(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】検体管理支援システムおよび検体管理支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220816BHJP
G16H 40/00 20180101ALI20220816BHJP
【FI】
G06Q10/06 324
G16H40/00
(21)【出願番号】P 2018080104
(22)【出願日】2018-04-18
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000134730
【氏名又は名称】ナガノサイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】仁田 壮一
(72)【発明者】
【氏名】前田 真規
(72)【発明者】
【氏名】近藤 幸雄
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-190864(JP,A)
【文献】特開2006-099567(JP,A)
【文献】特開2017-151512(JP,A)
【文献】特開2004-148037(JP,A)
【文献】特表2014-500210(JP,A)
【文献】特開2003-104510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体保管庫を識別するための検体保管庫識別情報を含む1または複数の検体保管庫情報を記憶する検体保管庫情報記憶部と、
入庫作業または出庫作業を示す1または複数の作業項目の各々に対応する作業手順を1または複数の標準作業手順として記憶する標準作業手順記憶部と、
検体を識別するための検体情報の入力または指定、前記1または複数の検体保管庫情報のいずれかの指定、前記1または複数の作業項目のいずれかの指定、および作業予定日の指定をそれぞれ受け付ける第1の受付部と、
前記入力または指定された検体情報、前記指定された検体保管庫情報、前記指定された作業項目および前記指定された作業予定日を含む作業計画を生成する作業計画生成部と、
前記作業計画生成部により生成された1または複数の作業計画を記憶する作業計画記憶部と、
前記1または複数の作業計画のいずれかの指定を受け付ける第2の受付部と、
前記指定された作業計画に含まれる作業項目に対応する標準作業手順を前記標準作業手順記憶部から抽出する標準作業手順抽出部と、
前記指定された作業計画に含まれる検体情報、検体保管庫情報および作業予定日を前記抽出された標準作業手順に統合することにより、前記指定された作業計画に含まれる検体情報および検体保管庫識別情報によりそれぞれ識別される検体および検体保管庫についての作業手順および作業予定日を含む実作業手順を生成する実作業手順生成部と、
前記生成された実作業手順を記憶する実作業手順記憶部とを備える、検体管理支援システム。
【請求項2】
前記1または複数の検体保管庫情報の各々は、性能確認時に設定された温度を含む運転条件に対する性能確認結果を含む性能確認情報をさらに含み、
前記検体管理支援システムは、
検体が検体保管庫に保存されるときの温度を含む保存条件の指定を受け付ける第3の受付部と、
前記指定された検体保管庫情報に含まれる性能確認情報が前記指定された保存条件に適合するか否かを判定する第1の判定部をさらに備える、請求項1記載の検体管理支援システム。
【請求項3】
前記性能確認情報は、前記性能確認結果の有効期限をさらに含み、
前記検体管理支援システムは、
前記指定された作業計画の検体保管庫情報に含まれる性能確認情報が前記指定された保存条件に適合するか否かを判定するとともに現時点が前記指定された作業計画に対応する前記性能確認情報の性能確認結果の有効期限内であるか否かを判定する第2の判定部をさらに備える、請求項2記載の検体管理支援システム。
【請求項4】
前記1または複数の検体保管庫情報の各々は、過去の運転時に
検体保管庫の運転状態が予め定められた許容範囲を逸脱したか否かに関する逸脱情報をさらに含み、
前記検体管理支援システムは、
前記1または複数の検体保管庫情報の逸脱情報に基づいて、運転状態が前記許容範囲を逸脱した検体保管庫に保存された検体の検体情報を抽出し、前記抽出された検体情報が含まれる作業計画を予め定められた方法に従って変更する作業計画変更部をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の検体管理支援システム。
【請求項5】
検体情報の選択を受け付ける第4の受付部と、
前記実作業手順記憶部に記憶された実作業手順に従って作業者により行われた作業報告を作業対象となる検体および検体保管庫の検体情報および検体保管庫情報とともに作業実績として記憶する作業実績記憶部と、
前記作業実績記憶部に記憶された1または複数の作業実績から前記選択された検体情報を含む作業実績を抽出する作業実績抽出部と、
前記抽出された作業実績に含まれる検体保管庫情報に含まれる逸脱情報および前記選択された検体情報を出力する逸脱情報出力部とをさらに備える、請求項4記載の検体管理支援システム。
【請求項6】
1または複数の作業者の力量をそれぞれ示す1または複数の作業者情報を記憶する作業者情報記憶部と、
実作業手順の指定を受け付けるとともに作業者情報の指定を受け付ける第5の受付部と、
前記指定された作業者情報を前記作業者情報記憶部から抽出し、抽出された作業者情報により示される力量が前記指定された実作業手順に対して要求される力量を満足するか否かを判定する第3の判定部をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の検体管理支援システム。
【請求項7】
検体保管庫を識別するための検体保管庫識別情報を含む1または複数の検体保管庫情報を検体保管庫情報記憶部に記憶させるステップと、
入庫作業および出庫作業を含む1または複数の作業項目の各々に対応する作業手順を1または複数の標準作業手順として標準作業手順記憶部に記憶させるステップと、
検体を識別するための検体情報の入力または指定、前記1または複数の検体保管庫情報のいずれかの指定、前記1または複数の作業項目のいずれかの指定、および作業予定日の指定をそれぞれ受け付けるステップと、
前記入力または指定された検体情報、前記指定された検体保管庫情報、前記指定された作業項目および前記指定された作業予定日を含む作業計画を生成するステップと、
前記生成された1または複数の作業計画を作業計画記憶部に記憶させるステップと、
前記1または複数の作業計画のいずれかの指定を受け付けるステップと、
前記指定された作業計画に含まれる作業項目に対応する標準作業手順を前記標準作業手順記憶部から抽出するステップと、
前記指定された作業計画に含まれる検体情報、検体保管庫情報および作業予定日を前記抽出された標準作業手順に統合することにより、前記指定された作業計画に含まれる検体情報および検体保管庫情報によりそれぞれ識別される検体および検体保管庫についての作業手順および作業予定日を含む実作業手順を生成するステップと、
前記生成された実作業手順を実作業手順記憶部に記憶させるステップとを、コンピュータに実行させる、検体管理支援プログラム。
【請求項8】
前記1または複数の検体保管庫情報の各々は、性能確認時に設定された温度を含む運転条件に対する性能確認結果を含む性能確認情報をさらに含み、
前記検体管理支援プログラムは、
検体が検体保管庫に保存されるときの温度を含む保存条件の指定を受け付けるステップと、
前記指定された検体保管庫情報に含まれる性能確認情報が前記指定された保存条件に適合するか否かを判定するステップとを、前記コンピュータにさらに実行させる、請求項7記載の検体管理支援プログラム。
【請求項9】
前記性能確認情報は、前記確認結果の有効期限をさらに含み、
前記検体管理支援プログラムは、
前記指定された作業計画の検体保管庫情報に含まれる性能確認情報が前記指定された保存条件に適合するか否かを判定するとともに現時点が前記指定された作業計画に含まれる有効期限内であるか否かを判定するステップを、前記コンピュータにさらに実行させる、
請求項8記載の検体管理支援プログラム。
【請求項10】
前記1または複数の検体保管庫情報の各々は、過去の運転時に
検体保管庫の運転状態が予め定められた許容範囲を逸脱したか否かに関する逸脱情報をさらに含み、
前記検体管理支援プログラムは、
前記1または複数の検体保管庫情報の逸脱情報に基づいて、運転状態が前記許容範囲を逸脱した検体保管庫に保存された検体の検体情報を抽出し、前記抽出された検体情報が含まれる作業計画を予め定められた方法に従って変更するステップを、前記コンピュータにさらに実行させる、請求項7~9のいずれか一項に記載の検体管理支援プログラム。
【請求項11】
検体情報の選択を受け付けるステップと、
前記実作業手順記憶部に記憶された実作業手順に従って作業者により行われた作業報告を作業対象となる検体および検体保管庫の検体情報および検体保管庫情報とともに作業実績として作業実績記憶部に記憶させるステップと、
前記作業実績記憶部に記憶された1または複数の作業実績から前記選択された検体情報を含む作業実績を抽出するステップと、
前記抽出された作業実績に含まれる検体保管庫情報に含まれる逸脱情報および前記選択された検体情報を出力するステップとを、前記コンピュータにさらに実行させる、請求項10記載の検体管理支援プログラム。
【請求項12】
1または複数の作業者の力量をそれぞれ示す1または複数の作業者情報を作業者情報記憶部に記憶させるステップと、
実作業手順の指定を受け付けるとともに作業者情報の指定を受け付けるステップと、
前記指定された作業者情報を前記作業者情報記憶部から抽出し、抽出された作業者情報により示される力量が前記指定された実作業手順に対して要求される力量を満足するか否かを判定するステップとを、前記コンピュータにさらに実行させる、請求項7~11のいずれか一項に記載の検体管理支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体保管庫に保存される検体の管理を支援する検体管理支援システムおよび検体管理支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品等の検体の安定性を評価するための安定性試験として、検体を一定の温度および湿度で検体保管庫に長期間保存する環境試験が行われる。環境試験においては、検体保管庫に対する検体の入庫作業および出庫作業に人為的な作業ミスが生じると、試験結果の信頼性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人為的な作業ミスの発生を抑制するために、標準作業手順書が用いられる。特許文献1に記載された作業手順管理システムにおいては、作業者がなすべき作業内容が、その作業の実行順に指図情報としてクライアント端末の表示画面に表示される。それにより、作業者は、表示された指図情報に従って予め定められた手順で作業を行うことができる。しかしながら、指図情報は、作業対象となる物および作業に用いる装置が個別に特定された情報を含まない。そのため、作業者は、作業対象物とは異なる物に対して指図情報に従う作業を行う可能性がある。また、作業者は、作業対象となっていない装置を用いて指図情報に従う作業を行う可能性がある。
【0005】
したがって、上記の環境試験において、特許文献1に記載されている作業手順管理システムを用いても、その試験に関わる作業者の人為的な作業ミスを防止することは難しい。
【0006】
本発明の目的は、検体保管庫に対する検体の保存に関する人為的な作業ミスの発生を低減することが可能な検体管理支援システムおよび検体管理支援プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1の発明に係る検体管理支援システムは、検体保管庫を識別するための検体保管庫識別情報を含む1または複数の検体保管庫情報を記憶する検体保管庫情報記憶部と、入庫作業または出庫作業を示す1または複数の作業項目の各々に対応する作業手順を1または複数の標準作業手順として記憶する標準作業手順記憶部と、検体を識別するための検体情報の入力または指定、1または複数の検体保管庫情報のいずれかの指定、1または複数の作業項目のいずれかの指定、および作業予定日の指定をそれぞれ受け付ける第1の受付部と、入力または指定された検体情報、指定された検体保管庫情報、指定された作業項目および指定された作業予定日を含む作業計画を生成する作業計画生成部と、作業計画生成部により生成された1または複数の作業計画を記憶する作業計画記憶部と、1または複数の作業計画のいずれかの指定を受け付ける第2の受付部と、指定された作業計画に含まれる作業項目に対応する標準作業手順を標準作業手順記憶部から抽出する標準作業手順抽出部と、指定された作業計画に含まれる検体情報、検体保管庫情報および作業予定日を抽出された標準作業手順に統合することにより、指定された作業計画に含まれる検体情報および検体保管庫識別情報によりそれぞれ識別される検体および検体保管庫についての作業手順および作業予定日を含む実作業手順を生成する実作業手順生成部と、生成された実作業手順を記憶する実作業手順記憶部とを備える。
【0008】
その検体管理支援システムにおいては、検体情報が入力または指定されるとともに、検体保管庫情報、作業項目および作業予定日が指定されることにより作業計画が生成され、生成された作業計画が作業計画記憶部に記憶される。作業計画記憶部に記憶された作業計画が指定されることにより、その作業計画に含まれる作業項目に対応する標準作業手順が抽出される。また、指定された作業計画に含まれる検体情報、検体保管庫情報、および作業予定日が抽出された標準作業手順に統合され、実作業手順が生成される。
【0009】
この場合、実作業手順には、検体情報により識別される検体、検体保管庫識別情報により識別される検体保管庫についての作業手順および作業予定日が含まれる。それにより、作業者は、実作業手順に基づいて、作業対象となる検体およびその検体の保管先である検体保管庫を正確に把握しつつ、予定された日に標準作業手順に従う作業を行うことができる。その結果、検体保管庫に対する検体の保存に関する人為的な作業ミスの発生が低減される。
【0010】
(2)1または複数の検体保管庫情報の各々は、性能確認時に設定された温度を含む運転条件に対する性能確認結果を含む性能確認情報をさらに含み、検体管理支援システムは、検体が検体保管庫に保存されるときの温度を含む保存条件の指定を受け付ける第3の受付部と、指定された検体保管庫情報に含まれる性能確認情報が指定された保存条件に適合するか否かを判定する第1の判定部をさらに備えてもよい。
【0011】
この場合、検体保管庫の性能確認結果が保存条件に適合するか否かの判定結果に基づいて作業計画を生成することができる。
【0012】
(3)性能確認情報は、性能確認結果の有効期限をさらに含み、検体管理支援システムは、指定された作業計画の検体保管庫情報に含まれる性能確認情報が指定された保存条件に適合するか否かを判定するとともに現時点が指定された作業計画に対応する性能確認情報の性能確認結果の有効期限内であるか否かを判定する第2の判定部をさらに備えてもよい。
【0013】
この場合、作業計画の生成後に、検体保管庫の性能確認結果が保存条件に適合するか否かの判定結果と現時点が有効期限内か否かの判定結果とに基づく処理が可能となる。
【0014】
(4)1または複数の検体保管庫情報の各々は、過去の運転時に検体保管庫の運転状態が予め定められた許容範囲を逸脱したか否かに関する逸脱情報をさらに含み、検体管理支援システムは、1または複数の検体保管庫情報の逸脱情報に基づいて、運転状態が許容範囲を逸脱した検体保管庫に保存された検体の検体情報を抽出し、抽出された検体情報が含まれる作業計画を予め定められた方法に従って変更する作業計画変更部をさらに備えてもよい。
【0015】
この場合、運転状態が許容範囲を逸脱した検体保管庫に保存された検体の作業計画が予め定められた方法に従って適切に変更される。
【0016】
(5)検体管理支援システムは、検体情報の選択を受け付ける第4の受付部と、実作業手順記憶部に記憶された実作業手順に従って作業者により行われた作業報告を作業対象となる検体および検体保管庫の検体情報および検体保管庫情報とともに作業実績として記憶する作業実績記憶部と、作業実績記憶部に記憶された1または複数の作業実績から選択された検体情報を含む作業実績を抽出する作業実績抽出部と、抽出された作業実績に含まれる検体保管庫情報に含まれる逸脱情報および選択された検体情報を出力する逸脱情報出力部とをさらに備えてもよい。
【0017】
この場合、検体情報が選択されることにより、選択された検体情報の検体に対応する検体保管庫の逸脱情報が、選択された検体情報とともに出力される。それにより、検体を保存した検体保管庫に逸脱があった場合に、当該検体の検体情報を選択することにより当該検体が保存された検体保管庫を逸脱情報とともに容易に把握することができる。
【0018】
(6)検体管理支援システムは、1または複数の作業者の力量をそれぞれ示す1または複数の作業者情報を記憶する作業者情報記憶部と、実作業手順の指定を受け付けるとともに作業者情報の指定を受け付ける第5の受付部と、指定された作業者情報を作業者情報記憶部から抽出し、抽出された作業者情報により示される力量が指定された実作業手順に対して要求される力量を満足するか否かを判定する第3の判定部をさらに備えてもよい。
【0019】
この場合、実作業手順および作業者情報が指定されることにより、指定された作業者情報により示される力量が指定された実作業手順に対して要求される力量を満足するか否かが判定される。それにより、力量に応じた作業者の適切な選定が可能となる。
【0020】
(7)第2の発明に係る検体管理支援プログラムは、検体保管庫を識別するための検体保管庫識別情報を含む1または複数の検体保管庫情報を検体保管庫情報記憶部に記憶させるステップと、入庫作業および出庫作業を含む1または複数の作業項目の各々に対応する作業手順を1または複数の標準作業手順として標準作業手順記憶部に記憶させるステップと、検体を識別するための検体情報の入力または指定、1または複数の検体保管庫情報のいずれかの指定、1または複数の作業項目のいずれかの指定、および作業予定日の指定をそれぞれ受け付けるステップと、入力または指定された検体情報、指定された検体保管庫情報、指定された作業項目および指定された作業予定日を含む作業計画を生成するステップと、生成された1または複数の作業計画を作業計画記憶部に記憶させるステップと、1または複数の作業計画のいずれかの指定を受け付けるステップと、指定された作業計画に含まれる作業項目に対応する標準作業手順を標準作業手順記憶部から抽出するステップと、指定された作業計画に含まれる検体情報、検体保管庫情報および作業予定日を抽出された標準作業手順に統合することにより、指定された作業計画に含まれる検体情報および検体保管庫情報によりそれぞれ識別される検体および検体保管庫についての作業手順および作業予定日を含む実作業手順を生成するステップと、生成された実作業手順を実作業手順記憶部に記憶させるステップとを、コンピュータに実行させる。
【0021】
その検体管理支援プログラムによれば、検体情報が入力または指定されるとともに、検体保管庫情報、作業項目および作業予定日が指定されることにより作業計画が生成され、生成された作業計画が作業計画記憶部に記憶される。作業計画記憶部に記憶された作業計画が指定されることにより、その作業計画に含まれる作業項目に対応する標準作業手順が抽出される。また、指定された作業計画に含まれる検体情報、検体保管庫情報、および作業予定日が抽出された標準作業手順に統合され、実作業手順が生成される。
【0022】
この場合、実作業手順には、検体情報により識別される検体、検体保管庫識別情報により識別される検体保管庫についての作業手順および作業予定日が含まれる。それにより、作業者は、実作業手順に基づいて、作業対象となる検体およびその検体の保管先である検体保管庫を正確に把握しつつ、予定された日に標準作業手順に従う作業を行うことができる。その結果、検体保管庫に対する検体の保存に関する人為的な作業ミスの発生が低減される。
【0023】
(8)1または複数の検体保管庫情報の各々は、性能確認時に設定された温度を含む運転条件に対する性能確認結果を含む性能確認情報をさらに含み、検体管理支援プログラムは、検体が検体保管庫に保存されるときの温度を含む保存条件の指定を受け付けるステップと、指定された検体保管庫情報に含まれる性能確認情報が指定された保存条件に適合するか否かを判定するステップとを、コンピュータにさらに実行させてもよい。
【0024】
この場合、検体保管庫の性能確認結果が保存条件に適合するか否かの判定結果に基づいて作業計画を生成することができる。
【0025】
(9)性能確認情報は、確認結果の有効期限をさらに含み、検体管理支援プログラムは、指定された作業計画の検体保管庫情報に含まれる性能確認情報が指定された保存条件に適合するか否かを判定するとともに現時点が指定された作業計画に含まれる有効期限内であるか否かを判定するステップを、コンピュータにさらに実行させてもよい。
【0026】
この場合、作業計画の生成後に、検体保管庫の性能確認結果が保存条件に適合するか否かの判定結果と現時点が有効期限内か否かの判定結果とに基づく処理が可能となる。
【0027】
(10)1または複数の検体保管庫情報の各々は、過去の運転時に検体保管庫の運転状態が予め定められた許容範囲を逸脱したか否かに関する逸脱情報をさらに含み、検体管理支援プログラムは、1または複数の検体保管庫情報の逸脱情報に基づいて、運転状態が許容範囲を逸脱した検体保管庫に保存された検体の検体情報を抽出し、抽出された検体情報が含まれる作業計画を予め定められた方法に従って変更するステップを、コンピュータにさらに実行させてもよい。
【0028】
この場合、運転状態が許容範囲を逸脱した検体保管庫に保存された検体の作業計画が予め定められた方法に従って適切に変更される。
【0029】
(11)検体管理支援プログラムは、検体情報の選択を受け付けるステップと、実作業手順記憶部に記憶された実作業手順に従って作業者により行われた作業報告を作業対象となる検体および検体保管庫の検体情報および検体保管庫情報とともに作業実績として作業実績記憶部に記憶させるステップと、作業実績記憶部に記憶された1または複数の作業実績から選択された検体情報を含む作業実績を抽出するステップと、抽出された作業実績に含まれる検体保管庫情報に含まれる逸脱情報および選択された検体情報を出力するステップとを、コンピュータにさらに実行させてもよい。
【0030】
この場合、検体情報が選択されることにより、選択された検体情報の検体に対応する検体保管庫の逸脱情報が、選択された検体情報とともに出力される。それにより、検体を保存した検体保管庫に逸脱があった場合に、当該検体の検体情報を選択することにより当該検体が保存された検体保管庫を逸脱情報とともに容易に把握することができる。
【0031】
(12)検体管理支援プログラムは、1または複数の作業者の力量をそれぞれ示す1または複数の作業者情報を作業者情報記憶部に記憶させるステップと、実作業手順の指定を受け付けるとともに作業者情報の指定を受け付けるステップと、指定された作業者情報を作業者情報記憶部から抽出し、抽出された作業者情報により示される力量が指定された実作業手順に対して要求される力量を満足するか否かを判定するステップとを、コンピュータにさらに実行させてもよい。
【0032】
この場合、実作業手順および作業者情報が指定されることにより、指定された作業者情報により示される力量が指定された実作業手順に対して要求される力量を満足するか否かが判定される。それにより、力量に応じた作業者の適切な選定が可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、検体保管庫に対する検体の保存に関する人為的な作業ミスの発生を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る検体管理支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の制御装置および記憶装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図12】基本情報登録処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】作業計画生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】作業計画生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】作業計画変更処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】実作業手順生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】作業実績生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】作業実績生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】検体情報出力処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一実施の形態に係る検体管理支援システムおよび検体管理支援プログラムについて図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
[1]検体管理支援システムの構成の概略
以下に説明する検体管理支援システムは、医薬品等の検体を検体保管庫に長期間保存する環境試験を行う際の検体および検体保管庫の管理を支援するものである。以下の説明において、検体を検体保管庫に保存するための作業には、検体を検体保管庫に入庫する入庫作業と検体を検体保管庫から出庫する出庫作業とが含まれる。
【0037】
検体保管庫に関しては、当該検体保管庫内の温度および湿度が所定の許容範囲内にあるか否かを判定するための性能確認試験が行われる。性能確認試験において検体保管庫内の温度および湿度が許容範囲内にあった場合には、その試験の時点から予め定められた有効期間が経過するまで当該検体保管庫の性能が保証される。
【0038】
図1は、本発明の一実施の形態に係る検体管理支援システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る検体管理支援システム1は、検体管理支援装置10、第1の端末装置20および第2の端末装置30を含む。検体管理支援装置10、第1の端末装置20および第2の端末装置30は、ネットワーク90を介して互いに通信可能に接続される。本実施の形態において、ネットワーク90は、例えばLAN(Local area network)である。
【0039】
第1の端末装置20は、例えばパーソナルコンピュータであり、制御部21、操作部22、表示部23および印字装置24を含む。制御部21は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリを含む。また、操作部22は、キーボードとマウス等のポインティングデバイスとを含む。表示部23は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。印字装置24は、紙等のシート状媒体に印字を行うプリンタである。
【0040】
また、第2の端末装置30は、例えばスマートフォンまたはタブレットコンピュータ等の携帯情報端末であり、制御部31、操作部32、表示部33および読取部34を含む。制御部31は、例えばCPUおよびメモリを含む。また、表示部33は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機ELパネルにより構成される。操作部32は、例えば、表示部33に設けられるタッチパネルである。読取部34は、一次元バーコードまたは二次元バーコード等のコードを読み取り可能なカメラまたはコードリーダである。
【0041】
以下の説明では、第1の端末装置20の使用者は承認者および計画作成者であり、第2の端末装置30の使用者は作業者である。承認者は、第1の端末装置20を用いて後述する作業実績および後述する不適合処理に対する承認を実施する。計画作成者は、検体および検体保管庫を管理するとともに、検体の入庫作業および出庫作業に用いる各種情報を設定する。作業者は第2の端末装置30の表示部33に表示される後述する実作業手順に従って、検体の入庫作業、出庫作業および後述する不適合処理を実施する。
【0042】
検体管理支援装置10は、例えばサーバであり、制御装置100および記憶装置200を含む。制御装置100は、例えばCPU、ROM(リードオンリメモリ)およびRAM(ランダムアクセスメモリ)を含み、検体管理支援装置10の複数の構成要素を制御する。記憶装置200は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)を含み、後述する検体管理支援プログラムおよびデータベースを記憶する。
【0043】
[2]制御装置100および記憶装置200の機能的な構成および動作
(1)機能的な構成
図2は、
図1の制御装置100および記憶装置200の機能的な構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置100は、基本情報登録部101、情報指定受付部102、作業計画生成部103、保存条件受付部104、運転性能判定部105を含む。また、制御装置100は、計画指定受付部106、有効性判定部107、作業計画変更部108、標準作業手順抽出部109、実作業手順生成部110を含む。さらに、制御装置100は、検体選択受付部111、作業抽出部112、逸脱情報出力部113、実作業受付部114および力量判定部115を含む。
【0044】
また、記憶装置200は、検体情報記憶部201、検体保管庫情報記憶部202、標準作業手順記憶部203、作業計画記憶部204、実作業手順記憶部205、作業者情報記憶部206および作業実績記憶部207をデータベースの形態で含む。
【0045】
図2に示される各構成要素の機能は、制御装置100を構成するCPUが記憶装置200に記憶された検体管理支援プログラムを実行することにより実現される。なお、上記の構成要素の一部または全てが電子回路等のハードウェアにより構成されてもよい。
【0046】
(2)基本情報
図2の検体保管庫情報記憶部202には、1または複数の検体保管庫情報が基本情報として記憶される。検体保管庫情報は、検体保管庫を識別するための情報を含む。
図3は、検体保管庫情報の一例を示す図である。
図3には、2つの検体保管庫情報ST1,ST2の例が示される。
図3の各検体保管庫情報ST1,ST2は、当該検体保管庫を識別するための情報として「保管庫ID(識別子)」を含み、「運転開始日」、「運転終了日」、「逸脱情報」、「性能確認情報」および「現在設定」をさらに含む。
【0047】
「運転開始日」は、検体保管庫の運転を開始した日付を示す。「運転終了日」は、検体保管庫の運転を終了した日付を示す。「現在設定」は、検体保管庫の現在の設定温度および設定湿度を示す。
【0048】
「逸脱情報」には、「逸脱有無」、「逸脱時期」および「逸脱内容」が含まれる。「逸脱有無」は、検体保管庫の運転中にその検体保管庫内の温度および湿度が許容範囲から逸脱したか否かを示す。「逸脱時期」は、逸脱が発生した場合の発生時期を示す。「逸脱内容」は、逸脱が発生した場合の逸脱の具体的内容を示す。検体保管庫情報ST1では、「逸脱有無」が「無」であるため、「逸脱時期」および「逸脱内容」がブランクである。検体保管庫情報ST2では、「逸脱有無」が「有」であり、「逸脱時期」として具体的な期間が示され、「逸脱内容」として逸脱の具体的内容が示される。
【0049】
「性能確認情報」には、「実施日」、「運転条件」、「試験結果」および「有効期限」が含まれる。「実施日」は、性能確認試験が行われた日付を示す。「運転条件」は、性能確認試験時の検体保管庫内の設定温度および設定湿度を示す。「試験結果」は、性能確認試験時における検体保管庫内の実際の温度および実際の湿度が許容範囲にあったか否かを示す。実際の温度および湿度が許容範囲内にあった場合に「試験結果」は「適合」であり、実際の温度および湿度が許容範囲外にあった場合に「試験結果」は「不適合」である。「有効期限」は、「試験結果」が「適合」であった検体保管庫について、当該検体保管庫内の性能が保証される期間を示す。
【0050】
図2の標準作業手順記憶部203には、基本情報として1または複数の標準作業手順が記憶される。標準作業手順は、入庫作業または出庫作業を示す作業項目に関する標準的な作業手順を示す。
図4は、標準作業手順の一例を示す図である。
図4には、入庫作業の標準作業手順SOP1および出庫作業の標準作業手順SOP2が示される。
【0051】
図2の作業者情報記憶部206には、基本情報として1または複数の作業者情報が記憶される。作業者情報は、1または複数の作業者の力量を示す情報である。
図5は、作業者情報の一例を示す図である。
図5には、2人の作業者情報U1,U2の例が示される。各作業者情報U1,U2には、例えば作業者を識別するための「作業者ID」、「作業者名」およびその作業者の「力量」が含まれる。力量は、作業者の入庫作業および出庫作業に対する熟練の度合いである。
【0052】
(3)基本情報の登録および更新
例えば計画作成者は、検体管理支援装置10に登録すべき検体保管庫情報および標準作業手順を基本情報として
図1の第1の端末装置20に入力することができる。この場合、
図2の制御装置100の基本情報登録部101は、計画作成者により第1の端末装置20に入力された検体保管庫情報および標準作業手順を、検体保管庫情報記憶部202および標準作業手順記憶部203にそれぞれ記憶させる。それにより、計画作成者は、検体保管庫情報および標準作業手順を検体管理支援装置10に登録することができる。また、計画作成者は、検体保管庫情報記憶部202および標準作業手順記憶部203に既に記憶された検体保管庫情報および標準作業手順を更新することができる。
【0053】
ここで、基本情報登録部101は、検体保管庫情報の登録時に、当該検体保管庫情報に含まれる「保管庫ID」のエンコードを第1の端末装置20に指令する。この場合、第1の端末装置20の制御部21は、基本情報登録部101の指令に従って「保管庫ID」をエンコードし、印字装置24がエンコードにより得られるコードを紙等のシート状媒体に印字する。このとき、基本情報登録部101は、印字装置24が1つの検体保管庫に対応する1枚のシート状媒体に1つのコードのみを印字するように、印字動作を指令することが好ましい。計画作成者は、「保管庫ID」のコード(以下、保管庫コードと呼ぶ。)が印字されたシート状媒体を「保管庫ID」により識別される検体保管庫に貼付する。
【0054】
また、例えば承認者は、検体管理支援装置10に登録すべき作業者情報を基本情報として
図1の第1の端末装置20に入力することができる。この場合、
図2の制御装置100の基本情報登録部101は、承認者により第1の端末装置20に入力された作業者情報を、作業者情報記憶部206に記憶させる。それにより、承認者は、作業者情報を検体管理支援装置10に登録することができる。また、承認者は、作業者情報記憶部206に既に記憶された作業者情報を更新することができる。
【0055】
(4)作業計画の生成および変更
計画作成者は、ある検体についての環境試験を計画する場合に、その検体についての作業計画を生成する。この場合、計画作成者は、
図1の第1の端末装置20を操作することにより環境試験の対象となる所望の検体に対応する検体情報を入力する。検体情報は、検体保管庫への保存対象となる検体を識別するための情報を含む。
図6は、検体情報の一例を示す図である。
図6には、2つの検体情報SP1,SP2の例が示される。
図6の各検体情報SP1,SP2は、当該検体を識別するための情報として「検体ID」を含み、「検体名称」、「ロット番号」および「数量」をさらに含む。
【0056】
また、計画作成者は、第1の端末装置20を操作することにより検体保管庫情報記憶部202に記憶された1または複数の検体保管庫情報からいずれかの検体保管庫情報を指定する。また、計画作成者は、第1の端末装置20を操作することにより標準作業手順記憶部203に記憶された1または複数の標準作業手順に対応する作業項目からいずれかの作業項目を指定する。さらに、計画作成者は、第1の端末装置20を操作することにより作業実施日を指定する。
【0057】
この場合、
図2の制御装置100の情報指定受付部102は、計画作成者による検体情報の入力を受け付けるとともに、計画作成者による検体保管庫情報、作業項目および作業予定日の指定を受け付ける。作業計画生成部103は、入力された検体情報、指定された検体保管庫情報、指定された作業項目および指定された作業予定日を含む作業計画を生成する。また、作業計画生成部103は、生成された作業計画を作業計画記憶部204に記憶させる。このようにして、作業計画が検体管理支援装置10に登録される。
【0058】
このとき、情報指定受付部102は、計画作成者により第1の端末装置20に入力された検体情報を、検体情報記憶部201に記憶させる。それにより、検体情報が作業計画とともに検体管理支援装置10に登録される。
【0059】
ここで、情報指定受付部102は、作業計画の登録時に、当該作業計画とともに登録される検体情報に含まれる「検体ID」のエンコードを第1の端末装置20に指令する。この場合、第1の端末装置20の制御部21は、情報指定受付部102の指令に従って「検体ID」を一次元バーコードまたは二次元バーコード等のコードにエンコードし、印字装置24がエンコードにより得られたコードを紙等のシート状媒体に印字する。このとき、情報指定受付部102は、作業計画において入庫対象または出庫対象となる検体が複数存在する場合に、印字装置24がその個数に対応する枚数のシート状媒体にそれぞれコードを印字するように、印字動作を指令することが好ましい。計画作成者は、「検体ID」のコード(以下、検体コードと呼ぶ。)が印字された複数枚のシート状媒体を「検体ID」により識別される複数の検体に貼付する。
【0060】
作業計画の生成時には、計画作成者は、検体情報の入力ならびに検体保管庫情報、作業項目および作業予定日の指定に加えて、環境試験において検体が保存されるべき検体保管庫内の設定温度および設定湿度を保存条件として指定することができる。この場合、制御装置100の保存条件受付部104は、計画作成者による保存条件の指定を受け付ける。本例の保存条件は環境試験における設定温度および設定湿度の両方であるが、保存条件は環境試験における設定温度のみであってもよい。
【0061】
運転性能判定部105は、保存条件が指定されると、その保存条件とともに計画作成者により指定された検体保管庫情報を検体保管庫情報記憶部202から取得する。すなわち、運転性能判定部105は、指定された保存条件で検体を保存すべき検体保管庫に対応する検体保管庫情報を取得する。
【0062】
この場合、運転性能判定部105は、取得された検体保管庫情報に含まれる「性能確認情報」が指定された保存条件に適合するか否かを判定する。具体的には、運転性能判定部105は、指定された検体保管庫について過去に実施された性能確認試験時の運転条件が指定された保存条件に一致するか否かを判定し、判定結果を作業計画生成部103に与える。
【0063】
作業計画生成部103は、運転条件が保存条件に一致するという判定結果を受けた場合に上記のように作業計画を生成する。一方、作業計画生成部103は、運転条件が保存条件に一致しないという判定結果を受けた場合に、予め定められた処理を行う。例えば、作業計画生成部103は、作業計画を生成しないか、または検体保管庫情報の再指定を促すメッセージを計画作成者へ画像または音声により提示することを第1の端末装置20に指令する。
【0064】
図7は、作業計画の一例を示す図である。
図7には、2つの作業計画OPL1,OPL2の例が示される。
図7の各作業計画OPL1,OPL2には、当該作業計画を他の作業計画から識別するための「計画ID」が付与される。また、各作業計画OPL1,OPL2には、指定された検体情報の一部である「検体ID」および指定された検体保管庫情報の一部である「保管庫ID」とともに指定された「保存条件」が含まれる。また、各作業計画OPL1,OPL2には、複数の作業項目として「入庫作業」および「出庫作業」が作業予定日とともに含まれる。
【0065】
さらに、作業計画OPL1,OPL2には、「入庫作業」および「出庫作業」に付随する情報として「入庫量」および「出庫量」が含まれる。このように、計画作成者は、作業計画OPL1,OPL2の生成時に、各作業の作業対象となる検体の量を指定することもできる。
【0066】
作業計画変更部108は、所定の周期で検体保管庫情報記憶部202に記憶される1または複数の検体保管庫情報のうち、「逸脱有無」の「有」の逸脱情報を新たに含むことになった検体保管庫情報が存在するか否かを判定する。また、作業計画変更部108は、「逸脱有無」の「有」を新たに含むことになった検体保管庫情報が存在する場合に、当該検体保管庫情報に対応する検体保管庫に保存された検体の検体情報を抽出する。さらに、作業計画変更部108は、抽出された検体情報が含まれる作業計画をその「逸脱時期」および「逸脱内容」に基づいて、予め定められた方法に従って変更する。また、作業計画変更部108は、変更後の作業計画で作業計画記憶部204に記憶された元の作業計画を更新する。
【0067】
図8は、作業計画の変更の一例を示す図である。
図8の上部には変更前の作業計画OPL1aが示され、下部には変更後の作業計画OPL1bが示される。
図8の中央部には、検体保管庫AAAに対応する検体保管庫情報に含まれる逸脱情報が示される。
【0068】
変更前の作業計画OPL1aでは、「2018/3/20 入庫作業」および「2018/6/20 出庫作業」が予定されている。この場合、検体001の保存期間は3か月間である。
【0069】
作業計画OPL1aが生成された後で、検体保管庫AAAに逸脱が生じることがある。
図8の逸脱情報によれば、検体保管庫AAAにおいて「2018/5/21~2018/5/24」の4日間その内部温度が許容範囲よりも3℃超えていたことが示される。
【0070】
この場合、
図2の作業計画変更部108は、例えば逸脱が発生していた期間を検体001の保存期間に追加する。それにより、変更後の作業計画OPL1bでは、
図8の下部に太い点線で示すように、検体001の出庫作業の作業予定日が「2018/6/24 出庫作業」に変更されている。
【0071】
(5)実作業手順の生成
実際に作業者が環境試験を行うために、作業計画の作業項目に対応する具体的な作業手順が実作業手順として生成される。実作業手順は、
図1の第2の端末装置30の表示部33に作業計画とともに表示される。作業者は、表示部33に表示された実作業手順に従って作業を行う。
【0072】
以下、実作業手順の生成方法について説明する。計画作成者は、
図1の第1の端末装置20を操作することにより
図2の作業計画記憶部204に記憶された1または複数の作業計画のいずれかを指定する。具体的には、計画作成者は、例えば第1の端末装置20に所望の作業計画に対応する計画IDを入力することにより所望の作業計画を指定する。
【0073】
なお、作業計画の指定は、計画作成者が第1の端末装置20に入力する情報に応答して検体管理支援装置10の計画指定受付部106がその情報に対応する作業計画を作業者に提示することにより行われてもよい。
【0074】
例えば、計画作成者による第1の端末装置20への作業予定日の入力に応答して、計画指定受付部106がその作業予定日を含む作業計画を作業計画記憶部204から抽出し、抽出された作業計画のリストを計画作成者に提示することを第1の端末装置20に指令してもよい。または、第1の端末装置20への検体IDの入力に応答して、計画指定受付部106がその検体IDを含む作業計画を作業計画記憶部204から抽出し、抽出された作業計画のリストを計画作成者に提示することを第1の端末装置20に指令してもよい。あるいは、第1の端末装置20への作業項目の入力に応答して、計画指定受付部106がその作業項目を含む作業計画を作業計画記憶部204から抽出し、抽出された作業計画のリストを計画作成者に提示することを第1の端末装置20に指令してもよい。
【0075】
これらの場合、計画作成者は、第1の端末装置20により提示された作業計画のリストから所望の作業計画を選択することにより、作業計画の指定を行ってもよい。なお、前記計画作成者による作業計画の指定は省略されてもよく、その場合、計画指定受付部106が第1の端末装置20に入力された情報に対応する作業計画を抽出するとともに抽出された作業計画が指定されたとしてもよい。
【0076】
上記のように、計画作成者により作業計画が指定されると、制御装置100の計画指定受付部106は、当該作業計画の指定を受け付ける。また、標準作業手順抽出部109は、指定された作業計画に含まれる作業項目に対応する標準作業手順を標準作業手順記憶部203から抽出する。実作業手順生成部110は、指定された作業計画に含まれる検体情報、検体保管庫情報および作業予定日を抽出された標準作業手順に統合する。それにより、検体情報、検体保管庫情報および作業予定日を含む作業手順が実作業手順として生成される。実作業手順においては、検体、検体保管庫および作業予定日が特定される。さらに、実作業手順生成部110は、生成された実作業手順を実作業手順記憶部205に記憶させる。このようにして、実作業手順が検体管理支援装置10に登録される。
【0077】
図9は、実作業手順の一例を示す図である。
図9には、
図4の標準作業手順SOP1および
図7の作業計画OPL1とともに、それらの情報から生成された入庫作業の実作業手順AOP1が示される。
【0078】
図9の実作業手順AOP1には、「作業計画を作業者と承認者とで確認する。」という作業指示が含まれる。それにより、作業者および承認者は、第2の端末装置30の表示部33に表示された作業計画の内容を確認し、確認した証拠として例えば電子署名を行う。
【0079】
また、実作業手順AOP1には、「作業者を確認する。」という作業指示が含まれる。「作業者を確認する。」とは、例えば作業者が自己の作業者コードを
図1の第2の端末装置30の読取部34で読み取る作業を意味する。作業者コードは、各作業者に付与された作業者IDを示すコードである。作業者IDについては後述する。
【0080】
さらに、実作業手順AOP1には、「検体001を確認する。」という作業指示が含まれる。これにより、作業者は、確認対象となる検体を容易に認識することができる。「検体001を確認する。」とは、例えば作業者が検体001に貼付された検体コードを読み取る作業を意味する。
【0081】
また、実作業手順AOP1において、「入庫する検体001の量(50個)を確認する。」とは、例えば作業者が入庫対象となる検体001の個数50を確認する作業を意味する。
【0082】
また、実作業手順AOP1には、「検体保管庫AAAを確認する。」という作業指示が含まれる。これにより、作業者は、確認対象となる検体保管庫を容易に認識することができる。「検体保管庫AAAを確認する。」とは、例えば作業者が検体保管庫AAAに貼付された保管庫コードを読み取る作業を意味する。
【0083】
また、実作業手順AOP1において、「検体001を検体保管庫AAAへ入れる。」とは、例えば作業者が検体001を検体保管庫AAAに入れ、その入庫の完了を第2の端末装置30の操作部32に入力する作業を意味する。なお、前記入力する作業は省略されてもよい。
【0084】
作業者は、上記のように実作業手順AOP1に従う一連の作業を行った後、当該一連の作業の完了を承認者に報告した上で、承認者にその承認を第2の端末装置30に入力するように依頼する。
【0085】
ここで、実作業手順AOP1に従う作業時に、第2の端末装置30により読み取られる情報および入力される情報は、作業報告として検体管理支援装置10に送信される。本実施の形態では、一連の作業に対応する複数の作業報告は、一の作業が行われるごとに検体管理支援装置10に送信されるが、全ての作業完了時に全ての作業報告が一括して検体管理支援装置10に送信されてもよい。
【0086】
図2の有効性判定部107は、計画指定受付部106による作業計画の指定の受け付け時に、指定された作業計画に含まれる検体保管庫情報を取得する。また、有効性判定部107は、運転性能判定部105の動作と同様に、取得された検体保管庫情報に含まれる「性能確認情報」が指定された保存条件に適合するか否かを判定する。さらに、有効性判定部107は、取得された検体保管庫情報に含まれる「性能確認情報」に基づいて、現時点が当該検体保管庫情報に対応する検体保管庫の性能が保証された有効期限内であるか否かを判定する。
【0087】
実作業手順生成部110は、有効性判定部107による判定結果が、検体保管庫情報の性能確認情報が作業計画に含まれる保存条件に適合しない場合または現時点が有効期限内でない場合に、予め定められた処理を行う。例えば、実作業手順生成部110は、実作業手順を生成しないか、または検体保管庫の性能確認試験を促すメッセージを計画作成者へ画像または音声により提示することを第1の端末装置20に指令する。
【0088】
(6)実績管理
作業者の作業実績の生成について説明する。計画作成者は、作業者に実作業手順に従う作業を行わせるために、第1の端末装置20を操作することにより対象となる実作業手順を指定する。それにより、制御装置100の実作業受付部114は、指定された実作業手順を実作業手順記憶部205から抽出するとともに、抽出した実作業手順を表示部33に表示することを
図1の第2の端末装置30に指令する。
【0089】
その後、作業者が実作業手順に従って作業を進めるとともに、第2の端末装置30の操作部32を操作する。それにより、第2の端末装置30から検体管理支援装置10に作業報告が送信される。この場合、制御装置100の実作業受付部114は、作業報告を受け付ける。ここで、作業者による作業が開始された後、実作業受付部114が最初に受け付ける作業報告は作業者IDおよび後述する承認者IDを含む電子署名の情報である。
【0090】
次に、実作業受付部114は、さらに受け付けた作業報告と指定された実作業手順とに基づいて、作業者により実際に行われた作業が実作業手順に一致するか否かを判定する。また、実作業受付部114は、受け付けた作業報告および実際の作業が実作業手順に一致するか否かの判定結果(以下、作業判定結果と呼ぶ。)とその実作業受付時刻(実作業受付日時)とを作業者ごとに作業実績として作業実績記憶部207に記憶させる。それにより、作業者による作業が行われるごとに、作業実績記憶部207に当該作業者の作業実績が登録または更新される。
【0091】
なお、上記のように、一連の作業に対応する複数の作業報告が全ての作業完了時に一括して検体管理支援装置10に送信される場合には、一連の作業に対応する複数の作業報告は、作業者による一連の作業が終了するまでの間、
図1の制御部31に一時的に記憶される。また、制御部31に一時的に記憶される複数の作業報告には、その作業報告が生成された時刻が上記の実作業受付時刻として付与される。この場合、実作業受付部114は、一連の作業に対応する複数の作業報告を受信したときに、受信した複数の作業報告の各々について実作業手順に一致するか否かの判定を行う。
【0092】
図10は作業実績の一例を示す図であり、
図11は作業実績の他の例を示す図である。
図10には一の作業者の作業実績OA1の例が示され、
図11には他の作業者の作業実績OA2の例が示される。
図10および
図11の各作業実績OA1,OA2には、
図9の実作業手順AOP1に対応する作業実績として、「作業者ID」とともに「入庫作業」、「作業日」、「作業報告」、「作業判定結果」および「実作業受付時刻」が含まれる。なお、
図10および
図11において、「承認者ID」は、各承認者に付与される情報であり、当該承認者を他の承認者から識別するためのものである。
【0093】
図10および
図11では、実際の作業が実作業手順に一致したときの「作業判定結果」は「OK」であり、実際の作業が実作業手順に一致しなかったときの「作業判定結果」は「NG」である。
【0094】
図10に示される「W01」の「作業者ID」を有する作業者(以下、作業者W01と呼ぶ。)の作業実績OA1によれば、作業者W01は
図9の実作業手順AOP1の全ての作業指示に対して正確な作業を行ったことがわかる。
【0095】
一方、
図11に示される「W02」の「作業者ID」を有する作業者(以下、作業者W02と呼ぶ。)の作業実績OA2によれば、作業者W02は
図9の実作業手順AOP1の一部の作業指示に対して誤った作業を行ったことがわかる。具体的には、作業者W02は、
図9の実作業手順AOP1の「検体001を確認する。」という作業指示に対して、最初に誤って検体003の検体コードを
図1の第2の端末装置30の読取部34で読み取った後、検体001の検体コードを読み取ったことがわかる。このように、作業実績記憶部207に記憶される作業実績によれば、各作業者の実際に行った作業の正確性を容易に把握することができる。
【0096】
さらに、
図10および
図11の作業実績OA1,OA2においては、
図9の実作業手順AOP1に対応する作業の完了について、承認者による承認の有無が付加される。具体的には、作業者W01から作業完了の報告を受けた承認者がその報告の承認を
図1の第2の端末装置30の操作部32に入力した場合、
図10の作業実績OA1に示すように当該作業実績に「承認有」が付与される。一方、作業者W02から作業完了の報告を受けた承認者がその報告の承認を
図1の第2の端末装置30の操作部32に入力しない場合、
図11の作業実績OA2に示すように当該作業実績に「承認無」が付与される。
図10および
図11に示されるように、実作業手順に対する作業報告を一覧で確認できることにより、その報告を受けた承認者は、作業が正確に実施されたことを容易に判断することができる。
【0097】
ここで、
図2の力量判定部115は、実作業手順に基づく作業が開始された後、実作業受付部114により最初に受け付けられる作業者IDに基づいて、その作業者IDを含む作業者情報を作業者情報記憶部206から抽出する。
【0098】
上記の実作業手順には、対象となる検体の価格または対象となる検体保管庫の取り扱い性等の観点から、作業者に要求される力量が要求力量として予め定められていてもよい。この場合、力量判定部115は、抽出された作業者情報により示される力量が当該実作業手順に対応する要求力量を満足するか否かを判定する。力量判定部115は、作業者の力量が要求力量を満足しないと判定した場合に、予め定められた処理を行う。例えば、力量判定部115は、作業を停止するかまたは作業者の交代を促すメッセージを計画作成者および作業者へ画像または音声により提示することを第1の端末装置20および第2の端末装置30に指令する。これにより、力量に応じた作業者の適切な選定が可能となる。
【0099】
(7)検体の過去の保存状態の確認
計画作成者は、
図1の第1の端末装置20を操作することにより過去に環境試験が行われた検体について
図2の検体情報記憶部201に記憶された検体情報を指定することができる。この場合、検体選択受付部111は、検体情報の選択を受け付ける。作業抽出部112は、作業実績記憶部207から選択された検体情報を含む作業実績を抽出する。逸脱情報出力部113は、抽出された作業実績に含まれる検体保管庫情報を取得する。また、逸脱情報出力部113は、取得された検体保管庫情報に「逸脱有無」の「有」が含まれる場合、その逸脱情報を選択された検体情報とともに第1の端末装置20に出力する。それにより、計画作成者は、検体管理支援装置10から与えられる逸脱情報および検体情報に基づいて、選択した検体の過去の環境試験中に当該検体が保存された検体保管庫に逸脱が発生していたか否かを容易に把握することができる。
【0100】
このとき、逸脱情報出力部113は、選択された検体が保存されていた検体保管庫の逸脱情報のうち、当該検体の保存期間中の逸脱情報のみを第1の端末装置20に出力してもよい。あるいは、逸脱情報出力部113は、選択された検体が保存されていた検体保管庫の全ての逸脱情報を第1の端末装置20に出力してもよい。
【0101】
なお、逸脱情報出力部113は、検体情報が選択された場合に、選択された検体と、当該検体を過去に保存した1または複数の検体保管庫と、各検体保管庫の逸脱情報および性能確認情報とを含む検体履歴情報を生成してもよい。また、逸脱情報出力部113は、生成された検体履歴情報を
図1の第1の端末装置20または第1の端末装置20と同等の外部装置に送信してもよい。この場合、計画作成者は、検体履歴情報を第1の端末装置20の表示部23または外部装置が備える表示部に表示することにより、選択された検体とその検体が保存された1または複数の検体保管庫の逸脱情報および性能確認情報との一覧を視認することができる。これにより、承認者は、選択した検体について、過去に保存した検体保管庫とその検体保管庫における逸脱の有無を容易に把握することができる。
【0102】
[3]検体管理支援プログラム
上記のように、制御装置100を構成するCPUは、記憶装置200に記憶された検体管理支援プログラムを実行する。それにより、以下に示す基本情報登録処理、作業計画生成処理、作業計画変更処理、実作業手順生成処理、作業実績生成処理および検体情報出力処理が行われる。
【0103】
(1)基本情報登録処理
図12は、基本情報登録処理の一例を示すフローチャートである。基本情報登録処理は、所定周期で繰り返し実行される。なお、基本情報登録処理は、例えば計画作成者により
図1の第1の端末装置20から
図1の検体管理支援装置10に基本情報登録処理の開始が指令されることにより開始されてもよい。
【0104】
基本情報登録処理が開始されると、
図2の基本情報登録部101は、基本情報として検体保管庫情報が入力されたか否かを判定する(ステップS10)。基本情報登録部101は、検体保管庫情報が入力されない場合、後述するステップS13の処理に進む。一方、基本情報登録部101は、検体保管庫情報が入力された場合、その検体保管庫情報を検体保管庫情報記憶部202に記憶させる(ステップS11)。また、基本情報登録部101は、検体保管庫情報に含まれる保管庫IDのエンコードを計画作成者の第1の端末装置20に一度だけ指令する(ステップS12)。
【0105】
次に、基本情報登録部101は、基本情報として標準作業手順が入力されたか否かを判定する(ステップS13)。基本情報登録部101は、標準作業手順が入力されない場合、後述するステップS15の処理に進む。一方、基本情報登録部101は、標準作業手順が入力された場合、その標準作業手順を標準作業手順記憶部203に記憶させる(ステップS14)。
【0106】
次に、基本情報登録部101は、基本情報として作業者情報が入力されたか否かを判定する(ステップS15)。基本情報登録部101は、作業者情報が入力されない場合、後述するステップS17の処理に進む。一方、基本情報登録部101は、作業者情報が入力された場合、その作業者情報を作業者情報記憶部206に記憶させる(ステップS16)。
【0107】
次に、基本情報登録部101は、基本情報を更新するための情報が入力されたか否かを判定する(ステップS17)。基本情報登録部101は、基本情報を更新するための情報が入力されない場合、基本情報登録処理を終了する。一方、基本情報登録部101は、基本情報を更新するための情報が入力された場合、その情報に基づいて検体保管庫情報記憶部202、標準作業手順記憶部203および作業者情報記憶部206のいずれかに記憶されている情報の更新を行い(ステップS18)、基本情報登録処理を終了する。
【0108】
(2)作業計画生成処理
図13および
図14は、作業計画生成処理の一例を示すフローチャートである。作業計画生成処理は、例えば計画作成者により
図1の第1の端末装置20から
図1の検体管理支援装置10に作業計画生成処理の開始が指令されることにより開始される。
【0109】
作業計画生成処理が開始されると、
図2の情報指定受付部102は、検体情報が入力されたか否かを判定する(ステップS20)。情報指定受付部102は、検体情報が入力されない場合、検体情報が入力されるまでステップS20の処理を繰り返す。一方、情報指定受付部102は、検体情報が入力された場合、入力された検体情報を保持する(ステップS21)。
【0110】
次に、保存条件受付部104は、保存条件が指定されたか否かを判定する(ステップS22)。保存条件受付部104は、保存条件が指定されない場合、保存条件が指定されるまでステップS22の処理を繰り返す。一方、情報指定受付部102は、保存条件が指定された場合、指定された保存条件を保持する(ステップS23)。
【0111】
次に、情報指定受付部102は、検体保管庫情報が指定されたか否かを判定する(ステップS24)。情報指定受付部102は、検体保管庫情報が指定されない場合、検体保管庫情報が指定されるまでステップS24の処理を繰り返す。一方、情報指定受付部102は、検体保管庫情報が指定された場合、指定された検体保管庫情報を保持する(ステップS25)。
【0112】
次に、運転性能判定部105は、指定された検体保管庫情報に含まれる性能確認情報がステップS22で指定された保存条件に適合するか否かを判定する(ステップS26)。
【0113】
運転性能判定部105は、性能確認情報が指定された保存条件に適合しない場合、検体保管庫情報の再指定を促すメッセージを計画作成者へ画像または音声により提示することを第1の端末装置20に指令する(ステップS27)。その後、情報指定受付部102はステップS24の処理に戻る。
【0114】
一方、情報指定受付部102は、ステップS26の処理で性能確認情報が指定された保存条件に適合する場合、作業項目が指定されたか否かを判定する(ステップS28)。情報指定受付部102は、作業項目が指定されない場合、作業項目が指定されるまでステップS28の処理を繰り返す。一方、情報指定受付部102は、作業項目が指定された場合、指定された作業項目を保持する(ステップS29)。
【0115】
次に、情報指定受付部102は、作業予定日が指定されたか否かを判定する(ステップS30)。情報指定受付部102は、作業予定日が指定されない場合、作業予定日が指定されるまでステップS30の処理を繰り返す。一方、情報指定受付部102は、作業予定日が指定された場合、指定された作業予定日を保持する(ステップS31)。
【0116】
次に、情報指定受付部102は、作業計画の生成に必要とされる全ての指定が完了したか否かを判定する(ステップS32)。この判定は、例えば計画作成者が
図1の第1の端末装置20の操作部22を操作することにより、当該第1の端末装置20から作業計画の生成に必要な全ての指定が完了したという信号が受け付けられたか否かに基づいて行われる。
【0117】
情報指定受付部102は、全ての指定が完了していない場合、ステップS28の処理に戻る。一方、情報指定受付部102は、全ての指定が完了した場合、保持された全ての情報を作業計画生成部103に与える。それにより、作業計画生成部103は、指定された検体情報、指定された検体保管庫情報、指定された保存条件、指定された作業項目、および指定された作業予定日を含む作業計画を生成する(ステップS33)。また、作業計画生成部103は、生成した作業計画を作業計画記憶部204に記憶させる(ステップS34)。
【0118】
このとき、情報指定受付部102は、ステップS21において保持した検体情報を検体情報記憶部201に記憶させる(ステップS35)。また、情報指定受付部102は、検体情報に含まれる検体IDのエンコードを計画作成者の第1の端末装置20に指令する(ステップS36)。この場合、第1の端末装置20の制御部21は、情報指定受付部102の指令に従って「検体ID」を一次元バーコードまたは二次元バーコード等のコードにエンコードし、印字装置24がエンコードにより得られたコードを紙等のシート状媒体に印字する。このとき、情報指定受付部102は、作業計画において入庫対象または出庫対象となる検体が複数存在する場合に、印字装置24がその個数に対応する枚数のシート状媒体にそれぞれコードを印字するように、印字動作を指令することが好ましい。計画作成者は、「検体ID」のコード(検体コード)が印字された複数枚のシート状媒体を「検体ID」により識別される複数の検体に貼付する。それにより、作業計画生成処理が終了する。
【0119】
上記のステップS26の処理において、性能確認情報が指定された保存条件に適合しない場合、運転性能判定部105は、ステップS27の処理に代えて作業計画生成処理を終了してもよい。なお、本実施の形態においては、上記のステップS26,S27の処理は行われなくてもよい。
【0120】
(3)作業計画変更処理
図15は、作業計画変更処理の一例を示すフローチャートである。作業計画生成処理は、所定周期で繰り返し実行される。作業計画変更処理が開始されると、作業計画変更部108は、検体保管庫情報記憶部202に記憶される1または複数の検体保管庫情報について、「逸脱有無」の「有」の逸脱情報を新たに含むことになった検体保管庫情報が存在するか否かを判定する(ステップS40)。
【0121】
作業計画変更部108は、「逸脱有無」の「有」を新たに含むことになった検体保管庫情報が存在しない場合、作業計画変更処理を終了する。一方、作業計画変更部108は、「逸脱有無」の「有」を新たに含むことになった検体保管庫情報が存在する場合に、逸脱のあった検体保管庫に保存されていた検体の検体情報を抽出する(ステップS41)。
【0122】
次に、作業計画変更部108は、抽出された検体情報を含む作業計画を、予め定められた方法に従って変更し(ステップS42)、作業計画変更処理を終了する。
【0123】
(4)実作業手順生成処理
図16は、実作業手順生成処理の一例を示すフローチャートである。実作業手順生成処理は、例えば計画作成者により
図1の第1の端末装置20から
図1の検体管理支援装置10に実作業手順生成処理の開始が指令されることにより開始される。
【0124】
実作業手順生成処理が開始されると、
図2の計画指定受付部106は、作業計画が指定されたか否かを判定する(ステップS50)。計画指定受付部106は、作業計画が指定されない場合、ステップS50の処理を繰り返す。一方、有効性判定部107は、作業計画が指定された場合、指定された作業計画に含まれる検体保管庫情報および保存条件を取得する(ステップS51)。
【0125】
次に、有効性判定部107は、取得された検体保管庫情報に含まれる性能確認情報が取得された保存条件に適合するか否かを判定する(ステップS52)。有効性判定部107は、性能確認情報が保存条件に適合しない場合、予め定められた処理を不適合処理として行った後(ステップS57)、実作業手順生成処理を終了する。一方、有効性判定部107は、性能確認情報が保存条件に適合する場合、現時点は検体保管庫の性能が保証された有効期限内であるか否かを判定する(ステップS53)。
【0126】
有効性判定部107は、現時点が有効期限内でない場合、予め定められた処理を不適合処理として行った後(ステップS57)、実作業手順生成処理を終了する。一方、標準作業手順抽出部109は、現時点が有効期限内である場合、指定された作業計画に含まれる作業項目に対応する標準作業手順を標準作業手順記憶部203から抽出する(ステップS54)。また、実作業手順生成部110は、指定された作業計画に含まれる検体情報、検体保管庫情報および作業予定日を抽出された標準作業手順に統合することにより実作業手順を生成する(ステップS55)。また、実作業手順生成部110は、生成した実作業手順を実作業手順記憶部205に記憶させ(ステップS56)、実作業手順生成処理を終了する。
【0127】
ステップS57の不適合処理は、対象となる検体、対象となる検体保管庫および実作業手順の内容に応じて予め定められた処理である。ステップS57の不適合処理は、例えば、実作業手順を生成しないメッセージまたは検体保管庫の性能確認試験を促すメッセージを計画作成者へ画像または音声により提示することを
図1の第1の端末装置20に指令する処理であってもよい。
【0128】
(5)作業実績生成処理
図17は、作業実績生成処理の一例を示すフローチャートである。作業実績生成処理は、例えば計画作成者により
図1の第1の端末装置20から検体管理支援装置10に実作業手順の指定が与えられることにより開始される。
【0129】
作業実績生成処理が開始されると、実作業受付部114は、指定された実作業手順を実作業手順記憶部205から抽出するとともに、抽出した実作業手順を
図1の第2の端末装置30に送信する(ステップS60)。
【0130】
次に、実作業受付部114は、第2の端末装置30からの作業報告として作業者IDを受け付けたか否かを判定する(ステップS61)。実作業受付部114は、作業者IDを受け付けるまでステップS61の処理を繰り返す。一方、力量判定部115は、実作業受付部114が作業者IDを受け付けると、その作業者IDに対応する作業者情報を作業者情報記憶部206から抽出する(ステップS62)。
【0131】
次に、力量判定部115は、抽出した作業者情報および指定された実作業手順に基づいて、作業者の力量が指定された実作業手順の要求力量を満足するか否かを判定する(ステップS63)。力量判定部115は、作業者の力量が要求力量を満足しない場合、予め定められた処理として不適合処理を行った後(ステップS69)、作業実績生成処理を終了する。一方、実作業受付部114は、作業者の力量が要求力量を満足する場合、新たな作業報告を受け付けたか否かを判定する(ステップS64)。
【0132】
実作業受付部114は、作業報告を受け付けるまで、ステップS64の処理を繰り返す。一方、実作業受付部114は、作業報告を受け付けると、受け付けた作業報告と指定された実作業手順とに基づいて、作業者により実際に行われた作業が実作業手順に一致するか否かを判定する(ステップS65)。
【0133】
次に、実作業受付部114は、作業者の作業が実作業手順に一致する場合、受け付けた作業報告を作業実績として作業実績記憶部207に記憶させる(ステップS66)。このとき、実作業受付部114は、当該作業実績にステップS65の実作業受付時刻を付与する。
【0134】
その後、実作業受付部114は、実作業手順に従う全ての作業が完了したか否かを判定する(ステップS67)。この判定は、指定された実作業手順の複数の作業指示にそれぞれ対応する複数の作業報告が受け付けられたか否かに基づいて行われる。
【0135】
実作業受付部114は、全ての作業が完了していない場合、ステップS64の処理に戻り、全ての作業が完了した場合に作業実績生成処理を終了する。
【0136】
上記のステップS65において、実作業受付部114は、作業者の作業が実作業手順に一致しない場合、環境試験に対する当該誤作業の影響が軽微であるか否かを判定する(ステップS70)。この判定基準は、対象となる検体、対象となる検体保管庫および実作業手順の内容に応じて承認者により予め定められる。例えば、
図9の入庫作業の実作業手順AOP1に関して、「作業者を確認する。」作業と「検体001を確認する。」作業とを本来の手順とは逆の順に行っても、環境試験に悪影響は生じないと考えられる。このような場合には、誤作業の影響が軽微であると判定される。一方、
図9の入庫作業の実作業手順AOP1に関して、「検体001を確認する。」作業が行われることなく「検体001を検体保管庫AAAへ入れる。」作業が行われると、実際に検体保管庫AAAに入庫された検体を把握することができない。このような場合には、誤作業の影響が軽微でないと判定される。
【0137】
ステップS70の処理において、環境試験に対する当該作業の影響が軽微でないと判定された場合、実作業受付部114は、ステップS69の不適合処理に進む。一方、ステップS70の処理において環境試験に対する誤作業の影響が軽微であると判定された場合、実作業受付部114は、ステップS66の処理と同様に、受け付けた作業報告を作業実績として作業実績記憶部207に記憶させる(ステップS71)。このとき、実作業受付部114は、当該作業実績にステップS65,S71のいずれかの実作業受付時刻を付与する。
【0138】
次に、実作業受付部114は、作業指示に従う作業の再度の実行を促すメッセージを作業者へ画像または音声により提示することを第2の端末装置30に指令する(ステップS72)。その後、実作業受付部114はステップS64の処理に戻る。
【0139】
ステップS69の不適合処理は、対象となる検体、対象となる検体保管庫および実作業手順の内容に応じて予め定められた処理である。ステップS69の不適合処理は、少なくとも作業者へ実作業手順を逸脱したことを通知することを含み、通知を受けた作業者が予め定められた方法で実作業手順を逸脱したことに対する処理を行うものとする。その他のステップS69の不適合処理として、例えば作業を停止するかまたは作業者の交代を促すメッセージを承認者および作業者へ画像または音声により提示することを
図1の第1の端末装置20および第2の端末装置30に指令する処理であってもよい。
【0140】
(6)検体情報出力処理
図19は、検体情報出力処理の一例を示すフローチャートである。検体情報出力処理は、例えば計画作成者により
図1の第1の端末装置20から検体管理支援装置10に検体情報出力処理の開始が指令されることにより開始される。
【0141】
検体情報出力処理が開始されると、検体選択受付部111は、検体情報が選択されたか否かを判定する(ステップS80)。検体選択受付部111は、検体情報が選択されない場合、ステップS80の処理を繰り返す。一方、検体選択受付部111は、検体情報が選択されると、選択された検体情報を含む作業実績を作業実績記憶部207から抽出する(ステップS81)。
【0142】
次に、逸脱情報出力部113は、抽出された作業実績に含まれる検体保管庫情報を取得する(ステップS82)。また、逸脱情報出力部113は、取得された検体保管庫情報に含まれる逸脱情報を取得する(ステップS83)。その後、逸脱情報出力部113は、選択された検体情報および取得した逸脱情報を出力し(ステップS84)、検体情報出力処理を終了する。
【0143】
[4]実施の形態の効果
本実施の形態に係る検体管理支援システム1においては、計画作成者により検体情報、検体保管庫情報、作業項目および作業予定日が指定されることにより作業計画が生成され、生成された作業計画が作業計画記憶部204に記憶される。作業計画記憶部204に記憶された作業計画が指定されることにより、その作業計画に含まれる作業項目に対応する標準作業手順が抽出される。また、指定された作業計画に含まれる検体情報、検体保管庫情報、および作業予定日が抽出された標準作業手順に統合され、実作業手順が生成される。
【0144】
この場合、実作業手順には、検体情報により識別される検体、検体保管庫識別情報により識別される検体保管庫についての作業手順および作業予定日が含まれる。それにより、作業者は、実作業手順に基づいて、作業対象となる検体およびその検体の保管先である検体保管庫を正確に把握しつつ、予定された日に標準作業手順に従う作業を行うことができる。その結果、検体保管庫に対する検体の保存に関する人為的な作業ミスの発生が低減される。
【0145】
[5]他の実施の形態
(1)検体保管庫情報は、その検体保管庫情報により識別される検体保管庫について過去に実施されたメンテナンスに関する情報および過去に発生した故障に関する情報のうち少なくとも一方を保管庫履歴情報として含んでもよい。
【0146】
この場合、作業計画生成処理において、
図2の運転性能判定部105は、指定された検体保管庫情報に含まれる保管庫履歴情報に基づいて、当該検体保管庫情報に対応する検体保管庫の使用が適切か否かについての判定を行ってもよい。また、運転性能判定部105は、その検体保管庫の使用が適切でないと判定した場合に、検体保管庫情報の再指定を促すメッセージを計画作成者へ画像または音声により提示することを
図1の第1の端末装置20に指令してもよい。
【0147】
具体的には、運転性能判定部105は、過去に所定回数以上のメンテナンスが実施された検体保管庫の検体保管庫情報が指定された場合に、計画作成者に検体保管庫情報の再指定を促すべき指令を第1の端末装置20に与えてもよい。このとき、運転性能判定部105は、過去に所定回数未満のメンテナンスが実施された検体保管庫の検体保管庫情報を第1の端末装置20に与えてもよい。
【0148】
あるいは、運転性能判定部105は、過去に所定回数以上の故障が発生した検体保管庫の検体保管庫情報が指定された場合に、計画作成者に検体保管庫情報の再指定を促すべき指令を第1の端末装置20に与えてもよい。このとき、運転性能判定部105は、過去に故障が発生した回数が所定回数未満である検体保管庫の検体保管庫情報を第1の端末装置20に与えてもよい。
【0149】
上記のように、検体保管庫情報が保管庫履歴情報を含む場合には、実作業手順生成処理において、
図2の有効性判定部107は、運転性能判定部105と同様に、作業計画に含まれる検体保管庫情報に対応する検体保管庫の使用が適切か否かについての判定を行ってもよい。また、有効性判定部107は、その検体保管庫の使用が適切でないと判定した場合に、検体保管庫情報の再指定を促すメッセージを計画作成者へ画像または音声により提示することを
図1の第1の端末装置20に指令してもよい。
【0150】
なお、運転性能判定部105および有効性判定部107は、対象となる検体に応じて再指定すべき検体保管庫を計画作成者へ画像または音声により提示することを第1の端末装置20に指令してもよい。この場合、運転性能判定部105および有効性判定部107は、例えば、保存対象となる検体が高価である場合に、過去に所定回数未満のメンテナンスが実施された検体保管庫、または過去に故障した回数が所定回数未満の検体保管庫を再指定すべき検体保管庫とする。一方、運転性能判定部105および有効性判定部107は、例えば、保存対象となる検体が安価である場合に、過去に所定回数以上のメンテナンスが実施された検体保管庫、または過去に故障した回数が所定回数以上の検体保管庫を再指定すべき検体保管庫とする。
【0151】
(2)標準作業手順記憶部203に記憶される標準作業手順は、入庫作業の標準作業手順および出庫作業の標準作業手順に限られない。標準作業手順として、例えば検体保管庫に逸脱が生じた場合に作業者により行われるべき標準的な作業手順(以下、逸脱時標準作業手順と呼ぶ。)が標準作業手順記憶部203に記憶されてもよい。
【0152】
この場合、作業計画変更部108は、作業計画変更処理において「逸脱有無」の「有」の逸脱情報を新たに含むことになった検体保管庫情報が存在する場合に、変更対象となる作業計画の標準作業手順を逸脱時標準作業手順に変更する。それにより、作業者が変更された作業計画に基づく実作業手順に従って作業を行うことにより、逸脱に対応する適切な作業が行われることになる。
【0153】
なお、逸脱時標準作業手順に基づく作業の作業実績は、承認者の承認の有無とともに、他の作業実績とは区別可能な状態で作業実績記憶部207に記憶されることが好ましい。この場合、検体および検体保管庫の管理の利便性が向上する。
【0154】
(3)検体情報は、検体の種類を示す検体種類情報を含んでもよく、作業計画変更部108による作業計画の変更方法は、検体の種類にそれぞれ対応する複数種類の変更方法を含んでもよい。
【0155】
この場合、作業計画変更部108は、作業計画変更処理において、逸脱の発生した検体保管庫に保存された検体の検体情報が含まれる作業計画を当該検体情報の種類に対応する変更方法に従って変更する。それにより、検体の種類に応じた適切な作業計画の変更が可能となる。
【0156】
(4)検体保管庫情報記憶部202に登録された1または複数の検体保管庫情報に対応する1または複数の検体保管庫と検体管理支援装置10とがネットワーク90を介して互いに通信可能に接続されてもよい。
【0157】
この場合、各検体保管庫において逸脱が発生した場合に、その逸脱に対応する逸脱情報が当該検体保管庫の保管庫IDとともに検体管理支援装置10に自動送信されてもよい。このとき、基本情報登録部101は、各検体保管庫から自動送信される保管庫IDおよび逸脱情報に基づいて検体保管庫情報記憶部202に記憶された検体保管庫情報を更新してもよい。
【0158】
さらに、各検体保管庫において性能確認試験が行われた場合に、その性能確認試験に対応する性能確認情報が当該検体保管庫の保管庫IDとともに検体管理支援装置10に自動送信されてもよい。この場合、基本情報登録部101は、各検体保管庫から自動送信される保管庫IDおよび性能確認情報に基づいて検体保管庫情報記憶部202に記憶された検体保管庫情報を更新してもよい。
【0159】
(5)上記実施の形態では、作業計画の生成時に計画作成者が
図1の第1の端末装置20に検体情報を入力することにより、その検体情報が検体情報記憶部201に記憶されるが、本発明はこれに限定されない。
【0160】
検体情報は、作業計画の生成前に、予め基本情報として第1の端末装置20に入力されてもよい。このとき、基本情報登録部101は、計画作成者により入力された検体情報を基本情報として検体情報記憶部201に記憶させてもよい。
【0161】
この場合、作業計画の生成時には、計画作成者は、検体保管庫情報および作業項目の指定を行うとともに、検体情報記憶部201に記憶された1または複数の検体情報から、作業計画に含めるべき検体情報を選択する。それにより、事前に登録された検体情報に基づいて作業計画を生成することができる。
【0162】
[6]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0163】
上記実施の形態においては、情報指定受付部102が第1の受付部の例であり、計画指定受付部106が第2の受付部の例であり、保存条件受付部104が第3の受付部の例である。
【0164】
また、運転性能判定部105が第1の判定部の例であり、有効性判定部107が第2の判定部の例であり、検体選択受付部111が第4の受付部の例であり、作業抽出部112が作業実績抽出部の例である。
【0165】
また、実作業受付部114が第5の受付部の例であり、力量判定部115が第3の判定部の例であり、制御装置100がコンピュータの例である。
【0166】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【符号の説明】
【0167】
1…検体管理支援システム,10…検体管理支援装置,20…第1の端末装置,21,31…制御部,22,32…操作部,23,33…表示部,24…印字装置,30…第2の端末装置,34…読取部,90…ネットワーク,100…制御装置,101…基本情報登録部,102…情報指定受付部,103…作業計画生成部,104…保存条件受付部,105…運転性能判定部,106…計画指定受付部,107…有効性判定部,108…作業計画変更部,109…標準作業手順抽出部,110…実作業手順生成部,111…検体選択受付部,112…作業抽出部,113…逸脱情報出力部,114…実作業受付部,115…力量判定部,200…記憶装置,201…検体情報記憶部,202…検体保管庫情報記憶部,203…標準作業手順記憶部,204…作業計画記憶部,205…実作業手順記憶部,206…作業者情報記憶部,207…作業実績記憶部,AOP1…実作業手順,OA1,OA2…作業実績,OPL1,OPL2,OPL1a,OPL1b…作業計画,SOP1,SOP2…標準作業手順,SP1,SP2…検体情報,ST1,ST2…検体保管庫情報,U1,U2…作業者情報