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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】鍛造装置及び鍛造品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21J 5/06 20060101AFI20220816BHJP
   B21J 5/02 20060101ALI20220816BHJP
   B21J 13/02 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B21J5/06 C
B21J5/02 A
B21J13/02 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021165437
(22)【出願日】2021-10-07
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390020606
【氏名又は名称】名古屋技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 健次
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-125777(JP,A)
【文献】特開2009-166072(JP,A)
【文献】特開平11-5137(JP,A)
【文献】特開昭60-213331(JP,A)
【文献】特開2015-199082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 5/06
B21J 5/02
B21J 13/02
B21K 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締めにより閉塞鍛造のキャビティを形成する上型及び下型と、前記上型内を通って前記キャビティ内に押し込まれる上パンチと、前記下型内を通って前記キャビティ内に押し込まれる下パンチと、を備え、前記上パンチと前記下パンチとで前記キャビティ内のワークを押し出して冷間鍛造する鍛造装置であって、
前記下型が、前記上パンチを受け入れて前記ワークを前記上パンチの周囲に沿って後方押し出しすることが可能な凹状の成形面を有し、
前記上型が、前記ワークの後方押し出しされた押し出し片を受け入れて後方押し出しの進行により前記押し出し片の先端を当接させて前記ワークの径方向の外側へと摺動させる径方向の外側に斜め上がりに傾斜するガイド面を備えた凹状の受入面を有し、
前記ガイド面に沿った摺動により、前記押し出し片を前記ワークの前記上パンチと前記下パンチとの間に押し挟まれる基部に対して径方向の外側に斜めに立ち上がらせる形に成形する鍛造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の鍛造装置であって、
前記下型の前記成形面が、矩形容器状の凹面とされ、
前記上パンチが、前記成形面に対して該成形面の対向する2つの内側面との間でのみ前記ワークを後方押し出しするための隙間を空けて嵌合する角柱体から成り、
前記上型の前記ガイド面が、前記成形面の2つの前記内側面と前記上パンチとの間の各前記隙間から後方押し出しされる2つの前記押し出し片を互いに相反する径方向に摺動させる一対の構成とされる鍛造装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の鍛造装置であって、
前記上型の前記受入面が、前記ガイド面の傾斜した先の縁から下方に寸胴状に落ち込む凹面とされる鍛造装置。
【請求項4】
型締めにより閉塞鍛造のキャビティを形成する上型及び下型と、前記上型内を通って前記キャビティ内に押し込まれる上パンチと、前記下型内を通って前記キャビティ内に押し込まれる下パンチと、を備え、前記上パンチと前記下パンチとで前記キャビティ内のワークを押し出して冷間鍛造する鍛造装置を用いて行う鍛造品の製造方法であって、
前記上パンチを前記下型に形成された凹状の成形面に向けて押し込むことで前記ワークを前記上パンチと前記成形面との間に沿って後方押し出しする後方押し出し工程と、
後方押し出しされた前記ワークの押し出し片を前記上型に形成された凹状の受入面の天板面を成す径方向の外側に斜め上がりに傾斜するガイド面に当接させて後方押し出しの進行により前記ガイド面に沿って前記ワークの径方向の外側へと摺動させる摺動変形工程と、を有し、
前記摺動変形工程により、前記押し出し片を前記ワークの前記上パンチと前記下パンチとの間に押し挟まれる基部に対して径方向の外側に斜めに立ち上がらせる形に成形する鍛造品の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の鍛造品の製造方法であって、
前記下型の前記成形面が、矩形容器状の凹面とされ、
前記上パンチが、前記成形面に対して前記ワークを後方押し出しするための隙間を空けて嵌合する角柱体から成り、
前記ワークが、前記成形面の矩形容器の横断面内に収まる円形断面を備えた円柱体から成る鍛造品の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の鍛造品の製造方法であって、
前記後方押し出し工程が、前記ワークを前記成形面の対向する2つの内側面と前記上パンチの各対向面との間の2箇所からのみ後方押し出しして2つの前記押し出し片を互いに相反する径方向に傾いた対称形状に成形する鍛造品の製造方法。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれかに記載の鍛造品の製造方法であって、
更に、前記鍛造装置を用いて冷間鍛造した前記ワークの前記押し出し片を、プレス装置を用いて前記基部に対して径方向の外側に直角に折り曲げられる形に加工する曲げ工程を有する鍛造品の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の鍛造品の製造方法であって、
前記ワークが、前記基部の両サイドに一対の前記押し出し片を有する断面ハット型のブラケットとされる鍛造品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍛造装置及び鍛造品の製造方法に関する。詳しくは、型締めにより閉塞鍛造のキャビティを形成する上型及び下型を備え、上型内を通ってキャビティ内に押し込まれる上パンチと下型内を通ってキャビティ内に押し込まれる下パンチとでキャビティ内のワークを押し出して冷間鍛造する鍛造装置及びこの鍛造装置を用いて行う鍛造品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車に搭載される油圧配管を車体に固定するためのブラケットが開示されている。このブラケットは、金属板のプレス加工品から成り、車体にボルト締結されて固定される構成とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-56785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブラケットを構造強度の確保のため冷間鍛造で成形する場合、ブラケットを斜めの方向に突き出るような複雑な形状に成形しにくいという問題がある。そこで、本発明は、冷間鍛造であってもワークを斜めの方向に突き出る形に適切に成形することが可能な鍛造装置及び鍛造品の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の鍛造装置及び鍛造品の製造方法は次の手段をとる。
【0006】
すなわち、本発明の鍛造装置は、型締めにより閉塞鍛造のキャビティを形成する上型及び下型と、上型内を通ってキャビティ内に押し込まれる上パンチと、下型内を通ってキャビティ内に押し込まれる下パンチと、を備え、上パンチと下パンチとでキャビティ内のワークを押し出して冷間鍛造する鍛造装置である。下型が、上パンチを受け入れてワークを上パンチの周囲に沿って後方押し出しすることが可能な凹状の成形面を有する。
【0007】
上型が、ワークの後方押し出しされた押し出し片を受け入れて後方押し出しの進行により押し出し片の先端を当接させてワークの径方向の外側へと摺動させる径方向の外側に斜め上がりに傾斜するガイド面を備えた凹状の受入面を有する。鍛造装置は、ガイド面に沿った摺動により、押し出し片をワークの上パンチと下パンチとの間に押し挟まれる基部に対して径方向の外側に斜めに立ち上がらせる形に成形する。
【0008】
上記構成によれば、ワークの後方押し出しした押し出し片を、上型のガイド面との当接により、径方向の外側に斜めに立ち上がらせる形に成形することができる。したがって、冷間鍛造であっても、ワークを上下方向や径方向に対して角度の付いた斜めの方向に突き出させる形に適切に形成することができる。
【0009】
また、本発明の鍛造装置は、更に次のように構成されていても良い。下型の成形面が、矩形容器状の凹面とされる。上パンチが、成形面に対して成形面の対向する2つの内側面との間でのみワークを後方押し出しするための隙間を空けて嵌合する角柱体から成る。上型のガイド面が、成形面の2つの内側面と上パンチとの間の各隙間から後方押し出しされる2つの押し出し片を互いに相反する径方向に摺動させる一対の構成とされる。
【0010】
上記構成によれば、ワークを基部から互いに相反する径方向に斜めに立ち上がる2つの押し出し片を有する形に適切に形成することができる。
【0011】
また、本発明の鍛造装置は、更に次のように構成されていても良い。上型の受入面が、ガイド面の傾斜した先の縁から下方に寸胴状に落ち込む凹面とされる。
【0012】
上記構成によれば、上型の受入面を、アンダーカットのない形状とすることができると共に、押し出し片の径方向の外側への摺動を阻害しない形状とすることができる。
【0013】
また、本発明の鍛造品の製造方法は、型締めにより閉塞鍛造のキャビティを形成する上型及び下型と、上型内を通ってキャビティ内に押し込まれる上パンチと、下型内を通ってキャビティ内に押し込まれる下パンチと、を備え、上パンチと下パンチとでキャビティ内のワークを押し出して冷間鍛造する鍛造装置を用いて行う鍛造品の製造方法である。この鍛造品の製造方法は、後方押し出し工程と、摺動変形工程と、を有する。
【0014】
後方押し出し工程は、上パンチを下型に形成された凹状の成形面に向けて押し込むことでワークを上パンチと成形面との間に沿って後方押し出しする。摺動変形工程は、後方押し出しされたワークの押し出し片を上型に形成された凹状の受入面の天板面を成す径方向の外側に斜め上がりに傾斜するガイド面に当接させて後方押し出しの進行によりガイド面に沿ってワークの径方向の外側へと摺動させる。この鍛造品の製造方法は、摺動変形工程により、押し出し片をワークの上パンチと下パンチとの間に押し挟まれる基部に対して径方向の外側に斜めに立ち上がらせる形に成形する。
【0015】
上記構成によれば、ワークの後方押し出しした押し出し片を、上型のガイド面との当接により、径方向の外側に斜めに立ち上がらせる形に成形することができる。したがって、冷間鍛造であっても、ワークを上下方向や径方向に対して角度の付いた斜めの方向に突き出させる形に適切に形成することができる。
【0016】
また、本発明の鍛造品の製造方法は、更に次のように構成されていても良い。下型の成形面が、矩形容器状の凹面とされる。上パンチが、成形面に対してワークを後方押し出しするための隙間を空けて嵌合する角柱体から成る。ワークが、成形面の矩形容器の横断面内に収まる円形断面を備えた円柱体から成る。
【0017】
上記構成によれば、上パンチの押し込みに伴い、円柱体から成るワークを下型内の矩形容器状の成形面との間に形成される隙間内で適切に塑性流動させて、成形面に沿った形に形成することができる。
【0018】
また、本発明の鍛造品の製造方法は、更に次のように構成されていても良い。後方押し出し工程が、ワークを成形面の対向する2つの内側面と上パンチの各対向面との間の2箇所からのみ後方押し出しして2つの押し出し片を互いに相反する径方向に傾いた対称形状に成形する。
【0019】
上記構成によれば、ワークを基部から互いに相反する径方向に斜めに立ち上がる2つの押し出し片を有する形に適切に形成することができる。
【0020】
また、本発明の鍛造品の製造方法は、更に、鍛造装置を用いて冷間鍛造したワークの押し出し片を、プレス装置を用いて基部に対して径方向の外側に直角に折り曲げられる形に加工する曲げ工程を有する。
【0021】
上記構成によれば、鍛造装置によりワークの押し出し片が基部から斜めに立ち上がる途中形状に成形されることから、プレス装置により押し出し片を基部から直角に開く形に簡便に曲げ加工することができる。したがって、上記のような直角な開き形状を備えるワークを、冷間鍛造した鍛造品から高い構造強度を持たせた形に適切に形成することができる。
【0022】
また、本発明の鍛造品の製造方法は、更に次のように構成されていても良い。ワークが、基部の両サイドに一対の押し出し片を有する断面ハット型のブラケットとされる。
【0023】
上記構成によれば、断面ハット型のブラケットを、冷間鍛造した高い構造強度を備える鍛造品により適切に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】鍛造装置の断面図である。
図2】鍛造装置がワークを加工する前後の状態を表す要部拡大図である。
図3】鍛造加工により成形されたワークの正面図である。
図4】鍛造加工により成形されたワークの平面図である。
図5】プレス加工により成形されたワークの正面図である。
図6】プレス加工により成形されたワークの平面図である。
図7】穴開け加工により成形されたワークの正面図である。
図8】穴開け加工により成形されたワークの平面図である。
図9】穴開け加工により成形されたワークの側面図である。
図10】プレス装置がワークを加工する前後の状態を表す断面図である。
図11】他の実施形態に係るワークの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を、図1-11を用いて説明する。以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。
【0026】
<第1の実施形態>
始めに、本発明の第1の実施形態に係る鍛造装置1について説明する。本実施形態に係る鍛造装置1は、図1-2に示すように、円柱状の金属製のワークWを、冷間鍛造により断面ハット型のブラケットとして成形する装置である。ワークWは、上記成形により、図3-4に示すように、後方押し出しされる各押し出し片w2を有する断面ハット型に形成される。ワークWは、上記成形後に更なる別のプレス装置2(図10参照)によりプレス加工される。これにより、ワークWは、図5-6に示すように各押し出し片w2が直角に曲がる形に成形される。更にワークWは、パンチ加工や切削加工されることで、図7-9に示すように、所々に取付孔w3や差込孔w4等の貫通孔を有するように成形される。これらの加工により、ワークWは、自動車の油圧式サスペンションの油圧ホースを差し込まれて車体に固定するためのブラケットとして成形される。
【0027】
鍛造装置1は、図1に示すように、上方に配置された上型11と、上型11と対向する形で下方に配置された下型14と、を有する。上型11は、上下方向に移動可能な構成とされている。下型14は、各リフトピン17により所定高さに押し上げられた状態にセットされている。上型11は、その下面中央に凹面12を有する。下型14は、その上面中央に凹面15を有する。上型11と下型14とが型締めされることで、凹面12と凹面15とから成るキャビティ1Cが形成される。
【0028】
鍛造装置1は、上型11の中央部に一体的に組み付けられた上パンチ13と、下型14の中央部に下型14に対して摺動可能に設けられた下パンチ16と、を有する。上パンチ13は、上型11の下面よりも下方に突き出している。これにより、上パンチ13は、上型11と下型14とが型締めされた状態では、キャビティ1C内に突き出しており、下型14の上面よりも更に下方に延び出す。下パンチ16は、下型14が押し上げられた状態では、その上面がキャビティ1Cよりも下方に位置するように配置される。下パンチ16は、上型11が下型14を下方に押し下げることで、キャビティ1Cに向かって相対的に上昇する。
【0029】
鍛造装置1は、図2に示すように、ワークWを次のように鍛造加工する。まず、ワークWを下パンチ16上に載置する。これにより、ワークWの上部が下型14の凹面15に下方から突き出すように配置される。次に、下型14を押し下げるように上型11を下降させる。これにより、上パンチ13が、下パンチ16に下支えされたワークWを上方から押圧する。この押圧により、上パンチ13は、凹面15の形に沿ってワークWの上部を横方向に押し広げる。そして、上パンチ13は、横方向に押し広げられたワークWを、上パンチ13と凹面15との間の各隙間1Gから、上パンチ13の周囲に沿って更に上方に向かって押し出す(後方押し出し工程)。
【0030】
次に、鍛造装置1は、上方に押し出されたワークWの各押し出し片w2を、キャビティ1Cの形状に沿って左右に開く形に変形させる。詳しくは、後方押し出しの進行により上型11の凹面12内に押し出された各押し出し片w2を、凹面12の傾斜した各天板面(ガイド面12a)に沿って摺動させる(摺動変形工程)。この摺動変形により、ワークWの各押し出し片w2を、左右方向の外側に斜めに立ち上がる形に成形する。
【0031】
そして、鍛造装置1は、下型14が最低位置に押し下げられるまで上型11を下降させる。これにより、下パンチ16の上面が下型14の凹面15の下面と略面一状になる。それにより、鍛造装置1は、ワークWの下部を凹面15に沿う形に押し込める。この押し込めにより、鍛造装置1は、ワークWの基部w1を成形する。
【0032】
以下、鍛造装置1の各部の具体的な構成について図1-2を用いて説明する。鍛造装置1は、不図示のプレス機械に取り付けられて使用される。鍛造装置1は、プレス機械の上側の上下可動部を成すスライド(不図示)に取り付けられる上型ホルダ18と、プレス機械の下側の固定部を成すボルスタ(不図示)に取り付けられる油圧シリンダ19と、を有する。上型ホルダ18は、スライド(不図示)の動作に伴って上下方向に往復移動するようになっている。
【0033】
<上型11>
上型11は、図1に示すように、上型ホルダ18の下部に一体的に組み付けられる。上型11は、その中央部を上下に貫通する角柱状の貫通孔11aと、貫通孔11aの下端から左右方向に広がる形で下方に向かって開口する凹面12と、を有する。凹面12は、その天板面を成す各ガイド面12aと、左右方向の側面を成す各垂下面12bと、を有する。各ガイド面12aは、貫通孔11aからそれぞれ左右方向の外側に向かって斜め上がりに直線状に延びる傾斜面形状とされる。なお、凹面12の前後方向の幅は、貫通孔11aの前後方向の幅と略同一とされる。
【0034】
各ガイド面12aの傾斜により、後方押し出しされて各ガイド面12aに当接した各押し出し片w2は、押し出しの進行に伴って傾斜に沿って摺動する。この摺動により、各押し出し片w2は、左右方向の外側に向かって斜めの角度に突き出すようにガイドされる。ここで、凹面12は、本発明の「受入面」に相当する。
【0035】
凹面12の各垂下面12bは、図2に示すように、各ガイド面12aの延び出た各縁から下方に向かって鉛直に落ち込む形状とされる。それにより、凹面12は、傾斜した各ガイド面12aから寸胴状に落ち込む凹形状となっている。これにより、凹面12が、鍛造加工後にワークWを離型しやすいアンダーカットのない形状とすることができる。また、各垂下面12bは、後方押し出しされた各押し出し片w2の先端が当接しない位置に配置される。これにより、各垂下面12bは、各押し出し片w2の左右方向の外側への摺動を妨げないようになっている。
【0036】
<下型14>
下型14は、図1に示すように、油圧シリンダ19の上部に上下方向に摺動可能に組み付けられる。下型14は、油圧シリンダ19の下部に配置された各リフトピン17に下方から支持される。下型14は、各リフトピン17により上下自在に移動又は保持されるようになっている。下型14は、その中央部を上下に貫通する円柱状の貫通孔14aと、貫通孔14aの上端から上方に向かって矩形容器状に開口する凹面15を有する。下型14の貫通孔14aは、上型11の貫通孔11aと、互いの中心軸が同一軸線上の位置に形成されている。貫通孔14aの直径は、図2に示すように、加工前のワークWの直径と略同じ長さとされる。
【0037】
凹面15は、貫通孔14aよりも左右方向に広く開口する構成とされる。鍛造加工されたワークWが下型14の凹面15に沿った形に変形することで、図3-4に示すように、矩形状の基部w1が成形されるようになっている。ここで、凹面15は、本発明の「成形面」に相当する。
【0038】
<上パンチ13>
上パンチ13は、図1に示すように、上型11の貫通孔11aに嵌合する形に一体的に組み付けられる角柱状の金属部材である。上パンチ13は、上型11の上下移動に伴って一体的に動作する。上パンチ13は、凹面12の前後面と略隙間なく嵌合する構成とされる。上パンチ13は、その下部が凹面12を越えて上型11の下面よりも更に下方に突き出るように構成される。このため、上型11と下型14とが上下に重ね合わされると、上パンチ13は、下型14の凹面15の内部に突き出すようになっている。
【0039】
凹面15内に突き出した上パンチ13は、凹面15の左右方向の各内側面15aとの間に隙間1Gをそれぞれ形成する。また、上パンチ13は、凹面15の前後方向(紙面表裏方向)の内側面とは隙間を形成しないように嵌合する構成とされる。それにより、ワークWの各押し出し片w2が、基部w1の上辺の左右方向に対向する2箇所から各隙間1Gに沿って押し出されて形成されるようになっている。ここで、上パンチ13は、本発明の「角柱体」に相当する。
【0040】
<下パンチ16>
また、鍛造装置1は、図1に示すように、下型14の貫通孔14aに嵌合して下型14に対して摺動可能に組み付けられる円柱状の下パンチ16を有する。下パンチ16は、油圧シリンダ19に対して上下移動しないように固定されている。それにより、下パンチ16は、下型14が上下方向に移動することで、下型14に対して相対的に上下に摺動するようになっている。
【0041】
下パンチ16は、図1に示すように、下型14が最も高い位置に押し上げられたときには、その上面が凹面15よりも下方に配置される。また、図2に示すように、下型14が最も低い位置まで押し下げられたときには、下パンチ16の上面が貫通孔14aの上端、すなわち凹面15の下面と略面一になるように構成される。それにより、ワークWが、上パンチ13と下パンチ16とに押し挟まれることで、凹面15の形状に沿った矩形容器状の基部w1が適切に形成される。
【0042】
<鍛造加工>
以下では、上述した鍛造装置1の構成に基づいて、ワークWを冷間鍛造する鍛造装置1の一連の動作について説明する。なお、初期状態として、下型14は、図1に示すように、各リフトピン17により最大高さに持ち上げられて保持された状態となっているものとする。また、上型11は、下型14から遠ざけられるように、図1に示す位置よりも更に上方に引き上げられた状態となっているものとする。また、ワークWは、下型14の貫通孔14aに差し込まれて、下パンチ16に載置されているものとする。差し込まれたワークWは、貫通孔14aに嵌合しており、その上部が下型14の凹面15内に突き出すようになっている。
【0043】
鍛造装置1は、上記初期状態から不図示のプレス機械が作動することで、先ず、スライドに組み付けられた上型ホルダ18が下降する。それにより、上型ホルダ18に組み付けられた上型11と上パンチ13とが一体的に下方に移動される。この下降により、図2の左半分に示すように、上型11が下型14に対して上方から当接する。この当接により、上型11と下型14との間に閉塞されたキャビティ1Cが形成される。また、上パンチ13は、キャビティ1Cの凹面15内に向かって突き出す。この状態では、上パンチ13は、ワークWに対して当接しないようになっている。
【0044】
下型14に当接した上型11は、そのまま下型14を押し下げるように更に下方に移動される。これにより、キャビティ1Cが形成された状態で、上型11、下型14及び上パンチ13が一体的に下方に移動される。なお、下型14を支持する各リフトピン17は、下型14の上型11との当接及び下降の際に、上型11との当接面が開かないように下型14に任意の圧力を掛けている。この下型14の下降に対して、下パンチ16は、上記下降を逃がすように貫通孔14a内を摺動する。すなわち、下パンチ16及びワークWは、上下移動せずにその場に保持される。それにより、下降してきた上パンチ13が、下パンチ16に下支えされたワークWに当接してワークWを上方から押圧する。また、下パンチ16は、ワークWを介して上パンチ13に押圧される力の反力によりワークWを下方から押圧する。これにより、ワークWは、上パンチ13と下パンチ16とにより、上下方向から押し挟まれるように押圧される。
【0045】
上パンチ13と下パンチ16とに押し挟まれることで、下型14の凹面15に突き出したワークWの上部が横方向に押し広げられる。上パンチ13と凹面15とは、更に、上型11の下降の進行に伴い、横方向に押し広げられたワークWを上パンチ13の周囲に沿って上方向に押し出す。詳しくは、図2に示すように、上パンチ13は、上パンチ13と凹面15の左右方向に対向する各内側面15aとの間の各隙間1Gに沿って、ワークWを上方向に押し出す。この押し出しにより、鍛造装置1は、ワークWの左右方向に対向する2箇所から上方に延び出る各押し出し片w2を形成する(後方押し出し工程)。なお、ワークWの下部が貫通孔14aに対して略隙間なく嵌合することで、貫通孔14aに差し込まれたワークWの下部は横方向に広がらないようになっている。これにより、凹面15に突き出したワークWの上部が上方向に押し出されやすくなっている。各押し出し片w2の厚さは、各隙間1Gの各幅に基づいて決定されるようになっている。
【0046】
後方押し出しされた各押し出し片w2は、各隙間1Gを通って凹面12内に延び出る形に形成される。形成された各押し出し片w2は、上型11及び下型14の下降の進行に伴い、更に上方に向かって押し出される。その際、各押し出し片w2は、それらの内周面が上パンチ13の下降に伴って上方に大きく押し出される力を受ける一方で、それらの外周面は凹面15の各内側面15aとの当接から外れて径方向の外側からの支持、すなわち後方押し出しのための拘束力を受けない状態となる。上記理由から、各押し出し片w2は、後方押し出しの進行に伴い内周面と外周面との間に周長差が生じ、径方向の外側に僅かに湾曲しながら上方へと延びていく形に成形される。
【0047】
各押し出し片w2の押し出された各先端は、凹面12の各ガイド面12aの左右方向の内側部にそれぞれ下方から当接する。そして、各ガイド面12aに当接された各押し出し片w2は、後方押し出しの更なる進行に伴い、各ガイド面12aの傾斜に沿って摺動する。各押し出し片w2が、左右方向の外側に湾曲しながら各ガイド面12aに当接することで、各ガイド面12aの傾斜に沿って左右方向の外側に適切に摺動することができる。このようにして、各押し出し片w2は、互いに相反するように左右方向の外側に向かって斜めに立ち上がる対称形状に成形される(摺動変形工程)。
【0048】
ワークWの貫通孔14aに差し込まれた下部は、上型11及び下型14の下降に伴って下型14の凹面15内に押し出される。上型11及び下型14が最低位置まで押し下げられることで、ワークWの下面まで凹面15内に押し出されるようになっている。これにより、ワークWの下部は、凹面15の形状に沿った矩形状の基部w1に成形される。なお、加工前のワークWが円柱状となっていることで、ワークWに対して径方向に均等な圧力がかかるようになっている。このため、ワークWが凹面15内で適切に塑性流動する。
【0049】
<プレス加工>
次に、鍛造加工されたワークWをプレス装置2を用いてプレス加工する。このプレス加工により、ワークWは、図5-6に示すように、各押し出し片w2が基部w1から上方に延び出た後、左右方向の外側に直角に開く形に折り曲げられる。プレス装置2は、図10に示すように、スライド(不図示)に取り付けられる上型21と、上型21に一体的に組み付けられた上パンチ23と、ボルスタ(不図示)に固定される下型24と、を有する。上型21は、その下面に凹状の成形面22を有する。下型24は、その上面に凹状の支持面25を有する。成形面22と支持面25とは、上型21と下型24とが上下に重ね合わされることで閉塞されたキャビティ2Cを形成する。プレス装置2は、図10に示すように、ワークWの基部w1を支持面25に嵌合させてセットさせた状態で、上型21を下方に移動させる。そして、プレス装置2は、キャビティ2Cに嵌め込ませるようにワークWをプレス加工する。それにより、成形面22と下型24との間に押し挟まれた各押し出し片w2は、左右方向の外側に向かって直角に開く形に折り曲げられる(曲げ工程)。また、基部w1の上面は、上パンチ23に上方から押圧されて水平状に成形される。
【0050】
<穴開け加工>
次に、プレス加工されたワークWに別のプレス装置(不図示)によるパンチ加工や切削加工を行う。これにより、ワークWは、図7-9に示すように、各押し出し片w2の中央部に上下に貫通した円状の各取付孔w3と、基部w1内を貫通する円筒状の差込孔w4と、基部w1の角部を斜めにカットしたトリミング面w5と、を有する。差込孔w4は、基部w1の上面から下方に向かって開口し、内部で直角に折り曲げられてトリミング面w5に向かって開口するようになっている。各取付孔w3は、自動車の車体に取り付けるための各取付孔w3として機能する。また、差込孔w4には、油圧ホースが通されるようになっている。トリミング面w5により、油圧ホースが基部w1の角部に干渉することなく、適切に組み付けられるようになっている。
【0051】
<まとめ>
以上をまとめると、第1の実施形態に係る鍛造装置1は、次のような構成とされている。なお、以下において、括弧書きで示す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0052】
すなわち、鍛造装置(1)は、型締めにより閉塞鍛造のキャビティ(1C)を形成する上型(11)及び下型(14)と、上型(11)内を通ってキャビティ(1C)内に押し込まれる上パンチ(13)及び下型(14)内を通ってキャビティ(1C)内に押し込まれる下パンチ(16)と、を備え、上パンチ(13)と下パンチ(16)とでキャビティ(1C)内のワーク(W)を押し出して冷間鍛造する鍛造装置(1)である。下型(14)が、上パンチ(13)を受け入れてワーク(W)を上パンチ(13)の周囲に沿って後方押し出しすることが可能な凹状の成形面(15)を有する。上型(11)が、ワーク(W)の後方押し出しされた押し出し片(w2)を受け入れて後方押し出しの進行により押し出し片(w2)の先端を当接させてワーク(W)の径方向の外側へと摺動させる径方向の外側に斜め上がりに傾斜するガイド面(12a)を備えた凹状の受入面(12)を有する。鍛造装置(1)は、ガイド面(12a)に沿った摺動により、押し出し片(w2)をワーク(W)の上パンチ(13)と下パンチ(16)との間に押し挟まれる基部(w1)に対して径方向の外側に斜めに立ち上がらせる形に成形する。
【0053】
このような構成となっていることにより、ワーク(W)の後方押し出しした押し出し片(w2)を、上型(11)のガイド面(12a)との当接により、径方向の外側に斜めに立ち上がらせる形に成形することができる。したがって、冷間鍛造であっても、ワーク(W)を上下方向や径方向に対して角度の付いた斜めの方向に突き出させる形に適切に形成することができる。
【0054】
また、下型(14)の成形面(15)が、矩形容器状の凹面(15)とされる。上パンチ(13)が、成形面(15)に対して成形面(15)の対向する2つの内側面(15a)との間でのみワーク(W)を後方押し出しするための隙間(1G)を空けて嵌合する角柱体(13)から成る。上型(11)のガイド面(12a)が、成形面(15)の2つの内側面(15a)と上パンチ(13)との間の各隙間(1G)から後方押し出しされる2つの押し出し片(w2)を互いに相反する径方向に摺動させる一対の構成とされる。
【0055】
このような構成となっていることにより、ワーク(W)を基部(w1)から互いに相反する径方向に斜めに立ち上がる2つの押し出し片(w2)を有する形に適切に形成することができる。
【0056】
また、上型(11)の受入面(12)が、ガイド面(12a)の傾斜した先の縁から下方に寸胴状に落ち込む凹面(12)とされる。
【0057】
このような構成となっていることにより、上型(11)の受入面(12)を、アンダーカットのない形状とすることができると共に、押し出し片(w2)の径方向の外側への摺動を阻害しない形状とすることができる。
【0058】
また、本発明の鍛造品の製造方法は、型締めにより閉塞鍛造のキャビティ(1C)を形成する上型(11)及び下型(14)と、上型(11)内を通ってキャビティ(1C)内に押し込まれる上パンチ(13)及び下型(14)内を通ってキャビティ(1C)内に押し込まれる下パンチ(16)と、を備え、上パンチ(13)と下パンチ(16)とでキャビティ(1C)内のワーク(W)を押し出して冷間鍛造する鍛造装置(1)を用いて行う鍛造品の製造方法である。この鍛造品の製造方法は、後方押し出し工程と、摺動変形工程と、を有する。後方押し出し工程は、上パンチ(13)を下型(14)に形成された凹状の成形面(15)に向けて押し込むことでワーク(W)を上パンチ(13)と成形面(15)との間に沿って後方押し出しする。摺動変形工程は、後方押し出しされたワーク(W)の押し出し片(w2)を上型(11)に形成された凹状の受入面(12)の天板面を成す径方向の外側に斜め上がりに傾斜するガイド面(12a)に当接させて後方押し出しの進行によりガイド面(12a)に沿ってワーク(W)の径方向の外側へと摺動させる。この鍛造品の製造方法は、摺動変形工程により、押し出し片(w2)をワーク(W)の上パンチ(13)と下パンチ(16)との間に押し挟まれる基部(w1)に対して径方向の外側に斜めに立ち上がらせる形に成形する。
【0059】
このような構成となっていることにより、ワーク(W)の後方押し出しした押し出し片(w2)を、上型(11)のガイド面(12a)との当接により、径方向の外側に斜めに立ち上がらせる形に成形することができる。したがって、冷間鍛造であっても、ワーク(W)を上下方向や径方向に対して角度の付いた斜めの方向に突き出させる形に適切に形成することができる。
【0060】
また、下型(14)の成形面(15)が、矩形容器状の凹面(15)とされる。上パンチ(13)が、成形面(15)に対してワーク(W)を後方押し出しするための隙間(1G)を空けて嵌合する角柱体(13)から成る。ワーク(W)が、成形面(15)の矩形容器の横断面内に収まる円形断面を備えた円柱体から成る。
【0061】
このような構成となっていることにより、上パンチ(13)の押し込みに伴い、円柱体から成るワーク(W)を下型(14)内の矩形容器状の成形面(15)との間に形成される隙間(1G)内で適切に塑性流動させて、成形面(15)に沿った形に形成することができる。
【0062】
また、後方押し出し工程が、ワーク(W)を成形面(15)の対向する2つの内側面(15a)と上パンチ(13)の各対向面との間の2箇所からのみ後方押し出しして2つの押し出し片(w2)を互いに相反する径方向に傾いた対称形状に成形する。
【0063】
このような構成となっていることにより、ワーク(W)を基部(w1)から互いに相反する径方向に斜めに立ち上がる2つの押し出し片(w2)を有する形に適切に形成することができる。
【0064】
また、鍛造装置(1)を用いて冷間鍛造したワーク(W)の押し出し片(w2)を、プレス装置を用いて基部(w1)に対して径方向の外側に直角に折り曲げられる形に加工する曲げ工程を有する。
【0065】
このような構成となっていることにより、鍛造装置(1)によりワーク(W)の押し出し片(w2)が基部(w1)から斜めに立ち上がる途中形状に成形されることから、プレス装置により押し出し片(w2)を基部(w1)から直角に開く形に簡便に曲げ加工することができる。したがって、上記のような直角な開き形状を備えるワーク(W)を、冷間鍛造した鍛造品から高い構造強度を持たせた形に適切に形成することができる。
【0066】
また、ワーク(W)が、基部(w1)の両サイドに一対の押し出し片(w2)を有する断面ハット型のブラケットとされる。
【0067】
このような構成となっていることにより、断面ハット型のブラケットを、冷間鍛造した高い構造強度を備える鍛造品により適切に形成することができる。
【0068】
<その他の実施形態>
以上、本発明を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態の他に各種の形態で実施することができるものである。
【0069】
1.ワークは、 はじめ円柱状の素材ではなく、角柱状の素材から成るものでもよい。
【0070】
2.鍛造装置は、ワークの基部を角柱状ではなく、円柱状に形成するものであっても良い。鍛造装置は、図11に示すように、ワークを後方押し出しすると共に前方押し出し及び/又は側方押し出しもする構成であっても良い。鍛造装置は、ワークの押し出し片を基部の両サイドから一対で押し出すものの他、基部の周方向の1箇所、或いは3箇所以上から押し出すものであっても良い。
【0071】
3.ガイド面は、左右方向の外側に向かって斜め上がりに直線状に延びる傾斜面形状としたが、左右方向の外側に向かって斜め上がりに凹湾曲面状や凸湾曲面状に延びる傾斜面形状であっても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 鍛造装置
11 上型
11a 貫通孔
12 凹面(受入面)
12a ガイド面
12b 垂下面
13 上パンチ(角柱体)
14 下型
14a 貫通孔
15 凹面(成形面)
15a 内側面
16 下パンチ
17 リフトピン
18 上型ホルダ
19 油圧シリンダ
1C キャビティ
1G 隙間
2 プレス装置
21 上型
22 成形面
23 上パンチ
24 下型
25 支持面
2C キャビティ
W ワーク
w1 基部
w2 押し出し片
w3 取付孔
w4 差込孔
w5 トリミング面
【要約】
【課題】冷間鍛造であってもワークを斜めの方向に突き出る形に適切に成形することが可能な鍛造装置及び鍛造品の製造方法を提供すること。
【解決手段】鍛造装置1は、閉塞鍛造のキャビティ1Cを形成する上型11及び下型14と、キャビティ1C内に押し込まれる上パンチ13及び下パンチ16と、を備え、上パンチ13と下パンチ16とでキャビティ1C内のワークWを押し出して冷間鍛造する。下型14が、ワークWを上パンチ13の周囲に沿って後方押し出しすることが可能な凹状の凹面15を有する。上型11が、ワークWの後方押し出しされた押し出し片w2を径方向の外側へと摺動させる径方向の外側に斜め上がりに傾斜するガイド面12aを備えた凹状の凹面12を有する。ガイド面12aに沿った摺動により、押し出し片w2をワークWの基部w1に対して径方向の外側に斜めに立ち上がらせる形に成形する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11