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特許7123091飲料分配システム、容器、加圧装置および圧力調整器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】飲料分配システム、容器、加圧装置および圧力調整器
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/04 20060101AFI20220815BHJP
   B67D 1/12 20060101ALI20220815BHJP
   F16K 31/38 20060101ALI20220815BHJP
   B65D 83/14 20060101ALN20220815BHJP
【FI】
B67D1/04 F
B67D1/12
F16K31/38
B65D83/14
【請求項の数】 37
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020087254
(22)【出願日】2020-05-19
(62)【分割の表示】P 2016568602の分割
【原出願日】2015-06-11
(65)【公開番号】P2020164254
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2020-06-17
(31)【優先権主張番号】2012981
(32)【優先日】2014-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】591211799
【氏名又は名称】ハイネケン サプライ チェーン ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】Heineken Supply Chain B.V.
【住所又は居所原語表記】Tweede Weteringplantsoen21 1017 ZD Amsterdam The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウォルテルス, ウォルテル
(72)【発明者】
【氏名】ランドマン, ベルナルデュス コルネリス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ワヘマケルス, トマス テオドリュス ニコラース ヨハネス
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-515945(JP,A)
【文献】国際公開第99/044890(WO,A1)
【文献】特表2012-513346(JP,A)
【文献】実開昭61-175678(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00- 3/04
B65D 83/00;83/08-83/76
F16K 31/12-31/165;31/36-31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料コンパートメントと加圧システムとを有する飲料容器を備え、
前記加圧システムは、加圧されたガスを収容するガス容器と、前記ガス容器を閉じる蓋体と、前記蓋体を開いてガスが前記ガス容器からガススペースを介して前記飲料コンパートメント内に進入できるように作動する圧力調節器とを備え、
前記圧力調節器は、前記飲料コンパートメント内の圧力に基づいて移動可能なおよび/または変形可能な壁部分を少なくとも有する調節チャンバを備え、
前記調節チャンバは前記壁部分によって前記ガススペースから分離され、
ガスが前記調節チャンバと前記飲料コンパートメントとの間をいずれの方向にも流れることができるように、少なくとも1つの開口部が前記調節チャンバの壁を通して設けられて、前記調節チャンバの内部と前記飲料コンパートメントとの間のガス通路の少なくとも一部分を構成している、飲料分配システム。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料分配システムにおいて、
前記飲料コンパートメントは飲料を含み、
前記少なくとも1つの開口部は、比較的小さい通路を画成する、飲料分配システム。
【請求項3】
請求項1に記載の飲料分配システムにおいて、
一連の開口部が前記調節チャンバと前記飲料コンパートメントとの間に設けられており、
各開口部は比較的小さい通路を画成する、飲料分配システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の飲料分配システムにおいて、
前記少なくとも1つの開口部または一連の開口部の組合せにより通路が画成され、ある量の飲料を前記飲料コンパートメントから分配するときのように、前記飲料コンパートメント内に比較的急激な圧力低下が生じ、その結果、前記調節チャンバの内部の圧力低下が生じても、前記圧力低下は、同じ期間内に前記通路を通って前記飲料コンパートメントから前記調節チャンバにガスが供給されることによっては補償されず、そのような補償は
より長い期間にわたれば可能である、飲料分配システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の飲料分配システムにおいて、
前記飲料コンパートメントは少なくとも部分的に炭酸飲料で充填されており、
前記少なくとも1つの開口部または一連の開口部は、長期間にわたって、飲料が分配されない場合、前記飲料の温度変化により、前記飲料コンパートメント内の圧力が変化し、前記圧力の変化に追従して、同じ圧力変化が前記調節チャンバの内部に生じる、飲料分配システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の飲料分配システムにおいて、
前記加圧システムは、前記飲料容器の内部に含まれている、飲料分配システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料分配システムにおいて、
迷路が前記少なくとも1つの開口部に接続されて設けられており、前記飲料コンパートメントからのガスは、前記迷路を通ってのみ前記少なくとも1つの開口部に到達可能である、飲料分配システム。
【請求項8】
請求項7に記載の飲料分配システムにおいて、
前記迷路は、前記少なくとも1つの開口部またはその近傍における第1の端部と、前記迷路の対向端部おける第2の端部とを備え、
ガス入口が前記第1の端部に、または前記第1および第2の端部の間に設けられ、前記蓋体または前記蓋体を少なくとも部分的に包囲しているスペースに接続され、前記蓋体が開かれると前記ガス容器から前記迷路を通って前記飲料コンパートメント内にガスが流れるように構成されている、飲料分配システム。
【請求項9】
請求項8に記載の飲料分配システムにおいて、
前記第2の端部が前記飲料コンパートメント内にある、飲料分配システム。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか一項に記載の飲料分配システムにおいて、
前記迷路は、前記蓋体が設けられているガス容器の端部壁に実質的に平行な平面内に設けられている、飲料分配システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の飲料分配システムにおいて、
前記少なくとも1つの開口部は、前記調節チャンバの壁の穴部の壁部分と前記穴部に挿入されたプラグとの間に形成されている、飲料分配システム。
【請求項12】
請求項11に記載の飲料分配システムにおいて、
前記少なくとも1つの開口部は、前記穴部の前記壁部分および前記穴部の前記壁部分に
隣接する前記プラグの壁部分の表面粗さにより形成されている、飲料分配システム。
【請求項13】
請求項2に記載の飲料分配システムにおいて、
前記少なくとも1つの開口部は、前記調節チャンバの内部と前記飲料コンパートメントの内部との圧力が実質的に等しいときにガスが飲料よりも容易に通過可能であるようなガス通路を画定する、飲料分配システム。
【請求項14】
請求項13に記載の飲料分配システムにおいて、
前記ガス通路は、ガスが前記1つの開口部または複数の開口部を通過できるが、飲料は通過できないようになっている、飲料分配システム。
【請求項15】
請求項3に記載の飲料分配システムにおいて、
各開口部は、前記調節チャンバの内部と前記飲料コンパートメントの内部との圧力が実質的に等しいときにガスが前記1つの開口部または複数の開口部を通過できるが、飲料は通過できないような、比較的小さい通路を画成する、飲料分配システム。
【請求項16】
請求項5に記載の飲料分配システムにおいて、
飲料が分配されない場合、前記飲料の温度変化により、前記飲料コンパートメント内の圧力が変化し、前記圧力の変化に追従して、前記ガス容器からガスを供給することなく、同じ圧力変化が前記調節チャンバの内部に生じる、飲料分配システム。
【請求項17】
貯蔵のための内部容積と、
圧力調節器、および前記圧力調節器のガススペースに開口する弁を有する出口を有する圧力ガスタンクを備えた圧力調節装置とを備え、
前記圧力調節器は、前記弁を開くように配置され、
前記圧力調節器は、移動可能なおよび/または変形可能な要素により画成された少なくとも1つの壁部分を有する調節チャンバを備え、
前記調節チャンバは、前記移動可能なおよび/または変形可能な要素によって前記ガススペースから分離され、
前記調節チャンバは、ガスを収容し、
ガスが前記調節チャンバと前記貯蔵のための内部容積との間をいずれの方向にも流れることができるように、前記調節チャンバは、前記調節チャンバの周囲へのガス通路を設けられている、容器。
【請求項18】
請求項17に記載の容器において、
前記ガス通路は、前記移動可能なおよび/または変形可能な要素が移動して前記調節チャンバの内部容積が、前記調節チャンバの前記内部容積の変化に等しい体積を有する量のガスが前記ガス通路を通って流出または進入できる速さよりも速く変化すると、前記調節チャンバ内のガス圧力が変化するように設計されている、容器。
【請求項19】
請求項17または18に記載の容器において
前記ガス通路は、前記容器の前記内部容積内に直接開口している、容器。
【請求項20】
請求項1719のいずれか一項に記載の容器において、
前記ガス通路は、2つの表面により形成されているか、または前記2つの表面の間に形成された通路を備え、
前記2つの表面の少なくとも一方は表面粗さを有している、容器。
【請求項21】
請求項1720のいずれか一項に記載の容器において、
前記ガス通路の大きさは、前記調節チャンバの内部と前記貯蔵のための内部容積との間のガス圧力平衡から出発して、前記貯蔵のための内部容積内のガス圧力が比較的に急速に低下するときに、前記調節チャンバの内部のガス圧力が比較的に急速な前記ガス圧力の低下に比べてゆっくりと低下し、前記調節チャンバと前記貯蔵のための内部容積との間に圧力差が生じて前記弁を開き、一方、より長い期間にわたって前記調節チャンバと前記貯蔵のための内部容積との間の圧力平衡が、前記貯蔵のための内部容積から前記調節チャンバへ前記ガス通路を通ってガスが通過することにより再び実現されるように設定されている、容器。
【請求項22】
請求項20に記載の容器において、
前記2つの表面は、相互に接触している、容器。
【請求項23】
請求項21に記載の容器において、
前記内部容積内の前記ガス圧力は、1分間未満で10分の1バール低下する、容器。
【請求項24】
請求項21に記載の容器において、
前記期間は、2分間より長い期間である、容器。
【請求項25】
請求項24に記載の容器において、
前記期間は、4分間より長い期間である、容器。
【請求項26】
請求項25に記載の容器において、
前記期間は、5分間以上の期間である、容器。
【請求項27】
圧力調節器と、
少なくとも1つのガス出口を有するガススペースに開口する弁を有する出口を設けられた圧力ガスタンクとを備え、
前記圧力調節器は、前記弁を開くように配置され、
前記圧力調節器は、移動可能なおよび/または変形可能な要素により画成された少なくとも1つの壁部分を有するチャンバを備え、前記チャンバは前記移動可能なおよび/または変形可能な要素によって前記ガススペースから分離され、
前記チャンバは実質的に液密であり、かつガスを収容し、
ガスが前記チャンバと貯蔵のための内部容積との間をいずれの方向にも流れることができるように、前記チャンバは、前記チャンバの周囲へのガス通路を設けられており、前記移動可能なおよび/または変形可能な要素が前記チャンバ内に移動して、前記チャンバの内部容積が、前記内部容積の減少に等しい量のガスが前記ガス通路を通って流出できる速
さよりも速く減少すると、前記チャンバ内の前記ガスは圧縮される、加圧装置。
【請求項28】
請求項27に記載の加圧装置において、
ガスは前記ガス通路を通って前記チャンバ内におよび/または前記チャンバ外へ移動して前記チャンバと前記チャンバの周囲との間の圧力差を均等化する、加圧装置。
【請求項29】
請求項27または28に記載の加圧装置において、
前記ガス通路は、最小断面積15nm以下の開口部により、または結合された最小断面積が15nm以下の一連の開口部により形成されている、加圧装置。
【請求項30】
請求項2729のいずれか一項に記載の加圧装置において、
前記ガス通路は、2つの表面により形成されているか、または前記2つの表面の間に形成された通路を備え、
前記2つの表面の少なくとも一方は表面粗さを有する、加圧装置。
【請求項31】
請求項30に記載の加圧装置において、
前記2つの表面は、相互に接触している、加圧装置。
【請求項32】
請求項2731のいずれか一項に記載の加圧装置において、
前記ガス通路は、前記移動可能なおよび/または変形可能な壁部分から離隔して設けられている、加圧装置。
【請求項33】
請求項2732のいずれか一項に記載の加圧装置において、
前記ガス通路と前記チャンバの前記周囲との間に、液体バリアが設けられる、加圧装置。
【請求項34】
請求項33に記載の加圧装置において、
前記液体バリアは、ガス透過性の液密の膜又は迷路である、加圧装置。
【請求項35】
請求項2734のいずれか一項に記載の加圧装置において、
前記変形可能な要素は湾曲している、加圧装置。
【請求項36】
請求項35に記載の加圧装置において、
前記変形可能な要素は、頂部が前記チャンバの内側に対向するように湾曲している、加圧装置。
【請求項37】
請求項1~16のいずれか一項に記載の分配システム、請求項1726のいずれか一項に記載の容器または請求項2736のいずれか一項に記載の加圧装置に使用する圧力調節器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己調節する加圧システムを備えた飲料分配システムに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第1064221号公報明細書には、自己調節する加圧システムを有する容器
を備えた飲料分配システムが開示されている。この加圧システムは、加圧されたガスを収
容するガス容器と、ガス容器を閉じる蓋体と、蓋体を開いてガスがガス容器から飲料コン
パートメントに流入できるように作用する圧力調節器とを備える。この圧力調節器は、飲
料コンパートメント内の圧力に基づいて移動可能な壁部分を少なくとも有する調節チャン
バを備え、飲料コンパートメント内の圧力が、例えば、飲料をそこから分配することによ
り低下すると、移動可能な壁が移動し、ガス容器の蓋体を開いてガスが飲料コンパートメ
ント内に流入することができるようにし、その中の圧力が増加するように構成されている
。これにより、飲料コンパートメント内が所望の圧力になると、移動可能な壁が後退し、
蓋体が再び閉じることが可能になる。
【0003】
欧州特許第1064221号明細書では、ガス容器と圧力調節器を備えた加圧器が、充
填前または直後に容器内に導入され、その後に容器が閉じられる。従って、この圧力調節
器は、閉じた後は、貯蔵および輸送中も含めて、常に飲料コンパートメント内にあり、該
コンパートメント内の圧力の影響下にある。容器内に導入される前は、圧力調節器はガス
容器の蓋体が開かないようにする必要がある。これは、そうしないと、全部ではなくても
ほとんどのガスが、容器に導入される前にガス容器から流出してしまうからである。国際
公開第200035774号明細書には、容器に導入した後に起動することができる加圧
装置が開示されている。起動前は、調節器は、蓋体から作用的に分離されており、移動可
能な壁が移動しても蓋体は開かない。しかしながら、このようなシステムは、複雑であり
、比較的に高価であり、故障し易い。
【0004】
既知の加圧システムの問題は、さらに、COガスが調節チャンバ内へ流入することが
あることである。これは、該ガスが壁を通過してチャンバ内へ移動して壁の両側のCO
ガスの分圧が均等になり、調節器の使用中に該ガスがそれ以上チャンバを離れなくなって
しまうからである。これにより該チャンバの内圧が時間とともに増加し、その分、飲料コ
ンパートメント内の調節圧力が増加する。さらに、これらの加圧システムの欠点は、調節
圧力が所与の前もって決められた値に設定され、飲料の所定の好ましい温度において、圧
力は飲料のほぼ平衡圧力になるように調整され、その温度における飲料の炭酸化(炭酸濃
度)が変化しないようにされていることである。つまり、他の温度においては、圧力は該
平衡圧力の上または下に調節されるため、飲料中のガスが過飽和または不飽和状態になる
。さらに、飲料が低い温度に冷却されると、これにより容器内部の圧力が低下して、圧力
調節器が不所望の調節を開始してしまうことがある。さらに、これらの圧力調節装置は、
金属部品とプラスチック部品を含んでいるので、再利用可能性に影響する。
【0005】
国際公開第2011/152717号明細書に開示されている容器は、加圧システムを
備え、この加圧システムには、高圧ガス容器のガス開口部を遮蔽する蓋要素が設けられて
いる。この蓋要素は、飲料容器内部のガス圧力によりおよび/またはガス容器から流出す
るガスにより膜が加圧されてドーム形状になると、開口部内に引き込まれる。蓋要素の反
対側では、膜上に大気圧がかかっている。膜の下に含まれているスペースと飲料コンパー
トメントとの間に比較的に大きな通路が設けられており、この通路は、飲料が分配されな
いときは閉じている。第2の、小さな通路が該スペースと飲料コンパートメントとの間に
設けられている。この通路は開かれており、時間の経過とともに、該スペースと飲料コン
パートメントとの間に圧力平衡が実現できるように構成されているが、この時間は、一杯
分のビールを次ぐのに通常必要とされる時間よりも長い。この既知のシステムでは、この
ように、調節圧力は、少なくとも膜の可撓性と、飲料コンパートメント内部の圧力と大気
圧との間の圧力差とにより定義される。時間の経過とともにガスが膜を通過し、ガスと圧
力が失われる。この圧力調設システムは、高圧ガス容器と一体化されている。これは、膜
が蓋要素を担持しているからである。このシステムは、再び使用前に動作停止状態に保ち
、圧力調節を開始するためには起動する必要がある。その場合、膜は、継続して圧力下に
あるため、ドーム形状に伸長している。つまり、調節圧力は、膜の材料の経時変化と弛緩
とにより、時間の経過とともに変化する。特に、分配が行われない期間中、例えば貯蔵中
および輸送中は、このシステムは、誤りと故障に対する調節が行われがちであり、使用前
に検査することができない。さらに、適切な製造が困難であり、とくに、所望の時間枠内
で徐々に平衡に達する精確な流れと、蓋要素と膜の正確な位置決めと載置を必要とする、
小さい開口部を適切に製造することは困難である。さらに、この場合も、調節圧力は、飲
料の特定の所望温度において飲料の平衡圧力を調節するために選択された所定の圧力に固
定され、それにより、他の温度、特に非常に低い温度では飲料中のガスが過飽和または不
飽和状態になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は代替の飲料分配システムを提供することである。
【0007】
本開示の目的は、従来技術の上述の欠点および/または課題の1つが少なくとも部分的
に解決または除去される飲料分配システムを提供することである。
【0008】
本開示の目的は、当該システムおよび/または内部に収容された飲料の温度に依存する
調節圧力を持つ加圧システムを有する飲料分配システムを提供することである。
【0009】
本開示の目的は、当該システムの起動を必要とせずに使用可能な加圧システムを設けた
飲料分配システムを提供することである
【0010】
本開示の目的は、内部に圧力調節装置を備えた容器であって、該圧力調節装置はそれと
ともに使用するシステムまたは飲料の温度変化に関して調節圧力を適合可能である容器を
提供することである。
【0011】
本開示の目的は、飲料容器または飲料分配システム内の圧力を調節するための加圧装置
であって、それを用いて、国際公開第2011/152717号明細書または欧州特許第
1064221号公報明細書から公知の調節器の課題および欠点の少なくとも1つが少な
くとも部分的に解決され、または少なくとも部分的に軽減される加圧装置を提供すること
である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらおよび他の目的および利点の少なくとも1つが本開示のシステム、装置および/
または容器を用いて得られる。
【0013】
第1の態様において、本開示による飲料分配システムは、飲料コンパートメントと加圧
システムを有する飲料容器を備える。前記加圧システムは、加圧されたガスを収容するガ
ス容器と、前記ガス容器を閉じる蓋体と、前記蓋体を開いてガスが前記ガス容器から前記
飲料コンパートメント内に流入できるように作動する圧力調節器とを備える。前記圧力調
節器は、前記飲料コンパートメント内の圧力に基づいて移動可能なおよび/または変形可
能な壁部分を少なくとも有する調節チャンバを備える。本開示によれば、少なくとも1つ
の開口部が前記調節チャンバの壁を貫通して設けられ、前記調節チャンバと前記飲料コン
パートメントの間のガス通路の少なくとも一部分を構成している。前記少なくとも1つの
移動可能なおよび/または変形可能な壁部分は、指示されたとおり、前記蓋体を開き、閉
じることを可能にするように作動する。
【0014】
前記少なくとも1つの開口部により、飲料コンパートメントからのガスが圧力調節チャ
ンバ内に流入すること、または圧力調節器チャンバから流出することが可能になる。
【0015】
ガスは調節器チャンバに対して比較的ゆっくりとしか流入流出することができず、前記
チャンバ内部の圧力変化は、容器から飲料を分配する際に起きる圧力変化よりも時間が長
くかかる。好ましくは、前記少なくとも1つの開口部は、比較的明確に規定されたガス流
がチャンバに対して流入および/または流出可能であるように形成される。
【0016】
いくつかの実施の形態において、前記少なくとも1つの開口部は、容器の壁の小さな穿
孔として形成することができる。例えば、単一のピンホールであって、断面積が、例えば
1~数十平方μmのもの、または複数のそのようなピンホールであって総断面積が、例え
ば、1~数十平方μmであるものにより形成することができる。いくつかの実施の形態に
おいて、前記少なくとも1つの開口部は、前記圧力調節器の2つ以上の隣接部分、例えば
前記チャンバの壁、の間に形成することができる。前記少なくとも1つの開口部は、前記
圧力調節器の対応する表面同士または部分同士の表面粗さにより形成することができる。
前記少なくとも1つの開口部は、前記調節チャンバの部分を形成している2つの相補部分
の間の環状リングとして形成することができる。
【0017】
一態様において、本開示は、次ぎのように特徴づけることができる。すなわち、前記少
なくとも1つの開口部は、比較的小さい通路を画成し、好ましくは、前記調節チャンバ内
の圧力と前記飲料コンパートメント内の圧力が実質的に等しく、ガスが液体、特に飲料よ
りも容易に通過可能である。より具体的には、ガスは前記1つまたは複数の開口部を通過
できるが、液体は通過できない。あるいはまた、前記調節チャンバと前記飲料コンパート
メントの間に一連の開口部を設けることができる。この場合、各開口部は、比較的小さい
通路を画成し、好ましくは、前記調節チャンバ内の圧力と前記飲料コンパートメント内の
圧力が実質的に等しいと、ガスは前記1つまたは複数の開口部を通過できるが、液体は通
過できない。
【0018】
いくつかの実施の形態において、前記1つまたは複数の開口部は、次のように画成する
ことができる。すなわち、前記少なくとも1つの開口部または前記一連の開口部の組合せ
により画成された通路は、例えばある量の飲料を前記コンパートメントから分配する際に
生じる圧力低下のように、前記飲料コンパートメント内の比較的急激な圧力低下を、前記
飲料コンパートメントから前記調節チャンバへ前記通路を通過してガスを供給することに
より、同じ期間中に補償することはできないが、より長い期間にわたれば、そのような補
償は可能である。択一的にまたは追加的に、前記少なくとも1つの開口部または一連の開
口部を一緒に次のように画成することができる。すなわち、長期間にわたって、飲料が分
配されない場合、飲料の温度変化により飲料コンパートメント内の圧力が変化し、次いで
同じ圧力変化が、好ましくは前記ガス容器からのガスの供給なしに、調節チャンバ内に生
じる。
【0019】
いくつかの実施の形態において、比較的長い経路をガス用に設け、前記少なくとも1つ
の開口部に結合し、前記飲料コンパートメントからのガスが前記チャネルを通って流れて
から前記少なくとも1つの開口部に入るようにすることができる。前記チャネルは、好ま
しくは、飲料が前記チャネルの全経路にわたってどこからも前記チャネル内に進入するこ
とができず、飲料が前記少なくとも1つの開口部に到達して前記調節チャンバ内に進入す
ることがないように構成されている。いくつかの実施の形態において、前記チャネルは迷
路中にまたは迷路として設けられている。いくつかの実施の形態において、前記迷路は、
前記少なくとも1つの開口部またはその近傍における第1の端部と、前記迷路の他端部に
おける、特に前記飲料コンパートメント内の第2の端部とを備え、前記迷路へのガス入口
が前記第1の端部に、または前記第1および第2の端部の間に設けられ、前記蓋体または
前記蓋体を少なくとも部分的に包囲するスペースに接続し、前記蓋体が開かれると、前記
ガス容器から流出するガスが前記迷路を通って前記飲料コンパートメント内に流入するよ
うに構成することができる。
【0020】
一態様において、本開示は、次のように特徴づけられる。すなわち、容器は、飲料のた
めの内部容積と、圧力調節器および弁を持つ出口を有する圧力ガスタンクを設けた圧力調
節装置とを備え、前記圧力調節器は、前記弁を開くために配置され、前記圧力調節器は、
移動可能なおよび/または変形可能な要素により画成された少なくとも1つの壁部分を有
するチャンバを備え、前記チャンバは、ガスを収容し、前記チャンバは、前記チャンバの
周囲への、特に前記貯蔵容器の内部容積内へのガス通路を設けられている。
【0021】
一態様において、本開示は、圧力調節器と、弁を持つ出口を有する圧力ガスタンクを備
えた加圧装置であって、前記圧力調節器は、弁を開くために配置されていることを特徴と
する。前記圧力調節器は、移動可能なおよび/または変形可能な要素により画成された少
なくとも1つの壁部分を有するチャンバを備え、前記チャンバは実質的に液密であり、ガ
スを収容する。前記チャンバは、前記チャンバの周囲へのガス通路を設けられており、前
記移動可能なおよび/または変形可能な要素が前記チャンバ内へ移動する際に、前記チャ
ンバの内部容積の減少する速さが、前記容積の減少に等しい量のガスが前記通路を通って
逃れることができる速さよりも速く、前記チャンバ内のガスが圧縮される。
【0022】
ガスは、好ましくは、前記チャンバと前記チャンバの周囲との間の圧力差を比較的ゆっ
くりと均等化するための前記通路を通して前記チャンバの内外に移動することができる
【0023】
前記示唆された解決策に結びついた他の特徴および利点は、以下の種々の実施の形態の
詳細な説明から明らかである。これらの実施の形態において、参照符号は、例示のために
示された添付図面を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本開示による容器または飲料分配システムの概略図であり、加圧装置の第1の実施の形態は静止位置にある。
図2図2は、本開示による容器または飲料分配システムの概略図であり、加圧装置の第1の実施の形態は分配中である。
図3図3は、加圧装置の別の実施の形態の斜視断面図の部分を示す図である。
図3A図3Aは、図3の加圧装置の実施の形態を断面図で示す図である。
図4図4は、図3の加圧装置の部分を断面図で示す図であり、圧力調節器と、閉じた位置にある蓋体を有するガス容器の頂部とを開示し、圧力調整チャンバへ向かうガスの流路を示す。
図5図5は、図4に示す加圧装置の部分を断面図で示す図であり、圧力調節チャンバ内への1つの開口部を有する圧力調節器の一部を拡大して示す。
図6図6は、図4および5に示すように、図3の加圧装置の部分を断面図で示す図であり、圧力調節器と、開位置に蓋体を有するガス容器の頂部とを開示し、ガス容器からのガスの流路を示す。
図7図7は、圧力調節チャンバに別の方法で形成された1つの開口部の概略図である。
図8図8は、充填直後、分配中および分配後の飲料コンパートメントおよび圧力調節チャンバ内の圧力変化を示すチャートであり、容器は、分配中および分配後は一定の温度に保たれている。
図8A図8Aは、図8のグラフの一部分の拡大図であり、容器から一杯分の飲料を注ぎ出す分配中の圧力と圧力変化を示す。
図9図9は、加圧装置の別の実施の形態を示す斜視図であり、迷路は開いている。
図10図10は、図9の上部の拡大図であり、迷路を有する圧力調節チャンバを示すが、該迷路の蓋は外されている。
図11図11は、容器の飲料貯蔵コンパートメントと加圧装置の圧力調節チャンバの間を接続するための迷路を備えた加圧装置の上面斜視図である。
図12図12は、図9~11の装置の上面図であり、迷路の蓋は取り外されている。
図13A図13Aは、図9~12の加圧装置の部分を、図12の直線XIII-XIIIに沿う断面図として示す斜視図である。
図13B図13Bは、図9~12の加圧装置の部分を、図12の直線XIII-XIIIに沿う断面図として示す平面図である。
図14A図14Aは、図9~12の加圧装置の部分を、図12の直線XIV-XIVに沿う断面図として示す斜視図である。
図14B図14Bは、図9~12の加圧装置の部分を、図12の直線XIV-XIVに沿う断面図として示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書において、飲料分配システム、容器および加圧システムの実施の形態は、単な
る例示として開示されている。種々の実施の形態において、同じまたは類似の部品および
特徴は同じまたは類似の参照符号を有する。
【0026】
本明細書において、飲料分配システム、特にそのようなシステムまたはその部分を構成
する容器の実施の形態は、加圧システムを備え、これを用いて該容器の飲料コンパートメ
ント内の圧力を調節可能であるものとして開示される。圧力の調節は、少なくとも分配が
行われない期間内に、飲料コンパートメント内の圧力を所定の圧力範囲内に維持すること
を少なくとも含んでいるものと了解されるべきである。そのような調節は、単にガス容器
とも呼ばれる高圧ガス容器の蓋体に作用する圧力調節器により得ることが可能である。こ
の圧力調節器は、加圧システム内にまたは加圧システムに対して設けられ、飲料コンパー
トメント内の圧力が低下すると、圧力調節器がガス容器の蓋体を開き、ガスが飲料コンパ
ートメント内に流入することを可能にしてその中の圧力を増加させる。この圧力増加が再
び圧力調節器に作用して、ガス容器の蓋体は再び閉じることが可能になる。そのようなシ
ステムは当技術において周知であり、例えば、欧州特許第1064221号公報明細書お
よび国際公開第200035774号明細書に開示されているとともに、オランダ国ハイ
ネケン社により市販されているドラフトケグ(DraughtKeg(登録商標))に用
いられている。
【0027】
本開示において、加圧システムは、飲料コンパートメントに連通する圧力調節チャンバ
を有するものとして開示され、飲料コンパートメントから圧力調節チャンバにまたはその
逆にガス、特にCOガスの流れにより、時間の経過とともに、圧力調節チャンバ内の圧
力と飲料コンパートメント内の圧力との間に平衡を得ることが可能である。
【0028】
つまり、加圧装置が大気圧下にある場合、例えば、飲料容器外にある場合、あるいは飲
料容器の充填前は、圧力調節器の圧力調節チャンバ内の圧力も大気圧であるため、圧力調
節器に接続されたガス容器の蓋体は閉じられ、ガス容器内の加圧されたガスは該ガス容器
内に留まることになる。炭酸飲料、例えばビールを用いて飲料容器を充填し、飲料コンパ
ートメントを閉じた後は、飲料コンパートメント内の圧力は大気圧よりも高くなるので、
圧力調節器はガス容器の蓋体を閉じるという意味では非作動状態になる。炭酸飲料中に含
まれるCOガスは、徐々に圧力調節チャンバ内に進入し、圧力調節チャンバ内の圧力は
飲料コンパートメント内の圧力とほぼ同じとなる。次いで、圧力調節器、従って加圧装置
が作動状態にされ、飲料コンパートメント内に、特にある量の飲料をそこから分配するこ
とによる、比較的急な圧力低下が生じ、圧力調節器が蓋体を開いて圧力低下を補償する。
圧力低下の補償は、ガス容器からのガスを飲料コンパートメント内に供給することにより
、飲料コンパートメント内に再び所望のガス圧力が得られるまで行われる。ガスは徐々に
しか圧力調節チャンバに流入および/またはこれから流出することができないので、飲料
を分配することによる飲料コンパートメント内の圧力低下の間、調節チャンバ内の圧力は
実質的に同じレベルに維持され、圧力調節器が起動状態および作動状態に維持されてガス
容器の蓋体が開く。
【0029】
飲料コンパートメントから圧力調節チャンバ内へ、またはその逆に、ガス、特にCO
ガスが流れることによって、ある期間にわたって、圧力調節チャンバ内の圧力と飲料コン
パートメント内の圧力との間に平衡を実現することが可能であるため、システム、特に飲
料の温度変化が圧力調節器により追従可能であるという点でも有利である。例えば、飲料
容器の充填後、飲料の温度は、例えば輸送と貯蔵の際に、店舗または消費者の自宅で、上
昇することがある。これにより、飲料コンパートメント内の圧力が増加し、おそらく若干
遅れて、圧力調節器チャンバ内の圧力が増加する。本開示によるシステムにおいて、ガス
は、飲料の冷却中に、飲料コンパートメントから調節チャンバへ、およびその逆に流れる
ことが可能であるが、これは一杯分の飲料を分配するのに必要な時間よりも有意に長い時
間がかかる。従って、圧力調節チャンバ内の圧力は、調節チャンバから飲料コンパートメ
ント内へガスが流れることにより、飲料コンパートメント内の圧力低下に容易に追従する
。同様に、飲料の温度が再び上昇した場合、圧力調節器チャンバ内の圧力も、また、温度
変化による飲料コンパートメント内の圧力上昇に容易にかつ自動的に追従し、顕著な遅延
を生じない。本開示によるシステムにおいて、調節圧力とも呼ばれる圧力調節チャンバ内
の圧力は、異なる温度において飲料の平衡圧力と調節圧力が一致するまで、容器内の温度
変化とともに変動する。この平衡圧力は、規定の温度における圧力であって、その圧力に
おいて飲料のガス含量が所望の、所定のレベルに維持される圧力である。従って、そのよ
うな規定温度における平衡圧力において、飲料中のガスの飽和は前記所定の、所望のレベ
ル、例えば、製造当初の飲料のレベルに維持される。温度が異なると、平衡圧力が異なり
、調節圧力はその変化した圧力に自動的に適合される。
【0030】
本開示において、圧力調節チャンバと飲料コンパートメントとの間の開口部は、ガスが
前記チャンバと前記コンパートメントの間をいずれかの向きに流れて、前記調節チャンバ
と前記飲料コンパートメントとの間に、ある時間にわたって、圧力の平衡を実質的に得る
ことを可能にする任意の接続を意味するものと了解されるべきである。そのような1つま
たは複数の開口部は、限定されないが、例えば、1つ以上の穴、チャネル、ピンホール、
穿孔、ガス透過膜等、または、例えば、対応する表面同士の表面粗さにより得られる通路
等であってもよい。
【0031】
本開示において、圧力調節チャンバに対してガスが流入または流出できる期間に関して
言及される期間は、飲料コンパートメントから一杯分の飲料が分配される期間に比べて比
較的長い期間であると了解されるべきである。そのような一杯分は、例えば、約0.2~
0.5リットルまたは約1パイントであってもよく、数秒内に分配される。そのような状
況で圧力平衡に達成することが可能な上述の期間は、分配時間の数倍、例えば数分から数
十分である。すなわち、前記一杯分または数杯分を分配中に圧力調節チャンバ内の調節圧
力を維持するのに十分長い。この点において、調節圧力は、そのような一杯または数杯分
の分配直前の圧力調節チャンバ内にある圧力を意味するものと了解されるべきである。
【0032】
本開示による圧力調節システムは、圧力の急激な低下に反応し、その時点からガス容器
の弁が開いて、ガスが飲料コンパートメント内に供給されるけれども、急激な圧力増加に
は反応しない。その理由は、この場合は、移動可能なまたは変形可能な壁がより遠くまで
押されて、その中のガスが圧縮されるだけであるからである。
【0033】
図1および図2は、飲料分配システム1を構成する容器2、特に炭酸飲料、例えばビー
ル用の容器の一実施の形態を示す。しかしながら、非炭酸飲料もそのようなシステムを用
いて分配することができよう。容器2は、飲料コンパートメント3を備え、この飲料コン
パートメント3は、炭酸飲料、例えばビール4で少なくとも部分的に充填されている。頂
部スペース5は、飲料4の上に設けられ、ガス、本実施の形態ではCOガスで充填され
ている。しかしながら、異なる飲料に対しては、異なるガスを用いてもよく、限定されな
いが、例えば、窒素ガス、空気、酸素等を用いてもよい。概略的に、分配設備6が示され
ている。この分配設備6は、タップ7を備え、出口8に接続されている。浸漬管(不図示
)を公知の方法で出口に接続してもよい。この浸漬管は容器の底部9近くまで延在してい
る。飲料コンパートメント3から飲料を分配することができる任意の好適な既知の分配設
備を、本開示のシステム1とともに使用してもよい。
【0034】
容器2内、特に飲料コンパートメント3内において、加圧装置10が設けられている。
この加圧装置10は、ガス容器11と圧力調節器12とを備える。ガス容器11の出口1
4を閉じるための蓋体13が設けられている。このガス容器11は、COガスのような
加圧されたガスで、例えば最初に、数バール(bar)の圧力で充填される。例えば、1
0バールを超えるものに限定されないが、例えば約16バールまたはそれより高い。ガス
容器11に収容されているガスの量は、好ましくは、容器2からの飲料の全含有量を分配
するのに十分である。ガス吸着および/または吸収材料、例えば、限定されないが、活性
炭をガス容器11内に、当技術で知られている方法で設けてもよい。
【0035】
圧力調節器12は、蓋体13を開くように作動し、圧力調節チャンバ15をハウジング
16内に備える。ガス容器11の側のハウジング16には壁部分17が設けられており、
この壁部分17はチャンバ15の壁18の一部分を構成している。本実施の形態において
、壁部分17は変形可能な壁部分17である。選択的にまたは追加的に、壁部分17は、
移動可能な壁部分、例えばピストンであってもよく、壁18の内部を密閉して、以下に説
明するように、内部容積が変化するチャンバ15を形成する。ガス容器11に接続されて
いるのは、本実施の形態においてはガス容器11の反対側において、頂部スペース5に向
かって開いている、外側ハウジング部分19である。外側ハウジング部分19は周壁20
を有し、この周壁20はチャンバ15の壁18を包囲している。周壁20と壁18との間
に、少なくとも1つのチャネル21が設けられており、頂部スペース5をガススペース2
2と接続している。このガススペース22は壁部分17と外側ハウジング部分19の底部
23との間にある。少なくとも1つのチャネル21は、頂部スペース5内に行き渡ってい
るガス圧力P1が、壁部分17の一方の側に働いているガススペース22内の圧力と実質
的に同じになるように設けられている。
【0036】
圧力調節チャンバ15内には、第2の圧力P2が存在し、壁部分17の反対側、すなわ
ちチャンバ15の内側に働いている。チャンバ15の壁18には、開口部24が設けられ
ており、飲料コンパートメント3、特に頂部スペース5をチャンバ15の内部容積に接続
している。明瞭にするために、図1および2において、この開口部24はその実際の寸法
よりもはるかに大きく図示されている。開口部24の断面積は、例えば、少なくとも1つ
のチャネル21の断面積よりもかなり小さく、好ましくは、少なくとも、次のように構成
されている。すなわち、壁部分17がハウジング16内へ急激に移動してチャンバ15の
容積が減少し、またはその反対方向に移動してチャンバ15の容積が増加すると、チャン
バ内の圧力変化が起きるが、これはガスがこの開口部24を通ってそのような圧力変化を
妨げるのに十分に速くチャンバ15に対して出入りできないためであり、より長い期間に
わたれば、そのような圧力平衡が実現できるように構成されている。
【0037】
図1および2の実施の形態において、蓋体13が設けられている。この蓋体13は、球
形の要素13Aを備え、この要素13Aは、ステム13Bにより壁17に結合されている
。壁17越しの圧力差が、図1または2においてステム13Bが上方に移動するような圧
力差である場合、球13Aは出口14内に押し込まれ、出口14を閉じる。しかしながら
、壁17越しの圧力差が、図1または図2において、ステム13Bが下方に移動するよう
な圧力差である場合、球13Aは出口14から押し出され、出口14を開く。壁17は、
壁17越しの圧力差が存在しない場合、特に大気圧において、球13Aを出口14内へ付
勢して、起動前に出口を閉じた状態に維持するように形成されまたは張力を付与されてい
る。明らかに、他の弁、例えばエアゾール弁または本明細書の導入部に記載されている従
来技術に開示されているような弁を代わりに使用してもよい。
【0038】
図1において、容器は休止状態にある。すなわち、分配設備6は閉じられ、飲料は分配
されていない。飲料コンパートメント3、特に頂部スペース5において、第1の圧力P1
が行き渡り、一方、チャンバ15内には第2の圧力P2が行き渡っている。例えば、容器
2が充填され閉じられたばかりであるため、あるいは飲料が冷却もしくは加熱中またはす
でに冷却もしくは加熱されているため、P1とP2が同じでない場合は、ある時間にわた
って補償が生じ、そのような時間の経過後、圧力P1およびP2が同じになる。例えば、
P1がP2よりも高い場合、ガスは頂部スペース5からチャンバ15内へ流れ、一方、P
2がP1よりも高い場合、ガスは反対方向にチャンバ15から頂部スペース5内へ流れる
。従って、これらの圧力間に平衡が実現される。容器2を充填し、閉じた後は、この容器
が分配に使用されるまでに、例えば店舗、バーまたは消費者に少なくとも輸送することに
より、比較的長い期間があるため、そのような平衡を達成するための期間は比較的長くて
もよく、例えば数時間または数日間になる。同様に、飲料の冷却または加熱は急激ではな
く、例えば、容積および関連する温度差に応じて、数十分から数時間を要するので、この
場合もガスがチャンバに対して出入りできる時間は比較的長く、例えば数分から数時間に
することが可能である。
【0039】
図2において、容器2は、一杯分の飲料4を分配中であるものとして図示されている。
この段階では、タップ7は、一杯分の飲料4を容器2から、例えば、グラス(不図示)内
に分配するのに十分長く開かれている。分配期間中は、圧力P1は比較的速く低下する。
この比較的短い分配期間の間のチャンバ内の圧力P2は実質的に同じままであるので、壁
17越しの圧力差によりステム13Bがガス容器11の方向に押され、このため出口14
が開き、圧力のかかっているガスがガス容器11を流出してガススペース22内へ進入し
、このガススペース22からガスが頂部スペース5と飲料コンパートメント3内に流入し
、それらの中の圧力が増加して所望の開始圧力P1に戻る。圧力P1が所望の圧力に戻る
と、壁17がステム13Bを引き戻し、出口14を再び閉じる。
【0040】
上述のように、少なくとも1つの開口部24を通ってチャンバ15に対して出入りする
ガスの流れは、分配中の飲料の流れとガス容器からのガスの供給に比べて比較的ゆっくり
としているので、チャンバ15内の調節圧力P2は、そのような分配期間中は、ほとんど
または全く変化しない。壁部分17の移動および/または変形はさらに小さいため、その
中の容積の増減も圧力P2に影響しない。従って、所与の温度における所望の調節圧力が
主として維持される。
【0041】
本開示の圧力調節装置10において、固定された圧力ではなく、圧力は分配される飲料
の平衡に応じて設定されるが、基本的に飲料の温度とは無関係である。所与の期間内に容
器内の飲料から放出されるガスの量は、該飲料に(再)進入するガスの量に等しく、飲料
の飽和のレベルが維持される。少なくとも1つの開口部24により、飲料の温度変化によ
る平衡圧力変化の場合も、続いて圧力調節チャンバ内の調節圧力が変化し、従って調節器
は種々の温度において飲料の所望の平衡圧力を維持する。
【0042】
上述のように、開口部24は任意の適切な方法で設けられてよく、例えば、鋳造システ
ム、レーザー、水ジェット、超音波または任意の既知の適切な手段を用いて作製すること
ができる。あるいはまた、少なくとも1つの開口部24は、2以上の部分を合わせ、これ
らの合わせられた表面の間に通路が形成されて開口部を形成するようにして設けることが
できる。例えば、これら表面のうち少なくとも1つに反対側の表面とは異なる表面粗さ、
特にそれより高い表面粗さを持たせてこれら表面の頂点同士が接触するようにして、それ
らの頂点同士の間に通路が形成され、それらの通路をガスが流れるようにすることにより
、開口部24を設けることができる。そのような表面は、成形により作製することができ
る。この場合、鋳型の適切な表面に、鋳造された部分に転写されるべき所望の表面パター
ンおよび粗さを設けてもよく、または鋳造後に成形された部分にそれらを設けてもよい。
所望の表面粗さは、例えば、機械研削、サンディング(研磨)、エッチング、ブラスティ
ング(吹きつけ)、例えば、サンドブラスティング、アイスブラスティングまたはガラス
ブラスティング、削剥、例えば放電加工、ワイヤ浸食(wire erosion)、型
彫り(die sinking)、鋳造その他の当業者に知られた適切な手段により適用
することができる。
【0043】
図7にそのような開口部の一実施の形態を断面図で概略的に示す。この実施の形態では
、穴25がハウジング16の壁18に設けられ、1~10mmの比較的大きな断面積、例
えば、限定されないが、約2~5mmの断面積を有する。穴25の側端部25Aは角度が
付けられ、穴25がわずかに先細に、特にチャンバ15の方向に狭くなるように形成され
ていてもよい。側端部25Aの表面粗さは、比較的に低く、例えば、限定されないが、プ
ラスチックの射出成形により得られる平均粗さ、例えば、限定されないが、Raが0.1
~1.6μmである。穴25に挿入、特に圧入されたプラグ26の外表面26Aの表面粗
さはより高くてもよく、例えば、限定されないが、Raが1.6~25μmであってもよ
い。この場合、粗さは、微小チャネルが表面粗さの頂点またはリッジの間に得られ、ガス
がプラグと穴25の縁部25Aとの間を通って頂部スペース5からチャンバ15へ、また
はその逆に通過することが可能になるように設定される。適用可能な、または適切な粗さ
および寸法は、特に穴25とプラグ26の寸法、プラグ26を穴25に挿入する圧力、行
き渡っているガス圧力、および頂部スペース5からチャンバ15へ、またはその逆の所望
の流れに応じて、当業者が容易に決めることができる。
【0044】
図3~6に、加圧装置10の別の実施の形態が示されている。これらの図において、こ
の実施の形態では、ガス容器11には実質的にドーム形状のフード27が設けられ、この
フード27の先端において、またはその近傍において出口開口部14を画成している。ガ
ス容器11に対して内方に面している側には、閉鎖要素13があり、本実施の形態では、
フード27に少なくとも1つのばね要素28により取り付けらており、閉鎖要素13を開
口部14に対しておよび/または開口部14内へ付勢し、出口開口部14を閉じる。フー
ド27と、ばね要素28を有する閉鎖要素13は、ガス容器11と同様に、プラスチック
その他の適切な材料製であってもよい。
【0045】
図3~6の実施の形態において、圧力調節器12は、フード27のフランジ29上に、
クリックリング30または類似の構成によって載置されている。圧力調節器12は、異な
る方法で載置することもできる。この実施の形態において、圧力調節器12は、外側ハウ
ジング19と内側ハウジング16とを備える。クリックリング30は、実質的に円筒状の
外側ハウジングの下端31に設けられている。対向上端32に、同様のクリックリング3
3が設けられている。下方の第1の端部の近傍に、実質的に切頂円錐形の隔壁34が外側
ハウジング19に設けられている。上方部分は、調節チャンバ15の移動可能な壁17を
構成しており、切頂円錐形の壁部分36に可撓性リング35により結合されている。少な
くとも1つの開口部37が、この隔壁34に、本実施の形態では、フランジ29の真上の
外側円筒状壁20と切頂壁部分36との間の移行部に、設けられている。フランジ29は
、クリックリング31と切頂壁34の下端との間の適切な位置にロックされる。
【0046】
壁部分17の中央には、短いステム13Bがあり、フード27の開口部14内へ延在し
、蓋要素13と係合している。したがって、移動可能な壁部分17がフード27に向かっ
て移動されると、ステム13Bが蓋要素13を押して開口部14から離隔させ、ガス容器
11から壁部分17の下の切頂壁34とフード27との間のガススペース22内へガスが
、流入することが可能になる。このガススペース22からガスが開口部37を通って迷路
(labyrinth)L内へおよび/または飲料コンパートメント3内へ流入すること
ができる。これについては以下に説明する
【0047】
外側ハウジングの円筒状壁20内で内側ハウジング部分16がロックされている。この
内側ハウジング部分16は、実質的に円筒状または切頂円錐状壁38を備え、切頂円錐状
壁38は、可撓性リング35上にある開いた下端39と、閉じた対向端部40とを有する
。壁38内および壁部分17と対向端部40との間に、圧力調節チャンバ15が形成され
ている。壁41をチャンバ15内に設けて、壁部分17が上昇し過ぎないようにしてもよ
い。端部40は、切頂円錐状壁38を過ぎて延在する端部壁42により閉じられ、周縁部
53がクリックリング33の下方と係合し、内側ハウジング部分16を適切な位置にロッ
クする。開口部43が、この端部壁42に、クリックリング32に近く、または少なくと
もチャンバ15から離隔して設けられている。この開口部43は、従って、壁38と壁1
9Aの間のスペース内に開いている。
【0048】
端部壁42と切頂壁38の下端39との間に、一連の実質的に平行な、リング形状のフ
ランジ44が壁38から外方へ延在し、それらの周縁部で壁20の内部と当接し、一連の
リング形状スペース45が壁38の周りに設けられている。各フランジ44には開口部4
6が位置を変えて設けられており、相互に上下の直線上に存在しないように構成されてい
る。つまり、迷路Lが形成され、図4に矢印Fにより概略を示すように、この迷路Lを通
して開口部37から開口部43へ、またはその逆に、ガスがすべてのスペース45を通っ
て通過することが可能である。従って、この迷路Lは、ガスのための比較的長いチャネル
または通路を構成しており、それにより、開口部43内に飲料が進入することがあったと
しても、その飲料がはるばると開口部37まで、またはそれを超えて流れることがない。
さらに重要なことは、飲料が1つまたは複数の開口部24まで流れて、圧力調節チャンバ
15に対して出入りするガスの通路のための該開口部24をブロックすることがない。
【0049】
壁38の下端39のすぐ上から、わずかに広い第2の切頂円錐壁47が下方へ延在し、
その内側表面領域47Aが壁36の外側表面領域36Aに支えられている。表面領域47
Aおよび36Aの少なくとも一方は表面粗さが比較的高くてもよく、他方は表面粗さが低
くてもよい。好ましくは、表面領域36A、47Aの表面粗さは異なっている。これらの
表面粗さの選択については、表面領域36A、47Aが相互に嵌合して、それらの間に存
在している可能性があるガスの通路を閉じてしまうことがないように、選択がなされる。
表面粗さの選択については、好ましくは、表面領域36A、47Aの間に一連の通路が形
成され、それらが一緒になって1つの開口部24または一連のそのような開口部24を形
成し、ガスがチャンバ15に対して、特にゆっくりと流入、流出することが可能になるよ
うに、選択がなされる。
【0050】
例示としてのみであり、範囲を限定するものと了解されるべきでないが、表面粗さは、
例えばRaが0.3~0.8a、例えばRaが約0.6であってもよく、あるいは複数の
表面のうちの少なくとも1つの表面がそのような粗さを持ち、他の表面はより滑らかであ
ってもよい。上述のように、例えば使用中の圧力、使用されたサイズ、大きさおよび材料
、チャンバ15の圧力と頂部スペース5の圧力が再び平衡に達する際の所望の遅延等が与
えられれば、当業者は、適切な表面粗さと可能な表面パターンを決定して、所望の流れを
得ることができる。
【0051】
図5に概略を示すように、チャンバ15内部の圧力P2が頂部スペース5、この場合ガ
ススペース22内の圧力よりも低い場合、ガスは、迷路Lから開口部37を通ってガスス
ペース22内に流れることができるが、表面領域36A、47Aの間の単一の開口部24
または各開口部24内にも流入でき、さらにチャンバ15内へも流れることができる。同
様に、チャンバ15内部の圧力P2が頂部スペース内の圧力P1よりも高い場合、ガスは
表面領域36A、47Aの間に形成された少なくとも1つの開口部24を通ってチャンバ
15から流出することができる。
【0052】
図6に概略を示すように、蓋体13が開かれたときにガス容器11から来るガスは、ガ
ススペース22内に流入し、開口部37を通り、次いで迷路内に流入し、開口部42を出
て飲料コンパートメント3、特に頂部スペース内に流入する。この構成では、迷路に飲料
が進入することがあれば、その飲料は反対方向に流れる加圧されたガスにより吹き出され
るという利点が得られる。これにより、迷路Lの詰まりが非常に簡単かつ精確な方法で防
止される。このことは、圧力調節器が少なくとも部分的に飲料中に沈み易い場合に、特に
有利である。
【0053】
図9~14は、圧力調節装置10の別の実施の形態を示す。この場合も、ガス容器11
と圧力調節器10が接続されている。この圧力調節装置は上述のいくつかの実施の形態に
類似しており、同じ特徴には同じまたは類似の参照符号を付してある。以下、主として上
述のいくつかの実施の形態に対する差異を説明する。
【0054】
図9は、圧力ガス容器11と圧力調節器12を備える圧力調節装置10の概略図である
。本実施の形態において、分配弁7Aが圧力調節器12に、特にそのハウジングに、既知
の方法で一体に設けられている。この弁7Aは、下端においてライザー・パイプ50に接
続され、ライザー・パイプ50は、図1および図2と同様の容器1内に導入されると、容
器の下側に到達可能である。弁7Aは、例えば、エアゾール型の弁または他の型の弁であ
って、例えば、弁本体を押したり、引張ったり、傾けたり、絞ったりすることにより開け
られる弁、その他の適切な型の弁であってもよい。同様のライザー・パイプ50を他のい
くつかの実施の形態において設けることができる。この実施の形態において、ライザー・
パイプはガス容器11にそって延在し、比較的コンパクトなユニットが得られる。図10
は、容器11に載置された圧力調節器12の拡大図である。
【0055】
図9~12において、蓋51は圧力調節器12の端部40から取り外され、端部40に
おいて迷路Lが示されている。この実施の形態では、迷路Lの経路Lは、ガス容器11
と圧力調節器12のそれぞれの長手方向の軸A-Aに実質的に垂直な平面内に配置されて
いる。これらの長手方向の軸は一致していてもよい。この実施の形態では、圧力調節器1
2のハウジング20は、その上に迷路Lが形成されている閉じた端部壁42を有し、好ま
しくは、直立壁52により壁42と一体であり、開口部43と開口部37の間に延在する
経路Lを形成している。開口部43は、壁42の縁部に近く、装置10が容器内に納め
られると、容器2の飲料コンパートメントへ開口する。開口部37はスペース22内へ開
口し、従って、圧力調節スペース15内へ開いている少なくとも1つの開口部24と連通
する。蓋51が壁42上に置かれると、蓋51は壁52上に接触して延在し、従って迷路
Lを閉じ、ガスが迷路を通ってのみ開口部37から開口部43へ、およびその逆に通過す
ることができる。
【0056】
この場合も、迷路Lと、特にそれを通る経路7Aの相対的長さにより、飲料が開口部4
3内に進入したとしても、その飲料は、開口部37に到達することまたはそれを超えるこ
と、特に少なくとも1つの開口部24に到達してチャンバ15内に進入することが防止さ
れる。さらに、ガス容器11から放出されたガスは迷路Lを通って容器の飲料コンパート
メント内に到達することができるだけであり、飲料が開口部43を通って迷路内に進入し
たとしても、高圧で迷路Lを通って流れるガスにより再び排出される。
【0057】
図13AおよびB並びに図14AおよびBは、装置10の圧力調節器12と容器11の
一部分との2つの断面をそれぞれ垂直平面内に示す図である。この実施の形態では、ガス
容器11は、その首の内または上に壁29を設けられており、外側縁部が壁20に結合さ
れている。この結合は、この場合も、液密および気密であれば、クリック結合等の適切な
結合手段でであってもよい。この実施の形態における壁29の中央部分は、容器内に延在
し、開口部14を設けられるように形成されるが、壁29は、明らかにこれと異なるよう
に、例えば実質的に平坦なように形成してもよい。開口部14の下には、閉鎖要素13が
設けられ、例えば、上述のいくつかの実施の形態と同様に、ばね要素28により壁29に
結合され、そのようなばね要素および/または容器11内部のガス圧力により、要素13
が開口部14を閉鎖する位置に向かって付勢される。この場合も、ステム13Aが設けら
れ、開口部14内におよび/または開口部14を通って延在し、かつ要素13に係合して
、要素13を開口部14から遠ざけて、ガスが容器から流出し、スペース22内へ流入で
きるようにする。これについては後述する。
【0058】
壁29は任意の適切な方法、例えば、限定されないが、接着、溶接、クリック手段、圧
入、ねじ溝、バヨネット式結合等で容器に結合し、気密な結合を形成することができる。
【0059】
この実施の形態では、圧力調節器12内に、第1の部分54が設けられ、この第1の部
分54は、周壁36と、閉鎖壁17を有し、変形可能な壁、例えば膜を形成し、または該
壁17の少なくとも一部分が変形可能であってもよい。中央には、ステム13Aが壁17
に設けられている。この図示の実施の形態では、ステム13Aは、壁17の円錐形の中央
部分17Aの端部として示されている。中央部分17Aの壁厚はより大きくてもよい。つ
まり、壁17のいかなる変形も実質的に中央部分17Aと周壁36との間のリング状部分
17Bからもたらされる。リング状部分17Bは、凹凸17C等を設けて可撓性および/
または弾性変形性を向上させてもよい。
【0060】
壁17は容器11に対向する側に配置され、周壁はその反対方向に延在する。周壁36
は、内部表面36Aを有し、この内部表面36Aは軸A-Aに対して傾斜しており、第1
の部分54は実質的に切頂された内側形状を有し、小さい方の端部が壁17にあり、反対
側の広い端部55において開口している。第1の部分54は、壁29上に置かれ、少なく
とも1つの開口部がそれらの間に設けられてガスが壁17の下で壁36および壁29の間
を通過し、スペース22内に流入することができる。これについては後に説明する。
【0061】
第2の部分56が、少なくとも部分的に第1の部分54の内部に設けられている。第2
の部分56は閉じた端部壁57と周壁47とを有する。周壁47は、軸A-Aに対して傾
斜した外表面47Aを有し、第2の部分56の外側形状が実質的に切頂され、大きさは、
例えば実質的に第1の部分54の内部容積に相当するように構成されている。第2の部分
56は開いた、より広い端部55から第1の部分54内に押し込まれ、表面36Aおよび
47Aは相互に接触している。上述の実施の形態の表面36Aおよび47Aと同様に、こ
れらの表面36A、47Aの少なくとも1つは特定の表面粗さを持ち、2つの表面36A
、47Aが図示のように対向した場合、少なくとも1つの開口部24がそれらの間に形成
され、上述のいくつかの実施の形態と同様に、スペース22を第1および第2の部分54
、56の間に囲まれたチャンバ15に連通させている。チャンバ15内には、この場合も
壁41を設けることができ、壁41は、例えば、端部壁57から延在する。端部壁57は
、壁17、特にその中央部分17Aの移動の経路をチャンバ15内に限定することが可能
である。端部壁57と壁42の間に、チャネルまたはスペース58を設けて、ガスが開口
部37を通ってスペース22と迷路のチャネル7Aとの間を通過できるようにしてもよい
【0062】
使用の際、本開示の圧力調節装置10は、飲料、特に炭酸飲料、例えばビールを収容す
る容器1内に配置される。図8に、容器内部の圧力、すなわち飲料の圧力と、圧力調節器
12のチャンバ15内部の圧力との関係を概略的に示す。
【0063】
圧力装置を容器1内に導入し、容器1を飲料で充填する前は、例えばスペース22の内
部と圧力調節器12の周囲のように、チャンバ15内部の圧力は、チャンバ15を包囲し
ている圧力がそうであるように、大気圧である。壁17は、容器11が閉じている位置に
ある。例えば、開口部14は要素13により閉じられる。容器11からガスが流出するこ
とはなく、大気圧環境においてさえも流出しない。従って、調節器はこの位置では作動し
ない。従って、この位置で、容器は、ガスが容器11から出てしまうというリスクなしに
貯蔵および輸送することができる。
【0064】
圧力調節器を容器1内へ導入した後は、例えば充填ステーションにおいて、容器は比較
的冷たい飲料で充填される。この飲料の圧力は大気圧より高く、例えば、限定されないが
、約1.8~2.2バール(絶対)であり、または図8に示すように、約1BarG(バ
ール(ゲージ圧))であり、この圧力において容器が閉じられる。この位置では、圧力チ
ャンバ15の内部は、従って、図8の左端に示すように、0BarGである。充填圧力は
、例えば飲料の種類、飲料中にガスが含まれていれば、そのガスの種類によって決めるこ
とができるが、そのような飲料中のガスの充填温度における平衡圧力等の要因は、当業者
に既知である。
【0065】
容器1を閉じた後、図8中、グラフの左下隅において、チャンバ15内の圧力は、容器
1の頂部スペース5から、迷路Lが設けられている場合はこれを通って、および開口部2
4を通ってチャンバ15内へ流出するガスにより比較的ゆっくりと上昇し、チャンバ15
内部の圧力が頂部スペース5内の圧力に実質的に等しくなり、この温度における飲料の平
衡圧力が得られる。図8では、この点は、容器を閉じてから約5時間後に到達される。
【0066】
充填し、閉じた後、容器1は通常貯蔵され、例えば、店舗、バーまたはレストランおよ
び/または消費者に輸送される。この期間中、全くまたはほとんど冷却されないので、飲
料の温度は上昇する。温度上昇により、頂部スペース5内の圧力も増加し、飲料の平衡圧
力に一致する。この圧力増加は比較的ゆっくり進行するので、頂部スペースの圧力が上昇
すると、頂部スペース5から1つまたは複数の開口部24を通ってチャンバ15内へガス
が流れるため、チャンバ15内部の圧力が追従して容易にかつ自動的に上昇する。このこ
とは、図8に、充填から約5時間から約22時間後のほとんど一致する2つの線により表
されている。次いで、圧力は、図8において充填後約22時間から約28時間の期間とし
て示されているある時間、比較的一定に維持されてもよい。
【0067】
次いで、飲料4を入れた容器1が再び冷却されると、頂部スペース5内の圧力が再び低
下し、チャンバ15内部の圧力がこれに追従して低下する。この低下は比較的ゆっくりと
、例えば、圧力上昇と同様の速度で進行するので、頂部スペース5の圧力の低下は、図8
に充填後約28時間から45時間の間の2つのほとんど一致する線により表されているよ
うに、チャンバ15から1つまたは複数の開口部24を通って頂部スペース15内へガス
が流れることにより、容易にかつ自動的にチャンバ15内部の圧力が低下する。
【0068】
飲料4の冷却は、数時間、例えば、図8に単なる例示として示すように、10~12時
間かかる。次いで、飲料は、所望の冷却温度、例えば、限定されないが、ラガータイプの
ビールに対しては約6℃に保つことができる。この好適な温度において、飲料の平衡圧力
は頂部スペース5とチャンバ15の両方に存在する。図8において、単なる例示として、
そのような平衡圧力が、例えば、約0.9BarG(または約1.9バール(絶対))と
して示されているが、これに限定されないと了解されるべきである。
【0069】
図8において、容器の充填から約65時間後、一杯分の飲料が、容器1からタップ弁7
、7Aを通って分配されるが、これは、少なくとも部分的には、容器1内部に行き渡って
いる圧力により送出されるものである。この給仕の期間は、図8において、該給仕の前後
の圧力を表す実質的に水平の線から下がるスパイクSとして示されている。そのような一
杯分は、例えば、約0.2または0.3リットルであってもよい。図8Aに、飲料コンパ
ートメント3内の圧力変化を、そのような分配中のチャンバ15内部の圧力に対して、拡
大して示す。図示されているように、この分配により、容器1内部の圧力が、図8および
8Aに実線で示すように、比較的急激に、迅速に低下する。これは、比較的に短い期間内
では、例えば、限定されないが、数秒から約10~20秒の間、容器1内部の飲料の体積
が一杯分の体積だけ減少するからである。つまり、スペース22内の圧力も低下し、壁ま
たは壁部分17が移動および/または変形し、弁13を開いて圧力のかかったガスが容器
からスペース22内に流入し、そこから容器1内に、好ましくは頂部スペース5内に流入
できるようにして、飲料コンパートメント3内部の圧力が再び増加して、所定の温度にお
ける平衡圧力に戻ることが可能になる。
【0070】
上述のように、単一の開口部または複数の開口部24は、頂部スペース5からチャンバ
15内への、またはその逆のガスの非常に限定された流れ、すなわち、はるかに高い体積
流量の飲料が分配される場合と比べると、低い体積流量(m/s)を可能にするだけな
ので、そのような分配中のチャンバ15内部の圧力は、図8および8Aに点線で示すよう
に、少なくとも顕著には変化しない。従って、圧力調節器12は、分配開始時に行き渡っ
ている、所与の温度における飲料の平衡圧力に相当する調節圧力で圧力を調節することに
なる。従って、上述の一杯分を分配した後、分配弁7、7Aを閉じたほぼ直後に、容器1
内部の圧力は、図8および図8Aにおいて右側に図式的に示すように、平衡圧力に戻る。
【0071】
上述の説明から、圧力調節器の内部の圧力、特にチャンバ15内の圧力は、圧力調節器
の周囲の圧力、例えば飲料コンパートメント内の圧力、の比較的ゆっくりとした変化に従
って変化することは可能であるが、そのような圧力の急激な変化、例えばそのような容器
の内容物の一部分を分配すること、またはその体積を急に増加させることで生じる変化、
には追従することができない。当業者には明らかなように、少なくとも、1つまたは複数
の開口部24について、圧力調節器12のチャンバ15に対して出入りする体積流量を決
定することにより、圧力調節器の応答時間に影響を与えることができる。応答時間は、圧
力調節器を周囲、例えば該圧力調節器が設けられている飲料コンパートメント内の圧力変
化に適合させるのに必要な時間であると了解される。応答時間がより長いことは、チャン
バ15内部の同様の圧力変化が追従して起きるまで、周囲、例えば飲料コンパートメント
3内、の圧力変化がより長い期間にわたって維持されることを意味する。
【0072】
開口部37と開口部43の間、または少なくとも1つまたは複数の開口部24と飲料コ
ンパートメント3の間の迷路Lを用いることによって、ガスがその中を通過しなければな
らないチャネルLの長さを不必要に減少させることなく、比較的コンパクトな、特に比
較的限定された高さの、圧力調節器を提供することが可能である。示されたように、比較
的長い経路Lは、飲料がチャネルに進入することがあっても、その飲料が1つまたは複
数の開口部24に到達することを防止する。1つまたは複数の開口部24に到達する飲料
は、上述の1つまたは複数の開口部の少なくとも一部分を詰まらせることがあり、それに
よりガスがチャンバ15に対して出入りできなくなってしまう。いくつかの実施の形態に
おいて、例えば圧力調節器が、飲料コンパートメント3内の飲料のレベルよりも上に保た
れているため、飲料が1つまたは複数の開口部24に到達することができないが、そのよ
う実施の形態では、そのようなチャネルL、例えば迷路Lにより形成されたチャネルL
、は省略または少なくとも短くしてもよい。迷路Lの代わりに、チャネルLを異なる
方法で設けてもよい。例えば、実質的に真っ直ぐなまたは曲がったパイプまたはチャネル
により、例えば容器11の一部分の周りに螺旋状に設けられ、または千鳥状に、U字状に
、その他適切な形状および大きさで設けられてもよい。チャネルLは、好ましくは、チ
ャネルに進入する飲料が、反対方向に容器11から飲料コンパートメント3内へと進む圧
力のかかったガスにより吹き出されるように構成されている。
【0073】
本発明は、本開示において具体的に示され説明されたいくつかの実施の形態に限定され
ない。添付の特許請求の範囲内で任意の数の変更および改変を行うことは可能であり、限
定されないが、示されたいくつかの実施の形態の部分を結合することも含まれる。例えば
、圧力調節器のハウジングのより遠い部分に直接取り付けられた移動可能なまたは変形可
能な壁部分17の代わりに、別の部分を構成している移動可能な壁部分、例えば、ピスト
ンを用いてもよい。具体的に開示されたガス容器11の蓋体の代わりに、別の型の蓋体、
例えば、弁を使用してもよい。この弁は、例えば、国際公開第00/035774号明細
書、特にその図2および図3に開示され、用いられているエアゾール型の弁を用いてもよ
い。この弁は雄型、雌型または傾斜型であってもよい。同様の弁を分配弁7として使用す
ることができる。他の表面領域を圧力調節スペース15内に1つまたは複数の開口部24
のそれぞれを形成するのに使用してもよい。迷路Lは、異なる形状および大きさを有して
いてもよく、多少のスペースを有していてもよく、全体を省略してもよい。本開示による
飲料分配システムでは、出口は、異なる分配設備、例えば、限定されないが、離れたタッ
ピング・カラムに、出口に接続された分配ラインにより、接続されていてもよい。容器、
特にその飲料コンパートメントは、任意の所望の容積を有していてもよい。圧力調節器は
、容器の内部に圧力調節器付き加圧装置を配置する代わりに、容器の壁の中に設け、フー
ド付きガス容器が、該容器の使用前に、該容器の外側から該圧力調節器内に挿入可能であ
るようにし、開口部42が飲料コンパートメント内に開口し、外側ハウジング19がガス
をフランジ29に対して気密に遮断するようにしてもよい。
【0074】
これらおよび種々の他の改変は添付の特許請求の範囲により定義される範囲内であると
考えられる。

図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8
図8A
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B