(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】乳母車
(51)【国際特許分類】
B62B 9/12 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
B62B9/12 A
(21)【出願番号】P 2021538355
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2021012083
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】澤谷 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 裕彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 博充
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-014377(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0001805(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0179848(US,A1)
【文献】特開2015-151050(JP,A)
【文献】中国実用新案第210618244(CN,U)
【文献】特開2018-034684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/00- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能な乳母車本体と、
前記乳母車本体に設けられた保持部材によって前記乳母車本体に保持される座席と、を備え、
前記乳母車本体は、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な前脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な後脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能なハンドルと、
前記前脚と前記ハンドルとの間に設けられ、前記前脚及び前記ハンドルに対して回動可能な第2リンク部材と、を有し、
前記保持部材は、前記ハンドルと前記第2リンク部材との間に設けられ、
前記保持部材は、前記乳母車本体の折り畳み時に
、前記ハンドルと前記第2リンク部材との間の相対回動に伴って、前記ハンドルに対して揺動する、乳母車。
【請求項2】
折り畳み可能な乳母車本体と、
前記乳母車本体に設けられた保持部材によって前記乳母車本体に保持される座席と、を備え、
前記乳母車本体は、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な前脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な後脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能なハンドルと、
前記前脚と前記ハンドルとの間に設けられ、前記前脚及び前記ハンドルに対して回動可能な第2リンク部材と、
前記前脚又は前記第2リンク部材に設けられた前側支持部と、を有し、
前記座席は、前記保持部材によって支持される基部と、前記基部に設けられた座部及び背部と、を有し、
前記座部
及び前記背部は前記基部に対して揺動可能であ
り、
前記前側支持部は、前記乳母車本体の折り畳み時に前記座部または前記背部に当接して前記座部または前記背部を前記基部に対して回転させるように、位置決めされている、乳母車。
【請求項3】
前記乳母車本体は
、前記前脚、前記後脚又は前記第1リンク部材に設けられた後側支持部
をさらに有し
、
前記後側支持部は、前記乳母車本体の折り畳み時に前記座部または前記背部に当接して前記座部または前記背部を前記基部に対して回転させるように、位置決めされている、請求項
2に記載の乳母車。
【請求項4】
折り畳み可能な乳母車本体と、
前記乳母車本体に設けられた保持部材によって前記乳母車本体に保持される座席と、を備え、
前記乳母車本体は、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な前脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な後脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能なハンドルと、
前記前脚と前記ハンドルとの間に設けられ、前記前脚及び前記ハンドルに対して回動可能な第2リンク部材と、
前記前脚、前記後脚又は前記第1リンク部材に設けられた後側支持部と、を有し、
前記座席は、前記保持部材によって支持される基部と、前記基部に設けられた座部及び背部と、を有し、
前記座部及び前記背部は前記基部に対して揺動可能であり、
前記後側支持部は、前記乳母車本体の折り畳み時に前記座部または前記背部に当接して前記座部または前記背部を前記基部に対して回転させるように、位置決めされている、乳母車。
【請求項5】
前記座部は、前記基部に接続する座部接続部を有し、
前記基部は、前記座席の幅方向に延びる回動軸線を中心として前記座部が前記基部に対して揺動するように前記座部接続部が枢着する枢着部を有し、
前記座部接続部は、前記回動軸線を中心とする円の径方向に突出する座部側突出部を有し、
前記基部は、前記座部側突出部が前記円の周方向に乗り越え可能な基部側突出部を有し、
前記基部に対する前記座部の揺動は、前記基部側突出部に前記座部側突出部が前記周方向に当接することにより防止される、請求項
2乃至4のいずれか一項に記載の乳母車。
【請求項6】
前記第1リンク部材と前記前脚との間、前記第1リンク部材と前記後脚との間、前記第1リンク部材と前記ハンドルとの間、前記第2リンク部材と前記前脚との間、又は、前記第2リンク部材と前記ハンドルとの間に付勢部材が設けられており、
前記付勢部材によって、前記第1リンク部材と前記前脚、前記第1リンク部材と前記後脚、前記第1リンク部材と前記ハンドル、前記第2リンク部材と前記前脚、又は、前記第2リンク部材と前記ハンドルは、前記乳母車本体の折り畳み時または展開時における互いに対する移動方向に付勢されている、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の乳母車。
【請求項7】
前記後脚は、前記第1リンク部材及び前記前脚と接続し前記第1リンク部材及び前記前脚に対して回動可能
であり、
前記前脚と前記後脚との間に付勢部材が設けられており、
前記付勢部材によって、前記前脚と前記後脚は、前記乳母車本体の折り畳み時または展開時における互いに対する移動方向に付勢されている、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の乳母車。
【請求項8】
前記乳母車本体は
、前記後脚と前記ハンドルとの間に設けられ前記後脚及び前記ハンドルに対して回動可能な第3リンク部材
をさらに有し、
前記第3リンク部材と前記後脚との間、又は、前記第3リンク部材と前記ハンドルとの間に付勢部材が設けられており、
前記付勢部材によって、前記第3リンク部材と前記後脚、又は、前記第3リンク部材と前記ハンドルは、前記乳母車本体の折り畳み時または展開時における互いに対する移動方向に付勢されている、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の乳母車。
【請求項9】
折り畳み可能な乳母車本体と、
前記乳母車本体に設けられた保持部材によって前記乳母車本体に保持される座席と、を備え、
前記乳母車本体は、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な前脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な後脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能なハンドルと、
前記前脚と前記ハンドルとの間に設けられ、前記前脚及び前記ハンドルに対して回動可能な第2リンク部材と、
前記後脚と前記ハンドルとの間に設けられ、前記後脚及び前記ハンドルに対して回動可能な第3リンク部材と、を有し、
前記保持部材は、前記乳母車本体の折り畳み時に前記ハンドルに対して揺動し、 前記第3リンク部材と前記後脚との間、又は、前記第3リンク部材と前記ハンドルとの間に付勢部材が設けられており、
前記付勢部材によって、前記第3リンク部材と前記後脚、又は、前記第3リンク部材と前記ハンドルは、前記乳母車本体の折り畳み時または展開時における互いに対する移動方向に付勢されている、乳母車。
【請求項10】
折り畳み可能な乳母車本体と、
前記乳母車本体に設けられた保持部材によって前記乳母車本体に保持される座席と、を備え、
前記乳母車本体は、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な前脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な後脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能なハンドルと、
前記前脚と前記ハンドルとの間に設けられ、前記前脚及び前記ハンドルに対して回動可能な第2リンク部材と、
前記後脚と前記ハンドルとの間に設けられ、前記後脚及び前記ハンドルに対して回動可能な第3リンク部材と、を有し、
前記座席は、前記保持部材によって支持される基部と、前記基部に設けられた座部及び背部と、を有し、
前記座部は前記基部に対して揺動可能であり、
前記第3リンク部材と前記後脚との間、又は、前記第3リンク部材と前記ハンドルとの間に付勢部材が設けられており、
前記付勢部材によって、前記第3リンク部材と前記後脚、又は、前記第3リンク部材と前記ハンドルは、前記乳母車本体の折り畳み時または展開時における互いに対する移動方向に付勢されている、乳母車。
【請求項11】
折り畳み可能な乳母車本体と、
前記乳母車本体に設けられた保持部材によって前記乳母車本体に保持される座席と、を備え、
前記乳母車本体は、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な前脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な後脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能なハンドルと、
前記前脚と前記ハンドルとの間に設けられ、前記前脚及び前記ハンドルに対して回動可能な第2リンク部材と、を有し、
前記保持部材は、前記乳母車本体の折り畳み時に前記ハンドルに対して揺動し、
前記第1リンク部材と前記前脚との間、前記第1リンク部材と前記後脚との間、前記第1リンク部材と前記ハンドルとの間、又は、前記第2リンク部材と前記ハンドルとの間に付勢部材が設けられており、
前記付勢部材によって、前記第1リンク部材と前記前脚、前記第1リンク部材と前記後脚、前記第1リンク部材と前記ハンドル、又は、前記第2リンク部材と前記ハンドルは、前記乳母車本体の折り畳み時または展開時における互いに対する移動方向に付勢されている、乳母車。
【請求項12】
折り畳み可能な乳母車本体と、
前記乳母車本体に設けられた保持部材によって前記乳母車本体に保持される座席と、を備え、
前記乳母車本体は、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な前脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な後脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能なハンドルと、
前記前脚と前記ハンドルとの間に設けられ、前記前脚及び前記ハンドルに対して回動可能な第2リンク部材と、を有し、
前記座席は、前記保持部材によって支持される基部と、前記基部に設けられた座部及び背部と、を有し、
前記座部は前記基部に対して揺動可能であり、
前記第1リンク部材と前記前脚との間、前記第1リンク部材と前記後脚との間、前記第1リンク部材と前記ハンドルとの間、又は、前記第2リンク部材と前記ハンドルとの間に付勢部材が設けられており、
前記付勢部材によって、前記第1リンク部材と前記前脚、前記第1リンク部材と前記後脚、前記第1リンク部材と前記ハンドル、又は、前記第2リンク部材と前記ハンドルは、前記乳母車本体の折り畳み時または展開時における互いに対する移動方向に付勢されている、乳母車。
【請求項13】
前記乳母車本体は、前記ハンドル及び前記後脚と接続し前記ハンドル及び前記後脚に対して回動可能な第3リンク部材をさらに有し、
前記第3リンク部材は、前記乳母車本体を展開した状態において前記ハンドルと前記後脚に沿った形状となっている、請求項1乃至
12のいずれか一項に記載の乳母車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳母車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乳幼児を乗車させる乳母車が公知である。今日使用されている乳母車のほとんどは、折り畳み可能に構成されている。例えばJP2020-019355Aに開示されているように、多くの乳母車は、側面視において前脚とハンドルとが接近するように、乳母車を折り畳み可能である。このように、乳母車を折り畳むことにより、その前後方向における寸法を小さくすることができる。
【0003】
図13及び
図14に、JP2020-019355Aに開示された乳母車200を示す。
図13は、背面状態にある乳母車200を折り畳んだ状態で示している。また、
図14は、対面状態にある乳母車200を折り畳んだ状態で示している。
図13及び
図14に示すように、乳母車200は、前脚230およびハンドル240を含む乳母車本体220と、保持部材250を介して乳母車本体220に保持された座席260とを含む。乳母車本体220は、座席260の前後の向きを変えることができるように座席260を保持している。このような乳母車200に対し、折り畳み状態にある乳母車200の前後方向における寸法をさらに小さくすることが望まれている。とりわけ、折り畳み状態にある乳母車200の側面視において乳母車本体220からの座席260の座部265や背部270が突出することを抑制すること、が望まれている。
【発明の開示】
【0004】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、乳母車本体と乳母車本体に保持された座席とを含む乳母車において、折り畳み状態にある乳母車の前後方向における寸法を小さくすることを目的とする。
【0005】
本実施形態による乳母車は、
折り畳み可能な乳母車本体と、
前記乳母車本体に設けられた保持部材によって前記乳母車本体に保持される座席と、を備え、
前記乳母車本体は、
第1リンク部材と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な前脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能な後脚と、
前記第1リンク部材と接続し前記第1リンク部材に対して回動可能なハンドルと、を有し、
前記保持部材は、前記乳母車本体の折り畳み時に前記ハンドルに対して揺動する。
【0006】
あるいは、本実施形態による乳母車は、
折り畳み可能な乳母車本体と、
前記乳母車本体に設けられた保持部材によって前記乳母車本体に保持される座席と、を備え、
前記座席は、前記保持部材によって支持される基部と、前記基部に設けられた座部及び背部と、を有し、
前記座部は前記基部に対して揺動可能である。
【0007】
本発明によれば、乳母車本体と乳母車本体に保持された座席とを含む乳母車において、乳母車を折り畳んだ際のその前後方向における寸法を小さくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、乳母車を展開状態且つ背面状態で前方から示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す乳母車を折り畳み状態で示す側面図である。
【
図3】
図3は、対面状態にある
図1に示す乳母車を折り畳み状態で示す側面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す乳母車の乳母車本体を展開状態で前方から示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す乳母車本体及び保持部材を示す拡大斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に対応する図であって、折り畳み状態にある乳母車本体の部分縦断面図である。
【
図9】
図9は、座席の乳母車本体への取り付け方法について説明するための側面図である。
【
図10】
図10は、座席の取付構造を説明するための拡大縦断面図である。
【
図13】
図13は、背面状態にある従来の乳母車を折り畳み状態で示す側面図である。
【
図14】
図14は、対面状態にある従来の乳母車を折り畳み状態で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図12は、本発明による乳母車の一実施の形態を説明するための図である。このうち
図1及び
図2には、乳母車の全体構成が示されている。
図1~
図3に示すように、本実施の形態による乳母車10は、乳母車本体20と、乳母車本体20に保持される座席60と、を有している。乳母車本体20が相対動作可能な複数の構成要素を有することで、
図2及び
図3に示すように、乳母車10は折り畳み可能となっている。また、
図4によく示されているように、乳母車本体20には保持部材50が設けられている。乳母車本体20は、この保持部材50を介し、
図8に示された座席60を着脱可能に保持することができる。とりわけ
図9を参照して後述するように、乳母車本体20は、座席60の前後の向きを変えて、すなわち背面状態と対面状態とを変更可能に、座席60を保持することができる。なお、
図2は、背面状態にある乳母車10を折り畳んだ状態で示している。また、
図3は、対面状態にある乳母車10を折り畳んだ状態で示している。
【0010】
なお、本明細書中において、乳母車10及び乳母車本体20に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、展開状態にある乳母車10を操縦する操縦者(乳母車10の利用者、保護者)を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。したがって、「前後方向」とは、
図1における紙面の左下と右上とを結ぶ方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、乳母車10を操縦する操縦者が向く側であり、
図1における紙面の左下側が乳母車10及び乳母車本体20の前側となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに接地面に直交する方向である。したがって、接地面が水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「幅方向」とは、横方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。
【0011】
また、本明細書中において、座席60に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、座席60に着座した乳幼児を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。したがって、「前後方向」とは、
図8における紙面の左下と右上とを結ぶ方向に相当する。また、
図8における紙面の左下側が座席60の前側となる。
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、乳母車10に含まれるいくつかの構成要素は、一部の図面では示されているものの、他の図面では図示を省略されている。
【0013】
上述したように、乳母車10は、乳母車本体20と、乳母車本体20に設けられた保持部材50によって保持される座席60と、を含んでいる。また、乳母車10は、
図1に二点鎖線で示すように、座席60に着脱可能に固定されるクッションシート150を有している。乳幼児は、クッションシート150上に乗ることになる。さらに、乳母車10は、幌や収納用のかご(図示せず)等を更に含んでいてもよい。
【0014】
まず、図示された例を参照して、乳母車本体20について説明する。
図1及び
図4に示すように、乳母車本体20は、全体的に、前後方向に沿った幅方向中心面を中心として概ね対称な構成を有している。乳母車本体20は、下端に前輪33を含んだ前脚30と、下端に後輪38を含んだ後脚35と、ハンドル40と、を有している。
図4に示すように、乳母車本体20は、前脚30、後脚35及びハンドル40に加え、第1~第3リンク部材21~23を有している。これらの構成要素は、乳母車本体20の折り畳み動作を可能とするため、相対動作可能となっている。
【0015】
図4に示すように、第1リンク部材21は、前脚30及び後脚35の上方に位置し、前後方向に延びている。図示された例では、乳母車本体20は、幅方向に離間して設けられた一対の第1リンク部材21を含む。第1リンク部材21は、例えば樹脂成形品として形成されている。
【0016】
図4に示すように、第1リンク部材21には、前脚30が接続している。一対の第1リンク部材21に対応して、一対の前脚30が幅方向に離間して設けられている。各前脚30は、幅方向において対応する側の第1リンク部材21と接続している。前脚30は、第1リンク部材21の前方部分、とりわけ第1リンク部材21の前端部分に接続している。前脚30は、長手方向を有している。前脚30の長手方向が前方に向けて下方に向かうよう、前脚30は上下方向および前後方向に対して傾斜している。図示された例において、前脚30は、その上端部分において、第1リンク部材21と接続している。前脚30は、第1リンク部材21と揺動可能に接続している。第1リンク部材21及び前脚30は、幅方向に沿った回動軸線X1を中心として回動可能となっている。
【0017】
図示された例において、前脚30は、上端部分において第1リンク部材21に接続した前脚主材31と、前脚主材31の下端部分に取り付けられた前輪33と、を有している。前脚主材31は、例えば、金属製や樹脂製のパイプ材を用いて形成され得る。
【0018】
図4に示すように、第1リンク部材21には、後脚35がさらに接続している。一対の第1リンク部材21に対応して、一対の後脚35が幅方向に離間して設けられている。各後脚35は、対応する側の第1リンク部材21と接続している。後脚35は、第1リンク部材21の前方部分、とりわけ第1リンク部材21の前端部分に接続している。後脚35は、長手方向を有している。後脚35の長手方向が後方に向けて下方に向かうよう、後脚35は上下方向および前後方向に対して傾斜している。図示された例において、後脚35は、その上端部分において、第1リンク部材21と揺動可能に接続している。言い換えると、第1リンク部材21及び後脚35は、幅方向に沿った回動軸線を中心として、互いに対して回動可能となっている。
【0019】
図示された例では、後脚35は、対応する前脚30と同一位置において、第1リンク部材21と接続している。したがって、第1リンク部材21に対する前脚30の回動軸線X1と、第1リンク部材21に対する後脚35の回動軸線とは、一致する。言い換えると、第1リンク部材21と前脚30と後脚35は、回動軸線X1を中心として、互いに対して回動可能となっている。
【0020】
図示された例において、後脚35は、上端部分において第1リンク部材21と接続した後脚主材36と、後脚主材36の下端部分に取り付けられた後輪38と、を有している。後脚主材36は、例えば、金属製のパイプを用いて形成されている。
【0021】
図4に示すように、第1リンク部材21には、ハンドル40も接続している。以下、ハンドル40について説明する。図示された例では、ハンドル40は、U字状に形成されたハンドル本体41と、ハンドル本体41を補強する補強連結部材45と、を有している。ハンドル本体41は、幅方向に離間して配置された一対のハンドル延出部42と、ハンドル延出部42を連結するハンドル連結部43と、を有している。ハンドル延出部42は、後方に向けて上方に向かうよう、上下方向及び前後方向に対して傾斜している。各ハンドル延出部42は、対応する第1リンク部材21と接続している。各ハンドル延出部42は、第1リンク部材21の後方部分、とりわけ後端部分と接続している。ハンドル延出部42は、その中間部分において、第1リンク部材21と接続している。ハンドル延出部42は、幅方向に延びる回動軸線X2を中心として、第1リンク部材21に対して回動可能となっている。
【0022】
ハンドル連結部43は、一対のハンドル延出部42の上端部分を連結している。乳母車本体20は、その展開状態を維持するための固定機構(図示せず)を有している。そして、ハンドル連結部43には、この固定機構を遠隔操作するための操作装置44が設けられている。乳母車10の操縦者は、操作装置44を操作することで、展開状態にある乳母車本体20の折り畳み操作を開始することができる。ハンドル延出部42及びハンドル連結部43は、例えば金属製のパイプを用いて一体的に形成される。
【0023】
補強連結部材45は、幅方向に延びて、一対のハンドル延出部42を連結している。図示された例では、補強連結部材45は、一対のハンドル延出部42の下端部分を連結している。補強連結部材45は、例えば樹脂成型品や金属製パイプを用いて形成される。
【0024】
次に、第2リンク部材22について説明する。
図4に示すように、幅方向に離間して一対の第2リンク部材22が設けられている。第2リンク部材22は、前脚30とハンドル40との間に設けられている。第2リンク部材22は、前脚30及びハンドル40のそれぞれに対し、幅方向に延びる回動軸線X3,X4を中心として回動可能となっている。第2リンク部材22は、対応する前脚30とハンドル40との間を連結するリンク要素の少なくとも一部分を形成する。第2リンク部材22は、例えば金属製パイプを用いて形成される。
【0025】
図示された例において、第2リンク部材22は、対応する前脚30の中間部分に回動可能に接続している。また、
図5に示すように、第2リンク部材22は、対応するハンドル延出部42の下方部分、とりわけ下端部分に回動可能に接続している。
図6に示すように、第2リンク部材22は、幅方向に延びる主軸部材25を介して、ハンドル延出部42に接続している。また、
図6から理解されるように、第2リンク部材22は、幅方向に延びる軸部材26を介して、前脚30に接続している。第2リンク部材22は、幅方向に延びる回動軸線X3を中心として、前脚30に対して回動可能となっている。したがって、一対の第2リンク部材22は、前脚30やハンドル40に対し、互いに同期して回動する。なお、
図5では、乳母車本体20を、左側の後脚の35の上端部分を切り欠いた状態で示している。また、
図6及び
図7は、乳母車本体20の縦断面図であって、乳母車本体20の左側に位置する構成を、幅方向内側から示している。
図6において、乳母車本体20は展開状態にある。また、
図7において、乳母車本体20は折り畳み状態にある。
【0026】
なお、本明細書において、幅方向内側とは、幅方向における乳母車本体20の中心に接近する側のことである。一方、幅方向外側とは、幅方向における乳母車本体20の中心から離間する側のことである。
【0027】
次に、第3リンク部材23について説明する。
図4に示すように、幅方向に離間して一対の第3リンク部材23が設けられている。第3リンク部材23は、ハンドル40と後脚35の間に設けられている。第3リンク部材23は、ハンドル40及び後脚35のそれぞれに対し、幅方向に延びる回動軸線を中心として回動可能となっている。第3リンク部材23は、ハンドル40と対応する後脚35との間を連結するリンク要素の少なくとも一部分を形成する。
【0028】
図示された例において、第3リンク部材23は、対応する後脚35の中間部分に回動可能に接続している。第3リンク部材23は、幅方向に延びる回動軸線X5を中心として、後脚35に対して回動可能となっている。また、
図5に示すように、第3リンク部材23は、対応するハンドル延出部42の下方部分、とりわけ下端部分に回動可能に接続している。
図5に示すように、第3リンク部材23は、幅方向に延びる主軸部材25を介して、ハンドル延出部42に接続している。すなわち、図示された例において、第3リンク部材23のハンドル40への接続位置は、第2リンク部材22のハンドル40への接続位置と同一である。また、第3リンク部材23とハンドル40との回動軸線は、第2リンク部材22とハンドル40との回動軸線X4と一致している。言い換えると、第3リンク部材23は、回動軸線X4を中心として、ハンドル40に対して回動可能となっている。
【0029】
第3リンク部材23は、乳母車本体20を展開した状態においてハンドル40と後脚35に沿った形状となっている。これにより、展開状態にある乳母車本体20の側面視において、第3リンク部材23のハンドル40及び後脚35からの突出が抑制され、乳母車本体20の意匠性が向上する。また、図示された例では、第3リンク部材23は、対応するハンドル延出部42及び後脚35の幅方向外側に配置されている。したがって、上述のような形状を有する第3リンク部材23は、展開状態にある乳母車本体20の側面視において、ハンドル40と後脚35との接続部を隠蔽することができる。このことによっても、乳母車本体20の意匠性が向上する。
【0030】
以上のような全体構成を有した乳母車本体20は、各構成要素を互いに回動させることにより、折り畳むことができる。具体的には、ハンドル40をいくらか後上方に引き上げ、その後、ハンドル40を下降させることによって、第3リンク部材23を後脚35に対し
図2及び
図3において時計回り方向に回動させる。この操作にともなって、第1リンク部材21及び第2リンク部材22は、ハンドル延出部42に対し
図2及び
図3において時計回り方向に回動する。
図2及び
図3に示すように、この操作により、側面視においてハンドル40と前脚30とが接近して略平行に配置されるとともに、ハンドル40の位置が下げられるようになる。以上のようにして、乳母車本体20を折り畳むことができる。乳母車本体20は、
図2及び
図3に示された折り畳み状態において、前後方向および上下方向に沿った寸法を小型化することができる。一方、乳母車本体20を折り畳み状態から展開するには、上述した折り畳み操作と逆の手順を踏めばよい。
【0031】
次に、座席60について説明する。座席60は、乳幼児が着座する部位である。
図8に示すように、座席60は、幅方向に離間して配置された一対の基部61を有している。基部61は、乳母車本体20に設けられた保持部材50によって支持されるようになる部位である。
【0032】
図8に示すように、一対の基部61の間に、座部65及び背部70が設けられる。座部65は、乳母車10に乗車する乳幼児の臀部に対面するようになる部位である。座部65は、クッションシート150(
図1参照)を介して乳幼児の臀部を支持する座面を形成する。背部70は、乳幼児の背中に対面するようになる部位である。
【0033】
図8に示すように、座部65は、一対の基部61の間に設けられた前方枠材66及び中央枠材67を有している。前方枠材66は、U字状に形成されたフレーム材である。前方枠材66をなすU字の両端に相当する部分が、対応する基部61に接続されている。前方枠材66は、一対の基部61から前方または上方に延び出している。また、中央枠材67は、幅方向に直線状に延びるフレーム材である。前方枠材66及び中央枠材67は、例えば金属製パイプによって形成される。前方枠材66及び中央枠材67には、座面を画成する布地(図示せず)が張設されている。あるいは、前方枠材66及び中央枠材67は、座面を画成する座板(図示せず)を下方から支持する。座板は、樹脂や金属を用いて形成された板状の部材である。なお、前方枠材66及び中央枠材67を省いて、座板を一対の基部61によって支持するようにしてもよい。
【0034】
座部65は、幅方向に延びる回動軸線X6を中心として、基部61に対して回動可能となっている。図示された例では、前方枠材66が、回動軸線X6を中心として、基部61に対して回動可能となっている。これにより、座部65の前端部分が背部70に接近するように、座部65を傾けることができる。乳母車10の折り畳み時に、座部65を背部70に向けて傾けることにより、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において、乳母車本体20から座部65が突出することを抑制することができる。
【0035】
背部70は、一対の基部61の間に設けられた後方枠材71を有している。後方枠材71は、U字状に形成されたフレーム材である。後方枠材71をなすU字の両端に相当する部分が、対応する基部61と接続している。後方枠材71は、幅方向に延びる回動軸線X7を中心として、基部61に対して回動可能となっている。後方枠材71は、一対の基部61から上方また後方に延び出す。後方枠材71が基部61に対して回動することで、背部70を座部65に対してリクライニングさせることができる。背部70は、後方枠材71によって支持される布状材や板状材を更に有していてもよい。
【0036】
さらに、座席60は、
図8に示すように、各基部61からそれぞれ上方に延出した一対の側方支持部72を有している。側方支持部72は、幅方向に平行な回動軸線X8を中心として回動可能に側方枠材73を支持している。また、側方枠材73と後方枠材71との間には一対の連結枠材74が設けられている。一対の連結枠材74は幅方向に離間して配置されている。連結枠材74は、後方枠材71及び側方枠材73に対して回動可能となっている。連結枠材74は、リンク材として機能し、後方枠材71及び側方枠材73の一方の揺動にともなって他方を揺動させる。また、連結枠材74は、後方枠材71の後方部分と側方枠材73の後方部分との間に、背部70が寝た状態で乳幼児の頭部の後方に位置する壁部を形成し、背部70が起き上がった状態で乳幼児の頭部の後方に位置する壁部を形成する。
【0037】
また、
図1に示すように、座席60は、各基部61からそれぞれ延び出した一対のガード支持材75と、一対のガード支持材75の間に着脱可能なガード材76と、を有している。また、座席60は、各側方支持部72にそれぞれ固定された一対の幌支持材77を有している。一対の幌支持材77の間に、幌骨78が掛けられ、幌骨78に幌布(図示せず)が装着される。なお、
図8では、ガード材76、幌支持材77、幌骨78等の図示を省略している。
【0038】
次に、保持部材50について説明する。
図5に示すように、幅方向において一対の第1リンク部材21の間となる位置に、一対の保持部材50が設けられている。一対の保持部材50は、幅方向に離間して配置されている。
図1に示すように、乳母車本体20は、この一対の保持部材50によって、幅方向において一対の第1リンク部材21の間となる位置に、座席60を保持する。
【0039】
保持部材50は、座席60に設けられた被支持部63を支持する支持部51と、支持部51をハンドル40に接続する接続部55と、を有している。支持部51は、上方に開口した受け穴53、又は、上方に突出した差し込み部を有している。また、被支持部63は、支持部51の受け穴53に挿入可能な下方に突出した差し込み部、又は、支持部51の差し込み部を挿入可能な下方に開口した受け穴として構成され得る。図示された例において、支持部51は、上方に向いた支持面52に形成された受け穴53を有している。支持面52は、前後方向に広がっている。支持面52の前後方向における中央部分に、上方に開口した受け穴53が形成されている。
【0040】
一方、座席60の被支持部63は、各基部61に設けられている。基部61は、下方を向く被支持面62を有している。被支持面62は、支持面52に対応して、前後方向に広がっている。被支持面62の前後方向における中央部分から、被支持部63をなす差し込み部が下方に突出している。
【0041】
このような支持部51及び被支持部63の構成によれば、座席60を上下方向における上方から乳母車本体20上に降ろすことによって、保持部材50を介して座席60を乳母車本体20上に保持することが可能となる。より具体的には、座席60を降ろすことによって、一対の基部61の各々から下方に突出する被支持部63が、対応する保持部材50の支持部51の受け穴53内に挿入される。そして、基部61の被支持面62が保持部材50の支持面52と接触することで、座席60が乳母車本体20上に保持されるようになる。座席60が乳母車本体20によって保持された状態で、支持部51が被支持部63と係合していることから、座席60の乳母車本体20に対する水平方向への相対移動が規制される。
【0042】
図9に示すように、保持部材50は、座席60の前後の向きを変えて保持することができる。これにより、座席60の向きを変更するだけで、
図9(a)に示された乳幼児が乳母車10の進行方向前方を向く背面状態と、
図9(b)に示された乳幼児が乳母車10の操縦者(保護者)と対面する対面状態と、を切り換えることが可能となる。
【0043】
また、一対の保持部材50及び一対の基部61は、幅方向に離間して配置されている。したがって、座席60が乳母車本体20に保持された状態において、前後方向に沿った軸線を中心とする座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれ、及び、上下方向に沿った軸線を中心とする座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれを効果的に規制することができる。加えて、
図5及び
図8に示すように、受け穴53の前後に支持面52が広がり、被支持部63の前後に被支持面62が広がっている。したがって、座席60が乳母車本体20に保持された状態において、幅方向に沿った軸線を中心とする座席60及び乳母車本体20の相対回転によるずれも効果的に規制することができる。以上のことから、乳母車本体20によって、座席60を安定して保持することができる。
【0044】
座席60は、一対の第1リンク部材21の間、一対の前脚30の間、一対の後脚35の間、一対のハンドル延出部42の間に保持される。このような座席60の配置は、乳母車本体20の構成要素との干渉を回避することが可能となる。すなわち、保持部材50は、座席60が乳母車本体20から離間するようにして、座席60を保持することができる。さらに、このような座席60の配置は、折り畳み動作中における乳母車本体20と座席60との干渉を回避可能とすることもできる。したがって、
図2及び
図3に示すように、座席60を保持したまま乳母車本体20を折り畳むことが可能となる。図示された乳母車10では、対面状態および背面状態のいずれの状態でも、座席60が乳母車本体20に保持されたまま乳母車10を折り畳むことが可能となっている。
【0045】
各被支持部63及び保持部材50は、図示しない固定手段を有する。被支持部63と保持部材50とが固定手段によって互いに対して固定されることにより、座席60が保持部材50に対して固定される。
【0046】
また、保持部材50は、解除手段54を有している。座席60を乳母車本体20から取り外す際には、解除手段54を操作することで、被支持部63と保持部材50との間の固定状態を解除することができる。
【0047】
次に、保持部材50の乳母車本体20への取り付け構造について説明する。
図5及び
図6に示すように、各保持部材50の接続部55は、第1接続部56と第2接続部57とを含む。第1接続部56は、支持部51の上端部分から後方に延び出している。第2接続部57は、支持部51の下端部分から後方に延び出している。第1接続部56の後端部と第2接続部57の後端部とは、上下方向に延びる連結部59によって連結されている。
【0048】
第1接続部56は、ハンドル40の補強連結部材45と接続している。補強連結部材45は、ハンドル40の一部分としてハンドル延出部42に接続している。
図6に示すように、第1接続部56の後端部分には、幅方向に見て円形の第1貫通孔56aが形成されている。第1貫通孔56aには、補強連結部材45が挿通されている。補強連結部材45の断面形状は、第1接続部56が接続する箇所において、円形状である。第1接続部56は、幅方向に沿った回動軸線X9の周りを、補強連結部材45に対して相対回動可能である。
【0049】
第2接続部57は、第2リンク部材22とハンドル延出部42との回動軸線X4上において、ハンドル延出部42に接続している。具体的な構成として、
図5及び
図6に示すように、各保持部材50は、第2リンク部材22とハンドル延出部42とを回動可能に接続する主軸部材25と接続している。第2接続部57の後端部分には、第2貫通孔57aが形成されている。第2貫通孔57aには、主軸部材25が挿通されている。主軸部材25は、更に第2リンク部材22及び第3リンク部材23を貫通している。したがって、第2接続部57は、主軸部材25を介して、ハンドル40のハンドル延出部42だけでなく、第2リンク部材22、更には第3リンク部材23にも接続している。
【0050】
図6によく示されているように、第2貫通孔57aは、前後方向に沿って延びている。乳母車本体20が展開状態にあるとき、主軸部材25は、第2貫通孔57aの前方領域に配置されている。
【0051】
図6及び
図7を比較することにより理解されるように、このような乳母車本体20を展開状態から折り畳むと、ハンドル40と第2リンク部材22と第3リンク部材23の相対回動に伴って、主軸部材25は第2貫通孔57aの後方領域に移動する。同時に、第1接続部56は補強連結部材45の周りを回転し、第2接続部57は主軸部材25の周りを回転する。接続部56,57の回転に伴って、ハンドル40の前後方向における中心を通る面S1と支持部51の前後方向における中心を通る面S2とが成す角度が、小さくなる。この結果、乳母車10が折り畳み状態にある場合、乳母車10が展開状態にある場合と比較して、ハンドル40に対する座席60の角度を小さくすることができる。対面状態にある乳母車10を折り畳み状態にした時にハンドル40に対する座席60の角度が小さくなると、側面視において座席60の背部70が乳母車本体20から突出することを、抑制することができる。また、背面状態にある乳母車10を折り畳み状態にした時にハンドル40に対する座席60の角度が小さくなると、座席60の座部65と前脚30とが干渉する虞を抑制することができる。このため、折り畳み状態における前脚30の後脚35に対する角度が従来よりも小さくなるように、乳母車本体20を設計することができる。この結果、折り畳み状態における乳母車本体20の前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0052】
さらに、このような乳母車10によれば、乳母車本体20を折り畳むと、自動的に保持部材50が揺動して、ハンドル40に対する座席60の角度を小さくすることができる。したがって、ハンドル40に対する座席60の角度を小さくするための追加の操作を必要としない。
【0053】
なお、図示された例では、第1接続部56は、ハンドル40に直接取り付けられている。しかしながら、これに限られず、第1接続部56はハンドル40に固定された部材に取り付けられていてもよい。すなわち、第1接続部56は、ハンドル40またはハンドル40に固定された部材に取り付けられていてよい。また、第2接続部57も、ハンドル40またはハンドル40に固定された部材に取り付けられていてよい。
【0054】
次に、後側支持部80について説明する。後側支持部80は、
図4では実線で、
図5では破線で示されている。
図1~
図3では、後側支持部80の図示を省略している。後側支持部80は、全体としてU字形状をなし、一対の側方部分81と、一対の側方部分81の後端部分を接続する後方部分82とを有する。側方部分81は、その前端部分において対応する第1リンク部材21の前方部分に接続されている。側方部分81は、乳母車本体20に座席60が取り付けられた状態において、第1リンク部材21と座席60との間を前後方向に延びる。
【0055】
後方部分82は、乳母車本体20に座席60が取り付けられた状態において、座席60の基部61よりも(したがって、保持部材50の支持部51よりも)後方に配置される。後方部分82は、展開状態にある乳母車10において、座席60の下方の、座席60と干渉しない位置に配置される。より具体的には、後方部分82は、展開状態且つ背面押し状態にある乳母車10において、背部70の下方に位置している。また、後方部分82は、展開状態且つ対面押し状態にある乳母車10において、座部65の下方に位置している。その一方で、後方部分82は、乳母車10の折り畳み時に(乳母車10を展開状態から折り畳み状態に変化させる際に)、座席60の背部70または座部65に当接して、背部70または座部65の基部61に対する角度を変えるように位置決めされている。より具体的には、後方部分82は、背面押し状態にある乳母車10の折り畳み時に、第1リンク部材21の前方部分が保持部材50に対して上昇するのに伴って背部70を下方から押し上げ、これにより背部70を基部61に対して回転させるように、位置決めされている。また、後方部分82は、対面押し状態にある乳母車10の折り畳み時に、第1リンク部材21の前方部分が保持部材50に対して上昇するのに伴って座部65を下方から押し上げ、これにより座部65を基部61に対して回転させるように、位置決めされている。このような後方部分82は、背面押し状態にある乳母車10の折り畳み時に、自動的に背部70のハンドル40に対する角度を小さくすることができ、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において背部70が乳母車本体20から突出することを、抑制することができる。また、このような後方部分82は、対面押し状態にある乳母車10の折り畳み時に、自動的に座部65のハンドル40に対する角度を小さくすることができ、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において座部65が乳母車本体20から突出することを、抑制することができる。したがって、乳母車本体20に後側支持部80が設けられていることにより、折り畳み状態にある乳母車10の前後方向における寸法を、自動的に小さくすることができる。言い換えると、乳母車10の折り畳み時に、背部70または座部65の基部61に対する角度を変えるための追加の操作を必要としない。
【0056】
図示された例では、後側支持部80は、例えば、布材、皮革、ベルト材等の柔軟性を有する部材(材料)を用いて構成されている。そして、
図6によく示されているように、展開状態にある乳母車本体20において後側支持部80の後方部分82が保持部材50の支持部51の後方に維持されるよう、後方部分82とハンドル40とは、接続部材83を介して接続されている。これにより、展開状態にある乳母車本体20に座席60を取り付ける際に、後方部分82が意図せず保持部材50の支持部51よりも前方に配置される、ということを防止することができる。図示された例では、接続部材83は、例えば、布材、皮革、ベルト材等の柔軟性を有する部材(材料)を用いて構成されている。これにより、接続部材83は、乳母車10を折り畳む際の後側支持部80の動きに容易に追随することができる。
【0057】
なお、後側支持部80及び接続部材83を構成する材料としては、上述した材料に限られない。例えば、後側支持部80は、金属等の剛体を用いて構成されていてもよい。また、後側支持部80を構成する材料によっては、接続部材83を用いずに、展開状態にある乳母車本体20における後方部分82の位置を、保持部材50の支持部51の後方に維持することができる。例えば、後側支持部80が金属等の剛体を用いて構成される場合、後側支持部80が屈曲する虞が少ないため、後方部分82が意図せず前方に移動する虞も少ない。この場合、後側支持部80とハンドル40との間に接続部材83が設けられていなくてもよい。
【0058】
また、図示された例では、後側支持部80は第1リンク部材21に取り付けられているが、これに限られない。例えば、後側支持部80は、前脚30や後脚35の上端部分に取り付けられていてもよい。この場合も、後側支持部80は、乳母車10の折り畳み時に、前脚30や後脚35の上端部分が保持部材50に対して上昇するのに伴って、座部65または背部70を下方から押し上げて基部61に対して回転させることができる。
【0059】
次に、前側支持部85について説明する。
図4に示すように、前側支持部85は、一対の第2リンク部材22の間を幅方向に沿って延びている。前側支持部85の各端部は、対応する第2リンク部材の前方部分に接続している。前側支持部85は、展開状態にある乳母車10において、座席60の下方の、座席60と干渉しない位置に配置されている。より具体的には、前側支持部85は、展開状態且つ背面押し状態にある乳母車10において、座部65の下方に位置している。また、前側支持部85は、展開状態且つ対面押し状態にある乳母車10において、背部70の下方に位置している。その一方で、前側支持部85は、乳母車10の折り畳み時に、座席60の座部65または背部70に当接して、座部65または背部70の基部61に対する角度を変えるようにするように位置決めされている。より具体的には、前側支持部85は、背面押し状態にある乳母車10の折り畳み時に、第2リンク部材22の前方部分が保持部材50に対して上昇するのに伴って、座部65を下方から押し上げ、これにより座部65を基部61に対して回転させるように、位置決めされている。また、前側支持部85は、対面押し状態にある乳母車10の折り畳み時に、第2リンク部材22の前方部分が保持部材50に対して上昇するのに伴って、背部70を下方から押し上げ、これにより背部70を基部61に対して回転させるように、位置決めされている。このような前側支持部85は、背面押し状態にある乳母車10の折り畳み時に、自動的に座部65のハンドル40に対する角度を小さくすることができ、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において座部65が乳母車本体20から突出することを、抑制することができる。また、このような前側支持部85は、対面押し状態にある乳母車10を折り畳む際に、自動的に背部70のハンドル40に対する角度を小さくすることができ、折り畳み状態にある乳母車10の側面視において背部70が乳母車本体20から突出することを、抑制することができる。したがって、乳母車本体20に前側支持部85が設けられていることにより、折り畳み状態にある乳母車10の前後方向における寸法を、自動的に小さくすることができる。言い換えると、乳母車10の折り畳み時に、座部65または背部70の基部61に対する角度を変えるための追加の操作を必要としない。
【0060】
なお、図示された例では、前側支持部85は一対の第2リンク部材22に取り付けられているが、これに限られない。例えば、前側支持部85は、前脚30の中間部分または上方部分に取り付けられていてもよい。この場合も、前側支持部85は、乳母車10の折り畳み時に、前脚30の中間部分または上方部分が保持部材50に対して上昇するのに伴って、座部65または背部70を下方から押し上げて基部61に対して回転させることができる。
【0061】
次に、
図10を参照して、座部65の基部61への取付構造について説明する。座部65の前方枠材66の各端部は、対応する側の基部61に、座部接続部90を介して接続されている。座部接続部90の前方部分91には、座席60の前方に向かって開口する凹部92が形成されている。凹部92には、前方枠材66の後端部が収容されている。座部接続部90の後方部分95は、基部61に枢着されている。基部61は、座部接続部90を、幅方向に延びる回動軸線X6の周りを回動可能に保持している。後方部分95は回動軸線X6が通過する中心部96と、中心部96の周縁部の一部から回動軸線X6を中心とする円の径方向外側に延び出す大径部97とを含む。大径部97の外周面97aの一部は、円弧状に形成されている。基部61は、後方部分95が枢着される枢着部100を含む。枢着部100は、後方部分95を収容する凹部101を含む。凹部101の内周面102は円弧状の部分を含む。後方部分95は、基部61に対して回動する際、凹部101の内周面102で囲まれた領域内を回動する。
【0062】
大径部97の外周面97aは、中心部96から上記円の径方向外側に延びる当接面97bを含む。これに対応して、凹部101の内周面102は、上記円の径方向内側に延びる規制面103を含む。乳幼児が座部65に着座した際、当接面97bが規制面103に上記円の周方向に(図示された例では下方から)当接することにより、座部65は略水平に維持される。
【0063】
凹部101の内周面102は、上記円の径方向内側に突出する基部側突出部104を含む。また、大径部97の外周面97aは、上記円の径方向外側に突出する座部側突出部98を含む。基部側突出部104は、次のような位置に形成されている。すなわち、当接面97bと規制面103とが対面して接近するように座部65を基部61に対して回転させる際に、当接面97bが規制面103に当接する前に座部側突出部98が基部側突出部104に当接する、という位置に、基部側突出部104は形成されている。
【0064】
また、座部側突出部98及び基部側突出部104は、座部側突出部98が上記円の周方向に基部側突出部104を乗り越えることができるように、形成されている。したがって、当接面97bと規制面103とが対面して接近するように座部65を基部61に対して回転させる際に、座部側突出部98が基部側突出部104に当接するが、座部65に下方に向かう力を加えることにより、座部側突出部98は基部側突出部104を乗り越えることができる。これにより、当接面97bを規制面103に当接させることができる。当接面97bが規制面103に当接した状態において、基部側突出部104に座部側突出部98が上記周方向に当接することにより、基部61に対する座部65の揺動が防止される。これにより、座席60に乳幼児を着座させる前に座部65を安定的に略水平にすることができ、乳幼児を座席60に着座させることが容易になる。また、当接面97bが規制面103に当接した状態にある座部65を、当接面97bが規制面103から離間するように回転させる際に、座部側突出部98が基部側突出部104に当接するが、座部65に上方に向かう力を加えることにより、座部側突出部98は基部側突出部104を乗り越えることができる。したがって、乳母車10の折り畳み操作の際に、後側支持部80又は前側支持部85が座部65に下方から当接することによって、座部側突出部98は基部側突出部104を乗り越えることができる。そして、座部65のハンドル40に対する角度を小さくすることができる。
【0065】
次に、
図11及び
図12を参照して、展開用付勢部材について説明する。図示された例では、乳母車10は、第1~第5展開用付勢部材111~115を有する。図示された例では、第1~第5展開用付勢部材111~115は、トーションバネである。各展開用付勢部材111~115は、コイル状に形成されたコイル部116と、コイル部116の一端に接続する第1端部117と、コイル部116の他端に接続する第2端部118と、を有する。
【0066】
図11に示すように、第1展開用付勢部材111は、前脚30と後脚35との間に設けられている。上述したように、前脚30及び後脚35は、回動軸線X1の周りを互いに対して回動する。第1展開用付勢部材111のコイル部116は、回動軸線X1を囲むように配置されている。第1展開用付勢部材111の第1端部117は、前脚主材31の上端部分に対して固定されている。また、第1展開用付勢部材111の第2端部118は、後脚主材36の上端部分に対して固定されている。このような第1展開用付勢部材111によって、前脚30と後脚35とは、乳母車本体20の展開時における(乳母車本体20が折り畳み状態から展開状態へ変化する際の)互いに対する移動方向(回動方向)に付勢されている。したがって、乳母車本体20の展開時において、第1展開用付勢部材111による付勢力の助けを得ながら前脚30及び後脚35を互いに対して回動させることができる。これにより、乳母車本体20の展開操作が容易になる。
【0067】
また、
図11に示すように、第2展開用付勢部材112は、第1リンク部材21とハンドル40との間に設けられている。上述したように、第1リンク部材21及びハンドル40は、回動軸線X2の周りを互いに対して回動する。第2展開用付勢部材112のコイル部116は、回動軸線X2を囲むように配置されている。第2展開用付勢部材112の第1端部117は、第1リンク部材21の後端部分に対して固定されている。また、第2展開用付勢部材112の第2端部118は、ハンドル延出部42に対して固定されている。このような第2展開用付勢部材112によって、第1リンク部材21とハンドル40とは、乳母車本体20の展開時における互いに対する移動方向(回動方向)に付勢されている。したがって、乳母車本体20の展開時において、第2展開用付勢部材112による付勢力の助けを得ながら第1リンク部材21及びハンドル40を互いに対して回動させることができる。これにより、乳母車本体20の展開操作が容易になる。
【0068】
また、
図11に示すように、第3展開用付勢部材113は、第3リンク部材23と後脚35との間に設けられている。上述したように、第3リンク部材23及び後脚35は、回動軸線X5の周りを互いに対して回動する。第3展開用付勢部材113のコイル部116は、回動軸線X5を囲むように配置されている。第3展開用付勢部材113の第1端部117は、第3リンク部材23の下端部分に対して固定されている。また、第3展開用付勢部材113の第2端部118は、後脚主材36の下方部分に対して固定されている。このような第3展開用付勢部材113によって、第3リンク部材23と後脚35とは、乳母車本体20の展開時における互いに対する移動方向(回動方向)に付勢されている。したがって、乳母車本体20の展開時において、第3展開用付勢部材113による付勢力の助けを得ながら第3リンク部材23及び後脚35を互いに対して回動させることができる。これにより、乳母車本体20の展開操作が容易になる。
【0069】
また、
図12に示すように、第4展開用付勢部材114は、第2リンク部材22と前脚30との間に設けられている。上述したように、第2リンク部材22及び前脚30は、回動軸線X3の周りを互いに対して回動する。第4展開用付勢部材114のコイル部116は、回動軸線X3を囲むように配置されている。第4展開用付勢部材114の第1端部117は、第2リンク部材22の前端部分に対して固定されている。また、第4展開用付勢部材114の第2端部118は、前脚主材31の中間部分に対して固定されている。このような第4展開用付勢部材114によって、第2リンク部材22と前脚30とは、乳母車本体20の展開時における互いに対する移動方向(回動方向)に付勢されている。したがって、乳母車本体20の展開時において、第4展開用付勢部材114による付勢力の助けを得ながら第2リンク部材22及び前脚30を互いに対して回動させることができる。これにより、乳母車本体20の展開操作が容易になる。
【0070】
また、
図12に示すように、第5展開用付勢部材115は、第2リンク部材22とハンドル40との間に設けられている。上述したように、第2リンク部材22及びハンドル40は、回動軸線X4の周りを互いに対して回動する。第5展開用付勢部材115のコイル部116は、回動軸線X4を囲むように配置されている。第5展開用付勢部材115の第1端部117は、第2リンク部材22の後端部分に対して固定されている。また、第5展開用付勢部材115の第2端部118は、ハンドル延出部42の下端部分に対して固定されている。このような第5展開用付勢部材115によって、第2リンク部材22とハンドル40とは、乳母車本体20の展開時における互いに対する移動方向(回動方向)に付勢されている。したがって、乳母車本体20の展開時において、第5展開用付勢部材115による付勢力の助けを得ながら第2リンク部材22及びハンドル40を互いに対して回動させることができる。これにより、乳母車本体20の展開操作が容易になる。
【0071】
なお、展開用付勢部材は、乳母車本体20が折り畳み状態から展開状態へ変化する際に互いに対して回動する他の構成要素間にも配置可能である。例えば、展開用付勢部材は、第1リンク部材21と前脚30との間、第1リンク部材21と後脚35との間、又は、第3リンク部材23とハンドル40との間に設けられていてもよい。この場合、展開用付勢部材によって、第1リンク部材21と前脚30、第1リンク部材21と後脚35、又は、第3リンク部材23とハンドル40は、乳母車本体20の展開時における互いに対する移動方向(回動方向)に付勢されていればよい。この場合も、乳母車本体20の展開操作が容易になる。
【0072】
また、乳母車10は、折り畳み操作を補助するための折り畳み用付勢部材を有していてもよい。折り畳み用付勢部材は、展開用付勢部材111~115と同様に、トーションばねとして構成され得る。折り畳み用付勢部材は、上記構成要素間(すなわち、第1リンク部材21と前脚30との間、第1リンク部材21と後脚35との間、前脚30と後脚35との間、第1リンク部材21とハンドル40との間、第2リンク部材22と前脚30との間、第2リンク部材22とハンドル40との間、第3リンク部材23と後脚35との間、又は、第3リンク部材23とハンドル40との間)に配置されてよい。そして、第1リンク部材21と前脚30、第1リンク部材21と後脚35、前脚30と後脚35、第1リンク部材21とハンドル40、第2リンク部材22と前脚30、第2リンク部材22とハンドル40、第3リンク部材23と後脚35、又は、第3リンク部材23とハンドル40は、折り畳み用付勢部材によって、乳母車本体20の折り畳み時における互いに対する移動方向(回動方向)に付勢されていてもよい。この場合、乳母車本体20の折り畳み時において、折り畳み用付勢部材による付勢力の助けを得ながら、第1リンク部材21及び前脚30、第1リンク部材21及び後脚35、前脚30及び後脚35、第1リンク部材21及びハンドル40、第2リンク部材22及び前脚30、第2リンク部材22及びハンドル40、第3リンク部材23及び後脚35、又は、第3リンク部材23及びハンドル40を、互いに対して回動させることができる。これにより、乳母車本体20の折り畳み操作が容易になる。
【0073】
なお、展開用付勢部材及び折り畳み用付勢部材は、乳母車本体20の展開時または折り畳み時における互いに対する移動量(回転量)が大きい構成要素間(例えば第3リンク部材23と後脚35との間)に設けることが好ましい。この場合、乳母車本体20の展開操作または折り畳み操作を効果的に容易にすることができる。
【0074】
上述してきた一実施の形態によれば、乳母車10は、折り畳み可能な乳母車本体20と、乳母車本体20に設けられた保持部材50によって乳母車本体20に保持される座席60と、を備えている。乳母車本体20は、第1リンク部材21と、前脚30と、後脚35と、ハンドル40と、を有している。前脚30は、第1リンク部材21と接続し、第1リンク部材21に対して回動可能である。後脚35は、第1リンク部材21と接続し、第1リンク部材21に対して回動可能である。ハンドル40は、第1リンク部材21と接続し、第1リンク部材21に対して回動可能である。保持部材50は、乳母車本体20の折り畳み時にハンドル40に対して揺動する。
【0075】
このような乳母車10によれば、乳母車10の折り畳み時に、ハンドル40に対する座席60の座部65または背部70の角度を小さくすることができる。これにより、折り畳み状態にある乳母車10の前後方向における寸法を小さくすることができる。
【0076】
また、上述してきた一実施の形態によれば、乳母車本体20は、第2リンク部材22をさらに有している。第2リンク部材22は、前脚30とハンドル40との間に設けられ、前脚30及びハンドル40に対して回動可能である。保持部材50は、乳母車本体20の折り畳み時に、ハンドル40と第2リンク部材22との間の相対回動に伴って揺動する。このような乳母車10によれば、乳母車10の折り畳み時に、自動的に保持部材50をハンドル40に対して揺動させることができる。
【0077】
また、上述してきた一実施の形態によれば、乳母車10は、折り畳み可能な乳母車本体20と、乳母車本体20に設けられた保持部材50によって乳母車本体20に保持される座席60と、を備えている。座席60は、保持部材50によって支持される基部61と、基部61に設けられた座部65及び背部70と、を有する。座部65は基部61に対して揺動可能である。このような乳母車10によれば、乳母車10の折り畳み時に、座部65の前端部分が背部70に接近するように、座部65を傾けることができる。これにより、折り畳み状態にある乳母車10の前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0078】
また、上述してきた一実施の形態によれば、乳母車本体20は、第1リンク部材21と、前脚30と、後脚35と、ハンドル40と、第2リンク部材22と、前側支持部85と、を有している。第2リンク部材22は、前脚30とハンドル40との間に設けられ、前脚30及びハンドル40に対して回動可能である。前側支持部85は、前脚30又は第2リンク部材22に設けられている。背部70は、基部61に対して揺動可能である。前側支持部85は、乳母車本体20の折り畳み時に、座部65または背部70に当接して座部65または背部70を基部61に対して回転させるように、位置決めされている。
【0079】
このような乳母車10によれば、乳母車10の折り畳み時に、座部65の前端部分が背部70に接近するように、背部70を傾けることができる。これにより、折り畳み状態にある乳母車10の前後方向の寸法を小さくすることができる。また、このような乳母車10によれば、乳母車10の折り畳み時に、自動的に座部65または背部70を基部61に対して回転させることができる。したがって、座部65または背部70を基部61に対して回転させるための追加の操作を必要としない。
【0080】
また、上述してきた一実施の形態によれば、乳母車本体20は、第1リンク部材21と、前脚30と、後脚35と、ハンドル40と、第2リンク部材22と、後側支持部80とを有している。後側支持部80は、前脚30、後脚35又は第1リンク部材21に設けられている。背部70は、基部61に対して揺動可能である。後側支持部80は、乳母車本体20の折り畳み時に、座部65または背部70に当接して座部65または背部70を基部61に対して回転させるように、位置決めされている。
【0081】
このような乳母車10によれば、乳母車10の折り畳み時に、座部65の前端部分が背部70に接近するように、背部70を傾けることができる。これにより、折り畳み状態にある乳母車10の前後方向の寸法を小さくすることができる。また、このような乳母車10によれば、乳母車10の折り畳み時に、自動的に座部65または背部70を基部61に対して回転させることができる。したがって、座部65または背部70を基部61に対して回転させるための追加の操作を必要としない。
【0082】
また、上述してきた一実施の形態によれば、座部65は、基部61に接続する座部接続部90を有している。基部61は、座席60の幅方向に延びる回動軸線X6を中心として座部65が基部61に対して揺動するように座部接続部90が枢着する枢着部100を有している。座部接続部90は、回動軸線X6を中心とする円の径方向に突出する座部側突出部98を有している。基部61は、座部側突出部98が上記円の周方向に乗り越え可能な基部側突出部104を有している。基部61に対する座部65の揺動は、基部側突出部104に座部側突出部98が上記周方向に当接することにより防止される。
【0083】
このような乳母車10によれば、基部61に対する座部65の角度を、所定の角度に安定して維持することができる。すなわち、基部61に対する座部65の角度が所定の角度から意図せず変化する、ということが抑制される。その一方で、座部側突出部98は基部側突出部104を乗り越え可能なので、必要な場合には、基部61に対する座部65の角度を所定の角度から任意の角度に変化させたり、また、任意の角度から所定の角度へ変化させたりすることができる。
【0084】
また、上述してきた一実施の形態によれば、保持部材50は、取り外し可能に座席60を保持し、且つ、座席60を前後の向きを変えて保持可能である。このような乳母車10によれば、座席60の前後の向きを変えることにより、乳母車10を背面状態と対面状態との間で変更可能である。
【0085】
また、上述してきた一実施の形態によれば、乳母車本体20は、第1リンク部材21と、前脚30と、後脚35と、ハンドル40と、第2リンク部材22とを有している。第1リンク部材21と前脚30との間、第1リンク部材21と後脚35との間、第1リンク部材21とハンドル40との間、第2リンク部材22と前脚30との間、又は、第2リンク部材22とハンドル40との間に、付勢部材112,114,115が設けられている。付勢部材112,114,115によって、第1リンク部材21と前脚30、第1リンク部材21と後脚35、第1リンク部材21とハンドル40、第2リンク部材22と前脚30、又は、第2リンク部材22とハンドル40は、乳母車本体20の折り畳み時または展開時における互いに対する移動方向に付勢されている。
【0086】
このような乳母車10によれば、乳母車本体20の折り畳み時または展開時に、付勢部材112,114,115による付勢力の助けを得て、第1リンク部材21と前脚30、第1リンク部材21と後脚35、第1リンク部材21とハンドル40、第2リンク部材22と前脚30、又は、第2リンク部材22とハンドル40を互いに対して回転させることができる。この結果、乳母車本体20の折り畳み操作又は展開操作が容易になる。
【0087】
また、上述してきた一実施の形態によれば、乳母車本体20は、第1リンク部材21と、前脚30と、後脚35と、ハンドル40と、第2リンク部材22とを有している。後脚35は、第1リンク部材21及び前脚30と接続し、第1リンク部材21及び前脚30に対して回動可能である。前脚30と後脚35との間に付勢部材111が設けられている。付勢部材111によって、前脚30と後脚35は、乳母車本体20の折り畳み時または展開時における互いに対する移動方向に付勢されている。このような乳母車10によれば、乳母車本体20の折り畳み時または展開時に、付勢部材111による付勢力の助けを得て、前脚30と後脚35を互いに対して回転させることができる。この結果、乳母車本体20の折り畳み操作又は展開操作が容易になる。
【0088】
また、上述してきた一実施の形態によれば、乳母車本体20は、第1リンク部材21と、前脚30と、後脚35と、ハンドル40と、第2リンク部材22と、第3リンク部材23とを有している。第3リンク部材23は、後脚35とハンドル40との間に設けられ、後脚35及びハンドル40に対して回動可能である。第3リンク部材23と後脚35との間、又は、第3リンク部材23とハンドル40との間に付勢部材113が設けられており、付勢部材113によって、第3リンク部材23と後脚35、又は、第3リンク部材23とハンドル40は、乳母車本体20の折り畳み時または展開時における互いに対する移動方向に付勢されている。このような乳母車10によれば、乳母車本体20の折り畳み時または展開時に、付勢部材113による付勢力の助けを得て、第3リンク部材23と後脚35、又は、第3リンク部材23とハンドル40を、互いに対して回転させることができる。この結果、乳母車本体20の折り畳み操作又は展開操作が容易になる。
【0089】
また、上述してきた一実施の形態によれば、乳母車本体20は第3リンク部材23をさらに有している。第3リンク部材23は、ハンドル40及び後脚35と接続し、ハンドル40及び後脚35に対して回動可能である。第3リンク部材23は、乳母車本体20を展開した状態においてハンドル40と後脚35に沿った形状となっている。このような乳母車10によれば、展開状態にある乳母車本体20の側面視において、第3リンク部材23のハンドル40及び後脚35からの突出が抑制され、乳母車本体20の(したがって、乳母車10の)意匠性が向上する。また、展開状態にある乳母車本体20の側面視において、ハンドル40と後脚35との接続部を第3リンク部材23によって隠蔽することができる。このことによっても、乳母車本体20(したがって、乳母車10の)の意匠性が向上する。
【0090】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0091】
10:乳母車、20:乳母車本体、21:第1リンク部材、22:第2リンク部材、23:第3リンク部材、30:前脚、35:後脚、40:ハンドル、50:保持部材、60:座席、65:座部、70:背部、80:後側支持部、85:前側支持部、90:座部接続部、111:第1展開用付勢部材、112:第2展開用付勢部材、113:第3展開用付勢部材、114:第4展開用付勢部材、115:第5展開用付勢部材
【要約】
乳母車(10)は、折り畳み可能な乳母車本体(20)と、乳母車本体(20)に設けられた保持部材(50)によって乳母車本体(20)に保持される座席(60)と、を備えている。乳母車本体(20)は、第1リンク部材(21)と前脚(30)と後脚(35)とハンドル(40)とを有している。前脚(30)は、第1リンク部材(21)と回動可能に接続している。後脚(35)は、第1リンク部材(21)と回動可能に接続している。ハンドル(40)は、第1リンク部材(21)と回動可能に接続している。保持部材(50)は、乳母車本体(20)の折り畳み時にハンドル(40)に対して揺動する。