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特許7123119印刷システムのためのエンドレスフレキシブルベルト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】印刷システムのためのエンドレスフレキシブルベルト
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220815BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B65H5/02 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020213367
(22)【出願日】2020-12-23
(62)【分割の表示】P 2018156864の分割
【原出願日】2013-03-05
(65)【公開番号】P2021059115
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】61/611,505
(32)【優先日】2012-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/611,497
(32)【優先日】2012-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/635,180
(32)【優先日】2012-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ランダ,ベンジオン
(72)【発明者】
【氏名】アブラモヴィッチ,サギ
(72)【発明者】
【氏名】シュマイザー,アハロン
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,ラミ
(72)【発明者】
【氏名】アシュケナージ,イツァーク
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05320214(US,A)
【文献】特開2008-201564(JP,A)
【文献】特開2003-267580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0082146(US,A1)
【文献】特開平11-202591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12-29/24
B65H 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)フレキシブルベルトと、
b)前記ベルトを誘導するための2つの横方向誘導軌道を含む支持フレームと
を含む、ベルトシステムであって、
前記誘導軌道は、前記ベルトの各側部上に延び、前記フレキシブルベルトは、使用時において、前記横方向誘導軌道によって規定される連続経路に沿って移動するエンドレスストリップを含み、横方向配列は、前記エンドレスストリップの側部に沿って提供され、前記配列は、各横方向誘導軌道にスライド可能な様態で係合して前記ベルトを横方向張力下に配置するようにその中に保持され、前記横方向軌道は、前記ベルトが前記連続経路をたどるように前記ベルトを制約するようにさらに機能し、
前記軌道および前記配列は、前記エンドレスストリップの各側部上で前記配列が、(i)前記エンドレスストリップの上側の位置で前記軌道の第1の端部表面とスライド接触し、(ii)前記エンドレスストリップの下側の位置で前記軌道の第2の端部表面とスライド接触するように形成され、
(1)前記ベルトは、駆動ローラーおよびガイドローラー上を通過し、前記エンドレスストリップの側部に沿って設けられる前記横方向配列を受容するガイドチャンネルにより前記ベルトの上側走行部分の少なくとも一部を通して誘導され、(2)前記ベルトの下側は、ガラス、炭素、セラミックまたはアラミド繊維を含む繊維で補強した布製の高い摩擦特性を有する材料を含み、これにより、前記ベルトの下側と各ガイドローラーとの間の摩擦力は、前記ガイドチャンネル内に受容される前記横方向配列により前記ベルトを局所的に伸張状態に維持するのに有効である、ベルトシステム。
【請求項2】
(i)第1および第2の駆動ローラーは、前記ベルトの上側走行部分の対向する側部上に配置され、(ii)前記エンドレスストリップの端部は、前記ベルトの上側走行部分の対向する側部において、前記第1および第2の駆動ローラーの軸に対して実質的に平行に設けられる締結部に固定され、前記ベルトの下側と各ガイドローラーとの間の摩擦力は、前記第1および第2の駆動ローラーの中心を接続する線分に対して、前記ベルトを実質的に平行に維持するのに有効である、請求項に記載のベルトシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムのためのエンドレスフレキシブルベルトに関する。本発明のエンドレスベルトは、オフセットプリンタのための印刷システム内の中間移送部材として特に用いられる。オフセットプリンタにおいては、インクを基板上に直接付加するのではなく、所望の画像の正反射が中間移送部材上のインク堆積(例えば、インクジェット液滴)によって形成され、その後、インク堆積は、画像が基板上へ押圧される押圧ステーションへ画像を移送する機能を果たす。異なる局面において、本発明は、印刷システム内において用いられるフレキシブルベルトと、このようなベルトを含むベルトシステムと、このようなベルトをベルトシステム内に取り付けるための装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷プレートを調製する必要無くプリンタがコンピュータから直接命令を受信することを可能にするデジタル印刷技術が開発されている。これらの技術のうち、カラーレーザープリンタにおいては、乾式写真複写法プロセスが用いられる。ドライトナーを用いたカラーレーザープリンタは、特定の用途には適しているものの、出版(例えば、雑誌)において受容可能な写真品質を有する画像は生成しない。
【0003】
短時間運転でありかつ高品質のデジタル印刷により適したプロセスが、HP Indigoプリンタにおいて用いられる。このプロセスにおいて、レーザ光への露出により、帯電画像を支持するシリンダ上に静電像が生成される。帯電によりオイルベースインクが引き寄せられて、シリンダを支持する画像上に色インク画像が形成される。その後、インク画像がブランケットシリンダにより紙または他の任意の印刷媒体である基板上へ移送される。
【0004】
インクジェットおよびバブルジェット(登録商標)プロセスは、家庭用プリンタおよびオフィスプリンタにおいて一般的に用いられている。これらのプロセスにおいて、インク液滴が画像パターン状に最終基板上に噴霧される。一般的に、このようなプロセスの分解能は、紙基板中へのインクのウィッキングに起因して制限される。紙などの繊維状基板の場合、液体インクを制御された様態で吸収するかまたは液体インクが基板表面下へ浸透することを回避するように設計された特定のコーティングが必要になる場合が多い。しかし、特殊コーティングされた基板を用いた場合、特定の印刷用途に適していない高コストの選択肢となる。さらに、コーティングされた基板を用いた場合、基板表面がぬれたままとなり、基板の取り扱い(例えば、スタッキングまたはロール状に巻かれる場合)においてインクが染み出すことを回避するためにインクを乾燥するためにさらなるコストおよび時間のかかるステップが必要となるという点において固有の問題が発生する。さらに、基板が過度に濡れた場合、荒れの原因となり、また、基板の両面印刷(両面印刷または二重印刷ともいう)が(不可能ではないにしろ)困難となる。さらに、直接インクジェット印刷の場合、印刷ヘッドと基板表面との間の距離の変動に起因して画像品質低下が発生し得る。
【0005】
中間移送ステップに基づいた印刷技術を用いれば、基板上への直接インクジェット印刷に関連する多数の問題が解消される。すなわち、画像移送部材表面とインクジェット印刷ヘッドとの間の距離を一定に維持することができ、また、基板の濡れが低減する。なぜならば、インクを画像移送表面上において乾燥させた後、基板へ付加することができるからである。その結果、基板上における最終画像品質への基板の物理的特性による影響が低減する
【0006】
インクまたはバブルジェット(登録商標)装置からインク液滴を受容してインク画像を形成し、画像を最終基板へと移送するための移送部材の使用について、特許文献中に報告がある。これらのシステムのうち多様なシステムにおいて用いられるインクは、水性担体、非水性担体液体、または担体液体を全く含まない固体インクを有する。
【0007】
水性インクを用いた場合、複数の別個の利点がえられる。すなわち、非水性の液体インクと比較して担体液体は毒性が無く、また、画像の乾燥と共に当該液体が蒸発する際の問題も無い。固体インクと比較して、印刷画像上に残留する材料量を制限することが可能であるため、印刷画像の薄肉化および色の鮮烈化が可能となる。
【0008】
一般的に、最終基板の構造内へ画像がにじみ出る事態を回避するために、液体のうち実質的一部または全てが移送部材上の画像から蒸発した後、当該画像を最終基板へと移送させる。文献において、液体除去のための多様な方法が記載されている(例えば、画像の加熱、ならびに移送部材上の画像粒子の凝固の後の(加熱、エアナイフまたは他の手段による)液体除去の組み合わせ)。
【0009】
同時係属中のPCT出願第PCT/IB2013/051716号(代理人参照LIP5/001PCT)は、米国仮特許出願第61/606,913号からの優先権を主張している(本明細書中、同文献双方全体を参考のため援用する)。PCT出願第PCT/IB2013/051716号において、水性インクを使用するように設計された印刷プロセスについての教示がある。後者の出願の開示内容は、本明細書中に記載される開示内容と重複するが、本発明は、このようなプロセスへの適用に限定されず、インクが水性であるか否かに関係無く(およびよって使用されるインクまたは印刷プロセスに適切に対応する剥離層の種類と無関係に)フレキシブルベルトとして構築された中間移送部材を用いた任意の印刷システムにおいて用いることが可能である点が明確にされるべきである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の実施形態は、印刷システム内の中間移送部材として適切に用いられる連続フレキシブルベルトの構造および取り付けに関する。このベルトは、使用時において例えばローラー上において誘導される。しかし、本発明のフレキシブルベルトは他の目的のためにも用いられ、例えば、基板担体としても用いることができ、あるいは、回転可能なリジッドドラム(ドラム取り付け型ブランケットとも呼ばれる)上に取り付けられたベルトに適用することも可能である。本発明は、特にフレキシブルベルトを提供することを目的とする。このフレキシブルベルトは、エンドレス経路の周囲を移動する際に良好に規定された面内に残留し、横方向に拘束されるため、蛇行が回避される。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、印刷システム内において用いられるフレキシブルベルトが提供される。このフレキシブルベルトは、エンドレスストリップを含む。エンドレスストリップは、使用時において連続経路に沿って移動する。ストリップの側部に沿って設けられる配列は、横方向軌道と係合することができ、これにより、ベルトが横方向張力下に配置され、横方向軌道は、ベルトを拘束して連続経路をたどらせる機能をさらに含む。
【0012】
印刷システム内の中間移送部材として用いられる本発明の実施形態において、ストリップは初期においては細長形状のストリップであり、平行な直線形の側部を有する。平行な直線形の側部の端部は、解放可能な様態でまたは永久的に相互に固定可能であり、これによりエンドレスループが形成される。使用時において、ベルトは、画像形成ステーションからのインク画像を印刷システムの押圧ステーションへ移送する機能を有する。
【0013】
細長形状のストリップの端部を相互に固定するには、解放可能な様態で(例えば、ジッパー、フックまたは磁石)または永久的にはんだ付け、接着またはテープ(例えば、Kapton(登録商標)テープ、RTV液体接着剤、またはストリップの両端と重複した接続ストリップを用いたPTFE熱可塑性接着剤の使用)あるいは一般的に公知の他の任意の方法で固定すればよい。ベルトの端部を接合するための上記した任意の方法により、本明細書中においてシームと呼ばれる切れ目を生成することができる。シームにおけるベルトの化学的特性および/または機械的特性の厚さまたは切れ目の増加を回避することが望ましい。
【0014】
別の実施形態において、ベルトはシームを含まず、連続ベルトとして形成される。
【0015】
ベルトを構成するストリップは、一般的に少なくとも補強層および剥離層を含む。いくつかの実施形態において、ベルトは圧縮層をさらに含むため、ベルトそのものをオフセットリソプレスのブランケットと同様の様態で機能させることができる。他の実施形態において、圧縮ブランケット(圧力シリンダとも呼ばれる)を搬送するブランケットシリンダが押圧ステーションに設けられ得る。その後、ベルトから圧縮層を任意選択的に無くすことができ、ベルトは、圧力シリンダと押圧シリンダとの間を通過して、搬送しているインク画像を基板上に押圧させる。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、ベルトを構成するストリップの各側部には、間隔を空けて配置された配列が設けられる。このような間隔を空けて配置された配列は、簡便にも、ストリップの各側部に沿ってベルトへ固定されたジッパーの半分の歯となることができる。横方向に突出する配列は、均等間隔を空けて配置する必要が無く、本発明の実施形態において、所定の不規則な間隔は、印刷システム内のベルトの使用に関連する制御パラメータとして機能することができる。
【0017】
別の実施形態において、配列は、2つのフレキシブルビードを含み得る。これら2つのフレキシブルビードは、ストリップの各側部上に配置され、ビードの直径は、ベルトの厚さよりも大きい。この配置構成において、ビードは、ストリップの各側部上に連続配列を提供するものとしてみなされる。
【0018】
別の実施形態において、配列は、ビードと、および横方向間隔を空けて配置された突起との組み合わせであり得る。この組み合わせにより、当該部分に隣接する横方向突起に対応するベルト部分を特性することが有利に可能になり、各部分は、固有の突起特性(例えば、色、形状)を有する。追加的にまたは代替的に、ストリップの各側部は、異なる配列を持ち得る。
【0019】
これらの配列は、形状、縁に沿った間隔またはその不在に関係無く、ベルトが使用される動作温度に適合する熱抵抗を有する任意の材料によって構成され得る。好適には、これらの配列は、横方向軌道内における円滑な移動を確保するために、摩擦係数が低い材料によって構成され得る。充分な耐摩耗性を有する材料を用いることにより、印刷プロセス時におけるベルトの高速変位に起因して発生し得る配列破片を有利に低減または回避することができる。一実施形態において、配列は、潤滑特性を有する薬剤を有するかまたは含む材料によって構成される。層状材料は、ベルトの側部に配置された配列中の潤滑剤として機能し得る。一実施形態において、ベルトの横方向誘導に用いられる配列は、二硫化モリブデンが追加されたナイロンまたはポリアミドポリマーによって構成してもよいし、あるいはPFTEが充填されたポリアセタールによって構成してもよい。代替的にまたは追加的に、配列は、減摩コーティング(例えば、PTFE)を持ち得る。
【0020】
代替的にまたは追加的に、配列と係合する軌道を潤滑または減摩コーティングしてもよいし、あるいは、摩擦を低減することが可能な薬剤を含浸させてもよい。一実施形態において、横方向軌道は、陽極酸化アルミまたはステンレススチール製である。材料の多孔性を有利に用いることにより、横方向軌道を減摩剤(例えば、PTFE)で含浸させることができる。
【0021】
代替的にまたは追加的に、軌道および配列に反対の磁石特性を持たせることにより相互間の反発力の生成が可能となり、その結果摩擦力が低減する。
【0022】
いくつかの実施形態において、間隔を空けて配置された配列またはフレキシブルビードをローラーにより軌道内に保持することができる。このローラーは、ベルトが軌道に沿って移動すると回転する。
【0023】
いくつかの実施形態において、ストリップの端部を相互に固定して、ストリップから横方向に突出する配列と同様の端部配列を用いた連続ループを形成することができ、これにより、ベルト張力の付与および/または軌道に沿った誘導が可能になる。例えば、ストリップの端部をそれぞれジッパーの半分に固定することができる。
【0024】
本発明の第2の局面において、上記したようなベルトは、ベルトシステムの一部を形成する。このベルトシステムは、ベルトを誘導および駆動するための支持面を有する支持フレームを有する。支持フレームは、2つの横方向軌道をさらに含む。これらの横方向軌道は、ベルトの各側部上に延び、各軌道は、ベルトの側部上の配列をスライド可能な様態で保持するための適切な断面である。例えば、ほぼ円形の断面を有する横方向配列を、C形状の断面を有する軌道によって保持することができる。いくつかの実施形態において、ベルトを誘導および駆動するための表面は回転ローラーを含むが、他のベルト支持手段(例えば、空気テーブルまたは線形駆動)を用いてもよい。このような支持は、間接接触または間欠接触により得ることができる。一実施形態において、単一のローラーで充分であり、ベルトを度ラブ上に取り付けた状況に対応する。
【0025】
いくつかの実施形態において、画像形成ステーションの領域内のみにおいてベルトを誘導および張力付与するための横方向誘導軌道が提供される。いくつかの実施形態において、横方向誘導軌道が押圧ステーションにさらに設けられる。押圧ステーションにおいて、画像が基板上に押圧される。いくつかの実施形態において、横方向誘導軌道がさらに戦略的位置に設けられる(例えば、乾燥ステーション(単数または複数)、冷却ステーション(単数または複数)、調整ステーション)。さらなる実施形態において、連続誘導誘導軌道が、ベルトシステムの支持フレームの外周全体の周囲において、ベルトがたどるべき経路に沿ってもうけられる。
【0026】
実施形態において、プレートは、ベルトの内側と接触する支持面を有する支持フレーム上に取り付けられる。支持面は、2つの軌道を通過する平坦面からオフセットする面内に設けられ、これにより、軌道内の配列の係合から発生するベルト内の横方向張力は、ベルトを支持面上において平坦化させる機能を果たす。
【0027】
さらなる局面によれば、本発明は、ベルトシステムを組み立てるための装置を提供する。この装置は、以下を含む:
a)平行な直線形の側部と、ストリップの側部の長さに沿った配列と、エンドレスループフレキシブルベルトを形成するように相互に固定可能である2つの端部とを有する細長形状のストリップと、
b)ベルトを支持する面を有しかつ2つの軌道を含む支持フレームであって、軌道は、ベルトの各側部上に延び、各軌道は、配列をベルトの側部上においてスライド可能な様態で適切に保持する断面を有する、支持フレームと、
を含み、
組み立て装置は、以下を含む:
i)2つの開口軌道を規定する剛性ボディであって、2つの開口軌道は、ボディの各側部上に配置されて、ストリップの側部上の配列を受容し、第1の端部により、ベルト形成のためにループされるべきストリップの側部上の配列の軌道内にへの導入が可能となり、各軌道の第2の端部は、支持フレームの各エンドレス軌道内に設けられた分岐進入ポイントと係合可能である、剛性ボディと、
ii)少なくとも1つのスプロケットであって、少なくとも1つのスプロケットは、ボディ上に回転可能に取り付けられて、開口軌道のうちの1つの内部に設けられた配列と係合して、細長形状のストリップをエンドレス軌道内に供給する、スプロケット。
【0028】
2つのスプロケットが共通軸上に取り付けられて、双方の開口軌道内に設けられた配列と係合し、スプロケットは共通軸上へ取り付けられ得、共通軸は、手動駆動されるかまたは電気モータによって駆動される。
【0029】
ベルトを支持フレームへ取り付ける際のベルトへの横方向応力付加を支援するために、開口軌道を分岐状にし、第2の端部においてよりも第1の一端において相互により狭い間隔を空けて配置する。
【0030】
アンカー固定をさらに提供することにより、装置のボディをベルトの支持フレームに固定して、ベルトを支持フレーム上へ送る際のベルト誘導を高精度に確保することができる。
【0031】
別の実施形態において、先ず横方向軌道間に導入されたベルトストリップの先端をケーブルへ固定することにより、ベルトを取り付けることができる。ケーブルは、ベルトの取り付けのために手動で移動させてもよいし、あるいは自動で移動させてもよい。例えば、ベルト先端の一方または双方の横端部を、各軌道内に設けられたケーブルへ可逆的に取り付けることができる。その後、ケーブル(単数または複数)を前進させると、ベルトは軌道に沿って前進する。代替的にまたは追加的に、両縁が相互に固定されたときに最終的にシームを形成する領域内のベルトの縁の可撓性は、シーム以外の領域よりも低くなり得る。このような局所的な「剛性」により、ベルトストリップの横方向配列の各軌道への挿入を容易にすることができる。
【0032】
以下、本発明について、添付図面を参照してさらに例示的に説明する。図面中、図示されている構成要素および特徴の寸法は、便宜および明瞭性のために選択されたものであり、必ずしも縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】枚葉給紙型印刷システムの模式斜視図である。
図2図1の印刷システムの模式垂直断面であり、印刷システムの多様な構成要素は縮尺通りではない。
図3】ベルト支持システムの斜視図であり、ベルトは取り外されている。
図4図3のベルト支持システムの断面図であり、内部構造を示す。
図5】基板の連続ウェブ上の印刷のための印刷システムの断面図である。
図6】本発明によるベルトの第1の実施形態の模式平面図である。
図7図6と同様の模式平面図であり、本発明の別の実施形態を示す。
図8】ベルト支持フレームの詳細であり、図4中のストリップの側部上の配列を保持するための軌道を示す。
図9図3または図11内の支持システム内にベルトを取り付けるための装置の模式図である。
図10図9中の線X-Xに沿った部分である。
図11図1図5の印刷システムと同じ原理で動作するがアーキテクチャが異なる印刷システムの模式図である。
図12図6または図7と同様の図であり、図1図5または図11において用いられるベルトを構成するストリップの別の設計を示す。
図13図1図5または図11の実施形態において用いられるベルトの配列をじゅようする軌道の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
概要
【0035】
図1および図2に示す印刷システムは、米国仮特許出願第61/606,913号中に教示される原理に従って動作する。この印刷システムは、3つの別個のかつ相互に作用するシステム(すなわち、ベルトシステム100)と、ベルトシステム100の上方の画像形成システム300と、ベルトシステム100の下方の基板移送システム500とを本質的に含む。
【0036】
本発明が主に関連するベルトシステム100は、エンドレスベルトまたはブランケット102を含む。エンドレスベルトまたはブランケット102は、中間移送部材として機能し、2つのローラー104および106上において誘導される。インクドットによって構成される画像は、画像形成システム300から画像形成ステーションにおけるベルト102の上側走行部分へ付加され、下側走行部分は、2つの押圧ステーションにおいて基板移送システム500の2つの押圧シリンダ502および504と選択的に相互作用し、これにより、ベルト102と各押圧シリンダ502および504との間で圧縮された基板上へ画像が押圧される。以下に述べるように、ここでの目的は、二重印刷を可能にする2つの押圧ステーションとなることである。単一印刷システムの場合、必要な押圧シリンダは1つのみである。
【0037】
動作時において、インク画像はそれぞれ、基板上に押圧されるべき画像の鏡像であり、画像形成システム300によってベルト102の上側走行部分上へ印刷される。この文脈において、「走行部分」という用語は、ベルトを誘導する任意の2つの所与のローラー間のベルトの長さまたはセグメントを意味する。ベルト102によって移送されている間、照射および/または加熱および/またはガス流れによってインクが乾燥されて、液体担体のうち(全てではないにしろ)ほとんどが蒸発した後、高粘度のインク残留物が残留する。押圧ステーションにおいて、画像が基板の個々のシート上に押圧される。これらのシートは、基板移送システム500によって入力スタック506から押圧ステーションを介して出力スタック508へ搬送される。あるいは、図5に示すように、基板は、入力供給ロールと出力巻き取りロールとの間に延びた連続ウェブであり得る。
【0038】
画像形成システム
【0039】
画像形成システム300は、インクジェット印刷バー302を含む。インクジェット印刷バー302はそれぞれ、フレーム304上へスライド可能な様態で取り付けられる。フレーム304は、ベルト102の表面から固定高さまたは調節可能な高さにおいて配置される。各印刷バー302は、複数の印刷ヘッドを個々に制御可能な印刷ノズルと共に含み得る。これらの印刷ヘッドは、ベルト102上の印刷領域と同じ幅であるが、印刷バー302はベルトよりも幅広であり得る。印刷システムは、任意の数のバー302を持ち得る。バー302はそれぞれ、異なる色のインクを含み得る。
【0040】
特定の印刷ジョブ時においていくつかの印刷バーを不要とすることができるため、動作位置および非動作位置間においてバーを移動させることができる。動作位置において、バーはベルト102上に載置される。バー302を動作位置と非動作位置との間で移動させるための1つのこのような機構が図5中に模式的に図示されているが、この機構についての言及は本明細書中不要である。印刷時において印刷バーは静止している点に留意されたい。
【0041】
バーが非動作位置まで移動すると、バーは保護のために被覆され、印刷バーのノズルの乾燥または詰まりが回避される。本発明の実施形態において、印刷バーは、このタスクを支援する液体槽の上方に停止される。印刷バーが非動作位置にある場合、他の印刷バーを用いた印刷ジョブが進行中の場合であっても、印刷バーの変更およびメンテナンスのための容易なアクセスが可能である。
【0042】
各印刷バー内において、インクの再循環、フィルタリング、ガス抜きおよび維持を所望の温度および圧力で一定に行うことができる。印刷バーの設計は従来通りであるかまたは他のインクジェット印刷用途において用いられる印刷バーと少なくとも同様であるため、当業者にとってその構造および動作は明確であり、さらなる詳細な説明は不要である。
【0043】
異なる印刷バー302がベルトの長さに沿って交互に配置されているため、もちろん、印刷バー302の動作とベルト102の動きとを高精度に同期させることが重要である。
【0044】
ベルトおよびベルト支持システム
【0045】
本発明のベルト102は、解放可能な様態でシームされるかまたは永久的にシームされる。詳細には、図6に示すように、ベルト102は、初期においては平坦なストリップによって形成される。ストリップの端部は交互に締結されて、連続ループを形成する。解放可能な締結を図6に示す。この締結は、ジッパーによって形成される。ジッパーにおいて、二等分部610aおよび610bは、ベルト102の対向する端部へ固定される。あるいは、解放可能な締結部は、フックおよびループ締結部であり得る。図6に示す実施形態において、締結部610aおよび610bは、ローラー104および106の軸に対して実質的に平行に設けられる。ローラー104および106の軸に沿って、ベルトが誘導される。シームがこれらのローラー上を移動している際にベルトの張力が突然変化する状況を回避するために、、本発明の実施形態において図7に示すベルト102’は、ローラーの軸に対して若干傾斜した端部を有する。このようにすると、印刷不可能な画像領域を拡大する効果が得られるため、傾斜角度は小さく保持することが望ましく、好適には10°未満であり、好適には2°~8°である。
【0046】
代替的に、ベルトをシームレスにすることができ、その結果、印刷システムからの特定の制約(例えば、シーム位置の同期)が緩和されるが、別の取り付け方法が必要となる。シームレスであるにしろないにしろ、本発明の一実施形態において、ベルトの主な目的は、画像形成システムからのインク画像を受容することと、乾燥状態となっておりかつ押圧シリンダと対応する圧力またはニップローラーとの間のベルトの係合によって形成された押圧ステーションへ分配されていない画像を移送することである。各押圧ステーションにおけるインク画像の移送を容易にするために、ベルトは、肉薄の上側剥離層を有する。上側剥離層は疎水性であり得、例えばシリコーン含有組成によって形成される。
【0047】
ベルトの強度は、補強層から得られる。一実施形態において、補強層は布製である。この布が織物である場合、布の縦糸および横糸が異なる組成または異なる物理的構造である場合があり得、そのため、ベルトは、以下に述べる理由のため、長さ方向よりも(ローラー104および106の軸に対して平行な)幅方向において弾性が高いことが望ましい。
【0048】
布を繊維により補強して、長さ方向において実質的に拡張不可能とすることができる。「実質的に拡張不可能」とは、ベルトの任意のサイクルにおいて、ベルト上の任意の2つの固定点間の距離が画像品質に影響が出るほど変化しないことを指す。しかし、ベルトの長さは時間と共にまたはより長い期間にわたって劣化または疲労に起因して変化し得る。この幅方向において、ベルトは低弾性であるため、画像形成ステーションを通じて牽引される際に伸張および平坦した状態で保持される。適切な布は、例えば、長手方向において高性能繊維を持ち得る(例えば、ガラス、炭素、セラミックまたはアラミド繊維)。この高性能繊維は、垂直方向において綿繊維によって織られるか、編まれるかまたは保持される。
【0049】
ベルトにおいて補強層と剥離層との間にさらなる層を設けることにより、例えば剥離層の基板表面(例えば、圧縮層および立体配座層)に対する適合性が得られ、熱源または断熱材としての機能が得られ、剥離層表面へ付加されるべき帯電が得られ、ベルトを形成する任意の層間の接着または適合性が向上し、かつ/または、両者間の分子移動が回避される。内側層をさらに設けることにより、ベルトが支持構造上を移動する際のベルト上への摩擦力の大きさを制御することができる。
【0050】
本発明によるベルト支持が可能な構造を図3および図4に示す。2本の細長形状の張出し材120が複数の横ばり122によって相互接続されて、水平方向のはしご状フレームが形成される。はしご状フレームの上において、残りの構成要素が取り付けられる。
【0051】
ローラー106は、張出し材120上に直接取り付けられた軸受内においてジャーナルされる。しかし、他端において、ローラー104は、ピローブロック124内においてジャーナルされる。ピローブロック124は、張出し材120に対するスライド移動のために誘導さえる。電気モータ126は、ステッパモータであり得、適切なギアボックスを通じてピローブロック124を移動させるように機能し、これにより、ローラー104および106間を平行に維持しつつ、ローラー104および106の軸間の距離を変化させる。
【0052】
熱伝導性の支持プレート130を横ばり122上に取り付けて、支持フレームの上側部および下側部双方の上に連続平坦支持面を形成する。個々の支持プレート130間の接合部を意図的にジグザグ状にすることにより、ベルト102の長さに対して平行に延びる線の発生を回避することができる。電気加熱要素132をプレート130中の横穴に挿入することにより、プレート130へ付加し、プレート130を通じて上側に載置されたベルト102へ付加することができる。
【0053】
また、ベルト支持フレーム上には、2つの圧力またはニップローラー140および142が取り付けられる。これらの圧力ローラーは、支持フレームの下側においてフレームの下側を被覆する支持プレート130間の隙間中に配置される。圧力ローラー140および142は、基板移送システムの押圧シリンダ502および504とそれぞれアライメントされる。
【0054】
圧力ローラー140および142はそれぞれ、各アクチュエータ150および152によって回転可能となる偏心器上に取り付けられる。アクチュエータによって支持フレーム内の上側位置へ上昇すると、各圧力ローラーは、対向する押圧シリンダから間隔を空けて配置され、その結果、ベルトが押圧ステーションを通過することができるが、その際、押圧シリンダそのものとは接触せず、押圧シリンダによって搬送される基板とも接触しない。一方、アクチュエータによって下方に移動すると、各圧力ローラー140および142は下方に突出して、隣接する支持プレート130の面を超え、ベルト102を撓ませ、ベルト102を対向する押圧シリンダ502および504へ付勢する。
【0055】
ローラー104および106は、各電気モータ160および162へ接続される。モータ160は、ベルトを図3および図4に示すように時計回りに駆動する。モータ162を用いてトルク応答を提供し、モータ162により、ベルトの上側走行部分中の張力を調節することができる。
【0056】
本発明の一実施形態において、モータは同一速度で動作することができるため、ベルト中において同一の張力を維持することができる。
【0057】
本発明の別の実施形態において、モータ160および162は、(インク画像が形成される)ベルトの上側走行部分中においてより高い張力を維持しかつベルトの下側走行部分なかにおいてより低い張力を維持するするような様態で、動作する。下側走行部分中の張力をより低くすることにより、ベルト102と押圧シリンダ502および504との間の突然の係合および係合解除に起因する突然の摂動の吸収を支援することができる。
【0058】
本発明の実施形態において、ファンまたは送風機(図示せず)をフレーム上に取り付けることにより、ベルトおよびその支持フレームによって包囲される体積166中の大気中の値より低い圧力を維持する。負圧により、フレームの上側および下側双方上の支持プレート130に対してベルトが平坦に維持され、これにより熱接触が良好に達成される。ベルトの下側走行部分が比較的緩んだ状態で設定された場合、圧力ローラー140お142が押圧ステーションにおいて作動していない場合、やはり負圧により、ベルトの押圧シリンダからの接触外れが支援および維持される。
【0059】
張出し材120はそれぞれ、図8中により詳細に示す連続軌道180も支持する。連続軌道180は、ベルト102の側部縁上の配列と係合して、ベルト伸張を幅方向において維持する。これらの配列は、フレキシブル連続ビードまたはベルト102の側部縁に取り付けられた(図6および図7中、620および622によって示す)ジッパーの2つの二等分部の歯部であり得、軌道180は、適切な断面(例えばC形状)の経路であり得、歯部を受容する。図8に示すように、支持プレート130の上側表面830は、軌道180の面からオフセットし、プレート130の側部は、ベルトが任意の鋭利な縁上において伸張する事態を回避するための傾斜面832を有する。プレート130をこのような形状にすることによって得られる効果として、ベルト102内における横方向張力により、中央領域が支持プレート130に対して平坦化される点がある。抵抗を低減するために、本発明の実施形態において、横方向突出する配列を減摩コーティングによってコーティングする。しかし、あるいは軌道180を潤滑してもよいし、あるいは減摩層でコーティングしてもよい。これらの配列を構成する材料は好適には、低摩擦であり、耐摩耗性が高くかつ「自己潤滑」特性を有する材料がよい。高温を必要とする印刷システムにおいて用いられる材料については、適切な温度抵抗を持つ材料がよい。同様に、軌道は、減摩剤が含浸された適切な材料によって構成することができる。
【0060】
横方向軌道は、陽極酸化アルミまたはステンレススチールによって構成することができるが、横方向軌道の硬度を高くしかつ/または粗さを低くした場合(例えば、ベルトの横方向配列との界面を研磨した場合)、破片生成の傾向が少なくなることが分かっている。
【0061】
さらなる代替例として、これらの軌道は、図13を参照して以下に述べるように、ローラーを有する。これらのローラーは、間隔を空けて配置された配列を軌道内に維持するように機能する。
【0062】
シームベルトを支持フレーム上に取り付けるためには、図9および図10に示すような装置を用いればよい。装置900は、ボディ910を含む。ボディ910は、対向する端部において、軌道180の断面と同様の一対の開口軌道912および914を搬送する。ボディ910は、出力軸918を有する電気モータ916を収容する。出力軸918は、ボディ910の長さ全体にわたって延びる。対向する端部において、軸は、2つの駆動スプロケット920および922中に挿入される。これらの駆動スプロケット920および922はそれぞれ、軌道912および914中へ延びる。アンカー固定点924もボディ910上に設けられることにより、装置をベルトシステムのフレームへ固定することができる。
【0063】
開口軌道912および914は、2つの面において屈曲される。先ず、図9のように上方からみた場合、これらの軌道は、入口端部においてよりもストリップ出口端部において、相互に離隔してより広く間隔を空けて配置される。さらに、図10に示すように側部から見た場合、スプロケット920および922のうち1つと係合する各軌道912および914の入口端部は、出口端部よりも高い。出口端部は、使用時において、エンドレス軌道180の一部とアライメントして配置される。
【0064】
シームすべきベルトを支持フレーム上に取り付けるために、アンカー固定点924を用いて図9の装置を先ず支持フレームへ固定し、これにより、開口軌道912および924の第2の端部がエンドレス軌道180内の進入ポイント930内に配置される。次に、ベルトストリップ102の対向する側部上の側部縁を開口軌道912および914の入口端部に挿入し、配列がスプロケット920および922と係合するまで手動で前進させる。モータ916が係合してスプロケット920および922が駆動されると、ベルトストリップは出口端部へ前進し、エンドレス軌道180中へと前進し、それと同時にストリップが横方向張力下に配置される。その後、ベルトストリップ102がエンドレス軌道180中に送られ、支持フレーム全体の周囲を包囲するまで前進させられる。その後、その端部をジップで閉めるかまたは相互に取り付けることにより、連続ループを形成する。次に、ローラー104および106を離隔方向に移動して、ベルトを所望の長さまで伸ばす。
【0065】
軌道180の部分を伸縮自在にすることにより、ベルトストリップの挿入および退避のための適切な進入ポイントが得られ、また、ローラー104および106間の距離の変化と共にエンドレス軌道180の長さを変化させることが可能になる。追加的にまたは代替的に、軌道中に隙間を設けることにより、ベルト挿入が可能になる。
【0066】
組み立て装置を軌道180内に一体化させることも可能であるため、ベルト取り付けのための別個の装置の利用は必須ではない点に留意されたい。さらに、ベルト交換のため、古いベルトの端部を新規ベルトの端部へ固定し、古いベルトおよび駆動ローラー104および106のうちの1つを用いて、新規ベルトを所定位置まで前進させることができる。
【0067】
ベルト内には、シームから発生する使用不能領域が含まれ得るため、ベルトの連続サイクルにおいて、この領域を印刷画像に対して常に同じ位置に確実に残しておくことが重要である。また、単一印刷時において圧力ローラーのうちの1つを押圧ステーションにおいて押圧シリンダと永久係合させることができる場合、シームが押圧シリンダを通過するたびに、シームが基板グリッパーを収容する押圧シリンダの表面が途切れた時期と常に一致することが重要である。このようなタイミングを可能にするために、ベルトの長さを押圧シリンダ502および504の外周の整数倍にすることが重要である。この関係は、モータ126を用いてローラー104および106を離隔方向に移動させることにより、達成することができる。ベルトの長さは、ベルトが完全に1回転するのが感知される際にローラー104および106のうちの1つの回転を測定する軸エンコーダから決定することができる。閉ループ制御システムを用いて、ベルトの長さを所望の値に維持することができる。
【0068】
シーム位置がベルトの画像領域へ向かって移動していることが分かった場合、シーム位置を調節することが可能な代替的方法として、押圧ステーションにおいて押圧シリンダ502および504と係合しない場合にベルト102の速度を変化させる方法がある。
【0069】
ベルトの位置は、ベルト長さに沿った異なる位置に取り付けられた1つ以上のセンサーによって検出することが可能なベルトの表面または縁上の1つ以上のマークによって監視することができる。これらのセンサーの出力信号を用いて、中間移送部材の画像形成システム300の印刷バーに対する位置を指示する。例えば、ベルトマークおよび対応する検出器を用いたこのようなシステムを用いて、押圧ステーションのシリンダに対するシーム位置を監視することができる。また、センサーの出力信号の分析を用いて、モータ160および162の速度を押圧シリンダ502および504の速度と整合するように制御する。マーカー(単数または複数)は、例えばベルト表面上に配置することができ、適切な検出器によって磁気的または光学的に感知することもできるし、あるいは、張力下のベルトを維持するために用いられる横方向配列の不規則性であってもよい(例えば、歯の欠けまたは異なるジオメトリの配列により形成される機械的な信号)。
【0070】
電子回路(例えば、データ保存が可能な「チップアンドピン」型のクレジットカードに見受けられるようなマイクロチップ)をベルト内に設けることがさらに可能である。マイクロチップは、リードオンリーメモリのみを含み得る。その場合、製造業者は、このようなメモリを用いて、ベルトの製造場所および製造時期ならびにベルトの物理的特性または化学的特性の詳細についてのデータを記録することができる。このデータは、カタログ番号、バッチ番号、および(ベルトの使用および/またはベルトのユーザに関連情報を提供するための)他の任意の識別子に関連し得る。このデータは、例えば較正パラメータの読み出しのために、取り付け時または使用時において印刷システムのコントローラによって読み出され得る。代替的にまたは追加的に、チップは、ランダムアクセスメモリを含み得る。ランダムアクセスメモリは、印刷システムのコントローラによりマイクロチップ上にデータを記録することが可能になる。この場合、データは、ベルトを用いて印刷または移送された情報(例えば、ページ数またはウェブ長さまたは以前に測定されたベルトパラメータ(例えば、ベルト長さ)を含み得、これにより、新規印刷実行を開始する際の印刷システムの再較正が支援される。マイクロチップ上における読み出しおよび書き込みは、マイクロチップの端子との直接的電気接触によって達成することができ、その場合、接触導体をベルト表面上に設けることができる。あるいは、無線信号を用いてマイクロチップからデータを読み出すこともでき、その場合、ベルト表面上に印刷された誘導ループによってマイクロチップへ給電することができる。
【0071】
ベルト長さは重要であるため、ベルトには、不可逆的な伸張およびクリープに対する耐性が必要である。一方、横方向においてはベルトを平坦に伸張状態に維持するだけでよく、支持プレート130との摩擦に起因する過度の抵抗は発生しない。この理由のため、本発明の実施形態において、ベルトの弾性を意図的に異方性としている。
【0072】
横方向軌道は、ベルトの幅全体よりも大きな距離において配置され得る。さらなる実施形態において、横方向軌道間の距離を変更することにより、ベルトへ付加される横方向応力を調節または維持することができる。
【0073】
ベルトの前処理
【0074】
図1は、本発明の実施形態による、ローラー106の直前に配置されたローラー190の模式図である。このローラーの機能は、必要な場合に薄膜の前処理または化学的薬剤を含む調整溶液(例えば、荷電ポリマーの希釈液)をベルト表面に付加することである。この膜は好適には、画像形成システム300の印刷バーに到達する前に完全に乾燥するとよく、これにより、ベルト表面上において極めて肉薄の層が生成される。この肉薄層は、インク液滴がベルト表面と衝突した後に膜状形状を保持することを支援する。
【0075】
均等な膜の付加のためにローラーを用いることが可能であるが、別の実施形態において、任意選択的な前処理溶液をベルト表面上に噴霧することができ、また、例えばエアナイフからのジェット、噴霧または噴水からの波動によってさらに均等に分散させることができる。移送部材を前処理溶液に晒した後すぐに、前処理溶液を(例えば、空気流れを用いて)移送部材から除去することができる。このような処理に適合することが可能なベルトの剥離層は、シラノール-、シリル-またはシランによって修飾または終端されたポリアルキルシロキサシリコーンを含み得る。
【0076】
別の実施形態として、剥離層は、適切な内部荷電または内部荷電特性を有するシリコーン組成(例えば、アミノシリコーン)によって構成され得、これにより、中間移送部材と衝突した際に実質的に「凍結する」上記したインク液滴が外部化学薬剤の付加無く達成される。
【0077】
理論に縛られることを望まず、本発明の一実施形態による、ベルトの疎水性表面上への水性インク液滴の固定は、インク中の有機ポリマー樹脂(単数または複数)と、ベルトまたはベルトの剥離層の構成要素へ付加された化学的薬剤との間のブレンステッドローリー相互作用によって得られる。この特定の実施形態において、インク組成またはベルト表面に影響を与える化学反応は無いものの、インク中の極性分子と剥離層上または内部の極性分子との間の静電引力により、少なくともインク担体をインク画像から蒸発させるために必要な時間の間、インク液滴がベルトの疎水性解放表面上と接触するかまたはその周囲を移動する事態が回避される。
【0078】
インク画像の加熱
【0079】
支持プレート130中に挿入されたヒーター132を用いて、インク担体の高速蒸発に適しておりかつベルト組成と適合する温度までベルトを加熱する。ベルトが例えばシラノール終端ポリアルキルシロキサシリコーンを剥離層中に含む場合、加熱は典型的には150℃のオーダーであるが、この温度は、インク組成および/または(必要な場合は)前処理溶液の組成などの多様な要素に応じて120℃~180℃の範囲内において変更可能である。アミノシリコーンを含むベルトは一般的に、70℃~130℃の温度まで加熱され得る。図示のように移送部材を下側から加熱する場合、ベルトの熱容量を比較的高くかつ熱伝導率を低くすることが望ましく、これにより、ベルト102のボディ温度が任意選択的な前処理ステーション、画像形成ステーションおよび押圧ステーション(単数または複数)間において移動する際に有意に変化することが無くなる。追加的におよび代替的に、以下に述べる図11に示す別のアーキテクチャによって例示するように、インク画像および中間移送部材を異なるステーションにおいて異なる温度レジメンに晒してもよい。例えば、本発明のベルトが用いられ得るいくつかの実施形態において、画像形成ステーションにおける中間移送部材の外面上の温度は、40℃~160℃であってもよいし、あるいは60℃~90℃であってもよい。いくつかの実施形態において、ベルトを90℃~300℃または150℃~250℃の範囲でさらに加熱することにより、インク画像を乾燥ステーションにおいてさらに乾燥させてもよい。画像押圧ステーションにおいて、ベルトは、80℃~220℃または100℃~160℃の範囲の温度を維持し得る。移送部材が画像形成ステーションに進入する際の温度を当該ステーションの動作範囲と適合する温度にしたい場合、印刷システムは、ベルト温度を40℃~90℃の範囲まで低下させるための冷却ステーションをさらに含み得る。
【0080】
移送部材の表面によって搬送されるインク画像へ熱を異なる速度で付加するために、外部ヒーターまたはエネルギー源(図示せず)を用いて、さらなるエネルギーを局所的に付加することができる(例えば、押圧ステーションに到達する前にエネルギーを付加してインク残留物を高粘度にすること、画像形成ステーションの前にエネルギーを付加して、任意選択的な前処理薬剤を乾燥させること、インク液滴がベルト表面に衝突した後すぐに、画像形成ステーションにおいてインク液滴からの担体蒸発を開始させること)。
【0081】
外部ヒーターは、例えば、高温ガスまたは送風機または図1中に306として示す放射ヒーターである(例えば、ベルト表面上への赤外線放射(この場合、175℃、190℃、200℃、210℃またはさらには220℃を超える温度を達成し得る)。
【0082】
加えて、上記した加熱の結果発生するインク担体の蒸発によって形成される蒸気は、適切なガス移動装置により、中間移送部材の近隣の配列の領域から退避させるかまたは除去することができる。
【0083】
インクが紫外線に対して感度を有するな成分を含む場合、UV源を用いて、ベルトによるインク移送の際のインクの硬化を支援することができる。
【0084】
基板移送システム
【0085】
基板移送システムは、図1および図2の実施形態のように設計され得、基板の個々のシートを押圧ステーションへ移送するか、または、図5に示すように基板の連続ウェブを移送する。
【0086】
図1および図2の場合、個々のシートを例えば往復式アームによって入力スタック506の上部から第1の移送ローラー520へと前進させる。第1の移送ローラー520は、シートを第1の押圧ステーションにある押圧シリンダ502へ供給する。
【0087】
図示していないが、多様な移送ローラーおよび押圧シリンダにおいて実質的にグリッパーを用いることができる。グリッパーはカムであり、その回転と同期して適切なタイミングで開閉するように動作して、基板各シートの先端をクランプする。本発明の実施形態において、少なくとも押圧シリンダ502および504のグリッパーの先端は、ベルト102の損傷を回避するために、シリンダの外面を超えて突出しないように設計される。
【0088】
押圧シリンダ502とベルト102との間を通過して圧力ローラー140によってシート上に付加されている間に画像が基板シートの片側に押圧された後、シートは移送ローラー522によって両面シリンダ524へと送られる。両面シリンダ524の外周は、押圧シリンダ502および504の外周の2倍大きい。シートの先端は、両面シリンダによって移送されて移送ローラー526を通過する。移送ローラー526のグリッパーは、両面シリンダによって搬送されるシートの末端を捕獲しかつシートを第2の押圧シリンダ504へ送って第2の画像を反対側の側部上に押圧させるように、タイミングが図られる。ここで、シートの両面上に画像が印刷されており、このシートをベルトコンベヤ530によって第2の押圧シリンダ504から出力スタック508へと前進させることができる。一実施形態において、ベルトのために本明細書中に詳述するように構築されたコンベヤ530のベルトは、中間移送部材として機能する。
【0089】
ベルト上に印刷された画像は、常に押圧シリンダの外周またはその半分に対応する距離だけ間隔を空けて配置されるため、シリンダが2つの基板(例えば、2組のグリッパーを有するもの)を収容できる場合、2つの押圧ステーション間の距離も、押圧シリンダ502および504の外周またはこの距離の倍数に等しくすることが重要である。もちろん、ベルト上の個々の画像の長さは、基板のサイズによって決まるのであり、押圧シリンダのサイズによって決まるのではない。
【0090】
図5に示す実施形態において、基板のウェブ560を供給ロール(図示せず)から引き出し、複数のガイドローラー550を通過させる。これらのガイドローラー550は、固定軸および固定シリンダ551を備える。固定シリンダ551は、ウェブを誘導して、固有の押圧ステーションを形成する単一の押圧シリンダ502を通過させる。
【0091】
ウェブ560の通過経路となるローラーのうちいくつかは、固定軸を持たない。詳細には、ウェブ560の送り込み側部上において、垂直方向に移動することが可能がローラー552が設けられる。ローラー552の重量だけに起因してまたは所望であればその軸上に作用するバネによる支援により、ローラー552は、ウェブ560内における一定張力を保持するように機能する。任意の理由によって供給ローラーから一時的な抵抗が発生した場合、ローラー552は浮き上がり、その逆にローラー552は自動的に下方移動して、供給ロールから牽引されたウェブの緩みを巻き取る。
【0092】
押圧ステーションにおいて、ウェブ560は、ベルト表面と同じ速度で移動する必要がある。上述したように、ベルト上の画像は、押圧シリンダ502の外周分だけ間隔を空けて配置する必要があり、この間隔内において、ベルト長さを収容する必要がある。ベルト長さ内においては、シームの可能な存在を考慮に入れて印刷は発生し得ない。そのため、押圧シリンダ502によって形成された押圧ステーションにおいてウェブ560が永久的にベルト102と係合した場合、印刷画像間に存在する基板の大部分を無駄にせざるを得ない事態となる。
【0093】
この問題を軽減するため、押圧ステーションに跨がる2つのいわゆるダンサー554および556が設けられる。ダンサー554および556は、電動ローラーであり、相互に同期して反対方向において上下移動する。ウェブ上に画像を押圧した後、圧力ローラー140を係合解除することにより、ウェブ560およびベルトを相互に移動させる。係合解除の直後、ダンサー554を下方移動させるのと同時に、ダンサー556を上方移動させる。残りのウェブは通常速度で前方移動し続けるものの、ダンサー554および556の移動により、押圧シリンダ502とベルト102との間の係合解除の発生元である隙間を通じて、ウェブ560が後方に短距離だけ移動する効果が得られる。これは、押圧ステーションに追随するウェブ走行部の緩みを占有し、これを押圧ステーションに先行するウェブ走行部へ移送することにより、行われる。その後、ダンサーの動きは逆転されて、ダンサーは図示の位置まで戻り、これにより、押圧ステーションにおけるウェブ部分は、ベルトの速度まで再度加速される。ここで、圧力ローラー140は再度係合することができ、これにより、次の画像をウェブ上に押圧するが、ウェブ上に印刷された画像間に大きなブランク領域は発生しない。
【0094】
図5に示すウェブ移送システムは、基板の片面印刷のみのために設計される。ウェブ上への両面印刷の場合は、ウェブが巻き取りロールうえに巻き取られた後にウェブの逆側へ印刷を繰り返すか、または、適切に傾斜されたローラーを用いてウェブを逆転させ、ウェブを第2の印刷システムを通じて送ることができる。第2の印刷システムは、図示の印刷システムと共に直列配置されるかまたは並列配置される。
【0095】
あるいは、ベルトの幅がウェブの幅の2倍を超える場合、同じベルトの二等分部および押圧シリンダを用いてウェブの異なる部分の対向する側部上への印刷を同時に行うことが可能となる。
【0096】
図11の印刷システムについて、同時係属中の特許出願第PCT/IB2013/051718(代理人の参照番号LIP5/006PCT)中により詳細な記載がある。この印刷システムは、エンドレスベルト610を含む。エンドレスベルト610は、画像形成ステーション612、乾燥ステーション614および押圧ステーション616を循環する。
【0097】
画像形成ステーション612において、インクジェット技術を用いた1つ以上の印刷ヘッドを含む4つの別個の印刷バー622により、異なる色のインク液滴がベルト610の表面上に堆積される。図示の実施形態においては、4つの印刷バー622はそれぞれ、典型的な4つの異なる色(すなわち、シアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)および黒色(K)))のうち1つを堆積することが可能であるが、画像形成ステーションは異なる数の印刷バーを持つことができ、これらの印刷バーにより、同じ色で異なる色合い(例えば、多様な色合いのグレイ(黒色を含む))を堆積することができ、あるいは、2つ以上のの印刷バーにより、同じ色(例えば、黒色)を堆積することができる。画像形成ステーション内の各印刷バー622に続いて、中間乾燥システム624が設けられる。中間乾燥システム624は、高温ガス(通常は空気)をベルト610の表面に吹き付けて、インク液滴を部分的に乾燥させる。この高温ガスの流れにより、インクジェットノズルの遮断の回避が支援され、また、ベルト610上の異なる色インクの液滴が相互に混ざり合う事態も回避される。乾燥ステーション614において、ベルト610上のインク液滴を放射および/または高温ガスに晒すことにより、インクがより完全に乾燥し、完全ではないにしろほとんどの液体担体が乾燥し、その結果、粘度が上昇する点まで加熱された樹脂および着色剤の層のみが残る。
【0098】
押圧ステーション616において、ベルト610は、押圧シリンダ620と、圧縮ブランケット619を搬送する圧力シリンダ618との間を通過する。ブランケット619の長さは、印刷が行われる基板のシート626の最大長さ以上である。押圧シリンダ620は、圧力シリンダ618の直径の2倍の直径を有し、基板の2つのシート626を同時に支持することができる。基板のシート626は、適切な移送機構(図11中図示せず)によって供給スタック628から搬送され、押圧シリンダ620と圧力シリンダ618との間のニップを通過する。ニップ内において、高粘度のインク画像を搬送するベルト620の表面は、圧力シリンダ618上のブランケット619により基板626へとしっかり押圧され、これにより、インク画像は基板上に押圧され、ベルト表面から完全に分離される。その後、基板は出力スタック630へ移送される。いくつかの実施形態において、ヒーター631を画像押圧ステーション616の2つのシリンダ618および620間のニップの直前に設けることにより、インク膜の高粘度化が支援され、これにより、基板への移送が促進される。
【0099】
図11の実施形態において、インク画像の移送に用いられるベルト610の表面は、基板シート626への押圧に必要な肉厚ブランケット619からの別個の要素の部分を形成する。図11において、この表面は、可撓性の肉薄の拡張不可能なベルト610上に形成される。ベルト610は好適には、繊維に補強して、(例えば、高性能繊維により)長さ方向の引っ張り強さを高めるとよい。
【0100】
図12および図13に模式的に示すように、図1図5の実施形態と同様に、ベルト610の横方向縁に、間隔を空けて配置された突起670の形態の配列を設けることができる。これらの突起670は、各側部上において各ガイドチャンネル680(図13中に部分的に示す)内に受容されて、幅方向寸法におけるベルト伸張が維持される。突起670は、縫われているかまたはベルトの横方向縁へ固定されたジッパーの半分の歯であり得る。間隔を空けて配置された突起の代替例として、ベルト610よりも肉厚の連続フレキシブルビードをここでも各側部に沿って設けることができる。摩擦低減のため、図13に示すようなガイドチャンネル680は、転がり軸受要素682を持ち得る。これらの転がり軸受要素682により、突起670またはビードがチャンネル680内に保持される。
【0101】
画像形成ステーション内のガイドチャンネル680により、インク液滴をベルト610上に高精度に配置することが可能になる。同様に、押圧ステーション616内のガイドチャンネルにより、画像を基板上に高精度に配置することが可能になる。。他の領域(例えば、乾燥ステーション614)内において、横方向ガイドチャンネルがあると望ましいが、重要度はそれほど高くない。ベルト610が緩んでいる領域においては、ガイドチャンネルは存在しない。
【0102】
ベルト610が画像形成ステーション612を通じて一定速度で移動することが重要である。なぜならば、遅れまたは振動が少しでもあった場合、異なる色のインク液滴の登録に影響が出るからである。ベルト誘導を円滑に支援するために、(固定ガイドプレート上にベルトをスライドさせるのではなく)各印刷バー622に隣接するローラー632上を通過させることにより、摩擦を低減する。ローラー632は、各印刷バー622と高精度にアライメントする必要は無い。ローラー632は、印刷ヘッドジェット発生位置の下方から若干(例えば、数ミリメートル)だけずれて配置され得る。摩擦力によりベルトの伸張が維持され、印刷バーに対して実質的に平行となる。そのため、ベルトの下側において摩擦特性が高くなり得る。なぜならば、ベルトは、誘導面である表面と転がり接触しているだけであるからである。ガイドチャンネルから付加される横方向張力は、ベルト610が印刷バー622の下側を通過する際にベルト610を平坦に維持しかつローラー632と接触させるだけの充分な力であればよい。拡張不可能な補強/支持層、疎水性解放表面層および高摩擦下面を除いて、ベルト610から他の任意の機能を提供する必要は無い。よって、ベルト610を肉薄かつ軽量の低コストのベルトとすることができ、摩耗した場合も取り外しおよび交換が容易となる。
【0103】
ベルト610をシームレスにすることができる(すなわち、その長さにそったいずれの位置においても連続している)。このようなベルトにより、印刷システムが押圧ステーションの2つのシリンダ618および620の周速と同じ表面速度で常に動作することが可能となるため、印刷システムの制御が顕著に簡単になる。劣化によってベルトが伸張した場合も、印刷システムの性能に影響が出ることはなく、ローラー650および652に以下に述べる張力付与を行うことにより緩みを増加させるだけでよい。
【0104】
しかし、例えばジッパーによってまたは恐らくはフックおよびループテープのストリップによってまたは恐らくは縁をはんだ付けするかまたは恐らくはテープ(例えば、Kapton(登録商標)テープ、RTV液体接着剤またはストリップの両縁と重複する接続ストリップを用いたPTFE熱可塑性接着剤)を用いることにより、対向する端部が相互に固定された初期において平坦なストリップとしてベルトを形成した方がより低コストである。。このような構造のベルトにおいては、シーム上において印刷が発生せずかつ押圧ステーション616内の基板626に対してシームを平坦にすることが重要である。
【0105】
押圧ステーション616の押圧シリンダ618および圧力シリンダ620は、従来のオフセットリソプレスブランケットおよび押圧シリンダと同様の様態で構築することができる。このようなシリンダにおいては、ブランケット619の2つの端部がクランプされた領域内において、圧力シリンダ618の表面中に外周切れ目がある。また、例えば(基板シートの先端をグリップしてニップを通じた移送を支援するための)グリッパーを収容するために、押圧シリンダの表面内にも切れ目が有り得る。本発明の図示の実施形態において、押圧シリンダの外周は、圧縮ブランケットシリンダの2倍であり、押圧シリンダは2組のグリッパーを有するため、これらの切れ目は、押圧シリンダについて各サイクルの2倍となる。あるいは、印刷システムにおいてグリッパーが不要である場合もある(例えば、ウェブ基板の場合)。そのような場合、押圧シリンダは、凹部を含まない連続表面を持ちえる。
【0106】
ベルト610にシームがある場合、シームが押圧ステーション616のシリンダ間の隙間と時間的に常に一致することが必要である。そのため、ベルト610の長さを圧力シリンダ618の外周の整数倍に等しくすることが望ましい。
【0107】
しかし、新規のベルトの長さがこのような長さである場合でも、例えば疲労または温度に起因して使用時において長さが変化する場合がある。そのような場合、ニップを通じて通過するシームの相が各サイクル毎に変化する。
【0108】
ベルト610のこのような長さの変化を補償するために、押圧ステーション616のシリンダから若干異なる速度でベルト610を駆動することができる。ベルト610は、2つの別個に給電されるローラー640および642によって駆動される。ベルトを駆動するローラー640および642を通じて異なるトルクを付加することにより、画像形成ステーションを通過するベルトの走行を制御された張力下において維持できる。2つのローラー640および642の速度を、押圧ステーション616のシリンダ618および620の表面速度と異なって設定することができる。
【0109】
2つの給電された張力付与ローラーまたはダンサー650および652が、押圧ステーションのシリンダ間のニップの各側部上に設けられる。これらの2つのダンサー650および652を用いて、ニップの前後のベルト610の緩みの長さを制御する。その動きを、各ダンサーに隣接する2方向矢印によって模式的に表す。
【0110】
図12および図13は、交換用ベルト610の取り付けを支援する詳細をさらに示す。ベルトを形成するストリップの先端611を角度を以て切断することにより、多様な狭い隙間(例えば、押圧ステーション616のニップまたは印刷バー622とローラー632との間の隙間)を通じた送りを促進することができる。ベルトの把持および前進をより容易にするために、先端611の剛性を高めることがさらに可能である。この先端を後端部へ固定される際に後でトリムすることができ、これにより連続ループが形成される。あるいは、先端は、ベルトの取り付け時においてストリップの一端に可逆的に取り付けられかつ端部の固定前に除去されるデバイスであり得る。
【0111】
図13は、軌道680の一方または両方に永久的に収容されるケーブル684のループを示す。交換用ベルトの前端部をケーブル684へアンカー固定した後、ケーブルを用いて多様な軌道684を通じてストリップを供給することができる。通常の使用時において、ケーブル(単数または複数)684は、軌道680内に固定されたままであり、新規のベルト610の取り付け時のみに回転される。
【0112】
本出願の上記した用途全ての内容を、本明細書中に全て記載されているかのように援用する。
【0113】
本発明について、実施形態の詳細な説明を用いて説明してきた。これらの実施形態は、例示的に記載したものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。記載の実施形態は、異なる特徴を含むが、本発明の全実施形態においてその全ては不要である。本発明のいくつかの実施形態において、特徴または可能な特徴の組み合わせのうちいくつかのみが用いられる。本発明が関連する分野の当業者であれば、記載の実施形態の改変例および記載の実施形態中に記載される特徴の異なる組み合わせを含む本発明の実施形態を想起する。
【0114】
本開示の記載および特許請求の範囲において、「含む」および「有する」という動詞およびその変化形はそれぞれ、当該動詞の目的語(単数または複数)を示し、また、必ずしも主語または動詞の主語の部材、構成要素、要素または部分の完全なリストではない。本明細書中において用いられる単数形「a」、「an」および「the」は、他に明記無き限り、複数形を含む。例えば、「配列」または「少なくとも1つの配列」は、複数の配列を含み得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13