(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】ペン及びペン用リフィル
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20220816BHJP
B43K 8/02 20060101ALI20220816BHJP
B43K 8/04 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
A45D34/04 525Z
B43K8/02 130
B43K8/04
(21)【出願番号】P 2018101572
(22)【出願日】2018-05-28
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000142920
【氏名又は名称】株式会社呉竹
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】西谷 一郎
(72)【発明者】
【氏名】磯野 亮一
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106820539(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0140072(US,A1)
【文献】登録実用新案第3193469(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
B43K 1/00 - 1/12
B43K 5/00 - 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観棒状の軸部であって、インクを貯留するインク貯留部を含む軸部と、インクの塗布対象に対してインクを塗布するペン先部と、ペン先部を挿入状態で保持する筒状のペン先保持部と、ペン先保持部と軸部との間に配置された筒状の中間接続部であって、ペン先保持部及び軸部に対して直接的又は間接的に接続された中間接続部と、インク貯留部側からペン先部側にインクを誘導するインク誘導部とを備え、インク誘導部は、中間接続部に挿通されたインク中継体であって、インク貯留部からのインクをペン先部に供給するインク中継体を含み、中間接続部は、湾曲可能且つ湾曲状態で維持可能であり、インク中継体の少なくとも中間接続部内にある部位が湾曲可能であ
り、ペン先保持部の軸部側の端部と軸部のペン先保持部側の端部とが間隔をあけた状態で中間接続部がペン先保持部と軸部とに接続されていることを特徴とするペン。
【請求項2】
中間接続部は、蛇腹状のフレキシブルチューブである請求項1に記載のペン。
【請求項3】
インク中継体は、ペン先部内に位置する第一端部とインク貯留部側の第二端部とを有し、少なくとも中間接続部内に位置する部位が湾曲可能である請求項1又は2に記載のペン。
【請求項4】
インク中継体は、第一端部を含む第一中継芯と、第二端部を含む第二中継芯と、第一中継芯と第二中継芯とを接続した中間部材とを含み、第一中継芯、第二中継芯、及び中間部材のそれぞれは、吸液性を有し、中間部材は、弾性変形可能である請求項1乃至3の何れか1項に記載のペン。
【請求項5】
インク中継体は、第一端部から第二端部の全長又は略全長に亘って吸液性を有し且つ弾性変形可能な棒状に形成される請求項1乃至3の何れか1項に記載のペン。
【請求項6】
インクを貯留するインク貯留部であって、ペンの外装を構成する外装体に覆われることで外装体とともにペンの軸部を構成するインク貯留部と、インクの塗布対象に対してインクを塗布するペン先部と、ペン先部を挿入状態で保持する筒状のペン先保持部と、ペン先保持部とインク貯留部との間に配置された筒状の中間接続部であって、ペン先保持部及びインク貯留部に対して直接的又は間接的に接続された中間接続部と、
インク貯留部と中間接続部との間に配置される筒状のホルダーと、インク貯留部側からペン先部側にインクを誘導するインク誘導部とを備え、インク誘導部は、中間接続部に挿通されたインク中継体であって、インク貯留部からのインクをペン先部に供給するインク中継体を含み、中間接続部は、湾曲可能且つ湾曲状態で維持可能であり
且つホルダーを介してインク貯留部に対して接続され、インク中継体の少なくとも中間接続部内にある部位が湾曲可能であ
り、ペン先保持部のホルダー側の端部とホルダーのペン先保持部側の端部とが間隔をあけた状態で中間接続部がペン先保持部とホルダーとに接続されていることを特徴とするペン用リフィル。
【請求項7】
中間接続部は、蛇腹状のフレキシブルチューブである請求項6に記載のペン用リフィル。
【請求項8】
インク中継体は、ペン先部内に位置する第一端部とインク貯留部側の第二端部とを有し、少なくとも中間接続部内に位置する部位が湾曲可能である請求項6又は7に記載のペン用リフィル。
【請求項9】
インク中継体は、第一端部を含む第一中継芯と、第二端部を含む第二中継芯と、第一中継芯と第二中継芯とを接続した中間部材とを含み、第一中継芯、第二中継芯、及び中間部材のそれぞれは、吸液性を有し、中間部材は、弾性変形可能である請求項6乃至8の何れか1項に記載のペン用リフィル。
【請求項10】
インク中継体は、第一端部から第二端部の全長又は略全長に亘って吸液性を有し且つ弾性変形可能な棒状に形成される請求項6乃至8の何れか1項に記載のペン用リフィル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具や化粧具として用いられるペン及びペン用リフィルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、筆記具や化粧具として用いられるペンは、インクを貯留したインク貯留部を含む棒状の軸部と、インクの塗布対象(以下、単に塗布対象という)に摺接されるインク塗布部を含むペン先部と、インク貯留部のインクをペン先部(インク塗布部)に誘導するインク誘導部とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これに伴い、この種のペンに採用されるペン用リフィルは、インクを貯留するインク貯留部であって、ペンの外装を構成する外装体に覆われることで外装体とともにペンの軸部を構成するインク貯留部と、塗布対象に摺接されるインク塗布部を含むペン先部と、インク貯留部のインクをペン先部(インク塗布部)に誘導するインク誘導部とを備える。
【0004】
これらにおいて、インク貯留部は、一方向に延びる。すなわち、インク貯留部は、一方向に延びる中心線を有する。
【0005】
これに伴い、インク貯留部及びペン先部は、中心(中心線)同士を共通の仮想直線上に位置させるように直列に配置され、直接的又は間接的に接続される。
【0006】
インク誘導部は、一方向に延びる棒状の中継芯を含む。中継芯は、一方向に第一端部と該第一端部の反対側の第二端部とを有し、第一端部をインク貯留部側に位置させ、第二端部をペン先部内に位置させる。これにより、中継芯は、インク貯留部のインクをインク貯留部からペン先部(インク塗布部)に誘導する。
【0007】
これにより、上記構成のペン及びペン用リフィルは、インク塗布部を塗布対象に摺接させることにより、インク塗布部に誘導されたインク(インク塗布部に付着したインク)を塗布対象に塗布できる。
【0008】
ところで、上記構成のペン及びペン用リフィルにおいて、ペン先部及びインク貯留部が中心(中心線)同士を共通の仮想直線上に位置させるように直列に配置され、直接的又は間接的に接続されるため、ペン先部は、インク貯留部(インク貯留部を含む軸部)に対して常に直列で維持する。
【0009】
これに伴い、従来のペン及びペン用リフィルでは、インクを塗布する際、ペンの軸部(ペン用リフィルのインク貯留部)がインクを塗布する予定位置(以下、塗布予定位置という)に重なったり、ペンの軸部を持つ使用者の手が塗布予定位置に重なったりすることがある。
【0010】
そのため、使用者が塗布予定位置を確認し難くなり、塗布予定位置に対してインクを適正に塗布できなかったり、塗布予定位置に対してインクを塗布し難くなったりすることがある。
【0011】
特に、ペン(ペン用リフィル)が化粧具(例えば、アイライナー)として使用される場合、使用者は、鏡に映った自身の顔(例えば、目元)を見ながらインクを塗布予定位置に塗布する(アイラインを引く)ため、ペンの軸部(ペン用リフィルのインク貯留部)が塗布予定位置に重なったり、使用者の手(軸部を持つ手)が塗布予定位置に重なったりすると、目標(塗布予定位置)を認識し難くなり、適正にインクを塗布予定位置に塗布する(アイラインを引く)ことが困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、インクを塗布する際に、インクを塗布する予定位置を確認し易くすることのできるペン及びペン用リフィルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るペンは、外観棒状の軸部であって、インクを貯留するインク貯留部を含む軸部と、インクの塗布対象に対してインクを塗布するペン先部と、ペン先部を挿入状態で保持する筒状のペン先保持部と、ペン先保持部と軸部との間に配置された筒状の中間接続部であって、ペン先保持部及び軸部に対して直接的又は間接的に接続された中間接続部と、インク貯留部側からペン先部側にインクを誘導するインク誘導部とを備え、インク誘導部は、中間接続部に挿通されたインク中継体であって、インク貯留部からのインクをペン先部に供給するインク中継体を含み、中間接続部は、湾曲可能且つ湾曲状態で維持可能であり、インク中継体の少なくとも中間接続部内にある部位が湾曲可能であることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、中間接続部の形態を直線状態や湾曲状態にすることができ、この中間接続部の形態を変化させることで、中間接続部に接続されたペン先保持部及びペン先保持部に保持されたペン先部の中心を、軸部(インク貯留部)の中心と同心の状態にしたり、中間接続部に接続されたペン先保持部及びペン先保持部に保持されたペン先部の中心を、軸部(インク貯留部)の中心に対して傾斜方向に延びた状態にしたりすることができる。すなわち、ペン先部が軸部の中心に対して同一方向或いは異なる方向に延びた姿勢になる。
【0016】
これにより、インクを塗布する予定位置にペン先部を沿わした状態で、軸部及び該軸部を持つ使用者の手がインクを塗布する予定位置からずれた位置に配置される。従って、上記構成のペンは、インクを塗布するに際し、インクを塗布する予定位置の確認を容易に行うことができる。
【0017】
そして、上記構成のペンにおいて、インク誘導部は、中間接続部に挿通されたインク中継体であって、インク貯留部からのインクをペン先部に供給するインク中継体を含み、インク中継体の少なくとも中間接続部内にある部位が湾曲可能である。これにより、インク中継体は、中間接続部の形態に即した形態になり、中間接続部の形態の変更を阻害することもなく、インクを適正にペン先部まで供給(誘導)する。
【0018】
従って、上記構成のペンは、ペン先部が軸部の中心に対して同一方向或いは異なる方向に延びた姿勢にされても、インク塗布部を塗布対象に摺接させることにより、インク塗布部に誘導されたインク(インク塗布部に付着したインク)を塗布対象に塗布できる。
【0019】
本発明の一態様として、中間接続部は、蛇腹状のフレキシブルチューブであってもよい。上記構成によれば、構造を複雑化させることなく、ペン先部の配置を使用者にとって使い勝手のよい配置にすることができる。
【0020】
本発明の他態様として、インク中継体は、ペン先部内に位置する第一端部とインク貯留部側の第二端部とを有し、少なくとも中間接続部内に位置する部位が湾曲可能であってもよい。
【0021】
このようにすれば、中間接続部の形態の変化に応じてインク中継体も形態を変化させる。これにより、ペン先部の配置を使用者の使用し易い配置にできるだけでなく、インク貯留部のインクの誘導(供給)も確実に行うことができる。
【0022】
この場合、インク中継体は、第一端部を含む第一中継芯と、第二端部を含む第二中継芯と、第一中継芯と第二中継芯とを接続した中間部材とを含み、第一中継芯、第二中継芯、及び中間部材のそれぞれは、吸液性を有し、中間部材は、弾性変形可能であってもよい。
【0023】
上記構成によれば、第一中継芯とペン先部との相対位置が一定となるとともに、第二中継芯とインク貯留部との相対位置が一定になるため、第一中継芯によるペン先部へのインク供給(誘導)や、第二中継芯によるインク貯留部内のインクの供給が安定する。また、中間部材が弾性変形可能であるため、ペン先部の配置の変更が許容される。
【0024】
また、インク中継体は、第一端部から第二端部の全長又は略全長に亘って吸液性を有し且つ弾性変形可能な棒状に形成されてもよい。このようにすれば、インク中継体が第一端部から第二端部まで連続した一つの部材で構成されるため、インクの誘導がスムーズになる。
【0025】
本発明に係るペン用リフィルは、インクを貯留するインク貯留部であって、ペンの外装を構成する外装体に覆われることで外装体とともにペンの軸部を構成するインク貯留部と、インクの塗布対象に対してインクを塗布するペン先部と、ペン先部を挿入状態で保持する筒状のペン先保持部と、ペン先保持部とインク貯留部との間に配置された筒状の中間接続部であって、ペン先保持部及びインク貯留部に対して直接的又は間接的に接続された中間接続部と、インク貯留部側からペン先部側にインクを誘導するインク誘導部とを備え、インク誘導部は、中間接続部に挿通されたインク中継体であって、インク貯留部からのインクをペン先部に供給するインク中継体を含み、中間接続部は、湾曲可能且つ湾曲状態で維持可能であり、インク中継体の少なくとも中間接続部内にある部位が湾曲可能であることを特徴とする。
【0026】
上記構成によれば、中間接続部の形態を直線状態や湾曲状態にすることができ、この中間接続部の形態を変化させることで、中間接続部に接続されたペン先保持部及びペン先保持部に保持されたペン先部の中心を、軸部(インク貯留部)の中心と同心の状態にしたり、中間接続部に接続されたペン先保持部及びペン先保持部に保持されたペン先部の中心を、軸部(インク貯留部)の中心に対して傾斜方向に延びた状態にしたりすることができる。すなわち、ペン先部が軸部の中心に対して同一方向或いは異なる方向に延びた姿勢になる。
【0027】
これにより、インクを塗布する予定位置にペン先部を沿わした状態で、軸部及び該軸部を持つ使用者の手がインクを塗布する予定位置からずれた位置に配置される。従って、上記構成のペンは、インクを塗布するに際し、インクを塗布する予定位置の確認を容易に行うことができる。
【0028】
そして、上記構成のペン用リフィルにおいて、インク誘導部は、中間接続部に挿通されたインク中継体であって、インク貯留部からのインクをペン先部に供給するインク中継体を含み、インク中継体の少なくとも中間接続部内にある部位が湾曲可能である。これにより、インク中継体は、中間接続部の形態に即した形態になり、中間接続部の形態の変更を阻害することもなく、インクを適正にペン先部まで供給(誘導)する。
【0029】
従って、上記構成のペン用リフィルは、ペン先部が軸部の中心に対して同一方向或いは異なる方向に延びた姿勢にされても、インク塗布部を塗布対象に摺接させることにより、インク塗布部に誘導されたインク(インク塗布部に付着したインク)を塗布対象に塗布できる。
【0030】
本発明の一態様として、中間接続部は、蛇腹状のフレキシブルチューブであってもよい。上記構成によれば、構造を複雑化させることなく、ペン先部の配置を使用者にとって使い勝手のよい配置にすることができる。
【0031】
本発明の他態様として、インク中継体は、ペン先部内に位置する第一端部とインク貯留部側の第二端部とを有し、少なくとも中間接続部内に位置する部位が湾曲可能であってもよい。
【0032】
このようにすれば、中間接続部の形態の変化に応じてインク中継体も形態を変化させる。これにより、ペン先部の配置を使用者の使用し易い配置にできるだけでなく、インク貯留部のインクの誘導(供給)も確実に行うことができる。
【0033】
この場合、インク中継体は、第一端部を含む第一中継芯と、第二端部を含む第二中継芯と、第一中継芯と第二中継芯とを接続した中間部材とを含み、第一中継芯、第二中継芯、及び中間部材のそれぞれは、吸液性を有し、中間部材は、弾性変形可能であってもよい。
【0034】
上記構成によれば、第一中継芯とペン先部との相対位置が一定となるとともに、第二中継芯とインク貯留部との相対位置が一定になるため、第一中継芯によるペン先部へのインク供給(誘導)や、第二中継芯によるインク貯留部内のインクの供給が安定する。また、中間部材が弾性変形可能であるため、ペン先部の配置の変更が許容される。
【0035】
また、インク中継体は、第一端部から第二端部の全長又は略全長に亘って吸液性を有し且つ弾性変形可能な棒状に形成されてもよい。このようにすれば、インク中継体が第一端部から第二端部まで連続した一つの部材で構成されるため、インクの誘導がスムーズになる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、インクを塗布する際に、インクを塗布する予定位置を確認し易くすることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るペン(ペン本体)の全体図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るペン(ペン本体)の断面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るペン(ペン本体)の部分拡大断面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るペン(ペン本体)の中間接続部を湾曲させた状態の断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の他実施形態に係るペン(ペン本体)の部分拡大断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示すペン(ペン本体)の中間接続部を湾曲させた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、筆記具や化粧具として用いられるペン及びペン用リフィルを対象とするが、本実施形態においては、化粧具であるアイライン用のペンを一例に説明することとする。
【0039】
図1及び
図2に示す如く、本実施形態に係るペン1は、インクの塗布対象(以下、単に塗布対象という)にインクを塗布するためのペン先部6及びペン先部6に接続された軸部10を含むペン本体2と、ペン本体2の少なくともペン先部6を覆うキャップ(図示しない)とを備える。
【0040】
ペン本体2は、
図2に示す如く、外装体3と、ペン用リフィル(以下、単にリフィルという。)4とを備える。
【0041】
外装体3は、一端と該一端の反対側の他端とを有する筒状の胴軸部30と、胴軸部30の一端を閉塞する尻部31とを備える。
【0042】
リフィル4は、インク(採番しない)を貯留するインク貯留部5であって、ペン1の外装を構成する外装体3に覆われることで外装体3とともにペン1の軸部10を構成するインク貯留部5と、インクの塗布対象に対してインクを塗布するペン先部6と、ペン先部6を挿入状態で保持する筒状のペン先保持部7と、ペン先保持部7とインク貯留部5との間に配置された筒状の中間接続部8であって、ペン先保持部7及びインク貯留部5に対して直接的又は間接的に接続された中間接続部8と、インク貯留部5側からペン先部6側にインクを誘導するインク誘導部9とを備える。
【0043】
インク貯留部5は、インクを収容する内部空間Sを画定した周壁部50を有する。より具体的に説明すると、本実施形態のインク貯留部5は、一端と該一端の反対側の他端とを有する筒状の周壁部50と、周壁部50の一端を閉塞する閉塞部51とを備える。これにより、インク貯留部5は、周壁部50及び閉塞部51によって閉じられた内部空間Sを有する。本実施形態において、インク貯留部5の内部空間Sには、液状のインクが充填される。
【0044】
本実施形態において、中心線(図示しない)の延びる方向におけるインク貯留部5の周壁部50の長さは、同方向における外装体3の胴軸部30の長さよりも短い。これにより、外装体3の胴軸部30は、後述するホルダー93を内装する収容スペースS2を確保する。すなわち、外装体3の胴軸部30は、インク貯留部5を収容する第一スペースS1と、中心線の延びる方向において第一スペースS1と横並びに配置される第二スペースS2であって、ホルダー93を収容する第二スペースS2とを画定する。本実施形態において、第一スペースS1は、尻部31側(胴軸部30の一端側)の領域とされ、第二スペースS2は、胴軸部30の他端側の領域とされる。
【0045】
図2及び
図3に示す如く、ペン先部6は、インクを塗布対象に塗布する際に、塗布対象に摺接するインク塗布部60を含む。本実施形態において、ペン先部6は、複数(多数)の毛(採番しない)を束ねた毛束により構成される。ペン先部6(毛束)は、毛の延びる方向の一端側が他端側よりも先細りになるように形成され、この先細りした一端側がインク塗布部60とされる。
【0046】
ペン先保持部7は、ペン先部6のインク塗布部60を露出させつつペン先部6を保持可能に構成される。
【0047】
具体的に説明すると、ペン先保持部7は、
図3に示す如く、ペン先部6(毛束)を挿通させる貫通孔70を有し、該貫通孔70に対してペン先部6が先端側(インク塗布部60側)を外部に延出させるようにして挿通されている。これに伴い、ペン先保持部7は、基端と該基端の反対側の先端とを有し、先端からインク塗布部60を延出させつつ、基端側でペン先部6(毛束)の他端側を保持する。
【0048】
中間接続部8は、湾曲可能且つ湾曲状態で維持可能に構成される。本実施形態において、中間接続部8には、蛇腹状のフレキシブルチューブが採用される。
【0049】
中間接続部(フレキシブルチューブ)8は、第一端と該第一端の反対側の第二端とを有する。中間接続部8の第一端の外径は、ペン先保持部7の基端の外径と対応している。本実施形態において、中間接続部8の第二端の外径は、ホルダー93の外径と対応している。
【0050】
これに伴い、中間接続部8の第一端は、ペン先保持部7の基端部に同心で接続され、中間接続部8の第二端は、ホルダー93に同心で接続される。
【0051】
本実施形態において、中間接続部8の第一端を含む端部は、ペン先保持部7に対して螺合により接続される。これに対し、中間接続部8の第二端を含む端部は、ホルダー93に対して嵌合により接続される。また、本実施形態において、中間接続部8の第二端を含む端部は、外装体3(胴軸部30)に対して螺合により接続されている。
【0052】
インク誘導部9は、中間接続部8に挿通されたインク中継体90であって、インク貯留部5からのインクをペン先部6に供給するインク中継体90を含む。
【0053】
より具体的には、本実施形態に係るペン1(リフィル4)において、インク誘導部9は、インク中継体90と、インク中継体90にインク貯留部5のインクを供給するインク吸蔵体91と、ペン先部6に対するインク中継体90のインク供給量を調整するコレクタ92と、インク吸蔵体91及びコレクタ92を保持するホルダー93とを含む。
【0054】
本実施形態において、インク中継体90は、第一端部を含む第一中継芯90aと、第二端部を含む第二中継芯90bと、第一中継芯90aと第二中継芯90bとを接続した中間部材90cとを含む。
【0055】
第一中継芯90a、第二中継芯90b、及び中間部材90cのそれぞれは、吸液性を有する。
【0056】
第一中継芯90a及び第二中継芯90bのそれぞれは、吸液性に優れた素材(発泡性樹脂や繊維材)を棒状に成型したものである。これに伴い、第一中継芯90a及び第二中継芯90bのそれぞれは、第一端部と該第一端部の反対側の第二端部とを有する。
【0057】
第一中継芯90a及び第二中継芯90bのそれぞれには、インクを流通させるインク流通路(図示しない)が外面又は内部に第一端部から第二端部まで連続して形成される。なお、インク流通路は、微細な溝、或いは、微小な連続孔(気泡)により構成される
【0058】
第一中継芯90a及び第二中継芯90bは、一方向に延びる仮想直線上に配置される。第一中継芯90aの第一端部は、インク中継体90の第一端部を構成し、ペン先部6内に位置する。これに対し、第一中継芯90aの第二端部は、中間部材90c内に位置する。第二中継芯90bの第一端部は、中間部材90c内に位置する。これに対し、第二中継芯90bの第二端部は、インク中継体90の第二端部を構成し、インク吸蔵体91内に位置する。
【0059】
中間部材90cは、弾性変形可能に形成される。中間部材90cは、連続気泡を有する。ここでは、中間部材90cは、樹脂材料で成型される。具体的には、中間部材90cは、ウレタン樹脂で成型される。なお、中間部材90cの連続気泡は、樹脂材料(本実施形態においてはウレタン樹脂)に混ぜられた添加剤(本実施形態においては、塩化ナトリウム)を成型後に除去(本実施形態においては、塩化ナトリウム(塩)を除去する塩抜き)を行うことで形成される。
【0060】
上記構成のインク中継体90は、中間接続部8との間に空間を作って該中間接続部8に挿通されている。これにより、本実施形態に係るインク中継体90は、中間接続部8内で拘束されることなく、該中間接続部8内にある中間部材90cで湾曲可能になっている。
【0061】
インク吸蔵体91は、綿やフェルト等の吸液性を有する繊維材で構成される。本実施形態において、インク吸蔵体91は、棒状に成形される。インク吸蔵体91のインクの最大吸蔵量は、インク貯留部5におけるインクの最大貯留量よりも小さく設定されている。本実施形態において、インク吸蔵体91のインクの最大吸蔵量は、インク貯留部5のインクの最大貯留量の0.03倍~0.15倍に設定されている。
【0062】
コレクタ92は、万年筆等の直液式のペン1に採用される所謂羽状調節体である。コレクタ92は、インク吸蔵体91に対して横並びに配置される。これに伴い、コレクタ92には、第二端部をインク吸蔵体91内に位置させた第二中継芯90bが挿通される。これにより、インク中継体90(第二中継芯90b)に対する過剰なインク供給を抑制する。
【0063】
ホルダー93は、筒状に形成され、一方向に第一端部と該第一端部の反対側の第二端部とを有する。ホルダー93は、第一端部をペン先部6側に位置させるとともに第二端部をインク貯留部5側に位置させた状態で、外装体3(胴軸部30)の第二スペースS2に配置される。これに伴い、ホルダー93の第二端部は、インク貯留部5の周壁部50に対して同心又は略同心で接続される。本実施形態において、ホルダー93の第二端部は、インク貯留部5の周壁部50に対して嵌着されている。これにより、本実施形態に係るペン1(リフィル4)において、中間接続部8は、ホルダー93を介してインク貯留部5に対して接続されている。
【0064】
ホルダー93が筒状に形成されるに伴い、ホルダー93は、中心線の延びる方向の第一端部側の領域において、コレクタ92を収容するコレクタ収容領域93aを画定し、中心線の延びる方向の第二端部側の領域において、インク吸蔵体91を収容する吸蔵体収容領域93bを画定する。これにより、吸蔵体収容領域93bに収容されたインク吸蔵体91は、インク貯留部5と隣接し、コレクタ収容領域93aに収容されたコレクタ92は、ペン先部6側でインク吸蔵体91と隣接する。
【0065】
そして、筒状のホルダー93がインク貯留部5の周壁部50に嵌着されることで、ホルダー93の第二端部は、インク貯留部5内に向けて開放している。これに伴い、吸蔵体収容領域93bに収容されたインク吸蔵体91の一部がインク貯留部5内に露出する。これにより、インク吸蔵体91は、インク貯留部5内のインクを吸蔵し、該インクをインク中継体90(第二中継芯90b)に供給する。
【0066】
リフィル4は、以上の通りであり、インク誘導部9の一部(インク吸蔵体91、コレクタ92、ホルダー93)及びインク貯留部5が外装体3(胴軸部30)に覆われた状態で、外装体3に接続される。この状態において、リフィル4は、ペン先部6のインク塗布部60、ペン先保持部7、及び中間接続部8を外装体3から外部に露出させている。これにより、本実施形態に係るペン1(ペン本体2)において、外装体3が使用者の把持部分としての軸部10を構成する。すなわち、軸部10は、外装体3及びこれに覆われたインク貯留部5等によって構成される。
【0067】
本実施形態に係るペン1(リフィル4)は、以上の通りであり、次に作用について説明する。
【0068】
上記構成のペン1(リフィル4)において、インク貯留部5のインクは、インク誘導部9を介してペン先部6まで誘導される。
【0069】
具体的には、インク貯留部5のインクは、インク吸蔵体91に吸蔵され、インク吸蔵体91内にあるインク中継体90の第二端部に供給される。本実施形態において、インク中継体90を構成する第二中継芯90bがインク吸蔵体91内に位置するため、インク吸蔵体91に吸蔵されたインクは第二中継芯90bに供給される。そして、第二中継芯90bに供給されたインクは、第二中継芯90bに沿って中間部材90c側に供給される。
【0070】
本実施形態においては、第二中継芯90bがコレクタ92に挿通されているため、コレクタ92がインク吸蔵体91からの過剰なインク(第二中継芯90bに供給される過剰なインク)を吸収(保持)し、適量のインクが第二中継芯90bに沿って中間部材90cに到達する。中間部材90cに到達した適量のインクは、第一中継芯90aに供給され、第一中継芯90aに到達したインクは、ペン先部6(インク塗布部60)に対して適量で供給される。
【0071】
これにより、塗布対象に対してペン先部6(インク塗布部60)を接触(摺接)させることにより、塗布対象に対して適量のインクが塗布される。
【0072】
このようにインクを塗布対象に対して塗布する(例えば、アイラインを引く)にあたり、ペン1の軸部10(リフィル4のインク貯留部5)がインクを塗布する予定位置(以下、塗布予定位置という)に重なったり、使用者の手(軸部10を持つ手)が塗布予定位置に重なったりする場合には、
図4に示す如く、中間接続部8を適宜湾曲させる或いは好みに応じて湾曲させる。そうすると、軸部10の中心線に対してペン先部6の中心線が傾斜した態様となる。すなわち、軸部10に対するペン先部6の延出方向が、軸部10の延びる方向と異なる方向になる。
【0073】
これにより、ペン先部6を塗布予定位置に沿わした状態で、軸部10及び該軸部10を持つ使用者の手が塗布予定位置からずれた位置に配置され、使用者が塗布予定位置の確認を容易に行うことができる。
【0074】
また、軸部10がペン先部6の延出する方向と異なる方向に延びるため、軸部10の位置(配置)を塗布予定位置から外れた位置にするために、使用者が無理な体勢(姿勢)でペン1を持つ必要もなくなる。すなわち、使用者が楽な体勢(姿勢)でペン1を持っても、使用者が塗布予定位置の確認を容易に行うことができる。
【0075】
そして、本実施形態に係るペン1(リフィル4)においては、インク中継体90の少なくとも中間接続部8内にある部位(中間部材90c)が湾曲可能であるため、中間接続部8の形態に即した形態になり、中間接続部8の形態の変更を阻害することなくインクを適正にペン先部6まで誘導する。
【0076】
従って、本実施形態に係るペン1は、ペン先部6が軸部10の中心に対して同一方向或いは異なる方向に延びた姿勢にされても、インク塗布部60を塗布対象に摺接させることにより、インク塗布部60の外面に誘導されたインク(インク塗布部60に付着したインク)を塗布対象に塗布できる。
【0077】
以上のように、本実施形態に係るペン1は、外観棒状の軸部10であって、インクを貯留するインク貯留部5を含む軸部10と、インクの塗布対象に対してインクを塗布するペン先部6と、ペン先部6を挿入状態で保持する筒状のペン先保持部7と、ペン先保持部7と軸部10との間に配置された筒状の中間接続部8であって、ペン先保持部7及び軸部10に対して直接的又は間接的に接続された中間接続部8と、インク貯留部5側からペン先部6側にインクを誘導するインク誘導部9とを備え、インク誘導部9は、中間接続部8に挿通されたインク中継体90であって、インク貯留部5からのインクをペン先部6に供給するインク中継体90を含み、中間接続部8は、湾曲可能且つ湾曲状態で維持可能であり、インク中継体90の少なくとも中間接続部8内にある部位が湾曲可能である。
【0078】
すなわち、本実施形態に係るペン1に採用されるリフィル4は、インクを貯留するインク貯留部5であって、ペン1の外装を構成する外装体3に覆われることで外装体3とともにペン1の軸部10を構成するインク貯留部5と、インクの塗布対象に対してインクを塗布するペン先部6と、ペン先部6を挿入状態で保持する筒状のペン先保持部7と、ペン先保持部7とインク貯留部5との間に配置された筒状の中間接続部8であって、ペン先保持部7及びインク貯留部5に対して直接的又は間接的に接続された中間接続部8と、インク貯留部5側からペン先部6側にインクを誘導するインク誘導部9とを備え、インク誘導部9は、中間接続部8に挿通されたインク中継体90であって、インク貯留部5からのインクをペン先部6に供給するインク中継体90を含み、中間接続部8は、湾曲可能且つ湾曲状態で維持可能であり、インク中継体90の少なくとも中間接続部8内にある部位が湾曲可能である。
【0079】
上記構成によれば、中間接続部8の形態を直線状態や湾曲状態にすることができ、この中間接続部8の形態を変化させることで、中間接続部8に接続されたペン先保持部7及びペン先保持部7に保持されたペン先部6の中心を、軸部10(インク貯留部5)の中心と同心の状態にしたり、中間接続部8に接続されたペン先保持部7及びペン先保持部7に保持されたペン先部6の中心を、軸部10(インク貯留部5)の中心に対して傾斜方向に延びた状態にしたりすることができる。すなわち、ペン先部6が軸部10の中心に対して同一方向或いは異なる方向に延びた姿勢になる。
【0080】
これにより、ペン先部6を塗布予定位置に沿わした状態で、軸部10及び該軸部10を持つ使用者の手が塗布予定位置からずれた位置に配置される。従って、上記構成のペン1は、インクを塗布するに際し、塗布予定位置の確認を容易に行うことができる。
【0081】
そして、上記構成のペン1及びリフィル4において、インク誘導部9は、中間接続部8に挿通されたインク中継体90であって、インク貯留部5からのインクをペン先部6に供給するインク中継体90を含み、インク中継体90は、少なくとも中間接続部8内にある部位が湾曲可能である。これにより、インク中継体90は、中間接続部8の形態に即した形態になり、中間接続部8の形態の変更を阻害することもなく、インクを適正にペン先部6まで供給(誘導)する。
【0082】
従って、上記構成のペン1及びリフィル4は、ペン先部6が軸部10の中心に対して同一方向或いは異なる方向に延びた姿勢にされても、インク塗布部60を塗布対象に摺接させることにより、インク塗布部60の外面に誘導されたインク(インク塗布部60に付着したインク)を塗布対象に塗布できる。
【0083】
本実施形態において、中間接続部8は、蛇腹状のフレキシブルチューブである。従って、上記構成によれば、構造を複雑化させることなく、ペン先部6の配置を使用者にとって使い勝手のよい配置にすることができる。
【0084】
また、本実施形態において、インク中継体90は、ペン先部6内に位置する第一端部とインク貯留部5側の第二端部とを有し、少なくとも中間接続部8内に位置する部位が湾曲可能であるため、中間接続部8の形態の変化に応じてインク中継体90も形態を変化させる。これにより、ペン先部6の配置を使用者の使用し易い配置にできるだけでなく、インク貯留部5のインクの誘導(供給)も確実に行うことができる。
【0085】
特に、本実施形態において、インク中継体90は、第一端部を含む第一中継芯90aと、第二端部を含む第二中継芯90bと、第一中継芯90aと第二中継芯90bとを接続した中間部材90cとを含み、第一中継芯90a、第二中継芯90b、及び中間部材90cのそれぞれは、吸液性を有し、中間部材90cは、弾性変形可能である。
【0086】
このようにすれば、第一中継芯90aとペン先部6との相対位置が一定となるとともに、第二中継芯90bとインク貯留部5との相対位置が一定になるため、第一中継芯90aによるペン先部6へのインク供給(誘導)や、第二中継芯90bによるインク貯留部5内のインクの供給が安定する。また、中間部材90cが弾性変形可能であるため、ペン先部6の配置の変更が許容される。
【0087】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0088】
上記実施形態において、化粧具としてのアイライン用のペン1について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、アイライン用以外の化粧具としてのペンであってもよい。また、化粧具としてのペンに限定されるものではなく、例えば、筆記を行うための筆記具(文具)としてのペン1であっても勿論よい。従って、ペン1に用いられるリフィル4も、筆記具として用いられるペン用リフィルであっても勿論よい。
【0089】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、リフィル4は、外装体3(胴軸部30)に固着されてもよいし、外装体3(胴軸部30)に対して着脱可能(交換可能)に取り付けられてもよい。
【0090】
また、外装体3(胴軸部30)にリフィル4が取り付けられたペン1に限定されるものではなく、例えば、インク貯留部5そのものが軸部10を構成するペン1であってもよい。すなわち、リフィル4の有する構成のみを備えたペン1であってもよい。
【0091】
上記実施形態において、インク誘導部9が、インク吸蔵体91、コレクタ92及びホルダー93を含んだが、これに限定されない。例えば、インク誘導部9がインク中継体90のみを含んでいてもよい。すなわち、インク誘導部9がインク中継体90そのものであってもよい。
【0092】
また、インク誘導部9は、中間接続部8に挿通されるインク中継体90を含むことを前提に、インク吸蔵体91又はコレクタ92の何れか一方と、該一方を保持するホルダー93とを含んでもよい。これらの何れにおいても、インク中継体90によってインク貯留部5のインクがペン先部6に供給される。
【0093】
また、インク貯留部5は、内部空間S全体に充填されたインク吸蔵材にインクを吸蔵させたものや、内部空間Sの所定領域に液状のインクを充填し、内部空間Sの残りの領域に充填された吸液性を有するインク吸蔵材にインクを吸蔵させたもの等であってもよい。
【0094】
上記実施形態において、インク中継体90は、第一端部を含む第一中継芯90aと、第二端部を含む第二中継芯90bと、第一中継芯90aと第二中継芯90bとを接続した中間部材90cとを含んだが、これに限定されない。例えば、インク中継体90は、
図5に示す如く、第一端部から第二端部の全長又は略全長に亘って吸液性を有し且つ弾性変形可能な棒状に形成されてもよい。このようにしても、
図6に示す如く、中間接続部8の形態の変化に応じてインク中継体90も形態を変化させるため、ペン先部6の配置を使用者の使用し易い配置にできるだけでなく、インク貯留部5のインクの誘導(供給)も確実に行うことができる。
【0095】
上記実施形態において、インク中継体90は、中間接続部8との間(当該インク中継体90自身の周囲)に空間をつくるように該中間接続部8内に挿通された(中間接続部8内で露出していた)が、これに限定されない。例えば、インク誘導部9は、中間接続部8内(ペン先部6とインク貯留部5との間)にあるインク中継体90を被覆する被覆部材を備えてもよい。
【0096】
但し、インク中継体90は、少なくとも中間接続部8内で弾性変形しなければならないため、被覆部材には、例えば、弾性変形可能なチューブ等が採用されてもよい。すなわち、インク中継体90は、中間接続部8に追従して弾性変形可能であれば、中間接続部8内で露出していてもよいし、中間接続部8内で被覆部材によって被覆されていてもよい。なお、被覆部材が弾性変形可能であれば、中間接続部8とインク中継体90との間の空間を被覆部材が埋めていてもよい。但し、中間接続部8が湾曲可能で且つ湾曲状態を維持可能となるようにすることが前提である。
【0097】
上記実施形態において、中間接続部8が蛇腹状のフレキシブルチューブで構成されたが、これに限定されない。中間接続部8は、直線状態及び湾曲状態(曲げ状態)での保形性を有していれば、円筒状や角筒状のチューブであってもよい。すなわち、中間接続部8は、筒状であることを前提に、湾曲可能且つ湾曲状態で維持可能であればよい。なお、中間接続部8の保形性は、中間接続部8の素材を選定することでも得られるが、それ以外に、中間接続部8の実態部分(筒状の中実部分)の内部等に針金等の塑性変形可能な芯材(線材)を中心線の延びる方向に配置することでも得られる。この場合、複数の芯材を中間接続部8の周方向に間隔をあけて配置することが好ましい。
【符号の説明】
【0098】
1…ペン、2…ペン本体、3…外装体、4…リフィル(ペン用リフィル)、5…インク貯留部、6…ペン先部、7…ペン先保持部、8…中間接続部、9…インク誘導部、10…軸部、30…胴軸部、31…尻部、50…周壁部、51…閉塞部、60…インク塗布部、70…貫通孔、90…インク中継体、90a…第一中継芯、90b…第二中継芯、90c…中間部材、91…インク吸蔵体、92…コレクタ、93…ホルダー、93a…コレクタ収容領域、93b…吸蔵体収容領域、S…内部空間、S1…第一スペース、S2…第二スペース