IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オプトチューン コンシューマー アーゲーの特許一覧

特許7123137オートフォーカス及び光学式手ぶれ補正機構を備える光学デバイス、特にカメラ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】オートフォーカス及び光学式手ぶれ補正機構を備える光学デバイス、特にカメラ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20220815BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20220815BHJP
   G02B 3/14 20060101ALN20220815BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B5/00 J
G02B7/04 Z
G02B3/14
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020527787
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018082267
(87)【国際公開番号】W WO2019101885
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】17203090.0
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518044871
【氏名又は名称】オプトチューン コンシューマー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】アシュヴァンデン マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】スモルカ シュテファン
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/149092(WO,A1)
【文献】特開2012-103373(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0176710(US,A1)
【文献】特開2008-098988(JP,A)
【文献】特開2014-003588(JP,A)
【文献】国際公開第2010/098340(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0001204(KR,A)
【文献】特表2019-514038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G03B 5/00
G02B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイス(1)であって、
調整可能な焦点距離を有するレンズ(2)と、
前記レンズ(2)の焦点距離を調整するため、及び前記レンズ(2)を用いて前記光学デバイス(1)により生成される像を安定化するための4つのアクチュエータ(3)と
を備え、
各アクチュエータ(3)は、前記焦点距離を調整するための電気伝導性の第1コイル(301)及び前記像を安定化するための電気伝導性の第2コイル(302)を備え、前記第1コイル(301)は直列に接続されており、前記光学デバイス(1)は、前記焦点距離を調整するために第1電流(I1)を前記第1コイル(301)に印加するように構成されており、前記像を安定化するために、前記光学デバイス(1)は、第2電流(I2)を第1対(31)の第2コイル(302)に、及び第3電流(I3)を第2対(32)の第2コイル(302)に印加するように構成されていることを特徴とする光学デバイス(1)。
【請求項2】
前記レンズ(2)が、前記レンズ(2)の焦点距離を調整するための弾性変形可能な膜を備える請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項3】
それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)と相互作用するように構成されている磁石(5)を備え、
前記光学デバイス(1)の前記レンズ(2)が、透明な流体で満たされた容器(20)を備え、前記容器(20)が、弾性変形可能な膜により形成される透明な第1壁及び対向する第2の透明な壁を備え、前記流体が、前記2つの壁の間に配置され、前記光学デバイス(1)が、前記レンズ(2)の焦点距離を調整するため、又は前記像を安定化するために、前記膜と相互作用するように構成されているレンズ成形部材(6)を備え、
各磁石(5)が、前記容器(20)に対して可動性である前記レンズ成形部材(6)に接続されており、前記第1及び前記第2コイル(301、302)が、前記容器(20)に剛直に連結されている請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項4】
それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)と相互作用するように構成されている磁石(5)を備え、
前記光学デバイス(1)の前記レンズ(2)が、透明な流体で満たされた容器(20)を備え、前記容器(20)が、弾性変形可能な膜により形成される透明な第1壁及び対向する第2の透明な壁を備え、前記流体が、前記2つの壁の間に配置され、前記光学デバイス(1)が、前記レンズ(2)の焦点距離を調整するため、又は前記像を安定化するために、前記膜と相互作用するように構成されているレンズ成形部材(6)を備え、
各磁石(5)が前記容器(20)に剛直に連結されており、前記第1及び前記第2コイル(301、302)が、前記容器(20)に対して可動性である前記レンズ成形部材(6)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項5】
それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)が、複数の巻回部(311、312)を備え、
それぞれのアクチュエータ(3)の前記第2コイル(302)の前記巻回部(312)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1コイル(301)の前記巻回部(311)上に巻きつけられているか、又はそれぞれのアクチュエータ(3)の前記第1コイル(301)の前記巻回部(311)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第2コイル(302)の前記巻回部(312)上に巻きつけられていることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項6】
それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)が、複数の巻回部(311、312)を備え、
それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1コイル(301)の各巻回部(311)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第2コイル(302)の巻回部(312)に隣接して延在することを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項7】
それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)が、複数の巻回部(311、312)を備え、
それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1コイル(301)の巻回部(311)が、互いの上に、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1コイル(301)及び前記第2コイル(302)の共通のコイル軸(C)に垂直に重ね合わされ、他方、前記第2コイル(302)の巻回部(312)が、互いの上に、前記共通のコイル軸(C)に垂直に重ね合わされることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項8】
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)と相互作用するように構成されている磁石(5)を備え、
前記4つの第1コイル(301)が、前記レンズ(2)の焦点距離を調整するために、前記アクチュエータ(3)の前記磁石(5)のすべてと同時に相互作用するように構成されている連続的な導体を形成し、
それぞれの磁石(5)が、前記第1及び前記第2コイル(301、302)の共通のコイル軸(C)の方向に、そのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)に対向することを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項9】
それぞれの磁石(5)が、前記第1及び前記第2コイル(301、302)から離れる方向を向く前記磁石(5)の一方の側(5b)に配置される磁束帰還構造(500)を備えることを特徴とする請求項8に記載の光学デバイス(1)。
【請求項10】
それぞれの磁石(5)が、第1磁化(M1)を含む第1区画(51)及び第2磁化(M2)を含む隣接する第2区画(52)を備え、前記第1及び前記第2の磁化(M1、M2)が逆平行であることを特徴とする請求項8に記載の光学デバイス(1)。
【請求項11】
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1コイル及び前記第2コイルと相互作用するように構成されている磁石(5)を備え、
前記4つの第1コイルが、前記レンズ(2)の焦点距離を調整するために、前記アクチュエータ(3)の前記磁石(5)のすべてと同時に相互作用するように構成されている連続的な導体を形成し、
それぞれの磁石(5)が、前記第1及び前記第2コイル(301、302)の共通のコイル軸(C)の方向に、そのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)によって取り囲まれたオリフィス(300)の中へと突出することを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項12】
第1磁束帰還構造(501)が、それぞれの磁石(5)の前面側(5a)に接続されており、前記前面側(5a)が特に前記オリフィス(300)に配置されているか、又は第2磁束帰還構造(502)が、それぞれの磁石(5)の裏面側(5b)に配置されており、前記裏面側(5b)が前記前面側(5a)から離れる方向を向くことを特徴とする請求項11に記載の光学デバイス(1)。
【請求項13】
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)と相互作用するように構成されている磁石(5)を備え、
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記磁石(5)並びに前記第1及び前記第2コイル(301、302)によって移動されるように構成されているプッシャを備え、
それぞれのプッシャが、前記レンズ(2)の光軸(A)に沿って延在し、第1及び第2端区画(600a、600b)を備え、
それぞれのプッシャ(600)の前記第2端区画(600b)が、鏡筒(9)に剛直に連結されているばね構造(40)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項14】
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)と相互作用するように構成されている磁石(5)を備え、
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記磁石(5)並びに前記第1コイル及び前記第2コイルによって移動されるように構成されているプッシャを備え、
それぞれのプッシャが、前記レンズ(2)の光軸(A)に沿って延在し、第1及び第2端区画(600a、600b)を備え、
各磁石(5)がプッシャ(600)の第2端区画(600b)に接続されており、特に、前記第1及び前記第2コイル(301、302)が鏡筒(9)に剛直に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項15】
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)と相互作用するように構成されている磁石(5)を備え、
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記磁石(5)並びに前記第1及び前記第2コイル(301、302)によって移動されるように構成されているプッシャを備え、
それぞれのプッシャが、前記レンズ(2)の光軸(A)に沿って延在し、第1及び第2端区画(600a、600b)を備え、
各アクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)がプッシャ(600)の第2端区画(600b)に接続されており、特に、各磁石(5)が鏡筒(9)に剛直に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項16】
前記光学デバイス(1)の前記レンズ(2)が、透明な流体で満たされた容器(20)を備え、前記容器(20)が、弾性変形可能な膜により形成される透明な第1壁及び対向する第2の透明な壁を備え、前記流体が、前記2つの壁の間に配置され、前記光学デバイス(1)が、前記レンズ(2)の焦点距離を調整するため、又は前記像を安定化するために、前記膜と相互作用するように構成されているレンズ成形部材(6)を備え、
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)と相互作用するように構成されている磁石(5)を備え、
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記磁石(5)並びに前記第1コイル及び前記第2コイルによって移動されるように構成されているプッシャを備え、
それぞれのプッシャが、前記レンズ(2)の光軸(A)に沿って延在し、第1及び第2端区画(600a、600b)を備え、
それぞれのプッシャ(600)の前記第1端区画(600a)が、前記レンズ成形部材(6)に、特に、前記レンズ成形部材(6)の周縁領域(6b)から突出するアーム(6a)に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項17】
前記光学デバイス(1)の前記レンズ(2)が、透明な流体で満たされた容器(20)を備え、前記容器(20)が、弾性変形可能な膜により形成される透明な第1壁及び対向する第2の透明な壁を備え、前記流体が、前記2つの壁の間に配置され、前記光学デバイス(1)が、前記レンズ(2)の焦点距離を調整するため、又は前記像を安定化するために、前記膜と相互作用するように構成されているレンズ成形部材(6)を備え、
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)と相互作用するように構成されている磁石(5)を備え、
それぞれのアクチュエータ(3)が、それぞれのアクチュエータ(3)の前記磁石(5)並びに前記第1及び前記第2コイル(301、302)によって移動されるように構成されているプッシャを備え、
それぞれのプッシャが、前記レンズ(2)の光軸(A)に沿って延在し、第1及び第2端区画(600a、600b)を備え、
それぞれのプッシャ(600)の前記第1端区画(600a)が、柔軟な接続要素(601)を介して前記レンズ成形部材(6)に接続されており、前記レンズ成形部材(6)が、それぞれのプッシャ(600)に対して傾けられることができることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項18】
それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)が、複数の巻回部(311、312)を備え、
それぞれのアクチュエータ(3)がボビン(35)を備え、それぞれのアクチュエータ(3)の前記第1及び前記第2コイル(301、302)の前記複数の巻回部(311、312)が前記ボビン(35)に巻きつけられていることを特徴とする請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項19】
それぞれのプッシャ(600)が、前記ばね構造(40)のオーバーモールド品であるか、前記ばね構造(40)に接着されているか、熱かしめによって前記ばね構造(40)に接続されているかのうちの1つであることを特徴とする請求項13に記載の光学デバイス(1)。
【請求項20】
光学デバイス(1)の組み立て方法であって、
前記光学デバイス(1)の像センサ(8)を前記光学デバイス(1)の基部(80)に接続する工程と、
少なくとも1つの固定式レンズ(90)を備える鏡筒(9)を前記基部(80)に装着し、前記鏡筒(9)が前記像センサ(8)に対向し、前記鏡筒(9)が前記像センサ(8)上に合焦されるようにする工程と、
4つの第1及び4つの第2コイル(301、302)を準備し、前記第1及び前記第2コイル(301、302)を前記基部(80)に装着する工程であって、特に、前記第1及び第2のコイル(301、302)は、基板(10)によって備えられる工程と、
ばね構造(40)に接続されている4つのプッシャ(600)を準備する工程であって、それぞれのプッシャ(600)は、第1及び第2端区画(600a、600b)を備える工程と、
4つの磁石(5)を準備して、各磁石(5)をプッシャ(600)の第2端区画(600b)に接続する工程と、
容器(20)及びレンズ成形部材(6)を備えるレンズ(2)を前記プッシャ(600)に接続する工程であって、前記容器(20)は、透明な弾性変形可能な膜の形態の第1壁(22)及び前記第1壁(22)に対向する透明な第2壁(23)を備え、前記容器(20)は、前記2つの壁(22、23)の間に配置される流体(21)で満たされており、前記レンズ成形部材(6)は前記膜(22)に接着されており、前記レンズ成形部材(6)の周縁領域(6b)から突出するアーム(6a)を備え、前記アーム(6a)は、前記レンズ(2)を前記プッシャ(600)に接続するために、前記プッシャ(600)に接続される工程と、
前記ばね構造(40)を前記基部(80)に接続する工程であって、前記容器(20)は、前記プッシャ(600)が前記鏡筒(9)の外側で前記レンズ(2)の光軸(A)に沿って延在しつつ、前記レンズ成形部材(6)の各アーム(6a)がスペーサ(91)の凹部(91a)を通って突出し、前記磁石(5)が特に前記基板(10)の凹部(300)に配置されるように、前記スペーサ(91)上に配置される工程と、
筐体(12)を前記基部(80)に接続する工程と
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学デバイス、特にカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
このような光学デバイスは、調整可能な焦点距離を有するレンズと、レンズの焦点距離を調整するため、及びこのレンズを用いて光学デバイスにより生成される像を安定化させるための4つのアクチュエータとを備える。
【0003】
レンズの焦点距離を調整すること(例えば、AFとも表されるオートフォーカス)及び(例えば、OISとも表される光学式手ぶれ補正機構によって)その光学デバイスにより生成される像を安定化することという機能に関して、特に最適の数の個々のアクチュエータを使用してコンパクトなシステムを設計しつつも、それらの機能を最小の数の制御装置で作動させることができることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する光学デバイスによって解決される。
【0005】
当該光学デバイスの好ましい実施形態は、対応する従属請求項に記載されており、以下に説明される。
【0006】
請求項1によれば、各アクチュエータは、焦点距離を調整するための電気伝導性の第1コイル及び像を安定化するための第2の電気伝導性コイルを備え、この第1コイルは直列に接続されており、当該光学デバイスは、上記焦点距離を調整するために第1電流を上記第1コイルに印加するように構成されており、上記像を安定化するために、当該光学デバイスは、第2電流を(例えば、対向する)第2コイルの第1対に印加し、第3電流を(例えば、対向する)第2コイルの第2対に印加するように構成されている。
【0007】
特に、上記レンズは形状変化レンズである。例えば、このレンズは、そのレンズの焦点距離を調整するための弾性変形可能な膜を備えることができる。
【0008】
上記3つの電流を印加するために、当該光学デバイスは、3つのチャネルを備える電流ドライバを備えてもよく、これらの電流の各々は、これらのチャネルのうちの1つを介して印加される。下記も参照。
【0009】
特に、本発明は、ここでは例えばそれぞれのアクチュエータの磁石によって生成される特定の磁場と相互作用するコイルに複数のワイヤを使用する。
【0010】
特に、当該光学デバイスは、焦点距離を自動的に調整して、鮮明な像を生成する(AF)ように構成されている。上記像の安定化は、OISによって特に成し遂げられ、当該光学デバイスのジャイロセンサは、上記像を生成するための当該光学デバイスの像センサの延在平面における当該光学デバイスの動きを示す出力信号を提供し、上記延在平面は、例えば第1方向(例えば、x方向)及び直交する第2方向(例えば、y方向)に広がっており、当該光学デバイスは、上記ジャイロセンサにより検出される上記平面における当該光学デバイスの望まれない移動を補正するために、上記像を上記第1方向及び/又は上記第2方向において移動させるように構成されている。特に、像が当該光学デバイスの上記望まれない移動に起因して像センサに対するその位置を変えることがないように、上記像は移動される。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、それぞれのアクチュエータの第1コイル及び第2コイルは、横方向において上記レンズよりもさらに外側(例えば、当該光学デバイスの筐体の側壁に隣接して、又は当該光学デバイスの筐体の隅部領域に隣接して、若しくは当該光学デバイスの筐体の隅部領域の中に。この隅部領域は、当該光学デバイスの筐体の2つの隣接する側壁によって形成される)に配置されている。特に、横方向は、レンズの光軸に垂直に延在する。あるいは又は加えて、それぞれのアクチュエータの第1コイル及び第2コイルは、レンズの光軸に沿ってレンズからずれて配置されている。
【0012】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのアクチュエータは、それぞれのアクチュエータの第1コイル及び第2コイルと相互作用するように構成されている磁石(自身の磁化方向を持つ1つ又は複数の磁石区画からなる)を備える。
【0013】
さらに、本発明の一実施形態によれば、上記4つの第1コイルは、上記レンズの焦点距離を調整するために、上記アクチュエータの上記磁石のすべてと同時に相互作用するように構成されている連続的な導体を形成する。
【0014】
さらに、本発明の一実施形態によれば、第2コイルの第1対は、上記像を安定化するために、上記4つの磁石の2つの対向する磁石と同時に相互作用するように構成されている連続的な導体を形成し、上記対向する磁石の各々は、第2コイルの第1対の第2コイルのうちの1つに関連している。
【0015】
さらに、本発明の一実施形態によれば、第2コイルの上記第2対は、上記像を安定化するために、上記4つの磁石の2つの残りの対向する磁石と同時に相互作用するように構成されている連続的な導体を形成し、上記対向する磁石の各々は、第2コイルの第2対の第2コイルのうちの一方に関連している。
【0016】
さらに、本発明の一実施形態によれば、当該光学デバイスのレンズは、透明な流体で満たされた容器を備え、この容器は、弾性変形可能な膜により形成される第1壁及び対向する第2の透明な壁(固定式レンズ又は透明なプレート等の光学要素であることができる)を備え、上記流体は、上記2つの壁の間に配置され、当該光学デバイスは、レンズの焦点距離を調整するため、及び/又は上記像を安定化するために、上記膜と相互作用するように構成されているレンズ成形部材(レンズ形状決定部材)を備える。
【0017】
上記膜は弾性的に変形できるということに起因して、上記容器及びその中に存在する流体は、焦点調整可能(又は可変)レンズを形成する。
【0018】
さらには、特に、上記レンズ成形部材は、調整可能な曲率を有する上記膜の領域を画定する。この曲率は、例えば、上記レンズ成形部材を上記膜に対して押し付けること、又はレンズ成形部材によって膜を引っ張ることによる、上記レンズ成形部材と上記膜との相互作用により、調整することができる。
【0019】
特に、上記レンズ成形部材は、直接的に、又は(例えば、接着剤等によって形成される)別の材料層を介して間接的に上記膜と接触することができる。このレンズ成形部材はさらに、直接的に、又は接着剤層等の別の材料層を介して上記膜に接着することにより、上記膜に取り付けられることが可能である。
【0020】
特に、一実施形態によれば、上記レンズ成形部は、上記膜にプラズマ接着されている。
【0021】
特に、上記レンズ成形部材が調整可能な曲率を有する上記膜の領域を画定するという概念は、上記レンズ成形部が、上記膜に取り付けられていることにより、又は上記膜に接触することにより、上記膜の弾性的に拡張可能な(例えば、円形の)領域の範囲を定めることを意味してもよく、特に、この領域は、上記レンズ成形部材の(例えば、円周状の)内縁まで延在する。この領域は、光学活性な領域と表されてもよい。というのも、光はレンズのこの領域を通り、この領域の曲率によって影響を受けるからである。
【0022】
レンズ成形部材が上記膜に対して押し付けられるとき、その膜は拡張され、上記膜の上記領域の上記の曲率は、容器の中に存在する流体に起因して増大する。同様に、レンズ成形部材がより小さい程度に上記膜に対して押し付けられるか又はさらには上記膜を引っ張るとき、上記膜の上記領域の上記曲率は減少する。
【0023】
増大する曲率は、これにより、上記膜の上記領域がより顕著な凸状のバルジ(膨らみ)を呈してもよいこと、又は上記膜の上記領域が凹状又は平坦な状態から凸状の状態へ変化することを意味する。同様に、減少する曲率は、上記膜の上記領域が顕著な凸状の状態からより低く顕著な凸状の状態若しくはさらには平坦若しくは凹状の状態へ変化すること、又は平坦若しくは凹状の状態からさらにより顕著な凹状の状態へと変化することを意味する。
【0024】
上記膜は、以下の材料のうちの少なくとも1つから作製されることが可能である:ガラス、ポリマー、エラストマー、プラスチック又は任意の他の透明で伸縮性又は可撓性の材料。例えば、上記膜は、PDMSとしても知られるポリ(ジメチルシロキサン)等のシリコーン系ポリマー又はPET若しくは二軸配向ポリエチレンテレフタレート(例えば「Mylar」)等のポリエステル材料から作製されてもよい。
【0025】
さらに、上記膜はコーティングを備えることができる。さらに、この膜は、構造化されていてもよく、例えば、構造化表面、例えば反射防止コーティングのためのナノ構造を備えてもよく、又はその膜にわたる可変の厚さ又は剛性を有することができる。
【0026】
さらに、上記流体は、好ましくは、液体、液体金属、ゲル、ガス、若しくは変形できる任意の透明な、吸収性若しくは反射性の材料であるか、又はこれらを含む。例えば、この流体は、シリコーンオイルであってもよい。加えて、この流体はポリマーを含んでもよい。
【0027】
さらに、本発明の一実施形態によれば、各磁石は、上記容器に対して可動性である上記レンズ成形部材に接続されており、上記第1コイル及び第2コイルは、上記容器に(例えば、鏡筒を介して)剛直に連結されている。
【0028】
さらに、本発明の代替の実施形態によれば、各磁石は、(例えば、鏡筒を介して)上記容器に剛直に連結されており、上記第1コイル及び上記第2コイルは、その容器に対して可動性である上記レンズ成形部材に接続されている。
【0029】
さらに、本発明の一実施形態によれば、焦点距離を調整するために、上記膜に、レンズ成形部材を用いて、上記光軸と平行に走る方向に力を奏するために、第1電流が上記アクチュエータの第1コイルに印加されるときに、そのアクチュエータは、上記容器に対してレンズ成形部材を、又はレンズ成形部材に対してその容器を移動させるように構成されている(この相対的移動は、レンズ成形部材を移動させること、又は上記レンズの容器を移動させることにより、成し遂げることができる)。
【0030】
さらに、本発明の一実施形態によれば、上記レンズ成形部材は、調整可能な曲率を有する上記膜の領域を画定し、上記アクチュエータは、上記領域の曲率、そしてこれに伴いレンズの焦点距離を調整するために第1電流がアクチュエータの第1コイルに印加されるときに、レンズ成形部材を、レンズの光軸に平行に延在する方向に、上記膜に対して押し付けるか、又は(例えば、膜に接着されたレンズ成形部材を引っ張ることにより)レンズの光軸に平行に走る反対方向に膜を引っ張るように構成されている。
【0031】
さらに、本発明の一実施形態によれば、上記第1コイルは、上記第1電流がすべての第1コイルを通って同じ方向に流れるように、又は各アクチュエータの上記第1コイル及び磁石によって生成される、(例えば、レンズの焦点距離を調整するために、レンズ成形部材に作用する)力が同じ方向を向く(すなわち、レンズ成形部材は傾いていないが、光軸の方向に移動される)ように、直列に接続されている。
【0032】
さらに、本発明の一実施形態によれば、上記4つのアクチュエータは、2つの対向するアクチュエータの第1対及び2つの対向するアクチュエータの第2対から構成されており、アクチュエータの第1対の第2コイルは、第2コイルの上記第1対を形成し、アクチュエータの第2対の第2コイルは、第2コイルの上記第2対を形成する。
【0033】
さらに、本発明の一実施形態によれば、上記第1軸の周りにレンズ成形部材が傾いたときに上記レンズの焦点距離のシフトを防止するために、当該光学デバイスは、上記像を安定化するために上記像を第1方向(例えば、x方向)にシフトさせるように上記膜の上記領域を上記容器の第2壁に対して傾けるために上記第2電流が第2コイルの対応する第1対に印加されるときに、アクチュエータの上記第1対を使用して、第1軸の周りに容器に対してレンズ成形部材を傾けるように構成されている。さらに、一実施形態によれば、当該光学デバイスは、上記像を安定化するために上記像を第2方向(例えば、y方向)にシフトさせるように膜の上記領域を容器の第2壁に対して傾けるために上記第3電流が第2コイルの対応する第2対に印加されるときに、アクチュエータの上記第2対を使用して第2軸の周りに容器に対してレンズ成形部材を傾けるように構成されており、特に、上記第2方向は上記第1方向に垂直に走る。特に、上記第1及び第2の方向は、当該光学デバイスの像センサの延在平面に広がる。上記も参照。
【0034】
さらに、本発明の一実施形態によれば、第2コイルの上記第1対の第2コイルは、第2電流が、第2コイルの第1対の上記第2コイルのうちの一方を通って第1電流方向に、及び第2コイルの上記第1対の他方の第2コイルを通って上記第1電流方向とは反対の電流方向(例えば、上記コイル軸の方向に見て、時計方向及び反時計方向、若しくは反時計方向及び時計方向)に流れるように、又はアクチュエータの第1対が、(例えば、レンズ成形部材を傾けるために)反対方向に向く(例えば、レンズ成形部材に作用する)2つの力を生成するように、直列に接続されている。
【0035】
さらに、一実施形態では、第2コイルの上記第2対の第2コイルは、上記第3電流が、第2コイルの第2対の上記第2コイルのうちの一方を通って第2電流方向に、及び第2コイルの上記第2対の他方の第2コイルを通って、上記第2電流方向とは反対の電流方向(例えば、コイル軸の方向に見て、時計方向及び反時計方向、若しくは反時計方向及び時計方向)に流れるように、又はアクチュエータの第2対が、(例えば、上記レンズ成形部材を傾けるために)反対方向に向く(例えば、レンズ成形部材に作用する)2つの力を生成するように、直列に接続されている。
【0036】
さらに、本発明の一実施形態によれば、当該光学デバイスは、上記レンズ成形部材を上記第1軸の周りに傾けた際に、レンズの焦点距離のシフトを防止するように、アクチュエータの第1対の第2コイル及びこの第2コイルと相互作用する磁石によってレンズ成形部材の一方側に加えられる力の量が、アクチュエータの第1対の他方の第2コイル及びこの他の第2コイルと相互作用する磁石によって、レンズ成形部材の反対側で同時に取り除かれるように上記第2電流が第2コイルの対応する第1対に印加されるときに、(いずれの場合も)アクチュエータの上記第1対を使用して第1軸の周りに上記容器に対してレンズ成形部材を傾けるか、又は第1軸の周りにレンズ成形部材に対して容器を傾けるように構成されている。
【0037】
さらに、一実施形態によれば、当該光学デバイスは、上記レンズ成形部材を上記第2軸の周りに傾けた際に、レンズの焦点距離のシフトを防止するように、アクチュエータの第2対の第2コイル及びこの第2コイルと相互作用する磁石によってレンズ成形部材の一方側に加えられる力の量が、アクチュエータの第2対の他方の第2コイル及びこの他方の第2コイルと相互作用する磁石によって、レンズ成形部材の反対側で同時に取り除かれるように上記第3電流が第2コイルの対応する第2対に印加されるときに、(いずれの場合も)アクチュエータの上記第2対を使用して第2軸の周りに上記容器に対してレンズ成形部材を傾ける(又は第2軸の周りにレンズ成形部材に対して容器を傾ける)ように構成されている。
【0038】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのアクチュエータの上記第1コイル及び上記第2コイルは、複数の巻回部を備える。
【0039】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのアクチュエータの第2コイルの巻回部は、それぞれのアクチュエータの第1コイルの巻回部上に巻きつけられている。あるいは、それぞれのアクチュエータの第1コイルの巻回部も、それぞれのアクチュエータの第2コイルの巻回部上に巻き付けられることが可能である。
【0040】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのアクチュエータの第1コイルの各巻回部は、それぞれのアクチュエータの第2コイルの巻回部に隣接して延在する。
【0041】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのアクチュエータの第1コイルの巻回部は、互いの上に、それぞれのアクチュエータの第1コイル及び第2コイルの共通のコイル軸に垂直に重ね合わされ、他方、第2コイルの巻回部は、互いの上に、上記共通のコイル軸に垂直に重ね合わされる。
【0042】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのアクチュエータの第1コイルは、それぞれのアクチュエータの第2コイルよりも多くの巻回部を備える。これにより、4つのアクチュエータを用いて焦点距離を調整することは、アクチュエータの第1及び第2の対を用いて像安定化を行うよりも大きい力を必要とするということに対応することが可能になる。これは、焦点距離を調整することは、上記膜の上記曲率調整可能な領域の曲率を増加させるためにレンズ成形部材を膜に対して押し付けることを必要とする可能性があり、他方で、像安定化は、焦点距離を変えないために、上記流体の一定圧力を維持しながらレンズ成形部材を傾けることを必要とするということによる。第2コイルのためにより少ない巻回部を使用することで、原理上は、同じ(例えば、ワイヤ)断面を第1コイル及び第2コイルの巻回部のために使用することが可能になる。
【0043】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのアクチュエータの第1コイルの巻回部は、それぞれのアクチュエータの第2コイルの巻回部よりも大きい(例えば、ワイヤ)断面を備える。ここでも、第1コイルは、第2コイルと比べてより大きい力を生成することができる。原理上は、第2コイルの巻回部のためにより小さい断面を使用することで、第1コイル及び第2コイルのために同じ数の巻回部(巻き数)を使用することが可能になる。
【0044】
さらに、本発明の一実施形態によれば、上記第1、第2及び第3の電流を印加するために、当該光学デバイスは、第1、第2及び第3のチャネルを備える電流ドライバを備え、当該光学デバイスは、第1チャネルを介して第1電流を第1コイルに印加するように、第2チャネルを介して第2電流を第2コイルの第1対に印加し、第3チャネルを介して第3電流を第2コイルの第2対に印加するように構成されている。
【0045】
さらに、本発明の一実施形態によれば、上記第1チャネルは、上記2つの他のチャネル(例えば10ビット)よりも高い分解能(12ビット以上)を備える。
【0046】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれの磁石は、第1コイル及び第2コイルの共通のコイル軸の方向に、そのアクチュエータの第1コイル及び第2コイルを向き、第1コイル及び第2コイルの巻回部は、上記共通のコイル軸の周りに巻きつけられている。
【0047】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれの磁石は、第1コイル及び第2コイルから離れる方向を向く磁石の一方の側に配置される磁束帰還構造(magnetic flux return structure)を備える。
【0048】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれの磁石は、第1磁化を含む第1区画及び第2磁化を含む隣接する第2区画を備え、第1及び第2の磁化は逆平行である。
【0049】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれの磁石は、そのアクチュエータの第1コイル及び第2コイルによって取り囲まれたオリフィスの中へと突出する。一実施形態では、それぞれの磁石は、第1コイル及び第2コイルの共通のコイル軸の方向にそれぞれのオリフィスの中へと突出することができ、第1コイル及び第2コイルの巻回部は、上記共通のコイル軸の周りに巻きつけられており、又は上記共通のコイル軸の周りに延在する。
【0050】
さらに、本発明の一実施形態によれば、第1磁束帰還構造は、上記オリフィスに配置されている磁石の前面側、及び/又はその磁石の裏面側に配置されている第2磁束帰還構造に接続されており、上記裏面側は上記前面側から離れる方向を向く。
【0051】
さらに、本発明の一実施形態によれば、当該光学デバイスは、像センサ及び少なくとも1つの固定式レンズを備える鏡筒を備え、この鏡筒はその像センサに剛直に連結されており、上記レンズの容器は、鏡筒の上面上に(または上面に隣接して)配置され、その結果、容器、特に膜の上記領域、は当該光学デバイスの上記少なくとも1つの固定式レンズ及び像センサに対向し、鏡筒の上記上面は、上記像センサから離れる方向を向く。
【0052】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのアクチュエータは、それぞれのアクチュエータの上記磁石及び第1コイル及び第2コイルによって移動されるように構成されているプッシャを備える。
【0053】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのプッシャは、(例えば、上記鏡筒の外側で)レンズの光軸に沿って延在し、第1端区画及び対向する第2端区画を備える。
【0054】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのプッシャの第2端区画は、上記鏡筒に剛直に連結されているばね構造に接続されており、このことで、それぞれのプッシャが、上記関連するアクチュエータによって、他方のプッシャに対して独立に移動されることが可能になる。
【0055】
さらに、本発明の一実施形態によれば、各磁石はプッシャの第2端区画に接続されており、特に第1コイル及び第2コイルは鏡筒(又は容器)に剛直に連結されていることが可能である。
【0056】
さらに、本発明の一実施形態によれば、各アクチュエータの第1コイル及び第2コイルは、プッシャの関連する第2端区画に接続されており、各磁石は、上記鏡筒に剛直に連結されている。
【0057】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのプッシャの第1端区画は、上記レンズ成形部材、特にレンズ成形部材の周縁領域から突出するアームに接続されている。特に、上記周縁(又は環状)領域は、調整可能な曲率を有する上記膜の上記領域を画定する。
【0058】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのプッシャは、上記レンズの光軸に沿って移動されるように構成されており、特にそれぞれのプッシャとレンズの膜及び上記ばね構造との相互作用は、それぞれのプッシャの案内をもたらす。
【0059】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのプッシャの第1端区画は、柔軟な接続要素を介して上記レンズ成形部材(特に、レンズ成形部材のそれぞれのアーム。上記参照)に接続されており、その結果、レンズ成形部材は、それぞれのプッシャに対して(例えば、一例として最大5°の量)傾けられることが可能である。
【0060】
さらに、本発明の一実施形態によれば、上記アクチュエータの第1コイル及び第2コイルの巻回部は、当該光学デバイスの基板に埋め込まれ、この基板は、プリント配線基板であることができる。
【0061】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのアクチュエータは、巻回部を保持するためのボビンも備えてよく、それぞれのアクチュエータの第1コイル及び第2コイルの巻回部はそのボビンに巻きつけられている。
【0062】
さらに、本発明の一実施形態によれば、当該光学デバイスのそれぞれのアクチュエータは、上記レンズ成形部材の位置を測定するためのホールセンサを備える。
【0063】
さらに、本発明の一実施形態によれば、それぞれのプッシャは、上記ばね構造のオーバーモールド品であるか、そのばね構造に接着されているか、又は熱かしめによってそのばね構造に接続されているかのうちの1つである。
【0064】
さらに、本発明の一実施形態によれば、当該光学デバイスは、焦点距離を所望の値に調整するために当該光学デバイスによって備えられるか又は当該光学デバイスに隣接して置かれる像センサ又は距離センサを使用して、フィードバック信号を生成するように構成されており、当該光学デバイスは、上記フィードバック信号が、上記レンズの所望の焦点距離に対応する基準値に近づくように、第1電流を第1コイルに印加するように構成されている。あるいは、又は加えて、当該光学デバイスは、レンズの焦点距離を所望の値に調整するために、第1電流の手動による調整のために構成することができる。
【0065】
さらに、本発明の一実施形態によれば、当該光学デバイスは、上記像を安定化するために(当該光学デバイスの望まれない移動の影響を弱めるために)当該光学デバイスによって備えられるか又は当該光学デバイスに隣接して置かれるジャイロセンサを使用して、フィードバック信号を生成するように構成されており、当該光学デバイスは、上記フィードバック信号が、当該光学デバイスによって生成される像を安定化するために(上記第1及び/又は第2の方向の)上記像の望まれたシフトに対応する基準値に近づくように、第2電流を第2コイルの第1対に、及び/又は第3電流を第2コイルの第2対に印加するように構成されている。
【0066】
さらに、本発明の一実施形態によれば、当該光学デバイスは、補正第2電流を第2コイルの第1対に、及び/又は補正第3電流を第2コイルの第2対に印加することにより、上記アクチュエータの第1コイルによって引き起こされるレンズ成形部材の傾きを打ち消すように構成されている。
【0067】
さらに、一実施形態によれば、当該光学デバイスは、上記レンズの一定の焦点距離を維持するために、対応する補正第1電流を第1コイルに印加することにより、第2コイルの第1対及び/又は第2コイルの第2対によって生成されるレンズの焦点距離の変化を補正するように構成されている。
【0068】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る光学デバイスの組み立て方法であって、
当該光学デバイスの像センサを当該光学デバイスの基部に接続する工程と、
少なくとも1つの固定式レンズを備える鏡筒をその基部に装着し、この鏡筒が上記像センサに対向するようにする工程(特に、上記基部は、雌ねじを備える凹部を備えることができ、この鏡筒は、鏡筒を基部に装着するために上記雌ねじと係合するように構成されている雄ねじを備えることができる)と、
4つの第1コイル及び4つの第2コイルを準備し、第1コイル及び第2コイルを上記基部に装着する工程であって、特に、上記第1及び第2のコイルは、基部に装着される基板(例えば、プリント配線基板)によって備えられ、特にその基板は凹部を備え、各凹部は、第1及び第2のコイルによって取り囲まれ、それぞれの第1及び第2のコイルと相互作用するための磁石を受けるために構成されている工程と、
ばね構造に接続されている(例えば、上記4つのアクチュエータの各々に対する)4つのプッシャを準備する工程であって、それぞれのプッシャは、第1及び第2の端区画を備える工程と、
4つの磁石を準備して、各磁石をプッシャの第2端区画に接続する工程と、
容器及びレンズ成形部材を備えるレンズを上記プッシャに接続する工程であって、この容器は、透明な弾性変形可能な膜の形態の第1壁及びこの第1壁に対向する透明な第2壁を備え、この容器は、上記2つの壁の間に配置される透明な流体で満たされており、上記レンズ成形部材は上記膜に接着されており、かつそのレンズ成形部材の周縁領域から突出するアームを備え、このアームは、上記レンズを上記プッシャに接続するために、そのプッシャに接続されている工程と、
スペーサを上記鏡筒の上面に接続する工程と、
上記ばね構造を上記基部に接続する工程であって、上記容器は、上記プッシャが上記鏡筒の外側で上記レンズの光軸に沿って延在しつつ、上記レンズ成形部材の各アームが上記スペーサの凹部を通って突出し、上記磁石が上記基板の上記凹部(の中)に配置されるように、上記スペーサ上に配置されている工程と、
(例えば、電磁場に対するシールドを形成する)筐体を上記基部に接続する工程と
を備える方法が開示される。
【0069】
さらなる組み立て方法/上記の方法の変法は、請求項47~請求項49に記載されている。
【0070】
本発明のさらなる態様は、本発明に係る光学デバイスを備えるデバイス、特に携帯電話に関する。このシステムは、距離センサ及び/又はジャイロセンサをさらに備えることができる。
【0071】
特に、本明細書に記載される発明は、以下の分野/デバイスに応用することができる:眼科機器、例えば眼位計(フォロプター)、レフラクトメータ(屈折計)、パキメータ(厚度計)、生体認証装置(iometrics)、視野計、レフラクトケラトメータ、屈折レンズ分析器、眼圧計、アノマロスコープ、諧調計、角膜内皮細胞顕微鏡(endothelmicroscope)、アノマロスコープ、バイノプトメータ(binoptometer)、OCT、ローダテスト(rodatest)、検眼鏡、RTA、マシンビジョン、携帯電話カメラ、携帯電話、医療機器、ロボットカメラ、仮想現実カメラ又は拡張現実カメラ、顕微鏡、望遠鏡、内視鏡、ドローンカメラ、監視カメラ、ウェブカメラ、自動車用カメラ、動作追跡、双眼鏡、リサーチ、自動車、プロジェクタ、距離計、バーコードリーダ、ウェブカメラ、3Dセンシング。
【0072】
本発明のさらなる特徴及び利点、並びに本発明の実施形態は、以下の図面を参照して以降に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1図1は、本発明に係る光学デバイスの4つのアクチュエータの配置の概略図を示し、特に、当該光学デバイスの光軸は、示された平面に垂直に走っている。
図2図2は、当該光学デバイスのレンズの焦点距離を調整するために、第1電流がアクチュエータの第1コイルのみに印加される図1の配置を示す。
図3図3は、(例えば、OISを提供するために)第1軸の周りにレンズ成形部材を傾けるために第2電流が第2コイルの第1対に印加される図1の配置を示す。
図4図4は、(例えば、OISを提供するために)第2軸の周りにレンズ成形部材を傾けるために第3電流が第2コイルの第2対に印加される図1の配置を示す。
図5図5は、加えてレンズの焦点距離を調整するために、加えて第1電流がアクチュエータのすべての第1コイルに印加される図3の構成を示す。
図6図6は、両方の軸の周りにレンズ成形部材を傾けるように、及びレンズの焦点距離を同時に調整するように、第1コイルへの第1電流の印加、並びに第2コイルの第1対への第2電流の印加、及び第2コイルの第2対への第3電流の印加を示す。
図7図7は、本発明に係る光学デバイスの個々のアクチュエータの組み合わされた第1及び第2のコイルの異なる実施形態を示す。
図8図8は、特に図1図6に示される配置を使用する本発明に係る光学デバイスの実施形態の分解組立図を示す。
図9図9は、図8(及び図10)の細部を示す。
図10図10は、図8及び図9に示される当該光学デバイスの断面図を示す。
図11図11は、本発明の一実施形態に係る光学デバイスの組み立て方法の工程(A)~(I)を示す。
図12図12は、本発明に係るアクチュエータの可能な異なる構成を示す。
図13図13は、本発明に係るアクチュエータの可能な異なる構成を示す。
図14図14は、本発明に係るアクチュエータの可能な異なる構成を示す。
図15図15は、本発明に係るアクチュエータの可能な異なる構成を示す。
図16図16は、本発明に係る光学デバイスのアクチュエータの磁石の位置を測定するためのホールセンサの使用を示す。
図17図17は、当該光学デバイスのアクチュエータによって生成されるレンズ成形部材の可能な動きの概略図を示し、このレンズ成形部材は、光軸の方向に移動されること(レンズの焦点距離の調整)、及び/又は像安定化をもたらすために、例えば、2つの異なる軸の周りに傾けられることが可能である。
図18図18は、光学デバイス並びに距離センサ及び/又はジャイロセンサを備えるデバイス(例えば、携帯電話)の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1は、図2図6と合わせて、本発明に係る光学デバイス1の概略図を示し、光学デバイス1は、調整可能な焦点距離を有するレンズ2(図8図10、又は図17を参照)と、上記レンズ2の焦点距離を調整するため、及び上記レンズ2を用いて当該光学デバイス1により生成される像を安定化するための4つのアクチュエータ3とを備える。本発明によれば、各アクチュエータ3は、上記焦点距離を調整するための電気伝導性の第1コイル301、及び上記像を安定化するための第2の電気伝導性コイル302を備え、第1コイル301は、図1に示されるように直列に接続されており、光学デバイス1は、焦点距離を調整するために第1電流I1を第1コイル301に印加するように構成されており、上記像を安定化するために、光学デバイス1は、第2電流I2を(例えば、対向する)第2コイル302の第1対31に、及び第3電流I3を(例えば、対向する)第2コイル302の第2対32に印加するように構成されている。
【0075】
上記3つの電流I1、I2、I3を印加するために、光学デバイス1は、3つのチャネル41、42、43を備える電流ドライバ4(図1図6を参照)を備えてもよい。特に、わずか3つのチャネルで、上記電流信号I1、I2、I3の各々が上記チャネル41、42、43のうちの1つを介して印加される。
【0076】
特に、光学デバイス1は、(例えば、像センサ又は距離センサ8aを使用して)鮮明な像を生成するために焦点距離を自動的に調整するように構成されており、この調整はオートフォーカス(AF)と呼ばれる。(例えば、例えば図8に示されるように像センサ8を使用することにより)光学デバイス1により生成される像の安定化を成し遂げるために、光学デバイス1は、上記像を生成するための光学デバイス1の像センサ8の延在平面での光学デバイス1の移動を示す出力信号を提供するジャイロセンサ8cを備え、及び/又はそのジャイロセンサ8cに接続されていてもよく、この延在平面は、例えば、第1方向(例えば、x)及び直交する第2方向(例えば、y)に広がっており、光学デバイス1は、ジャイロセンサ8cにより検出される上記平面における当該光学デバイス1の望まれない移動を補正するように、第1方向及び/又は第2方向に像をシフトさせるように構成されている。特に、光学デバイス1は、図18に示される(例えば、携帯電話の形態の)デバイス1’のコンポーネントを形成することができ、このデバイス1’は、上記距離センサ8a及び/又は上記ジャイロセンサ9cも備えてよい。その場合、光学デバイス1は、本明細書に記載されるデバイス1’の望まれない移動の影響を弱めるための光学式手ぶれ補正機構を提供するように構成される。
【0077】
図1図6に概略的に示されているように、それぞれのアクチュエータ3は、第1及び第2のコイル301、302のほかに、関連する第1及び第2のコイル301、302と相互作用するように構成されている磁石5を備える。
【0078】
図1図6にさらに示されるように、4つの第1コイル301は、レンズ2の焦点距離を調整するために上記アクチュエータ3の上記磁石5のすべてと同時に相互作用するように構成されている連続的な導体を形成する。これにより、以降により詳細に説明されるとおり、レンズ2の焦点距離を調整するために、レンズ成形部材6(図8図10及び図17を参照)を光軸Aの方向に移動させることが可能になる。
【0079】
さらに、第2コイル301の第1対31は、上記像を安定化するために2つの対向する磁石5と同時に相互作用するように構成されている連続的な導体を形成する。第2コイル302の上記第1対31及び対応する磁石5を備えるアクチュエータの第1対33を使用して、レンズ成形部材6は、第1軸60の周りに傾けられることが可能であり、これにより、光学デバイス1の望まれない移動の影響を弱めるためにレンズ2を通過する光Lが偏向されることができるように、レンズをプリズムへと変形させる(図17(C)に示されるように)ことが可能である。
【0080】
同様に、第2コイル302の第2対32も、上記像を安定化するために(上記4つの磁石5のうちの)2つの残りの対向する磁石5と同時に相互作用するように構成されている連続的な導体を形成する。ここでは、第2コイル302の上記第2対32及び対応する磁石5を備えるアクチュエータの第2対34を使用して、レンズ成形部材6はまた、当該光学デバイス1の望まれない移動の影響を弱めるために、第2軸61の周りに傾けられることが可能である。光学デバイス1の対応する望まれない移動を補正するために生成像の2Dシフトが成し遂げられうるように、第1軸及び第2軸60、61の周りのこの2つの可能な傾ける動きを組み合わせることができる。
【0081】
図2図6は、焦点距離調整及び像安定化の異なる状況を示す。図2では、電流I1がすべての第1コイルを通って同じ方向に流れるように、又は少なくとも、個々のアクチュエータ3(例えば、磁石5及び関連する第1及び第2のコイル301、302)により生成される力が同じ方向を向く、つまり光軸Aに平行に向くように直列に接続されたすべての4つの第1コイルに第1電流I1のみが印加され、その結果、レンズ2の焦点距離が(例えば、図17(B)に示されるように)調整される。
【0082】
図3では、第2コイル302の第1対31の第2コイル302のみが第2電流I2を受け、その結果、レンズ成形部材6は第1軸60の周りに傾けられる。
【0083】
これらと対照的に、図4では、第2コイル302の第2対32の第2コイル302だけが第3電流I3を受け、その結果、レンズ成形部材6は第2軸61の周りに傾けられる。
【0084】
図5は、第1電流I1をすべてのアクチュエータ3のすべての第1コイル301に印加することに起因するレンズ成形部材6の軸方向移動と、第2電流I2による第2コイルの第1対31の第2コイル302の活性化に起因する第1軸60の周りの傾ける動きとの組み合わせを示す。
【0085】
最後に、図6は、レンズ2の焦点距離の調整を成し遂げるように(例えば、図17(B)に示されるように)、及び同時に像安定化をもたらすように(例えば、図17(C))、第1、第2及び第3の電流I1、I2、I3が同時に印加される状況を示す。
【0086】
特に、図8図10及び図17に示されるように、光学デバイス1のレンズ2は、透明な流体、特に液体、21で満たされている容器20を備えることができ、この容器20は、弾性変形可能な膜22によって形成される第1壁22及び対向する第2の透明な壁23を備え、第2の透明な壁23は、固定式レンズ又は透明な(例えば、ガラス又はプラスチックの)プレート等の光学要素であることができ、流体21は、2つの壁22、23の間に配置され、上記レンズ成形部材6は、レンズ2の焦点距離を調整するために、及び/又は上記像を安定化するために、膜22と相互作用するように構成されている。
【0087】
特に、このために、レンズ成形部材6は、調整可能な曲率を有する膜22の領域22aを画定し、アクチュエータ3は、(例えば、図17(B)に示されるように)レンズ成形部材6を膜22に対してレンズ2の光軸Aと平行に延在する方向に押し付けるか、又はさらには光軸Aと並行に走る反対方向に膜22を引っ張るように構成されている。この動きは、上記のとおり、第1電流I1を4つのアクチュエータ3のすべての第1コイル301に印加することにより成し遂げられる。
【0088】
さらに、特に図8及び図9に示されるように、レンズ成形部材6は、上記領域22を画定する環状領域又は周縁領域6b、及びこの領域6bから突出する4つのアーム6aを備え、各アーム6aは、レンズ成形部材6を移動させるためのアクチュエータ3のうちの1つに連結されており、その結果、レンズ成形部材の環状領域6bは、規定されたやり方で膜22に対して押し付けられることができる(又は、膜22を引っ張ることができる)。
【0089】
特に、アクチュエータ3を用いてレンズ成形部材6を移動させるために、各磁石5は、レンズ成形部材6に接続されており、一方で、第1及び第2のコイル301、302は、(例えば、鏡筒9を介して。下記参照)レンズ2の容器20に剛直に連結されている。あるいは、コイル301、302をレンズ成形部材6に接続し、上記磁石を容器20に剛性に連結することも可能である。
【0090】
それぞれの磁石5をレンズ成形部材6に接続するために、各アクチュエータ3は、例えば図8図9及び図10に示されるように、プッシャを備える。
【0091】
それぞれのプッシャ600は、(鏡筒9の外側で)レンズ2の光軸Aに沿って延在し、第1端区画600a及び対向する第2端区画600bを備える。それぞれのプッシャ600の第2端区画600bは、ばね構造40に接続されており、ばね構造40は、今度は(例えば、鏡筒9を介して)容器20に剛直に連結されている。ばね構造40は、周縁(例えば、矩形フレーム41)及びフレーム40から突出する4つのばね要素42を備えることができ、各ばね要素42は、それが接続されているプッシャ600のそれぞれの端区画600bに向かって突出する。それぞれのばね要素42は、蛇行形状を有することができる。
【0092】
さらに、各磁石5は、図8に示されるように、プッシャ600のうちの1つにある関連する第2端区画600bに接続されている。磁石5は、それらが対応するアクチュエータ3の第1及び第2のコイル301、302に対向するように配置されており、その結果、それぞれの磁石5は、(例えば、鏡筒9を介して)容器20に剛直に連結されているコイル301、302によって移動されることが可能である。コイル301、302に対して磁石を配置する別のやり方及びコイル301、302を構成する別のやり方は、図12図15及び図7に関して以降により詳細に記載される。
【0093】
ここで、それぞれのプッシャ600の第1端区画600aは、レンズ成形部材6の関連するアーム6aに接続されており、その結果、それぞれの第1及び/又は第2のコイル301、302に印加される対応する電流に起因してそれぞれの磁石5に作用する力は、それぞれの磁石5を、そしてこれに伴いそれぞれのプッシャ600を介してレンズ成形部材6を移動させることができる。
【0094】
さらには、特に、それぞれのプッシャ600の第1端区画600aは、柔軟な接続要素601を介してレンズ成形部材6のそれぞれのアーム6aに接続されており、その結果、レンズ成形部材6は、それぞれのプッシャ600に対して所定の量だけ傾けられることが可能である。さらに、レンズ成形部材6の可動性を維持しつつ接続強度を向上させるために、面取り面602が、プッシャ600の第1端区画600aに設けられることが可能である。
【0095】
特に、それぞれのプッシャ600が一端で(レンズ成形部材6を介して)膜に、他端でばね構造40に接続するということに起因して、各プッシャ600は、個々に、案内される様式で光軸Aに沿って移動されることが可能である。
【0096】
図8及び図10にさらに示されるように、光学デバイス1は、像センサ8、及び少なくとも1つの固定式レンズ90を備える鏡筒9を備え、鏡筒9は、像センサ8に剛直に連結されており、レンズ2の容器20は、鏡筒9の上面9aに配置されており、その結果、容器20、特に上記膜22の領域22a、は、少なくとも1つの固定式レンズ90及び像センサ8に対向する。特に、容器20は、上記上面9aに配置されているスペーサ91によって保持されることができ、スペーサ91は、レンズ成形部材6の各アーム6aのための4つの凹部91を備え、それぞれのアーム6aは、関連する凹部91aから突出し、その結果、それは、鏡筒9の外側に配置されるそれぞれのプッシャ600に接続されることが可能である。
【0097】
さらに特に、鏡筒9は光学デバイス1の基部80に装着され、この基部80は、(IRフィルタ81を備えることができる)像センサ8、及び一体部分としてコイル301、302を備えることができる基板10(例えば、PCB)を保持もする。特に、上記基板は、それぞれの磁石5を受けるための貫通孔の形態の凹部300を備えてもよく、各凹部は、第1及び第2のコイル301、302によって取り囲まれている。ここで、それぞれの第1及び第2のコイル301、302の共通のコイル軸Cは、光軸Aに平行に配置されており、この軸Cの周りに、それぞれのコイル301、302の巻回部が延在する。
【0098】
さらに、ばね構造40は、基部80に装着されてもよく、基部80はプラスチック材料から形成されてもよい。
【0099】
上記のプッシャ構成を使用して、それぞれのアクチュエータ3の第1及び第2のコイル301、302並びにそれぞれの磁石5は、レンズ2及び鏡筒9よりも、横方向にさらに外側に配置されてもよい(例えば、鏡筒9の側方外側に。これは、光学デバイス1のコンパクトな設計を可能にする)。
【0100】
上記のとおり直列に接続された第1コイル301を有すると(例えば、図1)、すべての磁石5は、対応する第1電流I1が第1コイル301に印加されるとき、図8又は図10では上向き(又は下向き)に移動されることが可能であり、これにより、レンズ成形部材を上向きに(又は下向きに)移動させることが可能であり、その結果、領域22aの曲率は、それに応じて調整される。これにより、レンズ2の焦点距離を調整することが可能になる(図17(B)も参照)。磁石5は、電流I1がすべての第1コイルにおいて同じ方向Dを有する(例えば、図1を参照)ように構成することができる。
【0101】
さらに、第2電流I2を第2コイル302の第1対31(第1アクチュエータ対33)に印加すると、レンズ成形部材6は、上記第2電流I2が第2コイル302の対応する第1対31に印加されるとき(例えば、図1を参照)、アクチュエータ3の上記第1対33を使用して第1軸60の周りに傾けられる。
【0102】
特に、第2コイル302の上記第1対31の第2コイル302は、第2電流I2が、第2コイル302の第1対31の上記第2コイル302のうちの一方を通って第1電流方向D1に、及び第2コイル302の上記第1対31の他方の第2コイル302を通って、第1電流方向D1とは反対の電流方向D2に流れるように直列に接続されることが可能である。このように、図8を参照すると、上記磁石は、アクチュエータの第1対33の磁石5のうちの1つが上向きに移動し、他方で、レンズ成形部材6が上記第1軸の周りに傾くように他方の磁石が下向きに移動するように構成することができる(図1及び図17(C)も参照)。
【0103】
さらに、同様にして、第3電流I3を第2コイル302の第2対32(第2アクチュエータ対34)に印加すると、レンズ成形部材6は、上記第3電流I3が第2コイル302の対応する第2対32に印加されるとき(例えば、図1を参照)、アクチュエータ3の上記第2対34を使用して第2軸61の周りに傾けられる。
【0104】
またここで、第2コイル302の上記第2対32の第2コイル302は、第3電流I3が、第2コイル302の第2対32の上記第2コイル302のうちの一方を通って第2電流方向D3に、及び第2コイル302の上記第2対32の他方の第2コイル302を通って、第2電流方向D3とは反対の電流方向D4に流れるように直列に接続されることが可能である。このように、図8を参照すると、再び、磁石5は、アクチュエータの第2対33の磁石5のうちの1つが上向きに移動し、他方で、他方の磁石が下向きに移動し、その結果、レンズ成形部材6が上記第2軸の周りに傾くように構成することができる(図1及び図17(C)も参照)。
【0105】
関連する第1及び/又は第2のコイル301、302と相互作用するとき光軸Aに沿ったそれぞれの磁石5の上向き又は下向きの動きを成し遂げるために、アクチュエータの個々の磁石5は、異なって構成されてもよい。そのような構成は、アクチュエータ3について図12図13に示されている。
【0106】
図12によれば、それぞれの磁石5は、光軸Aに平行に延在する磁化Mを含むことができる。ここで、それぞれの磁石5は、それぞれの凹部300の中へと突出するように構成されており(例えば、上記を参照)、この凹部300は、本明細書中ではオリフィス300とも表される。この凹部300は、第1及び第2のコイル301、302の共通のコイル軸Cの周りに延在する巻回部311、312を備えるアクチュエータ3の第1及び第2のコイル301、302によって取り囲まれている。特に、磁石5は、コイル軸Cの方向に凹部300の中へと延在する。特に、磁石5は、磁石5の前面側5aに接続されている第1磁束帰還構造501を備える。磁石5は、磁石の裏面側5bに接続されている第2磁束帰還構造502をさらに備えてもよく、この裏面側5bは上記前面側5aから離れる方向を向く。特に、磁石5は、裏面側5bを介して関連するプッシャ600に接続されており、図12図15では上下に動くことができる。
【0107】
図13は、磁石5が第1及び第2のコイル301、302の共通のコイル軸Cの方向に磁石5のアクチュエータ3の第1及び第2のコイル301、302を向き、第1及び第2のコイル301、302の巻回部311、312が上記共通のコイル軸Cの周りに延在する代替の構成を示す。ここで、磁石5は、第1及び第2のコイル301、302から離れる方向を向く磁石5の裏面側5b上に配置される磁束帰還構造500を備えてもよい。またここで、プッシャ600は、裏面側5bに接続してもよい。
【0108】
図14は、磁石5が第1及び第2のコイル301、302によって取り囲まれた凹部300に配置されているさらなる変形例を示し、ここでは、磁化Mは、共通のコイル軸Cに(及び光軸Aに)実質的に垂直に延在する。ここで、磁石5は帰還構造を備えない。
【0109】
図15は、磁石5が上記関連する第1及び第2のコイル301、302を向き、かつ第1磁化M1を含む第1区画51及び第2磁化M2を含む隣接する第2区画52を備え、第1及び第2の磁化M1、M2は逆平行であり、第1及び第2のコイル301、302の共通のコイル軸Cに沿って延在するさらなる変形例を示す。ここで、磁化M1、M2及び共通のコイル軸Cは、光軸Aに実質的に垂直である。
【0110】
レンズ成形部材6の傾ける動きを制御するために、各アクチュエータ3は、図10及び図16に示すように、ホールセンサ11を備えてもよい。
【0111】
特に、ホールセンサ11が可動式磁石に対して側方に置かれている場合(それぞれのホールセンサ11は、基板10に配置されてもよいし、又は図10に示されるように、フレキシブルなコネクタ10bを介して基板10に接続されて、光学デバイス1の組み立ての際に所望の設置スペースの中にそれぞれのホールセンサ11を配置するためにそれぞれのコネクタ10bが曲げられうるようになっていてもよい)。
【0112】
レンズ成形部材6の傾いていない位置において(図16(B))、磁場がセンシング方向に実質的に垂直であり、図16(A)及び図16(C)に示される上記レンズ成形部材の両方の傾いた位置において、センシング方向に有意により大きい成分を含むように、センサ11が磁石5の磁場を測定するセンシング方向Hは、光軸に垂直に配向することができる。
【0113】
さらには、第1コイル301の個々の巻回部311及び第2コイル302の個々の巻回部は、図7に示されるように構成することができる。
【0114】
特に、それぞれのアクチュエータ3の第2コイル302の巻回部312は、図7の細部(A)に示されるように、それぞれのアクチュエータ3の第1コイル301の巻回部311上に巻きつけられているか、又は配置されている。あるいは、それぞれのアクチュエータ3の第1コイル301の巻回部311は、それぞれのアクチュエータ3の第2コイル302の巻回部312上に巻きつけられているか、又は配置されている。
【0115】
あるいは、それぞれのアクチュエータ3の第1コイル301の各巻回部311は、図7の細部(B)に示されるように、それぞれのアクチュエータ3の第2コイル302の巻回部312に隣接して延在してもよい。
【0116】
さらには、それぞれのアクチュエータ3の第1コイル301の巻回部311は、互いの上に、それぞれのアクチュエータ3の第1コイル301及び第2コイル302の共通のコイル軸Cに垂直に重ね合わされてもよく、他方で、第2コイル302の巻回部312は、互いの上に、上記共通のコイル軸Cに垂直に重ね合わされてもよい(図7の細部(C)を参照)。
【0117】
さらに、図7(D)に示されるように、それぞれのアクチュエータ3の第1コイル301は、それぞれのアクチュエータ3の第2コイル302よりも多くの巻回部311を備えてもよい。
【0118】
さらには、図7(E)に示されるように、それぞれのアクチュエータ3の第1コイル301の巻回部311を形成するワイヤ(又は導体)は、それぞれのアクチュエータ3の第2コイル302の巻回部312を形成するワイヤ/導体よりもより大きい断面を備えてもよい。
【0119】
巻回部の数及びワイヤ/導体のそれぞれの断面を選択することにより、それぞれのコイル301、302を用いて生成することができる力の大きさは、具体的なニーズに適応することができる。特に、焦点距離を調整することは、通常、第2コイルによってレンズ成形部材を傾けることよりも大きい力を必要とする。
【0120】
最後に、図11(A)~図11(I)は、本発明に係る光学デバイス1の実施形態の個々のコンポーネントを装着するための可能な組み立てプロセスを示す。図11によれば、以下の工程が行われてもよい。
光学デバイス1の像センサ8を光学デバイス1の基部80に接続する工程(図11(A)を参照)、
少なくとも1つの固定式レンズ90を備える鏡筒9を基部80に装着し、鏡筒9が像センサ8を向くようにする工程でであって、特に、基部80は、雌ねじを備える円形の凹部を備えることができ、鏡筒9は、鏡筒9を基部90に装着するために上記雌ねじと係合するように構成されている雄ねじを備えることができる工程(図11(B)を参照)、
4つの第1コイル及び4つの第2コイル301、302を準備し、この第1コイル及び第2コイルを基部80に装着する工程であって、特に、上記第1及び第2のコイル301、302は、基部80に装着される基板10(例えば、プリント配線基板)によって備えられ、特に、基板10は凹部300を備え、各凹部300は、第1及び第2のコイル301、302によって取り囲まれ、それぞれの第1及び第2のコイル301、302と相互作用するための磁石5を受けるために構成されている工程(図11(C)を参照)、
ばね構造40に接続されている(例えば、上記4つのアクチュエータの各々に対する)4つのプッシャ600を準備する工程であって、それぞれのプッシャ600は、第1及び第2の端区画600a、600bを備える工程(図11(D)を参照)、
4つの磁石5を準備して、各磁石5をプッシャ600の第2端区画600bに接続する工程(図11(E)を参照)、
容器20及びレンズ成形部材6を備えるレンズ2をプッシャ600に接続する工程であって、容器20は、透明な弾性変形可能な膜の形態の第1壁22及び第1壁22に対向する透明な第2壁23を備え、容器20は、2つの壁22、23の間に配置される透明な流体21で満たされており、レンズ成形部材6は、好ましくは膜22に接着されており、かつレンズ成形部材6の周縁領域6bから突出するアーム6aを備え、上記アーム6aは、レンズ2をプッシャ600に接続するために、(例えば、柔軟な接続要素601を介して)プッシャ600に接続されている工程(図11(F)を参照)、
スペーサ91を鏡筒9の上面9aに接続する工程(図11(G)を参照)、
ばね構造40を基部80に接続する工程であって、容器20は、プッシャ600が鏡筒9の外側でレンズ2の光軸Aに沿って延在しつつ、レンズ成形部材6の各アーム6aがスペーサ91の凹部91aを通って突出し、磁石5が基板10の凹部300に配置されるように、スペーサ91上に配置されている工程(図11(H)を参照)、並びに
(例えば、電磁場に対するシールドを形成する)筐体12を基部80に接続する工程(図11(I)を参照)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11(A)】
図11(B)】
図11(C)】
図11(D)】
図11(E)】
図11(F)】
図11(G)】
図11(H)】
図11(I)】
図12
図13
図14
図15
図16(A)】
図16(B)】
図16(C)】
図17
図18