(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】紙葉類搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/22 20060101AFI20220816BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20220816BHJP
A63F 7/02 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B65H5/22 A
B65H29/52
A63F7/02 352F
(21)【出願番号】P 2022017471
(22)【出願日】2022-02-07
【審査請求日】2022-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108247
【氏名又は名称】株式会社ジェッター
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100096105
【氏名又は名称】天野 広
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 国明
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-037102(JP,A)
【文献】特開2015-178393(JP,A)
【文献】特開2018-005492(JP,A)
【文献】特開2021-106754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/22
B65H 5/38
B65H 29/24
B65H 29/52
B65G 47/14
G07D 11/00-13/00
G07F 19/00
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトと、
前記ダクトの一端において前記ダクトと連通するように配置された紙葉類収容室と、
前記ダクト内を走行するキャリアと、
前記ダクト内において前記紙葉類収容室に向かう方向に空気流を発生させる第一送風機と、
前記ダクト内において前記方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、
前記紙葉類収容室まで到達した前記キャリアを一時的に格納するキャリア格納室と、
を備え、
前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記紙葉類収容室まで前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、
前記ダクトの他端から前記紙葉類収容室に向かって前記キャリアを送り出すキャリア送り出し装置を備えており、
前記キャリア送り出し装置は、
前記キャリアが通過可能な開口部を有するキャリア収容体と、
前記ダクトの入り口に隣接する空間において、前記ダクトが延びる方向と直交する方向に前記キャリア収容体を第一位置と第二位置との間で移動させるキャリア収容体移動装置と、
を備え、
前記第一位置は、前記開口部が前記ダクトに連通し、かつ、前記第一送風機からの空気流が前記開口部に流入する位置であり、
前記第二位置は、前記キャリア収容体が前記ダクトの下方に位置し、かつ、前記第一送風機からの空気流が前記開口部には流入しない位置であり、
前記キャリア収容体の上には少なくとも1個の前記キャリアが載置されるものである紙葉類搬送装置。
【請求項2】
ダクトと、
前記ダクトの一端において前記ダクトと連通するように配置された紙葉類収容室と、
前記ダクト内を走行するキャリアと、
前記ダクト内において前記紙葉類収容室に向かう方向に空気流を発生させる第一送風機と、
前記ダクト内において前記方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、
前記紙葉類収容室まで到達した前記キャリアを一時的に格納するキャリア格納室と、
を備え、
前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記紙葉類収容室まで前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、
前記ダクトの他端から前記紙葉類収容室に向かって前記キャリアを送り出すN(Nは1以上の整数)個のキャリア送り出し装置を備えており、
前記キャリア送り出し装置は、
前記キャリアが通過可能な開口部を有するキャリア収容体と、
前記ダクトの入り口に隣接する空間において、前記ダクトが延びる方向と直交する方向に前記キャリア収容体を第一位置と第二位置との間で移動させるキャリア収容体移動装置と、
を備え、
前記第一位置は、前記開口部が前記ダクトに連通し、かつ、前記第一送風機からの空気流が前記開口部に流入する位置であり、
前記第二位置は、前記キャリア収容体が前記ダクトの下方に位置し、かつ、前記第一送風機からの空気流が前記開口部には流入しない位置であり、
前記N個の前記キャリア送り出し装置は前記ダクトが延びる方向に沿って相互に隣接して配置されているものである紙葉類搬送装置。
【請求項3】
前記ダクトの入り口に隣接して前記ダクトに連通する前記キャリア1個分の長さのスペースが形成されていることを特徴とする請求項
2に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項4】
前記キャリア収容体移動装置は、
時計方向及び反時計方向に回動可能なピニオンと、
前記キャリア収容体から直線状に下方に延び、かつ、その表面に前記ピニオンが噛み合うことが可能な凸状体が形成されている部材と、
からなるものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項5】
前記キャリアは円形状の縦断面を有する形状であることを特徴とする請求項1乃至
4の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項6】
前記紙葉類収容室の手前で前記ダクトから分岐するキャリア収納用ダクトをさらに備えており、
前記ダクトは、前記紙葉類のみが通過可能な第一領域と、前記キャリアが通過可能な第二領域と、から構成されており、
前記第一領域は前記紙葉類収容室まで延びており、
前記第二領域は前記紙葉類収容室の手前で前記第一領域から分岐し、前記キャリア収納用ダクトを構成するものであることを特徴とする請求項1乃至
5の何れか一項紙葉類搬送装置。
【請求項7】
前記キャリア収納用ダクトは2個以上の前記キャリアを収納可能な長さを有していることを特徴とする請求項
6に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項8】
複数個の前記キャリア収納用ダクトを備えており、
前記複数個の前記キャリア収納用ダクトのうちの何れか一つを選択し、選択されたキャリア収納用ダクトにのみ前記キャリアを通過させるダクト切り替え装置を備えることを特徴とする請求項
6または
7に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項9】
前記ダクト切り替え装置は、
前記紙葉類収容室に最も近いキャリア収納用ダクト以外のキャリア収納用ダクトの各々において当該キャリア収納用ダクトと一つ先のキャリア収納用ダクトとの間の境界を開閉する仕切り壁と、
前記複数個の前記キャリア収納用ダクトの各々に収納されている前記キャリアの数に応じて前記仕切り壁の開閉を制御する制御装置と、
からなるものであることを特徴とする請求項
8に記載の紙葉類収容装置。
【請求項10】
前記紙葉類収容室に最も近いキャリア収納用ダクト以外のキャリア収納用ダクトの各々には前記仕切り壁が進入可能なスリットが両側に形成されており、
前記仕切り壁は両側から前記キャリア収納用ダクトに進入し、前記第二領域のうち前記第一領域と重なり合っていない部分を塞ぐものであることを特徴とする請求項
9に記載の紙葉類収容装置。
【請求項11】
前記キャリア収納用ダクトは前記第二送風機に接続されていることを特徴とする請求項
6乃至
10の何れか一項に記載の紙葉類収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト内に発生させた空気流により紙幣その他のシート状の紙葉類を搬送する紙葉類搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような紙葉類搬送装置の一例として特開2016-160038号公報(特許文献1)に記載されたものがある。
図57乃至
図62は同公報に記載された紙葉類搬送装置を示す。
図57は紙葉類搬送装置の構造及び紙葉類搬送装置が使用される周囲の環境を示す概略図である。
この紙葉類搬送装置は、
図57に示すように、紙幣などの紙葉類をその前面で押すことにより当該紙葉類を搬送するキャリア10と、キャリア10の外形と相似し、かつ、キャリア10が走行可能な内部空間を有するダクト11と、キャリア10が搬送してきた紙葉類を収容する紙幣収容室14と、ダクト11内においてキャリア10を紙幣収容室14に向かう方向に走行させる第一送風機12aと、ダクト11内においてキャリア10を紙幣収容室14から離れる方向に走行させる第二送風機12bと、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置で停止させるストッパー13a及び13bと、を備えている。
【0003】
図57に示すように、複数個のパチンコ台20その他の遊戯機器が
図57の左右方向に一列に配置されており(
図57においては、単純化するため1個のパチンコ台20のみを示している)、パチンコ台20の横には紙幣を投入するための紙幣投入装置21が設置されている。紙幣投入装置21に投入された紙幣の額に応じて遊技媒体(パチンコ玉やメダルなど)が払い出される。
パチンコ台20の裏側には、当該紙葉類搬送装置の一構成要素であるダクト11がパチンコ台20の配列方向と平行に延びるように設置されている。
図58はダクト11の部分的斜視図(一部分解図を含む)である。
【0004】
図58に示すように、ダクト11は直線状に延びる中空構造を有しており、その縦断面は、上下方向に長い長方形において上下方向の中央部が内側に突出する形状をなしている。すなわち、上下方向の中央の部分が矩形状にダクト11の内側に突出する突出部11aを構成している。
さらに、ダクト11の側壁には、紙幣投入装置21の位置に対応して、スリット11bが形成されている。後述するように、各紙幣投入装置21に投入された紙幣はスリット11bを通過してダクト11の内部に送られる。
図59はキャリア10の斜視図である。
キャリア10は、上下方向に延びる中心軸10aと、中心軸10aの一方の側に配置された4個の第一ウィング10bと、中心軸10aの他方の側に配置された4個の第二ウィング10cと、からなる。
【0005】
第一ウィング10bは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第一ウィング10bがV字型になるように、それぞれ配置されている。同様に、第二ウィング10cは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第二ウィング10cがV字型になるように、それぞれ配置されている。後述するように、ダクト11の内部に送られた紙幣は4個の第一ウィング10bにその外縁を押されて搬送される。
図60はキャリア10がダクト11の内部に収納された状態を示す斜視図である。
図60に示すように、ダクト11の突出部11aが、上下の第一ウィング10bの間に形成された空間10d及び上下の第二ウィング10cの間に形成された空間10d(
図59参照)に嵌まり込む。
【0006】
図57に示すように、紙幣収容室14はダクト11の一端(
図57の右端)に配置されている。紙幣収容室14には、紙幣投入装置21から投入され、キャリア10によって搬送された紙幣が収容される。
ダクト11の内部に空気流(風)を送り込む第一送風機12a及び第二送風機12bはダクト11の両端に配置されている。
第一送風機12a及び第二送風機12bは何れか一方のみが作動するか、あるいは、双方とも作動しない。双方が同時に作動することはない。第一送風機12aが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第二ウィング10cが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。一方、第二送風機12bが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第一ウィング10bが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
【0007】
なお、ダクト11の一方の端部(
図57の右端)に連続して紙幣収容室14が配置されているため、第二送風機12bは紙幣収容室14に隣接して配置され、バイパス通路12cを介してダクト11と連結している。
図61は紙幣投入装置21の内部構造を示す概略図である。
図61に示すように、紙幣投入装置21は、ローラーユニット21bと、ダクト11に対して斜めの方向に延びる搬送路21cと、を備えている。
紙幣投入装置21の紙幣投入口21aから投入された紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、真贋や額面などの検査を経て、搬送路21cを介して、ダクト11の内部に投入される。
【0008】
図62は、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置(具体的には、ダクト11の両端の近傍)で停止させるストッパー13a及び13bを示す。
ストッパー13a及び13bは、ダクト11の内部に延びるフック状の部材からなる。キャリア10の第一ウィング10bがストッパー13aに引っ掛かることによって、キャリア10は紙幣収容室14の手前で停止する。また、キャリア10の第二ウィング10cがストッパー13bに引っ掛かることによって、キャリア10は第一送風機12aの手前で停止する。
上記の構造を有する紙葉類搬送装置は以下のように作動する。
パチンコ台20の顧客が紙幣投入装置21の紙幣投入口21aに紙幣を投入すると、紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、搬送路21cを介して、ダクト11のスリット11bからダクト11の内部に投入される。
【0009】
紙幣投入装置21には紙幣感知センサー(図示せず)が設けられており、紙幣がダクト11の内部に投入されると、紙幣感知センサーは紙幣投入を示す紙幣投入信号を中央制御装置(図示せず)に送信する。
紙幣投入信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aを作動させる。第一送風機12aが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14に向う方向(方向X1)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第二ウィング10cがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。キャリア10は、紙幣収容室14に到達するまでの間に、ダクト11に投入された紙幣を第一ウィング10bで捕捉する。紙幣を捕捉したキャリア10は捕捉した紙幣を押した状態を維持しながら紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行を続け、次いで、ストッパー13aにより停止させられる。キャリア10が停止することにより、紙幣は慣性力の作用を受けキャリア10から離れ、紙幣収容室14に収容される。
【0010】
紙幣は、その紙面がキャリア10の走行方向(ダクト11の長さ方向)と平行であり、かつ、その短辺がキャリア10の中心軸10aと平行になる姿勢を維持してキャリア10により搬送される。
ストッパー13aの近傍にはキャリア10を検知するセンサー(図示せず)が配置されており、キャリア10がストッパー13aによって停止すると、センサーは、キャリア10がストッパー13aによって停止したことを示すキャリア停止信号を中央制御装置に送信する。
キャリア停止信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aの作動を停止するとともに、キャリア10がストッパー13aによって停止してから所定の時間(紙幣が紙幣収容室14に収容されるのに必要な時間)が経過したときに、第二送風機12bを作動させる。
【0011】
第二送風機12bが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第一ウィング10bがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
その後、キャリア10はストッパー13bに引っ掛かり、停止する。このようにして、キャリア10は当初の位置に復帰する。
以上の動作が、紙幣が紙幣投入装置21に投入されてから、紙幣収容室14に収容されるまでの1サイクルの動作である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図57乃至
図62に示された従来の紙葉類搬送装置は1個のキャリア10のみを使用している。このため、キャリア10が一枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するまでに、キャリア10はダクト11を一往復することが必要である。具体的には、キャリア10は当初の待機位置であるダクト11の一端(
図57の左端)すなわち第一送風機12aの前方の位置から出発し、ダクト11の途中で紙幣を捕捉し、ダクト11の他端(
図57の右端)にある紙幣収容室14に紙幣を収容した後に当初の待機位置であるダクト11の一端(
図57の左端)まで戻ってくる。このように、キャリア10はダクト11の一往復で一枚の紙幣を紙幣収容室14に搬送する。
【0014】
しかしながら、キャリア10のダクト11の一往復で紙幣一枚の搬送では搬送効率は極めて低い。特に、ダクト11が長くなればなるほど、搬送効率は低くなる。また、各紙幣投入装置21への紙幣の投入枚数が多くなる(パチンコ台20の利用者が増える)と、キャリア10がフル稼働しても紙幣収容室14への紙幣の搬送処理が間に合わなくなり、各紙幣投入装置21に紙幣が溜まりっぱなしという事態が起こり、セキュリティ上の問題に直結する。
本発明は以上のような従来の紙葉類搬送装置における問題点に鑑みてなされたものであり、各紙幣投入装置に投入された紙幣を紙幣収容室に搬送する搬送効率を向上させることが可能な紙葉類搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明は、ダクトと、前記ダクトの一端において前記ダクトと連通するように配置された紙葉類収容室と、前記ダクト内を走行するキャリアと、前記ダクト内において前記紙葉類収容室に向かう方向に空気流を発生させる第一送風機と、前記ダクト内において前記方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、前記紙葉類収容室まで到達した前記キャリアを一時的に格納するキャリア格納室と、を備え、前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記紙葉類収容室まで前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、前記ダクトの他端から前記紙葉類収容室に向かって前記キャリアを送り出すキャリア送り出し装置を備えており、前記キャリア送り出し装置は、前記キャリアが通過可能な開口部を有するキャリア収容体と、前記ダクトの入り口に隣接する空間において、前記ダクトが延びる方向と直交する方向に前記キャリア収容体を第一位置と第二位置との間で移動させるキャリア収容体移動装置と、を備え、前記第一位置は、前記開口部が前記ダクトに連通し、かつ、前記第一送風機からの空気流が前記開口部に流入する位置であり、前記第二位置は、前記キャリア収容体が前記ダクトの下方に位置し、かつ、前記第一送風機からの空気流が前記開口部には流入しない位置であり、前記キャリア収容体の上には少なくとも1個の前記キャリアが載置されるものである紙葉類搬送装置を提供する。
【0017】
本発明は、さらに、ダクトと、前記ダクトの一端において前記ダクトと連通するように配置された紙葉類収容室と、前記ダクト内を走行するキャリアと、前記ダクト内において前記紙葉類収容室に向かう方向に空気流を発生させる第一送風機と、前記ダクト内において前記方向とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、前記紙葉類収容室まで到達した前記キャリアを一時的に格納するキャリア格納室と、を備え、前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記紙葉類収容室まで前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、前記ダクトの他端から前記紙葉類収容室に向かって前記キャリアを送り出すN(Nは1以上の整数)個のキャリア送り出し装置を備えており、前記キャリア送り出し装置は、前記キャリアが通過可能な開口部を有するキャリア収容体と、前記ダクトの入り口に隣接する空間において、前記ダクトが延びる方向と直交する方向に前記キャリア収容体を第一位置と第二位置との間で移動させるキャリア収容体移動装置と、を備え、前記第一位置は、前記開口部が前記ダクトに連通し、かつ、前記第一送風機からの空気流が前記開口部に流入する位置であり、前記第二位置は、前記キャリア収容体が前記ダクトの下方に位置し、かつ、前記第一送風機からの空気流が前記開口部には流入しない位置であり、前記N個の前記キャリア送り出し装置は前記ダクトが延びる方向に沿って相互に隣接して配置されているものである紙葉類搬送装置を提供する。
【0018】
上記の紙葉類搬送装置においては、前記ダクトの入り口に隣接して前記ダクトに連通する前記キャリア1個分の長さのスペースが形成されていることが好ましい。
前記キャリア収容体移動装置は、例えば、時計方向及び反時計方向に回動可能なピニオンと、前記キャリア収容体から直線状に下方に延び、かつ、その表面に前記ピニオンが噛み合うことが可能な凸状体が形成されている部材と、から構成される。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記キャリアは円形状の縦断面を有する形状であることが好ましい。
【0019】
上記の紙葉類搬送装置においては、前記紙葉類収容室の手前で前記ダクトから分岐するキャリア収納用ダクトをさらに備えており、前記ダクトは、前記紙葉類のみが通過可能な第一領域と、前記キャリアが通過可能な第二領域と、から構成されており、前記第一領域は前記紙葉類収容室まで延びており、前記第二領域は前記紙葉類収容室の手前で前記第一領域から分岐し、前記キャリア収納用ダクトを構成するものであることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記キャリア収納用ダクトは2個以上の前記キャリアを収納可能な長さを有していることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、複数個の前記キャリア収納用ダクトを備えており、前記複数個の前記キャリア収納用ダクトのうちの何れか一つを選択し、選択されたキャリア収納用ダクトにのみ前記キャリアを通過させるダクト切り替え装置を備えることが好ましい。
【0020】
前記ダクト切り替え装置は、例えば、前記紙葉類収容室に最も近いキャリア収納用ダクト以外のキャリア収納用ダクトの各々において当該キャリア収納用ダクトと一つ先のキャリア収納用ダクトとの間の境界を開閉する仕切り壁と、前記複数個の前記キャリア収納用ダクトの各々に収納されている前記キャリアの数に応じて前記仕切り壁の開閉を制御する制御装置と、から構成される
上記の紙葉類搬送装置においては、前記紙葉類収容室に最も近いキャリア収納用ダクト以外のキャリア収納用ダクトの各々には前記仕切り壁が進入可能なスリットが両側に形成されており、前記仕切り壁は両側から前記キャリア収納用ダクトに進入し、前記第二領域のうち前記第一領域と重なり合っていない部分を塞ぐものであることが好ましい。
上記の紙葉類搬送装置においては、前記キャリア収納用ダクトは前記第二送風機に接続されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
図57乃至
図62に示した従来の紙葉類搬送装置は1個のキャリア10しか使用できないものであったため、キャリア10は紙幣を紙幣収容室14に搬送した後に当初の位置まで戻ることが必要であった。このため、2枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア10はダクト11を2回往復することが必要であった。具体的には、片道(行き)2回、片道(戻り)2回の走行である。
これに対して、本発明に係る紙葉類搬送装置は少なくとも2個のキャリアを使用することが可能である。このため、2枚の紙幣を紙幣収容室に収容するために1個のキャリアがダクトを2回往復する必要はない。キャリアがダクトの内部で紙幣を捕捉すると、捕捉された紙幣は紙幣収容室に送られ、キャリアは一時的にキャリア格納室に格納される。
【0022】
このように、捕捉した紙幣を紙幣収容室まで搬送したキャリアは、従来の紙葉類搬送装置とは異なり、そのつど当初の位置までは戻されずに、キャリア格納室に一旦格納される。例えば、2個のキャリアを使用する場合には、これら2個のキャリアは各1枚の紙幣を搬送した後にキャリア格納室に一時的に格納され、一度に当初の位置に送り返される。このように、本発明に係る紙葉類搬送装置によれば、キャリアは片道(行き)2回、片道(戻り)1回の走行を行えば、2枚の紙幣を紙幣収容室に収容することが可能である。
このように、本発明に係る紙葉類搬送装置は、従来の紙葉類搬送装置とは異なり、少なくとも2個のキャリアを使用することを可能にするものであり、従来の紙葉類搬送装置と比較して、より効率的に複数枚の紙幣を紙幣収容室に搬送することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置の構造及びその周囲の環境を示す概略図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において用いられるキャリアを正面側から見たときの斜視図である。
【
図3】
図2のキャリアを背面側から見たときの斜視図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において用いられるダクトの斜視図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア、紙幣及びダクトの相互の位置関係を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア、紙幣及びダクトの相互の位置関係を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア送り出し装置の外観を示す斜視図である。
【0024】
【
図8】
図7に示したキャリア送り出し装置の分解斜視図である。
【
図9】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア収容体及びキャリア収容体移動装置の斜視図である。
【
図10】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるカバーブロックの第三部材を背面側から見たときの分解斜視図である。
【
図11】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるカバーブロックのフードを背面側から見たときの斜視図である。
【
図12】
図11に示したフードの内部を示す分解斜視図である。
【
図13】
図11に示したフードの内部を示す分解斜視図である。
【
図14】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア送り出し装置からキャリアを送り出すときの状況を示す縦断面図である。
【
図15】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア送り出し装置からキャリアを送り出すときの状況を示す縦断面図である。
【0025】
【
図16】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア送り出し装置からキャリアを送り出すときの状況を示す縦断面図である。
【
図17】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるキャリア送り出し装置からキャリアを送り出すときの状況を示す縦断面図である。
【
図18】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア送り出し装置からキャリアを送り出すときの状況を示す縦断面図である。
【
図19】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリアがキャリア送り出し装置に送り返されてきたときの状況を示す縦断面図である。
【
図20】本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリアがキャリア送り出し装置に送り返されてきたときの状況を示す縦断面図である。
【
図21】本発明の第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置において用いられるキャリア収容体の斜視図である。
【0026】
【
図22】本発明の第二の実施形態におけるキャリア送り出し装置の動作を示す縦断面図である。
【
図23】本発明の第三の実施形態に係る紙葉類搬送装置の部分的斜視図である。
【
図25】
図25(A)は本発明の第三の実施形態におけるキャリア送り出し装置の縦断面図、
図25(B)はキャリア送り出し装置の左側面図、
図25(C)はキャリア送り出し装置の右側面図である。
【
図26】本発明の第三の実施形態におけるキャリア送り出し装置からキャリアが順に送り出されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図27】本発明の第三の実施形態におけるキャリア送り出し装置からキャリアが順に送り出されるときの状況を示す縦断面図である。
【0027】
【
図28】本発明の第三の実施形態におけるキャリア送り出し装置からキャリアが順に送り出されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図29】本発明の第三の実施形態におけるキャリア送り出し装置からキャリアが順に送り出されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図30】本発明の第三の実施形態におけるキャリア送り出し装置からキャリアが順に送り出されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図31】本発明の第三の実施形態におけるキャリア送り出し装置からキャリアが順に送り出されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図32】本発明の第三の実施形態におけるキャリア送り出し装置からキャリアが順に送り出されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図33】本発明の第三の実施形態におけるキャリア送り出し装置からキャリアが順に送り出されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図34】本発明の第三の実施形態におけるキャリア送り出し装置からキャリアが順に送り出されるときの状況を示す縦断面図である。
【0028】
【
図35】本発明の第三の実施形態におけるキャリア送り出し装置からキャリアが順に送り出されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図36】本発明の第三の実施形態において、キャリアが一度にキャリア送り出し装置に送り返されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図37】本発明の第三の実施形態において、キャリアが一度にキャリア送り出し装置に送り返されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図38】本発明の第三の実施形態において、キャリアが一度にキャリア送り出し装置に送り返されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図39】本発明の第三の実施形態において、キャリアが一度にキャリア送り出し装置に送り返されるときの状況を示す縦断面図である。
【0029】
【
図40】本発明の第三の実施形態において、キャリアが一度にキャリア送り出し装置に送り返されるときの状況を示す縦断面図である。
【
図41】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置の構造及びその周囲の環境を示す概略図である。
【
図42】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置におけるダクト及びダクトから分岐したキャリア収納用ダクトの部分的横断面図である。
【
図43】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクト側から見たときのダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
【
図44】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、ダクト側から見たときのダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
【
図45】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトに複数個のキャリアが収納される状態を示す断面図である。
【0030】
【
図46】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトに複数個のキャリアが収納される状態を示す断面図である。
【
図47】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトに複数個のキャリアが収納される状態を示す断面図である。
【
図48】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトに複数個のキャリアが収納される状態を示す断面図である。
【
図49】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトに複数個のキャリアが収納される状態を示す断面図である。
【
図50】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトからキャリアが排出される状態を示す断面図である。
【0031】
【
図51】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトからキャリアが排出される状態を示す断面図である。
【
図52】本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクトからキャリアが排出される状態を示す断面図である。
【
図53】本発明の第四の実施形態の第一の変形例に係る紙葉類搬送装置の部分的な横断面図である。
【
図54】本発明の第四の実施形態の第一の変形例に係る紙葉類搬送装置において、キャリア収納用ダクト側から見たときのダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
【
図55】
図55(A)は本発明の第四の実施形態の第一の変形例に係る紙葉類搬送装置において、ダクト側から見たときのダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図、
図55(B)はダクト及びキャリア収納用ダクトの分岐点における断面図である。
【0032】
【
図56】本発明の第四の実施形態の第二の変形例に係る紙葉類搬送装置の部分的な横断面図である。
【
図57】従来の紙葉類搬送装置が使用される周囲の環境を示す概略図である。
【
図58】
図57に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるダクトの部分的斜視図(一部分解図を含む)である。
【
図59】
図57に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるキャリアの斜視図である。
【
図60】
図59に示したキャリアが
図58に示したダクトの内部に収納された状態を示す斜視図である。
【
図61】
図57に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素である紙幣投入装置の内部構造を示す概略図である。
【
図62】
図57に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるストッパーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100の構造及びその周囲の環境を示す概略図である。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は
図57乃至
図62に示した従来の紙葉類搬送装置と比較して次の点が構造的に相違している。
(1)キャリア及びダクトの形状が相違している。
(2)キャリア送り出し装置200を備えている。
(3)キャリア格納室を備えている。
以下、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100の構造を説明する。以下に述べる点以外の構造は従来の紙葉類搬送装置と同様である。
【0034】
図2は本実施形態に係る紙葉類搬送装置100において用いられるキャリア110を正面側から見たときの斜視図、
図3はキャリア110を背面側から見たときの斜視図である。
図2及び
図3に示すように、キャリア110は「砲弾」型をなしており、具体的には、円柱形状の本体部分110aと、本体部分110aの背面側に本体部分110aと連続して形成された半球形状の後方部分110bと、から構成されている。
キャリア110は軽量化を図るために中空構造とされている。
キャリア110は本体部分110aの前面110cにおいて紙幣を押して紙幣を搬送する。本体部分110aの前面110cには円周に沿って同一形状の複数個の突起110dが等間隔に形成されている。相互に隣接する2個の突起110dの間に紙幣を挟み込み、紙幣を保持する。突起110dは、例えば、半球形状をなしている。
【0035】
キャリア110は後方部分110bにおいて第一送風機12aからの空気流(風)を受けることにより紙幣収容室14に向かって前進する。
図4は本実施形態に係る紙葉類搬送装置100において用いられるダクト120の斜視図である。
図5及び
図6はキャリア110、紙幣50及びダクト120の相互の位置関係を示す斜視図である。
ダクト120は、
図4に示すように、第一領域120aと第二領域120bとから構成されている。
第一領域120aは上下に長い長方形の形状をなしており、その高さは紙幣50の短辺50a(
図5参照)が通過できる高さであり、その幅は紙幣50が折り曲がっていたり、あるいは、湾曲している場合であっても、紙幣50が十分に通過できる幅である。
【0036】
第二領域120bは円形の縦断面を有しており、キャリア110が通過できるような大きさ(半径)に設定されている。
第一領域120aと第二領域120bとは部分的に重なり合っており、第一領域120aが第二領域120bの中心を通り、第二領域120bから上下の方向に突出している。
図5及び
図6に示すように、キャリア110はその前面110cにおいて紙幣50の短辺50aを押し、ダクト120の内部において紙幣50を搬送する。紙幣50はダクト120の第一領域120aを通過し、キャリア110はダクト120の第二領域120bを通過する。
このように、第一領域120aは紙幣50のみが通過可能であり、キャリア110は第一領域120aを通過することはできない(正確には、キャリア110は第二領域120bから上下の方向に突出している第一領域120aの部分を通過することはできない)。
【0037】
図1に示すように、ダクト120の一端(
図1の左端)においてダクト120と第一送風機12aとの間にはキャリア送り出し装置200が配置されている。
図7はキャリア送り出し装置200の外観を示す斜視図、
図8はキャリア送り出し装置200の分解斜視図である。
図8に示すように、キャリア送り出し装置200は、キャリア収容体210と、キャリア収容体移動装置220と、キャリア収容体210を覆うカバーブロック230と、から構成されている。
図9はキャリア収容体210及びキャリア収容体移動装置220の斜視図である。
【0038】
図9に示すように、キャリア収容体210は直方体形状をなしており、一対の鉛直面の間には水平方向に円形の開口部211が貫通している。開口部211の半径はキャリア110の半径よりやや大きく、キャリア110が通過可能な大きさである。
キャリア収容体移動装置220は、キャリア収容体210から直線状に鉛直下方に延びるラック部材221と、ピニオン222と、ピニオン222を回転させるモーター222Aと、からなる。
ラック部材221の表面にはピニオン222と噛み合うことが可能な凸状体221Aが形成されている。
【0039】
ピニオン222はカバーブロック230に固定されている(
図8参照)。このため、ピニオン222が時計方向に回転すれば、ラック部材221ひいてはキャリア収容体210は下方に移動し、ピニオン222が反時計方向に回転すれば、ラック部材221ひいてはキャリア収容体210は上方に移動する。
ピニオン222を駆動するモーター222Aの作動は中央制御装置(図示せず)によって制御され、キャリア収容体移動装置220は中央制御装置からの指令に応じてキャリア収容体210を第一位置と第二位置との間で上下動させる。
第一位置はキャリア収容体210の開口部211の軸線がダクト120の第二領域120bの軸線とほぼ一致するような位置である。後述するように、第一位置においては、キャリア収容体210の開口部211はダクト120の第二領域120bと対面し、第二領域120bと相互に連通しているとともに、キャリア110は第一送風機12aからの空気流による風圧を後方部分110bにおいて受ける。
【0040】
第二位置はキャリア収容体210がダクト120の第二領域120bの直下に位置している位置である。後述するように、第二位置においては、キャリア収容体210の開口部211はダクト120の第二領域120bとは対面せず、第二領域120bと相互に連通しておらず、さらに、キャリア110は第一送風機12aからの空気流による風圧を受けることはない。
図8に示すように、カバーブロック230は第一部材231と第二部材232と第三部材233とから構成されている。
第一部材231は、プレート231Aと、プレート231Aに対して直立しているダクト用フレーム231Bと、からなる。
【0041】
ダクト120はダクト用フレーム231Bの内側に篏合することにより位置決めされる。プレート231Aにはダクト120の縦断面と同一形状の開口(図示せず)が形成されている。
第二部材232は、第一プレート232Aと、第二プレート232Bと、第一プレート232Aと第二プレート232Bとの間に挟み込まれた中空のボックス232Cと、からなる。
ボックス232Cは下方が開口しており、キャリア収容体210はボックス232Cの内部において、キャリア収容体移動装置220のラック部材221がボックス232Cの下方から露出するように(
図7参照)、所定の位置に固定される。
第一プレート232Aには開口232AAが、第二プレート232Bには開口(図示せず)がそれぞれ形成されており、これらの開口は、キャリア収容体210がボックス232Cの内部に固定されたときに、キャリア収容体210の開口部211及びプレート231Aの開口と連通している。
【0042】
図10は第三部材233を背面側から見たときの分解斜視図である。
図10に示すように、第三部材233は、鉛直面をなす第一プレート233Aと、第一プレート233Aに対して直交するように第一プレート233Aに固定的に取り付けられる第二プレート233Bと、第一プレート233A及び第二プレート233Bの双方にわたって取り付けられているフード233Cと、フード233Cの内部において第一プレート233Aに直交して取り付けられた第三プレート233Dと、開閉板233Eと、から構成されている。
【0043】
第二プレート233Bにはフード233Cと連通する開口233BAが形成されている。
図7に示すように、第二プレート233Bには第一送風機12aが取り付けられている。第一送風機12aが発生させた空気流(風)は、第二プレート233Bの開口233BAを経てフード233Cの内部を通り、第一プレート233Aに形成されている開口233AA、第二部材232の第二プレート232Bの開口、キャリア収容体210の開口部211、第二部材232の第一プレート232Aの開口232AA及び第一部材231のプレート231Aの開口を経てダクト120の内部に供給される。
図11はフード233Cを背面側から見たときの斜視図である。
図11に示すように、フード233Cの背面には開口233CAが形成されている。後述するように、第二送風機12bからの空気流は開口233CAから外部に排出される。
図12及び
図13はフード233Cの内部を示す分解斜視図である。
【0044】
図12及び
図13に示すように、開閉板233Eは第二プレート233Bの開口233BAを覆う大きさを有しており、フード233Cの内壁にヒンジ233EAを介して取り付けられている。このため、第一送風機12aが作動していないとき(空気流が発生していないとき)には、
図12に示すように、開閉板233Eは第二プレート233Bの開口233BAを閉じているが、第一送風機12aが作動しているとき(空気流が発生しているとき)には、
図13に示すように、空気流の風圧により開閉板233Eはヒンジ233EAを中心として回転し、第二プレート233Bの開口233BAを開いた状態に保っている。
【0045】
図10に示すように、第三プレート233Dは第一プレート233Aに対して直交するように第一プレート233Aの幅方向の中央において固定的に取り付けられている。第三プレート233Dは、第一プレート233Aの開口233AAから外側に延びる突出部233DAと、第一プレート233Aの開口233AAに面して取り付けられた半円柱状のストッパー233DBと、を有している。後述する
図14に示されるように、突出部233DAの下縁はダクト120の第二領域120bの上縁と同一水平線上にあり、ストッパー233DBは送り返されてきたキャリア110を停止させるものである。
図14乃至
図18はキャリア送り出し装置200からキャリア110を送り出すときの状況を示す縦断面図、
図19及び
図20はキャリア110がキャリア送り出し装置200に送り返されてきたときの状況を示す縦断面図である。
以下、
図14乃至
図20を参照して、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100の動作を説明する。
【0046】
キャリア送り出し装置200がキャリア110を送り出す前の段階においては、
図14に示すように、キャリア収容体210は第二位置に配置されている。すなわち、キャリア収容体210はダクト120の入り口に隣接して形成されている空間120S内において、ダクト120の第二領域120bの下方に位置し、キャリア収容体210の開口部211はダクト120の第二領域120bと連通していない。さらに、キャリア収容体210の開口部211は第一送風機12aからの空気流による風圧を受ける位置にはない。
キャリア収容体210の開口部211の内部には1個のキャリア110Bが装填されており、キャリア収容体210の上の空間120S内にはもう一つのキャリア110Aが載置されている。キャリア110Aはダクト120に対面して位置し、その後方部分110bがストッパー233DBに接した状態で停止している。
【0047】
この段階では第一送風機12aは作動していないため、開閉板233Eは第二プレート233Bの開口233BAを閉じている状態を維持している。
紙幣50がダクト120に投入されると、センサー(図示せず)が紙幣50を検知し、紙幣投入信号を中央制御装置に送信する。
この紙幣投入信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aを作動させる。第一送風機12aが作動を開始すると、
図15の矢印Sに示すように、第一送風機12aからの空気流は開閉板233Eを跳ね上げ、フード233Cの内部に流入し、第一プレート233Aの開口233AAを通り、キャリア収容体210上に載置されているキャリア110Aの後方部分110bに風圧を作用させる。
後方部分110bに風圧を受けたキャリア110Aは紙幣収容室14に向かう方向X1(
図1参照)に発進し、途中で紙幣50を捕捉し、紙幣収容室14に紙幣50を搬送する。紙幣収容室14への紙幣50の搬送を完了したキャリア110Aは一旦キャリア格納室(図示せず)に格納される。
【0048】
キャリア110Aが紙幣収容室14の手前まで到達すると、センサー(図示せず)がキャリア110Aを検知し、検知信号を中央制御装置に送信する。この検知信号を受信した中央制御装置は、
図16に示すように、第一送風機12aの作動を停止し、次いで、ピニオン222を反時計方向に回転させる。これにより、キャリア収容体210は上方に移動し、第二位置から第一位置に移動する。第一位置においては、キャリア110Bはダクト120の入り口に対面して位置している。
キャリア収容体210が第一位置に移動すると、センサー(図示せず)がこれを検知し、検知信号を中央制御装置に送信する。この検知信号を受信した中央制御装置は、
図17に示すように、第一送風機12aを作動させる。
第一送風機12aが作動を開始すると、
図17の矢印Sに示すように、第一送風機12aからの空気流は開閉板233Eを跳ね上げ、フード233Cの内部に流入し、第一プレート233Aの開口233AAを通り、キャリア収容体210上に載置されているキャリア110Bの後方部分110bに風圧を作用させる。
【0049】
後方部分110bに風圧を受けたキャリア110Bは紙幣収容室14に向かう方向X1(
図1参照)に発進し、途中で紙幣50を捕捉し、紙幣収容室14に紙幣50を搬送する。紙幣収容室14への紙幣50の搬送を完了したキャリア110Bは、キャリア110Aと同様に、一旦キャリア格納室に格納される。
キャリア110Bが紙幣収容室14の手前まで到達すると、センサー(図示せず)がキャリア110Bを検知し、検知信号を中央制御装置に送信する。この検知信号を受信した中央制御装置は、
図18に示すように、第一送風機12aの作動を停止する。第一送風機12aが作動を停止すると、開閉板233Eは再び第二プレート233Bの開口233BAを閉じる。キャリア収容体210は第一位置にそのまま止め置かれる。
以上のようにして、2個のキャリア110A、110Bが紙幣収容室14に向かって発進し、途中で紙幣50をそれぞれ捕捉し、捕捉した紙幣50を紙幣収容室14に搬送する。
【0050】
2個のキャリア110A、110Bによる紙幣50の搬送が完了すると、キャリア格納室に格納されているキャリア110A、110Bは、以下のようにして、キャリア送り出し装置200に送り返される。
中央制御装置が第一送風機12aの作動を停止した後、キャリア格納室に格納されている2個のキャリア110A、110Bはともにダクト120の内部に戻される。
センサー(図示せず)がダクト120の内部にキャリア110A、110Bが戻されたことを検知すると、検知信号を中央制御装置に送信し、この検知信号を受信した中央制御装置は第二送風機12bを作動させる。
第二送風機12bが作動を開始すると、キャリア110A、110Bはそれらの前面110cに空気流の風圧を受け、一団となってキャリア送り出し装置200に向かう方向X2に走行を開始する。
【0051】
図19に示すように、キャリア110A、110Bはストッパー233DBに当たって停止する。キャリア収容体210は第一位置に静止しているので、先頭のキャリア110Aはキャリア収容体210の開口部211の内部に収容される。第二送風機12bからの空気流はダクト120からフード233Cの内部を通り、フード233Cに形成された開口233CA(
図11参照)を通って外部に放出される。開閉板233Eは第二プレート233Bの開口233BAを閉じているので、第二送風機12bからの空気流が第一送風機12aに流れ込むことはない。
キャリア110A、110Bがストッパー233DBに当たって停止すると、これを検知したセンサー(図示せず)が検知信号を中央制御装置に送信する。この検知信号を受信した中央制御装置は、
図20に示すように、ピニオン222を時計方向に回転させ、キャリア収容体210を第一位置から第二位置まで下降させる。
【0052】
キャリア110Aを開口部211の内部に収容しているキャリア収容体210が第一位置から第二位置まで下降すると、キャリア110Aの後方に位置していたキャリア110Bは第二送風機12bからの空気流の風圧によってさらに前進し、ストッパー233DBに当たって停止する。
キャリア110Bがストッパー233DBに当たって停止すると、これを検知したセンサー(図示せず)が検知信号を中央制御装置に送信する。この検知信号を受信した中央制御装置は第二送風機12bの作動を停止する。
このようにして、紙葉類搬送装置100は
図14に示した当初の状態に戻る。以上の動作が2個のキャリア110A、110Bがキャリア送り出し装置200から送り出され、それぞれ紙幣50を紙幣収容室14に搬送した後にキャリア送り出し装置200に送り返されてくるまでの1サイクルの動作である。紙幣50がダクト120の内部に投入される毎にこの動作が繰り返される。
【0053】
本実施形態に係る紙葉類搬送装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
図57乃至
図62に示した従来の紙葉類搬送装置は1個のキャリア10しか使用できないものであったため、キャリア10は紙幣を紙幣収容室14に搬送した後に当初の位置まで戻ることが必要であった。このため、2枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア10はダクト11を2回往復することが必要であった。具体的には、片道(行き)2回、片道(戻り)2回の走行である。
これに対して、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は2個のキャリア110A、110Bを使用することが可能である。このため、2枚の紙幣50を紙幣収容室14に収容するためにキャリア110がダクト120を2回往復する必要はない。キャリア110がダクト120の内部で紙幣50を捕捉すると、捕捉された紙幣50は紙幣収容室14に送られ、キャリア110は一時的にキャリア格納室に格納される。
【0054】
このように、捕捉した紙幣50を紙幣収容室14まで搬送したキャリア110は、従来の紙葉類搬送装置とは異なり、そのつど当初の位置までは戻されずに、キャリア格納室に一旦格納される。2個のキャリア110A、110Bは各1枚の紙幣50を搬送した後にキャリア格納室に一時的に格納され、これら2個のキャリア110A、110Bは一度に当初の位置に送り返される。このように、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100によれば、キャリアは片道(行き)2回、片道(戻り)1回の走行を行えば、2枚の紙幣50を紙幣収容室14に収容することが可能である。
このように、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は、従来の紙葉類搬送装置とは異なり、2個のキャリア110A、110Bを使用することを可能にするものであり、従来の紙葉類搬送装置と比較して、より効率的に複数枚の紙幣50を紙幣収容室14に搬送することを可能にする。
【0055】
本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
キャリアの形状は本実施形態におけるキャリア110の形状には限定されない。任意の形状のキャリアを選択することができ、そのキャリアの形状に応じてダクト120の形状を変えることができる。
キャリア110の本体部分110aの内壁に金属箔や金属製テープなどの磁気媒体を取り付け、キャリア110の位置を磁気センサーで検知することも可能である。キャリア110の位置を把握できれば、キャリア110の現在位置に最も近い紙幣投入装置21から投入された紙幣50を最短時間で捕捉することができるようになる。
【0056】
(第二の実施形態)
第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100は2個のキャリア110A、110Bを使用することを可能にするものであったが、3個以上のキャリア110を使用することも可能である。第二の実施形態に係る紙葉類搬送装置は3個以上のキャリア110を使用することを可能にしている。
図21は本実施形態に係る紙葉類搬送装置において用いられるキャリア収容体300の斜視図である。本実施形態に係る紙葉類搬送装置はキャリア収容体300の形状が第一の実施形態におけるキャリア収容体210の形状と異なる点を除いて第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100と同一の構造及び機能を有している。
第一の実施形態におけるキャリア収容体210は開口部211が形成されているボックス形状であったのに対して、本実施形態におけるキャリア収容体300はキャリア110を載置可能なキャリア載置台310を有している。
キャリア載置台310には半円形の溝311が形成されており、溝311上にキャリア110が載置され、さらに、そのキャリア110の上に複数個のキャリア110が積み上げられるようになっている。
【0057】
図22は本実施形態におけるキャリア送り出し装置の動作を示す縦断面図である。
図22に示すように、キャリア載置台310の上にはキャリア110Aが載置され、さらに、キャリア110Aの上には4個のキャリア110B,110C,110D,110Eが積み上げられている。キャリア載置台310の上には計5個のキャリア110A―110Eが積み上げられている。
キャリア収容体移動装置220は、キャリア載置台310の上に1個または複数個のキャリア110が積み上げられた状態でキャリア載置台310を上下動させる。各キャリア110A―110Eの前方と後方はボックス232C(
図8参照)で支えられている。
本実施形態におけるキャリア送り出し装置がキャリア110A―110Eの各々を送り出す動作は、以下に述べるように、第一の実施形態における送り出しの動作と同様である。
【0058】
キャリア送り出し装置がキャリア110A―110Eを送り出す前の段階においては、
図22に示すように、キャリア載置台310は、キャリア110A―110Eのうち最も上に位置するキャリア110Eがダクト120の入り口に隣接して形成されている空間120Sの内部においてダクト120の第二領域120bに対面する位置にあるように、位置している。
この状態から、第一送風機12aが作動し、キャリア110Eが送り出される。キャリア110Eが紙幣50を紙幣収容室14まで搬送し、キャリア格納室に格納された後、キャリア収容体移動装置220はキャリア載置台310をキャリア1個分の高さだけ上昇させる。これにより、次のキャリア110Dが最も上に位置し、ダクト120の第二領域120bに対面する。次いで、第一送風機12aが作動し、キャリア110Dが送り出される。
以後、この動作が繰り返され、キャリア110C,キャリア110B,キャリア110Aの順に送り出される。
【0059】
5個のキャリア110A―110Eによる紙幣50の搬送が完了すると、5個のキャリア110A―110Eは第二送風機12bによってキャリア格納室からダクト120を通ってまとめて一度に送り返されてくる。
送り返されてきた5個のキャリア110A―110Eがストッパー233DBに当たって停止すると、キャリア収容体移動装置220はキャリア載置台310をキャリア1個分の高さだけ下降させる。先頭のキャリア110Aのみがキャリア載置台310に載置された状態で下降する。
先頭のキャリア110Aが下降すると、キャリア110Aに続くキャリア110B-110Eが第二送風機12bからの空気流の風圧に押されて前進し、ストッパー233DBに当たって停止する。この後、キャリア収容体移動装置220はキャリア載置台310をキャリア1個分の高さだけ下降させる。これにより、キャリア110B-110Eのうち先頭に位置していたキャリア110Bが下降し、キャリア載置台310の上にはキャリア110A、キャリア110Bが載置された状態になる。
【0060】
以後、同様の動作をキャリア110C、110Dに対して実行する。最後のキャリア110Eはストッパー233DBに当たって停止したままの状態に置かれる。このようにして、5個のキャリア110A―110Eを送り出す前の段階に戻る。
以後、上記の動作が繰り返される。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置によれば、5個のキャリア110A―110Eを使用することが可能であり、第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100と比較して、より効率的に紙幣50を搬送することが可能である。
【0061】
本実施形態に係る紙葉類搬送装置は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
使用可能なキャリアの個数は5に限定されるものではなく、必要に応じて、任意の個数を選択することが可能である。
第一の実施形態におけるキャリア収容体210を本実施形態に適用することも可能である。すなわち、キャリア載置台310に代えて、第一の実施形態におけるキャリア収容体210を形成し、キャリア収容体210の開口部211にキャリア110Aを収容し、キャリア収容体210の上にキャリア110B―110Eを積み重ねるようにすることも可能である。
【0062】
(第三の実施形態)
図23は本発明の第三の実施形態に係る紙葉類搬送装置350の部分的斜視図、
図24は紙葉類搬送装置350の分解斜視図である。
以下、本実施形態に係る紙葉類搬送装置350が第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100と異なる点について説明する。以下に述べる点を除いて本実施形態に係る紙葉類搬送装置350は第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100と同一の構造を有している。
第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100は単一のキャリア収容体210及び単一のキャリア収容体移動装置220を有するものとして構成されているのに対して、本実施形態に係る紙葉類搬送装置350はそれぞれ5個のキャリア収容体210A―210E及びキャリア収容体移動装置220A-220Eを有し、6個のキャリア110S、110A―110Eを送り出すものとして構成されている。キャリア収容体210A―210Eの各々は第一の実施形態におけるキャリア収容体210と同一の構造であり、キャリア収容体移動装置220A-220Eの各々は第一の実施形態におけるキャリア収容体移動装置220と同一の構造である。
【0063】
図25(A)は本実施形態におけるキャリア送り出し装置200の縦断面図、
図25(B)はキャリア送り出し装置200の左側面図、
図25(C)はキャリア送り出し装置200の右側面図である。
図25(A)に示すように、本実施形態におけるキャリア送り出し装置200においては、5個のキャリア収容体210A―210E及びキャリア収容体移動装置220A-220Eはダクト120に隣接してダクト120の第二領域120bの直下においてダクト120に沿って相互に隣接して配置されている。
5個のキャリア収容体210A―210Eの各開口部211にはキャリア110A-110Eがそれぞれ収容されている。
ダクト120の入り口に隣接してキャリア1個分の長さのスペース111が形成されている。スペース111はダクト120の第二領域120bに対面しており、第二領域120bと連通している。スペース111にはキャリア110Sがストッパー233DBに接した状態で収容されている。
【0064】
図26乃至
図35は本実施形態におけるキャリア送り出し装置200からキャリア110S及び110A-110Eが順に送り出されるときの状況を示す縦断面図であり、
図36乃至
図40はキャリア110S及び110A-110Eがキャリア送り出し装置200に一度に送り返されるときの状況を示す縦断面図である。
以下、
図26乃至
図40を参照して、本実施形態に係る紙葉類搬送装置350の動作を説明する。
キャリア送り出し装置200が各キャリア110S及び110A-110Eを送り出す前の段階においては、
図26に示すように、キャリア収容体210A―210Eの各々は第二位置にあり、さらに、キャリア110Sはスペース111の中に装填されている状態である。
【0065】
ダクト120の内部に紙幣50が投入され、第一送風機12aが作動すると、
図27に示すように、最初にスペース111の中に装填されているキャリア110Sが第一送風機12aからの空気流の風圧を受けて送り出される。
キャリア110Sが紙幣50を紙幣収容室14まで搬送し、キャリア格納室に格納されると、
図28に示すように、第一送風機12aの作動は停止され、次いで、キャリア収容体移動装置220Aが上昇し、キャリア収容体210Aを第二位置から第一位置に移行させる。
この後、
図29に示すように、第一送風機12aが作動を開始し、キャリア収容体210Aの開口部211に収容されているキャリア110Aが送り出される。キャリア収容体210Aは第一位置に止め置かれる。キャリア110Aが紙幣50を紙幣収容室14まで搬送すると、キャリア110Aはキャリア格納室に格納され、第一送風機12aの作動は停止される。
【0066】
同様にして、
図30に示すように、キャリア収容体移動装置220Bが上昇し、キャリア収容体210Bを第二位置から第一位置に移行させる。この後、第一送風機12aが作動を開始し、キャリア収容体210Bの開口部211に収容されているキャリア110Bが送り出される。
図31は、キャリア収容体210Bが第一位置まで上昇したときの状態を示す分解斜視図である。
以後、同様にして、キャリア110Cが送り出され(
図32)、次いで、キャリア110Dが送り出され(
図33)、最後に、キャリア110Eが送り出される(
図34)。
このようにして、全てのキャリア110A―110Eが送り出され、
図35に示すように、キャリア送り出し装置200にはキャリアは残っていない状態になる。この状態では、全てのキャリア収容体210A-210Eは第一位置に位置している。
【0067】
キャリア110A-110Eは紙幣50を搬送した後はキャリア格納室に格納されている。キャリア110A-110Eによる紙幣50の搬送が完了すると、全てのキャリア110A-110Eはダクト120の内部に放出され、その後、第二送風機12bが作動を開始する。第二送風機12bが作動を開始すると、全てのキャリア110A-110Eは第二送風機12bからの空気流による風圧を受けてキャリア送り出し装置200に向かう方向X2に一団となって走行する。
その後、
図36に示すように、キャリア110A-110Eはストッパー233DBに当たって停止する。第二送風機12bからの空気流はフード233Cの開口233CAから外部に排出される。
この状態では、先頭のキャリア110Sがストッパー233DBに当接してスペース111の内部に収容された状態になっている。残りのキャリア110A-110Eはそれぞれキャリア収容体210A-210Eの開口部211に入り込んだ状態になっている。
【0068】
全てのキャリア110S、110A-110Eがキャリア送り出し装置200に送り返されると、第二送風機12bの作動が停止される。次いで、
図37に示すように、キャリア収容体移動装置220Aが下降し、キャリア収容体210Aを第一位置から第二位置に下降させる。
この後、キャリア収容体移動装置220Bがキャリア収容体210Bを第二位置に下降させ(
図38)、キャリア収容体移動装置220Cがキャリア収容体210Cを第二位置に下降させ(
図39)、キャリア収容体移動装置220Dがキャリア収容体210Dを第二位置に下降させ(
図40)、最後に、キャリア収容体移動装置220Eがキャリア収容体210Eを第二位置に下降させる。
このようにして、キャリア110S、110A-110Eをキャリア送り出し装置200から送り出した前の状態に戻る(
図26)。
【0069】
以上の動作がキャリア送り出し装置200が全キャリア110S、110A-110Eを送り出してから、全キャリア110S、110A-110Eがキャリア送り出し装置200に送り返されるまでの1サイクルの動作である。以後、この動作が繰り返される。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置によれば、全部で6個のキャリア110S、110A―110Eを使用することが可能であり、第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置100と比較して、より効率的に紙幣50を搬送することが可能である。
使用可能なキャリア収容体及びキャリア収容体移動装置の個数は5に限定されるものではなく、必要に応じて、任意の個数を選択することが可能である。
また、ダクト120の第二領域120bに対面して形成されるスペース111は必ずしも設けることは必要ではなく、省略することも可能である。
【0070】
(第四の実施形態)
図41は本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置400の構造及びその周囲の環境を示す概略図である。
図4に示すように、本実施形態に係る紙葉類搬送装置100は、キャリア格納室に代えて、紙幣収容室14の手前でダクト120から分岐するキャリア収納用ダクト130を備えている。第二送風機12bはキャリア収納用ダクト130の先端に接続されており、第二送風機12bの配置位置が変わったことに伴って、バイパス通路12cは形成されていない。
図42はダクト120及びダクト120から分岐したキャリア収納用ダクト130の部分的横断面図、
図43はキャリア収納用ダクト130側から見たときのダクト120及びキャリア収納用ダクト130の部分的斜視図、
図44はダクト120側から見たときのダクト120及びキャリア収納用ダクト130の部分的斜視図である。
【0071】
図42乃至
図44に示すように、ダクト120を構成する第一領域120a及び第二領域120bのうち、第一領域120aは紙幣収容室14まで延びており、第二領域120bは紙幣収容室14の手前で第一領域120aから左側に分岐している。この分岐した第二領域120bがキャリア収納用ダクト130を構成している。
キャリア収納用ダクト130(第二領域120b)は紙幣収容室14に向かう方向に対して90度を超える角度(鈍角)でダクト120から湾曲することにより(Θ>90°)、第一領域120aから分岐している。
図45乃至
図49はキャリア収納用ダクト130に複数個のキャリア110が収納される状態を示す断面図であり、
図50乃至
図52はキャリア収納用ダクト130からキャリア110が排出される状態を示す断面図である。
【0072】
図45に示すように、キャリア収納用ダクト130は、ダクト120から湾曲した後に直線的に延びる第一部分130aと、第一部分130aから湾曲した後に直線的に延びる第二部分130bと、から構成されている。第二部分130bは第一領域120aに対してほぼ直交する方向に延びている。
第二部分130bの内部にはキャリア110を停止させる円形状のストッパー130cが嵌め込まれている。キャリア110はダクト120からキャリア収納用ダクト130の第一部分130a及び第二部分130bを通過した後にストッパー130cに当たって停止する。
図42に示すように、キャリア収納用ダクト130がダクト120から湾曲を開始する位置にはキャリア110の通過を検知し、キャリア通過信号を中央制御装置に発信するセンサー131が配置されている。
【0073】
以下、
図41及び
図45乃至
図52を参照して、本実施形態に係る紙葉類搬送装置400の動作を説明する。
前述のように、ダクト120の内部に紙幣50が投入されると、キャリア送り出し装置200からキャリア110が送り出され、紙幣収容室14に向かう途中で紙幣50を捕捉したキャリア110は紙幣50を捕捉したまま、紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行を続け、
図45に示すように、キャリア収納用ダクト130の手前に到達する。
キャリア110がさらに走行を続けると、
図46に示すように、キャリア110はキャリア収納用ダクト130に到達する。ダクト120の第一領域120a内を走行していた紙幣50は第一領域120aが続く方向にそのまま走行を続ける。すなわち、紙幣50は紙幣収容室14に向かって走行を継続し、最終的には、紙幣収容室14に収容される。
【0074】
これに対して、ダクト120の第二領域120bは紙幣収容室14の手前で湾曲しており、キャリア110は第二領域120b内のみを通過可能であるので、
図47に示すように、キャリア110は湾曲している第二領域120b(キャリア収納用ダクト130)にガイドされてキャリア収納用ダクト130の内部を走行する。この際、センサー131がキャリア110の通過を検知し、中央制御装置に1個目のキャリア通過信号を発信する。キャリア通過信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aの作動を一旦停止する。
その後、
図48に示すように、キャリア110はストッパー130cに当たって停止する。キャリア110はこの停止位置にそのまま止め置かれる。
キャリア110が紙幣50を紙幣収容室14に搬送している間にも、各紙幣投入装置21には新たな紙幣50が投入され続けており、投入された紙幣50は紙幣収容室14への搬送を待って紙幣投入装置21の内部に待機している。
【0075】
図45乃至
図48に示したように、1枚目の紙幣50の紙幣収容室14への搬送が完了すると、1個目のキャリア110をキャリア収納用ダクト130の内部に残したまま、中央制御装置は第一送風機12aを作動させ、2個目のキャリア110を紙幣収容室14に向かって走行させる。1個目のキャリア110と同様に、2個目のキャリア110も途中で紙幣50を捕捉し、紙幣収容室14に向かって紙幣50を搬送する。
2個目のキャリア110がキャリア収納用ダクト130に到達すると、1個目のキャリア110と同様に、紙幣50のみがダクト120の第一領域120aを紙幣収容室14に向かって走行し、最終的には紙幣収容室14に収容される。キャリア110は分岐した第二領域120b(キャリア収納用ダクト130)にガイドされキャリア収納用ダクト130の内部を走行し、停止している1個目のキャリア110に当たって停止する。
【0076】
これ以降、3個目から6個目までのキャリア110が1個目のキャリア110と同様に紙幣50を紙幣収容室14に搬送する。この時点では、
図49に示すように、6個のキャリア110がキャリア収納用ダクト130の内部に収納された状態になっており、センサー131はこれまでに6個のキャリア通過信号を中央制御装置に送信している。また、紙幣収容室14には6枚の紙幣50が収容されている。
中央制御装置はセンサー131から6個目のキャリア通過信号を受信すると、第二送風機12bを作動させる。ストッパー130cには空気流を通す孔が形成されており、第二送風機12bが作動すると、第二送風機12bが発生させた空気流はストッパー130cの孔を通って6個のキャリア110に風圧を及ぼす。
図50及び
図51に示すように、第二送風機12bからの空気流(風)の風圧を受けた6個のキャリア110は一団となってキャリア収納用ダクト130からダクト120を経て第一送風機12aに向かって送り返される。
【0077】
先頭のキャリア110(1個目のキャリア110)が第一送風機12aの手前に到達すると、センサー(図示せず)がキャリア110の到達を検出し、中央制御装置にキャリア到達信号を送信する。
中央制御装置はキャリア到達信号を受信すると、第一送風機12aの作動を停止する。この時点では、
図52に示すように、キャリア収納用ダクト130にはキャリア110は残っていない。
第一送風機12aの手前まで到達した6個のキャリア110は空間120Sまたはスペース111、キャリア収容体210A-210Eにそれぞれ収容される。
以上の動作が、複数枚の紙幣50が複数個の紙幣投入装置21に投入されてから、紙幣収容室14に収容されるまでの1サイクルの動作である。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置400は以下の効果を奏する。
【0078】
図57乃至
図62に示した従来の紙葉類搬送装置においては、キャリア10が一枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するまでに、キャリア10はダクト11を一往復することが必要であった。従って、例えば、6枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア10はダクト11を6回往復することが必要であった。具体的には、片道(行き)6回、片道(戻り)6回である。
これに対して、本実施形態に係る紙葉類搬送装置400によれば、6枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア110はダクト120を6回往復することは必要ではない。前述の紙葉類搬送装置400の動作から明らかであるように、キャリア110は片道(行き)6回、片道(戻り)1回の走行を行えば、6枚の紙幣50を紙幣収容室14に収容することができる。
このように、従来の紙葉類搬送装置と比較して、本実施形態に係る紙葉類搬送装置400は、より効率的に、具体的には、より短時間で複数枚の紙幣50を紙幣収容室14に搬送することが可能である。
【0079】
本実施形態に係る紙葉類搬送装置400は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
本実施形態においては、キャリア収納用ダクト130は6個のキャリア110を収納できる長さに設定されているが、キャリア収納用ダクト130の長さはこれには限定されない。例えば、7個以上のキャリア110を収納できる長さに設定することが可能である。キャリア収納用ダクト130は少なくとも2個のキャリア110を収納できる長さに設定することが必要である。
本実施形態に係る紙葉類搬送装置400は単一のキャリア収納用ダクト130を有するものとして構成されているが、形成可能なキャリア収納用ダクト130の数は1に限定されるものではなく、2個以上のキャリア収納用ダクト130を形成することも可能である。
【0080】
図53は本実施形態の第一の変形例に係る紙葉類搬送装置400Aの部分的な横断面図である。
図54はキャリア収納用ダクト側から見たときのダクト120及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図、
図55(A)はダクト120側から見たときのダクト120及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図、
図55(B)はダクト120及びキャリア収納用ダクトの分岐点における断面図である。
図53及び
図54に示すように、本変形例に係る紙葉類搬送装置400Aは3個のキャリア収納用ダクト130,130A、130Bを有するものとして構成されている。
キャリア収納用ダクト130は第四の実施形態におけるキャリア収納用ダクト130と同一構造のものである。
【0081】
キャリア収納用ダクト130Aは紙幣収容室14から遠い側においてキャリア収納用ダクト130に隣接して形成され、キャリア収納用ダクト130Bは紙幣収容室14から遠い側においてキャリア収納用ダクト130Aに隣接して形成されている。
キャリア収納用ダクト130A、130Bは後述するスリットが形成されている点を除いてキャリア収納用ダクト130と同一の構造である。
キャリア収納用ダクト130A及び130B、すなわち、紙幣収容室14に最も近いキャリア収納用ダクト130を除くキャリア収納用ダクト130A、130Bの各々にはダクト切り替え装置が形成されている。
【0082】
ダクト切り替え装置は、
図55(A)に示すように、第一仕切り壁133a、133bと、第二仕切り壁133c、133dと、第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dの開閉を制御する制御装置134と、から構成されている。
図54及び
図55に示すように、キャリア収納用ダクト130A、130Bには、ダクト120とキャリア収納用ダクト130A、130Bとの分岐点において各キャリア収納用ダクト130A、130Bの両側にはスリット132a、132bがそれぞれ形成されている。キャリア収納用ダクト130Aに対応するスリット132aはキャリア収納用ダクト130Bと130Aの双方を貫通し、さらに、ダクト120を貫通している。キャリア収納用ダクト130Bに対応するスリット132aはキャリア収納用ダクト130Bを貫通し、さらに、ダクト120を貫通している。
【0083】
第一仕切り壁133a、133bはダクト120の第一領域120aの外側からスリット132a、132bにそれぞれ挿入可能であり、第二仕切り壁133c、133dはキャリア収納用ダクト130A、130Bの外側からスリット132a、132bにそれぞれ挿入可能であるようになっている。
第二仕切り壁133c、133dの幅(
図55(B)の鉛直方向における長さ)は第一仕切り壁133a、133bの幅よりキャリア収納用ダクト130A、130B、130の肉厚の分だけ小さく設定されている。
図55(B)に示すように、第一仕切り壁133aと第二仕切り壁133dとがスリット132aを介してキャリア収納用ダクト130Aの両側からキャリア収納用ダクト130Aの内部に挿入されると、第二領域120bのうち第一領域120aと重なり合っている部分を除き、第一領域120aと重なり合っていない部分(斜線部分)が第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dによって塞がれ、第一領域120aのみが開口している状態になる。
【0084】
このため、ダクト120の内部空間は第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dによってキャリア収納用ダクト130への導通が妨げられ、ダクト120の内部空間はキャリア収納用ダクト130Aにのみ導通する。上流側から送られてきたキャリア110及び紙幣50のうち、キャリア110は第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dによってキャリア収納用ダクト130ではなくキャリア収納用ダクト130Aに送り込まれ、紙幣50はダクト120の第一領域120aを通って紙幣収容室14に送り込まれる。
同様に、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cがスリット132bに挿入されると、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cによってキャリア収納用ダクト130,130Aへの導通が妨げられ、ダクト120の内部空間はキャリア収納用ダクト130Bにのみ導通する。上流側から送られてきたキャリア110及び紙幣50のうち、キャリア110は、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cによってキャリア収納用ダクト130,130Aではなくキャリア収納用ダクト130Bに送り込まれ、紙幣50は第一領域120aを通って紙幣収容室14に送り込まれる。
【0085】
第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dは、例えば、ラック&ピニオンなどの機構を介して、スリット132a、132bを介してダクト120の外部と内部との間で移動可能であるように構成されており、各仕切り壁の移動は制御装置134によって制御される。
以上のように、第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dはそれらに対応するキャリア収納用ダクトとそこから一つ先のキャリア収納用ダクトとの間の境界を開閉する機能を有している。
制御装置134はキャリア収納用ダクト130、130A、130Bの各々に設けられたセンサー131からキャリア通過信号を受信し、キャリア収納用ダクト130、130A、130Bの各々に収容されたキャリア110の個数に応じて、キャリア110を収納すべきキャリア収納用ダクトを3個のキャリア収納用ダクト130、130A、130Bの中から決定する。次いで、制御装置134はこの決定に従って、第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dをダクト120の外部から内部へ、あるいは、ダクト120の内部から外部への移動を行い、キャリア110が決められたキャリア収納用ダクトに収納されるようにする。
【0086】
また、
図53に示すように、キャリア収納用ダクト130、130A、130Bの各々はそれぞれ開閉バルブ135,135A,135Bを介して第二送風機12bと接続されている。開閉バルブ135,135A,135Bの開閉は中央制御装置によって制御される。
以下、本変形例に係る紙葉類収容装置400Aの動作を説明する。
ダクト120の内部に紙幣50が投入される前の段階においては、第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dはダクト120の外部に位置している。また、開閉バルブ135,135A,135Bは何れも閉じられている。
【0087】
キャリア110がダクト120の内部に紙幣投入装置21を介して投入された紙幣50を捕捉すると、キャリア110はダクト120の内部を紙幣収容室14に向かって進み、キャリア110が搬送してきた紙幣50は第一領域120aを通って紙幣収容室14に収納され、キャリア110はキャリア収納用ダクト130に収納される。第一仕切り壁133a、133b及び第二仕切り壁133c、133dはダクト120の外部に位置しているため、さらには、キャリア110は慣性力の影響により直進するため、キャリア110はキャリア収納用ダクト130A、130Bを通過し、キャリア収納用ダクト130A、130Bに進入することはない。
【0088】
キャリア収納用ダクト130に6個のキャリア110が収納されると、すなわち、制御装置134がキャリア収納用ダクト130のセンサー131から6回のキャリア通過信号を受信すると、制御装置134はキャリア収納用ダクト130がキャリア110で満杯になったと判定して、第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dをダクト120の外部から内部に移動させる。これにより、キャリア収納用ダクト130への通路は塞がれ、これ以降に送られてくるキャリア110は全てキャリア収納用ダクト130Aに収納される。
キャリア収納用ダクト130Aに6個のキャリア110が収納されると、すなわち、制御装置134がキャリア収納用ダクト130Aのセンサー131から6回のキャリア通過信号を受信すると、制御装置134はキャリア収納用ダクト130Aがキャリア110で満杯になったと判定して、第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dをダクト120の外部から内部に移動させるとともに、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cをダクト120の内部から外部に移動させる。これにより、ダクト120からキャリア収納用ダクト130及びキャリア収納用ダクト130Aへの通路は塞がれ、これ以降に送られてくるキャリア110は全てキャリア収納用ダクト130Bに収納される。
【0089】
キャリア収納用ダクト130Bに6個のキャリア110が収納されると、すなわち、制御装置134がキャリア収納用ダクト130Bのセンサー131から6回のキャリア通過信号を受信すると、制御装置134はキャリア収納用ダクト130Bがキャリア110で満杯になったと判定して、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cをダクト120の外部に移動させる。これにより、二つの仕切り壁133a、133bは何れもダクト120の外部に移動した状態となり、ダクト120の内部は遮蔽物のない状態となる。
この後、中央制御装置は第二送風機12bを作動させるとともに、開閉バルブ135を開く。これにより、第二送風機12bが発生させた空気流はストッパー130cの孔を通ってキャリア収納用ダクト130の内部に進入する。キャリア収納用ダクト130の内部に収納されている6個のキャリア110はこの空気流の風圧によって第一送風機12aに向かって送り返される。
【0090】
送り返された6個のキャリア110は所定の格納スペースに格納される。格納スペースにはセンサー(図示せず)が配置されており、6個のキャリア110が格納スペースに格納され終わると、格納完了信号を中央制御装置に送信する。
中央制御装置は格納完了信号を受信すると、第二送風機12bの作動を停止させるとともに、開閉バルブ135を閉じる。その後、中央制御装置は制御装置134に信号を送り、第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dをダクト120の外部から内部に移動させる。次いで、中央制御装置は第二送風機12bを作動させるとともに、開閉バルブ135Aを開く。これにより、第二送風機12bが発生させた空気流はストッパー130cの孔を通ってキャリア収納用ダクト130Aの内部に進入する。キャリア収納用ダクト130Aの内部に収納されている6個のキャリア110はこの空気流の風圧によって第一送風機12aに向かって送り返される。
【0091】
送り返された6個のキャリア110はキャリア収納用ダクト130から送り返されたキャリア110が格納されている格納スペースとは別の格納スペースに格納される。6個のキャリア110の格納が完了すると、センサーは格納完了信号を中央制御装置に送信する。
中央制御装置は格納完了信号を受信すると、第二送風機12bの作動を停止させるとともに、開閉バルブ135Aを閉じる。その後、中央制御装置は制御装置134に信号を送り、第一仕切り壁133a及び第二仕切り壁133dをダクト120の内部から外部に移動させるとともに、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cをダクト120の外部から内部に移動させる。次いで、中央制御装置は第二送風機12bを作動させるとともに、開閉バルブ135Bを開く。これにより、第二送風機12bが発生させた空気流はストッパー130cの孔を通ってキャリア収納用ダクト130Bの内部に進入する。キャリア収納用ダクト130Bの内部に収納されている6個のキャリア110はこの空気流の風圧によって第一送風機12aに向かって送り返される。
【0092】
送り返された6個のキャリア110はキャリア収納用ダクト130及び130Aから送り返されたキャリア110が格納されている各格納スペースとは別の格納スペースに格納される。6個のキャリア110の格納が完了すると、センサーは格納完了信号を中央制御装置に送信する。
中央制御装置は格納完了信号を受信すると、第二送風機12bの作動を停止させるとともに、開閉バルブ135Bを閉じる。その後、中央制御装置は制御装置134に信号を送り、第一仕切り壁133b及び第二仕切り壁133cをダクト120の内部から外部に移動させる。
以上の動作が紙葉類搬送装置400Aの1サイクルの動作である。以後、この動作が繰り返される。
【0093】
本変形例に係る紙葉類搬送装置400Aによれば、第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置400と比較して、より多くのキャリア110を複数個のキャリア収納用ダクト130,130A、130Bの内部に収納しておくことが可能であるため、より多くの紙幣50をより効率的に搬送することができる。
本変形例に係る紙葉類搬送装置400Aは3個のキャリア収納用ダクト130,130A、130Bを有するものとして構成されているが、紙葉類搬送装置が有し得るキャリア収納用ダクトの個数は3には限定されない。2または4以上の数を選択することも可能である。
第一の変形例に係る紙葉類搬送装置400Aにおいては、複数個のキャリア収納用ダクト130,130A、130Bは、ダクト120の長さ方向の中心線を含む水平面において、ダクト120に対して同じ側(
図53では右側)に配列されているが、複数個のキャリア収納用ダクトの配列の仕方はこれには限定されない。
【0094】
複数個のキャリア収納用ダクトの少なくとも何れか一つを、ダクト120の長さ方向の中心線を含む水平面において、ダクト120に対して反対側に配列することも可能である。
図56は
図53と同様の本実施形態の第二の変形例に係る紙葉類搬送装置400Bの部分的な横断面図である。
図56に示すように、3個のキャリア収納用ダクト130,130B、130Cのうち2個のキャリア収納用ダクト130,130Bはダクト120に対して同一の側(
図56では右側)に、残りの1個のキャリア収納用ダクト130Cはダクト120に対して反対側(
図56では左側)に配置されている。
このように、複数個のキャリア収納用ダクトを形成する場合には各キャリア収納用ダクトの配置の位置は任意である。
【0095】
さらに、第一及び第二の変形例に係る紙葉類搬送装置400A、400Bにおいては、複数個のキャリア収納用ダクトは何れもダクト120の長さ方向の中心線を含む水平面内に配置されているが、ダクト120の長さ方向の中心線と直交する鉛直面内において各キャリア収納用ダクトを任意の方向に延ばすことも可能である。例えば、複数個のキャリア収納用ダクトをダクト120の長さ方向の中心線の周囲に放射状に延ばすことも可能である。
紙葉類搬送装置を設置する場所(パチンコ店など)のスペースに応じて各キャリア収納用ダクトの配置位置及び延伸方向を決めることができる。
【符号の説明】
【0096】
100 本発明の第一の実施形態に係る紙葉類搬送装置
110 キャリア
120 ダクト
130 キャリア収納用ダクト
131 センサー
200 キャリア送り出し装置
210 キャリア収容体
220 キャリア収容体移動装置
230 カバーブロック
310 キャリア載置台
350 第三の実施形態に係る紙葉類搬送装置
400 本発明の第四の実施形態に係る紙葉類搬送装置
400A 本発明の第四の実施形態の第一の変形例に係る紙葉類搬送装置
400B 本発明の第四の実施形態の第二の変形例に係る紙葉類搬送装置
【要約】
【課題】ダクトの中に発生させた空気流によりキャリアを介して紙幣を搬送する装置において、使用可能なキャリアの数を増やすことによって、紙幣の搬送効率を向上させる。
【解決手段】キャリア収容体(210)はダクト(120)の入り口に隣接して鉛直方向に上下動可能である。キャリア収容体(210)に形成された開口部(211)にはキャリア(110B)が装填されている。作動開始前の段階では、キャリア収容体(210)はダクト(120)の下方に位置しており、キャリア収容体(210)上に載置されたもう一つのキャリア(110A)がダクト(120)と対面する位置にある。最初にキャリア(110A)が送り出された後、次のキャリア(110B)がダクト(120)と対面する位置までキャリア収容体(210)が上昇し、次いで、キャリア(110B)が送り出される。
【選択図】
図14