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特許7123328コンクリート補強用短繊維の分散投入装置及び分散投入方法
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  • 特許-コンクリート補強用短繊維の分散投入装置及び分散投入方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】コンクリート補強用短繊維の分散投入装置及び分散投入方法
(51)【国際特許分類】
   B28C 5/40 20060101AFI20220816BHJP
   B28C 7/06 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B28C5/40
B28C7/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021211717
(22)【出願日】2021-12-24
【審査請求日】2021-12-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308029600
【氏名又は名称】株式会社デーロス・ジャパン
(73)【特許権者】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 大智
(72)【発明者】
【氏名】森井 直治
(72)【発明者】
【氏名】森山 守
(72)【発明者】
【氏名】林 承燦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 翔平
【審査官】田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-114161(JP,A)
【文献】特開2009-101521(JP,A)
【文献】特開2006-037241(JP,A)
【文献】特開平08-336825(JP,A)
【文献】特表昭61-502391(JP,A)
【文献】実開昭57-128413(JP,U)
【文献】特開昭50-109211(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03025793(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28C 5/00 - 5/48
B28C 7/00 - 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートの混練時に全長30~50mmの補強用の短繊維を分散しながら投入するための装置であって、多角筒体を前端部を下向きに傾斜した状態で回転可能に設け、該多角筒体は前端部を閉塞する一方、後端部を開口して繊維供給部を備えると共に、複数の側面の全ての面又は一部の面に、縦横に並列した多数の短冊状孔をその短手方向を一つの方向に整列して穿設し、該短冊状孔の短手方向の長さが短繊維の全長よりも短い構成を有し、上記多角筒体内に供給された短繊維が該多角筒体の回転及び傾斜により塊状とならず分散され、上記短冊状孔から適量ずつ落下することを特徴とするコンクリート補強用短繊維の分散投入装置。
【請求項2】
上記多角筒体は断面偶数角形であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート補強用短繊維の分散投入装置。
【請求項3】
上記短冊状孔を上記多角筒体の側面の全ての面に設けると共に、隣接する一対の側面に互いに異なる大きさの上記短冊状孔を穿設することを特徴とする請求項2記載のコンクリート補強用短繊維の分散投入装置。
【請求項4】
上記多角筒体の隣接する一対の側面の一方に穿設する上記短冊状孔を、短繊維の全長よりも長い第一短冊状孔とすると共に、他方に穿設する上記短冊状孔を、短繊維の全長よりも短い第二短冊状孔としことを特徴とする請求項3記載のコンクリート補強用短繊維の分散投入装置。
【請求項5】
上記多角筒体において、上記短冊状孔を穿設した側面に、開放する該短冊状孔の数を調整するための目隠しパネルを設けたことを特徴とする請求項4記載のコンクリート補強用短繊維の分散投入装置。
【請求項6】
上記短冊状孔は上記多角筒体の前半部の側面に設けることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のコンクリート補強用短繊維の分散投入装置。
【請求項7】
上記多角筒体の上記繊維供給部に接続するベルトコンベアを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載のコンクリート補強用短繊維の分散投入装置。
【請求項8】
上記多角筒体の傾斜角度は5度~40度であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載のコンクリート補強用短繊維の分散投入装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載のコンクリート補強用短繊維の分散投入装置を用いた分散投入方法であって、上記多角筒体の回転速度及び傾斜角度を調整して、所望の量及び密度の短繊維を適切に且つ連続的に分散投入することを特徴とするコンクリート補強用短繊維の分散投入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの混練時に補強用の短繊維を塊状とならないように分散しつつ適量ずつ投入するための装置及び方法に関する。なお、本願において、「コンクリート」とは、コンクリートと同様のセメント系材料であるモルタルを含むものとする。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート内にビニロン繊維等の補強用の短繊維を混入し、コンクリートの引張強度等の補強を行うことが広く行われている。
【0003】
これら補強用の短繊維として、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維等の合成樹脂製繊維が用いられているが、これら短繊維は、図6に示すように、一か所に集まると容易に互いに絡まりあい、いわゆるファイバーボールと称される塊状物となり易いものである。
【0004】
他方、コンクリートの適正な補強のためには、コンクリート内に短繊維が偏りなく均等に分布していることが重要である。
【0005】
したがって、適正な繊維補強を図ったコンクリートを製造するためには、コンクリート混練時において、ばらばらとなっている短繊維をファイバーボールとならないように分散状態を保持しつつ、或いはファイバーボールとなった短繊維を解してばらばらにしつつ、一定のスピードで一定量の短繊維を連続的に投入することが求められており、たとえば、下記特許文献1に示すようなコンクリート補強用短繊維の分散投入装置が開発されている。
【0006】
下記特許文献1の短繊維の分散投入装置は、水平に配された、円筒状又は多角筒状の籠状回転体を備え、該籠状回転体は外周面を正方格子状の網目状格子とする構成となっており、該籠状回転体を回転させることにより、同籠状回転体内に入れた短繊維を上記網目状格子を通じて適量ずつ落下させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4976256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の分散投入装置によれば、短繊維を内包した籠状回転体を、その回転速度を制御しながら回転させるだけで、所望量の短繊維を連続して供給することができ、繊維補強コンクリートの製造作業の省力化に大いに貢献することができる。
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の分散投入装置においては、籠状回転体内への繊維供給用開口が該籠状回転体の外周面に設けられているため、該籠状回転体の回転中、すなわち短繊維の分散投入中に短繊維を補充することができない。よって、籠状回転体の回転前に予め供給した短繊維の分しか連続投入することができず、籠状回転体内の短繊維がなくなれば、該籠状回転体の回転を止めて再度短繊維を供給する煩雑な作業を強いられることとなる。
【0010】
また、上記特許文献1の分散投入装置においては、上述のように、籠状回転体の回転中に短繊維を補充できないと共に、籠状回転体が水平に配されているため、回転速度が一定であると、当該籠状回転体に残存している短繊維の量に応じて落下させる短繊維の量が変わってしまうおそれがある。その場合、残存する短繊維の量に応じて籠状回転体の回転速度を制御する作業が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、煩雑な作業を要することなく、連続的に且つ一定量の短繊維を供給できる分散投入装置及び分散投入方法を提供する。
【0012】
要述すると、本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入装置は、コンクリートの混練時に全長30~50mmの補強用の短繊維を分散しながら投入するための装置であって、多角筒体を前端部を下向きに傾斜した状態で回転可能に設け、該多角筒体は前端部を閉塞する一方、後端部を開口して繊維供給部を備えると共に、複数の側面の全ての面又は一部の面に、縦横に並列した多数の短冊状孔をその短手方向を一つの方向に整列して穿設し、該短冊状孔の短手方向の長さが短繊維の全長よりも短い構成を有し、上記多角筒体内に供給された短繊維が該多角筒体の回転及び傾斜により塊状とならず分散され、上記短冊状孔から適量ずつ落下するため、ホッパー等を介してアジエーターやミキサーと接続すれば、煩雑な作業を要せずに連続的に短繊維をコンクリート内に分散投入することができ、繊維補強コンクリートの製造作業の省力化を図ることができるのは勿論のこと、高品質の繊維補強コンクリートを製造することができる。
【0013】
また、上記多角筒体を断面偶数角形とすることにより、複数対の側面を備えることができ、短繊維の分散投入のバリエーションを広げることが可能となる。
【0014】
好ましくは、上記短冊状孔を上記多角筒体の側面の全ての面に設けると共に、隣接する一対の側面に互いに異なる大きさの上記短冊状孔を穿設する構成とすることにより、短繊維の塊状化を有効に防止すると共に、短繊維の落下量を適切に調整することができる。
【0015】
さらに好ましくは、上記多角筒体の隣接する一対の側面の一方に穿設する上記短冊状孔を、短繊維の全長よりも長い第一短冊状孔とすると共に、他方に穿設する上記短冊状孔を、短繊維の全長よりも短い第二短冊状孔とし、様々な姿勢で短繊維を落下させることができる。
【0016】
また、上記多角筒体において、上記短冊状孔を穿設した側面に、開放する該短冊状孔の数を調整するための目隠しパネルを設けることにより、短繊維の落下量を効果的に調整することができる。
【0017】
また、上記短冊状孔は上記多角筒体の前半部の側面に設けることにより、上記多角筒体の傾斜によって該多角筒体の前半部に移動してきた短繊維を効率良く分散しつつ混練コンクリート内に投入することができる。
【0018】
また、上記多角筒体の上記繊維供給部に接続するベルトコンベアを備えることにより、当該多角筒体自体への供給を定量化し、より高効率の分散投入を実現する。
【0019】
好ましくは、上記多角筒体の傾斜角度を5度~40度とすることにより、該多角筒体の回転と相まって、適切に短繊維を分散させることができると共に、適切に短繊維を該多角筒体の前半部側に導くことができる。
【0020】
本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入方法は、上述したコンクリート補強用短繊維の分散投入装置を用いた分散投入方法であって、上記多角筒体の回転速度及び傾斜角度を調整して、所望の量及び密度の短繊維を適切に且つ連続的に分散投入することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入装置によれば、簡易構造ながらも、確実に短繊維を分散し、且つ、所望量の短繊維を均一な間隔で連続的に投入することができ、繊維補強コンクリート製造作業の省力化と、高品質の繊維補強コンクリートの製造の双方に貢献することができる。
【0022】
本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入方法によれば、多角筒体の傾斜角度と回転速度を調整するだけで簡単に短繊維の投入量や投入密度を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入装置の拡大平面図である。
図2】本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入装置の左側面図である。
図3】本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入装置の正面図である。
図4】多角筒体の前半部の拡大平面図である。
図5】多角筒体における隣接する一対の側面の拡大図である。
図6】コンクリート補強用短繊維を箸で摘まんだ状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入装置及び分散投入方法の最適な実施例について、図1乃至図6に基づき説明する。
【0025】
<コンクリート補強用短繊維の分散投入装置>
図1に示すように、本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入装置1(以下、単に「繊維分散投入装置」という。)は、コンクリートの混練時、すなわちアジエーターやミキサーでのコンクリート混練時や再混練時に補強用の短繊維を分散しながら投入するための装置である。
【0026】
本発明に係る繊維分散投入装置1は、図1乃至図3に示すように、傾斜した状態で回転可能な多角筒体2を備え、該多角筒体2内に供給した短繊維が該多角筒体2の回転及び傾斜により塊状とならず分散され、後述する短冊状孔4から適量ずつ落下される。
【0027】
よって、ホッパー等を介してアジエーターやミキサーと接続すれば、煩雑な作業を要せずに連続的に短繊維を分散投入することができ、繊維補強コンクリートの製造作業の省力化を図ることができるのは勿論のこと、高品質の繊維補強コンクリートを製造することができる。なお、本発明においては、繊維分散投入装置1をアジエーターやミキサー等と直接的に接続するだけではなく、パイプ等の搬送手段を介して間接的に接続することを排除しない。
【0028】
ここで、対象とする短繊維について説明する。混練コンクリート内に投入するための短繊維は、一般的にコンクリート補強に用いられるものであり、たとえば、ビニロン、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂製の繊維であり、全長が30~50mm程度の線状繊維又は平麺状繊維を用いる。
【0029】
多角筒体2は、文字通り、横断面が多角形状の筒体であり、当該多角形状に応じて複数の側面2cを備え、前端部2aを閉塞すると共に、後端部2bは開口して繊維供給部3を備えている。多角筒体2は、図1乃至図3に示すように、六角筒体とする他、断面形状が多角形であれば特に限定はないが、後述するように、複数対の側面2cによって効果的な短繊維の分散を図るため、断面形状が偶数角形であることが望ましい。
【0030】
また、図4に示すように、多角筒体2の側面2cには、縦横に並列した多数の短冊状孔4が穿設されており、該短冊状孔4から多角筒体2の内部で分散された短繊維が塊状となることなくぱらぱらと排出される。短冊状孔4同士の間隔は特に限定はないが、対象とする短繊維の直径又は厚みと幅により適宜調整することができる。
【0031】
また、図1乃至図3に示すように、短冊状孔4は多角筒体2の側面2cの全ての面に設ける他、側面2cの一部の面、たとえば6面中の3面にのみ短冊状孔4を設けることができる。短繊維の多角筒体2への供給量や多角筒体2からコンクリートへの投入量によって適宜調整できる。
【0032】
好ましくは、短冊状孔4を多角筒体2の側面2cの全ての面に設けた上で、隣接する一対の側面2cに互いに異なる大きさの短冊状孔4を穿設する構成とすることにより、短繊維の塊状化を有効に防止すると共に、様々な姿勢で短繊維を落下させることができる。
【0033】
たとえば、図5に示すように、多角筒体2の隣接する一対の側面2cの一方に穿設する短冊状孔4を、短繊維の全長よりも長い第一短冊状孔4Aとすると共に、他方に穿設する短冊状孔4を、短繊維の全長よりも短い第二短冊状孔4Bとする。ただし、第一短冊状孔4Aの短手方向の長さは短繊維の全長よりも短い構成とする。すなわち、第一短冊状孔4Aの長手方向の長さL1は短繊維の全長より長く設定し、第二短冊状孔4Bの長手方向の長さは短繊維の全長よりも短く設定する。好ましくは、第一短冊状孔4Aの短手方向の長さL2は長手方向の長さL1の半分以下の長さに設定する。また、第二短冊状孔4Bの短手方向の長さL4も長手方向の長さL3の半分以下の長さに設定する。
【0034】
このようにすることにより、第一短冊状孔4Aからは短繊維が落下しやすいだけでなく、できるだけ短繊維の長手方向に沿った面(平面・底面若しくは側面又は周面)側から落下させることができ、第二短冊状孔4Bからは短繊維が落下し難いだけでなく、落下するときにはできるだけ短繊維の短手方向に沿った面(小口面)側から落下させることができ、落下量だけでなく、落下姿勢をも考慮した調整が可能となる。よって、よりバリエーションをもって短繊維を落下させることができる。なお、本実施例においては、短冊状孔4の大きさの種類を二種類として説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、たとえば大中小の三種類の大きさの短冊状孔4を断面六角形の多角筒体2の六つの側面2cの二面ずつに設けても良い。
【0035】
また、短冊状孔4を穿設した側面2cには、図5に示すように、開放する短冊状孔4の数を調整するための目隠しパネル7を設けることにより、短繊維の落下量を効果的に調整することができる。
【0036】
また、上記説明した短冊状孔4は多角筒体2の前半部の側面2cに設けることにより、多角筒体2の傾斜による勾配によって前半部に移動してきた短繊維を効率良く分散しつつ落下させることができる。なお、本発明においては、多角筒体2の後半部の側面2cにも短冊状孔4を設けることができるが、図示するように、後半部には窓5を設けて、多角筒体2内の短繊維の様子を視認できるようにするのが望ましい。
【0037】
多角筒体2は既述のように傾斜した状態で回転可能に設けられている。回転の駆動源として、既知のモータM等の駆動源を用いると共に、図2図3に示すように、該モータMにより回転用車輪wを回転させ、該回転させた回転用車輪wと多角筒体2側のレールrを係合させて安定して多角筒体2を回転できるようにする。また、周波数等によりモータMを制御し、回転用車輪wの回転速度、ひいては多角筒体2の回転速度(時間当たりの回転数)を制御することができる。なお、図1乃至図3中の1aはモータMを保護する筐体である。また、本発明においては、繊維分散投入装置1をコンクリート打設現場で使用する際などに多角筒体2自体を筐体で覆って保護することを排除しない。
【0038】
また、多角筒体2の繊維供給部3に接続するベルトコンベア6を備えることにより、当該多角筒体2自体への供給を定量化することができ、より高効率の連続分散投入を実現する。なお、ベルトコンベア6のベルト6aには仕切り6bを設け、短繊維供給のタイミングや量を計ることが望ましい。また、図中の6cはホッパーであり、多角筒体2へ供給する短繊維が周囲に落下しないように、ベルト6aへと導くためのものである。
【0039】
多角筒体2の傾斜角度θは、支持部1bの高さを調整することにより適宜変更することができる。好ましくは5度~40度とし、より好ましくは12度~18度とする。短冊状孔4の大きさや短冊状孔4同士の間隔等によるが約15度が最も好ましい。これにより、多角筒体2の回転と相まって、適切に短繊維を分散させることができると共に、短繊維を該多角筒体2の前半部に連続的に導くことができる。
【0040】
また、図1乃至図3に示すように、多角筒体2の下位に該多角筒体2の下方を覆うようにガイドパネル8を設け、該ガイドパネル8によって落下してきた短繊維を適切にキャッチすると共に収集してホッパー等へ投入することができる。
【0041】
<コンクリート補強用短繊維の分散投入方法>
図1に示すように、本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入方法は、上記説明した本発明に係る繊維分散投入装置1を用いた分散投入方法であって、多角筒体2の回転速度及び傾斜角度θを調整するだけで、所望量の短繊維を所望の間隔(時間的間隔、物理的間隔)で連続して落下させることができる。したがって、当該落下した短繊維をホッパー等を介して、アジエーターやミキサー等の混練装置内の混練コンクリート内に適切に且つ連続的に短繊維を分散投入することができる。なお、必要に応じて多角筒体2への短繊維の供給量を調整することができるのは勿論である。
【0042】
以上説明したように、本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入装置によれば、簡易構造ながらも、確実に短繊維を分散し、且つ、所望量の短繊維を均一な間隔で連続的に投入することができる。すなわち、短繊維を分散してぱらぱらと散らしながら落下させ、混練コンクリート内に投入することができる。
【0043】
よって、繊維補強コンクリート製造作業の省力化は勿論のこと、高品質の繊維補強コンクリートの製造に貢献することができる。
【0044】
本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入方法によれば、多角筒体2の傾斜角度θと回転速度を調整するだけで簡単に短繊維の投入量や投入間隔を調整することができる。
【0045】
なお、本願において、下限値と上限値間を「~」で示した数値範囲は、該下限値と上限値間の全ての数値(整数値と小数値)を表したものである。
【符号の説明】
【0046】
1…繊維分散投入装置、1a…筐体、1b…支持部、2…多角筒体、2a…前端部、2b…後端部、2c…側面、3…繊維供給部、4…短冊状孔、4A…第一短冊状孔、4B…第二短冊状孔、5…窓、6…ベルトコンベア、6a…ベルト、6b…仕切り、6c…ホッパー、7…目隠しパネル、8…ガイドパネル、θ…多角筒体の傾斜角度、L1…第一短冊状孔の長手方向の長さ、L2…第一短冊状孔の短手方向の長さ、L3…第二短冊状孔の長手方向の長さ、L4…第二短冊状孔の短手方向の長さ、M…モータ、w…回転用車輪、r…レール。
【要約】
【課題】 煩雑な作業を要することなく、連続的に且つ一定量の短繊維を供給できる分散投入装置の提供。
【解決手段】 本発明に係るコンクリート補強用短繊維の分散投入装置は、コンクリートの混練時に補強用の短繊維を分散しながら投入するための装置であって、多角筒体を前端部を下向きに傾斜した状態で回転可能に設け、該多角筒体は前端部を閉塞する一方、後端部を開口して繊維供給部を備えると共に、複数の側面の全ての面又は一部の面に多数の短冊状孔を穿設する構成を有し、上記多角筒体内に供給された短繊維が該多角筒体の回転及び傾斜により塊状とならず分散され、上記短冊状孔から適量ずつ落下するため、煩雑な作業を要せずに連続的に短繊維をコンクリート内に分散投入することができ、高品質の繊維補強コンクリートの製造に貢献できる。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6