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特許7123107騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/13 20060101AFI20220815BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
B60C11/13 B
B60C11/03 B
B60C11/03 100B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020188663
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2021075273
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0143901
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514040088
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANKOOK TIRE & TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】286,Pangyo-ro,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do,13494,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、イル シク
(72)【発明者】
【氏名】クァク、スン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ス ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ギ ボム
(72)【発明者】
【氏名】イ、スン ファン
【審査官】弘實 由美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-151314(JP,A)
【文献】特開2006-341655(JP,A)
【文献】特開2019-111838(JP,A)
【文献】特表2016-537255(JP,A)
【文献】特開2011-105181(JP,A)
【文献】特開2014-012486(JP,A)
【文献】特開2005-170381(JP,A)
【文献】国際公開第2004/048130(WO,A1)
【文献】特開2016-159857(JP,A)
【文献】特開2013-151240(JP,A)
【文献】中国実用新案第203567481(CN,U)
【文献】米国特許第06415835(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤトレッドの周囲に沿って円周方向に延長形成されたグルーブ部と、
前記グルーブ部の底面と側面に形成されたナーリング部と、を備え、
前記ナーリング部は、前記グルーブ部と地面が接するときに形成される空気の通路を狭くして、騒音のエネルギーを減少させるように設けられ
前記ナーリング部は複数個で設けられ、
前記複数個のナーリング部は、前記グルーブ部の長さ方向に沿ってジグザグの形状に形成され、
前記複数個のナーリング部のうち一つのナーリング部の端部が隣接する他のナーリング部の端部と略V字状を成して相互延長して設けられる
ことを特徴とする騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ。
【請求項2】
前記ナーリング部は、
前記グルーブ部の底面に形成され、前記グルーブ部の幅方向に延長された第1の突起(レリーフ)部と、
前記グルーブ部一側面の高さ方向に延長形成され、前記第1の突起部の一側から延長された第2の突起部と
前記グルーブ部の他側面の高さ方向に延長形成され、前記第1の突起部の他側から延長された第3の突起部と、を含む
請求項1に記載の騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ。
【請求項3】
前記第2の突起部は、一側が前記第1の突起部に延長され、他側が隣接したナーリング部第2の突起部とに延長されるように設けられ、
前記第3の突起部は、一側が前記第1の突起部に延長され、他側が隣接したナーリング部第3の突起部に延長されるように設けられた
請求項1に記載の騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ。
【請求項4】
前記ナーリング部の突出の高さは、0(zero)超過0.8mm以下である
請求項2に記載の騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ。
【請求項5】
前記第2の突起部及び前記第3の突起部は、上部に上がるほど徐々に突出の高さが減少するように形成された
請求項1に記載の騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ。
【請求項6】
前記ナーリング部の厚さは、0.6mm~1.2mmである
請求項2に記載の騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ。
【請求項7】
前記第1の突起部121と前記第2の突起部122の連結部分、並びに前記第1の突起部121と前記第3の突起部122の連結部分は、円形をなすフルラディウス(full Radius、完全曲率)~2.5mm以下の曲率(radius)となるように設けられた
請求項2に記載の騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ。
【請求項8】
前記ナーリング部のピッチ(pitch)の間隔が10mm~30mmとなるようにジグザグの形状で連結された
請求項1に記載の騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ。
【請求項9】
前記グルーブ部及び前記ナーリング部を含む騒音低減型メイングルーブは、複数個で設けられ、
それぞれの前記騒音低減型メイングルーブの前記ナーリング部の突出の高さ、厚さ、曲率は前記グルーブの形状と対応するように設けられた
請求項1に記載の騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音低減型メイングルーブを有するタイヤに関し、より詳しくは、タイヤの共鳴騒音を低減するための騒音低減型メイングルーブを有するタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
車輪を転がして動く車は、生まれつきの騒音を発生させるしかない。しかし、運転中に車両の内部及び外部から聞こえてくるエンジン音、風切音(風音)などの騒音は、運転者と搭乗者には常に耳に障る。それで防音材、吸音材などを使用して、騒音を遮断するのが一般的な作業である。
【0003】
しかし、最近、韓国の政府機関である環境省が、2019年から欧州連合(EU)において施行中の「タイヤ騒音性能表示制度」を導入すると発表した。この制度施行を控えて騒音を減らすための技術開発が行われている。特に、従来はエンジンなどの車両内部の騒音発生を減らすのに集中したが、タイヤのように、車両の外部から発生する騒音を最小限に抑えるため、タイヤ製品開発の初期段階から低騒音の新技術を適用する事例が増えている。
【0004】
特に最近、市場占有率が急激に上昇している電気自動車のためのタイヤは、内燃機関車(ICE:Internal Combustion Engine)とは異なる特性の騒音に対する防止技術が要求されている。
【0005】
一例として、ICE車両の場合には、エンジンからくる騒音が室内騒音の全領域代にわたって最大の騒音を占めているが、電気自動車には、エンジンがないため、全体的な騒音レベルが低く、タイヤから誘発される騒音が最も大きい。したがって、最近では、低騒音タイヤの重要性がますます高くなっている。
【0006】
タイヤ騒音の中で、1kHzの領域帯からパイプの共鳴音によるピークが発生し、これに起因した影響は、騒音全体において非常に大きな割合を占めている。具体的には、タイヤ走行方向のメイングルーブが地面に接触したときに、地面とメイングルーブがパイプの形状をなす。このとき、このパイプ状のメイングルーブの内部流動により、1kHz帯域の気柱共鳴音が発生するようになる。
【0007】
したがって、タイヤのメイングルーブ内から発生する気柱共鳴音を低減するための技術が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許第1の0-1957640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、タイヤの共鳴騒音を低減するための騒音低減型メイングルーブを有するタイヤを提供することにある。
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に限定されず、言及されていないもう1つの技術的課題は、以下の記載から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとっては明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するための本発明の構成は、タイヤトレッドの周囲に沿って円周方向に延長形成されたグルーブ部と、前記グルーブ部の底面と側面に形成されたナーリング(knurling、ローレット切り)部と、を備え、前記ナーリング部は、前記グルーブ部と地面が接するときに形成される空気の通路を狭くして、騒音のエネルギーを減少させるように設けられたことを特徴とする騒音低減型メイングルーブを有するタイヤを提供する。
【0012】
本発明の実施形態において、前記ナーリング部は、前記グルーブ部の底面に形成され、前記グルーブ部の幅方向に延長された第1の突起部、前記グルーブ部の一側面の高さ方向に延長形成され、前記第1の突起部の一側から延長された第2の突起部、及び前記グルーブ部の他側面の高さ方向に延長形成され、前記第1の突起部の他側から延長された第3の突起部を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の実施形態において、前記ナーリング部は複数個で設けられ、複数個の前記ナーリング部は、前記グルーブ部の長さ方向に沿ってジグザグの形状に延長形成され、相互延長又は離隔されて設けられることを特徴とする。
【0014】
本発明の実施形態において、前記第2の突起部は、一側が前記第1の突起部に延長され、他側が隣接したナーリング部の第2の突起部に延長されるように設けられ、前記第3の突起部は、一側が前記第1の突起部に延長され、他側が隣接したナーリング部の第3の突起部に延長されるように設けられることを特徴とする。
【0015】
本発明の実施形態において、前記ナーリング部の突出の高さは、0(zero)超過0.8mm以下であることを特徴とする。
【0016】
本発明の実施形態において、前記第2の突起部及び前記第3の突起部は、上部に上がるほど徐々に突出の高さが減少するように形成されたことを特徴とする。
【0017】
本発明の実施形態において、前記ナーリング部の厚さは、0.6mm~1.2mmであることを特徴とする。
【0018】
本発明の実施形態において、前記第1の突起部と前記第2の突起部の連結部分、並びに前記第1の突起部と前記第3の突起部の連結部分の曲率(radius)は、フルラディウス(full Radius)~2.5mmとなるように設けられたことを特徴とする。
【0019】
本発明の実施形態において、前記ナーリング部は、ピッチ(pitch)の間隔が10mm~30mmとなるようにジグザグ形状で連結されたことを特徴とする。
【0020】
本発明の実施形態において、前記グルーブ部及び前記ナーリング部を含む騒音低減型メイングルーブは、複数個に設けられ、それぞれの前記騒音低減型メイングルーブの前記ナーリング部の突出の高さ、厚さ、曲率は、前記グルーブ部の形状と対応するように設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
上記のような構成による本発明は、タイヤのグルーブに所定の形状を形成して気柱共鳴音のピークを減少させることで、車両の走行時にタイヤに発生する騒音を低減させる効果を有する。
【0022】
そして、本発明によれば、気柱共鳴音のピークの減少のためにタイヤのグルーブにナーリング部を形成してもグルーブの排水機能を低下させない可能性がある。
【0023】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による騒音低減型メイングルーブを有するタイヤの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による騒音低減型メイングルーブの断面図である。
図3】本発明の一実施形態によるナーリング部の上面図である。
図4】本発明の一実施形態による騒音低減型メイングルーブを有するタイヤの写真である。
図5】気柱共鳴音がピークで発生する領域を示したグラフである。
図6】従来例と本発明のモックアップ構造の気柱共鳴音を比較した結果を示したグラフである。
図7】従来例と本発明の実際の製品の気柱共鳴音を比較した結果を示したグラフである。
図8】本発明の一実施形態によるナーリング部の形状にしたがった気柱共鳴音を示したグラフである。
図9】本発明の一実施形態によるナーリング部の形状にしたがった気柱共鳴音を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、添付した図面を参照して、本発明を説明することにする。しかし、本発明は、複数の異なる形態に実施されることができ、したがって、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして図面で本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通して類似した部分については類似の図面符号を付した。
【0026】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているとするとき、これは「直接的に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の部材を間に置いて、「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに備えることができるというのを意味する。
【0027】
本明細書で使用された用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示していると判定されない限り、複数の表現を含む。本明細書では、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであって、1つ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものの存在若しくは付加可能性を予め排除しない。
【0028】
以下では、添付された図面を参照して、本発明の実施形態を詳しく説明することにする。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態による騒音低減型メイングルーブを有するタイヤの斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態による騒音低減型メイングルーブの断面図である。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態によるナーリング部の上面図であり、図4は、本発明の一実施形態による騒音低減型メイングルーブを有するタイヤの写真である。
【0031】
図1図4に示すように、騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ1000は、複数の騒音低減型メイングルーブ(100、200、300、400)を含む。
【0032】
具体的には、騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ1000は、第1の騒音低減型メイングルーブ100と、第2の騒音低減型メイングルーブ200と、第3の騒音低減型メイングルーブ300と、第4の騒音低減型メイングルーブ400と、を備える。
【0033】
前記第1の騒音低減型メイングルーブ100は、グルーブ部110、及びナーリング部120を含む。
【0034】
グルーブ部110は、タイヤトレッドの周囲に沿って円周方向に延長形成され得る。つまり、前記グルーブ部110は、前記タイヤの走行方向に沿って形成されたメイングルーブであり得る。
【0035】
前記ナーリング部120は、前記グルーブ部110の底面及び側面に突出形成され、前記グルーブ部110と地面が接するときに形成される空気の通路を狭くして、騒音のエネルギーを減少させるように設けられる。
【0036】
前記ナーリング部120は、第1の突起部121、第2の突起部122及び第3の突起部123を含み得る。
【0037】
そして、前記ナーリング部120は、複数個で設けられて前記グルーブ部110の長さ方向に沿ってジグザグの形状をなすように形成され、相互延長又は離隔されて設けられる。
【0038】
前記第1の突起部121は、前記グルーブ部110の底面に形成され、前記グルーブ部110の幅方向に延長され得る。
【0039】
より具体的には、前記第1の突起部121は、前記グルーブ部110の底面から前記グルーブ部110の幅方向に延長されるが、斜線方向に延長形成され得る。
【0040】
前記第2の突起部122は、前記グルーブ部110の一側面の高さ方向に延長形成され、前記第1の突起部121の一側から延長形成され得る。
【0041】
前記第2の突起部122は、斜線方向に延長形成された前記第1の突起部121と同じ方向に延長形成され得る。
【0042】
第3の突起部123は、前記グルーブ部110の他側面の高さ方向に延長形成され、前記第1の突起部121の他側から延長形成され得る。
【0043】
前記第3の突起部123も前記第2の突起部122と同様に、斜線方向に延長形成された前記第1の突起部121と同じ方向に延長形成され得る。
【0044】
より具体的には、前記第2の突起部122は、一側が前記第1の突起部121に延長され、他側が隣接したナーリング部の第2の突起部に延長されるように設けられる。
【0045】
このとき、前記ナーリング部120がジグザグの形状からなるために、隣接したナーリング部は、相互対向する方向に形成される。すなわち、前記第2の突起部122に延長された隣接のナーリング部の第2の突起部は、「V」字の形状を成すようになる。前記第3の突起部123は、一側が前記第1の突起部121に延長され、他側が隣接したナーリング部第3の突起部に延長されるように設けられる。すなわち、前記第3の突起部123に延長された隣接のナーリング部の第3の突起部は、「V」字の形状を成すようになる。
【0046】
このとき、前記ナーリング部120は、相互に直接連結されることも可能であり、分離されて設けられることも可能である。
【0047】
前記ナーリング部120は、底面からの突出の高さが0.8ミリメートル(mm)を超えるとき、雨道又は雪道の走行に必要なトレッド部100の排水機能に欠陥を発生させることができる。前記ナーリング部120の突出の高さは、0(zero)超過0.8mm以下に設けられる。そして、前記ナーリング部120の前記第2の突起部122及び前記第3の突起部123は、前記グルーブ部110の両側壁の最上部まで延長されるように設けられる。なお、前記第2の突起部122及び前記第3の突起部123は、上部に上がるほど徐々に突出の高さが減少するように形成され得る。
【0048】
前記ナーリング部120の厚さは、0.6mm~1.2mmに形成され得る。
【0049】
前記第1の突起部121と前記第2の突起部122の連結部分、並びに前記第1の突起部121と前記第3の突起部122の連結部分は、円形をなすフルラディウス(full Radius、完全曲率)~2.5mm以下の曲率(radius)となるように設けられる。
【0050】
なお、図3に示されたように、ジグザグの形状からなる前記ナーリング部120のピッチ(pitch)の間隔は、10mm~30mmとなるように設けられる。
【0051】
前記第2の騒音低減型メイングルーブ200、前記第3の騒音低減型メイングルーブ300、前記第4の騒音低減型メイングルーブ400は、上述した前記第1の騒音低減型メイングルーブ100の構成と同一である。
【0052】
ただし、それぞれの前記騒音低減型メイングルーブの前記ナーリング部120の突出の高さ、厚さ、曲率は、前記範囲内で前記グルーブ部110の形状と対応するように設けられる。
【0053】
具体的には、図1及び図2に示すように、前記第1の騒音低減型メイングルーブ100、前記第2の騒音低減型メイングルーブ200、前記第3の騒音低減型メイングルーブ300は、グルーブ部(110、210、310)の形状が同一であるが、前記第4の騒音低減型メイングルーブ400は、グルーブ部410の幅がより狭く形成され、前記ナーリング部420の突出の高さ、厚さ、曲率が異なるように形成されることがあり得る。
【0054】
図5は、気柱共鳴音がピークで発生する領域を示したグラフである。
【0055】
図5に図示されたように、従来のタイヤは、メイングルーブが地面と接触するとき、管の形状になる。この管の形状に起因した気柱共鳴音による騒音が発生する。これは、タイヤのサイズ及び地面での接地長と関連され、約800~1200Hzの帯域の騒音である。この帯域の騒音は、全体のタイヤの転がりの騒音に大きな影響を及ぼすことになる。
【0056】
そこで、騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ1000は、レリーフ構造の突出されたナーリング部120をグルーブ部110の壁面と底面に適用して、このような気柱共鳴音が低減されるように設けられた。
【0057】
具体的には、本発明の前記ナーリング部120は、管(tube)において最も重要な騒音減衰メカニズムであるビスコ-サーマル効果(Visco-thermal effects)を考慮し、空気の流動がグルーブ部110の表面積に、より多くに接触するようにして、大きなビスコ-サーマル効果(Visco-thermal effects)を発生させるように設けられる。
【0058】
なお、本発明によれば、前記ナーリング部120の高さを0.8mm以下に制御して排水性能に大きな影響を与えないながら、前記ナーリング部120を壁面、底面に適用することにより、流動接触面を大きくして、騒音を減衰するようにする。
【0059】
図6は、従来例と本発明のモックアップ構造の気柱共鳴音を比較した結果を示したグラフである。
【0060】
図6を参照すると、本発明の気柱共鳴の低減効果を検証するために、まず、前記グルーブ部110に、前記ナーリング部120が適用されたモックアップ(Mock-up)を使用した。モックアップに発生する騒音を測定するために加振機であるキューソース(Q-source)と騒音測定用マイクを使用した。より具体的には、キューソース(Q-source)とモックアップの間の周波数応答関数を計測しており、一般的なタイヤスムーズなメイングルーブ形状と本発明の騒音低減型メイングルーブをモックアップで製作して、気柱共鳴の低減検証に活用した。
【0061】
図6は、その結果であり、従来例は、ナーリング部が形成されていないグルーブであり、実施形態(実施例)は、本発明による騒音低減型メイングルーブを有するタイヤの信号である。検証の結果として、気柱共鳴ピークが顕著に減少したことが分かり、900~1300Hzの帯域においてRMS基準の106.88dBから104.41dBに約2.47dBが低減された。
【0062】
図7は、従来例と本発明の実際の製品の気柱共鳴音を比較した結果を示したグラフである。
【0063】
図7を参照すると、騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ1000を製造し、無響室ダイナモからタイヤ単品で60km/hの走行速度時の騒音を測定した。その結果、図7に示すように、1kHzの帯域で0.6dBの低減効果を見せており、800Hz以上の全領域帯で騒音の低減効果を示した。したがって、気柱共鳴音の帯域だけでなく、騒音の全体値でも0.6dBの低減効果を示した。
【0064】
図8及び図9は、本発明の一実施形態によるナーリング部の形状による気柱共鳴音を示したグラフである。
【0065】
なお、図8及び図9を参照すると、タイヤのナーリング部120の数値限定のため突起部の高さ、幅、間隔の因子を変更していきながらモックアップ実験を行った。
【0066】
突起部の突出の高さは、グルーブ部110の底面からの突起(レリーフ構造)の高さを意味し、0.6、1.2mmの2つのレベルに変化させた。幅は突起の幅や長さを示し、0.6、1.2 mm2つのレベルに変化させた。間隔はグルーブの壁面の終端の間隔を意味し、間隔が狭い場合は、突起が稠密に配列されている形状である。間隔は10、30mmの2つのレベルに変化させた。
【0067】
実験は、従来の実験と同様に加振機であるキューソース(Q-source)とマイクロフォン(Microphone)と間の周波数応答関数を観察した。実験の結果として、図8に図示されたように、突起(レリーフ)の高さ0.6mm、厚さ1.2mm、間隔10mmのときに気柱共鳴音の帯域低減効果が最も大きかった。従来例は、ナーリング部の未適用のスムーズなグルーブ(グルーブなし)のモックアップであり、実施形態(実施例)は、該当する寸法を適用したナーリング部120を有する騒音低減型メイングルーブを用いたタイヤのモックアップである。図示されたように、900~1350Hzの帯域内のRMS基準で従来例に比べて、実施形態(実施例)は、約3.5dBの騒音が低減された。
【0068】
なお、図9を参照すると、ナーリング部120の突出の高さ、厚さ、間隔が最小限に適用された寸法である高さ0.6、厚さ0.6mm、間隔30mmの実施形態(実施例)は、従来例に比べて約1.3dBの騒音が低減された。
【0069】
このように、本発明のタイヤのグルーブ部110にナーリング部120を形成して気柱共鳴音のピークを減少させることで、車両の走行時にタイヤから発生する騒音を低減させることができる。
【0070】
そして、本発明によれば、気柱共鳴音のピークの減少のためにタイヤのグルーブ部110にナーリング部120を形成してもグルーブ部110の排水機能を低下させない可能性がある。
【0071】
前述した本発明の説明は、例としてのためのものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や本質的特徴を変更せず、他の具体的な形に容易に変形が可能であることを理解することができるだろう。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面で例としてのものであり、限定的ではないと理解しなければならない。例えば、単一型で説明されている各コンポーネントは、分散されて実施されることがあり、同様に分散されたものと説明されている構成要素も結合された形態で実施され得る。
【0072】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導き出されるすべての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1000:騒音低減型メイングルーブを有するタイヤ
100:第1の騒音低減型メイングルーブ
200:第2の騒音低減型メイングルーブ
300:第3の騒音低減型メイングルーブ
400:第4の騒音低減型メイングルーブ
110、210、310、410:グルーブ部
120、220、320、420:ナーリング部
121、221、321、421:第1の突起部
122、222、322、422:第2の突起部
123、223、323、423:第3の突起部

図1
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図9