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特許7123245ワイヤレス内視鏡、ワイヤレス内視鏡装置及び照明制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】ワイヤレス内視鏡、ワイヤレス内視鏡装置及び照明制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/267 20060101AFI20220815BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220815BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220815BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
A61B1/267 510
A61B1/00 682
A61B1/00 683
A61B1/045 642
A61B1/06 611
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021511848
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2019014744
(87)【国際公開番号】W WO2020202490
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春見 誠
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0079517(US,A1)
【文献】国際公開第03/068056(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107510432(CN,A)
【文献】特開2000-300514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送信された音声を受信する無線受信部と、
前記無線受信部が受信した前記音声を処理する音声処理部と、
被検体を照明する照明光を発生する照明部と、
被検体を撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像結果を無線送信する無線送信部と、
前記音声処理部の処理結果に基づいて前記照明部を制御する制御部と、
を有することを特徴とするワイヤレス内視鏡。
【請求項2】
前記制御部は、前記音声処理部の処理結果を前記照明部に与えて発光を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス内視鏡。
【請求項3】
ワイヤレス内視鏡と音声検出ユニットとを具備するワイヤレス内視鏡装置において、
前記音声検出ユニットは、
音声を検出する音声検出部と、
前記音声検出部が検出した音声を変調する音声変調部と、
前記音声変調部の変調結果を無線送信する第1の無線送信部と、
を有し、
前記ワイヤレス内視鏡は、
前記第1の無線送信部から無線送信された前記音声を受信する無線受信部と、
前記無線受信部が受信した前記音声を処理する音声処理部と、
被検体を照明する照明光を発生する照明部と、
被検体を撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像結果を無線送信する第2の無線送信部と、
前記音声処理部の処理結果に基づいて前記照明部を制御する制御部と、
を有することを特徴とするワイヤレス内視鏡装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記音声処理部の処理結果を前記照明部に与えて発光を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤレス内視鏡装置。
【請求項5】
前記音声検出ユニットは、前記ワイヤレス内視鏡に着脱自在に設けられる
ことを特徴とする請求項に記載のワイヤレス内視鏡装置。
【請求項6】
前記音声検出ユニットは、バッテリを備える
ことを特徴とする請求項に記載のワイヤレス内視鏡装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記無線受信部の受信結果に基づいて前記音声検出ユニットが前記ワイヤレス内視鏡に装着されることを検出すると、前記音声処理部を動作状態にする
ことを特徴とする請求項に記載のワイヤレス内視鏡装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記無線受信部の受信結果に基づいて前記音声検出ユニットが前記ワイヤレス内視鏡から取り外されたことを検出すると、前記音声処理部を非動作状態にする
ことを特徴とする請求項に記載のワイヤレス内視鏡装置。
【請求項9】
前記ワイヤレス内視鏡は、送電部を備え、
前記音声検出ユニットは、前記送電部からの電力を受電する受電部を備える
ことを特徴とする請求項3に記載のワイヤレス内視鏡装置。
【請求項10】
前記音声検出ユニットは、前記ワイヤレス内視鏡に着脱自在に設けられる
ことを特徴とする請求項に記載のワイヤレス内視鏡装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記送電部よる送電結果に基づいて前記音声検出ユニットが前記ワイヤレス内視鏡に装着されることを検出すると、前記音声処理部を動作状態にする
ことを特徴とする請求項10に記載のワイヤレス内視鏡装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記送電部よる送電結果に基づいて前記音声検出ユニットが前記ワイヤレス内視鏡から取り外されたことを検出すると、前記音声処理部を非動作状態にする
ことを特徴とする請求項10に記載のワイヤレス内視鏡装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記送電部よる送電結果に基づいて前記音声検出ユニットが前記ワイヤレス内視鏡に装着されることを検出すると、前記音声検出部を動作状態にする
ことを特徴とする請求項10に記載のワイヤレス内視鏡装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記送電部よる送電結果に基づいて前記音声検出ユニットが前記ワイヤレス内視鏡から取り外されたことを検出すると、前記音声検出部を非動作状態にする
ことを特徴とする請求項10に記載のワイヤレス内視鏡装置。
【請求項15】
ワイヤレス内視鏡の照明光を制御する照明制御方法において、
音声検出ユニットが、
音声を検出し、
前記検出された音声を変調し、
変調された音声信号を無線送信し、
ワイヤレス内視鏡が、
無線送信された前記音声を受信し、
無線受信した前記音声の処理結果を、被検体を照明する照明光を発生する照明部に与えて発光を制御する
ことを特徴とする照明制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、声帯観察に好適なワイヤレス内視鏡、ワイヤレス内視鏡装置及び照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、体腔内等へ細長の内視鏡を挿入して被検部位の観察や各種処置を行うようにした内視鏡システムが広く用いられている。内視鏡の撮像素子によって得られる内視鏡画像は、信号処理を行うビデオプロセッサに伝送される。ビデオプロセッサは、内視鏡からの画像を信号処理し、表示用としてモニタに供給したり、記録用として記録装置に供給したりする。
【0003】
内視鏡からビデオプロセッサに内視鏡画像を伝送するために、スコープケーブルが用いられる。しかしながら、スコープケーブルによって内視鏡の移動範囲が制限され、或いは操作性が妨げられることがある。また、スコープケーブルが他のケーブルに絡まって断線等の障害が生じることもある。そこで、近年、充電式のバッテリを搭載し、プロセッサ等に対して内視鏡画像を無線により伝送するワイヤレス内視鏡が開発されている。
【0004】
ところで、内視鏡により、声帯観察が行われることがある。声帯振動の観察には、ストロボ観察が採用される。ストロボ観察は、声帯振動の周期より少しずらした周期でストロボ光を点滅させることで、あたかも声帯がゆっくり振動しているように見える、所謂ストロボ効果を利用して観察画像を得るものである。
【0005】
内視鏡によるストロボ観察では、例えば収音した音をもとに音声解析を行い、その結果から決められた発光タイミングによって発光(ストロボ発光)を行う(例えば、日本国特開2000-300514号公報参照)。従って、声帯をストロボ観察するためには患者の声を収音するためのマイクが必要となる。
【0006】
ところで、このようなストロボ観察によって声帯の観察を可能にする内視鏡として、ワイヤレス内視鏡を採用することが考えられる。しかしながら、ワイヤレス内視鏡は、滅菌処理を必要とし、水密気密に構成されて、表面に金属コネクタを設けることもできない。このようなワイヤレス内視鏡を用いて、マイクを利用したストロボ観察を可能にする提案はなされていない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によるワイヤレス内視鏡は、無線送信された音声を受信する無線受信部と、前記無線受信部が受信した前記音声を処理する音声処理部と、被検体を照明する照明光を発生する照明部と、被検体を撮像する撮像部と、前記撮像部による撮像結果を無線送信する無線送信部と、前記音声処理部の処理結果に基づいて前記照明部を制御する制御部と、を有する。
本発明の一態様によるワイヤレス内視鏡装置は、ワイヤレス内視鏡と音声検出ユニットとを具備するワイヤレス内視鏡装置において、前記音声検出ユニットは、音声を検出する音声検出部と、前記音声検出部が検出した音声を変調する音声変調部と、前記音声変調部の変調結果を無線送信する第1の無線送信部と、を有し、前記ワイヤレス内視鏡は、前記第1の無線送信部から無線送信された前記音声を受信する無線受信部と、前記無線受信部が受信した前記音声を処理する音声処理部と、被検体を照明する照明光を発生する照明部と、被検体を撮像する撮像部と、前記撮像部による撮像結果を無線送信する第2の無線送信部と、前記音声処理部の処理結果に基づいて前記照明部を制御する制御部と、を有する。
本発明の一態様による照明制御方法は、ワイヤレス内視鏡の照明光を制御する照明制御方法において、音声検出ユニットが、音声を検出し、前記検出された音声を変調し、変調された音声信号を無線送信し、ワイヤレス内視鏡が、無線送信された前記音声を受信し、無線受信した前記音声の処理結果を被検体を照明する照明光を発生する照明部に与えて発光を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るワイヤレス内視鏡装置の主要部の回路構成を示すブロック図。
図2】ワイヤレス内視鏡装置を有する内視鏡システムの全体構成の概略を示す説明図。
図3】ワイヤレス内視鏡におけるマイクユニットの取付位置を説明するための説明図。
図4】第1の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
図5】実施の形態におけるストロボ観察の様子を説明するための説明図。
図6】本発明の第2の実施の形態を示すブロック図。
図7】第2の実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係るワイヤレス内視鏡装置の主要部の回路構成を示すブロック図である。図2はワイヤレス内視鏡装置を有する内視鏡システムの全体構成の概略を示す説明図である。また、図3はワイヤレス内視鏡におけるマイクユニットの取付位置を説明するための説明図である。本実施の形態はマイクユニットとワイヤレス内視鏡との間を無線によって接続すると共に、マイクユニットの取付けの検出によってストロボ発光を制御することにより、ワイヤレス内視鏡を用いたストロボ観察を可能にするものである。
【0011】
先ず、図2及び図3を参照してワイヤレス内視鏡1を採用した内視鏡システムの概略について説明する。図2の内視鏡システムは、ワイヤレス内視鏡1、ビデオプロセッサ5及びモニタ6を含む。カート7上には各種医療機器及びモニタ6が配置される。また、カート7上には、無線部8に接続されたビデオプロセッサ5が載置される。なお、カート7上には、医療機器としては、例えば電気メス装置、気腹装置、ビデオレコーダ等の装置類や、二酸化炭素を充填したガスボンベ等も載置される。
【0012】
ワイヤレス内視鏡1は、図示しないバッテリを装着することで通常の内視鏡観察のための撮影動作を行うことができるようになっており、ビデオプロセッサ5とは無線にて接続されるワイヤレス構成である。
【0013】
ワイヤレス内視鏡1は、先端側に挿入部2を有し、基端側に操作部3を有する内視鏡本体により構成される。挿入部2の先端部にはCCDやCMOSセンサ等によって構成される撮像素子を有する図示しない撮像部が配設される。また、挿入部2には、被写体を照明するための照明光を発生する図示しない照明部が設けられている。スコープ内光源としてのこの照明部は、発生した光を挿入部2の先端の図示しないレンズを介して被写体に照明光として照射するようになっている。
【0014】
被写体からの戻り光は、挿入部2の先端の図示しない観察レンズを介して入射されて撮像部の撮像面に結像するようになっている。撮像部は光電変換によって被写体光学像に基づく撮像画像を得る。撮像部は撮像画像を挿入部2内の図示しない信号線を介して操作部3内の図示しない基板に伝送するようになっている。操作部3に設けられた図示しない基板には、図示しない画像処理回路及び信号伝送を行う通信回路を含む各種回路が搭載されており、これらの回路によって撮像画像が無線部8に無線伝送されるようになっている。なお、操作部3の操作面3aには複数の内視鏡スイッチ3bが配設されており、内視鏡スイッチ3bの操作に基づく操作信号についても、無線部8に伝送されるようになっている。
【0015】
また、ワイヤレス内視鏡1に内蔵された通信回路は、無線部8との間で、撮像画像だけでなく、挿入部2に配設された撮像素子や照明部を駆動するための駆動信号や各種設定情報を送受することができるようになっている。
【0016】
なお、撮像部及び照明部は、挿入部2の先端に設けられているものとして説明したが、カメラヘッドのように撮像部が操作部3側に設けられていてもよく、また、光源を操作部3等に設けて照明光をライトガイド等によって挿入部2の先端に導くものであってもよい。
【0017】
なお、ワイヤレス内視鏡1には、バッテリ18が内蔵されており、このバッテリ18からの電力が、操作部3中の基板上に搭載された電源部19に供給されるようになっている。
【0018】
図3に示すように、操作部3の操作面3aには、マイクユニット4を取り付けるための図示しない係止部が設けられている。音声検出ユニットとしてのマイクユニット4は、操作面3aに着脱自在に取り付けることができる。ストロボ観察時には、この係止部にマイクユニット4を取り付けるようになっている。マイクユニット4は、周囲の音声を収音して、収音した音声をワイヤレス内視鏡1に送信する。
【0019】
次に、図1を参照して、ワイヤレス内視鏡1及びマイクユニット4の具体的な構成例について説明する。
【0020】
マイクユニット4には、制御部41、マイクセンサ42、音声変調部43、無線部44及びバッテリ45が設けられている。制御部41は、CPUやFPGA等を用いたプロセッサによって構成されていてもよく、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。
【0021】
マイクセンサ42としては、コンデンサ型やダイナミック型等の各種マイクロホンを採用することができる。音声検出部としてのマイクセンサ42は、周囲音声を収音して、収音した音声を音声変調部43に出力する。音声変調部43としては、例えばQAM(直交振幅変調)等のデジタル変調方式やその他の各種変調方式を採用した変調回路を用いることができる。音声変調部43は、マイクセンサ42から与えられた音声を変調して無線部44に出力する。第1の無線送信部としての無線部44は、所定の無線方式で動作する通信回路により構成される。例えば、無線部44としては、近距離無線通信が可能なものであってもよく、Wi-Fi(登録商標)やブルートゥース(登録商標)等の無線規格を採用してもよい。無線部44は、音声変調部43からの音声を無線送信する。
【0022】
無線部44から無線送信された音声は、ワイヤレス内視鏡1の無線部16によって受信可能である。無線受信部としての無線部16は、無線部44に対応した無線規格で動作する通信回路であり、無線部44から送信された音声を受信し、受信した音声をバス20を介して画像処理及び制御部11に出力するようになっている。
【0023】
ワイヤレス内視鏡1の画像処理及び制御部11は、CPUやFPGA等を用いたプロセッサによって構成されていてもよく、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。制御部11はバス20に接続されており、バス20を介して各部を制御する。
【0024】
ワイヤレス内視鏡1には照明部12が設けられている。照明部12は、LED(発光ダイオード)光源等の各種光源装置によって構成される。照明部12は、画像処理及び制御部11に制御されて、照明光を発生する。照明部12からの照明光は、挿入部2の先端部に設けられた図示しない照明レンズを介して被写体に照射されるようになっている。
【0025】
また、照明部12は、制御部11に制御されて、通常発光とストロボ発光とを切換えるようになっている。また、照明部12は、後述する音声処理プロセッサ部15によって発光制御信号が与えられ、発光制御信号に基づいて、ストロボ発光時の発光周期が制御されるようになっている。
【0026】
ワイヤレス内視鏡1には、挿入部2の先端部に、撮像部13が設けられている。撮像部13は、図示しないCCDやCMOSセンサ等の撮像素子を有しており、被写体からの反射光が図示しない観察レンズを介して撮像面に入射するようになっている。撮像部13は、撮像面に入射した被写体光学像を光電変換して撮像画像を得る。画像処理及び制御部11は、撮像部13を駆動すると共に、撮像部13からの撮像画像が与えられて、所定の画像信号処理を施した後、無線部14に出力する。
【0027】
第2の無線送信部としての無線部14は、例えば、Wi-Fi等の所定の無線規格を採用した通信回路によって構成される。無線部14は、画像処理及び制御部11からの撮像画像を変調した後、無線送信する。無線部14からの送信信号は、無線部8によって受信されてビデオプロセッサ5に供給されるようになっている。また、無線部14は、ビデオプロセッサ5から無線部8を介して送信された各種制御信号等を受信して、画像処理及び制御部11に与えるようになっている。
【0028】
ワイヤレス内視鏡1には、バッテリ18が設けられている。バッテリ18は所定の電力を発生して電源部19に供給する。電源部19は、バッテリ18からの電力によって、ワイヤレス内視鏡1の各部で用いる電源電圧を発生する電源回路によって構成することができる。電源部19は、画像処理及び制御部11に制御されて、発生した電源電圧をワイヤレス内視鏡1の各部に供給するようになっている(図示略)。
【0029】
本実施の形態においては、画像処理及び制御部11は、着脱自在のマイクユニット4が操作面3aに取り付けられた場合、あるいは、マイクユニット4から所定レベル以上の音声が供給された場合にのみ、照明部12をストロボ発光させるようになっている。
【0030】
例えば、画像処理及び制御部11は、無線部16と無線部44との無線が確立したことによって、マイクユニット4が操作面3aに取り付けられたものと判定して、照明部12にストロボ発光を開始するように制御してもよい。また、画像処理及び制御部11は、無線部16が受信した音声の受信レベルを所定の閾値と比較することで、閾値を超える音声受信レベルがあった場合にマイクユニット4から十分なレベルの音声が出力されたものと判定して、照明部12にストロボ発光を開始するように制御してもよい。
【0031】
無線部16が受信した音声は、音声処理プロセッサ部15にも供給される。音声処理部としての音声処理プロセッサ部15は、CPUやFPGA等を用いたプロセッサによって構成されていてもよく、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作して各部を制御するものであってもよいし、ハードウェアの電子回路で機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。音声処理プロセッサ部15は、入力された音声に対する音声解析によって、音声周波数を求め、求めた音声周波数に基づく発光制御信号を発生して照明部12に出力する。照明部12は、発光制御信号に基づく周期でストロボ発光する。
【0032】
音声処理プロセッサ部15は、ストロボ観察のために必要な回路部である。そこで、本実施の形態においては、低消費電力化のために、画像処理及び制御部11は、無線部16において無線部44との無線が確立している期間又は無線部において閾値を超える音声受信レベルがあった期間をストロボ観察期間に設定し、この期間にのみ音声処理プロセッサ部15に電源電圧を供給させるように制御してもよい。
【0033】
次に、このように構成された実施形態の動作について図4及び図5を参照して説明する。図4は実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。また、図5は実施の形態におけるストロボ観察の様子を説明するための説明図である。
【0034】
図5に示すように、声帯観察においては、先ず、ワイヤレス内視鏡1の挿入部2を、被検者25の口25aから、挿入部2の先端が声帯観察可能な位置に到達するまで挿入する。この挿入に際して、挿入時の状態を観察可能なように、通常光による通常光観察を行う(図4のステップS1)。即ち、画像処理及び制御部11は、照明部12を制御して、通常光を発光させる(ステップS2)。
【0035】
撮像部13は、照明部12により照明された被検者25からの戻り光を光電変換して撮像画像を画像処理及び制御部11に出力する。画像処理及び制御部11は、撮像画像に対して所定の画像信号処理を施した後、無線部14を介してビデオプロセッサ5に送信する。ビデオプロセッサ5は、撮像画像に基づく画像を生成してモニタ6に出力する。こうして、モニタ6の表示画面上において、挿入時の撮像画像が表示される。
【0036】
術者は、挿入部2を声帯観察可能な位置まで挿入すると、マイクユニット4を操作面3aに装着する。なお、図5では、破線によってマイクユニット4が装着される位置を示している。画像処理及び制御部11は、ステップS3において、マイクユニット4が装着されたか否かを判定する。マイクユニット4が装着されると、無線部44と無線部16との間の無線通信が確立する。無線通信が確立したことを示す情報は、画像処理及び制御部11に与えられる。これにより、画像処理及び制御部11は、マイクユニット4が操作面3aに装着されたものと判定して、処理をステップS3からステップS4に移行する。ステップS4~S8はストロボ観察期間の処理を示しており、画像処理及び制御部11は、音声処理プロセッサ部15への電源部19からの電源電圧の供給を開始して音声処理プロセッサ部15を起動する(ステップS4)。制御部11は、照明部12にストロボ発光を開始させる(ステップS5)。
【0037】
一方、マイクユニット4は、マイクセンサ42によって被検者25の音声を収音する(ステップS6)。マイクセンサ42からの音声は、音声変調部43によって変調され、無線部44に供給される。無線部44は、音声を無線送信する。ワイヤレス内視鏡1の無線部16は、無線部44から送信された音声を受信し、バス20を介して音声処理プロセッサ部15に供給する。音声処理プロセッサ部15は、入力された音声から音声周波数を求める。音声処理プロセッサ部15は、求めた音声周波数に基づいて、この音声周波数近傍の周波数でストロボ発光させるための発光制御信号を発生して照明部12に供給する(ステップS7)。照明部12は、発光制御信号に基づく発光周波数でストロボ発光する(ステップS8)。
【0038】
こうして、ストロボ発光された照明によって声帯が照明される。撮像部13は、ストロボ発光の声帯からの戻り光を光電変換して撮像画像を画像処理及び制御部11に出力する。画像処理及び制御部11は、撮像画像に対して所定の画像信号処理を施した後、無線部14を介してビデオプロセッサ5に送信する。ビデオプロセッサ5は、撮像画像に基づく画像を生成してモニタ6に出力する。こうして、モニタ6の表示画面上において、声帯がゆっくり振動する画像が表示されて、ストロボ観察が可能となる。ステップS6~S8の処理は、ステップS9においてマイクユニット4が取り外されたことが検出されるまで繰り返される。
【0039】
術者は、ストロボ観察を終了させるために、マイクユニット4を取り外す。画像処理及び制御部11は、ステップS9においてマイク装着の有無を判定している。マイクユニット4の無線部44と無線部16との距離が離れることによって、両者の間の無線通信が解除される。画像処理及び制御部11は、無線部16の出力によって、無線通信が解除されたこと、即ち、マイクユニット4が取り外されたことを検出する。そうすると、画像処理及び制御部11は、照明部12を制御して通常発光制御を行い、ストロボ観察期間を終了させる(ステップS10)。画像処理及び制御部11は、ステップS11において、音声処理プロセッサ部15に対する電源供給を停止させて、音声処理プロセッサ部15の動作を停止させる。こうして、通常光観察に復帰する。
【0040】
なお、図4のフローでは、マイクユニット4の着脱による無線通信の確立又は解除を判定することで、ストロボ観察期間と通常光観察期間との切換えを行ったが、マイクユニット4を装着した状態のまま、ストロボ観察期間と通常光観察期間との切換えを行ってもよい。例えば、制御部11は、マイクユニット4からワイヤレス内視鏡1に供給される音声レベルが所定の閾値を超えたことによってストロボ発光を開始し、音声レベルが所定の閾値未満になると通常光観察に戻すようにしてもよい。
【0041】
(第2の実施の形態)
図6は本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。図6において図1と同一の構成要素には同一符号を付して説明を省略する。本実施の形態は、バッテリを備えていないマイクユニットを採用した場合において、その電力管理を可能にするものである。
【0042】
マイクユニット40は、バッテリ45に代えて受電部46を有する点が図1のマイクユニット4と異なる。また、ワイヤレス内視鏡10は、送電部21を付加した点が図1のワイヤレス内視鏡1と異なる。送電部21は、画像処理及び制御部11に制御されて、電源部19からの電力をマイクユニット40に送電する。受電部46は、送電部21から送電された電力を受電する。例えば、送電部21及び受電部46をコイルにより構成し、電磁結合させることで、電力の伝送が可能である。受電部46は、送電部21に近接することで、送電部21から電力の供給を受けることができる。受電部46は、受電した電力によって、マイクユニット40内の各部において使用する電源電圧を発生するようになっている。
【0043】
本実施の形態においては、送電部21は、受電部46に電力を供給しているか否かを検知することができるようになっている。例えば、送電部21は、受電部46に電力を供給していることを検知した場合には、検知信号を画像処理及び制御部11に出力するようになっている。画像処理及び制御部11は、送電部21からの検知信号によってストロボ観察期間を設定するようになっている。なお、画像処理及び制御部11は、送電部21による電力消費量が所定の基準値を超えた場合に、ストロボ観察期間を設定するようになっていてもよい。例えば、マイクユニット40において所定レベル以上の音声を送信するために電力消費が増大した場合等を検出して、ストロボ観察期間を設定することも可能である。
【0044】
なお、画像処理及び制御部11は、電源部19からの情報に基づいて、送電部21の電力消費量を監視することで、ストロボ観察期間を設定するようになっていてもよい。
【0045】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図7を参照して説明する。図7は実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。図7において図4と同一の手順には同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
本実施の形態においては、図7のステップS3において、送電部21と受電部46との電磁結合の有無の判定によってマイクユニット40の装着が検出される。画像処理及び制御部11は、送電部21と受電部46の電磁結合を検出すると、マイクユニット40が操作面3aに装着されたものと判定して、処理をステップS3からステップS4に移行する。
【0047】
画像処理及び制御部11は、音声処理プロセッサ部15への電源部19からの電源電圧の供給を開始して音声処理プロセッサ部15を起動する。画像処理及び制御部11は、ステップS5においてストロボ発光を開始させる。更に、画像処理及び制御部11は、送電部21によりマイクユニット40への送電を開始させて、マイクユニット40を起動する(ステップS21)。マイクユニット40は、受電部46が電力の供給を受けることによって動作可能となり、マイクセンサ42は、制御部41に制御されて、被検者の音声を収音する(ステップS6)。こうして、本実施の形態においても、ストロボ観察が可能となる。
【0048】
本実施の形態においては、図7のステップS9において、送電部21と受電部46との電磁結合が解消されたことの判定によってマイクユニット40が取り外されたことが検出される。画像処理及び制御部11は、マイクユニット40が取り外されたことを検出すると、ステップS10において通常発光制御を行った後、ステップS22において、マイクユニット40への送電を停止させる。なお、受電部46と送電部21とが離間することによって、自動的に送電が停止されることもある。画像処理及び制御部11は、ステップS11において、音声処理プロセッサ部15に対する電源供給を停止させて、音声処理プロセッサ部15の動作を停止させる。
【0049】
このように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態においては、内視鏡プロセッサからマイクユニットに電力を供給する場合において、マイクユニットを使用する場合にのみマイクユニットに電力を供給するようになっており、電力消費が増大することを抑制することができる。
【0050】
上記実施の形態においては、送電部からマイクユニットへの電力供給を監視することで、ストロボ観察期間を設定する例について説明したが、マイクユニットが電力供給を受けて動作を開始した後、所定レベルよりも大きい音声を受信したことによって、ストロボ観察期間を設定するようになっていてもよい。
【0051】
なお、上記各実施の形態においては、ストロボ観察期間と、照明部にストロボ発光を行う期間と、音声処理プロセッサを起動する期間と、マイクユニットに電力を供給する期間とは、必ずしも一致するものではない。
【0052】
また、明細書中で説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、プログラムで設定可能であることが多く、記録媒体や記録部に収められる場合もある。この記録媒体、記録部への記録の仕方は、製品出荷時に記録してもよく、配布された記録媒体を利用してもよく、インターネットを介してダウンロードしたものでもよい。
【0053】
また、フローチャート中の各ステップは、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実行し、あるいは実行毎に異なった順序で実行してもよい。
【0054】
なお、実施形態中で、「部」として記載した部分は、専用の回路や、複数の汎用の回路を組み合わせて構成してもよく、必要に応じて、予めプログラムされたソフトウェアに従って動作を行うマイコン、CPUなどのプロセッサ、あるいはFPGAなどシーケンサを組み合わせて構成されてもよい。
【0055】
本発明は、上記各実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7