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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】抗不安重水素化合物及びその医薬的用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/00 20060101AFI20220816BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20220816BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
C07D307/00 CSP
A61K31/343
A61P25/22
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019564045
(86)(22)【出願日】2018-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 CN2018000167
(87)【国際公開番号】W WO2018209972
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】201710355025.7
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520308363
【氏名又は名称】泰州華元医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】仲伯華
(72)【発明者】
【氏名】楊家俊
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-530394(JP,A)
【文献】国際公開第2002/020505(WO,A1)
【文献】Li, Chun; Yin, Dali,Synthesis of deuterium-labeled 4-butyl-α-agarofuran for use as an internal standard in the GC-MS method,Zhongguo Yaowu Huaxue Zazhi,2003年,Vol. 13,pp. 148-152
【文献】Sanderson, Katharine,Big interest in heavy drugs,Nature,2009年,Vol. 458,pp. 269
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 307/94
A61K 31/343
A61P 25/22
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】

から選ばれる、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載された化合物を活性成分とし、及び一種または多種の薬学的キャリアまたは賦形剤を含む、薬物組成物。
【請求項3】
請求項1に記載された化合物、またはその薬学的組成物、の抗不安治療薬の製造における使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗不安作用を持つ4-ブチル-α-アガロフランの重水素化誘導体、これらの化合物を活性成分として含む薬学的組成物、及び上記誘導体及びその薬学的組成物の抗不安薬の製造における用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不安症は、持続的な不安、恐怖、緊張、自律神経機能障害に伴う精神失調疾病である。現在、主な臨床治療薬としてはベンゾジアゼピン及びブスピロンがある。既存の薬物は、効果が出るまで時間がかかり、副作用も大きいため、その臨床活用に制約をもたらしている。したがって、より良い治療効果及び低い毒性・副作用を備える新しい抗不安薬を開発する必要がある。
【0003】
4-ブチル-α-アガロフラン(4-butyl-α-agarofuran,BAF )は、有効成分であるアガロに対して構造改良を行い発現されたものであり、抗不安活性が著しい。しかし、その経口生物学的利用能は低く、なお、肝臓シトクロムP450代謝酵素CYP1A2およびCYP2E1に対して著しい誘導作用を持つため、薬物相互作用のリスクがある(En Li, et al. Effect of buagafuran on liver microsomal cytochrome P450 in rats。 J Asian Natural Products Research. 2010; 12: 371-381。)
【0004】
【化1】
【0005】
[発明の内容]
本発明は、構造式Iで表される化合物を提供する。
【0006】
【化2】
【0007】
式Iのうち、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立的にHまたは重水素(D)である;且つ、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14のうち少なくとも一つは必ずDである。
【0008】
本発明が提供する構造式Iで表される化合物は、以下の構造から選ばれる:
【0009】
【化3】
【0010】
本発明ではさらに式Iで表される化合物を活性成分として含み、及び適切な賦形剤からなる薬物組成物を提供する。これらの薬物組成物は、液剤、錠剤、カプセル、又は注射剤であって良い;これらの薬物組成物は、注射投薬または経口投薬にて投与されて良い。
【0011】
本発明はさらに式Iで表される化合物及びそれを含む薬物組成物の、不安治療薬の製造における用途を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施例を持って本発明に対してさらに詳しく説明するが、本発明の保護範囲は以下の実施例に限らない。当業者は、本発明の精神および範囲を離脱しない前提で、本発明に対して様々な変更および修飾を加えることができることを理解すべきである。
【0013】
[参考実施例1]
4-ブチル-α-アガロフラン(BAF)の製造
【0014】
【化4】
【0015】
[参考実施例1.1]
中間体iの製造
4.6Mの硫酸100mlに20gの(+)-ジヒドロカルボンを加え、室温で12h撹拌した;そして、まず20mlのn-ヘキサンで抽出し、さらに水層をジクロロメタンにて抽出した(50ml x 2 );ジクロロメタン抽出液をまとめ、中性になるまで水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。固形物を濾過除去し、減圧下で濾液内の溶剤を蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離させ、石油エーテル:酢酸エチル(8 : 2 )で溶出させ、必要な組成を集め、減圧乾燥することで、iを 18g得た。
【0016】
[参考実施例1.2]
中間体iiの製造
95%のエタノール50mlに水酸化カリウム2.3gを加えた;撹拌しながら17gのiを50mlのイソプロピルエーテルに溶解した溶液を加えた。撹拌し、-10℃まで冷却させ、1.5時間以内に8.4gのメチルビニルケトンを滴下した。加えた後も30分間撹拌し続けた;氷浴の下、反応液のpH値が中性になるまで6M塩酸を滴下した; 沈殿物を濾別し、イソプロピルエーテルで洗浄し、減圧乾燥することで、iiを 8.2g得た。
【0017】
[参考実施例1.3]
中間体iiiの製造
1000mlのフラスコに300mlの水と250mlの石油エーテルとを加え、攪拌しながら8gの iiと22.4g のKOHとを順次加えた;70-80℃の油浴内で5時間加熱・撹拌した。反応液を室温まで冷却させ、石油エーテル層を分離し、1M塩酸で中和させ、塩水で洗浄し、溶剤を蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離させ、石油エーテル:酢酸エチルのグラデーション(10:1~3:1)で溶出させ、必要な組成を集め、減圧乾燥することでiiiを4.5g得た。
【0018】
[参考実施例1.4]
中間体ivの製造
30mlのtert-ブタノールに0.84gのカリウムを加え、溶解させた後、4gのiiiを加え、加熱還流した;20分かけて2.5gのブロモn-ブタンを10mlのn-ブタノールに溶解した溶液を滴下する。撹拌を15分間続け、0℃まで冷却させ、20mlの水で希釈し、1M塩酸で中和した。有機層を減圧下で蒸発させ、残余物を50mlの酢酸エチルで抽出し、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した;固形物を濾過除去し、濾液を減圧蒸発させることで溶媒を除去させてから、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離させ、石油エーテル:酢酸エチル(10:1)で溶出させ、ivを3.1g得た。
【0019】
[参考実施例1.5]
中間体vの製造
10mlのメタノールに0.56gのivを加え、攪拌・溶解させた; その後、0.16gの NaBH4を加えた。3時間攪拌する;反応液を氷浴させ、1M 塩酸で中和した。有機層を減圧蒸発させ、残余物を20mlの酢酸エチルで抽出し、抽出液を塩水で洗浄してから無水硫酸ナトリウムで乾燥した;固形物を濾過除去し、減圧の下で濾液内の溶媒を蒸発・除去させることで、vの粗生成品が得られて、そのまま次の反応に用いる。
【0020】
[参考実施例1.6]
BAFの製造
10mlのメタノール内に0.56gの vの粗生成物を加え、攪拌・溶解させた;10mlの1M塩酸と20mlの石油エーテルとを順次加え、3時間攪拌し、有機層を分離させ、1M NaOHと塩水にて逐次洗う。無水硫酸ナトリウムで乾燥した;固形物を濾過除去し、減圧の下で濾液内の溶媒を蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて分離させ、石油エーテル:酢酸エチル(40 : 1)で溶出させ、必要な組成を集め、減圧乾燥することでBAF 0.3gを得た。[ α]20 D = + 16.9(c:1.3、アセトン)。核磁気共鳴Hスペクトル:1H-NMR (400MHz、CDCl3): 0.89 (s、3H); 0.90(s、3H);1.04(m、1H); 1.18(m、1H);1.25-1.29(m、4H); 1.36 (s、3H); 1.41-1.75 (m、8H); 1.92-2.00 (m、5H); 2.21(dd、1H); 5.58(br、1H)。
【0021】
[実施例1]
d2-BAF(I-1)の製造
【0022】
【化5】
【0023】
[実施例1.1]
中間体d3-ivの製造
D2O (存在比99.5%)5mlを秤量し、pH10になるまで無水炭酸カリウムを加えてから、5mlのCH3OD(存在比99.5%)を加えた;0.8gのivを5mlの CH3OD (存在比99.5%)に溶解した溶液を滴下し、25℃で3時間撹拌した;減圧下で蒸発乾燥させ、D2O(存在比99.5%)5mlを加え、無水炭酸カリウムでpH10に調整してから、5mlのCH3OD (存在比99.5%)を加え、25℃で3時間撹拌した;減圧蒸発で乾燥させ、d3-ivの粗生成物が得られた。
【0024】
[実施例1.2]
中間体d2-vの製造
d3-ivの粗生成物に、10mlの CH3OD (存在比99.5%)を加え、撹拌・濾過した;濾液中に0.15g のNaBH4を加え、3時間撹拌反応させた;反応液を氷浴させ、1M塩酸で中和させた。減圧蒸発で有機層を除去し、残余物を酢酸エチル20 mlで抽出してから、塩水で洗浄してから、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた;固形物を濾過除去し、減圧の下で溶媒を蒸発・除去し、残余物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、石油エーテル:酢酸エチル(10:1)で洗い、必要な組成を集め、減圧蒸発で乾燥して、d2-vを0.32g得た。
【0025】
[実施例1.3]
目標化合物I-1の製造
d2-v 0.32gを5mlのメタノール中に溶解させ、撹拌しながら5mlの1M塩酸と10mlの石油エーテルとを順次加え、3時間撹拌し、有機層を分離し、1M NaOHと塩水とで順次洗浄する。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させる;固形物を濾過除去し、減圧蒸発で濾液内の溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、石油エーテル:酢酸エチル(40:1)で溶出し、必要な組成を集め、減圧蒸発で乾燥し、I-1を0.25g得た。[ α]20 D = + 16.7(c:1.3、アセトン)。核磁気共鳴Hスペクトル: 1H-NMR (400MHz、CDCl3): 0.89 (s、3H); 0.90(s、3H);1.04(m、1H); 1.18(m、1H);1.24-1.28(m、4H); 1.36(s、3H); 1.41- 1.75 (m、8H); 1.95-2.01(m、3H); 2.21(dd、1H); 5.57(s、1H )。質量分析法で測定した重水素の存在比は98.6%である。
【0026】
[実施例2]
d3-BAF (I-2 ) の製造
【0027】
【化6】
【0028】
実施例1.2の方法を参考に、d3-ivをNaBD4(重水素の存在比98%)で還元し、d3-vが得られた。
【0029】
実施例1.3の方法を参考に、d3-vを1M塩酸と反応させ、I-2を製造しうる。[ α]20 D = + 16.7(c:1.3、アセトン)。核磁気共鳴Hスペクトル: 1H-NMR (400MHz、CDCl3): 0.89 (s、3H); 0.90(s、3H);1.04(m、1H); 1.18(m、1H);1.24-1.28(m、4H); 1.36 (s、3H); 1.41-1.75 (m、8H); 1.95-2.01(m、3H); 2.22(dd、1H)。質量分析法で測定した重水素の存在比は98.2%である。
【0030】
[実施例3]
d4-BAF ( I-3 )の製造
【0031】
【化7】
【0032】
[実施例3.1]
中間体d5-ivの製造
D2O (存在比99.5%)5mlを秤量し、pH10になるまで無水炭酸カリウムを加えてから、5mlの CH3OD (存在比99.5%)を加える;0.8gの ivを5mlのCH3OD (存在比99.5%)に溶解した溶液を滴下し、35℃で3時間超音波撹拌する;減圧蒸発で乾燥し、D2O (存在比99.5%)5mlを加え、pH 10になるまで無水炭酸カリウムを加えてから、5ml のCH3OD (存在比99.5%)を加え、35℃で3時間超音波撹拌する;減圧乾燥させd5-ivの粗生成物が得られる。
【0033】
[実施例3.2]
中間体d4-vの製造
実施例1.2の方法を参考に、d5-ivをNaBH4で還元させd4-vを製造しうる。
【0034】
[実施例3.3]
目標化合物I-3の製造
実施例1.3の方法を参考に、d4-vを塩酸に反応させI-3を製造しうる。[ α]20 D = + 16.7 (c:1.3、アセトン)。核磁気共鳴Hスペクトル: 1H-NMR (400MHz、CDCl3): 0.89 (s、3H); 0.90(s、3H);1.18(m、1H);1.24-1.28(m、4H); 1.36 (s、3H); 1.41-1.75 (m、8H); 1.95-2.01 (m、3 H); 5.59(s、1H )。質量分析法で測定した重水素の存在比は98.4%である。
【0035】
[実施例4]
d5-BAF (I-4 )の製造
【0036】
【化8】
【0037】
実施例1.2の方法を参考に、d5-ivをNaBD4で還元させd5-vを製造しうる。
【0038】
実施例1.3の方法を参考に、d5-vを塩酸に反応させI-4を製造しうる。[ α]20 D = + 16.7 (c:1.3、アセトン)。核磁気共鳴Hスペクトル: 1H-NMR (400MHz、CDCl3): 0.89 (s、3H); 0.90(s、3H);1.19(m、1H);1.24-1.28(m、4H); 1.36 (s、3H); 1.41-1.75 (m、8H); 1.95-2.01 (m、3H)。質量分析法で測定した重水素の存在比は98.1%である。
【0039】
[実施例5]
d9-BAF (I-5 )の製造
【0040】
【化9】
【0041】
参考実施例1.4の方法を参考に、iiiをd9-BrCD2CD2CD2CD3(重水素の存在比>98%)に反応させd9-ivを製造しうる。
【0042】
参考実施例1.5の方法を参考に、d9-ivをNa BH4で還元させd9-vを製造しうる。
【0043】
参考実施例1.6の方法を参考に、d9-vを1M塩酸に反応させI-5を製造しうる。[ α]20 D = + 16.8 (c:1.3、アセトン)。核磁気共鳴Hスペクトル: 1H-NMR (400MHz、CDCl3): 0.89 (s、3H); 1.03(m、1H); 1.18(m、1H);1.24-1.28(m、4H); 1.36 (s、3H); 1.41-1.75 (m、4H); 1.92-2.01 (m、3H); 2.21(dd、1H); 5.59(br、1H )。質量分析法で測定した重水素の存在比は98.1%である。
【0044】
[実施例6]
d10-BAF (I-6 )の製造
【0045】
【化10】
【0046】
実施例1.2の方法を参考に、d9-ivをNaBD4(重水素の存在比98%)で還元させd10-vを製造しうる。
【0047】
実施例1.3の方法を参考に、d10-v を1M塩酸に反応させI-6を製造しうる。[ α]20 D = + 16.9(c:1.3、アセトン)。核磁気共鳴Hスペクトル: 1H-NMR (400MHz、CDCl3): 0.89 (s、3H); 1.04(m、1H); 1.17(m、1H);1.24-1.28(m、4H); 1.36 (s、3H); 1.42-1.75 (m、4H); 1.92-2.00(m、3H); 2.22(dd、1H)。質量分析法で測定した重水素の存在比は98.1%である。
【0048】
[実施例7]
d11-BAF (I-7 )の製造
【0049】
【化11】
【0050】
実施例1.1の方法を参考に、d9-iv をD2Oと重水素交換反応させd12-ivを製造しうる。
【0051】
実施例1.2の方法を参考に、d12-ivをNaBH4で還元させd11-vを製造しうる。
【0052】
実施例1.3の方法を参考に、d11-vを1M塩酸に反応させI-7を製造しうる。[ α]20 D = + 16.8 (c:1.3、アセトン )。核磁気共鳴Hスペクトル: 1H-NMR (400MHz、CDCl3): 0.89 (s、3H); 1.04(m、1H); 1.19( m、1H);1.25-1.27(m、4H); 1.36 (s、3H); 1.41- 1.75 (m、4H); 1.92-2.02 (m、1H); 2.20(dd、1H); 5.59(s、1H)。質量分析法で測定した重水素の存在比は98.2%である。
【0053】
[実施例8]
d12-BAF (I-8 )の製造
【0054】
【化12】
【0055】
実施例1.2の方法を参考に、d12-ivをNaBD4で還元させd12-vを製造しうる。
【0056】
実施例1.3の方法を参考に、d12-v を1M塩酸に反応させI-8を製造しうる。[ α]20 D = + 16.7(c:1.3、アセトン)。核磁気共鳴Hスペクトル: 1H-NMR (400MHz、CDCl3): 0.89 (s、3H); 1.03(m、1H); 1.18(m、1H);1.23-1.28(m、4H); 1.36 (s、3H); 1.42-1.77 (m、4H); 1.92-2.01 (m、1H); 2.21(dd、1H)。質量分析法で測定した重水素の存在比は98.1%である。
【0057】
[実施例9]
抗不安作用の評価
ラット高架式十字迷路試験による化合物の抗不安作用を評価
高架式十字迷路は、縦:50cm、横:10cm、高:40cm、相対オープンアーム二つと相対クローズアーム二つで構成され、中心部の接続区は10cm(縦)x10cm(横)、迷路は床面より50cm高く、蛍光灯側面より1m離れた暗い場所に設置した。Wistarラットを5匹/群、無作為に組み分けし、禁食・給水を12時間実施した;試験化合物を0.5%のカルボキシメチルセルロースNaで一定濃度の混濁液にし、胃内投与した。投与30分後、ラットを迷路の中心部接続区に入れるが、頭部はオープンアーム方向に向かせ、5分内に動物がオープンアームで泊まる時間を測った。結果は表1を参照する。
【0058】
【表1】
【0059】
[実施例10]
亜急性毒性及び代謝酵素誘導作用の評価
雄SDラット(220-240g)を、5匹/群、無作為に組み分けした;試験化合物を0.5%のカルボキシメチルセルロースNaで60mg/kgの濃度に調液し、胃内投与をするが、毎日1回ずつ、7日間続けた。最終投与後、禁食・給水を12時間実施してから、麻酔し、腹部主動脈採血をし、血清を製造し、血液生化学指標と免疫学的指標の測定に供する;EDTA抗凝固血液を造り、血液ルーチン測定に供する。文献(En Li, et al. Effect of buagafuran on liver microsomal cytochrome P450 in rats。 J Asian Natural Products Research.2010;12: 371-381。)の方法により、肝臓から肝マイクロソームを造り、プローブ基質でCYPアイソザイムの活性を測定した。溶媒群の活性を1とし、試験化合物の相対酵素活性を算出する。
【0060】
[実施例10.1]
亜急性毒性の評価結果
14項目の血液学的指標と15項目の血漿生化学的指標との測定結果から、BAF群の動物の血漿ALT、ASTは著しく向上され、I-1、I-2、I-5、I-7群の動物の血漿ALT、ASTは対照組に対して有意な差はなかったことが示された。結果は表2を参照する。各群動物の他の指標は全て正常範囲内である。
【0061】
【表2】
【0062】
[実施例10.2]
代謝酵素誘導作用の評価結果
溶媒群に比べて、BAF群の動物の肝臓CYP1A1、CYP2E1代謝酵素活性は著しく向上され、I-1、I-2、I-5、I-7群の動物の肝臓CYP1A1、CYP2E1代謝酵素活性は溶媒群に比して有意な差はなかった;各群動物のCYP2C11、CYP2C6、CYP2D2、CYP3A2代謝酵素活性は溶媒群に比して有意な差はなかった。結果を表3で示す。
【0063】
【表3】