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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】調整可能な導波管変換器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/10 20060101AFI20220815BHJP
【FI】
H01Q13/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019531663
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2017082938
(87)【国際公開番号】W WO2018109136
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-09
(31)【優先権主張番号】16204526.4
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519069556
【氏名又は名称】アラリス ホールディングス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ARRALIS HOLDINGS LIMITED
【住所又は居所原語表記】Suite 1203, 12/F Wing on House,71 Des Voeux Road Central, Hong Kong, CN
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100181021
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 剛輝
(72)【発明者】
【氏名】マーク ケリー
(72)【発明者】
【氏名】デンヴァー ハンフリー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル グリーブス
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0313832(US,A1)
【文献】米国特許第09490518(US,B1)
【文献】特表2006-502640(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0148725(US,A1)
【文献】米国特許第06501431(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0023632(US,A1)
【文献】特表2010-509611(JP,A)
【文献】C. Borda Fortuny, K. F. Tong, K. Chetty, P. Brittan,High-gain Triple-Band Reconfigurable Vivaldi Antenna,2014 IEEE-APS Topical Conference on Antennas and Propagation in Wireless Communications (APWC),IEEE,2014年,DOI: 10.1109/APWC.2014.6905538
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 13/00-13/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパースロットを有するテーパースロットアンテナと、
前記テーパースロットアンテナに結合されたマイクロストリップフィード線と、
調整可能な周波数応答を提供するために、前記マイクロストリップフィード線に電気的に結合する調整パッドセットと、
を含み、
前記マイクロストリップフィード線が、前記アンテナの前記スロットの方向と一致して位置する、
ミリメートル波又はサブミリメートル波回路用の変換器。
【請求項2】
前記テーパースロットが、曲線テーパーを含み、前記テーパースロットが、前記マイクロストリップフィード線に隣接する短絡端と、放射端と、を含み、前記テーパースロットが、前記短絡端から前記放射端の方へ行くにつれて幅広になる、請求項1に記載の変換器。
【請求項3】
前記曲線テーパーのプロファイルが、それぞれ曲線式と関連する少なくとも2つの相異なる式の使用によって定義される、請求項に記載の変換器。
【請求項4】
前記曲線テーパーの前記プロファイルが、以下の3つの式
1.曲線式:f(x)=a/(1+e-b(x-c)
2.曲線式:f(x)=kel(x)+n
3.線形式:f(x)=mx+C
の使用によって定義され、
これらの式において、f(x)及びxが、ゼロ面からの距離に対応し、
a、b、c、C、m、nはそれぞれ定数であり、l(x)はxの関数であり、
前記曲線テーパーが、式2を用いて、上方へ曲がるように式1の変曲点の上の前記曲線を調整することによって定義され、式1の前記変曲点より下の前記曲線が、式3を用いて、前記テーパースロットの短絡端に統合される、請求項に記載の変換器。
【請求項5】
前記マイクロストリップフィード線が、開回路インピーダンススタブに結合された主マイクロストリップフィード線を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項6】
前記調整パッドセットが、前記主マイクロストリップフィード線に隣接して位置する第1の調整パッドセットを含み、前記変換器の中心周波数及び周波数帯域が、前記主マイクロストリップフィード線への前記第1の調整パッドセットの選択的結合によって調整可能である、請求項に記載の変換器。
【請求項7】
前記調整パッドセットは、前記開回路インピーダンススタブに隣接して位置する第2の調整パッドセットを更に含み、前記周波数帯域における挿入損失が、前記開回路インピーダンススタブへの前記第2の調整パッドセットの前記選択的結合によって微調整可能である、請求項に記載の変換器。
【請求項8】
前記第1及び前記第2の調整パッドセットが、ワイヤボンディングによって、前記マイクロストリップフィード線に選択的に結合される、請求項に記載の変換器。
【請求項9】
前記変換器が、平面基板上に形成される、請求項1~のいずれか一項に記載の変換器。
【請求項10】
前記マイクロストリップフィード線が、前記平面基板の上部導電パターン上に形成され、前記テーパースロットアンテナが、前記平面基板の底部導電パターン上に形成される、請求項に記載の変換器。
【請求項11】
キャリアに搭載された請求項1~10のいずれか一項に記載の変換器を含む導波管チャネル上に搭載するための導波管サブシステム。
【請求項12】
動装置が、前記キャリアに搭載可能である、請求項11に記載の導波管サブシステム。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の第1の変換器と、
請求項1~10のいずれか一項に記載の第2の変換器と、
を含むフィルタであって、前記第1及び第2の変換器が、マイクロストリップ上に背中合わせに搭載されるフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波管回路用の変換器に関する。特に、本発明は、ミリメートル波又はサブミリメートル波導波管回路用の調整可能な変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリメートル又はサブミリメートル波用途において、導電媒体と空気媒体との間の信号エネルギの移動は、変換器又はプローブの使用を必要とする。
【0003】
かかる機能を実行するために一般に用いられる一タイプのプローブは、ダイポールである。ダイポールは、決定されたポイントで導波管に挿入され、且つ広帯域性を提供する。しかしながら、ダイポールの1つの欠点は、それが、導波管の側部に挿入されなければならないということである。それはまた、効果的であるために、支援する4分の1波長キャビティを必要とする。
【0004】
ミリメートル波用途に使用される別のタイプのプローブは、テーパースロット(ビバルディ)アンテナである。このアンテナは、平面基板上に一定のテーパーを備えたスロットを含む。マイクロストリップ線は、スロット用のフィードを提供する。テーパースロットは、インライン変換器であり、従って、設計プロセスに対してダイポールほど破壊的でない。しかしながら、このアンテナは、アンテナの通過帯域が、調整可能ではないという欠点に悩まされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の問題の少なくとも1つを克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲で提示されるように、テーパースロットアンテナと、アンテナに結合されたマイクロストリップフィード線と、調整可能な周波数応答を提供するために、マイクロストリップフィード線に結合するための調整パッドセットと、を含むミリメートル波回路用の変換器が提供される。
【0007】
実施形態において、マイクロストリップフィード線は、アンテナのスロットの方向と一致して位置する。
【0008】
実施形態において、テーパースロットは、曲線テーパーを含み、そのスロットは、フィード線に隣接する短絡端と、放射端と、を含み、そのスロットは、放射端の方へ短絡端から外に先細になる。
【0009】
実施形態において、テーパーの曲線プロファイルは、少なくとも2つの相異なる式の使用によって定義される。
【0010】
実施形態において、テーパーの曲線プロファイルは、以下の3つの式の使用によって定義される。
1.曲線式:f(x)=a/(1+e-b(x-c)
2.曲線式:f(x)=kel(x)+n
3.線形式:f(x)=mx+C
これらの式において、f(x)及びxは、ゼロ面からの距離に対応し、曲線は、式2を用いて、上方へ曲がるように、式1の変曲点の上の曲線を調整することによって定義され、式1の変曲点より下の曲線は、直線式3を用いて、スロットの短絡端に統合される。
【0011】
実施形態において、マイクロストリップフィード線は、開回路インピーダンススタブに結合された主マイクロストリップフィード線を含む。
【0012】
実施形態において、調整パッドセットは、主マイクロストリップフィード線に隣接して位置する第1の調整パッドセットを含み、変換器の中心周波数及び周波数帯域は、主マイクロストリップフィード線への第1の調整パッドセットの選択的結合によって調整可能である。
【0013】
実施形態において、変換器は、開回路インピーダンススタブに隣接して位置する第2の調整パッドセットを更に含み、周波数帯域における挿入損失は、開回路インピーダンススタブへの第2の調整パッドセットの選択的結合によって微調整可能である。
【0014】
実施形態において、第1及び第2の調整パッドセットは、ワイヤボンディングによって、マイクロストリップフィード線に選択的に結合される。
【0015】
実施形態において、変換器は、平面基板上に形成される。
【0016】
実施形態において、マイクロストリップフィード線は、基板の上部導電パターン上に形成され、テーパースロットアンテナは、基板の底部導電パターン上に形成される。
【0017】
実施形態において、変換器は、その中心周波数を増加又は減少させるように調整可能である。
【0018】
本発明はまた、キャリアに搭載された変換器を含む導波管チャネル上への搭載のための導波管サブシステムを提供する。
【0019】
実施形態において、キャリアは、スロットキャリアを含む。
【0020】
実施形態において、能動装置が、キャリアに搭載可能である。
【0021】
実施形態において、サブシステムは、エポキシ、半田付け、又はねじ固定の1つによって、導波管チャネル上に搭載される。
【0022】
本発明はまた、
第1の変換器及び第2の変換器を含むフィルタであって、第1の変換器及び第2の変換器が、マイクロストリップ上に背中合わせに搭載されるフィルタを提供する。
【0023】
本発明はまた、
テーパースロットアンテナと、
アンテナに結合されたマイクロストリップフィード線と、
を含むミリメートル波回路用の変換器であって、調整可能な周波数応答を提供するように適合された変換器を提供する。
【0024】
本発明は、添付の図面に関連して例としてのみ与えられた、本発明の実施形態の以下の説明からより明白に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の変換器の上面図を示す。
図2図1の変換器の底部導体パターンを示す。
図3図1の変換器の上部導体パターンを示す。
図4】曲線プロファイルが、相異なる式からどのように形成されるかを示す本発明の変換器の別の上面図である。
図5図4の側面図を示す。
図6図1の変換器の写真を示す。
図7】本発明の変換器が搭載され得るキャリアの一実施形態を示す。
図8図7のキャリアに取り付けられた図1の変換器を示す。
図9】本発明の変換器が搭載され得るキャリアの別の実施形態を示す。
図10】本発明の2つの変換器が、典型的な回路にどのように適用され得るかを示す。
図11(i)】図7のキャリア上に背中合わせに搭載された、且つ導波管チャネルに取り付けられた本発明の2つの変換器のシミュレートされた性能を示す。
図11(ii)】図7のキャリア上に背中合わせに搭載された、且つ導波管チャネルに取り付けられた本発明の2つの変換器の測定された性能を示す。
図12】フィルタとして動作するように構成された本発明の2つの変換器を示す。
図13図12のフィルタの周波数応答を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、調整可能な周波数応答を提供するように適合された、ミリメートル又はサブミリメートル波用途用の変換器を含む。図1~6に示されているように、変換器は、一般に参照数字1によって示されているが、テーパースロットアンテナ2、及びアンテナ2に結合されたフィード線3を含む。変換器1は、例えば石英などの平面基板4上に形成される。
【0027】
図2及び3に示されているように、変換器1は、基板4上の上部5及び底部6の導電パターンから形成される。フィード線3は、導電性信号層を形成する上部導電パターン5上に形成されるマイクロストリップフィード線を含む。テーパースロットアンテナ2によって提供される変換器1の導波部は、底部導電パターン6上に形成され、底部導電パターン6は、接地面を形成する。
【0028】
アンテナ2のテーパースロット7は、短絡端8及び放射端9を含む。スロット7は、その放射端9の方へ短絡端8から外に先細になる。マイクロストリップフィード線3は、スロット7の方向と一致して位置するフィード線3で、信号フィードをスロット7に結合する。図3に示されているように、フィード線3は、ほぼL形状であり、開回路インピーダンススタブ11に結合された主マイクロストリップ線10を含む。主マイクロストリップ線10の端部12は、スロット7の方向に、且つスロット7の短絡端8に近いスロット7の部分の上に縦に位置する。開回路インピーダンススタブ11は、主マイクロストリップ線10の端部12と同様に、スロット7の方向に垂直に位置する。従って、変換器1上のマイクロストリップフィード線3の位置は、一列で中心に置かれた変換器1を結果的としてもたらす。
【0029】
変換器1の中心周波数及び周波数帯域を最小の挿入損失で調整することができるように、複数の調整スタブ又はパッド13が、変換器1上に設けられる。これら、調整パッド13は、マイクロストリップフィード線3に隣接する上部導電パターン5及び底部導電パターン6の両方の上に形成される。
【0030】
第1の調整パッドセットが、主マイクロストリップ線10の端部12と並んで単一行で位置する。この調整パッドセットは、必要な周波数調整を提供するために、主マイクロストリップ線10に選択的に結合される。結合は、例えばワイヤボンディングによってなど、任意の適切な手段によって提供されてもよい。
【0031】
図4及び5は、主マイクロストリップ線10への第1の調整パッドセットの選択的結合の例を示す。上部導電パターン5上の主マイクロストリップ線10に最も近く位置する第1の調整パッド13aが、主マイクロストリップ線10と同様に、底部導電パターン6に位置する調整パッド13bにも接合されることが、これらの図から分かる。同じ方法で、第1の調整パッド13aに隣接する、上部導電パターン5上に位置する第2の調整パッド13cは、第1の調整パッド13aと同様に、底部導電パターン6上の調整パッド13dにも接合される。このボンディングプロセスは、興味のある周波数における最も低い損失が達成されるまで、上部導電パターン5上に設けられる各調整パッド13に関して必要に応じて反復されてもよい。主マイクロストリップ線10への調整パッド13のこの選択的結合が、変換器1における磁界の位置及び構造を変更することによって、短絡を操作することが認識されよう。従って、主マイクロストリップ線10への調整パッド13の適切な結合によって、変換器1は、中心周波数を増加させ且つまた減少させるように調整されてもよい。
【0032】
本発明の説明される実施形態において、第2の調整パッドセット13がまた、周波数帯域における挿入損失を微調整するために、開回路インピーダンススタブ11に隣接して設けられる。これらの調整パッド13は、開回路インピーダンススタブ11の端部14と並んで単一の行で位置する。第1の調整パッドセットに関して上記で説明した方法と似た方法で、スタブ11への第2の調整パッドセット13の選択的結合を通して、開回路インピーダンススタブ11の長さを調整することによって、変換器1の短絡深度は、変更することができ、従って、挿入損失は、最小限にすることができる。周波数帯域における挿入損失のこの調整が、帯域幅に最低限の影響しか有しないことに留意されたい。
【0033】
上部導電パターン5上の調整パッドの数が、底部導電パターン6上の調整パッドの数、サイズ又は位置と一致することが必要がないことに留意されたい。
【0034】
本発明に従って、スロット7は、多数の式によって定義されるプロファイルを有する曲線テーパーを含む。電磁波スロット曲線のプロファイルを定義するために1つを超える式を用いることによって、変換器1の長さは、最小化されてもよい。加えて、それは、変換器1の中心周波数及び帯域幅を所定の目標値へと製造中に操作できるようにする。これは、前に説明されたように、短絡の位置及び形状が、変換器1の中心周波数及び帯域幅に極めて重要であるという事実ゆえである。
【0035】
本発明の一実施形態において、曲線プロファイルは、次の3つの式の使用によって定義される:
1.曲線式:f(x)=a/(1+e-b(x-c)
2.曲線式:f(x)=kel(x)+n
3.線形式:f(x)=mx+C
【0036】
式における変数f(x)及びxは、ゼロ面からの距離に対応する。式における定数の値は、変換器の要求される性能及びサイズに従って調整可能である。例えば、一実施形態式において、線形曲線用の式3は、かなりの勾配を提供するように設計することが可能であり、一方でテーパーの放射端用の式1は、拡張フレアを提供するように設計することが可能である。
【0037】
図4に示されているように、曲線は、式2を用いて、上方へ曲がるように式1の変曲点の上の曲線を調整することによって定義される。加えて、式1の変曲点より下の曲線は、直線式3を用いて、スロット7の短絡端8までスロットパラメータに統合された。従って、式3は、マイクロストリップから変換器1への接続を提供する。代替実施形態において、曲線プロファイルは、式1及び式2だけを使用することによって定義することが可能である。しかしながら、式3の使用は、変換器1の性能を更に改善することが分かった。
【0038】
変換器1は、典型的には、導波管への挿入の前に、キャリアに搭載される。それは、例えばダイボンディングによってなど、任意の適切な手段を介してキャリアに搭載することができる。本発明の一実施形態において、変換器は、図7及び8に示されているように、特定の導波管チャネルに収まるように機械加工された金属スロットキャリア15のセクションにダイボンドされる。かかるキャリア15は、例えばフィルタなどの受動構造を挿入するのに適している。例えば、スロットキャリア15は、チャネルの直線部の任意の位置で導波管チャネルに挿入されてもよく、且つ例えばエポキシ又は半田付け(図示せず)を介して適所に固定することができる。
【0039】
能動及び受動装置の両方を同じキャリア上に搭載することが望ましい場合に、図9に示されているタイプのキャリア16が、代替として変換器1と共に使用されることが可能である。この図から分かるように、このキャリア16は、2つの変換器1に隣接する能動装置17の搭載を可能にするように適合される。キャリア16は、導波管チャネル(図示せず)のケーシング上の適所にねじで留められてもよい。図10は、本発明の2つの変換器が、典型的な回路にどのように適用され得るかを示す。この図において、2つの変換器が、デバイダを介してMMICへと、別個のマイクロストリップを介して接続されることが分かる。
【0040】
図11は、キャリアが導波管に取り付けられる場合に、一緒にワイヤボンディングされ且つスロットキャリア上に搭載された本発明の2つの変換器の(i)シミュレートされた性能及び(ii)実性能を示す。構造の帯域内及び帯域外性能が、この図からはっきりと分かる。
【0041】
図12は、フィルタを実現するために、本発明の2つの変換器が、背中合わせに搭載される例を示す。このフィルタは、高品質(Q)値を提供することができ、且つマイクロストリップにおいて実現することができる。代替として、フィルタは、その周波数帯域を制限するために、導波管に入れることができる。図13は、マイクロストリップに実現されたかかるフィルタの周波数応答を示す。
【0042】
本発明は、ミリ波回路用の従来の変換器と比較した場合に、多数の利点を提供する。第1に、本発明の変換器は、その周波数応答が調整可能であるという事実ゆえに、非常に柔軟である。興味のある周波数に同調することによって、変換器はまた、フィルタリング効果を提供する。加えて、変換器は、優れた帯域外減衰を提供する。本発明の変換器の性能はまた、その周波数調整能力が、より低い損失をもたらすので、従来の変換器の性能より優れている。更に、テーパースロットアンテナプロファイルが、多数の式の使用によって決定される結果として、本発明は、変換器のサイズ、損失及び帯域幅を操作できるようにする。
【0043】
変換器が、一列又は対称なので、それはまた、導波管の側部への挿入を要求する従来の変換器と比較した場合に、ミリ波/サブミリ波システムの製造を容易にする。それはまた、調整用に一層容易に利用可能であるのと同様に、変換器を導波管システムの中に一層容易に組み立てることができるようにする。
【0044】
本発明の変換器はまた、それが用いられることになる用途に依存して、独立して製造し、且つ所望の周波数に容易に同調させることができる。変換器は、サブシステムモジュールを形成するためにキャリアに搭載することができる。導波管上へのこのモジュールの移動は、導波管上にキャリアをねじで留めることによって、容易に実行することができる。更に、変換器と共に使用できるキャリアは、ミリ波システムのより単純な大量生産を可能にする。従って、本発明の変換器の使用を通じて、キャリアシステムを用いるミリ波/サブミリ波導波管回路の実装は簡略化される。
【0045】
本発明の変換器は、導体信号エネルギを導波管に(逆もまた同様)に伝達するための任意のミリ波/サブミリ波回路と共に使用するのに適している。従って、変換器は、例えば、周波数変調連続波(FMCW)レーダシステム用、又は無線通信システムモジュール用のミリ波スイッチモジュールとしてなど、広範囲の用途に使用法を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11(i)】
図11(ii)】
図12
図13