(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】ロボット支援再置換手技用のシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20220815BHJP
A61B 17/16 20060101ALI20220815BHJP
B25J 13/00 20060101ALN20220815BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B17/16
B25J13/00 Z
(21)【出願番号】P 2019501933
(86)(22)【出願日】2017-07-13
(86)【国際出願番号】 US2017041989
(87)【国際公開番号】W WO2018013848
(87)【国際公開日】2018-01-18
【審査請求日】2020-07-09
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507280594
【氏名又は名称】マコ サージカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】クレブス ビクター
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒョシグ
(72)【発明者】
【氏名】カソデカー スネハル
(72)【発明者】
【氏名】ハロー マット
(72)【発明者】
【氏名】ディン ジエナン
(72)【発明者】
【氏名】チャン タ-チェン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ミン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス ジーン
(72)【発明者】
【氏名】エビット ピーター
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-505326(JP,A)
【文献】特表2014-531920(JP,A)
【文献】特開2011-217787(JP,A)
【文献】国際公開第2016/089870(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0071893(US,A1)
【文献】特表2007-534351(JP,A)
【文献】米国特許第06002859(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30-34/37
A61B 17/14-17/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットシステムにおける切削ツールの動きを制約するための方法であって、
一次インプラント構成要素と該一次インプラント構成要素が移植されている骨との間のインターフェース領域に関する情報を、
該ロボットシステムに作動的に連結された、プロセッサを含む処理回路
が決定する段階;
該インターフェース領域に関する該情報に少なくとも部分的に基づいて、該一次インプラント構成要素を該骨から離すために除去されるべき該インターフェース領域の部分に対応する計画仮想境界を、該処理回路
が生成する段階;
物理空間内における
該切削ツールの動きが、該計画仮想境界を含む仮想座標空間内における仮想ツールの動きと相関するよう、該物理空間内における該切削ツールの動きを、該
処理回路に作動的に連結されたナビゲーションシステム
が監視する段階;
該切削ツールが該インターフェース領域の除去されるべき部分を除去する間、該プロセッサ
が、該仮想ツールと該計画仮想境界との間の関係に基づく制約を該切削ツールに対して提供することにより、該骨からの該一次インプラント要素の除去を促進する段階;
置換用インプラントを受けるよう該骨を準備するための、該骨における1箇所または複数箇所の追加の切削を表している、該骨の表現物内における第二の計画仮想境界を、該処理回路
が決定する段階;ならびに、
該骨を準備するための1箇所または複数箇所の追加の切削を該切削ツールが行う間、該プロセッサ
が、該仮想ツールと該第二の計画仮想境界との間の関係に基づく制約を該切削ツールに対して提供する段階
を含む、
該方法。
【請求項2】
インターフェース領域に関する情報を決定する段階が、骨およびそこに移植されたインプラント構成要素の
仮想モデルを生成することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
インプラント構成要素を骨に移植する一次手技に関係して取得された画像から、骨モデルが作成される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
CT、X線、蛍光透視、MRI、超音波、ビデオカメラ、および監視されるマーカーからなる群のうちの少なくとも1つのモダリティによって
、前記骨およびそこに移植されたインプラント構成要素の仮想モデルが生成される、請求項2記載の方法。
【請求項5】
インターフェース領域に関する情報を決定する段階が、該インターフェース領域を、監視されるプローブでデジタル化することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
インプラントおよび骨の表現物に対して仮想境界を調整するための入力を
、前記処理回路が受け取る段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
仮想境界が触覚境界(haptic boundary)であり、かつ、制約を提供する段階が、切削ツールに触覚フィードバックを提供することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
仮想境界が自律制御境界(autonomous control boundary)であり、かつ、制約を提供する段階が、該制御境界内に留まるよう切削ツールを自律制御することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
切削ツールが、平面ソー、湾曲ソー、およびバー(burr)からなる群のうち1つまたは複数のツールである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記インターフェースの近くにあり増補材を必要とする骨欠損のサイズ、量、および位置のうちの少なくとも1つに関する情報を、
前記処理回路
が決定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記情報が術前に決定される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
骨欠損を、監視されるプローブでデジタル化することによって前記情報が決定される、請求項10記載の方法。
【請求項13】
インプラント構成要素が除去された後に、ビデオカメラ
が骨の画像を取得する段階;および
該インプラント構成要素の置換を計画するため該画像に基づいて
、前記処理回路が該骨の骨モデルを生成する段階
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記骨に移植する置換用インプラント構成要素の望ましいポーズを
、前記ナビゲーションシステムが決定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
関節式アームと該関節式アームに連結された手術用ツールとを含む、ロボットシステムと;
該関節式アーム、該手術用ツール、および患者の解剖学的構造における再置換対象部分のうちの少なくとも1つの動きを特性決定するよう構成された、ナビゲーションシステムと;
該ロボットシステムと該ナビゲーションシステムとに作動的に連結されたプロセッサであって、
一次インプラント構成要素と該一次インプラント構成要素が移植されている骨との間のインターフェース領域に関する情報を決定し;
該インターフェース領域に関する情報に少なくとも部分的に基づいて、該一次インプラント構成要素を該骨から離すために除去されるべき該インターフェース領域の部分に対応する計画仮想境界を生成し;
物理空間内における該手術用ツールの動きが、該計画仮想境界を含む仮想座標空間内における仮想ツールの動きと相関するよう、該物理空間内における該手術用ツールの動きを、該ナビゲーションシステムを用いて監視し;
該インターフェース領域の除去されるべき部分の除去の間、該プロセッサによって、該仮想ツールと該計画仮想境界との間の関係に基づく制約を該手術用ツールに対して提供することにより、該骨からの該一次インプラント要素の除去を促進し;
置換用インプラントを受けるよう該骨を準備するための、該骨における1箇所または複数箇所の追加の切削を表している、該骨の表現物内における第二の計画仮想境界を決定し;かつ、
該骨を準備するための1箇所または複数箇所の追加の切削を行う間、該プロセッサによって、該仮想ツールと該第二の計画仮想境界との間の関係に基づく制約を該手術用ツールに対して提供する
よう構成された、プロセッサと
を含む、再置換手術を行うためのシステム。
【請求項16】
CT、X線、蛍光透視、MRI、超音波、ビデオカメラ、および監視されるマーカーからなる群のうちの少なくとも1つの撮像モダリティを含む、インターフェース領域に関する情報を決定するためのプロセッサに作動的に連結された撮像システム
をさらに含む、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
インターフェース領域をデジタル化するための、監視されるプローブをさらに含む、請求項15記載のシステム。
【請求項18】
関節式アームに連結された手術用ツールが、エンドエフェクタを含み、
該エンドエフェクタが、
遠位端と、近位端と、内部チャネルとを含む、2自由度の動きが可能な少なくとも1つのフレキシブルベンド要素と;
該フレキシブルベンド要素の該近位端に連結され、かつ、該エンドエフェクタを手術システムに確実に固定するよう構成された、シャフトと;
該シャフト内に収容され、かつ、切削ツールに動力を提供するために該切削ツールに連結された、モーターと
を含み、
切削要素が、該フレキシブルベンド要素の該遠位端に連結される、
請求項15記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2016年7月15日に提出された米国特許仮出願第62/363,037号の優先権および恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
本開示は、ロボット支援による整形外科手術、特にロボット支援による再置換手術に関する。
【0003】
現在、外科医らは、膝関節再置換手技および股関節再置換手技などの再置換手術を用手的に行っている。この用手的な手術は、常に正確というわけではなく、行うのが困難であり、そして、望ましい量を上回る骨損失をもたらして、骨の強度および完全性を低下させる可能性がある。アクセスが限定されること、ならびに、不正確な切削、インプラント除去、およびインプラントのセメント固定が生じることにより、顕著な骨損失が引き起こされる可能性がある。手技中、外科医は、インプラントを用手的に切断するためにチゼル(chisel)およびマイクロソー(micro saw)を用いることがある。外科医は、骨を温存するため、このアプローチを非常にゆっくり行わなければならない。しかし、麻酔の持続時間によって、手術の時間配分が患者にとって重大となる場合がある。加えて、そのような手技を行うにはかなりのトレーニングを要する。
【発明の概要】
【0004】
1つの例示的態様において、ロボット支援手術システムを用いて再置換手術を行うための方法が存在する。同方法は、インプラント構成要素と、そのインプラント構成要素が移植されている骨との間の、インターフェース領域に関する情報を、コンピュータに関連した処理回路によって決定する段階を含む。方法は、インターフェース領域に関する情報に少なくとも部分的に基づきかつインターフェース領域の除去されるべき部分に関連した計画仮想境界を、インプラント構成要素および骨の表現物(representation)内で、処理回路によって生成する段階をさらに含む。同方法は、切削ツールの動きが仮想ツールの動きと相関するよう、物理空間内における切削ツールの動きを、コンピュータに関連したナビゲーションシステムによって監視する段階;および、切削ツールがインターフェース領域の前記部分を除去する間、仮想ツールと計画仮想境界との間の関係に基づく制約を切削ツールに対して提供する段階をさらに含む。インプラント構成要素を骨から除去するために、インターフェース領域の前記部分が除去される。
【0005】
いくつかの態様において、インターフェース領域に関する情報を決定する段階は、骨およびそこに移植されたインプラント構成要素の画像を受け取ることを含む。いくつかの態様において、画像は、インプラント構成要素を骨に移植する一次手技に関係して取得される。いくつかの態様において、画像は、CT、X線、蛍光透視、MRI、超音波、ビデオカメラ、および監視されるマーカーからなる群のうちの少なくとも1つの撮像モダリティによって受け取られる。いくつかの態様において、インターフェース領域に関する情報を決定する段階は、インターフェース領域を監視されるプローブでデジタル化することを含む。
【0006】
いくつかの態様において、方法は、インプラントおよび骨の表現物に対して仮想境界を調整するための入力を受け取る段階をさらに含む。いくつかの態様において、仮想境界は触覚境界(haptic boundary)であり、かつ、制約を提供する段階は、切削ツールに触覚フィードバックを提供することを含む。いくつかの態様において、仮想境界は自律制御境界(autonomous control boundary)であり、かつ、制約を提供する段階は、その制御境界内に留まるよう手術用ツールを自律制御することを含む。いくつかの態様において、切削ツールは、平面ソー、湾曲ソー、レーザー、ウォータージェット、超音波振動、およびバー(burr)からなる群のうち1つまたは複数のツールであるが、それに限定されるわけではない。
【0007】
いくつかの態様において、方法は、前記インターフェースの近くにあり増補材を必要とする骨欠損のサイズ、量、および位置のうちの少なくとも1つに関する情報を、処理回路によって決定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、その情報は術前に決定される。いくつかの態様において、その情報は、骨欠損を監視されるプローブでデジタル化することによって決定される。
【0008】
いくつかの態様において、方法は、インプラント構成要素が除去された後にビデオカメラを用いて骨の画像を取得する段階、および、インプラント構成要素の置換を計画するためその画像に基づいてその骨の骨モデルを生成する段階をさらに含む。
【0009】
いくつかの態様において、方法は、その骨に移植する置換用インプラント構成要素の望ましいポーズを決定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、置換用インプラントを受けるよう骨を準備するためのその骨における1つまたは複数の切削部を表している、その骨の表現物内における第二の計画仮想境界を、処理回路によって決定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、方法は、骨を準備するための1箇所または複数箇所の切削を切削ツールが行う間、仮想ツールと第二の計画仮想境界との間の関係に基づく制約を切削ツールに対して提供する段階をさらに含む。
【0010】
別の例示的態様において、再置換手術を行うためのシステムが存在する。同システムは、関節式アームと、関節式アームに連結された手術用ツールとを含む、ロボットシステムと;関節式アーム、手術用ツール、および患者の解剖学的構造における再置換対象部分のうちの少なくとも1つの動きを特性決定するよう構成された、ナビゲーションシステムと;ロボットシステムおよびナビゲーションシステムに作動的に連結されたプロセッサとを含む。プロセッサは、インプラント構成要素とそのインプラント構成要素が移植されている骨との間のインターフェース領域に関する情報を決定し;インターフェース領域に関する情報に少なくとも部分的に基づきかつインターフェース領域の除去されるべき部分に関連した計画仮想境界を、インプラント構成要素および骨の表現物に基づいて生成し;切削ツールの動きが仮想ツールの動きと相関するよう、物理空間内における切削ツールの動きを、ナビゲーションシステムを用いて監視し;かつ、切削ツールがインターフェース領域の前記部分を除去する間、仮想ツールと計画仮想境界との間の関係に基づく制約を切削ツールに対して提供するように構成される。
【0011】
いくつかの態様において、システムは、インターフェース領域に関する情報を決定するためのプロセッサに作動的に連結された撮像システムであって、CT、X線、蛍光透視、MRI、超音波、ビデオカメラ、および監視されるマーカーからなる群のうちの少なくとも1つの撮像モダリティを含む撮像システムをさらに含む。いくつかの態様において、システムは、インターフェース領域をデジタル化するための監視されるプローブをさらに含む。
【0012】
いくつかの態様において、関節式アームに連結された手術用ツールはエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタは、遠位端と、近位端と、内部チャネルとを含む、2自由度の動きが可能な少なくとも1つのフレキシブルベンド要素と;フレキシブルベンド要素の近位端に連結されかつエンドエフェクタを手術システムに確実に固定するよう構成されたシャフトと;シャフト内に収容され、かつ、切削ツールに動力を提供するために切削ツールに連結されたモーターとを含む。フレキシブルベンド要素の遠位端に切削要素が連結される。
【0013】
1つの態様において、膝関節および股関節の再置換手技を支援するためにロボットシステムが用いられる。ロボットシステムは、あらかじめスキャンしたCT画像に対して実際の骨を位置合わせし、かつ、患者の解剖学的空間を通ってナビゲートできるようロボットアームを精密にガイドする、ナビゲーションシステムを含んでいてもよい。ロボットシステムは、重要な骨構造および軟部組織(靭帯、神経、静脈など)を保護するため、患者の解剖学的構造に基づいた触覚ボリュームをユーザーが形作ることができる触覚機能を有していてもよい。システムは、フレキシブルアームに取り付けられた切削ツールが骨インプラントを切断するため小領域にアクセスできるよう、多自由度を有しかつ任意の方向に90度屈曲できるフレキシブルエンドエフェクタをさらに含んでいてもよい。システムは、患者の骨モデルおよびインプラントモデル、ならびに、膝関節または股関節に対する一次手技の際の計画履歴を、再置換症例に利用できる状態で保存する大きなデータベースを有していてもよい。
【0014】
別の態様において、患者の膝関節および股関節の以前/一次の情報を用いるロボットシステムは、患者の膝関節および股関節の以前/一次のインプラントモデルを用いて、再置換手技を触覚的にガイドするための再置換用触覚境界を作成すること;患者の膝関節および股関節の以前/一次の骨モデルを用いて、骨をロボット座標に位置合わせすることであって、患者は再置換症例のためのCT画像を別途撮影する必要がないこと;ならびに、患者の膝関節および股関節の以前/一次の計画情報を用いて、再置換症例における骨とインプラントとの間の相対ポジションを同定することであって、骨とインプラントとの間の相対運動がなく、インプラント表面を用いて骨をロボット座標に位置合わせすること;によって、再置換症例を支援してもよい。
【0015】
いくつかの態様において、ロボットシステムは、再置換手技中の骨の過切削を防ぎかつ骨損失を最少にするため、カスタム化された再置換用触覚境界を作成する。
【0016】
いくつかの態様において、ロボットシステムは、膝関節および股関節の一次インプラントモデルに基づき、切削ツールを制約しかつ骨の過切削を最少にするため、一次インプラントの周りに再置換用触覚境界を精密に作成する。いくつかの態様において、再置換手術中にインプラントおよび骨を膝関節および股関節の一次CT画像に位置合わせするため、以下の方法のうち1つが用いられる:インプラント表面をデジタル化し次に骨を一次CT画像に位置合わせするための監視可能プローブ;数枚の蛍光透視画像の撮影;および/または、インプラント表面をスキャンし次にそれを一次CT骨モデルに位置合わせするため、カメラまたは光学センサをロボットに取り付けること。いくつかの態様において、ロボットシステムは、限られたアクセス空間でロボットが骨を切削できるよう多自由度を有しかつ全方向に屈曲可能であり、かつ、骨を切削するための高速回転バーを搭載した、精巧なフレキシブルエンドエフェクタシステムを含む。いくつかの態様において、骨またはインプラントの初期モデルを作成するため、かつ/または、骨を骨モデルに位置合わせするため、ビデオカメラまたは超音波デバイスが用いられる。
[本発明1001]
以下の段階:
インプラント構成要素と該インプラント構成要素が移植されている骨との間のインターフェース領域に関する情報を、コンピュータに関連した処理回路によって決定する段階;
該インプラント構成要素および該骨の表現物(representation)内で、該処理回路によって計画仮想境界を生成する段階であって、該計画仮想境界が、該インターフェース領域の除去されるべき部分に関連し、かつ該インターフェース領域に関する該情報に少なくとも部分的に基づく、段階;
切削ツールの動きが仮想ツールの動きと相関するよう、物理空間内における該切削ツールの動きを、該コンピュータに関連したナビゲーションシステムによって監視する段階;
該切削ツールが該インターフェース領域の該部分を除去する間、該仮想ツールと該計画仮想境界との間の関係に基づく制約を該切削ツールに対して提供する段階;ならびに
該インプラント構成要素を該骨から除去するため、該インターフェース領域の該部分を除去する段階
を含む、ロボット支援手術システムを用いて再置換手術を行うための方法。
[本発明1002]
インターフェース領域に関する情報を決定する段階が、骨およびそこに移植されたインプラント構成要素のモデルを生成することを含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
インプラント構成要素を骨に移植する一次手技に関係して取得された画像から、骨モデルが作成される、本発明1002の方法。
[本発明1004]
CT、X線、蛍光透視、MRI、超音波、ビデオカメラ、および監視されるマーカーからなる群のうちの少なくとも1つのモダリティによってモデルが生成される、本発明1002の方法。
[本発明1005]
インターフェース領域に関する情報を決定する段階が、該インターフェース領域を、監視されるプローブでデジタル化することを含む、本発明1001の方法。
[本発明1006]
インプラントおよび骨の表現物に対して仮想境界を調整するための入力を受け取る段階をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1007]
仮想境界が触覚境界(haptic boundary)であり、かつ、制約を提供する段階が、切削ツールに触覚フィードバックを提供することを含む、本発明1001の方法。
[本発明1008]
仮想境界が自律制御境界(autonomous control boundary)であり、かつ、制約を提供する段階が、該制御境界内に留まるよう切削ツールを自律制御することを含む、本発明1001の方法。
[本発明1009]
切削ツールが、平面ソー、湾曲ソー、およびバー(burr)からなる群のうち1つまたは複数のツールである、本発明1001の方法。
[本発明1010]
前記インターフェースの近くにあり増補材を必要とする骨欠損のサイズ、量、および位置のうちの少なくとも1つに関する情報を、処理回路によって決定する段階をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1011]
前記情報が術前に決定される、本発明1010の方法。
[本発明1012]
骨欠損を、監視されるプローブでデジタル化することによって前記情報が決定される、本発明1010の方法。
[本発明1013]
インプラント構成要素が除去された後に、ビデオカメラを用いて骨の画像を取得する段階;および
該インプラント構成要素の置換を計画するため該画像に基づいて該骨の骨モデルを生成する段階
をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1014]
前記骨に移植する置換用インプラント構成要素の望ましいポーズを決定する段階をさらに含む、本発明1001の方法。
[本発明1015]
置換用インプラントを受けるよう骨を準備するための該骨における1つまたは複数の切削部を表している、該骨の表現物内における第二の計画仮想境界を、処理回路によって決定する段階をさらに含む、本発明1014の方法。
[本発明1016]
骨を準備するための1箇所または複数箇所の切削を切削ツールが行う間、仮想ツールと第二の計画仮想境界との間の関係に基づく制約を該切削ツールに対して提供する段階をさらに含む、本発明1015の方法。
[本発明1017]
関節式アームと該関節式アームに連結された手術用ツールとを含む、ロボットシステムと;
該関節式アーム、該手術用ツール、および患者の解剖学的構造における再置換対象部分のうちの少なくとも1つの動きを特性決定するよう構成された、ナビゲーションシステムと;
該ロボットシステムと該ナビゲーションシステムとに作動的に連結されたプロセッサであって、
インプラント構成要素と該インプラント構成要素が移植されている骨との間のインターフェース領域に関する情報を決定し;
該インターフェース領域に関する情報に少なくとも部分的に基づきかつ該インターフェース領域の除去されるべき部分に関連した計画仮想境界を、該インプラント構成要素および該骨の表現物内で生成し;
切削ツールの動きが仮想ツールの動きと相関するよう、物理空間内における該切削ツールの動きを、該ナビゲーションシステムを用いて監視し;かつ
該切削ツールが該インターフェース領域の該部分を除去する間、該仮想ツールと該計画仮想境界との間の関係に基づく制約を該切削ツールに対して提供する
よう構成された、プロセッサと
を含む、再置換手術を行うためのシステム。
[本発明1018]
CT、X線、蛍光透視、MRI、超音波、ビデオカメラ、および監視されるマーカーからなる群のうちの少なくとも1つの撮像モダリティを含む、インターフェース領域に関する情報を決定するためのプロセッサに作動的に連結された撮像システム
をさらに含む、本発明1017のシステム。
[本発明1019]
インターフェース領域をデジタル化するための、監視されるプローブをさらに含む、本発明1017のシステム。
[本発明1020]
関節式アームに連結された手術用ツールが、エンドエフェクタを含み、
該エンドエフェクタが、
遠位端と、近位端と、内部チャネルとを含む、2自由度の動きが可能な少なくとも1つのフレキシブルベンド要素と;
該フレキシブルベンド要素の該近位端に連結され、かつ、該エンドエフェクタを手術システムに確実に固定するよう構成された、シャフトと;
該シャフト内に収容され、かつ、切削ツールに動力を提供するために該切削ツールに連結された、モーターと
を含み、
切削要素が、該フレキシブルベンド要素の該遠位端に連結される、
本発明1017のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書に組み入れられかつその一部をなす添付の図面は、本明細書の説明とともに本開示の原理および特徴を説明するのに役立つ複数の態様を図示している。
【0018】
【
図1】例示的態様に基づく、手術システムの1つの態様の斜視図である。
【
図2】例示的態様に基づく計算システムのブロック図である。
【
図3】
図3A~3Bは、例示的態様に基づく、大腿骨と、脛骨と、大腿骨インプラントと、脛骨インプラントとを示しているX線画像の図である。
【
図4】膝関節部分置換術の一次手技中にユーザーインターフェース上に示される骨モデルおよびインプラントモデルの図である。
【
図5A】例示的態様に基づく、
図1の手術システムとともに用いられるフレキシブルエンドエフェクタの図である。
【
図5B】例示的態様に基づく、
図5Aのフレキシブルエンドエフェクタの図である。
【
図5C】例示的態様に基づく、
図5Aのフレキシブルエンドエフェクタのフレキシブル部分の拡大図である。
【
図6A】例示的態様に基づく、大腿骨、大腿骨インプラント、およびエンドエフェクタの様々な図である。
【
図6B】例示的態様に基づく、大腿骨、大腿骨インプラント、およびエンドエフェクタの様々な図である。
【
図6C】例示的態様に基づく、大腿骨、大腿骨インプラント、およびエンドエフェクタの様々な図である。
【
図7】
図7Aおよび7Bは、非ロボット式または用手的な除去後の大腿骨インプラントおよび大腿骨を示した図である。
【
図8】例示的態様に基づく、再置換手術を行う方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
各図面は本発明の例示的態様を詳しく示しているが、それら図面を参照する前に理解されるべき点として、本出願は、本説明に述べられまたは図面に示されている詳細または方法論に限定されるわけではない。同じく理解されるべき点として、術語は説明のみを目的としており、限定的なものとみなされるべきでない。
【0020】
本開示は、一次インプラントを最少の骨損失で精密除去することを可能にし、かつ一方で一次インプラントの除去に必要な時間を短縮することによって、膝関節または股関節などの関節の再置換手技をサポートするための、ロボット支援アプローチを導入する。骨損失が最少化されると、個々の患者の存命中に行える再置換手技の数が増大する。
【0021】
本開示は、膝関節および股関節、ならびに、膝関節および股関節の再置換術に言及するが、本明細書に開示するシステムおよび方法は、肩、手首、足首、脊椎などを非限定的に含む他の骨および関節に対する、他の整形外科的再置換手術にも等しく適用可能である。
【0022】
本開示のロボット支援手術システムは、除去される骨の量および/または骨の損傷を最少化するために再置換手技を支援するよう設計されている。本開示のロボット支援手術システムはまた、外科医が再置換手技を行うための長い学習曲線を短くするよう設計されている。本開示のロボット支援手術システムは、再置換術を行う時間の短縮に役立つ可能性があり、かつ、ロボットシステムを用いる結果として骨の「損傷」が少なくなる可能性があるので、骨の回復がより良好になる可能性がある。加えて、本開示は、インターフェースの崩壊の進行の可視性という、従来用いられているシステムの大きな問題の1つに対処する。特定の態様において、本発明のロボットシステムは、インターフェース部を完全に除去するための計画をユーザーに提供してもよく、そして次に、除去プロセスの間にフィードバックを提供しながら、ユーザーによる計画の実行を助けてもよい。
【0023】
例示的ロボットシステム
以下に、本開示に基づくロボット支援手術システムおよび方法の様々な特徴をより詳しく説明する。
図1に、特定の開示態様に関連したプロセスおよび特徴が実施されてもよい例示的なコンピュータ支援手術(CAS)システム100の略線図を示す。手術システム100は、例えば膝関節の再置換手技など、広範な整形外科的手術手技を行うよう構成されてもよい。手術システム100は、
監視システム101と、計算システム102と、1つまたは複数のディスプレイデバイス103a, 103bと、ロボットシステム104とを含む。理解されるべき点として、システム100ならびに本明細書に説明する方法およびプロセスは、多数の異なるタイプの関節再置換手技に適用可能であってもよい。特定の開示態様は、膝関節の再置換手技に関して説明される場合があるが、本明細書に説明する概念および方法は、股関節の再置換術、肩関節の再置換手技、および他のタイプの整形外科手技など、他のタイプの整形外科手術に適用可能であってもよい。さらに、手術システム100は、手術を補助するため、追加的な要素を含むか、または本説明より少ない要素を含んでいてもよい(例えば手術台など)。
【0024】
ロボットシステム104は、再置換手技などの外科手技を患者に対して行うため、相互作用様式で外科医に用いられてもよい。
図1に示すように、ロボットシステム104は、基部105と、関節式アーム106と、力覚システム(図には示していない)と、コントローラ(図には示していない)とを含む。手術用ツール110(例えば、ソー、リーマー、またはバーなどの作動部材を有するエンドエフェクタなど)が関節式アーム106に連結されてもよい。外科医は、関節式アーム106および/または手術用ツール110を把持しかつ用手的に動かすことによって手術用ツール110を操作してもよい。
【0025】
力覚システムおよびコントローラは、手術用ツールの操作中、制御またはガイダンスを介した切削抑制ガイドを外科医に提供するよう構成される。力覚システムは、関節式アーム106を介して手術用ツールに少なくともいくらかの力を提供するよう構成され、そしてコントローラは、力覚システムを制御するための制御信号を生成するようプログラムされる。1つの態様において、力覚システムは、例えば、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第8,010,180号および/または2009年12月22日に提出された米国特許出願第12/654,519号(米国特許出願公開第2010/0170362号)に説明されているように、触覚オブジェクトによって事前定義された触覚境界を超えて外科医が手術用ツールを用手的に動かすことを制約または抑止するための触覚(または力覚)フィードバックを提供する、アクチュエータと逆駆動可能トランスミッションとを含む。力覚システムおよびコントローラはロボットシステム104内に収容されていてもよい。いくつかの態様において、切削抑制またはガイダンスは、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、米国特許第9,399,298号「Apparatus and Method for Providing an Adjustable Positive Stop in Space」、米国特許第9,060,794号「System and Method for Robotic Surgery」、および米国特許公報第2013/0060278号「Surgical instrument including housing, a cutting accessory that extends from the housing and actuators that establish the position of the cutting accessory relative to the housing」に説明されているような、手持ち式マニピュレータまたは手持ち式ロボットデバイスを通して提供される。
【0026】
監視システム101は、外科手技中に1つまたは複数のオブジェクトのポーズ(すなわちポジションおよび配向)を決定して、オブジェクトの動きを検出するよう構成される。例えば、監視システム101は、検出デバイスの基準座標系に対するオブジェクトのポーズを取得する、検出デバイスを含んでいてもよい。オブジェクトが基準座標系内で動く際に、オブジェクトの動きを検出するため(または手術システム100がその動きを決定できるよう)、検出デバイスがオブジェクトのポーズを監視する。その結果、計算システム102は、1つまたは複数の監視されるオブジェクトの動きに反応してデータをキャプチャすることができる。監視されるオブジェクトは、例えば、ツール/器具、患者の解剖学的構造、インプラント/補綴器具、および手術システム100の構成要素を含んでもよい。手術システム100は、監視システム101から得たポーズデータを用いて、1つの空間内の座標を別の空間内の座標に位置合わせ(またはマッピングもしくは関連付け)して、(例えば周知の座標変換処理を用いて)空間的なアライメントまたは対応を実現することも可能である。物理空間内のオブジェクトが、例えば、ロボットシステム104の手術用コントローラおよび/またはコンピュータデバイス上で実行される処理で用いられる座標系など、任意の好適な座標系に対して位置合わせされてもよい。例えば、手術システム100は、監視システム101から得たポーズデータを利用して、患者の脛骨などの物理的な解剖学的構造を、その解剖学的構造の表現物(例えばディスプレイデバイス103上に表示される画像など)に関連付けることができる。手術システム100は、監視されるオブジェクトおよび位置合わせデータに基づいて、例えば、解剖学的構造の画像とそれに関係する解剖学的構造との間の空間関係などを決定してもよい。
【0027】
位置合わせは、任意の公知の位置合わせ技法を含んでいてもよく、そのような技法として、例えば、画像‐画像の位置合わせ(例えば、蛍光透視画像もしくはMR画像など、タイプもしくはモダリティが同じである画像を位置合わせする単モード位置合わせ、ならびに/または、MRIおよびCTなど、タイプもしくはモダリティが異なる画像を位置合わせする多モード位置合わせなど)、画像‐物理空間の位置合わせ(例えば、従来の撮像技法で取得した患者の解剖学的構造のデジタルデータセットを、患者の実際の解剖学的構造に位置合わせする、画像‐患者の位置合わせなど)、画像‐画像および画像‐物理空間を組み合わせた位置合わせ(例えば、術前のCTおよびMRI画像を術中のシーンに位置合わせするなど)、ならびに/または、ビデオカメラもしくは超音波を用いた位置合わせ、などがある。計算システム102はまた、1つの空間内の座標を別の空間内の座標にマッピング(または変換)して空間的なアライメントまたは対応を実現するための座標変換処理を含んでいてもよい。例えば、手術システム100は、座標変換処理を用いて、監視されるオブジェクト(例えば患者の解剖学的構造など)のポジションを、触覚デバイスおよび/または手術用コントローラのコンピュータ上で実行される処理で用いられる座標系にマッピングしてもよい。周知であるように、座標変換処理は、例えば剛体変換、非剛体変換、およびアフィン変換など、任意の好適な変換技法を含んでいてもよい。いくつかの態様において、ビデオカメラは、モデルを取得しそしてそのモデルを位置合わせするため、トラッカーと骨のスキャン結果とを含む。例えば、初期3Dモデルが作成されそして自動的に位置合わせされてもよい。いくつかの態様において、ビデオカメラは、CTスキャン結果に対応する3Dモデルを位置合わせするのに用いられてもよい。いくつかの態様において、初期モデル作成および位置合わせの両方にビデオカメラまたは超音波が用いられてもよい。
【0028】
監視システム101は、手術システム100が患者の解剖学的構造のポーズを連続的に決定(または監視)することを可能にする、任意の監視システムであってよい。例えば監視システム101は、手術環境中での使用に適した、非機械式監視システム、機械式監視システム、または、非機械式および機械式監視システムの任意の組み合わせを含んでいてもよい。非機械式監視システムは、光学式(もしくは視覚式)、磁気式、電波式、または音響式の監視システムを含んでいてもよい。そのようなシステムは、検出デバイスによって検出可能であり、かつ、監視されるオブジェクトに取り付けられるかまたは監視されるオブジェクトの固有部分であるかのいずれかであるよう構成された、特別に認識可能な監視可能要素(またはトラッカー)を、事前定義された座標空間内で位置出しするよう適合された検出デバイスを典型的に含む。例えば、監視可能要素は、ユニークな幾何学的アレンジメントと、監視可能要素が監視されるオブジェクトに取り付けられたときに監視されるオブジェクトに対する既知の幾何学的関係とを有する、マーカーのアレイを含んでいてもよい。既知の幾何学的関係は、例えば、監視可能要素と、監視されるオブジェクトの端点および軸との間の、事前定義された幾何学的関係であってもよい。ゆえに、検出デバイスは、少なくとも部分的に、マーカーの幾何学形状(ユニークであれば)と、軸の配向と、マーカーのポジションから導出された基準系内の端点の位置とから、特定の監視されるオブジェクトを認識できる。
【0029】
マーカーは、例えば外因的マーカー(もしくはフィデューシャル)および/または監視されるオブジェクトの内因的特徴などを含んでいてもよい。外因的マーカーは、患者に取り付けられる人工物であり(例えば、皮膚に貼付されるマーカー、骨に移植されるマーカー、定位用フレームなど)、検出デバイスによって視認できかつ正確に検出できるよう設計される。内因的特徴は、認識可能マーカーとして機能するよう充分に定義されかつ同定可能である、監視されるオブジェクトの顕著かつ正確に位置出し可能な部分である(例えば、目印、解剖学的構造の輪郭、形状、色、または、充分に認識可能な他の任意の可視指標など)。マーカーは、例えば周知の光学式、電磁式、電波式、または音響式の方法など、任意の好適な検出方法を用いて位置出しされてもよい。例えば、赤外線感受性の静置式ステレオカメラ対を有する光学式監視システムを用いて、赤外線を能動的に放出するマーカー(発光ダイオードもしくはLEDなど)または受動的に放出するマーカー(赤外線を反射する表面を備えた球形マーカーなど)のいずれかを監視してもよい。同様に、磁気式監視システムが、監視されるオブジェクト内に組み込まれた小型コイルによって感知される、空間変動する磁場を発する静置式の磁場生成機を含んでいてもよい。
【0030】
計算システム102は、監視システム101に通信可能式に連結されてもよく、かつ、監視システム101から監視データを受け取るよう構成されていてもよい。計算システム102は、受け取った監視データに基づき、患者の解剖学的構造の一部または手術用ツール110など、手術環境の、位置合わせされた1つまたは複数の特徴に関連した、ポジションおよび配向を決定してもよい。計算システム102はまた、外科手技中に外科医または手術支援スタッフによって用いられてもよい、手術計画作成および手術支援用のソフトウェアを含んでいてもよい。例えば、関節置換手技中に、計算システム102が、ディスプレイデバイス103a, 103bのうち1つまたは両方に、その外科手技に関する画像を表示してもよい。
【0031】
計算システム102(および/または、手術システム100を構成する1つもしくは複数の構成要素)は、手術システム100のオペレーションおよび制御用のハードウェアおよびソフトウェアを含んでいてもよい。そのようなハードウェアおよび/またはソフトウェアは、本明細書に説明する技法をシステム100が行うことを可能にするように構成される。
【0032】
図2に、例示的態様に基づく計算システム102のブロック図を示す。計算システム102は、手術用コントローラ112と、ディスプレイデバイス103(例えばディスプレイデバイス103aおよび103b)と、入力デバイス116とを含む。
【0033】
手術用コントローラ112は任意の公知の計算システムであってよいが、好ましくは、プログラム可能なプロセッサ式のシステムである。例えば、手術用コントローラ112は、マイクロプロセッサと、ハードドライブと、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、読出し専用メモリ(ROM)と、入力/出力(I/O)回路と、他の任意の公知のコンピュータ構成要素を含んでいてもよい。手術用コントローラ112は、好ましくは、例えばポータブルドライブ、磁気記憶装置、固体記憶装置(例えばフラッシュメモリカード)、光学記憶装置、および/またはネットワーク/インターネット記憶装置など、様々なタイプの(永久的および取り外し可能な)記憶デバイスとともに使用できるよう適合される。手術用コントローラ112は、例えば好適なオペレーティングシステムの元で作動するパーソナルコンピュータまたはワークステーションなど、1つまたは複数のコンピュータを含んでいてもよく、かつ、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を含んでいてもよい。
【0034】
引き続き
図2を参照すると、例示的態様において、手術用コントローラ112は、プロセッサ122とメモリ124とを有する処理回路120を含む。プロセッサ122は、入力データに対して作動しそして出力を生成することによってアクションを行うため、1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する、汎用プロセッサとして実施されてもよい。処理およびロジックフローはまた、例えばFPGA(現場でプログラム可能な論理列)もしくはASIC(特定用途向け集積回路)、1群の処理用構成要素、または他の好適な電子処理用構成要素など、専用の論理回路によって行われてもよく、かつそのような専用の論理回路として装置が実施されてもよい。一般に、プロセッサは、読出し専用メモリもしくはランダムアクセスメモリ、またはその両方から、命令およびデータを受け取る。メモリ124(例えば、メモリ、メモリユニット、記憶デバイスなど)は、本出願に説明する様々な処理を完了させるかまたは容易にするためのデータおよび/またはコンピュータコードを保存するための、1つまたは複数のデバイス(例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置など)を含む。メモリ124は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリであるかまたはこれを含んでいてもよい。メモリ124は、データベース構成要素、オブジェクトコード構成要素、スクリプト構成要素、および、本出願に説明する様々な作業をサポートするための他の任意のタイプの情報構造を含んでいてもよい。例示的態様において、メモリ124は、プロセッサ122に通信可能式に接続され、かつ、本明細書に説明する1つまたは複数の処理を実行するためのコンピュータコードを含む。メモリ124は、特定のタイプの機能に関するデータおよび/またはコンピュータコードをそれぞれが保存できる様々なモジュールを含有していてもよい。1つの態様において、メモリ124は、計画作成モジュール124a、ナビゲーションモジュール124b、位置合わせモジュール124c、およびロボット制御モジュール124dなど、外科手技に関する複数のモジュールを含有する。
【0035】
代替的または追加的に、プログラム命令は、データ処理装置で実行するため好適な受信装置に伝送されるよう情報をエンコードするために生成される、例えば機械生成される電気信号、光信号、または電磁信号など、人工的に生成された伝搬信号上にエンコードされていてもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダムアクセスもしくはシリアルアクセスのメモリアレイもしくはデバイス、または、それらのうち1つもしくは複数の組み合わせであるかまたはそれに含まれていてもよい。さらに、コンピュータ記憶媒体は伝搬信号ではないが、コンピュータ記憶媒体が、人工的に生成された伝搬信号にエンコードされたコンピュータプログラム命令の供給源または宛先であってもよい。コンピュータ記憶媒体はまた、1つまたは複数の別個の構成要素または媒体(例えば複数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)であるかまたはそれに含まれていてもよい。したがって、コンピュータ記憶媒体は、有形かつ非一過性であってもよい。
【0036】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても公知である)は、コンパイルもしくは翻訳される言語、宣言形言語、または手続き言語など、任意の形式のプログラミング言語で書かれていてもよく、かつ、独立プログラムとして、または、モジュール、構成要素、サブルーチン、オブジェクト、もしくは計算環境で用いるのに好適な他のユニットとしてなど、任意の形式に展開されてもよい。コンピュータプログラムは、ファイルシステム中のファイルに対応していてもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。プログラムは、他のプログラムもしくはデータを保持するファイルの一部(例えば、マーク付け言語ドキュメント内に保存された1つまたは複数のスクリプト)内か、そのプログラム専用の単一ファイル内か、または、連携する複数のファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、もしくはコード部分を保存しているファイル)内に保存されていてもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または、1つの施設に置かれているかもしくは複数施設に分配されかつ通信網によって相互接続されている複数のコンピュータ上で、実行されるよう展開されてもよい。
【0037】
一般に、コンピュータはまた、例えば磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクなど、データを保存するための1つまたは複数の大用量記憶デバイスを含むか、もしくはデータを送受信するためそれに作動的に連結されるか、またはその両方である。しかし、コンピュータが必ずしもそのようなデバイスを有していなくてもよい。さらに、コンピュータが、例えば、携帯電話、タブレット、携帯情報端末(PDA)、携帯式の音声もしくは動画プレーヤー、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、またはポータブル記憶デバイス(例えばユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ)などをはじめとする、別のデバイスに埋め込まれていてもよい。コンピュータプログラム命令およびデータの保存に好適なデバイスには、すべての形式の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスが含まれ、その例として、例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス;例えば内蔵ハードディスクまたは取り外し可能ディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;ならびに、CD ROMディスクおよびDVD-ROMディスクなどがある。プロセッサおよびメモリは、専用の論理回路によって補助されるかまたはそれに組み込まれていてもよい。
【0038】
本明細書の説明内容の諸態様は、例えばデータサーバーとしてなどバックエンド構成要素を含む計算システム;例えばアプリケーションサーバーなどミドルウェア構成要素を含む計算システム;例えば、それを通じてユーザーが本明細書の説明内容の1態様と相互作用できるグラフィカルユーザーインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータなど、フロントエンド構成要素を含む計算システム;または、1つまたは複数のそのようなバックエンド構成要素、ミドルウェア構成要素、またはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせ;において実施されてもよい。システムの構成要素は、例えば通信網など、任意の形式または媒体のデジタルデータ通信によって相互接続されてもよい。
【0039】
図2に示す手術システム100の態様を参照すると、手術用コントローラ112は通信インターフェース130をさらに含む。計算システム102の通信インターフェース130は、インターフェースを介してロボットシステム104の計算デバイス(図には示していない)に連結され、かつ、インターフェースを介して
監視システム101に連結される。インターフェースは物理的インターフェースおよびソフトウェアインターフェースを含んでいてもよい。通信インターフェース130の物理的インターフェースは、直接接続またはネットワーク接続(例えばインターネット接続、LAN接続、WAN接続、もしくはWLAN接続など)を介して外部ソースとデータ通信を行うための、有線または無線のインターフェース(例えば、ジャック、アンテナ、送信機、受信機、トランシーバ、ワイヤターミナル)であるかまたはそれを含んでいてもよい。ソフトウェアインターフェースは、手術用コントローラ112、ロボットシステム104の計算デバイス(図には示していない)、および/または
監視システム101上に常駐していてもよい。いくつかの態様において、手術用コントローラ112および計算デバイス(図には示していない)は同じ計算デバイスである。ソフトウェアはまた、手術システム100と同じ建物内または外部サーバー施設に収容された遠隔サーバー上で作動してもよい。
【0040】
計算システム102はまたディスプレイデバイス103も含む。ディスプレイデバイス103は、計算システム102とユーザーとの間の視覚的インターフェースである。ディスプレイデバイス103は手術用コントローラ112に接続されており、そして、テキスト、画像、グラフィック、および/または他の視覚出力を表示するのに好適な任意のデバイスであってよい。例えば、ディスプレイデバイス103は、標準的なディスプレイスクリーン、タッチスクリーン、ウェアラブルディスプレイ(例えば眼鏡またはゴーグルなどのアイウェア)、投射型ディスプレイ、ヘッドマウント式ディスプレイ、ホログラフィ式ディスプレイ、および/または他の任意の視覚出力デバイスを含んでいてもよい。ディスプレイデバイス103は、手術用コントローラ112の上または近くに配されてもよく(例えば
図1に示すようなカート上など)、または、手術用コントローラ112から離れていてもよい(例えば
監視システム101とともにスタンド上にマウントされるなど)。ユーザーが外科手技中に必要に応じてディスプレイデバイス103のポジションを決定/再決定できるよう、ディスプレイデバイス103は好ましくは調整可能である。例えば、ディスプレイデバイス103は、調整可能アーム(図には示していない)上に配されてもよく、または、ユーザーにとって見やすい他の好適な位置に配されてもよい。
図1に示すように、手術システム100内に1つより多いディスプレイデバイス103があってもよい。
【0041】
ディスプレイデバイス103は、例えば、従来の撮像技法を用いて取得された画像データセットから生成された解剖学的構造の画像、グラフィカルモデル(例えば、インプラント、器具、解剖学的構造のCADモデルなど)、監視されるオブジェクト(例えば、解剖学的構造、ツール、インプラントなど)のグラフィカル表現物、制約データ(例えば、軸、関節面など)、インプラント構成要素の表現物、デジタル画像もしくはビデオ画像、位置合わせ情報、キャリブレーション情報、患者データ、ユーザーデータ、測定データ、ソフトウェアメニュー、選択ボタン、および状況情報など、医療手技に有用な任意の情報を表示するために用いられてもよい。
【0042】
計算システム102は、ディスプレイデバイス103に加えて、ユーザーに可聴フィードバックを提供するための音響デバイス(図には示していない)を含んでいてもよい。音響デバイスは手術用コントローラ112に接続され、そして、音を生じるための任意の公知のデバイスであってもよい。例えば音響デバイスは、スピーカーおよびサウンドカード、音声サポート内蔵のマザーボード、ならびに/または外部サウンドコントローラを含んでいてもよい。実際の運用において、音響デバイスがユーザーに情報を伝えるよう適合されていてもよい。例えば、外科手技の1つの段階が完了したことを示す、「終了(DONE)」という合成音声による言語指示などの音を生じさせるため、音響デバイスに信号を送るよう手術用コントローラ112がプログラミングされていてもよい。同様に、例えば、外科用切削ツールが軟部組織の重要部位に近づいているかまたは仮想制御境界に接近していることを示すためにトーンを生じるなど、繊細な条件についてユーザーに注意するために音響デバイスが用いられてもよい。
【0043】
本明細書の説明内容の諸態様は、ユーザーとのその他の相互作用を提供するため、ユーザーが手術システム100と通信することを可能にする入力デバイス116を有するコンピュータ上で実施されてもよい。入力デバイス116は手術用コントローラ112に接続され、そして、ユーザーがコンピュータに入力を提供することを可能にする任意のデバイスを含んでいてもよい。例えば、入力デバイス116は、キーボード、マウス、トラックボール、タッチスクリーン、タッチパッド、音声認識ハードウェア、ダイヤル、スイッチ、ボタン、監視可能プローブ、フットペダル、遠隔制御デバイス、スキャナ、カメラ、マイクロフォン、および/またはジョイスティックなど、公知の入力デバイスであってもよい。例えば、入力デバイス116は、ユーザーが仮想制御境界を操作することを可能にしてもよい。ユーザーとの相互作用を提供するため他の種類のデバイスも用いられてよい;例えば、ユーザーに提供されるフィードバックが、例えば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、もしくは触覚フィードバックなど任意の形態の感覚フィードバックであってもよく、そして、ユーザーからの入力が、音響入力、会話入力、もしくは触覚入力など、任意の形態で受け取られてもよい。加えて、コンピュータが、例えばユーザーのクライアントデバイス上のウェブブラウザから要求を受け取ったことに応答してそのウェブブラウザにウェブページを送信するなど、ユーザーによって使用されるデバイスにドキュメントを送信することおよび同デバイスからドキュメントを受信することによって、ユーザーと相互作用してもよい。
【0044】
上述の、かつ、手術システム100との連関において説明した触覚制御およびフィードバックを含む、本発明の例示的方法を実現するための、一般的な手術計画作成およびナビゲーションは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるQuaidらの米国特許第8,010,180号「Haptic Guidance System and Method」に説明されているシステムなどのコンピュータ式手術システムによって行われてもよい。
【0045】
ロボット支援手術用の仮想オブジェクト
図3A~3Bに、例示的態様に基づく、大腿骨(F)と、脛骨(T)と、大腿骨インプラント302と、脛骨インプラント306とを示しているX線画像の例を示す。
図3Aおよび
図3BにはX線画像を示しているが、様々な撮像技法(例えばCT、MRI、超音波、ビデオカメラなど)のうち任意の技法を用いて他の画像が取得されそして骨モデルの生成に用いられてもよい。図示されているように、大腿骨インプラント302は、大腿骨 F 内に伸びているペグ304などの突起を含み、そして脛骨インプラント306は例えばキール(keel)308などを含む。移植時、脛骨インプラント306のベースプレートの平らな部分の下と、大腿骨インプラント302の平らな表面とに、セメントが提供される。いくつかの態様において、大腿骨インプラント302は、部分ab、部分bc、部分cd、部分de、および部分efという5つの平らな部分を含む。いくつかの態様において、セメントは、大腿骨インプラント302の平らな部分の一部または全部の上に置かれる。再置換手術中、インプラント302および306は、ペグ304およびキール308も含めて、除去のため周囲が切削されなければならない。しかし、時間の経過によって、キール308が脛骨 Tによるイングロース(ingrowth)を有している場合があり、これは除去手技中に骨片の離脱をもたらす可能性がある。除去中の骨損失を低減するため、インプラントの画像(例えばCT、MRI、ビデオ、超音波などによって取得された画像)を用いて、除去の手術計画を生成するための骨およびインプラントのモデルを作成してもよい。いくつかの態様において、大腿骨インプラント302と骨との間のインターフェースのモデルを生成するため、
監視用プローブを用いて、例えば点a、b、c、d、e、およびfに近い領域、または、部分ab、bc、cd、de、およびefの縁部に沿った領域などをプロービングしてもよい。
【0046】
図4に、例示的態様に基づく、膝関節部分置換術の一次手技中の、骨402のモデルおよびインプラント404のモデルを示しているグラフィカルユーザーインターフェースを示す。具体的には、
図4は、大腿骨インプラント404を受ける大腿骨402の遠位端を描写している。図示されているように、大腿骨インプラント404は、大腿骨内の開口部によって受けられた細長の突起406(例えばペグ、スクリュー、キールなど)を含む。細長の突起406は、大腿骨インプラント404を骨402にさらに確実に固定し、かつ、インプラント404と骨402との間の動きに抵抗することを助ける。骨402とインプラント404との間の確実な固定を向上させるため、大腿骨インプラント404上のキールとインターフェースするキール(図には示していない)で骨が準備されていてもよい。モデルは、モデルの回転または異なるビューモードの選択を通じて、ユーザーがインプラントモデルのビューを修正することを可能にしてもよい。いくつかの態様において、モデルは、インプラント、骨、またはそれらの組み合わせの、異なる断面図をユーザーが見ることを可能にしてもよい。いくつかの態様において、モデルはまた、再置換手術の計画作成を補助する情報(例えばサイズ、位置、材料など)も提供してもよい。
【0047】
図1の手術システム100は、現在の補綴インプラント構成要素に関連し、かつ、患者の解剖学的構造の1つまたは複数の特徴に関連または関係する、仮想制御オブジェクトを確立するよう構成されてもよい。手術システム100は、例えば、患者の解剖学的構造、外科手技中に用いられる手術器具、手術部位内の他のオブジェクトを位置合わせするためのプローブツール、および、手術部位に関連した他の任意のオブジェクトの仮想表現物などを含む、手術部位の仮想表現物を作成するよう構成されてもよい。
【0048】
手術システム100は、物理的オブジェクトに加えて、ソフトウェア内に存在しかつ外科手技の実施中に有用となりうる仮想オブジェクトを生成するよう構成されてもよい。例えば、手術システム100は、外科医が切削、除去、またはその他変更を計画している骨の領域を定義する境界など、骨を準備するための外科医の計画に対応した仮想境界または仮想制御境界を生成するよう構成されてもよい。再置換手術の場合、仮想境界は、セメントの除去、および、移植される補綴物構成要素とその移植対象の骨との間のインターフェースに必要な骨の構成に関する、外科医の計画に対応していてもよい。代替的または追加的に、手術システム100は、手術用ツール110(例えばエンドエフェクタ200)の一部が特定のタスクを行うために進むべき望ましいパスまたはコースに対応した仮想オブジェクトを定義してもよい。
【0049】
手術システム100はまた、特定の手術計画の一部として仮想オブジェクトまたは境界を生成するよう構成されていてもよい。いくつかの態様において、手術計画は、インプラントまたは骨の位置合わせ済みモデルに対応した状態で、インプラントのデータベースに基づいて生成される。インプラントがデータベース内で既知である場合、手術計画がユーザーに提案されてもよい。手術計画は、どのツールを用いるべきか;インプラント、仮想境界などのパーツの周りを移動するためにどのようなアクセスが必要か;などを含んでいてもよい。提案される手術計画は、キールおよびペグの周りの仮想オブジェクトを含んでいてもよく、かつ、インプラントのこれら特徴の周りで切削するためのツール変更を提案してもよい。いくつかの態様において、使用されるツール、必要なアクセス、インプラントおよび仮想境界の形状を非限定的に含めて、手術計画はユーザーによって修正可能である。いくつかの態様において、患者の解剖学的構造もしくはインプラントのモデルキャプチャ(model capture)、または特定のインプラントに基づいて、一般的な手術計画が自動的に修正されてもよい。
【0050】
仮想境界および他の仮想オブジェクトは、手術器具の監視されたポジションがその仮想境界またはオブジェクトと相互作用したときに手術器具への制約が提供される境界として役立つ、仮想座標空間内の点、線、または表面を定義してもよい(典型的に患者の解剖学的構造に対して相対的に定義される)。いくつかの態様において、制約は触覚または力覚のフィードバックを通じて提供される。例えば、外科医が骨切削オペレーションを行う際に、手術システム100の監視システムが切削ツールの位置を監視し、そしてほとんどの場合は、作業空間内で外科医がツールを自由に動かすことを許容する。しかし、ツールが(患者の解剖学的構造に対して位置合わせされた)仮想境界に近接しているときは、外科医がその切削ツールで仮想境界を貫通しないよう制約する傾向があるガイダンスを提供するため、手術システム100が力覚フィードバックシステムを制御する。例えば、仮想境界が補綴用インプラントの仮想モデルの幾何学形状に関連していてもよく、そして触覚ガイダンスは、仮想境界に対してマッピングされかつ外科医にとってツールの動きが仮想境界を貫通しないよう制約するための抵抗として経験される、力および/またはトルクを含んでいてもよい。ゆえに、外科医は、あたかも切削ツールが壁などの物理的オブジェクトに遭遇したかのように感じてもよい。したがって、手術システム100の力覚フィードバックシステムは、仮想境界に対するツールの位置に関するこの情報を外科医に伝達し、かつ、実際の切削プロセス中に切削ツールをガイドするための物理的な力覚フィードバックを提供する。この様式において、仮想境界は仮想切削ガイドとして機能する。手術システム100の力覚フィードバックシステムはまた、手術用ツールを操作するユーザーの能力を限定するよう構成されていてもよい。除去のために印加される力を測定するため、ロボットシステムまたは手動ツールがインプラントに取り付けられてもよい。骨に対するインプラントのポジションおよび印加される力をモニターすることにより、除去しやすさの指標を外科医に与えられる可能性がある。これは、非意図的な骨損失を最少にするために追加の切削が必要であることを示してもよい。いくつかの態様において、仮想境界は、手術ロボットが手術計画の全部または一部の段階を自律的に行うことを可能にする、自律的切削制御を定義してもよい。いくつかの態様において、仮想境界は、自律的な切削境界と用手的な切削境界との組み合わせを定義する。いくつかの態様において、自律的切削制御を用いているときに、インプラントとの接触が生じたこと(例えば、ツールが平らなインターフェース表面に沿って切削しているときにペグとの接触が生じたなど)を示すためにフィードバックが用いられてもよく、そして、そのフィードバックに基づき、インプラントのその部分を避けるよう手術計画または境界が調整されてもよい。例えば、このことは、切削開始前にキールの形状が既知または同定可能でなく、そのためもともとの境界がキールを考慮していない場合に、特に有用である可能性がある。手術計画および/または仮想境界とキールとにおいて検出された差異に基づいて、手術計画または仮想境界が修正されてもよい。いくつかの態様において、仮想境界は、触覚オブジェクトを定義する触覚境界に対応する。いくつかの態様において、触覚境界は、触覚境界との遭遇があったときに触覚フィードバックを提供するよう構成される。触覚境界は、触知的、聴覚的、視覚的、もしくは嗅覚的(すなわち匂い)な触覚フィードバック、または他のフィードバック提供手段をもたらしてもよい。
【0051】
いくつかの態様において、レンダリングアプリケーションが、第一ポジションから第二ポジションまでの経路を表す仮想オブジェクト(図には示していない)もまた作成してもよい。例えば、仮想オブジェクトは、第一ポジション(例えば、手術システム100とともに用いられるツールの物理空間内のポジション)から、ターゲット(例えば、仮想オブジェクトなどのターゲットオブジェクト)を含む第二ポジションまでの経路を定義する、仮想ガイドワイヤ(例えば線)を含んでいてもよい。仮想オブジェクトは、仮想オブジェクトによって定義される経路に沿ってツールの動きが制約されるように起動されてもよい。手術システム100は、ツールが第二ポジションに到達したときにオブジェクトを起動解除してもよく、そして、ターゲットオブジェクト(例えば仮想オブジェクト)を起動する。ツールは、オブジェクトが起動されたときに、自動的に触覚制御(またはバーリング(burring))などの制御モードに置かれてもよい。好ましい態様において、ツールが経路から逸脱できるよう、オブジェクトが起動解除されてもよい。ゆえに、ユーザーは、オブジェクトに関連したガイダンスを無効にしてガイドワイヤのパスから逸脱し、そして、仮想ガイドワイヤの生成時に考慮に入っていなかった監視されないオブジェクト(例えばスクリュー、開創器、ランプなど)の周りでツールを巧みに動かすこともできる。
【0052】
ロボットシステム104は、制御モードにおいて、骨の準備などの外科作業中にユーザーにガイダンスを提供するよう構成される。1つの態様において、レンダリングアプリケーションは、脛骨 T の切削ボリュームを定義する仮想オブジェクトを含んでいてもよい。仮想オブジェクトは、例えば移植の準備時などに、脛骨の構成要素の表面の形状に実質的に対応する形状を有していてもよい。再置換手術において、仮想オブジェクトは、例えば、脛骨の構成要素と移植先の脛骨との間のインターフェースの形状、または、骨除去のために取るべきパスの形状に、実質的に対応する形状を有していてもよい。ロボットシステム104は、例えば、ツールの先端が、関心対象の特徴に関する事前定義された点に接近したときなどに、自動的に制御モードに入ってもよい。いくつかの態様において、ツールは、仮想オブジェクトの外部にあるときに無効化されてもよい。別の態様において、ツールは、ロボットシステム104が制御用フィードバック力を生成していないのであれば無効化されてもよい。
【0053】
実際の運用において、手術システム100が手術計画作成およびナビゲーションに用いられてもよい。手術システム100は、再置換手術の準備に加えて、例えば、インプラントの導入を伴う膝関節置換手技または他の関節置換手技を行うために用いられてもよい。インプラントは、例えば、全置換型膝関節インプラント;単顆型膝関節インプラント;モジュール式膝関節インプラント;股関節、肩、肘、手首、足首、および脊椎を含む他の関節用のインプラント;ならびに/または、従来材料によるインプラントと、オーソバイオロジクス、薬剤送達インプラント、および細胞送達インプラントなど、より新型のインプラントとを含む、他の任意の整形外科用および/もしくは筋骨格用インプラントなど、任意のインプラントまたは補綴器具を含んでいてもよい。
【0054】
ロボット再置換手術
膝関節再置換術などの再置換手術は、複雑な手技であり、非常に高水準の専門性を必要とする。同手技をさらに複雑にする複数の理由がある。外科医は、セメント固定されている場合もあればセメント固定されていない場合もある、もともとのインプラントを除去しなければならない。そのインプラントは、骨が中に入り込んで成長している場合もあり、そして外科医は、もともとのインプラントを除去する間、骨をできる限り多く温存するよう努めなければならない。さらに、インプラントは、その周りまたは中を通って切削する必要がある表面、キール、ペグ、スクリュー、または他の構成要素を含んでいる可能性がある。いくつかの態様において、インプラントは、個別に周りを切削して除去する必要がある、複数のインプラントである可能性もある。外科医は、セメントと骨との間、および/またはインプラントと骨との間の結合の大部分が、確実に壊れるようにしなければならず、そのためプロセスが複雑になり時間もかかる。既存の解決法では、外科医が、骨‐インプラント間または骨‐セメント間のインターフェースを手動または動力付きの器具で削り取る必要がある。これらの器具には、骨刀、ジーリーソー(gigli saw)、および穿孔器が含まれる。例えば動力付きのソーおよびバー、または超音波デバイスなど、動力付きの器具類もまた利用可能である。骨を温存する試みはなされるものの、常にいくらかの骨損失は生じ、外科医は、インプラント除去中の骨損失によるすべての骨欠損を正確に充填しなければならない。インプラント除去後に注意を払う必要がある、既存の骨欠損が存在している場合もある。本開示のロボットシステムおよび特化した器具類は、インプラント摘出中に生じる問題の一部を解決するのに役立つ。
【0055】
再置換術の必要性には、例えば、感染、アライメント不良、および摩耗などが含まれる。感染による膝関節再置換術において、手術は2ステージの手術となる場合もある。第一ステージにおいて、感染をきたしたインプラントが除去され、そして創部が浄化される。スペーサーブロックが関節に追加され、そして創部が閉じられる。第二ステージでは、スペーサーが除去され、そして新しい再置換用インプラントが追加される。
【0056】
本開示は、ロボット支援アプローチを用いることにより、膝関節および/または股関節の再置換術においてこれまで生じていた問題に対処する。本開示はまた、高速の切削バーを搭載したフレキシブルエンドエフェクタについても説明する。フレキシブルエンドエフェクタは、インプラントを除去するため脛骨後面などの小領域にアクセスできるよう、非常に精巧である。
図5A~5Cを参照すると、例示的態様に基づき、ロボット支援による股関節および膝関節の再置換手技を行うためロボットアーム106とともに用いられてもよい、フレキシブルエンドエフェクタ200が示されている。いくつかの態様において、フレキシブルエンドエフェクタ200は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許出願第15/436460号に説明されている任意の態様に基づくエンドエフェクタであってもよい。
【0057】
インプラントの用手的除去は、脛骨後面など特定の骨領域へのアクセスが限定されていることによって、困難である場合がある。フレキシブルエンドエフェクタ200は、ロボットアームの能力を拡張してそれら小領域へのアクセスを可能にすることができる。
図5Aおよび
図5Bに示すように、フレキシブルエンドエフェクタ200は、2つのフレキシブルベンド要素202および204を含む。各要素が2自由度を有し、そして
図5Cに示すように3次元空間内で90度以下または90度以上屈曲できる。エンドエフェクタ200は、フレキシブルシャフトを搭載するための大きな内部チャネルを含んでいてもよい。フレキシブルシャフトは、例えば、壁厚が小さくかつ切削バーをスピンさせることができる、中空のチューブである。いくつかの態様において、中空のチューブは、切削バーを60000 rpmでスピンさせることができる。フレキシブルシャフトの内部チャネルはまた、灌流チャネルまたは吸引チャネル用に用いられてもよい。いくつかの態様において、フレキシブル要素202および204は、他の方式では到達が困難である領域に対して、アクセスの増大をもたらす。
【0058】
エンドエフェクタ200は、基部208とマウント210とを備えたハウジング206を含む。基部208はエンドエフェクタ200をロボットアーム106に確実に固定し、かつ、エンドエフェクタ200に安定性を提供する。マウント210はエンドエフェクタ200のシャフト212を確実に固定する。シャフト212は、エンドエフェクタ200の遠位端に位置する切削ツール216に動力を提供するモーター214を収容する。いくつかの態様において、エンドエフェクタ200は吸引穴218も含む。吸引穴218はフレキシブルシャフトの内部チャネルに接続している。いくつかの態様において、ロボットアーム106は固定されてもよく、そして、後述するように、エンドエフェクタ200が自律的に動いて、計画された切削を行ってもよい。
【0059】
完了すべき骨切削のタイプに応じて、様々な切削ツール216が選択されてもよい。平面の切削にソーが用いられてもよく;湾曲した表面にバーが用いられてもよく;ペグ、キール、および/もしくはスクリューの周りへのアクセスを得るため湾曲ソーが用いられてもよく(それらは、周りを切削もしくは中を通って切削され、そして個別に除去されてもよい);または、骨へのアクセスおよび作成すべき切削のタイプにより適した別の切削ツールが用いられてもよい。膝関節後部の重要部位に対しては、湾曲したツール、または湾曲した切削を行うことができるツールが好ましい。例示的態様において、最初の切削を行うためにソーが用いられてもよく、そして次に、特化したエンドエフェクタ200を用いて、より特異的な切削が行われてもよい。いくつかの態様において、除去のため骨セメントを振動させ破壊するために超音波ツールが用いられてもよい。いくつかの態様において、セメントを融解するためにレーザーが用いられてもよい。いくつかの態様において、セメントを切削または破壊するためにウォータージェットが用いられてもよい。
【0060】
図6A~6Cに、大腿骨 F、大腿骨インプラント302、およびエンドエフェクタ200の別の例示的態様の、様々な図を示す。
図6A~6Cにおけるエンドエフェクタ200は、基部208と、マウント210と、切削ツール216とを含んでいてもよい。エンドエフェクタ200は振動チゼルであってもよい。いくつかの態様において、切削ツールは、骨とインプラントとの間のセメントを削り取りおよび切削することができる。エンドエフェクタ200は、外科医によって制御および前進されてもよいが、スカイビング効果(skiving effect)を低減し、かつ、骨をできる限り多く温存するためすべてのセメント付着部にアクセスできるよう、骨とインプラントとの間に位置する触覚境界によって制約されてもよい。エンドエフェクタ200は、部位ab、bc、cd、de、およびefに沿った切削によってインプラントを除去するため、再置換手術中に用いられてもよい。エンドエフェクタはさらに、新しいインプラントに対して骨を準備するために用いられてもよい。骨は、切削ツール216または他の様々な切削ツールを用いて、ペグ304を受けるためのペグ穴310に加えて表面ab、bc、cd、de、およびefを作成することによって、準備されてもよい。
【0061】
図7Aおよび
図7Bに、除去が用手的にまたはロボットシステムを用いずに行われた場合の、大腿骨から除去した後の大腿骨インプラント302を示す。図に見られるように、一部の再置換手術において、インプラント302上に残った骨312として示されているように、インプラント302の除去時に骨が過剰に除去される。骨が過剰に除去された場合は、骨の上に不均一な表面314が作成される。多くの場合、過剰な骨除去は、セメントの切削が困難である、キールもしくはペグのすぐ周り、またはインプラントの後ろ側に生じる。新しいインプラントに対して骨を適切に準備するため、増補材、円錐体、または他の充填方法を用いて欠損部を充填する必要が生じることがある。欠損部の補正および再移植の計画作成を支援するため、インプラントの除去後にビデオ技法または超音波技法を用いて、残った骨の特性を決定してもよい。
【0062】
後述する様々な方法を用いて一次インプラントの除去を補助するため、外科医は、ロボットシステムを用いて再置換手技を実行してもよい。
【0063】
図8は、例示的態様に基づく、再置換手術を行う方法800のフローチャートである。手技の開始前に、移植されたインプラント構成要素と、それが移植されている骨との間の、インターフェース領域に関する情報が取得されなければならない。これは、再置換部位の画像を用いるか、または、画像以外によって関係を理解するための他のツールを用いて、実現されてもよい。
図8において随意的な段階802、804、および806として示されている、インターフェース情報を取得するためのこれらのバリエーションについて、以下に説明する。
【0064】
再置換手術の方法の第一の例示的態様は、患者の解剖学的構造の画像を利用して再置換術を計画する。患者の一次ケース(例えば初回手術)がロボット支援システムによって行われた場合、骨モデルおよびインプラントの情報は既に利用可能である可能性があり、再置換術を行うために画像を再キャプチャする必要はない。再置換手術時、患者の膝関節および股関節に関する一次の骨モデルおよびインプラントの情報は、
図4に示すようにロボット支援システムで利用可能である。加えて、インプラントのモデルが既知であり、かつ、計画作成中に使用できるよう手術システムのライブラリ内に保存されている。
【0065】
他のケースにおいて、患者の撮像データが利用可能でないか、または新しい画像の取得が望ましい場合もある。したがって、計画の作成および再置換手技の実行より前に、初回スキャンまたは新たなスキャンが行われなければならない。そのような態様において、随意的な段階802に示すように、CTもしくはMRIスキャン、蛍光透視、超音波、監視されるマーカーなど、任意の好ましい撮像モダリティ、またはビデオカメラを用いて、患者の解剖学的構造が撮像される。撮像デバイスによってキャプチャされた画像は、計画作成ステージにおいて用いるための骨モデルおよびインプラントモデルを作成するために用いられる。(いくつかの態様において、2ステージ再置換術の場合、スペーサーブロックの移植後に撮像が行われてもよい。スペーサーブロックは、移植手術中のスペーサーブロックの位置合わせを可能にする特徴を有していてもよい。)いくつかの態様において、術中の位置合わせおよび監視を行うため、撮像デバイスにロボットデバイスが取り付けられてもよい。次に、随意的な段階804において、スキャン結果がセグメント化または骨モデルに変換される。スキャン結果は事前定義された様式でセグメント化されてもよく、または、外科医がセグメント化パラメータを選択できてもよい。いくつかの態様において、ビデオカメラを用いる場合、セグメント化を伴わずに3Dモデルが作成されてもよい。いくつかの態様において、統計モデルなどの撮像を用いて3Dモデルが作成されてもよい。上述のように、物理空間/解剖学的構造に対する画像の位置合わせが手術システム100によって実行される。
【0066】
患者の解剖学的構造に関する画像データがキャプチャもしくは使用されない、別の例示的態様において、本発明の方法は、随意的な段階806において、術中にデータをキャプチャしてもよい。この段階において、セメントと骨との間またはインプラントと骨との間のインターフェースの周囲が、監視されるプローブを用いてデジタル化される。剥離すべきインターフェースの位置を決定するため、監視システム101などの監視システムによって、監視されるプローブのポジションデータがキャプチャされる。画像データ、骨モデル、および/またはインプラントモデルが利用可能であるか、かつ/または、計画作成に使用される場合は、モデルに加えて、インターフェースのデジタル化もまた行われてもよい。次に、一次骨モデルに対してインプラントが位置合わせされてもよい。さらに別の態様において、インプラント表面をスキャンしかつそれを骨モデルに対して位置合わせするため、カメラまたは光学センサがロボットアームに連結されてもよい。別の態様において、骨およびインプラント表面をスキャンしかつ3Dモデルを作成するため、患者の周りでビデオカメラが動かされてもよい。既知のインプラント位置またはインプラントの既知の特徴を位置合わせするため、インプラントの表面をプロービングしてもよい。いくつかの態様において、インプラントが既知であるならば、プロービングによってそのインプラントをインプラントモデルとともに同定および位置合わせしてもよい。
【0067】
段階808においてインプラント除去切削の計画作成が行われる。(最近のスキャンまたは一次移植手術時のスキャンのいずれであっても)術前のスキャンによる画像データが利用可能である1つの態様において、除去切削は、その画像、および、セメントと骨との間またはインプラントと骨との間のインターフェースの位置に基づいてもよい。いくつかの態様において、諸平面および仮想境界を定義するためにビデオカメラが用いられる。いくつかの態様において、諸平面および仮想境界を定義するためにプローブが用いられてもよい。代替的に、除去切削は、意図される置換用インプラントに基づいてもよい。この方式において、計画される切除切削は、新しいインプラントを適切に収容しかつ一方で現在のインプラントを除去できるように計画されてもよい。いくつかの態様において、計画作成ソフトウェアは、脛骨および大腿骨の適切なアライメントなど、患者にとって適正なアライメントを実現するための骨の準備計画を生成する。いくつかの態様において、ロボットシステム104は、外科医が膝関節の適切なアライメントを3Dで計画および実行することを助ける。骨の準備計画は計画作成ソフトウェアによって自動的に行われてもよく、または、外科医が骨の準備計画の作成を補助してもよい。以前の画像データ(X線、CT、MRI、蛍光透視、ビデオなど)および術中の目印を用いて、関節線など、理想的な自然の解剖学的構造の可視化が行われてもよい。本発明のシステムはまた、手技の計画作成を支援するための入力として、可動域および軟部組織の伸展性も用いてもよい。いくつかの態様において、再移植手術のための位置合わせを迅速化するため、スペーサーブロックにフィデューシャルが置かれてもよい。インプラント除去後、残ったセメントを除去するためロボットまたは手動ツールが用いられてもよい。残ったセメントを3Dモデルにおいて同定するため、手持ち式の監視されるプローブまたはロボットアーム用のプローブアタッチメントが用いられてもよい。セメント除去用の別のロボット切削パスを作成するため、モデルが用いられてもよい。
【0068】
他の態様において、段階808におけるインプラント除去切削の計画作成は、デジタル化プローブによって収集されたデータに基づいてもよい。典型的に、膝関節全置換用インプラントのデザインは、骨に面する複数の平らな表面を含む。デジタル化の際に、それらの平面を同定するため、インプラントの各面上の点が収集されてもよい。ロボットシステムは、その周囲データを用いて、関心対象のインターフェースを分離するための計画を計算する。仮想境界に使用できる平面を定義するため、プローブを用いて点を収集する。インプラントの移行領域(2つの平らな表面間の点)をプロービングすることは、仮想境界の同定に役立つ可能性がある。術中の撮像またはビデオカメラ使用により、インプラント除去後の骨欠損のモデルを作成できる。欠損部をプロービングして、追加的な骨損失が存在する場所を示すことによって、既存のモデルに対する更新が行われてもよい。欠損をカバーする適切なインプラントの選択を確実に行えるよう、この欠損モデルが再置換用インプラントの計画作成に用いられてもよい。欠損モデルは、欠損部を充填するために必要な追加の増補デバイスの必要性を示す。再置換用インプラントが選択された後、インプラントを挿入するための骨の切削に関する仮想境界が作成される。モデルおよび欠損モデルが作成されたら、骨損失によって必要となった、新しいインプラントの挿入に対応するための骨の修正および付加を実施するため、新しい計画が生成されてもよい。
【0069】
この計画作成の段階808の一部として、上述のように、手術システム100が触覚オブジェクトなどの制御オブジェクトを生成する。制御オブジェクトは、骨を準備するための外科医の計画に対応した仮想境界を定義してもよい。具体的には、再置換手技の場合、仮想境界は、現在のインプラントを骨から除去するために外科医が切削、除去、またはその他改変を計画しているインターフェース領域の一部に関連する。外科医が骨とインプラントとの間の結合領域を精密に切削できるよう、インターフェース領域の少なくとも一部の周りに再置換用仮想境界が作成される。好ましい態様において、骨を過切削から保護するため、再置換術のための仮想境界はインプラント表面に隣接して作成される。この方式において、再置換用境界は、除去される骨を最少にし、かつ、骨が切離されるリスクを低減すると考えられ、そして、患者の存命中に行える再置換手技の数を増加させる可能性がある。境界は、切削ツールが仮想境界によってそこまでに制約される平面の境界であってもよく、または、任意の形状の輪郭をした境界であってもよい。境界は、受け取った画像およびポジションデータに基づいてシステムによって自動的に作成されてもよく、または、ユーザー入力に基づいて手作業で作成されてもよい。他の態様において、境界はカスタム化可能または調整可能であってもよく、例えば、骨の質に対応するため、外科医が境界をインターフェースのより近くまたはより遠くに動かすことを選択してもよい。ロボットシステムは、仮想境界を定義する制御オブジェクトを用いて、切削ツールが望ましい切削領域の外部に移動しないこと、除去される骨が最少であること、および、切削が正確に実行されることを確実にしてもよい。インプラントが既知である場合、提案される手術計画とともに仮想境界が同定されてもよい。提案される手術計画は、その手術の特異的ニーズおよび/または条件に合わせるために修正することができる、外科医のための開始テンプレートとして用いられてもよい。いくつかの態様において、提案される計画は一般的なものである。いくつかの態様において、提案される計画は、キール、ペグ、または回避する必要がある他の任意の構造もしくは形状など、インプラントの特徴に対して骨を準備するための、提案ツールおよび/または提案アクセス位置を提供する。いくつかの態様において、形状の汎用テンプレートが仮想境界の計画作成に用いられてもよく、または、手術計画作成中にカスタム形状が描画、作成、または選択されてもよい。具体的には、最初のインプラントの除去後に残った骨の特性に基づき、手術計画がカスタム化されなくてもよい。いくつかの態様において、提案される手術計画においてアクセス位置および寸法が同定されてもよい。いくつかの態様において、提案される手術計画において進入パスの概略が示されてもよい。
【0070】
いくつかの態様において、計画作成ソフトウェアはまた、段階810において、必要な増補材のサイズおよび数も決定してもよい。計画作成ソフトウェアは、情報のデータベースに基づいて増補材のサイズを選択してもよい。別の態様において、計画作成ソフトウェアは、必要な増補材のサイズおよび数をユーザーが入力することを可能にする。例えば、外科医が、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、5 mmの後部増補材または20度の脛骨内側ウェッジを追加するようシステムに命じてもよく、そして計画作成ソフトウェアが、通し治具ではなくロボットアームに連結された手術用ツールによってそのような切削が実行されることを可能にする。本明細書に開示する例示的態様に基づいたロボットシステムの使用によって可能となる、術前の増補材のサイズ決定および計画作成は、手術室内の貴重な時間を節約し、かつ、手技の効率および精度を高める。
【0071】
段階812において、ロボットシステム104は、ナビゲーションシステム101を用いて切削ツールの動きを監視し、かつ、計画された切削が行われている間、外科医をガイドする。システム104は、(切削ツールに関連した)仮想ツールと仮想境界との間の関係に基づき、切削ツールに対する制約を提供することによって、切削の実行をガイドしてもよい。システムによって生成された、手術計画に対応した制御オブジェクトに基づいて、触覚を用いてガイドが提供されてもよく、または、システムが自律的に切削を行ってもよい。触覚が用いられる場合、外科医は、触覚境界に達したときにそのことを示すフィードバックを受け取り、これは、外科医が骨を過剰に除去することを防ぐ。いくつかの態様において、外科医は、触覚制御と自律的アクションとの組み合わせを用いて切削を行ってもよい。いくつかの態様において、ロボットシステムはまた、骨‐インプラントまたは骨‐セメントの破壊プロセスに関するフィードバックも提供してもよい。例えば、ロボットシステムは、セメント‐骨またはインプラント‐骨のインターフェース破壊の進行に関する情報を外科医に提供してもよい。これにより、インターフェースが適切に破壊されていない場合に、インプラントを引き抜いている間に非意図的な骨損失が生じることを防げる可能性がある。
【0072】
いくつかの態様において、ロボットシステム104は、衝撃によってハードウェアを除去してもよい。ロボットシステムは、ロボットアームの力を用いるか、または、キツツキのように作用するエンドエフェクタの使用を通して、インプラントを「揺すって(jolt)」緩めてもよい。
【0073】
ロボットシステムの使用は、完了すべき骨切削のタイプに基づいて、様々な切削ツールを用いることを可能にする。平面の切削にソーが用いられてもよく;湾曲した表面にバーが用いられてもよく;ペグもしくはキールの周りへのアクセス、および/または、スクリューの周りもしくはスクリューを通るアクセスを得るため湾曲ソーが用いられてもよく;または、骨へのアクセスおよび作成すべき切削のタイプにより適した別の切削ツールが用いられてもよい。ロボットシステムは、切削手技をモニターし、かつ、セメント‐骨またはインプラント‐骨のインターフェース破壊の進行に関する情報をユーザーに提供するため、切削ツールおよび患者を監視する。上述と同様に、このことは、インターフェースを適切に剥離する前にインプラントを引き抜いた際に生じうる、非意図的な骨損失を減少させる。いくつかの態様において、パーセンテージなど、表面切除の値が表示されてもよい。これにより、インプラント除去を試みるための適切な時間に関する指標を外科医に与えることができる。いくつかの態様において、外科医が特定領域内の骨損失について懸念している場合に、ディスプレイが、特定の関心対象領域についての骨除去量を示してもよい。いくつかの態様において、外科医は、術前または術中に計算すべき特定の関心対象領域を同定してもよい。
【0074】
さらに、除去のために印加される力を測定するため、ロボットシステムまたは手動ツールがインプラントに取り付けられてもよい。骨に対するインプラントのポジションおよび印加される力をモニターすることにより、除去しやすさの指標を外科医に与えられる可能性がある。これは、非意図的な骨損失を最少にするために追加の切削が必要であることを示してもよい。
【0075】
インプラント除去後、計画作成ソフトウェアが考慮に入れていなかった骨欠損がある場合は、随意的な段階814において、骨欠損がデジタル化されるかまたは別の手段によって同定されてもよい。段階816において、計画作成ソフトウェアは、様々なインプラントまたは生体材料充填材で欠損を充填するためのサイズ決定情報を生成してもよい。インプラントおよび/または生体材料充填材は、利用可能なインプラントまたは充填材のデータベースから選択されてもよい。いくつかの態様において、ソフトウェアは、欠損を充填するための計画を生成しかつカスタムのインプラントまたは充填材を作成してもよい。いくつかの態様において、ソフトウェアは、複数の要因(例えば、欠損サイズ、骨密度など)に基づいて、インプラントおよび/または生体材料充填材を選択する。いくつかの態様において、ロボットシステム104は、欠損の充填に用いられる円錐体の適正サイズを決定することができる。他の態様において、欠損のサイズに合わせて骨充填材の材料が切削されてもよく、または、患者の体内で凝固させることができる液体充填材を欠損内に注入するようシステムが構成されていてもよい。
【0076】
段階818において、計画作成ソフトウェアは、骨内における置換用インプラントの望ましいポーズを決定し、かつ、置換用インプラントを受けるための骨の準備を計画する。段階808に関する説明と同様の様式で計画作成および制御オブジェクトの作成が行われてもよい。上述の諸段階を実行すること以外にも、ロボットシステムが再置換手技を支援できる方式は複数存在する。新しいインプラント構成要素を移植するための計画作成および準備に関して、ディスプレイデバイス103が、インプラントがどのように装着されるかを評価するための、肢のアライメント/バランシング画面を表示してもよく、これは、調整の計画作成に役立つと考えられる。さらに、システムは、骨の形態、質、および隣接するハードウェアなどに基づいて、ステムの長さ、ストレートか曲がりか、セメント固定かプレス嵌めか、の評価を助けてもよい。評価は患者特異的であってもよく、または、事前定義されたデータセットから予測されてもよい。別の態様において、ロボットシステムは、側副性の緊張を評価および定義するため、レッグホルダー、スプレッド(spread)、バランサーなどを通じて伸延を適用してもよい。これは複数のポーズにおいて行われてもよく、そして、運動力学および機能を最も良好に回復させる関節線の配置および構成要素のサイズを計算するため、グラフィカルユーザーインターフェースおよび内部アルゴリズムが利用されてもよい。さらに別の態様において、ロボットシステムは、部分置換型、バイコンパートメンタル(bicompartmental)、またはトリコンパートメンタル(tricompartmental)の人工膝関節を、十字靭帯温存型、十字靭帯代用型、または後方安定型の人工膝関節にする再置換手術を支援するために用いられてもよい。
【0077】
段階814において、インプラント除去後の骨のモデルを作成するため、ビデオカメラもまた用いられてもよい。これにより、注意を要する骨欠損も含めて、インプラントを伴わない現在の骨の幾何学形状が同定される。ビデオカメラおよびそれにより取得された画像は、次に、段階818において骨切削を計画し、段階820(後述)において骨切削を実行して置換用インプラントのために骨を準備し、そしてインプラントを留置するために、用いられてもよい。いくつかの態様において、モデルの作成、位置合わせ、または、解剖学的構造もしくは手技中に用いられる手術用ツールのポジションの監視など、手技の他の相においてビデオカメラが用いられてもよい。いくつかの態様において、モデルはまた、色識別もしくは切開部を保持している開創器の画像検出を用いてシステムソフトウェア内で縁部を選択するか、または、カメラで検出できる材料を切開部の周りに適用するか、のいずれかによる、切開部の識別も含んでいてもよい。次にビデオカメラはまた、手技中に切開部の位置を監視するためにも用いられてもよい。
【0078】
段階820において、増補材、円錐体、充填材、および最終的なインプラントを留置できるよう、骨表面を準備するための切削が実行される。外科医は、触覚フィードバックなどのシステムからのガイダンスを用いて、骨を準備する切削を行ってもよい。別の態様において、ロボットシステム104が、準備のための切削を自律的に行ってもよい。上述のように、システムは、既存のハードウェアを除去するための1つの段階として、新しい計画に応じて骨を切除してもよい。したがって、既存のインプラントに対する鋸引き/削り取りの代わりに、そのインプラントの除去を助けると共に次のインプラントに対して適切な切削となるような切除が行われる。
【0079】
いくつかの態様において、ロボットシステムは、骨に対する切削を行う一方で、追加的な方式で用いられてもよい。例えば、システムは、以前の切削データまたは他の目印/目標物について行われうる様々な入力に基づいて次の切削が行われてもよい、適応的切削の実行を支援してもよい。例えば、プローブによって、例えば遠位面と後接線とが定義され、そして、定義されたサイズのインプラントに応じて残りの切削が行われてもよい(大腿骨もしくは脛骨、または膝蓋骨)。入力は、既存の切除または目標とする関節接触状態であってもよい。望ましいアウトカムを得るため、入力に基づいて、計算された切削がプログラミングされてもよい。加えて、システムは切削の洗練に用いられてもよい。表面がプロービングされ、そして次に、かすめる程度の切削(例えば0.5~1 mmの切削)が行われる。術中、切削が行われている際に、触覚などの制御境界が更新または生成されてもよい。別の実施例において、ロボットシステム104は、骨の質に基づいてソーの性能を制御してもよい。極度に柔らかい/スポンジ状の骨、または、硬化した固い骨は、速度および/もしくは送りのタッチを「より軽く」もしくは「より強く」する必要があるか、または異なるブレードすら必要とする可能性もある。
【0080】
ロボットシステムはまた、インプラントの留置およびインプラント置換後の評価も支援してもよい。例えば、ステムを備えた大腿骨用もしくは脛骨用の構成要素の留置について、オフセットもしくは角度付きカプラに関して外科医をガイドするため、または、尖部もしくは皮質の応力点を少なくするため前方‐後方もしくは内側‐外側のポジションをわずかに操作するうえで外科医をガイドするため、グラフィカルユーザーインターフェースを示すディスプレイデバイスが用いられてもよい。さらに、セメントが硬化している間、骨に対する所定の位置にインプラントを保持するために、ロボットアームが用いられてもよい。さらに別の態様において、システムは、可動域/バランシングのグラフィカルユーザーインターフェースを介して、新しい構築物が充分に安定しているかの評価を助けてもよい。
【0081】
いくつかの態様において、ロボットシステム104は、例えば、脛骨粗面が平行移動され、かつ、外傷プレートなどのハードウェアが存在する脛骨の窓部が切開されそして膝関節インプラントに対して動かされるなど、手術の他の局面を検討するときに、インプラントのパスまたはセメントの領域を可視化してもよい。
【0082】
様々な例示的態様に示すようなシステムおよび方法の構造およびアレンジメントは例示的なものにすぎない。本開示には、いくつかの態様のみを詳しく説明したが、多数の修正が可能である(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状、および比率、パラメータの値、材料の使用、色、ならびに配向などにおける、バリエーションなど)。例えば、要素のポジションが反転またはその他変更されてもよく、そして、個別の要素の性質もしくは数、またはポジションが、改変または変更されてもよい。したがって、そのような修正はすべて、本開示の範囲内に含まれると意図される。任意のプロセスまたは方法の段階の順序または配列が、代替的態様において変更または再配列されてもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、例示的態様の設計、作動条件、およびアレンジメントに、その他の代替、修正、変更、および省略が行われてもよい。
【0083】
本開示は、様々なオペレーションを実現するための任意の機械可読媒体上の方法、システム、およびプログラム生成物を企図している。本開示の態様は、既存のコンピュータプロセッサを用いて実施されてもよく、この目的もしくは別の目的のために組み込まれた適切なシステム用の専用コンピュータプロセッサによって実施されてもよく、または、ハードワイヤードシステムによって実施されてもよい。本開示の範囲内の態様には、機械実行可能な命令またはデータ構造をそこに保管して搭載または有するための機械可読媒体を含む、プログラム生成物が含まれる。そのような機械可読媒体は、汎用もしくは専用のコンピュータ、またはプロセッサを備えた他の機械によってアクセスできる、利用可能な任意の媒体であってよい。例として、そのような機械可読媒体は、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、もしくは他の光ディスク記憶装置;磁気ディスク記憶装置;他の磁気記憶デバイス;固体記憶デバイス;または、望ましいプログラムコードを機械実行可能な命令もしくはデータ構造の形式で搭載または保管するために使用でき、かつ、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、もしくはプロセッサを備えた他の機械によってアクセスできる、他の任意の媒体を含んでいてもよい。情報が、ネットワークまたは別の通信接続(ハードワイヤード、ワイヤレス、または、ハードワイヤードもしくはワイヤレスの組み合わせ)上で機械に転送または提供される場合、機械は、その接続を機械可読媒体として適切に認識する。ゆえに、そのような任意の接続を機械可読媒体と呼ぶことは適切である。以上の組み合わせもまた機械可読媒体の範囲内に含まれる。機械実行可能な命令には、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または専用処理機械に、特定の機能または機能群を行わせる、命令およびデータなどが含まれる。
【0084】
方法の段階の特定の順序が説明されている場合もあるが、段階の順序は、説明されたものと異なっていてもよい。また、2つまたはそれ以上の段階が、同時に、または部分的に同時に、行われてもよい。そのようなバリエーションは、選択されるソフトウェアシステムおよびハードウェアシステム、ならびに、設計者の選択に依存すると考えられる。そのようなバリエーションはすべて本開示の範囲内に入る。同様に、ソフトウェアの実施形態は、任意の接続段階、処理段階、比較段階、および決定段階を実現するための、ルールベース論理または他の論理を伴う標準的なプログラミング技法で実現されてもよい。