(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】粉体散布装置
(51)【国際特許分類】
A21C 9/04 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A21C9/04
(21)【出願番号】P 2021087051
(22)【出願日】2021-05-24
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】593008748
【氏名又は名称】株式会社豊製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉知 雅休
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第6858423(JP,B1)
【文献】実開昭57-82958(JP,U)
【文献】実開昭61-66495(JP,U)
【文献】特開平11-127763(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0313669(KR,Y1)
【文献】中国実用新案第204742396(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 9/04
A23G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を散布されるべき被散布体に粉体を散布する粉体散布機と、
該粉体散布機が散布する粉体を受ける領域に配置され、固まりとなった粉体を粉砕する一対の回転ブラシ体と、を備え、
該一対の回転ブラシ体は、前記粉体散布機により散布される粉体の落下方向を横切る方向を各回転軸の軸方向として互いに平行に設けられ、且つ前記一対の回転ブラシ体の各ブラシの外周端部同士が互いに当接した状態で配置されている
粉体散布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体散布装置であって、
前記粉体散布機は、第1の筐体に保持して構成され、
前記一対の回転ブラシ体は、第2の筐体に保持され、
前記第2の筐体は、その上部が前記第1の筐体の下部に分離可能に結合されている
粉体散布装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の粉体散布装置であって、
前記一対の回転ブラシ体の上部には、前記粉体散布機により散布され落下する粉体の通路を形成するように互いに対向配置され、その対向距離が上方より下方を小さくするように傾斜して固定された一対の板状の案内板を備え、
該一対の案内板の各上端部は、前記粉体散布機により散布され落下する粉体を前記一対の案内板の対向面間に受け入れるように前記粉体散布機の粉体散布口を挟む位置に配置され、
前記一対の案内板の各下端部は、前記一対の回転ブラシ体の各回転軸に沿って上部に配置され、前記一対の回転ブラシ体の各ブラシの外周端部同士が互いに当接することによって一体的に形成されるブラシ全体の外周幅に対し、粉体の落下方向の上方から見た前記一対の案内板の各下端部同士の隙間が小さくされている
粉体散布装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の粉体散布装置であって、
前記一対の回転ブラシ体は、互いに反対方向に回転されており、各ブラシの外周端部が互いに当接した状態で共に下方に回転されている
粉体散布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打ち粉のような粉体を麺等の素材(以下、被散布体ともいう)表面に散布する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
うどん、そば等の麺、若しくは餃子、ワンタン等の皮、等の製造において、麺等の素材表面に打ち粉を振り掛けるため、打ち粉散布機が用いられる(特許文献1参照)。係る打ち粉散布機では、多数の貫通孔を備えたメッシュ体を通して打ち粉を散布することにより、打ち粉を所望の範囲に概ね均等に散布している。また、メッシュ体の貫通孔から打ち粉が効率的に出るように、メッシュ体の表面に載った打ち粉を回転するブラシの毛先で押し出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記打ち粉散布機の場合、メッシュ体の表面に載った打ち粉を回転するブラシの毛先で押し出しているため、打ち粉がメッシュ体の貫通孔を通る間にペレット状の固まりになりやすい。そのため、麺等の素材表面に振り掛けられる打ち粉の散布状態にムラが生じ易い。
【0005】
本発明の課題は、麺の素材のような被散布体に打ち粉のような粉体を散布する粉体散布装置において、固まりとなった粉体を一対のブラシで挟んで粉砕することにより、被散布体に散布される粉体中に固まりが含まれることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明の粉体散布装置は、粉体を散布されるべき被散布体に粉体を散布する粉体散布機と、該粉体散布機が散布する粉体を受ける領域に配置され、固まりとなった粉体を粉砕する一対の回転ブラシ体と、を備え、該一対の回転ブラシ体は、前記粉体散布機により散布される粉体の落下方向を横切る方向を各回転軸の軸方向として互いに平行に設けられ、且つ前記一対の回転ブラシ体の各ブラシの外周端部同士が互いに当接した状態で配置されている。
【0007】
第1発明によれば、粉体散布機から粉体が被散布体に散布されるとき、一対の回転ブラシ体に挟まれる。そのため、粉体散布機からの粉体に固まりとなった部分が含まれていても、固まりとなった粉体は一対の回転ブラシ体の各ブラシの外周端部同士に挟まれることにより粉砕される。従って、被散布体に散布される粉体中に固まりが含まれることを抑制することができる。しかも、回転ブラシ体を一対の組合せとしたため、粉体散布機から粉体を受けるブラシの広がりの大きさに比べて、回転ブラシ体の上下方向の大きさを小さくすることができる。従って、粉体散布装置の大きさをコンパクトにすることができる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明に記載の粉体散布装置であって、前記粉体散布機は、第1の筐体に保持して構成され、前記一対の回転ブラシ体は、第2の筐体に保持され、前記第2の筐体は、その上部が前記第1の筐体の下部に分離可能に結合されている。
【0009】
第2発明によれば、粉体散布機の第1の筐体と、一対の回転ブラシ体を保持する第2の筐体とは互いに別体とされている。しかも、各筐体は互いに分離可能に結合されている。そのため、粉体散布機の第1の筐体の下方に一対の回転ブラシ体の第2の筐体を結合するか否かにより、粉体散布装置として、一対の回転ブラシ体を使用するか否かを必要に応じて選択することができる。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1又は第2発明に記載の粉体散布装置であって、前記一対の回転ブラシ体の上部には、前記粉体散布機により散布され落下する粉体の通路を形成するように互いに対向配置され、その対向距離が上方より下方を小さくするように傾斜して固定された一対の板状の案内板を備え、該一対の案内板の各上端部は、前記粉体散布機により散布され落下する粉体を前記一対の案内板の対向面間に受け入れるように前記粉体散布機の粉体散布口を挟む位置に配置され、前記一対の案内板の各下端部は、前記一対の回転ブラシ体の各回転軸に沿って上部に配置され、前記一対の回転ブラシ体の各ブラシの外周端部同士が互いに当接することによって一体的に形成されるブラシ全体の外周幅に対し、粉体の落下方向の上方から見た前記一対の案内板の各下端部同士の隙間が小さくされている。
【0011】
第3発明によれば、一対の案内板は、粉体散布機の粉体散布口から落下する粉体の全てを、一対の回転ブラシ体の各ブラシの外周端部同士が互いに当接することによって一体的に形成されるブラシ全体の外周端部に供給する。そして、一対の回転ブラシ体の互いに当接するブラシの外周端部により粉体の固まりを粉砕する。そのため、一対の回転ブラシ体により粉体中に含まれる固まりを全体的に粉砕して、被散布体に無駄なく散布することができる。
【0012】
本発明の第4発明は、上記第1~第3発明のいずれかに記載の粉体散布装置であって、前記一対の回転ブラシ体は、互いに反対方向に回転されており、各ブラシの外周端部が互いに当接した状態で共に下方に回転されている。
【0013】
第4発明によれば、一対の回転ブラシ体の各ブラシの外周端部に供給された粉体の固まりは、各ブラシの外周端部同士の当接部で挟まれて下方に送られる間にブラシの先端で粉砕される。そのため、一対の回転ブラシ体の各ブラシを通過する間の粉体の流れは、スムーズで、被散布体に無駄なく散布され、粉体が被散布体以外の方向へ無駄に飛散されることを抑制することができる。
【0014】
本発明の第5発明の粉体散布装置は、上方より下方の通路面積を小さくされ、散布すべき粉体を収容可能としたホッパと、該ホッパの下部の粉体散布口に該粉体散布口を塞ぐ状態で取り付けられ、前記粉体散布口に対応する部位に粉体が通過する多数の貫通孔を形成されたメッシュ体と、該メッシュ体の下方で、該メッシュ体の前記貫通孔を通して落下する粉体を受ける領域に配置され、固まりとなった粉体を粉砕する一対の回転ブラシ体と、を備え、該一対の回転ブラシ体は、前記メッシュ体からの粉体の落下方向を横切る方向を各回転軸の軸方向として互いに平行に設けられ、且つ前記一対の回転ブラシ体の各ブラシの外周端部同士が互いに当接した状態で配置されている。
【0015】
第5発明によれば、ホッパに収容された粉体がメッシュ体の貫通孔を通して被散布体に散布されるとき、一対の回転ブラシ体に挟まれる。そのため、メッシュ体からの粉体に固まりとなった部分が含まれていても、固まりとなった粉体は一対の回転ブラシ体の各ブラシの外周端部同士に挟まれることにより粉砕される。従って、被散布体に散布される粉体中に固まりが含まれることを抑制することができる。しかも、回転ブラシ体を一対の組合せとしたため、粉体散布機から粉体を受けるブラシの広がりの大きさに比べて、回転ブラシ体の上下方向の大きさを小さくすることができる。従って、粉体散布装置の大きさをコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の粉体散布装置の一実施形態が適用された麺製造装置の一例を示す側面図である。
【
図4】上記実施形態の一部を成す粉体粉砕機単独の平面図である。
【
図5】上記実施形態の一部を成す粉体散布機単独の拡大正面図である。
【
図6】上記粉体散布機単独の部分断面拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<一実施形態が適用される麺製造装置の概要>
図1は麺製造装置の一例の概要を示し、麺製造装置は、連続圧延機7及び製麺機8を備える。連続圧延機7では、麺となる麺帯を複数の圧延機に順次通して、麺帯の厚さを順次薄くし、適度な厚さにする。製麺機8では、連続圧延機7から供給される麺帯を細断して麺とし、更に麺を適宜の長さに切り揃える。こうして切り揃えられた麺は、コンベア6により搬送される。コンベア6の上には、本発明の一実施形態である粉体散布装置1が設置されており、細断された麺が再び結着しないように麺の上から打ち粉が振り掛けられる。麺は本発明の被散布体に相当し、打ち粉は本発明の粉体に相当する。コンベア6の最下流側には、幅寄せローラ4があり、打ち粉が振り掛けられた麺がコンベア6の中央側に幅寄せされて出荷のため束状にまとめられる。製麺機8に隣接して設けられたクレーンタワー5は、製麺機8内部の切刃を交換する際に切刃を持ち上げて移動するために使用される。
【0018】
<一実施形態としての粉体散布装置1の構成>
図1~3のように、粉体散布装置1は、粉体散布機3と粉体粉砕機2とが上下重ねで構成されている。各図中、粉体散布装置1を
図1のように麺製造装置に設置した状態における各方向を矢印により統一して示している。因みに、ここではコンベア6の下流側を「前」方向とし、作業者が前方を向いた状態における各方向を表示している。
図4以降の各図においても同様に各方向を表示している。以下では方向に関する説明を、この方向を基準として記述する。
【0019】
図3のように、粉体散布機3の筐体(第1の筐体に相当)38aの下端部のフランジ部38dと、粉体粉砕機2の筐体(第2の筐体に相当)20の上端部のフランジ部20aとが、複数個の締結手段24により締結固定されている。各締結手段24は、ボルト24aとナット24bとにより構成されている。従って、粉体散布機3と粉体粉砕機2は、分離可能に結合されている。即ち、粉体散布装置1として、粉体散布機3と粉体粉砕機2を結合して使用可能であり、粉体散布機3のみ単独での使用も可能である。筐体20の下端部には、粉体散布機3の筐体38aのフランジ部38dと同様にL字状に屈曲形成されたL字アングルである脚部25L、25Rが溶接固定されている。この脚部25L、25Rをコンベア6の上部にボルト、ナットにより締結固定することにより、粉体散布装置1がコンベア6を左右方向で跨いだ状態で固定される(
図1参照)。なお、
図2、3では、粉体粉砕機2は、その内部構成を示すが、粉体散布機3については、筐体38a若しくはメッシュ体32を示すが、その他の内部構成の図示を省略している。
【0020】
<粉体散布機3の構成>
図5~7は、粉体散布装置1の一部を成す粉体散布機3の構成を示す。粉体散布機3は、筐体38a内に強力粉、片栗粉、そば粉等である打ち粉を収容するホッパ31を備える。ホッパ31は、上部が打ち粉の投入口31bを成す開口とされ、下部が打ち粉の出口(粉体散布口に相当)31cを成している。そして、
図6のように、ホッパ31は、投入口31bから出口31cに向けて前後方向の開口寸法が徐々に狭められている。投入口31bは蓋体38cにより開閉自在に被われている。蓋体38cの上部には、取っ手38bが一体に設けられ、蓋体38cを開閉する際に作業者が把持し易いようにされている。
【0021】
ホッパ31の出口31cの前後には、ホッパ31の下端が直角方向(厳密に直角である必要はない)に切り起こされてフランジ部31aが形成されている。また、出口31cには、出口31cを塞ぐ状態に取り付け可能とされ、出口31cの開口面に対応して打ち粉が通過するための多数の貫通孔32aを備えたメッシュ体32が設けられている(
図7参照)。メッシュ体32は、出口31cを塞ぐ部位が下方に凸の断面円弧形状とされており、円弧形状は、円弧面の中心軸が左右方向に延びるようにされている。円弧形状の円弧の前後両側終端部は、円弧面の半径方向外側に屈曲されて屈曲部32bとされている(
図6参照)。メッシュ体32が出口31cを塞ぐ状態に取り付けられたとき、屈曲部32bはフランジ部31aの下面に面合せで当接可能に形成されている。
【0022】
ホッパ31の出口31c付近の内側には、ブラシ体33が設けられている(
図6参照)。ブラシ体33は、左右方向に延びる回転軸33aによりホッパ31に回転自在に固定されている。ブラシ体33は、回転軸33aにより回転されることによりブラシの外周端部がメッシュ体32の内周面に接触して回転移動し、メッシュ体32上に載った打ち粉を貫通孔32aから押し出すように機能する。回転軸33aは、筐体38aの内壁に固定されたモータ39a(
図6、7参照)により減速機39b(
図5参照)を介して回転駆動されている。
【0023】
ホッパ31の出口31cを塞いだ状態でメッシュ体32を保持するため、メッシュ体32の下面に枠体34が設けられている。枠体34は、メッシュ体32の貫通孔32aが形成された中央部を除く縁部の全周をメッシュ体32の下面側(メッシュ体32の円弧形状の外周面側)から押圧するように枠形状とされている(
図7参照)。枠体34の左右方向(ブラシ体33の回転軸33a方向)に延びる第1枠辺34aは、メッシュ体32の一方の屈曲部32bを挟んで一方のフランジ部31aに押圧する(
図6参照)。また、第1枠辺34aと平行な第2枠辺34bは、メッシュ体32の他方の屈曲部32bを挟んで他方のフランジ部31aに押圧する。第1枠辺34a及び第2枠辺34bの両端間をそれぞれ接続する左右両側の第3枠辺34cは、メッシュ体32の円弧形状に沿うようにメッシュ体32の円弧形状と同心円の円弧形状に形成されている。そのため、第3枠辺34cによりメッシュ体32の左右端部をホッパ31の下部の円弧面に押圧して固定している。
【0024】
第1枠辺34aは、左右方向に分散配置された一対のヒンジ35によりホッパ31の出口31cに回転自在に固定されている。ヒンジ35において、ヒンジ軸35cを中心に相対角度を変更自在とされた一対の取付片部のうちの一方の取付片部35aは、スペーサ35dを介してホッパ31の出口31cを成す表面に固定されている。スペーサ35dは、ホッパ31の出口31cにフランジ部31aがあっても一方の取付片部35aがホッパ31の出口31cに固定できるように段差を解消している。そのため、スペーサ35dのホッパ31の出口31c表面からの高さは、同じ表面からのフランジ部31aの高さに略等しいか、フランジ部31aの高さより僅かに高くされている。ヒンジ35において、一対の取付片部のうちの他方の取付片部35bには、枠体34の第1枠辺34aが固定されている。
【0025】
第2枠辺34bには、後述のトグルラッチ37のラッチ部37dに係合されるフック36が左右方向に分散配置されて一対固定されている。各フック36は、その先端部が枠体34の外周から突出するように固定されている(
図6、7参照)。
【0026】
メッシュ体32を挟んで枠体34がフランジ部31aの下面に押圧された状態で、各フック36と対向するホッパ31の表面部分には、一対のトグルラッチ37が固定されている。トグルラッチ37自体は公知のものであり、ホッパ31の出口31cの表面にスペーサ37bを介して固定されている。スペーサ37bは、上記スペーサ35dと同様、ホッパ31の出口31cにフランジ部31aがあってもトグルラッチ37がホッパ31の出口31cの表面に固定できるように段差を解消している。そのため、スペーサ37bのホッパ31の出口31c表面からの高さは、同じ表面からのフランジ部31aの高さに略等しいか、フランジ部31aの高さより僅かに高くされている。従って、トグルラッチ37のラッチ部37dの先端部37gをフック36の先端部に係合させて、トグルレバー37cを倒す操作を行うことにより、枠体34をホッパ31のフランジ部31aに押圧して固定することができる。
【0027】
<粉体散布機3の作用、効果>
メッシュ体32は、枠体34に挟まれてホッパ31のフランジ部31aの下面に取り付けられている。そして、枠体34は、トグルラッチ37のラッチ部37dの先端部37gをフック36に係合してトグルレバー37cをベース37aと平行になるように操作することにより、ラッチ部37dのばね37eの付勢力をフック36に加えて枠体34の第2枠辺34bをフランジ部31aの下面に強く押圧して固定している。
図6では、構造を判り易くするため前後の各フランジ部31aとメッシュ体32の前後の各屈曲部32bとの間に隙間があるように図示しているが、実際には各フランジ部31aと各屈曲部32bとが隙間なく当接されている。
【0028】
一方、メッシュ体32をホッパ31のフランジ部31aから取り外して、交換又は目詰まり除去を行うときは、トグルラッチ37のトグルレバー37cを、ベース37aから離れる方向に回転操作して、ラッチ部37dの先端部37gをフック36に係合した状態から外すことにより、枠体34をヒンジ35を中心に回転可能として、メッシュ体32をホッパ31のフランジ部31aから取り外すことができる。
【0029】
このようにメッシュ体32の取り付け及び取り外しを、トグルラッチ37のトグルレバー37cを回転操作するのみで、枠体34を、ヒンジ35を中心として開閉して簡単に行うことができる。従って、メッシュ体32の交換や目詰まり除去の必要が生じて、メッシュ体32の着脱を行っても、従来技術のようにボルト、ナットを使用してメッシュ体の固定を行う場合に比べて、上記粉体散布機3によれば麺等の製造の生産性を高めることができる。
【0030】
<粉体粉砕機2の構成>
図2、3は、上記粉体散布機3の下部に固定された状態の粉体粉砕機2を粉体散布機3と共に示す。また、
図4は、粉体粉砕機2を単独で示す。
図3では、回転ブラシ体21Rの左側部分を断面形状にて図示している。
【0031】
図2のように、粉体粉砕機2は、粉体散布機3のメッシュ体32の下方に対応して、筐体20の内部に一対の回転ブラシ体21F、21Rを備える。一対の回転ブラシ体21F、21Rは、各回転軸21bが各軸受21cを介して筐体20に回転自在に固定されている。各回転軸21bは、互いに平行とされ、各回転ブラシ体21F、21Rの各ブラシ21aの外周端部同士が互いに当接するように近接配置されている。また、各回転軸21bは、粉体散布機3から散布される打ち粉の落下方向を横切る方向(左右方向)を軸方向として配置されている。
【0032】
各回転軸21bのうち後側の回転ブラシ体21Rの回転軸21bの左側端部には、スプロケット21dが固定されている。スプロケット21dは、チェーン23bを介してモータ23の出力軸(図示略)に固定されたスプロケット23aにより回転駆動可能とされている。また、一対の回転ブラシ体21F、21Rの各回転軸21bの右側端部には、それぞれギヤ21eが固定されている(
図3では、回転ブラシ体21Rのギヤ21eのみを図示している)。各ギヤ21eは、互いに噛み合い状態で配置されている。そのため、一対の回転ブラシ体21F、21Rは、モータ23により同時に互いに反対方向に回転駆動可能とされている。一対の回転ブラシ体21F、21Rの回転方向は、
図2に矢印で示すように、各ブラシ21aの当接部分が共に下に向かう方向とされている。
図3、4のように、各スプロケット21d、23a及びチェーン23bは、チェーンカバー21jに覆われている。また、各ギヤ21eは、ギヤカバー21gに覆われている。
【0033】
図2のように、一対の回転ブラシ体21F、21Rを挟んで前後両側には、仕切板20bがそれぞれ設けられている。各仕切板20bは、筐体20内領域を一対の回転ブラシ体21F、21Rを含む領域20dと、モータ23を含む領域20eとに分けるように、両端が筐体20の内壁に固定されている。一対の回転ブラシ体21F、21Rを含む領域20dの上方には、一対の板状の案内板22F、22Rがそれらを前後方向で対向させて設けられている。一対の案内板22F、22Rは、両者の対向距離が上方より下方が小さくなるように傾斜して各仕切板20b上に固定されている。各案内板22F、22Rは、屈曲角度を直角よりも大きく前後方向に鋭角に曲げた屈曲板であり、左右端部には補強のためのフランジ部22aがそれぞれ形成されている。その結果、各仕切板20bに挟まれた領域20dの上方は、一対の案内板22F、22R同士の隙間部分を除いて各案内板22F、22Rによって覆われている。
【0034】
一方、各仕切板20bに挟まれた領域20dの下方は開放されているが、各回転ブラシ体21F、21Rの下方にステー金具21iが設けられている。ステー金具21iは、板状体であり、板面を前後方向に向けて筐体20の内壁に固定されている。そして、ステー金具21iの上端部には、スクレーパ21hが固定して設けられている。スクレーパ21hの上端部は、各回転ブラシ体21F、21Rの各ブラシ21aの外周端部に接触して配置されている。従って、各回転ブラシ体21F、21Rが回転すると、各ブラシ21aの外周端部がスクレーパ21hの先端に衝突して各ブラシ21aが振動され、各ブラシ21aに付着している打ち粉が払い落される。
【0035】
図2のように、粉体粉砕機2の上部に粉体散布機3を固定して使用するとき、一対の案内板22F、22Rは、その上部が粉体散布機3の下部に挿入された状態となる。そして、一対の案内板22F、22Rの対向隙間の内側に、粉体粉砕機2のホッパ31の出口31cに固定されたメッシュ体32が前後方向から挟まれた状態となる。そのため、メッシュ体32の貫通孔32aから散布される打ち粉は、一対の案内板22F、22Rの対向する内側面に案内されて、一対の案内板22F、22Rから一対の回転ブラシ体21F、21Rの上に供給される。
【0036】
一対の案内板22F、22Rの下端部は、一対の回転ブラシ体21F、21Rの各回転軸21bに沿って上部に配置されている。また、一対の案内板22F、22Rの下端部同士の隙間は、一対の回転ブラシ体21F、21Rの各回転軸21b同士の離間距離と概ね同程度とされている。そのため、
図2、4のように、一対の回転ブラシ体21F、21Rの各ブラシ21aの外周端部同士が当接することにより一体的に形成されるブラシ21a全体の外周幅(前後幅)に対し、打ち粉の落下方向の上方から見た一対の案内板22F、22Rの下端部同士の隙間(前後幅)が小さくされている。一方、一対の案内板22F、22Rの左右方向の幅は、筐体20の内側部と同じであり、一対の回転ブラシ体21F、21Rの各ブラシ21aの左右方向の幅より僅かに大きくされている(
図3、4参照)。
【0037】
粉体散布機3及び粉体粉砕機2において、打ち粉に触れる各部、及び各筐体38a、20は、衛生面を考慮してステンレス製とされている。また、ブラシ体33のブラシ、及び一対の回転ブラシ体21F、21Rの各ブラシ21aは、それぞれ樹脂製とされている。
【0038】
<粉体粉砕機2の作用、効果>
粉体散布機3のメッシュ体32から散布された打ち粉は、一対の案内板22F、22Rによって案内されて一対の回転ブラシ体21F、21Rの外周に運ばれる。その打ち粉は、一対の回転ブラシ体21F、21Rの回転によりブラシ21aに載って運ばれる途中、一対の回転ブラシ体21F、21Rのブラシ21aの外周端部同士が当接することにより粉砕される。即ち、一方のブラシ21aによって運ばれた打ち粉が他方のブラシ21aの先端によって粉砕される。粉砕された打ち粉は、一対の回転ブラシ体21F、21Rの回転により各ブラシ21aに載って運ばれて、一対の回転ブラシ体21F、21Rのブラシ21aの当接部から下方に落下して、コンベア6上を運ばれる麺(被散布体)の表面上に散布される。
【0039】
一対の案内板22F、22Rの下端部同士の隙間は、一対の回転ブラシ体21F、21Rのブラシ21a全体の外周幅より狭くされている。そのため、一対の案内板22F、22Rによって案内された打ち粉は、一対の回転ブラシ体21F、21Rのブラシ21aに漏れなく供給される。従って、粉体の固まりを無駄なく粉砕して散布することができる。
【0040】
また、一対の回転ブラシ体21F、21Rの各ブラシ21aは、その下方、及び一対の案内板22F、22Rの対向隙間を除いて周辺全体を仕切板20b及び一対の案内板22F、22Rによって覆われている。そのため、打ち粉は、麺の表面方向以外の余分なところに散布されることなく、麺の表面上に歩留まり良く散布される。
【0041】
<他の実施形態>
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、上記実施形態では、回転ブラシ体21F、21Rを一対としたが、一対以上並べてもよい。また、一対の回転ブラシ体21F、21Rの回転方向を、両者のブラシ21aが当接する部分で共に下向きとなる方向としたが、両者のブラシ21aが当接する部分で共に上向きとなる方向としてもよい。若しくは、両者のブラシ21aが当接する部分で互い違いとなる方向としてもよい。
【0042】
上記実施形態では、麺の製造に用いられる打ち粉の散布の例を説明したが、澱粉粉末、コーンスターチ等各種粉体の散布装置に適用することができる。また、被散布体は、麺以外のものにも適用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 粉体散布装置
2 粉体粉砕機
20 筐体(第2の筐体)
20a フランジ部
20b 仕切板
20c モータカバー
20d 一対の回転ブラシ体を含む領域
20e モータを含む領域
21F、21R 一対の回転ブラシ体
21a ブラシ
21b 回転軸
21c 軸受
21d スプロケット
21e ギヤ
21g ギヤカバー
21h スクレーパ
21i ステー金具
21j チェーンカバー
22F、22R 案内板
22a フランジ部
23 モータ
23a スプロケット
23b チェーン
24 締結手段
24a ボルト
24b ナット
25L、25R 脚部
3 粉体散布機
31 ホッパ
31a フランジ部
31b 投入口
31c 出口(粉体散布口)
32 メッシュ体
32a 貫通孔
32b 屈曲部
33 ブラシ体
33a 回転軸
34 枠体
34a 第1枠辺
34b 第2枠辺
34c 第3枠辺
35 ヒンジ
35a 一方の取付片部
35b 他方の取付片部
35c ヒンジ軸
35d スペーサ
36 フック
37 トグルラッチ
37a ベース
37b スペーサ
37c トグルレバー
37d ラッチ部
37e ばね
37f 回転軸
37g 先端部
38a 筐体(第1の筐体)
38b 取っ手
38c 蓋体
38d フランジ部
39a モータ
39b 減速機
4 幅寄せローラ
5 クレーンタワー
6 コンベア
7 連続圧延機
8 製麺機
【要約】
【課題】麺の素材のような被散布体に打ち粉のような粉体を散布する粉体散布装置において、固まりとなった粉体を一対のブラシで挟んで粉砕することにより、被散布体に散布される粉体中に固まりが含まれることを抑制する。
【解決手段】粉体を散布されるべき被散布体に粉体を散布する粉体散布機3と、粉体散布機3が散布する粉体を受ける領域に配置され、固まりとなった粉体を粉砕する一対の回転ブラシ体21F、21Rと、を備え、一対の回転ブラシ体21F、21Rは、粉体散布機3により散布される粉体の落下方向を横切る方向を各回転軸21bの軸方向として互いに平行に設けられ、且つ一対の回転ブラシ体21F、21Rの各ブラシ21aの外周端部同士が互いに当接した状態で配置されている。
【選択図】
図2