(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】ガラス物品成形機用のゴブ分配器
(51)【国際特許分類】
C03B 7/08 20060101AFI20220815BHJP
C03B 7/094 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
C03B7/08
C03B7/094
(21)【出願番号】P 2019552593
(86)(22)【出願日】2017-08-02
(86)【国際出願番号】 MX2017000087
(87)【国際公開番号】W WO2018174702
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】P20170100725
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518209687
【氏名又は名称】ビトロ、エセ.ア.ベ. デ セ.ウベ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティヘリナ ラモス、ビクター
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-018132(JP,U)
【文献】特開昭63-166728(JP,A)
【文献】特公昭49-034173(JP,B1)
【文献】米国特許第04357157(US,A)
【文献】米国特許第05637128(US,A)
【文献】特開2016-079092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0107915(US,A1)
【文献】特開平10-061734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 7/00
C03B 9/00
C03B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス物品成形機用のゴブ分配器であって、
ハウジングと、
前記ハウジングの上方に配置された少なくとも1つの弓形状又は直線状のスクープであって、各前記スクープは、供給器の少なくとも1つの開口と常に整列された上端を有し、前記スクープは、その下端が前記成形機の直線状又は湾曲した固定チャネルの上端と所定の順序で一致するように、半径方向に動き、ゴブを物品成形金型のそれぞれに向けて案内する、スクープと、
各前記スクープによって接続された独立した支持構造体と、
前記ハウジング内に垂直に配置され、自身の軸を中心として回転する少なくとも1つの第1のシャフトであって、各前記第1のシャフトの1つの上端は、前記ハウジングの外側に延在して、各前記独立した支持構造体を接続し、各前記第1のシャフトは、動作伝達のための第1のギヤ部を含む、少なくとも1つの第1のシャフトと、
前記ハウジング内で水平または垂直に配置され、自身の軸を中心として回転する少なくとも1つの第2のシャフトであって、各前記第2のシャフトの一端は、前記ハウジングの外側に延在し、各前記第2のシャフトは、動作伝達のための第2のギヤ部を含み、各前記第1のシャフトの各前記第1のギヤ部と、各前記第2のシャフトの各前記第2のギヤ部は、互いに連結して連結ギヤを形成する、少なくとも1つの第2のシャフトと、
前記ハウジングの外側の各前記第2のシャフトの各端部で連結された駆動手段であって、前記駆動手段は、左または右への回転動作により各前記第1のシャフトに動作を伝達し、同時に、前記スクープ及び前記成形機のプログラムされた順序で、正確かつ精密な位置に、前記独立した支持構造体及び前記スクープを、左又は右へ半径方向に動かしつつ選択的送達位置にまで動かす、駆動手段と
を備え、
前記ハウジング内に垂直に配置された少なくとも2つの前記第1のシャフトは、前記ハウジングの中央部分に沿って整列され、一方が他方の後位置に等距離に配置され、水平な姿勢の少なくとも2つの前記第2のシャフトは、前記ハウジング内で互いに離れて平行な姿勢に配置される、ガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項2】
水平な姿勢の前記第2のシャフトは、前記ハウジング内で一方が他方の上にある前記平行な姿勢に配置され、これらの前記第2のシャフトは、前記第1のシャフトの両側に配置され、各前記第1のシャフト及び各前記第2のシャフトは、互いに垂直に対になって連結され、各前記スクープを独立的に動かす、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項3】
前記第1のシャフトの動作伝達のための前記第1のギヤ部と前記第2のシャフトの動作伝達のための前記第2のギヤ部とが結合して、二重エンベロープトランスミッションを形成している、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項4】
前記駆動手段がサーボモータである、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項5】
前記第1のシャフトの動作を伝達するための前記第1のギヤ部は、扇形のギヤ部である、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項6】
前記第2のシャフトの動作を伝達するための前記第2のギヤ部は、エンベロープウォームである、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項7】
2つの前記独立した支持構造体が、前記スクープを保持するために、互いに対して180度の反対方向に配置され、一方が他方の下にある階段状の形態をとる、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項8】
少なくとも2つの前記独立した支持構造体が「C」字形状である、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項9】
前記独立した支持構造体の少なくとも1つが、垂直な姿勢にある前記第1のシャフトの上端に接続された支持基部と、第1のスクープの下側中間部分に結合されるように前記第1のスクープに向かって上前方に突出したアームとを備える、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項10】
前記独立した支持構造体の少なくとも1つが、垂直な姿勢に配置された前記第1のシャフトの上端に接続された支持基部と、前記ハウジングの中央部分から前記ハウジングの前記中央部分の外側に水平に突出する前記支持基部に接続される第1のアームと、前記ハウジングの前記中央部分の外側に配置された前記第1のアームの端部に接続された第2のアームであって、上方に垂直に突出し、第1のスクープの中央部分よりも高い位置に達するまで前方に傾斜している第2のアームと、前記第2のアームの上端に接続された第3のアームであって、第2のスクープの底部に結合するように前記ハウジングの前記中央部分の内側に水平に突出している第3のアームとを含む、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項11】
前記独立した支持構造体の少なくとも1つが、垂直な姿勢に配置された前記第1のシャフトの上端に接続された支持基部と、前記ハウジングの中央部分から前記ハウジングの前記中央部分の外側に水平に突出する前記支持基部に接続される第1のアームと、前記第1のアームの外側端に接続された第2のアームであって、上方に垂直に突出し、第2のスクープの中央部分よりも高い位置に達するまで前方に傾斜している第2のアームと、前記第2のアームの上端に接続された第3のアームであって、第3のスクープの底部に結合するように前記ハウジングの前記中央部分の内側に水平に突出している第3のアームとを含む、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項12】
各前記第1のシャフトの上端が、前記ハウジングの頂部に配置された軸方向針状ころ軸受を含む、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項13】
各前記第1のシャフトの下端が、前記ハウジングの底部に配置された軸方向針状ころ軸受を含む、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項14】
前記ハウジングが冷却フィンを含み、前記冷却フィンは、前記ハウジングに沿って形成されており、熱伝達を増大させて前記ハウジングを冷却する、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項15】
前記ハウジング内に水平または垂直に配置され、自身の軸を中心として回転する少なくとも1つの前記第2のシャフトが、動作伝達のために前記第2のシャフト上に等距離に配置された2つの第2のギヤ部を含む、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項16】
前記ハウジング内に水平または垂直に配置され、自身の軸を中心として回転する少なくとも1つの前記第2のシャフトが、前記第2のシャフト上に等距離に配置された3つの第2のギヤ部を含む、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項17】
水平な姿勢にある2つの前記第2のシャフトは、前記平行な姿勢で前記ハウジング内に配置され、一方は前記第1のシャフトの上部の第1の側部側に配置され、他方は前記第1のシャフトの下部の第2の側部側に配置され、各前記第2のシャフトは、動作を伝達するための少なくとも2つの第2のギヤ部を含む、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項18】
前記少なくとも2つの第2のギヤ部が、交互に配置された前記少なくとも2つの第1のシャフトの各前記第1のギヤ部と連結される、請求項17に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【請求項19】
前記ゴブ分配器が、
前記
成形機の支持構造体の頂部に配置された可動プラットフォームと、
前
記支持構造体に固定され、前記可動プラットフォームに結合されたピボット要素と、
前記可動プラットフォームと前
記支持構造体との間に接続され、前記可動プラットフォームを外側または内側に横方向に動かすシリンダ-ピストン機構と
をさらに含む、請求項1に記載のガラス物品成形機用のゴブ分配器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれのガラス物品成形ステーションに向かう分配シュートの異なる動きを効果的かつ効率的に調整する、ガラス物品成形機用のゴブ分配器に関する。本発明のゴブ分配器は、小型化されており、他の公知のゴブ分配器よりも容易に組み立てられる。
【背景技術】
【0002】
ガラス器具または他の器具の製造において、ガラス器具の製造のために、溶融ガラスの塊または部分を投与または送達することが必要である。
【0003】
ガラスのこれらの部分は、ガラスの連続流を提供するガラス溶融源から得られる。ガラス連続流は、適切な切断機構によって、「ゴブ」と呼ばれる部分に連続的に切断され、ゴブ分配器によって、ガラス物品成形ステーションの1つ以上の空洞内に配置される。ガラス物品成形ステーションは、複数個(一般的には6、8、10、または12)で機械を構成しており、故障時や任意のセクションの保守時、またはガラス材料の不足時等に、分配を再プログラムすることができるという利点がある。
【0004】
従来技術の公知のゴブ分配器は、通常、1つ以上の可動シュートを含み、各可動シュートは、軸シャフトで支持されている。これらのシュートは、適切なギヤベースの機構を通って動くように配置され、これらの機構は、機械の所定のガラスゴブ送出セクションにおいて、シュートを1つのガラス物品成形ステーションと次のガラス物品成形ステーションとの間で一緒に動かす移動カムによって制御される。
【0005】
従来技術の分配器の例として、1971年8月3日にUrban P.Trudeauに付与され、Owens Illinois Co.に譲渡された米国特許第3,597,187号に示されたものを挙げることができる。この分配器は、垂直シャフトによって支持された一対の湾曲したデフレクタスクープからなり、該垂直シャフトは、適切なギヤを介してクラウンによって半径方向に動かされ、該クラウンは、カムフォロワを含む横方向ピストンロッドによって所定の回転角度で連続的に動かされる、垂直軸上に支持される。このステムは、制御カムによって支持され、制御カムは、そのプロファイルに従って、湾曲したデフレクタスクープを1つの成形ステーションと次の成形ステーションとの間で半径方向に移動させ、機械の各成形ステーションの型に向かってゴブを案内する一連の固定チャネルを通してゴブを送達する。制御カムは、クラウンと、シャフトに連結されたねじとによって同時に回転される。シャフトは、カムを一定速度で回転させる同期モータによって回転され、動作制御、例えば、成形機の各ステーション上のいくつかの動作を制御するタイミングドラムと同期される。
【0006】
別のタイプのゴブ分配器は、1976年4月6日にWasyl Bystrianykらに付与され、Emhart Corporationに譲渡された米国特許第Re28759号に示されている。この特許はまた、一対の湾曲したスクープを含む溶融ガラスゴブの分配器を記載し、各スクープはスプロケット及びラックに連結され、それらがガラス物品成形機のいくつかのステーションに対して1つの位置と別の位置との間で角度的に同調して動くことを可能にする。ラックはまた、シャフトに連結され、シャフトは、その自由端にカムフォロワを備え、カムフォロワは、適切なカム(この特定の場合、カムは水平である)上に載置される別のカムフォロワによっても動かされる。カムは、成形機のいくつかの成形セクションの動作制御と同期してカムを回転させる同期モータに接続された伝達手段によって駆動される。
【0007】
従来技術で知られているゴブ分配器は、1982年11月2日にルイス・カーデナス・フランコ他に付与され、Investigacion・フィデイコミソに譲渡された米国特許第4,357,157号に示されているように、ガラスゴブ分配器の可動チャネルの動きを制御するための駆動カムの使用をすでに排除し、その代わりに、電子モータまたはステッピングモータ、ならびに電子制御装置を使用している。この場合、分配器は、一方が他方の後方に配置された一対の湾曲した分配スクープを含み、前方スクープは、シャフト上に載置されたリング支持体を備え、一方、後方スクープは、所定の角度での回転動作を達成するために、前記リングを通過し、第2のシャフト上に載置される。分配スクープシャフトは、共通の支持体を通過し、適切なカップリングによってステッピングモータに連結され、ステッピングモータは、各モータに供給されるステップ数によって完全に測定される動作を提供することによって、完全に独立して動作する。この場合、ステッピングモータは、成形機の各セクションに対するスクープの送出動作を同期させる電子制御システムによって作動される。
【0008】
プログラム可能な手段を使用するタイプの別のゴブ分配器は、Robert J.Douglasらに付与され、Emhart Industriesに譲渡された米国特許第4,687,502号に記載されている。この分配器は、そのような会社に譲渡された米国特許Re 28,759に記載された分配システムに対する修正を含む。この発明によれば、前記ゴブ分配器の主な特徴は、直流可逆モータであるサーボモータを使用してラックを位置決めし、湾曲ゴブ送出スクープの角度動作を制御することを含む。サーボモータは、サーボ位置制御機構によって制御され、サーボ位置制御機構は、手動で調整することができるコンピュータを介して動作プロファイルによっても制御される。このゴブ分配器は、2つのセクション、すなわち、1対の供給シュートにそれぞれ連結された1対の歯付きスプロケットを有するハウジングを含む交換可能なセクションで製造されると考えることができる。これらの歯車はまた、スクープをある位置と別の位置との間で角度的に動かすラックと結合され、固定セクションは、ガラス物品成形機の主構造に結合することができるサーボモータ及び回転直線動作インペラを含んでよい。
【0009】
最後に、Vidriera Monterreyに譲渡されたGaspar Rodriguez Wongらによる米国特許第5,637,128号では、ガラス物品成形機または他の器具用のゴブ分配器に言及している。該分配器は、分配器によって同時に供給される各ゴブの垂直回転軸上に取り付けられた少なくとも1つの湾曲した分配スクープであって、各スクープは、その上端が常にガラス溶融ゴブ供給器のそれぞれの穴と整列され、その端部は、成形機の固定チャネルの上端と、所定の順序で一致するように半径方向に動き、成形機は、機械のセクションのそれぞれの金型にゴブを運ぶ、分配スクープと、自身の軸を中心として回転する少なくとも1つのギヤから構成されるハウジングであって、該ギヤの軸は、ハウジングに結合された中心軸とともに、各分配スクープの垂直シャフトと連結している、ハウジングと、各分配スクープのギヤと一致するように結合されたラックであって、これらのギヤを回転させながら移動させ、各スクープに同時かつ同期した回転を提供する、ラックと、ラックに結合された回転駆動部材であって、ラックを前方及び後方へ動かし、それによってギヤの回転動作を実現する、ラックと、駆動部材に結合された駆動媒体であって、駆動部材に回転動作を与えてラックを動かし、湾曲したスクープを、予定された順序及び正確な動きで、ガラス物品成形機の異なるセクション間の選択的な送達位置に同時にかつ角度的に動かす、駆動媒体とを備える。
【0010】
電子制御の出現により、湾曲したスクープの動作制御は、非常に安全に取り扱うことができ、角度位置プログラミング(調整)は、容易に制御することができる。
【0011】
しかしながら、公知のゴブ分配器に依然として残る問題の1つは、それらの機械構造にある。というのは、接続プレート、案内ロッド、及びそれらのサイズ及び重量を著しく増大させる他の追加部品などの多数の機械部品を用いて製造されるためである。
【0012】
上記に加えて、従来技術のゴブ分配器は、構成部品が多いため、全ての部品の摩耗が増加するという欠点がある。これにより、送達時に突発的な動きを発生させるバックラッシュ問題が引き起こされるが、この問題は、電気的または電子的制御によって容易に解決することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許第3,597,187号
【文献】米国特許第Re28,759号
【文献】米国特許第4,357,157号
【文献】米国特許第4,687,502号
【文献】米国特許第5,637,128号
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の目的は、コンパクトな構造を有し、分配スクープの動作制御及び位置を改善する、ガラス物品成形機用のゴブ分配器を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、メカニズムを分解する必要なしに、分配スクープのための異なる動作命令を受け入れる、ガラス物品成形機用のゴブ分配器を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、ガラス物品成形機用のゴブ分配器を提供することであり、このゴブ分配器は、よりコンパクトな形態(既知の分配器のほぼ半分の長さ及びサイズに小型化されている)で構築されるので、摩耗メカニズムの問題を低減し、したがって、ガラス物品成形機の異なる部へのゴブの分配中の突発的な動きの問題を回避する。
【0017】
本発明のさらなる目的は、二重、三重または四重の空洞での使用のためにそれを変換するように容易に修正することができる、ガラス物品成形機用のゴブ分配器を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、各シャフト及びそれらのそれぞれのモータが独立しており、二重空洞からの各スクープを各パリソン金型と完全に整列させ、完全に中心に置かれた荷重に対して完全な整列を維持することを可能にする、ガラス物品成形機用のゴブ分配器を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、各スクープのスクープホルダまたはアームが完全に独立して動き、各スクープホルダが180°で互いに反対方向に挿入され、140°以上のより大きなファン角度を可能にし、従来技術の分配器によって作られたものよりも優れた、ガラス物品成形機用のゴブ分配器を提供することである。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、分配スクープが加速度の急激な変化を伴わずに動く、ガラス物品成形機用のゴブ分配器を提供することである。
【0021】
本発明の特徴と考えられる新規な態様は、特に添付の特許請求の範囲において確立される。それにもかかわらず、本発明自体は、その構成または動作方法に起因して、その他の目的及び利点とともに、添付の図面に関連して読まれるとき、以下の説明を通してより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のガラスゴブ分配器の正面斜視図である。
【
図2】本発明のガラスゴブ分配器の背面を示す斜視図である。
【
図3】本発明のガラスゴブ分配器の下側を示す斜視図である。
【
図4】本発明のガラスゴブ分配器の正面斜視部分図である。
【
図5】本発明のガラスゴブ分配器の内部部分を詳細に示す、A-AA線から見た正面斜視図である。
【
図6】本発明のガラスゴブ分配器の内側部分を詳細に示す、
図5から見た断面図である。
【
図7】本発明のゴブ分配器の内側部分を詳細に示す、
図5から見た斜視図である。
【
図8】本発明のゴブ分配器の内部断面を示す詳細な上面図である。
【
図9】本発明の4つのスクープのための、ゴブ分配器の第2の実施形態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の4つのスクープのための、ゴブ分配器の第2の実施形態の内部断面を示す詳細な上面図である。
【
図11】本発明の4つのスクープのための、ゴブ分配器の第3の実施形態を示す斜視図である。
【
図12】本発明の4つのスクープのための、ゴブ分配器の第3の実施形態の内部セクションを示す詳細な上面図である。
【
図13】本発明のゴブ分配器が配置される旋回支持構造体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照すると、カバーCAによって保護されたハウジング12を含む本発明のゴブ分配器10が示されている。この実施形態では、ゴブ分配器10は、3つの送達スクープ14、16、18を弓形形状に保持するように示されており、これらは、上下に配置されている。各スクープ14、16、18は、ガラス供給器(図示せず)の供給開口のそれぞれと一致する上端と、ガラス物品を形成するための金型に向けられた下端とを有する。各スクープ14、16、18は、独立したホルダ20、22、24によって支持され、半径方向に左または右に動く。
【0024】
図2に示されるように、第1のスクープホルダ22は、スクープ14を保持するために後方に配置され、スクープホルダ20及び24は、第1のスクープホルダ22の前面に整列され、一方が他方の後方にある。
【0025】
スクープホルダ20、22、24及びスクープ14、16、18の各組は、互いに独立して動く。少なくとも2つのスクープホルダ20、24は、反対の位置(180°で他方と反対の方向)に、一方が他方より下にある関係で、互い違いに配置されており、従来技術の分配器によって形成されたものよりも大きい140°以上のファン角度を可能にする。
【0026】
これらのスクープホルダ20、22、24は、シャフトF1、F2、F3(
図4に示す)に結合され、以下でより詳細に説明するように、スクープ14、16、18を半径方向に動かし、ガラスゴブをガラス物品成形機(図示せず)の各セクションに分配する。
【0027】
特に、
図1及び
図2に示すように、各スクープホルダ20、22、24を見ると、中央に配置されたスクープホルダ22は、支持基部22Aと、スクープ14の下側の中間部分に係合するように上方及び前方に傾斜したアーム22Bとを含む。スクープホルダ20は、支持基部20Aと、支持基部20Aに連結され、中央から外側に水平に突出する第1のアーム20Bと、第1のアーム20Bの外側端部に連結され、垂直に上方に突出し、スクープ14の中間部よりも高い位置まで前方に傾斜する第2のアーム20Cと、第2のアーム20Cの上端部に連結され、スクープ16の下部に係合するように内側に水平に突出した第3のアーム20Dとを含む。最後に、スクープホルダ24は、支持基部24Aと、支持基部24Aに接続され、アーム20Bと反対方向に中央から外側に水平に突出する第1のアーム24Bと、第1のアーム24Bの外側端部に接続され、垂直に上方に突出し、スクープ16の中間部分の上方のより高い位置まで前方に傾斜する第2のアーム24Cとを含む。スクープホルダ20、24が半矩形構造を示す場合であっても、これらは「C」字形状または他の同様の形状と表現されてよいことに留意されたい。
【0028】
本発明のゴブ分配器10の各部分の説明を続けると、
図4、5、6、7は、四角柱に類似したハウジング12を示し、このハウジング12は、ウォームねじ32、34、36を内蔵した、水平な姿勢にある少なくとも1つのシャフト26、28、30を収容している。このようなシャフト26、28、30は、ハウジング12内に等距離に配置され、例えば下方に2つのシャフト26、30が平行な姿勢で配置され、例えば上方に1つのシャフト28が配置される。シャフト26、28、30の両端は、玉軸受38、40、42、44、46、48によって、ハウジング12の前面12Aと後面12B(
図6)との間で自由に回転するように接続されている。軸受38、40、42、44、46、48は、シャフト26、28、30の剛性を増大させる突起を含む。ハウジング12の前面12Aに配置されたキャップT1、T2、T3は、玉軸受38、42、46を覆う。ハウジング12は、4つのスクープに拡大するために、ゴブ分配器10の場合に第4のシャフト(図示せず)に嵌合するキャップT4を含むことに留意されたい。
【0029】
ハウジング12の背面12Bに配置されたシャフト端部26、28、30は、可撓性のまたはベローズのカップリング58、60、62によってサーボモータ52、54、56に接続されて、シャフト26、28、30を、それら自身の軸を中心に、左または右へ回転動作させる。
【0030】
図5、
図6、
図7及び
図8において、シャフトF1、F2、F3は、ハウジング12内に、シャフト26、28及び30に対して垂直な姿勢で配置され、ハウジング12に沿って等距離に順番に整列して配置される。これらのシャフトF1、F2、F3は、シャフト26、30によって形成される平行体の中央部分に配置され、上方部分においてシャフト28と整列される。各シャフトF1、F2、F3は、64、66及び68の区分された扇形状のクラウンを含む。区分された扇形状のクラウン64、66、68は、内蔵されたウォームねじ32、34、36とともに組み立てられ、ウォームギヤ(または二重ラッピングトランスミッション)を形成する。このウォームギヤは、サーボモータ52、54、56の回転動作によって、シャフト26、28、30がそれらの動作をシャフトF1、F2、F3に伝達し、スクープ14、16、18を左または右に動かしながら半径方向に動かす。各シャフトF1、F2、F3及び26、28、30は、互いに垂直に対になって連結され、各スクープ14、16、18を独立して動かす。
【0031】
シャフトF1、F2、F3は、その上端に、それぞれ独立したスクープホルダ20、22、24が結合されるスクープ支持体70、72、74を含む。
【0032】
各シャフトF1、F2、F3の上端は、スクープ支持体70、72、74及び、ハウジング12の上部に配置された軸方向針状ころ軸受76、78、80を介して、ハウジング12に組み付けられる。
【0033】
ハウジング12の底部に配置された軸方向針状ころ軸受(図示せず)も、各シャフトF1、F2、F3の下端を組み付けるために使用される。後者は、円筒形ハウジング82、84、86によって覆われている。
【0034】
最後に、ハウジング12は、その側面92、94に冷却フィン88、90を有し、これらはカバーCAによって保護されている。これらの冷却フィン88、90は、ハウジング12に沿って形成され、ハウジング12の熱伝導及び冷却表面を増大させる。
【0035】
次に、
図9及び
図10に示す本発明の第2の実施形態を参照すると、ハウジング12内に4つのシャフトF1、F2、F3、F4が垂直に配置されており、これらはシャフト26及びシャフト96に対して垂直な姿勢となっている。これらのシャフトF1、F2、F3、F4は、シャフト26、96によって形成された平行体の中央部分に配置されている。シャフト26は、シャフトF1、F2、F3、F4の第1の側に配置され、シャフトF1、F2、F3及びF4の底部と整列されている。シャフト96は、シャフトF1、F2、F3、F4の反対側に配置され、頂部に整列されている。
【0036】
シャフトF1及びF3は、区分された扇形状のクラウン68、68Aを含む。区分された扇形状のクラウン68、68Aは、各エンベロープウォームねじ32、32Aと組み合わされて、ウォームギヤ(または二重エンベロープトランスミッション)を形成しており、サーボモータ52の回転動作により、それらの動きをシャフトF1及びF2に伝達し、一対のスクープ、例えば第1のスクープ14及び第3のスクープ18を、左向きまたは右向きの動作とともに半径方向に動かす。
【0037】
シャフトF2及びF4は、区分された扇形状のクラウン98、100を含む。区分された扇形状のクラウン98、100Aは、各エンベロープウォームねじ102、104と組み合わされて、ウォームギヤ(または二重エンベロープトランスミッション)を形成し、サーボモータ106の回転動作により、それらの動きをシャフトF2及びF4に伝達し、一対のスクープ、例えば第2のスクープ16及び第4のスクープ(図示せず)を左向きまたは右向きの動作とともに半径方向に動かす。
【0038】
第2の実施形態から、モータ52は、シャフト26とともに2つのエンベロープウォームねじ32及び32Aを動かし、2つのシャフトF1及びF3を同時に動かすことが分かる。モータ106は、シャフト96とともに2つのエンベロープウォームねじ102及び104を動かし、2つのシャフトF1及びF3を同時に動かす。本構造及び本実施形態において、三重空洞システムとする場合、モータ52をシャフト26によってシャフトF1~F3に接続することができ、モータ106をシャフト96に接続してシャフトF2を動かすことができる。二重空洞システムとする場合、例えば、シャフト26に接続されたモータ52を使用して、シャフトF1及びF2を動かすことができる。この最後のバージョンでは、シャフトF1及びF2はそれぞれギヤセグメント(図示せず)を備え、2つのスクープ(図示せず)を同時に動かすようにしてもよい。
【0039】
最後に、
図11及び
図12に示す第3の実施形態において、ハウジング12の後部12Bに結合されたモータ108が示されている。モータ108は、この特定の実施形態では4つの周囲ウォームねじ112、114、116、118を含む水平シャフト110を有する。4つのシャフトF1、F2、F3、F4は、それぞれギヤセグメント120、122、124、126を含み、ギヤセグメント120、122、124、126は、それぞれ、各エンベロープウォームねじ112、114、116、118と結合する。この構成により、シャフト110は、4つのエンベロープウォームねじ112、114、116、118を同時に動かし、4つのスクープ(図示せず)を同期して動かす。この構成では、2つ、3つ、又は4つのスクープを同期して動かすことができる。
【0040】
本発明のゴブ分配器10の異なる実施形態から分かるように、各スクープ14、16、18の動力が独立していることにより、それらの回転動作は、それぞれ独立した形態でプログラム可能であり、スクープ14、16、18の任意の変位または非同期を補正することができる。サーボモータ52、54、56、108は、それぞれの接続部を介して電子制御システム(図示せず)に接続されている。このように、サーボモータ52、54、56は、制御システムから動作信号を受け取り、各スクープ14、16、18が、成形機(図示せず)の各物品成形セクションに対して、予め設定された順序で送出動作を行うようにすることができる。
【0041】
そのため、制御システムが始動して各スクープ14、16、18を動かすとき、各サーボモータ52、54、56は、この制御システムにおいて予め設定されたプログラミングに従って一連の動作を受ける。これにより、各サーボモータ52、54、56は、その制御システムに記憶された動作プロフィールに応じて、各シャフト26、28、30をそれぞれの軸を中心に回転させ、それらのエンベロープウォームねじ32、34、36を左右に回転動作させる。シャフト26、28、30の動作は、各ウォームねじ32、34、36が各シャフトF1、F2、F3の区分されたクラウン64、66、68に結合されることにより、シャフトF1、F2、F3に伝達される。次いで、シャフトF1、F2、F3は、左又は右への動作とともに動き、所定の同期した順序で、スクープ14、16、18を半径方向に左又は右へ動かし、ガラス物品成形機(図示せず)の各成形セクションにゴブを送出する。
【0042】
最後に、
図13に示すように、本発明のゴブ分配器10は、ガラス物品成形機の支持構造体130の頂部に配置された可動プラットフォーム128の上に配置することができる。
【0043】
この可動プラットフォーム128は、支持構造体130に固定されたピボット要素132に一端で連結されている。シリンダ-ピストン機構134が、可動プラットフォーム128の一方の側部と支持構造体130との間に接続されて、可動プラットフォーム128を横方向に外向きまたは内向きに動かす。これにより、機械のメンテナンスを行う際、ゴブ分配器がガラス供給器からの溶融ガラスの流れと接触せず、これが直接排出タンク(図示せず)に導かれるようになるため、この動作は重要である。
【0044】
上述の実施形態に示すように、コンパクトなゴブ分配器10は、3つのガラスゴブを同時に各機械セクションに分配するように示されている。しかしながら、上述のとおり、分配器10は、各成形機の型の数次第で、2つ及び4つのスクープを使用するように容易に修正することができ、各成形機の型は、二重、三重、又は四重の空洞とすることができる。
【0045】
最後に、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、当業者には明らかであり、他の機械的な手段、例えば、代替的な性能が実施されてもよく、これは、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の真の精神及び範囲内に明確に含まれることを理解されたい。