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特許7123413高密度竹材フレットボードを備えたギター
<図1>
  • 特許-高密度竹材フレットボードを備えたギター 図1
  • 特許-高密度竹材フレットボードを備えたギター 図2
  • 特許-高密度竹材フレットボードを備えたギター 図3
  • 特許-高密度竹材フレットボードを備えたギター 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】高密度竹材フレットボードを備えたギター
(51)【国際特許分類】
   G10D 3/22 20200101AFI20220816BHJP
   G10D 1/08 20060101ALI20220816BHJP
   G10D 3/06 20200101ALI20220816BHJP
【FI】
G10D3/22
G10D1/08
G10D3/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019532136
(86)(22)【出願日】2017-12-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2017084810
(87)【国際公開番号】W WO2018122374
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】01758/16
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】519211177
【氏名又は名称】レリッシュ ブラザーズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ギガー,ピルミン
(72)【発明者】
【氏名】キューング,シルヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,マルコ
【審査官】米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-012724(JP,U)
【文献】特開2006-103088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 3/22
G10D 1/08
G10D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレットボード(4)およびギターネック(1)を有するボディ(8)、ギターネック(1)およびギターヘッド(3)のギターであって、
前記ギターネック(1)の前記フレットボード(4)が、水平または垂直に接着及び圧縮された原材料片から平らにされフェノールホルムアルデヒド樹脂竹草類の混合物から固体建築材料を形成するために竹草類の水平および垂直ラメラを圧縮及び接着して作られる、ストランド織り竹材としても知られる高密度竹材に圧縮され、
前記フェノールホルムアルデヒド樹脂40-60%のフェノールホルムアルデヒドポリマーを含み、最大0.3%の遊離ホルムアルデヒドおよび最大1%フェノールを含み、前記樹脂を用いて圧縮した竹材は通常の竹材よりも高い密度と硬度が達成され、特に、1250kg/m^3の密度と8.61N/mm^2の硬度を達成し、この前記フレットボード(4)用の前記高密度竹材はフレットボード(4)への加工前に72時間の蒸気熱処理を行うことにより最大耐久性を達成することを特徴とし、
前記ギターネック(1)および前記ギターヘッド(3)の一部または全部が、一体成形木製ボードまたは連続木材積層体から、蒸気中で処理後に、前記一体成形木製ボードまたは前記連続木材積層体がナット(2)の位置で曲げられることにより製造され、それにより、木材繊維(12)が、前記ギターネック(1)に沿って伸び、連続的に前記ギターヘッド(3)中に伸びることを特徴とする、
ボディ(8)、ギターネック(1)およびギターヘッド(3)のギター。
【請求項2】
前記ギターネック(1)および前記ギターヘッド(3)の一部または全部が、蒸気中での前処理後に前記ナット(2)の位置で曲げられる一体成形木製ボードから製造され、それにより、前記木材繊維(12)が前記ギターネック(1)に沿って伸び、連続的に前記ギターヘッド(3)中に伸びることを特徴とする、請求項1に記載のボディ(8)、ギターネック(1)およびギターヘッド(3)のギター。
【請求項3】
フレットボード(4)およびギターネック(1)を有するボディ(8)、ギターネック(1)およびギターヘッド(3)のギターであって、
前記ギターネック(1)の前記フレットボード(4)が、水平または垂直に接着及び圧縮された原材料片から平らにされフェノールホルムアルデヒド樹脂竹草類の混合物から固体建築材料を形成するために竹草類の水平および垂直ラメラを圧縮及び接着して作られる、ストランド織り竹材としても知られる高密度竹材に圧縮され、
前記フェノールホルムアルデヒド樹脂40-60%のフェノールホルムアルデヒドポリマーを含み、最大0.3%の遊離ホルムアルデヒドおよび最大1%フェノールを含み、前記樹脂を用いて圧縮した竹材は通常の竹材よりも高い密度と硬度が達成され、特に、1250kg/m^3の密度と8.61N/mm^2の硬度を達成し、この前記フレットボード(4)用の前記高密度竹材はフレットボード(4)への加工前に72時間の蒸気熱処理を行うことにより最大耐久性を達成することを特徴とし、
前記ギターネック(1)および前記ギターヘッド(3)の一部または全部が、継ぎ目なしに、蒸気中での前処理後に、曲げられた木材層が一緒に積層体に接着されることにより、いくつかの積層木材から構築され、それにより、木材繊維(12)が、前記ギターネック(1)に沿って伸び、連続的に前記ギターヘッド(3)中に伸びることを特徴とする、
ボディ(8)、ギターネック(1)およびギターヘッド(3)のギター。
【請求項4】
エレキギターである、請求項1~3のいずれか1項に記載のボディ(8)、ギターネック(1)およびギターヘッド(3)のギター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ソリッドボディーギターは、ほぼ自由な輪郭を有し得るボードからなる。これにブリッジがねじ止めされ、このブリッジ上を弦が張られる。同様にブリッジに組み込まれ得るテールピースがさらに存在する。ネックは、このボード、ボディにねじ止めされる(例えば、ストラトキャスター)か、またはこのボードに接着され(例えば、レスポール)、この上を弦が、弦のゲージに従って規則正しく、ヘッドのナットと、ボディのブリッジとの間で張力をかけられる。
【背景技術】
【0002】
現在のギターでは、ネックは、ほとんどが一体ものからは構成されず、フレットボードに接着され、その上に弦が張られる。このデザインは、一方では、ネックの安定性の点で利点があるが、他方では、ネックおよびフレットボード用の木材の選択が、ギターの音響および演奏性能に顕著に影響を与える。
【0003】
ガット弦またはプラスチック弦を用いたクラッシックギターの場合は、単純な中実木製ネックは、何ら厄介な変形なしに弦の張力に耐えるのに十分な安定性を有する。しかし、スチール弦を有する多くの楽器、特に、ウエスタンギターまたはスチールギター、およびさらに特にベースギターは、まだ調節可能な、ネックの凹所に設置されるトラスまたはトラスロッドを備えている。このトラスロッドは、ほぼネックの中央部の弓状の溝中に配置され、弦の張力に対して、ネックのプレテンショニングを生じさせる。通常、ギターは、フレットボード上にフレットを備える。これらは、弾いたときに特定の音色を出すように、掴んだときに弦を極めて精密に短縮するのを助ける。この場合、各フレットロッドは通常、半音音程に相当する。フレットは元々、腸からなり、その後、象牙または銀から製造された。最近のギターフレットは、ほとんど洋銀から製造される。固体材料のフレットは、動かないようにフレットボードの陥凹部にはめ込まれる。厳密に言えば、この方式は、微妙なニュアンスの生成を可能としない。しかし、この微妙なニュアンスは、好適な演奏技術、例えば、ベンディング、ボトルネック(またはスライド)によっても可能となる。
【0004】
ネックは、ギターのタイプによって変化する。クラッシックギターは、幅広く、平たい弓状のネックを有する傾向にあり、スチール弦ギターは、狭く、ほぼ半円形のネックならびに弓状のフレットボードを有する傾向にある。ナットは、フレットボードの末端に位置する。プラスチックおよび牛骨ナットは、最も広く行き渡っている。それらは、フレットボード中に加工した溝にはめ込まれているか、またはフレットボードの端部上に接着されている。プラスチックナットは、工業的に製造されており、そのために、価格がより安い。牛骨ナットに関しては、2種の異なる材料:煮沸してほぼ白色の脱色牛骨ナットと、非煮沸脱色牛骨からなる、いわゆる脂肪ナットとの間に1つの区別がある。骨中に残っている脂肪分のために、後者は、ナット切り欠き中の潤滑を確保し、これにより、弦を押しつけることをより困難にする。脂肪ナットは、天然のままであることに起因して、僅かに黄色である。種々のプラスチック黒鉛混合物も、それらの加工の容易さと処理能力および潤滑特性のために、ギターナットの製造に使用されている。
【0005】
いくつかのギターでは、ネックはまた、連続的であり、これは、すなわち、ボディを完全に貫通するか、または滅多にないがブリッジまで達するのみであり、この方法により、長時間の音色(サステイン)が強く望まれている。これは、専門性の低いねじ止め式ネックの場合であるが、しかし、職人技により適切に接着されたネックと比較した場合で、それ以外は、同じ制約の場合には、少なくとも論理的には、差異は予測されない。理由は、良好な結合位置はより高い強度があり、木材より少ないダンピングであるためである。さらに、現在の接着品質であれば、サステインの悪化に対する批判の理由にはならない。しかし、一見したところでは、妥当と思われるので、連続的なネックを有するギターは、ねじ止めまたは接着ネックよりも高く売られてきた。今日では、連続的ネックを有するギターはさらに希になっている。このことは、ベースギターでは、さらによく見受けられる。エレキギターに関しては、大抵1~3つのピックアップがブリッジとネックの間に、ビートボードとして同時に機能するピックガードに固定されるか(例えば、ストラトキャスター)、またはそうではなく、前面から木材上に直接組み込まれる(例えば、レスポール)。
【0006】
例えば、紫檀材または南洋材がフレットボード用として選択される。理由は、これらの木材は特に堅く、そのために、ギター演者の指により弦がフィンガーボードに押しつけられる場合に、弦圧力に耐えることができるためである。演奏時、弦は、フィンガーボードまたはフレットボードに押しつけられるのみではなく、弦は、連続した加圧中に、フィンガーボード上で伸びる方向に対し横方向に前後に押しつけられもする。フィンガーボードおよびそのためこれに使用されている木材も、高度に荷重を受け、時間の経過とともに摩耗する。その後、明らかな摩耗の徴候を認めることができる。
【0007】
南洋材の使用は、適応用途を問わず、熱帯雨林の伐採に広範囲に関与することから、総じて、非難の的になる。この理由のために、他の木材または材料に移行するのが望ましい。しかし、基本的には、木材は、特にその感触のために、フレットボードまたはギターネックとして使用する価値があることがわかっている。木材は、触って暖かく、ある程度堅い場合であっても、例えば、堅い感触を伝えるスチールまたはアルミニウムプレートに比べて、触って柔らかい感触がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特に、実際に木材ではなく、特に安定性、硬さ、心地よい感触などの特定の要求を満たすことができ、安価で、容易に加工(処理/機械加工)でき、加えて、適切な耐久性、耐荷重性があり、さらには比較的安価である、ギターのフレットボード用の新規材料を明示することが本発明の目的である。また、さらなるギターネックの実施形態は、硬質の非木材フレットボードではなく、より安定なネックを提供することになろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、少なくともネックのフレットボードが、圧縮された草類の高密度竹材からなる、ボディ、ネックおよびヘッドからなるギターにより達成される。特定の、有利な実施形態では、ギターネックおよびギターヘッドは、木材、折り曲げた木材層または竹材層から製造され、これは、蒸気で前処理された後、折り曲げられる。
【0010】
以下に示す図面では、竹材フレットボードを有するギターネックが提供され、また、ギターネックの種々の基本的製造方法が提供および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】側面から見た、ヘッドおよび種々の構成要素を有するギターネックの図である。
図2】ネック用およびギターヘッド用の2つの接着片から製造された、側面から見たギターネックの図である。
図3】固体片からなる木製ブロックから加工した、側面から見たギターヘッドを有するギターネックの図である。
図4】高温蒸気を使用して永久に弓形状にされ、その上に竹材層がフレットボードとして接着された、側面から見たギターヘッドを有するギターネックの図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
既に知られているように、竹材は、建築技術の分野で使用するには理想的な特性を有する。建築業において、環境保全的であり、同時に高い技術的仕様を満たす建設材料としての竹材は、広く使用されるには至っていない。使用可能な荷重に対する固有の重量の比率が鉄筋コンクリートをも凌ぎ、引っ張り強度がスチールの2.5倍に達する、巨大な草類は、少々桁外れのものである。木材に対し竹材を比較した場合でも、平均的に竹材がより優れている。一方では、極めて緻密で、微小気孔のセル構造のために、竹材は、極めて高い表面硬さを有する。竹材のブリネル硬度4.0HBは、例えば、約3.4ブリネル高度にすぎないオーク木材の硬度を大きく超える。6.1ブリネルまでのピーク値が測定され、これは、コンクリート表面の硬度に近い。他方で、竹材の収縮および膨潤挙動は、大抵の木材より極めて低い。竹材は高度な寸法安定性および耐久性がある。床張り材として使用する場合、表面の耐摩耗性も重要である。この性質は、オークまたはブナノキにほぼ匹敵する。さらなる利点は、高い曲げ強度および耐荷重強度ならびに弾性で、総じて耐荷重性である。草類としての竹材は樹皮がないので、UV光に対する保護特性が擬似的に組み込まれ、それにより、顕著な色安定性を有する。また、竹材は、樹脂、なめし油または油を含まないので、特に容易に加工でき、表面密封コーティングできる。
【0013】
このような特徴の知識および建築分野における竹材の使用があるにもかかわらず、今まで高密度竹材は、意外にも、ギター部品、特にギターネックのフレットボード用としてこれまで使用されてこなかった。この目的のための適用は説得力がある。理由は、環境保全的林業で育成されている持続可能な原材料の事例であるためである。竹材の技術的詳細は、以下のように表すことができる。
・竹材の素密度:約700kg/m
・繊維竹材の密度:約1.15g/cm(比較のために、オーク:約0.8g/cm、マツ:約0.5g/cm、バンキライ:約0.95g/cm
・圧縮強度:71N/mm
・曲げ強度:151N/mm
・引張強度:120N/mm
・竹材の熱伝導率:0.17W/(m・K)
・湿分:7%~16%
・吸水時の膨張率:0.90%
・沸騰水中1時間後の膨張率:≦5%
・弾性率:11870MPa
・耐火等級:Bfl
・滑り止め係数 乾燥:66、湿潤:37
・UV耐久性:ΔEab:1.69
【0014】
竹材は、急速に成長する。通常、20~30cm/日の成長を有するこの巨大草類は、数ヶ月後に完全に成長することも多い。概して、適切に「木質化」する場合、3~6年後に採取できる。このように、竹材は平均して5年以内に竹自体を再生し、数十年にわたり成長する堅木とは対照的である。急速な成長、バイオマスの莫大な生産およびこれに伴い補償されるCOバランスのために、竹材は、きわめて環境に優しい材料であり、同時に多くの特徴が堅木に匹敵する高品質原材料で、前述のように、建築物分野ではこのようなものとして認められている。さらに、竹材は比較的安価である。欧州では、特に、例えば、寄木張り床などの内装工事に適用され、類似の外観のチーク、ウェンジまたはマホガニーなどの絶滅の危機に瀕した南洋材の非常に有効な代替材であり、また、天然の堅木種に対する代替材でもある。高密度竹材は通常、中国の管理された森林由来の高度に圧縮された孟宗竹から製造される。このために、竹材は通常、水平または垂直に接着し、圧縮した原材料片から平らにし、高密度竹材(HDG竹材)に加圧加工され、これは、ストランド織り竹材としても知られる。
【0015】
このストランド織り竹材または中国HGD竹材は、ほとんどの木材種より堅く、また、垂直または水平型で利用される既知の積層竹材よりも耐久性がある。この堅い、圧縮された、強靭な材料は、床の敷物、壁パネル、装飾物およびアクセサリー用の魅力的で機能的な解決策を提供する。HDG竹材の寄せ木細工は特に堅く、耐圧性で、ひっかき傷耐性、形状安定性があり、非常に耐久性が高い。竹材による、2層および3層寄せ木細工ならびに中実型寄せ木細工の床板およびワイドプランク床板が知られている。これらの床材は、浮いた状態で設置または接着でき、タングボードおよび溝ボードとして得ることもできる。HDG竹材寄せ木細工は、光沢または艶消し仕上表面または油脂加工した表面を有する、天然の中程度の木調から暗褐色までの異なる色調の水平および垂直ラメラとして製造される。
【0016】
竹草類の水平および垂直ラメラは、液体のタイプDZT-5の赤褐色フェノールホルムアルデヒド樹脂と混合され、接着して、一緒に加圧加工して固体建築材料にされるのが好ましく、この場合、樹脂は40~60%のフェノールホルムアルデヒドポリマー、0.3%までの遊離ホルムアルデヒドおよび1%までのフェノールを含む。本明細書のフェノールホルムアルデヒドは、次の特性を有する。
沸点:約100℃
30℃での密度:1.1~1.3g/cm
25℃での粘度:50~200cps
30℃でのpH値:9.5~10.5
引火点:93℃以上
熱分解:一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒドおよび窒素酸化物を含む毒性スモークガスを放出する。
タイプDZT-5のフェノールホルムアルデヒド樹脂を用いた竹材の処理の場合には、手袋、防護服および眼保護を着用しなければならない。身体への接触、特に目に対する接触があった場合、それを大量の水で10分間すすぎ、医師の診療を受ける。貯蔵は、冷所で密閉容器に入れて行わなければならない。毒性は、水酸化ナトリウムの比率および処理/加工時に放出された少量の遊離ホルムアルデヒドとフェノールに依存し、一方、固体成分またはポリマーは、無害と見なすことができる。EECクラス3の発癌性物質により、ホルムアルデヒドは、わずかに発がん性であると見なされ、生成物は、そのpH値により腐食性であると見なされる。TUV SUD Certification and Testing(China)Co.,Ltd.Guangzhou Branch,TUV SUD Group,5F,Communication Building,163 Pingyun Rd,Huangpu West Ave.,Guangzhou 510656 P.R.Chinaおよびその他により、この生成物を用いて処理し、加圧加工した竹材は、次の結果を示す。EN717-1:2004試験方法に準拠した、ホルムアルデヒド放出量は、0.0001mg/cmのみであった。水中に入れて、処理した竹材は、方法EN317:1993により測定して、0.2%だけ膨潤する。また、EN ISO9239-1:2019による熱流束は、11Kw/m以上である。加圧加工した竹材は、火災の場合、炭化する。竹材の約72時間の蒸気熱処理により1.25g/cmの密度が達成され、吸水による膨張率は5.396%である。EN1534-2010により、8.61N/mmの硬度が達成される。EU標準に準拠した最高の耐久性クラスがこれと共に達成され、それにより、このように処理した竹材はまた、屋外用途にも好適し、少なくとも20年は耐える。
【0017】
これら全ての利点を考慮すると、驚くべきことに、ギターネックのフレットボードの製造のために、また、実際に、完全なギターネックの製造のためにも、理想的材料であることが明らかになった。水平または垂直に接合し、圧縮した原材料片から平坦にし、加圧加工して高密度化した高密度竹材は、従来の堅木の場合と同様に、寸法通りに切断、成形および後処理できるが、特異点としては、厳密には木材ではないので、COニュートラルであり、さらに比較的安価である。竹材は、触った感触は、木材のものと同様であり、したがって、同等の感触を有し、堅木よりまださらに堅く、したがって、フレットボード材料として極めて好適であり、最高の荷重下でも、さらに良好な耐久性を提供する。
【0018】
構成要素を有するギターネック1が図1に示されている。その上にペグ7が構築されるギターヘッド3が形成され、ナット2と呼ばれる移行部位に続いて、前面でギターネック1に接合される。ここでは竹材フレットボード4の形のフレットボード4は、ギターネック1上の上部に接着される。横方向に配置されるフレットまたはフレットロッド5は、フレットボード4の材料中に加工された溝中に挿入される。最終的に、張力をかけられた弦6が、これらのフレットまたはフレットとロッド5上に張られる。ギターネック1は、このネックの後部領域で、ギターボディ8に連結、好ましくは接着される。
【0019】
図2は、ギターネックを示し、ネック1および連結されるギターヘッド3は、2つの接着片から製造される。接合部または移行部は、ナット10の位置に生じ、前記接合部は、例えば、複数のタングまたは溝連結または斜面での切断としての接合部の設計方法または形成方法に関係なく、常に弱い位置であることを理解されたい。この位置に、破壊の可能性が高まるリスクが存在する。
【0020】
図3は、固体材料からなる一体成形木製ブロックから加工したギターヘッド3を有するギターネック1を示す。これにより、部品の接着は回避でき、一体成形連続部分としてのヘッド3を有するギターネック1が得られる。欠点は、多量の切断廃棄物が生じるので、多くの木製材料が必要なことである。さらに、この設計方式は、特に、ナット2の領域中の位置9の繊維12の方向に沿って破壊の可能性のある位置を有する。そこでは、高すぎる引張荷重がある場合には、ヘッド3が破壊するであろう。
【0021】
この破壊の危険性は、一体成形木製ボードまたは木材積層体-または竹材積層体から蒸気曲げ加工により製造される、ギターヘッド3を有するギターネック1により改善される。これは、図4に示されている。木材の繊維12は、ネック1に沿って伸び、その最前領域は、木材の蒸気中での前処理後の曲げ加工により折り曲げられ、それにより、曲がったギターヘッド3は、移行部がないようになり、木材繊維12は、湾曲に沿って連続的に伸び、従って、そこでは、すなわち、ネック1からヘッド3への移行部の位置11では、破壊のリスクの高まりはない。
【0022】
木材の曲げ加工は、基本的には既知であり、以下で説明される。閉じることができる蒸気ボックスが使用される。曲げられる木材ボードまたは木材積層体がこのボックスに挿入される。蒸気ボックスは、異なった材料から構成され得る。ボックスは、好ましくは、木材からなるが、曲げられるボードが加圧加工できるPVCボックスでも、さらにはホースであってもよい。ボックスは、片側に穴を有し、その穴を通して蒸気を流し込み、反対側にさらなる穴を有し、その穴を通して、蒸気を流し出すことができる。特に、穴が床に面するように出口孔が開けられる。このようにして、過剰凝縮水も、ボックスから蒸気と共に脱出できる。曲げられるボードが蒸気ボックスに挿入され、2.5cmの厚さ当たり約1時間の間、蒸気に露出される。これにより、所定の厚さのネックを遙かにより素早く曲げ加工が実施される。
【0023】
スズカケノキ木材と、同様に他の木材が、好ましくはギターネック1およびギターヘッド3に対し適用できる。竹材、すなわち、圧縮草類もまた、材料として適用でき、これも同様に、蒸気処理後に曲げることができ、乾燥後、永久的である所望の屈曲形状に拘束することができる。蒸気により軟化された木製ボードまたは竹材ボードは、蒸気ボックスから取り出して、注意深く加圧モールド中に配置でき、そこで、ギターヘッド3をギターネック1の伸びる方向から離れた曲げ形状とするよう拘束される。被加工物は、クランプまたは拘束部材により完全に乾燥するまで加圧モールド中に保持されるか、または蒸気が被加工物から逃される。加圧モールドは、曲げられた被加工物の柔軟な表面をもたらす薄いコルク層を有する内側で提供され得る。ギターネック1およびギターヘッド3が木材積層体から、すなわち、個別の、前もって曲げられた木材層から製造される場合、積層体を一緒に接着するために、特に、尿素ホルムアルデヒドの2成分接着剤が適用される。この接着剤の乾燥完了までにしばらく時間がかかるが、これは極めて良好に保持する。エポキシドは同様に非常に効果的であるが、比較的高価である。通常の木材接着剤は、積層形成による木材を曲げるためには適用できない。通常の木材接着剤は、乾燥は極めて速いが、依然として非常にフレキシブルである。互いに積層された曲げられた木材層が加圧モールドに適用され、接着剤が乾燥される前に、積層体がギターネック1およびギターヘッド3に所望の厚みに達する。加圧加工後に、接着剤の乾燥が完了するとすぐに、製造された積層体が加圧モールドから取り出され、さらに処理/加工され得る。同じ方法で、曲げられたヘッドを有するギターネックが、蒸気中での前処理の後に前もって曲げられている竹材層の積層体から製造できる。最後に、竹材のフレットボード4が接着され、ペグ7ならびにフレット5があらかじめ加工された溝に挿入される。
【符号の説明】
【0024】
1 ネック
2 サドル
3 ヘッド
4 フレットボード
5 フレットまたはフレットロッド
6 弦
7 ペグ
8 ボディ
9 繊維の方向に沿った破壊の可能性のある位置
10 接着の場合の破壊の可能性のある位置
11 連続的な繊維の方向のために耐破壊性のあるナット
12 被加工木材の繊維
図1
図2
図3
図4