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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】ドライブトレインのための値
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20220815BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20220815BHJP
   G06F 30/15 20200101ALI20220815BHJP
【FI】
G06F30/10
G06F30/20
G06F30/15
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020560432
(86)(22)【出願日】2019-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019061583
(87)【国際公開番号】W WO2019215100
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-11-17
(31)【優先権主張番号】18170995.7
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リーッペ、トミー
(72)【発明者】
【氏名】イエッピネン、ヤリ
(72)【発明者】
【氏名】ウェステルルンド、ヤン
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0278430(US,A1)
【文献】SEHAB,Rabia,et al.,Electric Vehicle Drivetrain: Sizing and Validation Using General and Particular Mission Profiles,Proceedings of the 2011 IEEE,International Conference on Mechatronics,米国,IEEE,2011年04月15日,pp.77-83
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のシミュレーションツールを備えるゲートウェイのコンピュータ実装方法であって、シミュレーションツールは、ドライブトレインの1つ以上の技術的特性及び/又は前記ドライブトレインを形成する1つ以上の構成要素の1つ以上の技術的特性をシミュレーションし、
前記ゲートウェイにおいて、前記ドライブトレインに関連する要求を受信するステップであって、前記要求は、シミュレーションの目的を示し、且つ前記ドライブトレイン又は前記ドライブトレインの1つ以上の構成要素を識別する識別情報を含む、ステップと、
前記識別情報に基づいて、前記ドライブトレインの構成要素に関する構成要素情報を検索するステップであって、前記構成要素情報は、前記構成要素の各々のための構成要素タイプを示す、ステップと、
前記検索された1つ以上の構成要素タイプに基づいて、1つ以上の値を検索するステップと、
前記目的がトラブルシューティングであることを検出するステップと、
前記目的がトラブルシューティングである場合に、前記ドライブトレインの1つ以上の測定結果を検索し、及び/又は前記要求において1つ以上の測定結果を受信するステップと、
前記ドライブトレインをトラブルシューティングするためのシミュレーションのための入力として前記検索された1つ以上の値及び前記1つ以上の測定結果を少なくとも使用するステップであって、前記ドライブトレインをトラブルシューティングするための1つ以上の値を伴うシミュレーション結果を計算するために、前記シミュレーションは、1つ以上のシミュレーションツールを使用し、該1つ以上の値は、何れの構成要素又は設定が問題を引き起こしているのかの表示、及び再設定される1つ以上の新しいパラメータ値のうちの少なくとも1つを含む、ステップと、
前記要求への応答として、前記1つの値を伴う前記シミュレーション結果を出力するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記目的が前記ドライブトレインを試運転することであることを検出するステップと、
前記ドライブトレインを形成する全ての構成要素に関する構成要素情報を検索するために、前記受信された識別情報を使用するステップと、
試運転のためのシミュレーションのための入力として、前記検索された1つ以上の値を少なくとも使用するステップであって、前記シミュレーションは、1つ以上の値を伴う前記ドライブトレインを試運転するためのシミュレーション結果を計算するために、1つ以上のシミュレーションツールを使用し、該1つ以上の値は、試運転パラメータを含む、ステップと
を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記要求において1つ以上の動作条件を受信するステップと、
前記構成要素情報における前記1つ以上の構成要素タイプ、及び受信された1つ以上の動作条件に基づいて、前記1つ以上の値を検索するステップと
を更に含む、請求項1又は2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記目的が少なくとも1つの構成要素のための1つ以上の測定不可能な値を取得するためであることを検出するステップであって、測定不可能な値は、実際の物理的なドライブトレインから値を測定することができないような場所における物理的な特性のための値である、ステップと、
前記少なくとも1つの構成要素に関する構成要素情報を検索するステップであって、測定不可能な値は、実際の物理的なドライブトレインから値を測定することができないような場所における物理的な特性のための値である、ステップと、
前記シミュレーションのための入力として、前記受信された1つ以上の動作条件及び前記構成要素情報の少なくとも一部を使用するステップと、
前記ドライブトレインのための前記1つ以上の値として、前記1つ以上の測定不可能な値のための1つ以上のシミュレーション値を伴う前記シミュレーション結果を出力するステップと
を更に含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記目的が少なくとも1つの構成要素の保守のためであることを検出するステップと、
前記少なくとも1つの構成要素に関する構成要素情報を検索するステップと、
前記目的が保守のためである場合に、前記ドライブトレインの測定結果を検索し、及び/又は前記要求において測定結果を受信するステップと、
保守のための前記シミュレーションのための入力として、前記1つ以上の測定結果及び前記検索された1つ以上の値少なくとも使用するステップと、
前記ドライブトレインのための前記1つ以上の値として、1つ以上の保守活動を伴う前記シミュレーション結果を出力するステップと
を更に含む、請求項1~の何れか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
ドライブトレインドメイン固有の知識サービスのためのアプリケーションプログラミングインターフェースを提供する、請求項1~の何れか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
コンピューティング装置において実行する場合に、
ドライブトレインを試運転するための要求であって、前記ドライブトレイン又は前記ドライブトレインの1つ以上の構成要素を識別する識別情報を含む要求の受信に応答して、前記識別情報に基づいて、前記ドライブトレインを形成する全ての構成要素に関する構成要素情報を検索するステップであって、前記構成要素情報は、各構成要素のための構成要素タイプを示す、ステップ、前記構成要素情報における前記検索された構成要素タイプに基づいて値を検索するステップ、1つ以上のシミュレーションツールへの入力として前記検索された値を使用するステップ、シミュレーション結果を実行するステップと、及びシミュレーション結果として試運転パラメータを出力するステップ、
トラブルシューティングのための要求の受信に応答して、前記ドライブトレイン又は前記ドライブトレインの1つ以上の構成要素を識別する識別情報を含む前記要求を検索するステップであって、前記識別情報に基づいて、前記ドライブトレインを形成する全ての構成要素に関する構成要素情報は、各構成要素のための構成要素タイプを示す、ステップ、前記構成要素情報における前記検索された構成要素タイプに基づいて値を検索するステップ、前記ドライブトレインの測定結果を検索し、及び/又は前記要求において測定結果を受信するステップ、1つ以上のシミュレーションツールへの入力として、1つ以上の測定結果及び前記検索された値を使用するステップ、シミュレーションを実行するステップ、及びシミュレーション結果として、何れの構成要素又は設定が問題を引き起こしているかの表示、及び再設定される1つ以上の新しいパラメータ値のうちの少なくとも1つを出力するステップ、
少なくとも1つの構成要素の保守のための要求の受信に応答して、前記ドライブトレイン又は前記ドライブトレインの1つ以上の構成要素を識別する識別情報を含む前記要求を検索するステップであって、前記識別情報に基づいて、前記少なくとも1つの構成要素に関する構成要素情報は、前記少なくとも1つの構成要素の各々のための構成要素タイプを示す、ステップ、前記構成要素情報における前記検索された少なくとも1つの構成要素タイプに基づいて1つ以上の値を検索するステップ、前記ドライブトレインの測定結果を検索し、及び/又は前記要求において測定結果を受信するステップ、1つ以上のシミュレーションツールへの入力として、1つ以上の測定結果及び前記検索された1つ以上の値を使用するステップ、シミュレーションを実行するステップ、及びシミュレーション結果として1つ以上の保守活動を出力するステップ、並びに
少なくとも1つの構成要素のための1つ以上の測定不可能な値を取得するための要求の受に応答して、1つ以上の動作条件、及び前記ドライブトレイン又は前記ドライブトレインの1つ以上の構成要素を識別する識別情報を含む前記要求を検索するステップであって、測定不可能な値は、実際の物理的なドライブトレインから値を測定することができないような場所における物理的な特性のための値であり、前記識別情報に基づいて、前記少なくとも1つの構成要素に関する構成要素情報は、前記少なくとも1つの構成要素の各々のための構成要素タイプを示す、ステップ、前記構成要素情報における前記検索された少なくとも1つの構成要素タイプ、及び受信された1つ以上の動作条件に基づいて1つ以上の値を検索するステップ、1つ以上のシミュレーションツールへの入力として、前記受信された1つ以上の動作条件及び前記検索された1つ以上の値を使用するステップ、シミュレーションを実行するステップ、及び前記1つ以上の測定不可能な値のための1つ以上のシミュレーション値を含むシミュレーション結果を出力するステップ
のうちの少なくとも1つを前記コンピューティング装置に実行させるプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項8】
1つ以上のシミュレーションツールを含むメモリを備えるシミュレーション機器であって、シミュレーションツールは、ドライブトレインの1つ以上の技術的特性、及び/又は前記ドライブトレインを形成する1つ以上の構成要素の1つ以上の技術的特性をシミュレーションし、
前記ドライブトレインに関連する要求を受信するための手段であって、前記要求は、シミュレーションの目的を示し、且つ前記ドライブトレイン又は前記ドライブトレインの1つ以上の構成要素を識別する識別情報を含む、手段と、
前記識別情報に基づいて、前記ドライブトレインを形成する構成要素に関する構成要素情報を検索するための手段であって、前記構成要素情報は、前記構成要素の各々のための構成要素タイプを示す、手段と、
前記検索された構成要素タイプに基づいて、1つ以上の値を検索するための手段と、
前記目的がトラブルシューティングであることを検出するための手段と、
前記目的がトラブルシューティングである場合に、前記ドライブトレインの1つ以上の測定結果を検索し、及び/又は前記要求において1つ以上の測定結果を受信するための手段と、
前記ドライブトレインをトラブルシューティングするためのシミュレーションのための入力として前記検索された1つ以上の値及び前記1つ以上の測定結果を少なくとも使用するための手段であって、前記ドライブトレインをトラブルシューティングするための1つ以上の値を伴うシミュレーション結果を計算するために、前記シミュレーションは、1つ以上のシミュレーションツールを使用し、該1つ以上の値は、何れの構成要素又は設定が問題を引き起こしているのかの表示、及び再設定される1つ以上の新しいパラメータ値のうちの少なくとも1つを含む、手段と、
前記要求への応答として、前記1つの値を伴う前記シミュレーション結果を出力するための手段と
を備えるシミュレーション機器。
【請求項9】
前記目的が前記ドライブトレインを試運転することであることを検出するための手段と、
前記ドライブトレインを形成する全ての構成要素に関する構成要素情報を検索するために、前記受信された識別情報を使用するための手段と、
試運転のためのシミュレーションのための入力として、前記検索された1つ以上の値を少なくとも使用するための手段であって、前記シミュレーションは、試運転パラメータを含む1つ以上の値を伴う前記ドライブトレインを試運転するためのシミュレーション結果を計算するために、1つ以上のシミュレーションツールを使用する、手段と
を更に備える、請求項に記載のシミュレーション機器。
【請求項10】
前記要求において1つ以上の動作条件を受信するための手段と、
前記構成要素情報における前記1つ以上の構成要素タイプ、及び受信された1つ以上の動作条件に基づいて、前記1つ以上の値を検索するための手段と
を更に備える、請求項又はに記載のシミュレーション機器。
【請求項11】
前記目的が少なくとも1つの構成要素のための1つ以上の測定不可能な値を取得するためであることを検出するための手段であって、測定不可能な値は、実際の物理的なドライブトレインから値を測定することができないような場所における物理的な特性のための値である、手段と、
前記少なくとも1つの構成要素に関する構成要素情報を検索するための手段であって、測定不可能な値は、実際の物理的なドライブトレインから値を測定することができないような場所における物理的な特性のための値である、手段と、
前記シミュレーションのための入力として、前記受信された1つ以上の動作条件及び前記構成要素情報の少なくとも一部を使用するための手段と、
前記ドライブトレインのための前記1つ以上の値として、前記1つ以上の測定不可能な値のための1つ以上のシミュレーション値を伴う前記シミュレーション結果を出力するための手段と
を更に備える、請求項1に記載のシミュレーション機器。
【請求項12】
前記目的が少なくとも1つの構成要素の保守のためであることを検出するための手段と、
前記少なくとも1つの構成要素に関する構成要素情報を検索するための手段と、
前記目的が保守のためである場合に、前記ドライブトレインの測定結果を検索し、及び/又は前記要求において測定結果を受信するための手段と、
保守のための前記シミュレーションのための入力として、1つ以上の測定結果及び検索された1つ以上の値を使用するための手段と、
前記ドライブトレインのための前記1つ以上の値として、1つ以上の保守活動を伴う前記シミュレーション結果を出力するための手段と
を更に備える、請求項~1の何れか一項に記載のシミュレーション機器。
【請求項13】
少なくとも1つのプロセッサと、
コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと
を備えるゲートウェイであって、
前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサを使用して、
ドライブトレインを試運転するための要求であって、前記ドライブトレイン又は前記ドライブトレインの1つ以上の構成要素を識別する識別情報を含む要求の受信に応答して、前記識別情報に基づいて、前記ドライブトレインを形成する全ての構成要素に関する構成要素情報を検索するステップであって、前記構成要素情報は、各構成要素のための構成要素タイプを示す、ステップ、前記構成要素情報における前記検索された構成要素タイプに基づいて値を検索するステップ、1つ以上のシミュレーションツールへの入力として前記検索された値を使用するステップ、シミュレーション結果を実行するステップと、及びシミュレーション結果として試運転パラメータを出力するステップ、
トラブルシューティングのための要求の受信に応答して、前記ドライブトレイン又は前記ドライブトレインの1つ以上の構成要素を識別する識別情報を含む前記要求を検索するステップであって、前記識別情報に基づいて、前記ドライブトレインを形成する全ての構成要素に関する構成要素情報は、各構成要素のための構成要素タイプを示す、ステップ、前記構成要素情報における前記検索された構成要素タイプに基づいて値を検索するステップ、前記ドライブトレインの測定結果を検索し、及び/又は前記要求において測定結果を受信するステップ、1つ以上のシミュレーションツールへの入力として、1つ以上の測定結果及び前記検索された値を使用するステップ、シミュレーションを実行するステップ、及びシミュレーション結果として、何れの構成要素又は設定が問題を引き起こしているかの表示、及び再設定される1つ以上の新しいパラメータ値のうちの少なくとも1つを出力するステップ、
少なくとも1つの構成要素の保守のための要求の受信に応答して、前記ドライブトレイン又は前記ドライブトレインの1つ以上の構成要素を識別する識別情報を含む前記要求を検索するステップであって、前記識別情報に基づいて、前記少なくとも1つの構成要素に関する構成要素情報は、前記少なくとも1つの構成要素の各々のための構成要素タイプを示す、ステップ、前記構成要素情報における前記検索された少なくとも1つの構成要素タイプに基づいて1つ以上の値を検索するステップ、前記ドライブトレインの測定結果を検索し、及び/又は前記要求において測定結果を受信するステップ、1つ以上のシミュレーションツールへの入力として、1つ以上の測定結果及び前記検索された1つ以上の値を使用するステップ、シミュレーションを実行するステップ、及びシミュレーション結果として1つ以上の保守活動を出力するステップ、並びに
少なくとも1つの構成要素のための1つ以上の測定不可能な値を取得するための要求の受に応答して、1つ以上の動作条件、及び前記ドライブトレイン又は前記ドライブトレインの1つ以上の構成要素を識別する識別情報を含む前記要求を検索するステップであって、測定不可能な値は、実際の物理的なドライブトレインから値を測定することができないような場所における物理的な特性のための値であり、前記識別情報に基づいて、前記少なくとも1つの構成要素に関する構成要素情報は、前記少なくとも1つの構成要素の各々のための構成要素タイプを示す、ステップ、前記構成要素情報における前記検索された少なくとも1つの構成要素タイプ、及び受信された1つ以上の動作条件に基づいて1つ以上の値を検索するステップ、1つ以上のシミュレーションツールへの入力として、前記受信された1つ以上の動作条件及び前記検索された1つ以上の値を使用するステップ、シミュレーションを実行するステップ、及び前記1つ以上の測定不可能な値のための1つ以上のシミュレーション値を含むシミュレーション結果を出力するステップ
のうちの少なくとも1つを前記ゲートウェイに実行させるように構成されている、ゲートウェイ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのメモリ及び前記コンピュータプログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサを使用して、前記要求における1つ以上の動作条件の受信に応答して、前記構成要素情報における前記1つ以上の構成要素タイプ、及び受信された1つ以上の動作条件に基づいて、前記1つ以上の値を前記ゲートウェイに検索させるように更に構成されている、請求項1に記載のゲートウェイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブトレイン、及びより正確には、1つ以上のドライブトレインの構成要素をシミュレーションすることによって値を受信することに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライブトレインの設計は非常に複雑なエンジニアリングタスクであることが既知である。更に、ドライブトレインの最適化は手動で、又は事前に計算されたパラメータに基づいて実行され、シミュレーション方法は改善されているが、シミュレーションは、依然として、特定の動作点のための事前シミュレーション及び/又は特定の故障条件の事前シミュレーションである。更に、シミュレーションは、簡略化された解決策に基づく場合がある。例えば、非特許文献1は、構成要素が、簡略化されたドライブトレインのために選択/画定され、このように形成されたドライブトレインが、高速道路及び渋滞を含むヨーロッパの運転サイクルの事前にシミュレーションされたケースを使用して、シミュレーションによって検証される、解決策を開示する。非特許文献2は、例示的な簡略化されたドライブトレインにおいて検証される、自動車用ギアトランスミッションの固定時間ステップ摩擦モデリングを開示する。このように、様々な目的のためにドライブトレイン及び/又はドライブトレインの構成要素のほぼリアルタイムのシミュレーションを可能にするメカニズムが必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Rabia Sehab et al. “Electric vehicle drivetrain: Sizing and validation using general and particular mission profiles”, 2011 IEEE International conference on mechatronics (ICM), IEE, 13.4.2011, pages 77-83
【文献】Bachinger Markut et al. “A novel drivetrain modelling approach for real-time simulation”, Mechatronix, vol. 32, pages 67-78
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ドライブトレイン又は1つ以上のドライブトレインの構成要素のための、ほぼリアルタイムのシミュレーション結果を提供することである。本発明の目的は、独立請求項に記載されることを特徴とする方法、機器、及びコンピュータプログラム製品によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一般的な態様は、ドライブトレイン又はその構成要素の識別情報及び1つ以上の動作条件を入力として受信し、それらに基づいて、1つ以上の構成要素タイプ及び1つ以上の関連する値に関する情報のような要求された情報を検索する、論理的に集中化された環境を使用し、要求されたシミュレーションを実行し、シミュレーション結果を出力する。これは、例えば、要求者がドライブトレイン又はその構成要素に関する詳細情報を入力することなく、要求されたシミュレーション結果を提供することが可能であるメカニズムを提供する。
【0006】
以下で、例示的な実施形態が、添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】システムの簡略化されたアーキテクチャ及び例示された機器のブロック図を示す。
図2】一例による機能を図示するフローチャートである。
図3】情報交換及び機能の例を示す。
図4】情報交換及び機能の例を示す。
図5】概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の実施形態は例示的である。本明細書では、数か所において「1つ(an)」、「1つ(one)」、又は「幾つか(some)」の実施形態を参照する場合があるが、これは、このような各参照が同じ実施形態を指すこと、又は特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを必ずしも意味しない。また、他の実施形態を提供するために、様々な実施形態の単一の特徴が組み合わせてもよい。
【0009】
本発明は、ドライブトレイン及び/又はその構成要素をシミュレーションするように構成され、又は構成可能な任意のシステム又は機器に適用可能である。様々な実施形態及び例が、単一のユニット、並びにコンピューティングデバイス及びメモリを使用して、実施形態/例をこのような解決策に限定することなく以下に説明される。クラウドコンピューティング及び仮想化と呼ばれる概念が同様に使用されてもよい。仮想化は、単一の物理的なコンピューティングデバイスが、単一の物理的なコンピューティングデバイスが仮想マシンを動的に作成、維持、削除、又はさもなければ管理することができるように、独立したコンピューティングデバイスとして見え、且つ動作する仮想マシンの1つ以上のインスタンスをホストすることを可能にしてもよい。また、デバイスの動作が複数のサーバー、ノード、デバイス、又はホストに分配されることが可能である。クラウドコンピューティングネットワークデバイスにおいては、コンピューティングデバイス及び/又はストレージデバイスが共有リソースを提供する。ソフトウェアデファインドネットワーキング(SDN)のような幾つかの他の技術の進歩によって、以下で説明される1つ以上の機能は、任意の対応する抽象化、装置、又はデバイスに移行されてもよい。従って、全ての単語及び表現は広く解釈されるべきであり、それらは、実施形態を説明して限定しないことが意図される。
【0010】
システムの一般的な例示的なアーキテクチャが図1に図示される。図1は、一部のデバイス、装置、及び機能エンティティのみを示す簡略化されたシステムアーキテクチャであり、全てが論理ユニットであり、それらの実装及び/又は数は示されるものとは異なってもよい。図1に示される接続は論理接続であり、実際の物理的な接続は異なってもよい。当業者には、システムが、図示されていない任意の数の示された要素、他の機器、他の機能、及ぶ構造を含むことが明らかである。それらは、使用されるプロトコルと同様に、当業者には周知であり、実際の発明とは無関係である。従って、それらは、本明細書で詳細に説明される必要はない。
【0011】
図1に図示される実施形態においては、システム100は、1つ以上のネットワーク102を介してサービスセンター103に接続された1つ以上の産業用サイト101(図1においては1つのみが図示される)を備える。システム100は、例えば、モノ、サービス、及び人のインターネット(IoTSP)と呼ばれる概念を実装してもよく、産業用サイト101は、エッジとして機能するように構成されてもよく、サービスセンター103は、中央管理のためのレベルを形成するグローバルクラウドレベル101として構成されてもよい。このような実装においては、様々な情報を測定及び/又は収集するセンサは、それらが収集するデータをサービスセンターに送信するように構成されてもよい。しかし、IoTSPを利用しない実装を含む、他の実装がまた使用されることができる。
【0012】
図示の例においては、産業用サイト101は、1つ以上のユーザ装置110(図1においては1つのみが図示される)及び1つ以上のドライブトレイン120(図1においては1つのみが図示される)を備える。
【0013】
ユーザ装置110は、例えば、タッチスクリーン、他のタイプのディスプレイ、及びキーパッドのような様々なユーザインターフェイスを備えるコンピューティングデバイスである。ユーザ装置110は、ワークステーション若しくはクラウドサーバー若しくはグリッドサーバー等のサーバーのような、ローカルサービスデスク又は工場レベルのサービスデスク等であってもよい。ユーザ装置は、例えば、ドライブトレイン120の試運転、整備、及び/又は使用のためのスマートフォンアプリケーションを含む、リモートユーザのモバイルユーザ装置であってもよい。ユーザ装置110は、幾つかの例を挙げればブルートゥース(登録商標)若しくは近距離無線通信(これらに限定されない)のような短距離無線通信を含む無線接続を介して、及び/又は有線接続を介してドライブトレインに接続されてもよい。しかし、接続の詳細は重要ではないので、本明細書で詳細に説明されない。
【0014】
ドライブトレイン120は、典型的には、共にドライブトレインを形成する幾つかの構成要素120m、120n、120xを備える。このような構成要素の例の非限定的なリストには、モータ、ポンプ、周波数変換器、変圧器、ギアボックス、アクチュエータ、及びコンプレッサが含まれる。更に、図1には図示されていないが、構成要素は、1つ以上の構成要素を含んでもよい。例えば、モータは、ロータ、シャフト、ベアリング、ステータ、巻線、及び保護リレーを含んでもよい。ドライブトレイン120は、1つ以上のインターフェイス(図には描写されていない)を備え、これを介して、ドライブトレイン120、すなわち、その構成要素120m、120n、120xのパラメータが調整若しくは取得されてもよく、並びに/又はドライブトレイン120の機能が、さもなければ局所的にユーザ装置120を介して、及び/若しくは直接サービスセンター103によって制御されてもよい。
【0015】
1つ以上のネットワーク102(通信ネットワーク)は、1つ以上の無線ネットワークを含んでもよく、無線ネットワークは、GSM、GPRS、LTE、4G、5G、及びこれら以降のような任意のモバイルシステム、又はWi-Fi(登録商標)のような無線ローカルエリアネットワークに基づいてもよい。更に、1つ以上のネットワーク102は、1つ以上の固定ネットワークを含んでもよい。
【0016】
サービスセンター103又は対応する機器は、ドライブトレインへのシミュレーションサービスを含むドライブトレインドメイン固有の知識サービスのために、例えば、シミュレーションプラットフォームを提供するゲートウェイ130を備える。ゲートウェイは、複数のデータベースからの値を組み合わせることによって、又は以下でより詳細に説明されるように、1つ以上のシミュレーションツール及び入力値を使用して値を計算することによって、要求に対するドライブトレインドメイン固有の知識サービス応答を提供するように構成されてもよい。ゲートウェイ130又は少なくともゲートウェイの計算部分は、シミュレーション機器又はシミュレーションエンジンと呼ばれてもよい。ゲートウェイ130は、例えば、ユーザ装置のための1つの論理ゲートウェイ(シミュレーション機器)として現れるように構成されるコンピューティングデバイスを含む、メモリを備える任意の機器若しくはコンピューティングデバイス、又はサブシステム(シミュレーションシステム)であってもよい。
【0017】
図示の例においては、ゲートウェイ(シミュレーション機器)130は、ドライブトレインシミュレーションへのアプリケーションプログラミングインターフェイスを提供するシミュレーションサービスユニット(s-s-u)131を備え、アプリケーションプログラミングインターフェイス(サービスアプリケーションプログラミングインターフェイス)は、受信された要求(呼び出し)及び出力された応答の両方に対して画定された構造を有する。更に、ゲートウェイは、少なくともシミュレーションの目的のために、データベース132(又はメモリ)において、ドライブトレインの識別情報をその構成要素情報に関連付ける情報132-1、及び異なるモデルデータ132-2を含む。当然、情報は他の目的のために使用されてもよく、メモリは、他の情報、例えば、ドライブトレインから収集されたデータを含んでもよい。更に、図示の例においては、ゲートウェイ130は、様々な分析ツール133を備え、ドライブトレインドメイン固有の知識サービスのために、様々なシミュレーションツール134を備える。シミュレーションツールは、ドライブトレインの1つ以上の技術的特性、及び/又はドライブトレインを形成する1つ以上の構成要素の1つ以上の技術的特性をシミュレーションし、実際の物理的なドライブトレインから値を測定することができないような場所における物理的な特性のための値である、測定不可能な値を出力してもよい。分析ツール133及びシミュレーションツール134に関連する制限はなく、任意の既知又は将来のツールが使用されてもよい。更に、ツールの内部機能は、開示された解決策にとって重要ではないので、ツールは、本明細書ではより詳細に説明されない。
【0018】
データベース132は、本明細書では、データストレージとデータ管理システムとの組み合わせを指す。データストレージは、データの分配及び集中保存、クラウド環境におけるクラウドベースのストレージを含む、任意の適切な管理システムによって管理される、任意の種類の従来又は将来のデータリポジトリであってもよい。データストレージの実装、データの保存、取得、更新の方法は本発明とは無関係であるので、本明細書では詳細に説明されない。
【0019】
上記のように、データベース132は、シミュレーションサービスのために、ドライブトレインの識別情報をその構成要素情報に関連付ける情報132-1を含む。構成要素情報は、識別情報に関連する構成要素のための構成要素タイプに関する情報を含んでもよい。以下の用語「構成要素タイプ」は、構成要素タイプに関する情報に対する同義語として使用される。更に、1つ以上の値が、構成要素タイプのために、具体的には、構成要素情報の一部として、又は別個の情報として与えられてもよい。例えば、構成要素タイプに基づいて、1つ以上の値が、モデル情報132-2から検索可能であってもよい。加えて、1つ以上の分析ツールによって生成された情報は、識別情報によって、構成要素タイプ又は構成要素若しくはドライブトレインのための値情報として関連付けられてもよい。識別情報の例としてシリアル番号(SN)を使用して、ドライブトレインのシリアル番号が、以下で詳細に説明されるように、モータタイプ、ポンプタイプ、等を判別するために使用されることができる。モデルデータは、各ドライブトレイン又は各ドライブトレインタイプのために、製造元の情報、サイズ情報、インストールされたソフトウェアのソフトウェアバージョン(存在する場合)、生成された設計データのような詳細情報を含んでもよい。設計データの例の非限定的なリストは、構成要素の寸法及び材料特性を含む。設計データは、例えば、ドライブトレインの設計中にコンピュータ支援設計(CAD)によって、及び/又はERP(エンタープライズリソースプランニング)によって生成されていてもよい。例えば、回転ドライブトレインは、集中パラメータモデル、電磁モデルとしての2次元/3次元有限要素解析(FEA)モデル、計算流体力学(CFD)モデル、機械的モデルのような機械モデルに基づくツールを使用して設計される。モデルは、供給及び/又は負荷を有する結合モデルであってもよい。当然、モデルデータは、構成要素及び/又は構成要素タイプに関する対応する情報を含んでもよい。
【0020】
図2は、ゲートウェイの例示的な機能、より正確には、ゲートウェイが備えるシミュレーションサービスユニットの機能を図示し、シミュレーションサービスユニットは、サービスのためのアプリケーションプログラミングインターフェイスを提供する。
【0021】
図2を参照すると、ドライブトレインに関連する要求がステップ201において受信される。実装に応じて、要求は実行される関数にアドレス指定されてもよく、又は関数が要求の一部として含まれてもよい。機能は、例えば、「試運転設定を提供する」、「モータの内側の温度を提供する」のようなシミュレーションの目的によって示されてもよい。機能(目的)が何であるか、及びそれが要求でどのように示されるかに関係なく、受信された要求は、ドライブトレインの1つ以上の構成要素を識別する1つ以上の動作条件及び識別情報を含む。識別情報は、例えば、シリアル番号のようなドライブトレインの識別子であってもよい。ドライブトレインのシリアル番号によって、ドライブトレインに属する構成要素を判別することは容易であり、要求が構成要素のためのシミュレーション結果のためである場合には、構成要素の識別情報は必要ではない。しかし、識別情報が構成要素を識別する場合には、その識別情報は当然使用されることができる。次に、ステップ202において、ドライブトレインにおける各構成要素のために、構成要素タイプを示す構成要素情報が、ステップ201において受信された識別情報に基づいて、ステップ202において検索される。
【0022】
1つ以上の構成要素タイプが既知であると、1つ以上の構成要素タイプ及び受信された1つ以上の動作条件に基づいて、ステップ203において1つ以上の値が検索される。値はモデルデータから検索されてもよく、及び/又は構成要素情報は、1つ以上の値を含んでもよい。当然、利用可能な分析及び/又は測定データがある場合には、1つ以上の値がそれから検索されてもよい。分析及び/又は測定データは、例えば、製品データ管理システムにおいて維持され、それから検索されてもよい。
【0023】
ゲートウェイが複数のシミュレーションツールを備える場合には、使用される1つ以上のシミュレーションツールがステップ204において選択される。適切なシミュレーションツールが、少なくとも構成要素タイプを使用して選択されてもよく、また可能であれば、1つ以上の動作条件を使用して選択されてもよい。例えば、シミュレーションツールは、構成要素固有のシミュレーションツール、又はドライブトレイン固有のシミュレーションツール、構成要素の特定の集合体のためのシミュレーションツール、及び/若しくは目的固有のシミュレーションツールを備えてもよい。1つのシミュレーションツールのみが使用可能である場合は、当然、このステップは省略される。
【0024】
次に、検索された値は、ステップ205において、ドライブトレイン及び/又は1つ以上の構成要素のためのシミュレーション結果を計算するために入力として使用される。当然、1つ以上の動作条件が、ステップ205において、次にステップ206において出力されるシミュレーション結果を計算するために入力として使用されてもよい。次に、出力された値は、以下で更なる例で説明されるように、示された目的のために使用されてもよい。
【0025】
シミュレーション結果の計算は、複数の連続するシミュレーション又は並列シミュレーションを含んでもよいことが理解されるべきである。例えば、各構成要素のために、別個のシミュレーションツールが使用されてもよく、連続するシミュレーションが使用される場合には、シミュレーションツールの出力が、別のシミュレーションツールへの入力として使用されてもよい。
【0026】
上記から明らかなように、ドライブトレインのためのデジタルツインが、特定のニーズのために実行中に作成されてもよく、各ドライブトレインのためのデジタルツインを判別する必要はない。
【0027】
図3及び図4に図示される情報交換が異なる使用例を提供する。例においては、ゲートウェイ(シミュレーション機器)が、シミュレーションサービスユニットを備える別個のサーバーと、構成要素情報及びモデルデータを含み、また他のデータを含んでもよいデータベースとして図示される。
【0028】
図3は、マシン間の情報交換を使用して、すなわち、任意のユーザ又はユーザ装置の関与なしに実装された機能の例を図示し、一方、図4の例においては、ユーザが、少なくとも結果の監視に関与する。
【0029】
図3を参照すると、ドライブトレインは、シミュレーションサービスユニットによって提供されるサービスのためのアプリケーションプログラミングインターフェイスを介してサーバーに定期的にメッセージを送信するように構成されてもよく、及び/又はドライブトレインは、その動作を監視するように構成されてもよく、未知の動作条件、故障、安全限界外の値、又は任意の他の異常、等の入力を検出する場合には、サービスのためのアプリケーションプログラミングインターフェイスを介してサーバーにメッセージを送信する。例えば、機械学習が監視のために利用されてもよい。理由に関わらず、ポイント3-0においてメッセージを送信するニーズが検出される場合には、ドライブトレインは、メッセージ3-1をサーバーに送信し、メッセージは、1つ以上の動作条件及び識別情報を含む。メッセージは、トラブルシューティングに関連してもよい。例えば、ドライブトレインにおける稼働中のモータの温度が非常に高くなり、保護リレーがモータをシャットダウンし、これによって、ドライブトレインは、モータの電流がAであった、稼働時間は1時間であった、温度が超過していた、「パラメータを調整する方法」のような動作条件をメッセージにおいて送信し、識別データは、ドライブトレイン(及び/又はモータ、及び/又は保護リレー)の識別子であってもよい。他の例は、「騒音レベルを最小化する方法」、「振動を最小化する方法」、及び「信頼性を最大化する方法」を含む。これらの例は、開示された例に解決策を限定することなく、様々な目的を説明するためだけに列挙されていることが理解されるべきである。
【0030】
サーバーは、メッセージ3-1を受信し、ポイント3-2において、識別子及びシミュレーションが要求される目的を検出し、モータ及び保護リレーの構成要素タイプを検索し(メッセージ3-3)、また可能であれば、他の構成要素から検索し、1つ以上の値を検索し、次に、ポイント3-4においてシミュレーションを実行する。上記の図2で説明されたように、構成要素は、別個に、及び/又は構成要素の1つ以上の集合体としてシミュレーションされてもよい。次に、メッセージ3-1において送信された要求への応答として、メッセージ3-5における新しいパラメータ値をドライブトレインに送信することによって、シミュレーション結果が出力される。
【0031】
応答においてドライブトレインによって受信された新しいパラメータ値がポイント3-6において設定され、保護リレーは、ドライブトレインが再び動作を開始することを可能にする。すなわち、モータに関する詳細なデータがドライブトレインに配列(配信)されることなく、インテリジェントな保護リレーが提供される。
【0032】
当然、任意の他のトラブルシューティングが、必要に応じて対応して実行されてもよい。言い換えれば、異常又は誤動作が検出される場合には、「異常/誤動作が検出されたが、何か違うことはあるか?」という質問を示す要求を伴うメッセージ3-1が、ドライブトレイン識別子と動作パラメータと共に送信される。(当然、要求は動作パラメータなしで送信されてもよく、その場合、測定値が使用されてもよい。)このように、シミュレーション結果を必要とする故障条件が、実際に利用可能な入力を使用してシミュレーションされ、様々な電気的及び機械的障害条件を事前にシミュレーションする必要はない。更に、ドライブトレインの複雑性に起因して、全ての可能な電気的及び機械的障害条件を事前にシミュレーションすることは不可能であり、それによって、事前シミュレーションを使用する場合には、シミュレーション結果が利用不可能な状況が生じる場合がある。しかし、このような状況は、開示された解決策では生じない。
【0033】
別の例においては、メッセージ3-1は識別子を含み、例えば、動作条件がない(動作条件の代わりに空である)ことによって「試運転されていない」ことを示してもよく、試運転パラメータのための要求がメッセージ3-1において送信され、試運転パラメータがメッセージ3-5において受信され、ポイント3-6においてパラメータを設定すると、ドライブトレインが試運転される。言い換えれば、ドライブトレインのシリアル番号のような単なる識別子を送信することによって、ドライブトレインの試運転パラメータが受信される。
【0034】
一例においては、この解決策は、ドライブトレインのテストのために、例えば、ベアリング臨界値を計算するような、幾つかの臨界値を判別するために使用されてもよい。ベアリング計算の場合には、動作条件は、速度範囲、ラジアル荷重、ハウジングの周囲温度、及びハウジングの周囲空気速度のうちの1つ以上のための値を含んでもよい。
【0035】
開示された解決策は、パラメータ値を構成要素固有に最適化するためにまた使用されてもよい。例えば、周波数変換器は、上記で開示された機械間通信を有するポンプで動作するためにそれ自体を調整してもよい。また、最大電力伝達率のような特定の目標を取得するためにパラメータ値を最適化することが可能である。このような場合には、各構成要素のためのパラメータ値の最適化に基づいた結果が、その目的のための専用のテーブル又はデータベースを有する必要なしに、可能な限り最良の電力伝送比を提供するためにドライブトレイン全体を最適化することを可能にする。
【0036】
上記で説明された例の何れもが、図4の例でまた使用可能である。図4の例は、ユーザ装置が関与するという点で、図3に図示される例とは異なる。ユーザ装置は、例えば、段階的モードでプラントを、例えば、プラントの第1の様々な部分を表示するように構成されてもよい、リモートアシストツール又は任意の対応するツールを備えてもよく、例えば、乾燥プラント1が選択される場合には、モータが表示され、モータが選択される場合には、シミュレーション結果を含む様々な情報が表示されてもよい。
【0037】
図4を参照すると、シミュレーションのためのニーズが検出される場合には、少なくとも識別情報、すなわち、識別子がドライブトレインから検索される(メッセージ4-0)。識別情報は、マトリックスバーコードの例であるQR(クイックレスポンス)コードのような機械可読バーコードにおいて与えられる識別子であってもよい。(バーコードは、それが取り付けられているアイテムに関する情報を含む機械可読の光学ラベルである。)他の選択肢には、識別子が読み取られてもよい銘板及びその識別子をブロードキャストするドライブトレインが含まれる。識別子を取得するための任意の他の方法が、当然に使用されてもよい。更に、ユーザ装置は、ドライブトレインから1つ以上の動作条件、及び/又は1つ以上の測定結果を取得するように構成されてもよい。しかし、ドライブトレイン及び/又はその構成要素は、例えば、測定データをクラウドに送信するセンサを装備していてもよく、その場合には、測定データを検索する必要はないことが理解されるべきである。(既知であるように、タイムスタンプが、例えば、1つ以上の測定データを動作条件に一致させるために使用されてもよい。)
【0038】
次に、ユーザ装置(UE)は、少なくとも動作パラメータ及び識別子を含むメッセージ4-1をサーバーに送信する。サーバーは、ポイント4-2において、識別子及びシミュレーションが要求される目的を検出する。メッセージ4-2の例として、ドライブトレインの識別子、固定子の現在の電力及び温度、並びに回転子の温度のための要求(測定されることできない)を含むメッセージを使用して、サーバーは、構成要素タイプ及び1つ以上の値を検索し(メッセージ4-3)、次に、ポイント4-4においてシミュレーションを実行する。例えば、結果は、物理的な構成要素から測定されることができない温度になる。次に、メッセージ4-1において送信された要求への応答として、メッセージ4-5において温度をユーザ装置に送信することによって、シミュレーション結果が出力される。次に、ユーザ装置は、ポイント4-6において、受信された温度を表示する。それは、他の構成要素の実際の温度測定結果と共に表示されてもよく、要求4-1は、特定の間隔で、例えば、実際の測定において使用される間隔で送信されてもよい。
【0039】
更に、目的に応じて、例えば、表示された値、又はシミュレーション結果に基づく制御コマンドが、ドライブトレインに送信されてもよい(1つ以上のメッセージ4-7)。制御コマンドは、説明目的で2つの例を列挙するためだけに、「A、B、等を含む新しい設定値を使用する」、又は「周波数変換器のために(新しい)パルスパターンA及び/若しくは(新しい)スイッチング周波数Bの使用を開始する」であってもよい。
【0040】
上記の例から分かるように、ディスプレイを介して出力されるシミュレーション結果は、ドライブトレイン又はモータのようなその構成要素の内部観察を示してもよく、内部観察は、実際の物理的なドライブトレインからは測定されることができない値を含む。
【0041】
上記の原理は、同様に保守の目的のために使用されてもよい。シミュレーション結果は、「ドライブトレイン又はモータを現在稼働している方法で実行する場合には、2つの連続する潤滑間の時間はx日であるが、ここで与えられたパラメータを使用するように実行する場合には、時間はx+a日になる。」であってもよく、次に、ユーザ装置のユーザは、パラメータを更新してもよい。
【0042】
上記の例から明らかなように、少なくとも識別情報及び動作条件をアプリケーションプログラミングインターフェイスに送信することによって、様々な計算ニーズに対応する。シミュレーション結果は、ベアリング等の重要な構成要素の実際の負荷の計算、実際の値に基づく重要な構成要素の寿命予測、監視要件及び保守間隔の仕様、警告及び作動制限の設定、高速データ分析、並びに成功した試運転からのフィードバックを、シャフト電圧推定、モーターノイズ、及び振動スペクトル推定、等の値が測定されることができない場合には、試運転値を測定値及びシミュレーション値と比較することによって提供してもよい。言い換えると、ドライブトレインから動作条件及び識別情報を送信することによって、仮想エンジニアリング(試運転、テスト、等)、様々な目的(エネルギー、性能、寿命、等)のための最適化、ソフトセンシング(ポンプの動作点、周波数変換器及びモータの温度、等のプロセス変数)、構成要素(ポンプ、モータ、周波数変換器、等)の予測保守、構成要素(モータ、周波数変換器、ベアリング、固定子巻線、ファンパワー半導体、機械部品、等)の残存寿命推定、並びにリスク要因推定を提供することが可能である。上記は、様々な使用例の非限定的な列挙であることが理解されるべきである。
【0043】
上記から明らかなように、例えば、モデルデータ及びシミュレーションモデルを乗算する必要はなく、それによって、異なるコピー間でデータの整合性を確保する必要はない。加えて、解決策が汎用のアプリケーションプログラミングインターフェイスを提供するので、アプリケーションプログラミングインターフェイスを含む新しいインターフェイスを画定する必要はない。
【0044】
上記の図2図4で説明されたステップ及び関連する機能は、絶対的な時系列ではなく、一部のステップは、同時に実行されてもよく、又は与えられた順序とは異なる順序で実行されてもよい。他の機能が、またステップ間又はステップ内で実行されることができる。また、幾つかのステップ又は一部のステップは、省略されることができ、又は対応するステップ若しくは一部のステップに置き換えられることができる。
【0045】
本明細書で説明される技術及び方法は、例えば、図1図4の何れかによる実施形態/例を伴って上記で説明された対応するデバイス/機器の1つ以上の機能/動作の実装を含む、図1図4の何れかを伴って上記で開示されたものに少なくとも部分的に支持するように構成された機器/デバイス/装置が、先行技術の手段だけでなく、例えば、図1図4の何れかによる実施形態/例を伴って説明された対応する機能の1つ以上の機能/動作を実装するための手段をも備えるように、様々な手段によって実装されてもよく、デバイス/機器は、別個の各機能/動作のために別個の手段を備えてもよく、又は手段は、2つ以上の機能/動作を実行するように構成されてもよい。例えば、上記で説明された手段及び/又はシミュレーションサービスユニットのうちの1つ以上が、ハードウェア(1つ以上のデバイス)、ファームウェア(1つ以上のデバイス)、ソフトウェア(1つ以上のモジュール)、又はそれらの組み合わせで実装されてもよい。ハードウェア実装の場合には、実施形態/例のデバイス、装置、又は機器が、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、論理ゲート、図1図4によって本明細書で説明された機能を実行するために設計された他の電子ユニット、又はそれらの組み合わせ内に実装されてもよい。ファームウェア又はソフトウェアの場合には、実装は、本明細書で説明された機能を実行する少なくとも1つのチップセット(例えば、手順、機能、等)のモジュールを介して実行されることができる。ソフトウェアコードは、メモリユニットに保存され、プロセッサによって実行されてもよい。メモリユニットは、プロセッサ内又はプロセッサの外部に実装されてもよい。後者の場合には、それは、当該技術分野で既知であるように、様々な手段を介してプロセッサに通信可能に結合することができる。加えて、本明細書で説明された構成要素は、それに関して説明された様々な態様等の達成を容易にするために、追加の構成要素によって再配置及び/又は補完されてもよく、それらは、当業者によって理解されるように、与えられた図に記載された正確な構成に限定されない。
【0046】
図5は、ゲートウェイ(シミュレーション機器)、又は少なくとも1つ以上のシミュレーションサービスユニット、若しくは対応するユニット及びサブユニット、若しくは図1図4を伴って上記で説明されたアプリケーションプログラミングインターフェイス、若しくは機能が将来分配される場合には対応する機能若しくは幾つかの対応する機能を備える対応するコンピューティングデバイスを提供するように構成された機器500のための幾つかのユニットを図示する、簡略化されたブロック図である。図示された例においては、機器は、他のデバイスとの間、及び場合によりユーザとの間で情報を受信及び/又は送信するための1つ以上のインターフェイス(IF)501、図1図4を伴って上記で説明されたシミュレーションサービスユニット、又は分配されたシナリオが実装されている場合にはサブユニット機能としての、対応するアルゴリズム503を伴う少なくとも一部の対応する機能を実装するように構成された1つ以上のプロセッサ502、並びに1つ以上のシミュレーションサービスユニット、又は1つ以上の対応するユニット若しくはサブユニット、すなわち、機能を実装するためのアルゴリズムのために要求される少なくともコンピュータプログラムコードを保存するために使用可能な1つ以上のメモリ504を備える。メモリ504はまた、例えば、様々なシミュレーション及び/又は分析ツールを実装するために要求される構成要素情報及び/又はモデル及び/又はコンピュータプログラムコードのような他の可能な情報を保存するために使用可能である。
【0047】
言い換えれば、機器を提供するように構成されたゲートウェイ(シミュレーション機器、デバイス、装置)、又は図1図4を伴って上記で説明された1つ以上の対応する機能を提供するように構成されたデバイス/装置は、実施形態/例/実装を伴って上記で説明された1つ以上の対応する機能を実行するように構成された任意のデバイス、機器、又はノードであってもよいコンピューティング機器であり、それは、様々な実施形態/例/実装からの機能を実行するように構成されてもよい。1つ以上のシミュレーションサービスユニット、並びに対応するユニット及びサブユニットは、別のユニットであってもよく、別の物理的な装置に位置する場合であっても、分散された物理的な装置は、機能を提供する1つの論理機器を形成し、又は同じ機器において別のユニットに統合される。
【0048】
ゲートウェイを提供するように構成された機器(シミュレーション機器)、又は1つ以上の対応する機能を提供するように構成されたデバイスは、一般的に、1つ以上のメモリ及び機器の様々なインターフェイスに接続された1つ以上のプロセッサ、コントローラ、制御ユニット、マイクロコントローラ、等を含んでもよい。一般的に、プロセッサは中央処理装置であるが、プロセッサは追加の演算プロセッサであってもよい。本明細書で説明されたユニット/サブユニット及び/又はアルゴリズムのそれぞれ、幾つか、又は1つは、算術演算に使用される保存領域を提供するためのメモリ、及び算術演算を実行するための演算プロセッサを少なくとも含む、単一チップコンピュータ要素又はチップセットのようなコンピュータ、プロセッサ、又はマイクロプロセッサとして構成されてもよい。上記で説明されたユニット/サブユニット及び/又はアルゴリズムのそれぞれ、幾つか、又は1つは、1つ以上の実施形態/実装/例の1つ以上の機能を実行するように、1つ以上のコンピュータプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理ゲート、並びに/又は既にプログラムされ、及び/若しくはコンピュータプログラムコード(1つ以上のアルゴリズム)をダウンロードすることによってプログラムされる他のハードウェア構成要素を備えてもよい。一実施形態は、1つ以上のプロセッサ/コンピュータによって実行可能なプログラム命令を含む、任意のクライアント可読な分配/データ保存媒体、メモリユニット、又は製造品において具現化されたコンピュータプログラムを提供し、この命令は、デバイスにロードされると、シミュレーションサービスユニット若しくは任意のサブユニット、又は対応するアプリケーションプログラミングインターフェイスを構成する。ソフトウェアルーチン、「プログラムライブラリ」を構成するプログラムスニペット、アプレット、及びマクロを含む、プログラム製品とも呼ばれるプログラムは、任意の媒体に保存されることができ、装置にダウンロードされてもよい。言い換えれば、上記で説明されたサブユニット及び/又はアルゴリズムのそれぞれ、幾つか、又は1つは、1つ以上の算術論理ユニット、複数の特別のレジスタ、及び制御回路を備える要素であってもよい。
【0049】
更に、ゲートウェイを提供するように構成された機器(シミュレーション機器)、又は図1図4を伴って上記で説明された1つ以上の対応する機能を提供するように構成されたデバイスは、一般的に、揮発性及び/又は不揮発性メモリ、例えば、EEPROM、ROM、PROM、RAM、DRAM、SRAM、ダブルフローティングゲート電界効果トランジスタ、ファームウェア、プログラマブルロジック、等を含み、典型的には、コンテンツ、データ、等を保存してもよい。1つ以上のメモリは、任意のタイプ(互いに異なる)であり、任意の可能な保存構造を有してもよく、必要に応じて、任意のデータベース管理システムによって管理される。言い換えれば、メモリ又はその一部は、プロセッサ/機器内又はプロセッサ/機器の外部の任意のコンピュータ使用可能な非一時的媒体であってもよく、この場合には、それは、当該技術分野で既知であるように、様々な手段を介してプロセッサ/機器に通信可能に結合されることができる。外部メモリの例は、装置に取り外し可能に接続されたリムーバブルメモリ、分散データベース、及びクラウドサーバーを含む。メモリはまた、プロセッサが例/実施形態に従った機器の動作に関連するステップを実行するために、ソフトウェアアプリケーション(例えば、1つ以上のユニット/サブユニット/アルゴリズムのための)のようなコンピュータプログラムコード、又は動作システム、情報、データ、コンテンツ、等を保存してもよい。
【0050】
技術が進歩するにつれて、本発明の概念が様々な方法で実装されることができることは当業者には明らかである。本発明及びその実施形態は、上記で説明された例に限定されず、特許請求の範囲の範囲内で変動してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5