(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】印刷シリンダーを洗浄するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B41F 35/00 20060101AFI20220815BHJP
B41F 35/06 20060101ALI20220815BHJP
B08B 1/04 20060101ALI20220815BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
B41F35/00 D
B41F35/06
B08B1/04
B08B3/08 Z
(21)【出願番号】P 2019541219
(86)(22)【出願日】2018-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2018053719
(87)【国際公開番号】W WO2018149890
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-01
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】519131635
【氏名又は名称】ボールドウィン ジメック アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】アルケンユング ウルフ
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン ビルガー
(72)【発明者】
【氏名】マイアー マルティン
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-536111(JP,A)
【文献】特表2016-536166(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0143966(US,A1)
【文献】特開2013-216727(JP,A)
【文献】特開2010-138277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/00-35/06
B08B 1/00-13/00
B41N 1/00- 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムの印刷シリンダーを洗浄する
方法であって、
印刷システムに洗浄カセットを提供するステップであって、洗浄カセットは、洗浄布のロールを含み、前記洗浄布は、洗浄液に浸された液体吸収可能な材料を含み、前記洗浄液は、グリコール・エーテルおよび長鎖アルコール
のうちの少なくとも1つを含む極性添加剤を含み、
洗浄液は、50wt%~90wt%の範囲の極性添加剤を含み、極性添加剤は、10~16個の炭素原子を有し、前記極性添加剤は、洗浄液を極性化するように構成され、前記洗浄布
は、コアの周りに巻かれて前記ロールを形成し、
洗浄カセットは、洗浄布のロールをサポートするように適合され構成されたサポートを有し、洗浄カセットは、使用された洗浄布が周りに巻き付けられるように構成された収集ローラーを含む、ステップと、
洗浄液に浸された前記洗浄布の少なくとも一部を前記ロールから剥がすステップと、
前記洗浄布の少なくとも一部を洗浄される印刷シリンダーに接触させることにより、印刷システムの印刷シリンダーを洗浄するステップと、を含み、
洗浄布のロールは、ロールが洗浄カセットに取り付けられる前に洗浄液に浸される、方法。
【請求項2】
使用された洗浄布を収集ローラーの周りに巻き付けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
印刷シリンダーを洗浄するステップは、前記洗浄カセットを、洗浄布が印刷シリンダーに接触していないアイドル位置から、前記洗浄布が洗浄される印刷シリンダーに接触しているアクティブ位置へ移動するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
洗浄布が前記コアの周りに巻かれて洗浄カセットのロールを形成する前に、洗浄布を洗浄液に浸すステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
洗浄布が前記コアの周りに巻かれた後、ロールを洗浄液に浸すステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
洗浄布のロールを除去可能な封止バッグから除去するステップをさらに含み、除去可能な封止バッグは、洗浄布のロールが洗浄カセットに載置される前に洗浄液が洗浄布から蒸発するのを防ぐために洗浄布のロールの周りを封止するように構成され、除去可能な封止バッグが開封されて洗浄布のロールを除去するまで洗浄布のロールは真空パックされる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ロールとバッグとのアセンブリであって、
洗浄布のロールであって、洗浄布は、印刷システムの印刷シリンダーを洗浄するように適合され構成されており、前記洗浄布は、洗浄液に浸された液体吸収可能な材料を含み、前記洗浄液は、グリコール・エーテルおよび長鎖アルコールのうちの少なくとも1つを含む極性添加剤を含み、前記洗浄液は、50wt%~90wt%の範囲の極性添加剤を含み、前記極性添加剤は、10~16個の炭素原子を含む化合物であり、前記極性添加剤は、洗浄液を極性化するように構成され、前記洗浄布は、コアの周りに巻かれて前記ロールを形成する、洗浄布のロールと、
除去可能な封止バッグであって、チューブ状であり、多層プラスチックフィルムにより構成される除去可能な封止バッグと、を含み、
洗浄布のロールは、除去可能な封止バッグ内に真空パックされてロールとバッグとのアセンブリを形成する、ロールとバッグとのアセンブリ。
【請求項8】
前記ロールは、洗浄布が前記コアの周りに巻かれてロールを形成する前に、前記洗浄液に浸された洗浄布を受けるように適合され構成される、請求項7に記載のロールとバッグとのアセンブリ。
【請求項9】
前記ロールは、前記コアの周りに巻かれた洗浄布とともに洗浄液を受けるように適合され構成される、請求項7に記載のロールとバッグとのアセンブリ。
【請求項10】
洗浄カセットであって、
洗浄布のロールであって、洗浄布は、印刷システムの印刷シリンダーを洗浄するように適合され構成されており、前記洗浄布は、洗浄液に浸された液体吸収可能な材料を含み、前記洗浄液は、グリコール・エーテルおよび長鎖アルコールのうちの少なくとも1つを含む極性添加剤を含み、前記洗浄液は、50wt%~90wt%の範囲の極性添加剤を含み、前記極性添加剤は、10~16個の炭素原子を含む化合物であり、前記極性添加剤は、洗浄液を極性化するように構成され、前記洗浄布は、コアの周りに巻かれて前記ロールを形成する、洗浄布のロールと、
洗浄布のロールをサポートするように適合され構成されたサポートと、
使用された洗浄布が周りに巻き付けられるように構成された収集ローラーと、
を含む、洗浄カセット。
【請求項11】
前記サポートは、前記収集ローラーから離間されかつ並列をなすシャフトを含み、前記シャフトおよび前記収集ローラーは、段階的に回転するように適合され構成される、請求項10に記載の洗浄カセット。
【請求項12】
前記洗浄布を洗浄される印刷シリンダーに対して押圧するように構成されたパッドをさらに含む、請求項11に記載の洗浄カセット。
【請求項13】
洗浄カセットを含む印刷システムであって、洗浄カセットは、洗浄布のロールを含み、洗浄布は、印刷システムの印刷シリンダーを洗浄するように適合され構成されており、前記洗浄布は、洗浄液に浸された液体吸収可能な材料を含み、前記洗浄液は、グリコール・エーテルおよび長鎖アルコールのうちの少なくとも1つを含む極性添加剤を含み、前記洗浄液は、50wt%~90wt%の範囲の極性添加剤を含み、前記極性添加剤は、10~16個の炭素原子を含む化合物であり、前記極性添加剤は、洗浄液を極性化するように構成され、前記洗浄布は、コアの周りに巻かれて前記ロールを形成し、洗浄カセットは、洗浄布のロールをサポートするように適合され構成されたサポートを有し、洗浄カセットは、使用された洗浄布が周りに巻き付けられるように構成された収集ローラーを含み、
印刷システムは、印刷シリンダー、インクローラー、ダンピングローラー、インク源、およびダンピング源、のうちの少なくとも1つを含む、印刷システム。
【請求項14】
印刷システムは、前記洗浄カセットを、前記洗浄布が印刷シリンダーに接触していないアイドル位置と、前記洗浄布が洗浄される印刷シリンダーと接触しているアクティブ位置との間で移動するように適合され構成される、請求項13に記載の印刷システム。
【請求項15】
印刷シリンダー、インクローラー、ダンピングローラー、インク源およびダンピング源をさらに含む、請求項13に記載の印刷システム。
【請求項16】
前記ロールは、洗浄布が前記コアの周りに巻かれてロールを形成する前に、前記洗浄液に浸された洗浄布を受けるように適合され構成される、請求項13に記載の印刷システム。
【請求項17】
前記ロールは、前記コアの周りに巻かれた洗浄布とともに洗浄液を受けるように適合され構成される、請求項13に記載の印刷システム。
【請求項18】
洗浄カセットのサポートは、収集ローラーから離間されかつ並列をなすシャフトを含み、シャフトおよび収集ローラーは、段階的に回転するように適合され構成される、請求項13に記載の印刷システム。
【請求項19】
洗浄カセットは、前記洗浄布を洗浄される印刷シリンダーに対して押圧するように構成されたパッドをさらに含む、請求項13に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は印刷シリンダーを洗浄するための布(fabrics)並びに関連する洗浄装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所望の印刷結果を満足させる印刷シリンダーで機能的な印刷プロセスを有することを可能にするために、これらの印刷シリンダーは多かれ少なかれしばしば洗浄しなければならない。多くの異なる洗浄方法、たとえば、シリンダー上に洗浄液をスプレーすることまたはある種の洗浄クロスにより1つずつシリンダーを洗浄する方法が過去に用いられてきた。この開示はある種の洗浄布を用いた洗浄方法に着目する。
【0003】
1つの種類の洗浄布および洗浄方法は印刷機を洗浄するためのあらかじめ浸された洗浄布を用いた洗浄システムを開示する米国特許番号5,974,976から知られている。
あらかじめ浸された洗浄布はコアの周りに被覆保持され、密封(seal)が損傷して洗浄布が印刷機を洗浄しなければならなくなるまで洗浄能力を損なうことなく洗浄布が運ばれしまっておくことができるようにスリーブによって密封される。洗浄布は有機化合物溶剤に浸される。
【0004】
所望の洗浄効果を得るために異なる種類の溶剤が試みられてきたが、今日使用されている化合物には問題がある。たとえば、印刷シリンダーが洗浄された後回転し再び印刷を開始すると、いわゆる調色(toning)が生じる。印刷された面の色分布が均一でない場合、調色は望ましくない印刷結果を生じる。プリンタがしばらくの間動作された後、調色は最終的に均一になるが、すでに印刷されたものは無駄になる。
【0005】
WO2005/113243A1はある種の洗浄布を開示する。それは洗浄液として有機溶剤を組み合わせた洗浄布として不織布材料の使用を記載する。このWO公報は低揮発性洗浄液の必要性と洗浄布の強度と耐摩耗性の重要性を説明する。それゆえ、そこに提示された既知の洗浄布は、たとえば、プリンタがしばしば洗浄する必要があり大量の材料を浪費しなければならない場合、非常に高価になり得る調色の問題の解決にはならない。
【0006】
さらなる背景技術はたとえば、文献CA2039898A、DE102006039736A1、EP0348609A2, EP2735446A1, US5030292A, US6284720B1およびWO2008/035168A1に反映されている。
【0007】
しかしながら、これらの公報はいずれも調色に関連する問題への解決を提示していない。したがって、改良の余地がある。
【発明の概要】
【0008】
この発明の目的は従来技術に対する改良を提供することである。以下の説明から明らかになるこの目的および他の目的は、添付された独立クレームに定義された技術により達成される。ある実施形態が関連する従属クレームに記載される。
【0009】
第1の態様において、印刷システムの印刷シリンダーを洗浄するためのローラーが提供される。洗浄布は、グリコール・エーテルまたは長鎖アルコールまたは両方を含む極性添加剤を備える洗浄液に浸された液体吸収性素材を備える。極性添加剤は洗浄液を極性化(polar)させるように構成される。洗浄布はコアの周りに包まれ(wrap)または巻き付けられ(wound)てローラーを形成する。極性洗浄液で浸された洗浄布を用いる利点は液体が容易に水に溶解し印刷プロセスの間有益であるということである。したがって水と一体化した洗浄プロセスからの残りの洗浄液は調色に関する問題を緩和し印刷の浪費を低減することにつながる。
【0010】
望ましくは、極性添加剤は10-16カーボン原子を備えた化合物である。長鎖アルコールオプションが選択された場合、10-16カーボン原子化合物を使用することが望ましい。この構成の洗浄液で浸された洗浄布は特に有効である。また、洗浄液は50-90m/m%の範囲の極性添加剤を備えることが望ましい。
【0011】
洗浄が生じる環境に依存して、洗浄布はローラーを形成するためにコアに包まれるまたは巻き付けられる前にまたは後で洗浄液に浸される。
【0012】
一実施形態において、洗浄布のローラーは、洗浄液が使用する前に蒸発するのを防ぐためにロール(roll)の周りを封止するように構成された除去可能なシーリングバッグ(sealing bag)に介挿される。シーリングバッグは洗浄布が使用されるときに適切な動作を保証する。洗浄布のロールは望ましくはバッグに真空パックされる。
【0013】
第2の態様において、上述した種類の洗浄布のロールを支持するように構成された手段と、周りに使用された洗浄布が包まれるまたは巻き付けられるように構成された収集ローラーを備えた洗浄カセットが提供される。このカセットは印刷システムに組み込むのが容易な小型で堅固なユニットを構成するので有益である。望ましくは、支持手段は回転可能な収集ローラーから離間されかつ平行な回転可能なシャフトである。
【0014】
一実施形態において、洗浄カセットは、洗浄布がいずれの印刷シリンダーとも接触しないアイドル位置と、洗浄布が洗浄される印刷シリンダーと接触しているアクティブ位置との間で移動可能なように印刷システムに配置される。この設計によって、洗浄布は必要なときだけ洗浄接触するので効率的な洗浄動作が達成される。
【0015】
洗浄カセットは洗浄される印刷シリンダーに対して洗浄布を押圧するように構成されたパッドを備えてもよい。これによって、洗浄されるシリンダーに対する洗浄布の好ましい押圧動作が達成される。パッドは洗浄されるシリンダーに対して洗浄布を押圧するのに適したパッド表面上に弾性部材を備えていてもよい。
【0016】
第3の態様において、上述した種類の洗浄カセットであって望ましくはアイドル位置と洗浄位置との間で移動可能な洗浄カセットを備えた印刷システムが提供される。
印刷システムは印刷シリンダー、インクローラー、ダンピングローラー、インク源、およびダンピング源を備えていてもよい。それゆえ、この改良された印刷システムは効率的な洗浄機能を内蔵する。
【0017】
第4の態様において、上述した設計の洗浄カセットによりおよび上述した洗浄布のロールを含むことにより印刷システムの印刷シリンダーを洗浄する方法が提供される。
この方法は、(1)洗浄液に浸された洗浄布の少なくとも一部をロールから剥がすステップと、および(2)前記洗浄布の少なくとも一部を、洗浄されるシリンダーと接触して載置するステップとを備える。この方法は、従来の技術で可能であったものよりもより効率的な方法で印刷シリンダーを洗浄することを可能にする。
【0018】
望ましくは、使用された洗浄布は洗浄処理をスムーズかつ機能的にする洗浄カセットに含まれる収集ローラーの周りに巻き付けられる。
【0019】
また、この洗浄方法に従って洗浄が行われるとき、洗浄カセットは、洗浄布がいずれの印刷シリンダーとも接触しないアイドル位置から、洗浄布が、洗浄される印刷シリンダーと接触するアクティブ位置に移動されることが望ましい。
【0020】
第5の態様において、洗浄布がグリコール・エーテルまたは長鎖アルコールまたは両方を含む極性添加剤を含む洗浄液で浸された、印刷システムの印刷シリンダーを洗浄するための洗浄布を使用することが提案される。そのような布の使用は従来技術に対して改良された洗浄を保証する。
この発明の実施形態はどのように発明の概念を実施に要約され得るかの非限定例を説明する添付された概略図を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は一実施形態に従うシリンダーの機構と洗浄布を備えた洗浄カセットを備えた汎用印刷システムの断面図を示す。
【
図2】
図2は洗浄プロセスに使用する前の洗浄布のロールの断面図の拡大図を示す。
【
図3】
図3はシーリングバッグに真空パックされた、
図2に示すロールの斜視図を図示する。
【
図4】
図4はシーリングバッグが部分的に除去された
図3に示すロールを図示する。
【
図5】
図5は
図1に示す印刷システムに含まれる洗浄カセットに拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、多数の印刷シリンダーおよびローラー2、3、4、5、6を備えた汎用印刷ユニットまたはシステム1が示される。ここに記載された印刷システム1は圧胴2(
図1左下の最も大きな印刷シリンダー)、ゴムシート(図示せず)を有するゴム胴3(圧胴の隣の中サイズのシリンダー)およびプレートシリンダー(plate cylinder)4(ゴム胴の隣の中サイズのシリンダー)を有する。印刷システム1はさらに多数のインクローラー5(ダンピングローラーではない小型のローラー)および多数のダンピングローラー6(右下の5つの小型サイズのローラー)を有する。インクローラー5のセットは、インクローラー5にインクを供給するインク源8と関連づけられている。ダンピングローラー6のセットはダンピング源、この場合にはダンピングローラー6に水を供給する水槽9に関連づけられている。
【0023】
印刷システム1が印刷作業を実行すると、水は最初にダンピング源9からダンピングローラー6を介してシリンダーの方へ運ばれる。次に水はシリンダー2、3、4間に生じる非加圧面に存在する。第2に、インクは次にインクローラー5によってインク源8からシリンダー3、4、5の方へ運ばれる。次に印刷がゴム胴3に運ばれ、印刷を受ける素材(material)、例えば紙がゴム胴3と圧胴2との間に配置され、そこで印刷作業が行われ印刷がゴムシートから素材に運ばれる。本明細書に図示され記載されたシリンダーとローラーの機構は機構の一例に過ぎない。
【0024】
多かれ少なかれしばしば印刷シリンダーは洗浄されなければならない。これは、洗浄クロスとも呼ばれる洗浄布13、洗浄マシンまたはカセット10により行われる。洗浄プロセスが始まる前に、洗浄ロール12はパッケージまたはバッグ15から取り出され(
図4参照)洗浄カセット10に載置される。
【0025】
図2に示される洗浄ロール12は、洗浄プロセスで使用されるまであらかじめパックされ格納される。
図1および2に示すように、洗浄ロール12は、洗浄布13が包まれまたは巻き付けられる周囲にボビンまたはコア14を含む。コア14は非空洞または空洞であり得、任意の適切な素材、たとえば、プラスチック、紙または金属で形成可能である。それはまた異なる断面を持つこともでき、ここに記載される設計は円形の断面を有する。
【0026】
洗浄布13は、洗浄プロセスを開始する前に洗浄液に浸されるのに適した不織素材のような、液体または溶剤に吸収可能な素材から構成される。望ましくは、洗浄布13はパックされおよび格納されるかまたは運ばれる前に洗浄液に浸される、すなわち洗浄布13は洗浄プロセスで使用されるかなり前に浸すことができる。さらに、洗浄布13はコア14の周りに包まれるまたは巻き付けられる前または後に浸すことができる。
【0027】
洗浄液は、洗浄液を極性化するように構成される極性添加剤または極性化合物を含む。
類似の極性を有する液体は互いに溶解するので極性添加剤は水溶性である。極性添加剤を洗浄液に加えることにより、この液体には結果として所望の極性能力が提供される。
この所望の特徴はさらに以下に説明される。
【0028】
極性添加剤は、グリコール・エーテル、例えばブチル・エーテル、および/または長鎖アルコールを含む。長鎖アルコールは、望ましくは10と16炭素の間の炭素鎖を有するアルコールである。
【0029】
さらに、洗浄液は、50-90wt%と表すこともできる50-90m/m%の範囲の極性添加剤を含む。明瞭にするために、液体の合計量に対する極性添加剤の量は50-90%である。
【0030】
異なる能力を有する洗浄液の他の可能な化合物は洗浄力のための脂肪族炭化水素、洗浄力と蒸発を低減するための植物エステル、腐食を防止するための腐食防止剤、水を用いた乳化作用のための乳化剤であり得る。
【0031】
水は極性液体なので、極性液体を用いる利点は水溶性だからである。非極性液体は水溶性ではなく、水と接触すれば、その表面に集まり水面の上に層を形成するであろう。
【0032】
図1に示す印刷システムの洗浄プロセスの間、シリンダーは印刷プロセス中の方向に対して反対方向に回転される。したがって、今日既知の洗浄プロセスの場合である、洗浄プロセスの間に
図1のゴム胴3に非極性液体が印加される場合、非極性洗浄液体はゴム胴3からプレートシリンダー4に移動し、さらにダンピングローラー6上にそして水槽9へと移動する。水槽9内にあるとき、非極性洗浄液は水の表面にある種の被膜または層を形成するであろう。洗浄プロセスの後に印刷プロセスが再開されると、シリンダーとローラーは洗浄プロセスの期間中の方向に対して逆方向に回転し始めるであろう。
これは、水と接触するローラー(単数または複数)9’は最初のときだけ水を他のローラーとシリンダーに運ばないであろう。非極性洗浄液もそうである。
【0033】
印刷面上の非極性洗浄液の残留物は印刷された紙面に調色が生じる理由である。洗浄プロセスの後調色による廃棄量を低減するために、異なる種類の洗浄液が過去試されたが結果は芳しくなかった。しかしながら、この特許出願の発明者により行われたテストでは洗浄液が極性化されれば水槽9の水に溶解し、その結果低減された量の洗浄液がシリンダーに戻される状況を作ることを驚くほど示した。次に、このことが驚くことに調色による印刷された紙の量を低減する結果となった。極性洗浄液を作るためにグリコールまたは長鎖アルコールが記載された実施例では使用される。しかしながら、同様の所望の能力を有する洗浄液を提供するために使用されることができる他の適切な組成があり得、たとえば、グリコール・エーテルと長鎖アルコールの両方である。
【0034】
図2-4に示すように、洗浄ロール12は、使用する前にコア14と洗浄布13の周りを封止するように構成された除去可能で封止可能なバッグ15に介挿される。洗浄布13はしまわれるかまたは運ばれる前に洗浄液に浸されるので、洗浄布13は洗浄プロセスにおいて使用されるとき洗浄液の適正な量を含むことが望ましい。バッグ15は洗浄布13に染み込んだ洗浄液が、洗浄デバイス12の格納または転送の期間に蒸発することを防止するように設計される。
【0035】
洗浄ロール12は、バッグ15が洗浄プロセスが開始される前に損傷するまで真空パックされる。望ましくは、バッグ15はチューブ状であり、多層プラスチックフィルムにより構成される。このための適切なプラスチックフィルムは、流体バリアを提供するポリエチレン(PE)の第1層、強度を提供するポリアミド(PA)の第2の中間層および流体バリアを提供するポリエチレン(PE)の第3層に基づいた3層フィルムである、3層プラスチックフィルムは実用試験において望ましいことが証明された。封止フィルムの厚みは、
図4に示すようにロール12から除去することが容易であるように設計される。
【0036】
図5において、
図1の印刷システムに含まれる洗浄カセット10は独立してかつより詳細に示される。カセット10は横部材10cにより相互接続された2つの離間された部材10aおよび10bを含む。これらの部材10a-cは洗浄カセット10のフレームを形成する。
【0037】
さらに、カセット10は(
図5に太字で示す)洗浄布13のロール12のコア14をサポートするように構成される横シャフト11の形状の取り付け手段を含む。中空コア14はシャフト11の外側に設けられた(図示しない)マッチング係合手段に係合するように構成された(図示しない)内部係合手段を有する。それゆえ、それにサポートされたシャフト11とロール12は一緒に回転可能である。論証を簡単にするために、ロール/コアアセンブリ12/14は
図5に示していない。
【0038】
カセット10の自由横端部には洗浄されるシリンダーに対して洗浄布13を押圧するように構成されるフロントパッド17がある。その前面において、パッド17は、洗浄されるシリンダーに対して適切な圧力で押圧するように作用する、望ましくはゴムの弾性部材の横エレメント18を有する。延伸された弾性部材18が、固定されるパッド17の表面から多少突出している。
【0039】
カセット10はまた、シリンダーと洗浄接触した後使用された洗浄布13でその周りが包まれる横戻りローラーまたは収集ローラー16を含む。このように、洗浄プロセスの後、使用された洗浄布13は容易に収集することができ操作することができる。シャフト11と収集ローラー16は離間され並列である。洗浄布13の自由端は洗浄プロセスが開始される前にこのローラーに固定されるので、収集ローラー16はまた巻き取り装置とも呼ばれる。
【0040】
動作中、収集ローラー16とシャフト11は、望ましくは段階的に回転されるので洗浄布13の未使用部位洗浄される回転シリンダーに印加される。この洗浄布13の回転運動は
図1の矢印により図式的に示される。ここに記載された実施形態において、収集ローラー16は回転的に駆動されるので、洗浄布13は、反対方向(図示せず)回転を阻止する手段を有してもよい回転シャフト11によりサポートされるロール12から離れて回転される。
【0041】
図1の二重矢印によって示されるように、洗浄カセット10は2つの位置間で移動可能である。アイドル位置において、洗浄カセット10はシリンダーから距離を保ちかつシリンダーと接触しないように保持される。アクティブ位置(
図1参照)において、洗浄カセット10は洗浄される印刷シリンダー3と接触している。印刷システム1はアイドル位置とアクティブ位置との間で洗浄カセット10の往復運動を実行する手段(図示せず)を含む。ある実施形態(図示せず)において、洗浄カセット10は、印刷システムに含まれる種々のシリンダーを洗浄するために異なる方向にかつ異なる位置間に移動可能である。
【0042】
それゆえ、洗浄機器は、洗浄ロール12から、洗浄液にあらかじめ浸された、洗浄布13の少なくとも一部を剥がすステップと、および洗浄布13の少なくとも一部を洗浄されるシリンダー接触させるステップとを含む、洗浄ロール12を備えた印刷システム1の印刷シリンダーを洗浄する方法に従って動作される。
【0043】
ある態様と実施形態が以下に記載される。
印刷システムの印刷シリンダーを洗浄するための洗浄布は洗浄を開始する前に洗浄液に浸されるように構成される液体吸収可能な部材を備える。洗浄液は洗浄液を極性化するように極性添加剤を有する。極性洗浄液の利点は、印刷プロセス期間中重要な部分である、水と容易に混合することである。水と統合された洗浄プロセスからの残りの洗浄液は調色の問題を緩和し印刷の無駄を低減することにつながる。
【0044】
一実施形態において、洗浄液は50-90m/m%の範囲の極性添加剤を備える。
その範囲の極性添加剤を含む洗浄液はその結果について驚くべき好ましい効果を有することを試験は示した。他の実施形態において、極性添加剤はグリコール・エーテルおよび/または長鎖アルコールを備える。また、これら2つの代替手段はその結果について驚くべき好ましい効果を有することが判明したことを試験は示した。
【0045】
印刷システムの印刷シリンダーを洗浄するための洗浄デバイスは、洗浄を開始する前に洗浄液に浸されるように構成される液体吸収可能な材料を備える洗浄布を備える。洗浄液は洗浄液を極性化するように極性添加剤を備える。さらに、洗浄デバイスはその周りを洗浄布で包まれるコアを有する。記載した洗浄デバイスは上述したのと同じ利点を有するデバイスを提供する。
【0046】
洗浄布はコアの周りに包まれる前またはコアの周りに包まれた後で洗浄液に浸されてもよい。これは浸された洗浄布の洗浄結果を変えることなく既存のアセンブリプロセスを容易にする。
【0047】
さらに、洗浄布のロールは洗浄液が蒸発するの防ぐためにコアと洗浄布の周りを封止するように構成された除去可能で封止可能なバッグを備えてもよい。封止バッグを追加することにより洗浄デバイスは長時間しまっておくことができ、かつ洗浄プロセスの期間に同じ所望の洗浄結果を依然として提供することができる。
【0048】
デバイスの格納をさらに改善するために、洗浄デバイスは真空パックしてもよい。
【0049】
上述したように、洗浄デバイスを備えた印刷システムの印刷シリンダーを洗浄する方法も提供される。この方法は、洗浄液に浸された洗浄布の少なくとも一部を洗浄デバイスから剥がすステップと、および前記洗浄布の少なくとも一部を、洗浄されるシリンダーに接触させるステップを含む。
【0050】
最後に、特定の実施形態を参照して発明の概念を上述したけれども、ここに記載された特定の形態に制限されることを意図するものではない。この発明は、添付された特許請求の範囲によってのみ限定され、上述した実施形態以外の他の実施形態もこの添付された特許請求の範囲内で等しく可能である。