IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリンパス株式会社の特許一覧

特許7123180ビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡
<>
  • 特許-ビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡 図1
  • 特許-ビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡 図2
  • 特許-ビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡 図3
  • 特許-ビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡 図4
  • 特許-ビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡 図5
  • 特許-ビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡 図6
  • 特許-ビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡 図7
  • 特許-ビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡 図8
  • 特許-ビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】ビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220815BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
A61B1/00 682
A61B1/00 550
A61B1/045 613
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020567283
(86)(22)【出願日】2019-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2019001909
(87)【国際公開番号】W WO2020152788
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳原 江莉香
(72)【発明者】
【氏名】谷 伸介
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/061495(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/029839(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/207537(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
G02B 23/24-23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の把持部の温度に関する情報、前記内視鏡により撮像された画像データを送受信する無線通信の無線環境に関する情報および前記内視鏡のバッテリーの残量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を取得するデータ収集部と、
複数のパラメータを制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、
前記少なくとも1つの情報に基づいて、前記内視鏡の動作を選択的に制約する制約処理の内容と、前記制約処理によって低下する内視鏡画像を表示するための機能を回復させる回復処理の内容を決定し、
前記制約処理のためのパラメータと、前記回復処理に用いられるパラメータとを決定することを特徴とするビデオプロセッサ。
【請求項2】
前記データ収集部は、更に、内視鏡シーンに関する情報を取得することを特徴とする請求項1に記載のビデオプロセッサ。
【請求項3】
前記制御部によって前記把持部の温度が所定の温度閾値以上であることと前記バッテリーの残量が所定のバッテリー閾値未満であることとのうちの少なくとも一方が判定された場合には、前記制御部は、前記制約処理として消費電力削減処理を実行することを決定し、
前記消費電力削減処理は、被写体を照明する照明部の照明光量を変更する照明光量変更処理と前記画像データが圧縮されて生成された圧縮データのデータ量を変更する圧縮量変更処理のうち、少なくとも前記照明光量変更処理を含み、
前記制御部によって前記照明光量変更処理を実行することが決定された場合には、前記制御部は、前記消費電力削減処理が実行されない場合に比べて前記照明光量が減少するように前記照明光量を規定する照明パラメータを決定し、
前記制御部によって前記圧縮量変更処理を実行することが決定された場合には、前記制御部は、前記消費電力削減処理が実行されない場合に比べて前記圧縮データのデータ量が減少するように前記圧縮データのデータ量を規定する圧縮パラメータを決定することを特徴とする請求項2に記載のビデオプロセッサ。
【請求項4】
前記制御部によって前記把持部の温度が前記所定の温度閾値以上であることと前記バッテリーの残量が前記所定のバッテリー閾値未満であることとのうちの少なくとも一方が判定され且つ前記内視鏡シーンが高解像度の前記内視鏡画像を要するシーンであることが判定された場合には、前記制御部は、前記照明光量変更処理と前記圧縮量変更処理のうち、前記照明光量変更処理を優先的に実行することを決定することを特徴とする請求項3に記載のビデオプロセッサ。
【請求項5】
前記制御部は、前記照明光量変更処理のみを実行することを決定することを特徴とする請求項4に記載のビデオプロセッサ。
【請求項6】
前記制御部は、前記照明光量変更処理による前記バッテリーの消費電力の削減量が、前記圧縮量変更処理による前記バッテリーの消費電力の削減量よりも大きくなるように、前記照明パラメータおよび前記圧縮パラメータを決定することを特徴とする請求項4に記載のビデオプロセッサ。
【請求項7】
前記制御部は、更に、前記画像データに対して所定の画像処理を行い、
前記画像処理は、前記圧縮データを伸張して生成された伸張画像データの明るさを補正する明るさ補正処理を含み、
前記制御部によって前記消費電力削減処理を実行することが決定された場合には、前記制御部は、前記回復処理として、前記明るさ補正処理の内容を変更することを決定し、前記回復処理が実行されない場合に比べて前記内視鏡画像を明るくする前記明るさ補正処理の効果が強まるように、前記伸張画像データの補正前の明るさと補正後の明るさとの関係を規定する明るさパラメータを決定することを特徴とする請求項3に記載のビデオプロセッサ。
【請求項8】
前記制御部によって前記内視鏡シーンが高解像度の前記内視鏡画像を要するシーンであることが判定され且つ前記明るさ補正処理の内容を変更することが決定された場合には、前記制御部は、前記回復処理が実行されない場合よりも前記明るさ補正処理の前記効果が強まるが前記内視鏡シーンが高解像度の前記内視鏡画像を要するシーンであることが判定されない場合よりも前記明るさ補正処理の前記効果が弱まるように、前記明るさパラメータを決定することを特徴とする請求項7に記載のビデオプロセッサ。
【請求項9】
前記制御部によって前記無線通信の転送可能データ量が所定の閾値未満であることが判定された場合には、前記制御部は、前記制約処理として無線伝送量削減処理を実行することを決定し、
前記無線伝送量削減処理は、前記画像データが圧縮されて生成された圧縮データのデータ量を変更する圧縮量変更処理を含み、
前記制御部によって前記無線伝送量削減処理を実行することが決定された場合には、前記制御部は、前記無線伝送量削減処理が実行されない場合に比べて前記圧縮データのデータ量が減少するように、前記圧縮データのデータ量を規定する圧縮パラメータを決定することを特徴とする請求項1に記載のビデオプロセッサ。
【請求項10】
前記データ収集部は、更に、内視鏡シーンに関する情報を取得し、
前記制御部によって前記内視鏡シーンが高解像度の前記内視鏡画像を要するシーンであることが判定され且つ前記無線伝送量削減処理を実行することが決定された場合には、前記制御部は、前記無線伝送量削減処理が実行されない場合よりも前記圧縮データのデータ量が減少するが前記内視鏡シーンが高解像度の前記内視鏡画像を要するシーンであることが判定されない場合よりも前記圧縮データのデータ量が増加するように、前記圧縮パラメータを決定することを特徴とする請求項9に記載のビデオプロセッサ。
【請求項11】
前記制御部は、更に、前記画像データに対して所定の画像処理を行い、
前記画像処理は、前記圧縮データを伸張して生成された伸張画像データの明るさを補正する明るさ補正処理を含み、
前記明るさ補正処理は、前記伸張画像データの任意の1つの画素とその周囲にある複数の画素とを含む所定の領域内の複数の画素値と第1の明るさパラメータを用いて前記任意の1つの画素の明るさを補正するフィルター処理と、前記任意の1つの画素の画素値と第2の明るさパラメータを用いて前記任意の1つの画素の明るさを補正する乗算処理とを含み、
前記制御部によって前記無線伝送量削減処理を実行することが決定された場合には、前記制御部は、前記回復処理として、前記回復処理が実行されない場合に比べてその効果を弱めた前記フィルター処理である弱フィルター処理と、前記回復処理が実行されない場合に比べてその効果を強めた前記乗算処理である強乗算処理とを実行することを決定し、前記回復処理が実行されない場合に比べて前記フィルター処理の効果が弱まるように前記第1の明るさパラメータを決定し、前記回復処理が実行されない場合に比べて前記乗算処理の効果が強まるように前記第2の明るさパラメータを決定することを特徴とする請求項9に記載のビデオプロセッサ。
【請求項12】
前記データ収集部は、更に、内視鏡シーンに関する情報を取得し、
前記制御部によって前記内視鏡シーンが高解像度の前記内視鏡画像を要するシーンであることが判定され且つ前記弱フィルター処理と前記強乗算処理を実行することが決定された場合には、前記制御部は、前記回復処理が実行されない場合よりも前記フィルター処理の効果が弱まるが前記内視鏡シーンが高解像度の前記内視鏡画像を要するシーンであることが判定されない場合よりも前記フィルター処理の効果が強まるように前記第1の明るさパラメータを決定し、前記回復処理が実行されない場合よりも前記乗算処理の効果が強まるが前記内視鏡シーンが高解像度の前記内視鏡画像を要するシーンであることが判定されない場合よりも前記乗算処理の効果が弱まるように前記第2の明るさパラメータを決定することを特徴とする請求項11に記載のビデオプロセッサ。
【請求項13】
前記データ収集部は、前記把持部の温度に関する情報を取得する温度情報取得部と、前記無線環境に関する情報を取得する無線環境情報取得部と、前記バッテリーの残量に関する情報を取得する電池残量情報取得部と、前記内視鏡シーンに関する情報を取得するシーン検出部とを含み、
前記温度情報取得部と前記電池残量情報取得部は、前記内視鏡に設けられ、
前記無線環境情報取得部と前記シーン検出部は、前記内視鏡および前記ビデオプロセッサのうちの少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のビデオプロセッサ。
【請求項14】
前記制御部は、前記内視鏡に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のビデオプロセッサ。
【請求項15】
前記制御部は、前記ビデオプロセッサに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のビデオプロセッサ。
【請求項16】
内視鏡の撮像部で取得した画像データから内視鏡画像を生成する内視鏡システムの作動方法であって、
データ収集部が、前記内視鏡の把持部の温度に関する情報、前記画像データを送受信する無線通信の無線環境に関する情報および前記内視鏡のバッテリーの残量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を取得するステップと、
判定部が、前記少なくとも1つの情報に基づいて、前記内視鏡の動作を選択的に制約する制約処理の内容と、前記制約処理によって低下する前記内視鏡画像を表示するための機能を回復させる回復処理の内容を決定するステップと、
パラメータ決定部が、前記制約処理のためのパラメータと、前記回復処理に用いられるパラメータとを決定するステップ
を含んでいることを特徴とする内視鏡システムの作動方法
【請求項17】
内視鏡の把持部の温度に関する情報、前記内視鏡により撮像された画像データを送受信する無線通信の無線環境に関する情報および前記内視鏡のバッテリーの残量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を取得するデータ収集部と、
複数のパラメータを制御する制御部とを具備し、
前記制御部は、
前記少なくとも1つの情報に基づいて、前記内視鏡の動作を選択的に制約する制約処理の内容と、前記制約処理によって低下する内視鏡画像を表示するための機能を回復させる回復処理の内容を決定し、
前記制約処理のためのパラメータと、前記回復処理に用いられるパラメータとを決定することを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の動作を選択的に制約する制約処理を実行可能なビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡装置は、医療分野および工業用分野において広く用いられている。特に、医療分野において用いられる内視鏡は、体腔内の臓器の観察、処置具を用いた治療措置、内視鏡観察下における外科手術等に、広く用いられている。
【0003】
また、近年、半導体技術の進歩や、照明用光源としてLEDを用いることによる省電力化によって、充電式のバッテリーを搭載したバッテリー駆動型のワイヤレス内視鏡が実用化され始めている。ワイヤレス内視鏡は、ビデオプロセッサとの間で無線通信を行う無線通信部を内蔵し、撮像素子によって撮像した画像データを圧縮して無線で伝送するように構成されている。
【0004】
ワイヤレス内視鏡では、内部の温度上昇を抑制してバッテリー劣化等の機能低下を防止したり、バッテリーの消費量を抑制して稼働時間を長くしたりするために、必要に応じて内視鏡の消費電力を削減する消費電力削減処理が実行可能であることが望ましい。また、ワイヤレス内視鏡では、無線通信の途絶を防止するために、無線環境が悪化した状況の下では画像データの圧縮率を高くする一方、重要なシーンでは、高画質な内視鏡画像を得るために画像データの圧縮率を低くする等、圧縮率を変更する処理が実行可能であることが望ましい。
【0005】
国際公開第2017/029839号には、バッテリ交換時に、画像圧縮率を高くしたり、照明光量を低下させたりする省電力動作を行うワイヤレス内視鏡が開示されている。日本国特許第4800695号公報には、内視鏡装置の本体部の内部の温度と実際の検査の状況に応じて本体部の各部の動作を制御することによって、消費電力を低減する内視鏡装置が開示されている。国際公開第2016/052175号には、手技シーンの種別の判定結果に基づいて内視鏡画像の圧縮率を算出する携帯型内視鏡システムが開示されている。
【0006】
ワイヤレス内視鏡は、内視鏡画像を表示するための機能として、内視鏡画像の画質を所定のレベル以上に維持する機能を有している。消費電力削減処理や画像データの圧縮率を高くする処理等の、ワイヤレス内視鏡の動作を選択的に制約する処理(以下、制約処理と言う。)を実行すると、上記の機能が損なわれてしまう。また、重要なシーンでは高画質な内視鏡画像が求められるが、制約処理を実行すると、高画質な内視鏡画像が得られなくなり、使用者のニーズを満足することができなくなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、制約処理の実行時に、内視鏡画像を表示するための機能を回復させることができるビデオプロセッサ、内視鏡システムの作動方法および内視鏡を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のビデオプロセッサは、内視鏡の把持部の温度に関する情報、前記内視鏡により撮像された画像データを送受信する無線通信の無線環境に関する情報および前記内視鏡のバッテリーの残量に関する情報のうちの少なくとも1つを取得するデータ収集部と、複数のパラメータを制御する制御部と、を具備し、前記制御部は、前記少なくとも1つの情報に基づいて、前記内視鏡の動作を選択的に制約する制約処理の内容と、前記制約処理によって低下する内視鏡画像を表示するための機能回復させる回復処理の内容を決定前記制約処理のためのパラメータと、前記回復処理に用いられるパラメータとを決定する
【0009】
本発明の一態様の内視鏡システムの作動方法は、内視鏡の撮像部で取得した画像データから内視鏡画像を生成する内視鏡システムの作動方法であって、データ収集部が、前記内視鏡の把持部の温度に関する情報、前記画像データを送受信する無線通信の無線環境に関する情報および前記内視鏡のバッテリーの残量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を取得するステップと、判定部が、前記少なくとも1つの情報に基づいて、前記内視鏡の動作を選択的に制約する制約処理の内容と、前記制約処理によって低下する前記内視鏡画像を表示するための機能を回復させる回復処理の内容を決定するステップと、パラメータ決定部が、前記制約処理のためのパラメータと、前記回復処理に用いられるパラメータとを決定するステップと、を含んでいる。
本発明の一態様の内視鏡は、内視鏡の把持部の温度に関する情報、前記内視鏡により撮像された画像データを送受信する無線通信の無線環境に関する情報および前記内視鏡のバッテリーの残量に関する情報のうちの少なくとも1つの情報を取得するデータ収集部と、複数のパラメータを制御する制御部とを具備し、前記制御部は、前記少なくとも1つの情報に基づいて、前記内視鏡の動作を選択的に制約する制約処理の内容と、前記制約処理によって低下する内視鏡画像を表示するための機能を回復させる回復処理の内容を決定し、前記制約処理のためのパラメータと、前記回復処理に用いられるパラメータとを決定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡システムの全体構成を示す説明図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡システムの内視鏡およびパラメータ制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡システムのビデオプロセッサおよび表示部の構成を示す機能ブロック図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡システムのハードウェア構成の一例を示す説明図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡システムの動作の一部を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡システムの動作の他の一部を示すフローチャートである。
図7】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡システムの動作の更に他の一部を示すフローチャートである。
図8】本発明の第2の実施の形態に係わる内視鏡システムの内視鏡およびパラメータ制御装置の第1の部分の構成を示す機能ブロック図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係わる内視鏡システムのビデオプロセッサおよびパラメータ制御装置の第2の部分の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
(内視鏡システムの構成)
始めに、本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡システムの概略の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係わる内視鏡システム1の全体構成を示す説明図である。本実施の形態に係わる内視鏡システム1は、バッテリー駆動型の携帯型内視鏡であるワイヤレス内視鏡2を備えたワイヤレス内視鏡システムである。以下、ワイヤレス内視鏡2を単に内視鏡2と記す。
【0013】
内視鏡システム1は、内視鏡2によって撮像された内視鏡画像を表示するための機能を有するように構成されている。具体的には、内視鏡システム1は、更に、内視鏡2に対して物理的に分離されたビデオプロセッサ3と、ビデオプロセッサ3に接続された表示部4とを備えている。ビデオプロセッサ3は、内視鏡2とは無線によって接続され、後述する所定の画像処理を行って内視鏡画像を生成する。表示部4は、モニタ装置等によって構成されており、内視鏡画像等を表示する。
【0014】
図1に示したように、手術室では、カート6上に、ビデオプロセッサ3と表示部4と各種医療機器が載置される。カート6上に載置される医療機器としては、例えば、電気メス装置、気腹装置およびビデオレコーダ等の装置類や、二酸化炭素を充填したガスボンベ等がある。
【0015】
なお、ビデオプロセッサ3と表示部4の構成は、図1に示した例に限られない。例えば、内視鏡システム1は、ビデオプロセッサ3および表示部4の代わりに、表示部が一体化されたビデオプロセッサを備えていてもよい。
【0016】
内視鏡2は、体腔内に挿入される細長の挿入部2Aと、使用者が把持する把持部2Baを有する操作部2Bとを含んでいる。操作部2Bは、挿入部2Aの基端部に設けられている。
【0017】
内視鏡2は、更に、被写体を撮像して画像データを生成する撮像部21と、被写体を照明する照明部22とを含んでいる。被写体は、例えば、被検体内の患部等の部位である。撮像部21は、挿入部2Aの先端部に設けられたCCDまたはCMOS等の図示しない撮像素子を含んでいる。
【0018】
照明部22は、発光ダイオード等の図示しない発光素子よりなる照明用光源と、挿入部2Aの先端に設けられた図示しないレンズとによって構成されている。照明用光源が発生した照明光は、レンズを介して被写体に照射される。撮像部21の撮像素子の撮像面には、上記の照明光による被写体からの戻り光が結像する。なお、照明用光源は、操作部2Bに設けられていてもよい。この場合、照明用光源が発生する照明光は、図示しないライトガイドによって挿入部2Aの先端に導かれる。
【0019】
内視鏡システム1は、更に、本実施の形態に係わるパラメータ制御装置5を備えている。なお、パラメータ制御装置5は、後で説明する図2に示されている。パラメータ制御装置5は、内視鏡2およびビデオプロセッサ3において用いられる複数のパラメータを制御することによって、内視鏡2およびビデオプロセッサ3に所定の処理を実行させる装置である。
【0020】
(内視鏡およびパラメータ制御装置の構成)
次に、図2を参照して、内視鏡2およびパラメータ制御装置5の構成について詳しく説明する。図2は、内視鏡2およびパラメータ制御装置5の構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態では、パラメータ制御装置5の全体が内視鏡2内に設けられている。
【0021】
図2に示したように、内視鏡2は、前記把持部2Ba、撮像部21および照明部22の他に、第1の画像処理部(以下、単に画像処理部と記す。)23と、第1の無線通信部24Aと、アンテナ24Bと、電源部25と、温度センサー26とを含んでいる。撮像部21は、光電変換によって被写体光学像に基づく画像データを生成し、この画像データを画像処理部23に出力する。
【0022】
画像処理部23は、圧縮処理部23Aを有している。圧縮処理部23Aは、撮像部21が生成した画像データを圧縮して圧縮データを生成する圧縮処理を行う。圧縮処理では、圧縮データのデータ量を規定する圧縮パラメータが用いられる。圧縮パラメータは、圧縮データの圧縮率と対応関係を有している。画像処理部23は、生成された圧縮データを第1の無線通信部24Aに出力し、現在の圧縮パラメータをパラメータ制御装置5に出力する。また、画像処理部23は、内視鏡シーンに関する情報として、内視鏡シーンを検出するための画像データをパラメータ制御装置5に出力する。
【0023】
第1の無線通信部24Aは、無線で送信する信号を生成する図示しない無線送信回路と、無線で受信した信号を復調する図示しない無線受信回路とを含み、アンテナ24Bを介して、ビデオプロセッサ3との間で無線を用いて所定の信号を送受信する。上記所定の信号には、圧縮データと後述する複数のパラメータが含まれる。
【0024】
第1の無線通信部24Aは、更に、無線通信の環境(以下、単に無線環境と記す。)の状態を検出する図示しない環境検出回路を含んでいる。環境検出回路は、例えば、無線環境の状態として、周囲に存在する同じ周波数帯域を用いる無線通信機器等を検出する。第1の無線通信部24Aは、環境検出回路によって検出された無線環境に関する情報をパラメータ制御装置5に出力する。なお、第1の無線通信部24Aは、環境検出回路の検出結果をそのまま出力してもよいし、環境検出回路の検出結果から転送可能データ量を算出し、算出した転送可能データ量を出力してもよい。無線通信における転送可能データ量は、無線通信の仕様で規定される他に、無線環境に依存して変化する。転送可能データ量は、例えば、1フレーム分の画像データを送信する時間の間に転送することができるデータ量で規定される。転送可能データ量は、例えば、同じ周波数帯域を用いる無線通信機器の台数が増加すると減少する。
【0025】
なお、第1の無線通信部24Aと後述する第2の無線通信部は、複数の帯域、例えば、60GHz帯と5GHz帯を用いて無線通信ができるように構成されていてもよい。この場合、60GHz帯は、例えば圧縮データを送受信するために用いられる。5GHz帯は、例えば複数のパラメータを送受信するために用いられる。
【0026】
電源部25は、バッテリー25Aを有し、撮像部21、照明部22、画像処理部23および第1の無線通信部24Aを含む内視鏡2の各部に対して、バッテリー25Aの電力を供給する。バッテリー25Aは、例えば、操作部2B(図1参照)に装着することができるように構成されている。また、電源部25は、バッテリー25Aの残量を検出する図示しない電池残量検出回路を含んでいる。電源部25は、検出されたバッテリー25Aの残量の情報をパラメータ制御装置5に出力する。
【0027】
温度センサー26は、把持部2Ba(図1参照)の温度を測定することができるように構成されており、把持部2Baの温度の測定結果をパラメータ制御装置5に出力する。なお、内視鏡2は、温度センサー26の他に、把持部2Baおよび温度センサー26を除く内視鏡2内の各部の温度を測定する1つ以上の温度センサーを含んでいてもよい。
【0028】
図2に示したように、パラメータ制御装置5は、データ収集部51と、判定部52と、パラメータ決定部53と、パラメータ送信部54とを含んでいる。判定部52、パラメータ決定部53およびパラメータ送信部54は、パラメータ制御装置5における主要部である制御部5Aを構成する。判定部52とパラメータ決定部53は、内視鏡2に設けられているとも言える。データ収集部51は、内視鏡システム1に関する複数の情報を取得する。データ収集部51の構成については、後で説明する。
【0029】
ここで、内視鏡2の動作を選択的に制約する処理を制約処理と言う。また、制約処理によって低下する内視鏡画像を表示するための機能が回復するようにビデオプロセッサ3を動作させる処理を回復処理と言う。判定部52は、データ収集部51が取得した複数の情報を判定することによって、制約処理の内容と回復処理の内容を決定する。
【0030】
内視鏡画像を表示するための機能とは、具体的には、使用者のニーズを満足する内視鏡画像を表示部4に表示させ続けるための機能である。本実施の形態では、内視鏡画像を表示するための機能としては、少なくとも、バッテリー25Aによって内視鏡2を稼働させるバッテリー稼働機能と、無線を用いて画像データを内視鏡2からビデオプロセッサ3に伝送する無線伝送機能と、内視鏡画像の画質を所定のレベル以上に維持する画質維持機能がある。制約処理を実行すると、バッテリー稼働機能と無線伝送機能は維持されるが、画質維持機能は低下する。これに対し、本実施の形態では、回復処理を実行することによって、画質維持機能を回復させる。
【0031】
パラメータ決定部53は、判定部52において決定された内容の制約処理に用いられる1つ以上のパラメータと、判定部52において決定された内容の回復処理に用いられる1つ以上のパラメータとを決定する。
【0032】
パラメータ送信部54は、パラメータ決定部53によって決定された複数のパラメータを、内視鏡2およびビデオプロセッサ3の各部に送信する。内視鏡2では、照明部22と圧縮処理部23Aが、パラメータ送信部54から送信されたパラメータを受信する。ビデオプロセッサ3では、後述する主制御部が、パラメータ送信部54から送信されたパラメータを受信する。
【0033】
内視鏡2は、更に、図示しない主制御部を含んでいる。主制御部は、パラメータ制御装置5を含む内視鏡2内の各部を制御すると共に、電源部25を制御して、パラメータ制御装置5を含む内視鏡2内の各部に電源を供給させる。
【0034】
(ビデオプロセッサの構成)
次に、図3を参照して、ビデオプロセッサ3の構成について説明する。図3は、ビデオプロセッサ3および表示部4の構成を示す機能ブロック図である。図3に示したように、ビデオプロセッサ3は、第2の無線通信部31Aと、アンテナ31Bと、第2の画像処理部(以下、単に画像処理部と記す。)32と、主制御部36と、ユーザインタフェース部(以下、ユーザIF部と記す。)37とを含んでいる。
【0035】
第2の無線通信部31Aとアンテナ31Bは、ビデオプロセッサ3の本体に内蔵されていてもよいし、ビデオプロセッサ3の本体とは別体の無線受信機30に内蔵されていてもよい。図1には、無線受信機30を示している。無線受信機30は、図示しないコネクタによってビデオプロセッサ3の本体に接続されるように構成される。
【0036】
第2の無線通信部31Aは、無線で送信する信号を生成する図示しない無線送信回路と、無線で受信した信号を復調する図示しない無線受信回路とを含み、アンテナ31Bを介して、内視鏡2との間で無線を用いて所定の信号を送受信する。上記所定の信号には、第1の無線通信部24Aが送信した圧縮データとパラメータ送信部54が送信した複数のパラメータが含まれる。第2の無線通信部31Aは、圧縮データを画像処理部32に出力し、複数のパラメータを主制御部36に出力する。
【0037】
第2の無線通信部31Aは、更に、無線環境の状態を検出する図示しない環境検出回路を含んでいてもよい。第2の無線通信部31Aの環境検出回路の機能は、第1の無線通信部24Aの環境検出回路の機能と同じである。第2の無線通信部31Aは、環境検出回路によって検出された無線環境に関する情報を、内視鏡2とビデオプロセッサ3との間の無線通信を介して、パラメータ制御装置5に出力する。第2の無線通信部31Aが出力する無線環境に関する情報の内容は、前述の第1の無線通信部24Aが出力する無線環境に関する情報の内容と同様である。
【0038】
画像処理部32は、圧縮データを伸張して画像データに対応する伸張画像データを生成し、且つ伸張画像データに対して所定の画像処理を行って内視鏡画像を生成する。本実施の形態では、画像処理部32は、伸張画像データを生成する伸張処理部33と、復元処理部34と、現像部35とを含んでいる。
【0039】
復元処理部34は、内視鏡画像の画質が向上するように、伸張画像データに対して少なくとも1つの画像復元処理を行う。本実施の形態では特に、復元処理部34は、少なくとも1つの画像復元処理として、伸張画像データの明るさを補正する明るさ補正処理を行うことができるように構成されている。具体的には、復元処理部34は、明るさ補正処理を実行するフィルター処理部34Aと乗算処理部34Bを含んでいる。
【0040】
フィルター処理部34Aは、伸張画像データの任意の1つの画素とその周囲にある複数の画素とを含む所定の領域内の複数の画素値と第1の明るさパラメータを用いて、任意の1つの画素の明るさを補正するフィルター処理を行う。フィルター処理は、例えば、RGBのそれぞれのチャンネル毎に、周囲にある複数の画素の明るさの値に係数(重み)を掛けて上記任意の1つの画素の明るさの値に加算する処理であってもよい。この場合、第1の明るさパラメータは、複数の画素の明るさの値に掛ける係数(重み)であってもよい。
【0041】
乗算処理部34Bは、任意の1つの画素の画素値と第2の明るさパラメータを用いて、任意の1つの画素の明るさを補正する乗算処理を行う。乗算処理は、上記任意の1つの画素の輝度値に乗数として第2の明るさパラメータを掛ける処理であってもよい。この場合、第2の明るさパラメータは、定数であってもよいし、ガンマ補正のように輝度値に応じて変化する値であってもよい。後者の場合、輝度値と第2の明るさパラメータとの関係を表すテーブルを用いて乗算処理が行われる。
【0042】
なお、フィルター処理の効果が強くなるに従って、補正後の伸張画像データは明るくなるが、補正後の伸張画像データの解像度は低下する。また、乗算処理の効果が強くなるに従って、補正後の伸張画像データは明るくなるが、補正後の伸張画像データのノイズは増加する。従って、内視鏡画像が明るくなるようにフィルター処理および乗算処理を行いながら、高画質且つ高解像度の内視鏡画像を得るためには、補正後の伸張画像データの解像度が低下しすぎないように第1の明るさパラメータを設定し、補正後の伸張画像データのノイズが増加しすぎないように第2の明るさパラメータを設定する必要がある。
【0043】
現像部35は、伸張画像データを表示部4において表示可能なフォーマットに変換して内視鏡画像を生成する現像処理を行う。画像処理部32は、生成された内視鏡画像を表示部4に出力する。
【0044】
ユーザIF部37は、ユーザ操作を受け付けるインタフェースである。具体的には、ユーザIF部37は、例えば、フロントパネルおよび制御系の各種スイッチ等によって構成され、ユーザ操作に基づく操作信号を主制御部36に出力する。ユーザ操作としては、例えば、内視鏡システム1の起動、内視鏡システム1の電源のOFF、内視鏡2の観察モードの指定、画像表示に関する設定、内視鏡2の動作モードの設定がある。
【0045】
主制御部36は、ビデオプロセッサ3内の各部を制御すると共に、ビデオプロセッサ3に設けられた図示しない電源部を制御して、ビデオプロセッサ3内の各部に電源を供給させる。また、主制御部36は、パラメータ送信部54から送信されたパラメータを受信し、受信したパラメータを復元処理部34に出力する。また、主制御部36は、ユーザIF部37から入力される操作信号に基づく情報を、ビデオプロセッサ3の各部に出力すると共に、内視鏡2とビデオプロセッサ3との間の無線通信を介して、内視鏡2の図示しない主制御部に出力する。これにより、主制御部36は、内視鏡2およびビデオプロセッサ3の各部に対して各種指示を与えることが可能である。
【0046】
(ハードウェア構成)
ここで、図4を参照して、内視鏡システム1のハードウェア構成について説明する。図4は、内視鏡システム1のハードウェア構成の一例を示す説明図である。図4に示した例では、内視鏡2は、プロセッサ20Aと、メモリ20Bと、入出力部20Cとを有している。また、ビデオプロセッサ3は、プロセッサ30Aと、メモリ30Bと、入出力部30Cとを有している。
【0047】
プロセッサ20Aは、内視鏡2の構成要素である画像処理部23、第1の無線通信部24A、電源部25および図示しない主制御部等の機能と、パラメータ制御装置5の構成要素であるデータ収集部51、判定部52、パラメータ決定部53およびパラメータ送信部54の機能を実行するために用いられる。プロセッサ30Aは、ビデオプロセッサ3の構成要素である第2の無線通信部31A、画像処理部32および主制御部36等の機能を実行するために用いられる。プロセッサ20A,30Aは、それぞれ、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)によって構成されている。内視鏡2、ビデオプロセッサ3およびパラメータ制御装置5の複数の構成要素の少なくとも一部は、FPGAにおける回路ブロックとして構成されていてもよい。
【0048】
メモリ20B,30Bは、それぞれ、例えば、RAM等の書き換え可能な記憶素子によって構成されている。入出力部20Cは、内視鏡2と外部との間で信号の送受信を行うために用いられる。入出力部30Cは、ビデオプロセッサ3と外部との間で信号の送受信を行うために用いられる。本実施の形態では特に、内視鏡2とビデオプロセッサ3との間で行われる無線を用いた信号の送受信は、入出力部20C,30Cを用いて行われる。
【0049】
なお、プロセッサ20A,30Aは、それぞれ、中央演算処理装置(以下、CPUと記す。)によって構成されていてもよい。この場合、内視鏡2およびパラメータ制御装置5の構成要素の機能は、CPUがメモリ20Bまたは図示しない記憶装置からプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。同様に、ビデオプロセッサ3の構成要素の機能は、CPUがメモリ30Bまたは図示しない記憶装置からプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0050】
また、内視鏡システム1のハードウェア構成は、図4に示した例に限られない。例えば、内視鏡2、ビデオプロセッサ3およびパラメータ制御装置5の複数の構成要素は、それぞれ、別個の電子回路として構成されていてもよい。
【0051】
(パラメータ制御装置の動作)
次に、パラメータ制御装置5の動作について説明する。
【0052】
(データ収集部の構成と動作)
始めに、図2を参照して、データ収集部51の構成と動作について説明する。データ収集部51は、複数の情報として、把持部2Baの温度に関する情報、第1の無線通信部24Aと第2の無線通信部31Aとの間の無線環境に関する情報およびバッテリー25Aの残量に関する情報のうちの少なくとも1つと、内視鏡シーンに関する情報とを取得する。本実施の形態では、データ収集部51は、温度情報取得部51Aと、無線環境情報取得部51Bと、電池残量情報取得部51Cと、シーン検出部51Eとを含んでいる。温度情報取得部51A、無線環境情報取得部51B、電池残量情報取得部51Cおよびシーン検出部51Eは、内視鏡2に設けられているとも言える。
【0053】
温度情報取得部51Aは、把持部2Baの温度に関する情報を取得する。本実施の形態では、温度情報取得部51Aには、温度センサー26が出力する把持部2Baの温度の測定結果が入力されるように構成されている。
【0054】
無線環境情報取得部51Bは、無線環境に関する情報を取得する。本実施の形態では、無線環境情報取得部51Bには、第1の無線通信部24Aが出力する無線環境に関する情報が入力されるように構成されている。無線環境情報取得部51Bは、無線環境に関する情報として、第1の無線通信部24Aの環境検出回路の検出結果、または環境検出回路の検出結果から算出された転送可能データ量を取得する。無線環境情報取得部51Bが環境検出回路の検出結果を取得する場合、無線環境情報取得部51Bは、環境検出回路の検出結果から転送可能データ量を算出してもよい。
【0055】
なお、前述のように、第2の無線通信部31Aが環境検出回路を含んでいる場合、無線環境情報取得部51Bに第2の無線通信部31Aが出力する無線環境に関する情報が入力されるように構成されていてもよい。この場合、無線環境情報取得部51Bが取得する無線環境に関する情報は、第1の無線通信部24Aが出力する情報であってもよいし、第2の無線通信部31Aが出力する情報であってもよい。
【0056】
電池残量情報取得部51Cは、バッテリー25Aの残量に関する情報を取得する。本実施の形態では、電池残量情報取得部51Cには、電源部25が出力するバッテリー25Aの残量の情報が入力されるように構成されている。
【0057】
シーン検出部51Eは、内視鏡シーンに関する情報を取得する。本実施の形態では、シーン検出部51Eには、画像処理部23が出力する内視鏡シーンに関する情報として、内視鏡シーンを検出するための画像データが入力されるように構成されている。また、シーン検出部51Eは、取得した画像データを解析することによって、内視鏡シーンを検出する。内視鏡シーンとしては、例えば、血管等を精査観察する場合に行われる精査シーン、挿入部2Aを移動させながら異常部の有無を探索する場合等に行われるスクリーニングシーン、および挿入部2Aが体外に位置する体外シーンがある。
【0058】
データ収集部51は、更に、圧縮情報取得部51Dを含んでいる。圧縮情報取得部51Dは、圧縮処理に関する情報を取得する。本実施の形態では、圧縮情報取得部51Dには、画像処理部23が出力する圧縮パラメータが入力されるように構成されている。
【0059】
(判定部の動作)
次に、図2および図3を参照して、パラメータ制御装置5の制御部5Aの動作、すなわち判定部52、パラメータ決定部53およびパラメータ送信部54の動作について説明する。始めに、判定部52の動作について説明する。判定部52は、複数の情報として、温度情報取得部51Aが取得した把持部2Baの温度に関する情報と、無線環境情報取得部51Bが取得した無線環境に関する情報と、電池残量情報取得部51Cが取得したバッテリー25Aの残量に関する情報と、シーン検出部51Eが取得した内視鏡シーンに関する情報を判定する。
【0060】
把持部2Baの温度に関する情報、バッテリー25Aの残量に関する情報および内視鏡シーンに関する情報に関連する判定部52の動作は、以下の通りである。判定部52は、把持部2Baの温度が所定の温度閾値以上であるか否かを判定すると共に、バッテリー25Aの残量が所定のバッテリー閾値未満であるか否かを判定する。そして、判定部52によって、把持部2Baの温度が所定の温度閾値以上であることと、バッテリー25Aの残量が所定のバッテリー閾値未満であることの少なくとも一方が判定された場合には、判定部52は、制約処理として消費電力削減処理を実行することを決定する。以下、把持部2Baの温度が所定の温度閾値以上であることと、バッテリー25Aの残量が所定のバッテリー閾値未満であることを、消費電力削減処理の実行条件と言う。
【0061】
消費電力削減処理は、消費電力削減処理が実行されない場合に比べてバッテリー25Aの消費電力が減少するように、内視鏡2を動作させる処理である。本実施の形態では、消費電力削減処理は、照明部22の照明光量を変更する照明光量変更処理と、圧縮データのデータ量を変更する圧縮量変更処理のうち、少なくとも照明光量変更処理を含んでいる。本実施の形態では、照明光量変更処理のみを実行するか、照明光量変更処理と圧縮量変更処理の両方を実行するかの判定は、後述するように、バッテリー25Aの残量に関する情報と内視鏡シーンに関する情報の判定結果を用いて行われる。
【0062】
また、判定部52が消費電力削減処理を実行することを決定した場合には、判定部52は、回復処理として、復元処理部34において行われる明るさ補正処理の内容を変更することを決定する。本実施の形態では、判定部52は、フィルター処理部34Aにおいて行われるフィルター処理の内容と乗算処理部34Bにおいて行われる乗算処理の内容を変更することを決定する。具体的には、判定部52は、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を強めたフィルター処理である強フィルター処理を実行することを決定し、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を強めた乗算処理である強乗算処理を実行することを決定する。
【0063】
また、判定部52は、内視鏡シーンが、精査シーン等の高解像度の内視鏡画像を要するシーン(以下、高解像度シーンと言う。)であるか否かを判定する。そして、内視鏡シーンが高解像度シーンであるか否かによって、判定部52は、消費電力削減処理の内容と、明るさ補正処理の内容を変更する。
【0064】
具体的には、判定部52によって、消費電力削減処理の実行条件を満たすことが判定され、且つ内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合には、判定部52は、照明光量変更処理と圧縮量変更処理のうち、照明光量変更処理を優先的に実行することを決定する。この場合、判定部52は、照明光量変更処理のみを実行することを決定してもよい。あるいは、判定部52は、照明光量変更処理によるバッテリー25Aの消費電力の削減量が、圧縮量変更処理によるバッテリー25Aの消費電力の削減量よりも大きくなるように、照明光量変更処理と圧縮量変更処理の両方を実行することを決定してもよい。
【0065】
なお、判定部52によって、消費電力削減処理の実行条件を満たすことが判定されたが内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定されない場合には、判定部52は、照明光量変更処理と圧縮量変更処理の両方を実行することを決定すると共に、判定部52によって内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合よりも圧縮データのデータ量が減少するように、圧縮量変更処理を実行することを決定する。
【0066】
また、判定部52によって、消費電力削減処理を実行することが決定され、且つ内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合には、判定部52は、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定されない場合よりもフィルター処理の効果が強まる強フィルター処理を実行することを決定する。なお、判定部52は、判定部52によって内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定されたか否かに関わらず、前述の強乗算処理を実行することを決定する。
【0067】
無線環境に関する情報および内視鏡シーンに関する情報に関連する判定部52の動作は、以下の通りである。本実施の形態では、判定部52は、転送可能データ量が所定の閾値未満であるか否かを判定することによって、無線環境が悪化したか否かを判定する。なお、無線環境情報取得部51Bが転送可能データ量を取得または算出する場合には、判定部52は、無線環境情報取得部51Bが取得または算出した転送可能データ量を用いる。無線環境情報取得部51Bが環境検出回路の検出結果を取得し且つ転送可能データ量を算出しない場合には、判定部52は、無線環境情報取得部51Bが取得した環境検出回路の検出結果を用いて、転送可能データ量を算出する。
【0068】
判定部52によって、転送可能データ量が所定の閾値未満であることが判定された場合には、判定部52は、制約処理として、無線伝送量削減処理を実行することを決定する。以下、転送可能データ量が所定の閾値未満であることを、無線伝送量削減処理の実行条件と言う。無線伝送量削減処理は、無線伝送量削減処理が実行されない場合に比べて内視鏡2とビデオプロセッサ3との間の無線伝送量が減少するように、内視鏡2を動作させる処理である。本実施の形態では、無線伝送量削減処理は、圧縮データのデータ量を変更する圧縮量変更処理を含んでいる。
【0069】
また、判定部52が無線伝送量削減処理を実行することを決定した場合には、判定部52は、回復処理として、復元処理部34において行われる明るさ補正処理の内容を変更することを決定する。本実施の形態では、判定部52は、フィルター処理部34Aにおいて行われるフィルター処理の内容と乗算処理部34Bにおいて行われる乗算処理の内容を変更することを決定する。具体的には、判定部52は、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を弱めたフィルター処理である弱フィルター処理を実行することを決定し、前述の強乗算処理を実行することを決定する。
【0070】
また、判定部52は、内視鏡シーンが高解像度シーンであるか否かによって、無線伝送量削減処理の内容と、明るさ補正処理の内容を変更する。具体的には、判定部52によって、無線伝送量削減処理の実行条件を満たすことが判定され、且つ内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合には、判定部52は、無線伝送量削減処理が実行されない場合よりも圧縮データのデータ量が減少するが、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定されない場合よりも圧縮データのデータ量が増加するように、無線伝送量削減処理を実行することを決定する。
【0071】
また、判定部52によって、無線伝送量削減処理を実行することが決定され、且つ内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合には、判定部52は、回復処理が実行されない場合よりもその効果が弱まるが、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定されない場合よりもその効果が強まる弱フィルター処理を実行することを決定し、回復処理が実行されない場合よりもその効果が強まるが、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定されない場合よりもその効果が弱まる強乗算処理を実行することを決定する。
【0072】
(パラメータ決定部の動作)
次に、パラメータ決定部53の動作について説明する。消費電力削減処理に関連するパラメータ決定部53の動作は、以下の通りである。判定部52によって照明光量変更処理を実行することが決定された場合には、パラメータ決定部53は、消費電力削減処理が実行されない場合に比べて照明部22の照明光量が減少するように、照明光量を規定する照明パラメータを決定する。また、判定部52によって圧縮量変更処理を実行することが決定された場合には、パラメータ決定部53は、消費電力削減処理が実行されない場合に比べて圧縮データのデータ量が減少するように、圧縮パラメータを決定する。
【0073】
また、判定部52によって内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合において、判定部52が、照明光量変更処理と圧縮量変更処理の両方を実行することを決定した場合には、パラメータ決定部53は、照明光量変更処理によるバッテリー25Aの消費電力の削減量が、圧縮量変更処理によるバッテリー25Aの消費電力の削減量よりも大きくなるように、照明パラメータおよび圧縮パラメータを決定する。
【0074】
また、消費電力削減処理に対応する回復処理に関連するパラメータ決定部53の動作は、以下の通りである。パラメータ決定部53は、回復処理が実行されない場合に比べて内視鏡画像を明るくする明るさ補正処理の効果が強まるように、伸張画像データの補正前の明るさと補正後の明るさとの関係を規定する明るさパラメータを決定する。なお、判定部52によって内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合には、パラメータ決定部53は、回復処理が実行されない場合よりも明るさ補正処理の効果が強まるが、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定されない場合よりも明るさ補正処理の効果が弱まるように、明るさパラメータを決定する。
【0075】
本実施の形態では、パラメータ決定部53は、明るさパラメータとして、フィルター処理で用いられる第1の明るさパラメータと、乗算処理で用いられる第2の明るさパラメータを決定する。すなわち、パラメータ決定部53は、回復処理が実行されない場合に比べてフィルター処理の効果が強まるように第1の明るさパラメータを決定し、回復処理が実行されない場合に比べて乗算処理の効果が強まるように第2の明るさパラメータを決定する。なお、判定部52によって内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合には、パラメータ決定部53は、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定されない場合よりもフィルター処理の効果が強まるように、第1の明るさパラメータを決定する。
【0076】
また、無線伝送量削減処理に関連するパラメータ決定部53の動作は、以下の通りである。判定部52によって無線伝送量削減処理を実行することが決定された場合には、パラメータ決定部53は、無線伝送量削減処理が実行されない場合に比べて圧縮データのデータ量が減少するように、圧縮パラメータを決定する。なお、判定部52によって内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合には、判定部52は、無線伝送量削減処理が実行されない場合よりも圧縮データのデータ量が減少するが、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定されない場合よりも圧縮データのデータ量が増加するように、圧縮パラメータを決定する。
【0077】
また、無線伝送量削減処理に対応する回復処理に関連するパラメータ決定部53の動作は、以下の通りである。パラメータ決定部53は、回復処理が実行されない場合に比べてフィルター処理の効果が弱まるように、フィルター処理で用いられる第1の明るさパラメータを決定し、回復処理が実行されない場合に比べて乗算処理の効果が強まるように、乗算処理で用いられる第2の明るさパラメータを決定する。なお、判定部52によって内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合には、パラメータ決定部53は、回復処理が実行されない場合よりもフィルター処理の効果が弱まるが、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定されない場合よりもフィルター処理の効果が強まるように第1の明るさパラメータを決定し、回復処理が実行されない場合よりも乗算処理の効果が強まるが、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定されない場合よりも乗算処理の効果が弱まるように第2の明るさパラメータを決定する。
【0078】
なお、本実施の形態では、パラメータ決定部53に、圧縮情報取得部51Dが取得した圧縮パラメータが入力されるように構成されていてもよい。この場合、パラメータ決定部53は、判定部52の判定結果と直前の圧縮処理において用いられた圧縮パラメータに基づいて、次回の圧縮処理において用いられる圧縮パラメータを決定してもよい。
【0079】
(パラメータ送信部の動作)
次に、パラメータ送信部54の動作について説明する。パラメータ送信部54は、照明パラメータを照明部22に送信し、圧縮パラメータを圧縮処理部23Aに送信し、第1および第2の明るさパラメータをビデオプロセッサ3の主制御部36に送信する。照明部22は、受信した照明パラメータに基づいて照明部22の照明光量を変更する。圧縮処理部23Aは、受信した圧縮パラメータを用いて圧縮処理を行う。
【0080】
主制御部36は、受信した第1の明るさパラメータを復元処理部34のフィルター処理部34Aに出力し、受信した第2の明るさパラメータを復元処理部34の乗算処理部34Bに出力する。フィルター処理部34Aは、第1の明るさパラメータを用いてフィルター処理を行う。乗算処理部34Bは、第2の明るさパラメータを用いて乗算処理を行う。
【0081】
(標準処理)
ここで、制約処理が実行されない場合、すなわち消費電力削減処理および無線伝送量削減処理が実行されない場合に、パラメータ制御装置5が内視鏡2およびビデオプロセッサ3に実行させる処理を、標準処理と言う。判定部52によって、消費電力削減処理の実行条件を満たすことが判定されず、且つ無線伝送量削減処理の実行条件を満たすこと判定されない場合には、判定部52は、標準処理を実行することを決定する。この場合、判定部52は、シーン検出部51Eが取得した内視鏡シーンに関する情報を判定することによって、標準処理の内容を決定してもよい。また、パラメータ決定部53は、判定部52において決定された内容の標準処理に用いられる照明パラメータ、圧縮パラメータ、第1の明るさパラメータおよび第2の明るさパラメータを決定する。
【0082】
(パラメータ制御装置に関連する一連の動作)
次に、図2図3図5ないし図7を参照して、内視鏡システム1の動作のうち、パラメータ制御装置5に関連する一連の動作の具体例について説明する。図5は、内視鏡システム1の動作の一部を示すフローチャートである。図6は、内視鏡システム1の動作の他の一部を示すフローチャートである。図7は、内視鏡システム1の動作の更に他の一部を示すフローチャートである。
【0083】
図5に示したように、一連の動作では、まず、例えば使用者が内視鏡システム1を起動させるスイッチ等を操作することによって、内視鏡システム1を起動させる操作信号が、ユーザIF部37から主制御部36に入力される。主制御部36は、入力された操作信号に基づいて、内視鏡システム1を起動する(ステップS11)。次に、内視鏡2の主制御部が第1の無線通信部24Aを制御し、ビデオプロセッサ3の主制御部36が第2の無線通信部31Aを制御することによって、内視鏡2とビデオプロセッサ3との間において無線通信の接続を確立する(ステップS12)。
【0084】
次に、内視鏡2の主制御部が照明部22を制御することによって、照明用光源の電源をONにする(ステップS13)と共に、内視鏡2およびビデオプロセッサ3が、標準処理の実行を開始する。次に、使用者が内視鏡2の挿入部2Aを患者の体内に挿入する挿入操作を開始する(ステップS14)。
【0085】
次に、パラメータ制御装置5のデータ収集部51が、内視鏡システム1に関する複数の情報を取得する(ステップS15)。次に、パラメータ制御装置5の判定部52が、バッテリー25Aの残量に関する情報を判定する(ステップS16)。判定部52によってバッテリー25Aの残量が所定のバッテリー閾値未満であると判定された場合(Yes)には、図6のステップS21に進む。
【0086】
ステップS16において判定部52によってバッテリー25Aの残量が所定のバッテリー閾値未満ではないと判定された場合(No)、すなわちバッテリー25Aの残量が所定のバッテリー閾値以上の場合には、次に、判定部52が、把持部2Baの温度に関する情報を判定する(ステップS17)。判定部52によって把持部2Baの温度が所定の温度閾値以上であると判定された場合(Yes)には、図6のステップS21に進む。
【0087】
ステップS17において判定部52によって把持部2Baの温度が所定の温度閾値以上ではないと判定された場合(No)、すなわち把持部2Baの温度が所定の温度閾値未満の場合には、次に、判定部52が、無線環境に関する情報を判定する(ステップS18)。ステップS18では、判定部52は、転送可能データ量が所定の閾値未満であるか否かを判定することによって、無線環境が悪化したか否かを判定する。判定部52によって、転送可能データ量が所定の閾値未満であり、無線環境が悪化したと判定された場合(Yes)には、図7のステップS31に進む。
【0088】
ステップS18において、判定部52によって、転送可能データ量が所定の閾値以上であり、無線環境が悪化していないと判定された場合(No)には、次に、例えば主制御部36が、内視鏡システム1の電源をOFFにするか否かを判定する(ステップS19)。具体的には、主制御部36は、内視鏡システム1の電源をOFFにする操作信号が入力されたか否かを判定する。操作信号は、例えば、使用者が内視鏡システム1の電源をOFFにするスイッチ等を操作することによって、ユーザIF部37から主制御部36に入力される。操作信号が主制御部36に入力されていない場合には、主制御部36によって内視鏡システム1の電源をOFFにしないと判定され(No)、ステップS15に戻る。操作信号が主制御部36に入力された場合には、主制御部36によって内視鏡システム1の電源をOFFにすると判定され(Yes)、一連の動作を終了する。
【0089】
なお、ステップS19からステップS15に戻る場合、後述するステップにおいて判定部52によって消費電力削減処理または無線伝送量削減処理を実行することが決定されて、各パラメータが制約処理および回復処理に用いられるパラメータになっている場合には、パラメータ制御装置5のパラメータ決定部53が各パラメータを標準処理に用いられるパラメータに戻し、パラメータ制御装置5のパラメータ送信部54が各パラメータを送信する処理を実行してから、ステップS15に戻る。
【0090】
図6に示したように、図5のステップS16においてバッテリー25Aの残量が所定のバッテリー閾値未満の場合、または図5のステップS17において把持部2Baの温度が所定の温度閾値以上の場合には、次に、判定部52が、内視鏡シーンに関する情報を判定する(ステップS21)。判定部52によって、重要な内視鏡シーン、すなわち高解像度シーンであると判定された場合(Yes)には、次に、判定部52は、照明光量の削減のみで消費電力削減処理を実行可能か否かを判定する(ステップS22)。この判定は、バッテリー25Aの残量に関する情報と把持部2Baの温度に関する情報に基づいて行われる。具体的には、バッテリー25Aの残量がバッテリー閾値よりも少ないがバッテリー閾値に近い値の場合、または、把持部2Baの温度が温度閾値よりも高いが温度閾値に近い値であり、内視鏡2が異常停止したり使用者が把持部2Baを握ることができなくなったりするおそれがない場合には、判定部52は、照明光量の削減のみで消費電力削減処理を実行可能と判定する。
【0091】
ステップS22において判定部52によって実行可能と判定された場合(Yes)には、次に、照明部22が照明光量を削減する(ステップS23)。次に、フィルター処理部34Aが、フィルター処理の効果を大幅に強めた強フィルター処理を実行し、乗算処理部34Bが、乗算処理の効果を大幅に強めた強乗算処理を実行する(ステップS24)。
【0092】
本実施の形態では、ステップS23は、判定部52が、消費電力削減処理として照明光量変更処理のみを実行することを決定することによって実現される。また、ステップS24は、判定部52が、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を大幅に強めた強フィルター処理を実行することと、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を大幅に強めた強乗算処理を実行することを決定することによって実現される。
【0093】
ステップS22において判定部52によって実行可能と判定されない場合(NO)には、次に、照明部22が照明光量を削減し、圧縮処理部23Aが、小幅に高圧縮率化した圧縮処理を実行する(ステップS25)。次に、フィルター処理部34Aが、フィルター処理の効果を中程度に強めた強フィルター処理を実行し、乗算処理部34Bが、乗算処理の効果を大幅に強めた強乗算処理を実行する(ステップS26)。
【0094】
本実施の形態では、ステップS25は、判定部52が、照明光量変更処理によるバッテリー25Aの消費電力の削減量が、圧縮量変更処理によるバッテリー25Aの消費電力の削減量よりも大きくなるように、照明光量変更処理と圧縮量変更処理の両方を実行することを決定することによって実現される。また、ステップS26は、判定部52が、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を中程度に強めた強フィルター処理を実行することと、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を大幅に強めた強乗算処理を実行することを決定することによって実現される。
【0095】
ステップS21において判定部52によって重要な内視鏡シーンではない、すなわち高解像度シーンではないと判定された場合(No)には、次に、照明部22が照明光量を大幅に削減し、圧縮処理部23Aが、大幅に高圧縮率化した圧縮処理を実行する(ステップS27)。次に、フィルター処理部34Aが、フィルター処理の効果を小幅に強めた強フィルター処理を実行し、乗算処理部34Bが、乗算処理の効果を大幅に強めた強乗算処理を実行する(ステップS28)。
【0096】
本実施の形態では、ステップS27は、判定部52が、照明光量変更処理と圧縮量変更処理の両方を実行することを決定することによって実現される。また、ステップS28は、判定部52が、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を小幅に強めた強フィルター処理を実行することと、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を大幅に強めた強乗算処理を実行することを決定することによって実現される。
【0097】
ステップS23~S28を実現するための各パラメータの設定例については、後で説明する。
【0098】
ステップS24,S26またはS28の実行後には、例えば主制御部36が、内視鏡システム1の電源をOFFにするか否かを判定する(ステップS29)。ステップS29の内容は、図5のステップS19の内容と同じである。主制御部36によって内視鏡システム1の電源をOFFにしないと判定された場合(No)には、図5のステップS15に戻る。主制御部36によって内視鏡システム1の電源をOFFにすると判定された場合(Yes)には、一連の動作を終了する。
【0099】
図7に示したように、図5のステップS18において判定部52によって無線環境が悪化したと判定された場合(Yes)には、次に、判定部52が、内視鏡シーンに関する情報を判定する(ステップS31)。判定部52によって、重要な内視鏡シーン、すなわち高解像度シーンであると判定された場合(Yes)には、次に、判定部52は、無線環境の悪化が小幅か否かを判定する(ステップS32)。この判定は、無線環境に関する情報に基づいて行われる。具体的には、例えば、転送可能データ量が前記所定の閾値未満であるが前記所定の閾値に近い値の場合には、判定部52は、無線環境の悪化が小幅であると判定する。
【0100】
ステップS32において判定部52によって無線環境の悪化が小幅であると判定された場合(Yes)には、次に、圧縮処理部23Aが、小幅に高圧縮率化した圧縮処理を実行する(ステップS33)。次に、フィルター処理部34Aが、フィルター処理の効果を小幅に弱めた弱フィルター処理を実行し、乗算処理部34Bが、乗算処理の効果を小幅に強めた強乗算処理を実行する(ステップS34)。
【0101】
本実施の形態では、ステップS33は、判定部52が、圧縮量変更処理を実行することを決定することによって実現される。また、ステップS34は、判定部52が、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を小幅に弱めた弱フィルター処理を実行することと、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を小幅に強めた強乗算処理を実行することを決定することによって実現される。
【0102】
ステップS32において判定部52によって無線環境の悪化が小幅ではないと判定された場合(No)には、次に、圧縮処理部23Aが、中程度に高圧縮率化した圧縮処理を実行する(ステップS35)。次に、フィルター処理部34Aが、フィルター処理の効果を中程度に弱めた弱フィルター処理を実行し、乗算処理部34Bが、乗算処理の効果を中程度に強めた強乗算処理を実行する(ステップS36)。
【0103】
本実施の形態では、ステップS35は、判定部52が、圧縮量変更処理を実行することを決定することによって実現される。また、ステップS36は、判定部52が、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を中程度に弱めた弱フィルター処理を実行することと、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を中程度に強めた強乗算処理を実行することを決定することによって実現される。
【0104】
ステップS31において判定部52によって重要な内視鏡シーンではない、すなわち高解像度シーンではないと判定された場合(No)には、次に、大幅に高圧縮率化した圧縮処理を実行する(ステップS37)。次に、フィルター処理部34Aが、フィルター処理の効果を大幅に弱めた弱フィルター処理を実行し、乗算処理部34Bが、乗算処理の効果を大幅に強めた強乗算処理を実行する(ステップS38)。
【0105】
本実施の形態では、ステップS37は、判定部52が、圧縮量変更処理を実行することを決定することによって実現される。また、ステップS38は、判定部52が、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を大幅に弱めた弱フィルター処理を実行することと、回復処理が実行されない場合に比べてその効果を大幅に強めた強乗算処理を実行することを決定することによって実現される。
【0106】
ステップS33~S38を実現するための各パラメータの設定例については、後で説明する。
【0107】
ステップS34,S36またはS38の実行後には、例えば主制御部36が、内視鏡システム1の電源をOFFにするか否かを判定する(ステップS39)。ステップS39の内容は、図5のステップS19の内容と同じである。主制御部36によって内視鏡システム1の電源をOFFにしないと判定された場合(No)には、図5のステップS15に戻る。主制御部36によって内視鏡システム1の電源をOFFにすると判定された場合(Yes)には、一連の動作を終了する。
【0108】
(パラメータの設定例)
次に、各パラメータの設定例について説明する。ここでは、照明パラメータ、圧縮パラメータ、第1の明るさパラメータおよび第2の明るさパラメータを、1以上5以下の値を用いて表す。照明パラメータは、値が1のときに照明光量が最も多くなり、値が5のときに照明光量が最も少なくなるものとする。言い換えると、照明パラメータは、値が1のときに消費電力削減処理の効果が最も小さくなり、値が5のときに消費電力削減処理の効果が最も大きくなる。
【0109】
圧縮パラメータは、値が1のときに圧縮率が最も低くなり、値が5のときに圧縮率が最も高くなるものとする。言い換えると、圧縮パラメータは、値が1のときに消費電力削減処理または無線伝送量削減処理の効果が最も小さくなり、値が5のときに消費電力削減処理または無線伝送量削減処理の効果が最も大きくなる。
【0110】
第1の明るさパラメータは、値が1のときにフィルター処理の効果が最も弱くなり、値が5のときにフィルター処理の効果が最も強くなるものとする。第2の明るさパラメータは、値が1のときに乗算処理の効果が最も弱くなり、値が5のときに乗算処理の効果が最も強くなるものとする。補正対象の画素の明るさは、フィルター処理または乗算処理の効果が最も弱いときに最も暗くなり、フィルター処理または乗算処理の効果が最も強いときに最も明るくなる。
【0111】
以下、制約処理および回復処理が実行されてない場合、且つ内視鏡シーンが精査シーンである場合のパラメータの値を、デフォルト値とする。また、デフォルト値として3を用いる。始めに、表1を参照して、制約処理および回復処理が実行されてない場合すなわち標準処理が実行される場合における各パラメータの設定例を説明する。表1には、標準処理が実行される場合であって、内視鏡シーンが精査シーン、スクリーニングシーンおよび体外シーンである場合における、各パラメータの設定例を示している。
【0112】
[表1]
照明パラメータ、圧縮パラメータ、第1の明るさパラメータおよび第2の明るさパラメータは、標準処理が実行され、且つ内視鏡シーンが精査シーンである場合に、内視鏡画像の画質と解像度が最も高くなるように設定される。一方、体外シーンでは、内視鏡画像の画質と解像度は低くてもよい。そのため、体外シーンでは、バッテリー25Aの消費電力が最も少なくなるように、照明パラメータおよび圧縮パラメータが設定され、照明パラメータおよび圧縮パラメータの設定に合わせて、第1および第2の明るさパラメータが設定される。スクリーニングシーンでは、内視鏡画像の画質と解像度が体外シーンよりも高くなるが、バッテリー25Aの消費電力が精査シーンよりも少なくなるように、照明パラメータ、圧縮パラメータ、第1の明るさパラメータおよび第2の明るさパラメータが設定される。
【0113】
次に、表2を参照して、消費電力削減処理が実行される場合における各パラメータの設定例を説明する。図6に示したステップS23~S28は、判定部52によって消費電力削減処理を実行することが決定された場合に実行される。表2には、ステップS23,S24が実行される場合、ステップS25,S26が実行される場合、およびステップS27,S28が実行される場合における、各パラメータの設定例を示している。
【0114】
[表2]
ステップS23,S24は、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定され、且つ照明光量の削減のみで消費電力削減処理を実行可能な場合に実行される。この場合、各パラメータは、消費電力削減処理を実行しながら高画質且つ高解像度の内視鏡画像が得られるように設定される。具体的には、照明パラメータは、消費電力削減処理が実行されない場合に比べて照明部22の照明光量が減少するような値(表2では3.5)に設定される。また、第1の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べてフィルター処理の効果が大幅に強まるような値(表2では4)に設定される。また、第2の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べて乗算処理の効果が大幅に強まるような値(表2では4)に設定される。
【0115】
ステップS25,S26は、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定され、且つ照明光量の削減のみでは消費電力削減処理を実行することができない場合に実行される。この場合、各パラメータは、ステップS23,S24を実行した場合に比べて、内視鏡画像の画質および解像度は低くなるが、消費電力削減処理の効果は大きくなるように設定される。具体的には、照明パラメータは、消費電力削減処理が実行されない場合に比べて照明部22の照明光量が減少するような値(表2では3.5)に設定される。また、圧縮パラメータは、消費電力削減処理が実行されない場合に比べて圧縮データのデータ量が小幅に減少するような値(表2では3.25)に設定される。また、第1の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べてフィルター処理の効果が中程度に強まるような値(表2では3.5)に設定される。また、第2の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べて乗算処理の効果が大幅に強まるような値(表2では4)に設定される。
【0116】
ステップS27,S28は、判定部52によって内視鏡シーンが高解像度シーンではないと判定された場合に実行される。この場合、各パラメータは、消費電力削減処理の効果を大きくしながら、例えば挿入部2Aを体外に出すことが可能な、最低限の画質および解像度の内視鏡画像が得られるように設定される。具体的には、照明パラメータは、消費電力削減処理が実行されない場合に比べて照明部22の照明光量が大幅に減少するような値(表2では4)に設定される。また、圧縮パラメータは、消費電力削減処理が実行されない場合に比べて圧縮データのデータ量が大幅に減少するような値(表2では4)に設定される。また、第1の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べてフィルター処理の効果が小幅に強まるような値(表2では3.25)に設定される。また、第2の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べて乗算処理の効果が大幅に強まるような値(表2では4)に設定される。
【0117】
次に、表3を参照して、無線伝送量削減処理が実行される場合における各パラメータの設定例を説明する。図7示したステップS33~S38は、判定部52によって無線伝送量削減処理を実行することが決定された場合に実行される。表3には、ステップS33,S34が実行される場合、ステップS35,S36が実行される場合、およびステップS37,S38が実行される場合における、各パラメータの設定例を示している。
【0118】
[表3]
ステップS33,S34は、判定部52によって、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定され、且つ無線環境の悪化が小幅であると判定された場合に実行される。この場合、各パラメータは、無線伝送量削減処理を実行しながら高画質且つ高解像度の内視鏡画像が得られるように設定される。具体的には、圧縮パラメータは、無線伝送量削減処理が実行されない場合に比べて圧縮データのデータ量が小幅に減少するような値(表3では3.25)に設定される。また、第1の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べてフィルター処理の効果が小幅に弱まるような値(表2では2.75)に設定される。また、第2の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べて乗算処理の効果が小幅に強まるような値(表3では3.25)に設定される。
【0119】
ステップS35,S36は、判定部52によって、内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定され、且つ無線環境の悪化が小幅ではないと判定された場合に実行される。この場合、ステップS33,S34を実行した場合に比べて、内視鏡画像の画質および解像度は低くなるが、無線伝送量削減処理の効果は大きくなるように設定される。具体的には、圧縮パラメータは、無線伝送量削減処理が実行されない場合に比べて圧縮データのデータ量が中程度に減少するような値(表3では3.5)に設定される。また、第1の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べてフィルター処理の効果が中程度に弱まるような値(表3では2.5)に設定される。また、第2の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べて乗算処理の効果が中程度に強まるような値(表3では3.5)に設定される。
【0120】
ステップS37,S38は、判定部52によって内視鏡シーンが高解像度シーンではないと判定された場合に実行される。この場合、各パラメータは、無線伝送量削減処理の効果を大きくしながら、最低限の画質および解像度の内視鏡画像が得られるように設定される。具体的には、圧縮パラメータは、無線伝送量削減処理が実行されない場合に比べて圧縮データのデータ量が大幅に減少するような値(表3では4)に設定される。また、第1の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べてフィルター処理の効果が大幅に弱まるような値(表3では2)に設定される。また、第2の明るさパラメータは、回復処理が実行されない場合に比べて乗算処理の効果が大幅に強まるような値(表3では4)に設定される。
【0121】
(作用および効果)
次に、本実施の形態に係わる内視鏡システム1およびパラメータ制御装置5の作用および効果について説明する。本実施の形態では、パラメータ制御装置5の判定部52が、データ収集部51が収集した複数の情報を判定することによって制約処理の内容を決定し、且つ制約処理によって低下する内視鏡画像を表示するための機能、具体的には内視鏡画像の画質を所定のレベル以上に維持する画質維持機能が回復するように内視鏡2およびビデオプロセッサ3のうちの少なくとも一方を動作させる回復処理の内容を決定する。また、パラメータ制御装置5のパラメータ決定部53が、判定部52において決定された内容の制約処理に用いられる1つ以上のパラメータと、判定部52において決定された内容の回復処理に用いられる1つ以上のパラメータとを決定する。本実施の形態によれば、上述のようにパラメータ決定部53によって決定された複数のパラメータによって内視鏡2およびビデオプロセッサ3に制約処理および回復処理を実行させることによって、画質維持機能を回復させることができる。
【0122】
また、本実施の形態では、データ収集部51が収集する複数の情報には、内視鏡シーンに関する情報が含まれている。これにより、本実施の形態によれば、内視鏡シーン毎に制約処理および回復処理の内容を変更することができ、その結果、内視鏡シーン毎に最適な画質および画像の内視鏡画像を得ることがでる。これにより、本実施の形態によれば、制約処理を実行する場合であっても、高解像度シーンでは高解像度の内視鏡画像を求めるという使用者のニーズを満足することができる。
【0123】
また、本実施の形態では、制約処理の1つとして消費電力削減処理が実行される。消費電力削減処理は、照明光量変更処理と圧縮量変更処理のうち、少なくとも照明光量変更処理を含んでいる。一般的に、消費電力削減処理の効果を同じにして比較すると、照明光量変更処理は、圧縮量変更処理に比べて、内視鏡画像の解像度の低下を抑制することができる。本実施の形態では、判定部52によって消費電力削減処理の実行条件を満たすことが判定され且つ内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合には、判定部52は、照明光量変更処理と圧縮量変更処理のうち、照明光量変更処理を優先的に実行することを決定する。これにより、本実施の形態によれば、消費電力削減処理の実行時に、内視鏡画像の解像度が低下することを抑制することができ、高解像度シーンでは高解像度の内視鏡画像を求めるという使用者のニーズを満足することができる。
【0124】
なお、照明光量が減少するように照明光量変更処理を実行した場合、内視鏡画像の明るさは低下する。これに対し、本実施の形態では、回復処理が実行されない場合に比べて明るさ補正処理の効果が強まるように、第1および第2の明るさパラメータを決定する。これにより、本実施の形態によれば、内視鏡画像の明るさが低下することを抑制することができる。
【0125】
また、本実施の形態では、制約処理の他の1つとして無線伝送量削減処理が実行される。無線伝送量削減処理は、圧縮量変更処理を含んでいる。一般的に、圧縮率が高くなるに従って、すなわち圧縮データのデータ量が少なくなるに従って、内視鏡画像の解像度が低下する。また、本実施の形態では、フィルター処理部34Aによってフィルター処理が行われる。一般的に、フィルター処理の効果が強まるに従って、内視鏡画像の解像度が低下する。
【0126】
これに対し、本実施の形態では、判定部52によって無線伝送量削減処理の実行条件を満たすことが判定され且つ内視鏡シーンが高解像度シーンであることが判定された場合には、判定部52は、回復処理として、弱フィルター処理を実行することを決定する。これにより、本実施の形態によれば、無線伝送量削減処理の実行時に、内視鏡画像の解像度が低下することを抑制することができる。また、上記の場合、判定部52は、回復処理として、強乗算処理を実行することを決定する。これにより、本実施の形態によれば、明るさ補正処理の効果が弱まることを抑制することができる。
【0127】
[第2の実施の形態]
次に、図8および図9を参照して、本発明の第2の実施の形態に係わる内視鏡システムについて説明する。図8は、本実施の形態に係わる内視鏡システムの内視鏡およびパラメータ制御装置の第1の部分の構成を示す機能ブロック図である。図9は、本実施の形態に係わる内視鏡システムのビデオプロセッサおよびパラメータ制御装置の第2の部分の構成を示す機能ブロック図である。図8および図9に示したように、本実施の形態に係わる内視鏡システムは、第1の実施の形態に係わるパラメータ制御装置5の代わりに、本実施の形態に係わるパラメータ制御装置を備えている。本実施の形態に係わるパラメータ制御装置は、内視鏡2内に設けられた第1の部分105と、ビデオプロセッサ3内に設けられた第2の部分205とを含んでいる。
【0128】
図8に示したように、パラメータ制御装置の第1の部分105は、データ収集部151と、制御部105Aとを含んでいる。データ収集部151は、温度情報取得部151Aと、電池残量情報取得部151Cと、圧縮情報取得部151Dとを含んでいる。温度情報取得部151Aと電池残量情報取得部151Cは、内視鏡2に設けられているとも言える。温度情報取得部151A、電池残量情報取得部151Cおよび圧縮情報取得部151Dの機能は、それぞれ、第1の実施の形態における温度情報取得部51A、電池残量情報取得部51Cおよび圧縮情報取得部51Dの機能と同じである。
【0129】
データ収集部151は、温度情報取得部151Aが取得した把持部2Baの温度に関する情報と、電池残量情報取得部151Cが取得したバッテリー25Aの残量に関する情報と、圧縮情報取得部151Dが取得した圧縮処理に関する情報を、制御部105Aに出力する。制御部105Aは、データ収集部151が取得した複数の情報を、内視鏡2とビデオプロセッサ3との間の無線通信を介して、パラメータ制御装置の第2の部分205に出力する。
【0130】
図9に示したように、パラメータ制御装置の第2の部分205は、データ収集部251と、判定部252と、パラメータ決定部253と、パラメータ送信部254とを含んでいる。判定部252、パラメータ決定部253およびパラメータ送信部254は、パラメータ制御装置における主要部である制御部205Aを構成する。判定部252とパラメータ決定部253は、ビデオプロセッサ3に設けられているとも言える。
【0131】
データ収集部251は、無線環境情報取得部251Bと、シーン検出部251Eとを含んでいる。無線環境情報取得部251Bとシーン検出部251Eは、ビデオプロセッサ3に設けられているとも言える。
【0132】
無線環境情報取得部251Bの機能は、基本的には、第1の実施の形態における無線環境情報取得部51Bの機能と同じである。なお、本実施の形態では、第2の無線通信部31Aは、無線環境の状態を検出する図示しない環境検出回路を含んでいる。無線環境情報取得部251Bは、無線環境に関する情報として、第2の無線通信部31Aの環境検出回路の検出結果、または環境検出回路の検出結果から算出された転送可能データ量を取得する。なお、本実施の形態では、第1の無線通信部24Aは、環境検出回路を含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。前者の場合、第1の無線通信部24Aは、環境検出回路によって検出された無線環境に関する情報を、内視鏡2とビデオプロセッサ3との間の無線通信を介して、パラメータ制御装置の第2の部分205に出力する。
【0133】
シーン検出部251Eの機能は、基本的には、第1の実施の形態におけるシーン検出部51Eの機能と同じである。なお、本実施の形態では、画像処理部32は、内視鏡シーンに関する情報として、内視鏡シーンを検出するための画像データをパラメータ制御装置の第2の部分205に出力する。図9に示した例では、シーン検出部251Eには、画像処理部32の現像部35が出力する内視鏡画像が入力されるように構成されている。シーン検出部251Eは、取得した画像データすなわち内視鏡画像を解析することによって、内視鏡シーンを検出する。
【0134】
また、データ収集部251には、データ収集部151が収集し、制御部105Aが出力した複数のデータが入力される。これにより、データ収集部251は、実質的に、データ収集部151が取得した複数の情報も取得する。
【0135】
判定部252は、データ収集部251が取得した複数の情報(データ収集部151が取得した複数の情報を含む)を判定することによって、制約処理の内容と回復処理の内容を決定する。制約処理の内容と回復処理の内容の決定方法は、第1の実施の形態と同様である。
【0136】
パラメータ決定部253は、判定部252において決定された内容の制約処理に用いられる1つ以上のパラメータと、判定部252において決定された内容の回復処理に用いられる1つ以上のパラメータとを決定する。パラメータの決定方法は、第1の実施の形態と同様である。
【0137】
パラメータ送信部254は、パラメータ決定部253によって決定された複数のパラメータを、内視鏡2およびビデオプロセッサ3の各部に送信する。具体的には、パラメータ送信部254は、照明パラメータおよび圧縮パラメータを制御部105Aに送信し、第1の明るさパラメータを復元処理部34のフィルター処理部34Aに送信し、第2の明るさパラメータを復元処理部34の乗算処理部34Bに送信する。制御部105Aは、受信した照明パラメータを照明部22に出力し、受信した圧縮パラメータを圧縮処理部23Aに出力する。
【0138】
本実施の形態では、パラメータ制御装置における主要部である制御部205Aが、ビデオプロセッサ3に設けられている。これにより、本実施の形態によれば、パラメータ制御装置における主要部が内視鏡2内に設けられている場合に比べて、バッテリー25Aの消費電力を少なくすることができる。
【0139】
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0140】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。例えば、本発明のパラメータ制御装置は、内視鏡2およびビデオプロセッサ3とは別体の装置であってもよい。
【0141】
また、データ収集部の無線環境情報取得部とシーン検出部は、内視鏡2とビデオプロセッサ3の両方に設けられていてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9