IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社丸山製作所の特許一覧

<>
  • 特許-ホース送出装置 図1
  • 特許-ホース送出装置 図2
  • 特許-ホース送出装置 図3
  • 特許-ホース送出装置 図4
  • 特許-ホース送出装置 図5
  • 特許-ホース送出装置 図6
  • 特許-ホース送出装置 図7
  • 特許-ホース送出装置 図8
  • 特許-ホース送出装置 図9
  • 特許-ホース送出装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】ホース送出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/40 20060101AFI20220815BHJP
【FI】
B65H75/40 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019039335
(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公開番号】P2020142881
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000141174
【氏名又は名称】株式会社丸山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】須田 昌則
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】実公昭41-19979(JP,Y1)
【文献】特開2003-235431(JP,A)
【文献】実開平04-026978(JP,U)
【文献】特開平09-315695(JP,A)
【文献】特開2013-023317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/34-75/50
A01M 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取ドラム(4)に巻かれたホース(5)を送り出すホース送出装置(7)であって、
外周面において周方向に延在する溝部(22a)を有し、前記溝部(22a)に前記ホース(5)が落とし込まれた状態でローラ回転軸(L)を中心に回転することによって前記巻取ドラム(4)から前記ホース(5)を送り出す送出ローラ(22)と、
前記送出ローラ(22)と前記巻取ドラム(4)との間の位置に設けられ、前記ローラ回転軸(L)方向における両側から前記ホース(5)を挟む一対の棒状のガイド部材(25)と、
を備え、
前記ローラ回転軸(L)に直交しかつ一対の前記ガイド部材(25)間を通る直線(K)は、前記溝部(22a)を通り、
一対の前記ガイド部材(25)の基端部はフレーム(27)に固定され、一対の前記ガイド部材(25)の先端部は互いに離間し、
前記ガイド部材(25)は、当該ガイド部材(25)の先端部が前記ホース(5)の送り出し方向に沿って延在するように前記送出ローラ(22)側に向かって屈曲されている、ホース送出装置(7)。
【請求項2】
前記溝部(22a)の溝幅(W1)と、一対の前記ガイド部材(25)間における前記ローラ回転軸(L)方向の隙間幅(W2)とは、互いに略一致している、請求項1に記載のホース送出装置(7)。
【請求項3】
一対の前記ガイド部材(25)の先端側の側面に対向するように配置されたガイドローラ(24)を更に備え、
一対の前記ガイド部材(25)の先端側の側面と前記ガイドローラ(24)との隙間は、前記ホース(5)の外径よりも小さい、請求項1又は2に記載のホース送出装置(7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホース送出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、農作物等に対して薬液を噴霧する動力噴霧機がある。このような動力噴霧機には、巻取ドラムに巻かれたホースを送り出すホース送出装置が設けられている。ホース送出装置は、送出ローラと押圧ローラとによってホースを挟み、送出ローラを回転させることによってホースを送り出す。このようなホース送出装置を備える動力噴霧機が、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
このようなホース送出装置の送出ローラの外周面には、周方向に延在する溝部が設けられている。この溝部にホースが落とし込まれた状態で送出ローラが回転することにより、ホースが送り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-23317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ホースが蛇行した状態で巻取ドラムに巻かれている等の場合には、巻取ドラムから送出ローラへホースが適切に送られず、送出ローラの溝部からホースが脱落(脱線)することがある。
【0006】
そこで、本発明は、送出ローラの溝部からのホースの脱落を簡素な構成で抑制可能なホース送出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、巻取ドラム(4)に巻かれたホース(5)を送り出すホース送出装置(7)であって、外周面において周方向に延在する溝部(22a)を有し、溝部(22a)にホース(5)が落とし込まれた状態でローラ回転軸(L)を中心に回転することによって巻取ドラム(4)からホース(5)を送り出す送出ローラ(22)と、送出ローラ(22)と巻取ドラム(4)との間の位置に設けられ、ローラ回転軸(L)方向における両側からホース(5)を挟む一対の棒状のガイド部材(25)と、を備え、一対のガイド部材(25)の基端部はフレーム(27)に固定され、一対のガイド部材(25)の先端部は互いに離間している。
【0008】
このホース送出装置(7)では、一対のガイド部材(25)が設けられていることによって、送出ローラ(22)へ向かうホース(5)が案内される。また、ローラ回転軸(L)に直交しかつ一対のガイド部材(25)間を通る直線(K)は、溝部(22a)を通っている。すなわち、ローラ回転軸(L)方向において、溝部(22a)の位置と、一対のガイド部材(25)の隙間の位置とが一致している。これにより、ガイド部材(25)は、溝部(22a)の延在方向に一致するように送出ローラ(22)へ向けてホース(5)を案内することができる。このように、ホース送出装置(7)は、ガイド部材(25)によって姿勢を整えた状態で送出ローラ(22)に対してホース(5)を送ることができるため、ホース(5)が蛇行した状態で巻取ドラム(4)に巻かれている等の場合であっても、送出ローラ(22)の溝部(22a)からのホース(5)の脱落を抑制できる。以上のように、このホース送出装置(7)は、一対の棒状のガイド部材(25)を設けるという簡素な構成によって、送出ローラ(22)の溝部(22a)からのホース(5)の脱落を抑制できる。また、一対のガイド部材(25)の先端部が互いに離間していることで、一対のガイド部材(25)間にホース(5)を容易に配置できる。
【0009】
ホース送出装置(7)において、溝部(22a)の溝幅(W1)と、一対のガイド部材(25)間におけるローラ回転軸(L)方向の隙間幅(W2)とは、互いに略一致していてもよい。この場合、ホース送出装置(7)は、一対のガイド部材(25)によってホース(5)をより適切な位置に案内でき、送出ローラ(22)の溝部(22a)からのホース(5)の脱落をより一層抑制できる。
【0010】
ホース送出装置(7)は、一対のガイド部材(25)の先端部に対向するように配置されたガイドローラ(24)を更に備え、一対のガイド部材(25)の先端部とガイドローラ(24)との隙間は、ホース(5)の外径よりも小さくてもよい。この場合、ホース送出装置(7)は、ガイドローラ(24)によって、一対のガイド部材(25)の先端部からホース(5)が飛び出してしまうことを防止できる。
【0011】
ホース送出装置(7)において、ガイド部材(25)は、当該ガイド部材(25)の先端部が送出ローラ(22)側に向かうように屈曲されていてもよい。この場合、ホース送出装置(7)は、送出ローラ(22)側へ向けて屈曲させられた先端部によって、送出ローラ(22)のより近傍の位置までホース(5)を案内できる。これによりホース送出装置(7)は、送出ローラ(22)の溝部(22a)からのホース(5)の脱落をより一層抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、送出ローラの溝部からのホースの脱落を簡素な構成で抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る動力噴霧機の右側面図である。
図2図1の動力噴霧機の正面図(前方から見た図)である。
図3図1の動力噴霧機を右斜め前方から見た図である。
図4図1のホース送出装置の送出部周りを斜め下方から見た図である。
図5図1の動力噴霧機のホース送出装置周りを拡大して示す正面図である。
図6図1の動力噴霧機の送出ローラの溝部周りの拡大図である。
図7図1の送出ローラ周りの模式図である。
図8図1のホース送出装置がホースを送り出している様子を示す正面図である。
図9図1の動力噴霧機において横ずれが生じているホースを送り出している様子を示す正面図である。
図10図1のホース送出装置が圧力がかかっていないホースを送り出している様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のホース送出装置が適用された動力噴霧機の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1図3に示されるように、動力噴霧機1は、圃場等において農薬等の薬液を噴霧する装置である。動力噴霧機1は、エンジン2、ポンプ3、巻取ドラム4、ホース5、ホースガイド6、ホース送出装置7、本体フレーム8を備えている。動力噴霧機1は、エンジン2の駆動力により走行することが可能な自走式動力噴霧機である。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」は、動力噴霧機1を基準とした方向とする。
【0016】
ポンプ3は、別途設けられた薬液タンクから薬液を吸引し、ホース5に圧送する。ポンプ3は、エンジン2によって駆動される。ポンプ3によって薬液がホース5に圧送されると、ホース5の先端部に設けられたノズル5aから薬液が噴霧される。
【0017】
巻取ドラム4は、ホース5を巻き取るリールであり、本体フレーム8に対して回転可能に取り付けられている。巻取ドラム4は、エンジン2によって回転駆動されることにより、ホース5を巻き取る。なお、図2及び図3では、巻取ドラム4に巻き取られたホース5の図示が省略されている。他の図においても、巻取ドラム4に巻き取られたホース5の図示を省略する場合がある。
【0018】
ホース送出装置7は、巻取ドラム4の上方の位置に設けられている。ホース送出装置7は、巻取ドラム4からホース5を引き出す際の引き出し力を軽減するための装置である。ホース送出装置7は、エンジン2によって駆動されることにより、ホース5に送り出し力を付与する。ホースガイド6は、ホース送出装置7によって送り出されたホース5を案内する。
【0019】
図3図5に示されるように、ホース送出装置7は、巻取ドラム4に巻き取られたホース5を引き出し、ホースガイド6へ送り出す。ホース送出装置7は、フレーム部10、及び送出部20を備える。
【0020】
フレーム部10は、巻取ドラム4の上部の位置において、本体フレーム8に固定されている。フレーム部10は、送出部20を左右方向にスライド可能に支持する。フレーム部10は、右フレーム板11a、左フレーム板11b、前スライダーガイド軸12、後スライダーガイド軸13、送出六角軸14、駆動軸15、及び上フレーム16を備える。
【0021】
右フレーム板11a及び左フレーム板11bは、左右方向において互いに対向しかつ互いに離間するように配置される。右フレーム板11aは、巻取ドラム4の上部の位置において右側の本体フレーム8上に固定される。左フレーム板11bは、巻取ドラム4の上部の位置において左側の本体フレーム8上に固定される。本実施形態において、上フレーム16は、2本設けられる。上フレーム16は、右フレーム板11aの上部と左フレーム板11bの上部とを連結する。
【0022】
前スライダーガイド軸12及び後スライダーガイド軸13は、それぞれ左右方向に沿って延在するように配置される。前スライダーガイド軸12の右側の端部は、右フレーム板11aの前側の部分に固定され、前スライダーガイド軸12の左側の端部は、左フレーム板11bの前側の部分に固定される。後スライダーガイド軸13の右側の端部は、右フレーム板11aの後ろ側の部分に固定され、後スライダーガイド軸13の左側の端部は、左フレーム板11bの後ろ側の部分に固定される。前スライダーガイド軸12及び後スライダーガイド軸13は、送出部20を左右方向にスライド可能に支持する。
【0023】
送出六角軸14は、左右方向に沿って延在するように配置される。送出六角軸14の右側の端部は、右フレーム板11aに回転可能に支持される。送出六角軸14の左側の端部は、左フレーム板11bに回転可能に支持される。また、送出六角軸14の右側の端部は、右フレーム板11aよりも外側(右側)に突出している。送出六角軸14の右側端部には、スプロケット14aが取り付けられている。
【0024】
ここで、図1に示されるように、エンジン2の駆動力が伝達される軸17には、スプロケット17aが取り付けられている。スプロケット14a及びスプロケット17aには、チェーンB1が架け渡されている。スプロケット14aには、スプロケット17a及びチェーンB1を介してエンジン2の駆動力が伝達される。このように、送出六角軸14は、エンジン2によって駆動される。なお、チェーンB1は、図1以外の図面においては図示が省略されている。
【0025】
駆動軸(ナピアラセン軸)15は、左右方向に沿って延在するように配置される。駆動軸15の外周面には、螺旋状のガイド溝15bが設けられている。駆動軸15の右側の端部は、右フレーム板11aに回転可能に支持される。駆動軸15の左側の端部は、左フレーム板11bに回転可能に支持される。また、駆動軸15の右側の端部は、右フレーム板11aよりも外側(右側)に突出している。駆動軸15の右側端部には、スプロケット15aが取り付けられている。
【0026】
ここで、図1に示されるように、巻取ドラム4の回転軸には、スプロケット4aが取り付けられている。スプロケット15a及びスプロケット4aには、チェーンB2が架け渡されている。ここで、巻取ドラム4には、ベルトB3を介してエンジン2の駆動力が伝達される。従って、駆動軸15は、巻取ドラム4の回転と連動してエンジン2によって駆動される。なお、チェーンB2は、図1以外の図面においては図示が省略されている。
【0027】
図4及び図5に示されるように、送出部20は、巻取ドラム4からホース5を上方に引き出すとともに、ホースガイド6へホース5を送り出す。また、送出部20は、ホース5が巻き取られた状態から引き出されるときのホース5の引出位置(解舒位置)の変化(左右方向の位置の変化)に追従して左右方向にスライドさせられる。具体的には、送出部20は、スライダフレーム21、送出ローラ22、押圧ローラ23、ガイドローラ24、一対のガイド部材25、係合ブロック26、ローラ保持フレーム(フレーム)27、バネ28、及び一対の揺動フレーム29を備えている。
【0028】
スライダフレーム21は、前スライダーガイド軸12及び後スライダーガイド軸13によって左右方向にスライド可能に保持される。スライダフレーム21の上部には、ホースガイド6の下端部が取り付けられる。スライダフレーム21は、左右方向において互いに対向する右スライダ板部21a、及び左スライダ板部21bを有している。右スライダ板部21a及び左スライダ板部21bの前側の部分は、前スライダーガイド軸12によってスライド可能に保持される。右スライダ板部21a及び左スライダ板部21bの後ろ側の部分は、後スライダーガイド軸13によってスライド可能に保持される。
【0029】
係合ブロック26は、右スライダ板部21aと左スライダ板部21bとの間に配置される。係合ブロック26の左右方向の両端部は、右スライダ板部21a及び左スライダ板部21bにそれぞれ固定されている。駆動軸15は、右スライダ板部21a及び左スライダ板部21bを貫通するとともに、係合ブロック26に通されている。係合ブロック26は、駆動軸15のガイド溝15bに係合する。係合ブロック26が駆動軸15のガイド溝15bに係合した状態で駆動軸15が回転させられることで、ガイド溝15bの作用によって係合ブロック26が左右方向に往復するように移動させられる。すなわち、駆動軸15が回転させられることにより、送出部20のスライダフレーム21が左右方向に往復するように移動する。なお、駆動軸15の回転によって係合ブロック26を移動させる機構としては、周知の機構が用いられ得る。
【0030】
図4に示されるように、送出ローラ22は、右スライダ板部21aと左スライダ板部21bとの間に配置される。送出六角軸14は、右スライダ板部21a及び左スライダ板部21bを貫通するとともに、送出ローラ22に通されている。ここで、送出ローラ22には、送出六角軸14が通される六角形の係合孔が設けられている。送出六角軸14は、送出ローラ22に設けられた係合孔に通されることによって、送出ローラ22と係合している。これにより、送出六角軸14の回転に伴って送出ローラ22が回転する。なお、送出ローラ22は、左右方向(送出六角軸14の延在方向)にスライド可能に送出六角軸14に係合している。
【0031】
図6及び図7に示されるように、送出ローラ22の外周面には、周方向に延在する溝部22aが設けられている。送出ローラ22は、溝部22aにホース5が落とし込まれた状態でローラ回転軸L(送出六角軸14)を中心に回転することによって巻取ドラム4からホース5を引き出してホースガイド6へ送り出す。
【0032】
図4及び図7に示されるように、押圧ローラ23は、送出ローラ22の前側の位置に設けられ、送出ローラ22とによってホース5を挟み込む。一対の揺動フレーム29の下端部は、回転軸29aによって互いに連結されている。押圧ローラ23は、回転軸29aに回転可能に取り付けられている。一対の揺動フレーム29の上端部は、右スライダ板部21a及び左スライダ板部21bによって揺動可能にそれぞれ保持されている。すなわち、押圧ローラ23は、揺動フレーム29によって揺動可能に吊り下げられている。
【0033】
バネ28の一方の端部は、揺動フレーム29の下端部(回転軸29a)に連結される。バネ28は、例えば、引張コイルバネである。バネ28は、押圧ローラ23が送出ローラ22側に向けて揺動するように、揺動フレーム29の下端部を引っ張る。これにより、ホース5は、図6及び図7に示されるように、押圧ローラ23によって送出ローラ22の溝部22aに押し付けられる。従って、送出ローラ22が回転したときに、送出ローラ22に対してホース5が滑ってしまうことが抑制される。
【0034】
図4に示されるように、ローラ保持フレーム27は、送出ローラ22の下方側の位置において、右スライダ板部21a及び左スライダ板部21bの下端部に取り付けられている。本実施形態において、ローラ保持フレーム27は、右スライダ板部21aの下端部と左スライダ板部21bの下端部とを連結する連結フレーム21cに取り付けられている。
【0035】
図4図5及び図7に示されるように、一対のガイド部材25は、送出ローラ22の下方の位置に設けられる。すなわち、ガイド部材25は、送出ローラ22と巻取ドラム4との間の位置に設けられる。ガイド部材25は、巻取ドラム4と送出ローラ22との間のうち、送出ローラ22に近い位置に設けられているとよい。
【0036】
ガイド部材25は、棒状の部材である。一対のガイド部材25のそれぞれの基端部は、ローラ保持フレーム27に固定されている。ガイド部材25は、ローラ保持フレーム27に固定された部位から前側に向って延びている。また、ガイド部材25は、ガイド部材25の先端部が上側(送出ローラ22側)に向かうように略L字状に屈曲されている。すなわち、ガイド部材25は、送出ローラ22の溝部22aのうちホース5を挟み込む部分に先端部が向かうように、屈曲されている。一対のガイド部材25の先端部は、互いに離間している。
【0037】
一対のガイド部材25は、左右方向からホース5を挟む。すなわち、一対のガイド部材25は、送出ローラ22のローラ回転軸L方向における両側からホース5を挟む。なお、図5では、ガイド部材25周りを図示するためにホース5が省略されている。
【0038】
ここで、図6に示される送出ローラ22の溝部22aの溝幅W1と、図5に示される一対のガイド部材25間における左右方向(ローラ回転軸L方向)の隙間幅W2とは、互いに略一致している。なお、隙間幅W2とは、一対のガイド部材25間の隙間の幅である。ここで、「略一致する」とは、溝幅W1と隙間幅W2とが完全に一致する場合だけでなく、わずかな差分を有する場合も含む。なお、このわずかな差分とは、一対のガイド部材25によって送出ローラ22の溝部22a内に適切にホース5を案内することができるという観点に基づいて決定されてもよい。このわずかな差分とは、製造上の誤差であってもよい。また、溝部22aは、断面が略V字状の溝である。溝部22aの溝幅W1は、最も広い部分の幅とする。
【0039】
また、図7に示されるように、ローラ回転軸Lに直交し、かつ一対のガイド部材25間を通る直線Kは、送出ローラ22の溝部22aを通る。すなわち、図5に示されるように、左右方向(ローラ回転軸L方向)において、送出ローラ22の溝部22aの位置(横位置)と、一対のガイド部材25の隙間の位置(横位置)とが一致している。
【0040】
図4及び図7に示されるように、ガイドローラ24は、一対のガイド部材25の前側に配置される。すなわち、ガイドローラ24は、一対のガイド部材25の先端部に対向するように配置される。ガイドローラ24は、ローラ保持フレーム27によって回転可能に保持される。ガイドローラ24の外周面には、周方向に沿って延在する溝部24aが設けられている。ガイドローラ24は、溝部24aにホース5が落とし込まれることで、送出ローラ22によって巻取ドラム4から引き出されたホース5を案内する。
【0041】
一対のガイド部材25の前側部分(先端部)とガイドローラ24との隙間は、ホース5の外径よりも小さい。これにより、ホース5は、上方から見たときに、一対のガイド部材25と、ガイドローラ24と、ガイド部材25の基端部が固定されたローラ保持フレーム27とによって囲まれた領域内を通って引き出される。なお、図2及び図3では、巻取ドラム4からホース送出装置7に送られるホース5を示すために、ガイドローラ24が省略されている。
【0042】
次に、ホース送出装置7が巻取ドラム4からホースガイド6へホース5を送り出す様子について説明する。まず、図8に示されるように、ホース5が巻取ドラム4に対して整列した状態で巻き取られている場合(適切に巻き取られている場合)について説明する。ここで、巻取ドラム4の回転と駆動軸15の回転とが連動していることにより、動力噴霧機1は、巻取ドラム4を回転させてホース5を巻き取る際にも、送出部20を左右方向に往復するように移動させることができる。これにより、動力噴霧機1は、図8に示されるように、ホース5が隣同士隙間なく整列した状態となるように巻き取ることができる。
【0043】
この状態においては、図8に示されるように動力噴霧機1を前側から見たときに、ホース5が巻き取られた状態から引き出されるときの引出位置P1と、一対のガイド部材25の隙間(図5参照)の位置と、送出ローラ22の溝部22aのうち押圧ローラ23に対向する部分の位置(ホース5を挟み込む部分の位置)とが、上下方向に延在する直線上に略位置している。これにより、送出ローラ22の溝部22aのうちホース5を挟み込む部分の延在方向に一致するように、巻取ドラム4から一対のガイド部材25の隙間を介して送出ローラ22へホース5が送られる。従って、送出ローラ22及び押圧ローラ23は、溝部22aにホース5を適切に落とし込んでホース5を巻取ドラム4から引き出すことができる。
【0044】
一方、図9に示されるように、巻き取られたホース5が整列しておらず、ホース5の巻き位置がずれた状態となる(隣接するホース5間に隙間が空いている)ことがある。これは、例えば、巻取ドラム4の巻き取りの回転を停止させるときのドラムブレーキの効きが悪くなった等の場合に生じ得る。また、例えば、前回のホース5の送り出し終了時に、ホース5の撚りに起因してホース5の位置がずれることがある。このような場合、図9に示されるように動力噴霧機1を前側から見たときに、ホース5の引出位置P1と、一対のガイド部材25の隙間(図5参照)の位置と、送出ローラ22の溝部22aのうちホース5を挟み込む部分の位置とが、上下方向に延在する直線上に位置していない。
【0045】
しかしながら、ホース送出装置7は、ガイド部材25によってホース5を案内できるため、送出ローラ22の溝部22aのうちホース5を挟み込む部分の延在方向に一致するように、一対のガイド部材25の隙間から送出ローラ22へホース5を送ることができる。これにより、送出ローラ22及び押圧ローラ23は、溝部22aにホース5を適切に落とし込んでホース5を巻取ドラム4から引き出すことができる。
【0046】
また、図10に示されるように、ホース5にコシが少ない場合(ホース5の硬さが弱く曲がり易い場合)、巻取ドラム4から引き出されたホース5が蛇行するように送出ローラ22側へ送られることがある。ホース5にコシが少ない場合とは、例えば、ホース5に圧力(液体の圧力)がかかっていない場合が挙げられる。この場合であっても、ホース送出装置7は、図9を用いて説明した場合と同様に、ガイド部材25によって適切に送出ローラ22側へホース5を送ることができる。また、ホース5のコシが少ない場合、ホース5が潰れることによって送出ローラ22の溝部22aにホース5が入り難くなることがある。しかしながら、ホース送出装置7は、ガイド部材25によって送出ローラ22の溝部22aへ適切にホース5を送ることができるため、ホース5をより確実に溝部22a内に落とし込むことができる。
【0047】
以上のように、ホース送出装置7では、一対のガイド部材25が設けられていることによって、送出ローラ22へ向かうホース5が案内される。また、ローラ回転軸Lに直交しかつ一対のガイド部材25間を通る直線Kは、送出ローラ22の溝部22aを通っている。すなわち、左右方向(ローラ回転軸L方向)において、溝部22aの位置と、一対のガイド部材25の隙間の位置とが一致している。これにより、ガイド部材25は、溝部22aのうちホース5を挟み込む部分の延在方向に一致するように送出ローラ22へ向けてホース5を案内できる。
【0048】
このように、ホース送出装置7は、ガイド部材25によって姿勢を整えた状態で送出ローラ22に対してホース5を送ることができるため、ホース5が蛇行した状態で巻取ドラム4に巻かれている等の場合であっても、送出ローラ22の溝部22aからのホース5の脱落を抑制できる。以上のように、このホース送出装置7は、一対の棒状のガイド部材25を設けるという簡素な構成によって、送出ローラ22の溝部22aからのホース5の脱落を抑制できる。また、一対のガイド部材25の先端部が互いに離間していることで、一対のガイド部材25間にホース5を容易に配置できる。
【0049】
送出ローラ22の溝部22aの溝幅W1と、一対のガイド部材25間におけるローラ回転軸L方向の隙間幅W2とは、互いに略一致している。この場合、ホース送出装置7は、一対のガイド部材25によってホース5をより適切な位置に案内でき、送出ローラ22の溝部22aからのホース5の脱落をより一層抑制できる。
【0050】
ガイドローラ24は、一対のガイド部材25の先端部に対向するように配置される。また、一対のガイド部材25の先端部とガイドローラ24との隙間は、ホース5の外径よりも小さい。この場合、ホース送出装置7は、ガイドローラ24によって、一対のガイド部材25の先端部からホース5が飛び出してしまうことを防止できる。
【0051】
ガイド部材25は、当該ガイド部材25の先端部が送出ローラ22側に向かうように屈曲されている。この場合、ホース送出装置7は、送出ローラ22側へ向けて屈曲させられた先端部によって、送出ローラ22のより近傍の位置までホース5を案内できる。これによりホース送出装置7は、送出ローラ22の溝部22aからのホース5の脱落をより一層抑制できる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ガイドローラ24は、ガイド部材25の先端部に対向するように設けられていなくてもよい。また、ガイド部材25は、上述したようにL字状に屈曲されていることに限定されず、直線状又はL字状以外の形状に形成されていてもよい。ガイド部材25は、棒状であればよい。なお、一対のガイド部材25は、ホース5を挟み込む機能を有する先端部分が対を成していればよく、基端部同士は互いに連結された形状であってもよい。
【0053】
ホース送出装置7は、動力噴霧機1に対して適用されることに限定されない。ホース送出装置7は、巻取ドラム4に巻き取られたホース5を送り出す構成を必要とする種々の装置に適用され得る。
【符号の説明】
【0054】
1…動力噴霧機、4…巻取ドラム、5…ホース、7…ホース送出装置、22…送出ローラ、22a…溝部、24…ガイドローラ、25…ガイド部材、27…ローラ保持フレーム(フレーム)、W1…送出ローラの溝幅、W2…一対のガイド部材の隙間幅、K…直線、L…ローラ回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10