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特許7123192内視鏡、接地方法および内視鏡の先端部の接地方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】内視鏡、接地方法および内視鏡の先端部の接地方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20220815BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
A61B1/04 530
G02B23/24 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020572045
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2019005599
(87)【国際公開番号】W WO2020166070
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】籏野 慶佑
(72)【発明者】
【氏名】有吉 拓也
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-16240(JP,A)
【文献】特開2007-89888(JP,A)
【文献】特開2001-128936(JP,A)
【文献】特開平01-138854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の先端部に設けられた枠部品と、
前記枠部品に嵌合される導電性の外装部材と、
前記枠部品に固定され撮像を行う撮像ユニットと、
前記撮像ユニットに設けられた導電部と、
前記導電部に第1の端部が接続され、前記第1の端部の反対側の第2の端部の近傍部分を前記枠部品の外面と前記外装部材の内面の間に挟まれて固定され、前記導電部と前記外装部材とを電気的に接続する導通部と、
前記外装部材は、組立時に、前記枠部品の一部を露出し、前記導通部を切断可能な開口と、
を有することを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記枠部品は、非導電性であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記外装部材は、前記開口内に切断された前記導通部の前記第2の端部が収容されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記第2の端部が前記外装部材の外表よりも前記枠部品側に収容されていることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記開口は、延出する余分な前記導通部を切断具によって切断する導通部カット部を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記開口は、前記外装部材の端部から形成され、前記導通部カット部に連通する溝部を有することを特徴とする請求項5に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記開口を塞ぐ被覆部を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
【請求項8】
前記第2の端部を覆う保護部を有することを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
【請求項9】
前記導通部は、前記枠部品と前記外装部材との嵌合時に、前記溝部に挿通されることを特徴とする請求項に記載の内視鏡。
【請求項10】
前記開口は、前記外装部材の肉厚内に前記切断具の刃先が収まるように前記溝部に直交する方向の前記導通部カット部の長さが設定されていることを特徴とする請求項に記載の内視鏡。
【請求項11】
前記枠部品は、前記導通部を配置する凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項12】
導電性の外装部材の開口に、線状の導通部を挿通するステップと、
前記外装部材を嵌合する枠部品を、前記外装部材に嵌合し、前記枠部品の外面と前記外装部材の内面の間に前記導通部を挟み固定するステップと、
延出した前記導通部を、前記開口に設けられた導通部カット部と切断具によって切断するステップと、
を含むことを特徴とする接地方法。
【請求項13】
撮像ユニットを有する導電性の外装部材の開口に、前記撮像ユニットに設けられた導電部と電気的に接続した導通部の端部を挿通するステップと、
前記外装部材を嵌合する枠部品を、前記外装部材に嵌合し、前記枠部品の外面と前記外装部材の内面の間に前記導通部の端部近傍を挟み固定するステップと、
延出した前記導通部を、前記開口に設けられた導通部カット部と切断具によって切断するステップと、
を含むことを特徴とする内視鏡の先端部の接地方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入部の先端部に設けられた非導電性の枠部品に撮像ユニットが搭載された内視鏡、接地方法および内視鏡の先端部の接地方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、内視鏡は、生体の体内(体腔内)の観察、処置など、または工業用のプラント設備内の検査、修理などのため広く用いられている。このような、内視鏡は、屈曲する管路に挿入するための挿入部を有している。
【0003】
このような内視鏡には、挿入部の先端部に撮像ユニットが設けられた構成が知られている。内視鏡は、先端部に印加された静電気、高周波電流などが撮像ユニットに流れることで不具合が生じないように装置のグラウンド(GND)に逃がす必要がある。
【0004】
例えば、日本国特開2013-198566号報に記載された内視鏡は、絶縁性の先端硬質部に設けられた撮像ユニットの導電部とGNDに接続された金属部材である先端駒に電気的に接続させる弾性部材を設けた構成が開示されている。
【0005】
しかしながら、従来の内視鏡では、弾性部材を撮像ユニットと先端駒との間に介在させるときに弾性部材がずれたりして組み付性が悪いという問題があった。さらに、従来の内視鏡では、弾性部材の設置状態が目視できず、弾性部材がずれていると確実に撮像ユニットと先端駒が電気的に接続されていない状態となっている虞があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものあり、先端部に設けられた撮像ユニットをグラウンドに導通する導電部に容易、かつ確実に電気的に接続することができる内視鏡、接地方法および内視鏡の先端部の接地方法を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における内視鏡は、挿入部の先端部に設けられた枠部品と、前記枠部品に嵌合される導電性の外装部材と、前記枠部品に固定され撮像を行う撮像ユニットと、前記撮像ユニットに設けられた導電部と、前記導電部に第1の端部が接続され、前記第1の端部の反対側の第2の端部の近傍部分を前記枠部品の外面と前記外装部材の内面の間に挟まれて固定され、前記導電部と前記外装部材とを電気的に接続する導通部と、前記外装部材は、組立時に、前記枠部品の一部を露出し、前記導通部を切断可能な開口と、を有する。
【0008】
本発明の一態様における接地方法は、導電性の外装部材の開口に、線状の導通部を挿通するステップと、前記外装部材を嵌合する枠部品を、前記外装部材に嵌合し、前記枠部品の外面と外装部材の内面の間に前記導通部を挟み固定するステップと、延出した前記導通部を、前記開口部に設けられた導通部カット部と切断具によって切断するステップと、を含む。
【0009】
本発明の一態様における内視鏡の先端部の接地方法は、撮像ユニットを有する導電性の外装部材の開口に、前記撮像ユニットに設けられた導電部と電気的に接続した導通部の端部を挿通するステップと、前記外装部材を嵌合する枠部品を、前記外装部材に嵌合し、前記枠部品の外面と外装部材の内面の間に前記導通部の端部近傍を挟み固定するステップと、延出した前記導通部を、前記開口部に設けられた導通部カット部と切断具によって切断するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、先端部に設けられた撮像ユニットをグラウンドに導通する導電部に容易、かつ確実に電気的に接続することができる内視鏡、接地方法および内視鏡の先端部の接地方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】同、本発明の一態様の内視鏡の外観を示す図
図2】同、挿入部の先端部分の構成を示す斜視図
図3】同、挿入部の先端部分の構成を示す断面図
図4】同、先端硬質部と最先端の湾曲駒が嵌合された状態を示す斜視図
図5】同、先端硬質部と最先端の湾曲駒が嵌合された状態を示す側面図
図6】同、先端硬質部と最先端の湾曲駒の嵌合状態を示す分解斜視図
図7】同、先端硬質部と最先端の湾曲駒が嵌合され、ジャンパー線が開口から延出した状態を示す斜視図
図8】同、開口から延出したジャンパー線を切断する前の状態を示す部分断面図
図9】同、開口から延出したジャンパー線を切断した状態を示す部分断面図
図10】同、先端硬質部と最先端の湾曲駒の嵌合状態を示し、開口の構成を説明する部分断面図
図11】同、第1の変形例に係り、ジャンパー線が配置される凹部を有する先端硬質部と最先端の湾曲駒の嵌合状態を示す部分断面図
図12】同、第2の変形例に係り、挿入部の先端部分の構成を示す断面図
図13】同、第3の変形例に係り、開口の形状を説明するための先端硬質部と最先端の湾曲駒が嵌合された状態を示す側面図
図14】同、第4の変形例に係り、開口の形状を説明するための先端硬質部と最先端の湾曲駒が嵌合された状態を示す側面図
図15】同、第5の変形例に係り、開口の形状を説明するための先端硬質部と最先端の湾曲駒が嵌合された状態を示す側面図
図16】同、第5の変形例に係り、開口の形状を説明するための最先端の湾曲駒を示す側面図
図17】同、第6の変形例に係り、開口の形状を説明するための先端硬質部と最先端の湾曲駒が嵌合された状態を示す側面図
図18】同、第7の変形例に係り、開口の形状を説明するための先端硬質部と最先端の湾曲駒が嵌合された状態を示す側面図
図19】同、第8の変形例に係り、開口を覆う被覆部が設けられ、湾曲ゴムが被覆された先端硬質部と最先端の湾曲駒を示す部分断面図
図20】同、第9の変形例に係り、開口に充填剤が充填され、湾曲ゴムが被覆された先端硬質部と最先端の湾曲駒を示す部分断面図
図21】同、第10の変形例に係り、ジャンパー線の端部に保護部が設けられ、湾曲ゴムが被覆された先端硬質部と最先端の湾曲駒を示す部分断面図
図22】同、第11の変形例に係り、ジャンパー線が折り曲げられた状態を説明するための先端硬質部と最先端の湾曲駒を示す部分断面図
図23】同、第12の変形例に係り、ジャンパー線が折り返された状態を説明するための先端硬質部と最先端の湾曲駒を示す部分断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ここでは、本発明である内視鏡を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態に基づく図面は、模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、夫々の部分の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
また、以下の構成説明における内視鏡は、気管支鏡、泌尿器鏡などの挿入部が細径の内視鏡を例示しているが、これに限定されることなく、生体の上部または下部の消化器官に挿入するため挿入部が可撓性のある所謂軟性鏡、外科用に用いられる挿入部が硬質な所謂硬性鏡にも適用できるものである。
【0013】
以下、本発明の一態様の内視鏡について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の電子内視鏡である内視鏡1は、細長管状に形成される挿入部2と、この挿入部2の基端に連設される操作部3と、この操作部3から延設される内視鏡ケーブルであるユニバーサルコード4と、このユニバーサルコード4の先端に配設される内視鏡コネクタ5などによって主に構成されている。
【0014】
挿入部2は、先端側から順に、先端部6、湾曲部7および可撓管部8が連設されて形成され可撓性を備えた管状部材である。このうち、先端部6には、内部に撮像手段を備えた後述の撮像装置である撮像ユニット、照明手段などが収納配置されている。

湾曲部7は、操作部3の操作部材のうち湾曲レバー13の回動操作によって、挿入部2の上下2方向(UP-DOWN)へと能動的に湾曲させ得るように構成される機構部位である。
【0015】
なお、湾曲部7は、上下2方向へ能動的に湾曲するタイプのものに限定されることはなく、上下方向に加えて左右方向をも含めた4方向(上下左右の操作によって軸回りの全周方向、UP-DOWN/LEFT-RIGHT)に湾曲し得るタイプのものであっても良いし、上(UP)方向の1方向にのみ湾曲し得るタイプのものでもよく、さらに湾曲レバー13による能動的に湾曲する機構を有しておらず、単に受動的に湾曲するタイプのものであってもよい。
【0016】
可撓管部8は、受動的に可撓可能となるように柔軟性を持たせて形成される管状部材である。この可撓管部8の内部には、後述する処置具挿通チャンネルのほか、先端部6に内蔵される撮像装置から延出し、さらに操作部3からユニバーサルコード4の内部へと延設される後述の信号ケーブル束、光源装置からの照明光を導光し先端部6から出射させるための後述するライトガイドバンドルなどが挿通している(ここでは、何れも不図示)。
【0017】
操作部3は、先端側に設けられ可撓管部8の基端を覆って可撓管部8と接続される折れ止め部9と、この折れ止め部9に連設され使用者が内視鏡1を使用する時に手によって把持する把持部10と、この把持部10の外表面に設けられる各種内視鏡機能を操作する操作手段と、処置具挿通部11と、吸引バルブ15などによって構成される。
【0018】
操作部3に設けられる操作手段としては、例えば湾曲部7の湾曲操作を行う湾曲レバー13、送気送水操作または吸引操作、撮像手段、照明手段などの各対応する操作を行うための複数の操作部材14などがある。
【0019】
処置具挿通部11は、各種の処置具(不図示)を挿入する処置具挿通口を備え、操作部3の内部で、分岐部材を介して処置具挿通チャンネル(不図示)に連通する構成部である。
【0020】
この処置具挿通部11には、処置具挿通口を開閉するための蓋部材であって、この処置具挿通部11に対して着脱自在(交換可能)に構成される鉗子栓12が配設されている。なお、処置具挿通チャンネルは、操作部3の内部において、分岐部材によって吸引バルブ15とも連通した構成となっている。
【0021】
ユニバーサルコード4は、挿入部2の先端部6から、この挿入部2内部を挿通して操作部3に至り、信号ケーブル束、光源装置(不図示)からの照明光を伝送するライトガイドバンドルなどが挿通された複合ケーブルである。
【0022】
内視鏡コネクタ5は、外部機器のビデオプロセッサ(不図示)との間を接続する信号ケーブルが接続される電気コネクタ部16を側面部に有すると共に、外部機器である光源装置との間を接続する後述のライトガイドバンドルおよび電気ケーブル(不図示)が接続される光源コネクタ部17と、外部機器の送気送水装置(不図示)からの送気送水用チューブ(不図示)を接続する送気送水プラグ18などを有して構成されている。
【0023】
ここで、本実施の形態の内視鏡1の挿入部2の先端部分の構成について、図2および図3に基づき、以下に説明する。なお、以下の説明において、挿入部2の周知の構成に関しては、説明を省略する。
【0024】
挿入部2の先端部6は、図2に示すように、観察窓21、照明窓22およびチャンネル開口部23が設けられた絶縁性を有する非導電性の略円柱状ブロック体の枠部品である先端硬質部20を備えている。この先端硬質部20は、中途から基端側に向けて湾曲ゴム25が被覆しており、この湾曲ゴム25の先端が糸巻接着部24によって固着されている。
【0025】
先端部6には、図3に示すように、先端硬質部20に形成された嵌合孔28に撮像ユニット30が挿嵌して設けられている。この撮像ユニット30は、接着剤などの充填剤36によって先端硬質部20に固定されている。
【0026】
撮像ユニット30は、観察窓21を含む対物レンズ群33を保持する導電性の金属などから形成された導電部である2つのレンズ枠31,32を有している。また、撮像ユニット30は、CCD、CMOSなどの固体撮像素子、駆動回路基板などが設けられた図示しない素子枠を基端側のレンズ枠32の基端外周部分と共に覆う熱収縮チューブ34を有している。
【0027】
この熱収縮チューブ34からは、撮像ケーブル35が基端側に延設している。なお、熱収縮チューブ34内には、水密保持のため接着剤などが充填されている。
【0028】
撮像ユニット30のレンズ枠31,32は、導通部としてのジャンパー線50の一端の先端が半田などにより電気的に接続されている。このジャンパー線50の他端の基端は、先端硬質部20の基端側の外周部26に外嵌合する導電性を有する環状の外装部材である最先端の湾曲駒41と電気的に接続される。
これにより、レンズ枠31,32に印加された電流(電荷)がジャンパー線50および湾曲駒41へと流れるように導通した構成となっている。
【0029】
ジャンパー線50は、基端部分が先端硬質部20の外面である外周部26と最先端の湾曲駒41の内面42に挟まれた状態で保持されている。これにより、ジャンパー線50は、湾曲駒41と電気的に導通し、撮像ユニット30のレンズ枠31,32がジャンパー線50を介して電気的に接続される。
【0030】
なお、湾曲駒41は、複数に連設され、枢支部43によって互いが回動自在となるように軸支されている。これら複数の湾曲駒41は、湾曲レバー13の操作により湾曲操作ワイヤー44,45が牽引弛緩される。
【0031】
これにより、複数の湾曲駒41が枢支部43回りに回動され、湾曲部7が湾曲操作される。なお、湾曲操作ワイヤー44,45は、複数の湾曲駒41の内面側に設けられたワイヤガイド46に固定または挿通保持されている。
【0032】
これら複数の湾曲駒41は、それぞれが電気的に導通しており、最基端の湾曲駒41が可撓管部8の図示しない金属ブレードと電気的に導通するように接続されている。なお、可撓管部8の金属ブレードは、操作部3およびユニバーサルコード4を介して内視鏡コネクタ5とも電気的に導電通している。
【0033】
そして、内視鏡コネクタ5は、外部機器と接続されて、患者グラウンド(GND)が撮像ユニット30と電気的に導通する構成となっている。
【0034】
ところで、先端硬質部20に嵌合する最先端の湾曲駒41は、図4に示すように、先端開口部47(図6参照)が設けられた先端側の端部から基端側に向けて一部が切り欠かれた導通部カット孔部である開口51が形成されている。この開口51は、先端硬質部20の外周面の一部を露出する。
【0035】
開口51は、図5に示すように、湾曲駒41の端部にある先端開口部47から基端側に切り欠かれた直線状の溝部52と、この溝部52に連通する三角形の導通部カット部53と、を有している。
【0036】
ここで、先端硬質部20に最先端の湾曲駒41を嵌合して、開口51から延出するジャンパー線50をカットする構成について説明する。
先端硬質部20と最先端の湾曲駒41を嵌合するとき、図6に示すように、ジャンパー線50が湾曲駒41の開口51の溝部52から導通部カット部53に通される。
【0037】
なお、湾曲駒41の開口51にジャンパー線50を通すことができるため、必ずしも湾曲駒41の先端開口部41と開口51とを繋ぐように連通する溝部52が無くてもよい。
【0038】
そして、図7に示すように、先端硬質部20と最先端の湾曲駒41が嵌合される。このとき、ジャンパー線50は、先端硬質部20の外面である外周部26と最先端の湾曲駒41の内面42に挟まれて固定され、開口51の導通部カット部53から延出した状態となる。
【0039】
この導通部カット部53から延出した余分なジャンパー線50は、図8および図9に示すように、デザインナイフなどの切断具100によって、導通部カット部53内に収まるように切断される。
【0040】
このとき、切断具100は、湾曲駒41の外表面に沿わされ、導通部カット部53を形成する端面41aに向けてジャンパー線50を切断する。即ち、切断具100の刃先が端面41aに当接するようにしてジャンパー線50が切断される。
【0041】
ジャンパー線50は、切断された基端側の端部が開口51の導通部カット部53内に収まり、湾曲駒41の外表面から突起しないように切断される。
【0042】
つまり、円環状の湾曲駒41は、図10に示すように、肉厚d内に切断具100の刃先が収まるように先端硬質部20および湾曲駒41の軸(中心軸)に直交する方向の開口51の導通部カット部53の長さLが設定されている。
【0043】
これにより、切断具100が湾曲駒41の外表面に沿ってジャンパー線50を切断する切断ラインAが湾曲駒41の肉厚d内に入り、ジャンパー線50が湾曲駒41の外表面から突起しないように切断することができる。
【0044】
加えて、切断具100の刃先が先端硬質部20に接触することもないため、先端硬質部20が削られることも防止される。
【0045】
以上のように構成された内視鏡1は、先端硬質部20と最先端の湾曲駒41とを嵌合するときに、撮像ユニット30の導電部であるレンズ枠31,32に接続されたジャンパー線50の基端側の端部の近傍部分を先端硬質部20と湾曲駒41の間に挟み込んで導電性の湾曲駒41と容易、かつ確実に電気的に接続することができる構成となっている。
【0046】
これにより、内視鏡1は、非導電性の先端硬質部20が設けられた挿入部2の先端部6に静電気、処置具などから発生する高周波電流などが印加されて、撮像ユニット30のレンズ枠31,32に流れてもジャンパー線50から湾曲駒41を介してグラウンド(GND)に落とされる。即ち、先端部6に発生した電荷は、レンズ枠31,32に流れ、ジャンパー線50から湾曲駒41を介してグラウンドへとリークされる。従って、内視鏡1の撮像ユニット30は、静電気、高周波電流などによる不具合が防止される。
【0047】
さらに、ジャンパー線50は、湾曲駒41の外表面から突起しないように切断具100によって切断されるため、湾曲駒41を被覆する湾曲ゴム25を傷つけることもない。
【0048】
以上の説明により、内視鏡1は、撮像ユニット30を接地するために、導線であるジャンパー線50の一端の近傍部分を、撮像ユニット30を外部から絶縁する先端枠部品である先端硬質部20と、グラウンド(GND)に接続された外装部材である湾曲駒41によって挟み込んだ簡単な構造を有する。
【0049】
さらに、導線であるジャンパー線50の先端が、湾曲駒41の肉厚d内に収まるように設けることでジャンパー線50の端部によってゴム製の外皮である湾曲ゴム25を傷つけることもない構造となっている。
【0050】
なお、先端硬質部20は、非導電性が望ましいが、これに限定されることなく導電性であってもよい。
【0051】
(第1の変形例)
図11に示すように、先端硬質部20は、外周部にジャンパー線50を配置する直線状の凹部27を有していてもよい。これにより、先端硬質部20と湾曲駒41を高精度に嵌合することができる。
【0052】
(第2の変形例)
図12に示すように、ジャンパー線50は、熱収縮チューブ34内に設けられて、この熱収縮チューブ34の基端から延出する構成としてもよい。
【0053】
(第3の変形例)
図13に示すように、湾曲駒41に形成する開口51の導通部カット部53は、ジャンパー線50を切断具100で切断できれば、溝部52に対して非対称な形状の孔部としてもよい。
【0054】
(第4の変形例)
図14に示すように、湾曲駒41に形成する開口51は、導通部カット部53を溝部52に直交するような長孔形状としたT字型としてもよい。これにより、開口部51の面積を小さくして、湾曲駒41の強度低下を防止することができる。
【0055】
(第5の変形例)
図15に示すように、湾曲駒41に形成する開口51の導通部カット部53は、円環状の湾曲駒41の曲率に合わせて溝部52と連通させる2辺を円弧状として、図16に示すように、ジャンパー線50を切断し易くなるように切断具100を添わせる斜面53aが直線状となるようにしてもよい。
【0056】
(第6の変形例)
図17に示すように、湾曲駒41に形成する開口51の導通部カット部53は、基端に向けて細くなるようにし、ジャンパー線50を切断する位置決めをし易くして外れ難くなるように、基端方向への先細り形状としてもよい。
【0057】
(第7の変形例)
図18に示すように、湾曲駒41に形成する開口51は、三角形状の導通部カット部53を逆にした矢印形状としてもよい。ここでも、ジャンパー線50の切断する位置決めが易くなり、外れ難くなる。
【0058】
(第8の変形例)
図19に示すように、ジャンパー線50により湾曲ゴム25を傷つけないようにするため、湾曲駒41に形成された開口51を塞ぐように被覆する被覆部61を設けてもよい。
【0059】
(第9の変形例)
図20に示すように、ジャンパー線50により湾曲ゴム25を傷つけないようにするため、湾曲駒41に形成された開口51に接着剤などの充填剤62を充填して、ジャンパー線50を覆うようにしてもよい。
【0060】
(第10の変形例)
図21に示すように、ジャンパー線50により湾曲ゴム25を傷つけないようにするため、湾曲駒41に形成された開口51内で露出するジャンパー線50の端部を覆う保護部63を設けてもよい。
【0061】
(第11の変形例)
図22に示すように、湾曲駒41に2つの開口55,56を形成し、ジャンパー線50を一方の開口から延出させて、開口55,56の間の湾曲駒41の外周部分54の外方から、ジャンパー線50の端部を他方の開口55に収容するように折り曲げた構成としてもよい。
【0062】
(第12の変形例)
図23に示すように、湾曲駒41に2つの開口55,56を形成し、ジャンパー線50を一方の開口から延出させ、開口55,56の間の外周部分54の外方から、ジャンパー線50の端部を他方の開口55から湾曲駒41の外周部分54と先端硬質部20との間に挟むように折り返した構成としてもよい。
【0063】
以上の実施の形態および変形例に記載した発明は、それら実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記実施の形態および変形例には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0064】
例えば、実施の形態および変形例に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
図1
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図23