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特許7123385立体地図及び立体地図と立体模型からなる立体地図模型
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  • 特許-立体地図及び立体地図と立体模型からなる立体地図模型 図1
  • 特許-立体地図及び立体地図と立体模型からなる立体地図模型 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】立体地図及び立体地図と立体模型からなる立体地図模型
(51)【国際特許分類】
   G09B 25/06 20060101AFI20220816BHJP
   G09B 29/12 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
G09B25/06
G09B29/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018150799
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020027141
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 中部経済新聞 平成30年6月22日付 第4面にて公開 平成30年6月23日・24日開催の第6回 夏山フェスタにて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】518285717
【氏名又は名称】有限会社カツミ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 武志
【審査官】神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-228237(JP,A)
【文献】特開2004-093835(JP,A)
【文献】特開平07-239653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲可能な樹脂製の立体地図であって、
所定の地形が立体成形された立体部、
を備え、
前記立体部の周囲に位置し、複数の凹部が等間隔に形成された領域が設けられていることを特徴とする、
立体地図。
【請求項2】
前記凹部は、円形であることを特徴とする、
請求項1に記載の立体地図。
【請求項3】
前記複数の凹部が等間隔に形成された領域は、前記立体部側の端部から外側の端部までの距離が30ミリメートル以上であることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の立体地図。
【請求項4】
表面が前記立体部と同じ形に成形された立体模型と、
請求項1から3のいずれか1項に記載の立体地図と、
を備え、
前記立体地図が前記立体模型の表面を覆うことを特徴とする、
立体地図模型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体地図及び立体地図と立体模型からなる立体地図模型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、極めて軽量にして嵩張らず、折畳み、折曲げ自在であって、携帯や収納にきわめて便利な従来にない新規構造の軟質立体地図が知られている。例えば、特許文献1では、エマソフト(商品名)等のポリオレフィン系合成樹脂を素材とする熱可塑性の軟質合成樹脂シートの表面における印刷所定箇所をコロナ放電加工によって粗面化し、該印刷所定箇所に所定の平面地図を印刷し、かかる地図印刷した軟質合成樹脂シートを真空成形法により石膏等を素材とする立体地形型から形取りして、所定の地図を立体成形した立体地図部を形成した軟質立体地図が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3043416号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の軟質立体地図では、立体地図部が端部近くに位置するため、立体地図中の高低差が大きい場合、すなわち、山間部のような高所の立体地図を作ろうとした場合には、立体地図部の立体形状を維持することができないという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、立体地図部の周囲に平面部を備えることにより、立体地図中の高低差が大きい場合であっても、立体形状を維持することができ、登山等の携帯に特に有用な立体地図を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の立体地図は、
屈曲可能な樹脂製の立体地図であって、
所定の地形が立体成形された立体部と、
前記立体部の周囲に設けられた平面部と、
を備えたことを特徴とする、
ものである。
【0008】
この立体地図では、屈曲可能な樹脂製であるため、容易に屈曲することができるため、携帯性が高く、持ち運び易い。また、所定の地形が立体成形された立体部が設けられているため、所定の地形の高低差を立体的に示すことができる。こうすることにより、所定の地形の高低差を直感的に理解させることができると共に、等高線に対する知識を有しない者に対しても、地形の高低差を理解させることができる。加えて、立体部の周囲に平面部が設けられているため、立体部の高低差が大きい場合であっても、立体部の端部が型崩れする可能性を未然に低減することができる。付言すると、本発明の立体地図は、地形の高低差を立体部の高低差で表すため、立体部の端部に型崩れが生じた場合には、地形の高低差を表すことができず、地図としての機能を損ないかねない。このため、平面部を立体部の周囲に設けることにより、立体部の型崩れを未然に防止し、地図としての機能を損なう可能性を未然に低減することができる。
【0009】
本発明の立体地図において、前記平面部は、複数の凹部が設けられていることを特徴としてもよい。こうすることにより、平面部が平面状の場合と比較して、平面部の強度が高まり、平面部が湾曲しにくくなるため、立体部が型崩れする可能性を未然に低減することができる。また、凹部を有しない場合と比較して、持ち運び時や外で使用する際、把持しやすい。
【0010】
本発明の立体地図において、前記立体部の四隅には、前記立体部を支持する支持部がそれぞれ設けられていることを特徴としてもよい。こうすることにより、支持部を有しない場合と比較して、立体部が型崩れする可能性を未然に低減することができる。
【0011】
この態様を採用した本発明の立体地図において、前記支持部は、前記立体部の四隅から前記平面部の四隅の方向にそれぞれ設けられていることを特徴としてもよい。こうすることにより、四隅の方向以外の方向に設けられている場合と比較して、立体部が型崩れする可能性を未然に低減することができる。
【0012】
この態様を採用した本発明の立体地図において、前記支持部の高さは、前記立体部と前記支持部と当接する当節位置における前記立体部の高さの三分の一以上の高さであることを特徴としてもよい。こうすることにより、立体部の四隅を十分に支持することができるため、立体部が型崩れする可能性を未然に低減することができる。
【0013】
本発明の立体地図において、前記平面部は、前記立体部側の端部から外側の端部までの距離は、20ミリメートル以上であってもよいし、30ミリメートル以上であってもよいし、50ミリメートル以上であってもよい。このように、平面部の立体部側の端部から外側の端部までの距離を20ミリメートル以上とすることにより、立体部が型崩れする可能性を未然に低減することができる。また、この距離を30ミリメートル以上とすることにより、外出時等に把持する際、把持しやすい。
【0014】
本発明の立体地図模型は、
表面が前記立体部と同じ形に成形された立体模型と、
上述したいずれかに記載の立体地図と、
を備え、
前記立体地図が前記立体模型の表面を覆うことを特徴とする、
ものである。
【0015】
この立体地図模型は、上述したいずれかの立体模型を有しているため、上述した立体地図の有するいずれかの効果、例えば、立体部の型崩れを未然に防止し、地図としての機能を損なう可能性を未然に低減することができるという効果を有する。加えて、立体地図と同じ形に形成された立体模型の表面を覆った状態で立体形状を保持することにより、立体部の形状が立体模型の表面形状によって矯正されるため、立体部の形状が長期間保持され、立体部が型崩れする可能性を未然に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、立体地図模型40の構成の概略を示す斜視図である。
図2図2は、立体地図20の構成の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態の一例として、立体地図模型40及び立体地図20の構成について詳しく説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。
【0018】
本発明の実施の形態の一例である立体地図模型40は、図1に示すように、立体模型30の表面に立体地図20の立体部22を重ねて積置したものである。立体模型30は、立体部22と同様の地形を立体的に表したものであり、立体地図20を成形する際に使用した成形型と同様の形状を有する模型である。立体地図20を保管する際には、この立体模型30の表面を覆うように立体部22を積置して、立体地図20を保管する。こうすることにより、立体模型30の表面形状が立体部22の形状を矯正することになるため、立体地図20を携帯する場合であっても、立体部22が型崩れする可能性を未然に低減することができる。
【0019】
立体地図20は、図2に示すように、立体部22と複数の凹部26を有する平面部24と、からなる。また、この立体地図20は、熱可塑性の軟質合成樹脂(例えば、ポリオレフィン系合成樹脂等)製のシートを真空形成法により石膏等を素材とする立体地形型から型取りして、所定の地形を立体成形したものであり、立体地図の凹凸と所定の地形の高低差とが対応する形で表したものである。こうすることにより、平面地図では表せない地形の立体感(高低差)について、直感的に表現することができる。また、軟質合成樹脂製であるため、水濡れした場合であっても破損する可能性が低く、携帯時に折りたたんだ場合であっても、元の状態に戻すことで、立体部22の形状を復元することができる。このため、携帯性が高く、持ち運びやすい。加えて、水濡れに強いため、例えば、水害マップに使用した場合には、水害時に破損する可能性が低く、紙製の地図と比較して高い携帯性を有する。また、例えば、登山マップとして使用した場合には、山間部の急激な天候の変化で雨滴がかかっても、紙製の地図と比較して、破損しにくく、高い携帯性を有するといえる。
【0020】
立体部22は、図2に示すように、所定の地形を立体的に表しており、所定の地形について高低差を含め所定の縮尺で表現したものである。こうすることにより、等高線等を表示することなく、また、等高線の読み方等の知識がない者であっても、直感的に地形の高低差を知ることができる。付言すると、例えば、地形の中で相対的に低い場所を直感的に理解させることができるため、例えば、水害マップ等に利用した場合には、水害の危険地域を直感的に示すことができる。また、例えば、登山地図として用いた場合には、立体部22が高低差を直感的に示すため、地図中の位置と現在の登山位置とが一致しているか否かを高低差によって直感的に判断することができるため、登山者が現在地を見失い、遭難する可能性を未然に低減することができる。
【0021】
また、立体部22の四隅には、立体部22の四隅の稜線23と平面部24の表面のそれぞれとを当接する支持部28が設けられている。この支持部28は、略直角三角形形状の平板形状であり、直角を挟んで一方が稜線23と、他方が平面部24の表面に、それぞれ当接している。こうすることにより、稜線23と平面部24との角度を略直角に保つことができるため、立体部22の四隅が型崩れする可能性を未然に低減することができる。加えて、この支持部28は、立体部22と支持部28とが当節する当節位置の高さ(稜線23の長さ)の三分の一以上の高さとなるように形成されている。こうすることにより、支持部28が立体部22の四隅を強固に支えることができるため、四隅が型崩れする可能性を未然に低減することができる。
【0022】
平面部24は、図1に示すように、立体部22の周囲に平面形状に設けられており、立体部22側の端部から外側の端部までの距離が30ミリメートル以上の幅となるように成形されている。このように、立体部22の周囲に平面形状の領域を設けることにより、立体部22で表される地形の標高が高い場合、更に詳説すると、立体部22中、立体部22と平面部24との境界付近の地形の標高が高い場合であっても、立体部22と平面部24との境界付近の地形を正確に表現することができる。付言すると、立体部22と平面部24との境界付近の標高が高い場合、平面部24を有しない場合には、立体部22の端部の形状が歪んでしまい、立体部22の端部の標高を正確に表すことができず、立体部22の端部付近の高低差を正確に示すことができない可能性があるが、平面部24を設けることにより、立体部22の端部まで正確に表現することができる。また、立体地図20を持ち運ぶ際、平面部24を把持することにより、立体部22を把持するよりも持ちやすく、持ち運びやすい。
【0023】
また、平面部24の表面には、複数の凹部26が互いに等間隔となるように円形に形成されている。円形の凹部26を等間隔に形成することにより、平面部24の強度が全体的に増加するため、平面部24によって立体部22が型崩れする可能性を未然に低減することができる。加えて、立体地図20を持ち運ぶ際、平面部24のどの位置を把持しても凹部26を含む領域を把持することになるため、把持しやすく、持ち運びやすい。
【0024】
立体模型30は、立体部22と同様の地形を立体的に表したものであり、立体地図20を成形する際に使用した成形型と同様の形状を有するものである。立体地図20を保管する際には、この立体模型30の表面を覆うように立体部22を積置して、立体地図20を保管する。こうすることにより、立体模型30の表面形状が立体部22の形状を矯正することになるため、立体地図20を携帯する場合であっても、立体部22が型崩れする可能性を未然に低減することができる。
【0025】
以上詳述した実施の形態の立体地図20によれば、所定の地形が立体成形された立体部22により、所定の地形の高低差を直感的に示すことができる。また、立体部22の周囲には平面部24が設けられており、この平面部24には複数の凹部が設けられているため、持ち運び時に平面部24及び凹部26を有しない場合と比較して、持ち運びやすい。
【0026】
また、平面部24には複数の凹部26が設けられているため、凹部26を有しない場合と比較して平面部24の強度が高まり、平面部24が湾曲しにくい。このため、立体部22が型崩れする可能性を未然に低減することができると共に、持ち運び時や外で使用する際、把持しやすい。
【0027】
更に、立体部22の四隅には、支持部28が設けられているため、支持部28を有しない場合と比較して、立体部22が型崩れする可能性を未然に低減することができる。
【0028】
更にまた、支持部28は、立体部22の四隅である稜線23から平面部の四隅の角方向にそれぞれ設けられているため、支持部28が他の方向に向けて設けられている場合と比較して、より立体部22が型崩れする可能性を未然に低減することができる。
【0029】
そして、支持部28の高さは、稜線23の長さの三分の一以上の高さで設けられているため、立体部22の四隅を十分に支持することができ、立体部22が型崩れする可能性を未然に低減することができる。
【0030】
そして更に、平面部24は、立体部22から外側の端部までの距離が30ミリメートル以上となるように設けられているため、立体部22において、立体部22と平面部24との境界付近に表される地形の標高が高い場合であっても、立体部22が型崩れする可能性を未然に低減し、正確に高低差を表すことができる。
【0031】
そして更に、立体地図20を保管する際には、立体部22と同じ形に成形された立体模型30の表面を覆うように立体地図20を積置して保管することが可能な立体模型30を有しているため、立体部22が型崩れする可能性を未然に低減することができる。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
上述した実施の形態で示すように、地図分野、特に立体地図として利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
20…立体地図、22…立体部、23…稜線、24…平面部、26…凹部、28…支持部、30…立体模型、40…立体地図模型。
図1
図2