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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/22 20160101AFI20220815BHJP
【FI】
H02K11/22
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018139313
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020018088
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】坂 吉和
(72)【発明者】
【氏名】後藤 利典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 毅
(72)【発明者】
【氏名】竹本 保幸
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-018711(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0294824(US,A1)
【文献】特開2010-093872(JP,A)
【文献】特開2006-246629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトに支持された回転体と、
前記回転体を収容するハウジングと、
前記シャフトの長手方向において、前記回転体に対向する面を有する回路基板と、
前記シャフトに支持されたロータと、
ステータと、
前記回路基板の前記面に設けられた発光部と、
前記回路基板の前記面に設けられた受光部と、を備え、
前記発光部と前記受光部は、径方向において、互いに離間して配置されており、
前記シャフトの長手方向において、前記ステータと前記回転体との間に、前記回路基板があり、
前記回転体は、前記回路基板側の面と、外周面と、当該外周面の内側にある突出部と、を備え、
前記ハウジングは、外周面を備え、
径方向において、前記回転体の外周面は、前記ハウジングの外周面に対して内側にあり、
前記シャフトの長手方向において、前記回転体の前記回路基板側の面には前記突出部が設けられており、
前記突出部が前記シャフトの回転に伴って前記発光部と前記受光部との間を通過する、モータ。
【請求項2】
前記突出部の形状は、筒状であり、
前記突出部の外周面には、貫通孔が形成されている、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記突出部の形状は、筒状であり、
前記突出部の外周面には、周方向において、所定の間隔にて複数の貫通孔が形成されている、請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記ハウジングは、径方向に延在するベース部を備え、
前記ベース部に前記回路基板が支持されている、請求項1乃至3のいずれか1項記載のモータ。
【請求項5】
前記ハウジングを第1ハウジングとして、
前記第1ハウジングに連結された第2ハウジングを備え、
前記第2ハウジングは、前記ステータを収容する、請求項1乃至4のいずれか1項記載のモータ。
【請求項6】
軸受を備え、
前記軸受は、径方向において、前記回転体の内側に配置されている、請求項1乃至5のいずれか1項記載のモータ。
【請求項7】
前記突出部の形状は、円柱である、請求項1に記載のモータ。
【請求項8】
前記ハウジングの内周面は、前記回転体の外周面に対向している、請求項1乃至7のいずれか1項記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ部、軸保持部及びフランジとから構成され、モータ部はモータ用マグネット、駆動コイル、軸方向にギャップGを形成するための上ヨークと下ヨーク、及び回転するモータ用マグネットの位置を検出して駆動コイルへの電流切り替え用信号を順次得るために周方向に設置された3個のホール素子とから構成されているモータが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
このモータ装置では、複数の磁気センサによりロータの回転に伴って変化する磁束を検出し、この検出結果に基づいてロータの回転角を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭60-82056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に開示されるモータでは、周方向における回転体(多面鏡)の位置を検出するためにホール素子を用いていたが、周方向における回転体の位置と同期させてホール素子から信号を出力することが難しかった。
【0006】
本発明は、上述の課題を一例とするものであり、回転角度を精度良く検出することができるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るモータは、シャフトと、前記シャフトに支持された回転体と、前記シャフトの長手方向において、前記回転体に対向する面を有する回路基板と、前記回路基板の前記面に設けられた発光部と、前記回路基板の前記面に設けられた受光部と、を備え、前記発光部と前記受光部は、径方向において、互いに離間して配置されており、前記シャフトの長手方向において、前記回転体の面には突出部が設けられており、前記突出部が前記シャフトの回転に伴って前記発光部と前記受光部との間を通過する。
【0008】
本発明の一態様に係るモータにおいて、前記突出部の形状は、筒状であり、前記突出部の外周面には、貫通孔が形成されている。
【0009】
本発明の一態様に係るモータにおいて、前記突出部の形状は、筒状であり、前記突出部の外周面には、周方向において、所定の間隔にて複数の貫通孔が形成されている。
【0010】
本発明の一態様に係るモータにおいて、径方向に延在するベース部を有するハウジングを備え、前記ベース部に前記回路基板が支持されている。
【0011】
本発明の一態様に係るモータにおいて、ステータを備え、前記回路基板は、前記シャフトの長手方向において、前記回転体と前記ステータとの間に配置されている。
【0012】
本発明の一態様に係るモータにおいて、軸受を備え、前記軸受は、径方向において、前記回転体の内側に配置されている。
【0013】
本発明の一態様に係るモータにおいて、前記突出部の形状は、円柱である。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係るモータは、シャフトと、前記シャフトに支持された回転体と、前記シャフトの長手方向において、前記回転体に対向する面を有する回路基板と、前記回路基板の面に設けられた発光部と、前記回路基板の前記面に設けられた受光部と、を備え、前記シャフトの長手方向において、前記回転体の面には突出部が設けられており、径方向において、前記発光部と前記受光部は、前記突出部の外周面に対向して配置されており、前記突出部の外周面は、前記発光部から発光された光を前記受光部へ反射させる反射面を有することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るモータによれば、回転角度を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るモータの構成を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るモータの構成を概略的に示す図1のA-A断面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るモータの回転体の構成を概略的に示す斜視図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るモータの回路基板とハウジングとを分離した状態で示す斜視図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るモータの回路基板とハウジングとを組み立てた状態で示す斜視図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係るモータの回転体の変形例を示すための図であり、図6(a)は、回転体の第1の変形例を示す斜視図であり、図6(b)は、回転体の第2の変形例を示す斜視図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に係るモータの回転体の構成を概略的に示す斜視図である。
図8】本発明の第2の実施の形態に係るモータの回路基板とハウジングの構成を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0018】
[1.第1の実施の形態]
はじめに、図1乃至図5を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るモータの構成について説明する。
【0019】
[1-1.モータの全体構成]
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るモータの全体構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るモータ1の構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1のA-A線に沿う断面における断面図である。
【0020】
以下、説明の便宜上、軸線x方向において矢印a方向を上側aとし、矢印b方向を下側bとする。また、軸線xに対して垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、軸線xから遠ざかる方向(図1の矢印c方向)を外周側cとし、軸線xに向かう方向(図1の矢印d方向)を内周側dとする。そして、軸線xを中心とする円周方向(図1の矢印e方向)を周方向eとする。
【0021】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るモータ1は、軸線xを中心に反時計回りに回転するシャフト2と、シャフト2に支持された回転体3と、回転体3に対向する面4aを有する回路基板4(図2参照)と、回路基板4の面4aに設けられて光を発光する発光部5(図2参照)と、回路基板4の面4aに設けられて発光部5から発光された光を受光する受光部6(図2参照)とを備えている。
【0022】
また、図2に示すように、モータ1は、内部に回転体3及び回路基板4を収容するハウジング7と、シャフト2を囲むステータ9とを有している。
【0023】
シャフト2は、長手方向(以下、軸線x方向と呼称する)における上側aに配置された端部2aと、軸線x方向における下側bに配置された端部2bとを有し、軸線xを中心に反時計回りに回転する。シャフト2の上側aの部分は、後述する回転体3の孔部31から上側aへ突出している。
【0024】
[1-2.回転体の構成]
次いで、図2及び図3を参照して、回転体3の構成について説明する。図3は、モータ1の回転体3の構成を概略的に示す斜視図である。
【0025】
図2及び図3に示すように、回転体3は、底部30aと筒部30bを有しており、軸線x方向における上側aにある上面3aと、回路基板4の面4aに対向する面3bと、回路基板4側に配置される端面3eと、上面3aと端面3eとの間にあるとともに軸線x方向における外周側cにある外周面3cと、上面3aと端面3eとの間にあるとともに軸線x方向における内周側dにある内周面3dとを有している。回転体3は、回路基板4に接触することなくシャフト2の回転に伴って軸線xを中心として反時計回りに回転する。
【0026】
図2に示すように、回転体3の上面3aには、シャフト2の軸線x方向における上側aの部分が挿通する孔部31が形成されている。孔部31は、軸線x方向における上側aへ突出した円筒形状を有している。
【0027】
図3に示すように、軸線x方向において、回転体3の面3bには突出部32が設けられている。突出部32の形状は、軸線xを中心とする円筒状であり、面3bから回路基板4(図2参照)側へ突出している。また、突出部32は、回転体3の内周面3dより内周側dに配置されている。この突出部32の回路基板4側の端面32aは、回路基板4の面4aと所定の間隔を隔てるように配置されている(図2参照)。
【0028】
突出部32は、軸線x方向において下側bに配置され、シャフト2の回転に伴って発光部5と受光部6(図2参照)との間を通過する円筒状の下側の部分33と、下側の部分33の上側aに配置された円筒状の上側の部分34とを有している。下側の部分33及び上側の部分34は、突出部32の一部であるが実際は一体化されて配置されている。
【0029】
突出部32の下側の部分33は、突出部32の端面32aを回路基板4に対して対向して配置させた状態において、発光部5の先端5a(図2参照)及び受光部6の先端6a(図2参照)と対向する位置から端面32aまでの部分である。突出部32の下側の部分33は、発光部5及び受光部6と所定の間隔を隔てるように配置されている。シャフト2が回転すると、突出部32の下側の部分33は、シャフト2の回転に伴って発光部5及び受光部6に接触することのない状態で発光部5と受光部6との間を通過する。
【0030】
突出部32の上側の部分34は、突出部32の端面32aを回路基板4に対して対向して配置させた状態において、発光部5の先端5a(図2参照)及び受光部6の先端6a(図2参照)と対向する位置から回転体3の面3bまでの部分である。
【0031】
図3に示すように、突出部32の外周側cにある外周面32cには、周方向eにおいて、発光部5から発光された光が通過する長方形状の貫通孔35が形成されている。
【0032】
貫通孔35は、突出部32の外周側cにある外周面32cから内周側dにある内周面32dへ貫通している。また、貫通孔35は、突出部32の外周面32cに等間隔に複数(本発明の第1の実施の形態では、4個。)形成されている。
【0033】
なお、貫通孔35は、突出部32の下側の部分33及び上側の部分34に形成されている場合について説明するが、貫通孔35の少なくとも一部が突出部32の下側の部分33に形成されていればよく、突出部32の下側の部分33にのみ形成されていてもよい。
【0034】
[1-3.回路基板の構成]
次いで、図4及び図5を参照して、回路基板4の構成について説明する。図4は、モータ1の回路基板4とハウジング7とを分離した状態で示す斜視図である。図5は、モータ1の回路基板4とハウジング7とを組み立てた状態で示す斜視図である。
【0035】
図4に示すように、回路基板4は、径方向へ延在しており、回転体3側の面4aと、ステータ9に対向する面であるステータ9側の面4bと、面4aと面4bとの間で外周側cにある一対の側面4c及び一対の側面4dとを有している。一対の側面4cは、径方向に延在している。一対の側面4dは、一対の側面4cと略垂直な方向に面している。回路基板4は、シャフト2の軸線x方向において、回転体3とステータ9との間に配置されている(図2参照)。
【0036】
図5に示すように、回路基板4の面4aには、発光部5及び受光部6が設けられている。発光部5と受光部6とは、径方向において、互いに離間して配置されている。具体的には、外周側cに発光部5が配置され、内周側dに受光部6が配置されている。
【0037】
発光部5及び受光部6は、光学センサであり、発光部5は、赤外線LED(Light Emitting Diode)や半導体レーザ等の光源である。受光部6は、フォトダイオードやフォトトランジスタ等である。
【0038】
図4に示すように、回路基板4には、後述するハウジング7のボス77が挿入される孔部41と、孔部41の縁部分である縁部42と、シャフト2及び後述するハウジング7の孔部79が挿通される孔部43とを有している。縁部42はステータ9側に突出した形状に形成されている。
【0039】
孔部41は、回路基板4に複数(本発明の第1の実施の形態では、2個。)形成されている。孔部41は、一対の側面4c近傍にそれぞれ形成されており、回路基板4の面4aから回路基板4の面4bへ貫通している。孔部41に後述するハウジング7のボス77が挿入されると、回路基板4は、シャフト2の長手方向(軸線x方向)において回転体3とステータ9との間に配置される(図2参照)。
【0040】
縁部42は、側面4cから外周側cへ突出している。縁部42は、後述するハウジング7のボス77が孔部41に挿入されると、ハウジング7の縁部78と接触する。
【0041】
孔部43は、回路基板4の中央又は略中央に形成されており、回路基板4の面4aから回路基板4の面4bへ貫通している。
【0042】
[1-4.ハウジングの構成]
次いで、図2図4及び図5を参照して、ハウジング7の構成について説明する。
【0043】
図5に示すように、ハウジング7は、軸線x方向における上側aに配置されて回転体3の外周面3cを覆う上側ハウジング71と、軸線x方向における下側bに配置されてステータ9を収容する下側ハウジング72とを有している。
【0044】
図4に示すように、上側ハウジング71は、軸線x方向における上側aに配置された端面71aと、軸線xを中心とする円盤状又は略円盤状で端面71aの下側bに配置された下面71bと、端面71aと下面71bとの間にあるとともに軸線x方向における外周側cにある外周面71cとを有している。外周面71cは、回転体3の外周面3cの外周側cに配置される。
【0045】
上側ハウジング71の下面71bは、軸線x方向における上側aに配置されて回転体3に対向する回転体3側の底面73と、軸線x方向における下側bに配置されて回路基板4に対向する回路基板4側の底面74とを有している。
【0046】
図5に示すように、上側ハウジング71の下面71bには、発光部5及び受光部6を露出させる孔75が形成されている。孔75は、回路基板4を上側ハウジング71に固定する際に、回路基板4の面4aに配置された発光部5及び受光部6が、軸線x方向における下側bから上側aへ挿通可能に形成されている。具体的には、孔75は、回転体側の底面73から回路基板4側の底面74へ貫通している。
【0047】
図4に示すように、回路基板4側の底面74は、径方向に延在するベース部76と、円柱形状又は略円柱形状のボス77と、回路基板4の縁部42に接触する縁部78と、内部にシャフト2が挿通される円筒状又は略円筒形状の挿通孔79hが形成された孔部79とを有している。
【0048】
ベース部76は、径方向における両端部において回路基板4の一対の側面4dを係止する爪80a,80bを有している。ボス77は、回路基板4側の底面74から軸線x方向における下側bへ突出している。爪80a,80bに回路基板4の一対の側面4dが係止されるとともに、回路基板4の孔部41にボス部44が挿入されると、ベース部76に対して回路基板4が支持されることになる。このとき、縁部78は、回路基板4の縁部42に接触する。
【0049】
孔部79は、回路基板側の底面74から軸線x方向における下側bへ延出しており、ベース部76に回路基板4が支持されると、回路基板4の孔部43に挿通される。
【0050】
図2に示すように、上側ハウジング71と下側ハウジング72とは、上側ハウジング71の外周側cに形成された突起7aを下側ハウジング72に形成された孔7bに挿入することにより連結される。
【0051】
上側ハウジング71及び下側ハウジング72の内部には、シャフト2を含むロータ8と、ロータ8を囲むステータ9が収容されている。また、ハウジング7の内部には、シャフト2の軸線x方向における上側aの部分を回転可能に支える軸受81aと、シャフト2の軸線x方向における下側bの部分を回転可能に支える軸受81bとを有している。
【0052】
軸受81a及び軸受81bは、径方向において、回転体3の内側に配置されている。具体的には、軸受81a及び軸受81bは、回転体3の上面3aより下側bで、且つ、回転体3の突出部32より内周側dに配置されている。
【0053】
ロータ8は、シャフト2と、シャフト2を囲むように環状に形成されたコア83と、コア83の外周側cの面を囲むように環状に形成されたマグネット84とを有している。シャフト2の上側aの部分は、孔部31に挿通されている。シャフト2の外周側cの面と孔部31の内周側dの面との間にはブッシュ82が取り付けられている。
【0054】
ステータ9は、ロータ8を囲むように環状に形成されたステータコア91と、ステータコア91から内周側dに延在した延在部(図示せず)に巻回されたコイル92と、ステータコア91とコイル92とを絶縁するインシュレータ(図示せず)とを有している。
【0055】
[1-5.回転位置の検出方法]
次いで、モータ1の回転位置の検出方法について説明する。
【0056】
ロータ8及びステータ9によってシャフト2が軸線xを中心に反時計回りに回転すると、シャフト2に支持された回転体3も反時計回りに回転する。
【0057】
そして、回転体3が回転すると、突出部32の下側の部分33が発光部5及び受光部6に接触することなく発光部5と受光部6との間を通過する。この際、回転体3の回転に伴って突出部32に形成された貫通孔35が発光部5と受光部6との間を通過するため、受光部6により発光部5からの受光の有無が生じる。すなわち、発光部5と受光部6との間を貫通孔35が通過すると受光部6が発光部5からの光を受光する。また、突出部32の下側の部分33のうち貫通孔35以外の部分が発光部5及び受光部6と対向すると、発光部5からの光が遮蔽されるため、受光部6は発光部5からの光を受光することができない。このようにして受光の有無が生じ、その受光タイミングによって、図示しないコントロールユニット等を介してシャフト2の回転角度(回転位置)、回転数及び回転速度が検出される。
【0058】
このようにモータ1において、回転体3の突出部32が発光部5と受光部6との間を通過し、受光部6が受光する発光部5からの光の受光タイミングによってシャフト2の回転位置を検出している。このため、シャフト2の回転に伴って変化する磁束を検出して回転位置を検出する場合と比較して、環境温度の変化が回転角度の検出精度に影響されず、回転角度を精度良く検出することができる。
【0059】
また、発光部5及び受光部6が設けられた回路基板4がハウジング7のベース部76に支持されているため、発光部5及び受光部6を径方向に水平に配置することができる。特に、回路基板4の孔部41にベース部76のボスを挿入することによりベース部76に回路基板4を支持させるため、容易に水平に配置することができる。
【0060】
さらに、回路基板4の一対の側面4cを係止する爪80a,80bを有しているため、回路基板4を回転体3の径方向に水平に配置させた状態を維持することができる。
【0061】
また、発光部5及び受光部6が設けられた回路基板4は、軸線x方向において回転体3とステータ9との間に配置されているため、シャフト2及び回転体3の位相を調整し易くすることができる。
【0062】
そして、軸受81a及び軸受81bは、回転体3の上面3aより軸線x方向における下側bで、且つ、回転体3の突出部32の内周側dに配置されている。このため、モータ1の軸線x方向における高さを低くして全体的に小型化を図ることができる。
【0063】
なお、上述した本発明の第1の実施の形態においては、発光部5から発光された光が通過する貫通孔35は、突出部32の外周面32cに複数形成されている場合について説明したが、外周面32cに貫通孔35が1つ形成されていてもよい。この場合、受光部6が発光部5からの光の受光タイミングにより、シャフト2の回転数及び回転速度を検出することができる。
【0064】
[1-6.変形例]
次いで、図6を参照して、上述した第1の実施の形態に係るモータ1の回転体3の第1の変形例及び第2の変形例について説明する。図6は、モータ1の回転体3の変形例を示すための図であり、図6(a)は、モータ1における第1の変形例を示すための回転体103aの斜視図であり、図6(b)は、モータ1における第2の変形例を示すための回転体103bの斜視図である。以下、前述の第1の実施の形態に係るモータ1と同様又は類似する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0065】
図6(a)に示すように、回転体103aは、回路基板4の面4aに対向する面3bから回路基板4側(図2参照)へ突出する突出部132aを有している。突出部132aは、円柱形状を有している。この突出部132aは、回転体3の内周面3dより内周側dに配置されている。
【0066】
突出部132aは、軸線xを中心とする周方向eにおいて、等間隔に複数(本第1の変形例では、4個。)配置されている。すなわち、複数の突出部132aは、軸線xを中心に等角度(本第1の変形例では、90度。)間隔に配置されている。
【0067】
また、突出部132aは、軸線x方向において下側bに配置され、シャフト2の回転に伴って発光部5と受光部6(図2参照)との間を通過する下側の部分133aと、下側の部分133aの軸線x方向における上側aに配置された上側の部分134aとを有している。下側の部分133a及び上側の部分134aは、突出部132aの一部であるが実際は一体化されて配置されている。
【0068】
突出部132aの下側の部分133aは、突出部132aの端面130aを回路基板4に対して対向して配置させた状態において、発光部5の先端5a(図2参照)及び受光部6の先端6a(図2参照)と対向する位置から端面130aまでの部分である。突出部132aの下側の部分133aは、発光部5及び受光部6(図2参照)と所定の間隔を隔てるように配置されている。シャフト2が回転すると、突出部132aの下側の部分133aは、シャフト2の回転に伴って発光部5及び受光部6に接触することのない状態で発光部5と受光部6との間を通過する。
【0069】
突出部132aの上側の部分134aは、突出部132aの端面130aを回路基板4に対して対向して配置させた状態において、発光部5の先端5a(図2参照)及び受光部6(図2参照)の先端6aと対向する位置から回転体103aの面3bまでの部分である。
【0070】
そして、シャフト2の回転に伴って回転体103aが回転すると、突出部132aの下側の部分133aが発光部5及び受光部6(図2参照)に接触することなく発光部5と受光部6との間を通過する。この際、受光部6により発光部5からの受光の有無が生じる。すなわち、発光部5と受光部6との間を突出部132aが通過していない状態では、受光部6が発光部5からの光を受光する。また、突出部132aの下側の部分133aが発光部5及び受光部6を通過すると、発光部5からの光が遮蔽されるため、受光部6は発光部5からの光を受光することができない。このようにして受光の有無が生じ、その受光タイミングによって、図示しないコントロールユニット等を介してシャフト2の回転角度(回転位置)、回転数及び回転速度が検出される。
【0071】
なお、上述した本第1の変形例においては、突出部132aは、回転体103aに複数配置されている場合について説明したが、突出部132aは回転体103aに1本のみ配置されていてもよい。また、突出部132aは、円柱形状である場合について説明したが、四角柱形状、三角柱形状、筒形状等であってもよい。
【0072】
図6(b)に示すように、回転体103bは、回路基板4の面4aに対向する面3bから回路基板4(図2参照)側へ突出する突出部132bを有している。突出部132bの形状は、軸線xを中心とする円筒状である。この突出部132bは、回転体3の内周面3dより内周側dに配置されている。
【0073】
突出部132bには、端面130bから面3bへ向かって切り欠いた切り欠き135bが形成されている。切り欠き135bは、軸線xを中心として等間隔に複数(本第1の変形例では、4個。)形成されている。
【0074】
また、突出部132bは、軸線x方向において下側bに配置され、シャフト2の回転に伴って発光部5と受光部6(図2参照)との間を通過する下側の部分133bと、下側の部分133bの軸線x方向における上側aに配置された上側の部分134bとを有している。下側の部分133b及び上側の部分134bは、突出部132bの一部であるが実際は一体化されて配置されている。
【0075】
突出部132bの下側の部分133bは、突出部132bの端面130bを回路基板4に対して対向して配置させた状態において、発光部5の先端5a(図2参照)及び受光部6の先端6a(図2参照)と対向する位置から端面130bまでの部分である。突出部132bの下側の部分133bは、発光部5及び受光部6(図2参照)と所定の間隔を隔てるように配置されている。シャフト2が回転すると、突出部132bの下側の部分133bは、シャフト2の回転に伴って発光部5及び受光部6に接触することのない状態で発光部5と受光部6との間を通過する。
【0076】
突出部132bの上側の部分134bは、突出部132bの端面130bを回路基板4に対して対向して配置させた状態において、発光部5の先端5a(図2参照)及び受光部6(図2参照)の先端6aと対向する位置から回転体103bの面3bまでの部分である。
【0077】
そして、シャフト2の回転に伴って回転体103bが回転すると、突出部132bの下側の部分133bが発光部5(図2参照)及び受光部6(図2参照)に接触することなく発光部5と受光部6との間を通過する。この際、回転体103bの回転に伴って突出部132bに形成された切り欠き135bが発光部5と受光部6との間を通過するため、受光部6により発光部5からの受光の有無が生じる。すなわち、発光部5と受光部6との間を切り欠き135bが通過すると受光部6が発光部5からの光を受光する。また、突出部132bの下側の部分133bのうち切り欠き135b以外の部分が発光部5及び受光部6と対向すると、発光部5からの光が遮蔽されるため、受光部6は発光部5からの光を受光することができない。このようにして受光の有無が生じ、その受光タイミングによって、図示しないコントロールユニット等を介してシャフト2の回転角度(回転位置)、回転数及び回転速度が検出される。
【0078】
なお、上述した本第2の変形例においては、突出部132bには、切り欠き135bが複数形成されている場合について説明したが、切り欠き135bが突出部132bに1箇所のみ形成されていてもよい。
【0079】
[2.第2の実施の形態]
次いで、図7及び図8を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るモータの構成について説明する。図7は、本発明の第2の実施の形態に係るモータの回転体203の構成を概略的に示す斜視図である。図8は、本発明の第2の実施の形態に係るモータの回路基板4とハウジング207の構成を概略的に示す斜視図である。以下、前述の第1の実施の形態に係るモータ1と同様又は類似する構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
図7に示すように、回転体203は、回路基板4の面4aに対向する面3bから回路基板4側へ突出する突出部232を有している。突出部232の形状は、軸線xを中心とする円筒状である。この突出部232は、回転体203の内周面3dより内周側dに配置されている。
【0081】
突出部232は、軸線x方向において下側bに配置され、シャフト2の回転に伴って後述する発光部205及び受光部206(図8参照)の内周側dを通過する円筒状の下側の部分233と、下側の部分233の上側aに配置された円筒状の上側の部分234とを有している。下側の部分233及び上側の部分234は、突出部232の一部であるが実際は一体化されて配置されている。
【0082】
突出部232の下側の部分233は、突出部232の端面230を回路基板4に対して対向して配置させた状態において、発光部205の先端205a(図8参照)及び受光部206の先端206a(図8参照)と対向する位置から端面230までの部分である。突出部232の下側の部分233は、発光部205及び受光部206と所定の間隔を隔てるように配置されている。シャフト2が回転すると、突出部232の下側の部分233は、シャフト2の回転に伴って発光部205及び受光部206に接触することのない状態で発光部205及び受光部206の内周側dを回転する。
【0083】
突出部232の上側の部分234は、突出部232の端面230が回路基板4に対して対向して配置させた状態において、発光部205の先端205a(図8参照)及び受光部6の先端206a(図8参照)が対向する位置から回転体3の面3bまでの部分である。
【0084】
図7に示すように、突出部232の外周側cにある外周面32cは、発光部205から発光された光を反射する長方形状の反射面235を有する。反射面235は、等間隔に複数(本発明の第2の実施の形態では、4個。)配置されている。
【0085】
図8に示すように、回路基板4(図2参照)の面4aには、発光部205及び受光部206が設けられている。発光部205と受光部206とは、径方向に沿って、突出部232の外周面32cに対向して配置されている。
【0086】
ハウジング207は、軸線x方向における上側aに配置されて回転体203の外周面3cを覆う上側ハウジング271と、軸線x方向における下側bに配置されてステータ9(図2参照)を収容する下側ハウジング72とを有している。
【0087】
上側ハウジング271の下面271bは、軸線x方向における上側aに配置されて回転体203に対向する回転体3側の底面273と、軸線x方向における下側bに配置されて回路基板4(図2参照)に対向する回路基板4側の底面274とを有している。
【0088】
上側ハウジング271の下面271bには、発光部205及び受光部206を露出させる孔275が形成されている。孔275は、回路基板4(図4参照)を上側ハウジング271に固定する際に、回路基板4の面4aに配置された発光部205及び受光部206が、軸線x方向における下側bから上側aへ挿通可能に形成されている。具体的には、孔275は、回転体3側の底面273から回路基板4側の底面274へ貫通して形成されている。
【0089】
そして、回転体203が回転すると、突出部232の下側の部分233が発光部205及び受光部206に接触することなく発光部205及び受光部206の内周側dを回転する。この際、回転体203の回転に伴って突出部232の反射面が発光部205及び受光部206の内周側dを通過するため、受光部206により発光部205からの受光の有無が生じる。すなわち、発光部205及び受光部206に反射面235が対向すると受光部206が発光部205からの光を受光する。また、突出部232の下側の部分233のうち反射面235以外の部分が発光部205及び受光部206と対向すると、受光部206は発光部205からの光を受光することができない。このようにして受光の有無が生じ、その受光タイミングによって、図示しないコントロールユニット等を介してシャフト2の回転角度(回転位置)、回転数及び回転速度が検出される。
【0090】
このようにモータ1において、回転体203の突出部232が発光部205及び受光部206の内周側dを通過し、受光部206が受光する発光部205からの光の受光タイミングによってシャフト2(図2参照)の回転位置を検出している。このため、シャフト2の回転に伴って変化する磁束を検出して回転位置を検出する場合と比較して、環境温度の変化が回転角度の検出精度に影響されず、回転角度を精度良く検出することができる。
【0091】
なお、上述した第2の実施の形態においては、反射面235は、突出部232の外周面32cに複数配置されている場合について説明したが、反射面235は、突出部232の外周面32ccに1個配置されていてもよい。また、突出部232の外周面32cは、反射面であり、発光部205からの光を受光部206へ反射させない非反射面を有していてもよい。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係るモータ1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【0093】
なお、本発明の第1の実施の形態及び第2の実施の形態に係る回転体3,203の形状は、回転体3,203の突出部32,232が、発光部5,205及び受光部6,206に対向することにより、受光部206の発光部205からの光の受光の有無が生じる形状であれば適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…モータ、2…シャフト、2a,2b…端部、3…回転体、3a…上面、3b…面、3c…外周面、3d…内周面、3e…端面、4…回路基板、4a…回転体側の面、4b…ステータ側の面、4c,4d…側面、5…発光部、5a…先端、6…受光部、6a…先端、7…ハウジング、7a…突起、7b…孔、8…ロータ、9…ステータ、30a…底部、30b…筒部、31…孔部、32…突出部、32a…端面、32c…外周面、32d…内周面、33…下側の部分、34…上側の部分、35…貫通孔、36…境界、41…孔部、42…縁部、43…孔部、71…上側ハウジング、71a…端面、71b…下面、71c…外周面、72…下側ハウジング、73…回転体側の底面、74…回路基板側の底面、75…孔、76…ベース部、77…ボス、78…縁部、79…孔部、79h…挿通孔、80a,80b…爪81a,81b…軸受、82…ブッシュ、83…コア、84…マグネット、91…ステータコア、92…コイル、103a…回転体、103b…回転体、130a…端面、130b…端面、132a…突出部、132b…突出部、133a…下側の部分、133b…下側の部分、134a…上側の部分、134b…上側の部分、135b…切り欠き部、203…回転体、205…発光部、205a…先端、206…受光部、206a…先端、207…ハウジング、230…端面、232…突出部、233…下側の部分、234…上側の部分、235…反射面、236…境界、271…上側ハウジング、271b…下面、273…回転体側の底面、274…回路基板側の底面、275…孔、a…上側、b…下側、c…外周側、d…内周側、e…円周方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8