(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-12
(45)【発行日】2022-08-22
(54)【発明の名称】航空機用電気推進システム及び航空機
(51)【国際特許分類】
B64D 27/24 20060101AFI20220815BHJP
B64D 29/06 20060101ALI20220815BHJP
F04D 29/32 20060101ALI20220815BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20220815BHJP
H02K 1/2783 20220101ALI20220815BHJP
【FI】
B64D27/24
B64D29/06
F04D29/32 E
H02K7/14 A
H02K1/2783
(21)【出願番号】P 2021568740
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 CA2020050662
(87)【国際公開番号】W WO2020227837
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-01-12
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521502654
【氏名又は名称】デュクシオン モーターズ インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】シャイフ ファズル ラビ
(72)【発明者】
【氏名】リック ラルフ ピルグリム
(72)【発明者】
【氏名】カイル ルーベン ジェンジ
(72)【発明者】
【氏名】トレバー フォワード
(72)【発明者】
【氏名】アダム キーティング
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ロバート ローパー
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0345501(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0287437(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0121073(US,A1)
【文献】特開2008-138680(JP,A)
【文献】特表2016-532044(JP,A)
【文献】米国特許第03589617(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0093668(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 27/24
B64D 29/06
F01D 5/03
F02C 7/268
F04D 29/32
H02K 7/14
H02K 1/2783
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用の電気推進システムであって、
ナセルの入口端からナセルの出口端までの一次空気流路を画定する航空機のナセルと、
電気機械であって、
前記ナセル内に配置され、1つ以上のステータ巻線を含むステータと、
前記一次流路内に配置されたロータ及びファン組立体と
を含む電気機械と
を含み、前記ロータ及びファン組立体は、
第1の端部と、第2の端部と、内側面と、外側面とを有する円筒形ファンシュラウドと、
前記ファンシュラウドの外側面に直接配置され、前記1つ以上のステータ巻線と同心の複数のロータ磁石と、
前記ファンシュラウドの内部に同軸に配置されたファンハブであって、第1の端部と、第2の端部と、内側面と、外側面と、ファン回転軸とを有し、1つ以上の軸受を介して中央支持軸に取り付けられているファンハブと、
前記ファンシュラウドと前記ファンハブとの間に延
びる複数のファンブレードと
を含むシステム。
【請求項2】
前記複数のロータ磁石は、前記ロータ及びファン組立体が静止しているときに半径方向に圧縮荷重をかけられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ロータ及びファン組立体は、前記複数のロータ磁石を前記円筒形ファンシュラウドに固定するためのスリーブをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記スリーブは、前記複数のロータ磁石に圧縮荷重を加える圧縮スリーブである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
各ファンブレードの外端が、前記ファンシュラウドの内側面に直接固定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数のファンブレードは、前記ロータ及びファン組立体が静止しているときに半径方向にプレストレスが与えられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
各ファンブレードの内端がファンブレードベースを有し、各ファンブレードベースと前記ファンハブとの間に配置された少なくとも1つのナットをさらに含み、前記少なくとも1つのナットはそのファンブレードに半径方向の圧縮荷重を加える、請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
各ファンブレードベースは、突出する特徴部を前記ファンブレードベースの一方の側に有し、隣接するファンブレードベースの突出する特徴部を受け入れるための相補的な凹部を前記ファンブレードベースの反対側に有する、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のロータ磁石はハルバッハ配列で配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上のステータ巻線は多相フォールトトレラント巻線を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記多相巻線は少なくとも三相を含む、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ナセルに対する前記ロータ及びファン組立体の回転から生じる円周方向空気流の軸方向空気流への方向転換を促進するために、前記電気機械の下流の前記一次空気流路に配置された複数のガイドベーンをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数のガイドベーンは前記中央支持軸のための構造的支持を提供する、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ステータはステータ内径及びステータ軸方向長さを有し、前記ステータ内径は前記ステータ軸方向長さよりも少なくとも4倍大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記ステータ内径は前記ステータ軸方向長さよりも少なくとも10倍大きいか前記ステータ軸方向長さよりも少なくとも20倍大きい、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記ステータは内径を有し、前記ステータを収容するためのステータエンクロージャをさらに含み、前記ステータエンクロージャは、
前記ステータの周りに同心円状に配置された環状ケーシングであって、第1の端部と、第2の端部と、内側面と、外側面と、ケーシング径とを有する環状ケーシングと、
前記環状ケーシングの第1の端部に連結された前方ステータ面板であって、前記ステータの内径と概ね位置合わせされた内径を有する前方ステータ面板と、
前記環状ケーシングの第2の端部に連結された後方ステータ面板であって、前記ステータの内径と概ね位置合わせされた内径を有する後方ステータ面板と
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記1つ以上のステータ巻線のためのパワーエレクトロニクスが前記環状ケーシングに連結されている、請求項
16に記載のシステム。
【請求項18】
前記環状ケーシングと、前記前方ステータ面板と前記後方ステータ面板のうちの少なくとも一方とが一体的に形成される、請求項
16に記載のシステム。
【請求項19】
前記前方ステータ面板の前面に複数の冷却フィンが設けられている、請求項
16に記載のシステム。
【請求項20】
前記ステータエンクロージャの周りに配置された複数の凝縮器をさらに含む、請求項
16に記載のシステム。
【請求項21】
複数の空気流ダクトをさらに含み、前記空気流ダクトのそれぞれが前記複数の凝縮器の1つの上流端に空気を向けるように配置される、請求項
20に記載のシステム。
【請求項22】
前記複数の凝縮器及び前記1つ以上のステータ巻線の少なくとも1つと熱的に連通するヒートパイプをさらに含む、請求項
20に記載のシステム。
【請求項23】
前記ロータ及びファン組立体はロータ冷却システムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記ロータ冷却システムは、前記複数のロータ磁石のそれぞれと熱的に連通する少なくとも1つのロータヒートパイプを含
む、請求項
23に記載のシステム。
【請求項25】
前記ロータ及びファン組立体は、前記ファンハブの第1の端部に連結されたノーズコーンをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記ロータ及びファン組立体の下流に配置されたハブフェアリングをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記ハブフェアリングに連結されたリニアアクチュエータをさらに含み、前記ハブフェアリングは、前記ハブフェアリングの少なくとも一部が前記ナセルの出口ノズル内に配置される伸長位置と、前記ハブフェアリングが前記ファンハブに近接する収縮位置との間で選択的に移動され得る、請求項
26に記載のシステム。
【請求項28】
航空機であって、
ナセルの入口端からナセルの出口端までの一次空気流路を画定するナセルと、
電気機械であって、
前記ナセル内に配置され、1つ以上のステータ巻線を含むステータと、
前記一次流路内に配置されたロータ及びファン組立体と
を含む電気機械と
を含み、前記ロータ及びファン組立体は、
第1の端部と、第2の端部と、内側面と、外側面とを有する円筒形ファンシュラウドと、
前記ファンシュラウドの外側面に直接配置され、前記1つ以上のステータ巻線と同心の複数のロータ磁石と、
前記ファンシュラウドの内部に同軸に配置されたファンハブであって、第1の端部と、第2の端部と、内側面と、外側面と、ファン回転軸とを有し、1つ以上の軸受を介して中央支持軸に取り付けられているファンハブと、
前記ファンシュラウドと前記ファンハブとの間に延
びる複数のファンブレードと
を含む航空機。
【請求項29】
動作中の前記ナセルは、前記一次空気流路からの空気が前記ステータに接触するのを実質的に制限する、請求項
16に記載のシステム。
【請求項30】
前記円筒形ファンシュラウドは、実質的に一定の半径方向の厚さを有するワンピースの円筒形ファンシュラウドを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
前記円筒形ファンシュラウドは、実質的に一定の半径方向の厚さを有するワンピースの円筒形ファンシュラウドを含む、請求項28に記載の航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として航空機用の推進システムに関し、より具体的には航空機用の直接駆動電気ダクテッドファン推進システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の航空機用推進システムは、回転軸を介してトルクを伝達し、推進ファンを駆動して航空機を推進するモータを含む。回転軸は通常、モータの内部に収容されるか、又はモータに直接連結される。
【0003】
ダクテッドファン推進システムの場合、モータは通常、ダクト内に配置され、ファンと同軸である(例えばファンの下流)。ファンブレードは、ファンを駆動するモータシャフトに接続された中央ハブに取り付けられる。より高い推力を得るために、より高い電力定格を有するモータを使用することができる。しかしながら、より高い電力定格を有するモータはより大きい外径を有する傾向があり、より大きい外径はモータがダクト内に位置する場合に推進効率を低下させる。例えば、より大きなモータ直径は、一定のナセル直径に対するファンの最適ハブ/チップ比を超える可能性がある。
【0004】
モータがファンブレードの下流に位置することによる効率損失を補償するために、ファンブレードの長さを増加させて、必要なレベルの推力を生成することができる。しかしながら、より大きなモータ及びより大きなファンブレードは、推進システムの重量を大幅に増加させる可能性がある。さらに、推進システムのサイズと重量が増加すると、システムの推力重量比は一般に低下する。また、そのようなシステムは振動が著しく増加する可能性があり、振動が著しく増加すると、より頻繁なメンテナンスが必要となり、機械的故障に対する脆弱性が増大し、かつ/又はより高いレベルの可聴騒音が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の概論は、より詳細な説明を読者に紹介するために提供される。概論は、請求項に記載されている発明又は請求項に記載されていない発明を限定又は定義することを意図していない。1以上の発明が、特許請求の範囲及び図面を含む本明細書のいずれかの部分に開示された要素又はプロセスステップのあらゆる組み合わせ又は部分的な組み合わせで存在することができる。
【0006】
本明細書に開示される電気航空機推進システムでは、ダクテッドファンブレードが電気機械に組み込まれる。一般に、回転するファンブレードは、電気機械のロータ組立体の一部を形成する。駆動されるモータシャフトに対する要件を取り除くことによって、本明細書に開示される電気推進システムは、電気機械を通る一次空気の流れを可能にする。これにより、推進効率を高めることができる。
【0007】
また、開示される電気推進システムのトポロジーは、電気機械がその直径と軸方向長さとの間に比較的高いアスペクト比を有することができる可能性がある。これにより、電気機械は、1組の多相多極ステータ巻線を収容できる可能性がある。追加的に又は代替的に、高アスペクト比は、ヨーク又はステータの歯で磁気飽和に達することなく、より高い出力電力を提供するように電気機械をスケーラブルにすることができる。追加的に又は代替的に、高アスペクト比は、ロータ組立体の重量及び/又は回転慣性を低減することができる。
【0008】
本明細書に開示されるシステムでは、推進ファンブレードは、内側ハブと外側シュラウドの両方に固定され、ハブ、ファンブレード、及びシュラウドは、電気機械用のロータ及びファン組立体の一部を形成する。高速運転中に予測される遠心力及び/又はフープ応力の少なくとも一部を相殺するために、ロータ及びファン組立体の少なくとも一部の構成要素は、ロータ及びファン組立体が静止しているときに少なくとも一部の構成要素が圧縮下にあるように、それらの製造及び/又は組み立て中に(例えば、半径方向に)好ましくは予荷重をかけられる。例えば、シュラウドの外側面に配置されたロータ磁石、シュラウド、及び/又はファンブレードは、圧縮予荷重をかけられる。ロータ及びファン組立体の構成要素に予荷重をかけることによって、ロータ及びファン組立体の回転中に発生する遠心力の一部は、予圧縮応力を緩和することによって効果的に「相殺」され得るので、高速動作中のロータ及びファン組立体にかかる正味の引張応力が小さくなる。
【0009】
本開示の1つの広範な態様によれば、航空機用の電気推進システムが提供され、このシステムは、ナセルの入口端からナセルの出口端までの一次空気流路を画定するナセルと、電気機械であって、ナセル内に配置され、1つ以上のステータ巻線を含むステータと、一次流路内に配置されたロータ及びファン組立体とを含む電気機械とを含み、ロータ及びファン組立体は、第1の端部と、第2の端部と、内側面と、外側面とを有する円筒形ファンシュラウドと、ファンシュラウドの外側面に配置され、1つ以上のステータ巻線と同心の複数のロータ磁石と、ファンシュラウドの内部に同軸に配置されたファンハブであって、ファンハブは、第1の端部と、第2の端部と、内側面と、外側面と、ファン回転軸とを有し、1つ以上の軸受を介して中央支持軸に取り付けられているファンハブと、ファンシュラウドの内側面とファンハブの外側面との間に延びる複数のファンブレードとを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、複数のロータ磁石は、ロータ及びファン組立体が静止しているときに半径方向にプレストレスが与えられる。
【0011】
いくつかの実施形態では、ロータ及びファン組立体は、複数のロータ磁石を円筒形ファンシュラウドに固定するためのスリーブをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、スリーブは、複数のロータ磁石に圧縮荷重を加える圧縮スリーブである。
【0013】
いくつかの実施形態では、各ファンブレードの外端が、ファンシュラウドの内側面に直接固定される。
【0014】
いくつかの実施形態では、各ファンブレードの外端は、ダブテールジョイントによってファンシュラウドの内側面に固定される。
【0015】
いくつかの実施形態において、複数のファンブレードは、ロータ及びファン組立体が静止しているときに半径方向に圧縮荷重をかけられる。
【0016】
いくつかの実施形態では、各ファンブレードの内端がファンブレードベースを有し、各ファンブレードベースとファンハブとの間に配置された少なくとも1つのナットをさらに含み、少なくとも1つのナットはそのファンブレードに半径方向に圧縮荷重を加える。
【0017】
いくつかの実施形態では、各ファンブレードベースは、突出する特徴部をファンブレードベースの一方の側に有し、隣接するファンブレードベースの突出する特徴部を受け入れるための相補的な凹部をファンブレードベースの反対側に有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、複数のロータ磁石はハルバッハ配列で配置される。
【0019】
いくつかの実施形態では、1つ以上のステータ巻線は多相フォールトトレラント巻線を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、多相巻線は少なくとも三相を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、システムは、ナセルに対するロータ及びファン組立体の回転から生じる円周方向空気流の軸方向空気流への方向転換を促進するために、電気機械の下流の一次空気流路に配置された複数のガイドベーンをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、複数のガイドベーンは中心支持軸のための構造的支持を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、ステータはステータ内径及びステータ軸方向長さを有し、ステータ内径はステータ軸方向長さよりも少なくとも4倍、少なくとも20倍又は少なくとも20倍大きい。
【0024】
いくつかの実施形態では、ステータは内径を有し、ステータを収容するためのステータエンクロージャをさらに含み、ステータエンクロージャは、ステータの周りに同心円状に配置された環状ケーシングであって、第1の端部と、第2の端部と、内側面と、外側面と、ケーシング径とを有する環状ケーシングと、前記環状ケーシングの第1の端部に連結された前方ステータ面板であって、ステータの内径と概ね位置合わせされた内径を有する前方ステータ面板と、環状ケーシングの第2の端部に連結された後方ステータ面板であって、ステータの内径と概ね位置合わせされた内径を有する後方ステータ面板とを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、1つ以上のステータ巻線のためのパワーエレクトロニクスが環状ケーシングに連結されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、環状ケーシングと、前方ステータ面板と後方ステータ面板のうちの少なくとも一方とが一体的に形成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、前方ステータ面板の前面に複数の冷却フィンが設けられている。
【0028】
いくつかの実施形態では、システムは、ステータエンクロージャの周りに配置された複数の凝縮器をさらに含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、システムは、複数の空気流ダクトをさらに含み、空気流ダクトのそれぞれが複数の凝縮器の1つの上流端に空気を向けるように配置される。
【0030】
いくつかの実施形態では、システムは、複数の凝縮器及び1つ以上のステータ巻線の少なくとも1つと熱的に連通するヒートパイプをさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、ロータ及びファン組立体はロータ冷却システムをさらに含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、ロータ冷却システムは、複数のロータ磁石のそれぞれと熱的に連通する少なくとも1つのロータヒートパイプを含み、各ロータヒートパイプは、そのロータ磁石と周囲空気との間の温度差に応じてそのロータヒートパイプ内の流体の振動運動を促進するように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、円筒形ファンシュラウドは軸方向シュラウド長さを有し、複数のファンブレードは軸方向ブレード長さを有し、軸方向シュラウド長さは軸方向ブレード長さの105%以下である。
【0034】
いくつかの実施形態では、ロータとファン組立体は、ファンハブの第1の端部に連結されたノーズコーンをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、システムは、ロータ及びファン組立体の下流に配置されたハブフェアリングをさらに含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、システムは、ハブフェアリングに連結されたリニアアクチュエータをさらに含み、ハブフェアリングは、ハブフェアリングの少なくとも一部がナセルの出口ノズル内に配置される伸長位置と、ハブフェアリングがファンハブに近接する収縮位置との間で選択的に移動され得る。
【0037】
本開示の別の広範な態様によれば、本明細書に開示されるような電気推進システムを含む航空機が提供される。
【0038】
本明細書に開示される方法又は装置は本明細書に含まれる特徴のいずれか1つ以上を具現化でき、それらの特徴はあらゆる特定の組み合わせ又は部分的な組み合わせで使用できることが、当業者には理解されるであろう。
【0039】
様々な実施形態のこれら及び他の態様及び特徴を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
記載された実施形態をよりよく理解し、それらがどのように実施され得るかをより明確に示すために、ここで例として添付の図面を参照する。
【0041】
【
図1】一実施形態による航空機用の電気推進システムの斜視図である。
【0042】
【
図2】
図1の電気推進システムの別の斜視図である。
【0043】
【
図3】
図1の電気推進システムの部分的に分解された部分断面図である。
【0044】
【0045】
【
図5】
図1の電気推進システムの斜視断面図である。
【0046】
【
図6】
図1の電気推進システムの回転ファン組立体の斜視図である。
【0047】
【
図7】
図6の回転ファン組立体の部分的に分解された斜視図である。
【0048】
【
図8A】
図6の回転ファン組立体のファンブレードと中央ハブとの間の接続の斜視図である。
【0049】
【
図8B】
図8Aの中央ハブ及びファンブレードの端面図である。
【0050】
【
図9】航空機用の電気推進システムの回転ファン及び静的ガイドベーン組立体の気流挙動のモデルである。
【0051】
【
図10】
図1の電気推進システムのステータエンクロージャの斜視図である。
【0052】
【
図11】凝縮器全体に空気流を向けるための埋め込みダクトと共に、
図10のステータエンクロージャの部分的に分解された斜視図である。
【0053】
【
図12】
図1の電気推進システムの永久磁石モータの斜視部分断面図である。
【0054】
【
図13】一実施形態による埋め込みダクトの斜視図である。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【
図17】一実施形態によるステータ冷却システムの斜視図である。
【0059】
【
図18】
図17のステータ冷却システムの一部の斜視図である。
【0060】
【
図19】別の実施形態によるステータ冷却システムの斜視図である。
【0061】
【0062】
【
図21】
図19のステータ冷却システムの一部の斜視図である。
【0063】
【
図22】別の実施形態によるステータ冷却システムの斜視図である。
【0064】
【
図23】明瞭にするためにジャケットの一部を取り除いた、
図22のステータ冷却システムの別の斜視図である。
【0065】
【
図24】一実施形態によるロータ冷却システムの斜視図である。
【0066】
【0067】
【
図26】電気推進システムのための例示的な取り付け位置を示す航空機の斜視図である。
【0068】
【
図27】ハブフェアリングが収縮位置にある、別の実施形態による航空機用の電気推進システムの斜視断面図である。
【0069】
【
図28】ハブフェアリングが伸長位置にある、
図27の電気推進システムの別の斜視断面図である。
【0070】
【
図29】別の実施形態によるファンハブ及びファンブレード組立体の部分的に分解された斜視図である。
【0071】
【
図30】
図29のファンハブ及びファンブレード端部の斜視端面図である。
【0072】
【
図31】
図29の実施形態のウェッジリングの斜視前端図である。
【0073】
【0074】
本明細書に含まれる図面は、本明細書の教示の物品、方法、及び装置の様々な例を説明するためのものであり、決して教示される範囲を限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0075】
それぞれの請求項に係る発明の実施形態の例を提供するために、様々な装置、方法及び構成を以下で説明する。以下で説明する実施形態は、請求項に係る発明を限定するものではなく、請求項に係る発明は、以下で説明するものと異なる装置及び方法を対象とすることができる。請求項に係る発明は、以下で説明するいずれか1つの装置、方法又は組成物のすべての特徴を有する装置、方法及び組成物、又は以下で説明する複数又はすべての装置、方法又は組成物に共通する特徴に限定されない。以下で説明する装置、方法又は組成物は、請求項に係る発明の実施形態ではない可能性がある。以下で説明する装置、方法又は組成物において開示された発明であって、本明細書で特許請求されていないものは、他の保護手段、例えば、継続する特許出願の主題とすることができ、出願人、発明者及び/又は所有者は、本明細書における開示によって、そのような発明を放棄、権利不要求、又は公共の用に供することを意図していない。
【0076】
また、説明を簡単かつ明確にするために、適切であると考えられる場合には、対応する又は類似する要素を示すのに図の間で符号を繰り返すことができることが理解されるであろう。さらに、本明細書に記載される例示的な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本明細書に記載される例示的な実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には理解されるであろう。他の例では、周知の方法、手順及び構成要素は、本明細書に記載される例示的な実施形態を不明瞭にしないように詳細には記載されていない。また、この説明は、本明細書に記載される例示的な実施形態の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0077】
本明細書に開示される装置及び方法は、固定翼航空機に関連して固定翼航空機での使用において具体的に説明されているが、装置及び方法は代替的に、他のタイプの航空機及び/又は他のタイプの乗り物(例えば、ホバークラフト、ヘリコプタ、ハイパーループポッド)と共に使用され得ることが理解されるであろう。装置及び方法は、(例えば、ヘリコプタテールローターとして、垂直離着陸機(VTOL)の用途で、及び/又は非垂直離着陸機用の非常ブレーキとして、例えば、ヘリコプタにおける自動回転と同様に)非プライマリ推力を提供するために使用され得ることも理解されるであろう。装置及び方法は代替的に、他の用途(例えば、軸流圧縮機、換気ファン)で使用され得ることも理解されるであろう。
【0078】
図1から
図5は、全体として1000と表現される、航空機用の電気推進システムの例示的な実施形態を示す。
図1及び
図2を参照すると、電気推進システム1000は、ナセル100内に配置された電気機械を含む。電気機械は、ナセルに取り付けられたステータと、ステータによって駆動できるロータ及びファン組立体とを含む。電力を1つ以上のステータ巻線に供給して、ロータ及びファン組立体の回転を引き起こすことができる。回転すると、ロータ及びファン組立体内のファンブレードがナセルを通る空気流を促進し、それによって機械的な推力を生成する。したがって、電気推進システム1000は、ダクテッド軸流ファン推進システムとして特徴付けられ得る。また、ファンブレードの周りに配置されたステータからロータ及びファン組立体にトルクが加えられるので、電気推進システム1000は、追加的に又は代替的にリム駆動推進システムとして特徴付けられ得る。
【0079】
ナセル100は、電気機械のための空気力学的エンクロージャを提供する。例えば、ナセル100は、空力抵抗を低減するための飛行面として機能することができる。図示の例では、ナセル100は、ステータエンクロージャ(以下でさらに説明する)上に空気流を向けることによってステータから熱を放散するのに役立つ任意選択の冷却ダクト500を含む。例えば、入口空気は、ナセル100の前端102に配置された1つ以上の冷却ダクト500を通って導かれ、出口空気は、ナセル100の後端104の近くに配置された出口194で排出され得る。
【0080】
ナセル100の一部又は全部は、繊維強化熱可塑性樹脂などの複合材料から形成することができる。このような材料の使用は、ナセルの重量の低減及び/又はナセル100の構造性能の向上をもたらす。
【0081】
図3から
図5を参照すると、電気推進システム1000は、一次空気入口112から一次空気出口114までナセル100を通って延びる一次空気流路160を取り囲む、全体として200と表現されるステータを含む。空気流路160を画定するナセル100の内側輪郭120は、機械的な推力の生成をサポートするように構成することができる。例えば、出口114に隣接して設けられたナセル100の後部124(出口ノズル124として特徴付けられ得る)は、冷却システムを出る空気流のためのディフューザノズルとして機能し、一次空気流路160を出る空気流との混合を補助することができる。
【0082】
ステータ200の内部に配置されているのは、ステータ200によって軸105を中心に回転するように構成された、全体として300と表現されるロータ及びファン組立体である。ロータ及びファン組立体300のハブ310(ファンハブ310と呼ばれ得る)は、1つ以上の軸受307を介して中央支持軸150に取り付けられる。図示の例では、中央支持軸150は、電気機械ロータ及びファン組立体300の下流に配置された非回転ガイドベーン組立体400の中央ハブ405から延びる。
【0083】
ガイドベーン組立体400は、ハブ405からナセル100まで延びる複数の空気力学的なガイドベーン420を含む。好ましくは、ガイドベーン420は、中央ハブ405に対する構造的支持を提供し、それによって中央支持軸150に対する構造的支持を提供する。言い換えれば、ガイドベーン組立体400は、それを中心にロータ及びファン組立体300が回転する軸及び軸受システムの支持体として機能する。
【0084】
ガイドベーン420は、好ましくは、ナセルに対するロータ及びファン組立体の回転から生じる円周方向空気流の軸方向空気流への方向転換を促進するように構成される。例えば、ガイドベーン420は、回転するロータ及びファン組立体300によって与えられるスワール損失の一部を取り戻し、空気流を真っすぐにしてモータ負荷トルクを低減すると共に全体的な推進効率を高めるように構成することができる。追加的に又は代替的に、ガイドベーン420のスイープ角は、ロータ及びファン組立体300の出口ガス角度がガイドベーン420の入口角と整列し、それによって翼弦を横切る流れをロータ及びファン組立体300の軸方向と整列するまで回転させるように構成することができる。追加的に又は代替的に、ガイドベーン420の半径方向外端428が、ダクテッドファンの下流に生成された円周方向の流れを軸方向の流れに補正するためにナセル100に組み込まれ得る。
【0085】
ガイドベーン420は、炭素繊維強化複合材料などの任意の適切な材料で作ることができる。複合ガイドベーンは、例えば、ガイドベーンの剛性を高めるため及び/又は中央支持軸150に対する追加の構造的支持を提供するために、1つ以上の機械的添加剤を含み得ることが理解されるであろう。
【0086】
1つ以上の軸受307について、当然のことながら、異なる軸受トポロジーを使用することができる。例えば、複列アンギュラ玉軸受は、高いラジアル荷重、スラスト荷重、及び/又は動荷重に耐えながら、低い走行摩擦を提供するために使用することができる。複列アンギュラ玉軸受は、ロータによって与えられる軸受応力を低減する可能性があるミスアライメントに耐えることができるため、高速動作にも適している可能性がある。複列アンギュラ玉軸受はまた、多重軸受システムと同様の荷重応答を提供することもでき、これは有利であると考えられる。いくつかの例では、加圧されたキャピラリーベアリングを使用してロータのバランスをとることができる。いくつかの例では、アクティブ磁気軸受システムを使用して、ロータのバランスをとることができる。
【0087】
任意選択で、軸受307に受動的な冷却を提供するために、ハブ310を通して(例えばノーズコーン390を介して)空気を導くことができる。
【0088】
図6から
図8Bは、例示的なロータ及びファン組立体300を示す。
図7を参照すると、ロータ及びファン組立体300は、円筒形のファンシュラウド340と、ファンハブ310と、ファンシュラウド340とファンハブ310との間に延びる複数のファンブレード320とを含む。
【0089】
図示の例では、各ファンブレード320の半径方向外端328は、ダブテール構造を用いてシュラウド340の内側面346に固定され、各ファンブレード320の外端328から延びる「ピン」329が、シュラウド340のスロット又は「テール」347内に受け入れられる。ブレードがシュラウド340に連結された後にブレードの軸方向の移動を阻止又は防止するために、1つ以上のロックピン(図示せず)を設けることができる。
【0090】
当然のことながら、代替的に、ピン329及びスロット347はファーツリー形状であることができる。
【0091】
図示の例では、各ファンブレード320の半径方向内端326は、ファンブレードベース330を有する。ファンブレードベース330は、ねじ付き座ぐりボルト335などの1つ以上の機械的なファスナを用いてハブ310の外側面318に固定される。
【0092】
図示の例では、各ファンブレードベース330は、突出する特徴部333を一方の側に有し、隣接するファンブレードベース330の突出する特徴部333を受け入れるための相補的な凹部337を反対側に有する。このような構成は、1つ以上の利点を有する可能性がある。例えば、突出部133が、設置プロセス中にファンブレード320を寸法的に位置決めするための滑り面として機能し得る。突出部133はまた、例えば、ロータ及びファン組立体300全体にせん断応力を分散させ、それによって局部的な応力上昇の影響を低減するために、隣接するファンブレード間にいくらかの構造的支持を提供することができる。
【0093】
別個のファンブレード320を設けることは、1つ以上の利点を有する可能性がある。例えば、個別のファンブレード320は、例えば、損傷を受けた場合に、取り外しかつ/又は交換することができる。
【0094】
図示の例では、ロータ及びファン組立体300は、15個のファンブレード320を含む。当然のことながら、1つ以上の代替的な実施形態では、より多くの又はより少ないファンブレード320を設けることができる。
【0095】
ファンブレード320は、亜音速流領域から遷音速流領域で使用するための低圧力比ターボ機械ブレードであり得る。ファンブレード320の後退角のついた翼断面は、ロータ及びファン組立体300の先端速度及び圧力比を最大にするように設計することができる。このような例では、ファンブレード320の翼弦(すなわち、各ブレードの前縁から後縁までの軸方向長さ)は、ロータ及びファン組立体300に安定性及び効率を提供するために十分に広いことができる。ブレード翼弦長とブレード抗力との間にはトレードオフがあることが理解されるであろう。
【0096】
ファンブレード320は、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)又は金属合金(例えば、チタン又はアルミニウム合金)などの任意の適切な材料から作ることができる。
【0097】
図示の例では、ロータ及びファン組立体300はノーズコーン390を含む。好ましくは、ノーズコーン390は、ハブ310と共に回転し、流入する空気の一部を電気推進システム1000に予旋回させる。また、回転しない任意選択のハブフェアリング490も示されている。
【0098】
上述のように、ハブ310は、好ましくは、1つ以上の軸受307を介して中央支持軸150に取り付けられる。好ましくは、軸受307は、ロータの同心性を促進するために、1つ以上のアンギュラコンタクト軸受を含む。
【0099】
任意選択で、ノーズコーン390は、軸受307に受動的な冷却を提供するためにハブ310を通して空気を導くように構成することができる。
【0100】
ロータ及びファン組立体300はまた、ファンシュラウド340の外側面348に配置された複数のロータ磁石350を含む。図示の例では、磁石350は、圧縮スリーブ360を用いて固定される。代替的に、ロータ磁石350は、シュラウド340の外側面に固定され、又はシュラウド340の内部に部分的に又は完全に埋め込まれ得る。
【0101】
ロータ及びファン組立体300は、好ましくは、ステータ200によって比較的高速で回転するように構成される。例えば、ロータ及びファン組立体300は、毎分約7,000回転(RPM)の動作速度及び約8,500RPMの最大速度を有することができる。このような速度では、ファンブレードへの遠心力及び/又はシュラウド340及び磁石スリーブ360へのフープ応力が甚大になるおそれがある。これらの力及び応力は、電気機械が比較的高いアスペクト比(すなわち、ロータ直径とロータの軸方向長さとの比)を有する場合に特に甚大になるおそれがある。例えば、電気推進システム1000の実施形態は、7,000RPMで約290m/sのロータ先端速度、8,500で約350m/sのロータ先端速度を有することができる。
【0102】
遠心力及び/又はフープ応力の少なくとも一部を相殺するために、ロータ磁石350は、ロータ及びファン組立体が静止しているときに半径方向に圧縮荷重をかけられ得る。ロータ磁石350に圧縮予荷重をかけることによって、ロータ磁石の最大引張荷重を増大させることができる。これによりロータ及びファン組立体300の最大引張荷重が増大する可能性があり、それによりロータ組立体の最大回転速度及び/又は電気推進システム1000の推力出力が増大する可能性がある。
【0103】
例えば、磁石350は、典型的には75~80MPaの降伏強度を有するネオジム(NdFeB)磁石であり得る。ロータ磁石350に圧縮予荷重をかけることによって、ロータ及びファン組立体300の回転中に生成されるフープ応力の一部は、引張力が支配的になり、ロータ磁石350の降伏又は破壊を引き起こす前に、スリーブ360から与えられる圧縮力の緩和に向けられ得るので、磁石350に対する安全動作フープ応力が高くなる。言い換えれば、ロータ及びファン組立体300の回転中に発生する遠心力の一部は、予圧縮応力を緩和することによって効果的に「相殺」され得るので、ロータ磁石350にかかる正味の引張応力が小さくなる。
【0104】
より高い最大動作フープ応力の効果は、実質的に、ロータ及びファン組立体300のより高い最大回転速度であり、それにより電気推進システム1000の最大推力出力が増大する可能性がある。
【0105】
圧縮力は、任意の適切な方法で磁石350に加えることができる。例えば、予圧縮応力は、ロータ及びファン組立体300の組み立て中に圧縮スリーブ360を介して加えることができる。圧縮スリーブ360は、代替的に、締まり嵌めスリーブとして特徴付けられ得る。好ましくは、圧縮スリーブ360は、ロータ及びファン組立体が静止しているときに、磁石350にかなりの圧縮力を加える。
【0106】
圧縮スリーブ360は、高い比剛性を有する材料(例えば、炭素繊維強化複合材料、チタン又はアルミニウム合金など)から作られ得る。
【0107】
追加的に又は代替的に、ファンブレード320は、磁石350に外向きの圧縮力を提供するために、ロータ及びファン組立体が静止しているときに半径方向に圧縮荷重をかけられ得る。ファンブレード320に圧縮予荷重をかけることにより、ブレード320及び/又はシュラウド340は、磁石350の内側面に半径方向外向きの力をかけることができ、結果として磁石350に圧縮荷重がもたらされる(磁石は、例えば圧縮スリーブ360を介して適切な位置に保持されるので)。
【0108】
例えば、プレストレスが与えられたファンブレード320は、ロータ磁石350にかかる圧縮力を増大させることができ、それにより、より薄いスリーブ360を使用できる可能性がある。これは、有利なことに電気機械のためのより小さい空隙を促進することができ、電気推進システム1000のトルク/出力密度を増大させることができる。
【0109】
当然のことながら、ファンブレード320は任意の適切な方法を用いて半径方向に圧縮荷重をかけられ得る。
図8A及び
図8Bに示すように、各ファンブレードベース330とハブ310との間に1つ以上のナット331を配置して、ファンブレードに予圧縮応力を加えることができる。例えば、ファスナ335が取り付けられた後、ナット331を回転させてブレード320にプレストレスを与えることができる。代替的に、ナット331は、ファスナ335が(例えば、皿穴装置を介して)締め付けられるときに圧縮荷重を増大させるように構成することができる。
【0110】
代替的に、1つ以上の環状ウェッジをファンブレードとファンハブとの間に配置して、ファンブレードに予圧縮応力を加えることができる。
図29から
図32に示す例では、一対のウェッジリング380が、ダブテール構造を用いてファンブレードベース330と係合するように構成される。
図31及び32からおそらく最もよく分かるように、ウェッジリング380は、概ね円筒形の内側面386とテーパ状の外側面388とを有する。したがって、ウェッジリング380がファンブレードベース330とファンハブ310の外側面318との間に挿入されるとき、ウェッジリングはファンブレード320に外向きの圧縮力をかけることができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、圧縮スリーブ360が磁石350に十分な圧縮力を提供することができ、ブレード320の予圧縮が必要とされないことがある。
【0112】
高速回転中、シュラウド340内の全体的なミーゼス応力(特に半径方向応力)は高くなる可能性がある。したがって、シュラウド340は、好ましくは、ロータの変形を阻止又は防止するために、高い比剛性値を有する材料から作られる。上述のように、各ファンブレード320の半径方向外端328は、シュラウド340の内側面346に固定され得る。ファンブレード320を直接シュラウド340に連結することにより、ロータ及びファン組立体300の全体的な剛性を高めることができ、これは、電気推進システム1000のより大きな動作範囲(例えば、より高速/より良い安全率/より少ないロータ変形)につながる可能性がある。
【0113】
ブレード320の予圧縮が必要とされない実施形態では(例えば、圧縮スリーブ360が磁石350に十分な圧縮力を与える場合)、ファンブレード320は、ロータ及びファン組立体300の変形をさらに低減するために、引張(例えば、シュラウド340をハブ310に向かって半径方向に引っ張ること)又は圧縮(例えば、シュラウド340をハブ310から半径方向に押し出すこと)でプレストレスが与えられ得る。例えば、ナット331は設けられなくてもよく、締結ファスナ335はブレード320にプレストレスを与えてもよい。
【0114】
図示の例では、外側面348と内側面346は、概ね同じプロファイルを有する。言い換えれば、シュラウド340は、実質的に一定の半径方向の厚さを有する。当然のことながら、1つ以上の代替的な実施形態では、外側面348と内側面346は異なる形状を有することができる。
【0115】
電気推進システム1000に本明細書に記載するようなロータ及びファン組立体300を設けることは、1つ以上の利点を有する可能性がある。例えば、各ファンブレード320は、内側ハブ310及び外側シュラウド340の両方に固定されているので、各ファンブレードは、動的荷重下で十分な剛性及び/又は十分な信頼性を有することができ、大きな入口空気流の歪みを処理する機体に取り付けられた境界層吸い込み(BLI)システムの一部として電気推進システム1000が使用されるのを容易にする。
【0116】
別の例として、各ファンブレードはシュラウド340に接続されているので、ファンブレードの先端とナセル100を通る一次空気流路を画定する構造との間にギャップがなく、これは、典型的な軸駆動ダクテッドファン推進システムと比べて可聴ノイズを減少させることができる。
【0117】
図9は、ファンブレード320、ガイドベーン420、及び電気推進システム1000を通る一次空気流路のモデルからの出力を示す。流線90は、空気が回転するファンブレード320によって旋回され、下流のガイドベーン420によって軸方向に再調整されることを示す。
【0118】
過渡的なロータとガイドベーンの相互作用を分解してナセル100内の流れ挙動を予測するシミュレーションを行った。モデリングは、ガイドベーン420(集合的に静翼列として特徴付けられ得る)が、出口空気流を真っ直ぐにするように作用し、したがって、回転速度となって失われた運動エネルギーの少なくとも一部を推力として取り戻すことを示唆している。
【0119】
予備的なモデリングと同様のシステムからのデータ外挿により、軸駆動ターボファンと同等の推力性能が予測される。例えば、電気推進システム1000は、比較的高いバイパス流により、類似の出力の軸駆動ターボファンと比較して約80%以上の推力を提供することができる。
【0120】
図10から
図12は、例示的なステータ200を示す。
図11を参照すると、ステータ200は複数の巻線210を含む。巻線210は、銅、銅合金、又は他の適切な材料で作られ得る。
【0121】
図12を参照すると、ロータシュラウド340及びロータ磁石350は、ステータ200内に同心円状に入れ子になるように寸法設定される。図示された構成では、ステータ200とロータ及びファン組立体300は、リム駆動の永久磁石電気機械又はリム駆動の永久磁石モータとして特徴付けられ得る。
【0122】
ステータ巻線210は、任意の適切な構成で配置することができる。好ましくは、巻線210は、1組の多相多極ステータ巻線210として配置される。例えば、ステータ200の比較的大きな直径は、三相以上の巻線を取り付けるのに十分な数のステータスロット205を提供することができ、追加のフォールトトレランスのための冗長巻線を備える。ステータ巻線210は、スター構成又はデルタ構成で接続することができる。
【0123】
ロータ磁石350は、任意の適切な構成で配置することができる。例えば、磁石350は、ハルバッハ配列で分極され得る。他の構成(例えば、平行、放射状)が、1つ以上の代替的な実施形態で使用され得る。
【0124】
図示の例では、ロータ及びファン組立体300のシュラウド340は、ロータの「バックアイアン」として特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、シュラウド340は、1つ以上の磁性積層体を有することができ、かつ/又は金属合金又は複合合金で作られ得る。代替的に、シュラウド340は、磁性部品を実質的に含まない(例えば、鋼をほとんど又は全く使用しない)ことができる。このような構成、すなわち実質的に「バックアイアン」がない構成は、「空心」の電気機械として特徴付けられ得る。
【0125】
好ましくは、電気機械(ステータ200とロータ及びファン組立体300とを含む)は、その直径とその軸方向長さとの間の比較的高いアスペクト比を有する。例えば、
図4を参照すると、ステータ200の内径D
statorは、ステータ200の第1の端部202と第2の端部204との間の軸方向長さL
statorよりも少なくとも4倍、少なくとも10倍、又は少なくとも20倍大きいことができる。
【0126】
高アスペクト比の電気機械を提供することは、1つ以上の利点を有する可能性がある。例えば、それは、ヨーク又はステータの歯で磁気飽和に達することなく、より高い機械的出力を提供するために、電気機械をスケールアップすることを容易にし得る。追加的に又は代替的に、比較的小さい軸方向長さは、ロータ及びファン組立体300の重量及び/又は慣性の低減を促進し得る。追加的に又は代替的に、比較的小さい軸方向長さは、ナセル100の外側面の境界層形成に関連する表面抗力を低減することができる。
【0127】
図10及び
図11は、代替的にステータハウジング220として特徴付けられ得る、例示的なステータエンクロージャ220を示す。図示の例では、ステータエンクロージャ220は、ステータ200の周りに同心円状に配置された環状ケーシング230と、環状ケーシング230の第1の端部232に連結された前方ステータ面板240と、環状ケーシング230の第2の端部234に連結された後方ステータ面板250とを含む。別個の構成要素として示されているが、環状ケーシング230と、少なくとも1つの前方ステータ面板240及び後方ステータ面板250とが一体的に形成され得ることが理解されるであろう。
【0128】
ステータエンクロージャ220は、電気推進システム1000の構造部品であり得る。例えば、エンクロージャ220は、外部接続用の様々な装着ポイント及び取り付けポイントを提供することができる。例えば、環状ケーシング230は、ステータ冷却システムで使用される1つ以上の凝縮器を支持するための複数の半径方向フィン又はフランジ235を有することができる。
【0129】
図示の例では、前方ステータ面板240は、前面242から突出する複数の冷却フィン245を含む。冷却フィン245は、(例えば、末端巻線の伝導冷却を容易にすることによって)ステータ200の熱管理を改善することができる。当然のことながら、冷却フィン245は面板240に溶接し又は(例えば、CNCフライス加工によって)一体的に形成することができる。フィン245は、アルミニウム合金などの任意の適切な材料から作ることができる。
【0130】
任意選択で、前方ステータ面板240と環状ケーシング230の第1の端部232との間にガスケット(図示せず)を設けることができる。例えば、このようなガスケットは、前方ステータ面板240と環状ケーシング230との間に水密シールを提供することができる。追加的に又は代替的に、後方ステータ面板250と環状ケーシング230の第2の端部234との間にガスケット(図示せず)を設けることができる。好ましくは、全体的なステータエンクロージャ220は、IP65以上の侵入保護コード定格を有することができる。
【0131】
ステータエンクロージャ220の構成要素(例えば、環状ケーシング230)は、例えば、四面体格子インフィルを備えたシェルを3次元印刷(又は別の適切な積層造形法)により作成し、その後、(例えば、防水シールの提供を容易にするために)高い公差が必要とされる部分から(例えば、研削、研磨によって)材料を除去することによって作ることができる。このような構造は、望ましい性能/重量特性を有することができる。
【0132】
別の例として、ステータエンクロージャ220の構成要素は、完全な円周方向構成要素を作成するために接合された(例えば、アルミニウム合金の)曲げ加工された押出形材から作ることができる。代替的に、ステータエンクロージャ220の構成要素は、部分品でダイキャストされ得る(例えば、高圧アルミニウム合金鋳造物)。このような構造は、望ましい性能/コスト特性を有することができる。
【0133】
電気機械用の電力制御電子機器(図示せず)は、任意の適切な場所に設けることができる。例えば、電力制御電子機器は、ステータエンクロージャ220内、又はナセル100内の他の場所に設けることができる。いくつかの実施形態では、ステータ200の直径が大きいため、パワーエレクトロニクスを環状ケーシング230の外側面238に直接取り付けることができる。このような位置は、電力リード線の長さを短くするか又は最小にすることができる。比較的短い電力リード線(例えば、1m未満)を設けることにより、より高い入力電気周波数(例えば、1kHzを超える)及び/又はより高い入力電圧(例えば、800V以上)での動作を容易にすることができる。追加的に又は代替的に、ステータ200に近接してパワーエレクトロニクスを設けることにより、ステータ冷却システムをパワーエレクトロニクスの冷却にも使用できる可能性がある。代替的に、パワーエレクトロニクスは、ナセル100内の他の場所及び/又は電気推進システム1000が取り付けられる航空機の機体内に配置することができる。
【0134】
図13は、ステータ200の熱調節を補助するために、ナセル100を通過する空気を凝縮器に引き込むための冷却ダクト500の一例を示す。好ましくは、冷却ダクト500は、低抗力の空気入口であり、例えば、NACAダクトとして特徴付けられ得る。
【0135】
図示の例では、フィレットエッジ520は、境界層の空気を偏向させ、自由流の空気をナセル100の内側に配置された凝縮器の入口に引き込むように構成される。
図14は、冷却ダクト500を通る空気流のモデルからの出力を示し、勾配領域は、予想される局所的な空気流速度を表す。
【0136】
図1及び
図2に示すように、冷却ダクト500は、好ましくは、ナセル100の外側面と実質的に面一に取り付けられる。
【0137】
冷却ダクト500は、任意の適切な方法で作ることができる。例えば、ダクト500は、熱可塑性材料を成形又は3次元印刷することによって形成することができる。組み立て中、ダクト500は、ナセル100の切り欠きに固定し、所定の位置に接着(例えば、エポキシ樹脂で接着)することができる。別個の構成要素として図示されているが、ダクト500は、ナセル100の外側面と一体的に形成され得ることが理解されるであろう。
【0138】
図15は、ステータ冷却システムから冷却ダクト500によって凝縮器を通して導かれる空気に熱を伝達するための凝縮器600の一例を示す。図示の例では、凝縮器600はクロスフロー凝縮器である。当然のことながら、代替的な実施形態では、他の凝縮器トポロジーを使用することができる。
【0139】
好ましくは、凝縮器600は、高い熱放散率を促進し、強制空気対流のための効率的な流路を提供し、予想される負荷条件に対して十分な構造的完全性を有する。これらの設計目標に対処するために、空気流と接触する表面積を最小化して凝縮器全体にわたる圧力降下を低下させることと、空気流と接触する表面積を最大化して熱伝達率を増大させることのバランスを決定することが望ましい場合がある。例えば、これらの競合する目標間の十分な(又は好ましくは最適な)バランスを提供するために、様々な設計パラメータを繰り返すことができる。
【0140】
図示の例では、凝縮器600は、ピン620によって離された一連のプレート610を含む。このような構成は、有利なことに熱が伝導によって3次元的に広がることを可能にする。
【0141】
図示の例では、ピン620は楕円形の断面形状を有する。楕円形のピン620を設けることにより、安定した乱流を促進することができ、それにより比較的高い熱伝達率をもたらすことができる。
【0142】
図16は、凝縮器600の計算流体力学(CFD)モデルから出力された速度プロットを示す。流線80は、プレート610を横切る局所的な空気速度を示す。特に、凝縮器600の入口端602に沿ったピン620の列605は、空気流を凝縮器600に導くのに役立つ。
【0143】
凝縮器600は、任意の適切な方法で作ることができる。例えば、プレート610及び/又はピン620は、例えば3次元印刷によって、又は別の適切な積層造形法によって、アルミニウム合金から作ることができる。
【0144】
図17及び
図18は、電気推進システム1000の動作中にステータ巻線210から熱を伝達するためのステータ冷却システムの一例を示す。図示の構成では、ステータ巻線210から凝縮器600に熱エネルギーを伝達するために複数の個別のヒートパイプ710が設けられている。このようなシステムは、受動的ステータ冷却システムとして特徴付けられ得る。
【0145】
図示の例では、各ヒートパイプ710の一部分715は、ステータスロット205内に配置され、少なくとも1つのステータ巻線210に当接する。各ヒートパイプ710の第1の端部712は凝縮器600の第1の端部602に連結され、各ヒートパイプ710の第2の端部714は凝縮器600の第2の端部604に連結される。動作中、ヒートパイプ710内の流体は、部分715と凝縮器600との間の温度勾配により、凝縮器600と部分715との間を循環する。例えば、ヒートパイプ710は、比較的高い流束で熱を伝達するために内部の熱力学サイクルを使用する熱サイフォン管であっ得る。
【0146】
図示の例では、ヒートパイプ710は、概ね平坦な側面を有する。当然のことながら、ヒートパイプ710は代替的な形状(例えば、楕円形、円形)を有することができる。
【0147】
別個のヒートパイプ710を設けることは、1つ以上の利点を有する可能性がある。例えば、個別のパイプ710は、例えば定期的なメンテナンス中に取り外しかつ/又は交換することができる。
【0148】
ヒートパイプ710は、任意の適切な方法で作ることができる。例えば、パイプ710は、比較的複雑な内部「ウィック」構造を有して3次元印刷することができ、それにより蒸発器の性能を向上させることができる。代替的に、引き抜き成形又は押し出し成形された管を切断し、曲げ、キャップを付けて、パイプ710を形成することができる。任意選択で、キャップを付ける前に焼結金属粉末ウィックを挿入することができる。
【0149】
図19から
図21は、電気推進システム1000の動作中にステータ巻線210から熱を伝達するためのステータ冷却システムの別の例を示す。図示の構成では、複数のステータスロット205を通過する複数の流体導管720が、1組の凝縮器600と直列に流体連通して配置されている。動作中、流体は、各導管720と、導管720が連結された凝縮器600とを通ってポンプで送られる。このようなシステムは、ハイブリッド強制気液能動的ステータ冷却システムとして特徴付けられ得る。
【0150】
図示の例では、各流体導管720は、ジグザグパターンで複数のステータスロット205を通過し、それが通過する各スロット205内の少なくとも1つのステータ巻線210に当接する。各導管720の入口端722は、流体ポンプ(図示せず)と流体連通している。各導管720の出口端724は、例えば中間管730を介して、1つ以上の凝縮器600と流体連通している。動作中、流体は導管720を通ってポンプで送られ、そこで流体は導管壁を通る伝導によってステータ巻線210から熱エネルギーを受け取ることができる。次いで、(今や加熱されている)流体は、1つ以上の凝縮器600を通ってポンプで送られ、流体から凝縮器を通る空気に熱を伝達し、次いで出口734を通ってポンプ(図示せず)に戻る。
【0151】
図示の例では、入口722a、722b、及び722c、及び出口734a、734b、及び734cを有する3つの冷却「ループ」がある。当然のことながら、代替的な実施形態では、1つ、2つ、又は4つ以上の冷却「ループ」を設けることができる。
【0152】
導管720は、任意の適切な方法で作ることができる。例えば、引き抜き成形、圧延、又は押し出し成形された管を曲げて導管720を形成することができる。好ましくは、ステータスロット205内の導体と接触する導管720の部分は、接触面積を増大させるために平坦化される。
【0153】
図22及び23は、電気推進システム1000の動作中にステータ巻線210から熱を伝達するためのステータ冷却システムの別の例を示す。図示の構成では、凝縮器600及び冷却ダクト500は設けられていない。代わりに、ステータエンクロージャ220に流体ジャケットが設けられている。このようなシステムは、能動的ステータ冷却システムとして特徴付けられ得る。
【0154】
図23に示すように、流体ジャケット800は、複数の冷却導管820が設けられた流体ジャケット本体810を含む。冷却導管820は、入口端及び/又は出口端822の間に延び、冷却ジャケット本体810を通る冷却流体の循環を可能にするように構成される。図示の例では、複数のスロット830が流体ジャケット本体810を通って半径方向に延在する。スロット830は、電気位相接続のための配線を収容するために、及び/又はステータエンクロージャ220とナセル100との間の構造的接続を収容するために使用され得る。
【0155】
冷却ジャケット800を提供することは、1つ以上の利点を有する可能性がある。例えば、冷却ジャケット800は、厳しい動作条件及び/又は環境で動作するように構成することができる。この点で、冷却ダクト500の使用を必要としない冷却システムは、ステータエンクロージャ220の防水の完全性を維持することを容易にすることができる。
【0156】
図24及び
図25は、電気推進システム1000の動作中にロータ磁石350から熱を伝達するためのロータ冷却システムの一例を示す。図示の構成では、ロータ磁石350から熱エネルギーを伝達するために、複数の個別のロータヒートパイプ760が設けられている。このようなシステムは、受動的ロータ冷却システムとして特徴付けられ得る。
【0157】
図示の例では、各ロータヒートパイプ760の一部分が、少なくとも1つのロータ磁石350に当接する。例えば、ロータヒートパイプ760は、ファンシュラウド340の外側面に埋め込まれ得る。各ロータパイプ760は、熱エネルギーを伝達するための水グリコール又はアンモニアなどの作動流体で少なくとも部分的に満たされ得る。動作中、磁石350からの熱は、ロータヒートパイプ760内の作動流体に伝達され、蒸気「スラグ」を形成し、ロータパイプ760に沿って膨張させる。そのような蒸気「スラグ」は、磁石350に対して垂直に、ロータパイプの磁石350から遠位の部分762に移動し、そこでそれらの部分が回転している空気間の温度勾配により「スラグ」が凝縮して流体状態に戻る。これにより、ロータヒートパイプ760の内部に振動する流体運動が生じる。同様の「脈動する」ヒートパイプが、高い慣性力を有する用途(例えば、戦闘機用航空機)でテストされている。
【0158】
図示の例では、ロータヒートパイプ760は概ね「犬の骨」の形状を有し、磁石350から遠位の部分762は丸みを帯びた形状を有する。当然のことながら、ロータヒートパイプ760は任意の適切な形状(例えば、楕円形、円形)を有することができる。
【0159】
図示の例では、磁石350ごとに2つのロータヒートパイプ760が存在する。当然のことながら、代替的な実施形態では、各磁石350に1つ、3つ又は4つ以上のロータヒートパイプ760を設けることができる。
【0160】
ロータヒートパイプ760は、任意の適切な方法で作ることができる。例えば、パイプ760は、比較的複雑な内部「ウィック」構造及び多孔性を有して3次元印刷することができ、それにより熱性能を向上させることができる。代替的に、引き抜き成形又は押し出し成形された管を切断し、曲げ、キャップを付けて、パイプ760を形成することができる。任意選択で、キャップを付ける前に焼結金属粉末ウィックを挿入することができる。
【0161】
図26は、電気推進システム1000が様々な可能な位置に取り付けられた前進飛行航空機10を示す。例えば、電気推進システム1000a及び1000bが翼の下面の位置に示されている。推進システム1000a、1000bは、パイロン12a、12bによって翼15に固定される。
【0162】
電気推進システム1000cが機体の本体に取り付けられる。
【0163】
電気推進システム1000dが機体の後部に取り付けられ、境界層吸い込み(BLI)推進システムとして機能するように機体に組み込まれることを特徴とすることができる。
【0164】
当然のことながら、電気推進システム1000の数及びそれらの取り付け位置は、航空機の全体的な設計によって異なり得る。
【0165】
一次推力を提供することに加えて又はそれに代わるものとして、電気推進システム1000のコンパクトな形状は、航空機の推力又は揚力特性の突発故障の場合に、補助緊急着陸モータとしてのその使用を容易にすることができる。例えば、1つ以上の電気推進システム1000sが、(例えば、航空機を加速して翼の揚力を取り戻すために使用される)緊急推力及び/又は緊急VTOL着陸装置として機能するように構成され得る。
【0166】
図27及び
図28は、調節可能な後方フェアリングの一例を示す。この例では、ハブフェアリング490は、(例えば、
図27に示すような)収縮位置と(例えば、
図28に示すような)伸長位置との間で動かされ得る。図示の例では、ハブフェアリング490は、軸方向に選択的に伸縮することができるリニアアクチュエータ450(例えば、リニア電気モータ、油圧アクチュエータ)に接続されている。
【0167】
ハブフェアリング490を選択的に再配置することによって、例えば、様々な条件に対するファンのサージマージンを改善し、効率を改善するために、出口流ノズル124の断面積を調節することができる。例えば、低圧力比(すなわち1.5)を有する高バイパス比のファンは、一般に、推進効率を高めるために、より低い空気加速度と高い質量流量で動作する。しかしながら、設計に固有のこの低圧力比により、エンジンの停止を避けるためにファン速度を低下させて圧力比を下げなければならない離陸時などの特定のシナリオでは、ファンはサージ状態に近い状態で動作する。
【0168】
可変面積の出口ノズルを設けることにより、ファン速度とは無関係にファン圧力比を変更するための追加の制御因子をもたらすことができる。この結果、ファンは、広範囲の飛行条件に対して、ファン効率と推進効率の改善された(又は好ましくは最適な)バランスで動作することができる。例えば、離陸中、フェアリング490は、(例えば、
図27に示すような)収縮位置に配置されて出口ノズルを開き、それによってファンをサージ状態からさらに遠ざけ、任意の必要な推力に対する最大効率を目指して動作させることができる。巡航状態の間、フェアリング490は、(例えば、
図28に示すような)伸長位置に動かされて出口ノズルを閉じ、それによってファンの効率を高めることができる。より広いサージマージンを提供することの他の考えられる利点は、ブレードのフラッタ/疲労サイクルがより少ない可能性があり、それによってより軽いファンブレードを使用できる可能性があることである。
【0169】
上述のように、電気推進システム1000のステータ200とロータ及びファン組立体300は、ファンブレード320を回転させて機械的な推力を生成するために電力が加えられる電気モータとして動作することができる。
【0170】
代替的に、電気推進システム1000のステータ200とロータ及びファン組立体300は、発電機として動作することができる。例えば、航空機の降下中又は着陸中、ステータ200は、ロータ及びファン組立体300の回転に対する抵抗を生成するように操作され得る。これにより、電気推進システム1000によって提供される正味推力が減少し、航空機の速度が低下することになる。これはまた、航空機に搭載された1つ以上の電源(例えば電気化学電池)を充電するために使用され得る電力の生成をもたらす可能性がある。
【0171】
電気推進システム1000は、VTOL航空機に対して1つ以上の利点を有する可能性がある。例えば、電気推進システム1000は、非常にコンパクトな形状(直径及び/又は長さ)を有することができ、したがって、例えば他の中央ハブ駆動の電動ダクテッドファンと比べて、比較的低い抗力を有することができる。このようなコンパクトな形状は電気推進システム1000を特にe-VTOLの用途に適したものにすることができ、それは電気推進システム1000が機体と比べて比較的容易に操作(例えば、旋回)させることができ、また他の中央ハブ駆動の電動ダクテッドファンよりも抗力を少なくすることができるからである。
【0172】
本明細書中で使用される場合、用語「及び/又は」は、包括的な「又は」を表すことを意図している。すなわち、「X及び/又はY」は、例えば、X又はY又はその両方を意味することを意図している。さらなる例として、「X、Y、及び/又はZ」は、X又はY又はZ又はそれらのあらゆる組み合わせを意味することを意図している。
【0173】
上記の説明は、例示的な実施形態の特徴を説明しているが、説明された実施形態のいくつかの特徴及び/又は機能は、説明された実施形態の動作の主旨及び原理から逸脱することなく、修正を受けやすいことが理解されるであろう。例えば、示された実施形態又は実施例を用いて説明された様々な特徴は、互いに選択的に組み合わせることができる。したがって、上述したことは、特許請求された概念を説明することを意図しており、限定するものではない。当業者には、本明細書に添付された特許請求の範囲で定められる本発明の範囲から逸脱することなく、他の変更及び修正を行うことができることが理解されるであろう。特許請求の範囲は、好ましい実施形態及び実施例によって限定されるべきではなく、全体としての説明と一致する最も広い解釈が与えられるべきである。