(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】精製水製造装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20220815BHJP
C02F 1/461 20060101ALI20220815BHJP
B01D 61/04 20060101ALI20220815BHJP
B01D 61/24 20060101ALI20220815BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20220815BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
A61M1/16 179
C02F1/461 A
B01D61/04
B01D61/24
C02F1/44 A
B01D65/02 500
(21)【出願番号】P 2021070116
(22)【出願日】2021-04-19
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591201686
【氏名又は名称】株式会社日本トリム
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】仲西 直樹
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-005300(JP,A)
【文献】特開2020-142209(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0027379(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
C02F 1/461
B01D 61/04
B01D 61/24
C02F 1/44
B01D 65/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製水製造装置であって、
原水を貯えるためのタンクと、
前記タンクから供給された前記原水を電気分解するための電解ユニットと、
前記電解ユニットで生成された電解水から逆浸透電解水を生成するための逆浸透膜モジュールと、
前記逆浸透電解水を供給するための出口を有する供給路と、
前記供給路内の水を前記タンクに戻すための復路とを含み、
前記供給路は、前記逆浸透膜モジュールから前記出口に向かって一方向に水を流すための第1流路と、前記逆浸透膜モジュールまたは前記復路と前記出口との間で双方向に水を流すための第2流路とを含む、
精製水製造装置。
【請求項2】
前記復路は、前記第2流路と接続されている、請求項1に記載の精製水製造装置。
【請求項3】
前記復路には、前記第2流路内で前記逆浸透膜モジュールから前記出口に向かって水が流れているとき、前記復路を閉鎖するための第1開閉弁が設けられている、請求項2に記載の精製水製造装置。
【請求項4】
前記タンク内の前記原水を加熱するための加熱装置を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の精製水製造装置。
【請求項5】
加熱された前記原水は、前記第1流路から前記復路に向かって前記第2流路内を流れる、請求項4に記載の精製水製造装置。
【請求項6】
前記第1流路と前記第2流路とは、前記出口の側で互いに接続されている、請求項1ないし5のいずれかに記載の精製水製造装置。
【請求項7】
前記第1流路と前記第2流路との接続部と前記出口との間には、第2開閉弁が設けられている、請求項6に記載の精製水製造装置。
【請求項8】
前記逆浸透膜モジュールから前記復路と前記第2流路との接続部に至る前記第2流路には、第3開閉弁が設けられている、請求項3に記載の精製水製造装置。
【請求項9】
前記第1流路には、
前記第1流路から分岐する流路が接続されている、請求項8に記載の精製水製造装置。
【請求項10】
前記
流路には、
減圧弁が設けられている、請求項9に記載の精製水製造装置。
【請求項11】
前記出口は、血液透析治療を行うための透析装置に接続されている、請求項1ないし10のいずれかに記載の精製水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液透析治療に用いられる精製水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血液透析治療において、電解水を用いた電解水透析の手法が、患者の酸化ストレスの低減に効果的であるとして、注目されている。
【0003】
特許文献1には、電解水透析の透析液調製用水の製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の装置では、逆浸透膜によって浄化された電解水は、逆浸透水タンクに貯えられる。しかしながら、時間が経過するにつれ、逆浸透水タンク内の電解水の水素濃度が不安定となり易く、さらなる改良が望まれている。また、上記透析液調製用水の製造装置では、薬液または熱水を循環させることにより流路を殺菌・消毒できるように構成されている。このような装置では、流路内で水の滞留が生じないように構成されるのが望ましい。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、水の滞留を抑制しつつ安定した水素濃度の電解水を供給できる精製水製造装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、精製水製造装置であって、原水を貯えるためのタンクと、前記タンクから供給された前記原水を電気分解するための電解ユニットと、前記電解ユニットで生成された電解水から逆浸透電解水を生成するための逆浸透膜モジュールと、前記逆浸透電解水を供給するための出口を有する供給路と、前記供給路内の水を前記タンクに戻すための復路とを含み、前記供給路は、前記逆浸透膜モジュールから前記出口に向かって一方向に水を流すための第1流路と、前記逆浸透膜モジュールまたは前記復路と前記出口との間で双方向に水を流すための第2流路とを含む。
【0008】
本発明に係る前記精製水製造装置において、前記復路は、前記第2流路と接続されている、ことが望ましい。
【0009】
本発明に係る前記精製水製造装置において、前記復路には、前記第2流路内で前記逆浸透膜モジュールから前記出口に向かって水が流れているとき、前記復路を閉鎖するための第1開閉弁が設けられている、ことが望ましい。
【0010】
本発明に係る前記精製水製造装置において、前記タンク内の前記原水を加熱するための加熱装置を含む、ことが望ましい。
【0011】
本発明に係る前記精製水製造装置において、加熱された前記原水は、前記第1流路から前記復路に向かって前記第2流路内を流れる、ことが望ましい。
【0012】
本発明に係る前記精製水製造装置において、前記第1流路と前記第2流路とは、前記出口の側で互いに接続されている、ことが望ましい。
【0013】
本発明に係る前記精製水製造装置において、前記第1流路と前記第2流路との接続部と前記出口との間には、第2開閉弁が設けられている、ことが望ましい。
【0014】
本発明に係る前記精製水製造装置において、前記逆浸透膜モジュールから前記復路と前記第2流路との接続部に至る前記第2流路には、第3開閉弁が設けられている、ことが望ましい。
【0015】
本発明に係る前記精製水製造装置において、前記第1流路、前記第2流路または前記復路には、前記供給路から流れ込んだ前記原水を外部に排出するための排出路が接続されている、ことが望ましい。
【0016】
本発明に係る前記精製水製造装置において、前記排出路には、第2開閉弁が設けられている、ことが望ましい。
【0017】
本発明に係る前記精製水製造装置において、前記出口は、血液透析治療を行うための透析装置に接続されている、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の前記精製水製造装置では、前記逆浸透膜モジュールを通過した前記逆浸透電解水が、逆浸透水タンクに貯えられることなく前記供給路の前記出口に供給される。従って、安定した水素濃度の前記逆浸透水が供給可能となる。
【0019】
前記供給路は、前記逆浸透膜モジュールから前記出口に向かって一方向に水を流すための前記第1流路と、前記逆浸透膜モジュールと前記出口との間で双方向に水を流すための前記第2流路とを含んでいる。前記逆浸透電解水を供給する際には、前記逆浸透膜モジュールから前記出口に向かって前記第2流路内を前記逆浸透水が流れる。一方、装置内の流路を殺菌・消毒する際には、前記出口から前記逆浸透膜モジュールに向かって、すなわち、前記第1流路から前記復路に向かって前記第2流路内を熱水等が流れる。従って、前記電解ユニット、前記逆浸透膜モジュール、前記第1流路及び前記第2流路を、常に水が流れる状態に維持することが可能となり、水の滞留が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の精製水製造装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の精製水製造装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】透析治療中の精製水製造装置内での逆浸透電解水の流れを示す図である。
【
図4】殺菌・消毒中の精製水製造装置での熱水の流れを示す図である。
【
図5】
図1の精製水製造装置の変形例の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の精製水製造装置1の流路構成を示している。
図2は、精製水製造装置1の電気的構成流路構成を示している。精製水製造装置1は、血液透析の電解透析液の調製に用いられる透析液調製用水を製造するための装置である。
【0022】
精製水製造装置1は、タンク2と、電解ユニット3と、逆浸透膜モジュール5と、供給路7と、復路9とを含んでいる。
【0023】
タンク2は、精製水製造装置1に供給された原水を貯える。原水には、一般的には水道水が利用されるが、その他、例えば、井戸水、地下水等を用いることができる。
【0024】
原水は、流路60を介してタンク2に供給される。流路60には電磁弁80が設けられている。電磁弁80の開閉は、制御部35によって制御される(
図2参照)。
【0025】
制御部35は、例えば、各種の演算処理、情報処理等を実行するCPU(Central Processing Unit)及びCPUの動作を司るプログラム及び各種の情報を記憶するメモリ等を有している。制御部35の各種の機能は、CPU、メモリ及びプログラムによって実現される。
【0026】
タンク2に貯えられた原水は、流路61を介して電解ユニット3に供給される。流路61には原水を圧送するためのポンプ62が設けられているのが望ましい。本実施形態のポンプ62は制御部35によって制御される。
【0027】
電解ユニット3は、タンク2から供給された原水を電気分解することにより、電解水を生成する。本実施形態の電解ユニット3は、電解槽4によって構成されている。直列または並列に接続された複数の電解槽4によって電解ユニット3が構成されていてもよい。
【0028】
電解槽4は、電解室40と、陽極給電体41と、陰極給電体42と、隔膜43とを含んでいる。電解室40は、隔膜43によって、陽極給電体41が配された陽極室40aと陰極給電体42が配された陰極室40bとに区分される。前処理水は、例えば、二股に分岐する流路を介して、陽極室40a及び陰極室40bに供給される。
【0029】
陽極給電体41と陰極給電体42との間に印加される電圧は、制御部35によって制御される。制御部35は、陽極給電体41及び陰極給電体42に供給される電解電流が予め設定された所望の値となるように、陽極給電体41及び陰極給電体42に印加する電解電圧をフィードバック制御する。例えば、電解電流が過大である場合、制御部35は、上記電圧を減少させ、電解電流が過小である場合、制御部35は、上記電圧を増加させる。これにより、電解電流が適切に制御される。
【0030】
電解槽4で電気分解された電解水のうち、陰極室40bで生成された電解水は陰極水として逆浸透膜モジュール5に送られる。一方、陽極室40aで生成された電解水は陽極水として、精製水製造装置1の外部に排出される。
【0031】
電解槽4内で水が電気分解されることにより、陽極室40aで酸素ガスが発生し、陰極室40bで水素ガスが発生する。
【0032】
陽極室40aで発生した酸素ガスは、陽極室40a内の電解水に溶け込んで、陽極水として陽極室40aから取り出され、流路63を介して精製水製造装置1の外部に排出される。
【0033】
陰極室40bで発生した水素ガスは、陰極室40b内の電解水に溶け込んで、陰極水として陰極室40bから取り出され、流路64を介して逆浸透膜モジュール5に送られる。すなわち、陰極室40bから逆浸透膜モジュール5に送られる陰極水は、陰極室40bで電気分解され、水素ガスが溶け込んだ電解水素水である。
【0034】
流路64には電解水素水を圧送するためのポンプ65が設けられているのが望ましい。本実施形態のポンプ65は制御部35によって制御される。
【0035】
逆浸透膜モジュール5は、逆浸透膜53を含んでいる。逆浸透膜53は、逆浸透膜モジュール5の内部を第1室51と第2室52とに区分する。陰極室40bからの陰極水は、第1室51に供給される。第1室51内の陰極水は、逆浸透膜53を透過して第2室52に移動する際に浄化される。すなわち、逆浸透膜53によって不純物が除去され、逆浸透電解水が生成される。
【0036】
本実施形態では、ポンプ65によって逆浸透膜モジュール5の第1室51内の水圧が高められ、逆浸透膜モジュール5の作用が高められる。
【0037】
逆浸透膜モジュール5にて生成された逆浸透電解水は、供給路7を介して透析装置100に供給される。供給路7は、出口79を有している。出口79は、透析装置100に接続するための接続路75の終端部に設けられている。出口79は、ジョイント部材(図示せず)を介して透析装置100に接続されている。
【0038】
透析装置100は、透析液調製装置と透析液供給装置とダイアライザー等によって構成されている。透析液調製装置は、精製水製造装置1から供給された電解逆浸透水を用いて、例えば、透析原剤を希釈して、透析液を調製する。透析原剤は、液状の他粉末状のものが適用される。透析液調製装置によって調製された透析液は、透析液供給装置に送られる。
【0039】
透析液供給装置は、透析液調製装置から供給された透析液をダイアライザーに送出する。ダイアライザーは、例えば、中空糸膜等の多孔質膜によって構成された透析膜を含む人工腎臓であり、透析膜を介して透析液調製装置から供給された透析液を透析治療の患者の血液に作用させ、血液から老廃物及び水分を除去する。
【0040】
なお、例えば、多人数用の大規模に透析装置100にあっては、透析液調製装置と透析装置とが独立した装置が適用されてもよい。
【0041】
本精製水製造装置1では、逆浸透膜モジュール5を通過して生成された逆浸透電解水を貯えるための逆浸透水タンクは廃されている。すなわち、逆浸透膜53を透過した逆浸透電解水は、逆浸透水タンクに貯えられることなく供給路7の出口79に供給される。逆浸透水タンクを設置しそこに逆浸透電解水を貯えると、時間の経過や、当該タンクへの逆浸透電解水の流入時に当該タンクの壁面や水面に接触する際の衝撃などが原因で、貯水されている逆浸透電解水の水素がガス化して抜け、その水中の溶存水素濃度が減少する。また、当該タンクの貯水量に応じて段階的に貯水制御を行うような場合、都度貯水量が異なる状態で貯水を開始するため、貯水開始のタイミングによって当該タンク内の逆浸透電解水の水素濃度が異なることになる。これらのような原因により、逆浸透水タンク内の逆浸透電解水が出口79に向かって供給されるタイミング次第でその溶存水素濃度が異なることになり、透析装置に供給される際の水素濃度が不安定になる。本精製水製造装置1では、このような逆浸透水タンクを廃することにより、安定した水素濃度の逆浸透水が供給可能となる。
【0042】
一方、逆浸透膜53を透過できなかった不純物を含む濃縮水は、流路66を介して精製水製造装置1の外部に排出される。
【0043】
復路9は、供給路7及びタンク2に接続されている。復路9は、供給路7内の水をタンク2に戻す。復路9は、精製水製造装置1内を殺菌・消毒する際に、熱水等を循環させる際に用いられる。
【0044】
供給路7は、逆浸透膜モジュール5の第2室52から出口79に向かって一方向(矢印F1方向)に水を流すための第1流路71と、逆浸透膜モジュール5または復路9と出口79との間で双方向(矢印F2、F3方向)に水を流すための第2流路72とを含んでいる。本実施形態の第2流路72は、第1流路71の一部を介して逆浸透膜モジュール5と接続されている。すなわち、第2流路72は、接続部73において第1流路71に接続されている。第2流路72は、逆浸透膜モジュール5と直接的に接続されていてもよい。
【0045】
図3は、透析治療中の精製水製造装置1を示している。
図3の各流路において、液体が満たされている領域は、ハッチングで示されている(後述する
図4においても同様とする)。透析治療に際しては、供給路7に逆浸透電解水が供給され、復路9が無効化されている。
【0046】
透析治療中の精製水製造装置1では、逆浸透膜モジュール5にて生成された逆浸透電解水は、矢印F1で示されるように、第1流路71内を逆浸透膜モジュール5から出口79に向かって流れる。また、上記逆浸透電解水は、矢印F2で示されるように、第2流路72内を逆浸透膜モジュール5から出口79に向かって流れる。すなわち、逆浸透電解水を透析装置100に供給する際には、逆浸透膜モジュール5から出口79に向かって、逆浸透電解水が第1流路71及び第2流路72の両方の流路を流れる。このとき、供給路7は、第1流路71及び第2流路72が並列に接続された2つの流路(2WAY)を構成する。
【0047】
図4は、殺菌・消毒中の精製水製造装置1を示している。殺菌・消毒に際しては、供給路7に熱水等が供給され、復路9が有効化されている。
【0048】
殺菌・消毒中の精製水製造装置1では、逆浸透膜モジュール5を通過した熱水等は、矢印F1で示されるように、第1流路71内を逆浸透膜モジュール5から出口79に向かって流れる。熱水等は、その後、第2流路72内を出口79から逆浸透膜モジュール5に向かう矢印F3方向に流れ、復路9を経由してタンク2に至る。このとき、供給路7は、第1流路71及び第2流路72が直列に接続された1つの流路(1WAY)を構成する。
【0049】
以上のように、本精製水製造装置1では、透析治療中及び殺菌・消毒中のいずれの状態に関わらず、電解ユニット3、逆浸透膜モジュール5、第1流路71及び第2流路72には、常に水が流れる状態に維持することが可能となり、水の滞留が抑制される。
【0050】
図1、3、4に示されるように、復路9は、接続部91において第2流路72と接続されている。接続部91は、第1流路71と第2流路72との接続部73に近接して配されている。これにより、水の滞留がより一層抑制される。
【0051】
復路9には、第1開閉弁81が設けられている。第1開閉弁81には、例えば、電磁弁が適用される。第1開閉弁81は、制御部35によって制御される。
【0052】
第1開閉弁81は、
図3に示される透析治療中の状態において、すなわち、第2流路72内で逆浸透膜モジュール5から出口79に向かって水が流れているとき、復路9を閉鎖する。これにより、透析治療中の状態において、逆浸透電解水が復路9に流れ込むことが抑制され、復路9での水の滞留が抑制される。なお、第1開閉弁81は、復路9と第2流路72との接続部91に近接して配されるのが望ましい。
【0053】
一方、
図4に示されるように、殺菌・消毒中の精製水製造装置1では、第1開閉弁81は開放される。これにより、第2流路72から復路9に熱水等が流れ込む。
【0054】
第1流路71と第2流路72とは、出口79の側で互いに接続されている、のが望ましい。本実施形態では、第1流路71と第2流路72とが、接続部74において接続されている。そして、接続部74から出口79に向かって接続路75がのびている。接続路75が短くなるように、接続部74は、出口79に近接して配されている。すなわち、これにより、水の滞留がより一層抑制される。なお、第1流路71、第2流路72及び接続路75を含む供給路の少なくとも一部は、透析装置100に接続されている既存の流路が適用されてもよい。
【0055】
本精製水製造装置1は、加熱装置21を含んでいる。加熱装置21は、タンク2内の原水を加熱して、熱水を生成する。加熱装置21は、タンク2内に配されている。加熱装置21は、流路61に配されていてもよい。
【0056】
加熱装置21によって加熱された原水は、電解ユニット3及び逆浸透膜モジュール5を通過した後、第1流路71から復路9に向かって第2流路72内を流れ、タンク2に戻る。これにより、熱水が流路61、64、71、72、及び復路9を循環し、精製水製造装置1の内部が殺菌・消毒される。従って、少量の熱水で、精製水製造装置1の内部を殺菌・消毒することが可能となる。
【0057】
接続部74と出口79との間には、第2開閉弁82が設けられている。第2開閉弁82には、例えば、電磁弁が適用される。第2開閉弁82は、制御部35によって制御される。
【0058】
図3に示されるように、透析治療中の精製水製造装置1では、第2開閉弁82が開放される。これにより、逆浸透電解水が透析装置100に供給される。
図4に示されるように、殺菌・消毒中の精製水製造装置1では、第2開閉弁82が閉鎖される。これにより、透析装置100への熱水の供給が回避される。
【0059】
殺菌・消毒中の精製水製造装置1では、第2開閉弁82が閉鎖されるため、第2開閉弁82内を熱水が流れることはない。しかしながら、第2開閉弁82の手前まで流れ込んだ熱水によって、第2開閉弁82が加熱され、第2開閉弁82が殺菌・消毒される。後述する第2開閉弁82及び第3開閉弁83についても同様である。
【0060】
第2開閉弁82は、接続部74に近接して配されている。これにより、水の滞留がより一層抑制される。
【0061】
逆浸透膜モジュール5から接続部91に至る第2流路72には、第3開閉弁83が設けられている。第3開閉弁83には、例えば、電磁弁が適用される。
図3に示されるように、透析治療中の精製水製造装置1では、第3開閉弁83が開放される。これにより、第2流路72を介して逆浸透電解水が透析装置100に供給される。
図4に示されるように、殺菌・消毒中の精製水製造装置1では、第3開閉弁83が閉鎖される。これにより、熱水等が第2流路72内を矢印F2方向に流れ込むことが回避され、第2流路72から復路9への熱水の流れが確保される。
【0062】
第3開閉弁83の替わりに、絞り弁が適用されていてもよい。透析治療中の精製水製造装置1では、絞り弁が開放され、殺菌・消毒中の精製水製造装置1では、絞り弁によって流量が制限される。このような構成では、透析治療中の第2流路72(接続部74、91間)の滞留を抑制しつつ、殺菌・消毒中の第2流路72(接続部73、91間)の滞留を抑制する。
【0063】
図5は、
図1の精製水製造装置1の変形例である精製水製造装置1Aの概略構成を示している精製水製造装置1Aのうち、以下で説明されてない部分については、上述した精製水製造装置1の構成が採用されうる。
【0064】
精製水製造装置1Aでは、タンク2と電解ユニット3との間に、活性炭フィルター11が設けられている。活性炭フィルター11は、ポンプ62の下流に配されている。活性炭フィルター11は、微細な多孔質物質である活性炭を有し、原水から塩素等を吸着・除去する。活性炭フィルター11の上流に原水を軟水化する軟水化処理装置が設けられていてもよい。
【0065】
精製水製造装置1Aでは、逆浸透膜モジュール5と出口79との間の第1流路71に、UFモジュール12が設けられている。UFモジュール12は、限外濾過膜を有している。UFモジュール12は、接続部73の上流に配されている。
【0066】
また、逆浸透膜モジュール5とUFモジュール12との間の第1流路71に流路76が接続されている。流路76には、予め定められた圧力で開く減圧弁85が設けられている。
【0067】
以上、本発明の精製水製造装置1等が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。すなわち、精製水製造装置1は、少なくとも、原水を貯えるためのタンク2と、タンク2から供給された原水を電気分解するための電解ユニット3と、電解ユニット3で生成された電解水から逆浸透電解水を生成するための逆浸透膜モジュール5と、逆浸透電解水を供給するための出口を有する供給路7と、供給路7内の水をタンク2に戻すための復路9とを含み、供給路7は、逆浸透膜モジュール5から出口79に向かって一方向F1に水を流すための第1流路71と、逆浸透膜モジュール5と出口79との間で双方向F2、F3に水を流すための第2流路72とを含んでいればよい。
【符号の説明】
【0068】
1 精製水製造装置
1A 精製水製造装置
2 タンク
3 電解ユニット
5 逆浸透膜モジュール
7 供給路
9 復路
21 加熱装置
53 逆浸透膜
71 第1流路
72 第2流路
74 接続部
79 出口
81 第1開閉弁
82 第2開閉弁
83 第3開閉弁
91 接続部
100 透析装置
【要約】
【課題】水の滞留を抑制しつつ安定した水素濃度の電解水を供給できる精製水製造装置を提供する。
【解決手段】精製水製造装置1は、原水を貯えるためのタンク2と、タンク2から供給された原水を電気分解するための電解ユニット3と、電解ユニット3で生成された電解水から逆浸透電解水を生成するための逆浸透膜モジュール5と、逆浸透電解水を供給するための出口を有する供給路7と、供給路7内の水をタンク2に戻すための復路9とを含む。供給路7は、逆浸透膜モジュール5から出口79に向かって一方向F1に水を流すための第1流路71と、逆浸透膜モジュール5または復路9と出口79との間で双方向F2、F3に水を流すための第2流路72とを含む。
【選択図】
図1