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特許7123418収容構造、収容構造用形成シート及び収容構造の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】収容構造、収容構造用形成シート及び収容構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/20 20060101AFI20220816BHJP
   A45C 3/04 20060101ALI20220816BHJP
   B65D 30/18 20060101ALI20220816BHJP
   A45C 7/00 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B65D30/20 F
A45C3/04 A
A45C3/04 F
B65D30/20 G
B65D30/18 A
A45C7/00 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020001656
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021001025
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2020-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2019114028
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518186126
【氏名又は名称】株式会社井上総合印刷
(74)【代理人】
【識別番号】100143546
【弁理士】
【氏名又は名称】押久保 政彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 善紀
(72)【発明者】
【氏名】阿彦 由美
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3129878(JP,U)
【文献】実開昭54-130916(JP,U)
【文献】特開2017-114199(JP,A)
【文献】実公昭51-006328(JP,Y1)
【文献】欧州特許出願公開第2305060(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00 - 30/20
A45C 3/04
A45C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋部と、
前記袋部に設けられた複数の平行折り目と、
前記袋部に設けられた複数の屈曲折り目と、を備え、
前記屈曲折り目は、前記平行折り目の間では前記平行折り目に交差する方向に向かって真っすぐに延びるとともに前記平行折り目との交差位置では屈曲するものであり、
前記屈曲折り目が谷折り目の場合、
前記屈曲折り目に対して鈍角に交わる前記平行折り目は谷折り目であり、
前記屈曲折り目に対して鋭角に交わる前記平行折り目は山折り目であり、
前記袋部は、前記平行折り目及び屈曲折り目において折り畳まれるとともに、展開が可能であり、
前記袋部は、前記平行折り目に対して平行な2本の端山折り目で折られた筒状体であり、
前記筒状体の底を形成する底形成部を備え、
前記底形成部は、前記筒状体の第1開口側の縁部に設けられ、折り返し線によって折り返されることによって前記底を形成し、
前記底形成部には、前記端山折り目から前記筒状体の第1開口に向かって斜めに伸びる斜め折り目が形成され、
前記筒状体の前記底は、前記斜め折り目において前記筒状体が折り返されてなり、
前記底形成部には、前記平行折り目の延長線である縦折り目と、前記縦折り目に直交する横方向折り返し線が形成され、
前記斜め折り目は、前記縦折り目と交差せず、
前記縦折り目は、前記折り返し線を跨いでも折り目が変化せず、前記横方向折り返し線を跨いで折り目が変化することを特徴とする収容構造。
【請求項2】
前記底形成部には、前記筒状体の第1開口から延びるスリットが形成され、
前記スリットは、前記斜め折り目が前記縦折り目と交差しないように形成されることを特徴とする請求項記載の収容構造。
【請求項3】
少なくとも2つの前記斜め折り目は、互いに交差しないことを特徴とする請求項1又は2項記載の収容構造。
【請求項4】
前記底形成部には、前記筒状体の第1開口から延びるスリットが形成され、
前記スリットは、少なくとも2つの前記斜め折り目が互いに交差しないように形成されることを特徴とする請求項記載の収容構造。
【請求項5】
前記斜め折り目は、前記端山折り目に対して交差しないことを特徴とする請求項ないしのうちいずれか1項記載の収容構造。
【請求項6】
前記底形成部には、前記筒状体の第1開口から延びるスリットが形成され、
前記スリットは、前記斜め折り目が前記端山折り目に対して交差しないように形成されることを特徴とする請求項記載の収容構造。
【請求項7】
前記斜め折り目は、前記筒状体の第1開口に向かって延び、
前記スリットは、前記斜め折り目の終端から前記筒状体の第1開口まで延びることを特徴とする請求項2、4、6のうちいずれか1項記載の収容構造。
【請求項8】
袋の正面となる正面部と、前記袋の底部となる底形成部とが設定されたシートと、
前記正面部に設けられた複数の平行折り目と、
前記正面部に設けられた複数の屈曲折り目と、を備え、
前記屈曲折り目は、前記平行折り目の間では前記平行折り目に交差する方向に向かって真っすぐに延びるとともに前記平行折り目との交差位置では屈曲するものであり、
前記屈曲折り目が谷折り目の場合、
前記屈曲折り目に対して鈍角に交わる前記平行折り目は谷折り目であり、
前記屈曲折り目に対して鋭角に交わる前記平行折り目は山折り目であり、
前記正面部は、2本の端山折り目によって画され、
前記正面部と前記底形成部との境界を起点として、前記底形成部側へ斜めに延びる斜め折り目が形成され、
前記底形成部には、前記底形成部の端部から延びるスリットが形成され、
前記斜め折り目の終端は前記スリットに位置し、
前記底形成部は、前記正面部との境界の折り返し線によって折り返されることによって前記底を形成し、
前記底形成部には、前記平行折り目の延長線である縦折り目と、前記縦折り目に直交する横方向折り返し線が形成され、
前記斜め折り目は、前記縦折り目と交差せず、
前記縦折り目は、前記折り返し線を跨いでも折り目が変化せず、前記横方向折り返し線を跨いで折り目が変化することを特徴とする収容構造用形成シート。
【請求項9】
筒状体の正面となる正面部と、前記筒状体の底部となる底形成部とが設定された基材に対して所定の折り目をつける折目付与工程と、
前記折目付与工程を経た前記基材に対しスリットを形成するスリット形成工程と、
前記基材から前記筒状体を形成する筒状体形成工程と、
前記筒状体の軸方向に対して平行な端山折り目で前記筒状体を折り畳み、前記筒状体を平坦化する平坦化工程と、
前記平坦化工程を経た前記筒状体の前記底形成部に設定された斜め折り目にて折り返して、前記筒状体の開口部を塞いで底を形成する底部形成工程と、を備え、
前記正面部と前記底形成部との境界を起点として、前記底形成部側へ斜めに延びる斜め折り目が形成され、
前記スリットは前記底形成部の端部から延び、
前記斜め折り目の終端は前記スリットに位置し、
前記底形成部は、前記底形成部との境界の折り返し線によって折り返されることによって前記底を形成し、
前記底形成部には、前記平行折り目の延長線である縦折り目と、前記縦折り目に直交する横方向折り返し線が形成され、
前記斜め折り目は、前記縦折り目と交差せず、
前記縦折り目は、前記折り返し線を跨いでも折り目が変化せず、前記横方向折り返し線を跨いで折り目が変化することを特徴とする収容構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容構造、収容構造用形成シート及び収容構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外出時に利用するハンドバック、エコバック等のバック類や、買い物の際に店舗から提供される手提げ袋等の収容具が知られている。
【0003】
このような収容具は、通常、収容体積を確保すべく、所定の体積を有する。このため、収容具を持ち運ぶ際、中に収容部が納められているか否かにかからず、一定の占有スペースが必要となってしまう。このような背景から、所定の形状に抜かれたシート部材からなり、未使用時にはシート部材は平坦のままであり、使用する際には、シート部材を組み立てて利用できる収容具が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-105889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の収容具は、組立作業及び展開作業のいずれにおいても、手間がかかってしまう。また、組立作業及び展開作業を繰り返し行うと、繰り返し作業の中で、シート部材の強度が低下してしまい、結果として、収容具として利用できなくなってしまう。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、組立作業及び展開作業が容易であって、組立作業及び展開作業の繰り返しにも強い収容具に適用可能な収容構造、収容構造用形成シート及び収容構造の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の収容構造は、袋部と、前記袋部に設けられた複数の平行折り目と、前記袋部に設けられた複数の屈曲折り目と、を備え、前記屈曲折り目は、前記平行折り目の間では前記平行折り目に交差する方向に向かって真っすぐに延びるとともに前記平行折り目との交差位置では屈曲するものであり、前記屈曲折り目が谷折り目の場合、前記屈曲折り目に対して鈍角に交わる前記平行折り目は谷折り目であり、前記屈曲折り目に対して鋭角に交わる前記平行折り目は山折り目であり、前記袋部は、前記平行折り目及び屈曲折り目において折り畳まれるとともに、展開が可能であり、前記袋部は、前記平行折り目に対して平行な2本の端山折り目で折られた筒状体であり、前記筒状体の底を形成する底形成部を備え、前記底形成部は、前記筒状体の第1開口側の縁部に設けられ、折り返し線によって折り返されることによって前記底を形成し、前記底形成部には、前記端山折り目から前記筒状体の第1開口に向かって斜めに伸びる斜め折り目が形成され、前記筒状体の前記底は、前記斜め折り目において前記筒状体が折り返されてなり、前記底形成部には、前記平行折り目の延長線である縦折り目と、前記縦折り目に直交する横方向折り返し線が形成され、前記斜め折り目は、前記縦折り目と交差せず、前記縦折り目は、前記折り返し線を跨いでも折り目が変化せず、前記横方向折り返し線を跨いで折り目が変化することを特徴とする。
【0008】
本発明の収容構造用形成シートは、袋の正面となる正面部と、前記袋の底部となる底形成部とが設定されたシートと、前記正面部に設けられた複数の平行折り目と、前記正面部に設けられた複数の屈曲折り目と、を備え、前記屈曲折り目は、前記平行折り目の間では前記平行折り目に交差する方向に向かって真っすぐに延びるとともに前記平行折り目との交差位置では屈曲するものであり、前記屈曲折り目が谷折り目の場合、前記屈曲折り目に対して鈍角に交わる前記平行折り目は谷折り目であり、前記屈曲折り目に対して鋭角に交わる前記平行折り目は山折り目であり、前記正面部は、2本の端山折り目によって画され、前記正面部と前記底形成部との境界を起点として、前記底形成部側へ斜めに延びる斜め折り目が形成され、前記底形成部には、前記底形成部の端部から延びるスリットが形成され、前記斜め折り目の終端は前記スリットに位置し、前記底形成部は、前記正面部との境界の折り返し線によって折り返されることによって前記底を形成し、前記底形成部には、前記平行折り目の延長線である縦折り目と、前記縦折り目に直交する横方向折り返し線が形成され、前記斜め折り目は、前記縦折り目と交差せず、前記縦折り目は、前記折り返し線を跨いでも折り目が変化せず、前記横方向折り返し線を跨いで折り目が変化することを特徴とする。
【0009】
本発明の収容構造の製造方法は、筒状体の正面となる正面部と、前記筒状体の底部となる底形成部とが設定された基材に対して所定の折り目をつける折目付与工程と、前記折目付与工程を経た前記基材に対しスリットを形成するスリット形成工程と、前記基材から前記筒状体を形成する筒状体形成工程と、前記筒状体の軸方向に対して平行な端山折り目で前記筒状体を折り畳み、前記筒状体を平坦化する平坦化工程と、前記平坦化工程を経た前記筒状体の前記底形成部に設定された斜め折り目にて折り返して、前記筒状体の開口部を塞いで底を形成する底部形成工程と、を備え、前記正面部と前記底形成部との境界を起点として、前記底形成部側へ斜めに延びる斜め折り目が形成され、前記スリットは前記底形成部の端部から延び、前記斜め折り目の終端は前記スリットに位置し、前記底形成部は、前記底形成部との境界の折り返し線によって折り返されることによって前記底を形成し、前記底形成部には、前記平行折り目の延長線である縦折り目と、前記縦折り目に直交する横方向折り返し線が形成され、前記斜め折り目は、前記縦折り目と交差せず、前記縦折り目は、前記折り返し線を跨いでも折り目が変化せず、前記横方向折り返し線を跨いで折り目が変化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、組立作業及び展開作業が容易であって、組立作業及び展開作業の繰り返しにも強い収容具に適用可能な収容構造、収容構造用形成シート及び収容構造の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】収容構造を有する袋の概要を示す斜視図である。
図2】(A)は、袋の平面図であり、(B)~(F)は、それぞれ、袋の左側面図、正面図、右側面図、背面図、底面図である。
図3】袋を形成する基材の展開図である。
図4】収容具の製造方法の概要を示すフロー図である。
図5】開口部折返工程における様子を表す説明図である。
図6】筒状体形成工程における様子を表す説明図である。
図7】底部形成工程における様子を表す説明図である。
図8】底部形成工程における様子を表す説明図である。
図9】底部形成工程における様子を表す説明図である。
図10】袋の折り畳み途中の様子を示す説明図である。
図11】X-Y平面における袋の端面形状の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、説明の便宜上、水平面内における任意の方向をX方向とし、水平面内における任意の方向のうちX方向と直交する方向をY方向とし、水平面に直交する方向をZ方向とする。
【0013】
図1~2に示すように、袋10は、内部の収容空間に所期の物を収容することができる。
【0014】
袋10の形成材料は、本発明の目的の範囲内であれば、特に限定されない。例えば、袋10の形成材料として、紙(厚紙や、薄手の段ボール)、布、皮革、プラスチック、金属等がある。もちろん、袋10の形成材料として、これらの組み合わせとしてもよい。
【0015】
袋10は、袋10のZ方向上側に設けられた開口縁部12と、袋10のZ方向下側に設けられた底部14と、底部14よりZ方向上側間に設けられた正面部16と、を備える。
開口縁部12と正面部16との境界線は、図示していないが、後述する屈曲折り目30と挿入孔12Xの間に位置する。また、底部14と正面部16との境界線14Xは、X方向に延びる。
【0016】
正面部16は、Z方向に延びる平行折り目20と、平行折り目20に対して交差する屈曲折り目30と、Z方向に延びる端山折り目40と、を備える。屈曲折り目30は平行折り目20に対して交差する。
【0017】
平行折り目20は2本設けられる。1本の平行折り目20において、山折り目YM(図中の実線部分、他の図面も同様。)と谷折り目TN(図中の破線部分、他の図面も同様。)とが、屈曲折り目30との交点Mを境にして交互に並ぶ。
【0018】
屈曲折り目30は、平行折り目20の間においてまっすぐ延びる直線部と、平行折り目20に対して所定の角度で交差する屈曲部とを備える。屈曲折り目30は、平行折り目20との交差位置では、屈曲する。屈曲の方向は、Z方向上向き、Z方向下向き、Z方向上向き、・・・のように、隣り合う交差位置において逆向きとなる。
【0019】
屈曲折り目30は、Z方向において所定間隔をあけて5本設けられる。隣り合う屈曲折り目30同士の間隔は等しいことが好ましい。屈曲折り目30の直線部は、自身のZ方向に並ぶ屈曲折り目30の直線部と平行となっている。屈曲折り目30は、Z方向において、山折り目YMと谷折り目TNとが交互に並ぶ。
【0020】
さらに、屈曲折り目30が谷折り目TNの場合、当該屈曲折り目30に対して鈍角に交わる平行折り目20は谷折り目TNであり、当該屈曲折り目30に対して鋭角に交わる平行折り目20は山折り目YMである。このような折り目のパターンは、いわゆる、ミウラ折りと呼ばれるものである。
【0021】
端山折り目40は、Z方向に延びるものであり、X-Y平面における袋10の端面形状(図11)において、対向する位置P1,P2の相当する位置に設けられる。なお、端山折り目40は、その上端は開口縁部12まで延びてよいし、その下端は、底部14まで延びてよい。
【0022】
開口縁部12及び底部14は、正面部16よりも強度があることが好ましい。正面部16よりも高い強度を出すために、開口縁部12及び底部14における形成材料を折り返してもよいし、形成材料を重ねて貼り合わせてもよい。
【0023】
図1において、開口縁部12は、筒状体T(後述する図6)の一方側の開口端が折り返されている。
【0024】
底部14は、図1においては正面部16からY方向の両方向(前後方向)へ延びるものであり、図2においては正面図16からZ方向の下方向へ延びる。底部14は、筒状体T(後述する図6)の他方側の開口端が折り返され、当該筒状体Tの開口は閉塞している。
【0025】
袋10は、把手構造を備えていてもよい。把手構造は、開口縁部12のX方向中央部に位置するものであり、手又は指が挿入可能な挿入孔12Xが形成されている。本実施形態においては、挿入孔12Xは、2本の平行折り目20の間に形成されることが好ましい。
【0026】
次に、袋10の形成材料である基材200について説明する。
【0027】
図3に示すように、基材200は、矩形状のシート材であり、その辺は、X方向及びZ方向にそれぞれ延びる。基材200は、袋10の一方側の面(図2(C))を形成する一方面基材部110と、袋10の他方側の面(図2(E))を形成する他方面基材部120と、基材200を筒状体にするための接続代130と、を備える。
【0028】
一方面基材部110と、他方面基材部120と、接続代130とは、基材200において、左側から右側(紙面方向)に向かって並ぶ。一方面基材部110と他方面基材部120との境界、及び、他方面基材部120と接続代130との境界には、それぞれ、端山折り目40が設けられる。
【0029】
一方面基材部110及び他方面基材部120のX方向及びZ方向の長さは、作ろうとする袋10の幅(図1のX方向)や高さ(図1のZ方向)に応じて、適宜設定すればよい。
【0030】
また、接続代130のZ方向の長さは、袋10を形成できる程度のものであればよいが、図示するように、一方面基材部110や他方面基材部120に対して等しいことが好ましい。接続代130のX方向の長さは、一方面基材部110のX方向左側端部に対して固定できる程度のものであればよい。
【0031】
一方面基材部110と他方面基材部120とは、端山折り目40に対して線対象となっている。ただし、一方面基材部110と他方面基材部120とにおいて、平行折り目20及び屈曲折り目30の折り方向、すなわち、山折りと谷折りが逆向きとなっている。
【0032】
また、接続代130に形成される折り目は、端山折り目40に対し、他方面基材部120に形成された折り目と、線対称となっている。ただし、他方面基材部120と接続代130とにおいて、平行折り目20及び屈曲折り目30の折り方向、すなわち、山折りと谷折りが逆向きとなっている。
【0033】
以下、一方面基材部110の詳細について説明する。
【0034】
一方面基材部110は、袋10の開口縁部12(図1)を形成するための開口縁形成部112と、袋10の底部14(図1)を形成するための底形成部114と、袋10の正面部16(図1)を形成するための正面形成部116と、を備える。一方面基材部110において、Z方向下から上に向かって、底形成部114と、正面形成部116と、開口縁形成部112と、が順に並ぶ。
【0035】
正面形成部116において、平行折り目20はZ方向に延び、屈曲折り目30は、平行折り目20に対して交差する。平行折り目20は、開口縁形成部112及び底形成部114まで、それぞれまっすぐ延びる。
【0036】
開口縁形成部112は、正面形成部116のZ方向上端から上方に向かって延設されるものである。開口縁形成部112に設定された折り返し線112Xは、袋10における開口12E(図1)を形成する。したがって、開口縁形成部112における平行折り目20は、折り返し線112Xに関し線対称となる。ただし、開口縁形成部112における平行折り目20の折り目の向き(山折り目YMと谷折り目TNのいずれであるか)は、折り返し線112Xを基準にして、逆向きの関係になる。
【0037】
底形成部114は、筒状体となった下方側の開口を塞ぐために折り返されるものであり、正面形成部116のZ方向下端から下方に向かって延設される。底形成部114と正面形成部116との境界線である折り返し線114Xは、X方向に延びるものである。折り返し線114Xは、袋10における正面部16と底部14の境界線14X(図1)となる。袋10として形成されたとき、一方面基材部110と他方面基材部120とにおいて、折り返し線114Xの折り方向、すなわち、山折り目と谷折り目は逆向きになる。
【0038】
底形成部114は、縦折り目114Zと、横方向折り返し線114Rと、斜め山折り目114Nと、スリット114SLと、が形成される。
【0039】
横方向折り返し線114Rは、X方向に延びる山折り目YMであり、袋10の底部14の輪郭線14A(図1)の一部を形成するものである。
【0040】
縦折り目114Zは、正面形成部116の平行折り目20の延長線である。縦折り目114Zのうち、横方向折り返し線114RよりもZ方向上方側は、隣接する平行折り目20と逆向きの折り目となっている。同一の縦折り目114Zのうち、横方向折り返し線114RよりもZ方向下方側の部分は、当該横方向折り返し線114XよりもZ方向上方側の部分と逆向きの折り目となっている。
【0041】
斜め山折り目114Nは、折り返し線114XのX方向の両端(図3におけるK1、K2)を起点にして、X方向においては中央側へ向かって、Z方向においては下側に向かって、斜め方向へ延びる。ここで、点K1、K2は、筒状体T(図6)において、端山折り目40と折り返し線114Xとの交点をいう。斜め山折り目114NとZ方向とがなす角の角度θ1は、例えば、45°である。斜め山折り目114Nの終点は、底形成部114のZ方向下端部114Eまで到達せず、底形成部114のZ方向中途部に位置する。
また、袋10として形成されたとき、一方面基材部110と他方面基材部120とにおいて、斜め山折り目114Nは、縦折り目114ZよりもX方向の外側に位置し、縦折り目114Zに対して交差しないことが好ましい。袋10として形成されたとき、一方面基材部110と他方面基材部120とにおいて、斜め山折り目114Nは山折り目YMである。
【0042】
スリット114SLは、斜め山折り目114Nの終点から、Z方向下方側に向かって、底形成部114のZ方向下端部114Eまで伸びる。スリット114SLの長さL1は、本発明の趣旨に基づいて設定すればよい。
【0043】
次に、袋10の作り方について説明する。
【0044】
収容具の製造方法300は、図4に示すように、印刷工程310と、印刷工程310を経た基材200に所定の折り目をつける折目付与工程320と、折目付与工程320を経た基材200に対しスリットを形成するスリット形成工程330と、基材200の開口縁形成部112を折り返す開口部折返工程340と、基材200から筒状体Tを形成する筒状体形成工程350と、2本の折り目によって筒状体Tを平坦化する平坦化工程360と、筒状体Tの片側の開口部を塞いで底を形成する底部形成工程370と、を備える。底部形成工程360を経て、袋10が得られる。
【0045】
印刷工程310では、基材200に所定の図案の印刷を行う。印刷方法は、公知の方法であれば特に限定されない。
【0046】
折目付与工程320では、所定の型を基材200に押し当てて、所定の折り目(図3
を形成する。
【0047】
スリット形成工程330では、基材200にスリット114SL(図3)を形成する。
【0048】
開口部折返工程340では、基材200(図3)のうち、開口縁形成部112の上端部を、折り返し線112Xを基準にして折り返す(図5)。
【0049】
筒状体形成工程350では、基材200(図5)のうち、一方面基材部110及び他方面基材部120の間にある端山折り目40を基準にして折り返すとともに、他方面基材部120及び接続代130の間にある端山折り目40を基準にして折り返す。さらに、接続代130と一方面基材部110とが重なった部分を固定する。これにより、基材200から筒状体Tが形成される。
【0050】
平坦化工程360では、端山折り目40によって折り畳み、筒状体Tを平坦化する(図6)。このとき、スリット114SLは、筒状体T(図6)の開口端から延びるような位置となる。
【0051】
底部形成工程360は、一方面基材部110及び他方面基材部120における斜め山折り目114Nを基準にして、筒状体Tを折る(図7)。次に、一方面基材部110の横方向折り返し線114Rにて筒状体Tを折る(図8)。このとき、折り返された側の底形成部114の端部114Eは、折り返し線114XよりもZ方向下方に位置することとなる。その後、他方面基材部120の横方向折り返し線114Rにて筒状体Tを折る(図9)。このとき、折り返された側の底形成部114の端部114Eは、折り返し線114XよりもZ方向上方に位置することとなる。こうして、筒状体TにおけるZ方向下側の開口が閉塞する。底形成部114のうち重なり合った部分を固定することにより、袋10の底部が形成される。
【0052】
次に、袋10の使い方について説明する。
【0053】
図1の状態の袋10に対し、屈曲折り目30において、山折り目及び谷折り目を交互に折り畳む(図10(A)~(B))。図10(B)の袋10に対し、平行折り目20を基準にして山折り及び谷折りを交互に折り畳む。このようにして、袋10を小さく折り畳むことができる。この袋10に設けられた折り目により、平行折り目20及び屈曲折り目30において容易に折り畳まれる(図10)とともに、折り畳まれた状態から力をかけると、平行折り目20及び屈曲折り目30においてスムーズに展開することとなる(図1)。さらに、展開作業及び折畳作業を繰り返し行っても、基材がよれることもない。したがって、展開作業及び折畳作業を繰り返し行うことができる。
【0054】
また、展開した状態の袋10(図1)において、ミウラ折り特有の構造から、袋10(特に、正面部16)が自立しやすい。
【0055】
また、袋10が展開した状態(図1)において、所定の物を収容することができる。この場合において、袋10には平行折り目20及び屈曲折り目30が設けられているため、収容物による膨らみは、平行折り目20及び屈曲折り目30において折れ曲がりやすい一方、平行折り目20及び屈曲折り目30に囲まれた平行四辺形自体は曲がりにくい。この結果、袋10は、収容物によって凸形状に膨らむものの、平行四辺形の面を維持したまま、平行折り目20及び屈曲折り目30にて折れ曲がる。そのフォルムは所定の凸形状の独特な膨らみとなって、見栄えの美しいものとなる。
【0056】
折り畳まれた袋10において、上面及び下面には、他の部分より強度のある開口縁部12及び底部14が位置することとなる。したがって、折り畳まれた袋10に対し、開口縁部12及び底部14を持って、互いに遠ざけるように広げることにより、袋10に無用な傷をつけずに展開することができる。同様に、展開状態の袋10を折りたたむ場合も、開口縁部12及び底部14を持って折り畳めばよいため、袋10に無用な傷をつけずに展開することができる。
【0057】
さらに、袋10を展開した状態において、開口縁部12及び底部14の間は、目立ちやすい部分、いわゆる、袋10の顔である。当該「顔」部分は、折り畳まれた状態においては、内部に収容される。このため、保管中に、当該「顔」部分が傷つくことや、当該「顔」部分に汚れが付着することもない。
【0058】
加えて、背の低い物を収容した際、袋10の上方部分を屈曲折り目30に手折り返すことにより、袋自体10の高さを低くすることができる。その後、屈曲折り目30を伸ばすことにより、背の高い物を収容することも可能である。
【0059】
特に、袋10を紙等で形成する場合には、軽量、且つ丈夫であるため、繰り返し使えるため、環境にも優しい。さらに、廃棄する場合においても、自然界において分解されるため、環境にも優しい。
【0060】
ここで、斜め山折り目114Nが、底部14の端山折り目40、他の斜め山折り目114Nや縦折り目114Zと重なってしまうと、重なり部分が厚くなるため、次の折り返しが難しくなってしまう。この結果、袋10が製造しにくくなる、あるいは、製造した袋10の展開作業及び折畳作業の作業性が低下してしまう。本実施形態では、斜め山折り目114Nが、底部14の端山折り目40、他の斜め山折り目114Nや縦折り目114Zと重ならないように、スリット114SLが形成されている。このため、袋10の製造が容易になるだけでなく、袋10の展開作業及び折畳作業の作業性が良好なものとなる。
【0061】
なお、平行折り目20はX方向に延び、屈曲折り目30は、Z方向において延びてもよい。なお、平行折り目20の本数は2本に限られず、3本以上でもよい。また、屈曲折り目30の本数は5本に限られず、2~4本以下でもよいし、6本以上でもよい。
【0062】
なお、把手構造としては、袋10のY方向一方側であって、X方向中央部に位置する挿入孔12Xに限られず、袋10のY方向一方側であって、X方向中央部から設けられる紐でもよい。紐の両端部は、それぞれ、袋10のY方向一方側であって、X方向中央部において、所定の間隔をあけて袋10に取り付けられている。
【0063】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
10 袋
12 開口縁部
12E 開口
12X 挿入孔
14 底部
14A 輪郭線
14X 境界線
16 正面部
20 平行折り目
30 屈曲曲折り目
40 端山折り目
110 一方面基材部
112 開口縁形成部
114 底形成部
114N 斜め山折り目
114R 横方向折り返し線
114SL スリット
114X 折り返し線
114Z 縦折り目
116 正面形成部
120 他方面基材部
130 接続代
200 基材
300 収容具の製造方法
310 印刷工程
320 折目付与工程
330 スリット形成工程
340 開口部折返工程
350 筒状体形成工程
360 平坦化工程
370 底部形成工程


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11