(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F04D 13/02 20060101AFI20220815BHJP
F04D 29/048 20060101ALI20220815BHJP
F16C 32/04 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
F04D13/02 G
F04D29/048
F04D13/02 C
F16C32/04 Z
(21)【出願番号】P 2019539476
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2018031490
(87)【国際公開番号】W WO2019044737
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2017164365
(32)【優先日】2017-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】森 武寿
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02809777(FR,A1)
【文献】特開2013-160136(JP,A)
【文献】特開2005-237988(JP,A)
【文献】特開昭55-097519(JP,A)
【文献】特開2005-118237(JP,A)
【文献】特開2002-138990(JP,A)
【文献】特開2002-005072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 13/02
F04D 29/048
F16C 32/04
A61M 60/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1反発磁石を環状に配置したハウジングと、
前記ハウジング内に回転自在に収容され、内側に第2反発磁石を環状に配置したインペラと、
前記ハウジングに内蔵され、駆動磁石を回転させるモータ機構と、
前記インペラに配置され、前記駆動磁石の回転に連れて前記インペラを回転させる従動磁石と、
を備え、
前記第1反発磁石と前記第2反発磁石は、前記インペラの回転軸に直交する径方向に沿って並び、且つ相互に対向する対向面の極性が同一であ
り、
前記インペラにおいて前記第2反発磁石は、前記従動磁石と同じ高さに位置し、且つ前記従動磁石に対して径方向に間隔を開けて配置される、
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
請求項1記載のポンプ装置において、
前記第1反発磁石及び前記第2反発磁石の少なくとも一方は、外周部の全周にわたって第1極性が着磁され、且つ内周部の全周にわたって前記第1極性と反対の極性である第2極性が着磁されたリング体である
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項3】
請求項
2記載のポンプ装置において、
前記第1反発磁石と前記第2反発磁石の間の反発力が、前記駆動磁石と前記従動磁石によって構成される磁気カップリング機構の磁気カップリング力よりも大きい
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項4】
請求項
3記載のポンプ装置において、
前記反発力は、前記インペラが前記ハウジングに対し所定以上近づいた際の前記磁気カップリング力と、前記ハウジング内に流入する流体による前記インペラに加わる流体力との合計よりも大きい
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
請求項
2~4のいずれか1項に記載のポンプ装置において、
前記第1反発磁石と前記第2反発磁石とで構成される反発機構が、前記磁気カップリング機構よりも内側に設けられる
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項6】
請求項
5記載のポンプ装置において、
前記反発機構を構成する前記第1反発磁石が配置された前記ハウジングと前記インペラとの間の第1隙間は、前記磁気カップリング機構を構成する前記駆動磁石が配置された前記ハウジングと前記インペラとの間の第2隙間よりも狭い
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項7】
請求項
6記載のポンプ装置において、
前記ハウジングは、前記インペラの径方向内側に配置される中央部と、前記インペラの径方向外側に配置される周辺部と、を有し、
前記中央部の内部に前記第1反発磁石が固定される一方で、前記周辺部の内部に前記駆動磁石が回転自在に配置される
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項8】
請求項
2~7のいずれか1項に記載のポンプ装置において、
前記ハウジングは、前記インペラを有する第1ハウジングと、前記モータ機構を有する第2ハウジングとを含み、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングは着脱自在に構成されている
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項9】
請求項
1~8のいずれか1項に記載のポンプ装置において、
前記第1反発磁石の前記回転軸に平行な軸方向長さは、前記第2反発磁石の前記回転軸に平行な軸方向長さよりも長い
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項10】
請求項
1~9のいずれか1項に記載のポンプ装置において、
前記ハウジングは、前記回転軸に沿った方向の前記インペラに対向する箇所に動圧軸受を有する
ことを特徴とするポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を流動させるポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ装置は、人工心肺装置において血液(流体)を流動させる血液循環機器として使用されている。例えば、特開2013-212218号公報記載のポンプ装置は、ハウジング内でインペラ(羽根車)を回転させ、この回転に伴う遠心力によりハウジング内に血液を引き込むと共に、ハウジングから血液を排出する。
【0003】
特に、特開2013-212218号公報記載のポンプ装置は、インペラの回転中に、インペラが傾くことを抑制する動圧溝(ラジアル動圧軸受)を備える。この動圧溝は、流体の流動時の動圧力を利用して、ハウジングと相対的にインペラを非接触で回転させる。これにより、血栓や溶血の発生が低減される。
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、特開2013-212218号公報のように、インペラ又は固定軸に動圧溝を有する構成では、動圧溝の形成工程(切削加工等)に手間やコストがかかる。また、インペラの回転が遅い状態では、動圧軸受の機能が充分に発揮されず、インペラが固定軸に接触する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、インペラの回転中に、インペラがラジアル方向に変位して筐体に接触することを抑制し、インペラを安定的に回転させるポンプ装置を提供することを目的とする。
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明のポンプ装置は、第1反発磁石を環状に配置したハウジングと、前記ハウジング内に回転自在に収容され、内側に第2反発磁石を環状に配置したインペラと、前記ハウジングに内蔵され、駆動磁石を回転させるモータ機構と、前記インペラに配置され、前記駆動磁石の回転に連れて前記インペラを回転させる従動磁石と、を備え、前記第1反発磁石と前記第2反発磁石は、前記インペラの回転軸に直交する径方向に沿って並び、且つ相互に対向する対向面の極性が同一であり、前記インペラにおいて前記第2反発磁石は、前記従動磁石と同じ高さに位置し、かつ前記従動磁石に対して径方向に間隔を開けて配置される、ことを特徴とする。
【0007】
上記によれば、ポンプ装置は、第1反発磁石の対向面と第2反発磁石の対向面との間に反発力が働くことになる。これにより、第2反発磁石を有するインペラは、第1反発磁石(つまりハウジング)側に接触することが抑制されて安定的に回転することができ、流体を円滑に流動させることが可能となる。例えば、流体が血液である場合には、血栓や溶血の発生を大幅に抑止することができる。
【0008】
また、前記第1反発磁石及び前記第2反発磁石の少なくとも一方は、外周部の全周にわたって第1極性が着磁され、且つ内周部の全周にわたって前記第1極性と反対の極性である第2極性が着磁されたリング体であるとよい。
【0009】
ポンプ装置は、第1極性と第2極性が外周部と内周部のそれぞれに着磁されたリング体であることで、インペラの回転軸周りに沿ってより均等的に反発力を生じさせる。これにより、インペラの回転の安定性が一層増すことになる。
【0010】
さらに、前記ハウジングは、駆動磁石を回転させるモータ機構を備え、前記インペラは、前記駆動磁石の回転に連れて該インペラを回転させる従動磁石を有するとよい。
【0011】
これにより、ポンプ装置は、駆動磁石の回転力をインペラの従動磁石に非接触で伝達することができる。よって、流体の流動空間をモータ機構から独立させて、しかも第1反発磁石及び第2反発磁石によりラジアル方向のぶれを抑える構成とすることができる。
【0012】
上記構成に加えて、前記第1反発磁石と前記第2反発磁石の間の反発力が、前記駆動磁石と前記従動磁石によって構成される磁気カップリング機構の磁気カップリング力よりも大きいことが好ましい。
【0013】
ポンプ装置は、インペラの回転時に、仮にある周方向位置で磁気カップリング力が大きく作用したとしても、第1反発磁石と第2反発磁石の反発力が大きいため、インペラとハウジングの非接触状態をより確実に継続することができる。
【0014】
さらに、前記反発力は、前記インペラが前記ハウジングに対し所定以上近づいた際の前記磁気カップリング力と、前記ハウジング内に流入する流体による前記インペラに加わる流体力との合計よりも大きいとよい。
【0015】
ポンプ装置は、インペラがハウジングに対し所定以上近づいた際に、磁気カップリング力と流体力の合計よりも大きな反発力を発揮することで、インペラとハウジングの非接触状態をより確実に継続することができる。
【0016】
また、前記第1反発磁石と前記第2反発磁石とで構成される反発機構が、前記磁気カップリング機構よりも内側に設けられるとよい。
【0017】
これにより、ポンプ装置は、インペラに対し内側から径方向外側に反発力を働かせて、インペラを安定的に回転させることができる。
【0018】
さらに、前記反発機構を構成する前記第1反発磁石が配置された前記ハウジングと前記インペラとの間の第1隙間は、前記磁気カップリング機構を構成する前記駆動磁石が配置された前記ハウジングと前記インペラとの間の第2隙間よりも狭いことが好ましい。
【0019】
ポンプ装置は、第1隙間が第2隙間よりも狭いことで、第1反発磁石から第2反発磁石に対して反発力を容易に伝達して、ラジアル方向の軸受を強固に形成することができる。
【0020】
上記構成に加えて、前記ハウジングは、前記インペラの径方向内側に配置される中央部と、前記インペラの径方向外側に配置される周辺部と、を有し、前記中央部の内部に前記第1反発磁石が固定される一方で、前記周辺部の内部に前記駆動磁石が回転自在に配置されるとよい。
【0021】
ポンプ装置は、ハウジングの中央部の内部に第1反発磁石が固定され、ハウジングの周辺部の内部に駆動磁石が回転自在に配置されることで、インペラの径方向内側寄りに反発機構を簡単に設けることができる。
【0022】
またさらに、前記ハウジングは、前記インペラを有する第1ハウジングと、前記モータ機構を有する第2ハウジングとを含み、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングは着脱自在に構成されているとよい。
【0023】
ポンプ装置は、第1ハウジングと第2ハウジングを着脱自在とすることで、使用後にインペラ及び第1ハウジングを廃棄する一方で、モータ機構及び第2ハウジングを再利用することができる。
【0024】
そして、前記第1反発磁石の前記回転軸に平行な軸方向長さは、前記第2反発磁石の前記回転軸に平行な軸方向長さよりも長いことが好ましい。
【0025】
ポンプ装置は、第1反発磁石の軸方向長さが第2反発磁石の軸方向長さよりも長いことで、インペラが回転軸方向に変位したとしても、第1反発磁石と第2反発磁石の対向状態を良好に継続することができる。つまり反発力を持続的に発揮させることができる。
【0026】
前記ハウジングは、前記回転軸に沿った方向の前記インペラに対向する箇所に動圧軸受を有するとよい。
【0027】
ポンプ装置は、動圧軸受を有することで、インペラがハウジングの軸方向に接触することも抑止して、インペラをより一層安定的に回転させることができる。
【0028】
本発明によれば、ポンプ装置は、インペラの回転中に、インペラがラジアル方向に変位して筐体に接触することを抑制し、インペラを安定的に回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係るポンプ装置の斜視図である。
【
図2】
図1のポンプ本体と駆動装置が分離した状態を示す側面断面図である。
【
図4】
図3の従動磁石、可動側反発磁石、駆動磁石及び固定側反発磁石を示すIV-IV線の断面図である。
【
図5】第1変形例に係るポンプ装置の要部を示す側面断面図である。
【
図6】第2変形例に係るポンプ装置の従動磁石、可動側反発磁石、駆動磁石及び固定側反発磁石を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るポンプ装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
本発明の一実施形態に係るポンプ装置10は、患者の心肺機能を補助する(又は心肺を代替する)人工心肺装置12において、患者の血液を体外に脱血させ、また体内に送血する動力源として用いられる。
図1に示すように、ポンプ装置10は、インペラ14を装置内に有し、インペラ14の回転に伴う遠心力によって流体を流動させる遠心ポンプに構成されている。
【0032】
人工心肺装置12は、脱血チューブ18及び送血チューブ20をポンプ装置10に接続して、患者との間で血液を循環する循環回路を形成している。脱血チューブ18は、脱血ルーメン18aを内部に有し、その先端開口が所望の生体器官(例えば、心臓の左心室)に留置されて、脱血ルーメン18aを通して患者の血液を吸引する。送血チューブ20は、送血ルーメン20aを内部に有し、その先端開口が所望の生体器官(例えば、鎖骨下動脈)に留置されて、送血ルーメン20aを通してポンプ装置10の血液を送血する。なお、人工心肺装置12は、ポンプ装置10の他にリザーバ、人工肺等(共に不図示)を循環回路(脱血チューブ18や送血チューブ20)の途中位置に接続した構成でもよい。これにより、人工心肺装置12は、体外に脱血した血液の異物の除去や酸素化等を行い、この血液を患者の体内に戻すことができる。
【0033】
そして、本実施形態に係るポンプ装置10は、
図2に示すように、上記のインペラ14が収容されたポンプ本体22と、インペラ14を回転させる駆動装置24と、駆動装置24の駆動を制御する制御部26と、を備える。また、ポンプ装置10のハウジング30は、ポンプ本体22を構成する本体側ハウジング32(第1ハウジング)と、駆動装置24を構成する駆動側ハウジング60(第2ハウジング)と、を有する。
【0034】
ハウジング30は、本体側ハウジング32と駆動側ハウジング60を着脱自在に構成し、使用時に相互に組み付けることで、駆動装置24の駆動力をインペラ14に伝達可能とする。そして使用後に、ポンプ本体22は駆動装置24から取り外されて廃棄される。つまり、ポンプ本体22は、1回の使用毎に取り替えられて、使い捨て又は滅菌処理されるディスポーザブルタイプに構成される。その一方で、駆動装置24は、リユースタイプに構成され、次の使用機会において、新たなポンプ本体22が取り付けられてこのポンプ本体22のインペラ14を動作させる。
【0035】
ポンプ本体22の本体側ハウジング32は、駆動装置24に装着可能な外観に形成されている。この本体側ハウジング32の内部には、インペラ14が回転自在に収容されると共に、血液の流入及び排出がなされる内部空間36が設けられている。
【0036】
本体側ハウジング32は、略円錐状の上側ハウジング部33と、上側ハウジング部33の下部に連なり駆動装置24に装着される筒状の下側ハウジング部34と、を有する。内部空間36は、上側ハウジング部33と下側ハウジング部34の両方にわたって形成されている。上側ハウジング部33と下側ハウジング部34は、相互に分割可能に構成され、インペラ14を取り出せるようになっている。
【0037】
上側ハウジング部33は、脱血チューブ18に接続される血液流入ポート38と、送血チューブ20に接続される血液流出ポート40とを有する。血液流入ポート38は、上側ハウジング部33の天井部且つ中心に設けられて上方向に突出し、その内部には、上側ハウジング部33の内部空間36(以下、上空間36aという)に連通する流入路38aが設けられている。血液流出ポート40は、上空間36aの側部から接線方向に突出し、その内部には、上空間36aに連通する流出路40aが設けられている。
【0038】
上空間36aは、上側ハウジング部33の外形に応じた形状で、所定の容積を有するように形成される。上空間36aには、インペラ14の上側のフィン部46が配置される。上空間36aを覆う天井部には、インペラ14の回転時にインペラ14を非接触に回転させる天井側動圧軸受41(スラスト方向の動圧軸受)が設けられている。例えば、天井側動圧軸受41は、天井部を浅く切り欠いた所定形状の溝を適用することができる。
【0039】
上空間36aを囲う壁部のうち底壁の中心部には、下側ハウジング部34の中央上部が配置され、この中央上部は血液流入ポート38の流入路38aを臨む円錐状の山形部35aとなっている。山形部35aは、側面断面視で、弓形に湾曲形成されており、フィン部46の流通孔50に血液を円滑に流動させる。
【0040】
下側ハウジング部34は、上側ハウジング部33の下方向に突出し、上空間36aの中心と同軸の軸心を有する円筒状に形成されている。下側ハウジング部34の中心には、インペラ14を軸支する軸筒部35が設けられている。この軸筒部35は、上記の山形部35aと、山形部35aの周縁且つ下側に連なる内周部35bとで構成され、その内側には、下端側が開口した挿入穴42が設けられている。
【0041】
また、下側ハウジング部34の内部には、上空間36aに連通する下空間36b(内部空間36の一部)が形成されている。下空間36bは、下側ハウジング部34の円筒状に応じて挿入穴42の側方を周回し、インペラ14の従動回転構造部48を回転自在に収容する。
【0042】
下空間36bを構成する底部には、インペラ14を非接触に回転させる底部側動圧軸受43(スラスト方向の動圧軸受)が設けられている。底部側動圧軸受43も、天井側動圧軸受41と同様に、底部を浅く切り欠いた所定形状の溝を適用することができる。天井側動圧軸受41及び底部側動圧軸受43の溝形状は、相互に同じでもよく、異なっていてもよい。
【0043】
図1~
図3に示すように、インペラ14は、貫通孔15を内側に有する円筒状に形成されている。インペラ14は、下側ハウジング部34の軸筒部35を貫通孔15に挿入して本体側ハウジング32に収容される。貫通孔15は、収容状態で、インペラ14の内周面と軸筒部35の外周面の間に僅かな第1隙間37aを生じさせる。第1隙間37aの間隔は、ポンプ本体22のサイズにもよるが、例えば0.1mm~1mm程度の範囲に設定される。
【0044】
また、インペラ14は、上空間36aと下空間36bの両方にわたって収容される。インペラ14の上部にはフィン部46が設けられる一方で、インペラ14の下部には従動回転構造部48が設けられている。なお、
図2中のインペラ14は、別部材に形成されたフィン部46と従動回転構造部48を相互に固着した構成となっているが、これに限定されず、フィン部46と従動回転構造部48が一体成形されたものでもよい。
【0045】
フィン部46は、上空間36aに配置され、回転に伴い遠心力を血液に付与する。フィン部46は、貫通孔15とフィン部46の径方向外側とを連通する流通孔50を備えている。流通孔50は、上側のシュラウド50aと、シュラウド50aに連なり下方に突出する複数の側壁部50bと、従動回転構造部48の上面48aとに囲われている。
【0046】
シュラウド50aは、天井側動圧軸受41により天井部に対し非接触に回転する流通孔50の屋根であり、上側ハウジング部33の天井部の形状に応じて、径方向外側に向かって下方向に傾斜している。また、上面48aも、シュラウド50aと略平行となるように斜めに傾斜している。
【0047】
複数の側壁部50bは、インペラ14の回転状態(回転方向や回転速度等)に応じて、適宜の遠心力を生じる傾きや湾曲形状に設計される。なお、フィン部46の形状は、上記に限定されず、例えば、シュラウド50aが設けられておらず羽状の壁(側壁部50b)が上面48aに複数突出形成された構成でもよい。
【0048】
従動回転構造部48は、インペラ14の径方向に所定の厚みを有する円筒状に形成され、
図2及び
図3に示すように、ポンプ本体22と駆動装置24の装着状態で、駆動装置24の回転力が伝達されて回転する。この従動回転構造部48の内部(内側)には、従動磁石54及び可動側反発磁石56(第2反発磁石)が設置されている。また、従動回転構造部48の下部には、従動磁石54及び可動側反発磁石56の収容後に、空洞を閉じる閉塞部58が設けられている。
【0049】
従動磁石54は、ポンプ本体22と駆動装置24の装着状態で、駆動装置24の駆動磁石64と同一高さ位置に配置され、駆動磁石64との間で磁気カップリング機構76を形成する。
図4に示すように、本実施形態に係る従動磁石54は、インペラ14の回転軸Oに対し一定の半径で周回する従動側多極着磁リング磁石55に構成されている。従動側多極着磁リング磁石55の回転軸Oに平行な軸方向長さ(従動磁石54の厚み)は、駆動磁石64の軸方向長さと略同一に設計されている。
【0050】
従動側多極着磁リング磁石55は、複数のN極及びS極が周方向に沿って交互に並ぶように着磁されている。
図4中では、従動側多極着磁リング磁石55の極性数は、6つ(すなわち3つの対極)に設定されているが、これに限定されるものではない。従動磁石54(従動側多極着磁リング磁石55)を構成する材料としては、例えば、アルニコ、フェライト、ネオジム等の硬質磁性材料があげられる。
【0051】
一方、可動側反発磁石56は、
図2及び
図3に示すように、従動磁石54(従動側多極着磁リング磁石55)と同じ高さ位置、且つ従動磁石54の径方向内側に間隔を開けて配置される。この可動側反発磁石56は、ポンプ本体22と駆動装置24の装着状態で、後記の固定側反発磁石66と径方向(回転軸Oと直交する方向)に隣接し合うように配置され、相互に反発し合う反発機構78を形成する。従動磁石54と可動側反発磁石56の間には仕切り壁59が介在している。仕切り壁59は、例えば、磁力を遮断する材料により構成されてもよい。
【0052】
図4に示すように、本実施形態に係る可動側反発磁石56は、回転軸Oから所定距離離れた位置を周回する可動側内外周単極着磁リング磁石57に構成されている。可動側内外周単極着磁リング磁石57は、外周部の全周にわたって第1極性(
図4中ではN極)を有し、内周部の全周にわたって第1極性と反対の第2極性(
図4中ではS極)を有するように着磁されたリング体である。すなわち、可動側反発磁石56の内周面は、周方向に沿って第1極性が常に存在する可動側反発面56aとなっている。可動側反発磁石56(可動側内外周単極着磁リング磁石57)を構成する材料は、特に限定されず、従動磁石54であげた材料を適用し得る。
【0053】
また
図2及び
図3に示すように、閉塞部58は、従動回転構造部48の下端面を構成すると共に、従動磁石54及び可動側反発磁石56を保持する機能を有している。閉塞部58は、底部側動圧軸受43に対向して、インペラ14の回転時に底部に対し非接触に回転する。
【0054】
さらに、インペラ14は、下側ハウジング部34の外側を周回する外周部34aに対して所定の間隔の第2隙間37bを有するように構成される。この第2隙間37bは、第1隙間37aよりも大きい。これによりインペラ14の回転をより円滑化することができる。
【0055】
ポンプ装置10の駆動装置24は、駆動側ハウジング60と、駆動側ハウジング60内に収容されるモータ機構62とを備える。さらに、駆動装置24は、モータ機構62に設けられてインペラ14との間で引き合う駆動磁石64と、駆動側ハウジング60に設けられてインペラ14との間で反発し合う固定側反発磁石66(第1反発磁石)とを有する。
【0056】
駆動側ハウジング60は、ポンプ本体22を装着する円筒状の装着溝68を上面に有する上側筐体61aと、上側筐体61aの下側に連結される下側筐体61bとで構成されている。また、駆動側ハウジング60の装着溝68よりも径方向内側部分は、下側ハウジング部34の挿入穴42に挿入される中央凸部60a(中央部)となっている。駆動側ハウジング60の装着溝68よりも径方向外側部分は、中央凸部60aよりも若干低い環状の周辺凸部60b(周辺部)となっている。
【0057】
そして、ポンプ本体22の本体側ハウジング32と、駆動装置24の駆動側ハウジング60とは、相互に着脱自在に位置決め固定可能な係合構造44を有する。本実施形態において、係合構造44は、下側ハウジング部34を装着溝68に挿入して、中央凸部60aと周辺凸部60bとで嵌合する。なお、係合構造44は、種々の構成を採用してよいことは勿論である。
【0058】
下側筐体61bの内部には、モータ機構62のモータ本体70が設けられ、モータ本体70は、制御部26の制御下に軸部72を適宜の回転速度で回転させる。軸部72は、下側筐体61b内から上側筐体61a内に挿入されて、上側筐体61a内において回転体74が装着されている。ポンプ本体22と駆動装置24の装着状態では、インペラ14の回転軸Oと軸部72の軸心(回転軸O)が相互に重なる。
【0059】
回転体74は、側面断面視で、軸部72に装着される被装着部74aと、被装着部74aから径方向外側に延びる円盤部74bと、円盤部74bの周縁部から上方向(回転軸Oと平行方向)に突出する保持突部74cとを有する。そして、保持突部74cの突出端(上端)に、駆動磁石64が装着されている。つまり、回転体74は、駆動側ハウジング60内で駆動磁石64を所定の径方向位置及び高さ位置(周辺凸部60bの内部)に配置して、軸部72の回転に連れて駆動磁石64を回転させる。
【0060】
図4に示すように、本実施形態に係る駆動磁石64は、軸部72の回転軸Oに対し従動磁石54よりも長い半径で周回する駆動側多極着磁リング磁石65に構成されている。駆動側多極着磁リング磁石65は、従動磁石54と同様に、複数(6つ)の極性(N極、S極)が周方向に沿って交互に並ぶように着磁されている。駆動磁石64を構成する材料も、従動磁石54であげた材料を適宜選択し得る。
【0061】
そして、駆動装置24の固定側反発磁石66は、中央凸部60aを構成する駆動側ハウジング60の肉部分に埋め込まれる。
図2及び
図3に示すように、固定側反発磁石66は、回転軸Oに最も近い位置に配置されている。
図4に示すように、本実施形態に係る固定側反発磁石66は、回転軸Oに対し一定の半径(回転軸Oから所定距離離れた位置)で周回する固定側内外周単極着磁リング磁石67に構成されている。
【0062】
固定側内外周単極着磁リング磁石67は、外周部の全周にわたって第1極性(
図4中ではS極)を有し、内周部の全周にわたって第1極性と反対の第2極性(
図4中ではN極)を有するように着磁されたリング体である。すなわち、固定側反発磁石66の外周面は、可動側反発磁石56の極性と同じ極性が周方向に沿って常に存在する固定側反発面66aとなっている。この固定側反発磁石66を構成する材料も特に限定されず、従動磁石54であげた材料を適用し得る。
【0063】
ここで、可動側反発磁石56と固定側反発磁石66とで構成される反発機構78は、磁気カップリング機構76よりも大きな力(磁力)で反発するように構成される。例えば、反発機構78は、従動磁石54と駆動磁石64の間の距離よりも可動側反発磁石56と固定側反発磁石66の間の距離を短くすることで、強い反発力を得ることができる。なお、磁気カップリング力よりも反発力を大きくする構成は、特に限定されず、例えば、可動側反発磁石56又は固定側反発磁石66を大きく形成する、磁石の材料の構成比を変える等の種々の手段を採ってよい。
【0064】
また、固定側内外周単極着磁リング磁石67(固定側反発磁石66)の軸方向長さは、可動側内外周単極着磁リング磁石57(可動側反発磁石56)の軸方向長さよりも長く設定されている。これにより、反発機構78は、ポンプ本体22と駆動装置24の装着状態で、インペラ14の回転に伴いインペラ14が上下に変位しても、固定側内外周単極着磁リング磁石67の軸方向中間位置に可動側内外周単極着磁リング磁石57を位置させる。例えば、固定側内外周単極着磁リング磁石67の軸方向長さは、可動側内外周単極着磁リング磁石57の軸方向長さの2倍以上に設定されることが好ましい。
【0065】
図2に戻り、ポンプ装置10の制御部(Controller)26は、図示しない入出力インタフェース、メモリ及びプロセッサを有する周知のコンピュータにより構成され、モータ機構62の駆動を制御する。制御部26の外面には、図示しないモニタ、スピーカ、操作ボタン等が設けられており、医師や看護士等のユーザは、操作ボタンを操作することで、ポンプ装置10の駆動内容を設定する。制御部26は、ユーザの設定情報に基づき、バッテリの電力の供給を制御して、例えば0~80000rpmの範囲で軸部72を回転させる。
【0066】
次に、ポンプ装置10の作用について説明する。
【0067】
ポンプ装置10を含む人工心肺装置12は、心肺機能を補助する患者に対して構築される。人工心肺装置12の構築時に、ユーザは、ポンプ本体22に脱血チューブ18及び送血チューブ20を接続する。そして
図2に示すように、駆動装置24に対しポンプ本体22を装着することで、ポンプ装置10を組み立てる。この際、ユーザは、下側ハウジング部34を装着溝68に差し込み、係合構造44によりポンプ本体22と駆動装置24を相互に位置決め固定する。
【0068】
図3及び
図4に示すように、装着状態では、従動磁石54、可動側反発磁石56、駆動磁石64及び固定側反発磁石66が同一の高さ位置に配置される。より詳細には、回転軸Oから径方向外側に向かって、固定側反発磁石66、可動側反発磁石56、従動磁石54、駆動磁石64の順で並ぶ。
【0069】
そして、径方向に隣接する従動磁石54(従動側多極着磁リング磁石55)と駆動磁石64(駆動側多極着磁リング磁石65)は、異なる極性同士を相互に対向させて磁気カップリング機構76を形成する。すなわち、従動側多極着磁リング磁石55と駆動側多極着磁リング磁石65は、磁気カップリング力(磁気的結合力)を生じさせ、回転体74の回転力をインペラ14に伝達可能とする。
【0070】
従って、駆動装置24のモータ機構62が、軸部72を回転させると、インペラ14も連れ回りする。またインペラ14は、回転時に、スラスト方向の軸受(天井側動圧軸受41、底部側動圧軸受43)によって、本体側ハウジング32の上下に対して非接触に回転することができる。そして、上空間36a内で回転するフィン部46は、遠心力を生じさせ、これにより流入路38a、貫通孔15、流通孔50、流出路40aの順に、血液を流動させる。
【0071】
一方、可動側反発磁石56と固定側反発磁石66とは、磁気カップリング機構76の内側で径方向に隣接する。そして、同一の極性の可動側反発面56aと固定側反発面66aが、相互に対向し合うことで反発力が働く。特に、可動側反発磁石56(可動側内外周単極着磁リング磁石57)と固定側反発磁石66(固定側内外周単極着磁リング磁石67)は、周方向全体で均等的に反発力をかけることが可能なラジアル方向の軸受を形成する。
【0072】
この反発機構78の反発力は、磁気カップリング機構76の磁気カップリング力よりも大きく設定されており、インペラ14の内周面が本体側ハウジング32に接触することを効果的に抑制する。またインペラ14の回転時には、磁気カップリング機構76やインペラ14に加わる血液の流体力f(流入圧力や流出圧力)に伴い、軸筒部35に対してインペラ14を傾ける力がかかる場合がある。これに対し、本実施形態に係る反発機構78は、インペラ14の内周面が本体側ハウジング32に所定以上近づいた際に、磁気カップリング力と流体力fとの合計よりも大きな反発力となるように設計されている。このため、インペラ14と本体側ハウジング32の非接触状態をより確実に継続することができる。
【0073】
このように、ポンプ装置10は、天井側動圧軸受41と底部側動圧軸受43とでスラスト方向の軸受を構成し、且つラジアル方向の軸受(反発機構78)を有することで、本体側ハウジング32に対しインペラ14を非接触で回転させる。従って、ポンプ装置10は、インペラ14を定常的に安定駆動させて遠心力を良好に得ることができ、人工心肺装置12において血液を円滑に流動させることができる。
【0074】
上述したように、本実施形態に係るポンプ装置10は、以下の効果を奏する。
【0075】
ポンプ装置10は、可動側反発磁石56及び固定側反発磁石66により、固定側反発面66aと可動側反発面56aとの間に反発力を働かせる。これにより、可動側反発磁石56を有するインペラ14は、固定側反発磁石66(つまり本体側ハウジング32)側に接触することが抑制されて、安定的に回転することができる。特に、ポンプ装置10は、インペラ14の回転速度が遅い又はラジアル方向の力を受ける等の状況下でも非接触状態を良好に保つことが可能となり、血液に血栓や溶血が発生することを大幅に抑止することができる。
【0076】
そして、ポンプ装置10は、可動側反発磁石56及び固定側反発磁石66が可動側内外周単極着磁リング磁石57、固定側内外周単極着磁リング磁石67であることで、インペラ14の回転軸O周りに均等的に反発力を生じさせる。これにより、インペラ14の回転の安定性が一層増すことになる。また、ポンプ装置10は、磁気カップリング機構76により、駆動磁石64の回転力をインペラ14に非接触で伝達する構成であり、しかも反発機構78によりラジアル方向のぶれを抑えることができるので、血液をよりスムーズに流動させる。
【0077】
特に、ポンプ装置10は、可動側反発磁石56と固定側反発磁石66の反発力が大きいことで、仮に、ある周方向位置で磁気カップリング力が大きく作用してもインペラ14と本体側ハウジング32の非接触状態をより確実に継続することができる。そして、ポンプ装置10は、反発機構78が磁気カップリング機構76の内側に設けられることで、インペラ14に対し内側から径方向外側に反発力を働かせることができる。しかも、第1隙間37aが第2隙間37bよりも狭い構成であるため、固定側反発磁石66から可動側反発磁石56に対して反発力を容易に伝達して、より強いラジアル方向の軸受を形成することができる。
【0078】
さらにまた、ポンプ装置10は、固定側反発磁石66の軸方向長さが可動側反発磁石56の軸方向長さよりも長いことで、インペラ14が回転軸方向に変位したとしても、可動側反発磁石56と固定側反発磁石66の対向状態を良好に継続することができる。しかも、ポンプ装置10は、天井側動圧軸受41と底部側動圧軸受43を有することで、インペラ14が本体側ハウジング32の軸方向に接触することも抑止して、インペラ14をより一層安定的に回転させることができる。
【0079】
なお、本発明に係るポンプ装置10は、上記の実施形態に限定されず、種々の応用例及び変形例を採り得る。例えば、上記のポンプ装置10は、ポンプ本体22と駆動装置24が着脱自在に組立てられる構成となっているが、これに限定されず、ポンプ本体22と駆動装置24が一体化した、すなわち一連のハウジング30を有する装置でもよい。
【0080】
以下、本発明に係るポンプ装置10の変形例について幾つか説明する。なお、以降の説明において、上述したポンプ装置10と同一の構成又は同一の機能を有する構成には、同一の符号を付しその詳細な説明は省略する。
【0081】
〔第1変形例〕
図5に示す第1変形例に係るポンプ装置10Aは、磁気カップリング機構76Aの外側に反発機構78Aを設けた点で、ポンプ装置10と異なる。具体的には、ポンプ装置10Aのインペラ14Aは、径方向内側に従動磁石54(従動側多極着磁リング磁石55)を備え、径方向外側に可動側反発磁石56(可動側内外周単極着磁リング磁石57)を備える。また、インペラ14Aを収容するポンプ本体22Aの本体側ハウジング32(下側ハウジング部34)内に、固定側反発磁石66(固定側内外周単極着磁リング磁石67)が設けられている。
【0082】
一方、駆動装置24Aは、下側ハウジング部34を保持可能な係合構造44を構成する周辺凸部60bを有する一方で、中央凸部60aに代えて軸部72を延出させている。そして、軸部72の外周面には、駆動磁石64(駆動側多極着磁リング磁石65)が設けられている。
【0083】
以上のポンプ装置10Aは、ポンプ本体22Aと駆動装置24Aの装着状態で、回転軸Oから径方向外側に向かって、駆動磁石64、従動磁石54、可動側反発磁石56、固定側反発磁石66が順に並ぶ。そして、従動磁石54と駆動磁石64が磁気カップリング機構76Aを形成する一方で、その外側において可動側反発磁石56と固定側反発磁石66が反発機構78Aを形成する。これにより、ポンプ装置10Aは、ポンプ装置10と同様の効果を得ることができる。また上記のように、固定側反発磁石66の設置位置は、特に限定されず、ポンプ本体22、22A又は駆動装置24、24Aのいずれでもよいと言える。
【0084】
〔第2変形例〕
図6に示す第2変形例に係るポンプ装置10Bは、従動磁石54、可動側反発磁石56、駆動磁石64、固定側反発磁石66の各々について、円弧状に構成された磁石を複数組み合わせて環状の磁石群に形成した点で、ポンプ装置10、10Aと異なる。
【0085】
例えば、
図6中では、従動磁石54及び駆動磁石64の各々は、周方向に沿ってN極及びS極を有する3つの円弧状の磁石80を並べて、環状の従動磁石群82及び駆動磁石群84を形成している。また可動側反発磁石56及び固定側反発磁石66の各々は、径方向に沿ってN極及びS極を着磁した4つの円弧状の磁石90を並べて、環状の可動側反発磁石群92及び固定側反発磁石群94を形成している。なお
図6中では、磁石80同士及び磁石90同士の間に隔壁86を挟んだ構成としているが、隔壁86は介在していなくてもよい。また、従動磁石54、可動側反発磁石56、駆動磁石64、固定側反発磁石66の数は、適宜設計してよい。
【0086】
以上のように構成されたポンプ装置10Bでも、従動磁石群82及び駆動磁石群84により磁気カップリング機構76Bが良好に形成されて、モータ機構62の回転によりインペラ14を連れ回りさせることができる。また、ポンプ装置10Bは、可動側反発磁石群92及び固定側反発磁石群94により反発機構78Bが良好に形成されて、インペラ14を安定的に回転させることができる。
【0087】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、発明の要旨に沿って種々の改変が可能である。