(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】止水パネルの保護構造
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20220815BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
(21)【出願番号】P 2018121533
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】高井 直人
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐三
(72)【発明者】
【氏名】辻 健夫
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-110458(JP,A)
【文献】特開2016-28182(JP,A)
【文献】特開2008-239186(JP,A)
【文献】特開2002-46779(JP,A)
【文献】実開昭50-95386(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00-5/20
E04H 9/00-9/16
E04C 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面部と第2面部を備えたパネル本体と、前記パネル本体の周囲
の三方に設けた水密部材と、を備えた止水パネルの保護構造であって、
前記水密部材は、前記パネル本体の下面に幅方向に亘って設けた第1水密部分と、前記パネル本体の第2面部の幅方向両端部位に高さ方向に亘って設けた第2水密部分及び第3水密部分と、からなり、
前記止水パネルには、前記3つの水密部分の少なくとも1つを覆うように少なくとも1つの保護カバーが着脱可能に装着されており、
前記保護カバーは、対向状の第1部と第2部と、第3部と、を有しており、
前記第1部及び前記第2部は、前記止水パネルとの当接部を備えており、
前記保護カバーは弾性を有しており、止水パネルの幅方向端部を挟持するように作用する当該保護カバーの弾性力及び当接部と前記止水パネルとの摩擦力によって、前記第1部と前記第2部との間に前記止水パネルを挟むように当該止水パネルに装着されており、
前記第1部の当接部及び前記第2部の当接部が前記止水パネルに当接した状態で、前記保護カバーの内面と当該保護カバーに覆われた水密部分は離間しており、
前記止水パネルの載置姿勢において、前記水密部材は前記保護カバーの下端の高さ位置よりも上方に位置して
おり、
前記パネル本体の第2面部には、前記第2水密部分、前記第3水密部分に隣接して左右の当接部材が突設されており、
前記保護カバーは、前記第2水密部分あるいは/および前記第3水密部分を覆う側方保護カバーを含み、
前記側方保護カバーの前記第2部の当接部は前記第2面部に突設した前記当接部材の見付面に当接する見付当接部と、前記当接部材の見込面に当接する見込当接部と、からなり、前記側方保護カバーの前記第3部は、前記パネル本体の見込面との当接部を備えており、
前記側方保護カバーの前記第1部の前記当接部はパネル本体の前記第1面部に当接しており、前記第2部の前記見付当接部は前記パネル本体の前記第2面部に突設した前記当接部材の見付面に当接しており、前記第2部の前記見込当接部は前記当接部材の見込面に当接しており、前記第3部の前記当接部は前記パネル本体の見込面に当接している、
止水パネルの保護構造。
【請求項2】
前記側方保護カバーの前記第2部の下方部位には螺子が設けてあり、当該側方保護カバーが前記止水パネルに装着された状態において、前記螺子の軸部が前記当接部材の下面に下方から当接している、
請求項1に記載の止水パネルの保護構造。
【請求項3】
第1面部と第2面部を備えたパネル本体と、前記パネル本体の周囲
の三方に設けた水密部材と、を備えた止水パネルの保護構造であって、
前記水密部材は、前記パネル本体の下面に幅方向に亘って設けた第1水密部分と、前記パネル本体の第2面部の幅方向両端部位に高さ方向に亘って設けた第2水密部分及び第3水密部分と、からなり、
前記止水パネルには、前記3つの水密部分の少なくとも1つを覆うように少なくとも1つの保護カバーが着脱可能に装着されており、
前記保護カバーは、対向状の第1部と第2部と、第3部と、を有しており、
前記第1部及び前記第2部は、前記止水パネルとの当接部を備えており、
前記保護カバーは弾性を有しており、止水パネルの幅方向端部を挟持するように作用する当該保護カバーの弾性力及び当接部と前記止水パネルとの摩擦力によって、前記第1部と前記第2部との間に前記止水パネルを挟むように当該止水パネルに装着されており、
前記第1部の当接部及び前記第2部の当接部が前記止水パネルに当接した状態で、前記保護カバーの内面と当該保護カバーに覆われた水密部分は離間しており、
前記止水パネルの載置姿勢において、前記水密部材は前記保護カバーの下端の高さ位置よりも上方に位置して
おり、
前記保護カバーは、前記第1水密部分を覆う下方保護カバーを含み、
前記下方保護カバーの前記第1部の内面には、当該下方保護カバーの長さ方向に延びる突起が形成されており、前記第1部の前記内面には、前記突起の上方に位置して係合突部が形成されており、
前記下方保護カバーの前記第2部の内面には、当該下方保護カバーの長さ方向に延びる突起が形成されており、
前記下方保護カバーの前記第1部の前記突起が前記第1部の前記当接部としてパネル本体の第1面部の下端部位に下方から当接し、
前記下方保護カバーの前記第2部の前記突起が前記第2部の前記当接部としてパネル本体の第2面部の下端部位に下方から当接し、
前記パネル本体の前記第1面部の下方部位には前記下端部位の上方に位置して係合突部が形成されており、前記下方保護カバーの前記第1部の内面の前記係合突部が、前記パネル本体の前記第1面部の下方部位に形成した前記係合突部と係合しており、
前記下方保護カバーの前記第2部の内面の前記突起の上側に位置する部位が、前記パネル本体の前記第2面部の下方部位に当接している、
止水パネルの保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水パネルの保護構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
台風等による集中豪雨や局所的な豪雨(いわゆるゲリラ豪雨)が発生した場合等の増水時に、建物開口部の室外側の下方部位に取り付けて室内への浸水を防止する止水パネル(いわば防水板ないし止水板)が提案されている(特許文献1)。止水パネルは、パネルの幅方向両端部位に高さ方向に亘って設けた左右の側方水密部材、及び、パネル下面に幅方向に亘って設けた下方水密部材を備え、下方水密部材を床面に圧接し、側方水密部材を建物開口部の左右の縦枠の室外側見付面に圧接した状態で、建物開口部の室外側下方部位に取り付けることで、室内への浸水を防ぐものである。
【0003】
止水パネルは、工場で製作された後、梱包されて現場に搬入され、増水時に備えて保管されるが、搬送時や保管時に水密部材がダメージを受けてしまうと、設置時における防水性能の低下を招くおそれがあり、肝心な時に所望の防水性能を発揮できないおそれがある。特に、水密部材はゴム部材であるため、搬送時における振動や衝撃、あるいは、荷扱いによって、止水パネルの水密部材が梱包材等と接触してダメージを受けるおそれがあり、また、止水パネルの保管状態が悪い場合(例えば、水密部材が潰れた状態で長期間保管されているような場合)に、水密部材に変形や亀裂が生じたり、密着部(例えば、側方水密部材の端部と下方水密部材の端部の密着部)が剥離してしまうおそれがある。また、止水パネルを収納袋に収納して保管するような場合には、止水パネルの収納袋への収納時や取り出し時に、水密部材が袋と接触してダメージを受けるおそれがある。
【0004】
特許文献2には、止水板の収納具が開示されているが、収納具は壁や自立型スタンドに固定された状態で使用されることから、止水板を収納した状態での可搬性が無く、止水板の収納姿勢及び位置が限定されてしまう点において融通性に欠き、また、この収納具を搬送時に用いることはできない。
【文献】特開2016-28182号
【文献】特開2017-14865号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、可搬性があり、止水パネルを使用する現場での保管時及び工場から現場へ搬送時における止水パネルの水密部材の保護を可能とする保護構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
第1面部と第2面部を備えたパネル本体と、前記パネル本体の三方の周囲に設けた水密部材と、を備えた止水パネルの保護構造であって、
前記水密部材は、前記パネル本体の下面に幅方向に亘って設けた第1水密部分と、前記パネル本体の第2面部の幅方向両端部位に高さ方向に亘って設けた第2水密部分及び第3水密部分と、からなり、
前記止水パネルには、前記3つの水密部分の少なくとも1つを覆うように少なくとも1つの保護カバーが着脱可能に装着されており、
前記保護カバーの内面と当該保護カバーに覆われた水密部分は離間ないし近接しており、
前記止水パネルの載置姿勢において、前記水密部材は前記保護カバーの下端の高さ位置よりも上方に位置している、止水パネルの保護構造、である。
【0007】
上記構成を採用することで、止水パネルには保護カバーが装着されていることから、止水パネルの姿勢や向きにかかわらず、保護カバーが外れることがなく、止水パネルは保護カバーが装着された保護状態で可搬性がある。
上記構成を採用することで、止水パネルを保護カバーで支えた状態で載置することが可能となり、止水パネルの所定の載置姿勢で下面(床面等)に載置した時に、水密部材が直接に下面に接触することがない。
止水パネルの載置姿勢が横置きの場合は、第1水密部分を覆う下方保護カバー(水平姿勢)の下端の高さ位置、および/あるいは、第2水密部分及び第3水密部分を覆う左右の側方保護カバー(垂直姿勢)の下端の高さ位置よりも上方に水密部材が位置する。
止水パネルの載置姿勢が縦置きの場合は、第2水密部分あるいは第3水密部分を覆う一方の側方保護カバー(水平姿勢)の下端の高さ位置よりも上方に水密部材が位置する。
止水パネルに装着された保護カバーの内面と当該保護カバーに覆われた水密部分は離間ないし近接しているので、保護カバーの装着時及び着脱時に前記水密部分がダメージを受けることを可及的に防止することができる。
1つの好ましい態様では、前記保護カバーが装着された状態において、当該保護カバーの内面と当該保護カバーに覆われた水密部分は長さ方向全体に亘って離間している。なお、保護カバーの内面は、当該保護カバーに覆われた水密部分に圧力が作用しない状態で軽く(例えば、長さ方向に部分的に)接触していてもよい。保護カバー装着後に当該保護カバーに外力が作用して弾性で僅かに変形した時に、保護カバーの内面が力を作用させない程度に水密部分に部分的に軽く接触してもよい。
【0008】
1つの態様では、前記三方に設けた水密部材は、前記パネル本体の下面に幅方向に亘って設けた第1水密部材と、前記パネル本体の面部の幅方向両端部位に高さ方向に亘って設けた左右の第2水密部材、第3水密部材と、からなり、前記三方に設けた水密部材の角部において、前記第1水密部材の長さ方向両端部位の部分と前記第2水密部材、第3水密部材の下端部位の部分がそれぞれ密着(好ましくは接着)しており、密着部位からの浸水を防止している。
1つの態様では、前記第1水密部分(第1水密部材)を覆うように、下方保護カバーが装着されており、水平姿勢にある下方保護カバーの下端の高さ位置は、前記第1水密部分及び当該第1水密部分の長さ方向両端の角部(第2水密部分及び第3水密部分の下端)よりも下方に位置している(後述する実施形態では、下方保護カバーの長さ方向両端部は、前記角部まで達していない)。
こうすることで、止水パネルを横置きした時に、前記水密部材が直接床面等に当接することを防止できる。
1つの態様では、前記第2水密部分(第2水密部材)あるいは/および前記第3水密部分(第3水密部材)を覆うように、側方保護カバーが装着されており、前記側方保護カバーを水平姿勢とした時に、当該側方保護カバーに覆われる前記第2水密部分(第2水密部材)あるいは/および前記第3水密部分(第3水密部材)、及び、前記第2水密部分(第2水密部材)あるいは/および前記第3水密部分(第3水密部材)の下端の角部(第1酸水密部分の長さ方向端部)は、前記側方保護カバーを水平姿勢とした時に、水平姿勢の前記側方保護カバーの下端の高さ位置よりも上方に位置している(後述する実施形態では、側方保護カバーの下端は、前記角部を覆うように延びている)。
こうすることで、止水パネルを縦置きした時に、前記水密部材が直接床面等に当接することを防止できる。
1つの態様では、前記第2水密部材及び前記第3水密部材を覆うように、側方保護カバーが装着されており、
前記側方保護カバーの下端は、前記角部及び前記第1水密部材の下端よりも下方に位置している。
こうすることで、止水パネルの縦置きのみならず、横置き(左右の側方保護カバーの下端が下面に当接する)の両方に対応することができる。
後述する実施形態では、第1水密部分(第1水密部材)は下方保護カバーに覆われており、第2水密部分(第2水密部材)、第3水密部分(第3水密部材)はそれぞれ左右の側方保護カバーに覆われており、パネル本体の三方の周囲に設けた水密部材全体が保護カバーに覆われて保護されることで搬送時や保管時に水密部材がダメージを受けることを可及的に防止し、また、止水パネルの横置き、縦置きの両方に対応することができ融通性に優れる。
【0009】
1つの態様では、前記保護カバーは、対向状の第1辺と第2辺を有しており、
前記第1辺及び前記第2辺は、前記止水パネルとの当接部を備えており、
前記保護カバーは、前記第1辺と前記第2辺との間に前記止水パネルを挟むように当該止水パネルに装着されており、
前記第1辺の当接部及び前記第2辺の当接部が前記止水パネルに当接した状態で、前記保護カバーの内面と当該保護カバーに覆われた水密部材が離間している。
1つの態様では、前記第1辺(第1部150、第1部160)及び第2辺(第2部151の第4辺1513、第2部161)は止水パネルの見付方向に延びている。
1つの態様では、前記第1辺(第3部152)及び第2辺(第2部151の第5辺1514)は止水パネルの見込方向に延びている。
1つの態様では、前記保護カバーは、パネル本体の第1面側に位置する第1部(150、160)と、第2面側に位置する第2部(151、161)と、側端面側に位置する第3部(152、162)と、を備えている。
1つの態様では、前記第1部(150)は第1見付辺、前記第3部(152)は第1見込辺であり、前記第2部(151)は、前記第1見付辺に対向する第2見付辺(第2部151の第4辺1513)、前記第1見込辺に対向する第2見込辺(第2部151の第5辺1514)を有している。
1つの態様では、前記第1部(160)は第1見付辺、前記第2部(161)は第2見付辺、前記第3部(162)は見込辺である。
保護カバーが止水パネルに装着された状態(保護カバーの当接部が止水パネルに当接した状態)において、前記保護カバーの内面と当該保護カバーに覆われた水密部材との間には空間が維持されるようになっており、スペーサ等を用いることなく、前記保護カバーの内面と当該保護カバーに覆われた水密部材の離間状態が保たれる。
1つの態様では、前記保護カバーは、当該保護カバーの弾性(保護カバーは、典型的には、金属製ないし樹脂製である)及び当接部と前記止水パネルとの摩擦力によって、前記止水パネルに着脱可能に装着(挟着ないし嵌着)されている。
なお、保護カバーを止水パネルに対して着脱可能とする構成は、上記に限定されるものではなく、螺子止め、係合、嵌合等を用いてもよい。
【0010】
1つの態様では、前記パネル本体の第2面部には、前記第2水密部分、前記第3水密部分に隣接して左右の当接部材が突設されており、
前記保護カバーは、前記第2水密部分あるいは/および前記第3水密部分を覆う側方保護カバーであり、
前記保護カバーの前記第1辺の当接部はパネル本体の前記第1面部に当接しており、前記第2辺の当接部は前記第2面部に突設した前記当接部材(見付面、後述する実施形態ではズレ止め部材)に当接している。
1つの態様では、前記保護カバーの前記第1辺の当接部はパネル本体の側端面(見込面)に当接しており、前記第2辺の当接部は前記第2面部に突設した前記当接部材(見込面)に当接している。
1つの態様では、前記保護カバーは、当該保護カバーの長さ方向にスライドさせることで前記止水パネルに装着されており、
前記保護カバーの内面に形成した前記当接部は当該保護カバーの長さ方向に延びる突条であり、前記当接部が前記止水パネルとの摺接部となっており、前記当接部が前記止水パネルに接触した状態で、前記保護カバーの内面と当該保護カバーによって覆われる水密部材は離間している。
1つの態様では、前記側方保護カバーの内面の所定部位には、前記側方保護カバーが装着位置までスライド移動した時に前記止水パネルの被当接部に当接する位置決め突起が設けてある。
1つの態様では、前記側方保護カバーの内面の高さ方向の下端部位には、前記側方保護カバーが装着位置までスライド移動した時に前記当接部材の下端に当接する位置決め突起が設けてある。
【0011】
前記保護カバーは、前記第1水密部分を覆う下方保護カバーであり、
前記保護カバーの前記第1辺の当接部は前記第1面部に当接しており、前記第2辺の当接部は前記第2面部に当接している。
1つの態様では、前記保護カバーは、当該保護カバーの長さ方向に直交する方向から前記止水パネルに装着(嵌着)される。
1つの態様では、前記第1辺の内面、前記第2辺の内面には、前記下方保護カバーが装着位置まで移動した時に前記パネル本体の下端に当接する位置決め突起が設けてある。
【0012】
本発明が採用した他の技術手段は、
パネル本体と、前記パネル本体の周囲の三方に設けた水密部材と、を備えた止水パネルの保護構造であって、
前記水密部材は、前記パネル本体の下面に幅方向に亘って設けた第1水密部分と、前記パネル本体の面部の幅方向両端部位に高さ方向に亘って設けた左右の第2水密部分、第3水密部分と、からなり、
前記止水パネルの4つの角部において、少なくとも幅方向両端の下方の2つの角部、あるいは、少なくとも幅方向一端の上下の2つの角部には、少なくとも2つのコーナー保護カバーが、前記第1水密部分の両端部、あるいは、前記第2水密部分の上端部及び下端部あるいは前記第3水密部分の上端部及び下端部を覆うように、着脱可能に装着されており、
前記コーナー保護カバーの内面と当該コーナー保護カバーに覆われた水密部分は離間ないし近接しており、
前記止水パネルの載置姿勢において、前記水密部材は前記コーナー保護カバーの下端の高さ位置よりも上方に位置している、
止水パネルの保護構造、である。
少なくとも幅方向両端の下方の2つの角部に2つのコーナー保護カバーを設けたものでは、特に、前記三方に設けた水密部材が、前記パネル本体の下面に幅方向に亘って設けた第1水密部材と、前記パネル本体の面部の幅方向両端部位に高さ方向に亘って設けた左右の第2水密部材、第3水密部材と、からなり、前記三方に設けた水密部材の角部において、前記第1水密部材の長さ方向両端部位の部分と前記第2水密部材、第3水密部材の下端部位の部分がそれぞれ密着(好ましくは接着)している場合に、角部の密着部位を保護することができる。
4つの角部に4つのコーナー保護カバーを設けたものでは、止水パネルの横置き、縦置きの両方に適用できる保護構造を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、保護カバーを装着した保護状態で止水パネルが可搬可能であり、止水パネルを使用する現場での保管時のみならず、工場から現場へ搬送時における止水パネルの水密部材の保護を可能とする。
止水パネルは保護カバーが装着された状態で可搬性があるので、止水パネルの保管姿勢や保管場所に融通性がある。
保護カバーが装着された状態において、保護カバーの内面と水密部分は離間しており接触していないため、より良好な状態で水密部分を保護した状態で止水パネルを保管、搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】建物開口部の室外側の下方部位に取り付けられた止水パネルを示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係る止水パネルの正面図(室内側面部)である。本図において、押し付け具は収納姿勢にあり、また、固定手段の掛止部は省略されている。
【
図4】(A)は、建物開口部(全閉状態)の室外側の下方部位に取り付けられた止水パネルを示す平面図である。(B)は、建物開口部(全開状態)の室外側の下方部位に止水パネルを取り付ける前段階(固定手段によりパネル本体を固定する前)を示す平面図である。
【
図5】本実施形態のパネル本体を構成するパネルを示し、(A)はガイドプレート及び取付プレートが設けられた部位における縦断面図、(B)は側面図である。
【
図6】
図5(B)において、固定手段のベルトが引き出された状態を示す図である。
【
図8】(A)はガイドプレートを示す図であり、(B)は取付プレートを示す図である。
【
図9】建物開口部左右端部の縦枠に取り付けられた止水パネルを示す部分平面図であり、側方水密部材は圧縮状態にある。
【
図10】建物開口部左右端部の縦枠に取り付けられた止水パネルを示す部分平面図であり、側方水密部材は圧縮状態にある。ベルトの第2部分の基端部位(ガイド部)が、掛止部よりも内側に位置している。
【
図13】押し付け具(押し付け金具)を示す図である。
【
図15】(A)は止水パネルの一部切り欠き部分平面図であって、押し付け具を取り外した状態(ベースのみが装着された状態)を示している。(B)は
図15(A)を第2面部側から見た正面図であり、一部切り欠いて内部を示している。
【
図17】(A)は止水パネルの部分平面図であって、押し付け具は収納姿勢にある。(B)は止水パネルの部分正面図であって、押し付け具は収納姿勢にある(
図2の部分拡大図である)。
【
図18】(A)は
図17(A)の部分拡大図である。(B)は
図17(B)の部分拡大図である。
【
図19】(A)は止水パネルの部分平面図であって、押し付け具は押圧姿勢にある。(B)は止水パネルの部分正面図であって、押し付け具は押圧姿勢にある。
【
図20】(A)は
図19(A)の部分拡大図である。(B)は
図19(B)の部分拡大図である。
【
図21】
図1の部分拡大図であり、押し付け具は押圧姿勢にある。
【
図22】
図21の部分拡大図であり、溝内に位置するベースの部分を点線で示している。
【
図23】押圧姿勢(押圧前)にある止水パネルの側面図である。
【
図24】(A)は、パネル本体が下方に押圧された状態(下方水密部材の圧縮)を示す縦断面図である。(B)は、パネル本体が下方に押圧される前の状態を示す縦断面図である。
【
図25】
図24(A)、(B)と類似の図であり、パネルの下方押し込み手段の作用を説明する図である。
【
図26】第1実施形態に係る止水パネルの保護構造を示す正面図(室内側面部)及び平面図である。
【
図27】
図26の正面図(室内側面部)の幅方向の一端側の部分拡大図及び
図26に示す止水パネルの保護構造を示す側面図である。
【
図28】
図27の部分正面図(室内側面部)におけるA-A断面図(下側の一部を切り欠いて示す)である。
【
図29】
図27の平面図の幅方向の一端側の部分拡大図である。
【
図33】第2実施形態に係る止水パネルの保護構造を示す正面図(室内側面部)である。
【
図34】
図33に示す止水パネルの保護構造を示す側面図である。
【
図35】第3実施形態に係る止水パネルの保護構造を示す正面図(室内側面部)である。
【
図37】第4実施形態に係る止水パネルの保護構造を示す正面図(室内側面部)及び平面図である。
【
図38】
図37の正面図(室内側面部)及び平面図の幅方向の一端側の部分拡大図、及び、第4実施形態に係る止水パネルの保護構造を示す側面図である。
【
図39】(A)は、
図38のA-A断面図、(B)は、
図38のB矢視図(見込辺の上側の一部を切り欠いて示す)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]止水パネルの全体構成
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係る止水パネルが設置された建物開口部の正面図である。図示の態様では、止水パネルは、2枚のスライド扉体1からなる自動ドアによって開閉される建物開口部の下方部位の室外側に設置される。建物開口部は、左右の壁ないし固定パネル2の端部に設けた左右の縦枠(方立て)3間に形成されている(
図4(B)参照)。縦枠3は、断面視方形状を有しており、室外側の第1見付面30、室内側の第2見付面31、建物開口部に面する第1見込面32、第1見込面32と反対側の第2見込面33を備えている(
図9、
図10、
図20(A)参照)。
【0016】
図1、
図2、
図4に示すように、止水パネルは、開口幅方向に横長の長方形のパネル本体4を備えている。パネル本体4は、建物開口部に設置した時に室外側に面する第1面部40と、第1面部40の反対側の(室内側に面する)第2面部41と、上面42と、下面43と、左右の側面を密閉する塞ぎプレート44と、を備えており、第2面部41を室内側に向けて、建物開口部の下方部位の室外側に取り付けられる。パネル本体4の第2面部41の上方部位には取手45が設けてある。本明細書において、パネル本体4の幅方向とは、左右方向、すなわち横幅方向を意味する。幅方向外側は、パネル本体4の左右の端部に近い側を意味し、幅方向内側は、パネル本体4の幅方向中央に近い側を意味する。
【0017】
止水パネルは、さらに、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端部位に高さ方向に亘って設けた左右の側方水密部材5と、パネル本体4の下面43に幅方向に亘って設けた下方水密部材6と、左右の側方水密部材5にそれぞれ隣接してパネル本体4の第2面部41に設けた左右の当接部材7と、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端にそれぞれ設けた固定手段8と、パネル本体4の幅方向両端の上端部位にそれぞれ設けた押し込み手段(押し付け具9、ベース13)と、を備えている。
【0018】
図7に示すように、固定手段8は、帯状のベルト80と、ベルト80の第1端部800に設けた掛止部81と、ベルト80の第2端部801に設けた締め具82と、からなる。止水パネルは、下方水密部材6を床面FLに圧接し、固定手段8の掛止部81を建物開口部両端の縦枠3の室内側角部に掛止させた状態で、固定手段8の締め具82によってベルト80を引張することで、下方水密部材6を床面FLに圧接させ、かつ、側方水密部材5を縦枠3の第1見付面30に圧接した状態で、建物開口部の室外側下方部位に取り付けられる。固定手段8の締め具82を締めた後で、さらに、押し込み手段によってパネル本体4の上面42を上から下方向に押し込んで下方水密部材6を床面FLに押し付けて圧接させることで、止水パネル下端の水密性能を確保する。なお、本明細書において、床面は、建物開口部の下面を広く含み、床面には沓摺や下枠を含む。
【0019】
開口部全閉時(
図4(A)、
図12参照)において、扉体1の戸尻側縦框1aと縦枠3(第2見付面31)との間には隙間が存在しており、また、開口部全開時(
図4(B)、
図11参照)において、扉体1の戸先側縦枠1bと縦枠3(第2見付面31)との間には隙間が存在しており、この隙間を利用して固定手段8の掛止部81を縦枠3の室内側角部に掛止させることができ、また、止水パネルを取り付けた状態において、掛止状態にある掛止部81が妨げとなることなく、扉体1の開閉が可能であり、建物開口部を開放して止水パネルを跨いで出入りすることができる。なお、止水パネルの設置対象は、スライド式のドアに限定されるものではなく、2枚の扉体からなる両開きドアによって開閉される建物開口部の下方部位の室外側に設置されてもよい。この場合、側方水密部材5、当接部材7を、パネル本体4の第2面部41に固定したスペーサ(特許文献1参照)に設けてもよい。
【0020】
パネル本体4の幅寸法は、止水パネルが設置される開口幅寸法(左右の縦枠3の第1見込面32間の距離)よりも幾分(例えば+100mm)大きい寸法を備えており、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端部位が左右の縦枠3の第1見付面30に対向するようになっている。パネル本体4は、想定水位(例えば、床面から400mm)よりも大きい高さ寸法(例えば、500mm)を備えている。図示の態様では、パネル本体4は、低背の2枚のパネル4A、4Bを高さ方向に重ねて連結することで構成されている(
図1、
図3参照)。パネル4Aの下端とパネル4Bの上端との間には全幅に亘って防水テープ(図示せず)が設けてあり、パネル本体4の正面(高さ方向中央部位)からの水の浸入を防止している。図示の態様では、パネル4A、4Bの2部材を高さ方向に連結してパネル本体4を形成しているが、パネル本体4を一部材から一体的に形成してもよい。
【0021】
図2、
図17(B)、
図19(B)に示すように、パネル本体4の第2面部41は、高さ方向の2箇所(各パネル4A、4Bの高さ方向中間部位)において幅方向に亘って切り欠かれており横長の開口410が形成されている。開口410は上側垂直片411と下側垂直片412との間に形成されている。
図5、
図6に示すように、パネル4A、4Bの内部には、2つの水平状の中間壁46、47が高さ方向に間隔を存して形成されており、上下の中間壁46、47間に開口410が形成されている。
図5に示すように、上側垂直片411は上側の中間壁46の第2面部41寄りの部位から垂下しており、下側垂直片412は下側の中間壁47の第2面部41寄りの部位から立ち上がり形成されている。上側垂直片411及び下側垂直片412は、第2面部41に対してパネル4A、4Bの内方に位置している。なお、図示の態様では、パネル本体4の第2面部41に開口410を形成しているが、第2面部41は必ずしも開口を備えていなくてもよい。
【0022】
パネル本体4の第2面部41の幅方向両端部には、全高に亘って側方水密部材5が突設されており、側方水密部材5の下端面は、パネル本体4の下面43を超えて下方に突出している。パネル本体4の下面43には、全幅に亘って下方水密部材6が設けてある。側方水密部材5の下端面と下方水密部材6の下端部は略同一水平面上にある。パネル本体4には、幅方向両端の側方水密部材5及び下端の下方水密部材6の三方において水密部材が連続状に設けられている。側方水密部材5及び下方水密部材6は、弾性部材であり、止水パネルの取付時の押圧力である程度圧縮され、圧縮状態で縦枠3の第1見付面30、床面FLに密着して三方連続状の水密構造を提供する。本実施形態では、側方水密部材5、下方水密部材6は、シリコーンスポンジから形成されているが、その他、クロロプレンゴム、EPDM等から形成してもよい。
【0023】
図3、
図24に示すように、パネル本体4の下面43の室内側端部(第2面部41側)には、下面43よりも下方に垂直に延びる垂直片430が形成されている。下方水密部材6は水平面と垂直面と傾斜面とから断面視直角三角形の形状を有し、水平面を下面43に当接させ、垂直面の上半部を垂直片430に当接させてパネル本体4の下面43に取り付けられている。垂直片430は、下方水密部材6の垂直面の上半部に当接支持することで、下方水密部材6が倒れることを防止している。下方水密部材6の下端は、垂直面と傾斜面から形成されており、下方水密部材6が床面FLに圧接された状態において垂直片430の下端は床面FLから上方に離間している。
【0024】
第2面部41の幅方向両端部には、側方水密部材5の内側(開口幅方向端部から離間する側)に隣接して、側方水密部材5よりも低い突出寸法の当接部材7が突設されている。当接部材7は、前面、後面、左右の側面を備え、後面が第2面部41に固定されたベース70と、ベース70の前面に設けたズレ止め部材(本実施形態では、ズレ止め緩衝ゴム)71からなる。ズレ止め部材71は、縦枠3の第1見付面30に圧接ないし密着した時に、密着力ないし摩擦力によって、縦枠3の第1見付面30に対する止水パネルの持ち上がりを防止する。ズレ止め部材71は典型的には弾性を備えているが、当接部材7のベース70は非弾性部材であり、止水パネルの取り付け時の押圧力によって圧縮されない。なお、当接部材7は、ベース70の側面が側方水密部材5の隣接する立ち上がり面に接触することで、側方水密部材5の倒れ防止の役割も有する。当接部材7のベース70は、例えば、螺子によってパネル本体4の第2面部41に固定される。
【0025】
[B]固定手段を用いた止水パネルの取り付け
止水パネルは、パネル本体4に設けた固定手段8によって、建物開口部の下方部位に室外側から取り付けられる。
図7に示すように、固定手段8は、帯状のベルト80と、ベルト80の第1端部800に設けた掛止部81と、ベルト80の第2端部801に設けた締め具82と、からなる。本実施形態では、
図2に示すように、止水パネルは、各左右端部に上下に離間して合計4つの固定手段8を備えている。なお、固定手段8は、少なくとも左右に1つずつあればよく、その数は4つに限定されない。また、図示の固定手段8は、パネル本体4を建物開口部に取り付ける取付手段の1つの実施例であって、本発明において、前記取付手段は固定手段8に限定されるものではなく、例えば、押し付け具9の押圧力を用いてパネル本体4を建物開口部の縦枠3に圧接させて取り付けるものでもよい。
【0026】
本実施形態では、固定手段8は、第2面部41の横長の開口410に位置して設けてある。より具体的には、締め具82の取付ベース820は、パネル本体4の幅方向端部から内側に離間した位置で開口410を跨ぐように第2面部41に取り付けられており、第2端部が締め具82に連結されたベルト80は、締め具82から開口410に沿ってパネル本体4の幅方向端部に向かって延びている。第2面部41の幅方向端部に近い部位には、ベルト80のガイド部(後述するガイドプレート10のガイド片100)が設けてある。締め具82から開口410に沿って水平方向にパネル本体4の幅方向端部に向かって延びるベルト80は、ベルトのガイド部によって折り曲げられて変向して第2面部41から離間するように室内側に延びるようになっている。
【0027】
本実施形態では、締め具82は、いわゆるキャッチクリップであり、第2面部41に固定された取付ベース820と、支軸を介して取付ベース820に回動可能に連結された回動操作レバー821と、一端が回動操作レバー821に連結され、他端がベルト80の第2端部801に連結されたアーム822と、アーム822に外装したコイルスプリング823と、を備えており、回動操作レバー821は、第2面部41に近接対向した第1姿勢と、第2面部41に対して垂直状の第2姿勢との間で回動可能である。このようなキャッチクリップ自体は公知であるので、さらなる詳細な説明は省略する。回動操作レバー821を第2姿勢から第1姿勢とすることで、ベルト80を引っ張って緊張状態で締め付けるようになっている。
【0028】
本実施形態では、ガイド部は、当接部材7に隣接して、開口410を跨ぐように固定されたガイドプレート10からなる。
図8(A)に示すように、ガイドプレート10は、第1面と第2面を有する方形状のプレートであり、第1面を室内側に向けて開口410を跨ぐように設けられ、締め具82から離間する側(幅方向外側)の縁部には第2面部41から離間するようにプレートから湾曲状に立ち上がるガイド片100が形成されている。プレートには4つの螺子12の螺子孔(雌螺子)101が形成されている。
【0029】
ガイドプレート10は取付プレート11、取付用の螺子12を用いて、パネル本体4の第2面部41の幅方向の所定位置に固定される。
図8(B)に示すように、取付プレート11は、第1面と第2面を有する方形状のプレートである。プレートには4つの螺子12の挿通孔110が形成されている。ガイドプレート10と取付プレート11を対向させた時には、取付プレート11の螺子孔101と取付プレート11の挿通孔110が一致するようになっている。
【0030】
ガイドプレート10の高さ寸法は、開口410の縦幅寸法よりも大きく、上側の中間壁46の下面と下側の中間壁47の上面間の高さ寸法と略同じである。ガイドプレート10は、開口410を跨ぐようにして、ガイドプレート10の第1面の上側部位(上側の螺子孔101より上側の部位)、下側部位(下側の螺子孔101より下側の部位)を、上側垂直片411、下側垂直片412の後面(パネル本体4の第2面部41から遠い側の面)4111、4121に当接させて仮配置される。この時、ガイドプレート10は下側の中間壁47に載置した状態で仮配置されている。
【0031】
取付プレート11の高さ寸法は、開口410の縦幅寸法よりも大きく、上側の中間壁46の下面と下側の中間壁47の上面間の高さ寸法と略同じである。また、取付プレート11の厚さは、第2面部41と上側垂直片411、下側垂直片412との段差に対応している。取付プレート11は、第1面を室内側に向けて開口410を跨ぐようにして、取付プレート11の第2面の上側部位(上側の挿通孔110よりも上側の部位)、下側部位(下側の挿通孔110よりも下側の部位)を、上側垂直片411、下側垂直片412の前面(パネル本体4の第2面部41に近い側の面)前面4110、4120に当接させて仮配置される。この時、ガイドプレート10は下側の中間壁47に載置した状態で仮配置されている。取付プレート11の第1面とパネル本体4の第2面部41とは面一となっている。
【0032】
ガイドプレート10及び取付プレート11の仮配置状態において、ガイドプレート10の上側の2つの螺子孔101と取付プレート11の上側の2つの挿通孔110は、上側垂直片411の下方、すなわち、開口410に位置して対向一致しており、ガイドプレート10の下側の2つの螺子孔101と取付プレート11の下側の2つの挿通孔110は、下側垂直片412の上方、すなわち、開口410に位置して対向一致している。
【0033】
4本の螺子12を取付プレート11の挿通孔110からガイドプレート10の螺子孔101に締め込むことで、ガイドプレート10の上側部位と取付プレート11の上側部位で上側垂直片411を前後から挟持し、ガイドプレート10の下側部位と取付プレート11の下側部位で下側垂直片412を前後から挟持し、螺子12を締めることで、ガイドプレート10がパネル本体4の第2面部41の幅方向の所定位置に固定される。
【0034】
第2面部41の幅方向の所定位置にガイドプレート10が固定された状態において、第2面部41の幅方向において、ガイド部(ガイドプレート10のガイド片100)の位置を変更したい場合には、螺子12を緩めることで、ガイドプレート10、取付プレート11を上側垂直片411、下側垂直片412に沿って第2面部41の幅方向に移動させることができ、所望の位置にガイドプレート10、取付プレート11を移動させた状態で螺子12を締めることで、ガイドプレート10を固定することができる。
【0035】
ベルト80は、締め具82からパネル本体4の幅方向端部に向かって、横長の開口410に沿ってパネル本体4の幅方向に延び(第1部分80A)、ガイドプレート10の裏側を通って、ガイド片100に掛け回され、ガイド片100によって、パネル本体4の第2面部41から離れる方向に引き出されて延びる(第2部分80B)。なお、ベルト80の長さは現場において調整可能となっている。
【0036】
ベルト80の第1端部800に連結された掛止部81は、基端がベルト80の第1端部800に連結された第1片810と、第1片810の延びる方向に対して垂直状に延びる第2片811と、を備え、略L形状に形成されており、いわば引掛金具を構成している。第1片810、第2片811は共に所定幅を備えた板状体であり、第2片811の内面には、滑り止め要素(本実施形態では、滑り止めゴム)812が設けてある。図示の態様では、第1片810の傾斜状の先端部と第2片811の基端部からV形状の突出部Vが突成されており、掛止部81の角部の内側には空間Sが形成されている。より具体的には、第2片811は、第1片810を通る面に対して第1側(掛止部81が縦枠3に掛止した時に、縦枠3の第2見込面33側)に延びており、第1片810の先端部は、前記面に対して第2側(掛止部81が縦枠3に掛止した時に、縦枠3の第1見込面32から離間する開口部側)に傾斜しており、第2片811の基端部は、前記面を越えて第2側に延びており、第1片810の先端部と第2片811の基端部が接続されている。
【0037】
図9に示すように、止水パネルが取り付けられた状態において、掛止部81の第2片811が滑り止め要素812を介して縦枠3の第2見付面31に当接しており、縦枠3の第2見付面31と第1見込面32で形成される角部は空間Sに対向している。出願人が鋭意研究したところ、掛止部81の角部の内側には空間Sを形成する形状の掛止部81を採用することで、掛止部81が縦枠3からより外れ難いことがわかった。また、角が出ているような縦枠(方立て)に対しても、空間Sによって掛止部81と角との干渉を防止して良好に掛止することができる。なお、空間Sを備えた図示の掛止部81は掛止部の例示態様であって、空間Sを備えないL形状の掛止部であってもよく、あるいは、第1片810と第2片811の角度を90度よりも僅かに鋭角にして、第1片810が第1見込面32に対してより密着するようにしてもよい。
【0038】
本実施形態に係る止水パネルの取付について説明する。止水パネルのパネル本体4は、建物開口部の開口幅寸法よりもやや大きい幅寸法を備えており、建物開口部の室外側に位置して、左右の縦枠3間に当該縦枠3を跨ぐように左右の縦枠3間に取り付けられる。止水パネルは、下面43の下方水密部材6を床面FLに圧接した状態で、第2面部41の幅方向両端部に設けた側方水密部材5を、建物開口部左右の縦枠3の第1見付面30に当接させ(この状態では、当接部材7と第1見付面30は離間している)、固定手段8の掛止部81の第1片810を縦枠3の第1見込面32に当接ないし近接させると共に、第2片811を縦枠3の第2見付面31に当接させることで、当該掛止部81を縦枠3の室内側の角部に掛止させた状態とし(締め具82による固定を確実に行うために、必要に応じてベルト80の長さを調整する)、その状態から、締め具82の回動操作レバー821を回動して、ベルト80を引っ張って緊張状態に締め付けて固定する。
【0039】
掛止部81が縦枠3の室内側の角部(第2見付面31と第1見込面32)に掛止した状態で、ベルト80を引っ張ることで、縦枠3に対してパネル本体4が押圧され、側方水密部材5は縦枠3の第1見付面30に圧接され、側方水密部材5が圧縮されることで、第2面部41に側方水密部材5に隣接して設けた当接部材7のズレ止め部材71が縦枠3の第1見付面30に圧接される(
図9参照)。
【0040】
止水パネルを取り付けた状態において、ベルト80は、ガイド部(ガイドプレート10のガイド片100)によって折り曲げられた状態(第2面部41に沿って幅方向に延びる第1部分80Aと第2面部41から離間するように室内側へ向かって延びる第2部分80B)で緊張状態にあり、掛止部81の第1片810は、第2部分80Bと略直線状にある。
【0041】
図9に示すように、止水パネルが取り付けられた状態において、ベルト80の第2部分80B(第2面部41から離間するように室内側へ向かって延びる)と掛止部81の第1片810は直線状にあり、かつ、縦枠3の第1見込面32に沿って延びている。より安定した掛止状態を得るためには、このように、第2部分80Bと第1片810が縦枠3の第1見込面32に沿って延びることが望ましいが、そのためには、ガイドプレート10のガイド片100と縦枠3の第1見込面32との位置関係が重要である。
【0042】
実際の現場では寸法誤差もあり、掛止部81は左右両側に存在することから、そのためには、ガイドプレート10のガイド片100と縦枠3の第1見込面32との位置関係が設計通りではない場合もある。例えば、
図10に示す態様では、ガイドプレート10のガイド片100の位置が、掛止部81が掛止する縦枠3の室内側角部よりも所定量内側に位置しており、ベルト80の第2部分80Bは平面視において傾斜状に延びている。掛止部81の第2片811と縦枠3の第2見付面31が十分に密着していないことから、この掛止状態は不安定であり、場合によっては、掛止部81と縦枠3との掛止状態が外れてしまうおそれがある。
【0043】
この場合、ベルト80の第2部分80B及び掛止部81の第1片810を、縦枠3の第1見込面32に沿って延びるように配置するためには、縦枠3の第1見込面32を延長した仮想面とパネル本体4の第2面部41が交わる位置にベルト80の第2部分80Bの基端800Bを位置させる必要がある。また、図示の例では、止水パネルの取付状態において、パネル本体4の第2面部41と縦枠3の第1見込面32は垂直状に延びているが、実際の現場では、
図10のように、縦枠3の第1見込面32が第2面部41に対して僅かに斜めに延びることも起こり得る。この場合も、ベルト80の第2部分80B及び掛止部81の第1片810を、縦枠3の第1見込面32に沿って延びるように配置するためには、縦枠3の第1見込面32を延長した仮想面とパネル本体4の第2面部41が交わる位置にベルト80の第2部分80Bの基端800Bを位置させる必要がある。なお、ベルト80の第2部分80Bの基端800Bが縦枠3の第1見込面32よりも幅方向外側(当接部材7側)に寄っていてもよい(この場合は、掛止部81と縦枠3との掛止状態が維持される)。
【0044】
本実施形態では、ガイドプレート10のガイド片100の位置を、パネル本体4の幅方向において調節可能とすることで、固定手段8のベルト80の第2部分80Bの基端800Bの位置を、パネル本体4の幅方向に調整可能となっており、現場における位置調整を可能としている。
図10に示す態様において、現場において、螺子12を緩めて、ガイドプレート10と取付プレート11による上側垂直片411、下側垂直片412の挟持状態を解除し、ガイドプレート10、取付プレート11、螺子12をセットで矢印方向に所定位置まで移動させ、螺子12を締めることによって、ガイドプレート10のガイド片100の位置をパネル本体4の幅方向の端部側に位置調整し、
図9に示す態様を得ることができる。このように、固定手段8のベルト80の第2部分80Bの基端800Bの位置を、パネル本体4の幅方向に調整可能とすることで、ベルト80の第2部分80Bの第1部分80Aに対する引き出し方向(第1部分80Aないし第2面部41に対する第2部分80Bの角度)が調整可能となっている。
【0045】
[C]パネルの下方押し込み手段
下方水密部材6を床面FLに押し付けるためのパネルの下方押し込み手段について説明する。下方押し込み手段は、押し付け具(押し付け金具)9と、ベース(台座金具)13とを備え、押し付け具9は、ベース13を介してパネル本体4の上面42を下方に押し込むようになっている。ベース13はパネル本体4の上面42上に幅方向に移動可能に載置されており、押し付け具9は、収納姿勢と押圧姿勢との間で姿勢(向き)が変更可能なように、ベース13に対して可動連結されている。
【0046】
[C-1]押し付け具(押し付け金具)
図13を参照しつつ、押し付け具9の構成について説明する。押し付け具9は、止水パネルの下方押し込み時に縦枠3を掴むように当該縦枠3に装着される掴持部90と、掴持部90を支持する支持部91と、支持部91に設けられ、パネルの下方押し込み時にパネル本体4に下向きの力を作用させる押圧部92と、を備えている。
【0047】
掴持部90は、対向状の第1辺900、第2辺901と、第1辺900と第2辺901を連結する第3辺902とから断面視コ字形状に形成され、所定高さを備えている。図示の態様では、第1辺900と第2辺901の幅寸法(第3辺902からの突出寸法)は同じであるが、第1辺900と第2辺901は、異なる幅寸法を備えていてもよい。本実施形態では、第1辺900と第2辺901の幅寸法はパネル本体4の厚さ寸法と略同じである。
図18(A)に示すように、収納姿勢(第1辺900、第2辺901がパネル本体4の厚さ方向に延びる)において、パネル本体4の直上に位置して、掴持部90の第1辺900と第2辺901がパネル本体4の厚さ方向(見込方向)に延び、第3辺902がパネル本体4の幅方向(見付方向)に延びており、掴持部90がパネル本体4の第1面部40、第2面部41から実質的に突出することがないようにしている。本明細書において、「実質的に突出することがない」とは、止水パネルの保管時に複数枚のパネルを重ねて収納することに支障が無い程度の突出は含む趣旨であり、
図18(A)の態様を含む。押圧姿勢では、
図20(A)に示すように、掴持部90の第1辺900と第2辺901がパネル本体4の第2面部41に平行状に延び、第3辺902がパネル本体4の第2面部41に対して垂直状に延びており、掴持部90がパネル本体4の第2面部41から突出して、縦枠3を掴持可能となっている。
【0048】
掴持部90の第1辺900の下端部位には、第2辺901の下端9011、第3辺902の下端9021を越えて下方に延びる下側延長部9001が形成されており、第2要素901の上端部位には、第1辺900の上端9000、第3辺902の上端9020を越えて上方に延びる上側延長部9010が形成されている。なお、本実施形態では、第1辺900に下側延長部9001、第2辺901に上側延長部9010をそれぞれ形成したが、これには限定されず、例えば、第1辺900、第2辺901、第3辺902を同一高さ寸法とし、第1辺900、第2辺901、第3辺902の上端、下端がそれぞれ同一高さにあって一致するようにしてもよい。
【0049】
図20(A)に示すように、掴持部90が縦枠3を掴持した時には、第1辺900が縦枠3の第2見付面31に当接し、第2辺901が縦枠3の第1見付面30に当接し、第3辺902が縦枠3の第1見込面32に近接ないし当接する。第1辺900の内面、第2辺901の内面には、第1辺900及び第2辺901を形成する部材(スチール等の金属)よりも柔軟な材質からなり、ズレ止め機能及び縦枠3の保護機能を備えた当接シート903、904がそれぞれ設けてある。当接シート903は第1辺900の下側延長部9001の内面にも設けてあり、当接シート904は第2辺901の上側延長部9010の内面にも設けてある。1つの態様では、当接シートはウレタンシート等のゴムである。
【0050】
第1辺900の下側延長部9001は、第2辺901から離間するように下側に向かって外側に緩やかに傾斜しており、下側延長部9001の内面(当接シート903)は傾斜面となっている。第2辺901の上側延長部9010は、第1辺900から離間するように上側に向かって外側に緩やかに傾斜しており、上側延長部9010の内面(当接シート904)は傾斜面となっている。なお、図示の態様では、当接シート903、904は、第1辺900、第2辺901の全面に亘って設けてあるが、縦枠3と当接する部分(第1辺900の下側延長部9001、第2辺901の上側延長部9010)を含む部分面にのみ当接シート903、904を設けてもよい。なお、第3辺902の内面に当接シートを設けてもよい。
【0051】
支持部91は、側面視三角形ないし台形状で断面視略コ字状の形状を有している。支持部91は、基端が掴持部90の第2辺901に固定(例えば、溶接)ないし一体形成されており、先端に向かって下向き傾斜状の上壁910と対向状の第1側壁911、第2側壁912とからなる。図示の態様では、第1側壁911、第2側壁912は垂直壁である。第1側壁911の下端の一部は、第2側壁912の水平状の下端よりも下方に突出する突縁9111となっている。図示の態様では、第1側壁911の下端(突縁9111を除く)、第2側壁912の下端は、第2辺901、第3辺902の下端と一致しており(この態様に限定されるものではなく、一致していなくてもよい)、突縁9111の水平状の下端は、第2側壁912の下端よりも下方に位置している。
【0052】
支持部91の上壁910の幅寸法(第1側壁911と第2側壁912間の寸法)は、掴持部90の第1辺900、第2辺901の幅寸法(パネル本体4の厚さ寸法)と略一致している。第2側壁912の下端には、掴持部90に隣接して舌状の連結片913が第1側壁911から離間する方向に水平に突成されている。連結片913は、掴持部90の外側(第3辺902に対して第2辺901とは反対側)に延出している。連結片913にはルーズ孔として例示する長孔914が形成されている。長孔914は、平面視において、掴持部90から遠い側の第1端部9140が第2側壁912に近く、掴持部90に近い側の第2端部9141が第2側壁912から遠くなるように傾斜状に形成されている。
【0053】
押圧部92は、円板状のハンドル920と、少なくとも下方の先端側に雄螺子が形成された軸部921と、支持部91の傾斜状の上壁910の下面に固定されたナット922と、からなり、軸部921の雄螺子をナット922の雌螺子に螺合させることで、傾斜姿勢で支持部91に取り付けられている。押圧部92のハンドル920を第1の方向に回転させると、支持部91に対して、軸部921は傾斜姿勢(軸部921の下端が掴持部90に近づく方向に傾斜)で斜め下方に移動し、ハンドル920を第2の方向に回転させると、支持部91に対して斜め上方に移動する。押圧部92の軸部921は、先端(ハンドル920から遠い側)が掴持部90に近づくような傾斜姿勢となっている。押し付け具9は、パネル本体4の上面42に斜め(第1面部40から第2面部41に向かう)下方の力を作用させるため、下方水密部材6の床面FLへの押し付けに加えて、側方水密部材5の縦枠3の第1見付面30への押し付けの効果もある。なお、押し付け具によって下向きのみを力をパネル本体4に作用させる場合には、押圧部92の軸部は垂直姿勢であってもよい。
【0054】
[C-2]ベース(台座金具)
本実施形態では、押し付け具9は、ベース13を介してパネル本体4の上面42を押し込むようになっている。ベース13は、パネル本体4の上面42に幅方向に移動可能に載置される。押し付け具9は、ベース13に対して可動に連結されており、収納姿勢と押圧姿勢をとることができる。
【0055】
先ず、ベース13が幅方向に移動可能に設けられるパネル本体4の上端の構成について説明する。パネル本体4の上面42には、第1面部40側の第1立ち上がり辺420と、第2面部41側の第2立ち上がり辺421が対向状に形成されている(
図16参照)。パネル本体4の上端には、水平状の上面42と、第1立ち上がり辺420と、第2立ち上がり辺421とから溝部が形成されており、押し付け具9は、当該溝部をガイド溝としてパネル本体4の幅方向にスライド可能となっている。より具体的には、第1立ち上がり辺420は、上面42の第1面部40側の端部から立ち上がる下側垂直部4200と、第2立ち上がり辺421側に上向き傾斜する傾斜部4201と、上側垂直部4202と、上側水平部4203と、から形成されており、第2立ち上がり辺421は、上面42の第2面部41側の端部から立ち上がる垂直部4210と、垂直部4210の上端から第1立ち上がり辺420に向かって水平に延びる上側水平部4211と、から形成されている。図示の態様では、上側水平部4203の高さは、上側水平部4211の高さよりも少し高いが、これには限定されない。
【0056】
図14を参照しつつ、ベース13の構成について説明する。ベース13は、パネル押し込み時に押し付け具9の押圧部92の軸部921の下端が当接し、ハンドル920の回転操作に伴い斜め下方に移動する軸部921によって押圧される被押圧部130と、押し付け具9が移動可能に連結される連結部131と、収納姿勢にある押し付け具9が仮固定される仮固定部132と、パネル本体4の上端の溝部内を摺動するスライド部133(本実施形態では2つのスライド部133を備えているが、これには限定されない)と、ベース13を溝内でスライドさせて位置調整するための操作部134と、を備えている。
【0057】
ベース13は全体として長尺部材であり、一端側に被押圧部130が形成され、第1のスライド部133を挟んで被押圧部130に連結部131が隣接しており、連結部131に隣接して仮固定部132が設けてあり、仮固定部132に隣接して操作部134が設けてあり、他端側に第2のスライド部133が位置している。ベース13は、一端側をパネル本体4の端部に近い側、他端側をパネル本体4の端部から遠い側に位置させて、パネル本体4の上端の溝部内に設けられる。
【0058】
被押圧部130は、側面視直角三角形状の長辺の第1傾斜片1300、短辺の第2傾斜片1301と、からなり、第1傾斜片1300の先端、第2傾斜片1301の先端がパネル本体4の上面42に当接している。
図16に示すように、ベース13がパネル本体4の上端の溝部に設けられた状態において、第1傾斜片1300は、先端側が第1立ち上がり辺420の下端(下側垂直部4200)に位置し、基端側が第2立ち上がり辺421の上端(上側水平部4211)に位置しており、パネル本体4の第1面部40から第2面部41へ向かって(パネル本体4の見込方向に)上向き傾斜状に延びており、この傾斜面が被押圧面となっている。
【0059】
図14に示すように、連結部131は、水平状の面部1310と、面部1310に形成された螺子孔1311と、を備えている。面部1310は、パネル本体4の第2面部41側に向かって(ベース13の長さ方向に直交する方向に)延出しており、パネル本体4の第2面部41を越えて延びる延出部位1310´を備えている。延出部位1310´に螺子孔1311が形成されている。
図15に示すように、ベース13がパネル本体の上端の溝部に設けられた状態において、連結部131の面部1310は、パネル本体4の第1立ち上がり辺420(上側水平部4203)及び第2立ち上がり辺421(上側水平部4211)の上方に位置して水平状に延びている。
【0060】
仮固定部132は、連結部131から下向きに傾斜する傾斜面部1320を備えており、傾斜面部1320には螺子孔1321が形成されている。押し付け具9が収納姿勢にある時には、軸部921の延長線上に螺子孔1321が位置するようになっている。本実施形態では、仮固定部132の傾斜面部1320と被押圧部130の第1傾斜片1300の傾斜角度は同じであり、押し付け具9の押圧部92の傾斜状の軸部921に対して直角方向となっている。
【0061】
図14に示すように、本実施形態では、ベース13は、離間対向する垂直壁状の2つのスライド部133を備えている。
図15(B)に示すように、ベース13がパネル本体の上端の溝部に設けられた状態において、スライド部133の下端がパネル本体4の上面42に載置するようになっている。
図16に示すように、スライド部133は、パネル本体4の上端の溝部の断面形状に沿った形状を有しており、スライド部133の上端側は、上側水平部4203と上側水平部4211の間の開口を通って上方に延びており、連結部131及び操作部134は、上側水平部4203及び水平部4211の上方に位置している。
【0062】
操作部134は、ベース13の長さ方向に直交する方向に水平状に延びており、連結部131の延出部位1310´と同じ側に延びる第1部分1340と、反対側に延びる第2部分1341を備えており、図示の態様では、第1部分1340が長片、第2部分1341が短片となっている。操作部134は、連結部131と同じ高さで水平状に延びており、ベース13がパネル本体の上端の溝部に設けられた状態において、第1部分1340、第2部分1341は、パネル本体4の上側水平部4203及び水平部4211の上方に位置している。第1部分1340ないし第2部分1341に指を掛けることでベース13を適切な位置にスライド移動させることができ、ベース13の位置調整の際の操作性が良い。
【0063】
図15、
図16に示すように、ベース13は、パネル本体4の上端に形成した溝部内にパネル本体4の幅方向にスライド可能に嵌め込まれる。ベース13をパネル本体4の幅方向に移動可能とすることによって、止水パネルの設置時において、ベース13に連結された押し付け具9の位置調整を容易に行うことができ、また、押し付け具9を収納姿勢と押圧姿勢の間で向きを変える時に、必要に応じてベース13をスライド移動させることもできる。ベース13が溝部内に設けられた状態において、スライド部133の上方への移動が、第1立ち上がり辺420(傾斜部4201)と第2立ち上がり辺421(上側水平部4211)によって規制されるため、溝部内のベース13が上方へ抜けてパネル本体4から脱落することが防止される。また、塞ぎプレート44の上端は、溝部の幅方向端部を塞ぐようにパネル本体4の上面42よりも上方に延びているので、ベース13がパネル本体4の幅方向端部から抜け出ることが防止される。したがって、止水パネルの運搬時や収納時に、ベース13(及びベース13に連結された押し付け具9)を止水パネルと一体で運搬、収納することができ、また、ベース13(及びベース13に連結された押し付け具9)がパネル本体4から離脱して紛失するような事態を未然に防止することができる。
【0064】
[C-3]押し付け具とベースの連結構造
本実施形態では、押し付け具9は、押し付け具9の連結片913をベース13の連結部131の面部1310の上方に位置させ、連結片913の長孔914と連結部131の螺子孔1311を一致させて、長孔914と螺子孔1311を通る螺子14を用いて連結されている(
図18、
図20参照)。螺子14の軸部140は垂直状に延び、押し付け具9の長孔914を挿通し、先端側の雄螺子がベース13の螺子孔1311に螺合している。螺子14の軸部140の下端部位にはナット141が装着されている。
【0065】
螺子14の軸部140は、クリアランスを有して長孔914を挿通しており、軸部140を中心としてベース13に対して押し付け具9が回転可能であり、かつ、軸部140は長孔914内を長さ方向に(第1端部9140と第2端部9141の間)移動可能であることから、押し付け具9は軸部140に対して長孔914の長さ方向に移動可能となっている。押し付け具9の連結片913は、螺子14の軸部140に対して軸方向に移動可能であり、したがって、連結片913に対して螺子14(及び螺子14と螺合されたベース13)は軸方向に移動可能である。螺子14の軸部140はベース13の連結部131の螺子孔1311に螺合しており、螺子14とベース13は一体で上下動するようになっている。
【0066】
図24(B)、
図25(B)に示すように、押圧前の状態では、押し付け具9の連結片913がベース13の連結部131の面部1310(
図24(B)、
図25(B)では、実際には同じ高さ位置にある操作部134の第1部分1340に隠れているが、説明の便宜上、参照番号“1310”を示す)上に載置した状態であり、
図24(A)、
図25(A)に示すように、押圧後の状態では、押し付け具9の連結片913に対して、ベース13の連結部131の面部1310が下方に離間した状態となる。連結片913に対する連結部131の下方への移動量が押し込み量となる。
図24(B)、
図25(B)に示すように、押圧前の状態では、螺子14の頭部が押し付け具9の連結片913の上方に離間しており、
図24(A)、
図25(A)に示すように、押圧後の状態では、螺子14の頭部が押し付け具9の連結片913の上面に当接している。したがって、押圧前の状態において、軸部140の連結片913と頭部との間の部分140´(
図25(B)参照)の高さ寸法によってパネルの押し込み量が決定される。ベース13の連結部131の面部1310(延出部位1310´)に対する螺子14の軸部140の位置を調整することで適切な押し込み量を設定することができる。
【0067】
押し付け具9を軸部140を介してベース13に対して可動に連結するためには、押し付け具9側の孔はいわゆるルーズ孔(当該ルーズ孔に対する軸部の移動を許容するクリアランスを有している)であればよく、長孔に限定されず、丸孔でもよい。本実施形態では連結のための軸部として螺子14を用いたが、軸部が押し付け具9側の孔及びベース13側の孔を共に挿通するようにしてもよい。例えば、軸部に対するベース13の位置を固定せずに、パネルの押し込み時に、軸部がベース13の連結部131に形成した挿通孔(図示せず)を下動するようにしてもよい(この場合、押し込み量の設定が必要な場合には、上記手法とは異なる手法で行う)。
【0068】
[C-4]押し付け具の収納姿勢と押圧姿勢
押し付け具9は、パネル本体4の上端に設けられたベース13に可動に連結されており、収納姿勢と押圧姿勢の間で姿勢(向き)が変更可能となっている。止水パネルの保管時、運搬時には、押し付け具9を収納姿勢とし、止水パネルの下方押し込み時には、押し付け具9を押圧姿勢とする。
【0069】
図17、
図18に、収納姿勢(第1の姿勢ないし向き)にある押し付け具9を示す。
図18(A)に示すように、収納姿勢において、押し付け具9の掴持部90は、第1辺900、第2辺901がパネル本体4の厚さ方向に延び、第3辺902がパネル本体4の幅方向に延びた姿勢となり、パネル本体4の幅方向端部の直上に位置している。第1辺900がパネル本体4の幅方向端部に位置し、第2辺901がパネル本体4の幅方向端部から遠い側に位置する。
図18(B)に示すように、第1辺900の下側延長部9001を塞ぎプレート44の上端部位に外側から当接させることで収納姿勢の位置決めが可能である。螺子14の軸部140は、押し付け具9の連結片913の長孔914の第1端部9140に位置している。
【0070】
収納姿勢では、支持部91はベース13の連結部131、仮固定部132の直上に位置しており、押し付け具9の収納姿勢の位置決め時に、支持部91に設けた押圧部92の軸部921の延長線上に仮固定部132の螺子孔1321が位置するようになっており、ハンドル920を回して軸部921を斜め下方に移動させることで、軸部921の先端側の雄螺子が螺子孔1321に螺合して仮固定される。収納姿勢において、押し付け具9は、パネル本体4の直上に位置して、概ね、パネル本体4の厚さ内に納まっており、複数枚の止水パネルを重ねて保管する場合も省スペースで済む。押し付け具9はパネル本体14に設けたベース13に仮固定されているので、押し付け具9を止水パネルと一体で持ち運ぶことができ運搬が容易である。また、押し付け具9は、パネル本体4に設けたベース13に連結されているので、止水パネルと一体で保管することができ、止水パネルと異なる場所に保管してしまうおそれや、紛失のおそれがない。
【0071】
収納姿勢にある押し付け具9において、ハンドル920を回して軸部921の下端側の雄螺子と螺子孔1321の螺合を解除することで、螺子14の軸部140を中心として、ベース13に対して押し付け具9が可動(軸部140を中心とする回動、長孔914の長さ方向のスライド移動、軸部140の軸方向の移動)となる。このようにして、収納姿勢にある押し付け具9の向きを変えて押圧姿勢とすることができる。
【0072】
図19~
図22に、押圧姿勢(第2の姿勢ないし向き)にある押し付け具9を示す。押圧姿勢において、押し付け具9の掴持部90は、パネル本体4の第2面部41より室内側に位置しており、第1辺900、第2辺901がパネル本体4の第2面部41に平行して延び、第3辺902はパネル本体4の第2面部41から離間する方向に延びた姿勢となる。押圧姿勢において、支持部91の第2側壁912の下端の連結片913がベース13の連結部131上に載置しており、第1側壁911の下端の突縁9111がパネル本体4の上端(上側水平部4203、上側水平部4211)に載置する。こうすることで、押圧時にパネル本体4の上端に対する押圧部9の水平姿勢が保たれる。押圧姿勢において、押圧部92の軸部921の下端が第1傾斜片1300に当接可能となっており、押圧部92のハンドル920を第1の方向に回すことで、軸部921の下端が第1傾斜片1300を下方に押圧する。本実施形態では、押圧姿勢では、螺子14の軸部140は、押し付け具9の連結片913の長孔914の第2端部9141に位置している。
図18(B)と
図20(B)を比べるとわかるように、ベース13の位置は、押し付け具9が収納姿勢の場合に比べて、押圧姿勢の場合の方がパネル本体4の幅方向端部側に寄っている。このように、図示の態様では、収納姿勢と押圧姿勢では、長孔914における軸部140の位置が移動しており、かつ、パネル本体4の幅方向に対するベース13の位置も変わっているが、これには限定されない。
【0073】
掴持部90の第1辺900、第2辺901、第3辺902を、縦枠3の第2見付面31、第1見付面30、第1見込面32にそれぞれ近接対向させた状態において、掴持部90の第1辺900と縦枠3の第2見付面31の間の遊び(クリアランス)、掴持部90の第2辺901と縦枠3の第1見付面30の間の遊び(クリアランス)が存在しており、押し込み時に、掴持部90は僅かに傾動可能である(
図24(A)、
図25(A))。
図24(B)、
図25(B)の状態において、第1辺900の下側延長部9001は縦枠3の第2見付面(垂直面)31から離間するように下側に向かって外側に緩やかに傾斜しており、第2辺901の上側延長部9010の内面は縦枠3の第1見付面(垂直面)30から離間するように上側に向かって外側に緩やかに傾斜している。
図24(B)、
図25(B)の状態において、掴持部90及び支持部91が傾くことで、第1辺900の下側延長部9001(当接シート903)が縦枠3の第2見付面31に当接し、第2辺901の上側延長部9010(当接シート904)が縦枠3の第1見付面30に当接する。この時、第1辺900の下側延長部9001の内面(傾斜面)がほぼ垂直姿勢となって、縦枠3の第2見付面(垂直面)31に面接触し、第2辺901の上側延長部9010の内面(傾斜面)がほぼ垂直姿勢となって、縦枠3の第1見付面(垂直面)30に面接触する(
図24(A)、
図25(A))。
【0074】
第1辺900の下側延長部9001が縦枠3の第2見付面31に面接触し、第2辺901の上側延長部9010が縦枠3の第1見付面30に面接触した初期の傾動姿勢から、押圧部92のハンドル920を回転させることで、軸部921が斜め下方に移動し、ベース13の被押圧部130の第1傾斜片1300を下方に押圧し、パネル本体4の上面42を押圧して、パネル本体4を斜め下方へ押し付ける。
図24(B)、
図25(B)に示すように、押圧前の状態では、押し付け具9の連結片913がベース13の連結部131の面部1310上に載置した状態であり、螺子14の頭部が押し付け具9の連結片913の上方に離間している。この状態から、軸部921の下端がベース13の被押圧部130の第1傾斜片1300を下方に押し込むと、ベース13と螺子14とパネル本体4が一体で下方に移動し、連結片913に対してベース13の連結部131の面部1310が下方に離間するように下動し、螺子14が長孔914を通って下動し、螺子14の頭部が連結片913の上面に当接することで押し込み完了となる。押圧後の状態では、
図24(A)、
図25(A)に示すように、押し付け具9の連結片913に対して、ベース13の連結部131の面部1310が下方に離間した状態となり、螺子14の頭部が押し付け具9の連結片913の上面に当接する。
【0075】
押し付け具9による押圧時に、パネル本体4から反力によって、支持部91の先端側を持ち上げようとする力を作用させながらパネル本体4を斜め下方に押し付けるが、支持部91の先端側を持ち上げようとする力は、掴持部90を傾動させて、掴持部90と縦枠3との当接部分(第1辺900の下側延長部9001と縦枠3の第2見付面31との当接、第2辺901の上側延長部9010と縦枠3の第1見付面30との当接)をさらに押し付ける力として作用し、掴持部90と縦枠3の当接部分に摩擦が発生し、掴持部90(第1辺900、第2辺901)が縦枠3を掴持した状態となって、軸部921が斜め下方に移動する力がより確実にパネル本体4に作用してパネル本体4を斜め下方に押し付ける。
【0076】
本実施形態では、押し付け具9を用いた下方への押し込み操作時に、第1辺900の下側延長部9001の内面(当接シート903)が縦枠3の第2見付面31に面接触し、第2辺901の上側延長部9010の内面(当接シート904)が縦枠3の第1見付面30に面接触しているので、内面に貼り付けられた滑り難い当接シート903、904と相俟って、より大きな下方への押し付け力でパネル本体4を下方に押圧することができ、より安定した防水性能を得ることができる。
【0077】
[D]止水パネルの保護構造
止水パネルの保護構造の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図26~
図32は第1実施形態(左右の側方保護カバー15と下方保護カバー16を用いた保護構造)に係り、
図33、
図34は第2実施形態(左右の側方保護カバー15を用いた保護構造)に係り、
図35、
図36は第3実施形態(下方保護カバー16を用いた保護構造)に係り、
図37~
図39は第4実施形態(コーナー保護カバー17を用いた保護構造)に係る。
【0078】
[D-1]第1実施形態
第1実施形態に係る保護構造は、止水パネルの周囲の三方に設けた左右の側方水密部材5及び下方水密部材6を覆う左右の側方保護カバー15及び下方保護カバー16を備えている。止水パネルの幅方向両端部には左右の側方水密部材5を覆うように左右の側方保護カバー15が着脱可能に装着されており、止水パネルの下端部位には下方水密部材6を覆うように下方保護カバー16が着脱可能に装着されている。左右の側方保護カバー15の内面と当該側方保護カバー15に覆われた左右の側方水密部材5は離間しており、下方保護カバー16の内面と当該下方保護カバー16に覆われた下方水密部材6は離間している。
【0079】
図26、
図27に示すように、側方保護カバー15は、パネル本体4の第2面部41の幅方向両端部位に高さ方向に亘って設けた左右の側方水密部材5をそれぞれ覆うように、止水パネルの幅方向両端部に高さ方向に亘って装着される側方保護カバーであり、止水パネルの高さ方向に延びる長尺部材である。
図27に示すように、側方保護カバー15の上端157は側方水密部材5の上端よりも上方に位置しており、側方保護カバー15の下端158は側方水密部材5の下端よりも下方に位置している。
【0080】
図29に示すように、側方保護カバー15は、止水パネルの幅方向端部に装着された状態において、パネル本体4の第1面部40側に位置する第1部150と、パネル本体4の第2面部41側に位置する第2部151と、パネル本体4の側端面(塞ぎプレート44)側に位置する第3部152とからなり、第1部150と第2部151の間の溝部に、止水パネルの幅方向両端部が挟持されている。パネル本体4の第2面部41の幅方向端部に設けられた側方水密部材5は、側方保護カバー15の第2部151の内面と離間した状態で、第2部151によって覆われている。
【0081】
側方保護カバー15の第1部150は、パネル本体4の第1面部40に沿って延びる見付辺である。
図29、
図31に示すように、第1部150の内面には、複数の突部153が高さ方向(上端157と下端158間の全高)に亘って形成されている。側方保護カバー15が止水パネルに装着された状態において、第1部150は、高さ方向に延びる突部153においてパネル本体4の第1面部40に当接している。図示の態様では、第1部150の先端、及び、先端から基端側に離間した部位に幅細の突部153が形成されており、さらに基端側に離間して幅広の突部153が形成されているが、突部153の本数や幅は図示の態様に限定されない。
【0082】
側方保護カバー15の第2部151は、パネル本体4の第2面部41側に位置する複数の辺1510、1511、1512、1513、1514から形成されている。
図29、
図31に示すように、第2部151は、第3部152の端部(第2面部41側)から第2面部41から離間するように傾斜状に延びる第1辺(傾斜辺)1510と、第1辺1510の先端から第2面部41に平行に延びる第2辺(見付辺)1511と、第2辺1511の先端から第2面部41に向かって延びる第3辺(見込辺)1512と、第3辺1512の先端から第2面部41に平行に延びる第4辺(見付辺)1513と、第4辺1513の先端から第2面部41に向かって延びる第5辺(見込辺)1514とからなる。第5辺1514の先端は第2面部41までは達しておらず、第2面部41から離間しており、固定手段8の帯状のベルト80の挿通を可能としている。第2部151の第4辺1513の内面には幅広の突部154が高さ方向(上端157と下端158間の全高)に亘って形成されており、第5辺1514の内面には幅広の突部155が高さ方向(上端157と下端158間の全高)に亘って形成されている。
【0083】
側方保護カバー15が止水パネルに装着された状態において、第2部151は、高さ方向に延びる突部154、155においてパネル本体4の第2面部41に設けた当接部材7(ベース70とズレ止め部材71からなる)に当接しており、第2部151の第1辺1510、第2辺1511、第3辺1512の内面が、パネル本体4の第2面部41に設けられた側方水密部材5と離間している。なお、突部154、155の本数や幅は図示の態様に限定されない。第2部151の第4辺1513の下方部位には、螺子159が設けてあり、側方保護カバー15が止水パネルに装着された状態において、螺子159の軸部1590が当接部材7(ベース70とズレ止め部材71からなる)の下面に下方から当接している(
図30参照)。なお、第2部151の断面形状ないし辺の個数や形状は、図示の態様に限定されるものではなく、例えば、側方水密部材5や当接部材7の断面形状や寸法等によっても異なり得る。
【0084】
側方保護カバー15の第3部152は、パネル本体4の側端面に沿って延びる見込辺である。第3部152の内面には、幅細の突部156が高さ方向(上端157と下端158間の全高)に亘って形成されている。側方保護カバー15が止水パネルに装着された状態において、第3部152は、高さ方向に延びる突部156においてパネル本体4の側端面(塞ぎプレート44)に当接している。なお、突部156の本数や幅は図示の態様に限定されない。
【0085】
側方保護カバー15は、止水パネルの幅方向両端部に高さ方向から(側方保護カバー15の高さ方向)からスライドさせて装着される。側方保護カバー15の内面に突成された突部153、154、155、156は側方保護カバー15の高さ方向に延びる突条であり、これらの突条は、側方保護カバー15を止水パネルの幅方向端部に高さ方向からスライド装着する際に摺接部として機能する。
【0086】
1つの態様では、側方保護カバー15は、止水パネルの幅方向端部に下方から上方に向かってスライドさせて装着される。スライド装着時には、第1部150の複数の突部153がパネル本体4の第1面部40との摺接部となり、第2部151の突部154、155がパネル本体4の第2面部41に設けた当接部材7との摺接部となり、第3部152の突部156がパネル本体4の側端面(塞ぎプレート44)との摺接部となる。側方保護カバー15が装着位置までスライド移動すると、螺子159の軸部1590が当接部材7(ベース70)の下面に当接することで、パネル本体4の高さ方向に対する側方保護カバー15の位置決めが行われる。
【0087】
側方保護カバー15が止水パネルに装着された状態において、第1部150の突部153がパネル本体4の第1面部40に当接し、第2部151の第4辺1513の突部154、第5辺1514の突部155が、パネル本体4の第2面部41に設けた当接部材7に当接し(突部154が当接部材7の見付面、突部155が当接部材7の見込面に当接する)、第3部152の突部156がパネル本体4の側端面(塞ぎプレート44)に当接しており、第2部151の第1辺1510、第2辺1511、第3辺1512が、パネル本体4の第2面部41に設けられた側方水密部材5と離間している。
図29に示すように、突部153を備えた第1部(見付辺)150と突部154を備えた第2部151の第4辺(見付辺)1513が対向しており、対向する見付辺(150、1513)間に止水パネルの幅方向端部が挟持されている。本実施形態では、側方保護カバー15の突部153、154間の寸法は、パネル本体4の厚さ寸法(第1面部40と第2面部41間の寸法)より僅かに小さく設定されており、第1部150と第2部151が弾性で僅かに拡開した状態で止水パネルの幅方向端部を挟持している。さらに、突部156を備えた第3部(見込辺)152と突部155を備えた第2部151の第5辺(見込辺)1514が対向しており、対向する見込辺(152、1514)間に止水パネルの幅方向端部が挟持されている。本実施形態では、側方保護カバー15の突部155、156間の寸法(パネル本体4の第2面部41に沿った見付方向の寸法)は、パネル本体の側端面(塞ぎプレート44)と当接部材7の内方の見込面との間の寸法(パネル本体4の第2面部41に沿った見付方向の寸法)より僅かに小さく設定されており、第3部152に対して第2部151の第5辺1514が弾性で僅かに拡開した状態で止水パネルの幅方向端部を挟持している。
【0088】
側方保護カバー15は弾性を有しており、止水パネルの幅方向端部を挟持するように作用する弾性力及び当接部と止水パネルとの摩擦力によって、側方保護カバー15は止水パネルの幅方向端部に装着(挟着)されている。なお、第2部151の第4辺1513の突部154は、当接部材7のズレ止め部材71に当接しているのでパネル本体4に当接する場合に比べて大きい摩擦力が得られる。
【0089】
下方保護カバー16は、パネル本体4の下面43に幅方向に亘って設けた下方水密部材6を覆うように、止水パネルの下端部に幅方向に亘って装着される下方保護カバーであり、止水パネルの幅方向に延びる長尺部材である。下方保護カバー16は、断面視において、対向状の第1部160、第2部161と、第1部160の基端側と第2部161の基端側を連結する第3部162と、からコ字状を有しており、第1部160と第2部161の間に、止水パネルの下端部を挟み込む溝部が形成されている。下方保護カバー16の第1部160は、パネル本体4の第1面部40に沿って延びる見付辺であり、第2部161は、パネル本体4の第2面部41に沿って延びる見付辺であり、第3部162は、パネル本体4の下面43に対向して延びる見込辺である。
【0090】
下方保護カバー16が止水パネルの下端部に装着された状態において、第1部160はパネル本体4の第1面部40側に位置しており、第2部161はパネル本体4の第2面部41側に位置しており、第3部162はパネル本体4の下面43側に位置しており、第1部160と第2部161の間に止水パネルの下端部が挟持されており、パネル本体4の下面43に設けられた下方水密部材6は、第1部160、第2部161、第3部162の内面と離間した状態で、下方保護カバー16によって覆われている。
【0091】
図30に示すように、第1部160の内面の上方部位には、水平状の突起163が下方保護カバー16の長さ方向(長さ方向左右の端部166、167間の全長)に亘って形成されており、突起163の上側部位が、パネル本体4の第1面部40の下端部位との当接部となっている。本実施形態では、第1部160の内面の前記上側部位には係合突部164が形成されており、パネル本体4の第1面部40の下端部位には係合突部400が形成されている。第2部161の内面の上方部位には、水平状の突起165が下方保護カバー16の長さ方向(長さ方向左右の端部166、167間の全長)に亘って形成されており、突起165の上側部位が、パネル本体4の第2面部41の下端部位との当接部となっている。本実施形態では、下方保護カバー16の第1部160の係合突部164と第2部161の内面との間の寸法は、パネル本体4の厚さ寸法(第1面部40と第2面部41間の寸法)より僅かに小さく設定され、第1部160の内面と第2部161の内面との間の寸法は、パネル本体4の第1面部40の係合突部400と第2面部41との間の寸法よりも僅かに小さく設定されており、第1部160と第2部161が弾性で僅かに拡開した状態で止水パネルの下端部を挟持している。
【0092】
下方保護カバー16が止水パネルに装着された状態において、第1部160の内面の上端部位の係合突部164が、パネル本体4の第1面部40の下方部位に形成した係合突部400と係合しており、係合突部164がパネル本体4の第1面部40の下端部位に当接し、係合突部400が第1部160の内面の上側部位に当接している。第2部161の内面の上側部位が、パネル本体4の第2面部41の下端部位に当接している。突起163の上面が、パネル本体4の第1面部40側の下端431に当接しており、突起165の上面が、パネル本体4の第2面部41側の下端4300に当接している。
【0093】
下方保護カバー16は、止水パネルの下端部に下方(下方保護カバー16の長さ方向に直交する方向)から被せるように装着される。下方保護カバー16の装着時には、第1部160の内面の上側部位がパネル本体4の第1面部40との摺接部となり、第2部161の内面の上側部位がパネル本体4の第2面部41との摺接部となり、下方保護カバー16が装着位置まで移動すると、第1部160の突起163の上面が、パネル本体4の第1面部40側の下端431に当接し、第2部161の突起165の上面が、パネル本体4の第2面部41側の下端4300に当接することで、パネル本体4の高さ方向に対する下方保護カバー16の位置決めが行われる。この時、第1部160の内面の上側部位の係合突部164がパネル本体4の第1面部40の下端部位に当接し、パネル本体4の第1面部40の下端部位の係合突部400が第1部160の内面の上側部位に当接し、第2部161の内面の上側部位がパネル本体4の第2面部41と当接する。止水パネルに左右の側方保護カバー15及び下方保護カバー16が装着された状態において、左右の側方保護カバー15の第1部150の先端、第2部151の先端(パネル内方側)と、下方保護カバー16の長さ方向端部166、167は僅かに離間している(
図27左図参照)。
【0094】
下方保護カバー16は弾性を有しており、止水パネルの下端部を挟持するように作用する弾性力及び係合部・当接部と止水パネルとの摩擦力によって、下方保護カバー16は止水パネルの下端部に装着(挟着)されている。
【0095】
本実施形態では、側方保護カバー15、下方保護カバー16は、所定の断面形状を備えた樹脂材から形成されているが、側方保護カバー15、下方保護カバー16の材料や成形方法は限定されず、金属を折り曲げ形成したり、あるいは、複数の金属部材を連結(溶接や螺子止め等)したり、金属と樹脂を組み合わせたものでもよい。
【0096】
止水パネルの保管時には、止水パネルを立て掛けて保管する場合が多いと考えられる。止水パネルを立て掛けて保管する場合の向きには、止水パネルの幅方向を水平方向とした横置き(
図26の姿勢)と、止水パネルの幅方向を高さ方向とした縦置きがあるが、第1実施形態に係る止水パネルの保護構造は、止水パネルの横置き、縦置きの両方に対応することができる。
【0097】
横置きにおいて、止水パネルの保護構造の下端は、左右の側方保護カバー15の下端158と、下方保護カバー16の第3部162と、から構成される(なお、図示の態様では、
図27左図に示すように、側方保護カバー15の下端158が下方保護カバー16の第3部162よりも僅かに下方に位置しているが、同面でもよいし、あるいは、側方保護カバー15の下端158に対して下方保護カバー16の第2部162が下方に位置してもよい。)。止水パネルの水平姿勢時において、側方水密部材5の下端及び下方水密部材6の下端は、左右の側方保護カバー15の下端158と、下方保護カバー16の第3部162よりも上方に位置しており、したがって、止水パネルを床面に横置きした場合には、左右の側方保護カバー15の下端158と、下方保護カバー16の第3部162が床面に当接することになり、側方水密部材5及び下方水密部材6が床面に接触することがない。また、側方水密部材5の下端は側方保護カバー15の下端158よりも上方に離間して位置しており、下方水密部材6の下端は下方保護カバー16の第3部162よりも上方に離間して位置しており、横置き時に側方保護カバー15の下端158ないし下方保護カバー16の下端に力や衝撃が加わった場合であっても、力や衝撃が直接に側方水密部材5の下端及び下方水密部材6の下端に伝達されることがない。
【0098】
縦置きにおいて、止水パネルの保護構造の下端は、左右の側方保護カバー15の一方の側方保護カバー15の第3部152から構成される。止水パネルが縦向きにある時において、側方水密部材5の下端及び下方水密部材6の下端は、側方保護カバー15の第3部152よりも上方に位置しており、したがって、止水パネルを床面に縦置きした場合には、一方の側方保護カバー15の第3部152が床面に当接することになり、側方水密部材5及び下方水密部材6が床面に接触することがない。また、側方水密部材5の下端は側方保護カバー15の第3部152よりも上方に離間して位置しており、縦置き時に側方保護カバー15の第3部152に力や衝撃が加わった場合であっても、力や衝撃が直接に側方水密部材5に伝達されることがない。
【0099】
第1実施形態に係る止水パネルの保護構造では、左右の側方水密部材5、下方水密部材6が全長において、左右の側方保護カバー15、下方保護カバー16に覆われており、左右の側方水密部材5、下方水密部材6が露出することがないので、梱包時、搬送時、保管時のいずれの場合においても、左右の側方水密部材5、下方水密部材6が梱包材、保管袋、周囲環境に存在する何等かの物体等に接触するなどしてダメージを受けることがない。さらに、左右の側方保護カバー15の内面と当該側方保護カバー15に覆われた左右の側方水密部材5は離間しており、下方保護カバー16の内面と当該下方保護カバー16に覆われた下方水密部材6は離間しているので、側方保護カバー15や下方保護カバー16によって側方水密部材5や下方水密部材6が変形したりすることがなく、側方保護カバー15や下方保護カバー16に作用した外力が内部の側方水密部材5や下方水密部材6に直接伝達することがない。止水パネルの保護構造において、側方保護カバー15及び下方保護カバー16は、止水パネルに着脱可能に固定(装着)されているので、取手45を持って止水パネルを持ち上げても側方保護カバー15及び下方保護カバー16が外れることがなく、側方水密部材5及び下方水密部材6が保護された状態で止水パネルの向きの変更(止水パネルを持ち上げた状態での向きの変更のみならず、例えば、止水パネルの角部を支点に縦横の向きを変える場合であっても、角部に位置する水密部材が側方水密部材5の下端部位によって保護される)、止水パネルの持ち運びが容易であり、止水パネルの保管姿勢や保管場所に融通性があり、また、保管時のみならず梱包時や搬送時においても止水パネルの水密部材の保護が可能である。
【0100】
[D-2]第2実施形態
第2実施形態に係る保護構造は、止水パネルの周囲の三方のうちの左右の側方水密部材5を覆う左右の側方保護カバー15を備えている。止水パネルの幅方向両端部には左右の側方水密部材5を覆うように左右の側方保護カバー15が着脱可能に装着されている。左右の側方保護カバー15の内面と当該側方保護カバー15に覆われた左右の側方水密部材5は離間している。側方保護カバー15の構成や止水パネルに対する装着については、第1実施形態に係る記載を援用することができる。
【0101】
図33、
図34に示すように、横置きにおいて、止水パネルの保護構造の下端は、左右の側方保護カバー15の下端158から構成される。止水パネルの水平姿勢時において、側方水密部材5の下端及び下方水密部材6の下端は、左右の側方保護カバー15の下端158よりも上方に位置しており、したがって、止水パネルを床面に横置きした場合には、左右の側方保護カバー15の下端158が床面に当接することになり、側方水密部材5及び下方水密部材6が床面に接触することがない。また、側方水密部材5の下端は側方保護カバー15の下端158よりも上方に離間して位置しており、下方水密部材6の下端は側方保護カバー15の下端158よりも上方の高さ位置にあり、横置き時に側方保護カバー15の下端158に力や衝撃が加わった場合であっても、力や衝撃が直接に側方水密部材5の下端及び下方水密部材6の下端に伝達されることがない。
【0102】
縦置きにおいて、止水パネルの保護構造の下端は、左右の側方保護カバー15の一方の側方保護カバー15の第3部152から構成される。止水パネルが縦向きにある時において、側方水密部材5の下端及び下方水密部材6の下端は、側方保護カバー15の第3部152よりも上方に位置しており、したがって、止水パネルを床面に縦置きした場合には、一方の側方保護カバー15の第3部152が床面に当接することになり、側方水密部材5及び下方水密部材6が床面に接触することがない。また、側方水密部材5の下端は側方保護カバー15の第3部152よりも上方に離間して位置しており、縦置き時に側方保護カバー15の第3部152に衝撃が加わった場合であっても、衝撃が直接に側方水密部材5に伝達されることがない。
【0103】
[D-3]第3実施形態
第3実施形態に係る保護構造は、止水パネルの周囲の三方のうちの下方水密部材6を覆う下方保護カバー16を備えている。止水パネルの下端部には下方水密部材6を覆うように下方保護カバー16が着脱可能に装着されている。下方保護カバー16の内面と当該下方保護カバー16に覆われた下方水密部材6は離間している。下方保護カバー16の構成や止水パネルに対する装着については、第1実施形態に係る記載を援用することができる。
【0104】
横置きにおいて、止水パネルの保護構造の下端は、下方保護カバー16の第3部162から構成される。止水パネルが水平姿勢にある時において、側方水密部材5の下端及び下方水密部材6の下端は、下方保護カバー16の第3部162よりも上方に位置しており、したがって、止水パネルを床面に横置きした場合には、下方保護カバー16の第3部162が床面に当接することになり、側方水密部材5及び下方水密部材6が床面に接触することがない。また、側方水密部材5の下端は下方保護カバー16の第3部162の高さ位置よりも上方に位置しており、下方水密部材6の下端は下方保護カバー16の第3部162よりも上方に離間して位置しており、横置き時に下方保護カバー16の下端に力や衝撃が加わった場合であっても、力や衝撃が直接に側方水密部材5の下端及び下方水密部材6の下端に伝達されることがない。
【0105】
[D-4]第4実施形態
第4実施形態に係る保護構造は、止水パネルの4つの角部にコーナー保護カバー17を着脱可能に設けたものである(
図37参照)。止水パネルの幅方向両端の下方の2つの角部に設けた2つのコーナー保護カバー17は、側方水密部材5の下端部位及び下方水密部材6の長さ方向両端部を覆っており、コーナー保護カバー17の内面と側方水密部材5の下端部位及び下方水密部材6の長さ方向両端部は離間している。止水パネルの幅方向両端の上方の2つの角部に設けた2つのコーナー保護カバー17は、側方水密部材5の上端部位を覆っており、コーナー保護カバー17と側方水密部材5の上端部位は離間している。止水パネルの載置姿勢(横置き及び縦置き)において、左右の側方水密部材5及び下方水密部材6は前記コーナー保護カバー17の下端の高さ位置よりも上方に位置しており、側方水密部材5及び下方水密部材6が床面に接触することがない。
【0106】
第4実施形態において、止水パネルの幅方向両端の下方の2つの角部に2つのコーナー保護カバーを設けたことによって、三方に設けた水密部材の角部における密着部位(左右の側方水密部材5の下端部位と下方水密部材6の長さ方向両端部位の密着部位であって、接着剤、両面テープ等によって接着されている)を良好に保護することができる。
【0107】
図38、
図39に示すように、コーナー保護カバー17は、第1面部170、第2面部171、第3面部172、第4面部173を備え、第1面部170と第2面部171が対向し、第3面部172、第4面部173に対向する面は開放状となっている。コーナー保護カバー17が止水パネルに装着された状態では、第1面部170、第2面部171が見付面となり、第3面部172が見込面となり、上側のコーナー保護カバー17においては、第4面部173が上面、下側のコーナー保護カバー17においては、第4面部173が下面となっている。
【0108】
図39に示すように、第2面部171の先端側には、第1面部170に向かって延びる見込辺174が形成されており、見込辺174の先端とパネル本体4の第2面部41は離間している。第1面部170の内面には、高さ方向に亘って突部175が形成されており、第2面部171の内面には、高さ方向に亘って突部177が形成されており、第3面部172の内面には、高さ方向に亘って2本の突部176が形成されており、見込辺174の先端には、高さ方向に亘って、対向する第3面部172に向かって突部178が形成されている。突部177は、第2面部171の高さ方向に延びる垂直部1770と第4面部173と一体化された水平部1771とからL形状を有している。なお、突部175、176、177、178の数や形状は図示の態様に限定されない。
【0109】
上側のコーナー保護カバー17は、上方から下方にスライドさせることで、止水パネルの上方の角部に装着される。下側のコーナー保護カバー17は、下方から上方にスライドさせることで、止水パネルの下方の角部に装着される。コーナー保護カバー17の内面に突成された突部175、176、177、178はコーナー保護カバー17の高さ方向に延びる突条であり、これらの突条は、コーナー保護カバー17を止水パネルの幅方向端部に高さ方向からスライド装着する際に摺接部として機能する。
【0110】
図39(A)は、装着状態の上側のコーナー保護カバー17の横断面図であるが、装着状態の下側のコーナー保護カバー17の横断面図も同様の構成となっている。コーナー保護カバー17が止水パネルに装着された状態において、第1面部170の突部175がパネル本体4の第1面部40に当接し、第2面部171の突部177の垂直部1770がパネル本体4の第2面部41に設けた当接部材7の見付面に当接し、下側のコーナー保護カバー17においては、第2面部171の突部177の水平部1771が当接部材7の下端に当接し(上側のコーナー保護カバー17においては、第2面部171の突部177の水平部1771は止水パネルの上端部位に当接しても、していなくてもよい)、第3面部172の当接部176がパネル本体4の側端面(塞ぎプレート44)に当接し、見込辺174の突部178が当接部材7の見込面に当接している。
図39(A)に示すように、突部175を備えた第1面部170と突部177を備えた第2部171が対向しており、対向する見付辺(170、171)間に止水パネルの幅方向端部が挟持されている。さらに、突部176を備えた第3面部172と突部178を備えた見込辺)174が対向しており、対向する見込辺(172、174)間に止水パネルの幅方向端部が挟持されている。装着状態にあるコーナー保護カバー17によって、側方水密部材5の上端部位、側方水密部材5の下端部位と下方水密部材6の長さ方向両端部位の接続部(密着部位)が覆われており、かつ、側方水密部材5、下方水密部材6のコーナー保護カバー17に覆われた部位とコーナー保護カバー17(第1面部170、第2面部171、第3面部172、第4面部173)の内面とは離間している(
図39(A)、(B)参照)。
【0111】
横置きにおいて、止水パネルの保護構造の下端は、左右の下側のコーナー保護カバー17の第4面部173から構成される。止水パネルの水平姿勢時において、側方水密部材5の下端及び下方水密部材6の下端は、左右の下側のコーナー保護カバー17の第4面部173よりも上方に位置しており、したがって、止水パネルを床面に横置きした場合には、左右の下側のコーナー保護カバー17の第4面部173が床面に当接することになり、側方水密部材5及び下方水密部材6が床面に接触することがない。また、側方水密部材5の下端は下側のコーナー保護カバー17の第4面部173よりも上方に離間して位置しており、下方水密部材6の下端は下側のコーナー保護カバー17の第4面部173よりも上方の高さ位置にあり、横置き時に下側のコーナー保護カバー17の第4面部173に力や衝撃が加わった場合であっても、力や衝撃が直接に側方水密部材5の下端及び下方水密部材6の下端に伝達されることがない。
【0112】
縦置きにおいて、止水パネルの保護構造の下端は、上下のコーナー保護カバー17の第3面部172から構成される。止水パネルが縦向きにある時において、側方水密部材5の下端及び下方水密部材6の下端は、上下のコーナー保護カバー17の第3面部172よりも上方に位置しており、したがって、止水パネルを床面に縦置きした場合には、上下のコーナー保護カバー17の第3面部172が床面に当接することになり、側方水密部材5及び下方水密部材6が床面に接触することがない。また、側方水密部材5の下端は上下のコーナー保護カバー17の第3面部172よりも上方に離間して位置しており、縦置き時に上下のコーナー保護カバー17の第3面部172に衝撃が加わった場合であっても、衝撃が直接に側方水密部材5に伝達されることがない。
【符号の説明】
【0113】
4 パネル本体
40 第1面部
41 第2面部
43 下面
44 塞ぎプレート(側端面)
5 側方水密部材(第2水密部材、第3水密部材)
6 下方水密部材(第1水密部材)
15 側方保護カバー
150 第1部
151 第2部
1513 第4辺
1514 第5辺
152 第3部
153 突部(当接部)
154 突部(当接部)
155 突部(当接部)
156 突部(当接部)
16 下方保護カバー
160 第1部
161 第2部
162 第3部
17 コーナー保護カバー