IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】低温でのSiNの蒸着用Si前駆体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/318 20060101AFI20220815BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
H01L21/318 B
C23C16/34
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020206502
(22)【出願日】2020-12-14
(62)【分割の表示】P 2020087411の分割
【原出願日】2014-03-10
(65)【公開番号】P2021061414
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】13/830,084
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】ニスカネン アンッティ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】チェン シャン
(72)【発明者】
【氏名】ポレ ヴィリヤミ
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0256734(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0145177(US,A1)
【文献】特開2012-138641(JP,A)
【文献】特開平05-070957(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0028454(US,A1)
【文献】特開2012-216631(JP,A)
【文献】特開平01-103844(JP,A)
【文献】特開2011-023718(JP,A)
【文献】特表2008-511993(JP,A)
【文献】特表2005-534181(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0086516(US,A1)
【文献】特開2012-216873(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0181633(US,A1)
【文献】特開2011-181931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/318
C23C 16/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応空間内の基板上に窒化ケイ素薄膜を蒸着するための、プラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)方法であって、
前記基板を、式H2n+2-y-zSiによって示され、ここで、XがI又はBrであり、AがX以外のハロゲンであり、かつn=1、y=1及びz=0である、気相のケイ素反応物質と接触させる工程と、
前記基板を、窒素前駆体からプラズマにより生成される反応種と接触させる工程と、
を含み、
前記窒化ケイ素薄膜の0.5%HF水溶液中でのエッチング速度は、シリコン熱酸化膜の0.5%HF水溶液中でのエッチング速度の半分未満である、方法。
【請求項2】
前記接触させる工程は蒸着サイクルを含み、前記方法は2以上の蒸着サイクルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蒸着サイクルを、所望の厚さを有する前記窒化ケイ素薄膜が形成されるまで繰り返すことをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記蒸着サイクルが、
前記基板を前記ケイ素反応物質と接触させる工程の後に、過剰のケイ素反応物質と、もしあるならば反応副生成物と、を取り除く工程、及び
前記基板を前記反応種と接触させる工程の後に、過剰の反応種と、もしあるならば反応副生成物と、を取り除く工程
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記反応種が、水素、水素原子、水素プラズマ、水素ラジカル、N*ラジカル、NH*ラジカルまたはNH*ラジカルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記窒素前駆体が、N、およびN/Hの混合物からなる群から選択されるガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ケイ素反応物質がHSiIを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記窒化ケイ素薄膜の0.5%HF水溶液中でのエッチング速度が4nm/分未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記窒化ケイ素薄膜が、少なくとも80%のステップカバレッジおよびパターン負荷効果を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
反応空間内の基板上に窒化ケイ素薄膜を形成する、複数のサイクルを含むプラズマエンハンスト原子層堆積(PEALD)方法であって、
各サイクルは、前記基板に、気相のケイ素反応物質と、窒素を含む反応種とを交互にかつ逐次的に接触させる工程を含み、
前記気相のケイ素反応物質は、式H2n+2-y-zSiによって示され、ここで、XがI又はBrであり、AがX以外のハロゲンであり、かつn=1、y=1及びz=0であり、
前記窒化ケイ素薄膜の0.5%HF水溶液中でのエッチング速度は、シリコン熱酸化膜の0.5%HF水溶液中でのエッチング速度の半分未満である、方法。
【請求項11】
前記反応種が、窒素前駆体ガスからプラズマにより生成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記窒素前駆体ガスが、N、およびN/Hの混合物からなる群から選択されるガスを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記窒素前駆体ガスが、NガスおよびHガスを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記反応種が、前記基板の上方において直接生成される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記反応種が、遠隔プラズマ発生装置において形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記ケイ素反応物質がHSiIを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記窒化ケイ素薄膜がFinFETの形成の間に蒸着される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般的に半導体装置製造の分野に関し、より具体的には、窒化ケイ素フィルムの低温蒸着および窒化ケイ素フィルムの蒸着において使用するための前駆体に関する。
【背景技術】
【0002】
スペーサは、構造として、半導体製造において広く用いられ、連続の製造工程に対して保護する。例えば、ゲート電極のそばに形成される窒化物スペーサは、ドーピング段階またはインプラント段階の間、下のソース/ドレイン領域を保護するマスクとして用いられうる。
【0003】
半導体装置の物理的形状は収縮するので、ゲート電極のスペーサはどんどん小さくなる。そのスペーサの幅は、密集したゲート電極線上にならって蒸着され得る窒化物の厚さにより制限される。そのため、窒化物スペーサのエッチングプロセスは、蒸着された窒化物層の厚さに対し、高い割合のスペーサの幅を有するのが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最新のPEALD窒化ケイ素プロセスは、三次元構造(溝構造など)に蒸着されるとき、一般に異方性のエッチング挙動を受ける。換言すれば、溝もしくは羽根または別の三次元機構の側壁へ蒸着されたフィルムは、上記機構の最上部の領域におけるフィルムと比べて劣ったフィルム特性を示す。当該フィルムの性質は、溝の最上部、または構造化されたウェーハの平面領域を標的とした利用に十分であるかもしれないが、側壁または他の水平でないまたは垂直な表面においては十分でないかもしれない。
【0005】
図1Aおよび図1Bは、スペーサ利用において用いられうる窒化ケイ素フィルムの典型例を示す。フィルムは、本願に記載されるプロセス以外のPEALDプロセスを用いて400℃で蒸着された。図1Aは、三次元表面上に蒸着された後で、HFによってエッチングされる前のフィルムを示す。それゆえ、エッチングプロセスは、約60秒間HF(0.5%)中、ワークピースを浸漬することにより行われた。図1Bは、窒化ケイ素フィルムの垂直部位への範囲が、フィルムの水平部位超の範囲へのエッチングであることを示す。その膜厚は、ナノメートルで示されている。これらの構造は、一般的に、FinFETスペーサ利用における工程のようなさらなる工程を残存させないだろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの態様において、窒化ケイ素フィルムを形成する原子層堆積(ALD)方法が提供される。ALD方法は、プラズマにより増幅されたALD方法または熱的ALD方法であってよい。当該方法は、望ましい性質(良好なステップカバレッジおよびパターン負荷効果および望ましいエッチングの特徴を有する窒化ケイ素フィルムの蒸着を可能とする。いくつかの実施形態によれば、三次元構造上に蒸着されるとき、窒化ケイ素フィルムは、垂直部分および水平部分の両方に相対的に均一なエッチング速度を有する。そのような三次元構造は、例えば、これに限定されないが、FinFETまたは他のマルチゲート型のFETを包含してよい。いくつかの実施形態において、本発明の種々の窒化ケイ素フィルムは、希HF(0.5%)で約2~3nm/分の熱酸化除去速度の半分未満のエッチング速度を有する。
【0007】
いくつかの実施形態において、反応チャンバー中の基板上に窒化ケイ素フィルムを蒸着する方法は、基板表面上にケイ素前駆体を吸着させるために、気相ケイ素反応物質を反応空間に導入する工程、過剰のケイ素反応物質を除去する工程、吸着されたケイ素反応物質をプラズマにより窒素前駆体から発生した反応種と接触させる工程、および過剰の反応種および反応副生成物を除去する工程を含む。これらの段階は、所望の厚さの窒化ケイ素フィルムを得るために繰り返される。
【0008】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、本願明細書に記載される式(1)~(8)の前駆体を含む。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、HSiI、HSiI、HSiI、HSi、HSi、およびHSiIからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、HSiIである。反応種は、例えば、水素、水素原子、水素プラズマ、水素ラジカル、N*ラジカル、NH*ラジカルまたはNH*ラジカルを含んでよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、窒化ケイ素フィルムは三次元構造上に蒸着される。いくつかの実施形態において、窒化ケイ素フィルムは、少なくとも約80%のステップカバレッジおよびパターン負荷効果を示す。いくつかの実施形態において、上記三次元構造は、側壁および最上部領域を含み、その最上部領域のウェットエッチング速度(WER)に対する窒化ケイ素フィルムの側面のWERは、0.5%dHF中、約3未満である。いくつかの実施形態において、化ケイ素フィルムのエッチング速度は、0.5%のHF水溶液中、約0.4nm/分未満である。
【0010】
いくつかの実施形態において、窒化ケイ素フィルムの蒸着方法は、少なくとも1つの三次元機構を含む基板を反応空間に充填する工程、ケイ素前駆体が基板の表面に吸着されるように反応空間にケイ素前駆体を導入する工程、過剰のケイ素前駆体の反応空間をパージする工程、過剰の窒素前駆体の反応空間をパージする工程、反応空間に窒素前駆体を導入する工程および上記段階を繰り返して、所望の厚さのフィルムを製造する工程を含む。いくつかの実施形態において、フィルムは、三次元機構上の約50%超のステップカバレッジを有する。いくつかの実施形態において、窒化ケイ素フィルムのウェットエッチング速度は、5%のHF水溶液中で約5nm/分未満である。いくつかの実施形態において、三次元構造の上面における窒化ケイ素薄膜のエッチング速度に対する、三次元構造の側壁における窒化ケイ素薄膜のエッチング速度の割合は約4未満である。いくつかの実施形態において、ステップカバレッジは、少なくとも約80%または90%である。
【0011】
いくつかの実施形態において、基板上における窒化ケイ素フィルムの蒸着方法は、ケイ素前駆体が基板の表面に吸着されるように気相ケイ素前駆体に基板を曝す工程、その基板をパージガスおよび/または真空に曝して、基板表面から過剰の前駆体および反応副生成物を除去する工程、吸着されたケイ素前駆体を窒素プラズマにより発生した種と接触させる工程、上記基板をパージガスおよび/または真空に曝して、その基板表面およびその基板表面付近から窒素含有プラズマおよび反応副生成物の種を除去する工程、ならびに上記段階を繰り返して、所望の厚さのフィルムを製造する工程を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、基板上における窒化ケイ素フィルムの蒸着方法は、気相ケイ素反応物質が基板表面に吸着されるように、基板を気相のケイ素反応物質に曝す工程、基板をパージガスおよび/または真空に曝して、基板表面から過剰の前駆体および反応副生成物を除去する工程、吸着されたケイ素反応物質を窒素前駆体と接触させる工程、基板をパージガスおよび/または真空に曝して、基板表面および基板表面付近から過剰の窒素前駆体および反応副生成物を除去する工程、ならびに当該段階を繰り返して、所望の厚さのフィルムを製造する工程、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、ヨウ素または臭素を含む。いくつかの実施形態において、フィルムは約50%超のステップカバレッジを有する。いくつかの実施形態において、窒化ケイ素のエッチング速度は0.5%のHF水溶液中で約5nm/分未満である。いくつかの実施形態において、三次元構造の上面における窒化ケイ素薄膜のエッチング速度に対する三次元構造の側壁における窒化ケイ素のエッチング速度の割合が約4未満である。
【0014】
本発明は、本発明を説明するものであって、本発明を限定することを意図しない、好ましい実施形態および添付する図面から理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】窒化ケイ素フィルム上でのエッチングプロセスの結果を示す図である。
図1B】窒化ケイ素フィルム上でのエッチングプロセスの結果を示す図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態におけるALDプロセスによる窒化ケイ素フィルムの形成方法を一般的に示す図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態におけるPEALDプロセスによる窒化ケイ素薄膜の形成方法を示すフローチャートである。
図4】本発明のいくつかの実施形態における熱的ALDプロセスによる窒化ケイ素薄膜の形成方法を示すフローチャートである。
図5A】本発明のいくつかの実施形態の蒸着された種々の窒化ケイ素フィルムの電界放射型走査電子顕微鏡法(FESEM)イメージを示す図である。
図5B】本発明のいくつかの実施形態の蒸着された種々の窒化ケイ素フィルムの電界放射型走査電子顕微鏡法(FESEM)イメージを示す図である。
図5C】本発明のいくつかの実施形態の蒸着された種々の窒化ケイ素フィルムの電界放射型走査電子顕微鏡法(FESEM)イメージを示す図である。
図6A図6A~6Bの窒化ケイ素フィルムを2分間dHF dipに曝した後のFESEMイメージを示す図である。
図6B図6A~6Bの窒化ケイ素フィルムを2分間dHF dipに曝した後のFESEMイメージを示す図である。
図6C図6A~6Bの窒化ケイ素フィルムを2分間dHF dipに曝した後のFESEMイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
窒化ケイ素フィルムは、当業者に明らかであるように、平面理論におけるDRAM、およびNAND型フラッシュ装置のように、実に様々な用途がある。より具体的には、均一なエッチング挙動を示す共形窒化ケイ素薄膜は実に様々な用途を有し、半導体工業および半導体工業以外でも、実に様々な用途を有する。本発明のいくつかの実施形態によれば、種々の窒化ケイ素フィルムおよび前駆体ならびに原子層堆積(ALD)によるそれらのフィルムの蒸着方法が提供される。重要なことに、いくつかの実施形態において、窒化ケイ素フィルムは、三次元構造上に蒸着されるとき、垂直部分および水平部分の両方に相対的に均一なエッチング速度を有する。いくつかの実施形態において、そのような三次元構造は、例えば、これらに限定されないが、FinFETまたは他のマルチゲート型のFETを包含してよい。いくつかの実施形態において、本発明の種々の窒化ケイ素フィルムは、希HF(0.5%)を用いて、熱的酸化除去速度の半分未満の約2~3nm/分のエッチング速度を有する。
【0017】
窒化ケイ素を含む薄膜層は、プラズマにより増幅される原子層堆積(PEALD)型プロセスまたは熱的ALDプロセスにより蒸着され得る。いくつかの実施形態において、窒化ケイ素薄膜は、PEALDにより基板上に蒸着される。いくつかの実施形態において、窒化ケイ素薄膜は、熱的ALDプロセスにより基板上に蒸着される。窒化ケイ素薄膜は、三次元構造上に蒸着される。いくつかの実施形態において、窒化ケイ素薄膜は、三次元構造(finFET装置の形成における羽根など)上に蒸着される。
【0018】
上記の窒化ケイ素の化学式は、本願明細書において、便宜かつ簡素化のため、一般的に言及される。しかしながら、当業者は、フィルム中、水素または他の不純物を除いたSi:Nの割合を表す窒化ケイ素の実際の化学式は、いくつかSi-N結合が形成される限り、SiN式中、Xは約0.5~約2.0で変動する)と表される。ある場合には、Xは、約0.9~約1.7、約1.0~約1.5、または約1.2~約1.4で変動してよい。いくつかの実施形態において、Siは+IVの酸化状態であり、物質中の窒化物の量は変動してよい窒化ケイ素が形成される。
【0019】
ALD型のプロセスは、制御された、一般的に自己制御的な表面反応に基づく。気相反応は、典型的には、基板を交互にかつ逐次的に前記反応物質と接触させることにより、典型的には避けられる。気相反応物質は、例えば、反応物質パルス間の過剰の反応物質および/または反応物質の副生成物を除去することにより、反応チャンバー中互いに分離される。反応物質は、パージガスおよび/または真空を用いて基板表面に近接から除去されてよい。いくつかの実施形態において、過剰の反応物質および/または反応物質の副生成物は、例えば不活性ガスをパージすることにより反応空間から除去される。
【0020】
本願で開示される方法は、基板表面にSiN薄膜の蒸着を提供する。形状に困難な利用も、ALD型のプロセスの性質により可能である。いくつかの実施形態によれば、ALD型のプロセスは、集積回路ワークピースなどの基板、およびいくつかの実施形態において、基板上の三次元構造上にSiN薄膜を形成するために用いられる。
【0021】
図2は、一般的に、いくつかの実施形態の窒化ケイ素薄膜を蒸着するために使用することができる窒化ケイ素のALD蒸着サイクルを説明するフローチャートである。特定の実施形態において、窒化ケイ素薄膜は、多様な窒化ケイ素蒸着サイクルを含むALD型のプロセスにより基板上に形成され、各窒化ケイ素蒸着サイクル200は、
(1)ケイ素前駆体が、基板表面上に吸着されるように、基板をケイ素前駆体と接触させる工程210、
(2)基板を窒素前駆体と接触させる工程220、ならびに
(3)所望の厚さおよび組成物の薄膜を得るために、必要に応じて何回でも工程210および220を繰り返す工程、を含む。
【0022】
過剰の反応物質は、例えば、各接触工程の後に不活性ガスを反応空間からパージして、基板の近くから除去されてよい。以下の記載は、これらの段階のそれぞれをより詳細に説明する。
【0023】
(PEALDプロセス)
いくつかの実施形態において、プラズマ増幅ALD(PEALD)プロセスは、SiN膜を蒸着するために用いられる。要するに、基板またはワークピースは、反応チャンバーに配置され、交互の繰り返し表面反応を受ける。いくつかの実施形態において、SiN薄膜は、自己制御的なALDサイクルの繰り返しにより形成される。好ましくは、SiN膜を形成するため、各ALDサイクルは、少なくとも2つの異なる相を含む。反応空間からの反応物質の供給および反応空間からの反応物質の除去は、相を考えられてよい。第一相において、ケイ素を含む第一反応物質は、提供され、そして基板表面にわずかに約1つの単層を形成する。この反応物質は、本願明細書において、「ケイ素前駆体」、「ケイ素含有前駆体」、または「ケイ素反応物質」とも称され、例えばHSiIであってよい。
【0024】
第二相において、反応種を含む第二反応物質が提供され、吸収されたケイ素を窒化ケイ素に変換するかもしれない。いくつかの実施形態において、第二反応物質が窒素前駆体を含む。いくつかの実施形態において、反応種は、励起種を含む。いくつかの実施形態において、第二反応物質は、窒素含有プラズマを含む。いくつかの実施形態において、第二反応物質は、窒素ラジカル、窒素原子および/または窒素プラズマを含む。第二反応物質は、窒素前駆体ではない他の種を含んでよい。いくつかの実施形態において、第二反応物質は、1つの形態または別の形態に水素のプラズマ、水素のラジカルまたは原子水素を含むかもしれない。いくつかの実施形態において、第二反応物質は、希ガス(He、Ne、Ar、Kr、またはXe、好ましくはArまたはHe)など由来の種を、例えばラジカルとして、プラズマ形態で、または原子形態で含んでよい。希ガス由来のこれらの反応種は、蒸着フィルムに物質を必然的に寄与しないが、ある環境においてフィルム成長に寄与し、プラズマの形成および発火を補助しうる。いくつかの実施形態において、プラズマを形成するために用いられるガスは、蒸着プロセスの全体にわたって一定に流れるが、断続的に活性化されるだけであるかもしれない。いくつかの実施形態において、第二反応物質は、希ガス(Arなど)由来の種を含まない。したがって、いくつかの実施形態において、吸着されたケイ素前駆体は、Arのプラズマにより発生した反応種と接触しないようにされる。
【0025】
追加相は、追加されてよく、かつ相は要望通り除去され最終フィルムの組成物を調製する。
【0026】
1以上の反応物質は、キャリアガス(ArまたはHeなど)を用いて提供されてよい。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体および第二反応物質は、キャリアガスを用いて提供される。
【0027】
いくつかの実施形態において、2つの相は、重なっていてよくまたは結合していてよい。例えば、ケイ素前駆体および第二反応物質は、部分的にまたは完全に重なっているパルス中に同時に提供されてよい。加えて、第一および第二の相、および第一および第二の反応物質として言及されるが、上記相の順番は変更されてよく、ALDサイクルは上記相のいずれか1つで始まってよい。つまり、他に特段の記載がない限り、反応物質は、任意の順番で提供され得、プロセスは、任意の反応物質で始まってよい。
【0028】
以下により詳細に説明されるように、窒化ケイ素フィルムを蒸着するいくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの蒸着サイクルは、ケイ素前駆体の提供で始まり、第二前駆体が続く。他の実施形態において、蒸着は第二前駆体の提供で始まりケイ素前駆体が続いてよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、蒸着が望ましい基板(半導体ワークピースなど)は、反応機に入れられる。反応器は、集積回路の形成における様々な異なるプロセスが行われるクラスターツールの一部であってよい。いくつかの実施形態において、フロー型反応器が用いられる。いくつかの実施形態において、反応器のシャワーヘッド型が用いられる。くつかの実施形態において、空間分離型反応器が用いられる。いくつかの実施形態において、高容量の製造可能な枚葉式ALD反応器が用いられる。他の実施形態において、複数の基板を含むバッチ反応器が用いられる。バッチALD反応器が用いられる実施形態において、基板の数は、好ましくは10~200、より好ましくは50~150、最も好ましくは100~130である。
【0030】
ALDプロセスを増幅するために具体的に設計された例となる枚葉式反応器は、ASMアメリカ株式会社(フェニックス(Phoenix)、アリゾナ州)から、商品名プルサー(Pulsar)(登録商標)2000およびプルサー(登録商標)3000で、ASMジャパン株式会社(東京、日本)から商品名イーグル(Eagle)(登録商標)XP、XP8およびドラゴン(Dragon)(登録商標)で市販されている。ALDプロセスを増幅するために具体的に設計されている例となるバッチALD反応器は、ASMヨーロッパB.V(アルメレ、オランダ)から商品名A400(商標)およびA412(商標)で市販されている。
【0031】
いくつかの実施形態において、必要に応じて、ワークピースのむきだしの表面は、前処理され、ALDプロセスの第一相と反応する反応性部位を与える。いくつかの実施形態において、分離した前処理段階は必要ない。いくつかの実施形態において、基板は、前処理され、所望の表面終端を与える。いくつかの実施形態において、基板は、プラズマで前処理される。
【0032】
もしあるなら、過剰の反応物質および反応副生成物は、基板付近から、特に、反応物質パルス間の基板表面から除去される。いくつかの実施形態において、反応チャンバーは、例えば、不活性ガスをパージして反応物質パルスの間にパージされる。除去段階は、フィルムの性質および種々の特性の制御を可能とするので、各反応物質の流量および時間は、調節可能である。
【0033】
上記のように、いくつかの実施形態において、気体は、各蒸着サイクルの間またはALDプロセス全体の間連続的に反応チャンバーに供給され、反応種は気体中、反応チャンバーまたは反応チャンバーの上流のいずれかにプラズマを発生することにより供給される。いくつかの実施形態において、気体は、窒素を含む。いくつかの実施形態において、気体は、窒素である。他の実施形態において、気体は、ヘリウムまたはアルゴンを含んでよい。いくつかの実施形態において、気体は、ヘリウムまたは窒素である。気体は、第一反応物質および/または第二反応物質(または反応種)のパージガスとしての機能も果たしてよい。例えば、フローする窒素は第一ケイ素前駆体のパージガスとして機能を果たし、第二反応物質(反応種源)としての機能を果たしてもよい。いくつかの実施形態において、窒素、アルゴン、またはヘリウムは、第一前駆体およびケイ素前駆体を窒化ケイ素フィルムに変換するための励起種源用のパージガスとして機能してよい。いくつかの実施形態において、プラズマが中で発生する気体はアルゴンを含まず、吸着されたケイ素前駆体は、Ar由来のプラズマにより発生した反応種と接していない。
【0034】
上記サイクルは、所望の厚さおよび組成物のフィルムが得られるまで繰り返される。いくつかの実施形態において、蒸着パラメータ(流量、流下時間、パージ時間、および/または反応物質自体)は、所望の特徴を有するフィルムを得るためにALDプロセスの間の1つまたはそれより多くの蒸着サイクルにおいて変更されてよい。いくつかの実施形態において、水素および/または水素プラズマは、蒸着サイクルまたは蒸着プロセスにおいて提供されない。
【0035】
用語「パルス(pulse)」は、反応物質を所定時間反応チャンバーに反応物質を供給する工程を含むと理解されてよい。用語「パルス」は、パルスの長さまたは継続期間を制限せず、任意の長さの時間であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、ケイ素反応物質は、まず提供される。必要に応じてまたは所望に応じて、最初の表面終端の後、第一ケイ素反応物質パルスがワークピースに用いられる。供給される。いくつかの実施形態によれば、第一反応物質パルスは、注目するワークピース表面と反応性である、キャリアガスフローおよび揮発性のケイ素種(HSiIなど)を含む。したがって、ケイ素反応物質はこれらのワークピース表面上に吸着する。第一反応物質パルスは、第一反応物質パルスの過剰の成分がこのプロセスで形成された分子層とさらに反応しないように、ワークピース表面を自己充満(self-saturate)させる。
【0037】
第一ケイ素反応物質パルスは、好ましくは気体形態で用いられる。ケイ素前駆体気体は、反応種(species)が、反応種(species)をワークピースに十分な濃度で運び、さらされる表面を満たすプロセス条件下、十分な蒸気圧を示す場合、本発明の目的のための「揮発性」と考えられる。
【0038】
いくつかの実施形態において、ケイ素反応物質パルスは、約0.05秒~約5.0秒、約0.1秒~約3秒、約0.2秒~約1.0秒である。最適のパルス時間は、特定の環境に基づき当業者によって容易に決定され得る。
【0039】
いくつかの実施形態において、ケイ素反応物質消費速度は、所望の前駆体用量を反応空間に与えるために選択される。反応物質の消費は、反応物質源(反応物質源ボトルなど)から消費される反応物質の量を言及し、特定の回数の蒸着サイクルの前後の反応物質源の重量を測定し、そしてサイクルの数で重さの差を割ることにより決定され得る。いくつかの実施形態において、ケイ素反応物質の消費は、約0.1mg/サイクル超である。いくつかの実施形態において、ケイ素反応物質の消費は、約0.1mg/サイクル~約50mg/サイクル、約0.5mg/サイクル~約30mg/サイクルまたは約2mg/サイクル~約20mg/サイクルである。いくつかの実施形態において、最小の好ましいケイ素反応物質の消費は、反応器の寸法(反応器の加熱表面積)により少なくとも部分的に提供されてよい。300mmのシリコンウェーハに設計されているシャワーヘッド反応器におけるいくつかの実施形態において、ケイ素反応物質の消費は、約0.5mg/サイクル超または約2.0mg/サイクル超である。いくつかの実施形態において、ケイ素反応物質の消費は、300mmのシリコンウェーハのために設定されたシャワーヘッド反応器において、約5mg/サイクル超である。いくつかの実施形態において、ケイ素反応物質の消費は、300mmのシリコンウェーハ用に設定されたシャワーヘッド反応器において、約400℃以下の反応温度で、約1mg/サイクル超、好ましくは5mg/サイクル超である。
【0040】
分子層が基板表面上に吸着するのに十分な時間の後、過剰の第一ケイ素反応物質は反応空間から除去される。いくつかの実施形態において、過剰の第一反応物質は、第一化学物質のフローを停止することによりパージされ、十分な時間キャリアガスまたはパージガスをフローし続け、もしある場合、反応空間から過剰の反応物質および反応物質の副生成物を分散またはパージする。いくつかの実施形態において、過剰の第一前駆体は、不活性ガス(窒素またはアルゴン)を用いてパージされ、ALDサイクルの全体にわたって流れる。
【0041】
いくつかの実施形態において、第一反応物質は、約0.1秒~約10秒、約0.3秒~約5秒、約0.3秒~約1秒間パージされる。ケイ素反応物質の供給および除去は、ALDサイクルの第一相またはケイ素相であり得る。
【0042】
第二相において、反応種を含む第二反応物質(窒素プラズマなど)は、ワークピースに供給される。窒素(N)は、いくつかの実施形態において、各ALDサイクルの間に連続的に反応チャンバーに流される。窒素プラズマは、例えば遠隔プラズマ精製を通して窒素をフローすることにより、反応チャンバーまたは反応チャンバーの上流において窒素中にプラズマを発生することにより形成されてよい。
【0043】
いくつかの実施形態においてプラズマは、HガスおよびNガスを流して発生される。いくつかの実施形態において、HおよびNは、プラズマが発火され、または窒素原子および水素原子もしくは窒素ラジカルおよび水素ラジカルが形成される前に反応チャンバーに提供される。何らかの理論に結び付けられるわけではないが、水素は、リガンド除去段階において有効な効果を有するかもしれない(すなわち、残存するリガンドのいくつかを除去する)こと、またはフィルムの性質上に他の有益な効果を有するかもしれないと考えられている。いくつかの実施形態において、HおよびNは、反応チャンバーに連続的供給され、プラズマ、原子またはラジカルを含有する窒素および水素は、必要な時に生成され、または供給される。
【0044】
典型的には、例えば窒素プラズマを含む第二反応物質は、約0.1秒~約10秒間提供される。いくつかの実施形態において、第二反応物質(窒素プラズマなど)は、約0.1秒~約10秒、0.5秒~約5秒、0.5秒~約2.0秒間提供される。しかしながら、反応器の型に応じて、基板型およびその表面積、第二反応物質のパルス時間は、さらに約10秒より高いかもしれない。いくつかの実施形態において、パルス時間は、分の単位であり得る。最適のパルス時間は、特定の環境に基づいて、容易に当業者に測定され得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、第二反応物質は、2つ以上のパルスのいずれかの間に別の反応物質を導入することなく、2以上の異なるパルスに供給される。例えば、いくつかの実施形態において、窒素プラズマは、連続するパルスにおけるSi前駆体を導入することなく、2つ以上、好ましくは2つの連続するパルスにおいて提供される。いくつかの実施形態において、窒素プラズマを供給する間、2つ以上の連続するプラズマのパルスが第一の時間の間のプラズマ放電を提供することにより発生される間、第二の時間の間(例えば、約0.1秒~約10秒、約0.5秒~約5秒、約1.0秒~約4.0秒)プラズマ放電を消化し、別の前駆体を導入しまたは除去する工程の導入前(Si-前駆体またはパージ工程の前など)の第三の時間に再度それを活性化することにより発生される。プラズマの追加パルスは、同じ方向に導入され得る。いくつかの実施形態において、プラズマは、各パルスのそれぞれにおける等しい時間に点火される。
【0046】
窒素プラズマは、いくつかの実施形態において、約10W~約2000W、好ましくは約50W~約1000W、より好ましくは約100W~約500WのRF電圧をかけることにより発生されてよい。いくつかの実施形態において、RF電圧密度は、約0.02W/cm~約2.0W/cm、好ましくは約0.05W/cm~約1.5W/cmであってよい。RF電圧は、窒素プラズマパルス時間の間に流れる、反応チャンバーを通って連続的に流れるおよび/または遠隔プラズマ発生装置を通して流れる窒素にかけられてよい。したがって、いくつかの実施形態において、プラズマは、インシチュで発生され、他の実施形態において、プラズマは遠隔に発生される。いくつかの実施形態において、シャワーヘッド反応器が用いられ、プラズマはサセプタ(基板が配置された上部)およびシャワーヘッドプレートの間に発生される。いくつかの実施形態において、サセプタおよびシャワーヘッドプレートの間の間隔は、約0.1cm~約20cm、約0.5cm~約5cmcm、または約0.8cm~約3.0cmである。
【0047】
前もって吸着された分子層に窒素プラズマパルスを満たし、反応させるのに十分な時間の後、任意の過剰の反応物質および反応副生成物は反応空間から除去される。第一反応物質の除去と同様、この段階は反応種の生成を停止する工程および過剰の反応種および揮発性の反応副生成物が反応空間から拡散しおよびパージされるのに十分な期間、不活性ガス(窒素またはアルゴンなど)を流し続ける工程を含むかもしれない。他の実施形態において、分離したパージガスは用いられてよい。いくつかの実施形態において、パージは約0.1秒~約10秒、約0.1秒~約4秒、約0.1秒~約0.5秒であってよい。同時に、窒素プラズマの供給および除去は窒化ケイ素原子層堆積サイクルにおける第二反応種の相を表す。
【0048】
同時に、第2相は、所望の厚さの窒化ケイ素薄膜を繰り返し形成する1つのALDサイクルを表す。一方で、ALDサイクルは、本願明細書において、ケイ素相から始まると一般的に言及され、他の実施形態において、サイクルは反応種相から始まるかもしれないということが企図される。当業者は、第一前駆体相は、以前のサイクルにおける最後の相により残る末端と一般的に反応すると理解するだろう。したがって、反応種相が、第一ALDサイクルにおける第一相である場合、いずれの反応物質は、前もって基板表面に吸着されずまたは反応空間に存在しないが、その後のサイクルにおいて、反応種相は、有効にケイ素相に続くだろう。いくつかの実施形態において、1以上の異なるALDサイクルは、蒸着プロセスにおいて提供される。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、PEALD反応は、約25℃~約700℃、好ましくは約50℃~約600℃、より好ましくは約100℃~約450℃、最も好ましくは約200℃~約400℃で行われてよい。いくつかの実施形態において、最適の反応器の温度は、最大の許容される熱収支に限定されるかもしれない。それゆえ、いくつかの実施形態において、反応温度は、約300℃~約400℃である。いくつかの応用において、最大温度は、約400℃くらいであり、それゆえPEALDプロセスは、当該反応温度で進行する。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、行程中の反応チャンバーの圧力は、約0.01torr~約50torr、好ましくは約0.1torr~約10torrで維持される。
【0051】
(Si前駆体)
いくつかの好適なケイ素前駆体は、現在開示されているPEALDプロセスに用いられうる。少なくともいくつかの好適な前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0052】
【化1】
式中、n=1~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-z)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y)、XはIまたはBr、AはX以外のハロゲンであり、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、ケイ素前駆体は、1以上の環状化合物を含んでよい。いくつかの実施形態によれば、ケイ素前駆体は、1以上の環状化合物を含んでよい。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0054】
【化2】
式中、化学式(2)の化合物は環状化合物であり、n=3~10、y=1またはそれ以上(最大2n-z)、z=0またはそれ以上(最大2n-y)、XはIまたはBr、AはX以外のハロゲンであり、好ましくはn=3~6である。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、ケイ素前駆体は、1以上のヨードシランを含んでよい。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0056】
【化3】
式中、n=1~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-z)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y)、AはI以外のハロゲンであり、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、いくつかのケイ素前駆体は、1以上の環状ヨードシランを含んでよい。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0058】
【化4】
式中、化学式(4)の化合物は環状化合物であり、n=3~10、y=1またはそれ以上(最大2n-z)、z=0またはそれ以上(最大2n-y)、AはI以外のハロゲンであり、好ましくはn=3~6である。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、1以上のブロモシランを含んでよい。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0060】
【化5】
式中、n=1~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-z)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y)、AはBr以外のハロゲンであり、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、1以上の環状ブロモシランを含んでよい。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0062】
【化6】
式中、化学式(6)の化合物は環状化合物であり、n=3~10、y=1またはそれ以上(最大2n-z)、z=0またはそれ以上(最大2n-y)、AはBr以外のハロゲンであり、好ましくはn=3~6である。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、好ましいケイ素前駆体は、1以上のヨードシランを含む。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0064】
【化7】
式中、n=1~5、y=1またはそれ以上(最大2n+2)、好ましくはn=1~3、およびより好ましくはn=1~2である。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、好ましいケイ素前駆体は、1以上のブロモシランを含む。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0066】
【化8】
式中、n=1~5、y=1またはそれ以上(最大2n+2)、好ましくはn=1~3、およびより好ましくはn=1~2である。
【0067】
いくつかのPEALDプロセスの実施形態によれば、好適なケイ素前駆体は、一般式(1)~(8)のいずれか1つを有する少なくとも化合物を包含しうる。一般式(1)~(8)において、ハロゲン化物/ハロゲンは、ハロゲン化物/ハロゲンはF、Cl、BrおよびIを包含しうる。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、SiI、HSiI、HSiI、HSiI、Si、HSi、HSi、HSi、HSi、HSiI、またはSiを含む。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、HSiI、HSiI、HSiI、HSi、HSi、およびHSiIの1つを含む。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、HSiI、HSiI、HSiI、HSi、HSi、およびHSiI、およびこれらの組み合わせの2、3、4、5または6個を含む。
【0068】
ある実施形態において、Si前駆体はHSiIである。
【0069】
いくつかの実施形態において、以下の化学式(9)~(28)のSi前駆体は、PEALDプロセスに用いられうる。
【0070】
(N前駆体)
上で論じたように本発明のPEALDプロセスにおける第二反応物質は、反応種を含んでよい窒素前駆体を含んでよい。好適なプラズマ組成物は、1つの形態または別の形態において窒素プラズマ、窒素ラジカル、または原子窒素を包含する。1つの形態または別の形態において、水素プラズマ、水素ラジカル、または原子水素も提供される。いくつかの実施形態において、プラズマは、希ガス(He、Ne、Ar、KrおよびXe、好ましくはArまたはHe)をプラズマ形態で、ラジカルとして、または原子形態で含有されてもよい。いくつかの実施形態において、第二反応物質は希ガス(Arなど)由来のいずれの種も含まない。したがって、いくつかの実施形態において、プラズマは、希ガスを含む気体中で発生されない。
【0071】
したがって、いくつかの実施形態において、第二反応物質は、NおよびHの両方を有する化合物(NHおよびN、N/Hの混合物またはN-H結合を有する他の前駆体)から形成されるプラズマを含んでよい。いくつかの実施形態において、第二反応物質は、少なくとも一部は、Nから形成されるかもしれない。いくつかの実施形態において、第二反応物質は、少なくとも一部は、NおよびHから形成されてよく、NおよびHは約20:1~約1:20、好ましくは約10:1~約1:10、より好ましくは約5:1~約1:5、最も好ましくは約1:2~約4:1、ある場合には1:1の流量比(N/H)で供給される。
【0072】
第二反応物質は、いくつかの実施形態において、基板または反応空間から離れたプラズマ放電(「遠隔プラズマ」)を介して遠隔的に形成されるかもしれない。いくつかの実施形態において、第二反応物質は、基板の近くまたは基板おいて直接形成されるかもしれない(「直接プラズマ」)。
【0073】
図3は、一般的に、いくつかの実施形態の窒化ケイ素薄膜を蒸着するために使用することができる窒化ケイ素PEALD蒸着サイクルを一般的に説明するフローチャートである。特定の実施形態において、窒化ケイ素薄膜は多様な窒化ケイ素蒸着サイクルを含み、各窒化ケイ素蒸着サイクル300が以下を含むPEALD型のプロセスにより基板上に形成される:
(1)ケイ素化合物が基板表面上に吸着するように、基板を蒸発されたケイ素前駆体310と接触する工程、
(2)反応空間320に窒素前駆体を導入する工程、
(3)窒素前駆体330から反応種を生成する工程、および
(4)基板を反応種と接触させる工程340であって、これにより吸着されたケイ素化合物を窒化ケイ素に変換する工程。
【0074】
窒素は、形成される窒素プラズマと共に、適切な時間でサイクルの全体にわたって連続的に流され、吸着されたケイ素化合物を窒化ケイ素に変換してよい。
【0075】
上記のように、いくつかの実施形態において、基板はケイ素化合物および反応種と同時に接触されてよく、他の実施形態においてこれらの反応物質は、分けて提供される。
【0076】
接触させる工程は、所望の厚さの薄膜および組成物が得られるまで、繰り返される(350)。過剰の反応物質は、各接触工程(すなわち、工程310および340)の後反応空間からパージされるかもしれない。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、窒化ケイ素薄膜は、三次元機構を有する基板におけるPEALDプロセス(FinFETの利用など)を用いて蒸着される。PEALDプロセスは、以下の段階を含んでよい:
(1)三次元構造を含む基板は、反応空間に提供される工程、
(2)ケイ素含有前駆体(SiIなど)は、ケイ素含有前駆体が基板の表面に吸着される反応空間に導入される工程、
(3)過剰のケイ素含有前駆体および反応副生成物は、反応空間から除去される工程、
(4)窒素含有前駆体(N、NH、N、またはNおよびHなど)は反応空間に導入される工程、
(5)窒素前駆体から反応種を生成する工程、
(6)基板を反応種と接触させる工程、および
(7)過剰の窒素原子、プラズマ、またはラジカルおよび反応副生成物を除去する工程。
【0078】
段階(2)~(7)は、所望の厚さの窒化ケイ素フィルムが形成されるまで繰り返されてよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、段階(5)および(6)は、窒素原子、プラズマまたはラジカルが遠隔的に形成されおよび反応空間に提供される段階によって置換される。
【0080】
いくつかの実施形態において、PEALDプロセスは、約200℃~約400℃、約300℃~約400℃、または約400℃で行われる。
【0081】
(熱的ALDプロセス)
本発明で提供される方法は、熱的ALDプロセスにより、基板表面上への窒化ケイ素フィルムの蒸着も可能とする。三次元構造など幾何学的に困難な利用は、これらの熱的プロセスで可能でもある。いくつかの実施形態によれば、熱的原子層堆積(ALD)型プロセスは、集積回路ワークピースなどの基板上に窒化ケイ素フィルムを形成するために用いられる。
【0082】
基板またはワークピースは、反応チャンバー内に配置され、交互に繰り返して自己制御的な表面反応を受ける。好ましくは、窒化ケイ素フィルムを形成するために、各熱ALDサイクルは少なくとも二次元相を含む。上記提供および反応空間から反応物質の除去は相と考えられるかもしれない。第一相において、ケイ素を含む第一反応物質は、基板表面上に提供され、およびわずかに約1つの単層を形成する。この反応物質は、「ケイ素前駆体」または「ケイ素反応物質」として本願明細書に言及されてもよく、例えば、HSiIであってもよい。第二相において、窒素含有化合物を含む第二反応物質は、提供され、吸着されたケイ素前駆体と反応してSiNを形成する。この第二反応物質は、「窒素前駆体」または「窒素反応物質」として言及されてもよい。第二反応物質は、NHまたは別の好適な窒素含有化合物を含んでよい。追加相は追加されてよく、相は要望通り除去され、最終フィルムの組成物を調節してよい。
【0083】
1以上の反応物質は、キャリアガス(ArまたはHeなど)を用いて提供されてよい。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体および窒素前駆体は、キャリアガスを用いて提供される。
【0084】
いくつかの実施形態において、2つの相は重なりまたは結合されていてよい。例えば、ケイ素前駆体および窒素前駆体は、部分的にまたは完全に重なっているパルス中に同時に提供さてよい。加えて、第一および第二の相、および第一および第二の反応物質として言及されているが、相の順番および反応物質の提供の順番は変化してよく、ALDサイクルは相または反応物質のいずれか1つと共に始まってよい。つまり、他に特段の記載がない限り、反応物質は、任意の順番で提供され得、プロセスは、任意の反応物質を用いて始まるかもしれない。
【0085】
以下により詳細に説明されるように、窒化ケイ素フィルムを蒸着するいくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの蒸着サイクルは、典型的には窒素前駆体により続けられるケイ素前駆体の提供と共に始まる。いくつかの実施形態において、1つまたはそれより多くの蒸着サイクルは、窒素前駆体の提供で始まり、ケイ素前駆体が続く。
【0086】
再び、1以上の反応物質は、キャリアガス(ArまたはHeなど)を用いて提供されてよい。いくつかの実施形態において、窒素前駆体は、キャリアガスを用いて提供される。いくつかの実施形態において、第一相および第二相ならびに第一および第二の反応物質として言及されるが、当該相の順番、従って反応物質の提供の順番は変更されてよく、ALDサイクルは当該相のいずれか1つで始まってよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、蒸着が所望の基板の上にある基板(半導体ワークピースなど)は、反応器に充填される。反応器は、その中で集積回路の形成における様々な異なるプロセスが実施されるクラスターツールの部分であってよい。いくつかの実施形態において、フロー型反応器が用いられる。いくつかの実施形態において、反応器のシャワーヘッド型が用いられる。いくつかの実施形態において、空間分離型反応器が用いられる。いくつかの実施形態において、高容量の製造可能な枚葉式ALD反応器が用いられる。他の実施形態において、複数の基板を含むバッチ反応器が用いられる。バッチALD反応器が用いられる実施形態において、基板の数は、好ましくは10~200、より好ましくは50~150、最も好ましくは100~130である。他の実施形態において、複数の基板を含むバッチ反応器が用いられる。バッチALD反応器が用いられる実施形態において、基板の数は、好ましくは10~200、より好ましくは50~150、最も好ましくは100~130である。
【0088】
ALDプロセスを増幅するために具体的に設定された例となる枚葉式反応器は、ASMアメリカ株式会社(フェニックス、アリゾナ州)から、商品名プルサー(登録商標)2000およびプルサー(登録商標)3000で、ASMジャパン株式会社(東京、日本)から商品名イーグル(登録商標)XP、XP8およびドラゴン(登録商標)で市販されている。例となるバッチALD反応器は、ALDプロセスを増幅するために具体的に設計されている例となるバッチALD反応器は、ASMヨーロッパB.V(アルメレ、オランダ)から商品名A400(商標)およびA412(商標)で市販されている。例となるバッチALD反応器は、ALDプロセスを増幅するために具体的に設計され、ASMヨーロッパB.V(アルメレ、オランダ)から商品名A400(商標)およびA412(商標)で市販されている。
【0089】
いくつかの実施形態において、必要に応じて、ワークピースのむきだしの表面は、前処理され、ALDプロセスの第一相と反応する反応性部位を与える。いくつかの実施形態において、分離した前処理段階は必要ない。いくつかの実施形態において、基板は、前処理され、所望の表面終端を与える。
【0090】
いくつかの実施形態において、もしあるなら、過剰の反応物質および反応副生成物は、反応物質パルス間の基板表面などの前駆体付近から除去される。いくつかの実施形態において、過剰の反応物質および反応副生成物は、反応物質パルスの間に、例えば不活性ガスをパージすることで反応チャンバーから除去される。各反応物質の流量および時間は、調節可能であり、パージ段階は、フィルムの性質および特性の制御を可能とする。いくつかの実施形態において、過剰の反応物質および/または反応副生成物を除去する工程は、基板を移動することを含む。
【0091】
除去段階は、フィルムの性質および種々の特性を可能とするので、各反応物質の流量および時間は、調節可能である。
【0092】
上記のように、いくつかの実施形態において、気体は、各蒸着サイクルまたはALDプロセス全体の間連続的に反応チャンバーに提供される。他の実施形態において、気体は、窒素、ヘリウムまたはアルゴンであってよい。
【0093】
ALDサイクルは、所望の厚さのフィルムおよび組成物が得られるまで繰り返される。いくつかの実施形態において、蒸着パラメータ(流量、流下時間、パージ時間、および/または前駆体自体)は、所望の特徴を有するフィルムを得るためにALDプロセスの間の1つまたはそれより多くの蒸着サイクルにおいて変更されてよい。
【0094】
用語「パルス」は、事前に決定した時間の反応チャンバーに反応物質を供給する工程を含むと理解されてよい。用語「パルス」は、パルスの長さまたは継続期間を制限せず、任意の長さの時間であり得る。
【0095】
いくつかの実施形態において、ケイ素反応物質は、まず提供される。必要に応じてまたは所望に応じて、初期表面終端の後、第一ケイ素反応物質パルスがワークピースに用いられる。供給される。いくつかの実施形態によれば、第一反応物質パルスは、注目するワークピース表面と反応性である、キャリアガスフローおよび揮発性のケイ素種(HSiIなど)を含む。したがって、ケイ素反応物質はワークピース表面上に吸着する。第一反応物質パルスは、第一反応物質パルスの過剰の成分がさらにこのプロセスで形成された分子層と実質的に反応しないように、ワークピース表面を自己充満させる。
【0096】
第一ケイ素反応物質パルスは、好ましくは気体形態で供給される。ケイ素前駆体気体は、反応種(species)が、反応種(species)をワークピースに十分な濃度で運び、曝される表面を満たすプロセス条件下、十分な蒸気圧を示す場合、本発明の目的のための「揮発性」と考えられる。
【0097】
いくつかの実施形態において、ケイ素反応物質パルスは、約0.05秒~約5.0秒、約0.1秒~約3秒、約0.2秒~約1.0秒である。バッチプロセスにおいて、ケイ素前駆体パルスは、特定の環境により与えられる当業者により決定され得るのと実質的に同等の長さであり得る。
【0098】
分子層が基板表面上に吸着するのに十分な時間の後、過剰の第一前駆体は、その後反応空間から除去される。いくつかの実施形態において、過剰の第一前駆体は、第一前駆体の流れを停止することによりパージされ、キャリアガスまたはパージガスを十分な時間流し続け、もしあるなら、反応空間から過剰の反応物質および反応物質の副生成物を拡散またはパージする。
【0099】
いくつかの実施形態において、第一前駆体は、約0.1秒~約10秒、約0.3秒~約5秒、約0.3秒~約1秒の間パージされる。ケイ素前駆体の提供および除去は、ALDサイクルの第一またはケイ素相と考えられうる。バッチプロセスにおいて、第一前駆体のパージは、実質的に具体的な環境で与えられる当業者によって決定され得る。
【0100】
第二窒素前駆体は、反応空間に律動的に送り込まれ、基板表面に接触する。窒素前駆体はキャリアガスを用いて提供されてよい。窒素前駆体は、例えばNHまたはNであってよい。窒素前駆体パルスは好ましくは気体形態で供給される。窒素前駆体は、露出している表面を満たすのに十分な濃度でワークピースへ反応種(species)を輸送するプロセス条件まで反応種(species)が十分な蒸気圧を示す場合、本願の記載の目的のため、「揮発性」と考えられる。
【0101】
いくつかの実施形態において、窒素前駆体パルスは、約0.05秒~約5.0秒、0.1秒~約3.0秒または約0.2秒~約1.0秒である。バッチプロセスにおいて、窒素前駆体パルスは、特定の環境を与えられている当業者により測定されうるより実質的により長い。
【0102】
利用可能な結合部位で基板表面に吸着する分子層の十分な時間の後、第二窒素前駆体は、反応空間から除去される。いくつかの実施形態において、第二窒素前駆体の流れは止められ、十分な時間キャリアガスを流し続け、もしあるなら、反応空間から、好ましくはパージガスの約2つの反応チャンバーの体積より大きい反応空間から、さらにより好ましくは約3つの反応チャンバーの体積より大きい反応空間から過剰な反応物質および反応副生成物を拡散またはパージする。窒素前駆体の供給および除去はALDサイクルの第二または窒素相と考えられうる。
【0103】
いくつかの実施形態において、窒素前駆体は、約0.1秒~約10.0秒、約0.3秒~約5.0秒または約0.3秒~約1.0秒の間パージされる。バッチプロセスにおいて第一前駆体パージは、特定の環境を与えられる当業者により測定され得るより実質的に長くあり得る。
【0104】
窒素相の除去工程またはパージ工程と窒素前駆体パルスの流量および時間は窒化ケイ素フィルムにおける所望の組成物を達成するために調節可能である。基板表面への窒素前駆体の吸着は典型的には自己制御的であるので、限られた数の結合部位のせいで、パルスパラメータは窒素の単分子層未満が1以上のサイクルに吸着されるように調節され得る。
【0105】
2つの相は共に、1つのALDサイクルを表し、所望の厚さの窒化ケイ素薄膜を繰り返し形成する。ALDサイクルは、ケイ素相から始めると本願明細書で一般的に言及され、他の実施形態において、サイクルは窒素相で始まってよいということが企図される。当業者は、第一前駆体相が一般的に、事前サイクル中の最終層に残った末端と反応すると理解するだろう。いくつかの実施形態において、1以上の異なるALDサイクルは蒸着プロセスにおいて提供される。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ALD反応は、約25℃~約1000℃、好ましくは約100℃~約800℃、より好ましくは約200℃~約650℃、最も好ましくは、約300℃~約500℃の温度でも行われてよい。いくつかの実施形態において、最適の反応器の温度は、最大に許容される熱収支により限定されてよい。それゆえ、反応温度は約300℃~約400℃であり得る。ある利用において、最大温度は約400℃くらいであり、それゆえプロセスはその反応温度で進行する。
【0107】
(Si前駆体)
いくつかの好適なケイ素前駆体は、現在開示されている熱的プロセス(熱的ALDプロセスなど)に用いられてよい。いくつかの実施形態において、これらの前駆体は、所望の性質(所望のWER、WERR、パターン負荷効果または/およびステップカバレッジ、以下に記載されている機構のうちの少なくとも1つ)をフィルムが蒸着されるプラズマALDプロセスにおいて用いられてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、ヨウ素を含み、その前駆体を用いて蒸着されたフィルムは、少なくとも1つの所望の性質(例えば、所望のWER、WERR、パターン負荷効果または/およびステップカバレッジ、以下に記載されている機構のうちの少なくとも1つ)を有する。
【0109】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、臭素を含み、その前駆体を用いて蒸着されたフィルムは、少なくとも1つの所望の性質(例えば、所望のWER、WERR、パターン負荷効果または/およびステップカバレッジ、以下に記載されている機構のうちの少なくとも1つ)を有する。
【0110】
少なくともいくつかの好適な前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0111】
【化9】
式中、n=1~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y-w)、w=0またはそれ以上(最大2n+2-y-z)、XはIまたはBr、AはX以外のハロゲン、Rは有機リガンドであり、およびアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミンおよび不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。好ましくはRは、C~Cアルキルリガンド(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。
【0112】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、1以上の環状化合物を含む。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0113】
【化10】
式中、n=3~10、y=1またはそれ以上(最大2n-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n-y-w)、w=0またはそれ以上(最大2n-y-z)、XはIまたはBr、AはX以外のハロゲン、Rは有機リガンドであり、アルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミンおよび不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=3~6、好ましくはRは、C~Cアルキルリガンド(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。
【0114】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、1以上のヨードシランを含む。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0115】
【化11】
式中、n=1~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y-w)、w=0またはそれ以上(最大2n+2-y-z)、AはI以外のハロゲン、Rは有機リガンドであり、およびアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミンおよび不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。好ましくはRは、C~Cアルキルリガンド(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。
【0116】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、1以上の環状ヨードシランを含む。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0117】
【化12】
式中、n=3~10、y=1またはそれ以上(最大2n-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n-y-w)、w=0またはそれ以上(最大2n-y-z)、AはI以外のハロゲン、Rは有機リガンドであり、およびアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミンおよび不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=3~6である。好ましくはRは、C~Cアルキルリガンド(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。
【0118】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、1以上のブロモシランを含む。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0119】
【化13】
式中、n=1~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y-w)、w=0またはそれ以上(最大2n+2-y-z)、AはBr以外のハロゲン、Rは有機リガンドであり、およびアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミンおよび不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。好ましくはRは、C~Cアルキルリガンド(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。
【0120】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、1以上の環状ブロモシランを含む。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0121】
【化14】
式中、n=3~10、y=1またはそれ以上(最大2n-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n-y-w)、w=0またはそれ以上(最大2n-y-z)、AはBr以外のハロゲン、Rは有機リガンドであり、およびアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミンおよび不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=3~6である。好ましくはRは、C~Cアルキルリガンド(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピル)である。
【0122】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、ヨウ素または臭素が化合物中のケイ素に結合されていない1以上のヨードシランまたはブロモシランを含む。したがって、いくつかの好適な化合物は、ヨウ素/臭素置換アルキル基を含んでよい。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0123】
【化15】
式中、n=1~10、y=0またはそれ以上(最大2n+2-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y-w)、w=1またはそれ以上(最大n+2-y-z)、XはIまたはBr、AはX以外のハロゲン、RIIはIまたはBrを含有する有機リガンドであってIまたはBrで置換されたアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、アルキルアミンおよび不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。好ましくはRIIヨウ素置換C~Cアルキルリガンドである。
【0124】
いくつかの実施形態によれば、いくつかのケイ素前駆体は、1以上の環状ヨードシランまたはブロモシランを含む。したがって、いくつかの好適な環状化合物は、ヨウ素/臭素置換アルキル基を有してよい。そのような前駆体は、以下の一般式であってよい。
【0125】
【化16】
式中、n=3~10、y=0またはそれ以上(最大2n+2-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y-w)、w=1またはそれ以上(最大n+2-y-z)、XはIまたはBr、AはX以外のハロゲンであり、RIIはIまたはBrを含有する有機リガンドであり、IまたはBrで置換されるアルコキシド、アルキルシリル、アルキル、アルキルアミンおよび不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=3~6である。好ましくはRは、ヨウ素で置換されるC~Cアルキルリガンドである。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、いくつかの好適なケイ素前駆体は、以下の一般式のうちの少なくとも1つを有してよい。
【0127】
【化17】
式中、n=1~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y-w)、w=1またはそれ以上(最大n+2-y-z)、XはIまたはBr、AはX以外のハロゲン、Nは窒素、RおよびRは独立に水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリルおよび不飽和炭化水素からなる群から選択され、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。好ましくは、RおよびRは水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびn-ブチルなど)である。より好ましくは、RおよびRは、水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。(NRリガンドは、それぞれ、互いに独立に選択され得る。
【0128】
【化18】
式中、y=1またはそれ以上(最大3-z-w)、z=0またはそれ以上(最大3-y-w)、w=1またはそれ以上(最大3-y-z)、XはIまたはB、AはX以外のハロゲン、Nは窒素、RおよびRは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル、および不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されうる。好ましくは、RおよびRは水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびn-ブチルなど)である。より好ましくは、RおよびRは、水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。(NRリガンドのそれぞれは互いから独立に選択され得る。3つのH3-y-z-w(NRSiリガンドは互いから独立に選択され得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、いくつかの好適な前駆体は、以下のより具体的な化学式のうちの少なくとも1つを有してよい。
【0130】
【化19】
式中、n=1~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-w)、w=1またはそれ以上(最大2n+2-y)、Nは窒素、ならびにRおよびRは、独立に水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル、および不飽和炭化水素からなる群から選択され、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。好ましくは、RおよびRは水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびn-ブチルなど)である。より好ましくは、RおよびRは、水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。(NRリガンドのそれぞれは互いから独立に選択され得る。
【0131】
【化20】
式中、y=1またはそれ以上(最大3-w)、w=1またはそれ以上(最大3-y)、Nは窒素であり、およびRおよびRは水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル、および不飽和炭化水素からなる群から独立に選択されうる。好ましくは、RおよびRは水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびn-ブチルなど)であり、より好ましくは、RおよびRは、水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。3つのH3-y-w(NRSiリガンドはのそれぞれは、互いに独立に選択され得る。
【0132】
いくつかの実施形態によれば、いくつかの好適なケイ素前駆体は、以下の一般式のうちの少なくとも1つを有してよい。
【0133】
【化21】
式中、n=1~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y-w)、w=1またはそれ以上(最大n+2-y-z)、XはIまたはBr、AはX以外のハロゲン、Nは窒素であり、Rは独立に水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル、および不飽和炭化水素からなる群から選択され、およびRは、独立にアルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリルおよび不飽和炭化水素からなる群から選択され、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2であり得る。好ましくはRは、水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびn-ブチルなど)である。より好ましくは、Rは水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルなど)である。好ましくはRは、C~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびn-ブチルである。(NRリガンドのそれぞれは互いから独立に選択され得る。
【0134】
【化22】
式中、y=1またはそれ以上(最大3-z-w)、z=0またはそれ以上(最大3-y-w)、w=1またはそれ以上(最大3-y-z)、XはIまたはBr、AはX以外のハロゲン、Nは窒素、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル、および不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、Rは、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル、および不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。好ましくはRは、水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびn-ブチルなど)である。より好ましくは、Rは水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルなど)である。好ましくはRは、C~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびn-ブチルである。より好ましくはRはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルなど)である。(NRリガンドのそれぞれは互いから独立に選択され得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、いくつかの好適な前駆体は、以下のより具体的な化学式のうちの少なくとも1つを有してよい。
【0136】
【化23】
式中、n=1~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-w)、w=1またはそれ以上(最大2n+2-y)、Nは窒素であり、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル、および不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、Rは、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル、および不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。好ましくはRは、水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびn-ブチルなど)である。より好ましくは、Rは水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルなど)である。好ましくはRは、C~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびn-ブチルなど)である。より好ましくは、Rは、C~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルなど)である。(NRリガンドのそれぞれは互いから独立に選択され得る。
【0137】
【化24】
式中、y=1またはそれ以上(最大3-w)、w=1またはそれ以上(最大3-y)、Nは窒素であり、Rは、水素、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル、および不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、Rは、アルキル、置換アルキル、シリル、アルキルシリル、および不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=1~5、より好ましくはn=1~3、最も好ましくは1~2である。好ましくはRは、水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびn-ブチルなど)である。より好ましくは、Rは水素またはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルなど)である。好ましくはRは、C~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびn-ブチルである。より好ましくはRはC~Cアルキル基(メチル、エチル、n-プロピル、またはイソプロピルなど)である。(NRリガンドのそれぞれは互いから独立に選択され得る。
【0138】
熱的ALDプロセスのいくつかの実施形態によれば、好適なケイ素前駆体は、熱的ALDプロセスのいくつかの実施形態によれば、一般式(9)~(24)のいずれか1つを有する化合物を少なくとも包含しうる。一般式(9)~(18)ならびに一般式(21)および(22)において、ハロゲン化物/ハロゲンはF、Cl、BrおよびIを包含しうる。
【0139】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、以下を1以上含む:SiI、HSiI、HSiI、HSiI、Si、HSi、HSi、HSi、HSi、HSiI、Si、HSi、HSi、HSi、HSi、HSiI、MeSiI、MeSiI、MeSiI、MeSi、MeSi、MeSi、MeSi、MeSiI、HMeSiI、HMeSiI、HMeSi、HMeSi、HMeSi、HMeSiI、HMeSiI、HMeSi、HMeSi、HMeSiI、HMeSi、HMeSiI、HMeSiI、EtSiI、EtSiI、EtSiI、EtSi、EtSi、EtSi、EtSi、EtSiI、HEtSiI、HEtSiI、HEtSi、HEtSi、HEtSi、HEtSiI、HEtSiI、HEtSi、HEtSi、HEtSiI、HEtSi、HEtSiI、およびHEtSiI。
【0140】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、以下を1以上含む:EtMeSiI2、EtMeSiI、EtMeSiI、EtMeSi、EtMeSi、EtMeSi、EtMeSi、EtMeSi、EtMeSi、EtMeSiI、EtMeSiI、EtMeSiI、EtMeSiI、HEtMeSiI、HEtMeSi、HEtMeSi、HEtMeSi、HEtMeSiI、HEtMeSiI、HEtMeSiI、HEtMeSi、HEtMeSiI、HEtMeSiI、HEtMeSiI。
【0141】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、以下を1以上含む:HSiI、HSiI、HSiI、HSi、HSi、HSiI、MeSiI、MeSiI、MeSiI、MeSi、MeSi、HMeSiI、HMeSi、EtSiI、EtSiI、EtSiI、EtSi、EtSi、およびHEtSiI。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、HSiI、HSiI、HSiI、HSi、HSi、HSiI、MeSiI、MeSiI、MeSiI、MeSi、MeSi、HMeSiI、HMeSi、EtSiI、EtSiI、EtSiI、EtSi、EtSi、およびHEtSiIならびに任意のこれらの組み合わせから選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19またはそれ以上の化合物を含む。ある実施形態において、ケイ素前駆体は、HSiIである。
【0142】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、ケイ素に結合した3つのヨウ素および1つのアミンリガンドまたはアルキルアミンリガンドを含む。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、以下を1以上含む:(SiI)NH、(SiI)NHMe、(SiI)NHEt、(SiI)NHPr、(SiI)NHBu、(SiI)NMe、(SiI)NMeEt、(SiI)NMePr、(SiI)NMeBu、(SiI)NEt、(SiI)NEtPr、(SiI)NEtBu、(SiI)NPr、(SiI)NPrBu、および(SiI)NBu。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、以下を1以上含む:(SiI)NH、(SiI)NHMe、(SiI)NHEt、(SiI)NHPr、(SiI)NHBu、(SiI)NMe、(SiI)NMeEt、(SiI)NMePr、(SiI)NMeBu、(SiI)NEt、(SiI)NEtPr、(SiI)NEtBu、(SiI)NPr、(SiI)NPrBu、および(SiI)NBu。 いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、(SiI)NH、(SiI)NHMe、(SiI)NHEt、(SiI)NHPr、(SiI)NHBu、(SiI)NMe、(SiI)NMeEt、(SiI)NMePr、(SiI)NMeBu、(SiI)NEt、(SiI)NEtPr、(SiI)NEtBu、(SiI)NPr、(SiI)NPrBu、(SiI)NBu、およびこれらの組み合わせから選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれ以上の化合物を含む。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、ケイ素に結合した2つのヨウ素および2つのアミンリガンドまたはアルキルアミンリガンドを含む。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、以下を1以上含む:(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NHPr)、(SiI)(NHtBu)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)、(SiI)(NMePr)、(SiI)(NMeBu)、(SiI)(NEt、(SiI)(NEtPr)、(SiI)(NEtBu)、(SiI)(NPr、(SiI)(NPrBu)、および(SiI)(NBu)。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NHPr)、(SiI)(NHBu)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)、(SiI)(NMePr)、(SiI2)(NMeBu)、(SiI)(NEt、(SiI)(NEtPr)、(SiI)(NEtBu)、(SiI)(NPr、(SiI)(NPrBu)、(SiI)(NBu)、およびこれらの組み合わせから選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれ以上の化合物を含む。
【0143】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、ケイ素に結合した2つのヨウ素、1つの水素および1つのアミンリガンドまたはアルキルアミンリガンドを含む。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、以下を1以上含む:(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NHPr、(SiIH)NHBu、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NMePr、(SiIH)NMeBu、(SiIH)NEt、(SiIH)NEtPr、(SiIH)NEtBu、(SiIH)NPr、(SiIH)NPrBu、および(SiIH)NBu。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NHPr、(SiIH)NHBu、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NMePr、(SiIH)NMeBu、(SiIH)NEt、(SiIH)NEtPr、(SiIH)NEtBu、(SiIH)NPr、(SiIH)NPrBu、(SiIH)NBu、およびこれらの組み合わせから選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれ以上の化合物を含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、ケイ素に結合した1つのヨウ素、1つの水素および2つのアミンリガンドまたはアルキルアミンリガンドを含む。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、以下を1以上含む:(SiIH)(NH、(SiIH)(NHMe)、(SiIH)(NHEt)、(SiIH)(NHPr)、(SiIH)(NHBu)、(SiIH)(NMe、(SiIH)(NMeEt)、(SiIH)(NMePr)、(SiIH)(NMeBu)、(SiIH)(NEt、(SiIH)(NEtPr)、(SiIH)(NEtBu)、(SiIH)(NPr、(SiIH)(NPrBu)、および(SiIH)(NBu)。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、(SiIH)(NH、(SiIH)(NHMe)、(SiIH)(NHEt)、(SiIH)(NHPr)、(SiIH)(NHBu)、(SiIH)(NMe、(SiIH)(NMeEt)、(SiIH)(NMePr)、(SiIH)(NMeBu)、(SiIH)(NEt、(SiIH)(NEtPr)、(SiIH)(NEtBu)、(SiIH)(NPr、(SiIH)(NPrBu)、および(SiIH)(NBu)、およびこれらの組み合わせから選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれ以上の化合物を含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、ケイ素に結合した1つのヨウ素、2つの水素および1つのアミンリガンドまたはアルキルアミンリガンドを含む。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、以下を1以上含む:(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NHPr、(SiIH)NHBu、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NMePr、(SiIH)NMeBu、(SiIH)NEt、(SiIH)NEtPr、(SiIH)NEtBu、(SiIH)NPr、(SiIH)NPrBu、および(SiIH)NBu。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NHPr、(SiIH)NHBu、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NMeiPr、(SiIH)NMeBu、(SiIH)NEt、(SiIH)NEtPr、(SiIH)NEtBu、(SiIH)NPr、(SiIH)NPrBu、(SiIH)NBu、およびこれらの組み合わせから選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれ以上の化合物を含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、ケイ素に結合した1つのヨウ素、3つのアミンリガンドまたはアルキルアミンリガンドを含む。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、以下を1以上含む:(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NHPr)、(SiI)(NHBu)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)、(SiI)(NMePr)、(SiI)(NMeBu)、(SiI)(NEt、(SiI)(NEtPr)、(SiI)(NEtBu)、(SiI)(NPr、(SiI)(NPrBu)、および(SiI)(NBu)。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NHPr)、(SiI)(NHBu)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)、(SiI)(NMePr)、(SiI)(NMeBu)、(SiI)(NEt、(SiI)(NEtPr)、(SiI)(NEtBu)、(SiI)(NPr、(SiI)(NPrBu)、(SiI)(NBu)、およびこれらの組み合わせから選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれ以上の化合物を含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、ケイ素に結合した2つのヨウ素、水素および1つのアミンリガンドまたはアルキルアミンリガンドまたは2つのヨウ素および2つのアルキルアミンリガンドを含み、ここで、アミンまたはアルキルアミンリガンドは、アミンNH-、メチルアミンMeNH-、ジメチルアミンMeN-、エチルメチルアミンEtMeN-、エチルアミンEtNH-、およびジエチルアミンEtN-から選択される。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、以下を1以上含む:(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NEt、(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)、および(SiI)(NEt。いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、(SiIH)NH、(SiIH)NHMe、(SiIH)NHEt、(SiIH)NMe、(SiIH)NMeEt、(SiIH)NEt、(SiI)(NH、(SiI)(NHMe)、(SiI)(NHEt)、(SiI)(NMe、(SiI)(NMeEt)、(SiI)(NEt、およびこれらの組み合わせから選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上の化合物を含む。
【0148】
(IまたはBrを含有する他のSi前駆体型)
窒素を含有するいくつかの好適なケイ素前駆体(ヨウ素または臭素置換シラザンなど)または硫黄を含有するいくつかの好適なケイ素前駆体は、現在開示されている熱的かつプラズマALDプロセスにおいて用いられてよい。いくつかの実施形態において、窒素を含有するケイ素前駆体(ヨウ素または臭素置換シラザンなど)は、所望の性質(例えば、所望のWER、WERR、パターン負荷効果または/および以下に記載されている機構のステップカバレッジのうちの少なくとも1つ)を有するフィルムが蒸着されている現在開示されている熱的かつプラズマALDプロセスにおいて用いられてよい。
【0149】
少なくともいくつかの好適なヨウ素または臭素置換ケイ素前駆体は、以下の一般式を有してよい。
【0150】
【化25】
式中、n=2~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y-w)、w=0またはそれ以上(最大2n+2-y-z)、XはIまたはBr、EはNまたはS、好ましくはN、AはX以外のハロゲン、Rは有機リガンドであり、アルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミンおよび不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=2~5およびより好ましくはn=2~3、最も好ましくは、1~2である。好ましくはRは、C~Cアルキルリガンド(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。
【0151】
少なくともいくつかの好適なヨウ素または臭素置換シラザン前駆体は、以下の一般式を有してよい。
【0152】
【化26】
式中、n=2~10、y=1またはそれ以上(最大2n+2-z-w)、z=0またはそれ以上(最大2n+2-y-w)、w=0またはそれ以上(最大2n+2-y-z)、XはIまたはBr、AはX以外のハロゲン、Rは有機リガンドであり、アルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミンおよび不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され、好ましくはn=2~5およびより好ましくはn=2~3、最も好ましくは、2である。好ましくはRは、C~Cアルキルリガンド(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。
【0153】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、IまたはBrを含むSi化合物(複素環式Si化合物など)を含む。そのような環状前駆体は、以下の下部構造を含んでいてよい。
【0154】
【化27】
式中EはNまたはS、好ましくはNである。
【0155】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、式(27)に係る下部構造を含み、この種の化合物の例は、例えば、ヨウ素または臭素置換シクロシラザン(ヨウ素または臭素置換シクロトリシラザンなど)である。
【0156】
いくつかの実施形態において、ケイ素前駆体は、IまたはBrを含むSi化合物(シリルアミンベースの化合物)を含む。そのようなシリルアミンベースのSi前駆体は以下の一般式であってよい。
【0157】
【化28】
式中、y=1またはそれ以上(最大3-z-w)、z=0またはそれ以上(最大3-y-w)、w=0またはそれ以上(最大3-y-z)、XはIまたはBr、AはX以外のハロゲン、Rは有機リガンドであり、アルコキシド、アルキルシリル、アルキル、置換アルキル、アルキルアミンおよび不飽和炭化水素からなる群から独立に選択され得る。好ましくはRは、C~Cアルキルリガンド(メチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルなど)である。3つのH3-y-z-wSiリガンドのそれぞれは、独立に、互いにから選択され得る。
【0158】
(N前駆体)
いくつかの実施形態によれば、熱的ALDプロセスにおける第二反応物質または窒素前駆体はNH、N、またはNH、N、またはN-H結合を有する他の好適な窒素化合物の数であってよい。
【0159】
図4は、一般的に、いくつかの実施形態の窒化ケイ素薄膜を蒸着するために使用することができる、一般的に窒化ケイ素熱的ALD蒸着サイクルを説明するフローチャートである。特定の実施形態において、窒化ケイ素薄膜は、多様な窒化ケイ素蒸着サイクルを含むALD型のプロセスにより基板上に形成され、各窒化ケイ素蒸着サイクル400は以下を含む:
(1)ケイ素化合物が基板表面上に吸着するように蒸発されたケイ素前駆体410を基板に接触させる工程、
(2)過剰のケイ素反応物質および任意の副生成物420を除去する工程、
(3)基板を窒素前駆体430と接触させる工程、ならびに
(4)過剰の窒素前駆体および反応副生成物440を除去する工程。
【0160】
接触工程は、所望の厚さの薄膜および組成物が得られるまで450回繰り返される。上記のように、いくつかの実施形態において、基板は、ケイ素化合物および窒素前駆体と同時に接触されてよく、他の実施形態においてこれらの反応物質は分離して提供されてよい。
【0161】
いくつかの実施形態によれば、窒化ケイ素薄膜は、三次元機構を有する基板上に熱的ALDプロセスを用いて蒸着される(FinFETの利用など)。プロセスは、以下の順序で行われることを必須としないが、以下の段階を含んでよい:
(1)反応空間に充填される基板、
(2)ケイ素含有前駆体(HSiIなど)は、ケイ素含有前駆体が基板の表面に吸着されるように反応空間に導入される、
(3)過剰のケイ素含有前駆体および反応副生成物を除去する工程はパージする工程などにより除去される、
(4)窒素含有前駆体(NHまたはNなど)は反応空間に導入され、基板上でケイ素含有前駆体と反応する、
(5)パージするなどにより、過剰の窒素含有前駆体および反応副生成物を除去する工程、および
(6)段階(2)~(5)が、所望の厚さの窒化ケイ素フィルムが形成されるまで繰り返されてよい。
【0162】
いくつかの実施形態において、ALDプロセスは、約100℃~約800℃、約200℃~約600℃または約300℃~約500℃の温度で行われる。ある利用において、反応温度は約400℃である。
【0163】
(SiFフィルムの特徴)
本願明細書で論じられる実施形態のいくつかにより蒸着される窒化ケイ素薄膜(ケイ素前駆体が臭素またはヨウ素を含有しているかどうかに関わりなく)は、約3at-%未満、好ましくは約1at-%未満、より好ましくは約0.5at-%未満、最も好ましくは、約0.1at-%未満の不純物レベルまたは濃度を達成するかもしれない。ある薄膜において、水素を除く全不純物レベルは約5at-%未満、好ましくは約2at-%未満、より好ましくは約1at-%未満、最も好ましくは、約0.2at-%未満であってよい。そして、ある薄膜において、水素レベルは約30at-%未満、好ましくは約20at-%未満、より好ましくは約15at-%未満、最も好ましくは、約10at-%未満であってよい。
【0164】
いくつかの実施形態において蒸着されたSiN膜は、適当な量の炭素を含まない。しかしながら、いくつかの実施形態において、炭素を含むSiNフィルムは蒸着される。例えば、いくつかの実施形態において、ALD反応は炭素を含むケイ素前駆体を用いて実施され、炭素を含む薄い窒化ケイ素フィルムが蒸着される。いくつかの実施形態において、炭素を含むSiNフィルムは、アルキル基を含む前駆体または他の炭素含有リガンドを用いて蒸着される。いくつかの実施形態において、式(9)~(28)の1つのケイ素前駆体およびアルキル基を含むケイ素前駆体は、上記のとおり、PEALDまたは熱的ALDプロセスに用いられ、炭素を含むSiNフィルムを蒸着する。異なるアルキル基または他の炭素含有リガンドは、異なる反応機構のせいでフィルムに異なる炭素濃度を製造するかもしれない。したがって、異なる前駆体は、蒸着されたSiN膜において異なる炭素濃度を製造するために選択され得る。いくつかの実施形態において、炭素を含む薄いSiNフィルムは、例えば低kスペーサとして用いられてよい。いくつかの実施形態において、薄膜はアルゴンを含まない。
【0165】
図5A~5Bは、本発明の蒸着された種々の窒化ケイ素薄膜のFESEMイメージを示す。フィルムは蒸着された後、2分間HFディップされた。図6A~6Cは、dHF ドリッププロセスの後同じ窒化ケイ素フィルムを示す。均一なエッチングが見られうる。
【0166】
いくつかの実施形態によれば、窒化ケイ素薄膜は、約50%超、好ましくは約80%超、より好ましくは約90%超、最も好ましくは、約95%超のステップカバレッジおよびパターン負荷効果を示すかもしれない。ある場合には、ステップカバレッジおよびパターン負荷効果は、約98%超およびある場合において約100%であり得る(測定手段または方法の精度の範囲内で)。これらの値はアスペクト比2超、好ましくはアスペクト比3超、より好ましくはアスペクト比5超、最も好ましくは、アスペクト比8超で成し遂げることができる。
【0167】
本願明細書で使用する場合、「パターン負荷効果」は、当該分野における普通の意味に従って用いられる。パターン負荷効果は、構造が現在する基板領域におけるフィルム厚さのばらつきを言及するために本願明細書で使用されるとき、他に用語パターン負荷効果を示さない限り、不純物成分、密度、電気特性およびエッチング速度に関して示されるかもしれない。したがって、パターン負荷効果は、広い分野に直面する三次元構造/三次元機構の膜厚に対して三次元構造内部の特徴の側壁または底における膜厚として与えられうる。本願明細書で使用する場合、100%のパターン負荷効果(または1の割合)は、機構に関わらず、基板の全体にわたるほぼ完全に均一なフィルムの性質を表す(すなわち、換言すれば、パターン負荷効果(特徴部対広い分野における特定のフィルムの性質(厚さなど)における変化)はないことを示すだろう)。
【0168】
いくつかの実施形態において、窒化ケイ素フィルムは、約3nm~約50nm、好ましくは約5nm~約30nm、より好ましくは約5nm~約20nmの厚さに蒸着される。これらの厚さは、約100nm未満、好ましくは約50nm未満、より好ましくは約30nm未満、最も好ましくは約20nm未満、およびある場合には約15nm未満の形状寸法(幅)において成し遂げることができる。いくつかの実施形態によれば、SiNフィルムは、三次元構造上に蒸着され、側壁の厚さは10nm超わずかに均等であってよい。
【0169】
いくつかの実施形態によれば、種々のウェットエッチング速度(WER)を有する窒化ケイ素フィルムは蒸着されてよい。0.5%dHF(nm/分)における包括的なWERを用いるとき、窒化ケイ素フィルムは、約5未満、好ましくは約4未満、より好ましくは約2未満、最も好ましくは、約1未満のWER値を有してよい。いくつかの実施形態において、WER値は約0.3未満であり得る。
【0170】
熱酸化物のWERに対する0.5%dHF(nm/分)における包括的なWERは、約3未満、好ましくは約2未満、より好ましくは約1未満、最も好ましくは、約0.5未満であってよい。
【0171】
そして、いくつかの実施形態において、最上部領域のWERに対する三次元機構の側壁WER(三次元機構(羽根または溝など))は、約4未満、好ましくは約3未満、より好ましくは約2未満、最も好ましくは約1であってよい。
【0172】
本発明の窒化ケイ素薄膜の使用において、改善されたフィルムの性質およびエッチング特性に起因して、最上部および側壁の厚さの差異はある用途において重大でないかもしれないということが見いだされた。それにもかかわらず、いくつかの実施形態において、側壁に沿った厚さの勾配は、連続する利用またはプロセスに極めて重要であるかもしれない。
【0173】
いくつかの実施形態において、本発明の窒化ケイ素フィルムのエッチングする量は、0.5%HF-dipプロセスにおいて熱SiO(TOX)で観測されるエッチングの約1倍または2倍未満の量であってよい(例えば、約2~約3nmのTOXが除去されるプロセスにおいて、1倍または2倍未満のSiNは、本願明細書に開示される方法に応じて蒸着されるときに改善される)。好ましい窒化ケイ素フィルムのWERは先行技術の熱酸化物フィルムのWER未満であってよい。
【0174】
(SiN膜の使用における具体的な事情)
本願明細書に記載される方法および物質は向上した性質を有するフィルムを提供し得、改善されたエッチング特性は、水平ソース/ドレイン(S/D)およびゲート表面を有する伝統的な側部のトランジスタデザインだけでなく、非水平(例えば、垂直)表面および複雑な三次元(3D)構造に用いられるe改善されたSiNフィルムも提供もし得る。ある実施形態において、SiN膜は、集積回路製作中に三次元構造上に開示された方法により蒸着される。三次元トランジスタは、例えば、二重ゲート電界効果トランジスタ(DG FET)、およびFinFETを包含している他の型の多点ゲートFETを包含するかもしれない。例えば、本発明の窒化ケイ素薄膜は、非平面多点ゲートトランジスタ(FinFETなど)において有用であり得、ゲート、ソース、およびドレイン領域の最上部に加えて垂直な壁上にケイ化物を形成するのも望ましいかもしれない。
【0175】
本願明細書で教示されるSiN蒸着技術が特に有用である別の三次元構造は、Shifrenらにより米国特許出願公開第号2009/0315120(A1)に教示されている三次元の高度なソース/ドレイン構造であり、その開示の全体を参照により本願明細書に援用したものとする。Shifrenらは垂直な側壁を含む高度なソース/ドレイン構造を教示する。
【実施例
【0176】
(実施例1)
シラン前駆体としてHSiIおよび窒素前駆体としてH+Nプラズマを用いるPEALDプロセスによる本願明細書の記載に基づき、窒化ケイ素薄膜を400℃で蒸着した。このフィルムは、ALD反応型(典型的な高品質のPEALD SiN膜)と熱ALDフィルムの等方性のエッチング態様と両方の最高の性質のいくつかの組み合わせを示した。しかしこれらの結果は完全には理解されず、フィルム特性およびエッチング態様は、それにもかかわらず高品質スペーサ層用途のスペックにあった。
【0177】
本願において、アスペクト比2の溝構造におけるステップカバレッジおよびパターン負荷効果は、95%超であり、ウェットエッチング速度(WER)は、熱酸化ケイ素(SiO、TOX)のWERの50%未満であり、そのエッチング速度は溝構造の水平および垂直の壁上におよそ同じであるべきである。最後に、成長速度は0.5nm/分超であり、可能な限り不純物成分は低い。
【0178】
400℃でのフィルム成長速度は0.52Å/サイクルであり、厚さの非均一性は6.2%(1-σ)であった。屈折率は、0.7%(1-σ)の非均一性を有する2.04であった。1分ごとの成長速度は、まだ最適化されてなく、0.13nm/分だった。
【0179】
平面フィルムのウェットエッチング速度は1.13nm/分であり、ToxのWER(2.43nm/分)の46.7%である。溝構造において、フィルム共形性は、約91.0~約93.1%であり、パターン負荷効果は、蒸着されたもの(エッチングする前)として約95.7~約99.3%であった。2分間の希薄な(0.5%)HFのエッチングの後、共形性の値は約91.5~約94.6%であり、パターン負荷効果は約97.4~約99.5%であった。溝の最上部領域でのウェットエッチング速度は、4.32nm/分であり(A)、溝側壁において2.98nm/分であり(B)、溝底面上において3.03nm/分であった(C)。フィールド領域は2.63nm/分エッチング速度を示した(D)。
【0180】
いずれの特定の理論に縛られることなく、ヨウ素または臭素のリガンド除去段階はプラズマ放電の前になされることは有利であると考えられている。残ったリガンドが分解し、不純物としてフィルムに入りこんでしまうことを避けることができ、ハロゲン化物の場合において、ハロゲン化物を活性化させるプラズマの形成も避けられる。
【0181】
本発明により蒸着された窒化ケイ素薄膜の組成物はHFS-RBSにより分析された。当該結果を以下の表1に示す。したがって、XRRデータを同じフィルムから得た。そのフィルムの厚さは約117nmと測定された。その質量密度は2.63(±0.1)g/cmと測定された。そしてその表面RMS荒さは1.76(±0.1)nmであると測定された。
【0182】
【表1】
【0183】
(実施例2)
改善されたエッチング特性および不純物含有量を含む窒化ケイ素薄膜(実施例1との比較)を、直流プラズマALDシャワーヘッド反応器中、本発明のPEALDプロセスにより蒸着した。200℃および400℃のサセプタ温度を用いた。HSiIをケイ素前駆体として用い、H+Nプラズマを窒素前駆体として用いた。プラズマ出力は約200W~約220Wであり、シャワーヘッドプレートおよびサセプタの間の空間(すなわち、プラズマが発生する空間)は、10mmだった。プラズマはArを含有していなかった。窒素をキャリアガスとして用い、蒸着プロセスの全体にわたって流した。HSiI消費は約9.0mg/サイクルだった。
【0184】
400℃で、フィルム成長速度は0.7Å/サイクルであり、蒸着フィルムは正角であった。屈折率は、1.92~1.93だった。100:1dHFにおける平面フィルムのウェットエッチング速度(WER)は熱酸化物(SiO)のWERの約20~30%だった。溝構造において溝頂部に対する溝側壁のフィルムのウェットエッチング速度の割合は約0.8~約1.0で変動した。
【0185】
200℃で蒸着された窒化ケイ素薄膜の不純物含有量を、TXRFにより分析した。フィルムは、H+Nプラズマに加えてArを含有するプラズマを用いて蒸着されたフィルムのわずかに不純物含有量未満(1.418×1013ヨウ素原子/cm)である8.43×1012ヨウ素原子/cmを含有していた。加えて、Ar含有プラズマを用いて400℃で蒸着されたフィルムは、TXRF分析から明らかに、Ar(8.067×1013アルゴン原子/cm)を不純物として含んでいた。いかなる特定の理論にも拘束されることなく、アルゴンはフィルム内部に捕捉され、アルゴンを含有しないプラズマを用いて、不純物が含まれるのを回避しうる。
【0186】
当該技術分野の技術を有する者に、多くのかつ種々の変更が本発明の精神から逸脱せずになされることが理解されるだろう。開示される特徴部、構造、特性および前駆体は、任意の好適な方法により組み合され得る。それゆえ、本発明の形態は例示目的のみであり、本発明の範囲を限定することを意図しない、と明確に理解されるべきである。全修飾および変更は、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲内に含まれることを意図する。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C