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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】ブレーキローラ
(51)【国際特許分類】
   B65G 13/075 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
B65G13/075
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021122742
(22)【出願日】2021-07-27
【審査請求日】2021-12-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114710
【氏名又は名称】ヤマウチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】服部 英一
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-196403(JP,A)
【文献】特開昭63-157663(JP,A)
【文献】特開平11-278701(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 13/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラを備えたローラコンベアにおいて用いられるブレーキローラであって、
支持軸と、
前記支持軸が貫通するように前記支持軸と同軸状に設けられかつ前記支持軸に回転可能に支持された円筒状のローラ本体と、
前記支持軸の外周面および前記ローラ本体の内周面のうちの一方に固定された永久磁石と、
前記ローラ本体の径方向において前記永久磁石に対向できるように前記外周面および前記内周面のうちの他方に固定され、かつ前記永久磁石との間でヒステリシストルクを生じさせるヒステリシス材と、
を備える、ブレーキローラ。
【請求項2】
前記永久磁石は、円筒形状を有し、かつ周方向において異なる極が交互に着磁された構成を有している、請求項1に記載のブレーキローラ。
【請求項3】
前記ローラ本体の軸方向において、前記ヒステリシス材の長さおよび前記永久磁石の長さは前記ローラ本体の長さよりも短い、請求項1または2に記載のブレーキローラ。
【請求項4】
前記支持軸に支持され、前記支持軸に対して前記ローラ本体が回転できるように前記ローラ本体の両端部を支持する一対の軸受をさらに備え、
前記一対の軸受は、前記支持軸に対して前記支持軸の軸方向に相対的に移動可能に設けられている、請求項1から3のいずれかに記載のブレーキローラ。
【請求項5】
前記支持軸の軸方向における前記支持軸に対する前記ローラ本体の位置を固定する固定部材をさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載のブレーキローラ。
【請求項6】
円筒形状を有しかつ前記ローラ本体の内周面に固定された樹脂製の保持部材をさらに備え、
前記ヒステリシス材は、前記保持部材に保持されている、請求項1から5のいずれかに記載のブレーキローラ。
【請求項7】
前記支持軸は、前記ローラコンベアのフレームに対する回転が規制された状態で前記フレームに取り付けられる、請求項1から6のいずれかに記載のブレーキローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送するローラコンベアにおいて用いられるブレーキローラに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等において物品を搬送するために、複数のフリーローラを備えたローラコンベアが用いられている。このようなフリーローラを備えたローラコンベアにおいて、物品の搬送速度が大きくなり過ぎることを防止する手段として、従来、種々のブレーキローラが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されたブレーキローラは、ローラ軸と、ローラ軸に回転自在に支持されたローラ本体と、ローラ軸に対して回転しないようにローラ軸に支持された複数の固定抵抗板と、ローラ本体の内部においてロータ本体と一体回転するようにローラ本体に支持された複数の回転抵抗板と、ローラ本体内に封入された流動体とを備えている。複数の固定抵抗板と複数の回転抵抗板とは、ローラ本体の内部においてローラ本体の軸方向に交互に並ぶように配置されている。
【0004】
特許文献1に開示された上記のブレーキローラでは、ローラ軸を固定した状態でローラ本体を回転させると、ローラ軸に支持された固定抵抗板に対してローラ本体に支持された回転抵抗板が回転する。この際、固定抵抗板と回転抵抗板との間を流動する流動体の粘性抵抗によって、ローラ本体に対して制動力が作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-77233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたブレーキローラでは、上記のように、流動体の粘性抵抗を利用してローラ本体を制動することができるので、電動機等によって制動力を発生する場合と異なり、ブレーキローラに電力を供給する必要がない。したがって、特許文献1に開示されたブレーキローラは、電力を供給することが困難な場所でも利用できる。また、電力を供給するための配線等が不要となるので、ブレーキローラの周囲の構成を簡略化できる。
【0007】
ところで、特許文献1に開示されたブレーキローラでは、制動力を発生させるためにローラ本体の内部に複数の抵抗板を設ける必要がある。また、ローラ本体から流動体が漏れ出すことを防止する手段を設ける必要がある。このため、特許文献1のブレーキローラでは、ローラ本体の内部構造が複雑になる。これにより、ブレーキローラの製造コストが上昇する。また、ブレーキローラのメンテナンス作業が難しくなる。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構造のブレーキローラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記のブレーキローラを要旨とする。
【0010】
(1)複数のローラを備えたローラコンベアにおいて用いられるブレーキローラであって、
支持軸と、
前記支持軸と同軸状に設けられかつ前記支持軸に回転可能に支持された円筒状のローラ本体と、
前記支持軸の外周面および前記ローラ本体の内周面のうちの一方に固定された永久磁石と、
前記ローラ本体の径方向において前記永久磁石に対向できるように前記外周面および前記内周面のうちの他方に固定され、かつ前記永久磁石との間でヒステリシストルクを生じさせるヒステリシス材と、
を備える、ブレーキローラ。
【0011】
(2)前記永久磁石は、円筒形状を有し、かつ周方向において異なる極が交互に着磁された構成を有している、上記(1)に記載のブレーキローラ。
【0012】
(3)前記ローラ本体の軸方向において、前記ヒステリシス材の長さおよび前記永久磁石の長さは前記ローラ本体の長さよりも短い、上記(1)または(2)に記載のブレーキローラ。
【0013】
(4)前記支持軸に支持され、前記支持軸に対して前記ローラ本体が回転できるように前記ローラ本体の両端部を支持する一対の軸受をさらに備え、
前記一対の軸受は、前記支持軸に対して前記支持軸の軸方向に相対的に移動可能に設けられている、上記(1)から(3)のいずれかに記載のブレーキローラ。
【0014】
(5)前記支持軸の軸方向における前記支持軸に対する前記ローラ本体の位置を固定する固定部材をさらに備える、上記(1)から(4)のいずれかに記載のブレーキローラ。
【0015】
(6)円筒形状を有しかつ前記ローラ本体の内周面に固定された樹脂製の保持部材をさらに備え、
前記ヒステリシス材は、前記保持部材に保持されている、上記(1)から(5)のいずれかに記載のブレーキローラ。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、簡単な構造のブレーキローラが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るブレーキローラを備えたローラコンベアを示す概略図である。
図2図2は、ブレーキローラの内部構造を示す概略断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係るブレーキローラにおける、支持軸とローラ本体との位置関係を示す概略図である。
図4図4は、本発明の他の実施形態に係るブレーキローラにおける、支持軸とローラ本体との位置関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るブレーキローラについて詳細に説明する。本発明に係るブレーキローラは、複数のローラを備えたローラコンベアにおいて用いられる。まず、ローラコンベアについて簡単に説明する。
【0019】
(ローラコンベアの構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るブレーキローラを備えたローラコンベアを示す概略図である。なお、図1において、(a)はローラコンベアを示す平面図であり、(b)は(a)のb-b部分を示す図であり、(c)はローラコンベアの右側面図である。
【0020】
図1に示すように、ローラコンベア1は、複数のフリーローラ2と、本発明の一実施形態に係るブレーキローラ10と、複数のフリーローラ2およびブレーキローラ10を支持する一対のフレーム3とを備えている。本実施形態では、フリーローラ2とフリーローラ2との間にブレーキローラ10が設けられている。
【0021】
なお、図1においては、1つのブレーキローラ10が示されているが、ローラコンベア1が複数のブレーキローラ10を備えていてもよい。また、図1においては、2つのフリーローラ2が示されているが、ローラコンベア1が3つ以上のフリーローラ2を備えていてもよい。
【0022】
フリーローラ2は、支持軸2aと、支持軸2aに回転可能に支持された回転体2bとを備えている。なお、フリーローラ2としては、公知の種々のフリーローラを用いることができるので、詳細な説明は省略する。ブレーキローラ10は、支持軸12と、支持軸12に回転可能に支持された回転体14とを備えている。詳細は後述するが、ブレーキローラ10は、回転体14が回転する際に回転体14に対して制動力が作用するように構成されている。
【0023】
図1(b),(c)に示すように、支持軸2a,12の両端部には、フレーム3から支持軸2a,12が抜け落ちることを防止するためのピン4が取り付けられている。本実施形態では、ピン4として、Rピン(スナップピン)が用いられている。なお、本実施形態では、支持軸2a,12が回転するとピン4も回転するが、ピン4がフレーム3の上壁部3aまたは下壁部3bに接触することによって、フレーム3に対する支持軸2a,12の回転が止められる。すなわち、ピン4は、支持軸2a,12の回転を規制する回転規制部材としても機能している。なお、フレーム3に対する支持軸2a,12の回転を規制する部材は上記のピンに限定されず、他の公知の手段によって支持軸2a,12の回転を規制してもよい。
【0024】
本実施形態に係るローラコンベア1では、複数のフリーローラ2によって搬送された物品(図示せず)がブレーキローラ10上を通る際に、回転体14に作用する制動力によって、物品の搬送速度を低下させることができる。以下、ブレーキローラ10の構成について詳細に説明する。
【0025】
(ブレーキローラの構成)
図2は、ブレーキローラ10の内部構造を示す概略断面図である。上述したように、ブレーキローラ10は、支持軸12および回転体14を備えている。本実施形態では、支持軸12は、円柱形状を有している。支持軸12の両端部には、抜け止め用のピン4(図1(c)参照)を差し込むための貫通孔12aが形成されている。
【0026】
支持軸12の外周面に、永久磁石20が固定されている。本実施形態では、永久磁石20は、円筒形状を有しかつ周方向において異なる極が交互に着磁された構成を有している。永久磁石20は、支持軸12に嵌められた状態で、支持軸12の軸方向における中央部に固定されている。
【0027】
永久磁石20としては、フェライト磁石および希土類磁石等の公知の磁石を用いることができる。ブレーキローラ10の小型化および後述するヒステリシストルクの向上の観点からは、永久磁石20として、例えば、Nd-Fe-B系磁石、Sm-Fe-N系磁石、およびSm-Co系磁石等の希土類磁石を用いることが好ましい。
【0028】
支持軸12の軸方向において永久磁石20の両側にそれぞれ、円筒状のストッパー22が嵌められている。ストッパー22は、支持軸12の外周面に固定されている。ストッパー22は、支持軸12の軸方向において、後述する一対の軸受44よりも内側に位置付けられている。
【0029】
回転体14は、ローラ本体40と、ヒステリシス材42とを含む。ローラ本体40は、円筒形状を有し、支持軸12と同軸状に設けられている。ローラ本体40は、例えば、非磁性材料からなる。
【0030】
ローラ本体40は、支持軸12に回転可能に支持されている。本実施形態では、ローラ本体40の両端部が、支持軸12に支持された一対の軸受44によって支持されている。軸受44は、支持軸12に対してローラ本体40が回転できるようにローラ本体40を支持している。軸受44としては、公知の種々の軸受(転がり軸受、滑り軸受等)を用いることができる。
【0031】
各軸受44は、支持軸12に対して支持軸12の軸方向に相対的に移動可能に設けられている。これにより、ブレーキローラ10を一対のフレーム3に取り付ける際に、ローラ本体40に対して支持軸12を進退させることができる。その結果、ブレーキローラ10のフレーム3への取り付けが容易になる。なお、ローラ本体40から支持軸12が抜け落ちることは、ストッパー22が軸受44に係止されることによって防止される。
【0032】
ヒステリシス材42は、ローラ本体40の内周面に固定されている。本実施形態では、ヒステリシス材42は、樹脂製の保持部材46に保持され、保持部材46を介してローラ本体40の内周面に固定されている。具体的には、ヒステリシス材42および保持部材46はそれぞれ円筒形状を有し、ローラ本体40の内周面に保持部材46が固定され、保持部材46の内周面にヒステリシス材42が固定されている。
【0033】
なお、ブレーキローラ10を組み立てる際には、例えば、保持部材46の内周面にヒステリシス材42を圧入した後、ヒステリシス材42が圧入された保持部材46をローラ本体40内に圧入する。この場合、ローラ本体40内にヒステリシス材42を直接圧入する場合に比べて、ヒステリシス材42の真円度の低下を抑制することができる。これにより、ブレーキローラ10の組立精度が向上し、後述するヒステリシストルクをより適切に発生させることができる。
【0034】
ヒステリシス材42は、半硬質磁性材料を用いて構成される。具体的には、例えば、Fe-Cr-Co系合金またはFe-Co系合金等の半硬質磁性材料に所定の磁場処理を行うことによってヒステリシス材42を構成することができる。
【0035】
永久磁石20とヒステリシス材42とは、ローラ本体40の径方向において対向できるように設けられる。本実施形態では、ローラ本体40の径方向において、永久磁石20の外側にヒステリシス材42が設けられている。ローラ本体40の径方向において、永久磁石20とローラ本体42との間には隙間dが形成されている。隙間dは、例えば、1.0mm以下に設定されることが好ましく、0.5mm以下に設定されることがより好ましい。
【0036】
なお、本明細書において永久磁石20およびヒステリシス材42が径方向において対向している状態とは、永久磁石20およびヒステリシス材42のうちの一方が他方の内側に位置付けられている状態を意味する。したがって、永久磁石20とヒステリシス材42との間に他の筒状部材が挿入されている場合でも、永久磁石20およびヒステリシス材42のうちの一方が他方の内側に位置付けられている状態は、永久磁石20およびヒステリシス材42が径方向において対向している状態である。
【0037】
本実施形態では、ローラ本体40の軸方向において、永久磁石20の長さおよびヒステリシス材42の長さはローラ本体40の長さよりも短い。これにより、ブレーキローラ10の軽量化が可能になる。また、永久磁石20の磁力は、支持軸12の軸方向において永久磁石20とヒステリシス材42とを互いに近付けるように作用する。このため、支持軸12の軸方向において支持軸12とローラ本体40とが固定されていない場合には、ローラ本体40の径方向において永久磁石20とヒステリシス材42とが対向するように、支持軸12およびローラ本体40が位置決めされる。これにより、ブレーキローラ10の組立が容易になる。
【0038】
本実施形態では、図示しない物品がブレーキローラ10上を通る際に、ローラ本体40は回転するが、支持軸12の回転はピン4(図1参照)がフレーム3(図1参照)に接触することによって止められる。これにより、支持軸12に対してローラ本体40が相対的に回転する。本実施形態では、支持軸12に永久磁石20が固定され、ローラ本体40にヒステリシス材42が固定されているので、支持軸12に対してローラ本体40が回転することによって、永久磁石20の周りをヒステリシス材42が回転する。これにより、永久磁石20とヒステリシス材42との間にヒステリシストルクが発生する。このヒステリシストルクは、永久磁石20に対するヒステリシス材42の回転を抑制する方向に作用する。これにより、ローラ本体40に制動力が作用する。
【0039】
本実施形態では、ローラ本体40の外周面を覆うように、円筒状の保護材48が設けられている。保護材48は、例えば、合成ゴムからなる。この場合、永久磁石20によって発生される磁束がブレーキローラ10の外部に漏れることを抑制することができる。これにより、永久磁石20によって発生される磁束が、ローラコンベア1によって搬送される物品(電子部品等)に悪影響を及ぼすことを十分に防止することができる。
【0040】
支持軸12の軸方向において一対の軸受44よりも外側に、一対の固定部材50が設けられている。一対の固定部材50は、支持軸12の軸方向における、支持軸12に対するローラ本体40の位置を固定する部材である。一対の固定部材50は、支持軸12の軸方向における任意の位置で支持軸12に固定できるように構成されている。一対の軸受44を支持軸12の軸方向における両側から挟むように一対の固定部材50を支持軸12に固定することによって、支持軸12に対するローラ本体40の位置(支持軸12の軸方向における位置)を固定することができる。固定部材50としては、例えば、公知のセットカラーを用いることができる。
【0041】
図3は、支持軸12とローラ本体40との位置関係を示す概略図である。図3に示すように、本実施形態では、支持軸12の軸方向における一対の固定部材50の固定位置を移動させることによって、支持軸12に対するローラ本体40の位置を移動させることができる。これにより、ローラ本体40の径方向における永久磁石20とヒステリシス材42との対向面積を調整することができる。その結果、永久磁石20とヒステリシス材42との間に作用するヒステリシストルクの大きさを調整することができる。
【0042】
(ブレーキローラの効果)
以上のように、本実施形態に係るブレーキローラ10では、永久磁石20とヒステリシス材42との間に作用するヒステリシストルクによって、ローラ本体40に制動力を作用させることができる。この場合、支持軸12とローラ本体40との間に複数の抵抗板を設けたり、ローラ本体40内に流動体を封入したりする必要がないので、ブレーキローラ10の構造を簡単にすることができる。その結果、ブレーキローラ10の製造コストを抑制することができる。また、ブレーキローラ10のメンテナンス作業が容易になる。
【0043】
また、上記ヒステリシストルクは、ローラ本体40の回転速度に依存することなく発生させることができるので、ローラ本体40の回転速度が低い場合でも、ローラ本体40に対して十分な制動力を作用させることができる。このため、本実施形態に係るブレーキローラ10は、軽い物品から重い物品まで幅広い物品の搬送において、好適に用いることができる。また、上記ヒステリシストルクは、支持軸12とローラ本体40とを物理的に接触させることなく発生させることができる。これにより、支持軸12およびローラ本体40の劣化を抑制できるので、ブレーキローラ10の寿命を長くすることができる。
【0044】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、ブレーキローラ10が1つの永久磁石20および1つのヒステリシス材42を備える場合について説明したが、ブレーキローラ10は、複数の永久磁石20を備えていてもよく、複数のヒステリシス材42を備えていてもよい。
【0045】
図4は、ブレーキローラ10が2つの永久磁石20および2つのヒステリシス材42を備える場合の、支持軸12とローラ本体40との位置関係を示す概略図である。なお、図4(a)に示す支持軸12とローラ本体40との位置関係は、図3(a)に示す支持軸12とローラ本体40との位置関係と等しく、図4(b)に示す支持軸12とローラ本体40との位置関係は、図3(b)に示す支持軸12とローラ本体40との位置関係に等しい。
【0046】
図3および図4から分かるように、支持軸12に対するローラ本体40の移動量が等しい場合には、ブレーキローラ10が複数の永久磁石20および複数のヒステリシス材42を備えている場合の方が、永久磁石20とヒステリシス材42との対向面積(総対向面積)の調整量を大きくすることができる。すなわち、ローラ本体40に作用する制動力の調整範囲を大きくすることができる。
【0047】
上述の実施形態では、ヒステリシス材42は、保持部材46を介してローラ本体40に固定されているが、ヒステリシス材42がローラ本体40に直接固定されてもよい。
【0048】
上述の実施形態では、永久磁石20が支持軸12に固定され、ヒステリシス材42がローラ本体40に固定される場合について説明したが、永久磁石がローラ本体40に固定され、ヒステリシス材が支持軸12に固定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、簡単な構造のブレーキローラが得られる。
【符号の説明】
【0050】
1 ローラコンベア
2 フリーローラ
3 フレーム
4 ピン
10 ブレーキローラ
12 支持軸
14 回転体
20 永久磁石
22 ストッパー
40 ローラ本体
42 ヒステリシス材
44 軸受
46 保持部材
48 保護材
50 固定部材

【要約】
【課題】簡単な構造のブレーキローラを提供する。
【解決手段】ブレーキローラは、支持軸と、支持軸と同軸状に設けられかつ支持軸に回転可能に支持された円筒状のローラ本体と、支持軸の外周面およびローラ本体の内周面のうちの一方に固定された永久磁石と、ローラ本体の径方向において永久磁石に対向できるように上記外周面および上記内周面のうちの他方に固定され、かつ永久磁石との間でヒステリシストルクを生じさせるヒステリシス材と、を備える。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4