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特許7123396眼疾患、特にドライアイの治療のための電気刺激装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】眼疾患、特にドライアイの治療のための電気刺激装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/00 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A61F9/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018517390
(86)(22)【出願日】2016-10-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 IB2016001541
(87)【国際公開番号】W WO2017072575
(87)【国際公開日】2017-05-04
【審査請求日】2019-08-23
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-29
(31)【優先権主張番号】102015000066819
(32)【優先日】2015-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518110523
【氏名又は名称】レゾーノ オプタルミック エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】デ トーニ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ポッツァート,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ポッツァート,ジャンアントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ルッジェーリ,アルフレード
(72)【発明者】
【氏名】スカラムッツァ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】トラーニ,アントニオ
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】倉橋 紀夫
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0081333(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0010481(US,A1)
【文献】特開2021-72938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライアイを治療するための電気刺激装置であって、以下の構成要素:
(i)1つ以上の電極を備えるドライアイを治療するための電極システム(2;100)であって、(a)顔における眼(10)、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域又は顔における眼(10)、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域の一部と、高周波数を通過させる絶縁層を介して接するように意図した前記1つ以上の電極の一部はそれぞれ、顔における眼、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域の表面形状、又は顔における眼、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域の一部の表面形状を模倣しているか、あるいは(b)顔における眼(10)、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域又は顔における眼(10)、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域の一部と、高周波数を通過させる絶縁層を介して接するように意図した前記1つ以上の電極の一部は可撓性であり、形状適合性であり、それにより(a)または(b)のいずれかの場合、前記1つ以上の電極の一部と、顔における眼(10)、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域又は顔における眼(10)、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域の一部の表面形状との形態適合した装着が達成可能になるものである電極システム(2;100)、
(ii)少なくとも第2及び第3高調波を有する4MHzの基本周波数の歪んだ正弦波電流が電磁波を放出するために適した無線周波数回路であって、顔における眼(10)、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域又は顔における眼(10)、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域の一部と、高周波数を通過させる絶縁層を介して接するように意図した前記1つ以上の電極の一部には、少なくとも第2及び第3高調波を有するある基本周波数の歪んだ正弦波電流供給するか、又は供給可能になるものであり、電流を供給された前記電極から電磁波が供給される、無線周波数回路、
を備えることを特徴とする電気刺激装置。
【請求項2】
前記1つ以上の電極の一部は可撓性であり、形状適合性であり、前記一部には、その表面延在を決定する縦方向と横方向で異なる伸展性を示す金属織布(16;118)が、電磁波を伝達するように働く、導電かつ放射要素として備えられることを特徴とする請求項1に記載の電気刺激装置。
【請求項3】
前記1つ以上の電極の一部は可撓性であり、形状適合性であり、前記一部はサンドイッチ構造内において、以下の順序で、緩衝クッション材(26;114、116)、電磁波を伝達するように働く、導電かつ放射要素(16;118)、及び、絶縁層(12;108)を備え、前記導電かつ放射要素(118)はフィルム(132)の開口部に窓として一体化され、前記フィルムは前記導電かつ放射要素(118)に電磁波を供給するための電気回路を有し、電極の一部であり、緩衝クッション材(114、116)、導電かつ放射要素(118)、絶縁層(108)及び回路を有するフィルム(132)は全て可撓性であり、顔における眼(10)、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域又は顔における眼(10)、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域の一部に対してその形状を適合できることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気刺激装置。
【請求項4】
前記電極システムはマスク(2)又は一対のゴーグル(100)であり、前記1つ以上の電極の一部は、顔における眼、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域又は顔における眼、眼窩、側頭、及び、眼瞼が位置する領域の一部を覆うことを意図したマスク(2)又はゴーグル(100)の全領域に行き渡るように延在し、延在領域の一部はマイボーム腺及び涙腺の大部分を覆うことができることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の電気刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼疾患、特にドライアイの治療のための電極システム、個々の装置及び方法に関するものであり、治療対象の身体領域の形状に対して電極を適合させる。
【背景技術】
【0002】
ドライアイ疾患の臨床試験に関するAmerican National Eye Instituteのガイドライン(非特許文献1)は、ドライアイを「不十分な涙液生成又は過剰な涙液蒸発による涙膜の障害と、それに伴う眼瞼内側の眼表面の劣化、及び眼の不快感の症状」と定義する。近年、「涙液機能障害」(機能不全性涙液症候群、DTS)(非特許文献2)という用語が「ドライアイ」より好まれるている;当該用語は、涙膜の浸透圧の増加及び眼表面の炎症に伴う不快感、視覚障害及び涙膜不安定の症状を生じる涙液及び眼表面の多因子性疾患を臨床的に構成している。DTSは眼科の臨床において一般的に見られる障害であり、多様な重症度で40歳を超える成人の約20%が罹患する。
【0003】
疾患の原因は、涙膜、眼表面(角膜、結膜、副涙腺、マイボーム腺)、ムコ‐表皮接合部、主涙腺及び神経接続系、排泄管、ならびに鼻涙嚢などの機能単位の1つ以上の部位における病的状態に関連している。
【0004】
その症状は、軽度の不快感又は様々な強度の灼熱感、異物感、乾燥、羞明として現れ得る。重度の症例では、疾患が進行して角膜組織に影響を及ぼし、潰瘍、浸潤、視覚障害を断定できる。
【0005】
DTS治療は対症療法のみで眼表面の十分な潤滑を維持することを目的としており、実質的に涙液代替物(最も重篤な症例では日中の投与回数が最大数十回である)、夜間のゲル又は軟膏、及び局所的な抗炎症薬の使用に基づいている。
【0006】
対症療法は例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されているような加圧下のパルスエアに関連する「加熱水分」の利用である。他の対症療法には局所熱と間欠圧力との併用が挙げられる。
【0007】
当技術分野で公知の別のドライアイ治療戦略は、埋め込まれた電極を介して涙腺の電気的神経刺激を提案している。従ってこれは侵襲的方法である。このような治療のための電極は、特許文献3及び特許文献4に記載されている。装置を鼻腔の粘膜に挿入し、別の装置を眉の下で皮下に挿入して涙液生成を増加させる鼻神経刺激装置も公知である。パルス光によるドライアイ治療も公知である。米国特許文献の特許文献5及び特許文献6は、非常に一般的な形態で、様々な周波数の電気刺激によるドライアイ治療を提案している。2つの文献で提案した電極は、簡単な方法で電磁波の均等な分布を保証するにはまだ理想的ではない。これらの上記の療法は全て対症療法であり、疾患を治癒するものではない。 従って、使用の反復が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開特許第2012/114066号サーチレポート
【文献】欧州特許第1467687号明細書
【文献】国際公開特許第2012/139063号
【文献】米国登録特許第8918181号明細書
【文献】米国特許出願公開特許第2011/081333号明細書
【文献】米国特許出願公開特許第2013/172829号明細書
【非特許文献】
【0009】
【文献】Lemp MA. Report of the National Eye Institute/Industry workshop on clinical trials in Dry Eyes. CLAO J. 1995;21:221~232;
【文献】Report of the International Dry Eye WorkShop(DEWS), Ocul Surf. 2007;5(2):69~204;
【文献】Dal Maschio M et al. Biophysical effects of high frequency Electrical field(4~64MHz) on muscle fibers in culture. Basic Applied Myology. 2009;19(1):49~56;
【文献】B.Kronemyer. Resonax emits high frequency currents to stimulate tissues. Aesthetic Buyers Guide. Sep/Oct 2006. www.miinews.com.
【文献】Schiffman RM et al. Reliability and validity of the eye Surface Index. Arch Ophthalmol. 2000;118:615~621.
【文献】Suzuki M et al. Tear osmolarity as biomarker for dry eye disease severity. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2010;51:4557~4561.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記の欠点を克服し、症状を治療するだけでなく、疾患の原因(ドライアイの場合には低分泌又は過蒸発)を解消するか、又は少なくとも対症療法の回数を低減するドライアイ治療に使用する方法及び関連装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に明らかになる上記の目的、他の目的及び利点は、第1の請求項に定義されるような電極システム、具体的には、ドライアイを治療するための電極システムにより達成され、当該システムは1つ以上の電極を備え、ここでは(a)眼、眼窩、側頭、眼瞼領域又はこれらの一部と接触させて当接するように意図した上記1つ以上の電極の一部は、それぞれ、眼、眼窩、側頭、眼瞼領域又はこれらの一部の表面形状を模倣しているか、あるいは(b)眼、眼窩、側頭、眼瞼領域又はこれらの一部と接触させて当接するように意図した上記1つ以上の電極の一部は可撓性であり、形状適合性であり、それにより(a)及び(b)の場合、上記1つ以上の電極の一部と、眼、眼窩、側頭、眼瞼領域又はこれらの一部の表面形状との形態適合が達成可能になり、眼、眼窩、側頭、眼瞼領域又はこれらの一部と接触させて当接するように意図した上記1つ以上の電極の一部には、関連する高調波、好ましくは少なくとも第2及び第3高調波を有するある共振周波数、好ましくは4MHzの共振周波数の歪んだ正弦波電流の電磁波を供給するか、又は供給可能であり;本発明の好ましい変形例では、歪んだ正弦波電流の電磁波の高調波は最大64MHzである。
【0012】
上記1つ以上の電極の一部は可撓性であり、形状適合性であり、以下の順序、緩衝クッション材、導電性かつ放射性要素、及び絶縁層をサンドイッチ構造で備えることが有利である。
【0013】
電極の幾何学的適合性により、すなわち上記1つ以上の電極の一部と、眼、眼窩、側頭、眼瞼領域又はこれらの一部の表面形状とを形態適合させて装着することにより、身体の関連部位に電磁波を均等に伝達させることが可能になり、従って印加領域の個々の位置における過熱又は電磁波集中も回避できる。このような電極構造では、眼、眼窩、側頭及び眼瞼領域の全体又は一部の表面領域に‐簡単かつ非侵襲的な方法で‐電磁波を印加することが可能である。
【0014】
従って、電極の基本的な部分は、治療領域と接触する電極部分が、その形状において、治療領域の相関的形状に対応し、治療領域全体にわたって均等な伝達を確実にすることである。電極システムの別の重要な部分は、ドライアイの治療において大きな進歩をもたらす‐後述で見るような‐第1請求項で定義される電磁波を供給する/供給可能であることである。本発明に従った電極システムは他の眼疾患の治療にも適している。
【0015】
電極は眼瞼の全眼領域、又は別の変形例では、その一部のみを覆うことが有利である。本発明の他の有利な変形例では、当該システムは4つの電極を備えることが可能であり、これらは眼の側頭及び眼瞼領域上に支持することが好ましい。他の変形例では、患者の眼瞼の2領域に2つの電極が設けられる。システム内の電極数及び電極の寸法は治療領域に応じて選択する。
【0016】
電極はシートの形態にし得る、すなわち、他の2つの寸法より大幅に小さい第3の寸法を有することが有利である。
【0017】
本発明の好ましい変形形態では、上記1つ以上の電極一部は可撓性であるか、その形状が適合性であり:可撓性の金属化基板;金属粒子及び/又はワイヤを含むポリマー、好ましくはシリコーンゴム;金属化織布;金属織布;ならびにこれらの組み合わせから選択する。例えばアルミニウム又は銀織布などの金属織布が特に好ましい。ポリマーは軟質かつ不活性であることが好ましい。ポリマーはシリコーンゴムであることが有利である。ポリマーは、内部に埋め込まれた導電性ナノ粒子、特に金属ナノ粒子を有することが好ましい。従って、これは適切な濃度の軟質かつ不活性なポリマー及び金属ナノ粒子のブレンドである。刺激周波数に対して電気的に導通させるために適した他のポリマー修飾も許容可能であり、従ってワイヤの一体化も許容可能である。金属化は材料を過度に硬化させることが多いため、金属化基板を有する形態はあまり好ましくない。
【0018】
本発明の特に好ましい実施形態では、上記1つ以上の電極の一部は可撓性であり、形状が適応性であり、導電性かつ放射性要素、及びその表面延在を画定する2種の寸法で伸展性が異なる金属織布から成る。導電性かつ放射性要素は電磁波を伝達するように働く。その表面延在を画定する二次元の異なる伸展性により、治療する眼領域の形状への適合が均等になる。眼を閉じた状態の眼瞼領域を治療するには、システムの使用中に眼のラインに対応する方向で約100%まで伸展可能であり、一方、平均的な患者の眼瞼の寸法を考慮すれば、これに対して直交方向(すなわち鼻の延長上に対応するラインに沿って)では65%まで伸展可能である材料が特に好適である。導電性織布は市場で公知であり、例えば、電界スクリーンとして市販されている;幅広い選択肢を有する供給業者は例えば、米国ニューヨーク州Latham12110のLess EMF Inc.である。
【0019】
本発明の有利な実施形態では、電極システムは更に熱量検出器を備える。温度プローブを使用すると、眼と接触しているシステムの温度を測定することが可能になる。温度は好ましくは40℃を超えないようにする必要がある。温度が高すぎる場合に電極システムへの電力供給を中断するシステムも設けることが有利である。本発明の1実施形態では、温度プローブは、処理する領域と接触しているか、又はこれに近接した電極部分に一体化することが可能である。電極にはインピーダンス検出用装置が備えられることが有利である。
【0020】
本発明の更に特に好ましい実施形態では、上記1つ以上の電極の一部は可撓性であり、形状適合性であり、また、患者と接触するように意図した面に、100kHzを超える周波数を通過させて、有利には100kHz未満の周波数を遮断するために好適な絶縁層を備える。従って、絶縁層はフィルタとして機能し、患者を低周波数から保護するのに適しているが、高周波数、特に所望の高調波の通過を可能にする。絶縁層に適した材料は、例えば医療分野で既に認可されているACTEGA社の製品ProvaMed TPE1140などの、例えばシリコーンゴム、ポリウレタン(PU)、熱可塑性エラストマー(TPE)である。
【0021】
本発明の別の実施形態により、本発明に従った電極システムには、少なくとも部分的に直接的又は間接的に上記1つ以上の電極の一部に接触して配置されたゲル等を含む1種以上のクッション材も備えられる。クッション材により、例えば眼瞼などの治療対象の個々の領域に対する電極の接着が向上し、これにより単純かつ効果的な方法で、患者の不快感も最小限になる。例えば、「メモリ」効果も有する液体、又は発泡ゴムなどの軟質変形可能材料を充填したクッション材も考えられる。これらの緩衝クッション材は、電極部分を変形させた後、治療領域の形状に適合させると同時に、眼との柔和な接触を確保するのに役立つ。
【0022】
本発明の変形例では、電極は、例えばコットンなどの保護層を用いて、少なくとも1つの面、例えば処理領域と接触する面を覆うことも可能である。ゲルクッション材と電極、すなわち電極導電部との間にも、保護層を設けてもよい。本発明に従った電極システム内に設け得る構造は以下の順序で:保護層、電極(すなわち電極の導電性部分)、保護層、ゲルクッション材を有することが可能である。
【0023】
本発明に従った装置の動作上の仮説は高周波での容量性電荷移動であるため、保護層は厳密には必要ないが、特定の種類の電極(特に発熱を操作する電極)のために、人間工学条件及び生体適合性を改善することが可能である。電極は、眼、眼窩、側頭、眼瞼領域と直接接触することも可能である。上記の絶縁層により、代わりに安全性が高まり、低周波伝達を排除し、高い安全性でシステム動作を高周波容量性電荷移動に限定することが可能になる。
【0024】
電極用に選択した材料は、処理領域上で40℃を超える温度が発生しないように、動作中は過度に発熱させないようにすることが有利である。
【0025】
眼、眼窩、側頭、眼瞼領域に印加する好ましい電流は、例えば、約30~100mJ/cm/s、より好ましくは60~100mJ/cm/sの表面電力に対応しており;特に好ましい値は約80mJ/cm/sである。
【0026】
本発明の特に好ましい実施形態では、上記1つ以上の電極の一部は可撓性であり、形状適合性であり、上記一部はサンドイッチ構造内において、以下の順序で:緩衝クッション材、導電性かつ放射性要素及び絶縁層を備え、導電性かつ放射性要素は、導電性かつ放射性要素に電磁波を供給する電気回路を有するフィルムの開口部に窓として一体化され、当該フィルムは電極の一部であり、緩衝クッション材、導電性かつ放射性要素、絶縁層及びフィルムは全て可撓性であり、眼、眼窩、側頭及び眼瞼領域、又はこれらの一部に対してその形状を適合できる。
【0027】
本発明に従った電極システムには、電気回路が開放され、電磁波が伝達される負荷インピーダンスとしての外部物体によってのみ閉鎖可能であるように構成した電磁波伝達用電気回路が備えられることが有利である。本発明に従った電極システムには、治療する予定の患者身体の一部が回路の一部となるように構成した電磁波を伝達するための電気回路が備えられ、これがなければ電磁波の通過は不可能である。言い換えれば、被処理面のない電気回路は開回路である。その動作は、ジュール効果を介して電極を加熱するために回路内部に電流を通過させることを利用するのではなく、患者身体又は外部物体を、電磁波が伝達される負荷インピーダンスと見なす。専門家は、自身の一般的な知識により、このような回路を容易に実現する。
【0028】
本発明の特に好ましい実施形態では、電極システムはマスク又は一対のゴーグルであり、上記1つ以上の電極の一部は、眼、眼窩、側頭領域及び/もしくは眼瞼領域又はこれらの一部を覆うことを意図したマスク又はゴーグルの全領域に行き渡るように延在し、特にその延在領域の一部はマイボーム腺及び涙腺の大部分を包含できる。このような構造は頭部に容易に固定可能であり、電極で処理する領域を快適に覆うことが可能である。
【0029】
本発明の非常に有利な変形例では、上記1つ以上の電極の一部は、閉じた状態の眼瞼に形態適合させて装着して覆うことに適している。
【0030】
電極システムの上記実施形態、特に請求項2~6で定義された実施形態も、電極に供給する電磁波の形態に関わらず実現可能である;これらの手段は他の種類の治療にも有用であり、請求項3~5で強調されている特徴として、その形状に適合しない電極で実施することも可能である。
【0031】
本発明の更なる態様は、本発明に従った電極システム、ならびに関連する高調波、好ましくは少なくとも第2及び第3高調波を含む共振周波数で歪んだ正弦波電流の電磁波を放射するために適した無線周波数回路を備えるドライアイ治療用電気刺激装置に関するものであり、ここでは、歪んだ正弦波電流の電磁波は上記1つ以上の電極、特に眼、眼窩、側頭、眼瞼領域、又はこれらの一部に接触させて使用するように意図した上記1つ以上の電極の一部に供給される。
【0032】
電磁波の周波数は4MHzであることが有利である。眼病変、特にドライアイの治療においてかなり満足のいく結果では、共鳴周波数が4MHzであることが非常に好ましい。好ましい実施形態では、歪んだ正弦波電流の電磁波の共振周波数は4MHzであり、高調波は最大64MHzである。
【0033】
よって、本発明に従った装置に属する無線周波数回路は広帯域回路である。このような回路は、高調波が通過できるように意図している。上記の電磁波では、高調波が大部分を占めていることが望まれる。単一周波数を通過させるように設計した狭帯域フィルタにおいて高調波の存在がランダムであると、本発明を十分に実施できない。10Ω~2000Ωまで変化する負荷インピーダンス範囲における基本周波数との関係において、第2及び第3高調波の強度は振幅に対して10%を超えることが好ましい。これらの強度は、示された範囲の範囲外にすることも可能である。文献、欧州特許第1545699号、欧州特許第1633263号、及び欧州特許1631203号では、無線周波数回路は共振回路を備え、これは個々の共振周波数で振動し、共振回路の共振周波数の高調波を通過させるメリット係数又はQ係数で実現し、広帯域回路であるという特性、広帯域回路を形成する古典的な方法を回路に与える。このような共鳴周波数を有する電磁波は治療する組織に伝達され、次いで、当該組織、すなわち関連する分子を個々の共鳴周波数で振動又は共鳴させる。
【0034】
本発明に従った装置と類似の装置(欧州登録特許第1545699号に記載)を用いるが電極は異なっている電気刺激での美容上のしわ防止処置後にDTSであると臨床的に診断されなかった被験者において涙液量が増加したという予想外の驚くべき一般的観察により、眼窩周囲皮膚表面の電気刺激は涙腺機能に有益であるという仮説が立てられた。
【0035】
本発明に従った装置で使用する低強度かつ高周波の電気刺激は、量子分子共鳴(RQM)、すなわち振動電界の形態で生体組織にエネルギーを伝達する可能性の原理に基づく。Padua大学人間解剖学生理学部で行われた培養中の筋線維モデルの研究(非特許文献3)は、RQMのエネルギーが膜電位の変化及び細胞内遊離カルシウムの増加を決定すると強調している。RQMにおける電界の効果は、細胞生化学、及び細胞内代謝経路の活性化と非常に密接に関連しており、これにより細胞代謝を刺激して組織再生を促進するために有用な条件である理学療法及び美容医学における治療用途が見出される(非特許文献4)。
【0036】
中等度~重度のDTS及び眼瞼炎の患者7人における臨床的予備調査から、治療終了の3ヶ月後に電気刺激を行い臨床転帰を維持した患者の60%において臨床的及び主観的改善が示された。
【0037】
DTSの場合、高周波の電界は、腺組織の活動を再活性化することにより涙器系を刺激し、マイボーム腺及び涙腺を刺激することが可能であり、周辺組織にも機能的利益がもたらされることが推測できる。電流により発生する中等度温熱療法、及び眼窩周囲領域にオペレータにより行う実施可能なマッサージも、生理的涙液及び脂質分泌を再活性化するために役立ち、よって疾患の症状にのみ作用する訳ではない。
【0038】
従って、RQMの印加後に天然涙液がより多く誘導されると、臨床的及び主観的観点から、涙膜と、関連する肯定的結果とは質的及び量的に生理的バランスが取れるようになる。
【0039】
全体が参照により本明細書に援用される特許文献、欧州登録特許第1545699号、欧州登録特許第1633263号及び欧州登録特許第1631203号、ならびに対応する特許、2005年12月2日出願の米国登録特許第7,300,437号、2005年1月6日出願の米国登録特許第7,571,003号、2005年2月18日出願の米国登録特許第7,713,267号、及び2009年6月22日出願の米国登録特許第8,457,751号には、本発明に従った電極システム、装置、方法及び使用において利用可能な歪んだ正弦波の高周波数電磁波を生成する、しわ処理及び血液凝固用装置、及び無線周波数回路などの部品を備えるランセットが記載されている。どの文献も、このような電磁波が眼疾患、特にDTSの治療に有用である可能性は示していない。
【0040】
本発明の更なる態様はドライアイを治療する方法に関連しており、この方法には、関連する高調波、好ましくは少なくとも第2及び第3高調波、より好ましくは4MHz共振周波数の場合は最大64MHzの高調波を有するある共振周波数、好ましくは4MHzの共振周波数の歪んだ正弦波電流の電磁波を、眼、眼窩、側頭、眼瞼領域又はこれらの一部に印加することが含まれる。当該印加は、上記で定義したいくつかの領域で同時に、又は連続して実行可能である。上述のように、また後述の臨床研究から明らかなように、提案された方法は、少なくとも数ヶ月を超える期間、ドライアイの症状を有意に緩和し、一部の患者においては症状を解消する。病変の原因が解消しているように見える例もあれば、最終治療後に現れる症状を治療するための治療間に必要な時間が長くなる例もある。
【0041】
この方法は従来技術で公知の標準的な電極を用いて実施することも可能であるが、この電極は治療領域に形態適合させて装着して覆えるとは考えにくい。
【0042】
好ましくは、本発明の方法に従った印加は、本発明に従った電極システム又は本発明に従った電気刺激装置により行われる。
【0043】
好ましい実施形態では、上記で定義した電磁波を、閉じた眼瞼の表面全体に印加する。好ましい実施形態では、上記で定義した電磁波を、閉じた上眼瞼全体に印加する。眼瞼領域全体を覆って眼瞼に十分に付着することが有利な本発明に従った電極を使用すると、眼又は眼窩の他の領域を覆う電極より良好な結果がもたらされる。
【0044】
本発明に従った方法の1実施形態では、治療は2段階で行い、第1段階では、好ましくは4つの電極を側頭領域、及び外側から両眼の下眼瞼表面まで当接し、その後の第2段階では、眼窩骨構造に沿って「8の字」運動を行うハンドピース電極により電気刺激を行う。第1段階では、電極をある期間、例えばそれぞれ1分間作動させ、このサイクルを4回反復し、全持続時間が16分間の電気刺激を行うことが有利である。好ましくは、第2段階では、ハンドピースを、約10分間、又は例えば3分間のサイクルを2回、合計で6分間作動させる。例えば、これらの2段階を8週間に割り振り、最初の4週間に週2回、次の4週間に週1回行い、12回行うことが有利である。
【0045】
好ましい実施形態では、本発明に従った電極システムには、順次又は同時に作動可能な別の電極も備えられる。
【0046】
本発明の最後の態様は、例えば眼瞼炎もしくは上皮創傷などの角膜に関する眼疾患、及び/又は例えば網膜色素変性症もしくは加齢性変性性黄斑症などの網膜に関する眼疾患を治療するための、本発明に従った請求項1~6に記載の電極システム、請求項7に記載の装置、及び方法の使用に関する。
【0047】
本発明を他の眼疾患に応用できる臨床的証拠は有望な結果を示している。本発明に従った電極システム及び装置により、眼、眼窩、側頭及び眼瞼領域ならびにこれらの一部において電磁波を非侵襲的かつ均等に印加することが可能になり、それにより、このような治療に過敏な眼病変を治療できる可能性が開かれる。
【0048】
電気刺激による加齢性黄斑変性及び網膜色素変性の治療は当技術分野で公知であるが(米国公開特許第2013/0066396号)、眼、眼窩、側頭又は眼瞼領域の形状に付着しない形状を有する電極を提案するものであり、本発明で確認した特定の正弦波は使用していない。
【0049】
本発明に従った単一の態様(電極システム、装置、方法、使用)について上記で示した特性全ては、変更すべきところは変更して、本発明の他の態様に移行させることが可能である。上記の目的及び利点は、例示により示された本発明の好ましい実施例の説明中に、より詳細に強調されており、実施例は例示によるものであり、限定によるものではない。
【0050】
本発明の変形例は従属請求項の目的である。本発明の好ましい実施例の説明は例示によるものであり、限定によるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】眼表面染色を評価するためのオックスフォードスキームを示す(In:International Dry Eye WorkShop(DEWS)、Ocul Surf.2007;5(2):69~204)。
図2】全患者(上図)、過蒸発の患者(左下図)及び低分泌の患者(右下図)に対して別々に試験を行ったときのOSDI値(平均及びSD)について、本発明に従った装置及び方法の利用に関する臨床試験の結果を示す。
図3】全患者(上図)、過蒸発の患者(左下図)及び低分泌の患者(右下図)に対して別々に試験を行ったときのTBUT値(平均及びSD)を示す。
図4】全患者(上図)、過蒸発の患者(左下図)及び低分泌の患者(右下図)に対して別々に試験を行ったときのオックスフォード角膜染色の値(平均及びSD)を示す。
図5】全患者(上図)、過蒸発の患者(左下図)及び低分泌の患者(右下図)に対して別々に試験を行ったときのシルマー試験結果の値(平均及びSD)を示す。
図6】本発明に従ったマスク形状の電極システムの斜視図を示す。
図7図6のマスクの断面を概略図で示す。
図8図6及び図7のマスクを使用するための組立て段階を示す。
図9図6~8のマスク内部における電極の延在及び設置を示す。
図10図6~9のマスクの詳細を示す。
図11】本発明に従ったゴーグル型電極システムの別の例の正面図を示す。
図12図11の電極システムを上面図で示す。
図13図11の電極システムを背面図で示す。
図14図11の電極システムを両側面図で示す。
図15図11の電極システムを半正面斜視図で示す。
図16図11の電極システムを背面斜視図で示す。
図17】それぞれ図20及び図18に表される断面G‐G及びA‐Aの位置を示す図13に対応する。
図18図17の断面A‐Aを示す。
図19図18の断面B‐Bを示す。
図20図17の断面G‐Gを示す。
図21図20の詳細Aを示す。
図22図20の断面L‐Lを示す。
図23図11の電極システムを分解図で示す。
図24図23の詳細を分解斜視図で示す。
図25図24の詳細を組立てた状態で示し、電極の導電性部分の変形を示す。
図26図11のゴーグルの電気接続及びデータ接続を分解図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
研究は、DTS患者の症状、臨床的客観性及び涙液の質に対する、本発明に従った医療装置を用いて眼窩周囲皮膚表面を介して伝えられる電気刺激の効果を評価することを目的とする。これらの効果は、治療前の状態(ベースライン)と比較した、治療終了時の以下のパラメータの値の変動に関して測定した:(a)眼の症状(OSDI‐眼表面疾患指数問診のスコア、イタリア語バージョン、使用する涙液代用物の量);(b)臨床状態(眼表面の生体顕微鏡検査、フルオレセイン染色、オックスフォードスキームに従った評価);(c)涙液の量及び質(涙液機能検査:シルマー‐1;涙膜破壊時間検査(フルオレセインによる着色涙膜検査における表面上の亀裂の外観分析);TearLab(商標)による涙液浸透圧の検査);(d)視力。
【0053】
以下の基準を満たすDTS患者27人を対象に試験を行った:(a)一般的な健康状態が良好な18歳以上の者;(b)両眼がDTSであると臨床的に診断された者;(c)両眼にフルオレセイン処理して涙膜の表面上に断裂が起こる時間が<10秒間の者;(d)両眼におけるシルマー‐1試験で<10mm/5分の者;(e)両眼において涙液浸透圧が>300mMDGの者;(f)ある程度、眼に不快感がある者(OSDI問診);(g)瞼球癒着症瞬き障害もしくは他の疾患、及び/又は眼瞼の重篤な解剖学的異常及び/又は眼瞼閉鎖のない者。この試験は以下の患者は排除した:(a)抗生物質を含む点眼薬による治療が必要な者;(b)試験期間中に妊娠しているか、又は妊娠する予定である者;(c)局所的又は全身的抗炎症治療を開始する必要がある者;(d)緑内障を患っているか、また/あるいは低張点眼薬で治療中である者;(e)過去3ヶ月以内に眼科手術を行った者;(f)過去6ヶ月以内に眼感染に罹患したか、又は眼感染(例えば、ヘルペス等)を再発した既往歴がある者;(g)取り外し不可能な電気装置(例えば、ペースメーカ等)のキャリアである者;(h)顔面領域が皮膚病理学的状態(例えば酒さ、座瘡等)にある者。
【0054】
これはパイロット試験であることから、正式な数値計算は実行不能である。試験対象となった患者の数(27人)により、結果に探索的統計分析を適用することが可能になり、DTS患者に対する本発明に従った装置での刺激の効果に関する指標が得られる。本発明に従った装置により電気刺激が達成された。
【0055】
各患者について、8週間にわたる12回:最初の4週間に週2回、次の4週間に週に1回:の治療を行った。電気刺激中、装置は80mJ/cm/sの公称電力の電流を放出した。各回の治療は2つの連続する刺激段階から構成されていた。
【0056】
第1段階では、本発明に従った2つの使い捨て接着電極は、1つは側頭領域に、また1つは下眼瞼表面の外側に、化粧品が付着していない清浄した皮膚上で、患者の閉じた各眼の周囲に導電性ゲル層により当接した。4つの電極を各1分間継続して作動し、このサイクルを4回繰り返して合計16分の電気刺激を行い、その後、電極を取り外した。
【0057】
第2段階では、ハンドピース電極を用いて電気刺激を行った。医師は導電性ゲルで覆ったハンドピースを患者の皮膚に設置し、これは眼窩骨構造に沿って「8の字」形状に運動する。ハンドピースを3分ずつ2サイクル、合計6分間作動させた。
【0058】
患者をリクライニングチェアに座らせ、厚手の衣服(ジャケット、コート等)を着用させず、椅子の座席に配置した導電性ゴム板と接触させて治療した。当該装置は、温度及び湿度条件に適していると思われる環境に設置した。この環境では、操作の定常性を確実にするために、全て、プロトコールにより提供された治療回数で行った。
【0059】
治療中、使用した活性電極からの高周波電流伝達の結果として、患者は適度な熱を感じ、決して不快感を感じなかった。治療終了時、治療した皮膚領域がやや発赤していた。発赤は通常30分以内に消失し、不快感を残さなかった。各回の治療後、患者を帰宅させる前に、生体顕微鏡(スリットランプ)を用いて両眼について前眼部を評価した。上記の対象基準及び排除基準に従って募ったDTS患者で、基礎評価を行った。
【0060】
治療前評価(ベースライン):(a)短期及び長期のDTSの病歴;(b)OSDI(眼表面疾患指数)問診の完了;(c)TearLab(商標)を用いた涙液浸透圧の測定;(d)視力の測定(BCVA‐最高矯正視力、矯正視力);(e)眼の前眼部のスリットランプ評価(生体顕微鏡);(f)シルマー‐1試験による涙液分泌の測定;(g)眼内圧の測定;(h)角膜感受性の測定;(i)10秒未満の値の場合に3回連続して実施するフルオレセインでの涙膜破壊時間試験(FBUT)による涙膜安定性の測定;(j)オックスフォード比色パターンに従った眼表面の評価。
【0061】
各患者は毎日治療され、患者は点眼薬(人工涙液又は他の点眼薬)の毎日の投与形態及び回数、有害事象(例えば痛み、羞明、異物感等)が起こる可能性、他の処方における薬物の使用を書き留めた。最初の検査来院(来院1)には、以下の結果パラメータの検証が含まれた:(a)OSDI(眼球表面疾患指数)問診の完了;(b)涙液代用物の現在の使用量のスケール(試験参加開始前の1週間に使用した点眼薬の種類ごとの投与回数/日)の評価;(c)TearLab(商標)を用いた涙液浸透圧の測定;(d)眼の前眼部のスリットランプ評価(生体顕微鏡);(e)シルマー‐1試験による涙液分泌の測定;(f)10秒未満の値の場合に3回連続して実施するフルオレセインでの涙液層破壊時間試験(FBUT)による涙膜安定性の測定;オックスフォード比色パターンに従った眼表面の評価。
【0062】
患者は、最初の4週間は週に2回、次の4週間は週に1回、治療(診察来院、来院1~12)のために来院した。各来院では、日誌(使用した涙液/他の点眼薬の回数及び種類;出来事、又は有害反応)の確認、及び両眼の生体顕微鏡検査の実施を行った。
【0063】
8回目の治療の開始前に、OSDI問診を実施し、涙液浸透圧の測定を行った。
【0064】
治療サイクル終了後1週間、各患者は以下の評価を含む対照/最終検査来院(来院13)として再度来院した:
(a)OSDI問診の完了;
(b)日誌の確認;
(c)TearLab(商標)を用いた涙液浸透圧の測定;
(d)視力測定(BCVA、矯正視力);
(e)眼の前眼部のスリットランプ評価(生体顕微鏡);
(f)シルマー‐1試験による涙液分泌の測定;
(g)眼内圧の測定;
(h)角膜感受性の測定;
(i)10秒未満の値の場合に3回連続して実施するフルオレセインでの涙膜破壊時間試験(FBUT)による涙膜安定性の測定;;
(j)オックスフォード比色パターンに従った眼表面の評価。
試験終了処理により観察期間を終了した。
【0065】
眼障害の主観的評価、眼表面の臨床的評価及び特定の機能試験に関して、本発明に従った装置及び方法による電気刺激の有効性を測定した。2つの確認、来院0及び来院1の平均値をベースラインとした。点眼薬の使用の程度は、試験終了時の来院前の週に患者が日誌に記録した投与回数/日と、治療開始前の週に患者が記録した投与回数/日(平均値)との差を測定することにより評価した。
【0066】
眼表面疾患指数(OSDI)(非特許文献5)は、眼の乾燥により引き起こされる眼の刺激症状の測定、及び視覚機能へのそれらの影響の評価を可能にする眼科学的実践において広く利用されている12の質問を含む問診である。12質問(視覚機能に関する6質問、眼の症状に関する3質問、露出因子発動に関する3質問)は、時間基準として問診実施前の週を採用し、各質問に、5つの異なる選択し得る回答:全くない、ときどきある、半分の時間ある、ほとんどの時間ある、常にある:を設けた。全OSDIスコアの範囲は0~100であり、100は臨床的に行われた障害重症度の評価に関して機能不全の可能性の最も高い度合いを表し、問診のスコアは以下の値(平均±SD)を含む:正常被験者9.6±14.2;軽度~中等度の臨床的重症度の患者20.8±20.4;重症被験者36.6±16.7(非特許文献5)。手順は以下のとおりである:OSDI問診を患者に説明し、患者にそれを独りで完了させるようにする。患者が質問がある場合は、回答に影響しないように説明を提供する。
【0067】
問診が完全に記入されているかどうかを確認し、少なくとも2つの質問に対する回答について患者のフィードバックを聞き、問診が正しく完了し、回答が患者の現況に対応していることを確認する。
【0068】
フルオレセインによる試験(及びオックスフォードスケールに従った染色の評価)、及びそれによる眼表面の完全性の評価は、フルオレセインナトリウム2%で染色することにより行った。角膜表面ならびに結膜の鼻及び側頭領域を、青色フィルタースリットランプを用いた観察により個々に評価し、各々に0~5のスケールでスコアを付与した(0は蛍光発光がないこと、よって欠陥/障害を示す)。手順は以下の通りである:標準体積のフルオレセインナトリウムの注入、及び過剰な青色光を減少させる黄色フィルターを有するスリットランプ下での観察の後に染色を評価した。
【0069】
涙液量を測定するためのシルマー‐1試験は、眼の円蓋下部に滅菌した目盛り付きの紙片を挿入し、5分間眼を閉じて行った。評価は紙片に沿った湿潤度の測定値(ミリメートル単位)で構成し、生じ得る値は0~35mmの範囲であった(低いスコアは涙液生成異常を示す)。手順は以下のとおりである:
1.吸収紙を下眼瞼の縁上で、初めはの右眼、次に左眼の外眼角に挿入する。
2.患者に眼を閉じるよう求める。
3.5分後、折りたたみ部分を除いた、紙の湿った部分の長さを測定する。
【0070】
涙膜安定性は、円蓋下部にフルオレセインナトリウム2%を注入し、患者に数回瞬きするように指導するフルオレセインによる涙膜破壊時間試験(FBUT)で評価した。青色光及び黄色フィルターを備えたスリットランプ下で観察することにより、涙膜の破壊領域の形成に必要な時間を測定した。この時間が10秒未満であれば、当該試験を計3回繰り返し、続いて3回の観察の平均値を計算した。10秒以上のFBUT値を正常と見なす。手順は以下のとおりである:
1.右眼の球結膜嚢内に防腐剤を含まない2%のフルオレセインナトリウム2μLを、反射的な流涙を誘導しないように注入する(滅菌チップを備えたマイクロピペットの使用を推奨)。
2.患者に通常4~5回瞬きすることを求め、次いで瞬きせずにフルオレセイン注入から10~30秒後に、患者に眼を開いたまま真っ直ぐ前方を見るように求める。
3.12倍率のスリットランプを観察し、一定の強度のバックライト(コバルトブルー光)を維持し、角膜全体にわたる涙膜の観察を容易にする(黄色フィルターを用いる)。
4.最後の瞬きと、最初の乾燥スポットの発生又は最初の乾燥領域の出現との間の時間を記録する。
5.FBUTを観察した後、オックスフォードスキームに従って階級付けする。
6.左眼に対して工程1~5を繰り返す。
【0071】
涙液浸透圧はTearLab(商標)試験により測定した。涙液浸透圧はDTSグレードの有効な指標であり、重症度分類を完成させるための徴候及び症状の臨床評価に関連している(非特許文献6)。TearLab(登録商標)は、使い捨ての試験カードを使用して診療所内で涙液浸透圧を分析可能にするツールである。涙液の回収(約50ナノリットル)は、眼球の外側領域に形成された涙液メニスカスに器具を接近させて2秒以内に行う。分析は即時に行い、また定量的方法で所与の浸透圧値を試験できるセンサーに試料を自動的に移送する。手順は以下のとおりである:
1.反射性涙液を刺激することを避けながら、外眼角中の涙液メニスカスに試験カードを当て;涙液試料を回収する;
2.装置ディスプレイ上の浸透圧値を読み取る。
表1に試験スキームをまとめる。
【0072】
【表1】











【0073】
試験中、涙液代用物の使用が許可された。研究員の評価及び許可後、患者らは他の点眼薬、又は人工涙以外の局所投与用の他の薬剤を使用し始めることが可能になった。投薬量と時間が日誌に記録された。人工涙液に加えて他の点眼薬又は眼の局所投与用薬剤の使用は、眼の不快感(OSDI)スコア及び全体的な臨床像に影響を及ぼす可能性があることから、この可能性はそれ自体で治療の有効性及び忍容性を判定するときの負の要素となる。軽度、中等度又は重度のイベント及び有害作用の可能性は、発生日時、消滅日時、期間と共にCRFに報告しなければならなかった。強度、治療との関係、取った行動、及び実施した療法も同様に報告しなければならなかった。
【0074】
ベースライン状態とRexon Eyeと呼ばれる本発明に従った装置による治療の施術終了時に確認した状態との差異を強調するために、集めたデータは記述的技術及び推測統計学により分析した。
【0075】
名目変数(性別、イベント及び有害作用、...)を分析し、各カテゴリー内の被験者の数及び割合を記述的に報告した。量的変数(年齢など)については、正常な分布の場合には平均値及び標準偏差を報告し、その反対の場合には中央値、最小値及び最大値を報告した。
【0076】
付随試料のスチューデントt検定又はWilcoxon符号順位検定を使用して、量的変数(涙液代用物の点眼数、OSDIスコア、涙液機能検査の結果、涙液の浸透圧、視力)のベースラインとエンドとの変化を分析した。名目変数(臨床状態の記述、スリットランプに対する評価結果、...)のベースラインとエンドとの変化を、2項目の場合はMcNemar検定により、又は3項目以上の場合はBowker検定により分析した。ベースラインと最終の量的変数との変動もまた、来院0及び来院1での対照の値の標準偏差によって表される変数の固有の変動と比較した。試験は全て有意水準が5%の両側検定であった。統計的試験の結果には、平均値もしくは中央値、又は割合において95%の信頼区間が付随する。この試験は、優良臨床試験基準(ICH Harmonized Tripartite Guidelines for Good Clinical Practice、1996年綱領、91/507/EEC;DM、1997年7月15日)、ヘルシンキ宣言、及び臨床試験実施に関する国内規則の原則に従って行った。以下は臨床試験の結果である:表2は27人の被験者の人口統計データをまとめたものである。
【0077】
【表2】
【0078】
0~12の来院は、V0、V1...V12で表す。V0は第1ベースラインを表し、V1は第2ベースラインを表し、V2は第1治療であり、V8は第1治療の1か月後の来院であり、V12は第1治療の2か月後の最終治療の来院2であり、V13は最終治療の1週間後の来院を表し、来院V14及びV15はそれぞれ、最終治療の6か月後及び最終治療の18か月後の来院を表す。27人の被験者のうち、18人が過蒸発を示し、11人が低分泌を示し、よって2人が両現象を示したことになる。
【0079】
表3は、OSDI問診の結果をまとめたものであり、研究の前週に車の運転中にコンピュータを使用するなど、特定の状況におけるドライアイ症状の頻度が顕著である。標準値は0~13の範囲の値であり、軽度の値は13~23の値であり、中等度の値は23~33の値であり、重症の値は33~100の値である。
【0080】
【表3】
【0081】
図2は、全患者(上図)、過蒸発の患者(左下図)及び低分泌の患者(右下図)に対して別々に試験を行ったときのOSDI値(平均値及びSD)について、本発明に従った装置及び方法の適用に関する表3の臨床試験の結果を棒グラフで示している。
【0082】
多数の患者で症状の著明な改善が顕著に現れ、治療の肯定的効果の持続時間も顕著である。
【0083】
表4に涙膜の安定性についての試験結果をまとめている。TBUT(涙膜破壊時間)試験では、ストップウォッチで時間を測定し、データ分析では3回の読み取り値の平均を使用した。時間が長いほど、涙膜は安定している。涙膜の破壊時間は、涙膜が不十分であることの兆候であり、ドライアイの可能性が高いことを示す。TBUT値は以下のクラスに分類される:≦10s=正常;10~5s=限界範囲;<5s=低度。
【0084】
【表4】
【0085】
図3は、全患者(上図)、過蒸発の患者(左下図)及び低分泌の患者(右下図)に対して別々に試験を行ったときの表4のTBUT値(平均及びSD)を示す。多数の患者で症状の著明な改善が顕著に現れ、治療の肯定的効果の持続時間も顕著である。改善効果は最終治療から長い時間が経過した後に急激に現れるようである。角膜染色の程度を評価するために、オックスフォードスキームを利用した(図1)。露出した眼の表面損傷を標準値に対して階級付けする。一連の表で、染色点はドットで表し、数値の範囲は0~5で、0が最良の状態である。結果を表5にまとめている。
【0086】
【表5】
【0087】
図4は、全患者(上図)、過蒸発の患者(左下図)及び低分泌の患者(右下図)に対して別々に試験を行ったときの表5の角膜染色の値(平均及びSD)を棒グラフで示す。
【0088】
多数の患者で症状の著明な改善が顕著に現れ、治療の肯定的効果の持続時間も顕著である。
【0089】
試験結果の結論として、以下の表6では、紙片を数分間眼に留置して涙液生成を測定するシルマー試験の結果が報告されている。試験値は、湿潤した紙の長さで表す。標準値は≦15mmの長さであり、軽度病変の値は14~9mmの長さであり、中等度病変の値は8~4mmの長さであり、4mm未満の値は重篤な病変である。
【0090】
【表6】
【0091】
図5は全患者(上図)、過蒸発の患者(左下図)及び低分泌の患者(右下図)に対して別々に試験を行ったときの表6のシルマー試験結果の値(平均及びSD)を棒グラフで示す。
【0092】
多数の患者で症状の著明な改善が顕著に現れ、治療の肯定的効果の持続時間も顕著である。改善効果は最終治療から長い時間が経過した後に急激に現れるようである。
【0093】
試験結果から、本発明はドライアイ症状、場合により恐らくドライアイの原因を解消し、ほとんどの患者において少なくともドライアイ治療に必要な周波数を高めるという目的を達成していることが分かる。
【0094】
以下、本発明に従った電極システムについて、実施例を図6~10を参照して説明する。提示した電極は、高周波数の電磁場を使用する眼瞼領域の刺激に適している。高周波数(4MHzの共振周波数、最大64MHzの高調波)の電磁場による眼の刺激に適し、本発明に従った装置と適合可能な電極のシステムを説明している。
【0095】
図6は、マスク2の形態の電極システムの一般的構造を外側から見た図として示す。マスク2は、標準的なコネクタにより2つの電極(マスクの内側に配置されている)を本発明に従った装置に直接接続するための2つのメスボタンコネクタ4を有する。次に、アダプタにより装置の熱検出カードに接触可能な、又はアダプタを介して機械に接続されたコネクタに挿入される可能性のある温度センサにより装置の熱検出カードに接触可能な熱電対を配置するために貫通チップ6を識別する。マスク2はポリエステル製であり、マスクを頭部に固定する弾性バンド8を有する。示された特定の場合では、ハンドピースの顔側はコットン仕上げである。
【0096】
図7はハンドピースの内部構造を断面の概略図で示す。コットン層12は、眼10と接触している。このコットン層12は、第2コットン層14に沿って電極16層を備える。内部接触を遮断するために第1コットン層12と電極16との間に絶縁体18を挿入し、また間質空間20内で第2コットン層14と電極16との間に熱電対22を挿入する。従って間質空間20により、局所温度を検出することができるように、眼瞼の近傍に配置された電極16から隔離させて温度プローブ22が挿入及び配置される。電極16は、(上述のような)異なる技術により実現し、眼瞼と接触するコットン層12の近傍で一体化される。第2コットン層14及び外側マスク24の上部には、眼の高さに位置するゲルポケット26があり、眼瞼への電極16の接着を促進する。
【0097】
図8は、ハンドピース接続部の組立てを示している。段階1では、熱電対22のプローブをハウジングの内側に約2cm挿入し、できる限り眼瞼に近い位置で温度を検出する。段階2では、電気接続部26を固定するために、コネクタボタンを完全に押し、コネクタを回転させて正しく接続されているか確認する。第3工程では、熱プローブ22を配置してボタンコネクタを接続すると、本発明に従った装置へハンドピースを接続できる。図9はマスク2のハンドピース内部の電極層の延在及び配置を破線28で示している。図10は、可撓性マスク織布(コットンの使用が一般的である)の2つの保護層12及び14と、この特定の場合には短絡したアルミニウム生地の織布である中間の電極16とのサンドイッチ構造を示す。
【0098】
電極として好適な別の織布は、銀(92%)ワイヤを含む高変形性かつ太緯糸の織布、及び材料に高い弾性を付与するNylon Dorlastan(登録商標)(8%)である。この材料の利点は、高い導電率、不均質な表面への接着及び適合を可能にする高変形性、-30~90℃の広い温度範囲、ならびに水平方向に100%及び垂直方向に65%の変形性である。銀線の太さは、高出力に耐えられるように選択する必要がある。織布は、それを構成する材料のおかげで表面に適合可能であるので最適な材料であると思われるという説明しかされていないとしても、不均質な表面に適合可能である限り、当該材料は、例えば上記した材料などの材料に置き換えることが可能である。
【0099】
マスク形状の電極システムはもちろん、上述した活性部分を内部に収容したゴーグルの形態(例えばスキーゴーグルのような)の電極システムであってもよい。ゴーグル形状の電極システムを図11~26を参照して以下に説明しており、これらは本発明に従った電極システムを様々な図で表している。
【0100】
図11は、正面図におけるゴーグルの形態の本発明に従った電極システムのこの更なる例を示す。ゴーグルは全体的に100と呼ぶこととする。なお、ゴーグル100の外側剛性シェル102には2つの突出部104がある。右側には電気及びデータ接続部106があり、これはSandrigo(イタリア)に拠点を置くTelea Electronic Engineering社製RexonAge装置などの、電磁波を発生させる装置から誘導されている。
【0101】
図12では、上部から同ゴーグル100を見ている。外側シェル102、及び外側シェル102に固定されたゴーグル100の内側部分(患者に対面している)を形成するゴムカバー108に注目されたい。側面には、例えばゴーグルを頭部に固定するためのストラップの端部を受け入れるのに適した、ゴーグルの中心体に接続する2つの関節継ぎ手110(関節部112)がある。図13の背面図では、患者の眼の領域の解剖学的構造を模した内側ゴムカバー108が明確に見える。図14図11の電極システムを両側面図で示している;電気及びデータ接続部106を有する面、及び接続のない面をそれぞれ左側及び右側に示している。例えば図14にもあるように、ボールジョイントの形態のストラップ(図示せず)継ぎ手の関節部112が明確に見える。図15の半正面斜視図、及び背面から見た図16の斜視図はゴーグルの三次元構成を示す更なる説明図である。
【0102】
図17図13に対応し、次に図20及び18にそれぞれ示されている断面G‐G及びA‐Aの位置を示す。図18のA‐A断面はゴーグル100の「サンドイッチ」構造を説明している。外側シェル102の後方に、それぞれ左眼及び右眼用の緩衝クッション114及び116、導電性かつ放射性の織布118、最後にガラスを内側に向かって閉じるゴムカバー108が続く。図19に示されたB‐B断面から同じ層構成が明らかに分かる。ここでは、頭部の眼領域の一部と接触することになる領域の近傍において起こり得るガラスの過剰加熱を制御する温度プローブ108の存在が認められる。
【0103】
図20図17に示す断面G‐Gに対応)の断面では、電気及びデータ接続部106の詳細を観察できるが、図21の拡大詳細図で更によく分かる。ケーブル122(本発明により予見される特定の電磁波を提供する装置‐図示せず‐から出ている)は、開口が伝送路形状になった取付具124で終端し、この取付具124は電力移動、すなわち無線周波のための一対の接続部126、ならびにフィルム、即ち薄い電子カード(図23に見られる)上に付与された個々の電気及びデータ回路に接続した1対のデータ移動接続部128を備え、導電性かつ放射性織布(図23に見られる)は導電性の両面接着剤により窓として挿入及び固定する。接続部又は電気コネクタ106の取付具124は対応するソケット130に挿入し、当該ソケットは連動してゴーグルの外側シェル102の側部に挿入される。図20に示す断面L‐Lを示す図22から、ゴーグルの外側シェル102の内部に形成された間隙にゴムカバー108がどのように納まっているか、また外側シェル108の形状に緩衝クッション材114がどのように収容されているかが分かる。
【0104】
図23は、図11の電極システムを分解図で示しており、その後に組立てられてゴーグルを形成するゴーグルの個々の部品を説明している。上部には、2つの緩衝クッション材114及び116が挿入される外側シェル102があり、これは、導電性かつ放射性織布118、及びそれを取り囲む眼又は頭部の一部の形状を模倣するゴムカバー108を変形させるような幾何学形状を有する。2枚の導電性かつ放射性織布118をフィルム132の窓として開口部に挿入し、これに導電性両面接着剤(図示せず)で固定する。フィルム132は、電気回路及びデータ回路(温度又はインピーダンス値などの制御データの移動用)を備え、また熱プローブ120用の2枚のシート134を備える。接続部126及び128が示されている。外側シェル102は、ストラップ(完全には図示されていない)の端部136が固定される接続部110に接続するための継ぎ手112を両側に有する。
【0105】
図24図23の詳細を分解斜視図で示し、図25図24の詳細を組立てた状態で示し、電極の導電性部分、すなわち導電性かつ放射性織布118の変形を示している。フィルム132は、接続部126及び128を挿入するための4つの穴を左側に有する。図26は、電磁波を提供する装置(ゴーグルからのデータを処理するための、又は信号を送信するためのコントローラも含む)と、図11に従ったゴーグルとの間の電気及びデータ接続を分解図で示している。
【0106】
実施中、本発明の電極システム、装置、方法及び使用目的には、本明細書に記載されていない更なる実施形態の改変又は変形を加えてもよい。そのような改変又はそのような変形が以下の特許請求の範囲に包含される必要がある場合、それらは全て本特許により保護されると見なすべきである。
図1
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