bには、前後方向中央に位置して前後一対の切欠き部16dが形成されており、該切欠き部16dに後述するよう延長部材17が下側から挿入される構成となっている。
【0017】
次に、延長部材17について説明する。延長部材17は延長部17aが左右方向外側に突出するよう形成されるが、該延長部17aは、前後一対の側面部17bと底面部17cとを備えることで上面が開口した凵字状に構成されている。そして、側面部17bの左右方向内側端からは、それぞれ前後方向外方に向けてL字状に折曲された状態で延出する延出部17dと、該延出部17dからさらに左右方向内方に向けてL字状に折曲成形される係止部17eとが形成されている。
そして、延長部材17は、延長部17aの前後側面部17bを下座板部カバー16の切り欠き部16dに挿入した状態で、延長部材17の延出部17dの左右方向外側面と下座板部カバー16の左右方向内側面とを溶着等の固定手段を介して接合することで一体化されている。
【0018】
このように下座板部カバー16と一体化された延長部材17は、係止部17eが下座板部第一側片部9c内に挿入された状態で、該係止部17eと下座板部第一側片部9cとをリベット18によって止め固定することで下座板部カバー16と延長部材17は下座板部9に取り付けられる。
【0019】
次に、座板7に、上座板部8には、上座板部カバー12と振れ止め部材14が、下座板部9には、下座板部カバー16と延長部材17がそれぞれ取り付けられた状態のシャッターカーテン3について、開閉作動におけるこれら部材の動きについて説明する。
まず、シャッターカーテン3の全開時において、
図9(A)、
図10(A)、
図11(A)に示すように、振れ止め部材14の下端縁部である底面部14aと延長部材側面部17bの上端縁部とのあいだは、下座板部9が上座板部8に対して垂下しているため、隙間S1を存した状態となっている。また、振れ止め部材嵌入部14hの左右長さは、延長部材延長部17aの左右長さよりも長いものとして設定されると共に、振れ止め部材14は、延長部材延長部17aと共にガイドレール案内溝2a内に挿入されている。
この状態から閉鎖方向へシャッターカーテン3を下降させたとき、延長部材底面部17cに障害物が当接すると、
図11(B)に示すように、延長部材17は下座板部9と共に上座板部8に対して上動し始める。このとき、該延長部材の延長部17aは、振れ止め部材嵌入部14h内に嵌入することになると共に、下座板部カバー16の第一上半部16a1は、段差状部16cによって左右方向内方に偏倚しているため、上座板部カバー12にガイドされながら、下座板部カバー上半部16aは該上座板部カバー面部12aの内面に挿入されることになる。
そして、
図9(B)、
図10(B)、
図11(C)に示すように、下座板部9が上座板部8に対して上動し終わると、延長部材17の下端縁部である底面部17cは、振れ止め部材の下端縁部である底面部14a(連結部14i)と面一状となるように構成されている。
このとき、振れ止め部材14は床面と当接することになるが、側面部14bの下端縁は折返し片部14jが折曲形成された折曲部14kとなっているため、シャッターカーテン3を上下動させたときに、該下端縁部位がガイドレール案内溝2a内で引っ掛かることなくスムーズに上下動することができ、しかも、該下端縁部位の強度を確保することができるように構成されている。
【0020】
なお、下座板部9が障害物に当接した場合についても、同様に延長部材の延長部17aが振れ止め部材14の内部に進入する。
また、シャッターカーテン3が全閉して下座板部9並びに延長部17aが床面に当接した場合も、同様に延長部材の延長部17aが振れ止め部材14の嵌入部hに進入し、全閉となったときに延長部材17の下端縁部である底面部17cは、振れ止め部材の下端縁部である底面部14a(連結部14i)と面一状となるように構成されている点も同様である。
【0021】
一方、
図9(B)、
図10(B)、
図11(C)に示す全閉状態のシャッターカーテン3が上昇して開放状態となる場合、シャッターカーテン3の上昇に伴って上座板部8が上昇するが(
図11(B))、下座板部9は上座板部9に対して相対的に下動して、上座板部8に対して垂下した状態となる(
図9(A)、
図10(A)、
図11(A))。このとき、延長部材17は、延長部17aが振れ止め部材嵌入部14hから下方向に抜け出ることとなり、振れ止め部材14の下端縁部である底面部14aと延長部材側面部17bの上端縁部とのあいだに隙間S1を存した状態となる。
このように、延長部材嵌入部14hは、延長部材延長部17aが上下方向に出入り自在に嵌入するものとして構成されていて、延長部材17が振れ止め部材14に対して上動すると延長部17aは上動して振れ止め部材嵌入部14h内に嵌入し、下動すると延長部材嵌入部14hから抜け出るように構成されている。
【0022】
叙述のごとく本発明が実施された第一の実施の形態において、振れ止め部材14は、延長部材17よりも左右方向外方に向けて長くなっていて、延長部材17と共にガイドレール案内溝2aに挿入するものであって、該振れ止め部材14は、延長部材17が上下方向に出入り自在に嵌入する嵌入部14hと、該嵌入部14hの左右方向外側において前後方向に連結された連結部14iとを備えている。よって、延長部材17の左右方向外方に、振れ止め部材連結部14iが備えられているため、延長部材17が嵌入するべく底面が開口した嵌入部14hが設けられているものでありながら、振れ止め部材14の強度が十分なものとなる。そして、ガイドレール案内溝2a内に振れ止め部材14と延長部材17が挿入されることで、ガイドレール際やガイドレール案内溝2a内における障害物検知も確実に行うことができる。
【0023】
また、振れ止め部材14の下端縁部(底面部14a)と延長部材延長部17aの上端縁部との間には、隙間S1が設けられているため、下座板部9と延長部材17が障害物に当接して、傾斜した状態で上動したような場合であっても、抵抗にならずにスムーズに延長部材17が振れ止め部材嵌入部14h内に進入することができる。
さらに、下座板部9が上座板部8に対して上動した状態では、振れ止め部材14の底面部14aと、延長部材底面部17cとが面一状になるため、前記隙間S1を塞いだ状態とすることができる。
さらにまた、振れ止め部材嵌入部14hの下端縁部には、前後方向内側に向いた折返し片部14jが形成されており、これによって、シャッターカーテン3を上下動させたときに、該下端縁部位がガイドレール案内溝2a内で引っ掛かることなくスムーズに上下動することができ、しかも、該嵌入部14hを含めた振れ止め部材14の強度を確保することができる。
【0024】
また、延長部材17には、下座板部9の左右方向外端縁を塞ぐ下座板部カバー16が一体に形成されているため、設置時における部品点数を削減することができる。
さらに、前記上座板部8の左右方向外端縁部には、該外端縁部を塞ぐ上座板部カバー12が設けられ、前記下座板部カバー16には、下座板部9が上動するとき上座板部カバー12の内側に入り込むよう段差状部16cが形成されている。これにより、上下座板部8、9の左右方向の位置ズレを規制することができると共に、前記段差状部16cによって下座板部9の上動がスムーズに案内されることになる。
さらにまた、延長部材17は、閉鎖時に床面に当接したり、障害物に当接したりするものであるため、強度が必要となるが、本実施の形態の延長部材延長部17aは、上面が開口した断面凵字状に形成されることにより強度が十分に確保されたものとなっている。
【0025】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されるものでないことは勿論であって、振れ止め部材の形状を
図12、13に示す第二の実施の形態の振れ止め部材20のようにすることもできる。
該振れ止め部材20は、第一の実施の形態と金属製の板材を折曲して形成したものであって、一枚状の板材を、左右外側端面部20aと、該左右外側端面部20aの前後両端から左右方向内側に延出する一対の側面部20bと、該側面部20bの上端縁から前後方向内方に向いた前後一対の上面部20cと、該上面部20cの内端縁から上方に向けて取付片部20dと、側面部20bの下端縁部は、前後方向内側に向けて折り返される折返し片部20eとが折曲形成されているが、さらに一方の取付片部20dの左右方向内側には長孔20gが形成される延長片部20fが面一状に形成されている。そして、本実施の形態において、左右外端面部20aが連結部の役割を果たしている。
このものにおいて、下座板部カバーは第一の実施の形態のものと同様の下座板部カバー16を用いることができ、延長部材についても同様のものを用いることもできるが、延長部21aを左右外側端面部20a位置まで延長させた延長部材21とすることができる。このようにすることで、ガイドレール案内溝2aの深い部分まで延長部材21が挿入されることになって、より深い部分まで障害物検知をすることが可能となる。
【0026】
また、参考例として示す
図14のように、パイプ式のシャッター装置の座板30において、同様に上座板部31、下座板部32としたものについても、第一の実施の形態の上座板部カバー12、下座板部カバー16と延長部材17を一体化したもの、を用いることができる。一方、このものにおいて、振れ止め部材33は、嵌入部を備えず、下座板部32が上座板部31に対して上動した場合において、延長部17aの上端縁部と振れ止め部材33の底面部33aとが対向した状態となるよう構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、建造物の前後方向に通過可能な出入り口等の開口部に建て付けられる障害物検知手段を備えた建築用シャッター装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 建築用シャッター装置
2 ガイドレール
2a 案内溝
3 シャッターカーテン
3a 最下端スラット
7 座板
8 上座板部
9 下座板部
12 上座板部カバー
14 振れ止め部材
14h 嵌入部
14i 連結部
14j 折返し片部
16 下座板部カバー
16a 上半部
16b 下半部
16c 段差状部
17 延長部材
17a 延長部
17b 側面部
17c 底面部