IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オルガノ株式会社の特許一覧

特許7122910カバー付電気式脱イオン水製造装置及び純水製造装置
<>
  • 特許-カバー付電気式脱イオン水製造装置及び純水製造装置 図1
  • 特許-カバー付電気式脱イオン水製造装置及び純水製造装置 図2
  • 特許-カバー付電気式脱イオン水製造装置及び純水製造装置 図3
  • 特許-カバー付電気式脱イオン水製造装置及び純水製造装置 図4
  • 特許-カバー付電気式脱イオン水製造装置及び純水製造装置 図5
  • 特許-カバー付電気式脱イオン水製造装置及び純水製造装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】カバー付電気式脱イオン水製造装置及び純水製造装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/469 20060101AFI20220815BHJP
   B01D 61/48 20060101ALI20220815BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20220815BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
C02F1/469
B01D61/48
B01D61/58
C02F1/44 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018162617
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020032385
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】水島 拓哉
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-042692(JP,A)
【文献】特開平07-265865(JP,A)
【文献】特開2014-188465(JP,A)
【文献】特開2011-000576(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0034292(US,A1)
【文献】実開平06-081188(JP,U)
【文献】特開2010-104888(JP,A)
【文献】松田 年博,EDIシステムの紹介,神鋼パンテック技報,Vol. 44, No. 1,日本,2000年08月,pp. 25-29
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00- 71/82
C02F 1/44
C02F 1/46- 1/48
B65D 88/00- 90/66
H05K 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のフレームを有する電気式脱イオン水製造装置と、
前記電気式脱イオン水製造装置の上面を覆う上面パネルと、
前記電気式脱イオン水製造装置の側面を全周に渡って覆う複数の側面パネルと、
前記上面に固定された梁部材と、
前記梁部材に固定されたフレーム部材と、を有し、
前記フレーム部材は前記電気式脱イオン水製造装置から間隔をあけて前記電気式脱イオン水製造装置の周囲に配置され、前記側面パネルは前記フレーム部材に支持され、前記上面パネルは前記フレーム部材と前記梁部材の少なくともいずれかに支持される、カバー付電気式脱イオン水製造装置。
【請求項2】
前記電気式脱イオン水製造装置は前記側面から外側に延びる配管を有し、少なくとも一つの前記側面パネルは互いに独立して着脱可能な第1の部分と第2の部分とを有し、前記第1の部分は第1の切欠きを有し、前記第2の部分は第2の切欠きを有し、前記第1の切欠きと前記第2の切欠きは前記配管が貫通する開口を協働して形成する、請求項1に記載のカバー付電気式脱イオン水製造装置。
【請求項3】
少なくとも一つの前記側面パネルはガラリ開口を有している、請求項1または2に記載のカバー付電気式脱イオン水製造装置。
【請求項4】
前記電気式脱イオン水製造装置は前記上面に第1のネジ穴を有し、
前記梁部材は前記第1のネジ穴に締結具で固定されるとともに、上面に第2のネジ穴を有し、
前記上面パネルは貫通孔を有し、
前記貫通孔を通って前記第2のネジ穴に係合する吊具を有し、前記吊具は前記第1のネジ穴に係合可能なネジ部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のカバー付電気式脱イオン水製造装置。
【請求項5】
前記電気式脱イオン水製造装置は、前記フレームの外部にあって被処理水、処理水、濃縮水または電極水が流通可能なチューブを有し、前記チューブは黒色の樹脂製チューブからなる、請求項1からのいずれか1項に記載のカバー付電気式脱イオン水製造装置。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載のカバー付電気式脱イオン水製造装置と、
前記カバー付電気式脱イオン水製造装置の上流に設けられた逆浸透膜装置と、
を有する純水製造装置。
【請求項7】
前記カバー付電気式脱イオン水製造装置に直流電源を供給する直流電源装置と、
前記直流電源装置を覆う電源パネル部材と、
を有する、請求項に記載の純水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカバー付電気式脱イオン水製造装置と純水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脱イオン水製造装置として薬剤によるイオン交換体の再生が不要な電気式脱イオン水製造装置(以下、EDIともいう)が知られている(特許文献1,2)。EDIでは、イオン交換体のイオン交換基が飽和して脱塩性能が低下したときに、イオン交換基に吸着したカチオンやアニオンが水素イオンや水酸化物イオンで置換されるため、薬剤を使用する必要がない。そのため、EDIでは薬剤の使用量を抑えつつ、純度の高い純水を製造することが可能となる。特許文献2には、EDIを含む純水製造装置をキャビネットに収容したユニット型の純水製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-80765号公報
【文献】特開2014-188465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EDIを含む純水製造装置は、従来屋内に設置されて使用されている。その理由として、EDIの脱塩室、濃縮室、電極室等を構成するフレームが耐候性に劣る樹脂で製造されていることが挙げられる。しかし、純水製造装置を屋外設置することができれば、コストの低減や配置の制約の緩和が可能となる。
【0005】
本発明は屋外設置が可能な電気式脱イオン水製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカバー付電気式脱イオン水製造装置は、電気式脱イオン水製造装置と、電気式脱イオン水製造装置の上面を覆う上面パネルと、電気式脱イオン水製造装置の側面を全周に渡って覆う複数の側面パネルと、上面に固定された梁部材と、梁部材に固定されたフレーム部材と、を有する。フレーム部材は電気式脱イオン水製造装置から間隔をあけて電気式脱イオン水製造装置の周囲に配置され、側面パネルはフレーム部材に支持され、上面パネルはフレーム部材と梁部材の少なくともいずれかに支持される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気式脱イオン水製造装置は上面を上面パネルで、側面を複数の側面パネルで覆われるため、屋外設置が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る純水製造装置の全体構成を示す図である。
図2】EDIの構成を示す概略断面図である。
図3】EDIに取り付けたカバー部材の概略斜視図である。
図4図3に示すカバー部材の分解斜視図である。
図5】梁部材と吊フックの断面図である。
図6】電源パネル部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態に係る純水製造装置1の全体構成を示している。純水製造装置1は、原水タンク11に貯蔵された被処理水である原水を順次処理して純水を製造するように、様々な設備が被処理水の流れる方向に沿って直列配置されている。原水タンク11の原水は原水ポンプ12によって除濁膜装置13に送られる。除濁膜装置13は複数の限外ろ過膜(UF)モジュールからなり、原水に含まれる高分子物質、コロイド状物質などの濁質分、菌類等を除去してろ過水を生成する。ろ過水はろ過水タンク14に貯蔵され、さらに第1の逆浸透膜(RO)ポンプ15で第1の逆浸透膜(RO)装置16に送られ、塩などが除去される。ろ過水はさらに第2のROポンプ17で第2の逆浸透膜(RO)装置18に送られ、純度がさらに高められる。第1のRO装置16と第2のRO装置18で浄化されたろ過水は脱炭酸膜装置19に送られ、炭酸が除去される。炭酸を除去された脱炭酸水はEDI20A,20Bに送られ、イオン成分がさらに除去された純水が生成され、純水タンク21に貯蔵される。脱炭酸膜装置がEDI20A,20Bの上流に設けられているのは、EDI20A,20Bに充填されるイオン交換樹脂が炭酸による劣化を受けやすいためである。原水タンク11から純水タンク21までの各装置、タンク等は予め複数のユニットのいずれかに組み込まれ、現場でこれらのユニットを連結することで,純水製造装置1を構成することができる。図1では2つのEDI20A,20Bが並列設置されているが、1台のEDIだけを設けることもできる。EDI20A,20Bは高圧の直流電圧が印加されるため、直流電源を供給する直流電源装置22A,22BがEDI毎に設けられている。本実施形態は純水製造装置を対象とするが、超純水製造装置と超純水製造装置に用いられるEDIも本発明の範囲に含まれる。
【0011】
図2はEDIのより詳細な構成を示している。2つのEDI20A,20Bは同じ構成を有しているため、ここではEDI20Aの構成について説明する。なお、図2では見易くするため、EDI20Aの構成要素を互いに離して表示している。EDI20Aの両端には陽極室31と陰極室36が設けられ、その間に濃縮室32,35と脱塩室33,34が交互に配置されている。図示のEDI20Aでは、陽極室31と第1の濃縮室32と第1の脱塩室33と第2の脱塩室34と第2の濃縮室35と陰極室36とがこの順で配置されている。第1の脱塩室33と第2の脱塩室34にはイオン交換樹脂が充填されており、第1の濃縮室32、第2の濃縮室35、陽極室31及び陰極室36にもイオン交換樹脂が充填されていてよい。個々の濃縮室32,35と脱塩室32,33は、開口のあいたフレームと、フレームの両側に設けられたイオン交換膜とによって構成されている。具体的には、図示のEDI20Aでは、陽極室31の側壁41と、陽極室31のフレーム42と、アニオン交換膜43と、第1の濃縮室32のフレーム44と、カチオン交換膜45と、第1の脱塩室33のフレーム46と、中間イオン交換膜47と、第1の脱塩室33のフレーム48と、アニオン交換膜49と、第2の濃縮室35のフレーム50と、カチオン交換膜51と、陰極室36のフレーム52と、陰極室36の側壁53と、がこの順で配置されている。中間イオン交換膜47はアニオン交換膜でもカチオン交換膜でもよく、アニオン交換膜とカチオン交換膜の両者を備えたバイポーラ膜でもよい。これらの側壁とフレームとイオン交換膜を直列配置したものはスタック23とも呼ばれる。陽極室31の側壁41、陰極室36の側壁53、各フレーム42,44,46,48,50,52は樹脂で形成されている。脱塩室と濃縮室の数は上記のものに限定されず、より多くの脱塩室と濃縮室が設けられてもよい。
【0012】
被処理水は供給配管L1によって第1の脱塩室33に供給される。EDI20Aの入口側で、供給配管L1から、第1及び第2の濃縮室34,35に被処理水を供給する供給配管L2が分岐し、さらに第1及び第2の濃縮室34,35への供給配管L2から、陰極室36に被処理水(電極水)を供給する供給配管L3が分岐している。第1の脱塩室33の出口と第2の脱塩室34の入口は連絡配管L4で接続されている。すなわち、第1の脱塩室33と第2の脱塩室34は直列に接続されている。第1の脱塩室33に供給された被処理水は第1の脱塩室33でイオン成分を除去され、さらに第2の脱塩室34でイオン成分を除去されて処理水となり、出口配管L5を通って純水タンク21に移送される。被処理水に含まれるイオン成分は第1及び第2の濃縮室32,35に移動し、第1及び第2の濃縮室32,35を流通する被処理水は濃縮水となって、出口配管L6から系外に排出される。陰極室36を出た被処理水(電極水)は陽極室31に供給され、その後系外に排出される。陰極室36の出口と陽極室31の入口は連絡チューブL7で接続されている。すなわち、陰極室36と陽極室31は直列に接続されている。
【0013】
連絡配管L4にはサンプリング装置S1が設けられている。サンプリング装置S1は連絡配管L4の近傍に取り付けられたサンプリング弁61と、その下流に設けられたサンプリングチューブ62とを有している。サンプリング弁61を開放することで連絡配管L4を流れる被処理水をサンプリングすることができる。処理水の出口配管L5と濃縮水の出口配管L6にも、同様のサンプリング弁61とサンプリングチューブ62を備えたサンプリング装置S2,S3が設けられている。これらのサンプリングチューブ62は従来ナイロン等の透明な樹脂で形成されていたが、本実施形態では黒色または暗色の樹脂製(例えばナイロン製)チューブであることが好ましい。EDI20Aを屋外設置する場合、日光の直射などによってサンプリングチューブ62の内面に藻やスライムが発生し、サンプリング水の水質が影響を受ける可能性がある。チューブを黒色または暗色にすることで光がサンプリングチューブ62の内部に透過しにくくなるため、サンプリングチューブ62の内部を清浄な状態に保つことができる。サンプリング点は上記以外の位置に設けることもできるが、被処理水、処理水、濃縮水、電極水などのサンプリングを行うものである限り同様の構成とすることができる。
【0014】
陽極室31と陰極室36とを結ぶ連絡チューブL7も黒色または暗色の樹脂製チューブで形成されている。陽極室31と陰極室36を流れる電極水の流量は脱塩室33,34を流れる被処理水や濃縮室32,35を流れる濃縮水の流量と比べてはるかに小さいため、配管ではなく樹脂製のチューブが使用されている。連絡チューブL7はスタック23の一端に位置する陽極室31と他端に位置する陰極室36とを接続するものであるため、スタック23の外部を引き回される。この結果、上述のサンプリングチューブ62と同様の問題が発生する可能性があり、サンプリングチューブ62と同様、黒色または暗色の樹脂製チューブとすることが望ましい。より一般的には、フレームないしスタック23の外部にあって被処理水、処理水、濃縮水または電極水が流通するチューブは黒色または暗色の樹脂製チューブで形成されることが望ましい。
【0015】
次に、図3~5を参照してEDI20Aを覆うカバー部材7について説明する。図3,4において、スタック23の積層方向を奥行き方向Xといい、スタック23の奥行き方向Xと直交する方向を幅方向Yという。奥行き方向Xと幅方向Yは水平方向を向いており、鉛直方向Zと直交している。カバー部材7で覆われたEDI20Aはカバー付電気式脱イオン水製造装置2を構成する。図3はカバー付電気式脱イオン水製造装置2の斜視図を、図4はカバー部材7の分解斜視図を、図5は梁部材73と吊具75の断面図を示している。カバー部材7は、EDI20Aの上面を覆う上面パネル71と、EDI20Aの側面を全周に渡って覆う複数の側面パネル72と、を有している。側面パネル72はEDI20Aの各側面を覆う計4つのパネルからなっている。図4では、手前側及び右側の側面パネル72の図示を省略している。上面パネル71はEDI20Aの上面の全面を覆っており、各側面パネル72はEDI20Aの各側面の全面を覆っている。すなわち、各側面パネル72はEDI20Aの各側面の横方向の全域だけでなく、高さ方向についてもほぼ全域を覆っている。上面パネル71と側面パネル72はポリ塩化ビニール(PVC)などの樹脂で作成され、以下に述べる梁部材73とフレーム部材74とによって支持されている。上面パネル71と側面パネル72の間及び側面パネル72同士の間は好ましくはコーキング処理される。
【0016】
梁部材73はEDI20Aの上面201に固定されている。図5を参照すると、EDI20Aは上面201に第1のネジ穴202を有している。梁部材73はC形鋼ないし溝形鋼からなり、下側フランジ731に第1のネジ穴202と重なる第1の貫通孔732が形成されている。梁部材73は、第1の貫通孔732を通り第1のネジ穴202に係合するボルトなどの締結具76によってEDI20Aに固定されている。梁部材73の上面、すなわち上側フランジ733には第2の貫通孔734が形成され、上面パネル71には第2の貫通孔734と重なる貫通孔711が形成されている。リング部75Aとネジ部75Bを有する吊具75のネジ部75Bが上面パネル71の貫通孔711と梁部材73の第2の貫通孔734に通され、下側からナット77で締結されている。これによって、梁部材73がEDI20Aの上面201に固定されるとともに、吊具75が梁部材73に固定される。
【0017】
吊具75のネジ部75Bは第1のネジ穴202に係合可能である。具体的には、吊具75は屋内設置される一般的なEDIではEDIの第1のネジ穴202に直接固定されていたものである。本実施形態では、EDI20Aを屋外に設置するために、吊具75をEDI20Aから取り外し、吊具75とEDI20Aとの間に梁部材73を設置している。EDI20Aの第1のネジ穴202と吊具75は一般的なEDIにおいて最初から備えられているものであり、屋外設置のために新たに導入するのは梁部材73だけである。本実施形態ではこのように従来の屋内設置される一般的なEDIからの変更が最小限に抑えられている。なお、吊具75は重量物であるEDI20Aの吊り上げ用に設けられているものであるが、本実施形態においても吊具75としての機能に差異はない。また、図示は省略しているが、本実施形態においては2つの梁部材73が設けられ(図3において、梁部材73のX方向奥側に梁部材73と平行な他の梁部材が設けられている)、それぞれに2つの吊具75が固定されている。
【0018】
図4を参照すると、フレーム部材74はL形鋼ないし山形鋼からなり、互いに延在方向が異なる3種類のL形鋼(第1~第3のL形鋼74A,74B,74C)を組み合わせることによって構成されている。図4においては、見易くするため、第1~第3のL形鋼74A,74B,74Cは互いに離れるように表示し、上面パネル71もフレーム部材74から離れるように表示している。第1のL形鋼74Aは2本設けられ(図4では1本のみ図示)、EDI20Aの斜め上方をスタック23の幅方向Yにおける両側縁部に沿って、概ね奥行き方向Xに延びている。第2のL形鋼74Bは2本設けられ(図4では1本のみ図示)、EDI20Aの斜め上方をスタック23の奥行き方向Xにおける両側縁部に沿って、概ね幅方向Yに延びている。第1のL形鋼74Aと第2のL形鋼74Bと梁部材73は鉛直方向Zに関してほぼ同じ高さ位置に設けられ、側方視でEDI20Aの上面201より上方にある。第3のL形鋼74Cは4本設けられ(図4では2本のみ図示)、EDI20Aの4つのコーナー部に沿って鉛直方向Zに延びている。換言すれば、第3のL形鋼74Cは第1のL形鋼74A(またはその延長線)と第2のL形鋼74B(またはその延長線)の交点から鉛直方向Z下方に延びている。本実施形態では第3のL形鋼74Cが第1のL形鋼74Aと溶接等によって接合され、第2のL形鋼74Bが第3のL形鋼74Cに溶接等によって接合されているが、第1のL形鋼74Aと第2のL形鋼74Bが直接接合されてもよい。第1~第3のL形鋼74A,74B,74Cの各々において、互いに直交する2つの面78の法線は、奥行き方向X、幅方向Y、鉛直方向Zのいずれかを向いている。これによって、第1~第3のL形鋼74A,74B,74Cの面78に上面パネル71または側面パネル72をしっかりと取り付けることが可能となっている。
【0019】
このように、フレーム部材74は梁部材73に固定され、且つEDI20Aから間隔をあけてEDI20Aの周囲に配置されている。つまり、フレーム部材74はEDI20Aに直接支持されるのではなく梁部材73によって間接的にEDI20Aに支持されるため、EDI20Aの側面にフレーム部材74を固定するための固定具などを設ける必要がない。この結果、従来の屋内設置用のEDIからの変更が最小限に抑えられている。
【0020】
上面パネル71と側面パネル72はボルトなどの適宜の締結具79(図3参照)によってフレーム部材74に支持される。また、上面パネル71と側面パネル72は締結具79を緩めることによってフレーム部材74から取り外すことができる。上面パネル71は本実施形態ではフレーム部材74に支持されているが、梁部材73に支持されていてもよく、両者に支持されていてもよい。フレーム部材74がEDI20Aから間隔をあけて取り付けられるため、上面パネル71と側面パネル72もEDI20Aから間隔をあけて取り付けられる。また、一つ若しくは複数の側面パネル72にはガラリ開口80が形成されている。EDI20Aは高電圧の直流電流を印加されるため、発熱しやすく、適切に放熱を行う必要がある。これらの構成によって、EDI20Aで生じた熱がEDI20Aと上面パネル71ないし側面パネル72との間の空間に放熱され、さらにガラリ開口80から外部に逃げるようにされているため、放熱を適切に行うことができる。暖められた空気を効率的に逃がすため、ガラリ開口80は側面パネル72の上部に設けることが好ましい。
【0021】
EDI20Aの側面には側面から外側に向けて延びる様々な配管が設置されている。このため、側面パネル72の取り付け、取り外しの際にこれらの配管との干渉を避けるため、側面パネル72は分割構造を有している。例えば、図3に示す例では、EDI20Aの側面から被処理水の供給配管L1、処理水の出口配管L5、濃縮水の供給配管L2及び出口配管L6が外側に向けて延びている。このうち被処理水の供給配管L1と、処理水の出口配管L5と、濃縮水の供給配管L2は同じ高さレベルでEDI20Aに接続されているため、側面パネル72はこの位置で第1の部分72Aと第2の部分72Bに分割されている。第1の部分72Aと第2の部分72Bは互いに独立してフレーム部材74に対して着脱可能である。第1の部分72Aは下側に開いた第1の切欠き721を有し、第2の部分72Bは上側に開いた第2の切欠き722を有している。そして、第1の部分72Aと第2の部分72Bが取り付けられたときに、第1の切欠き721と第2の切欠き722は配管L1,L2,L5が貫通する開口81を協働して形成する。なお、濃縮水の出口配管L6はEDI20Aの下部に接続されているため、側面パネル72の第2の部分72Bをさらに分割する必要はなく、第2の部分72Bの下端に出口配管L6が貫通可能な切欠き723が形成されている。
【0022】
取り付け、取り外しの際の作業性を向上させるために上面パネル71を分割構造にすることもできる。例えば、上面パネル71を奥行き方向Xに2以上のパネルに分割することができる。同様に、各側面パネル72についても、他の配管の貫通部及び配管の貫通部以外の位置でさらに分割することができる。例えば、側面パネルを奥行き方向Xまたは幅方向Yに2以上のパネルに分割することができる。さらに、EDI20Aの下部と対向する位置に、第1のL形鋼74Aと平行なL形鋼と、第2のL形鋼74Bと平行なL形鋼と、を設けてもよい。
【0023】
上述のように、これまでの純水製造設備は屋内に設置されており、その理由として、EDIのフレームが耐候性に劣る樹脂で形成されていることが挙げられる。しかし、純水製造設備を構成する他の装置で耐候性に問題のあるものは少なく、例えばポンプなどは、屋外仕様のものを選定可能である。換言すれば、EDI以外の設備は屋外設置が可能であるのに、EDIの屋外設置ができないために、従来は純水製造設備全体を屋内設置していた。EDI以外の設備を屋外設置してEDIだけを屋内設置することも可能ではあるが、その場合、EDIと屋内設置される設備とを接続する配管が長くなること、それに伴い配管の圧力損失が増加しポンプの動力費が増加することなどのデメリットが生じる。EDIと屋内設置される設備とを近接配置すればこのようなデメリットは緩和されるが、その場合、純水製造設備の配置や、屋内設置される他の設備の配置が制約される可能性がある。本実施形態ではEDIを屋外設置可能とすることで純水製造設備全体を屋外設置することができるため、このようなデメリットが生じることがない。また、屋外設置のためのカバー部材7を設けるのはEDI20A,20Bだけでよく、他の設備にカバー部材7を設ける必要はない。このため、純水製造設備の屋外仕様化に伴う追加コストも最小限に抑えられる。
【0024】
上述のように、EDIを含む純水製造装置の各設備は予めユニット化されるが、配置スペースの関係で直流電源装置22A,22Bがユニット化できない場合がある。その場合、直流電源装置22A,22Bは単独で屋外設置する可能性が生じるため、直流電源装置22A,22Bはカバー部材(以下、電源パネル部材9という)で覆うことが望ましい。図6は電源パネル部材9の正面図を示しており、電源パネル部材9は直流電源装置22A,22Bの少なくとも上面と側面とを覆っている。電源パネル部材9の正面には正面扉を開くための錠部91と電源の状態を示す表示窓92が設けられている。屋外設置がし易いように、電源パネル部材9は架台93に支持されている。なお、配置スペースに問題のない場合、直流電源装置22A,22BをそれぞれEDI20A,20Bと一緒にカバー部材7に収容してもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0025】
1 純水製造装置
2 カバー付電気式脱イオン水製造装置
9 電源パネル部材
16,18 逆浸透膜(RO)装置
20A,20B 電気式脱イオン水製造装置(EDI)
202 第1のネジ穴
22A,22B 直流電源装置
62 サンプリングチューブ
71 上面パネル
711 貫通孔
72 側面パネル
72A 第1の部分
72B 第2の部分
721 第1の切欠き
722 第2の切欠き
73 梁部材
734 第2の貫通孔
74 フレーム部材
74A 第1のL形鋼
74B 第2のL形鋼
74C 第3のL形鋼
75 吊具
80 ガラリ開口
81 開口
L1 被処理水供給配管
L2 濃縮水供給配管
L3 電極水供給配管
L4 連絡配管
L5 処理水出口配管
L6 濃縮水出口配管
L7 陰極室~陽極室連絡チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6