(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】モバイル端末及びモバイル端末のアンテナ放射方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/378 20150101AFI20220815BHJP
H01Q 1/44 20060101ALI20220815BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
H01Q5/378
H01Q1/44
H01Q1/38
(21)【出願番号】P 2019564107
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(86)【国際出願番号】 CN2019098299
(87)【国際公開番号】W WO2020215515
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2020-01-27
(31)【優先権主張番号】201910343400.5
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】関 文傑
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105609956(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109244645(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108565544(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0039329(US,A1)
【文献】特開2009-253872(JP,A)
【文献】中国実用新案第204441470(CN,U)
【文献】中国実用新案第204668452(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第103296385(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107681272(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107359401(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104300215(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル端末であって、
給電点(231)を有し、前記モバイル端末の内部スペースを画定するためのフレーム(20)と、
前記内部スペースに位置し、前記給電点(231)に接続される第1の金属片(31)と、
前記内部スペースに位置し、前記第1の金属片(31)との間に隙間(30a)を有し、前記第1の金属片(31)と前記隙間(30a)を介して結合給電される第2の金属片(32)と、を含み、
前記第1の金属片(31)と前記第2の金属片(32)とは、3.3GHz~3.6GHz又は4.8GHz~5.0GHzの信号を放射
し、
前記第2の金属片(32)は、第1の枝(321)と、第2の枝(322)と、接続部(323)と、を含み、前記第1の枝(321)と前記第2の枝(322)は、平行して間隔をあけて配置され、前記接続部(323)は、前記第1の枝(321)の中間部と前記第2の枝(322)の中間部に接続され、前記隙間(30a)は、前記第1の金属片(31)と前記第1の枝(321)との間に位置する、
ことを特徴とするモバイル端末。
【請求項2】
前記内部スペースに位置するアンテナブラケット(33)をさらに含み、前記第1の金属片(31)と前記第2の金属片(32)は、前記アンテナブラケット(33)に位置する、
ことを特徴とする請求項
1に記載のモバイル端末。
【請求項3】
前記フレーム(20)は、離間された第1の導電性セグメント(21)と、第2の導電性セグメント(22)と、前記第1の導電性セグメント(21)と前記第2の導電性セグメント(22)との間に位置する第3の導電性セグメント(23)と、を含み、前記給電点(231)は、前記第3の導電性セグメント(23)に位置し、前記第3の導電性セグメント(23)と、前記第1の導電性セグメント(21)及び前記第2の導電性セグメント(22)との間にそれぞれスリット(20a)を有し、前記第1の導電性セグメント(21)と前記第2の導電性セグメント(22)は、それぞれ対応するスリット(20a)によって前記第3の導電性セグメント(23)に結合給電される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のモバイル端末。
【請求項4】
前記給電点(231)が放射信号を出力する場合、前記第3の導電性セグメント(23)の、前記給電点(231)と前記第1の導電性セグメント(21)との間に位置する部分と、前記第1の導電性セグメント(21)とは、1710MHz~2170MHzの信号を放射し、前記第3の導電性セグメント(23)の、前記給電点(231)と前記第2の導電性セグメント(22)との間に位置する部分と、前記第2の導電性セグメント(22)とは、2300MHz~2700MHzの信号を放射し、前記第3の導電性セグメント(23)は、700MHz~960MHzの信号を放射する、
ことを特徴とする請求項
3に記載のモバイル端末。
【請求項5】
前記第1の金属片(31)は、前記第2の金属片(32)と前記第3の導電性セグメント(23)との間に位置する、
ことを特徴とする請求項
3に記載のモバイル端末。
【請求項6】
前記給電点(231)は、前記第3の導電性セグメント(23)の、前記第2の導電性セグメント(22)に近接する一端に位置する、
ことを特徴とする請求項5に記載のモバイル端末。
【請求項7】
モバイル端末のアンテナ放射方法であって、
前記モバイル端末は、請求項1~
6のいずれかに記載のモバイル端末であり、
前記方法は、
前記モバイル端末が給電点(231)に電気信号を提供するステップと、
フレーム(20)が少なくとも第1の周波数帯域の共振を形成して、電磁波を放射するように、前記フレーム(20)が前記電気信号を受信するステップと、
第2の金属片(32)が第2の周波数帯域の共振を形成して、電磁波を放射するように、第1の金属片(31)が前記電気信号を受信し、前記電気信号を前記第2の金属片(32)に励振するステップと、を含む、
ことを特徴とするモバイル端末のアンテナ放射方法。
【請求項8】
前記第2の周波数帯域は、3.3GHz~3.6GHz又は4.8GHz~5.0GHzである、
ことを特徴とする請求項
7に記載のモバイル端末のアンテナ放射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信技術の分野に関し、特に、モバイル端末及びモバイル端末のアンテナ放射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
端末は、通常、その移動性に応じて固定端末とモバイル端末に区分され、一般的なモバイル端末は、携帯電話、タブレットコンピュータなどが挙げられる。モバイル端末は、無線通信を実現することができ、固定端末よりも利便性が高い。
【0003】
アンテナは、無線通信を実現するための不可欠な構造であり、無線通信技術は、第1世代携帯電話通信技術(1G)から第4世代通信技術(4G)に発展し、モバイル端末のアンテナもますます小さくなり、現在では、既にモバイル端末の金属材質のフレームをアンテナとして利用することができる。現在のモバイル端末は、通常、2G、3G、4Gなどの様々な異なる周波数帯域をサポートするために、様々なアンテナを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施例は、モバイル端末がより多く周波数帯域をサポートすることができるモバイル端末及びモバイル端末のアンテナ放射方法を提供する。前記技術案は、以下に示している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の側面では、本開示の実施例は、モバイル端末を提供し、給電点を有し、前記モバイル端末の内部スペースを画定するためのフレームと、前記内部スペースに位置し、前記給電点に接続される第1の金属片と、前記内部スペースに位置し、前記第1の金属片との間に隙間を有し、前記第1の金属片と前記隙間を介して結合給電される第2の金属片と、を含む。第1の金属片と第2の金属片を設けることによって、第1の金属片をフレームにおける給電点に接続し、第2の金属片と第1の金属片との間に隙間を有し、第2の金属片は、第1の金属片と隙間を介して結合給電され、第2の金属片は電磁波を放射し、結合給電方式は、第2の金属片の放射能力を安定させることができるため、モバイル端末がより多くの周波数帯域をサポートすることができる。
【0006】
本開示の実施例の可能な実現方式では、前記第2の金属片は、第1の枝と、第2の枝と、接続部とを含み、前記第1の枝と前記第2の枝は、平行して間隔をあけて前記接続部の同一側に位置し、前記第1の枝の一端と前記第2の枝の一端は、いずれも前記接続部に接続され、前記隙間は、前記第1の金属片と前記第1の枝との間に位置する。第1の枝と第2の枝の寸法と、第1の枝と第2の枝との間の間隔の距離と、第1の金属片と第1の枝との間の隙間の大きさを変更することによって、第2の金属片の作業波長などの特性を変更することができる。
【0007】
本開示の実施例の可能な実現方式では、前記第2の金属片は、第1の枝と、第2の枝と、接続部とを含み、前記第1の枝と前記第2の枝とは、平行して間隔をあけて配置され、前記接続部は、前記第1の枝の中間部と前記第2の枝の中間部に接続され、前記隙間は、前記第1の金属片と前記第1の枝との間に位置する。第1の枝と第2の枝の寸法と、第1の枝と第2の枝との間の間隔の距離と、第1の金属片と第1の枝との間の隙間の大きさを変更することによって、第2の金属片の作業波長などの特性を変更することができる。接続部の第1の枝と、第2の枝との間の位置は、具体的な要求によって設けることができ、モバイル端末内の構造を回避しつつ、第2の金属片とモバイル端末内の金属構造との距離をできる限り増加させる。
【0008】
本開示の実施例の可能な実現方式では、前記内部スペースに位置するアンテナブラケットをさらに含み、前記第1の金属片と前記第2の金属片は、レーザ直接構造化(LDS)技術を採用して前記アンテナブラケットに形成される。レーザ直接構造化技術を採用して第1の金属片と第2の金属片を製造するため、製造精度が高い。
【0009】
本開示の実施例の可能な実現方式では、前記フレームは、離間された第1の導電性セグメントと、第2の導電性セグメントと、前記第1の導電性セグメントと前記第2の導電性セグメントとの間に位置する第3の導電性セグメントと、を含み、前記給電点は、前記第3の導電性セグメントに位置し、前記第3の導電性セグメントと、前記第1の導電性セグメント及び前記第2の導電性セグメントとの間にそれぞれスリットを有し、前記第1の導電性セグメントと前記第2の導電性セグメントは、それぞれ対応するスリットによって前記第3の導電性セグメントに結合給電される。フレームは、第1の導電性セグメントと、第2の導電性セグメントと、第3の導電性セグメントとを含み、給電点は、第3の導電性セグメントに位置するため、第3の導電性セグメントは、低周波放射体とすることができ、第1の導電性セグメントは、一つのスリットによって第3の導電性セグメントと結合給電され、第1の導電性セグメントと、第3の導電性セグメントの給電点と第1の導電性セグメントとの間に位置する部分は、中間周波放射体とすることができ、第2の導電性セグメントは、もう一つのスリットによって第3の導電性セグメントと結合給電され、第2の導電性セグメントと、第3の導電性セグメントの、給電点と第2の導電性セグメントとの間に位置する部分は、高周波放射体とすることができる。これにより、フレームは、三つの周波数帯域をカバーすることができるため、より大きい周波数範囲をカバーすることができる。
【0010】
本開示の実施例の可能な実現方式では、前記給電点が放射信号を出力する場合、前記給電点と前記第1の導電性セグメントとの間に位置する前記第3の導電性セグメントの部分と、前記第1の導電性セグメントとは、1710MHz~2170MHzの信号を放射し、前記給電点と前記第2の導電性セグメントとの間に位置する前記第3の導電性セグメントの部分と、前記第2の導電性セグメントとは、2300MHz~2700MHzの信号を放射し、前記第3の導電性セグメントは、700MHz~960MHzの信号を放射し、前記第1の金属片と前記第2の金属片とは、3.3GHz~3.6GHz又は4.8GHz~5.0GHzの信号を放射する。モバイル端末は、2Gと、3Gと、4Gと、5Gを同時にサポートすることができる。
【0011】
本開示の実施例の可能な実現方式では、前記第1の金属片は、前記第2の金属片と前記第3の導電性セグメントとの間に位置する。これにより、第1の金属片が給電点に隣接するように配置されやすくなり、第1の金属片と給電点との間の接続が容易になる。
【0012】
本開示の実施例の可能な実現方式では、前記給電点は、前記第3の導電性セグメントの前記第2の導電性セグメントに近接する一端に位置する。このように給電点と第2の導電性セグメントとの間の間隔の距離が最も小さくなり、モバイル端末が同調を行う場合、第2の導電性セグメントと第2の金属片が受ける影響をできる限り軽減することができる。
【0013】
他の側面では、本開示の実施例は、モバイル端末のアンテナ放射方法をさらに提供し、前記モバイル端末は、前記記載のいずれかのモバイル端末であり、前記方法は、
前記モバイル端末が給電点に電気信号を提供するステップと、
前記フレームが少なくとも第1の周波数帯域の共振を形成し、電磁波を放射するように、フレームが前記電気信号を受信するステップと、
前記第2の金属片が第2の周波数帯域の共振を形成し、電磁波を放射するように、第1の金属片が前記電気信号を受信し、前記電気信号を第2の金属片に励振するステップと、を含む。
【0014】
本開示の実施例の可能な実現方式では、前記第2の周波数帯域は、3.3GHz~3.6GHz又は4.8GHz~5.0GHzである。
【発明の効果】
【0015】
本開示の実施例より提供される技術案による有益な効果は、少なくとも以下の内容を含み、第1の金属片と第2の金属片を設けることによって、第1の金属片をフレームにおける給電点に接続し、第2の金属片と第1の金属片との間に隙間を有し、第2の金属片は、第1の金属片と隙間を介して結合給電され、第2の金属片は電磁波を放射し、結合給電方式は、第2の金属片の放射能力を安定させ得ることによって、モバイル端末がより多くの周波数帯域をサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例における技術案を更に明確にするように説明するため、以下に、実施例に用いられる図面を簡単に説明する。以下の説明に関わる図面は、本発明の幾つかの実施例に過ぎなく、当業者にとって、創造性な労働をしないことを前提として、これらの図面に基づいて他の図面を取得できることは、明らかである。
【0017】
【
図1】関連技術におけるモバイル端末の一部構造の概略図
【
図2】本開示の実施例より提供されるモバイル端末の一部構造の概略図
【
図3】本開示の実施例より提供される第1の金属片と第2の金属片の概略構成図
【
図4】本開示の実施例より提供される他の第1の金属片と第2の金属片の概略構成図
【
図5】本開示の実施例より提供されるモバイル端末のアンテナ放射方法のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の目的、技術案と利点をより明確にするため、以下は、図面を合わせて本開示の実施形態をさらに詳細に説明する。
【0019】
図1は、関連技術におけるモバイル端末の一部構造の概略図である。
図1に示すように、当該モバイル端末は、端末本体10と、フレーム20とを含む。フレーム20は、金属材質である。フレーム20は、モバイル端末の内部スペースを画定する。
【0020】
端末本体10は、フレーム20内に位置し、フレーム20は、モバイル端末の側面の外観を形成する。携帯電話を例として、携帯電話は、一般的に、一つの表示用前面及び当該表面と反対する背面を有し、前面と背面との間は、側面によって接続される。側面は、対向する第1の表面aと第2の表面bと、第1の表面aと第2の表面bを接続する第3の表面cと、を含む。第3の表面c与第1の表面a和第2の表面bは、それぞれ円弧によって接続することができる。フレーム20は、スリット20aを有することができ、例えば、
図1のフレーム20は、二つのスリット20aを有し、二つのスリット20aは、フレーム20を互いに独立した第1の導電性セグメント21と、第2の導電性セグメント22と、第3の導電性セグメント23に分割する。第1の導電性セグメント21は、第1の表面に位置し、第2の導電性セグメント22は、第2の表面に位置し、第3の導電性セグメント23は、第3の表面に位置する。第3の導電性セグメント23は、給電点231を有し、給電点231は、給電源11に電気的に接続して、給電点231に電気信号を出力することができる。第3の導電性セグメント23は、低周波アンテナに相当する低周波放射体とすることができ、その周波数は、700MHz~960MHzであってもよく、第1の導電性セグメント21は、一つのスリット20aによって第3の導電性セグメント23と結合給電され、第1の導電性セグメント21と、第3の導電性セグメント23の給電点231と第1の導電性セグメント21との間に位置する部分とは、中間周波アンテナに相当する中間周波放射体とすることができ、その周波数は、1710MHz~2170MHzであってもよく、第2の導電性セグメント22は、他のスリット20aによって第3の導電性セグメント23と結合給電され、第2の導電性セグメント22と、第3の導電性セグメント23の給電点231と第2の導電性セグメント22との間に位置する部分とは、高周波アンテナに相当する高周波放射体とすることができ、その周波数は、2300MHz~2700MHzであってもよい。この設計を採用すると、モバイル端末は、2Gと、3Gと、4Gとをサポートすることができ、且つアンテナ構造は、コンパクトになる。5Gの登場とともに、モバイル端末は、5Gをサポートするために、アンテナを増加する必要がある。
【0021】
図2は、本開示の実施例より提供されるモバイル端末の一部構造の概略図である。当該モバイル端末は、携帯電話と、タブレットコンピュータであってもよいが、これらに限定されない。
図2に示すように、当該モバイル端末は、フレーム20と、第1の金属片31と、第2の金属片32とを含む。フレーム20は、モバイル端末の内部スペースを画定し、フレーム20は、給電点231を有する。
【0022】
第1の金属片31は、内部スペースに位置し、第1の金属片31は、給電点231に接続される。
【0023】
第2の金属片32は、内部スペースに位置する。
図3は、本開示の実施例より提供される第1の金属片と第2の金属片の概略構成図である。
図3に示すように、第2の金属片32と第1の金属片31との間に隙間30aを有し、第2の金属片32と第1の金属片31は、隙間30aを介して結合給電される。
【0024】
第1の金属片と第2の金属片を設けることによって、第1の金属片をフレームにおける給電点に接続し、第2の金属片と第1の金属片との間に隙間を有し、第2の金属片は、第1の金属片と隙間を介して結合給電され、第2の金属片は電磁波を放射し、結合給電方式は、第2の金属片の放射能力を安定させ得ることによって、モバイル端末がより多くの周波数帯域をサポートすることができる。
【0025】
また、アンテナとしてのフレームと第1の金属片は、同一の給電点に接続されるため、フレームと第2の金属片は、一つの給電源を共用することができるため、モバイル端末の構造がコンパクトになり、モバイル端末の体積の減少に有利である。
【0026】
図2に示すように、当該モバイル端末は、内部スペースに位置するアンテナブラケット33をさらに含むことができる。第1の金属片31と第2の金属片32は、アンテナブラケット33に位置して、第1の金属片31と第2の金属片32の取り付けが容易になる。
【0027】
例示的には、第1の金属片31と第2の金属片32は、レーザ直接構造化技術(Laser-Direct-structuring、LDS)を採用してアンテナブラケット33に形成することができる。レーザ直接構造化技術を採用して第1の金属片31と第2の金属片32を製造すると、製造精度が高く、第1の金属片31と第2の金属片32との形状及び寸法を正確に製造しやすくなる。
【0028】
また、アンテナブラケット33には、フレキシブル回路基板(Flexible Printed Circuit、FPC)がさらに設けられることができ、第1の金属片31と第2の金属片32は、当該FPCに位置することができる。又は第1の金属片31と第2の金属片32は、接着の方式を採用してアンテナブラケット33に取り付けることもでき、例えば、接着剤によって接着するか、又はアンテナブラケット33の一部が熱により溶融された後に第1の金属片31と第2の金属片32に接着される。第1の金属片31と第2の金属片32は、銅片と、鋼片であってもよいが、これらに限定されない。
【0029】
図3に示すように、第2の金属片32は、第1の枝321と、第2の枝322と、接続部323とを含むことができる。第1の枝321と第2の枝322は、接続部323の同一側に平行して間隔をあけて配置され、第1の枝321の一端と第2の枝322の一端は、いずれも接続部323に接続され、隙間30aは、第1の金属片31と第1の枝321との間に位置する。第2の金属片32は放射体として、第1の枝321と第2の枝322との寸法及び間隔距離は、第2の金属片32によってカバーされる周波数を影響することができる。5Gは、3.3GHz~3.6GHzと、4.8GHz~5.0GHzのような、複数の周波数帯域を有するため、異なる事業者によって採用される周波数帯域は、異なる可能性がある。第1の枝321と第2の枝322との寸法と、第1の枝321と第2の枝322との間の間隔の距離を変更することにより、第2の金属片32によってカバーされる周波数を変更する。そのため、第2の金属片32によってカバーされる周波数が異なる事業者に適用することができる。
【0030】
図4は、本開示の実施例より提供される他の第1の金属片と第2の金属片の概略構成図である。
図4に示す第2の金属片と
図3に示す第2の金属片の相違点は、接続部323の位置である。
図4に示すように、第1の枝321と第2の枝322は、平行して間隔をあけて配置され、接続部323は、第1の枝321の中間部と第2の枝322の中間部に接続され、隙間30aは、第1の金属片31と第1の枝321との間に位置する。第1の枝321と、第2の枝322との間の接続部323の位置は、具体的な要求によって設けることができ、モバイル端末内の構造を回避しつつ、第2の金属片32とモバイル端末内の金属構造との距離をできる限り大きくし、よって、金属構造が第2の金属片32の作業に影響することを回避する。
【0031】
例示的には、
図3に示すように、第1の金属片31は、矩形であるが、第1の金属片31の形状は、モバイル端末の内部スペースの大きさ及びブラケットの構造によって適応的に変更することができるが、本開示では、これらを限定しない。
【0032】
第1の金属片31の一辺は、第2の金属片32の一辺と平行であってもよい。隙間30aは、第1の金属片31と第2の金属片32との間の結合作用に影響することができ、異なる幅の隙間30aによって、第1の金属片31と第2の金属片32との間の結合作用が異なる。第1の金属片31の一辺は、第2の金属片32の一辺と平行することにより、第1の金属片31と第2の金属片32との間の隙間30aの大きさは等しいため、隙間30aの大きさが容易に調整される。
【0033】
アンテナは、通常、設計時にシミュレーションを行う必要があり、第1の枝321と第2の枝322の長さ、幅、第1の枝321と第2の枝322との間隔の距離は、いずれもシミュレーションによって決定することができる。隙間30aの幅mは、第1の金属片31と第2の金属片32との間の結合作用に影響することができるため、第1の金属片31と第2の金属片32との間の結合作用が良くなり、エネルギーの損失を削減するように、隙間30aの幅mを小さく設置することができる。隙間30aの幅mも、シミュレーションによって決定することができる。
【0034】
本開示の実施例の可能な実現方式では、アンテナブラケット33は、射出成形によって、容易に製造されることができ、且つ軽量であり、モバイル端末の重量の低減に有利であるプラスチック構造部材であってもよい。
【0035】
アンテナブラケット33は、フレーム20と接触してもよいし、互いに間隔を置いてもよい。アンテナブラケット33は、板状を呈しても良いし、アンテナブラケット33は、モバイル端末の内部の他の構造を固定することもでき、例えば、アンテナブラケット33は、フレキシブル回路基板、プリント回路基板、スピーカなどの構造を取り付けることもでき、フレキシブル回路基板は、アンテナブラケット33に貼り付けることができ、プリント回路基板は、ネジによりアンテナブラケットに固定することができる。
図2に示すアンテナブラケット33の大きさは、例示として挙げられるに過ぎず、アンテナブラケット33の大きさは、モバイル端末の内部のスペースによって設置することができ、例えば、
図2におけるアンテナブラケット33は、左辺にフレームまで延びることもでき、このようにアンテナブラケット33は、スピーカを取り付けることもできる。
【0036】
第1の金属片31と給電点231は、導電する接続部材によって接続されることができる。例えば、フレーム20の給電点231には、弾性片232を有することができ、弾性片は導体であり、フレーム20と第1の金属片31は、いずれも弾性片232と接触される。弾性片232の弾性力を利用することにより、弾性片232と第1の金属片31との接触を維持させることができる。
【0037】
本開示の実施例の可能な実現方式では、弾性片232は、ネジによって第1の金属片31に接続することもでき、弾性片232と第1の金属片31との接触を維持させることができる。弾性片232は、フレーム20に溶接されてもよいし、又はネジによってフレーム20に接続されてもよい。第1の金属片31と給電点231との最も小さい間隔の距離は、第2の金属片32の放射能力を安定させるように、比較的に小さく設置することができる。最も小さい距離の具体的な数値は、シミュレーションによって決定することができる。
【0038】
図2を参照すると、フレーム20は、離間された第1の導電性セグメント21と、第2の導電性セグメント22と、及び第1の導電性セグメント21と第2の導電性セグメント22との間に位置する第3の導電性セグメント23と、を含むことができる。給電点231は、第3の導電性セグメント23に位置し、第3の導電性セグメント23と、第1の導電性セグメント21及び第2の導電性セグメント22との間にそれぞれスリット20aを有し、第1の導電性セグメント21と第2の導電性セグメント22は、それぞれ対応するスリット20aによって第3の導電性セグメント23に結合給電される。フレーム20を第1の導電性セグメント21と、第2の導電性セグメント22と、第3の導電性セグメント23として設けられ、給電点231は、第3の導電性セグメント23に位置するため、第3の導電性セグメント23は、低周波アンテナに相当する低周波放射体とすることができる。第1の導電性セグメント21は、第1の導電性セグメント21と第3の導電性セグメント23との間に位置する一つのスリット20aによって第3の導電性セグメント23と結合給電される。第1の導電性セグメント21と、第3の導電性セグメント23の、給電点231と第1の導電性セグメント21との間に位置する部分とは、中間周波アンテナに相当する中間周波放射体とすることができる。第2の導電性セグメント22は、第2の導電性セグメント22と第3の導電性セグメント23との間に位置する一つのスリット20aによって第3の導電性セグメント23と結合給電される。第2の導電性セグメント22と、第3の導電性セグメント23の、給電点231と第2の導電性セグメント22との間に位置する部分は、高周波アンテナに相当する高周波放射体とすることができる。このようにフレーム20は、アンテナとして使用され、三つの周波数帯域をカバーすることができる。例示的には、低周波放射体は、700MHz~960MHzの周波数範囲をカバーすることができる。中間周波放射体は、1710MHz~2170MHzの周波数範囲をカバーすることができる。高周波放射体は、2300MHz~2700MHzの周波数範囲をカバーすることができる。さらに、第2の金属片32と第1の金属片31は、隙間30aを介して結合給電され、第2の金属片32も一つの放射体に相当し、当該放射体は、3.3GHz~3.6GHz又は4.8GHz~5.0GHzのような、より高い周波数範囲をカバーすることができる。給電点231が放射信号を出力する場合、第3の導電性セグメント23の、給電点231と第1の導電性セグメント21との間に位置する部分と、第1の導電性セグメント21とは、1710MHz~2170MHzの信号を放射する。第3の導電性セグメント23の、給電点231と第2の導電性セグメント22との間に位置する部分と、第2の導電性セグメント22は、2300MHz~2700MHzの信号を放射する。第3の導電性セグメント23は、700MHz~960MHzの信号を放射する。第1の金属片31と第2の金属片32とは、3.3GHz~3.6GHz又は4.8GHz~5.0GHzの信号を放射する。これにより、モバイル端末が2Gと、3Gと、4Gと、5Gをサポートすることができ、第1の導電性セグメント21と、第2の導電性セグメント22と、第3の導電性セグメント23と、第2の金属片32とは、一つの給電源11を共用して、アンテナ構造は、さらにコンパクトになり、モバイル端末の体積の低減に有利である。当該モバイル端末は、接地としての金属板12をさらに含むことができ、第1の導電性セグメント21と第2の導電性セグメント22は、金属板12に接続されることができる。
【0039】
図2に示すように、第1の金属片31は、第2の金属片32と第3の導電性セグメント23との間に位置することができる。これにより、第1の金属片31が給電点231に隣接するように配置されやすくなり、第1の金属片31と給電点231との間の接続が容易になる。
【0040】
第1の金属片31の長さ方向は、第3の導電性セグメント23の延在方向と同じであってもよい。すなわち、第1の金属片31は、第3の導電性セグメント23と平行に設けられることができる。携帯電話において、第3の導電性セグメント23は、通常、携帯電話の幅方向に沿っているため、このように第1の金属片31を配置することにより、第1の金属片31と第2の金属片32の携帯電話長さ方向への寸法を減らすことができ、スペースを節約する。
【0041】
本開示の実施例の可能な実現方式では、第1の金属片31の長さ方向は、第3の導電性セグメント23の延在方向とゼロでない角度、例えば90°を呈しても良い。
【0042】
モバイル端末が携帯電話であることを例として、第3の導電性セグメント23は、フレーム20のスピーカ又はUSB(Universal Serial Bus、ユニバーサルシリアルバス)インターフェースに位置するセグメントであってもよい。第3の導電性セグメント23にUSBコネクタを回避するための開口を有することができる。
【0043】
図2に示すように、当該モバイル端末は、切り替えスイッチ13と少なくとも二つの同調素子131とをさらに含むことができ、切り替えスイッチ13は、第3の導電性セグメント23を一つの同調素子131に選択的に接続する。切り替えスイッチ13によって第3の導電性セグメント23を異なる同調素子131に接続することによって、受信された周波数範囲が大きい信号から特定の周波数の信号を選択することができる。国家の通信サービスプロバイダーは、周波数帯域が少し異なる信号を使用するため、切り替えスイッチ13を使用して異なる同調素子131に選択的に接続することにより、共振周波数帯域を変更して、一つモバイル端末が異なる地域又は異なる通信サービスプロバイダーの通信サービスを使用することができる。
【0044】
同調素子131は、インダクタHと、コンデンサCと、抵抗器Rのうちの少なくとも一つを含むことができる。同調素子131は、接地することができる。同調素子131を金属板12に接続することによって接地を実現することができる。
【0045】
図2に示すように、給電点231は、第2の導電性セグメント22に近接する第3の導電性セグメント23の一端に位置することができる。切り替えスイッチ13は、第3の導電性セグメント23を異なる同調素子に接続し、第1の導電性セグメント21と、第2の導電性セグメント22と、第3の導電性セグメント23と、第2の金属片32との放射能力がいずれも一定の影響を受けることができるが、給電点231は、第2の導電性セグメント22に近接する第3の導電性セグメント23の一端に位置するため、第2の導電性セグメント22と給電点231との距離は、極めて小さく、第1の金属片31は給電点231に隣接して配置されることにより、第2の金属片32と第2の導電性セグメント22の放射能力が受ける影響を低減することができる。同時に、第2の金属片32と第1の金属片31、第2の導電性セグメント22と第3の導電性セグメント23は、いずれも結合給電を採用し、第2の金属片32と第2の導電性セグメント22の放射能力が受ける影響をさらに低減することができる。
【0046】
第2の導電性セグメント22と、第3の導電性セグメント23の給電点231と第2の導電性セグメント22との間に位置する部分は、高周波アンテナに相当し、第2の金属片32も一つの放射体に相当し、当該高周波アンテナが2300MHz~2700MHzの周波数範囲をカバーし、第2の金属片32が3.3GHz~3.6GHz又は4.8GHz~5.0GHzの周波数範囲をカバーする場合、モバイル端末は、4Gと5Gをサポートすることができる。切り替えスイッチ13が第3の導電性セグメント23を異なる同調素子に接続する場合、第1の導電性セグメント21と、第2の導電性セグメント22と、第3の導電性セグメント23と、第2の金属片32の放射能力がいずれも一定の影響を受けることがあるが、第2の金属片32と第2の導電性セグメント22の放射能力が受ける影響が小さいため、切り替えスイッチ13がどのように接続されても、いずれもモバイル端末が4G信号と5G信号での安定作業を確保することができる。
【0047】
図5は、本開示の実施例より提供されるモバイル端末のアンテナ放射方法のフローチャートである。当該モバイル端末は、
図2~
図4に示すようなモバイル端末である。
図5に示すように、当該方法は、以下のようなステップを含む。
ステップS11において、モバイル端末が給電点に電気信号を提供する。
【0048】
ステップS12において、フレームが少なくとも第1の周波数帯域の共振を形成して、電磁波を放射するように、フレームが電気信号を受信する。
【0049】
ステップS13において、第2の金属片が第2の周波数帯域の共振を形成して、電磁波を放射するように、第1の金属片が電気信号を受信し、電気信号を第2の金属片に励振する。
【0050】
第1の金属片と第2の金属片を設けることによって、第1の金属片をフレームにおける給電点に接続し、第2の金属片と第1の金属片との間に隙間を有し、第2の金属片は、第1の金属片と隙間を介して結合給電され、第2の金属片は電磁波を放射し、結合給電方式は、第2の金属片の放射能力を安定させ得ることによって、モバイル端末がより多くの周波数帯域をサポートすることができる。
【0051】
ステップS13とステップS12は、同時に行うことができる。
【0052】
本開示の実施例の可能な実現方式では、第2の周波数帯域は、3.3GHz~3.6GHz又は4.8GHz~5.0GHzであってもよい。これにより、モバイル端末は、5Gをサポートすることができる。
【0053】
第1の周波数帯域は、700MHz~960MHzと、1710MHz~2170MHzと、又は2300MHz~2700MHzのうちのいずれかであってもよい。例えば、第1の周波数帯域は、700MHz~960MHzであってもよい。
【0054】
図2を参照すると、フレーム20は、離間された第1の導電性セグメント21と、第2の導電性セグメント22と、第1の導電性セグメント21と第2の導電性セグメント22との間に位置する第3の導電性セグメント23と、を含むことができ、フレーム20については上記の説明を参照する。例示的には、第3の導電性セグメント23は、電気信号の作用下で第1の周波数帯域の共振を形成することができる。第1の導電性セグメント21と、第3の導電性セグメント23の、給電点231と第1の導電性セグメント21との間に位置する部分は、電気信号の作用下で第3の周波数帯域の共振を形成することもできる。第2の導電性セグメント22と、第3の導電性セグメント23の、給電点231と第2の導電性セグメント22との間に位置する部分は、電気信号の作用下で第4の周波数帯域の共振を形成することができる。第3の周波数帯域と第4の周波数帯域は、それぞれ700MHz~960MHzと、1710MHz~2170MHzと、又は2300MHz~2700MHzのうちの第1の周波数帯域と異なる一つであってもよく、例えば、第1の周波数帯域は、700MHz~960MHzであってもよい場合、第3の周波数帯域は、1710MHz~2170MHzであってもよく、第4の周波数帯域は、2300MHz~2700MHzであってもよい。
【0055】
当業者は、明細書を考慮してここに記載の発明を実践した後、本発明の他の実施案を容易に考えられる。本発明は、ここに記載された一切変形、用途又は適応性的な変化を含むことを旨とし、これらの変形、用途又は適応的変化は本発明の一般的な原理及び本発明に開示されていない当該技術分野における周知知識又は常用の技術手段を含む。明細書と実施例とは例示的なものだけとみなされ、本発明の真の範囲と主旨は以下の特許請求の範囲に指摘される。
【0056】
本発明は、上記既に説明されて図面に示された正確な構造を限定するものだけではなく、その原理及び主旨から逸脱しない限り、各種の補正、変化を行うことができる、と理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその等価物だけにより限定されるものである。