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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】局部発振器漏れ検出および消去
(51)【国際特許分類】
   H03D 7/00 20060101AFI20220815BHJP
   H04B 1/26 20060101ALI20220815BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20220815BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20220815BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
H03D7/00 F
H04B1/26 B
H04B1/40
H04B1/04 F
H04B1/16 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020552663
(86)(22)【出願日】2017-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 SE2017051291
(87)【国際公開番号】W WO2019125237
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-08-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【弁理士】
【氏名又は名称】小梶 晴美
(72)【発明者】
【氏名】ハリン, ヨアキム
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-124836(JP,A)
【文献】特表平05-502358(JP,A)
【文献】特開平05-014429(JP,A)
【文献】特開平10-070582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/00-G02F1/125
H03H1/00-H03H3/00
H03H5/00-H03H7/13
H04B1/02-H04B1/04
H04B1/06
H04B1/16
H04B1/26-H04B1/28
H04B1/38-H04B1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局部発振器(LO)周波数を有する第1のLO信号を中間周波数(IF)信号と混合し、出力信号を生成するように設定された第1のミキサ(110、210)と、
LO漏れ検出器(120、220)と
を備えるミキサ回路(100、200)であって、
前記LO漏れ検出器(120、220)が、
前記第1のミキサ(210)の出力に結合されたカプラ(221)と、
第2の発振器信号(223)を前記カプラから受信された前記第1のミキサ(210)の前記出力信号と混合し、出力信号を生成するように設定された第2のミキサ(222)であって、前記第2の発振器信号の周波数が前記IF信号の周波数よりも低い、第2のミキサ(222)と、
前記第2のミキサ(222)の前記出力信号を前記第1のLO信号と同じ周波数を有するLO信号と混合し、前記第2の発振器信号の周波数と同じ周波数を有する直交出力信号を生成するように設定された第3の直交ミキサ(224)と、
一度に前記第3の直交ミキサ(224)からの前記直交出力信号のうちの1つを選択するための、前記第3の直交ミキサ(224)の出力に結合されたセレクタ(225)と、
前記第3の直交ミキサ(224)からの前記直交出力信号を増幅し、フィルタ処理するための、前記第3の直交ミキサ(224)に結合された増幅器構成(226)であって、一度に前記直交出力信号のうちの1つを増幅し、フィルタ処理するための、前記セレクタ(225)を介して前記第3の直交ミキサ(224)の前記出力に結合された単一の増幅器を備える、増幅器構成(226)と、
前記増幅器構成(226)からの出力信号を前記第2の発振器信号と混合し、直流(DC)信号を生成するように設定された第4のミキサ構成(227)と、
前記第4のミキサ構成(227)からの前記DC信号を、前記第1のミキサ(210)からの検出されたLO漏れを表すデジタルワードに変換するためのアナログデジタル変換器構成(228)と
を備え、
前記ミキサ回路(200)が、
前記検出されたLO漏れを処理し、制御ワード(231)を生成するように設定されたデジタル処理ユニット(130、230)と、
前記第1のミキサ(210)のIF入力に結合されたデジタルアナログ変換器(DAC)構成(140、240)であって、前記DAC構成(240)が、前記制御ワード(231)を受信し、前記第1のミキサ(210)のIF入力信号を調整するように設定された、DAC構成(140、240)と
をさらに備える、ミキサ回路(100、200)。
【請求項2】
前記増幅器構成(226)が、前記第3の直交ミキサ(224)からの前記直交出力信号を並列に増幅し、フィルタ処理するための2つの増幅器を備える、請求項1に記載のミキサ回路。
【請求項3】
前記第4のミキサ構成(227)が2つのミキサを備え、前記アナログデジタル変換器構成(228)が2つのアナログデジタル変換器を備える、請求項2に記載のミキサ回路。
【請求項4】
前記第4のミキサ構成(227)が単一のミキサを備え、前記アナログデジタル変換器構成(228)が単一のアナログデジタル変換器を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のミキサ回路。
【請求項5】
前記第1のミキサ(210)が直交ミキサであり、
前記DAC構成(240)が、前記制御ワード(231)を受信し、前記第1のミキサ(210)の直交IF入力信号を調整するように設定された2つのDACを備え
前記デジタル処理ユニット(230)が、平均化されたI位相およびQ位相LO漏れ(I +Q )が最小にされるように、前記2つのDAC(240)の設定を調整するために、前記制御ワード(231)を生成するために、いくつかのサンプルにわたって検出されたI位相およびQ位相LO漏れを累積するように設定されている、請求項1からのいずれか一項に記載のミキサ回路。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載のミキサ回路を備える電子回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は局部発振器漏れ検出および消去に関する。より詳細には、本明細書の実施形態は、局部発振器漏れ検出器を有するミキサ回路、ならびにミキサ回路を備える電子回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス通信システムは、通常、いくつかの周波数変換ステップを含む、送信機回路と受信機回路との複雑なチェーンを備える。送信機回路は、一般に、ベースバンド信号を送信のために無線周波数(RF)信号にアップコンバートし、受信機回路は、受信されたRF信号を処理のためにベースバンド信号にダウンコンバートする。そのような周波数変換は、2つの周波数信号を混合するためにミキサを必要とする。
【0003】
入来信号の周波数を最終出力信号の周波数に変換するためのミキサを含むRFまたはマイクロ波送信機は、出力信号中に信号送信のための割り振られたスペクトルの外側にあるいくらかのスプリアス信号または不要な信号を有する。チャネルスペクトルの外側の許容されるスプリアス放出レベルを規定する規格がある。特に、入来信号の周波数を局部発振器(LO:Local Oscillator)の周波数と混合するミキサも、局部発振器の周波数においていくらかのレベルの不要な出力信号を有する。これは、いわゆるLO漏れを消去または減衰させるために直流(DC)信号で意図的にバイアスされた直交ミキサ(quadrature mixer)を使用することによって克服され得る。これは、一般に、すべてのマイクロ波送信機チェーンにおいて、あるレベルの消去または減衰を与えるファクトリーにおける較正プロシージャによって行われる。一般に、LO漏れは、所望の信号をオフにし、何らかの種類の電力検出器を使用してミキサの出力におけるLO漏れを測定することによって測定される
【0004】
いくつかの適用例は、LO漏れに関し極めて厳しい要件を有する。これは、たとえば、多数の送信信号を組み合わせて単一の信号にすることによるフェーズドアレイ送信機であり得る。各個々の送信機に関するLO漏れ要件は、その場合、単一の送信機チェーンの場合よりも満たすことがはるかに厳しくなる。また、たとえば周囲温度の変化は、一般に、たとえば補償のための旧来のテーブルベース手法を使用することによって考慮するのが厳しくなり得る、LO漏れへの影響がある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本明細書の実施形態の目的は、LO漏れ検出および消去のための技法を提供することである。
【0006】
本明細書の実施形態の一態様によれば、本目的はミキサ回路によって達成される。ミキサ回路は、LO周波数を有する第1の局部発振器(LO)信号を中間周波数(IF:Intermediate Frequency)信号と混合し、出力信号を生成するように設定された第1のミキサを備える。
【0007】
ミキサ回路は、LO漏れ検出器をさらに備える。LO漏れ検出器は、第1のミキサの出力に結合されたカプラと、第2の発振器信号をカプラから受信された第1のミキサの出力信号と混合し、出力信号を生成するように設定された第2のミキサとを備える。第2の発振器信号の周波数はIF信号の周波数よりも低い。
【0008】
LO漏れ検出器は、第2のミキサの出力信号を、第1のLO信号と同じ周波数を有するLO信号と混合し、第2の発振器信号の周波数と同じ周波数を有する直交出力信号を生成するように設定された第3の直交ミキサをさらに備える。
【0009】
LO漏れ検出器は、第3の直交ミキサからの直交出力信号を増幅し、フィルタ処理するための、第3の直交ミキサに結合された増幅器構成と、増幅器構成からの出力信号を第2の発振器信号と混合し、直流(DC)信号を生成するように設定された第4のミキサ構成とをさらに備える。
【0010】
LO漏れ検出器は、第4のミキサ構成からのDC信号を、第1のミキサからの検出されたLO漏れを表すデジタルワードに変換するためのアナログデジタル変換器構成をさらに備える。
【0011】
ミキサ回路は、検出されたLO漏れを処理し、制御ワードを生成するように設定されたデジタル処理ユニットと、第1のミキサのIF入力に結合されたデジタルアナログ変換器(DAC:Digital-to-Analog Converter)構成とをさらに備える。DAC構成は、制御ワードを受信し、第1のミキサのIF入力信号を調整するように設定される。
【0012】
言い換えれば、本明細書の実施形態によるミキサ回路は、ミキサと、LO漏れ検出器と、デジタルLO漏れ消去コントローラとして機能するデジタル処理ユニットと、DAC構成とを備える。LO漏れ検出器は、所望の信号の存在下でミキサの出力におけるLO漏れを測定する。次いで、LO漏れ消去コントローラにおいて、ミキサにおけるLO漏れを自動的に調整または消去するデジタルアルゴリズムが実行される。これは、ミキサへの中間周波数入力信号レベルが調整されるようにデジタルアナログ変換器構成をステアリングすることによって行われる。
【0013】
ミキサ回路中のミキサ、LO漏れ検出器およびLO漏れ消去コントローラは、すべて単一の集積回路に一体化され得る。したがって、消去コントローラ、漏れ検出およびデジタルLO漏れ最小化アルゴリズムの一体化は、変化する環境条件(これは、一般に温度であり得るが、エージング、および/または供給電圧変動などでもあり得る)に適応することができる完全に自律的な漏れ消去方式を可能にするという利点を有する。このようにして、極めて低いLO漏れレベルを可能にするロバストなソリューションが得られる。
【0014】
本明細書の実施形態は、LO漏れを増加させ得る温度変化および周囲条件の他の変化を追跡する可能性を有する。LO漏れ消去コントローラを観測されたLO漏れレベルに自動的に調整することによって、様々な条件の下で極めて低いLO漏れレベルを有することが可能である。これにより、ミキサ回路は、極めて厳しい漏れ要件レベルに準拠することが可能になる。さらに、本明細書で提示された実施形態は、所望の信号の存在下でLO漏れを検出し、消去する。
【0015】
したがって、本明細書の実施形態は、LO漏れ検出および消去のための改善された技法を提供する。
【0016】
添付の図面を参照しながら、本明細書の実施形態例についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書の実施形態によるミキサ回路の一般的なブロック図である。
図2】本明細書の実施形態による図1におけるミキサ回路のブロック図である。
図3】本明細書の実施形態が実装され得る電子回路またはデバイスを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本明細書の実施形態によるミキサ回路100の一般的なブロックを示す。ミキサ回路100は、ミキサ110と、LO漏れ検出器120と、LO漏れ消去コントローラとして機能するデジタル処理ユニット130(Dig Ctrl)と、DAC構成140とを備える。ミキサ110は、LO周波数fLOを有する第1の局部発振器(LO)信号を中間周波数(IF)信号と混合し、出力信号、すなわち所望の信号を生成するように設定される。LO漏れ検出器120は、所望の信号の存在下でミキサ110の出力におけるLO漏れを測定する。次いで、デジタルLO漏れ消去コントローラ130において、ミキサ110への中間周波数入力信号レベルが調整されるようにデジタルアナログ変換器構成140をステアリングすることによって、ミキサにおけるLO漏れを自動的に調整するデジタルアルゴリズムが実行される。
【0019】
図2は、現在ミキサ回路200として示されているミキサ回路100をより詳細に示す。ミキサ回路200は、LO周波数fLOまたはωLO=2πLOを有する第1の局部発振器(LO)信号を中間周波数(IF)信号fifまたはωif=2πifと混合し、出力信号を生成するように設定された第1のミキサ210を備える。
【0020】
回路からの出力信号はSexp(jω+jα)として示され得る。Sは振幅であり、ωは角周波数ω=2πfであり、ここで、fは出力信号の周波数であり、αはある任意の位相オフセットである。
【0021】
第1のミキサ210からの出力信号は
として示され得る。ここで、Sは所望の信号の振幅であり、Lは不要なLO漏れ信号の振幅であり、下側波帯ミキサの場合はωif2=ωLO-ωif、または上側波帯ミキサの場合はωif2=ωLO+ωifである。
【0022】
ミキサ回路200はLO漏れ検出器220をさらに備える。LO漏れ検出器220は、第1のミキサの出力に結合されたカプラ221を備える。カプラはキャパシタであり得る。
【0023】
カプラ221は、第1のミキサ210からの出力信号と漏れ信号とをほぼ同じ量Aだけ減衰させる。そして、カプラ221からの得られた出力は
となる。
【0024】
LO漏れ検出器220は、第2の発振器信号223を、カプラ221から受信された第1のミキサ210の出力信号と混合し、出力信号を生成するように設定された第2のミキサ222をさらに備える。第2の発振器信号の周波数はIF信号の周波数よりも低い。第2の発振器信号223は
である。
【0025】
第2のミキサ222からの出力信号は
である。
【0026】
ここで、Gは第2のミキサ222の変換利得であり、これは、簡潔にするために、2つの周波数ωif2±ωOSCおよびωLO±ωOSCについて同等であると仮定される。
【0027】
LO漏れ検出器220は、第2のミキサ222の出力信号を、第1のLO信号ωLOと同じ周波数を有するLO信号と混合し、第2の発振器信号の周波数ωOSCと同じ周波数を有する直交出力信号を生成するように設定された第3の直交ミキサ224をさらに備える。第3の直交ミキサ224はローパスフィルタ、たとえば1次抵抗器‐キャパシタRCフィルタを備え得る(図示せず)。
【0028】
第3の直交ミキサ224出力における複素信号I成分は
である。
【0029】
ミキサ出力におけるQ成分信号は
である。
【0030】
ここで、Attは第3の直交ミキサ224におけるローパスフィルタの周波数依存減衰である。簡潔にするために、すべての周波数について同じ表記法が使用される。ωLOが消し合って消える項を除いて、すべての周波数が高い、たとえばωif≫ωOSCである。したがって、これらの高周波数項を落とした後、I成分ミキサ出力上で
が得られ、
Q成分ミキサ出力上で
が得られる。
【0031】
ここで、Gは、角周波数ωOSCについての第3の直交ミキサ224の変換利得である。実際には、出力においてIF角周波数の若干の残りが依然としてあるが、簡潔にするためにこれを無視することにする。
【0032】
LO漏れ検出器220は、第3の直交ミキサ224からの直交出力信号を増幅し、フィルタ処理するための、第3の直交ミキサ224に結合された増幅器構成226をさらに備える。増幅器構成226は、I成分またはQ成分ミキサ出力信号を利得Gで増幅し、フィルタ処理する。
【0033】
LO漏れ検出器220は、増幅器構成226からの出力信号を第2の発振器信号と混合し、直流(DC)信号を生成するように設定された第4のミキサ構成227をさらに備える。
【0034】
I成分ミキサからのDC出力は
である。
【0035】
Q成分ミキサからは
である。
【0036】
LO漏れ検出器220は、第4のミキサ構成227からのDC信号を、第1のミキサ210からの検出されたLO漏れを表すデジタルワードに変換するためのアナログデジタル変換器構成228をさらに備える。
【0037】
ミキサ回路200は、デジタルLO漏れ消去コントローラとして機能し、検出されたLO漏れを処理し、制御ワード231を生成するように設定されたデジタル処理ユニット230(DIG CTRL)をさらに備える。
【0038】
ミキサ回路200は、第1のミキサ210のIF入力に結合されたデジタルアナログ変換器(DAC)構成240をさらに備える。DAC構成240は、制御ワード231を受信し、第1のミキサ210のIF入力信号を調整するように設定される。
【0039】
送信機チェーンにおける未知の位相シフトにより、第1のミキサ210からのI信号成分およびQ信号成分と、第3のミキサ240からのI信号成分およびQ信号成分との間にアプリオリ関係がないことに留意されたい。変化する環境条件に関与する時定数は、一般にミキサにおける時定数よりもはるかに大きい。したがって、第3のミキサ240からのI信号成分出力およびQ信号成分出力は時間多重化様式で検出されるので、検出器のためのより少ない領域使用および電力使用が可能になり得る。
【0040】
したがって、本明細書のいくつかの実施形態によれば、LO漏れ検出器220は、一度に第3の直交ミキサ224からの直交出力信号のうちの1つを選択するための、第3の直交ミキサ224の出力に結合されたセレクタ225をさらに備え得る。セレクタ225は、位相π/2だけ異なるI信号成分またはQ信号成分のいずれかをピックする。
【0041】
この場合、増幅器構成226は、一度に直交出力信号のうちの1つを増幅し、フィルタ処理するための、セレクタ225を介して第3の直交ミキサ224の出力に結合された単一の増幅器を備え得る。
【0042】
第4のミキサ構成227は単一のミキサを備え得、アナログデジタル変換器構成228は単一のアナログデジタル変換器を備え得る。
【0043】
本明細書のいくつかの実施形態によれば、増幅器構成226は、第3の直交ミキサ224からの直交出力信号IおよびQを並列に増幅し、フィルタ処理するための2つの増幅器を備え得る。
【0044】
この場合、第4のミキサ構成227は2つのミキサを備え得、アナログデジタル変換器構成228は2つのアナログデジタル変換器を備え得る。
【0045】
本明細書のいくつかの実施形態によれば、第1のミキサ210は直交ミキサであり得、DAC構成240は、制御ワード231を受信し、第1のミキサ210の直交IF入力信号を調整するように設定された2つのDACを備え得る。
【0046】
本明細書のいくつかの実施形態によれば、デジタル処理ユニット230は、平均化されたLO漏れが最小にされるように、DAC構成240の設定を調整するために制御ワード231を生成するために、いくつかのサンプルにわたって検出されたLO漏れを累積するように設定され得る。
【0047】
たとえば、デジタル処理ユニット230中に実装されたデジタルアルゴリズムにおいて、量
が形成され、これは、その場合、任意の位相αから独立している。デジタルアルゴリズムは、検出された漏れレベルを任意のスケールで形成するために、好適な数のサンプルにわたって検出されたI位相漏れおよびQ位相漏れを累積する。アルゴリズムの目的は、その場合、I+Qを最小にする最適なDAC設定を見つけることである。これは、たとえばデフォルト設定において開始することによって行われ得、次いで、最適な設定を見つけるために、たとえば最急降下(steepest descent)アルゴリズムを使用し得る。
【0048】
このプロシージャのスケッチは、以下のようになり得る。I信号成分およびQ信号成分のための任意のDACワード設定、たとえばIDACおよびQDACから、
IDAC+ステップs1、QDAC+ステップs2
など、9つの異なる設定をテストし得る。ここで、s1、s2は値[-1,0,1]を取り、ステップはある正の整数1、2、3、…である。
【0049】
微調整のために、ステップサイズは1であるべきであるが、変化が小さい場合は、より大きいステップサイズを使用することが有利であり得る。9つの異なるケースのうち、最も小さい得られたI+Qを与えるケースがピックされる。
【0050】
したがって、本明細書のいくつかの実施形態によれば、デジタル処理ユニット230は、平均化されたI位相およびQ位相LO漏れI+Qが最小にされるように、2つのDAC240の設定を調整するために制御ワード231を生成するために、いくつかのサンプルにわたって検出されたI位相およびQ位相LO漏れを累積するように設定され得る。
【0051】
しかしながら、LO漏れ検出器220には、結果をひずませるオフセットがあることに留意されたい。この問題を克服するために、第1のミキサ210をオフにし、検出された漏れレベルを測定することによって、オフセットが測定される。次いで、真の観測された漏れレベルを与えるために、第1のミキサ210が有効にされたときに、このオフセットが観測された漏れレベルから減算される。
【0052】
本明細書の実施形態によるミキサ回路100、200は任意の電子回路またはデバイスにおいて実装され得る。図3は、本明細書の実施形態によるミキサ回路100、200が実装され得る電子回路またはデバイス300を示す。電子回路またはデバイス1100は、トランシーバ、送信機、受信機、周波数合成器など、電子回路のうちのいずれか1つであり得る。電子回路またはデバイス300はまた、セルラー通信システムのための、またはワイヤレス通信システムにおける、基地局またはビームフォーミング基地局、モバイル端末またはユーザ機器など、通信デバイスのうちのいずれか1つであり得、その場合、電子回路またはデバイス300は、情報記憶および信号処理などのための他のユニット、たとえばメモリ320および処理ユニット330を備え得る。
【0053】
本明細書の実施形態によるミキサ回路100、200の利点のうちの1つは、ミキサ、LO漏れ検出器、およびデジタルLO漏れ消去コントローラ、ならびにミキサ回路中の最小化アルゴリズムが、すべて単一の集積回路に一体化され得ることである。これにより、一般には温度であるが、たとえばエージング、供給電圧変動などでもあり得る、変化する環境条件に適応した、完全に自律的な漏れ消去方式が可能になる。このようにして、極めて低いLO漏れレベルを可能にするロバストなソリューションが得られる。
【0054】
本明細書の実施形態は、LO漏れを増加させ得る温度変化および周囲条件の他の変化を追跡する可能性を有する。LO漏れ消去コントローラを観測されたLO漏れレベルに自動的に調整することによって、様々な条件の下で極めて低いLO漏れレベルを有することが可能である。これにより、本明細書の実施形態が実装された製品を極めて厳しい漏れ要件レベルの下でさえ使用することが可能になる。さらに、本明細書の実施形態は、所望の信号の存在下でLO漏れを検出し、消去する。
【0055】
「備える/含む(comprise)」または「備える/含む(comprising)」という単語は、本明細書では、非限定的なもの、すなわち「少なくとも~からなる」を意味するものとして解釈されるべきである。
【0056】
本明細書の実施形態は、上記で説明した好ましい実施形態に限定されない。様々な代替、変更および等価物が使用され得る。したがって、上記実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
図1
図2
図3