(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/85 20140101AFI20220815BHJP
A63F 13/49 20140101ALI20220815BHJP
A63F 13/79 20140101ALI20220815BHJP
G06F 40/56 20200101ALI20220815BHJP
【FI】
A63F13/85
A63F13/49
A63F13/79
G06F40/56
(21)【出願番号】P 2020059725
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2020-03-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】308033283
【氏名又は名称】株式会社スクウェア・エニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【氏名又は名称】畑添 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(72)【発明者】
【氏名】三宅 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂田 新平
【審査官】右田 純生
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-517186(JP,A)
【文献】特表2018-510037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0203970(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0107217(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0145242(US,A1)
【文献】特開2000-126452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 13/00- 13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームのログが蓄積されたログ蓄積装置に接続されるコンピュータを、
前記ログを取得するログ取得手段と、
前記ログ毎の重みを取得する重み取得手段と、
取得された前記ログをゲーム内タイミングの順に参照し、前記ゲーム内の時系列に沿って該ログに基づく自然文を生成する自然文生成手段と、
生成された前記自然文と、前記ログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する物語生成手段として機能させ、
前記自然文生成手段は、取得された前記ログ毎の重みに応じて、生成される前記自然文のうち各ログに対応する各部分の長さ及び文調のうち少なくとも何れかを調整し、
前記物語生成手段は、前記ゲーム関連コンテンツを、該ゲーム関連コンテンツに係るゲーム内タイミング近傍のゲーム内タイミングに係る前記ログに対応する前記自然文中のシーンの文章の近傍に配置する、
プログラム。
【請求項2】
前記ゲームは、複数のプレイヤによってプレイされるマルチプレイヤゲームであり、
前記ログには、前記複数のプレイヤの夫々によって入力されたメッセージが含まれ、
前記自然文生成手段は、生成する前記自然文に、前記メッセージに基づくテキストを、前記物語コンテンツに登場するキャラクタによる会話として含める、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
ゲームのログが蓄積されたログ蓄積装置に接続され、
前記ログ
及び該ログ毎の重みを取得するログ取得手段と、
取得された前記ログをゲーム内タイミングの順に参照し、前記ゲーム内の時系列に沿って
、該ログに基づく自然文
であって、取得された前記ログ毎の重みに応じて該自然文のうち各ログに対応する各部分の長さ及び文調のうち少なくとも何れかが調整された自然文を生成する自然文生成手段と、
生成された前記自然文と、前記ログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する物語生成手段とを備え、
前記物語生成手段は、前記ゲーム関連コンテンツを、該ゲーム関連コンテンツに係るゲーム内タイミング近傍のゲーム内タイミングに係る前記ログに対応する前記自然文中のシーンの文章の近傍に配置する、
情報処理装置。
【請求項4】
ゲームのログが蓄積されたログ蓄積装置に接続された少なくとも1のプロセッサが、
前記ログ
及び該ログ毎の重みを取得するログ取得と、
取得された前記ログをゲーム内タイミングの順に参照し、前記ゲーム内の時系列に沿って
、該ログに基づく自然文
であって、取得された前記ログ毎の重みに応じて該自然文のうち各ログに対応する各部分の長さ及び文調のうち少なくとも何れかが調整された自然文を生成する自然文生成と、
生成された前記自然文と、前記ログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する物語生成とを実行し、
前記物語生成では、前記ゲーム関連コンテンツを、該ゲーム関連コンテンツに係るゲーム内タイミング近傍のゲーム内タイミングに係る前記ログに対応する前記自然文中のシーンの文章の近傍に配置する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態の少なくとも1つは、自然文を生成するためのプログラム、情報処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自然文を自動生成するための技術が種々提案されている(非特許文献1から3を参照)。また、将棋の棋譜から解説文を自動生成するための技術が提案されている(非特許文献4を参照)。更に、各ゲーム機の情報を収集して管理サーバ装置で文章化した状況データを作成し不特定多数の人にゲームの状況を閲覧させること、及び後からリプレイデータを重ねて流すことが提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】「文章生成グループ - 佐藤研究室」、[2020年1月28日検索]、佐藤研究室、インターネット<URL:https://sites.google.com/site/sslabnagoya/research/sakka>
【文献】妹尾雄大、「物語自動生成プログラム『ジェネジェネちゃん』の作り方 基礎編」、2017年12月20日、Vrai Blog、[2020年1月28日検索]、インターネット<URL:http://blog.vrai.jp/article/455677889.html?seesaa_related=related_article>
【文献】orikasse、「小説を自動作成できるジェネレーター23選ツール自動生成」、2019年10月3日、ライカツ、[2020年1月28日検索]、インターネット<URL:https://lifelikewriter.com/novel-generator/>
【文献】亀甲 博貴、他4名「対数線型言語モデルを用いた将棋解説文の自動生成」、情報処理学会論文誌 Vol.55 No.11、2431-2440、2014年11月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、ゲームのプレイヤがゲームプレイの内容を残す方法として、プレイ内容を動画で記録したり、リプレイ小説を作成したりする方法があるが、何れも手間のかかる方法であり、そのような方法でゲームプレイ内容の記録を残すプレイヤは少ない。また、コンピュータゲームにおいても、トロフィー獲得等のタイミングでスクリーンショットを記録する機能が提供されている例があるが、当該機能は、単に対象タイミングにおけるゲーム画面を記録するのみの機能であり、物語として鑑賞できるようなものではなかった。
【0006】
本開示の少なくとも1つの実施形態の目的は、上記課題を解決し、ゲームプレイの内容を、プレイヤに大きな手間をかけさせることなく、鑑賞可能な物語として残すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
非限定的な観点によると、本開示の一側面は、ゲームのログが蓄積されたログ蓄積装置に接続されるコンピュータを、前記ログを取得するログ取得手段と、取得された前記ログに基づいて自然文を生成する自然文生成手段と、生成された前記自然文と、前記ログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する物語生成手段として機能させる、プログラムである。
【0008】
なお、本開示は、情報処理装置、情報処理システム、コンピュータによって実行される方法、又はコンピュータに実行させるプログラムとしても把握することが可能である。また、本開示は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものとしても把握できる。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0009】
本願の各実施形態により1または2以上の不足が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理装置の機能構成の概略を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態の少なくとも一つに対応する物語生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3】本開示の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理装置の機能構成の概略を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態の少なくとも一つに対応する物語生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本開示の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理装置の機能構成の概略を示す図である。
【
図6】本開示の実施形態の少なくとも一つに対応する物語生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】本開示の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理装置の機能構成の概略を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態の少なくとも一つに対応する物語生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】本開示の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理システムの構成の概略を示す図である。
【
図10】本開示の実施形態の少なくとも一つに対応する情報処理装置の機能構成の概略を示す図である。
【
図11】本開示の実施形態の少なくとも一つに対応する物語生成処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態の例について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本開示を実施する場合の一例を示すものであって、本開示を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本開示の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0012】
また、以下で説明する各実施形態の例における各種構成要素は、矛盾等が生じない範囲で適宜組み合わせ可能である。また、ある実施形態の例として説明した内容については、他の実施形態においてその説明を省略している場合がある。また、各実施形態の特徴部分に関係しない動作や処理については、その内容を省略している場合がある。さらに、以下で説明する各種フローを構成する各種処理の順序は、処理内容に矛盾等が生じない範囲で順不同である。
【0013】
[第一の実施形態]
<装置の構成>
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1aの機能構成の概略を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置1aは、プロセッサが、各種メモリに展開された各種プログラムを解釈及び実行することで、ログ取得部21a、自然文生成部22a及び物語生成部23aを備える情報処理装置として機能する。本実施形態では、これらの機能がいずれも汎用のプロセッサによって実行される例について説明するが、これらの機能は、その一部又は全部が、1又は複数の専用のプロセッサによって実現されてもよい。また、情報処理装置1aが備える各機能部は、遠隔に、及び/又は分散して(例えば、クラウド上に)実装されてよい。また、これらの機能部は、単一のソフトウェアモジュールではなく、複数のソフトウェアモジュールによって実現されていてもよい。
【0014】
ログ取得部21aは、ユーザ(プレイヤ)によってプレイされたゲーム(コンピュータゲームに限定されない)のログが蓄積されたログ蓄積装置(図示は省略する)から、当該ログを取得する。ここで、ゲームのログは、例えば、コンピュータゲームのプレイデータやセーブデータ、将棋やチェスの棋譜、ボードゲームやカードゲームのプレイ記録、等がこれに相当し、ログの対象となるゲームの種類は限定されない。ゲームのログには、ゲームにおけるプレイヤの行動内容、操作内容、ゲーム内で発生したイベント、ゲームの状態、等を特定可能な情報が、ゲーム内で当該ログが生成/記録されたタイミング(以下、「ゲーム内タイミング」と称する。ゲーム内タイミングは、例えば、ゲーム内時刻、現実の時刻、又はゲーム内ターン番号、等で表されてよい)を特定可能な情報と併せて記録された情報が含まれる。換言すれば、ゲームのログは、ゲームプレイを一定以上再現可能な記録である。なお、ログ蓄積装置は、情報処理装置1a内に実装されてもよいし、ネットワーク等の通信手段を介して接続される他の装置に実装されてもよい。
【0015】
自然文生成部22aは、ログ取得部21aによって取得されたログに基づいて自然文を生成する。自然文の生成にあたって、ログはゲーム内タイミングの順に参照され、ゲーム内の時系列に沿ってログに基づく自然文が生成されることで、ゲームプレイの順序に沿った自然文が生成される。自然文を生成する具体的な手段は限定されないが、例えば、自然文のテンプレートテキストや、ログから自然文を生成可能な機械学習のモデルを用いることができる。
【0016】
物語生成部23aは、自然文生成部22aによって生成された自然文と、ログ取得部21aによって取得されたログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する。ここで、ゲーム関連コンテンツとは、ゲームに関連して用いられる画像や音楽等のコンテンツであり、その種類は限定されない。例えば、ゲーム画像は静止画像であっても動画像であってもよい。物語生成部23aは、ゲーム関連コンテンツとして、例えば、ゲームの進行に応じて自動的に記録された画像、ゲーム中にユーザの指示に応じて記録された画像、ログを参照してゲームプログラムを用いて再現された画像、予め用意されていた画像、ゲーム中で再生される音楽データ、等を取得することが出来る。ゲームがコンピュータゲームでない場合には(将棋、チェス、ボードゲーム等)、例えば、ゲームプレイの様子を撮像した画像が用いられてもよい。また、この際、コンテンツは、コンテンツのデータ自体を取得することによって取得されても良いし、コンテンツのデータへのリンク等を取得することによって取得されても良い。
【0017】
<処理の流れ>
次に、本実施形態において実行される処理の流れを説明する。なお、実施形態に係るフローチャートに示された処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0018】
図2は、第一の実施形態に係る物語生成処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、情報処理装置1aにおいて、物語生成開始の指示が受け付けられたことを契機として実行される。
【0019】
ステップS101及びステップS102では、ログに基づく自然文が生成される。ログ取得部21aは、ログ蓄積装置からログを取得する(ステップS101)。上述の通り、ここで取得されるログには、ゲーム内タイミングを特定可能な情報が含まれる。ログ取得部21aによってログが取得されると、自然文生成部22aは、取得されたログをゲーム内タイミングの順に参照し、ゲーム内の時系列に沿った自然文を生成する(ステップS102)。その後、処理はステップS103へ進む。
【0020】
ステップS103では、ゲーム関連コンテンツが取得される。物語生成部23aは、1又は複数のゲーム関連コンテンツを取得する(ステップS103)。ここで取得されるゲーム関連コンテンツは、ログ蓄積装置に蓄積されたログに係るゲームの関連コンテンツである。その後、処理はステップS104へ進む。
【0021】
ステップS104及びステップS105では、物語コンテンツが生成され、出力される。物語生成部23aは、自然文生成部22aによって生成された自然文と、ログ取得部21aによって取得されたログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する(ステップS104)。生成された物語コンテンツのデータ(以下、「物語データ」と称する)は、情報処理装置1aの記憶装置又はその他の記憶装置に対して出力、保存される(ステップS105)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0022】
上記説明したように、本開示の一側面として、情報処理装置1aは、ログ取得部21a、自然文生成部22a及び物語生成部23aを備える。このため、本開示の一側面によれば、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツ(例えば、挿絵付きの物語コンテンツや、背景音楽付きの物語コンテンツ)を生成することが可能となる。
【0023】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態を説明する。第一の実施形態と共通する構成及び処理内容については、第一の実施形態を参照するものとし、説明を省略する。
【0024】
<装置の構成>
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1bの機能構成の概略を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置1bは、第一の実施形態と同様、ログ取得部21b、自然文生成部22b及び物語生成部23bを備えるが、物語生成部23bによる処理の内容が、第一の実施形態において説明した処理の内容と異なる。
【0025】
第二の実施形態において、物語生成部23bは、1又は複数のゲーム関連コンテンツの夫々を、当該ゲーム関連コンテンツに係るゲーム内タイミング近傍のゲーム内タイミングに係るログに対応する自然文の近傍に配置する。
【0026】
<処理の流れ>
次に、本実施形態において実行される処理の流れを説明する。なお、実施形態に係るフローチャートに示された処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0027】
図4は、第二の実施形態に係る物語生成処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、情報処理装置1bにおいて、物語生成開始の指示が受け付けられたことを契機として実行される。
【0028】
ステップS201及びステップS202では、ログに基づく自然文が生成される。ログ取得部21bは、ログ蓄積装置からログを取得する(ステップS201)。第一の実施形態と同様、ここで取得されるログには、ゲーム内で当該ログが生成されたタイミング(ゲーム内タイミング)を特定可能な情報が含まれる。ログ取得部21bによってログが取得されると、自然文生成部22bは、取得されたログに基づいて自然文を生成する(ステップS202)。その後、処理はステップS203へ進む。
【0029】
ステップS203では、ゲーム関連コンテンツが取得される。物語生成部23bは、1又は複数のゲーム関連コンテンツを取得する(ステップS203)。ここで取得されるゲーム関連コンテンツは、ログ蓄積装置に蓄積されたログに係るゲームの関連コンテンツである。また、ここで取得されるゲーム関連コンテンツには、メタデータとして、当該ゲーム関連コンテンツに係るゲーム内タイミングが関連づけられている。その後、処理はステップS204へ進む。
【0030】
ステップS204及びステップS205では、物語コンテンツが生成され、出力される。物語生成部23bは、自然文生成部22bによって生成された自然文と、ログ取得部21bによって取得されたログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する(ステップS204)。ここで、物語生成部23bは、1又は複数のゲーム関連コンテンツの夫々を、当該ゲーム関連コンテンツに係るゲーム内タイミング近傍のゲーム内タイミングに係るログに対応する自然文の近傍に配置する。生成された物語データは、情報処理装置1bの記憶装置又はその他の記憶装置に対して出力、保存される(ステップS205)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0031】
上記説明したように、本開示の一側面として、情報処理装置1bは、ログ取得部21b、自然文生成部22b及び物語生成部23bを備え、物語生成部23bは、ゲーム関連コンテンツを、ゲーム内タイミングが近いログに対応する自然文の近傍に配置する。このため、本開示の一側面によれば、物語コンテンツ中の自然文の内容とゲーム関連コンテンツとを対応させることが可能となる。
【0032】
[第三の実施形態]
次に、第三の実施形態を説明する。第一の実施形態と共通する構成及び処理内容については、第一の実施形態を参照するものとし、説明を省略する。
【0033】
<装置の構成>
図5は、本実施形態に係る情報処理装置1cの機能構成の概略を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置1cは、
図1を参照して第一の実施形態で説明したログ取得部21c、自然文生成部22c及び物語生成部23cに加えて、重み取得部24を備える。更に、本実施形態では、自然文生成部22cによる処理の内容が、第一の実施形態において説明した処理の内容と異なる。
【0034】
重み取得部24は、ログ取得部21cによって取得されたログ毎に、当該ログの重みを取得する。ここで、重み取得部24は、事前に付されてログ蓄積装置に蓄積されていたログの重みに関する情報をそのまま取得してもよいし、ログ蓄積装置から取得されたログを解析することで、新たに重みを付してもよい。ここで、重みを表現する手法は限定されない。例えば、重みは、ランクや数値として表現することが出来る。
【0035】
また、第三の実施形態において、自然文生成部22cは、ログ取得部21cによって取得されたログ毎の重みに応じて、生成される自然文を調整する。
【0036】
<処理の流れ>
次に、本実施形態において実行される処理の流れを説明する。なお、実施形態に係るフローチャートに示された処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0037】
図6は、第三の実施形態に係る物語生成処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、情報処理装置1cにおいて、物語生成開始の指示が受け付けられたことを契機として実行される。
【0038】
ステップS301及びステップS302では、ログ及びログの重みが取得される。ログ取得部21cは、ログ蓄積装置からログを取得する(ステップS301)。上述の通り、ここで取得されるログには、ゲーム内で当該ログが生成されたタイミングを特定可能な情報が含まれる。ログ取得部21cによってログが取得されると、重み取得部24は、ログ取得部21cによって取得されたログ毎に、当該ログの重みを取得する(ステップS302)。その後、処理はステップS303へ進む。
【0039】
ステップS303では、ログに基づく自然文が生成される。自然文生成部22cは、取得されたログに基づいて自然文を生成する(ステップS303)。この際、自然文生成部22cは、ログ取得部21cによって取得されたログ毎の重みに応じて、生成される自然文を調整する。その後、処理はステップS304へ進む。
【0040】
ステップS304では、ゲーム関連コンテンツが取得される。物語生成部23cは、1又は複数のゲーム関連コンテンツを取得する(ステップS304)。ここで取得されるゲーム関連コンテンツは、ログ蓄積装置に蓄積されたログに係るゲームの関連コンテンツである。また、ここで取得されるゲーム関連コンテンツには、メタデータとして、当該ゲーム関連コンテンツに係るゲーム内タイミングが関連づけられている。その後、処理はステップS305へ進む。
【0041】
ステップS305及びステップS306では、物語コンテンツが生成され、出力される。物語生成部23cは、自然文生成部22cによって生成された自然文と、ログ取得部21cによって取得されたログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する(ステップS305)。生成された物語データは、情報処理装置1cの記憶装置又はその他の記憶装置に対して出力、保存される(ステップS306)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0042】
上記説明したように、本開示の一側面として、情報処理装置1cは、ログ取得部21c、自然文生成部22c、物語生成部23c及び重み取得部24を備え、自然文生成部22cは、ログ毎の重みに応じて、生成される自然文を調整する。このため、本開示の一側面によれば、生成される自然文に、ログの重みに応じた起伏を持たせることが可能となる。
【0043】
[第四の実施形態]
次に、第四の実施形態を説明する。第一の実施形態と共通する構成及び処理内容については、第一の実施形態を参照するものとし、説明を省略する。
【0044】
<装置の構成>
図7は、本実施形態に係る情報処理装置1dの機能構成の概略を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置1dは、第一の実施形態と同様、ログ取得部21d、自然文生成部22d及び物語生成部23dを備えるが、自然文生成部22dによる処理の内容が、第一の実施形態において説明した処理の内容と異なる。
【0045】
第四の実施形態において、自然文生成部22dは、ログ毎に、生成される自然文のうち各ログに対応する各部分の長さ及び文調のうち少なくとも何れかを調整する。ここで、文調とは、例えば、語句、語法及び修辞等に基づく文章表現のスタイルである。
【0046】
<処理の流れ>
次に、本実施形態において実行される処理の流れを説明する。なお、実施形態に係るフローチャートに示された処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0047】
図8は、第四の実施形態に係る物語生成処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、情報処理装置1dにおいて、物語生成開始の指示が受け付けられたことを契機として実行される。
【0048】
ステップS401及びステップS402では、ログに基づく自然文が生成される。ログ取得部21dは、ログ蓄積装置からログを取得する(ステップS401)。上述の通り、ここで取得されるログには、ゲーム内で当該ログが生成されたゲーム内タイミングを特定可能な情報が含まれる。
【0049】
ログ取得部21dによってログが取得されると、自然文生成部22dは、取得されたログに基づいて自然文を生成する(ステップS402)。ここで、自然文生成部22dは、ログ毎に、生成される自然文のうち各ログに対応する各部分の長さ及び文調のうち少なくとも何れかを調整する。例えば、自然文生成部22dは、より大きな重みを有するログに対応する自然文がより長く、より小さな重みを有するログに対応する自然文がより短くなるように、自然文を生成する。又は、自然文生成部22dは、より大きな重みを有するログに対応する自然文がより多く修辞され、より小さな重みを有するログに対応する自然文がより少なく修辞されるように、自然文を生成する。但し、調整の基準は、ログ毎に付された重みに限定されない。例えば、ログの重みに関係なくランダムに調整が行われてもよい。その後、処理はステップS403へ進む。
【0050】
ステップS403では、ゲーム関連コンテンツが取得される。物語生成部23dは、1又は複数のゲーム関連コンテンツを取得する(ステップS403)。ここで取得されるゲーム関連コンテンツは、ログ蓄積装置に蓄積されたログに係るゲームの関連コンテンツである。その後、処理はステップS404へ進む。
【0051】
ステップS404及びステップS405では、物語コンテンツが生成され、出力される。物語生成部23dは、自然文生成部22dによって生成された自然文と、ログ取得部21dによって取得されたログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する(ステップS404)。生成された物語データは、情報処理装置1dの記憶装置又はその他の記憶装置に対して出力、保存される(ステップS405)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0052】
上記説明したように、本開示の一側面として、情報処理装置1dは、ログ取得部21d、自然文生成部22d及び物語生成部23dを備え、自然文生成部22dは、ログ毎に、生成される自然文の長さ及び文調のうち少なくとも何れかを調整する。このため、本開示の一側面によれば、生成される自然文に起伏を持たせることが可能となる。
【0053】
[第五の実施形態]
<装置の構成>
図9は、本実施形態に係る情報処理システム9の構成の概略を示す図である。本実施形態における情報処理システム9は、インターネット等のネットワークに接続された情報処理装置1及び複数のユーザ端末3を有している。情報処理装置1は、複数のユーザ端末3が参加するゲームのためのサーバ1である。複数のユーザ端末3がサーバ1に接続して行われるゲームとしては、例えばMMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game)等があるが、本開示に係る技術を適用可能なゲームは、本実施形態における例示に限定されない。また、ユーザ端末3は、ユーザによって使用されるゲーム装置等である。ゲーム装置としては、様々な種類の装置を用いることが可能であり、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯ゲーム装置、据え置きゲーム装置、ウェアラブルな電子機器(例えば、VR(Virtual Reality)ヘッドセットやスマートウォッチ等)等が挙げられるが、その種類は限定されない。ユーザは、ユーザ端末3及び情報処理装置1に、ゲーム処理プログラムに基づくゲーム処理を実行させることでゲームをプレイすることが出来る。
【0054】
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、補助記憶装置14と、ネットワークを介した外部との通信を行うためのネットワークインターフェイス15と、が有線又は無線接続された情報処理装置である。なお、情報処理装置1の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の形態に応じて適宜構成要素の省略や置換、追加が行われてよい。
【0055】
CPU11は、ROM12及びRAM13等に展開された命令及びデータを処理することで、RAM13、補助記憶装置14等の、情報処理装置1に備えられた各構成を制御する。また、RAM13は、主記憶装置であり、CPU11によって制御され、各種命令やデータが書き込まれ、読み出される。即ち、CPU11、ROM12及びRAM13は、情報処理装置1の制御部を構成する。
【0056】
補助記憶装置14は、不揮発性の記憶装置であり、主に情報処理装置1の電源を落としても保持したい情報、例えば、RAM13にロードされる情報処理装置1のOS(Operating System)や、後述する処理を実行するための各種プログラムの他、情報処理装置1によって使用される各種データが書き込まれ、読み出される。補助記憶装置14としては、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やHDD(Hard Disk Drive)等を用いることが出来る。
【0057】
また、情報処理装置1の補助記憶装置14は更に、情報処理装置1及びユーザ端末3によるゲーム処理のログを蓄積することで、ログ蓄積装置として機能する。但し、ログ蓄積装置は、ユーザ端末3内に実装されてもよいし、ネットワーク等の通信手段を介して接続される他の装置に実装されてもよい。
【0058】
ユーザ端末3は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、補助記憶装置34と、ネットワークインターフェイス35と、入力装置36と、出力装置37と、が有線又は無線接続された情報処理装置である。なお、ユーザ端末3の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の形態に応じて適宜構成要素の省略や置換、追加が行われてよい。
【0059】
入力装置36には、ボタン、スティック、キーボード、マウス、トラックボール、タッチセンサ、加速度センサ、角速度センサ、カメラ、深度センサ、マイクロフォン等の様々な装置を採用することが出来る。出力装置37には、ディスプレイ、スピーカ、振動子、又はLED等の様々な装置を採用することが出来る。また、タッチパネル付ディスプレイを採用することで、入力装置36と関連コンテンツを表示する出力装置37とが併せて提供されてもよい。
【0060】
また、ユーザ端末3の補助記憶装置34には、情報処理装置1の補助記憶装置14として例示されたものの他、着脱可能に装着される可搬媒体が用いられてもよい。可搬媒体の例としては、ROM等を含むカード/カートリッジ型媒体、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)及びBD(Blu-ray(登録商標) Disc)等が挙げられる。可搬媒体による補助記憶装置と、可搬型ではない補助記憶装置とは、組み合わせて用いることも可能である。
【0061】
図10は、本実施形態に係る情報処理システム9の機能構成の概略を示す図である。本実施形態に係る情報処理装置1は、CPU11が、ROM12及びRAM13等に展開された各種プログラムを解釈及び実行することで、ログ取得部21、自然文生成部22、物語生成部23、重み取得部24、ログ抽出部25及びゲーム処理部26を備えるサーバ1として機能する。本実施形態では、これらの機能がいずれも汎用のCPU11によって実行される例について説明するが、これらの機能は、その一部又は全部が、1又は複数の専用のプロセッサによって実現されてもよい。また、情報処理装置1が備える各機能部は、遠隔に、及び/又は分散して(例えば、クラウド上に)実装されてよい。また、これらの機能部は、単一のソフトウェアモジュールではなく、複数のソフトウェアモジュールによって実現されていてもよい。
【0062】
また、本実施形態に係るユーザ端末3は、CPU31が、ROM32及びRAM33等に展開された各種プログラムを解釈及び実行することで、ゲーム処理部41を備えるユーザ端末3として機能する。本実施形態では、これらの機能がいずれも汎用のCPU31によって実行される例について説明するが、これらの機能は、その一部又は全部が、1又は複数の専用のプロセッサによって実現されてもよい。また、ユーザ端末3が備える各機能部は、遠隔に、及び/又は分散して(例えば、クラウド上に)実装されてよい。また、これらの機能部は、単一のソフトウェアモジュールではなく、複数のソフトウェアモジュールによって実現されていてもよい。
【0063】
情報処理装置1のゲーム処理部26及びユーザ端末3のゲーム処理部41は、互いに通信を行いながら連携してゲーム処理(本実施形態に係る例では、MMORPGのゲーム処理)を実行する。ゲーム処理の実行結果は、ログとしてログ蓄積装置に蓄積される。なお、上述の通り、本実施形態において、ログ蓄積装置は情報処理装置1内に実装されるが、実装される場所は本開示における例示に限定されない。
【0064】
ログ取得部21は、ユーザ(プレイヤ)によってプレイされたゲームのログが蓄積されたログ蓄積装置から、当該ログを取得する。ここで、ゲームのログは、例えば、コンピュータゲームのプレイデータやセーブデータ、将棋やチェスの棋譜、ボードゲームやカードゲームのプレイ記録、等がこれに相当し、ログの対象となるゲームの種類は限定されない。ゲームのログには、ゲームにおけるプレイヤの行動内容、操作内容、ゲーム内で発生したイベント、ゲームの状態、等を特定可能な情報が、ゲーム内で当該ログが生成/記録されたゲーム内タイミング(ゲーム内タイミングは、例えば、ゲーム内時刻、現実の時刻、又はゲーム内ターン番号、等で表されてよい)を特定可能な情報と併せて記録された情報が含まれる。換言すれば、ゲームのログは、ゲームプレイを一定以上再現可能な記録である。
【0065】
重み取得部24は、ログ取得部21によって取得されたログ毎に、当該ログの重みを取得する。ここで、重み取得部24は、事前に付されてログ蓄積装置に蓄積されていたログの重みに関する情報をそのまま取得してもよいし、ログ蓄積装置から取得されたログを解析することで、新たに重みを付してもよい。ここで、重みを表現する手法は限定されない。例えば、重みは、ランクや数値として表現することが出来る。また、重み付けは、例えば以下の要素を考慮して、予め設定されたランクを与えたり、予め設定された数値を加算したりすることで行われる。
・ストーリーがあるゲームの場合、予め設定されている重要ポイントのログ
・大きなダメージを与えた/与えられた際のログ
・大技、コンボ、カウンター、難しい操作等が決まった際のログ
・操作や判断をミスした際のログ
・勝敗の行方に大きな影響を与えたと思われるゲーム内イベント/操作/行動のログ(ミスも含む)
・他のキャラクタ(ノンプレイヤキャラクタ又はプレイヤキャラクタ)と会話や連携を行なった際のログ
・久しぶりにログインした際のログ
・プレイヤが苦戦したダンジョンや敵に関するログ(難易度の高低を問わない)
・レアアイテムを入手した際や、高額のアイテムを購入した際のログ
・所定の魔法/スキル/武器/アイテム等を初めて使用した際のログ
・新しい音楽のテーマに切り替わった際のログ
【0066】
ログ抽出部25は、ログ取得部21によって取得されたログから、当該ログに係るゲームの進行に与えた影響が大きい優先ログを抽出する。ここで、ログ抽出部25は、例えば、重み取得部24によって付された重みを参照し、所定以上の重みを有するログを優先ログとして抽出してもよいし、ログを重み順に並べて、上位所定数のログを優先ログとして抽出してもよい。又は、ログ抽出部25は、例えば、ゲームの進行に与えた影響が大きいと看做すことが出来る所定の条件を満たすログを優先ログとして抽出してもよい。ここで、所定の条件には、例えば、上記重み取得部24の説明において例示された要素が挙げられる。
【0067】
自然文生成部22は、ログ取得部21によって取得されたログに基づいて自然文を生成する。自然文の生成にあたって、ログはゲーム内タイミングの順に参照され、ゲーム内の時系列に沿ってログに基づく自然文が生成されることで、ゲームプレイの順序に沿った自然文が生成される。自然文を生成する具体的な手段は限定されないが、例えば、ログから単語を抽出/予測し、テンプレートに当てはめて文章を生成する方法や、ログから単語を抽出/予測し、言語モデルを用いて文章を生成する等を採用することが出来る。この際、単語の予測には、サンプル単語と対応するログとの対応関係を機械学習させたモデルを用いることが可能である。また、その他の方法として、ログ又はログから抽出/予測されたSVOと脚色や修辞が施されたサンプル文章との対応関係を機械学習させたモデルを用いることも可能である。更に、ある程度主要なストーリーの流れが定まっているタイプのゲームについては、ストーリーの主要部分についてはテンプレートテキストを用意しておき、当該テンプレートテキストにログから抽出された単語を当てはめることで、自然文が生成されてもよい。また、複数の手法(上記に例示された手法であってもよいし、例示されていない手法であってもよい)を組み合わせて、自然文が生成されてもよい。
【0068】
このような手法を用いることで、単なるログの文章化や、ゲームプレイのダイジェストやサマリーではなく、ゲーム内のプレイヤキャラクタの視点からの体験として記述された、物語として鑑賞することが可能な自然文を生成することが出来る。上記手法によれば、例えば、「2020年2月29日10時10分、マップ内座標〇〇でスライムを倒した」ことを示すログから、「スライムが襲い掛かってきた。剣を抜いて間髪のところでそのお腹に衝撃を与えて~」といった自然文を生成することが可能であるし、また、例えば、「2020年2月29日10時15分、マップ内座標〇〇まで敵キャラクタに近づいてパンチを入れた」ことを示すログから、「やつとは因縁があり、これで五度目の対決だ。俺は慎重に距離を取りつつ、やつの攻撃圏内に入らないように細心の注意を払った。どちらからか仕掛けなければならなかった~」といった自然文を生成することが可能である。これらの自然文は、単にログを文章化したものではなく、ログのみからは直接は導き出せない脚色や修辞が、テンプレートや機械学習モデルによって追加されていることで、物語として鑑賞することが可能な自然文となっている。
【0069】
また、自然文生成部22は、ログ取得部21によって取得されたログ毎の重みに応じて、生成される自然文を調整する。例えば、自然文生成部22は、所定以上の重みを有するログを用いて、自然文を生成することとしても良い。但し、重みの利用方法は、ログの取捨選択に限定されない。自然文生成部22は、全てのログを用いて自然文を生成してもよい。
【0070】
更に、自然文生成部22は、ログ毎に、生成される自然文のうち各ログに対応する各部分の長さ及び文調のうち少なくとも何れかを調整することが出来る。ここで、文調とは、例えば、語句、語法及び修辞等に基づく文章表現のスタイルである。この際、自然文生成部22は、ログ毎に付された重みに応じて、生成される自然文のうち各ログに対応する各部分の長さ及び文調のうち少なくとも何れかを調整してもよい。このようにすることで、例えばロールプレイングゲームでの重要な敵キャラクタとの戦闘内容のような、重みの大きいログに係る文章は長く詳細な文章とし、重要でない敵キャラクタとの戦闘内容のような、重みの小さいログに係る文章は短く簡潔な文章とすることが出来る。なお、このような文章の長さや文調の調整は、予め用意するテンプレートにログの重みに応じたバリエーションを持たせたり、機械学習モデルにログの重みに応じたバリエーションを持たせたりすることで対応可能である。但し、自然文の調整のために用いる具体的な技術は、本開示における例示に限定されない。
【0071】
また、本実施形態に係るゲームは、複数のプレイヤによってプレイされるマルチプレイヤゲームであり、ログには、複数のプレイヤの夫々によって入力されたメッセージ(テキスト又は音声)が含まれてもよい。このため、本実施形態において、自然文生成部22は、自然文に、プレイヤによって入力されたメッセージに基づくテキストを、物語に登場するキャラクタによる会話として含めることが出来る。
【0072】
物語生成部23は、自然文生成部22によって生成された自然文と、ログ取得部21によって取得されたログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツ(静止画像、動画像、音楽データ等)とを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する。ここで、物語生成部23は、1又は複数のゲーム関連コンテンツの夫々を、当該ゲーム関連コンテンツに係るゲーム内タイミング近傍のゲーム内タイミングに係るログに対応する自然文の近傍に配置する。更に、この際、物語生成部23は、ログ抽出部25によって抽出された優先ログに対応する自然文の近傍に、当該優先ログに係るゲーム内タイミング近傍のゲーム内タイミングに係るゲーム関連コンテンツを配置してもよい。
【0073】
生成された物語コンテンツのデータ(物語データ)は、自然文のテキストデータと、ゲーム関連コンテンツ(静止画像、動画像、音楽データ等)の実体データ又はゲーム関連コンテンツへのリンクとを有する。また、物語データにおいて、ゲーム関連コンテンツは、自然文における位置を指定して配置される。ここで、自然文における位置の指定方法は限定されない。例えば、ページ番号、行番号、文字番号等を指定することが可能である。このようにすることで、ユーザが物語コンテンツを鑑賞する際に、あるシーンの文章の近傍に、ゲームプレイ中当該シーンに対応するゲーム内タイミングに係るゲーム画像を表示させたり、あるシーンの文章が表示(自動読み上げであれば、再生)されるタイミングで、ゲームプレイ中当該シーンに対応するゲーム内タイミングで再生されていた画像や音楽を再生したりすることが出来る。
【0074】
<処理の流れ>
次に、本実施形態において実行される処理の流れを説明する。なお、実施形態に係るフローチャートに示された処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0075】
図11は、第五の実施形態に係る個別演奏処理の流れを示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、情報処理装置1において、物語生成開始の指示が受け付けられたことを契機として実行される。
【0076】
ステップS501からステップS503では、ログの取得及び抽出が行われる。ログ取得部21は、ログ蓄積装置からログを取得する(ステップS501)。第一の実施形態と同様、ここで取得されるログには、ゲーム内で当該ログが生成されたタイミング(ゲーム内タイミング)を特定可能な情報が含まれる。ログ取得部21によってログが取得されると、ログ取得部21によってログが取得されると、重み取得部24は、ログ取得部21によって取得されたログ毎に、当該ログの重みを取得する(ステップS502)。また、ログ抽出部25は、取得されたログから、当該ログに係るゲームの進行に与えた影響が大きい優先ログを抽出する(ステップS503)。その後、処理はステップS504へ進む。
【0077】
ステップS504では、ログに基づく自然文が生成される。自然文生成部22は、取得されたログに基づいて自然文を生成する(ステップS504)。この際、自然文生成部22は、ログ取得部21によって取得されたログ毎の重みに応じて、生成される自然文を調整する。その後、処理はステップS505へ進む。
【0078】
ステップS505では、ゲーム関連コンテンツが取得される。物語生成部23は、1又は複数のゲーム関連コンテンツを取得する(ステップS505)。ここで取得されるゲーム関連コンテンツは、ログ蓄積装置に蓄積されたログに係るゲームの関連コンテンツである。ゲーム関連コンテンツは、ログ蓄積装置、ユーザ端末3、又はその他のサーバから取得することが出来る。また、ここで取得されるゲーム関連コンテンツには、メタデータとして、当該ゲーム関連コンテンツに係るゲーム内タイミングが関連づけられている。その後、処理はステップS506へ進む。
【0079】
ステップS506及びステップS507では、物語コンテンツが生成され、出力される。物語生成部23は、自然文生成部22によって生成された自然文と、ログ取得部21によって取得されたログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する(ステップS506)。生成された物語データは、情報処理装置1の記憶装置又はその他の記憶装置に対して出力、保存される(ステップS507)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0080】
以上に説明したように、本願の各実施形態により1または2以上の不足が解決される。なお、夫々の実施形態による効果は、非限定的な効果または効果の一例である。
【0081】
[その他のバリエーション]
上記説明した実施の形態は、本開示を実施する場合の一例を示すものであって、本開示を上記説明した具体的構成に限定するものではない。本開示の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0082】
第五の実施形態では、本開示に係る技術を、マルチプレイヤのコンピュータゲームを例に説明したが、本開示に係る技術を適用可能なゲームは、シングルプレイヤゲームであってもよいし、コンピュータを用いないゲームであってもよい。また、本開示に係る技術を適用可能なゲームのジャンルも限定されない。本開示に係る技術は、所謂ロールプレイングゲームの他、アクションゲーム、シミュレーションゲーム、シューティングゲーム、パズルゲーム、カードゲーム、ボードゲーム、チェス、将棋等、あらゆる種類のゲームに適用可能である。例えば、将棋の棋譜を物語生成用のログとして用いる場合、本開示に係る技術によれば、「〇〇手目:4三銀」というログから、「向こうには歩兵や槍部隊が見えていた。俺は一瞬躊躇したが、王の命令で、あえて盾となって将たち守る役目を授かっていた。一歩前へ、一歩前へ、進むと、もう敵の槍が届かんばかりの場所まで移動していた。」というような、ゲーム内のプレイヤキャラクタの視点からの体験として記述された自然文を生成することが可能である。
【0083】
また、第五の実施形態では、サーバにおいて物語の生成処理を行う例について説明したが、物語の生成処理は、サーバ以外の装置、例えば、ローカルのユーザ端末において行われてもよい。
【0084】
[付記]
上述した実施形態の説明は、下記発明を当該発明の属する分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができるように記載した。
(付記1)
ゲームのログが蓄積されたログ蓄積装置に接続されるコンピュータを、
前記ログを取得するログ取得手段と、
取得された前記ログに基づいて自然文を生成する自然文生成手段と、
生成された前記自然文と、前記ログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する物語生成手段として機能させる、
プログラム。
(付記2)
前記物語生成手段は、前記1又は複数のゲーム関連コンテンツの夫々を、該ゲーム関連コンテンツに係るゲーム内タイミング近傍のゲーム内タイミングに係る前記ログに対応する前記自然文の近傍に配置する、
付記1に記載のプログラム。
(付記3)
前記コンピュータを、
前記ログから、前記ゲームの進行に与えた影響が大きい優先ログを抽出するログ抽出手段として更に機能させ、
前記物語生成手段は、前記優先ログに対応する前記自然文の近傍に、該優先ログに係るゲーム内タイミング近傍のゲーム内タイミングに係る前記ゲーム関連コンテンツを配置する、
付記2に記載のプログラム。
(付記4)
前記コンピュータを、
前記ログ毎の重みを取得する重み取得手段として更に機能させ、
前記自然文生成手段は、取得された前記ログ毎の重みに応じて、生成される自然文を調整する、
付記1から3の何れか一項に記載のプログラム。
(付記5)
前記自然文生成手段は、前記ログのうち、所定以上の重みを有するログを用いて、前記自然文を生成する、
付記4に記載のプログラム。
(付記6)
前記自然文生成手段は、ログ毎に、生成される前記自然文のうち各ログに対応する各部分の長さ及び文調のうち少なくとも何れかを調整する、
付記1から5の何れか一項に記載のプログラム。
(付記7)
前記自然文生成手段は、ログ毎に付された重みに応じて、生成される前記自然文のうち各ログに対応する各部分の長さ及び文調のうち少なくとも何れかを調整する、
付記6に記載のプログラム。
(付記8)
前記ゲーム関連コンテンツは、ゲーム画像を含み、
前記物語生成手段は、生成された前記自然文と、前記ログに関連する1又は複数のゲーム画像とを配置することで、挿絵付きの物語コンテンツを生成する、
付記1から7の何れか一項に記載のプログラム。
(付記9)
前記ゲーム関連コンテンツは、ゲーム音楽を含み、
前記物語生成手段は、生成された前記自然文と、前記ログに関連する1又は複数のゲーム音楽とを配置することで、背景音楽付きの物語コンテンツを生成する、
付記1から8の何れか一項に記載のプログラム。
(付記10)
前記ゲームは、複数のプレイヤによってプレイされるマルチプレイヤゲームであり、
前記ログには、前記複数のプレイヤの夫々によって入力されたメッセージが含まれ、
前記自然文生成手段は、生成する前記自然文に、前記メッセージに基づくテキストを、前記物語に登場するキャラクタによる会話として含める、
付記1から9の何れか一項に記載のプログラム。
(付記11)
ゲームのログが蓄積されたログ蓄積装置に接続された情報処理装置であって、
前記ログを取得するログ取得手段と、
取得された前記ログに基づいて自然文を生成する自然文生成手段と、
生成された前記自然文と、前記ログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する物語生成手段とを備える、
情報処理装置。
(付記12)
ゲームのログが蓄積されたログ蓄積装置に接続された少なくとも1のプロセッサが、
前記ログを取得するログ取得と、
取得された前記ログに基づいて自然文を生成する自然文生成と、
生成された前記自然文と、前記ログに関連する1又は複数のゲーム関連コンテンツとを配置することで、ユーザに鑑賞させるための物語コンテンツを生成する物語生成とを実行する、
方法。
【符号の説明】
【0085】
1 情報処理装置
3 ユーザ端末
9 情報処理システム