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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】変位計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20220816BHJP
   G01B 9/02003 20220101ALI20220816BHJP
【FI】
G01B11/00 G
G01B9/02003
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018039771
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2019152615
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-03-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ASPEN 2017 The 7▲th▼ International Conference of Asian Society for Precision Engineering and Nanotechnology Program(平成29年11月14日発行)
(73)【特許権者】
【識別番号】592004404
【氏名又は名称】中央精機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(74)【代理人】
【識別番号】100079164
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勇
(72)【発明者】
【氏名】明田川 正人
(72)【発明者】
【氏名】タン ドン グエン
(72)【発明者】
【氏名】古閑 重充
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 功生
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-308594(JP,A)
【文献】特開2014-109481(JP,A)
【文献】特開平07-139907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G01B 9/02001 - 9/02004
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉計から出力される参照信号Ir及び計測信号Imが次式からなる場合に、
r=Asin(Δωt)
m=Bcos(Δωt+θm
ここで、A,B:最大振幅、Δω:ビート周波数、θm:被計測物の変位情報、t:時間、
前記参照信号Ir及び位相Δθを入力し、当該参照信号Irの位相を当該位相Δθだけシフトさせて参照信号I'rとして出力する位相シフタ部と、
前記参照信号I'rと前記計測信号Imとを入力し、これらの位相差Δθ-θmを含む情報を検出して出力する位相差検出部と、
前記位相差Δθ-θmを含む情報を入力し、当該位相差Δθ-θmが0に近づくように前記位相Δθを加減し、加減された当該位相Δθを前記位相シフタ部へ出力するとともに、最終的に前記θ m に収束する当該位相Δθを前記被計測物の変位情報として出力するループフィルタ部と、
を備えた変位計測装置。
【請求項2】
前記位相シフタ部は、
前記Asin(Δωt)の位相をπ/2だけシフトさせてAcos(Δωt)として出力するπ/2シフタと、
前記Δθのコサイン成分cosΔθを出力するコサイン成分出力器と、
前記Δθのサイン成分sinΔθを出力するサイン成分出力器と、
前記Asin(Δωt)と前記cosΔθとを掛け算してAsin(Δωt)cosΔθを出力する第一掛け算器と、
前記Acos(Δωt)と前記sinΔθとを掛け算してAcos(Δωt)sinΔθを出力する第二掛け算器と、
前記Asin(Δωt)cosΔθと前記Acos(Δωt)sinΔθとを足し算してAsin(Δωt+Δθ)を出力する足し算器と、
を有する、
請求項1記載の変位計測装置。
【請求項3】
前記位相差検出部は、
前記Asin(Δωt+Δθ)と前記Bcos(Δωt+θm)とを掛け算して1/2AB{sin(2Δωt+Δθ+θm)+sin(Δθ-θm)}を出力する第三掛け算器を有し、
前記ループフィルタ部は、
前記1/2AB{sin(2Δωt+Δθ+θm)+sin(Δθ-θm)}を入力して、1/2ABsin(Δθ-θm)を出力するローパスフィルタと、
前記1/2ABsin(Δθ-θm)を入力して、当該位相差Δθ-θ m が0に近づくように前記位相Δθを加減して出力する積分器とを有する、
請求項2記載の変位計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉計から出力される干渉信号に基づいて被計測物の変位情報を求める変位計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ヘテロダイン干渉計から出力される干渉信号に基づいて被計測物の変位情報を求める変位計測装置は、半導体製造や超精密微細加工などの分野においてサブナノメートルオーダの分解能を持つ技術として期待されている。
【0003】
この光ヘテロダイン干渉計は、周波数f1の光F1と周波数f2の光F2とを出射する光源を用い、被計測物の変位によるドップラ効果で引き起こされた光の周波数シフトを利用する。周波数f1と周波数f2とはf1>f2の関係にあり、光F1と光F2とは互いに直交する直線偏光である。以下に、光ヘテロダイン干渉計の動作の概略を説明する。
【0004】
光源から出射された光F1,F2は、偏光ビームスプリッタにより光F1と光F2とに分離される。光F1のみが被計測物に固定されたコーナキューブに当てられ、その周波数f1は被計測物の変位により周波数シフトΔfを受ける。周波数シフトΔfを受けた光F1(周波数f1+Δf)は偏光子によって再び光F2と重ね合わされ、これらが光検出器で電気信号として取り出される。このとき取り出された信号は、周波数s=f1-f2+Δfを持つビート信号である。一方、周波数シフトを受けない光F1と光F2とは偏光子で重ね合わされ、これらが光検出器で電気信号として取り出される。このとき取り出された信号は、周波数r=f1-f2の参照用ビート信号である。よって、周波数sと周波数rとの周波数差Δfを検出し、これを時間で積分することにより、被計測物の変位を知ることができる。なお、以上の「周波数差」を「位相差」に置き換えても、同様の説明が可能である。
【0005】
この光ヘテロダイン干渉計から出力される干渉信号に基づいて被計測物の変位情報を求める変位計測装置としては、ロックインアンプを用いる方式(例えば非特許文献1参照)やパルスカウンタを用いる方式(例えば非特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】N.Yim, C.Eom, and S.W.Kim, “Dual mode phase measurement for optical heterodyne interferometry”, Meas. Sci. Tecnnol, Vol 11, 1131-1137, (2000).
【文献】F.C.Demarest, “High-resolution, high-speed, low data age uncertainty, heterodyne displacement measuring interferometer electronics”, Meas. Sci. Technol, 9, 1024-1030 (1998).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ロックインアンプを用いる方式は、構成が複雑化するため商品化が難しかった。また、パルスカウンタを用いる方式は、商品化において主流となっているが、正弦波をわざわざ矩形波に変換して計測するため、その変換時に発生する誤差によって高精度化が難しかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、簡素な構成でありながら高精度化を実現し得る変位計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る変位計測装置は、
干渉計から出力される参照信号Ir及び計測信号Imが次式からなる場合に、
r=Asin(Δωt)
m=Bcos(Δωt+θm
ここで、A,B:最大振幅、Δω:ビート周波数、θm:被計測物の変位情報、t:時間、
前記参照信号Ir及び位相Δθを入力し、当該参照信号Irの位相を当該位相Δθだけシフトさせて参照信号I'rとして出力する位相シフタ部と、
前記参照信号I'rと前記計測信号Imとを入力し、これらの位相差Δθ-θmを含む情報を検出して出力する位相差検出部と、
前記位相差Δθ-θmを含む情報を入力し、当該位相差Δθ-θmが0に近づくように前記位相Δθを加減し、加減された当該位相Δθを前記位相シフタ部へ出力するとともに、最終的に前記θ m に収束する当該位相Δθを前記被計測物の変位情報として出力するループフィルタ部と、
を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、位相シフタ部、位相差検出部及びループフィルタ部という三つの構成要素からなり、かつ、参照信号及び計測信号を正弦波のまま用いて被計測物の変位情報を得ることにより、簡素な構成でありながら高精度化を実現し得る変位計測装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の変位計測装置を示す機能ブロック図である。
図2】実施形態の変位計測装置及び干渉計を示すブロック図である。
図3】実施形態の変位計測装置の具体例を示す詳細なブロック図であり、図3[A]は全体を示すブロック図であり、図3[B]は図3[A]の位相シフタ部を拡大して示すブロック図である。
図4】実施形態の変位計測装置の実験結果を示すグラフであり、図4[A]は全体を示すグラフであり、図4[B]は図4[A]の一部を拡大して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について説明する。
【0013】
図1は本実施形態の変位計測装置を示す機能ブロック図であり、図2は本実施形態の変位計測装置及び干渉計を示すブロック図であり、図3は本実施形態の変位計測装置の具体例を示すブロック図である。以下、図1乃至図3に基づき説明する。
【0014】
干渉計20は、光ヘテロダイン干渉計であり、光源21、ビームスプリッタ22、偏光ビームスプリッタ23、1/4波長板24,25、固定ミラー26、可動ミラー27、偏光子28,29、受光器30,31、ハイパスフィルタ32,33等を備えている。光源21は、例えば波長633nmのHe-Neレーザであり、ゼーマン効果によって二つの周波数f1,f2の光を出射する。干渉計20は実験用であるので、図示しないPZTステージが可動ミラー27に変位Δlを発生させる。すなわち、可動ミラー27が被計測物である。図2において、τは遅れ時間である。なお、干渉計20は、後述の式(1)及び式(2)で表せる参照信号Ir及び計測信号Imを出力するものであれば、光ヘテロダイン干渉計に限らずどのようなものでもよい。
【0015】
変位計測装置10は、ソフトウェア(コンピュータプログラム)によって、位相シフタ部11、位相差検出部12及びループフィルタ部13の各機能をコンピュータ上に実現させたものである。そのコンピュータは、例えばパーソナルコンピュータである。この場合、本プログラムは、非一時的な記録媒体(例えば、DVD、CD、フラッシュメモリなど)に記録されてもよく、記録媒体からコンピュータに読み出され実行される。また、コンピュータは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )やFPGA(Field Programmable Gate Array )に置き換えることも可能である。なお、変位計測装置10は、PLL回路の一種とみなすこともでき、ソフトウェアに限らずアナログ回路やディジタル回路によっても、その一部又は全部を実現可能である。
【0016】
そして、変位計測装置10は、干渉計20から出力される参照信号Ir及び計測信号Imが次式からなる場合に、
r=Asin(Δωt) ・・・(1)
m=Bcos(Δωt+θm) ・・・(2)
ここで、A,B:最大振幅、Δω:ビート周波数、θm:被計測物の変位情報、t:時間、
参照信号Ir及び位相Δθを入力し、参照信号Irの位相を位相Δθだけシフトさせて参照信号I'rとして出力する位相シフタ部11と、参照信号I'rと計測信号Imとを入力し、これらの位相差Δθ-θmを含む情報を検出して出力する位相差検出部12と、位相差Δθ-θmを含む情報を入力し、位相差Δθ-θmが0に近づく位相Δθを求め、位相Δθを位相シフタ部11へ出力するとともに、位相Δθを被計測物の変位情報として出力するループフィルタ部13と、を備えたものである。
【0017】
変位計測装置10によれば、位相シフタ部11、位相差検出部12及びループフィルタ部13という三つの構成要素からなり、かつ、参照信号Ir及び計測信号Imを正弦波のまま用いて被計測物の変位情報を得ることにより、簡素な構成でありながら高精度化を実現できる。
【0018】
次に、位相シフタ部11、位相差検出部12及びループフィルタ部13の各具体例について説明する。
【0019】
位相シフタ部11は、前記Asin(Δωt)の位相をπ/2だけシフトさせてAcos(Δωt)として出力するπ/2シフタ111と、前記Δθのコサイン成分cosΔθを出力するコサイン成分出力器112と、前記Δθのサイン成分sinΔθを出力するサイン成分出力器113と、前記Asin(Δωt)と前記cosΔθとを掛け算してAsin(Δωt)cosΔθを出力する第一掛け算器114と、前記Acos(Δωt)と前記sinΔθとを掛け算してAcos(Δωt)sinΔθを出力する第二掛け算器115と、前記Asin(Δωt)cosΔθと前記Acos(Δωt)sinΔθとを足し算してAsin(Δωt+Δθ)を出力する足し算器116と、を有する。
【0020】
位相差検出部12は、Asin(Δωt+Δθ)と前記Bcos(Δωt+θm)とを掛け算して1/2AB{sin(2Δωt+Δθ+θm)+sin(Δθ-θm)}を出力する第三掛け算器121を有する。
【0021】
ループフィルタ部13は、前記1/2AB{sin(2Δωt+Δθ+θm)+sin(Δθ-θm)}を入力して、1/2ABsin(Δθ-θm)を出力するローパスフィルタ131と、前記1/2ABsin(Δθ-θm)を入力して、最終的に前記θmに収束する前記Δθを出力する積分器132と、を有する。
【0022】
次に、干渉計20及び変位計測装置10の動作を詳しく説明する。
【0023】
干渉計20において光源21から出射された周波数f1,f2の光は、ビームスプリッタ22で反射光と透過光に分かれる。ビームスプリッタ22の反射光は、偏光子28→受光器30→ハイパスフィルタ33を経て参照信号Irとなる。一方、ビームスプリッタ22の透過光は、偏光ビームスプリッタ23で周波数f1の反射光と周波数f2の透過光に分かれる。周波数f1の反射光は、1/4波長板24→固定ミラー26→1/4波長板24→偏光ビームスプリッタ23→偏光子29→受光器31と進む。周波数f2の透過光は、1/4波長板25→可動ミラー27→1/4波長板25→偏光ビームスプリッタ23→偏光子29→受光器31と進む。つまり、周波数f1,2の光は受光器31→ハイパスフィルタ33を経て計測信号Imとなる。そして、参照信号Ir及び計測信号Imは変位計測装置10へ出力される。
【0024】
変位計測装置10において位相シフタ部11は、参照信号Ir及び位相Δθを入力し、参照信号Irの位相を位相Δθだけシフトさせて参照信号I'rとして出力する。このとき、π/2シフタ111が参照信号Irの位相をπ/2だけシフトさせてAcos(Δωt)として出力し、コサイン成分出力器112が位相Δθのコサイン成分cosΔθを出力し、サイン成分出力器113が位相Δθのサイン成分sinΔθを出力する。第一掛け算器114は、参照信号Irとコサイン成分cosΔθとを掛け算してAsin(Δωt)cosΔθを出力する。第二掛け算器115は、参照信号Irの位相がπ/2だけシフトしたAcos(Δωt)とサイン成分sinΔθとを掛け算してAcos(Δωt)sinΔθを出力する。足し算器116は、第一掛け算器114から出力されたAsin(Δωt)cosΔθと、第二掛け算器115から出力されたAcos(Δωt)sinΔθとを足し算して、Asin(Δωt+Δθ)を求め、これを参照信号I'rとして出力する。つまり、参照信号Irと参照信号I'rとは位相がΔθだけずれている。
【0025】
続いて、位相差検出部12は、参照信号I'rと計測信号Imとを入力し、これらの位相差Δθ-θmを含む情報を検出して出力する。このとき、第三掛け算器121は、Asin(Δωt+Δθ)とBcos(Δωt+θm)とを掛け算して、1/2AB{sin(2Δωt+Δθ+θm)+sin(Δθ-θm)}を出力する。
【0026】
続いて、ループフィルタ部13は、位相差Δθ-θmを含む情報を入力し、位相差Δθ-θmが0に近づく位相Δθを求め、位相Δθを位相シフタ部11へ出力するとともに、位相Δθを被計測物の変位情報として出力する。このとき、ローパスフィルタ131は、第三掛け算器121から出力された1/2AB{sin(2Δωt+Δθ+θm)+sin(Δθ-θm)}を入力して、高周波成分である1/2AB{sin(2Δωt+Δθ+θm)を除去して、1/2ABsin(Δθ-θm)を出力する。そして、積分器132は、ローパスフィルタ131から出力された1/2ABsin(Δθ-θm)を入力して、最終的にθmに収束するΔθを出力する。換言すると、積分器132は、一定時間内でΔθ-θmをゼロにするために、Δθを加減して出力する積分制御を実行する。
【0027】
このように、変位計測装置10は、位相シフタ部11、位相差検出部12及びループフィルタ部13という三つの構成要素からなるので、極めて簡素な構成である。これに加え、変位計測装置10は、参照信号Ir及び計測信号Imを矩形波に変換することなく正弦波のまま用いて被計測物の変位情報を得ることにより、その変換時に伴う誤差を生じないので、高精度化を実現できる。
【0028】
次に、変位計測装置10の実験結果について、図4を中心に図1乃至図3も加えて説明する。
【0029】
本実験では、干渉計20の代わりに、図示しない関数発生器及びA/D変換器を用いた。そのため、参照信号Ir及び計測信号Imは、関数発生器で発生した2.7MHzの正弦波アナログ信号がA/D変換器でディジタル信号に変換され、変位計測装置10へ出力されたものとなる。
【0030】
関数発生器は、アジレント社製の「3522A」という製品である。その角度分解能は約0.174mrad、出力信号の振幅は約2Vppである。A/D変換器は、ナショナル・インスツルメンツ社製の「5733」という製品(FPGA)である。そのサンプリング・レートは120MHz、最大入力電圧は直流で±10V、交流で±10Vpp、フルスケールとなる入力電圧は±2.085Vppを必要とする。
【0031】
図4の横軸は時間(s)、縦軸は位相シフト(mrad)である。図4のグラフは、関数発生器において計測信号Im=Bcos(Δωt+θm)のθmを0.174mradでステップ状かつ連続的に変化させ、変位計測装置10から位相Δθを得た結果である。つまり、図4の縦軸の位相シフト(mrad)が位相Δθに相当する。
【0032】
図4[A]からわかるように、位相Δθには変位情報である0.174mradが正しく反映されている。また、図4[B]からわかるように、ランダムノイズは約0.0174mradである。よって、信号対雑音比は約10であり、角度分解能は約0.0174mradとなる。つまり、干渉計20を使った場合、約0.88pmの変位分解能が得られることになる。この値は、角度分解能17.4×106rad、光源21の波長633nmのときの、17.4×106rad/(2×3.14rad)×(633nm/2)=0.88pmによる。
【0033】
以上、上記実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができ、そのように変更された技術も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、例えば半導体製造や超精密微細加工などの分野において、例えばサブピコメートルオーダの分解能を持つ変位計測技術として利用可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 変位計測装置
11 位相シフタ部
111 π/2シフタ
112 コサイン成分出力器
113 サイン成分出力器
114 第一掛け算器
115 第二掛け算器
116 足し算器
12 位相差検出部
121 第三掛け算器
13 ループフィルタ部
131 ローパスフィルタ
132 積分器
20 干渉計
21 光源
22 ビームスプリッタ
23 偏光ビームスプリッタ
24,25 1/4波長板
26 固定ミラー
27 可動ミラー
28,29 偏光子
30,31 受光器
32,33 ハイパスフィルタ
図1
図2
図3
図4