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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】反射防止フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/111 20150101AFI20220816BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20220816BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20220816BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20220816BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20220816BHJP
【FI】
G02B1/111
B32B7/023
B32B9/00 A
B32B27/18 Z
G02B1/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021535420
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2020029214
(87)【国際公開番号】W WO2021020504
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】P 2019139801
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399020212
【氏名又は名称】東山フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕伸
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-117924(JP,A)
【文献】特開2007-322877(JP,A)
【文献】特開2012-66513(JP,A)
【文献】国際公開第2017/014243(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/10 - 1/18
B32B 7/023
B32B 9/00
B32B 27/18 - 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、前記ハードコート層の面上に形成された低屈折率層と、を有し、
前記低屈折率層が、前記低屈折率層の表面に凸部を形成する無機酸化物粒子と、前記低屈折率層の平均厚みよりも平均粒子径の小さい中空シリカ粒子と、含フッ素化合物と、バインダー樹脂と、を含有し、
前記低屈折率層における前記無機酸化物粒子の含有量が、前記低屈折率層の固形分100質量%に対し0.1質量%以上4.0質量%以下であり、
前記低屈折率層における前記無機酸化物粒子と前記中空シリカ粒子の合計量が、前記低屈折率層の固形分100質量%に対し10質量%以上50質量%以下であり、
前記無機酸化物粒子の平均粒子径rと前記低屈折率層の平均厚みdの差(r-d)が、10nm以上300nm以下であり、
前記低屈折率層における前記含フッ素化合物の含有量が、前記低屈折率層の固形分100質量%に対し1.0質量%以上15.0質量%以下であり、
前記バインダー樹脂は、紫外線硬化性樹脂として、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのそれぞれの二量体からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
前記低屈折率層における前記二量体の含有量は、多官能(メタ)アクリレートの固形分全量基準で、25~50質量%の範囲にある、反射防止フィルム。
【請求項2】
前記無機酸化物粒子が、中実粒子である、請求項1に記載の反射防止フィルム。
【請求項3】
前記含フッ素化合物は、パーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含む、請求項1または請求項2に記載の反射防止フィルム。
【請求項4】
前記含フッ素化合物および前記バインダー樹脂が、紫外線反応性の反応性基を有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
【請求項5】
前記低屈折率層の面上に、粘着剤層を介して保護フィルムを有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
【請求項6】
前記基材フィルムの前記低屈折率層とは反対の面上に透明粘着層を有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
【請求項7】
前記低屈折率層における前記二量体の含有量は、多官能(メタ)アクリレートの固形分全量基準で、30~40質量%の範囲にある、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止フィルムに関し、さらに詳しくは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、スマートホンなどのタッチパネル等のディスプレイ表面に好適に用いられる反射防止フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、スマートホンなどのタッチパネル等のディスプレイ表面には、画面への外光の映り込みを防止するなどのために、反射防止フィルムを配置することがある。
【0003】
反射防止フィルムとしては、基材フィルム上にハードコート層および低屈折層を有するものが知られている(特許文献1)。特許文献1の反射防止フィルムは、低屈折層にソリッド状無機ナノ粒子と中空状無機ナノ粒子を含有している。特許文献1の反射防止フィルムは、ハードコート層と低屈折層の間の界面から低屈折層全体厚さの50%以内にソリッド状無機ナノ粒子全体中の70体積%以上が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-015954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の反射防止フィルムは、可視光線領域で0.70%以下の低い反射率を有するものの、スチールウールを用いた耐擦傷性評価では、500g荷重で10回程度耐えられるものであり、耐擦傷性に課題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、高い反射防止性、優れた耐擦傷性および良好な防汚性を備える反射防止フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係る反射防止フィルムは、基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、前記ハードコート層の面上に形成された低屈折率層と、を有し、前記低屈折率層が、前記低屈折率層の表面に凸部を形成する無機酸化物粒子と、前記低屈折率層の平均厚みよりも平均粒子径の小さい中空シリカ粒子と、含フッ素化合物と、バインダー樹脂と、を含有し、前記低屈折率層における前記無機酸化物粒子の含有量が、前記低屈折率層の固形分100質量%に対し0.1質量%以上4.0質量%以下であり、前記低屈折率層における前記無機酸化物粒子と前記中空シリカ粒子の合計量が、前記低屈折率層の固形分100質量%に対し10質量%以上50質量%以下であり、前記無機酸化物粒子の平均粒子径rと前記低屈折率層の平均厚みdの差(r-d)が、10nm以上300nm以下である。
【0008】
前記無機酸化物粒子は、中実粒子であることが好ましい。前記低屈折率層における前記含フッ素化合物の含有量は、前記低屈折率層の固形分100質量%に対し1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。前記含フッ素化合物および前記バインダー樹脂は、紫外線反応性の反応性基を有することが好ましい。前記低屈折率層の面上に、粘着剤層を介して保護フィルムを有してもよい。前記基材フィルムの前記低屈折率層とは反対の面上に透明粘着層を有してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る反射防止フィルムによれば、基材フィルムと、前記基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、前記ハードコート層の面上に形成された低屈折率層と、を有し、前記低屈折率層が、前記低屈折率層の表面に凸部を形成する無機酸化物粒子と、前記低屈折率層の平均厚みよりも平均粒子径の小さい中空シリカ粒子と、含フッ素化合物と、バインダー樹脂と、を含有し、前記低屈折率層における前記無機酸化物粒子の含有量が、前記低屈折率層の固形分100質量%に対し0.1質量%以上4.0質量%以下であり、前記低屈折率層における前記無機酸化物粒子と前記中空シリカ粒子の合計量が、前記低屈折率層の固形分100質量%に対し10質量%以上50質量%以下であり、前記無機酸化物粒子の平均粒子径rと前記低屈折率層の平均厚みdの差(r-d)が、10nm以上300nm以下であることから、高い反射防止性、優れた耐擦傷性および良好な防汚性を備える。
【0010】
前記無機酸化物粒子が中実粒子であると、反射防止フィルムの耐擦傷性が向上する。前記低屈折率層における前記含フッ素化合物の含有量が、前記低屈折率層の固形分100質量%に対し1.0質量%以上15.0質量%以下であると、反射防止フィルムは特に良好な防汚性を有するとともに耐擦傷性の低下が抑えられる。前記含フッ素化合物および前記バインダー樹脂が紫外線反応性の反応性基を有すると、反射防止フィルムの耐擦傷性が向上する。前記低屈折率層の面上に粘着剤層を介して保護フィルムを有すると、取り扱い時などにおいて、低屈折率層に傷が付くのが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。
図2】本発明の第二実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。
図3】本発明の第三実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。
図4】本発明の第四実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の第一実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る反射防止フィルム10は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層16と、ハードコート層16の面上に形成された低屈折率層14と、を有する。反射防止フィルム10は、基材フィルム12、ハードコート層16、低屈折率層14をこの順に有する。
【0014】
基材フィルム12は、透明性を有していれば、特に限定されるものではない。基材フィルム12としては、透明高分子フィルム、ガラスフィルムなどが挙げられる。透明性とは、可視光波長領域における全光線透過率が50%以上であることをいい、全光線透過率は、より好ましくは85%以上である。上記全光線透過率は、JIS K7361-1(1997)に準拠して測定することができる。基材フィルム12の厚みは、特に限定されるものではないが、取り扱い性に優れるなどの観点から、2~500μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは2~200μmの範囲内である。なお、「フィルム」とは、一般に厚さが0.25mm未満のものをいうが、厚さが0.25mm以上のものであってもロール状に巻くことが可能であれば、厚さが0.25mm以上のものであっても「フィルム」に含まれるものとする。
【0015】
基材フィルム12の高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリエチレンナフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリプロピレン樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリシクロオレフィン樹脂,シクロオレフィンコポリマー樹脂などのポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂,ジアセチルセルロース樹脂などのセルロース系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などが挙げられる。基材フィルム12の高分子材料は、これらのうちの1種のみで構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。これらのうちでは、光学特性や耐久性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂、トリアセチルセルロース樹脂がより好ましい。
【0016】
基材フィルム12は、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層からなる単層で構成されていてもよいし、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層と、この層とは異なる高分子材料の1種または2種以上を含む層など、2層以上の層で構成されていてもよい。
【0017】
ハードコート層16は、反射防止フィルム10の耐擦傷性の向上に寄与する。ハードコート層16は、鉛筆硬度H以上であることが好ましい。鉛筆硬度は、JIS K5600-5-4に準拠して測定することができる。ハードコート層16は、液晶ディスプレイなどのディスプレイ表面に設けられる反射防止フィルムなどのフィルムのハードコート層の材料として用いられる公知の材料を用いることができる。ハードコート層16は、耐擦傷性、生産性などの観点から、紫外線硬化性樹脂を含む硬化性組成物の硬化物で構成するとよい。
【0018】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線反応性の反応性基を有するモノマー,オリゴマー,プレポリマーなどが挙げられる。紫外線反応性の反応性基としては、アクリロイル基,メタクリロイル基,アリル基,ビニル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合型の反応性基やオキセタニル基などのカチオン重合型の反応性基などが挙げられる。これらのうちでは、アクリロイル基,メタクリロイル基,オキセタニル基がより好ましく、アクリロイル基,メタクリロイル基が特に好ましい。すなわち、(メタ)アクリレートが特に好ましい。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよびメタクリロイルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリル」は「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」をいう。
【0019】
(メタ)アクリレートとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうちでは、柔軟性に優れるなどの観点から、ウレタン(メタ)アクリレートが特に好ましい。ハードコート層16を形成するための硬化性組成物が紫外線硬化性樹脂としてウレタン(メタ)アクリレートを含む場合には、ハードコート層16が適度な柔軟性を有するため、フォルダブルディスプレイやローラブルディスプレイ等の繰り返し屈曲されるフレキシブルディスプレイに好適に用いることができる。また、例えば基材フィルム12がポリシクロオレフィンやシクロオレフィンコポリマーなどから形成され、比較的割れやすいものでも、基材フィルム12の割れを抑えやすい。
【0020】
ハードコート層16を形成する硬化性組成物には、紫外線硬化性樹脂に加え、非紫外線硬化性樹脂が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。また、ハードコート層16を形成する硬化性組成物には、光重合開始剤が含まれていてもよい。また、必要に応じ、硬化性組成物に添加する添加剤などが含まれていてもよい。添加剤としては、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、防汚剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤、帯電防止剤、無機粒子、樹脂粒子などが挙げられる。また、必要に応じ、溶剤が含まれていてもよい。
【0021】
非紫外線硬化性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0022】
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系などの光重合開始剤が挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジルメチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチルー6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾールー3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。光重合開始剤は、これらの1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされて用いられてもよい。
【0023】
光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の固形分全量基準で、0.1~10質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは1~5質量%の範囲である。
【0024】
無機粒子および樹脂粒子は、例えばハードコート層16にブロッキングを防止する、ハードコート層16を高屈折率に調整する、などの目的でハードコート層16に添加される。添加する無機粒子や樹脂粒子により、ハードコート層16に微細な表面凹凸を形成することで、低屈折率層14を形成する前の、基材フィルム12およびハードコート層16からなるハードコートフィルムをロール状に巻き付けた際に、表面と裏面が接着するブロッキングを抑えやすい。ハードコート層16を高屈折率にすることで、低屈折率層14を積層したときに、反射防止機能をより高めることができる。高屈折率とは、測定波長589.3nmにおける屈折率が1.50以上をいい、好ましくは1.55~1.80の範囲内、より好ましくは1.60~1.70の範囲内である。
【0025】
ハードコート層16を高屈折率に光学調整可能な無機粒子としては、チタン,ジルコニウム,スズ,亜鉛,ケイ素,ニオブ,アルミニウム,クロム,マグネシウム,ゲルマニウム,ガリウム,アンチモン,白金などの金属の酸化物からなる金属酸化物粒子が挙げられる。これらは、光学調整可能な無機粒子として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。これらのうちでは、高屈折率と透明性の両立に優れるなどの観点から、チタン酸化物,ジルコニウム酸化物が特に好ましい。また、樹脂粒子としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、セルロースなどの樹脂からなる樹脂粒子が挙げられる。これらは、樹脂粒子として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
【0026】
ハードコート層16の厚みは、特に限定されるものではないが、十分な硬度を有するなどの観点から、0.5μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.75μm以上である。また、基材フィルム12との熱収縮差に起因するカールが抑えられやすいなどの観点から、20μm以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以下である。ハードコート層16の厚みは、厚み方向において無機粒子や樹脂粒子に起因する凹凸のない部分における比較的平滑な部分の厚みである。
【0027】
ハードコート層16の表面凹凸が形成されている表面の算術平均粗さRaは、ブロッキングなどの観点から、0.3~20nmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.5~10nmの範囲内である。
【0028】
ハードコート層16を形成する硬化性組成物において用いられる溶剤としては、エタノール,イソプロピルアルコール(IPA),n-ブチルアルコール(NBA),エチレングリコールモノメチルエーテル(EGM),エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG),プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM),ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール系溶剤や、メチルエチルケトン(MEK),メチルイソブチルケトン(MIBK),シクロヘキサノン,アセトンなどのケトン系溶剤、トルエン,キシレンなどの芳香族系溶剤、酢酸エチル(EtAc),酢酸プロピル,酢酸イソプロピル,酢酸ブチル(BuAc)などのエステル系溶剤、N-メチルピロリドン,アセトアミド,ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これらは、溶剤として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
【0029】
硬化性組成物の固形分濃度(溶剤以外の成分の濃度)は、塗工性、膜厚などを考慮して適宜定めればよい。例えば、1~90質量%、1.5~80質量%、2~70質量%などとすればよい。
【0030】
低屈折率層14は、無機酸化物粒子18、中空シリカ粒子22、含フッ素化合物、バインダー樹脂を含有する。
【0031】
バインダー樹脂としては、低屈折率層14の耐擦傷性などの観点から、熱硬化性化合物の硬化物や紫外線硬化性化合物の硬化物などが好ましい。また、生産性などの観点から、紫外線硬化性化合物の硬化物がより好ましい。
【0032】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線反応性の反応性基を有するモノマー,オリゴマー,プレポリマーなどが挙げられる。紫外線反応性の反応性基としては、アクリロイル基,メタクリロイル基,アリル基,ビニル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合型の反応性基やオキセタニル基などのカチオン重合型の反応性基などが挙げられる。これらのうちでは、アクリロイル基,メタクリロイル基,オキセタニル基がより好ましく、アクリロイル基,メタクリロイル基が特に好ましい。すなわち、(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0033】
(メタ)アクリレートとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレートのみで構成されていてもよいし、多官能(メタ)アクリレートで構成されていてもよいし、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの組み合わせで構成されていてもよい。(メタ)アクリレートとしては、多官能(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
【0034】
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0035】
多官能(メタ)アクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレート、三官能(メタ)アクリレート、四官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。より具体的には、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0036】
紫外線硬化性樹脂は、上記する(メタ)アクリレートの1種単独で構成されていてもよいし、2種以上で構成されていてもよい。紫外線硬化性樹脂は、耐擦傷性の向上の観点から、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、また、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートの含有率を大きくすることが好ましい。
【0037】
また、多官能(メタ)アクリレートは、二量体を含むことが好ましい。多官能(メタ)アクリレートの二量体は硬化速度に優れ、硬化性組成物の硬化率を容易に上げることができるため、より耐擦傷性を向上させることができる。なかでも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの二量体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの二量体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0038】
上記二量体の含有量は、耐擦傷性や透明性、溶剤への溶解性の観点から、多官能(メタ)アクリレートの固形分全量基準で、25~50質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは30~40質量%の範囲である。
【0039】
無機酸化物粒子18は、低屈折率層14に含まれることで、低屈折率層14の表面に凸部を形成するものである。無機酸化物粒子18によって低屈折率層14の表面に凸部が形成されることで、低屈折率層14は良好な耐擦傷性を有することができる。
【0040】
無機酸化物粒子18は、中実粒子であってもよいし、中空粒子であってもよい。無機酸化物粒子18は、中実粒子であることが好ましい。中実粒子とは、粒子の内部に実質的に空洞を有していない粒子であり、空洞の割合が中実粒子の体積の5%未満である粒子をいう。中空粒子は、粒子の内部に空洞を有している粒子であり、空洞の割合が中空粒子の体積の5%以上である粒子をいう。無機酸化物粒子18が中実粒子であると、低屈折率層14の耐擦傷性が向上し、反射防止フィルム10の耐擦傷性が向上する。無機酸化物粒子18が中空粒子であると、低屈折率層14の屈折率を低くして、光の反射を低減することができる。中空粒子において、空洞の割合は、中空粒子の体積の10~80%であることが好ましい。より好ましくは20~60%、さらに好ましくは30~60%である。空洞の割合が10%以上であると、屈折率を低くして光の反射を低減することができる。空洞の割合が80%以下であると、無機酸化物粒子18の分散性の低下を抑えることができる。
【0041】
無機酸化物粒子18としては、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム、カルシウムなどの金属の酸化物からなる金属酸化物粒子が挙げられる。これらは、無機酸化物粒子18として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。これらのうちでは、屈折率が低く透明性に優れる、硬度が高いなどの観点から、シリカ粒子、アルミナ粒子が好ましく、アルミナ粒子が特に好ましい。
【0042】
無機酸化物粒子18の形状は、特に限定されるものではなく、球状、針状、鱗片状、棒状、繊維状、不定形などであってもよい。これらのうちでは、球状であることが好ましい。
【0043】
無機酸化物粒子18は、低屈折率層14の表面に凸部を形成し、良好な耐擦傷性を得るために、無機酸化物粒子18の平均粒子径rと低屈折率層14の平均厚みdの差(r-d)が、10nm以上である。差(r-d)は、より好ましくは15nm以上、さらに好ましくは18nm以上である。一方、形成される凸部の高さを抑えて透明性を維持するなどの観点から、差(r-d)は、300nm以下である。より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。
【0044】
無機酸化物粒子18の平均粒子径rは、低屈折率層14の平均厚みdにもよるが、60~400nmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは70~300nmの範囲内、さらに好ましくは90~200nmの範囲内である。無機酸化物粒子18の平均粒子径rは、JIS Z8825に従うレーザー回折・散乱法により得られる体積基準の平均算術値であって、一次粒子径だけではなく、粒子の凝集体である二次粒子径も含む。
【0045】
低屈折率層14における無機酸化物粒子18の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し0.1質量%以上4.0質量%以下である。低屈折率層14における無機酸化物粒子18の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し0.1質量%以上であると、優れた耐擦傷性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層14における無機酸化物粒子18の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。そして、低屈折率層14における無機酸化物粒子18の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し4.0質量%以下であると、高い透明性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層14における無機酸化物粒子18の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは3.5質量%以下、さらに好ましくは3.2質量%以下である。なお、ここでいう低屈折率層14の固形分とは、低屈折率層14においてバインダー樹脂に固定化されていない、常温において液状の成分を除く成分である。低屈折率層14の固形分としては、無機酸化物粒子18、中空シリカ粒子22、バインダー樹脂、バインダー樹脂に固定化された含フッ素化合物などが含まれる。添加剤としてのオイル成分やバインダー樹脂に固定化されていない界面活性剤などは含まれない。
【0046】
中空シリカ粒子22は、低屈折率層14の平均厚さよりも平均粒子径の小さい粒子である。中空シリカ粒子22は、低屈折率層14の表面に凸部を形成する無機酸化物粒子18よりも平均粒子径の小さい粒子であるとよい。中空シリカ粒子22は、低屈折率層14の表面凹凸の形成に実質的に寄与しない粒子である。中空シリカ粒子22は、粒子の内部に空洞を有している粒子であり、空洞の割合が体積の5%以上である粒子をいう。中空とは、外殻とその内部の空洞からなるコアシェル構造のものや、多数の空洞を有する多孔質構造のものなどをいう。中空シリカ粒子22は、中空構造であることで、低屈折率層14の屈折率を低くして、光の反射を低減させることができる。中空シリカ粒子22の形状は、特に限定されるものではないが、球状、紡錘状、卵状、平板状、立方体状、不定形などが好ましい。これらのうちでは、球状、平板状、立方体状などが特に好ましい。
【0047】
中空シリカ粒子22において、空洞の割合は、体積の10~80%であることが好ましい。より好ましくは体積の20~60%、さらに好ましくは体積の30~60%である。空洞の割合が体積の10%以上であると、屈折率を低くして光の反射を低減することができる。空洞の割合が体積の80%以下であると、中空シリカ粒子22の分散性の低下を抑えることができる。
【0048】
中空シリカ粒子22の平均粒子径は、低屈折率層14の平均厚みにもよるが、5nm以上100nm以下であることが好ましい。より好ましくは20nm以上80nm以下、さらに好ましくは40nm以上70nm以下である。中空シリカ粒子22の平均粒子径がこれら好ましい範囲内であると、低屈折率層14の優れた反射防止効果と透明性を得ることができる。平均粒子径は、JIS Z8825に従うレーザー回折・散乱法により得られる体積基準の平均算術値である。一次粒子径だけではなく、粒子の凝集体である二次粒子径も含む。
【0049】
中空シリカ粒子22の屈折率は、1.01~1.45の範囲内であることが好ましい。より好ましくは1.15~1.38の範囲内、さらに好ましくは1.15~1.35の範囲内である。この範囲内であると、優れた反射防止効果が得られる。
【0050】
低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し6.0質量%以上49.9質量%以下である。低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し6.0質量%であると、優れた反射防止性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。そして、低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し49.9質量%以下であると、耐擦傷性の低下が抑えられる。また、この観点から、低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0051】
そして、低屈折率層14における無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22の合計量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し10質量%以上50質量%以下である。低屈折率層14における無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22の合計量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し10質量%以上であると、優れた耐擦傷性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層14における無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22の合計量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。一方、低屈折率層14における無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22の合計量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し50質量%以下であると、低屈折率層14に無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22を十分に保持することができるため、優れた耐擦傷性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層14における無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22の合計量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは48質量%以下、さらに好ましくは46質量%以下、特に好ましくは43質量%以下である。
【0052】
含フッ素化合物は、防汚剤として機能することができる。また、低屈折率層14の表面の滑り性が向上するため、耐擦傷性の向上に寄与することができる。含フッ素化合物としては、パーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。このような化合物としては、信越化学工業製「KY-1203」、DIC製「メガファックRS-75」、ダイキン工業製「オプツールDAC-HP」、ネオス製「フタージェント601AD」などが挙げられる。このような含フッ素化合物により、汚れや指紋の付着を抑え、汚れや指紋の除去を容易にすることができる。
【0053】
低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し1.0質量%以上であると、低屈折率層14の表面の滑り性が向上し、耐擦傷性が向上する。また、防汚性が向上する。そして、この観点から、低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上である。そして、低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し15.0質量%以下であると、耐擦傷性の低下が抑えられる。また、この観点から、低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは13.0質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以下、特に好ましくは5.0質量%以下である。
【0054】
低屈折率層14の平均厚みdは、好ましくは60~160nmの範囲内、より好ましくは70~140nmの範囲内、さらに好ましくは80~120nmの範囲内である。この範囲内であると、良好な視感度反射率を得ることができ、光の反射を軽減することができる。低屈折率層14の平均厚みは、厚み方向において無機酸化物粒子18が存在しない部分における比較的平滑な部分の厚みである。
【0055】
低屈折率層14は、必要に応じて、添加剤などが含まれていてもよい。このような添加剤としては、防汚剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤、屈折率調整剤などが挙げられる。
【0056】
低屈折率層14は、無機酸化物粒子18、中空シリカ粒子22、含フッ素化合物、バインダー樹脂を含む組成物を用いて形成することができる。含フッ素化合物およびバインダー樹脂は、紫外線反応性の反応性基を有することが好ましい。紫外線反応性の反応性基としては、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。含フッ素化合物およびバインダー樹脂が紫外線反応性の反応性基を有すると、低屈折率層14の耐擦傷性が向上し、反射防止フィルム10の耐擦傷性が向上する。低屈折率層14の形成用組成物は、バインダー樹脂が紫外線反応性の反応性基を有するもの(紫外線硬化性樹脂)を含む場合、光重合開始剤を含むことが好ましい。低屈折率層14の形成用組成物は、必要に応じ、溶剤が含まれていてもよい。低屈折率層14のバインダー樹脂は、紫外線硬化性樹脂で構成されていてもよいし、非紫外線硬化性樹脂で構成されていてもよいし、紫外線硬化性樹脂と非紫外線硬化性樹脂の組み合わせで構成されていてもよい。
【0057】
非紫外線硬化性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0058】
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系などの光重合開始剤が挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジルメチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチルー6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾールー3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。光重合開始剤は、これらの1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされて用いられてもよい。
【0059】
光重合開始剤の含有量は、低屈折率層14の形成用組成物の固形分全量基準で、0.1~10質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは1~5質量%の範囲である。
【0060】
低屈折率層14の形成用組成物において用いられる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGM)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール系溶剤や、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、アセトンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、N-メチルピロリドン、アセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これらは、溶剤として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
【0061】
反射防止フィルム10は、基材フィルム12の面上にハードコート層16を形成する組成物を塗工し、必要に応じて乾燥後、紫外線照射により硬化させて、基材フィルム12の面上にハードコート層16を形成した後、ハードコート層16の面上に低屈折率層14を形成する組成物を塗工し、必要に応じて乾燥後、紫外線照射により硬化させて、ハードコート層16の面上に低屈折率層14を形成することにより製造することができる。この際、基材フィルム12とハードコート層16の密着性を向上させるために、基材フィルム12の表面には、塗工前に表面処理が施されてもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線処理などが挙げられる。
【0062】
ハードコート層16を形成する組成物や低屈折率層14を形成する組成物の塗工には、例えば、リバースグラビアコート法,ダイレクトグラビアコート法,ダイコート法,バーコート法,ワイヤーバーコート法,ロールコート法,スピンコート法,ディップコート法,スプレーコート法,ナイフコート法,キスコート法などの各種コーティング法や、インクジェット法、オフセット印刷,スクリーン印刷,フレキソ印刷などの各種印刷法を用いて行うことができる。
【0063】
乾燥工程は、塗工液に用いた溶剤等を除去できれば特に限定されるものではないが、50~150℃の温度で10秒~180秒程度行うことが好ましい。特に、乾燥温度は、50~120℃が好ましい。
【0064】
紫外線照射には、高圧水銀ランプ、無電極(マイクロ波方式)ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、その他任意の紫外線照射装置を用いることができる。紫外線照射は、必要に応じて、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。紫外線照射量は、特に限定されるものではないが、50~800mJ/cmが好ましく、100~300mJ/cmがより好ましい。
【0065】
低屈折率層14の表面における算術平均粗さSaは、良好な指滑り性と耐擦傷性の観点から、好ましくは1.0~20nm、より好ましくは3.0~15nm、さらに好ましくは5.0~10nmである。
【0066】
反射防止フィルム10におけるヘイズは、良好な視認性などの観点から、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下である。
【0067】
反射防止フィルム10における視感度反射率は、低いほど好ましく、より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。
【0068】
以上の構成の反射防止フィルム10によれば、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層16と、ハードコート層16の面上に形成された低屈折率層14と、を有し、低屈折率層14が、低屈折率層14の表面に凸部を形成する無機酸化物粒子18と、低屈折率層14の平均厚みよりも平均粒子径の小さい中空シリカ粒子22と、含フッ素化合物と、バインダー樹脂と、を含有し、低屈折率層14における無機酸化物粒子18の含有量が、低屈折率層14の固形分100質量%に対し0.1質量%以上4.0質量%以下であり、低屈折率層14における無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22の合計量が、低屈折率層14の固形分100質量%に対し10質量%以上50質量%以下であり、無機酸化物粒子18の平均粒子径rと低屈折率層14の平均厚みdの差(r-d)が、10nm以上300nm以下であることから、高い反射防止性、優れた耐擦傷性および良好な防汚性を備える。
【0069】
本発明に係る反射防止フィルムは、第一実施形態に係る反射防止フィルム10の構成に限定されるものではない。以下に、本発明に係る反射防止フィルムの他の実施形態について説明する。
【0070】
図2には、第二実施形態に係る反射防止フィルム20を示している。第二実施形態に係る反射防止フィルム20は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層16と、ハードコート層16の面上に形成された高屈折率層17と、高屈折率層17の面上に形成された低屈折率層14と、を有する。反射防止フィルム20は、基材フィルム12側から順に、基材フィルム12、ハードコート層16、高屈折率層17、低屈折率層14を有している。
【0071】
第二実施形態に係る反射防止フィルム20は、第一実施形態に係る反射防止フィルム10と比較して、ハードコート層16と低屈折率層14の間に高屈折率層17を有している点が相違し、これ以外については第一実施形態に係る反射防止フィルム10と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
【0072】
高屈折率層17は、ハードコート層16において説明する材料から適宜選択することにより形成することができる。高屈折率層17の屈折率は、好ましくは1.55~1.80の範囲内、より好ましくは1.60~1.70の範囲内である。高屈折率層17の屈折率は、測定波長589.3nmにおける屈折率である。高屈折率層17の屈折率は、バインダー樹脂、無機粒子、樹脂粒子の選択、配合量などにより調整することができる。
【0073】
高屈折率層17の平均厚みは、屈折率の設定に応じて異なるが、例えば50nm以上200nm以下とすることで、反射防止機能をさらに高めることができる。
【0074】
図3には、第三実施形態に係る反射防止フィルム30を示している。第三実施形態に係る反射防止フィルム30は、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の面上に形成されたハードコート層16と、ハードコート層16の面上に形成された低屈折率層14と、を有する。また、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層24を有する。透明粘着層24の面上には、必要に応じて離型フィルム26が配置される。離型フィルム26は、使用前に透明粘着層24の保護層として機能し、使用時には、透明粘着層24から剥がされる。
【0075】
第三実施形態に係る反射防止フィルム30は、第一実施形態に係る反射防止フィルム10と比較して、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層24を有する点が相違し、これ以外については第一実施形態に係る反射防止フィルム10と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
【0076】
透明粘着層24は、反射防止フィルム30をディスプレイ等の表面に密着性良く貼り付けるためのものである。また、反射防止フィルム30は、透明粘着層24を有することで、ディスプレイ等のガラスの飛散を防止する効果を有する。すなわち、反射防止フィルム30は、飛散防止フィルムとしての機能も有する。
【0077】
透明粘着層24を形成する粘着剤組成物は、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などの公知の粘着性樹脂を含有することができる。中でも、光学的な透明性や耐熱性の観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。粘着剤組成物は、透明粘着層24の凝集力を高めるために、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、キレート系架橋剤などが挙げられる。
【0078】
粘着剤組成物には、必要に応じて、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、可塑剤、シランカップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、充填剤、硬化促進剤、硬化遅延剤などの公知の添加剤が挙げられる。また、生産性などの観点から、有機溶剤を使用して希釈してもよい。
【0079】
透明粘着層24の厚みは、特に限定されるものではないが、5~100μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは10~50μmの範囲内である。
【0080】
透明粘着層24は、基材フィルム12の他方の面上に粘着剤組成物を直接塗布して形成する方法、離型フィルム26の面上に粘着剤組成物を塗布して形成した後、基材フィルム12の他方の面上に転写する方法、第一の離型フィルムの面上に粘着剤組成物を塗布して形成した後、第二の離型フィルムを貼り合わせ、いずれか一方の離型フィルムを剥離して基材フィルム12の他方の面上に転写する方法などにより形成することができる。
【0081】
透明粘着層24は、ガラスの飛散防止効果の観点から、ガラスに対する粘着力が、4N/25mm以上であることが好ましい。より好ましくは6N/25mm以上、さらに好ましくは10N/25mm以上である。
【0082】
図4には、第四実施形態に係る反射防止フィルム40を示している。第四実施形態に係る反射防止フィルム40は、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の面上に形成されたハードコート層16と、ハードコート層16の面上に形成された低屈折率層14と、低屈折率層14の面上に粘着剤層28を介して配置された保護フィルム32と、を有する。また、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層24を有する。透明粘着層24の面上には、必要に応じて離型フィルム26が配置される。
【0083】
第四実施形態に係る反射防止フィルム40は、第三実施形態に係る反射防止フィルム30と比較して、低屈折率層14の面上に粘着剤層28を介して保護フィルム32を有する点が相違し、これ以外については第三実施形態に係る反射防止フィルム30と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
【0084】
保護フィルム32は、例えばロールプロセスなどで連続加工したりディスプレイ等に貼り合わされたりするなどの取扱い時において、低屈折率層14の表面に傷が付くのを抑えることができるものである。保護フィルム32は、粘着剤層28を介して低屈折率層14の面に貼り付けられている。保護フィルム32は、加工後などにおいては、粘着剤層28とともに低屈折率層14の面から剥がされる。このため、粘着剤層28は、低屈折率層14と粘着剤層28の間の接着力よりも保護フィルム32と粘着剤層28の間の接着力のほうが強く、低屈折率層14と粘着剤層28の間で界面剥離可能な接着力に調整される。
【0085】
保護フィルム32を構成する材料は、基材フィルム12を構成する材料として例示したものなどを適宜選択することができる。保護フィルム32の厚みは、特に限定されるものではないが、2~500μmの範囲内、2~200μmの範囲内とすることができる。
【0086】
粘着剤層28を形成する粘着剤は、特に限定されるものではなく、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などを好適に用いることができる。特に、アクリル系粘着剤は、透明性や耐熱性に優れるため、好適である。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル重合体および架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されることが好ましい。
【0087】
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリルモノマーの単独重合体もしくは共重合体である。(メタ)アクリルモノマーとしては、アルキル基含有(メタ)アクリルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーなどが挙げられる。
【0088】
アルキル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、炭素数2~30のアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。炭素数2~30のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、環状であってもよい。アルキル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、より具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチルなどが挙げられる。
【0089】
カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチルなどが挙げられる。カルボキシル基は、アルキル鎖の末端に位置していてもよいし、アルキル鎖の中間に位置していてもよい。
【0090】
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。水酸基は、アルキル鎖の末端に位置していてもよいし、アルキル鎖の中間に位置していてもよい。
【0091】
(メタ)アクリル重合体を形成する(メタ)アクリルモノマーは、上記のいずれか1種であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0092】
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0093】
粘着剤組成物には、(メタ)アクリル重合体、架橋剤以外に、その他添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、架橋促進剤、架橋遅延剤、粘着性付与樹脂(タッキファイヤー)、帯電防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、剥離助剤、顔料、染料、湿潤剤、増粘剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、金属不活性剤、アルキル化剤、難燃剤などが挙げられる。これらは粘着剤の用途や使用目的に応じて、適宜選択して使用される。
【0094】
粘着剤層28の厚みは、特に限定されるものではないが、1~10μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは2~7μmの範囲内である。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0096】
例えば上記実施形態では、基材フィルム12の表面に表面処理を施してもよい記載をしているが、表面処理に代えて、基材フィルム12の表面に、易接着層を設ける構成であってもよい。
【0097】
そして、上記保護フィルム32は、図4に示すように、図3に示す第三実施形態の反射防止フィルム30に追加する形で示しているが、図1に示す第一実施形態の反射防止フィルム10や、図2に示す第二実施形態の反射防止フィルム20に追加する形であってもよい。
【0098】
そして、基材フィルム12の表面には、各層を形成する前に、ガスバリア性向上層、帯電防止層、オリゴマーブロック層などの各種機能層を予め設けてもよい。
【0099】
帯電防止層は、剥離帯電や摩擦帯電による周囲のゴミ等の付着を軽減する等の目的で設けられる。帯電防止層は、帯電防止剤を含有する帯電防止層形成用組成物からなる層であることが好ましい。
【0100】
帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩,ピリジウム塩等のカチオン性帯電防止剤、スルホン酸,リン酸,カルボン酸等のアルカリ金属塩等のアニオン性帯電防止剤、アミノ酸系,アミノ酸硫酸エステル系等の両性帯電防止剤、アミノアルコール系,グリセリン系,ポリエチレングリコール系等のノニオン性帯電防止剤、イオン性化合物、ポリアセチレン系,ポリチオフェン系等の導電性ポリマー、金属酸化物粒子やカーボンナノチューブ等の導電性粒子、導電性繊維等が挙げられる。これらの中でも、湿度依存性が少ない、帯電防止層からのブリードアウトを防止する等の観点から、ポリアセチレン、ポリチオフェン等の導電性ポリマーにドーパントを組み合わせた帯電防止剤、金属粒子、金属酸化物粒子が好ましい。
【0101】
上記導電性ポリマーからなる帯電防止剤としては、具体的には、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(1,6-ヘプタジイン)、ポリビフェニレン(ポリパラフェニレン)、ポリパラフィニレンスルフィド、ポリフェニルアセチレン、ポリ(2,5-チエニレン)、又は、これらの誘導体等の導電性高分子が挙げられ、好ましくは、ポリチオフェン系の導電性有機ポリマー(例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等)が挙げられる。これらは帯電防止剤として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
【0102】
帯電防止剤の含有量は、帯電防止層形成用組成物の固形分全量基準で、1~50質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは5~40質量%、さらに好ましくは10~20質量%の範囲である。含有量が1質量%以上であれば、良好帯電防止性を付与することができ、50質量%以下であれば、全光線透過率が良好な高透明の膜を得ることができる。
【0103】
帯電防止層は、バインダー樹脂を有していてもよい。バインダー樹脂としては、帯電防止剤と相溶又は混合分散可能であれば、特に限定されず、硬化性樹脂でも、熱可塑性樹脂であってもよい。
【0104】
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、又は、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド樹脂、又は、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド樹脂、又は、ポリフッ化ビニリデン、又は、アクリル樹脂、又は、ポリビニルアルコール等のビニル樹脂、又は、ウレタン樹脂などを挙げることができる。
硬化性樹脂としては、ハードコート層16を形成する際にに用いる材料と同様の材料を用いることができる。
【0105】
帯電防止層の厚みは、帯電を防止する観点から、好ましくは1nm~5μm、より好ましくは10nm~1μm、さらに好ましくは30nm~300nmである。
【実施例
【0106】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0107】
(実施例1)
<ハードコート層形成用組成物の調製>
紫外線硬化性樹脂組成物ESS-620(DIC製、ウレタンアクリレート樹脂、溶剤(酢酸エチル)、固形分濃度79質量%)に、光重合開始剤「Omnirad127」(IGM Resins B.V.製)を、ハードコート層形成用組成物全量に対し3質量%となるように加え、固形分濃度31質量%となるように酢酸エチルを加え、ハードコート層形成用組成物を調製した。
【0108】
<ハードコート層の作製>
基材フィルム(TAIMIDE TECH.INC製ポリイミドフィルム、「OT2(h)」、厚み50μm)に、#12のワイヤーバーを用いてハードコート層形成用組成物を塗布し、80℃×60秒で乾燥後、高圧水銀ランプを用いて光量200mJ/cmの紫外線を照射してハードコート層(膜厚5μm)を形成した。
【0109】
<高屈折率層形成用組成物の調製>
紫外線硬化性樹脂組成物TYZ65-01(トーヨーケム製、アクリル系樹脂、酸化ジルコニウム含有(平均粒子径80nm)、光重合開始剤、溶剤(シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル)、固形分濃度35質量%)に、固形分濃度8質量%となるようにメチルエチルケトンを加え、高屈折率層形成用組成物を調製した。
【0110】
<高屈折率層の作製>
ハードコート層の面上に、高屈折率層形成用組成物を、#4のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃×60秒で乾燥後、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプを用いて光量200mJ/cmの紫外線を照射して高屈折率層を形成した。
【0111】
<低屈折率層形成用組成物の調製>
表1に記載の配合組成(全固形分中の質量%)となるように、バインダー樹脂、無機酸化物粒子、中空シリカ粒子、含フッ素化合物を配合し、溶剤を用いて固形分濃度3質量%に調整することにより、低屈折率層形成用組成物を調製した。
【0112】
低屈折率層形成用組成物の材料として用いた材料は以下の通りである。
・バインダー樹脂:東亞合成製「アロニックスMT-3041」、多官能アクリレート、固形分濃度100質量%
・無機酸化物粒子1:ビックケミー製「NANOBYK3601」、アルミナ粒子、平均粒子径180nm、分散媒トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA:バインダー樹脂)、アルミナ含有量30質量%
・無機酸化物粒子2:アイカ工業製「Z-607-ALU」、アルミナ粒子、平均粒子径60nm、メチルイソブチルケトン、アルミナ含有量30質量%
・無機酸化物粒子3:日産化学化学製「MEK-AC-5140Z」、シリカ粒子、平均粒子径100nm、メチルエチルケトン、シリカ含有量40質量%
・中空シリカ粒子:日揮触媒化成工業製「スルーリア4320」、平均粒子径60nm、固形分濃度100質量%
・含フッ素化合物:信越化学工業製「KY-1203」、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート、メチルイソブチルケトン、固形分濃度20質量%
・光重合開始剤:IGM Resins B.V.製「Omnirad127」
【0113】
<低屈折率層の作製>
高屈折率層の面上に、低屈折率層形成用組成物を、#3のワイヤーバーを用いて塗布し、100℃×60秒で乾燥後、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプを用いて光量200mJ/cmの紫外線を照射して低屈折率層を形成した。以上により、反射防止フィルムを作製した。
【0114】
(実施例2)
基材フィルムをPETフィルム1(東洋紡製「コスモシャインSRF TA048」、厚み80μm)に変更した以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0115】
(実施例3)
基材フィルムをPETフィルム2(東レ製「ルミラーU403」、厚み50μm)に変更した以外は実施例1と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0116】
(実施例4~11)
表1に記載の配合組成(全固形分中の質量%)となるように配合比を変更した以外は実施例3と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0117】
(実施例12)
低屈折率層形成用組成物の調製において、無機酸化物粒子をアルミナ粒子からシリカ粒子に変更した以外は実施例3と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0118】
(実施例13~14)
高屈折率層を形成しないでハードコート層の面上に低屈折率層を形成した以外は実施例3と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0119】
(比較例1)
無機酸化物粒子を配合しないで低屈折率層形成用組成物を調製し、高屈折率層を形成しないでハードコート層の面上に低屈折率層を形成した以外は実施例3と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0120】
(比較例2~3)
低屈折率層形成用組成物の調製において、無機酸化物粒子を変更した以外は実施例3と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0121】
(比較例4)
低屈折率層形成用組成物の調製において、無機酸化物粒子の配合量を変更した以外は実施例3と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0122】
(比較例5)
低屈折率層形成用組成物の調製において、中空シリカ粒子の配合量を変更した以外は実施例3と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0123】
(比較例6)
中空シリカ粒子を配合しないで低屈折率層形成用組成物を調製した以外は実施例3と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0124】
(比較例7)
含フッ素化合物を配合しないで低屈折率層形成用組成物を調製した以外は実施例3と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0125】
(実施例15~17)
ハードコート層を形成する前に、基材フィルムの面上に帯電防止層を形成した以外は実施例3と同様にして、反射防止フィルムを作製した。
【0126】
<帯電防止層形成用組成物の調製>
導電性ポリマー組成物アラコートAS601D(荒川化学工業製、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)0.4質量%、アクリル樹脂3.0質量%、溶剤(水90.8質量%、イソプロピルアルコール5.8質量%、固形分濃度3.5質量%)2.0gに対し、硬化剤アラコートCL910(荒川化学工業製、多官能アジリジン化合物、固形分濃度10質量%)0.076gを加え、イソプロピルアルコール0.16gを用いて固形分濃度3.47質量%となるようにして、帯電防止層形成用組成物を調整した。
【0127】
<帯電防止層の作製>
基材フィルム(東レ製ポリエチレンテレフタレートフィルム、「ルミラーU403」、厚み50μm)に、ワイヤーバーを用いて表に記載の厚みとなるように帯電防止層形成用組成物を塗布し、120℃×30秒で乾燥して帯電防止層を形成した。
【0128】
作製した反射防止フィルムについて、各層の厚み、反射防止フィルム全体のヘイズ(Hz)、全光線透過率(Tt)、低屈折率層の表面の算術平均粗さ(Sa)、視感反射率を測定した。また、作製した反射防止フィルムについて、耐擦傷性、防汚性を評価した。また、帯電防止層を有するものについては、低屈折率層の表面抵抗率を測定した。
【0129】
(層厚)
ハードコート層、低屈折率層、高屈折率層の各厚みは、フィルメトリクス製「Filmetrics F20 膜厚測定システム」を用い、分光干渉法により測定した。
【0130】
(ヘイズ(Hz)、全光線透過率(Tt))
日本電色工業製「Haze Meter NDH7000」を用い、JIS-K7136の方法で、反射防止フィルム全体のヘイズ(Hz)、全光線透過率(Tt)を測定した。
【0131】
(算術平均粗さSa)
三菱ケミカルシステム製「非接触表面・層断面形状計測システムVertScan2.0(型式:R5300GL-L-A100-AC)」を用い、低屈折率層の表面の算術平均粗さSaを測定した。
【0132】
(視感度反射率)
作製した反射防止フィルムの裏面(低屈折率層とは反対側の面)を#400のサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶし、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製「UV-3600」)を用いて、低屈折率層の表面の5°正反射率を測定し、この測定値に比視感度値を乗じて視感度反射率を算出した。
【0133】
(スチールウール試験1)
スチールウール試験1は、平面摩耗試験機(大栄科学精機製作所製「DAS-400」)を使用し、直径10mmの平面摩擦子に固定したスチールウール#0000(日本スチールウール株式会社製)を、反射防止フィルムの低屈折率層表面に載せて往復させた。試験台のストローク長は50mm、試験台往復速度は60往復/分とし、荷重2.2kg/cmで往復動させた。50往復までは10往復ごとに、50往復を超えたときはそれ以降50往復ごとにサンプルを目視観察し、長さ10mm以上の傷が観察されないときの最大の回数を、耐擦傷性1の評価値とした。
【0134】
(スチールウール試験2)
スチールウール試験2は、学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業製「AB-301 COLOR FASTNESS RUBBING TESTER」)を使用し、20mm×20mmの摩擦子に固定したスチールウール#0000(日本スチールウール株式会社製)を、反射防止フィルムの低屈折率層表面に載せて往復させた。試験台のストローク長は120mm、試験台往復速度は60往復/分とし、荷重500g/4cm で往復動させた。100往復、250往復、それ以降は250往復ごとにサンプルを目視観察し、長さ10mm以上の傷が観察されないときの最大の回数を、スチールウール試験2の評価値とした。
【0135】
(防汚性)
市販の人指紋液(伊勢久製、人工汗液A法(汗試験機法))を手指にとり、手指になじませた後、反射防止フィルムの低屈折率層表面に前記手指を押し当てて、指紋を付着させた。次いで、黒色紙上に反射防止フィルムを載せ、ポリエステル製ワイパー(アズワン製、アズピュアスーパーワイパー(エコノ))を用いて、目視観察しながら低屈折率層表面に付着した指紋を拭き取った。10往復以内に人指紋液が見えなくなるまで拭き取れたものを「○」、20往復以内に拭き取れたものを「△」、20往復以上させても拭き取れなかったものを「×」とした。
【0136】
(表面抵抗値)
三菱化学アナリテック製「抵抗率計ハイレスタUP MCP-HT450」を用いて、低屈折率層の表面抵抗率(×1010Ω/□)を測定した。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
比較例1は、低屈折率層が無機酸化物粒子を含んでいない。比較例2、3は、低屈折率層が無機酸化物粒子を含んでいるが、無機酸化物粒子の平均粒子径rが低屈折率層の平均厚みd以下で、無機酸化物粒子による表面凹凸が十分に形成されていない。このため、比較例1~3では、スチールウール試験1で100回未満、スチールウール試験2で1000回未満であり、耐擦傷性が不十分である。比較例4は、低屈折率層における無機酸化物粒子の配合量が多く、低屈折率層の固形分100質量%に対し4.0質量%超である。このため、比較例4では、無機酸化物粒子の脱落に起因して、耐擦傷性が不十分である。比較例5は、低屈折率層における中空シリカ粒子の配合量が多く、無機酸化物粒子と中空シリカ粒子の合計量が低屈折率層の固形分100質量%に対し50質量%以上である。このため、比較例5では、耐擦傷性が不十分である。比較例6は、低屈折率層が中空シリカ粒子を含んでいない。このため、比較例6では、視感度反射率が2.0%以上と高く、反射防止性に劣っている。比較例7は、低屈折率層が含フッ素化合物を含んでいない。このため、比較例7では、防汚性に劣っている。また、耐擦傷性も不十分である。
【0141】
比較例に対し、実施例は、低屈折率層が、無機酸化物粒子と、中空シリカ粒子と、含フッ素化合物と、バインダー樹脂と、を含有し、低屈折率層における無機酸化物粒子の含有量が、低屈折率層の固形分100質量%に対し0.1質量%以上4.0質量%以下であり、低屈折率層における無機酸化物粒子と中空シリカ粒子の合計量が、低屈折率層の固形分100質量%に対し10質量%以上50質量%以下であり、無機酸化物粒子の平均粒子径rと低屈折率層の平均厚みdの差(r-d)が、10nm以上300nm以下である。このため、高い反射防止性、優れた耐擦傷性および良好な防汚性を備えることがわかる。
【0142】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0143】
10,20,30,40 反射防止フィルム
12 基材フィルム
14 低屈折率層
16 ハードコート層
17 高屈折率層
18 無機酸化物粒子
22 中空シリカ粒子
24 透明粘着層
26 剥離フィルム
28 粘着剤層
32 保護フィルム
図1
図2
図3
図4