(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】自己洗浄同心管電気化学セルの新しい流れ特徴部
(51)【国際特許分類】
C25B 9/00 20210101AFI20220815BHJP
C25B 9/015 20210101ALI20220815BHJP
C25B 1/26 20060101ALI20220815BHJP
H01M 8/18 20060101ALN20220815BHJP
H01M 8/04186 20160101ALN20220815BHJP
【FI】
C25B9/00 C
C25B9/015
C25B1/26 C
H01M8/18
H01M8/04 M
(21)【出願番号】P 2019555446
(86)(22)【出願日】2018-04-13
(86)【国際出願番号】 US2018027564
(87)【国際公開番号】W WO2018191662
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-01-08
(32)【優先日】2017-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513180152
【氏名又は名称】エヴォクア ウォーター テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Evoqua Water Technologies LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア グリフィス
(72)【発明者】
【氏名】リ-シャン リャン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー グリーン
(72)【発明者】
【氏名】ポール ベドーズ
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/133985(WO,A1)
【文献】特表2014-511437(JP,A)
【文献】国際公開第95/021795(WO,A1)
【文献】米国特許第03873438(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に前記ハウジングの中心軸を中心として同心円状に配置されるカソードおよびアノードと、
前記カソードおよび前記アノードの間に画定され、前記中心軸に平行に延びる流体通路と、
前記カソードおよび前記アノードの間に存在するセパレータであって、前記セパレータは、リングと、前記リングから延びる複数の突起とを備え、前記突起の各々は、前記流体
通路の幅を維持する高さを有し、前記突起の数と前記突起の各々の長さおよび幅は、前記セパレータの下流の前記流体通路内の速度低下ゾーンを、2.0~2.5m/秒の平均流速で前記流体通路を流れる電解質溶液に対して140mm未満に維持するように寸法設定され、
前記セパレータは、電解質溶液の平均からの速度偏差を、前記流体通路を通る前記電解質溶液の平均流速の±18%以内に維持するように寸法設定される、自己洗浄電気化学セル。
【請求項2】
前記速度低下ゾーンにおける前記平均からの速度偏差は、前記電解質溶液の平均流速の±5%未満である、請求項1に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項3】
前記速度低下ゾーンにおける前記平均からの速度偏差は、前記電解質溶液の平均流速の±2%未満である、請求項2に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項4】
前記速度低下ゾーンは、2~2.5m/秒の平均流速で前記流体通路を流れる海水について120mm未満である、請求項1に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項5】
前記速度低下ゾーンが前記セパレータから60mm未満である、請求項4に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項6】
前記ハウジングの前記中心軸の周りに同心円状に配置された複数のカソードおよび複数のアノードと、
各隣接するカソードおよびアノードの間に画定される複数の流体通路の各々と、
を含み、
前記流体通路の各々は、前記中心軸に平行に延びる、請求項1に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項7】
複数のセパレータを含み、前記セパレータの各々は複数の流体通路の各々を維持するように構成され、前記複数のセパレータはそれぞれリングおよび前記リングから延びる複数の突起を含む、請求項6に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項8】
前記セパレータは、前記カソードおよび前記アノードの少なくとも一方とメイトするように構成される、請求項1に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項9】
前記流体通路と流体連通する入口および出口を有する、請求項1に記載の自己洗浄電気化学セルと、
前記自己洗浄電気化学セルの前記入口に流体接続可能な出口を有し、2m/秒以上の前記流体通路を通る平均流速で前記電解質溶液を送達するように構成される前記電解質溶液の供給源と、
を含み、
前記自己洗浄電気化学セルは、前記電解質溶液から生成物化合物を生成し、前記生成物化合物を含む生成物溶液を出力するように構成され、
前記自己洗浄電気化学セルは、前記出口を介して使用点に流体接続可能である、システム。
【請求項10】
前記電解質溶液の供給源は、海水、汽水、およびブラインのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
直列に配置された複数の自己洗浄電気化学セルを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
ハウジング内に前記ハウジングの中心軸を中心として同心円状に配置されるカソードおよびアノードと、
前記カソードおよび前記アノードの間に画定される幅を有し、前記中心軸に平行に延びる流体通路と、
前記カソードおよび前記アノードの間に存在し、前記流体通路を通る電解質溶液の通過を可能にするように構成されるセパレータであって、前記流体通路を維持するように寸法設定され、水線化された構成を有するセパレータと、
を含む、自己洗浄電気化学セルであって、
前記セパレータは、リングと、前記リングから延びる複数の突起とを備え、
前記突起の各々は、前記流体通路の幅を維持する高さ、および前記流体通路を維持すのに十分な幅を有し、前記セパレータは、前記流体通路の流れ面積の35%未満の断面積を有するように寸法設計される、自己洗浄電気化学セル。
【請求項13】
前記突起の各々は、前記高さの0.5倍~2倍の幅を有する、請求項12に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項14】
前記突起の各々は、前記幅よりも大きい長さと、水線化された構成とを有する、請求項12に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項15】
前記複数の突起は、前記リング上で等間隔に配置される、請求項12に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項16】
前記セパレータは、前記流体通路の流れ面積の10%~35%の断面積を有するように寸法設定される、請求項12に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項17】
前記セパレータは、前記カソードおよび前記アノードの少なくとも一方とメイトするように構成される、請求項12に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項18】
前記流体通路と流体連通する入口および出口を有する請求項12に記載の自己洗浄電気化学セルと、
前記自己洗浄電気化学セルの入口に流体接続可能な出口を有し、2m/秒以上の前記流体通路を通る平均流速で前記電解質溶液を送達するように構成される前記電解質溶液の供給源と、
を含むシステムであって、
前記自己洗浄電気化学セルは、前記電解質溶液から生成物化合物を生成し、前記生成物化合物を含む生成物溶液を出力するように構成され、
前記自己洗浄電気化学セルは、前記出口を介して使用点に流体接続可能である、システム。
【請求項19】
前記電解質溶液の供給源は、海水、汽水、およびブラインのうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
直列に配置された複数の自己洗浄電気化学セルを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
電気化学システムを動作させる方法であって、
請求項1、12、および18の何れかに記載の自己洗浄電気化学セルを提供すること;
2m/秒以上の前記流体通路を通る平均流速で、前記電解質溶液を前記自己洗浄電気化学セルに導入すること;
前記自己洗浄電気化学セル内の前記電解質溶液から生成物化合物を生成するのに十分な電圧で、前記アノードおよび前記カソードの間に電流を印加すること;および
前記電気化学システムを所定の期間、連続的に作動させること、
を含む、方法。
【請求項22】
少なくとも6ヶ月間、前記電気化学システムを連続的に動作させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
複数の自己洗浄電気化学セルを提供すること、および
前記複数の自己洗浄電気化学セルを直列に流体接続することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
ハウジング内に配置され、前記ハウジングの中心軸の周りに配置される同心電極および前記ハウジングの長さに沿って配置される連続電極を含む複数の電極と、
前記同心電極間に画定され、前記中心軸に平行に延びる流体通路と、
それぞれが
前記連続電極の間に配置され、前記連続電極の少なくとも1つとメイトするように構成される複数の同心セパレータであって、前記連続電極の同心性を維持するように構成される複数の同心セパレータと、
を含む、自己洗浄電気化学セルであって、
前記同心セパレータの各々が、複数の隣接するリングを含み、
前記複数の隣接するリングの隣り合う2つの間のギャップの幅は、前記流体通路内の速度低下ゾーンを所定の長さ未満に維持するように寸法設定される、自己洗浄電気化学セル。
【請求項25】
前記速度低下ゾーンの長さが、平均電解質溶液流速が前記流体通路を通る
電解質溶液の平均流速より少なくとも2%小さいエリアによって規定される、請求項24に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項26】
前記速度低下ゾーンの長さが、平均電解質溶液流速が前記流体通路を通る前記電解質溶液の平均流速より少なくとも5%小さいエリアによって規定される、請求項25に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項27】
前記複数の隣接するリングの隣り合う2つの間のギャップの幅は、前記複数の隣接するリングの少なくとも1つの幅の1.60倍以下である、請求項24に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項28】
前記複数の隣接するリングのうちの少なくとも1つのリングが、前記少なくとも1つのリングから延びる複数の突起を含む、請求項24に記載の自己洗浄電気化学セル。
【請求項29】
請求項24に記載の自己洗浄電気化学セルと、
前記ハウジングの入口に流体接続可能な出口を有し、2m/秒以上の前記流体通路を通る平均流速で電解質溶液を送達するように構成される前記電解質溶液の供給源と、
を含むシステムであって、
前記自己洗浄電気化学セルは、前記電解質溶液から生成物化合物を生成し、前記生成物化合物を含む生成物溶液を出力するように構成され、
前記自己洗浄電気化学セルは、前記ハウジングの出口を介して使用点に流体接続可能である、システム。
【請求項30】
前記電解質溶液の供給源は、海水、汽水、およびブラインのうちの少なくとも1つを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
直列に配置された複数の自己洗浄電気化学セルを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
電気化学システムを動作させる方法であって、
請求項24に記載の自己洗浄電気化学セルを提供すること;
2m/秒以上の前記流体通路を通る平均流速で、電解質溶液を前記自己洗浄電気化学セルに導入すること;
前記自己洗浄電気化学セル内の前記電解質溶液から生成物化合物を生成するのに十分な電圧で、前記複数の電極間に電流を印加すること;および
前記電気化学システムを所定の期間、連続的に動作させること、
を含む、方法。
【請求項33】
少なくとも6ヶ月間、前記電気化学システムを連続的に動作させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
複数の自己洗浄電気化学セルを提供すること、および
前記複数の自己洗浄電気化学セルを直列に流体接続することを更に含む、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、35USC§119(e)に基づいた、2017年4月14日に提出された米国仮出願第62/485,539号(発明の名称“NOVEL FLOW FEATURES FOR SELF-CLEANING CONCENTRIC TUBULAR ELECTROCHEMICAL CELLS”)の優先権を主張し、当該仮出願の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本明細書で開示される態様および実施形態は、一般に電気化学デバイスに関し、より具体的には、電気塩素化セルおよび電気塩素化デバイス、それらを操作する方法、ならびにそれらを利用するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
一態様によれば、ハウジング内に前記ハウジングの中心軸を中心として同心円状に配置されるカソードおよびアノードと、前記カソードおよび前記アノードの間に画定され、前記中心軸に実質的に平行に延びる流体通路と、前記カソードおよび前記アノードの間に存在し、前記流体通路を維持するように構成され、前記流体通路の幅を維持する高さを有するセパレータと、を含む自己洗浄電気化学セルであって、前記セパレータは、前記セパレータの下流の前記流体通路内の速度低下ゾーンを所定の長さ未満に維持するように寸法設定され、前記セパレータは、電解質溶液の平均からの速度偏差を、前記流体通路を通る前記電解質溶液の平均流速の±18%以内に維持するように寸法設定される、自己洗浄電気化学セルが提供される。
【0004】
いくつかの実施形態では、前記所定の長さにおける前記平均からの速度偏差は、前記電解質溶液の平均流速の±5%未満である。前記所定の長さにおける前記平均からの速度偏差は、前記電解質溶液の平均流速の±2%未満である。
【0005】
前記所定の長さは、2~2.5m/秒の平均流速で前記流体通路を流れる海水について約120mm未満である。前記所定の長さが約60mm未満である。
【0006】
特定の実施形態によれば、前記セパレータは、リングと、前記リングから延びる複数の突起とを備え、前記突起の各々は、前記流体通路の幅を維持する高さを有する。前記突起の数と前記突起の各々の長さおよび幅は、前記速度低下ゾーンを前記所定の長さ未満に維持するように選択される。
【0007】
前記自己洗浄電気化学セルは、前記ハウジングの前記中心軸の周りに同心円状に配置された複数のカソードおよび複数のアノードと、各隣接するカソードおよびアノードの間に画定される複数の流体通路の各々と、を含み、前記流体通路の各々は、前記中心軸に実質的に平行に延びる。
【0008】
前記自己洗浄電気化学セルは、複数のセパレータを含み、前記セパレータの各々は複数の流体通路の各々を維持するように構成され、前記複数のセパレータはそれぞれリングおよび前記リングから延びる複数の突起を含む。いくつかの実施形態では、前記セパレータは、前記カソードおよび前記アノードの少なくとも一方とメイトするように構成される。
【0009】
別の態様によれば、前記流体通路と流体連通する入口および出口を有する、自己洗浄電気化学セルと、前記自己洗浄電気化学セルの前記入口に流体接続可能な出口を有し、2m/秒以上の前記流体通路を通る平均流速で前記電解質溶液を送達するように構成される前記電解質溶液の供給源と、を含み、前記自己洗浄電気化学セルは、前記電解質溶液から生成物化合物を生成し、前記生成物化合物を含む生成物溶液を出力するように構成され、前記自己洗浄電気化学セルは、前記出口を介して使用点に流体接続可能である、システムが提供される。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記電解質溶液の供給源は、海水、汽水、およびブラインのうちの少なくとも1つを含む。前記システムは、直列に配置された複数の自己洗浄電気化学セルを含む。
【0011】
別の態様によれば、ハウジング内に前記ハウジングの中心軸を中心として同心円状に配置されるカソードおよびアノードと、前記カソードおよび前記アノードの間に画定され、前記中心軸に実質的に平行に延びる流体通路と、前記ハウジングの第一端部に結合された第一エンドキャップ、および前記ハウジングの第二端部に結合された第二エンドキャップであって、それぞれ実質的に中央に位置する開口部と、前記流体通路と流体連通する流体導管とを含み、前記第一エンドキャップの前記流体導管は第一半径のゾーンと、前記第一半径よりも大きい第二半径のゾーンとを含む、第一エンドキャップおよび第二エンドキャップと、前記第一エンドキャップの前記流体導管内に配置され、前記流体通路への電解質溶液の流路を規定するように構成される入口コーンと、を含み、前記第二半径のゾーンは、前記流路を通る完全に発達した流れを維持するように選択された長さを有する、自己洗浄電気化学セルが提供される。
【0012】
前記第二半径のゾーンは、前記流路の水力直径の1~10倍の長さを有する。前記第一エンドキャップの前記流体導管が、前記電解質溶液の入口圧力を約120kPa未満に維持するように寸法設定される。前記入口コーンは、前記自己洗浄電気化学セル内の圧力降下を0~19kPaに維持するように寸法設定される。
【0013】
前記入口コーンは、20度~90度の頂角を有する直円錐である。前記入口コーンは、40度~60度の頂角を有する直円錐である。前記第二エンドキャップの前記流体導管内に配置され、前記自己洗浄電気化学セルから出る前記流体通路からの前記電解質溶液の流路を画定するように構成された出口錐台を更に含む。
【0014】
別の態様によれば、入口および出口を有する自己洗浄電気化学セルと、前記第一エンドキャップの実質的に中央に位置する開口部に流体接続可能な出口を有し、約2m/秒以上の前記流体通路を通る平均流速で前記電解質溶液を送達するように構成される前記電解質溶液の供給源と、を含むシステムであって、前記自己洗浄電気化学セルは、前記電解質溶液から生成物化合物を生成し、前記生成物化合物を含む生成物溶液を出力するように構成され、前記自己洗浄電気化学セルは、前記第二エンドキャップの実質的に中央に配置された開口部を介して使用点に流体接続可能である、システムが提供される。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記電解質溶液の供給源は、海水、汽水、およびブラインのうちの少なくとも1つを含む。前記システムは、直列に配置された複数の自己洗浄電気化学セルを含む。
【0016】
別の態様によれば、ハウジング内に前記ハウジングの中心軸を中心として同心円状に配置されるカソードおよびアノードと、前記カソードおよび前記アノードの間に画定される幅を有し、前記中心軸に実質的に平行に延びる流体通路と、前記カソードおよび前記アノードの間に存在し、前記流体通路を通る電解質溶液の通過を可能にするように構成されるセパレータであって、前記流体通路を維持するように寸法設定され、水線化された構成を有するセパレータと、を含む、自己洗浄電気化学セルが提供される。
【0017】
前記セパレータは、リングと、前記リングから延びる複数の突起とを備える。前記突起の各々は、前記流体通路の幅を維持する高さ、および前記流体通路を維持するのに十分な幅を有する。いくつかの実施形態では、前記突起の各々は、前記高さの0.5倍~2倍の幅を有する。前記突起の各々は、前記幅よりも大きい長さと、水線化された構成とを有する。前記複数の突起は、前記リング上で実質的に等間隔に配置される。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記セパレータは、前記流体通路の流れ面積の10%~35%の断面積を有するように寸法設定される。前記セパレータは、前記カソードおよび前記アノードの少なくとも一方とメイトするように構成される。
【0019】
別の態様によれば、前記流体通路と流体連通する入口および出口を有する自己洗浄電気化学セルと、前記自己洗浄電気化学セルの入口に流体接続可能な出口を有し、約2m/秒以上の前記流体通路を通る平均流速で前記電解質溶液を送達するように構成される前記電解質溶液の供給源と、を含むシステムであって、前記自己洗浄電気化学セルは、前記電解質溶液から生成物化合物を生成し、前記生成物化合物を含む生成物溶液を出力するように構成され、前記自己洗浄電気化学セルは、前記出口を介して使用点に流体接続可能である、システムが提供される。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記電解質溶液の供給源は、海水、汽水、およびブラインのうちの少なくとも1つを含む。前記システムは、直列に配置された複数の自己洗浄電気化学セルを含む。
【0021】
別の態様では、電気化学システムを動作させる方法であって、自己洗浄電気化学セルを提供すること;約2m/秒以上の前記流体通路を通る平均流速で、前記電解質溶液を前記自己洗浄電気化学セルに導入すること;前記自己洗浄電気化学セル内の前記電解質溶液から生成物化合物を生成するのに十分な電圧で、前記アノードおよび前記カソードの間に電流を印加すること;および前記電気化学システムを所定の期間、連続的に作動させること、を含む、方法が提供される。前記方法は、少なくとも6ヶ月間、前記電気化学システムを連続的に動作させることを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、複数の自己洗浄電気化学セルを提供すること、および前記複数の自己洗浄電気化学セルを直列に流体接続することを更に含む。
【0022】
別の態様によれば、ハウジング内に配置され、前記ハウジングの中心軸の周りに配置される同心電極および前記ハウジングの長さに沿って配置される連続電極を含む複数の電極と、同心電極間に画定され、前記中心軸に実質的に平行に延びる流体通路と、それぞれが連続電極の間に配置され、前記連続電極の少なくとも1つとメイトするように構成される複数の同心セパレータであって、前記連続電極の同心性を維持するように構成される複数の同心セパレータと、を含む、自己洗浄電気化学セルが提供される。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記同心セパレータの各々が、複数の隣接するリングを含む。前記複数の隣接するリングの隣り合う2つの間のギャップの幅は、前記流体通路内の速度低下ゾーンを所定の長さ未満に維持するように寸法設定される。
【0024】
前記速度低下ゾーンの長さが、平均電解質溶液流速が前記流体通路を通る前記電解質溶液の平均流速より少なくとも2%小さいエリアによって規定される。いくつかの実施形態では、前記速度低下ゾーンの長さが、平均電解質溶液流速が前記流体通路を通る前記電解質溶液の平均流速より少なくとも5%小さいエリアによって規定される。特定の実施形態によれば、前記複数の隣接するリングの隣り合う2つの間のギャップの幅は、前記複数の隣接するリングの少なくとも1つの幅の1.60倍以下である。いくつかの実施形態では、前記複数の隣接するリングのうちの少なくとも1つのリングが、前記少なくとも1つのリングから延びる複数の突起を含む。
【0025】
別の態様によれば、自己洗浄電気化学セルと、前記ハウジングの入口に流体接続可能な出口を有し、約2m/秒以上の前記流体通路を通る平均流速で前記電解質溶液を送達するように構成される前記電解質溶液の供給源と、を含むシステムであって、前記自己洗浄電気化学セルは、前記電解質溶液から生成物化合物を生成し、前記生成物化合物を含む生成物溶液を出力するように構成され、前記自己洗浄電気化学セルは、前記ハウジングの出口を介して使用点に流体接続可能である、システムが提供される。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記電解質溶液の供給源は、海水、汽水、およびブラインのうちの少なくとも1つを含む。前記システムは、直列に配置された複数の自己洗浄電気化学セルを含む。
【0027】
別の態様では、電気化学システムを動作させる方法であって、自己洗浄電気化学セルを提供すること;約2m/秒以上の前記流体通路を通る平均流速で、電解質溶液を前記自己洗浄電気化学セルに導入すること;前記自己洗浄電気化学セル内の前記電解質溶液から生成物化合物を生成するのに十分な電圧で、前記複数の電極間に電流を印加すること;および前記電気化学システムを所定の期間、連続的に動作させること、を含む、方法が提供される。前記方法は、少なくとも6ヶ月間、前記電気化学システムを連続的に動作させることを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、複数の自己洗浄電気化学セルを提供すること、および前記複数の自己洗浄電気化学セルを直列に流体接続することを更に含む。
【0028】
本開示は、前述の態様および/または実施形態のいずれか1つ以上のすべての組み合わせ、ならびに詳細な説明および実施例に記載の実施形態のいずれか1つ以上との組み合わせを企図する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
添付図面は縮尺通りに描かれることを意図したものではない。図面において、様々な図に示される同一またはほぼ同一の各構成要素は、同様の数字で表されている。わかりやすくするために、すべての構成要素がすべての図面でラベル付けされているわけではない。
【
図1】
図1Aは、同心管電気化学セルの実施形態の等角図である。
図1Bは、
図1Aの同心管電気化学セルの断面図である。
図1Cは、
図1Aの同心管電気化学セルの立面図および断面図である。
図1Dは、
図1Aの同心管電気化学セルの代替等角図である。
【
図2A】同心管電気化学セルの実施形態を通る電流の流れを示す図である。
【
図2B】同心管電気化学セルの別の実施形態を通る電流の流れを示す図である。
【
図2C】同心管電気化学セルの別の実施形態を通る電流の流れを示す図である。
【
図3A】一実施形態による、電気化学セルの断面図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、電気化学セルの流体通路を下る速度プロファイルの等高線図である。
【
図5】代替実施形態による、電気化学セルの流体通路を下る速度プロファイルの等高線図である。
【
図6】
図6Aは、一実施形態による、セパレータの等角図である。
図6Bは、一実施形態による、セパレータ上の突起の立面図である。
図6Cは、一実施形態による、セパレータ上の突起の平面図である。
図6Dは、一実施形態による、セパレータ上の突起の等角図である。
【
図7A】一実施形態による、電極管間に配置されたセパレータの等角図である。
【
図7C】一実施形態による、セパレータの等角図である。
【
図8A】一実施形態による、電気化学セルの立面図である。
【
図9A】一実施形態による、エンドキャップの頂部からの平面図である。
【
図10A】一実施形態による、電気化学セルの一部の断面図である。
【
図11A】一実施形態による、電気化学セルの一部の断面図である。
【
図11B】別の実施形態による、電気化学セルの一部の等角図である。
【
図12】一実施形態による、電気化学セルにわたる圧力降下の等高線図である。
【
図13】
図13Aは、一実施形態による、電気化学セルの入口エンドキャップ内の入口圧力の等高線図である。
図13Bは、別の実施形態による、電気化学セルの入口エンドキャップ内の入口圧力の代替等高線図である。
図13Cは、別の実施形態による、電気化学セルの入口エンドキャップ内の入口圧力の代替等高線図である。
【
図14】
図14Aは、様々な入口コーンの実施形態を有する電気化学セルの入口エンドキャップ内の入口圧力の等高線図のコレクションである。
図14Bは、
図14Aの入口コーンの実施形態についての圧力降下vsコーン角のグラフである。
【
図15】
図15Aは、一実施形態による、電気化学セルの断面図である。
図15Bは、一実施形態による、出口錐台を有する電気化学セルの出口キャップ内の出口圧力の等高線図である。
【
図16】一実施形態による、電気化学セルの一部の等角図である。
【
図17A】一実施形態による、電気化学セルの一部の等角図である。
【
図18A】一実施形態による、電気化学セルの一部の等角図である。
【
図19A】一実施形態による、セパレータの分解図である。
【
図20A】一実施形態による、セパレータの一部の等角図である。
【
図21A】一実施形態による、セパレータの等角図である。
【
図22】一実施形態による、セパレータの平均下流からの速度偏差のグラフである。
【
図23A】一実施形態による、電気化学セルの断面図である。
【
図23C】一実施形態による、電気化学セルの電気コネクタの立面図である。
【
図24A】一実施形態による電気コネクタの立面図である。
【
図25】25Aは、一実施形態による、電気化学セルの一部の等角図である。
図25Bは、
図25Aの電気化学セルの部分にわたる電流分布の等高線図である。
図25Cは、一実施形態による、電気化学セルの電気コネクタ周辺の温度の等高線図である。
図25Dは、一実施形態による、電気化学セルの電気コネクタから下流の速度の等高線図である。
【
図29A】一実施形態による、電気化学セルの電気コネクタおよびセパレータアセンブリの等角図である。
【
図30】一実施形態による、電気化学セルを通る流速の等高線図である。
【
図31】一実施形態による、電気化学セルを通る流速の等高線図である。
【
図32】一実施形態による、電気化学セルを通る流速の等高線図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書に開示される態様および実施形態は、以下の説明に記載されるかまたは図面に示される構成の詳細および構成要素の配置に限定されない。本明細書で開示される態様および実施形態は、様々な方法で実施または実行することができる。本開示は、電気塩素化セルおよび電気塩素化デバイスの、様々な実施形態を説明するが、本開示は、電気塩素化セルまたは電気塩素化デバイスに限定されず、本明細書に開示される態様および実施形態は、複数の目的のいずれか1つのために使用される電解セルおよび電気化学セルに適用可能である。
【0031】
電極での化学反応に基づく電気化学デバイスは、産業および自治体の実装で広く使用されている。反応の例には以下が含まれる:
塩化ナトリウムと水から次亜塩素酸ナトリウムを生成する電気塩素化
アノードでの反応:2Cl- → C12 + 2e-
カソードでの反応:2Na+ + 2H2O +2e- → 2NaOH + H2
溶液中:C12 + 2OH- → ClO- + Cl- + H2O
全反応:NaCl + H2O → NaOCl + H2
アノードとカソードを分離する陽イオン交換膜を使用した、塩化ナトリウムと水からの水酸化ナトリウムと塩素の生成:
アノードでの反応:2Cl- → C12 + 2e-
カソードでの反応:2H2O + 2e- → 2OH- + H2
全反応:2NaC1 + 2H2O → 2NaOH + C12 + H2
電極を分離するプロトン透過膜を使用した、エネルギー貯蔵用のバナジウムレドックス電池:
充電中:
第一電極での反応:V3+ + e- → V2+
第二電極での反応:V4+ → V5+ + e-
充電中:
第一電極での反応:V2+ → V3+ + e-
第二電極での反応:V5+ + e- → V4+
【0032】
電気塩素化セルは、海洋、オフショア、地方自治体、産業および商業の実装で使用することができる。電気化学デバイスの設計パラメータ、例えば、電極間の間隔、電極の厚さおよびコーティング密度、電極面積、電気接続の方法などは、様々な実装に合わせて最適化することができる。
【0033】
カソードで生成されたH2ガスの除去は、電気化学デバイスおよびシステム全体の設計における主要な課題である。ガスは、配管内の選択した場所または製品タンクで安全に排気されなければならない。いくつかの実施形態では、必要に応じてH2O2を生成することにより、H2ガスの生成を軽減するために酸化剤を導入し得る。
【0034】
本明細書で開示される態様および実施形態は、一般に、次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒剤を生成する電気化学デバイスに関する。「電気化学デバイス」および「電気化学セル」という用語ならびにそれらの文法的変形は、「電気塩素化デバイス」および「電気塩素化セル」およびそれらの文法的変形を包含すると理解されるべきである。
【0035】
本明細書で開示されるように、態様および実施形態は、同心管電気化学セル(CTE)に関する。
図1Aは、ハウジング116内に同心管が配置された例示的な電気化学セル100を示す。外管の内面および内管の外面は、活性電極エリアを含む。
図1Bに示されるように、フィード電解質溶液は、電気化学セル100の長さを通って同心管102、104間を流れる。
図1Dに示すように、同心チューブ間のギャップによって流路が形成される。
【0036】
この例示的な実施形態における電極間のギャップは約3.5mmである。フィードとして海水を使用する特定の用途(海洋およびオフショア用途など)の場合、流体通路を通る液体の速度は、2.0m/秒より大きく、例えば、2.1m/秒程度、最大3m/秒、最大3.5m/秒、最大6m/秒、または最大10m/秒である場合があり、電極表面のファウリングおよびスケーリングの可能性が低減させる強度の乱流が生じる結果となる。
【0037】
電気化学セル100は、
図1に示されるように、エンドキャップ106および108、ならびにセンターキャップ110を含み得る。電気化学セルは、
図1Bおよび
図1Cに示すように、コーン112および114を含み得る。コーン112および114を内側電極の上に設けて、フィード電解質溶液を同心管102および104の間のギャップに向けることができる。同心管の内部位置を維持し、ギャップを画定するために、入口、出口、およびセンターキャップの1つ以上にセパレータ(アラインメント特徴部)を配置することができる。エンドキャップ、コーン、およびセパレータは、電気化学セルを通る流速および圧力降下に影響を与える。流速を下げると、ファウリングおよびスケーリングの可能性が高まり、メンテナンスの必要性が高まる。直列に配置された複数の電気化学セルを備えたシステムでは、各電気化学セルにわたる圧力降下がシステムに累積的な影響を及ぼす。本明細書に開示される特定の実施形態によれば、1つ以上の特徴部は、電気化学セル内の流速および圧力降下に対する影響を低減するように設計され得る。さらに、電気化学セルおよびその構成要素の製造を簡素化するように、1つ以上の特徴部を設計することができる。本明細書で開示されるように、特徴部は、数学関数によって設計され得るか、または自由に生成され得る。いくつかの実施形態では、計算流体力学(CFD)ソフトウェアを使用して、特徴部を経験的に生成または設計することができる。
【0038】
本明細書で開示される態様および実施形態は、1つ以上の電極を含むものとして説明される。本明細書で使用される「金属電極(metal electrodes)」という用語またはその文法的変形は、他の金属または合金からなるものを含む電極を除外しないが、例えばチタン、アルミニウムまたはニッケルなどの1つ以上の金属から形成される、含む、または構成される電極を包含すると理解されるべきである。いくつかの実施形態では、「金属電極」は、異なる金属の複数の層を含み得る。本明細書に開示される実施形態のいずれか1つ以上で利用される金属電極は、例えば電解質溶液による化学的攻撃に対する耐性が高い金属または金属酸化物(例えば、チタン、白金、混合金属酸化物(MMO)、マグネタイト、フェライト、コバルトスピネル、タンタル、パラジウム、イリジウム、銀、金、またはその他のコーティング材料の層)でコーティングされた銅またはアルミニウムなどの高導電性金属のコアを含み得る。
【0039】
「金属電極」は、耐酸化性コーティング、限定されないが例えば、白金、混合金属酸化物(MMO)、マグネタイト、フェライト、コバルトスピネル、タンタル、パラジウム、イリジウム、銀、金、またはその他のコーティング材料でコーティングされ得る。本明細書に開示される実施形態で利用される混合金属酸化物は、ルテニウム、ロジウム、(任意にアンチモンおよび/またはマンガンと合金化された)タンタル、チタン、イリジウム、亜鉛、スズ、アンチモン、チタン-ニッケル合金、チタン-銅合金、チタン-鉄合金、チタン-コバルト合金、またはその他の適切な金属もしくは合金の1つ以上の酸化物を含み得る。本明細書に開示される実施形態で利用されるアノードは、白金および/またはイリジウム、ルテニウム、スズ、ロジウム、もしくは(任意にアンチモンおよび/またはマンガンと合金化された)タンタルのうちの1つ以上の酸化物でコーティングされ得る。本明細書に開示される実施形態で利用されるカソードは、白金ならびに/またはイリジウム、ルテニウム、およびチタンのうちの1つ以上の酸化物でコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、電極の周期的な極性反転を可能にするために、アノードとカソードの両方が同様にコーティングされる。本明細書で開示される実施形態で利用される電極は、チタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブ、タングステン、および/またはシリコンのうちの1つ以上のベースを含み得る。本明細書に開示される電気化学セルのいずれかの電極は、プレート、シート、箔、押出物、および/または焼結物として、またはそれらから形成され得る。
【0040】
本明細書で使用される「管(tube)」という用語は、円筒形の導管を含むが、他の断面形状を有する導管、例えば、正方形、長方形、楕円形、もしくは楕円形の形状を有する導管、または規則的もしくは不規則な多角形として形作られた断面形状を有する導管を除外しない。
【0041】
本明細書で使用される「同心管(concentric tubes)」または「同心螺旋(concentric spirals)」という用語は、実質的に共通の中心軸を共有する管または交互配置螺旋を含むが、同心管または交互配置螺旋のセット内の各同心管または交互配置螺旋の必ずしも中心ではない、実質的に共通の軸を囲む管または交互配置螺旋を除外しない。
【0042】
一態様によれば、電気化学セルは同心管電極を含む。同心管電極の少なくともいくつかは、単極または双極であり得る。内部管電極は、耐酸化性コーティング、例えば白金またはMMOを有するアノードであり得る。外側電極にはコーティングがない場合があり、カソードとして機能する。あるいは、内側管電極はカソードとして機能し、外側管電極はアノードとして機能してもよい。いくつかの実施形態では、両方の電極は、極性反転を可能にするためにコーティングされる。
【0043】
例示的な実施形態の電極は、電流が電極あたり電解質を1回通過するように単極であり得る。電極のそれぞれは、チタン管を含み得る。アノード電気コネクタは、外側管電極と電気的に連絡していてもよい。カソード電気コネクタは、内側管電極と電気的に連絡していてもよい。中間管電極がある場合、中間管電極は内側管電極、外側管電極、またはその両方と電気的に接続されていてもよい。いくつかの実施形態では、中間管電極は、表面を最大限に活用するために、内面と外面の両方に耐酸化性コーティング、例えば白金またはMMOを有するアノードであり得る。中間管アノードは、カソードとして機能する2つの電極に囲まれている場合がある。
【0044】
図2A~2Dは、同心管電気化学セルにおける電極のいくつかの可能な例示的な配置を示す。
図2Aは、電流がアノードからカソードへの1つのパスで流れる例示的な構成を示す。両方の電極はチタン製で、アノードは白金または混合金属酸化物(MMO)でコーティングされ得る。このような電極は「単極(mono-polar)」と呼ばれます。
【0045】
例示的な実施形態の電極は、電流が電極あたり電解質を2回以上通過するように双極であり得る。例示的な実施形態では、双極管電極の一端(いくつかの実施形態では電極の約半分)はコーティングされずにカソードとして機能し、他端部分(いくつかの実施形態では電極の約半分)は耐酸化性コーティング、例えば白金またはMMOでコーティングされ、アノードとして機能し得る。双極管電極は、アノード管電極およびカソード管電極内にネストさせてもよく、各管電極は、双極電極の一端部を囲む。共通の直径を有するアノード管電極およびカソード管電極は、電気化学セルの長さに沿って横方向に変位させることができる。双極管電極、アノード管電極、およびカソード管電極の間を通過する電解質溶液を通る2つのパスで電流が流れることを可能にするように、双極管電極は方向付けられ得る。
【0046】
追加の双極管電極を挿入し、アノードおよびカソードチューブ電極が電気化学セルを通る軸方向に沿って複数の双極管電極の交互の側面に提供されるように、それぞれのアノード管電極とカソード管電極を重ね合わせることによって、セルは、マルチパス平行平板電極(PPE)と同様に、3つ以上の電流パスを提供するように組み立てることができる。
【0047】
図2Bは、電流が2つの外側電極と1つの内側電極を備えた装置を2回通過する典型的な配置を示している。外部電極の1つは、例えばアノードとして機能するように、内面にコーティングされ、もう一方の外側電極はコーティングされていない。内側電極の外面の一部は、例えばアノードとしても機能するようにコーティングされ、残りの部分はコーティングされていない。電流は、電解質を介してコーティング外側電極から内側電極の非コーティング部分に流れ、内側電極に沿ってコーティング部分に流れ、最後に電解質を横切って非コーティング外側電極に流れる。内側電極は「双極(bipolar)」電極とも呼ばれる。
【0048】
図2Cは、複数の外側電極と1つの内側電極を備えたデバイスを通る複数のパスで電流が流れる配置を示している。カソード部分とアノード部分を交互にし、必要に応じて電極をコーティングすることにより、電流が電解質を通って複数のパスで前後に流れることができる。パスの数はそれに応じて拡大することができる。
【0049】
一態様によれば、電気化学セルは、複数の同心管電極を含む。複数のアノード管電極またはカソード管電極を含む本明細書で開示される実施形態では、複数のアノード管電極は集合的にアノードまたはアノード管と呼ばれ、複数のカソード管電極は集合的にカソードまたはカソード管と呼ばれることがある。複数のアノード管電極および/または複数のカソード管電極を含む実施形態では、複数のアノード管電極および/または複数のカソード管電極は、本明細書では集合的にアノード-カソード対と呼ばれることがある。
【0050】
電気化学セルは、例えば、3、4、または5つの同心管を含むことができる。いくつかの実施形態では、電気化学セルは、3つまたは4つの同心管電極を含み、2つの外側管電極と1つまたは2つの内側管電極を含むことができる。電解質溶液が2つではなく3つの流体通路を流れる場合があることを除いて、4つの管の電気化学セルは、3つの管の電気化学セルと同様に機能し得る。追加の電極管は、追加のカソード電極表面、アノード電極表面、および流体通路を提供し得る。同様に、5つの管電極を含む電気化学セルは、2つの外側管、3つの内側管、および4つの流体通路を含み得る。第5の電極管は、さらに追加のカソード電極表面、アノード電極表面、および流体通路を提供し得る。管の数、パスの数、および電極構成(単極または双極)は異なる場合がある。管の数、パスの数、および電極構成は、電気化学セルの望ましい用途に基づいて選択され得る。
【0051】
本明細書に開示される多管電極配置は、単位体積当たりの活性面積を徐々に増加させる。電気化学セルもしくは電気塩素化セルおよび複数の同心管電極を含むデバイスで使用される多管の数が増えると、管あたりの有効表面積が少なくなると共に、最も内側の管の直径がますます小さくなる。しかしながら、全体的な結果は、他のCTE電極デバイスと比較した場合、多管電極の活性表面が大幅に増加することである。
【0052】
本明細書で使用されるとき、電気化学セルの「活性密度(active density)」という用語は、電気化学セル内の総断面積に対する、電気化学セルで処理を受ける流体が流れる活性電極表面または機能電極表面(電気化学セル内の流体の電気化学処理に寄与する電流がそこに流れる、またはそこから流れる電極の表面)の間の断面積(電気化学セルの活性エリア)の比として定義される。定義される「活性密度」は、流体が流れることができる中心軸に垂直な平面内の面積を、中心軸に垂直な総断面積で除算したものである。測定単位は無次元、フラクション、またはパーセントである。本明細書に開示される態様および実施形態は、約46%~約52%、約50%超、いくつかの実施形態では約75%超、いくつかの実施形態では85%超、いくつかの実施形態では90%超、いくつかの実施形態では最大約95%の活性密度を有する電気化学セル含む。
【0053】
本明細書で使用されるとき、電気化学セルの全体充填密度(overall packing density)」という用語は、電気化学セルのハウジング内の総断面積に対する、電気化学セルを通る流体の流れに垂直な平面における機能電極の経路長の合計として定義される。「充填密度」は、電気化学デバイス内の電極の「活性表面積」をデバイスの総内部体積で除算したものである。測定単位は、1/長さ(例:m-1)である。電極の「活性表面積」とは電極の表面積であって、電気化学デバイス内の電気化学反応に寄与する電流が該電極から流れるか、または該電極に流れる。対向する表面を有する電極は、単一の表面または両方の表面に活性表面積を有し得る。「アノード充填密度(anodic packing density)」は、電気化学デバイスにおけるアノード(複数可)の「活性表面積」をデバイスの総内部体積で除算したものである。「カソード充填密度(cathodic packing density)」とは、電気化学デバイスにおけるカソード(複数可)の「活性表面積」をデバイスの総内部体積で除算したものである。「全体電極充填密度(overall electrode packing density)」または「総電極充填密度(total electrode packing density)」は、電気化学デバイスのアノード充填密度とカソード充填密度の合計である。本明細書に開示される電気化学セルの態様および実施形態は、アノード充填密度、カソード充填密度、および/または全体電極充填密度が2mm-1以上であり得る。
【0054】
特定の実施形態によれば、電気化学セルのアノード管および/またはカソード管は、電気化学反応で生成された水素が電極をより容易に流れ、電極表面での水素マスキング効果を低減するための開口部を有してもよい。水素マスキングは、利用可能なアノード面積を減らし、次いで、次亜塩素酸ナトリウムの出力を減らす。追加的または代替的に、アノードおよび/またはカソードは、流体透過性材料および/または有孔材料もしくはメッシュ材料、例えば有孔チタンまたはチタンメッシュを含み得る。電気化学セルは、セル内で、例えば電気塩素化反応により生成された水素と組み合わせ、水または過酸化水素を生成する酸化剤送達用のガス導管を含み得る。いくつかの実施形態では、セル内の酸化剤と水素の反応を促進するために、例えばカソード上および/またはカソード内に触媒が提供される。
【0055】
波形の使用により、電極の表面積を増やすことができる。電気化学セルは、波形のアノードまたはカソードの一方を含み、一方、アノードまたはカソードの他方は波形でない。電気化学セルは、マルチチャネル波形電極形状を含み得る。他の実施形態では、アノードおよびカソードは、例示されたものとは異なる形状の曲率を有して、電極表面積を増加させ得る。しかしながら、波形は乱流を増加させ、それに対応して電気化学セルを通る平均流速を低下させる可能性があることに注意すべきである。したがって、波形電極セルは、補償するために入口の流速を上げる必要がある。
【0056】
カソードにおけるまたはカソード内の水素低減のための表面積は、アノードごとに複数のガス拡散カソードを使用することで増加させることができる。複数のガス拡散カソードには、軸方向または平行なガス導管を介して、例えば酸素などのガス(酸化剤)を供給することができる。
【0057】
本明細書に開示される電気化学セルの態様および実施形態は、活性エリアまたはアノードとカソードの間のギャップを通過する実質的にすべての流体またはすべての流体を、ハウジングの中心軸に実質的にまたは完全に平行な方向に向けるように構成および配置されたアノードおよびカソード(またはアノード-カソード対)を含み得る。いくつかの実施形態では、ギャップは、流体通路と呼ばれる場合がある。流体通路は、0.5mから2.0mの間、例えば約1.0mの長さを有し得る。いくつかの実施形態では、流体通路は少なくとも3.0m延びていてもよい。活性エリアを通る実質的にまたは完全に平行な方向は、アノードおよびカソード(またはアノード-カソード対)に平行または実質的に平行であり得る。活性エリアを流れる流体は、活性エリアを流れる間に流体の流れが乱流および/または渦を示す場合でも、活性エリアを実質的にまたは完全に平行な方向に流れると考えられる。
【0058】
同心管電極、例えば、本明細書に開示される1つ以上のアノードおよび/またはカソードを含む電気化学セルのいくつかの態様および実施形態では、電極は、電極間の1つ以上のギャップを通る流体を電気化学セルの中心軸(
図3Bに点線で示される)に平行な方向に導くように構成および配置される。いくつかの態様および実施形態では、電極は、電極間の1つ以上のギャップを通して電気化学セルに導入されるすべての流体を、電気化学セルの中心軸に平行な方向に導くように構成および配置される。
【0059】
電極間のギャップの幅は一定でも可変でもよい。電極間のギャップの幅は、例えば、約1mm~約7mm、約1mm~約5mm、または約3mm~約5mmであり得る。いくつかの実施形態では、電極間のギャップの幅は、約2.0mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.5mm、または約4.0mmであり得る。ギャップの幅および電気化学セルの設計は、電気化学セルで処理される電解質のタイプに基づいて選択され得る。
【0060】
例示的な実施形態では、フィード電解質溶液は、3つの管電極の間に形成された2つの環状ギャップ(すなわち、流体通路)を通って流れる。一定もしくは可変のDC電圧、またはいくつかの実施形態ではAC電流は、アノード電気コネクタおよびカソード電気コネクタに印加され得る。電流は、アノードの内面および外面(中間管電極)から、内側カソードおよび外側カソード(内側管電極および外側管電極)に同時に流れる。電気接続は、電極と同じ材料、例えばチタンで形成され得る1つ以上の導電性ブリッジによって管電極間で行われ得る。電気化学反応および化学反応は、電極の表面およびバルク溶液で発生して、生成物溶液を生成する場合がある。例えば、電気化学反応および化学反応は、電極の表面およびバルク溶液で発生し、管電極間に形成された流体通路内おいてに生成物溶液を生成する場合がある。
【0061】
フィード溶液は制限されないが、一般に、電気化学システムにはブライン、汽水、または海水が供給され得る。電気化学セルの設計パラメータは、一般に、フィード溶液の組成および/または生成物溶液の所望の組成に基づいて選択され得る。海水は一般に、約3.0%~4.0%の塩度を有し、例えば、海水は約3.5%、約3.6%、または約3.7%の塩度を有し得る。海水には、ナトリウム、塩化物、マグネシウム、硫酸塩、カルシウムなどの溶存イオンが含まれている。海水は、硫黄、カリウム、臭化物、炭素、およびバナジウムのうちの1つ以上をさらに含み得る。海水は、約35,000mg/lの総溶解固形分(TDS)含有量を有し得る。一般に、ブラインは約3.5%を超える塩度を有する。例えば、ブラインは、約4.0%、約4.5%、約5.0%、約7.5%、または約10%の塩度を有し得る。ブラインは、約35,000mg/l超のTDS含有量を有し得る。飽和ブラインは、最大約25.0%の塩度を有し得る。汽水は一般に3.5%未満の塩度を有する。汽水は、約3.0%、約2.5%、約2.0%、または約1.0%の塩度を有し得る。汽水は、約35,000mg/l未満のTDS含有量を有し得る。例えば、汽水は、約1,000mg/l~約10,000mg/lのTDS含有量を有し得る。
【0062】
一般に、電解質溶液の導電率は、塩度に応じて、約0~25S/cmであり得る。約0.5%~2.0%の塩度を有する汽水は、約0.5S/cm~約4.0S/cmの導電率、例えば約0.8S/cmまたは約3.0S/cmの導電率を有し得る。約3.5%の塩度を有する海水は、約4.5S/cm~5.5S/cmの導電率、例えば、約5.0S/cmまたは約4.8S/cmの導電率を有し得る。約5.0%~10%の塩度を有するブラインは、約7S/cm~13.0S/cmの導電率、例えば約12.6S/cmの導電率を有し得る。約25%の塩度を有する飽和ブラインは、約20.0S/cm~約23.0S/cmの導電率、例えば約22.2S/cmの導電率を有し得る。塩度と導電率は線形関係:y=0.9132x+1.6332に従う場合があり、ここでyは導電率(S/cm)、xはパーセント塩度(%NaCl)である。
【0063】
スケーリングとファウリングは、一般的に電気化学セル内の低速領域で発生し得る。従来、スケーリングを除去するには酸洗浄が必要な場合がある。酸洗浄では、電気化学セルをオフラインにする必要があり、生産および使用が制限される。本明細書に開示されるように、電気化学セルの構成要素は、低速領域を減らし、スケーリングおよびファウリングを低減するように設計され得る。自己洗浄特性を維持するために必要な平均流体速度は、電解質溶液の質に依存し得る。本明細書で使用される場合、自己洗浄流体速度は、スケール形成が実質的に最小化され得る平均バルク流体速度である。自己洗浄流体速度は、電気化学セル内のスケール形成を最小化、制限、または実質的に低減するように選択され得る。自己洗浄流体速度を維持すること、および/または速度低下ゾーンを最小化すること、デバイスの酸洗浄の必要性を大幅に削減または排除することができる。したがって、デバイスは、一般的に電極またはそのコーティングが劣化するまで、はるかに長い期間連続使用して維持することができる。
【0064】
典型的には、電気化学セル、例えば海水を処理するために使用される電気化学セルの自己洗浄特性を維持するために、バルク流体速度は平均速度2m/秒超に維持され得る。例えば、室温(20~25℃)でマグネシウム濃度が約1000~1400ppm、カルシウム濃度が約300~450ppmの海水または水は、自己洗浄特性を維持するために、約2m/秒以上の平均流量を必要とする場合がある。海水またはより高い硬度を有する水、例えば最大約500ppmのCaおよび約1800ppmのMgを有する水(紅海の水)は、自己洗浄特性を維持するために、より高い平均流速を必要とする場合がある。そのような海水は、自浄特性を維持するために、約2.5m/秒または約3.0m/秒の平均流速を必要とする場合がある。海水またはより低い硬度を有する水、例えば約200ppmのCaおよび約700ppmのMgを有する水(アラビア湾からの水)は、より低い平均流速で自己洗浄特性を維持することができる。例えば、そのような海水は、約1.5m/秒または約1.8m/秒の平均流速で自己洗浄特性を維持することができる。
【0065】
温度が約20℃超もしくは約25℃超の海水(例えば、約40℃の温度を有し得るアラビア湾の水)、または温度が約20℃未満もしくは約25℃未満の温度の海水(例えば、約0℃の温度を有し得る北海の水)もそれぞれ、より低い平均流速またはより高い平均流速で、自己洗浄特性を維持することができる。さらに、汽水およびブラインは、より低い平均流速で、自己洗浄特性を維持することができる。
【0066】
電気化学セルの自己洗浄特性を維持するために、必要に応じて平均流速を維持することができる。例えば、特定の電解質溶液で自己洗浄特性を維持するために、流速は必要に応じて、約1.5m/秒超、約1.5m/秒~約2m/秒、約2m/秒超、約2m/秒~約2.5m/秒、約2.5m/秒超、約2.5m/秒~3.0m/秒、または約3.5m/秒超に維持され得る。特定のフィードストリームでは、流速は4m/秒、5m/秒、6m/秒、7m/秒、8m/秒、9m/秒、もしくは10m/秒に、または4m/秒、5m/秒、6m/秒、7m/秒、8m/秒、9m/秒、もしくは10m/秒の近くに維持され得る。以下でより詳細に説明するように、自己洗浄速度未満の平均速度は、所定の長さ以内に分離され得る。
【0067】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、電極、例えば、カソードおよびアノードは、ハウジングの中心軸の周りでハウジング内に同心円状に配置され得る。電極を非金属製のハウジングに挿入し、防水コネクタでDC電源またはAC電源に接続して、電気的に生きている構成要素が外部環境にさらされないようにすることができる。この設計は一般にオペレータにとってより安全であり、デバイスと外部接地した構成要素または液体との間のショートのリスクはない。
【0068】
電極は、電極を外部環境から電気的に絶縁し、電気化学セルを通過する電解質の流体圧力に耐えるように設計された非金属製ハウジング内に配置され得る。ハウジングは非導電性で、電解質溶液に対して化学的に非反応性であり、システムの圧力、システムの高周波振動、および環境の低周波振動(例えば、船上で)に耐える十分な強度を有し得る。ハウジングは、最大16Barの圧力に耐える十分な強度を有し得る。ハウジングは、最大10m/秒の電解質溶液流速に耐える十分な強度を有し得る。ハウジングは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、高密度ポリエチレン(HDPE)、繊維強化ポリマー(FRP)、またはその他の適切な材料の1つ以上を含み得、いくつかの実施形態では、補強要素、例えば、ポリマーマトリックスに埋め込まれたガラス繊維または炭素繊維を含み得る。電極コネクタは、ハウジングの一端でハウジングの壁の外側に延びる場合がある。いくつかの実施形態では、電極コネクタは、ハウジングの両端でハウジングの壁の外側に延びる場合がある。
【0069】
図3A~3Cに示されるように、電気化学セル1000は、電極1020と電極1040との間のギャップを維持するように構成された1つ以上のセパレータ1180を含み得る。セパレータ1180は、(
図3Cに示されるように)電極1020と電極1040との間、例えばカソードとアノードとの間に位置するように配置され得る。(
図3Cで電極1020と1040との間に示される)流体通路を維持するために、セパレータ1180は、電極1020と電極1040との間のギャップの幅を維持し、電極1020と電極1040を局所化し、管の同心性を維持する高さを有するように寸法設定され得る(
図3Bに示されるように)。セパレータ1180は、流体が通路を流れることができるように寸法設定され得る。
【0070】
図7A~7Bは、セパレータ1180の別の実施形態を示す。
図7Aに示されるように、各セパレータ1180は、電極管1020、1040の端部に取り付けられるように構築および配置され得る。セパレータは、
図7Bに示されるように、電極管1020、1040内に配置され得る。セパレータ1180は、電極または電気コネクタとメイトする1つ以上の特徴部1186を含み得る。本明細書で使用される「メイト(mate)」は、2つ以上の要素間の接続を指す。接続は機械的および/または電気的であり得る。メイト特徴部を使用して、アラインメントを維持し、電極または電気コネクタに対するセパレータの回転を防止することができる。成形された特徴部1186は、
図7C~7Dに示されているように、他の取り付け要素の必要性を減らすことにより、電気化学セルの組み立てを容易にし得る。いくつかの実施形態では、セパレータは、電極管とメイトし、同心電極管の同心性を維持するように構成されたスロット、クランプ、または一体型取り付け特徴部を備え得る。
【0071】
セパレータは、高圧に耐えることができる化学的に不活性な非導電性材料から構築され得る。いくつかの実施形態では、セパレータは、最大16Barの圧力、システムの高周波振動、および環境の低周波振動(例えば、船上で)に耐えるように構築され得る。セパレータは、最大10m/秒の電解質溶液流速に耐えるように構成され得る。セパレータは、プラスチックまたはセラミックで構成され得る。セパレータは、PVC、PTFE、PVDF、ABS、HDPE、FRP、または他の適切な材料の1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、製造および組み立てを容易にするために、セパレータは射出成形され得る。
【0072】
セパレータなどの流れ特徴部は、流れる電解質溶液に抵抗を生じさせる傾向があり、セパレータの下流に速度低下エリア(本明細書では「速度低下ゾーン」とも呼ばれる)をもたらす。前述のように、平均流速の低下は、電気化学セルの自己洗浄特性を損なわせる可能性がある。したがって、自己洗浄速度未満の平均速度は、セパレータから流体通路を下る所定の長さ以内に分離されるべきである。セパレータのない自己洗浄電気化学セルは、例えば電気化学セルの入口から20mm以内に速度低下ゾーンを分離し得る。いくつかの例示的な実施形態では、
図4に示すように、速度低下ゾーンがセパレータから140mm以内に分離される場合に、自己洗浄特性が満たされる。いくつかの実施形態によれば、セパレータは、速度低下ゾーンを20mm以内(
図4)または60mm以内(
図5)に分離するように寸法設定され得る。
【0073】
速度低下ゾーンは、電解質溶液流速が通路を通る溶液の平均流速または自己洗浄速度よりも低いエリアによって定義され得る。セパレータから生じる速度低下ゾーンは一般にセパレータの下流に位置しているが、電気化学セル内には他の速度低下ゾーンが存在し得る。いくつかの実施形態では、速度低下ゾーンは、電解質溶液の平均流速が自己洗浄速度または流体通路を通る平均速度より少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、または25%低いエリアによって定義される。少なくとも2m/秒の自己洗浄速度または平均流速を有する例示的な電気化学セルの場合、速度低下ゾーンは、2m/秒未満の任意の流速、2m/秒より少なくとも25%低い流速(例えば、1.5m/秒)、2m/秒より少なくとも20%低い流速(例えば、1.6m/秒)、2m/秒より少なくとも15%低い流速(例えば、1.7m/秒)、2m/秒より少なくとも10%低い流速(例えば、1.8m/秒)、2m/秒より少なくとも5%低い流速(例えば、1.9m/秒)、2m/秒より少なくとも2%低い流速(例えば、1.96m/秒)、または2m/秒より少なくとも他の任意の%低い流速によって定義され得る。
【0074】
速度低下ゾーン内の任意の平均流速について、流体速度が自己洗浄流体速度に等しい平均バルク速度か、電気化学セル内の平均流体速度に等しい平均バルク速度に分離すると、該ゾーンが終了する場合がある。例えば、速度低下ゾーンは、平均流体速度が2m/秒(または他の任意の所望の自己洗浄速度)に達すると分離する所定の速度プロファイルを有し得る。いくつかの実施形態では、平均流体速度が自己洗浄速度または電気化学セル内の平均速度の1%、2%、5%、または10%以内の速度に達すると、速度低下ゾーンが終了する。したがって、2m/秒の自己洗浄速度を有する例示的な電気化学セルでは、平均流体速度が2m/秒、1.98m/秒(1%以内)、1.96m(2%以内)、1.9m/秒(5%以内)、または1.8m/秒(10%以内)に分離するときに、速度低下ゾーンが終了する場合がある。いくつかの実施形態では、平均流体速度が入口流体速度、例えばセパレータの上流の流体速度に分離されると、速度低下ゾーンは終了する。平均流体速度が入口流体速度の1%、2%、5%、または10%以内の流体速度に分離すると、速度低下ゾーンは終了する場合がある。
【0075】
速度低下ゾーンは、電気化学セルを通るバルク電解質溶液の平均流速からの速度偏差によっても特徴付けられ得る。速度低下ゾーン内での速度幅は、通常、速度低下ゾーンとセパレータの境界(即ち、セパレーターのすぐ下流)で最大になる。速度幅は、電気化学セルの平均流速からパーセンテージ以内になるまで、下流で正規化する傾向がある。例示的な実施形態では、速度幅は、
図22のグラフの曲線に従う。いくつかの実施形態では、速度低下ゾーン内の速度偏差は、平均流速の±20%を超えず、例えば±18%を超えず、±15%を超えない。速度低下ゾーンは、速度幅が平均流速の±5%以内、±2%以内、±1%以内であるときに終了する場合がある。定義により、平均流速は平均速度であるため、速度幅は、電気化学セルの長さ全体にわたって自己洗浄速度からわずかな%以内にとどまる可能性があると考えられる。
【0076】
セパレータは、セパレータの下流の流体通路で自然に発生する速度低下ゾーンを最小化するように設計され得る。電気化学セルの自己洗浄特性を維持するために、速度低下ゾーンは最小化される。セパレータは、速度低下ゾーンを所定の長さ以内に維持するように寸法設定され得る。一般に、速度低下ゾーンの所定の長さは、流体通路を通る平均流速および/または電解質溶液の組成に基づいてスケーリングを最小化または排除するように選択され得る。所定の長さは、例えば、流体通路の長さの約2%~5%、例えば約5%未満であり得る。いくつかの実施形態では、所定の長さは、流体通路の約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%未満である。特定の電解質溶液は、他のものよりも大きな所定の長さに耐えることができる。電解質溶液の組成、硬度、および温度は、スケーリングに対する電気化学セルの耐性を決定する際に役割を果たし得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、所定の長さは、流路の幅に関連して記載される。例えば、流体通路の幅に対する速度低下ゾーンの長さの比率は、120:3.5未満であり得る。この比率は、3.5mmの通路幅に対して120mm未満の長さの長さを有する速度低下ゾーン、3.0mmの通路幅に対して102.8mm未満の長さの長さを有する速度低下ゾーン、2.5mmの通路幅に対して85.7mm未満の長さを有する速度低下ゾーンなどに対応する。流体通路の幅に対する速度低下ゾーンの長さの比率は、100:3.5未満、60:3.5未満、または20:3.5未満であり得る。いくつかの実施形態では、2.0m/秒~2.5m/秒、例えば2.0m/秒、2.1m/秒、2.2m/秒、2.3m/秒、2.4m/秒、または2.5m/秒の平均流速で流体通路を通って流れる電解質溶液について、所定の長さは140mm、120mm、100mm、60mm、または20mm以内であり得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、セパレータは、通路を通る所定の流れエリアのみを許可することにより、速度低下ゾーンを最小化するように設計され得る。セパレータは、流体通路の流れ面積の所定の割合をカバーする断面積を有するように寸法設定され得る。例えば、セパレータは、流体通路の流れ面積の10%~35%の断面積を有するように寸法設定され得る。セパレータは、流体通路の流れ面積の約10%未満、約15%未満、約20%未満、約25%未満、約30%未満、または約35%未満の断面積を有するように寸法設定され得る。一般に、セパレータは、流体通路を支持しながら、可能な限り小さい断面積を有するように(即ち、最大の溶液の流れを可能にするように)設計され得る。セパレータの断面積は、電気化学セルの自己洗浄特性を維持するためにセパレータの下流で発生する速度低下ゾーンを減らしながら、同心性を維持するために電極管に適切なサポートを提供するように設計され得る。
【0079】
セパレータは、電解質溶液の平均速度からの偏差を、流体通路を通る電解質溶液の平均流速の±20%、例えば±18%、または±15%以内に維持するように設計され得る。セパレータは、セパレータの下流での平均からの速度偏差を最小化するように寸法設定され得る。例えば、セパレータは、セパレータのすぐ隣の平均からの速度偏差を最小化することができる。いくつかの実施形態では、平均からの速度偏差を最小化するために、セパレータは水線化され得る。本明細書で説明される場合、「水線化された(aqualined)」とは、溶液の流れに対して流線型にされた構成を有する構成要素を指し得る。水線化されたは、平均からの最小の下流速度偏差を形成する構成を含み得る。いくつかの実施形態では、水線化された構成は、下流で渦を形成しないか、または下流で渦を実質的に形成しない。水線化された構成は、層流を提供することに限定される必要はなく、乱流に囲まれていてもよい。いくつかの実施形態では、水線化された構成は、電気化学セルを通る電解質の流れの中の乱流に実質的に寄与しない。
【0080】
特定の実施形態によれば、
図6Aに示されるように、セパレータは、リング1182と、リング1182から延びる複数の突起1184とを含み得る。セパレータは、突起1182の間の流体の流れを可能にし得る(例えば、
図3Cに示されるように)。セパレータのアラインメントのために設けられた特徴部1186は、リング1182の上、例えば隣接する突起の間に配置され得る。突起1184は、通路を通る流体の流れを可能にしながら、電極管の間のギャップを維持するために提供され得る。したがって、突起は、流体通路の幅を維持する高さを有するように寸法設定され得る。
図6B~6Dに示すように、Hは流体チャネルの幅に本質的に等しい突起の高さであり、Wは突起の幅であり、Lは流体通路に沿った突起の長さである。突起1184は、一端でリング1182に取り付けられ、リングから半径方向外向きに、またはリングから半径方向内向きに延びることができる。突起がリングから半径方向外側および半径方向内側に延びる実施形態では、
図6Aに示すように、高さは流体通路の幅の半分に本質的に等しい場合がある。
【0081】
典型的には、突起は、
図6Cおよび
図6Dに示されるように、幅Wより大きい長さL(流体通路を下る方向で定義される)を有し得る。さらに、突起は、流れる電解質への抵抗を減らすために、流線型の構成または水線化された構成を有し得る。いくつかの実施形態では、突起は、球形、円筒形、卵形、涙滴形、アーモンド形、ダイヤモンド形(細長いまたは対称的な)、または丸い三角形であってもよい。突起は、円形、楕円形、三角形、ダイヤモンド、または涙滴の断面形状を有していてもよい。
【0082】
セパレータは、一般的に、電極管を支持するのに十分な突起を有することができる。いくつかの実施形態では、セパレータは、2~8個の突起、例えば、3~6個の突起を有し得る。セパレータは、例えば、3個、4個、5個、または6個の突起を有し得る。リングと突起の寸法は、速度低下ゾーンを低減するように設計され得る。例えば、突起の数および配置は、速度低下ゾーンを最小化するか、または速度低下ゾーンを所定の長さ以内に維持するように選択され得る。したがって、セパレータは、流体通路の流れ面積の10%~35%のセパレータ断面積をもたらす突起の数および幅を有し得る。いくつかの実施形態では、突起は、均等な支持を提供するために、リング上で実質的に等間隔に配置され得る(例えば、
図6Aに示されるように)。同様に、突起の長さおよび幅は、速度低下ゾーンを最小化するか、または速度低下のゾーンを所定の長さ以内に維持するように選択され得る。突起は、過度の抵抗を与える幅を実質的に超えないが、電極に十分な構造的支持を提供する幅を有するように(例えば、突起の数に基づいて)寸法設定され得る。特定の材料については、突起は、適切な支持も提供する製造可能な最小幅を有し得る。いくつかの実施形態では、突起は、高さの0.5~2倍、例えば、高さの0.5~1倍、または高さの1~2倍の幅を有するように寸法設定され得る。
【0083】
典型的な電気塩素化セルは1~5mmの通路幅を有する。そのような電気化学セルは、0.5~3mmのリング幅を有するセパレータ、1~5mmの高さを有する突起(通路幅と相関する)、1~10mmの幅を有する突起、および1~10mmの長さを有する突起を含み得る。例示的な電気化学セルは、3.0~3.5mmの通路幅を有し得る。そのような電気化学セルは、1mmの幅を有するリングと、2.5~7mmの幅および5~10mmの長さを有する突起とを含むことができ、該長さは該幅より短くない。リングは、流体通路の実質的に中央に配置され、突起がリングから両方向に延びていてもよい。この例示的なリングにおける突起の高さは、端から端まで測定され得る。いくつかの実施形態では、リングは電極の一方に対して配置され、突起は対向電極に向かって実質的に一方向に延びることができる。
【0084】
前述のように、電気化学セルは、複数の同心管電極、例えば、3つ、4つ、または5つの同心管電極を含むことができる。追加された同心管電極ごとに、追加のカソード電極表面、追加のアノード電極表面、および追加の流体通路が提供される。各流体通路は、各隣接するカソードとアノードの間に画定されてもよく、各流体通路は、他の流体通路およびハウジングの中心軸に実質的に平行に延びてもよい。さらに、各流体通路は、流体通路を維持するために電極間に存在するセパレータに関連付けられてもよい。したがって、電気化学セルは、同心電極間に存在する複数の同心セパレータを含み得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、例えば、
図16に示されるように、電気化学セル1000は、複数の連続電極1020、1022を含み得る。連続電極1020、1022は、ハウジングの長さに沿って配置され得る(
図16には示されていない)。
図17A~17Cに示すように、電気化学セル1000は、連続電極1020、1022の間に配置された1つ以上のセパレータ1200を含み得る。セパレータ1200は、連続電極1020、1022と(例えば、スロット、クランプ、または電気接続などの特徴部によって)メイトするように配置、配列、および構成され、電気化学セル1000内に電極を配置することができる。さらに、同心電極1020、1040、および連続電極1020、1022が存在する場合、
図18Aおよび18Bに示すように、複数の同心セパレータ1200は連続電極1020、1022の間に配置され、連続電極の同心性を維持するように構成され得る。
【0086】
連続電極間に配置されたセパレータは、複数の隣接するリング1220を含み得る。隣接するリング1220のいくつかの実施形態が、
図19~21に示されている。例えば、セパレータは、2つ、3つ、または4つの隣接するリングを含み得る。いくつかの実施形態では、前述のように、隣接するリングの少なくとも1つが複数の突起を含む。隣接するリングは、互いにおよび/または隣接する連続電極とメイトするように構成され得る。セパレー
タの下流に存在する速度低下ゾーンを低減するために、隣接するリングの間に生じるギャップは最小化され得る。例えば、前述のように、連続するリング間のギャップは、速度低下ゾーンを所定の長さ以内に維持するように寸法設定され得る。いくつかの実施形態では、有効なギャップ、したがって速度低下ゾーンを低減するために、隣接するリングの間にシールが実装され得る。
【0087】
隣接するリング間のギャップは、セパレータの幅、例えばセパレータのリングの幅の1.60倍未満であり得る。例えば、セパレータは、1~3mmの幅を有するリングを含み得る。隣接するリング間のギャップは、4.80mm未満、3.20mm未満、または1.60mm未満であり得る。ギャップの幅は、0.5~4.80mm、0.5~3.20mm、または0.5~1.60mmであり得る。例示的な実施形態では、セパレータは、1mmの幅を有する複数の隣接するリングを含むことができ、複数のリングのそれぞれ2つの間のギャップは、0.5~1.60mmの幅を有する。一般に、隣接するリング間のギャップの幅は、物理的に可能な限り小さくなるように寸法設定され得る。製造が可能であれば、隣接するリングの間に実質的に隙間がない場合がある。
【0088】
特定の実施形態によれば、例えば、
図8Aおよび8Bに示されるように、電気化学セル1000は、それぞれがハウジング1160の遠位端に結合された入口エンドキャップおよび出口エンドキャップ1060および1080を含み得る。エンドキャップ1060、1080は、実質的に中央に配置された開口部1062を有し得る(それぞれ、エンドキャップの上面図および底面図である
図9Aおよび9Bに示されるように)。
図8Bの断面図に示すように、開口部は、電気化学セルの内部のアノードとカソードとの間の流体通路と流体連通していてもよい。エンドキャップは、開口部と電気化学セルの流体通路との間の流体連通を提供する流体導管1064を(
図9Dの断面図に示されるように)さらに含み得る。したがって、例えば電解質溶液などの流体は、入口エンドキャップの1つ以上の流体導管を通して電気化学セル内に導入され、電極間のギャップ、すなわち流体通路を通して継続することができる。流体は、出口エンドキャップの流体導管を通って電気化学セルから出て、実質的に中央に配置された開口部から出ることができる。
【0089】
エンドキャップ内の流体導管は、電気化学セル全体の圧力降下を最小限に抑えるように設計され得る。円筒パイプでは、粘性効果による圧力損失は長さに比例し、Darcy-Weisbach方程式によって特徴付けられる:
【数1】
式中、Δpは圧力損失(Pa)であり、Lは導管の長さ(m)、Dは水力直径(m)であり、f
Dは摩擦係数(レイノルズ数、材料の絶対粗さおよび相対粗さ、ならびに摩擦係数によって決定される)であり、ρは流体の密度(kg/m
3)であり、<v>は平均流速(m/秒)である。
【0090】
したがって、圧力降下は、長さ、水力直径、および導管の材料によって異なる場合がある。いくつかの実施形態では、流体導管の半径および/または長さは、電気化学セル内の圧力降下を最小化するように寸法設定され得る。さらに、流体密度および流速も圧力降下に影響を与え得る。
【0091】
圧力降下は、電気化学セルを通る入口圧力と出口圧力の差によって決定され得る。いくつかの実施形態では、圧力降下を最小化することは、入口圧力を最小化することを含む。したがって、いくつかの実施形態では、入口エンドキャップの流体導管の半径および/または長さは、所望の入口圧力を維持するように寸法設定され得る。入口圧力は、例えば、125kPa未満、122kPa未満、120kPa未満、118kPa未満、117kPa未満、116kPa未満、または115kPa未満に維持され得る。しかしながら、入口圧力は、電気化学セルの適切な使用を促進する範囲内に維持される必要がある。入口圧力は、約115kPa~125kPa、例えば約117kPa~121kPaに維持され得る。出口圧力は、約100kPa~105kPa、例えば約101kPa~103kPaに維持され得る。最小化された圧力降下は、製造および材料の制約により許容される限り、実質的に圧力降下なしに近い場合があり、例えば、25kPa未満、24kPa未満、23kPa未満、22kPa未満、21kPa未満、20kPa未満、19kPa未満、18kPa未満、17kPa未満、16kPa未満、15kPa未満、またはさらに低い値であり得る。最小化された圧力降下は、電解質溶液の流体密度および平均流速(例えば、そのような流体の自己浄化流速)に依存し得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、流体導管は、第一半径のゾーンと、第一半径よりも大きい第二半径のゾーンとを含む。第一半径のゾーンは、実質的に中心に位置する開口部に隣接していてもよく、一方、第二半径のゾーンは、流体通路に隣接していてもよい。例示的な実施形態では、入口エンドキャップの流体導管は、第一直線領域、半径方向に増加する領域、および第二直線領域を有し、第一直線領域は第一半径に対応し、第二直線領域は第二半径に対応し得る。エンドキャップは、ハウジングの端部とメイトするための特徴部を含み得る。
【0093】
エンドキャップは、高圧に耐えることができる化学的に不活性な非導電性材料から構成され得る。いくつかの実施形態では、エンドキャップは、最大16Barの圧力、システムの高周波振動、および環境の低周波振動(例えば、船上で)に耐えるように構成され得る。エンドキャップは、最大10m/秒の電解質溶液流速に耐えるように構成され得る。エンドキャップは、プラスチックまたはセラミックから構成され得る。エンドキャップは、PVC、PTFE、PVDF、ABS、HDPE、FRP、または他の適切な材料のうちの1つ以上を含み得る。
【0094】
図10Aおよび10Bに示すように、電気化学セルは、エンドキャップ1060の流体導管内に配置され、流体通路への溶液の流路を画定するように構成されたコーン1120をさらに含み得る。コーン1120は、流体通路への流路を画定するためにハウジング1160に結合され得る。いくつかの実施形態では、コーンは、電極1020(
図11Aに示す)、電気コネクタ1240(
図11Bに示す)、または電気化学セルの他の要素に結合して、流体通路への流体の流路を画定することができる。したがって、コーンは、流体通路の内径に等しいかまたは実質的に等しいベース直径を有し得る。
【0095】
前述のように、電気化学セル全体の圧力降下は水力直径によって異なる場合がある。入口コーン1120、出口コーン1140、またはその両方(
図8Bに示すように)は、例えば流路の水力直径を変えることにより、電気化学セルにわたる圧力降下を最小化するように設計され得る。
図12は、例示的な電気化学セルにわたる圧力降下の等高線図である。
図12に示されるように、流体通路にわたって圧力差がある。入口エンドキャップの流体通路の寸法を変えることは、
図13A~Cに示されるように、入口圧力に影響を及ぼし得る。加えて、入口コーンの寸法を変えることは、
図14A、および
図14Bのグラフに提示されたデータに示されるように、圧力降下に影響を及ぼし得る。
【0096】
圧力降下を最小化することは、例えば、流体導管とコーンの間の実質的に一定の流れ面積を維持することを含み得る。一般的に、コーンは、流体通路に対応するように寸法設定されたベースを有し得る。環状流体通路の場合、ベースは、環状流体通路の内径に実質的に対応する直径を有し得る。圧力降下を低減するために流体導管の寸法を設計することに加えて、コーンの高さ、頂角、底角、および傾斜高さの1つ以上が電気化学セル全体の圧力降下を最小限に抑えるように寸法設定され得る。インレットコーン、アウトレットコーン、またはその両方は、20度~90度の頂角、例えば30度~80度、または40度~60度の頂角を個別に有し得る。インレットコーン、アウトレットコーン、またはその両方は、電気化学セル全体の圧力降下を最小限に抑えるために、または必要に応じて、個別に10度、20度、30度、40度、50度、60度、70度、80度、90度の頂角を有し得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、例えば、
図15Aおよび
図15Bに示されるように、電気化学セルは、出口コーンの代わりに出口錐台1122を含む。出口錐台1122は、出口エンドキャップ1080の流体導管1064内に配置され、電気化学セルから出る溶液の流路を画定するように構成され得る。出口錐台1122は、等高線図に示されるように、電気化学セル全体の圧力降下をさらに最小化するように寸法設定され得る。出口コーンを変更して出口錐台を生成することにより、出口エンドキャップの総流れ面積が増加し、さらに低減された圧力降下がもたらされる。
【0098】
エンドキャップの流体導管は、溶液の完全に発達した流れを可能にするように寸法設定され得る。さらに、流体導管とコーンの間に画定された流路は、溶液の完全に発達した流れを維持するように寸法設定され得る。本明細書で使用する場合、完全に発達した流れは、流体導管を通る流れの境界層が膨張して導管全体を満たすときに発生し、流れ特性は導管の残りの長さにわたって実質的に同じままである。入口の長さは、流体の流れが完全に発達するために必要な導管の長さである。流路の長さは、特定の溶液の入口長さよりも長くてもよく、その結果、導管とコーンの間を移動する流れが完全に発達する、かつ/または完全に発達したままである。
【0099】
流路は、コーンと流体導管の間のスペースによって定義される水力直径を有し得る。いくつかの実施形態では、流路は、完全に発達した流れを維持するために、流体導管のより大きな直線領域(即ち、第二半径のゾーン)の長さの2~10倍の水力直径を有し得る。流路は、第二半径のゾーンの長さの少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍の水力直径を有するか、または必要に応じて特定の電解質溶液の完全に発達した流れを維持することができる。一般に、適切な入口圧力および電気化学セル全体の圧力降下を維持しながら、第二半径のゾーンの長さは可能な限り大きくすることができる。
【0100】
エンドキャップはまた電極に電流を供給するための電気コネクタを組み込むことができ、電気化学セルに空気圧シールを提供することもできるため、エンドキャップは潜在的に二重の目的に役立つ可能性がある。例えば、電気化学セルの両端に固定されたエンドキャップは、空気圧で密閉されたチャンバーを形成し得る。キャップは、ガス導管の空気圧および電気経路の構成を提供し得る。
【0101】
図23A~23Dに示すように、電気化学セル1000は、電極の遠位端に配置され、電極に電気的に接続された電気コネクタ1240を含み得る。電流は、電気コネクタを介して電気化学セルに印加され、電極およびプロセス流体を通って内部を移動し、対応する接地接続を介して電気化学セルを出ることができる。電気化学セルに印加される最大電流は、一般に約3000A/m
2未満の動作電流密度によって定義され得る。動作電流密度は、電極のコーティングと内部電極の表面積によって異なる場合がある。電気化学セルの設計中、電気コネクタの表面積、印加電流、セル材料の抵抗率、およびセルの熱容量率によって抵抗が異なる場合がある。
【0102】
電気コネクタは、任意の導電性の耐腐食性材料でできていてもよい。いくつかの実施形態では、電気コネクタは、1つ以上の電極と同じ材料、たとえばチタンでできていてもよい。電気コネクタは、例えば、メイト特徴部または溶接を介して電極に固定されていてもよい。電気コネクタは、連続的な導電性シートから製造されてもよく、または溶接されるか、もしくは導電的に接合される特徴部を含み得る。従来、電気コネクタは製造が容易であるが、水線化されるように設計されていない。したがって、従来の電気コネクタは、一般に、下流に低流速の大きな領域を作り出す。
【0103】
アノード電極管(複数可)への電気的接触を提供するために、本明細書に開示されるような多管電気化学セルの第一端部に第一電気コネクタが提供され、カソード電極管(複数可)への電気的接触を提供するために、本明細書に開示されるような多管電気化学セルの第二端部に第二電気コネクタが提供され得る。電気コネクタに開口部を設けて、同心電極管間のギャップに流体を流すことができる。電気コネクタのスポークは、例えば電極管および/またはスペーサと係合するために、間隔をあけて、例えばスロット、タブ、ピン、および/または突起などの位置決め要素を有してもよい。電気コネクタの外縁は、単一のコネクタまたは複数のコネクタを使用して電源に接続することができる。
【0104】
電気コネクタと電源からの電線との間の接続は、安全性と腐食防止のために、例えばガスケット、ネジおよび/またはボルトなどで密閉され、環境から隔離され得る。防水コネクタ(例えば、IP54コネクタ)を使用して、電気コネクタを電源に接続することができる。特定の実施形態は、オペレータを衝撃の危険から保護し、高価な耐候性エンクロージャの必要性を省く、高い進入保護(IP)定格も提供し得る。例示的な実施形態では、例えば、ABS、U-PVC、C-PVC、および/またはPVDF材料を使用した高密度プラスチック配管の構成要素は、例えば次亜塩素酸ナトリウムに対する耐薬品性および約5~約15Barの範囲の高い達成可能な圧力定格により、電気コネクタを密閉および絶縁するために使用され得る。市販の高IP定格ケーブルコネクタを使用して、電流を電極に移動させ、かつ電極から電流を移動させることができる。
【0105】
電気コネクタは、電気抵抗と発熱を最小限に抑えるように設計され得る。一般に、電気抵抗はデバイスの形状と材料の抵抗率の関数である。電気導体によって生成される熱のパワーがその抵抗と電流の2乗の積に比例することを規定するジュールレンツの法則に従って、発熱は抵抗の増加とともに増加する。直列で動作する場合、各電気化学セル内で発生する熱は直列に累積されるため、最小限に抑える必要がある。ただし、所望の生成物を生成するために、印加電流は適切な範囲内に維持される必要がある。したがって、いくつかの実施形態では、電気コネクタは、適切な電流を提供しながら、所与の材料の抵抗(したがって、発熱)を最小限に抑えるように寸法設定され得る。
【0106】
例示的な実施形態では、電気コネクタはチタンベースであり得る。電気コネクタは、25W~1.5kW、例えば25W~100W、100W~1kW、または1kW~1.5kWの電力を電極に伝送するように動作させ得る。電気コネクタは、約100W未満の熱、例えば、約75W未満の熱、約50W未満の熱、または約25W未満の熱を発生するように寸法設定され得る。いくつかの実施形態では、電気コネクタは、少なくとも100Wの電力を複数の電極のうちの少なくとも1つに伝送するときに約25W未満の熱を生成するように寸法設定され得る。そのような実施形態では、電気コネクタは、少なくとも100Wの電力を伝送する場合、1℃未満、たとえば約0.5℃未満、または約0.1℃未満を生成するように寸法設定され得る。
図25Cは、電気コネクタで発生した熱の等高線図である。
図25Cの例示的な実施形態に示されるように、流体の温度は、入口での約20.05℃から、電気コネクタに続く最大20.10℃、および電気化学セルの出口で約20.07℃まで上昇する。他の実施形態では、電気コネクタは、少なくとも1kWの電力を伝送するときに約25W未満の熱を生成するように寸法設定され得るか、少なくとも1kWの電力を伝送するときに約100W未満の熱を生成するように寸法設定され得るか、または少なくとも1.5kWの電力を伝送するときに約100W未満の熱を生成するように寸法設定され得る。伝送される電力は、動作要件に依存し得る。
【0107】
電気コネクタは、電気コネクタの下流で発生する速度低下ゾーンを最小化するように設計され得る。
図25Dは、例示的な電気コネクタの下流の速度の等高線図である。セパレータに関して前述したように、電気化学セルの自己洗浄特性を維持するために、速度低下したゾーンは最小化される。電気化学的接続は、前述のように、速度低下ゾーンを所定の長さ以内に維持するように寸法設定され得る。
【0108】
電気コネクタはさらに、同心電極の周りに実質的に均一な電流分布を提供するように設計され得る。内側電極1020および外側電極1040の周りの電流分布が
図25Bに示されている。電気コネクタは、実質的に均一な電流分布を提供するために、対称または実質的に対称な形状を有し得る。
【0109】
図24A~24Cに示されるように、電気コネクタ1240は、ホイール1242およびスポーク1244を含み得る。各ホイール1242は、対応する電極管への電気接続を提供するように構成され得る。したがって、複数の同心電極管を備えた実施形態では、電気コネクタは対応する同心ホイールを含み得る。スポークは、同心ホイール間の電気接続を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、スポークは、製造を容易にし、抵抗を減らすために直線的であり得るが、任意の形状にすることができる。スポークの電気抵抗は、次の式で定義することができる:
R=ρH/(W×L)
式中、Rは抵抗であって、ρは材料の抵抗率であって、Hは同心ホイール間のギャップによって決定されるスポークの高さで、Wはホイールの周囲のスポーク幅であって、Lは流体通路に沿ったスポークの長さである。
【0110】
スポークの数および寸法は、抵抗、発熱、および電気コネクタによって作成される速度低下ゾーンを最小限に抑えるように選択され得る。個々のスポークの抵抗は、約50W未満、例えば約25W未満または約10W未満のオーム損失をもたらすべきである。スポークおよび電気コネクタの最大許容オーム損失は、電気化学セルを流れる特定の電解質溶液の熱容量率と併せて、所望の電気化学反応に基づいて選択され得る。
【0111】
一般に、
図24BのHで識別されるスポークの高さは、同心ホイール間のギャップによって決定され得る。したがって、高さは、流体通路の幅に実質的に対応し得る。交互電極が電気的に接続されるいくつかの実施形態では、高さは2つ以上の同心流体通路の幅に実質的に対応し得る。高さは、約1~20mm、例えば約20mm、約16mm、約14mm、約10mm、約8mm、約7mm、約6mm、約5mm、約3.5mm、約3mm、または1つ以上の流体通路の幅と実質的に同等であり得る。電気コネクタのホイールの幅が電極よりも小さい実施形態では、必要に応じて同心の隣接ホイールまたは非隣接ホイール間の接続を提供するために、スポークの高さは1つ以上の流体通路の幅より大きくてもよい。
【0112】
図24BのWで識別されるスポーク幅は、同心ホイール間の適切な電気接続を提供しながら、(セパレータに関して上述したように)速度低下ゾーンの長さを最小化するように寸法設定され得る。いくつかの実施形態では、スポーク幅は、スポークの高さの0.25~2倍であり得る。例えば、スポーク幅は、約0.5mm~約10mm、約0.5mm~約7mm、約0.5mm~約5mm、約0.5mm~約3mm、約0.5mm~約2mm、または約0.5mm~約1mmであり得る。スポーク幅は、約1mm~約20mm、約1mm~約15mm、約1mm~約12mm、または約1mm~約10mmであり得る。スポーク幅は、流体の抵抗を低減するために必要なだけ、同心ホイール間の電気的接続を提供するのに十分なほど小さくてもよい。いくつかの実施形態では、材料は、少量で適切な抵抗を提供するように選択され得る。従来、製造上の制約により、電気コネクタのサイズの選択は制限されてきた。しかしながら、チタンは少量でより大きな抵抗率を提供することができ、速度低下ゾーンを減少させる。さらに、スポークおよび/またはホイールを水線化して、速度低下ゾーンをさらに減少させることができる。
【0113】
図24CのLで識別されるスポークの長さは、所望の電力消費を維持しながら、電気抵抗および発熱を最小化するように寸法設定され得る。所定の高さ(同心ホイール間のギャップ)および所定の幅(速度低下ゾーンを最小化するために選択される幅)について、長さは上記の式を使用して抵抗の閾値に基づいて選択され得る。さらに、前述のように、抵抗は発熱を最小限に抑えるように選択され得る。いくつかの実施形態では、長さは、約1mm~約15mm、例えば、約5mm~15mm、または約7.5mm~15mmであり得る。
【0114】
電気コネクタの抵抗、発熱、電力消費、および速度低下ゾーンも、提供されるスポークの数に依存し得る。いくつかの実施形態では、スポークの数は、電気抵抗を最小限に抑え、発熱を最小限に抑え、速度低下ゾーンを最小限に抑え、または適切な電力消費を提供するように選択される。電気コネクタは、所望の要件を満たすために、隣接するホイール間に約1~8本のスポーク、例えば約2~6本のスポーク、もしくは約3~6本のスポーク、または必要だけのスポークを含み得る。
【0115】
一般に、スポークを通る電流の量は、印加電流、管状電極の表面積、ならびにスポークの数および分布によって決定され得る。電気コネクタ上のスポークの配置は、ホイール全体の電流分布に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、スポークは、均一な電流分布を提供するために、実質的に均等に分配され得る。例示的な実施形態では、スポークの数が増えると電流分布が改善され、該スポークはホイール全体にほぼ均等に分布している。したがって、上記のように、電気化学セルの自己洗浄特性を維持するために速度低下ゾーンを所定の長さ以内に維持しながら、スポークの数および配置は適切な電流分布を提供するように選択され得る。
【0116】
さらに、隣接する同心ホイール上のスポークに対する第一ホイール上のスポークの配置は、電流分布に影響を与え得る。隣接するホイール上のスポークは、同一直線上に配置され(つまり、互いに整列され)得るか、または互いに角度的にオフセットされ得る。いくつかの実施形態では、隣接する同心ホイール上に設けられたスポークは、均一な電流分布を提供するために、互いに実質的に均等にオフセットされ得る。例示的な実施形態では、スポークの数が増えると電流分布が改善され、隣接する同心ホイールに設けられた該スポークは実質的に均等にオフセットされる。
【0117】
【0118】
いくつかの実施形態では、
図29A~29Bに示されるように、電気コネクタ1240は、セパレータ1180とメイトする特徴部を含み得る。セパレータおよび電気コネクタの寸法は、要素の組み合わせによって生じ得る速度低下ゾーンへの影響を考慮して設計され得る。いくつかの実施形態では、セパレータの突起は、電気コネクタの1つ以上のスポークと同一直線上にあり、速度低下ゾーンを減らすことができる。他の実施形態では、セパレータの突起は、電気コネクタのスポークから角度的にオフセットされ得る。
【0119】
さらに、電気化学セルの動作中、より高い電流が電気化学セルに流れる場合でも、動作温度を低く保つことがしばしば望ましい。従来の電気化学セルは、通常、チタンの外殻に溶接されたチタンのみの電気コネクタを含む。チタンの電気コネクタは一般に高度な耐薬品性を備えているが、不所望な量の熱(および無駄なエネルギー)を発生させずに電気化学セルに電流を供給するのには最適ではない場合がある。チタンコネクタは抵抗率が高いため、従来のチタンコネクタに供給される電流を制限する必要があるため、空気中におけるコネクタの温度上昇は過度に上昇しない。しかしながら、生成物の生成は電流入力に正比例するため、このことは電気化学セルによって生成される生成物の出力を制限する。従来のチタンコネクタは発熱するため、IP54以上の高い侵入保護レベルの電気絶縁材料でコネクタを完全に密閉することはできない。この配置では、通常、カプセル化された電気コネクタほど熱を閉じ込めない高価な電気エンクロージャが必要になる。これらの問題を克服するために、従来のチタンコネクタはしばしば電気コネクタおよび電気化学セルのコストを大幅に増加させる大きな断面材料で作られている。
【0120】
銅の抵抗率は1.707×10-8Ω・mで、チタンの抵抗率は7.837×10-7Ω・mである。銅の電気抵抗率は、チタンよりも約46倍低い。したがって、いくつかの実施形態では、電気コネクタは少なくとも部分的に低抵抗率の銅でできていてもよい。ただし、銅はチタンよりも化学腐食を受けやすいため、電気化学セルを通る電解質と接触しないようにする必要がある。
【0121】
いくつかの実施形態では、プロセス流体または電解質(例えば、腐食性の微量の等価塩素を含む海水)と接触する電気コネクタ部分は、チタンであり得る。この材料を流れる電流によって生成される熱は、流れるプロセス流体によって効率的に除去される。プロセス流体の自己洗浄流速は2m/秒を超える場合があるため、電気コネクタのチタン部分の温度上昇は一般に無視できる値に保たれる。空気と接触する電気コネクタ部分は、銅(またはチタンよりも低い抵抗率を有する別の金属もしくは合金)であってもよい。
【0122】
異なる金属、例えばチタンおよび銅(またはチタンよりも低い抵抗率を有する別の金属もしくは合金)で形成された部分を含む気液冷却電気コネクタは、従来のチタンコネクタが示す問題を克服し得る。空気にさらされる電気コネクタの一部に、電気抵抗のより低い金属(例えば、銅)が形成され得るか、含まれ得る。銅は高導電性材料の一例であり、本明細書で開示される電気コネクタは、銅の代わりに別の高導電性材料または合金を使用できることを理解されたい。したがって、本明細書では便宜上「銅部分(copper portion)」および「銅(copper)」という用語を使用するが、これらの用語はこれらの要素が銅で形成されることに限定されないことを理解されたい。
【0123】
銅の優れた低電気抵抗により、温度上昇は小さく許容可能な値に制限され得る。この外部導体は、プロセス流体(海水など)と接触するコネクタの内部の高耐薬品性(チタンなど)部分に接合され得る。プロセス液の水冷効果により、コネクタの内側の耐薬品性の高い部分(チタンなど)の温度上昇は、小さく許容可能な値に効果的に制限され得る。
【0124】
全体的なデュアル金属電気コネクタは、同等の電流定格の従来のチタンのみのコネクタよりもコスト効率が高い場合がある。デュアル金属電気コネクタの外部導体は、温度上昇が低い場合があり、電気絶縁材料でカプセル化できるため、高価な電気エンクロージャの必要性を除外することができる。また、気液冷却デュアル金属電気コネクタの実施形態は、従来のチタンのみの電気セルコネクタの場合よりもはるかに高い電流を開発中の電気化学セルに供給することができる。
【0125】
チタン部分および銅部分は、コネクタ部分の周りに密閉シールを提供し電気化学セルの内部を外部環境から密閉する電気化学セルのフランジ内で物理的および電気的に接続され得る。いくつかの実施形態では、チタン部分は、ボルトなどの機械的留め具によって銅部分に結合され得る。ボルト1420は、チタン部分または銅部分と同じ材料から形成され得る。チタン部分は、電気化学デバイスのアノードまたはカソードの一方と電気接触するアームまたはスポーク、ならびにプロセス流体、例えば電解質の電気化学デバイス内への流入または電気化学デバイスからの流出を可能にする開口部を含み得る。アームまたはスポークは、電気化学デバイス内の電極との係合を促進するための特徴部、例えばスロットを含み得る。チタン部分は、追加的または代替的に、締まりばめによって銅部分に結合され得る。銅部分は、チタン部分から延びていても、チタン部分を完全に囲んでいてもよい。
【0126】
さらに、チタン部分は、銅部分の開口部の内側リム上の相補的なねじ山と係合することにより、銅部分の所定の位置にねじ込まれ得るねじ付き外側リムを含み得る。銅部分は、チタン部分の開口部にねじ込まれる下部円筒ねじ部分を含み得る。
【0127】
更なる実施形態では、銅部分は、例えばチタンと銅または1つ以上の他の高導電性金属との合金などの多金属電気コネクタで置換され得る。多金属電気コネクタは、チタンよりも低い抵抗率を有し得る。多金属電気コネクタは、チタン部分と溶接され得るか、さもなければチタン部分と物理的に連続していてもよい。
【0128】
固体の中心コア要素または流体流れディレクタを設けて、流体が電気化学セルの中心管を下に流れてギャップをバイパスするのを防ぐことができる。コアは、非導電性材料、例えば、PVC、PTFE、PVDF、ABS、HDPE、または他の適切な材料のいずれか1つ以上で形成され得る。コアは、アノードおよびカソードに機械的に接続されていなくてもよい。他の実施形態では、コアを所定の位置に固定し、かつ/またはコアをハウジングもしくは電気化学セルの別の要素(例えば、電極またはエンドキャップ)に取り付けるために、1つ以上の機械的留め具を設けることができる。他の実施形態では、コアは、摩擦ばめによって最も内側の電極内の所定の位置に保持される。一部の実施形態では、コアは、アノード電極およびカソード電極のうちの単一の電極のみと接触し得る。アノード電極およびカソード電極の一方は、コアに接続されておらず、かつコアに接触していない場合がある。
【0129】
他の実施形態では、中心コア要素は、アノード電極およびカソード電極の一方に電気的に結合され、アノード電極およびカソード電極の一方に電流を送達するために利用され得る導電性部材であり得る。更なる実施形態では、中心コア要素は、互いに絶縁された軸方向母線および/または他の導電性中心要素を含み得、第1の軸方向母線および/または他の導電性中心要素はアノードに電気的に結合されており、第2の軸方向母線および/または他の導電性中心要素は第1の軸方向母線から電気的に絶縁されており、カソードに電気的に結合されている。
【0130】
電気化学セルは内部バッフルを含み得る。バッフルは、電気化学セルを通過する流体の流れの方向および/または混合を制御または変更するために利用され得、バッフルなしの電気化学セルと比較して、流体流路に追加の経路長を与え得る。電気化学セルを通る流体の流れは、入口開口部から流体導管まで、または流体導管から出口開口部までであり得る。
【0131】
本明細書に開示される電気化学セルは、より大きなシステムの一部として含まれ得る。システムは、いくつかの実施形態では、例えば船舶または石油掘削装置などの海上システムであり、他の実施形態では、例えば発電所、石油掘削施設もしくは石油掘削システム、または他の産業施設などの陸上建物であり得る。他の実施形態では、システムは、電気化学デバイスの1つ以上の生成物、例えば水を処理または消毒するための消毒剤を使用する、スイミングプール、または飲料水、廃水、もしくは工業用水処理プロセスのための処理システムであり得るか、それを含み得る。
【0132】
システムは、本明細書に開示されるような1つ以上の電気化学セルまたは電気塩素化セルもしくはデバイスを含み得る1つ以上の電気塩素化システムを含むことができる。システムは、例えば、入口エンドキャップの実質的に中央に位置する開口部を介して、電気化学セルに流体接続可能な電解質溶液の供給源を含み得る。電解質溶液の供給源は、本明細書に開示される自己洗浄速度以上の流体通路を通る平均流速で電解質溶液を送達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電解質溶液の供給源は、約2m/秒以上の平均流速で溶液を供給するように構成される。
【0133】
電解質溶液の供給源はプロセス液体を含み得、該プロセス液体はいくつかの実施形態ではシステムの外部および/または内部の供給源からの海水、ブライン、または汽水である。例えば、システムが海上システムである場合、外部の供給源は海洋であり得、内部の供給源は、例えば船のバラストタンクであり得る。陸上システムでは、外部の供給源は海洋であり得、内部の供給源はシステムにおいて実行される工業プロセス由来の汽水廃水であり得る。
【0134】
システムは、電解質溶液から生成物化合物を生成し、生成物化合物を含む生成物溶液を出力するように構成され得る。1つ以上の電気化学システムは、処理水もしくは塩素水および/または例えば次亜塩素酸ナトリウムを含む溶液を水から生成し、使用点に分配することができる。システムは、例えば、電気化学セルの出口エンドキャップの実質的に中央に位置する開口部を介して、使用点に流体接続可能であり得る。使用点は、貯蔵容器または分配サイトを含み得る。使用点は、システムの冷却水の供給源、船舶のバラストタンクの消毒剤の供給源、石油掘削システムのダウンホール、または処理水もしくは塩素水が有用であり得るその他のシステムであり得る。使用点は、例えば、生成物のバッチ再循環のための濃縮容器を含み得る。様々なポンプがシステムを通る流体の流れを制御し得る。1つ以上のセンサは、システムを流れる流体の1つ以上のパラメータ、例えば、イオン濃度、塩素濃度、温度、または関心のある他のパラメータを監視することができる。
【0135】
ポンプおよびセンサは、制御システムまたはコントローラと通信することができ、該制御システムまたはコントローラは、センサおよびポンプと通信し、所望の動作パラメータを達成するためにポンプおよびシステムの他の要素の動作を制御する。システムの様々な要素の動作を監視および制御するために使用されるコントローラは、コンピューター化された制御システムを含み得る。出力デバイスはまた、生成水(例えば、汽水または海水)を電気化学システムもしくは使用点に供給し、かつ/またはポンプの速度を制御するために利用され得るバルブ、ポンプ、またはスイッチを含み得る。
【0136】
1つ以上のセンサはまたコンピューターシステムへの入力を提供し得る。これらのセンサは、例えば、流量センサ、圧力センサ、化学濃度センサ、温度センサ、またはシステムにとって関心のある他のパラメータ用のセンサであり得るセンサを含み得る。これらのセンサは、その場所で有用であるならばシステムの任意の部分、例えば、使用点および/または電気化学システムの上流、または供給源と流体連通している部分に配置され得る。
【0137】
システムは、直列に配置された複数の電気化学セルを含み得る。いくつかの実施形態では、システムは、直列に配置された約2~約10個の電気化学セルを含み得る。直列の電気化学セルの数は、必要な特性を有する生成物化合物を生成するように、必要に応じて選択され得る。直列に配置された電気化学セルは、前述のように、圧力降下を最小限に抑えるように設計された構成要素を有し得る。直列の後続の電気化学セルに対する圧力降下の影響は一般に累積的である。
【0138】
別の態様によれば、電気化学セルを動作させる方法が提供される。該方法は、本明細書に開示されるように、1つ以上の電気化学セルを動作させるために使用され得る。該方法は、電解質溶液を、例えば、入口エンドキャップの実質的に中央に位置する開口部を通して、本明細書に開示される自己洗浄速度で電気化学セルに導入することを含み得る。該方法は、複数の電気化学セルを流体接続して、電気化学セルを直列に動作させることをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、該方法は、約2m/秒以上の流体通路を通る平均流速で電解質溶液を導入することを含み得る。
【0139】
この方法は、自己洗浄電気化学セル内の電解質溶液から生成物化合物を生成することを含み得る。生成物化合物を生成するために、電極間に電圧、例えば生成物化合物を生成するのに十分な電圧を印加することにより、電気化学セルを動作させることができる。生成物化合物を生成するのに十分な電圧は、一般に、電解質溶液の組成、生成物溶液中の生成物化合物の所望の組成、電気化学セルを通る平均流速、および直列で動作する電気化学セルの数に依存し得る。例示的な実施形態では、電極は一定の電流密度で動作し、平均流速は生成物化合物の所望の組成を生成するように制御され得る。例えば、電気化学セルは、所望の組成の生成物を生成するのに必要な場合、10m/秒未満、6m/秒未満、3.5m/秒未満、3m/秒未満、または2.5m/秒未満の平均流速で動作させることができる。同じ例示的な実施形態では、直列に配置される電気化学セルの数は、所望の生成物を生成するように選択され、例えば、必要に応じて、10個未満、8個未満、6個未満、4個未満、または少なくとも2個の電気化学セルが直列に配置され得る。
【0140】
この方法は、所定の期間にわたって電気化学セルまたはシステムを連続的に動作させることをさらに含み得る。前述のように、自己洗浄流速で連続的に動作する電気化学セルは、スケーリングを低減し、したがって電気化学セルの酸洗浄の必要性を低減し得る。いくつかの実施形態では、電気化学システムは、スケーリングせずに少なくとも6か月間連続して動作させることができる。そのような電気化学システムは、スケーリングなしで6か月間、12か月間、18か月間、24か月間、または36か月間連続して動作させることができる。
【実施例】
【0141】
(実施例1)
電気化学セル全体の圧力降下
電気化学セルの流体導管およびコーンは、電気化学セル全体の圧力降下を最小限に抑えるように設計され得る。例示的な実施形態では、いくつかの入口流体導管寸法にわたる入口圧力についてCFDデータが生成された。データは、海水の電解質溶液と2m/秒の平均流速を想定しているが、所望の条件を取得するために、他の電解質溶液とそれに対応する自己洗浄流速を使用することができる。いくつかの流体導管の寸法の等高線図を
図13A~13Cに示す。
図13Aの例示的な実施形態は20mmの直線領域を有する。
図13Bの例示的な実施形態は50mmの直線領域を有し、その結果、平均入口圧力は119kPaになる。
図13Cの例示的な実施形態は75mmの直線領域を有し、その結果、平均入口圧力は117kPaになる。図からわかるように、直線移行領域の増加により、圧力降下が同時に減少する。
さらに、一定の流体導管の直線長さ(40mm)で、複数の入口コーン角について、CFDデータが生成された。データは、
図14Aの速度等高線図および
図14Bのグラフに示されている。中心線に対するコーンの回転角度(即ち、頂角の半分)を10度から45度に増やし、圧力降下を評価した。最小の圧力降下(約18.8kPaまたは2.725psi)が、頂角が50度のコーンで観察された。
40mmの直線領域を有する例示的な流体導管では、入口コーンの頂角50度が電気化学セル全体の圧力降下を最小化する。他の流体導管および/またはコーンの寸法についても同様の条件が決定され得る。同様の条件は、他の電解質溶液および/または平均流速についても決定され得る。
【0142】
(実施例2)
セパレータおよび/または電気コネクタから下流の再循環効果
電解質溶液の平均流速が閾値を下回ると、スケーリングが発生する場合がある。セパレータは、例えば、水線化された構成を有することにより、下流の低流速の領域を最小化するように設計され得る。
図30~31の絶対速度等高線図に示されるように、ストレートエッジセパレーターのすぐ下流の流速が0m/秒に近づくため、この場所でスケールが発生する確率が高くなる。矢印は流れの方向を指し、流れの速度の大きさを示す長さを有する。
図30は、流体通路の側面図の等高線図を示し、
図31は、同じ流体通路の上面図の等高線図を示す。
図32は、水線化セパレータの絶対速度等高線図である。
図32に示すように、下流の流れはより均一であり、平均からの速度偏差がより小さい。
図32に示される実施形態について平均からの速度偏差が、
図22のグラフにプロットされている。海水の電解質溶液と2m/秒の平均流速を仮定すると、速度幅パーセントは、(セパレータから)約100mmの流れ距離で平均閾値から±5%を超える場合がある。
したがって、セパレータは、スケーリングを低減するために、平均からのより小さな速度偏差を有するより均一な下流の流れを作り出すように設計され得る。このような設計はまた速度低下ゾーンの長さを短縮し、(より少ないエネルギーを必要とする)より低い平均流速で動作する能力を追加し、電気化学セルの酸洗浄の必要性を削減または排除する。他の電解質溶液および/または平均流速についても同様の条件が決定され得る。
【0143】
(実施例3)
電気化学セル内の流れパラメータ
パイプ内の流れの場合、レイノルズ数は通常次のように定義される:
【数3】
式中、D
Hはパイプの水力直径であり、Qは体積流量(m
3/秒)であり、Aはパイプの断面積(m
2)であり、uは流体の平均速度(m/秒)であり、μは流体の粘性係数(kg/(m・秒))であり、vは動粘性係数(m
2/秒)であり、ρは流体の密度(kg/m
3)である。
複数の流体通路を有する例示的な電気化学セルの場合、入口コーンと流体導管の間の流れエリアを通る流体流れのレイノルズ数は57,847であると決定された。そのような導管を通るおおよその入口の長さは約380mmである。完全に発達した流れの場合、乱流は約2600を超えるレイノルズ数で発生する傾向がある。したがって、流体導管を通る流れは強度の乱流である。
同じ電気化学セルの場合、同心円状の各流体通路を通る流体流れのレイノルズ数は14,581であると決定された。流体通路のおおよその入口の長さは約70mmである。流体通路を通り、セパレータ下流の流れは層流に似ている。
これらの値は、20℃の海水の電解質溶液と2m/秒の平均流速を想定している。他の電解質溶液および/または平均流速についても同様の条件が決定され得る。
【0144】
本明細書で使用される語法および用語は、説明を目的とするものであり、限定と見なされるべきではない。本明細書で使用される「複数(plurality)」という用語は、2つ以上のアイテムまたは要素を指す。「含む(comprising)」、「含む(including)」、「備える(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、および「含む(involving)」という用語は、明細書中の記載または特許請求の範囲などにあるかどうかにかかわらず、オープンエンドの用語、即ち「含むがこれらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。したがって、そのような用語の使用は、その後に列挙されるアイテム、およびその同等物、ならびに追加のアイテムを包含することを意味する。クレームに関して、「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれクローズド移行句またはセミクローズド移行句である。クレーム要素を変更するためのクレーム中の「第1(first)」、「第2(second,)」、「第3(third)」などの順序用語の使用は、それ自体が、あるクレーム要素の別のクレーム要素に対する優先度、優先順位、もしくは順序、または方法の動作が実行される時間的順序を意味するものではなく、特定の名前を持つ1つのクレーム要素を、クレーム要素を区別するために同じ名前を持つ別の要素(ただし、順序用語を使用するために)から区別するためのラベルとしてのみ使用される。
【0145】
このように少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明してきたが、様々な変更、修正、および改善が当業者には容易に思い浮かぶことが理解されるべきである。任意の実施形態で説明される任意の特徴は、任意の他の実施形態の任意の特徴に含まれるか、またはそれに代用され得る。そのような変更、修正、および改善は、この開示の一部であることが意図されており、本発明の範囲内にあることが意図されている。したがって、前述の説明および図面は単なる例である。