(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】バターを製造する方法
(51)【国際特許分類】
A23C 15/02 20060101AFI20220815BHJP
A01J 15/26 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
A23C15/02
A01J15/26
(21)【出願番号】P 2019545249
(86)(22)【出願日】2018-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2018052994
(87)【国際公開番号】W WO2018153660
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】102017103562.1
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518091934
【氏名又は名称】ジーイーエー メカニカル イクイップメント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラッパー, ジークフリート
(72)【発明者】
【氏名】ブロイティガム, カルステン
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102009039272(DE,A1)
【文献】西独国特許出願公開第02011158(DE,A)
【文献】中国特許出願公開第102894108(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0272029(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02319297(EP,A1)
【文献】特表昭56-501499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23C
A01J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バター製造機械でバターを製造する方法であって、バター製造機械は少なくとも1つの入口(1)と、回転可能なビーター(3)を備えた少なくとも1つのバター製造シリンダ(2)と、少なくとも1つのバター精製ドラム(5)と、少なくとも1つの第1の抽出プレス(6)と、該シリンダとドラムと抽出プレスの下流側に配置された混合セクション(7)を備え、該方法は、
バター製造シリンダ(2)にて、回転可能なビーター(3)が用いられてシリンダに供給されたクリームからバター粒子及びバターミルクを形成するステップ100と、
バター精製ドラム(5)にて、バター精製工程が実行されて、バターの粒子サイズが調整されるステップ300と、
1つまたは2つのスクリューコンベヤ(21)を含む中空の円筒体(20)を備え、該円筒体の速度は調整可能な速度駆動部(16)によって調整される第1の抽出プレス(6)にて、バター粒子が混練され、バターの基本的な水分含有量も減少するステップ400と、
第1の混合セクション(7)にて、リストリクタ(31)の1以上の出口開口部の断面が変更されるステップ500と、を備えた方法において、
ステップ400及びステップ500
の両方は、電子的に自己調整する方法で実行され、
ステップ400にて、バター粒子またはバターによって発揮される第1の抽出プレス(6)における圧力が決定され、電子制御の第1の基準変数として使用され、
ステップ400にて、抽出プレス(6)の充填レベルが決定され、電子制御の更なる第2の基準変数として使用され、
前記第1の抽出プレス(6)は、充填レベルセンサ(24)を備え、
該充填レベルセンサ(24)は、第1の抽出プレス(6)をバター粒子又はバターで完全に充填することに等しい抽出プレス(6)の充填レベルを感知することができるように、第1の抽出プレス(6)上の位置が選択される、方法。
【請求項2】
ステップ400にて、抽出プレス(6)のスクリューコンベヤ(21)の速度は、電子制御の第1の制御変数として使用される、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ500にて、バターは、1つまたは複数の可変サイズの開口部を備えたリストリクタ(31)を介して混合セクション(7)から排出され、ステップ400にてリストリクタ(31)の開口部断面又は開口部の開口は、電子制御の第2の制御変数として使用される、請求項1
又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1の抽出プレス(6)は、第1の抽出プレス(6)の中空円筒体(20)内に配置され、中空円筒体(20)の出口(19)の直前に位置する圧力センサ(25)を含む、請求項1乃至
3の何れかに記載の方法。
【請求項5】
第1の抽出プレス(6)の出口側端部における圧力の設定値は、10バール(10.197kgf/cm
2)の最大値、8バール(8.157kgf/cm
2)の最小値、好ましくは9バール(9.177kgf/cm
2)である、請求項1乃至
4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
基準変数又は基準変数の設定値は、処理中及び/又は処理の始動中に自己学習によって決定される、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ500に続くステップ600にて、バターは真空チャンバ(8)内でステップ500から抽出された空気を有して、バターの保持品質を改善する、請求項1乃至
6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
ステップ600に続くステップ700にて、バターは更に第2の抽出プレス(9)内に供給されて、更に水分を抽出して水分量を最適化する、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ700に続くステップ800にて、第2の混合セクション(10)で混合することにより、バター中の水分含量の均一な分布とバターの水分含量の最適化が達成される、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
ステップ600とステップ700の一方又は両方は、電子的に調整される、請求項
8又は9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ100にて、クリームの少なくとも1つの特性値が測定または事前に決定されており、ビーターの瞬間駆動出力の実際の値が記録されており、ビーターの駆動出力の設定値は特性値の関数として決定され、ビーターの速度は駆動出力の設定値が達成されるまで調整される、請求項1乃至
10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
ステップ100にて、クリーム温度及び/又はクリーム脂肪含有量が特性値として使用される、請求項1乃至
11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
バター製造ドラム(5)におけるバター製造工程の更なる視覚的なチェックが、表示ウィンドウ(14)を介して実行される、請求項1乃至
12の何れかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に従ったバターを製造する方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
工業用バター製造プロセスの分野では、フリッツ博士が仕様を定め、1941年に遡る機械による連続バター製造が広く受け入れられている。この機械と対応する方法は、脂肪損失が低く、バターの良好で一貫した品質を確保するのに役立った。
【0003】
フリッツ/アインゼルらの方法により、ホイップクリームの形成、その後のバター粒の形成、バターミルクの分離及びバターの混練に含まれる操作ステップを、1つの連続プロセスで部分的に自動化することができた。この方法では、バター粒形成のプロセスは、バター製造ドラムと、電動スクリュードライブを備えた抽出プレスによるバターマスの混練と抽出によって達成される。
【0004】
長い間、バターの製造はスターター材料としてのクリームと該クリームの加工によって主に決定される多くの要因に依存しているため、自動化プロセスの改良は限られた程度でのみ可能であった。例えば、脂肪含有量及びクリームの以前の熟成であるクリームの初期特性、クリーム温度などのプロセスパラメータに加えて、飼料容量とビーター速度は、バター製造プロセスの重要な特性変数である。
【0005】
クリームのこれらの絶えず変化する特性のために、これまでは処理は依然としてしばしば手動で監視されており、必要に応じてプロセスパラメータを変更することで調整される。ここでは、調整を行うために、経験値と直感的な感触とともに、特性を常に視覚的にチェックする必要がある。
【0006】
既知の手動技術の手順は、フィードバック制御回路の構造に対応している。プロセスの結果(この場合はバターの品質)が評価され、プロセス変数は望ましい状態からの逸脱に応じて増減する。これは複雑であり、プロセス変数の変化から機械の出口での品質の変化までの反応時間は数分であるため、プロセスパラメータの手動調整は非常にゆっくりと慎重に行われる。従って、バター製造プロセスでは、応答時間が大幅に遅れる。プロセスの応答時間の遅れにより、生産されるバターの基本的な水分量は、特定の―望ましくない―変動の影響を受ける。
【0007】
プロセスのいわゆる応答時間遅延を緩和しながら、バター製造プロセスを自己調整するための努力が適切な手段を通じて既になされている。ただし、これらの対策は部分的にしか成功していない。
【0008】
例えばドイツ公開公報102011117195号は、自動化されたバター製造プロセスを改善する方法を記載している。ここでは、特に、バター製造シリンダ内のビーター速度を電子的に自己調整することにより、所望のバター品質への近似が達成される。位相反転のための最適ビーター速度は、例えば、供給能力、温度、クリームの脂肪含有量またはクリームの熟度が変化するときに、電子的手段によって自動的または自律的に調整される。この方法自体は成功していることが証明されているが、バター製造プロセスの一部のみを自動化するのに役立つ。
この背景に対して、本発明の目的は、バター生産の自動化におけるさらなる改善を達成することである。
本発明はこの目的を請求項1の特徴で達成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
バターを製造する方法、またはバター製造機械でバターを製造する方法が生成され、バター製造機械は少なくとも1つの入口と、回転可能なビーターを備えた少なくとも1つのバター製造シリンダと、少なくとも1つのバター精製ドラムと、少なくとも1つの第1の抽出プレスと、該シリンダとドラムと抽出プレスの下流側に配置された混合セクションを備え、該方法は以下のステップを含む。
バター製造シリンダにて、回転可能なビーターが用いられてシリンダに供給されたクリームからバター粒子及びバターミルクを形成するステップ100と、
バター精製ドラムにて、バター精製工程が実行されて、バターの粒子サイズが調整されるステップ300と、
1つの回転可能または2つの反転スクリューコンベヤを含む中空の、特に単一または二重中空の円筒体を備え、該円筒体の速度または一般的な速度は調整可能な速度駆動部によって調整される第1の抽出プレスにて、バター粒子が混練され、好ましくは均質な「油中水型エマルジョン」、即ちバターに変換され、バターの基本的な水分含有量も減少するステップ400と、
第1の混合セクションにて、リストリクタの出口開口部のサイズまたは開口幅が変更されるステップ500とを備え、
ステップ400及びステップ500の一方又は両方は、電子的に自己調整する方法で実行される。
【0010】
この目的から、ステップ400にて、バター粒子またはバター粒子から形成されるバターによって発揮される第1の抽出プレスにおける圧力が決定され、電子制御の第1の基準変数として使用されるならば有利である。
ステップ400にて、抽出プレスの充填レベルが決定され、電子制御の別の第2の基準変数として使用されるなら有利である。
次に、ステップ400にて、抽出プレスのスクリューコンベヤの速度は、電子制御の第1の制御変数として容易に使用できれば有利である。
【0011】
更に、ステップ500にて、バターは、1つまたは複数の可変サイズの開口部を備えたリストリクタを介して混合セクションから排出され、リストリクタの開口部の開口はステップ400で電子制御の第2の制御変数として使用される。
【0012】
抽出プレス工程は、第1の抽出プレスのスクリュの速度と、関連する混合セクションのリストリクタの開口部によって調整される。ドイツ公開公報102011117195号に従った方法において、機械のオペレータによる設定の手動調整によって、両方の調整が実行され、本発明は特に、従来の技術では考慮されていなかったこれらを、電子的手段により自動的に調整する点で有利である、何故なら電子制御に適切な基準変数を選択し、これらを適切に測定及び決定することができなかったからである。本発明はこの問題を解決する。
【0013】
1つ以上の抽出プレスの主たる目的は、抽出プレスプロセスを通じて基本水分量の同時減少を伴う背圧を回避するために、流量の関数として変化する最小スクリュー速度でバターを輸送することである。第1の抽出プレスが完全に充填されている場合にのみ、抽出プレスプロセスで十分に低い基本水分量を達成することができる。ここで最適に充填された抽出プレスでは、抽出プレスを常に観察し、必要に応じて抽出プレスのスクリューコンベヤの速度に手動で介入する必要がある。
本発明は有利なことに、この工程を自動化し、また同様に混合工程を自動化する。
【0014】
この点において、電子制御は、有利には、充填レベルと抽出プレス内の圧力の電子的決定を含む。スクリュー速度と流量の比率を最適化し、リストリクタの開口部を微調整することにより、システムを迅速に調整し、安定した製品パラメータで実行することができる。混練と混合の第2の主な機能は、第2の抽出プレス(混錬器)で常に完了し、同様に自動化することができる。
【0015】
上記の自己学習型制御はまた、第1の抽出プレスで圧力と充填レベルを直接測定するため、制御回路での応答時間の遅延は殆ど無いとの利点がある。
本発明の更なる有利な実施形態は、従属請求項から推論される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の例示的な実施形態が、添付の図面を参照して説明され、図面は問題への解決策を示すのに生成される。
【
図1】フリッツ/アインゼル方法に従って大凡作動するバター製造機械を示す図である。
【
図2】
図1のバター製造機械の第1の抽出プレスを示す図である。
【
図3】本発明に従った方法の1つの例示的な実施形態の簡略化されたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、バターの製造用に提供されているバター製造機械を示し、バター製造機械は、バター製造の主要製品としてのクリーム用の入口1と、この下流にバター製造シリンダ2を備え、該バター製造シリンダ2は、供給されたクリームからバター粒子とバターミルクを形成するための回転駆動ビーター3を備えている。回転駆動ビーター3はビーター駆動部12によって駆動される。
ステップ100におけるバター製造シリンダ2にて、バター粒子とバターミルクは供給されるクリームから形成される。
【0018】
次に、バター製造シリンダ2から出てきたバター粒子は、冷却セクション4に移送または供給され得る。冷却セクション4にて、バター粒子はより硬い一貫性を持ち、処理しやすくなる。
ステップ200における冷却セクションにて、バター粒子は故に冷却される。
この方法で冷却されたバター粒子は、冷却セクション4からバター精製ドラム5内に供給される。ステップ300におけるバター精製ドラム5にて、バター精製工程が実行される。このバター精製工程にて、バター粒子のサイズが調整される。バター精製ドラム5は駆動部13によって駆動される。
【0019】
この方法で調整されたバター粒子は、バター精製ドラム5から第1の抽出プレス6の入口18に供給される。第1の抽出プレス6は、ステップ400で、バター粒子を混練し、バター粒子から水を押し出す。ステップ400にて、バター粒子を均一な「油中水型エマルジョン」、つまりバターに変換すると同時に、バターミルクの残留物のこのバターを除去して、基本的な水分量を減らすことが好ましい。第1の抽出プレス6は駆動部16により駆動される。この点で、1台の抽出プレス6及びその他の抽出プレス9の本質的な目的は、流量の関数として変化する最小スクリュー速度でバターをさらに輸送し、背圧を回避すると同時に、抽出プレス工程を通じて基本水分量を減らす。第1の抽出プレスが完全に充填されている場合にのみ、抽出プレス工程で十分に低い基本水分量が達成され得る。これを行うために、先行技術によれば、第1の抽出プレス6の速度、従ってkg/分でのその送出速度及びこれにより蓄積される圧力は、機械のオペレータによって手動で設定される。
【0020】
第1の抽出プレス6から、その出口19で少なくとも1つの第1の混合セクション7が続く。ステップ500における第1の混合セクション7にて、水、酸濃縮物、及び/又は塩水(brine)をステップ400から生じる「油中水型エマルジョン」又はバターに加え、これらの材料をバターと混合することにより、バターの味と整合性を改善する。
次に、ステップ600にて、ステップ500から得られたバターは真空チャンバ8内でステップ500から抽出された空気を有して、バターの保持品質を改善する。
【0021】
次に、ステップ600から出てくるバターは、第2の抽出プレス9の入口に供給されて、ステップ700でより多くの水を抽出し、このようにして含水量をさらに最適化する。同様に、第2の抽出プレス9の出口には、少なくとも1つの混合セクション(ここでは第2の混合セクション10と呼ぶ)が接続されている。ステップ800にて混合工程を通して、これにより、バター内の水分量が均一に分散され、水分量が最適化される。第2の抽出プレス9は駆動部17にて駆動される。
排出ポンプ11は、ステップ800で生成されたバターを第2の混合セクション10から排出し、それによってバター製造機械から排出するように機能する。
バター精製工程の視覚的なチェックは、表示ウィンドウ14を介してさらに行われる。
【0022】
検知された値を処理し、バター製造工程のフィードバックと制御、特に以下に説明する電子制御のために、バター製造機械は、フィードバック及び制御ユニット15(ここには示されていない)を備え、該制御ユニットはコンピュータの形態を取り、少なくとも測定装置及び/又はセンサ装置及び駆動部などに接続されるのが好ましい。
【0023】
図2は、
図1のバター製造機械の第1の抽出プレス6及び第1の混合セクション7の全断面を示しており、その構成及び動作を以下により詳細に説明する。第2の抽出プレス9と第2の混合セクション10は、構成及び動作にて同じである。
好ましい実施形態におけるここでの第1の抽出プレス6は、二重中空円筒体20を備える。この二重中空円筒体20は、入口シャフトの形態をとる入口18を含む。入口18を通して、第1の抽出プレス6は、実質的に連続的に、冷却セクション4又はバター精製ドラム5からの冷却バター粒子で満たされる。
【0024】
駆動部16(ここでは図示せず、
図1を参照)によって回転運動に設定され、バター粒子またはバターを出口19に向けて搬送する2つの逆回転スクリューコンベヤ21は、第1の抽出プレスの二重中空円筒体20に配置される。駆動部16には速度調整装置が装備されている。
以下の文脈の記載を簡略化すべく、1つだけの二重中空円筒体20及び1つのスクリューコンベヤ21が記載される。これは、本体22、ミキサーシャフト23、撹拌翼29及び多孔板30にも同様に適用される。以下の説明は、単一の中空円筒体と単一のねじを有する実施形態にも等しく当てはまり、第1の抽出プレスの二重中空円筒体20を有し、その中に2つの逆回転スクリューコンベヤ21を有する上記の好ましい実施形態にも等しく当てはまる。
【0025】
ステップ700において、中空円筒体20内のスクリューコンベヤ21の回転運動は、第1の抽出プレス6内のバター粒子を混練し、好ましくはそれを均質な「油中水型エマルジョン」に変換する。同時に、基本水分量が減少する。
【0026】
第1の抽出プレス6の中空円筒体20から、第1の混合セクション7が続く。ここでは、円筒体20の出口19にフランジで取り付けられている。ここで、第1の混合セクション7は、同様に中空円筒体22を含む。第1の混合セクション7の中空円筒体22は、軸方向に間隔を空けた複数の多孔板30を含む。また、中空円筒体22には、ミキサーシャフト23が収容されている。ミキサーシャフト23は、複数の撹拌翼29を備えている。回転撹拌翼29と固定多孔板30との相互作用により、バターと水、酸濃縮物及び/又は塩水などの計量された添加物質との均質な混合が有利に達成される。あらゆる背圧も回避される。目的は、むしろバターの継続的な搬送である。
【0027】
ミキサーシャフト23はここでは、スクリューコンベヤ21の延長部として構成されており、この場合、スクリューコンベヤ21とミキサーシャフト23も、一体の連続したシャフトの形をとり、抽出プレスセクションではスクリューコンベヤ21を有し、ミキサーセクションではミキサーシャフト23を有する。ミキサーシャフト23のベアリング34とスクリューコンベヤ21も示されている。
これにより、ミキサーシャフト23は、同様に、速度が可変の駆動部16(ここでは図示せず、
図1を参照)によって回転運動に設定される。従って、ここでは、スクリューコンベヤ21と同じ速度で回転する。これは有利であるが、絶対に不可欠ではない。
【0028】
第1の抽出プレス6は更に、充填レベルセンサ24を備える。抽出プレス6上の充填レベルセンサ24の位置は有利に選択されて、充填レベルセンサ24は、第1の抽出プレス6をバター粒子で完全にまたは任意の速度で実質的に完全に充填することに等しい抽出プレス6の充填レベルを感知することができる。この目標である充填レベルは、この方法に特に有利な抽出プレス6の最大圧力を達成できることも意味する。
【0029】
この目的から、充填レベルセンサ24は、好ましくは、バター粒子用の抽出プレス6の入口(シャフト)18と、搬送方向Fにおける入口シャフト18の後の第1のスクリューチャネルとの間の移行領域に配置されることが好ましい。これにより、第1の抽出プレス6の完全な充填に対応する第1の抽出プレス6の充填レベルの検知が可能になる。
好ましい変形例に従って、充填レベルセンサ24は、入口18の反対側に位置する第1の抽出プレス6の中空円筒体20の側に、入口18の仮想中心線に平行に配置され得る。第1の抽出プレス6のスクリューコンベヤ21が延びる方向に沿って、充填レベルセンサ24は、抽出プレス6の出口19に対向した入口18の最も遠い壁から寸法Xだけ離されている。寸法Xは、好ましくは、入口18の内部幅Wの0~30%、より好ましくは5~10%である。
【0030】
同時に、抽出プレス6の最大充填レベルは、抽出プレス6内の最大圧力も意味する。これは、目標とする望ましい状態である。
第1の抽出プレス6は、抽出プレス6内の圧力を感知する圧力センサ25を備える。ここで、圧力センサ25は、中空円筒体20の出口19の直前で、第1の抽出プレス6の中空円筒体20上に配置される。圧力センサ25は、搬送方向に形成されたスクリューコンベヤ21の端部(またはその最後のスクリューチャネルの後)と混合セクション7との間に有利に配置され得る。
【0031】
その出口側の端部で、第1の混合セクション7は、例えば、開口部33を有する弾幕32からなるリストリクタ31を備え、開口部33は、(ここでは)内部リストリクタプレート26によって完全にまたは部分的に閉じることができる。リストリクタプレート26は1以上の開口27を有し、例えば制御モータ28のような調整器によって変位され、弾幕32の開口部33の残りの開口部断面は調整可能である。それによって、リストリクタプレート26は一種のダイアフラムゲートバルブを形成する。或いはまた、複数の駆動スリットまたはアイリスダイアフラムを提供することも可能であり、これらのダイアフラムの開口断面は、制御モータによって調整される。
【0032】
バター製造機械を始動するとき、第1の混合セクション7の端部のリストリクタ31は、最初に、抽出プレスの充填のために閉じたままである。ここで、バターは入口18を介して第1の抽出プレス6に入り、そこでスクリューコンベヤ21によって混合セクション7に押し込まれる。混合セクション7がバターで満たされた後、第1の抽出プレス6は、バターが充填レベルセンサ24に達するまで充填される。このようにして、第1の抽出プレス6の最大充填レベルが検出され、自己学習型の圧力フィードバック制御が開始される。「自己学習型」という用語は、フィードバック制御自体が、プロセスの起動時にフィードバック制御の基準変数の設定値を決定できることを意味する。自己学習型フィードバック制御は、最初に、流量の関数として、第1の抽出プレス6のスクリューコンベヤ21の速度を調整する。
【0033】
第1の抽出プレス6内の圧力の微調整は、リストリクタ31の開口部のフィードバック制御により行われる。「最大充填レベルでの最大圧力」の原理では、流量の関数として抽出プレス6の駆動部16の最適な動作点を事前に決定することができる。従って、自己学習型フィードバック制御は、まず、抽出プレス6の充填レベルを常に最適レベルに維持すると同時に、圧力センサ25の位置で定義された圧力設定値を維持する機能を備えている。
第1の抽出プレス6が完全に充填され、リストリクタ31が閉じられると、この状態における第1の抽出プレス6内の圧力が圧力センサ25によって記録される。
【0034】
後続のフィードバック制御用に選択された設定値は、最大圧力よりもやや小さく(例えば、マイナス5-20%、好ましくはマイナス10%)、自動電子フィードバック制御の第1の基準変数の基礎として使用されるのが好ましい。
スクリューコンベヤ21の速度は、少なくとも1つの充填レベルセンサ24がちょうどカバーされるように有利に調整され得る。検知された充填レベルは、自動化された電子フィードバック制御のさらなる基準変数であることが好ましい。
【0035】
これと並行して、リストリクタ31の開口部は、圧力センサ25への圧力が第1の抽出プレス6内の可能な最大圧力よりも幾分低くなるように調整され、上記の如く、自動的に又は自己学習型プロセスと並行して基準変数として決定される。
試験では、リストリクタ31を閉じた状態の第1の抽出プレス6の最大充填レベルでの最大到達圧力の典型的な値は10バール(bar)(10.197kgf/cm2)と決定された。リストリクタ31が完全に開いた状態では、圧力は8バール(bar)(8.157kgf/cm2)に低下した。
設置された充填レベルセンサ24は、同時に、入口18及びバター精製ドラム5のオーバーフロー安全装置として機能する。これにより、第1の抽出プレス6が過剰に充填されて詰まった場合に起こりうる損傷を防ぎ、機械の処理信頼性を向上させる。
【0036】
最大充填レベルを微調整するための自己学習型の圧力制御は、インピーダンス分光法、超音波、放射測定などの動作原理に基づいて機能するセンサを装備している。しかし、それらはまた別の動作原理にも基づき得る。
第2の抽出プレス9のスクリューコンベヤの速度は、第1の抽出プレス6のスクリューコンベヤ21の速度を制御変数として使用して同期され調整されてもよい。
第2の抽出プレス9の過剰な充填を防ぐべく、第2の抽出プレス9のスクリューコンベヤの速度は、第1の抽出プレス6のスクリューコンベヤ21の速度より少し速く設定されてもよい。
【0037】
第2の抽出プレス9は、このような方法で自動的に電子的に調整することもできる。このフィードバック制御は、第1の抽出プレス6のフィードバック制御の機能として、第1の抽出プレス6のフィードバック制御またはステップ400及び500と同じ方法で動作し得る。しかし、第1の抽出プレス6のスクリューコンベヤ21の速度よりも常にある程度(例えば1-10%)速い速度を、第2の抽出プレス9のスクリューコンベヤに単に設定することも可能である。
ドイツ公開公報102011117195号の技術的な開示に従って、自動的な抽出プレス及びリストリクタプレート制御は、自動バター製造プロセスを最適化する方法の有益な補足としても有利に使用し得る。これは、全ての実用的な目的のために、バター製造プロセスを非常に大きく完全に自動化できることを意味する。
【0038】
次に、ステップ100にて、クリームの少なくとも1つの特性値が測定または事前に決定され、ビーターの瞬時駆動出力の実際の値が記録され、ビーターの駆動出力の設定値は、特性値の関数として決定され、ビーターの速度は、駆動出力のこの設定値が達成されるまで調整される。
ステップ100において、クリーム温度及び/又はクリーム脂肪含有量が特性値として使用されれば有利である。
自動的なバター沈殿プロセス(ステップ100及び400/500)の2つの最も重要な影響要因を自動化することにより、バター製造機械を完全に自動的に操作できるという利点がある。
さらに、抽出プレスとリストリクタプレートの制御により、最適な安定性と低い基本水分量が得られ、その結果、バター製造プロセス及びそれによりバター製造機械を有利に確実に運転することができ、水分投与の上限の設定値からの偏差が殆どなく、最適なバター出力量を達成することができる。
【符号の説明】
【0039】
入口 1
バター製造シリンダ 2
ビーター 3
冷却セクション 4
バター精製ドラム 5
抽出プレス 6
混合セクション 7
真空チャンバ 8
抽出プレス 9
混合セクション 10
排出ポンプ 11
ビーター駆動部 12
駆動部 13
表示ウィンドウ 14
測定及び制御ユニット 15
駆動部 16
駆動部 17
入口 18
出口 19
円筒体 20
スクリューコンベヤ 21
本体 22
ミキサーシャフト 23
充填レベルセンサ 24
圧力センサ 25
リストリクタプレート 26
開口部 27
制御モータ 28
撹拌翼 29
多孔板 30
リストリクタ 31
弾幕 32
開口部 33
ベアリング 34
ステップ 100、200、300、400、500、600、700、800
寸法 X
幅 W
搬送方向 F