(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】流量制御装置、これを含む冷却システムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
F01P 7/16 20060101AFI20220815BHJP
【FI】
F01P7/16 502B
F01P7/16 502H
F01P7/16 505B
F01P7/16 505F
(21)【出願番号】P 2018226610
(22)【出願日】2018-12-03
【審査請求日】2021-06-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0089319
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒョ、ジョ
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-270652(JP,A)
【文献】特開2011-241773(JP,A)
【文献】特開2012-197729(JP,A)
【文献】特開2013-19312(JP,A)
【文献】特開2014-70630(JP,A)
【文献】特開2016-138513(JP,A)
【文献】特開2016-160872(JP,A)
【文献】実公昭47-29399(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0268866(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 7/16
F16K 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水が流入される流入口、冷却水が流出される流出口、第1冷却水供給ラインおよび第2冷却水供給ラインが形成された冷却水制御部ハウジング;
前記冷却水制御部ハウジングに装着されて冷却水を供給するウォーターポンプ;
前記第1冷却水供給ラインを選択的に遮断するバルブプレート;
前記第2冷却水供給ラインを選択的に遮断するバルブピストン;
前記バルブプレートと前記バルブピストンを選択的に移動させて前記第1冷却水供給ラインおよび前記第2冷却水供給ラインを選択的に開閉する駆動部;および
前記駆動部の作動を制御する制御器;
を含む流量制御装置。
【請求項2】
前記冷却水制御部ハウジングには、前記バルブピストンが移動可能に挿入される案内隔壁が形成された、請求項1に記載の流量制御装置。
【請求項3】
前記ウォーターポンプは、機械式ウォーターポンプである、請求項2に記載の流量制御装置。
【請求項4】
前記ウォーターポンプは、電気ウォーターポンプであり、
前記制御器は、前記電気ウォーターポンプの作動を制御する、請求項2に記載の流量制御装置。
【請求項5】
前記駆動部は、
前記バルブプレートおよび前記バルブピストンに結合し、ワックスが充填されたサーモスタットハウジング;
前記サーモスタットハウジングを弾性支持するスプリング;
前記サーモスタットハウジングの移動を案内するガイドロッド;および
前記ガイドロッドを通じて前記ワックスに熱を伝達する電気ヒーター;
を含む、請求項2に記載の流量制御装置。
【請求項6】
前記駆動部は、
前記バルブプレートおよび前記バルブピストンに結合する作動ロッド;
前記作動ロッドを弾性支持するスプリング;および
前記作動ロッドと結合して前記作動ロッドを選択的に移動させるソレノイド;
を含む、請求項2に記載の流量制御装置。
【請求項7】
上部シリンダーヘッド、前記上部シリンダーヘッドに冷却水を供給する上部ライン、前記上部シリンダーヘッドと結合する下部シリンダーヘッド、前記下部シリンダーヘッドに冷却水を供給する下部ライン、前記下部シリンダーヘッドと結合するエンジンブロックおよび前記エンジンブロックに冷却水を供給するブロックラインを含むエンジン;
前記下部シリンダーヘッドから冷却水の供給を受ける複数個の熱交換要素;
前記上部シリンダーヘッドおよび前記エンジンブロックから冷却水の供給を受けるラジエータ;
前記複数個の熱交換要素および前記ラジエータから冷却水が流入される流入口が形成され、前記下部ラインと連結される流出口が形成され、前記上部ラインと連結された第1冷却水供給ラインおよび前記ブロックラインと連結された第2冷却水供給ラインが形成された冷却水制御部ハウジング;
前記冷却水制御部ハウジングに装着されて冷却水を供給するウォーターポンプ;
前記第1冷却水供給ラインを選択的に遮断するバルブプレート;
前記第2冷却水供給ラインを選択的に遮断するバルブピストン;
前記バルブプレートと前記バルブピストンを選択的に移動させて前記第1冷却水供給ラインおよび前記第2冷却水供給ラインを選択的に開閉する駆動部;および
前記下部シリンダーヘッドの冷却水温度を測定して該当信号を出力する第1水温センサーおよび前記エンジンブロックの冷却水温度を測定して該当信号を出力する第2水温センサーを含む車両作動状態信号部;および
前記車両作動状態信号部の出力信号により駆動部の作動を制御する制御器;
を含む冷却システム。
【請求項8】
前記冷却水制御部ハウジングには、前記バルブピストンが移動可能に挿入される案内隔壁が形成された、請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記ウォーターポンプは、機械式ウォーターポンプである、請求項8に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記ウォーターポンプは、電気ウォーターポンプであり、
前記制御器は、前記電気ウォーターポンプの作動を制御する、請求項8に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記駆動部は、
前記バルブプレートおよび前記バルブピストンに結合し、ワックスが充填されたサーモスタットハウジング;
前記サーモスタットハウジングを弾性支持するスプリング;
前記サーモスタットハウジングの移動を案内するガイドロッド;および
前記ガイドロッドを通じて前記ワックスに熱を伝達する電気ヒーター;
を含む、請求項8に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記駆動部は、
前記バルブプレートおよび前記バルブピストンに結合する作動ロッド;
前記作動ロッドを弾性支持するスプリング;および
前記作動ロッドと結合して前記作動ロッドを選択的に移動させるソレノイド;
を含む、請求項8に記載の冷却システム。
【請求項13】
請求項7に記載の冷却システム制御方法において、
前記制御器が前記第2水温センサーの出力信号が設定された冷間条件に該当するか否かを判断し、前記冷間条件に該当すると、前記第1冷却水供給ラインおよび前記第2冷却水供給ラインが閉じられるように前記駆動部の作動を制御する冷却システム制御方法。
【請求項14】
前記制御器が前記第1水温センサーの出力信号が設定された温間条件に該当するか否かを判断し、前記温間条件に該当すると、前記第1冷却水供給ラインは開かれ、前記第2冷却水供給ラインが閉じられるように前記駆動部の作動を制御する、請求項13に記載の冷却システム制御方法。
【請求項15】
前記制御器が前記第2水温センサーの出力信号が設定された熱間条件に該当するか否かを判断し、前記熱間条件に該当すると、前記第1冷却水供給ラインと前記第2冷却水供給ラインが開かれるように前記駆動部の作動を制御する、請求項13に記載の冷却システム制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転条件により供給される冷却水を制御してウォームアップ時間を短縮し、冷却効率を向上させることができる流量制御装置、これを含む冷却システムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンは、燃料の燃焼により回転力を発生させながら熱エネルギーを外部に排出する。特に、冷却水は、エンジンなどを循環しながら熱エネルギーを吸収し、これをラジエータなどを通じて外部に放出する。
【0003】
エンジンの冷却水温度が低ければ、オイルの粘性が高くなって摩擦力が増加し、燃料消耗が増え、排気ガスの温度が徐々に上昇して触媒が活性化する時間が長くなる。また、排気ガスの品質が低下することがあり、ヒーターの機能が正常化する時間が長くなって乗客および運転者に不便を与えることがある。
【0004】
エンジンの冷却水温度が過熱されると、ノッキングが発生し、これを抑制するために点火時期を調節しなければならないため、エンジンの性能が低下することがある。また、潤滑油の温度が過度な場合には潤滑作用が低下することがある。
【0005】
燃費性能、暖房性能および冷却性能を極大化するためには、可変ウォーターポンプ、電子式サーモスタット、流量制御バルブを用いるが、レイアウトが複雑で、高価であるという問題がある。
この背景技術の部分に記載された事項は、発明の背景に対する理解を増進させるために作成されたものであり、この技術が属する分野における通常の知識を有する者にすでに知られた従来の技術でない事項を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、単純な構成でウォームアップ時間を短縮し、冷却効率を向上させることができる流量制御装置、これを含む冷却システムおよびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施例による流量制御装置は、冷却水が流入される流入口、冷却水が流出される流出口、第1冷却水供給ラインおよび第2冷却水供給ラインが形成された冷却水制御部ハウジング、前記冷却水制御部ハウジングに装着されて冷却水を供給するウォーターポンプ、前記第1冷却水供給ラインを選択的に遮断するバルブプレート、前記第2冷却水供給ラインを選択的に遮断するバルブピストン、前記バルブプレートと前記バルブピストンを選択的に移動させて前記第1冷却水供給ラインおよび前記第2冷却水供給ラインを選択的に開閉する駆動部、および前記駆動部の作動を制御する制御器を含んでもよい。
【0008】
前記制御部ハウジングには、前記バルブピストンが移動可能に挿入される案内隔壁が形成されてもよい。
【0009】
前記ウォーターポンプは、機械式ウォーターポンプであってもよい。
【0010】
前記ウォーターポンプは、電気ウォーターポンプであり、前記制御器は、前記電気ウォーターポンプの作動を制御することができる。
【0011】
前記駆動部は、前記バルブプレートおよび前記バルブピストンに結合し、ワックスが充填されたサーモスタットハウジングおよび前記サーモスタットハウジングを弾性支持するスプリング、前記サーモスタットハウジングの移動を案内するガイドロッドおよび前記ガイドロッドを通じて前記ワックスに熱を伝達する電気ヒーターを含んでもよい。
【0012】
前記駆動部は、前記バルブプレートおよび前記バルブピストンに結合する作動ロッド、前記作動ロッドを弾性支持するスプリングおよび前記作動ロッドと結合して前記作動ロッドを選択的に移動させるソレノイドを含んでもよい。
【0013】
本発明の実施例による冷却システムは、上部シリンダーヘッド、前記上部シリンダーヘッドに冷却水を供給する上部ライン、前記上部シリンダーヘッドと結合する下部シリンダーヘッド、前記下部シリンダーヘッドに冷却水を供給する下部ライン、前記下部シリンダーヘッドと結合するエンジンブロックおよび前記エンジンブロックに冷却水を供給するブロックラインを含むエンジン、前記下部シリンダーヘッドから冷却水の供給を受ける複数個の熱交換要素、前記上部シリンダーヘッドおよび前記エンジンブロックから冷却水の供給を受けるラジエータ、前記複数個の熱交換要素および前記ラジエータから冷却水が流入される流入口が形成され、前記下部ラインと連結される流出口が形成され、前記上部ラインと連結された第1冷却水供給ラインおよび前記ブロックラインと連結された第2冷却水供給ラインが形成された冷却水制御部ハウジング、前記冷却水制御部ハウジングに装着されて冷却水を供給するウォーターポンプ、前記第1冷却水供給ラインを選択的に遮断するバルブプレート、前記第2冷却水供給ラインを選択的に遮断するバルブピストン、前記バルブプレートと前記バルブピストンを選択的に移動させて前記第1冷却水供給ラインおよび前記第2冷却水供給ラインを選択的に開閉する駆動部および前記下部シリンダーヘッドの冷却水温度を測定して該当信号を出力する第1水温センサーおよび前記エンジンブロックの冷却水温度を測定して該当信号を出力する第2水温センサーを含む車両作動状態信号部および前記車両作動状態信号部の出力信号により駆動部の作動を制御する制御器を含んでもよい。
【0014】
前記制御部ハウジングには、前記バルブピストンが移動可能に挿入される案内隔壁が形成されてもよい。
【0015】
前記ウォーターポンプは、機械式ウォーターポンプであってもよい。
【0016】
前記ウォーターポンプは、電気ウォーターポンプであり、前記制御器は、前記電気ウォーターポンプの作動を制御することができる。
【0017】
前記駆動部は、前記バルブプレートおよび前記バルブピストンに結合し、ワックスが充填されたサーモスタットハウジング、前記サーモスタットハウジングを弾性支持するスプリング、前記サーモスタットハウジングの移動を案内するガイドロッドおよび前記ガイドロッドを通じて前記ワックスに熱を伝達する電気ヒーターを含んでもよい。
【0018】
前記駆動部は、前記バルブプレートおよび前記バルブピストンに結合する作動ロッド、前記作動ロッドを弾性支持するスプリングおよび前記作動ロッドと結合して前記作動ロッドを選択的に移動させるソレノイドを含んでもよい。
【0019】
本発明の実施例による冷却システム制御方法は、前記冷却システムに適用可能である。
【0020】
前記制御器が前記第2水温センサの出力信号が設定された冷間条件に該当するか否かを判断し、前記冷却条件に該当すると、前記第1冷却水供給ラインおよび前記第2冷却水供給ラインが閉じられるように前記駆動部の作動を制御することができる。
【0021】
前記制御器が前記第1水温センサの出力信号が設定された温間条件に該当するか否かを判断し、前記温間条件に該当すると、前記第1冷却水供給ラインは開かれ、前記第2冷却水供給ラインが閉じられるように前記駆動部の作動を制御することができる。
【0022】
前記制御器が前記第2水温センサの出力信号が設定された熱間条件に該当するか否かを判断し、前記熱間条件に該当すると、前記第1冷却水供給ラインと前記第2冷却水供給ラインが開かれるように前記駆動部の作動を制御することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施例による流量制御装置、これを含む冷却システムおよびその制御方法によれば、単純な構成でウォームアップ時間を短縮し、冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例による冷却システムのブロック図である。
【
図2】本発明の実施例による冷却システムの構成図である。
【
図3】本発明の実施例による流量制御装置の冷間時の作動を示した図面である。
【
図4】本発明の実施例による冷却システムの冷間時の作動を示した構成図である。
【
図5】本発明の実施例による流量制御装置の温間時の作動を示した図面である。
【
図6】本発明の実施例による冷却システムの温間時の作動を示した構成図である。
【
図7】本発明の実施例による流量制御装置の熱間時の作動を示した図面である。
【
図8】本発明の実施例による冷却システムの熱間時の作動を示した構成図である。
【
図9】本発明の他の実施例による流量制御装置を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例を添付した図面を参照して詳細に説明する。
ただし、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ず図面に示されたものに限定されるのではなく、多くの部分および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
ただし、本発明の実施例を明確に説明するために、説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似する構成要素については同一の図面符号を付与して説明する。
下記の説明で構成の名称を第1、第2などに区分したことは、その構成の名称が同一でこれを区分するためのものであり、必ずその順序に限定されるのではない。
【0026】
図1は、本発明の実施例による冷却システムのブロック図であり、
図2は、本発明の実施例による冷却システムの構成図である。
【0027】
図1および
図2を参照すれば、本発明の実施例による冷却システムは、車両作動状態信号部10の出力信号により後述する駆動部60の作動を制御する制御器30を含む。
【0028】
前記車両作動状態信号部10は、第1水温センサー12、第2水温センサー14、エンジンオイル温度を測定して該当信号を出力する油温センサー16、吸気温度を測定して該当信号を出力する吸気温センサー18、アクセルペダルの位置を測定して該当信号を出力するアクセル開度センサー20および車速を測定して該当信号を出力する車速センサー22を含む。
【0029】
前記制御器30は、設定されたプログラムにより動作する一つ以上のマイクロプロセッサによりそれぞれ実現されてもよく、前記設定されたプログラムは、後述する本発明の実施例による方法を行うための一連の命令を含んでもよい。
【0030】
本発明の実施例による冷却システムは、エンジン1を含み、前記エンジン1は、上部シリンダーヘッド5、前記上部シリンダーヘッド5に冷却水を供給する上部ライン101、前記上部シリンダーヘッド5と結合する下部シリンダーヘッド7、前記下部シリンダーヘッド7に冷却水を供給する下部ライン103、前記下部シリンダーヘッド7と結合するエンジンブロック3および前記エンジンブロック3に冷却水を供給するブロックライン105を含む。
【0031】
前記第1水温センサー12は、前記下部シリンダーヘッド7の冷却水温度を測定して該当信号を出力するように装着され、前記第2水温センサー14は、前記エンジンブロック3の冷却水温度を測定して該当信号を出力するように装着される。
【0032】
本発明の実施例による冷却システムは、前記下部シリンダーヘッド7から冷却水の供給を受ける複数個の熱交換要素および前記上部シリンダーヘッド5および前記エンジンブロック3から冷却水の供給を受けるラジエータ40を含む。
【0033】
前記複数個の熱交換要素は、例えば、LP-EGRクーラー44、ヒーター46、オイルクーラー47、HP-EGRクーラー48を含んでもよく、リザーバタンク42には前記ラジエータ40に流れる冷却水の一部が分岐されてもよい。しかし、前記複数個の熱交換装置は、図面に示された装置に限定されるのではなく、冷却水と熱交換する多様な形態の装置を含んでもよい。
【0034】
図3は、本発明の実施例による流量制御装置の冷間時の作動を示した図面である。
【0035】
図2および
図3を参照すれば、本発明の実施例による冷却システムは、流量制御装置52を含む。
【0036】
前記流量制御装置52は、前記複数個の熱交換要素および前記ラジエータ40から冷却水が流入される流入口51が形成され、前記下部ライン103と連結される流出口53が形成され、前記上部ライン101と連結された第1冷却水供給ライン55および前記ブロックライン105と連結された第2冷却水供給ライン56が形成された冷却水制御部ハウジング54、前記冷却水制御部ハウジング54に装着されて冷却水を供給するウォーターポンプ50、前記第1冷却水供給ライン55を選択的に遮断するバルブプレート62、前記第2冷却水供給ライン56を選択的に遮断するバルブピストン64、前記バルブプレート62と前記バルブピストン64を選択的に移動させて前記第1冷却水供給ライン55および前記第2冷却水供給ライン56を選択的に開閉する駆動部60を含む。
【0037】
前記ウォーターポンプ50に装着されたブレード110の回転により冷却水が前記流入口51から前記流出口53、前記第1冷却水供給ライン55および前記第2冷却水供給ライン56に供給される。
【0038】
前記流量制御装置52で供給する冷却水は、前記エンジン1に供給され、アウトレットフィッティング90を通じて前記ラジエータ40および複数個の熱交換要素を経て前記流量制御装置52に伝達される。
【0039】
図2および
図3に示されているように、本発明の実施例による冷却システムは、シリンダーヘッドが前記上部シリンダーヘッド5と下部シリンダーヘッド7に分離され、冷却水も分離供給されて前記エンジン1の冷却効率が向上することができる。つまり、燃焼室と隣接した前記下部シリンダーヘッド7に前記流出口53から冷却水が供給されてノッキング防止が可能であり、前記エンジンブロック3と前記上部シリンダーヘッド5に冷却水が選択的に供給されて前記エンジン1の効率的な冷却が可能である。
【0040】
前記冷却水制御部ハウジング54には、前記バルブピストン64が移動可能に挿入される案内隔壁58が形成される。
【0041】
前記ウォーターポンプ50は、機械式ウォーターポンプであってもよく、電気ウォーターポンプであってもよい。
【0042】
前記ウォーターポンプ50が電気ウォーターポンプである場合、前記制御器30は前記電気ウォーターポンプの作動を制御して冷却水流量を制御することもできる。
【0043】
前記駆動部60は、電気サーモスタット61であってもよい。
【0044】
つまり、前記駆動部60は、前記バルブプレート62および前記バルブピストン64に結合し、ワックス66が充填されたサーモスタットハウジング68、前記サーモスタットハウジング68を弾性支持するスプリング72、前記サーモスタットハウジング68の移動を案内するガイドロッド70および前記ガイドロッド70を通じて前記ワックス66に熱を伝達する電気ヒーター74を含む。
【0045】
前記制御器30が前記車両作動状態信号部10から出力される信号により前記電気ヒーター74の作動を制御して前記ワックス66に熱を加えると、前記ワックス66の膨張により前記バルブプレート62と前記バルブピストン64が移動するようになる。
【0046】
前記冷却水制御部ハウジング54でパーティション57が延長形成され、前記バルブプレート62と接触して前記第1冷却水供給ライン55を選択的に遮断する。
【0047】
図4は、本発明の実施例による冷却システムの冷間時の作動を示した構成図である。
【0048】
以下、
図3および
図4を参照して本発明の実施例による冷却システムの冷間時の作動を説明する。
【0049】
前記制御器30が前記第2水温センサー14の出力信号が設定された冷間条件に該当するか否かを判断し、前記冷却条件に該当すると、前記第1冷却水供給ライン55および前記第2冷却水供給ライン56が閉じられるように前記駆動部60の作動を制御する。
【0050】
前記冷間条件は、例えば、前記エンジンブロック3の冷却水温度が約50度以下に設定されてもよく、これは始動後の一定時間まであってもよい。
【0051】
冷間時に前記第1冷却水供給ライン55および前記第2冷却水供給ライン56は閉鎖され、前記エンジン1の速いウォームアップが可能である。
【0052】
また、前記流出口53と前記下部ライン103を通じて前記下部シリンダーヘッド7のみに冷却水が流れ、前記下部シリンダーヘッド7を経た冷却水は前記オイルクーラー47に伝達されて冷間時のオイル温度を速く上げることができる。
【0053】
図5は、本発明の実施例による流量制御装置の温間時の作動を示した図面であり、
図6は、本発明の実施例による冷却システムの温間時の作動を示した構成図である。
【0054】
以下、
図5および
図6を参照して本発明の実施例による冷却システムの温間時の作動を説明する。
【0055】
前記制御器30が前記第1水温センサー12の出力信号が設定された温間条件に該当するか否かを判断し、前記温間条件に該当すると、前記第1冷却水供給ライン55は開かれ、前記第2冷却水供給ライン56が閉じられるように前記駆動部60の作動を制御する。
【0056】
前記温間条件は、例えば、前記下部シリンダーヘッド7の冷却水温度が約90度以上に設定されてもよい。
【0057】
前記温間条件では、前記上部シリンダーヘッド5と連結された第1冷却水供給ライン55は開かれ、前記エンジンブロック3と連結された前記第2冷却水供給ライン56は閉じられた状態を維持するように前記制御器30が前記駆動部60を制御する。つまり、
図5に示されているように、前記案内隔壁58により前記バルブピストン64が開かれず、前記バルブプレート62のみが開かれるように前記電気ヒーター74が作動する。
【0058】
前記温間条件では、前記上部シリンダーヘッド5と前記下部シリンダーヘッド7に冷却水が供給されてノッキングなど防止が可能であり、前記エンジンブロック3には冷却水が供給されず、前記エンジンブロック3の温度を相対的に高めることができるため、燃費向上が可能である。
【0059】
前記上部シリンダーヘッド5を通過した冷却水は、前記ラジエータ40を通過しながら冷却される。
【0060】
図7は、本発明の実施例による流量制御装置の熱間時の作動を示した図面であり、
図8は、本発明の実施例による冷却システムの熱間時の作動を示した構成図である。
【0061】
以下、
図7および
図8を参照して本発明の実施例による冷却システムの熱間時の作動を説明する。
【0062】
前記制御器30が前記第2水温センサー14の出力信号が設定された熱間条件に該当するか否かを判断し、前記熱間条件に該当すると、前記第1冷却水供給ライン55と前記第2冷却水供給ライン56が開かれるように前記駆動部60の作動を制御する。
【0063】
前記熱間条件は、例えば、前記エンジンブロック3の冷却水温度が約105度以上に設定されてもよい。
【0064】
前記熱間条件では、前記上部シリンダーヘッド5と連結された第1冷却水供給ライン55と前記エンジンブロック3と連結された前記第2冷却水供給ライン56が全て開かれるように前記制御器30が前記駆動部60を制御する。つまり、
図7に示されているように、前記バルブピストン64と前記バルブプレート62が全て開かれるように前記電気ヒーター74が作動する。
【0065】
前記熱間条件では、前記上部シリンダーヘッド5、前記下部シリンダーヘッド7および前記エンジンブロック3に全て冷却水が供給されて前記エンジン1の過熱を防止することができる。
【0066】
図9は、本発明の他の実施例による流量制御装置を示した図面である。
【0067】
以下、
図1、
図2、
図3および
図9を参照して本発明の他の実施例による流量制御装置を説明する。
【0068】
図9を説明するに当たり、理解の便宜のために前述した構成と同一または類似する構成は同一または類似する参照番号を用い、反復する説明は省略する。
【0069】
図9に示された流量制御装置は、前述した駆動部60(81)にソレノイドが適用される。
つまり、
図9に示された駆動部81は、前記バルブプレート62および前記バルブピストン64に結合する作動ロッド83、前記作動ロッド83を弾性支持するスプリング85および前記作動ロッド83と結合して前記作動ロッド83を選択的に移動させるソレノイド87を含む。
【0070】
前記制御器30は、前述した前記車両作動状態信号部10の出力信号により前記ソレノイド87の作動を制御し、前記ソレノイド87が前記バルブプレート62および前記バルブピストン64を押して前記第1冷却水供給ライン55および前記第2冷却水供給ライン56を全て遮断するか、前記第1冷却水供給ライン55のみを開放するか、または前記第1冷却水供給ライン55および前記第2冷却水供給ライン56を全て開放するようになる。
【0071】
図9に示された流量制御装置は、本発明の実施例による冷却システムおよびその制御方法に適用可能であり、反復する説明は省略する。
【0072】
前述した前記冷間条件、前記温間条件および前記熱間条件は、前記車両作動状態信号部10の出力信号により多様な条件で設定されてもよく、これによって車両の作動状態によるエンジンおよび冷却システムの効率的な冷却が可能である。
【0073】
例えば車速が相対的に速い場合、外気による冷却が可能であるため、前記冷間条件、前記温間条件および前記熱間条件に該当する基準冷却水温度は相対的に高く設定されてもよい。
【0074】
また、例えば、前記アクセル開度センサー20の出力信号が相対的に高くなると、前記エンジン1の負荷が増加して冷却水温度が高くなることが予想されるため、前記冷間条件、前記温間条件および前記熱間条件に該当する基準冷却水温度は相対的に低く設定されることもできる。
【0075】
以上で本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は、前記実施例に限定されず、本発明の実施例から当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者による容易に変更されて均等であると認められる範囲のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0076】
1:エンジン
3:エンジンブロック
5:上部シリンダーヘッド
7:下部シリンダーヘッド
10:車両作動状態信号部
12:第1水温センサー
14:第2水温センサー
16:油温センサー
18:吸気温センサー
20:アクセル開度センサー
22:車速センサー
30:制御器
40:ラジエータ
42:リザーバタンク
44:LP-EGRクーラー
46:ヒーター
47:オイルクーラー
48:HP-EGRクーラー
50:ウォーターポンプ
51:流入口
52:流量制御装置
53:流出口
54:冷却水制御部ハウジング
55:第1冷却水供給ライン
56:第2冷却水供給ライン
58:案内隔壁
60:駆動部
62:バルブプレート
64:バルブピストン
66:ワックス
68:サーモスタットハウジング
70:ガイドロッド
72:スプリング
74:電気ヒーター
83:作動ロッド
85:スプリング
87:ソレノイド
101:上部ライン
103:下部ライン
105:ブロックライン
110:ブレード