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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】紙葉類搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/22 20060101AFI20220816BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
B65H5/22 A
A63F7/02 352F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022017472
(22)【出願日】2022-02-07
【審査請求日】2022-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000108247
【氏名又は名称】株式会社ジェッター
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100096105
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 広
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 国明
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-106754(JP,A)
【文献】特開2017-186133(JP,A)
【文献】特開2016-118914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/22
B65H 29/24
B65G 47/14
G07D 11/00-13/00
G07F 19/00
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトと、
前記ダクトの一端において前記ダクトと連通するように配置された紙葉類収容室と、
前記ダクト内を走行する複数個のキャリアと、
前記ダクトの他端に配置され、前記ダクト内において空気流を発生させる第一送風機と、
前記ダクト内において前記第一送風機とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、
を備え、
前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記紙葉類収容室まで前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、
前記ダクトの終端の手前で前記ダクトから分岐するキャリア収納用ダクトが形成されており、
前記ダクトは、前記紙葉類のみが通過可能な第一領域と、前記キャリアが通過可能な第二領域と、から構成されており、
前記第一領域は前記ダクトの前記終端まで延びており、
前記第二領域は前記ダクトの前記終端の手前で前記第一領域から分岐し、前記キャリア収納用ダクトを構成するものであり、
前記キャリア収納用ダクトの先端は前記第二送風機に接続されており、
前記第二領域と前記第一領域との分岐点と前記ダクトの前記終端との間には前記第一領域の内部を開閉するシャッター装置が形成されていることを特徴とする紙葉類搬送装置。
【請求項2】
前記シャッター装置は、
ピニオンと、
前記ピニオンを駆動するモーターと、
前記ピニオンと噛み合うラックが形成されている第一部分と、前記第一部分と連続している平板状の第二部分とからなるシャッタープレートと、
からなり、
前記ピニオンの回転方向に応じて前記シャッタープレートの前記第二部分が前記第一領域の内部に進入し前記第一領域を遮蔽し、または、前記第一領域の内部から外部に出て前記第一領域を開放するものであることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項3】
前記モーターのオンオフを制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記第二送風機が作動する間において、前記モーターを駆動し、前記シャッタープレートの前記第二部分を前記第一領域の内部に進入させ、前記第一領域を遮蔽させるものであることを特徴とする請求項2に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項4】
前記キャリアは円形状の縦断面を有する形状であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項5】
前記キャリア収納用ダクトは2個以上の前記キャリアを収納可能な長さを有していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項6】
前記キャリア収納用ダクトは前記第二送風機に接続されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項7】
前記シャッター装置は前記第二領域と前記第一領域との分岐点と前記紙葉類収容室との間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項8】
前記紙葉類収容室に通じる第二ダクトと、
前記ダクトの前記第一領域と前記第二ダクトとを中継する中継装置と、
をさらに備え、
前記シャッター装置は前記ダクトの前記第二領域と前記第一領域との分岐点と前記中継装置との間に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の紙葉類搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト内に発生させた空気流により紙幣その他のシート状の紙葉類を搬送する紙葉類搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような紙葉類搬送装置の一例として特開2016-160038号公報(特許文献1)に記載されたものがある。
図27乃至図32は同公報に記載された紙葉類搬送装置を示す。図27は紙葉類搬送装置の構造及び紙葉類搬送装置が使用される周囲の環境を示す概略図である。
この紙葉類搬送装置は、図27に示すように、紙幣などの紙葉類をその前面で押すことにより当該紙葉類を搬送するキャリア10と、キャリア10の外形と相似し、かつ、キャリア10が走行可能な内部空間を有するダクト11と、キャリア10が搬送してきた紙葉類を収容する紙幣収容室14と、ダクト11内においてキャリア10を紙幣収容室14に向かう方向に走行させる第一送風機12aと、ダクト11内においてキャリア10を紙幣収容室14から離れる方向に走行させる第二送風機12bと、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置で停止させるストッパー13a及び13bと、を備えている。
【0003】
図27に示すように、複数個のパチンコ台20その他の遊戯機器が図27の左右方向に一列に配置されており(図27においては、単純化するため1個のパチンコ台20のみを示している)、パチンコ台20の横には紙幣を投入するための紙幣投入装置21が設置されている。紙幣投入装置21に投入された紙幣の額に応じて遊技媒体(パチンコ玉やメダルなど)が払い出される。
パチンコ台20の裏側には、当該紙葉類搬送装置の一構成要素であるダクト11がパチンコ台20の配列方向と平行に延びるように設置されている。
図28はダクト11の部分的斜視図(一部分解図を含む)である。
図28に示すように、ダクト11は直線状に延びる中空構造を有しており、その縦断面は、上下方向に長い長方形において上下方向の中央部が内側に突出する形状をなしている。すなわち、上下方向の中央の部分が矩形状にダクト11の内側に突出する突出部11aを構成している。
【0004】
さらに、ダクト11の側壁には、紙幣投入装置21の位置に対応して、スリット11bが形成されている。後述するように、各紙幣投入装置21に投入された紙幣はスリット11bを通過してダクト11の内部に送られる。
図29はキャリア10の斜視図である。
キャリア10は、上下方向に延びる中心軸10aと、中心軸10aの一方の側に配置された4個の第一ウィング10bと、中心軸10aの他方の側に配置された4個の第二ウィング10cと、からなる。
第一ウィング10bは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第一ウィング10bがV字型になるように、それぞれ配置されている。同様に、第二ウィング10cは、中心軸10aの上端及び下端をそれぞれ起点として、2個一組の第二ウィング10cがV字型になるように、それぞれ配置されている。後述するように、ダクト11の内部に送られた紙幣は4個の第一ウィング10bにその外縁を押されて搬送される。
【0005】
図30はキャリア10がダクト11の内部に収納された状態を示す斜視図である。
図30に示すように、ダクト11の突出部11aが、上下の第一ウィング10bの間に形成された空間10d及び上下の第二ウィング10cの間に形成された空間10d(図29参照)に嵌まり込む。
図27に示すように、紙幣収容室14はダクト11の一端(図27の右端)に配置されている。紙幣収容室14には、紙幣投入装置21から投入され、キャリア10によって搬送された紙幣が収容される。
ダクト11の内部に空気流(風)を送り込む第一送風機12a及び第二送風機12bはダクト11の両端に配置されている。
【0006】
第一送風機12a及び第二送風機12bは何れか一方のみが作動するか、あるいは、双方とも作動しない。双方が同時に作動することはない。第一送風機12aが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第二ウィング10cが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。一方、第二送風機12bが作動すると、ダクト11の内部に収容されているキャリア10の第一ウィング10bが風圧を受けて、キャリア10は紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
なお、ダクト11の一方の端部(図27の右端)に連続して紙幣収容室14が配置されているため、第二送風機12bは紙幣収容室14に隣接して配置され、バイパス通路12cを介してダクト11と連結している。
図31は紙幣投入装置21の内部構造を示す概略図である。
【0007】
図31に示すように、紙幣投入装置21は、ローラーユニット21bと、ダクト11に対して斜めの方向に延びる搬送路21cと、を備えている。
紙幣投入装置21の紙幣投入口21aから投入された紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、真贋や額面などの検査を経て、搬送路21cを介して、ダクト11の内部に投入される。
図32は、ダクト11内においてキャリア10を所定の位置(具体的には、ダクト11の両端の近傍)で停止させるストッパー13a及び13bを示す。
ストッパー13a及び13bは、ダクト11の内部に延びるフック状の部材からなる。キャリア10の第一ウィング10bがストッパー13aに引っ掛かることによって、キャリア10は紙幣収容室14の手前で停止する。また、キャリア10の第二ウィング10cがストッパー13bに引っ掛かることによって、キャリア10は第一送風機12aの手前で停止する。
【0008】
上記の構造を有する紙葉類搬送装置は以下のように作動する。
パチンコ台20の顧客が紙幣投入装置21の紙幣投入口21aに紙幣を投入すると、紙幣はローラーユニット21bにより搬送され、搬送路21cを介して、ダクト11のスリット11bからダクト11の内部に投入される。
紙幣投入装置21には紙幣感知センサー(図示せず)が設けられており、紙幣がダクト11の内部に投入されると、紙幣感知センサーは紙幣投入を示す紙幣投入信号を中央制御装置(図示せず)に送信する。
紙幣投入信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aを作動させる。第一送風機12aが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14に向う方向(方向X1)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第二ウィング10cがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。キャリア10は、紙幣収容室14に到達するまでの間に、ダクト11に投入された紙幣を第一ウィング10bで捕捉する。紙幣を捕捉したキャリア10は捕捉した紙幣を押した状態を維持しながら紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行を続け、次いで、ストッパー13aにより停止させられる。キャリア10が停止することにより、紙幣は慣性力の作用を受けキャリア10から離れ、紙幣収容室14に収容される。
【0009】
紙幣は、その紙面がキャリア10の走行方向(ダクト11の長さ方向)と平行であり、かつ、その短辺がキャリア10の中心軸10aと平行になる姿勢を維持してキャリア10により搬送される。
ストッパー13aの近傍にはキャリア10を検知するセンサー(図示せず)が配置されており、キャリア10がストッパー13aによって停止すると、センサーは、キャリア10がストッパー13aによって停止したことを示すキャリア停止信号を中央制御装置に送信する。
キャリア停止信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aの作動を停止するとともに、キャリア10がストッパー13aによって停止してから所定の時間(紙幣が紙幣収容室14に収容されるのに必要な時間)が経過したときに、第二送風機12bを作動させる。
【0010】
第二送風機12bが作動を開始すると、ダクト11の内部には紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)の空気流(風)が発生する。キャリア10は、第一ウィング10bがこの空気流による風圧を受けることにより、紙幣収容室14から離れる方向(方向X2)に走行する。
その後、キャリア10はストッパー13bに引っ掛かり、停止する。このようにして、キャリア10は当初の位置に復帰する。
以上の動作が、紙幣が紙幣投入装置21に投入されてから、紙幣収容室14に収容されるまでの1サイクルの動作である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2016-160038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図27乃至図32に示された従来の紙葉類搬送装置においては、キャリア10が一枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するまでに、キャリア10はダクト11を一往復することが必要である。具体的には、キャリア10は当初の待機位置であるダクト11の一端(図27の左端)すなわち第一送風機12aの前方の位置から出発し、ダクト11の途中で紙幣を捕捉し、ダクト11の他端(図27の右端)にある紙幣収容室14に紙幣を収容した後に当初の待機位置であるダクト11の一端(図27の左端)まで戻ってくる。このように、キャリア10はダクト11の一往復で一枚の紙幣を紙幣収容室14に搬送する。
【0013】
しかしながら、キャリア10のダクト11の一往復で紙幣一枚の搬送では搬送効率は極めて低い。特に、ダクト11が長くなればなるほど、搬送効率は低くなる。また、各紙幣投入装置21への紙幣の投入枚数が多くなる(パチンコ台20の利用者が増える)と、キャリア10がフル稼働しても紙幣収容室14への紙幣の搬送処理が間に合わなくなり、各紙幣投入装置21に紙幣が溜まりっぱなしという事態が起こり、セキュリティ上の問題に直結する。
本発明は以上のような従来の紙葉類搬送装置における問題点に鑑みてなされたものであり、各紙幣投入装置に投入された紙幣を紙幣収容室に搬送する搬送効率を向上させることが可能な紙葉類搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明は、ダクトと、前記ダクトの一端において前記ダクトと連通するように配置された紙葉類収容室と、前記ダクト内を走行する複数個のキャリアと、前記ダクトの他端に配置され、前記ダクト内において空気流を発生させる第一送風機と、前記ダクト内において前記第一送風機とは逆の方向に空気流を発生させる第二送風機と、を備え、前記第一送風機が前記ダクト内に発生させた空気流により前記ダクト内において前記キャリアを走行させ、前記ダクト内に投入された紙葉類を前記紙葉類収容室まで前記キャリアを介して搬送する紙葉類搬送装置において、前記ダクトの終端の手前で前記ダクトから分岐するキャリア収納用ダクトが形成されており、前記ダクトは、前記紙葉類のみが通過可能な第一領域と、前記キャリアが通過可能な第二領域と、から構成されており、前記第一領域は前記ダクトの前記終端まで延びており、前記第二領域は前記ダクトの前記終端の手前で前記第一領域から分岐し、前記キャリア収納用ダクトを構成するものであり、前記キャリア収納用ダクトの先端は前記第二送風機に接続されており、前記第二領域と前記第一領域との分岐点と前記ダクトの前記終端との間には前記第一領域の内部を開閉するシャッター装置が形成されていることを特徴とする紙葉類搬送装置を提供する。
【0015】
前記シャッター装置は、例えば、ピニオンと、前記ピニオンを駆動するモーターと、前記ピニオンと噛み合うラックが形成されている第一部分と、前記第一部分と連続している平板状の第二部分とからなるシャッタープレートと、からなり、前記ピニオンの回転方向に応じて前記シャッタープレートの前記第二部分が前記第一領域の内部に進入し前記第一領域を遮蔽し、または、前記第一領域の内部から外部に出て前記第一領域を開放するものであることが好ましい。
上述の紙葉類搬送装置は、前記モーターのオンオフを制御する制御装置を備え、前記制御装置は、前記第二送風機が作動する間において、前記モーターを駆動し、前記シャッタープレートの前記第二部分を前記第一領域の内部に進入させ、前記第一領域を遮蔽させるものであることが好ましい。
【0016】
上述の紙葉類搬送装置においては、前記キャリアは円形状の縦断面を有する形状であることが好ましい。
上述の紙葉類搬送装置においては、前記キャリア収納用ダクトは2個以上の前記キャリアを収納可能な長さを有していることが好ましい。
上述の紙葉類搬送装置においては、前記キャリア収納用ダクトは前記第二送風機に接続されていることが好ましい。
前記シャッター装置は前記第二領域と前記第一領域との分岐点と前記紙葉類収容室との間に配置されていることが好ましい。
上述の紙葉類搬送装置は、前記紙葉類収容室に通じる第二ダクトと、前記ダクトの前記第一領域と前記第二ダクトとを中継する中継装置と、をさらに備え、前記シャッター装置は前記ダクトの前記第二領域と前記第一領域との分岐点と前記中継装置との間に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
従来の紙葉類搬送装置においては、キャリア10が一枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア10はダクト11を一往復することが必要であった。例えば、6枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア10はダクト11を6回往復することが必要であった。具体的には、片道(行き)6回、片道(戻り)6回である。
これに対して、本発明に係る紙葉類搬送装置によれば、6枚の紙幣を紙幣収容室に収容するためにはキャリアがダクトを6回往復する必要はない。キャリアがダクトの内部で紙幣を捕捉すると、捕捉された紙幣は第一領域を通って紙幣収容室まで送られ、キャリアは第二領域を通ってキャリア収納用ダクトに収容される。このように、捕捉した紙幣を紙幣収容室まで搬送したキャリアは、従来の紙葉類搬送装置とは異なり、そのつど当初の位置までは戻されずに一旦キャリア収納用ダクトに収容される。6個のキャリアが各1枚の紙幣を搬送した後にキャリア収納用ダクトに収納されると、これら6個のキャリアは一度に当初の位置に送り返される。このように、本発明に係る紙葉類搬送装置によれば、キャリアは片道(行き)6回、片道(戻り)1回の走行を行えば、6枚の紙幣を紙幣収容室に収容することが可能である。
【0018】
このように、本発明に係る紙葉類搬送装置は、従来の紙葉類搬送装置と比較して、より効率的に、具体的には、より短時間で複数枚の紙幣を紙幣収容室に搬送することを可能にする。
さらに、6個のキャリアを送り返す際に、シャッター装置が第一領域の内部を遮蔽するため、第二送風機からの空気流が紙幣収容室に入り込むことはなく、紙幣収容室の内部に収納されている紙幣には影響を与えない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置の構造及びその周囲の環境を示す概略図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において用いられるキャリアを正面側から見たときの斜視図である。
図3図2のキャリアを背面側から見たときの斜視図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において用いられるダクトの斜視図である。
図5】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置におけるキャリア、紙幣及びダクトの相互の位置関係を示す斜視図である。
図6】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置におけるキャリア、紙幣及びダクトの相互の位置関係を示す斜視図である。
【0020】
図7】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置におけるダクト及びダクトから分岐したキャリア収納用ダクトの一部分解図を含む斜視図である。
図8図7を正面から見た場合の正面図である。
図9】ダクト及びダクトから分岐したキャリア収納用ダクトの部分的横断面図である。
図10】キャリア収納用ダクト側から見たときのダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
図11】ダクト側から見たときのダクト及びキャリア収納用ダクトの部分的斜視図である。
図12】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において、キャリア収納用ダクトにキャリアが収納される状態を示す断面図である。
図13】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において、キャリア収納用ダクトにキャリアが収納される状態を示す断面図である。
【0021】
図14】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において、キャリア収納用ダクトにキャリアが収納される状態を示す断面図である。
図15】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において、キャリア収納用ダクトにキャリアが収納される状態を示す断面図である。
図16】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において、キャリア収納用ダクトにキャリアが収納される状態を示す断面図である。
図17】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において、キャリア収納用ダクトからキャリアが排出される状態を示す断面図である。
図18】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において、キャリア収納用ダクトからキャリアが排出される状態を示す断面図である。
図19】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において、キャリア収納用ダクトからキャリアが排出される状態を示す断面図である。
【0022】
図20】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において、キャリア収納用ダクトからキャリアが排出される状態を示す断面図である。
図21】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置において、キャリア収納用ダクトからキャリアが排出される状態を示す断面図である。
図22】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置におけるシャッター装置の斜視図である。
図23図22に示したシャッター装置の分解斜視図である。
図24】本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置におけるダクト,キャリア収納用ダクト及びシャッター装置の断面図である。
図25図24のA-A線における断面図である。
図26】2個のダクトを有する場合の紙幣搬送装置の部分的な斜視図である。
【0023】
図27】従来の紙葉類搬送装置が使用される周囲の環境を示す概略図である。
図28図27に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるダクトの部分的斜視図(一部分解図を含む)である。
図29図27に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるキャリアの斜視図である。
図30図29に示したキャリアが図28に示したダクトの内部に収納された状態を示す斜視図である。
図31図27に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素である紙幣投入装置の内部構造を示す概略図である。
図32図27に示した従来の紙葉類搬送装置の一構成要素であるストッパーを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置100の構造及びその周囲の環境を示す概略図である。
本実施形態に係る紙幣搬送装置100は図27乃至図32に示した従来の紙葉類搬送装置と比較して次の点が構造的に相違している。
(1)キャリアの形状が相違している。
(2)キャリアの形状が相違していることに伴い、ダクトの形状が相違している。
(3)バイパス通路12cは設けられておらず、キャリア収納用ダクトが設けられている。
(4)紙幣収容室の手前のストッパー13aは設けられていない。
以下、本実施形態に係る紙幣搬送装置100の構造を説明する。以下に述べる点以外の構造は従来の紙葉類搬送装置と同様である。
図2は紙幣搬送装置100において用いられるキャリア110を正面側から見たときの斜視図、図3はキャリア110を背面側から見たときの斜視図である。
【0025】
図2及び図3に示すように、キャリア110は「砲弾」型をなしており、具体的には、円柱形状の本体部分110aと、本体部分110aの背面側に本体部分110aと連続して形成された半球形状の後方部分110bと、から構成されている。
キャリア110は軽量化を図るために中空構造とされている。
キャリア110は本体部分110aの前面110cにおいて紙幣を押して紙幣を搬送する。本体部分110aの前面110cには円周に沿って同一形状の複数個の突起110dが等間隔に形成されている。相互に隣接する2個の突起110dの間に紙幣を挟み込み、紙幣を保持するようになっている。突起110dは、例えば、半球形状をなしている。
キャリア110の本体部分110aの中心軸方向における長さは可能な限り短く設定されている。本体部分110aの長さを短くすることにより、カーブしているダクトをスムーズに曲がることが可能になる。
【0026】
キャリア110は後方部分110bにおいて第一送風機12aからの空気流(風)を受けることにより前進する。
図4は本実施形態に係る紙幣搬送装置100において用いられるダクト120の斜視図である。図5及び図6はキャリア110、紙幣50及びダクト120の相互の位置関係を示す斜視図である。
ダクト120は、図4に示すように、第一領域120aと第二領域120bとから構成されている。
第一領域120aは上下に長い長方形の形状をなしており、その高さは紙幣50の短辺50a(図5参照)が通過できる高さであり、その幅は紙幣50が折り曲がっていたり、あるいは、湾曲している場合であっても、紙幣50が十分に通過できる幅である。
【0027】
第二領域120bは円形の縦断面を有しており、キャリア110が通過できるような大きさ(半径)に設定されている。
第一領域120aと第二領域120bとは部分的に重なり合っており、第一領域120aが第二領域120bの中心を通り、第二領域120bから上下の方向に突出している。
図5及び図6に示すように、キャリア110はその前面110cにおいて紙幣50の短辺50aを押し、ダクト120の内部において紙幣50を搬送する。紙幣50はダクト120の第一領域120aを通過し、キャリア110はダクト120の第二領域120bを通過する。
このように、第一領域120aは紙幣50のみが通過可能であり、キャリア110は第一領域120aを通過することはできない(正確には、キャリア110は第二領域120bから上下の方向に突出している第一領域120aの部分を通過することはできない)。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る紙幣搬送装置100においては、紙幣収容室14の手前でダクト120から分岐するキャリア収納用ダクト130が形成されている。
図7はダクト120及びダクト120から分岐したキャリア収納用ダクト130の一部分解図を含む斜視図、図8図7を正面から見た場合の正面図、図9はダクト120及びキャリア収納用ダクト130の部分的横断面図、図10はキャリア収納用ダクト130側から見たときのダクト120及びキャリア収納用ダクト130の部分的斜視図、図11はダクト120側から見たときのダクト120及びキャリア収納用ダクト130の部分的斜視図である。
【0029】
図8乃至図11に示すように、ダクト120を構成する第一領域120a及び第二領域120bのうち、第一領域120aは紙幣収容室14まで延びており、第二領域120bは紙幣収容室14の手前で第一領域120aから左側に分岐している。この分岐した第二領域120bがキャリア収納用ダクト130を構成している。
キャリア収納用ダクト130(第二領域120b)は紙幣収容室14に向かう方向に対して90度を超える角度(鈍角)でダクト120から湾曲することにより(Θ>90°)、第一領域120aから分岐している。キャリア収納用ダクト130はその先端において第二送風機12bに接続されている。
図12乃至図16はキャリア収納用ダクト130にキャリア110が収納される状態を示す断面図であり、図17乃至図21はキャリア収納用ダクト130からキャリア110が排出される状態を示す断面図である。
【0030】
図12に示すように、キャリア収納用ダクト130は、ダクト120から湾曲した後に直線的に延びる第一部分130aと、第一部分130aから湾曲した後に直線的に延びる第二部分130bと、から構成されている。第二部分130bは第一領域120aに対してほぼ直交する方向に延びている。
第二部分130bの内部にはキャリア110を停止させる円形状のストッパー130cが嵌め込まれている。キャリア110はダクト120からキャリア収納用ダクト130の第一部分130a及び第二部分130bを通過した後にストッパー130cに当たって停止する。
図9及び図12乃至図21に示すように、キャリア収納用ダクト130がダクト120から湾曲を開始する位置にはキャリア110の通過を検知し、キャリア通過信号を中央制御装置に発信するセンサー131が配置されている。
【0031】
図7図8及び図12乃至図21に示すように、本実施形態に係る紙幣搬送装置100はシャッター装置200を備えている。
シャッター装置200は、第二領域120bと第一領域120aとの分岐点から紙幣収容室14の間において第一領域120aの内部を開閉する機能を有している。
図22はシャッター装置200の斜視図、図23はシャッター装置200の分解斜視図、図24はダクト120,キャリア収納用ダクト130及びシャッター装置200の断面図、図25図24のA-A線における断面図である。
図22乃至図25に示すように、シャッター装置200は、ピニオン210と、ピニオン210を駆動するモーター211と、シャッタープレート212と、から構成されている。
ピニオン210はモーター211の駆動軸に取り付けられており、モーター211は取り付け部材213を介して紙幣収容室14上に固定されている。
【0032】
シャッタープレート212は、図23に示すように、ピニオン210と噛み合うラック214が形成されている細長い第一部分212Aと、第一部分212Aと連続している平板状の第二部分212Bとからなる。第一部分212Aは第二部分212Bから突出している。
ダクト120には、第二領域120bと第一領域120aとの分岐点と紙幣収容室14との間において、内部が中空の取り入れ口120Cが設けられている。取り入れ口120Cはダクト120と直交する方向に突出しており、先端は開口している。
シャッタープレート212の第二部分212Bは取り入れ口120Cの開口を介して第一領域120aの内部にスライドし第一領域120aの内部を遮蔽し(図24参照)、または、第一領域120aの内部から外部にスライドして第一領域120aを開放するようになっている(図12参照)。
【0033】
シャッタープレート212のスライドは、ピニオン210が回転し、ピニオン210の回転によりラック214が駆動されることによりおこなわれる。図23に示すように、ピニオン210が時計方向R1に回転すれば、シャッタープレート212は方向Z1にスライドし、取り入れ口120Cの開口を介して第一領域120aの内部に進入し第一領域120aの内部を遮蔽する。ピニオン210が反時計方向R2に回転すれば、シャッタープレート212は方向Z2にスライドし、第一領域120aの内部に進入していたシャッタープレート212は第一領域120aの外部に出て第一領域120aの内部空間を開放する。
このように、ピニオン210の回転方向に応じてシャッタープレート212の第二部分212Bは第一領域120aの内部を遮蔽または開放する。ピニオン210を駆動するモーター211の作動は中央制御装置(図示せず)により制御され、モーター211は中央制御装置から受信する制御信号に応じてピニオン210を時計方向R1または反時計方向R2に回転させる。
【0034】
以下、図1及び図12乃至図21を参照して、本実施形態に係る紙幣搬送装置100の動作を説明する。
パチンコ台20の顧客が紙幣投入装置21の紙幣投入口21aに紙幣50を投入すると、紙幣50はローラーユニット21bにより搬送され、搬送路21cを介して、ダクト120の内部に投入される。
紙幣投入装置21には紙幣感知センサー(図示せず)が設けられており、紙幣50がダクト120の内部に投入されると、紙幣感知センサーは紙幣投入を示す紙幣投入信号を中央制御装置(図示せず)に送信する。
【0035】
紙幣投入信号を受信した中央制御装置は、モーター211に制御信号を送り、ピニオン210を反時計方向R2に回転させ、シャッタープレート212を方向Z2にスライドさせ、図12に示すように、シャッタープレート212の第二部分212Bを第二領域120bの外部にスライドさせておく。これによって、第二領域120bの内部は開放状態になっている。
中央制御装置はさらに第一送風機12aを作動させる。第一送風機12aが作動を開始すると、図1に示すように、ダクト120の内部には紙幣収容室14に向う方向(方向X1)の空気流(風)が発生する。キャリア110は、後方部分110bがこの空気流による風圧を受けることにより、本体部分110aを前にして紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行する。
キャリア110は、紙幣収容室14に到達するまでの間に、ダクト120に投入された紙幣50を前面110cで捕捉する。キャリア110は、紙幣50の短辺50aの上下を突起110dで挟み込むので、紙幣50を安定した状態で搬送することができる。
【0036】
紙幣50を捕捉したキャリア110は捕捉した紙幣50を前面110cで押した状態を維持しながら紙幣収容室14に向う方向(方向X1)に走行を続け、図12に示すように、キャリア収納用ダクト130の手前に到達する。
キャリア110がさらに走行を続けると、図13に示すように、キャリア110はキャリア収納用ダクト130に到達する。ダクト120の第一領域120a内を走行していた紙幣50は第一領域120aが続く方向にそのまま走行を続ける。すなわち、紙幣50は紙幣収容室14に向かって走行を継続し、シャッタープレート212の第二部分212Bに阻害されることなく、最終的には、紙幣収容室14に収容される(図15参照)。
【0037】
これに対して、ダクト120の第二領域120bは紙幣収容室14の手前で湾曲しており、キャリア110は第二領域120b内のみを通過可能であるので、図14に示すように、キャリア110は湾曲している第二領域120b(キャリア収納用ダクト130)にガイドされてキャリア収納用ダクト130の内部を走行する。この際、センサー131がキャリア110の通過を検知し、中央制御装置に1個目のキャリア通過信号を発信する。キャリア通過信号を受信した中央制御装置は第一送風機12aの作動を一旦停止する。
その後、図15に示すように、キャリア110はストッパー130cに当たって停止する。キャリア110はこの停止位置にそのまま止め置かれる。
キャリア110が紙幣50を紙幣収容室14に搬送している間にも、各紙幣投入装置21には新たな紙幣50が投入され続けており、投入された紙幣50は紙幣収容室14への搬送を待って紙幣投入装置21の内部に待機している。
【0038】
図12乃至図15に示したように、1枚目の紙幣50の紙幣収容室14への搬送が完了すると、1個目のキャリア110をキャリア収納用ダクト130の内部に残したまま、中央制御装置は第一送風機12aを作動させ、2個目のキャリア110を紙幣収容室14に向かって走行させる。1個目のキャリア110と同様に、2個目のキャリア110も途中で紙幣50を捕捉し、紙幣収容室14に向かって紙幣50を搬送する。
2個目のキャリア110がキャリア収納用ダクト130に到達すると、1個目のキャリア110と同様に、紙幣50のみがダクト120の第一領域120aを紙幣収容室14に向かって走行し、紙幣50は最終的には紙幣収容室14に収容される。キャリア110は分岐した第二領域120b(キャリア収納用ダクト130)にガイドされキャリア収納用ダクト130の内部を走行し、停止している1個目のキャリア110に当たって停止する。
【0039】
これ以降、3個目から6個目までのキャリア110が1個目のキャリア110と同様に紙幣50を紙幣収容室14に搬送する。この時点では、図16に示すように、6個のキャリア110がキャリア収納用ダクト130の内部に収納された状態になっており、センサー131はこれまでに6個のキャリア通過信号を中央制御装置に送信している。また、紙幣収容室14には6枚の紙幣50が収容されている。
中央制御装置はセンサー131から6個目のキャリア通過信号を受信すると、モーター211に制御信号を送り、ピニオン210を時計方向R1に回転させ、シャッタープレート212を方向Z1にスライドさせ、図17に示すように、シャッタープレート212の第二部分212Bを第二領域120bの内部にスライドさせる。これによって、第二領域120bの内部は遮蔽状態になり、ダクト120の内部と紙幣収容室14の内部とは非連通状態になる。
次いで、中央制御装置は第二送風機12bを作動させる。ストッパー130cには空気流を通す孔が形成されており、第二送風機12bが作動すると、第二送風機12bが発生させた空気流Sはストッパー130cの孔を通ってキャリア110に風圧を及ぼす。
【0040】
図18乃至図20に示すように、第二送風機12bからの空気流(風)Sの風圧を受けた6個のキャリア110は一団となってキャリア収納用ダクト130からダクト120を経て第一送風機12aに向かって送り返される。
第一領域120aは、第一領域120aと第二領域120bとの分岐点と紙幣収容室14との間において、シャッタープレート212によって遮蔽されている状態にあるので、第二送風機12bからの空気流(風)Sが第一領域120aを通って紙幣収容室14に入り込むことはない。
すなわち、中央制御装置は、第二送風機12bが作動する間において、モーター211を駆動し、シャッタープレート212の第二部分212Bを第一領域120aの内部に進入させ、第一領域120aを遮蔽する。
【0041】
先頭のキャリア110(6個目にキャリア収納用ダクト130に到達したキャリア110)が第一送風機12aの手前に到達すると、センサー(図示せず)がキャリア110の到達を検出し、中央制御装置にキャリア到達信号を送信する。
中央制御装置はキャリア到達信号を受信すると、第二送風機12bの作動を停止する。この時点では、図21に示すように、キャリア収納用ダクト130にはキャリア110は残っていない。
さらに、中央制御装置は、モーター211に制御信号を送り、ピニオン210を反時計方向R2に回転させ、シャッタープレート212を方向Z2にスライドさせ、シャッタープレート212の第二部分212Bを第二領域120bの外部にスライドさせておく。これによって、ダクト120は図12に示した状態に戻る。
【0042】
第一送風機12aの手前まで到達した6個のキャリア110は1個ずつ所定の格納スペースに格納される。キャリア110を紙幣収容室14に向かって送り込むときには、キャリア110は格納スペースから1個ずつ取り出され、第一送風機12aの空気流による風圧を受けて1個ずつ順番にダクト120の内部を紙幣収容室14に向かって発進して行く。
以上の動作が、複数枚の紙幣50が複数個の紙幣投入装置21に投入されてから、紙幣収容室14に収容されるまでの1サイクルの動作である。以後、この動作が繰り返される。
本実施形態に係る紙幣搬送装置100は以下の効果を奏する。
【0043】
図27乃至図32に示した従来の紙葉類搬送装置においては、キャリア10が一枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するまでに、キャリア10はダクト11を一往復することが必要であった。従って、例えば、6枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア10はダクト11を6回往復することが必要であった。具体的には、片道(行き)6回、片道(戻り)6回である。
これに対して、本実施形態に係る紙幣搬送装置100によれば、6枚の紙幣を紙幣収容室14に収容するためにはキャリア110はダクト120を6回往復することは必要ではない。前述の紙幣搬送装置100の動作から明らかであるように、キャリア110は片道(行き)6回、片道(戻り)1回の走行を行えば、6枚の紙幣50を紙幣収容室14に収容することができる。
このように、従来の紙葉類搬送装置と比較して、本実施形態に係る紙幣搬送装置100は、より効率的に、具体的には、より短時間で複数枚の紙幣50を紙幣収容室14に搬送することが可能である。
【0044】
さらに、6個のキャリア110を送り返す際に、シャッタープレート212が第一領域120aの内部を遮蔽するため、第二送風機12bからの空気流Sが紙幣収容室14に入り込むことはなく、紙幣収容室14の内部に収納されている紙幣50には影響を与えない。
本実施形態に係る紙幣搬送装置100は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
本実施形態においては、シャッタープレート212のスライドはラック214とピニオン210との組み合わせを介して行われているが、他の機構を用いて行うことも可能である。
【0045】
キャリアの形状は本実施形態におけるキャリア110の形状には限定されない。任意の形状のキャリアを選択することができ、そのキャリアの形状に応じてダクト120の形状を変えることができる。
本実施形態においては、キャリア収納用ダクト130は6個のキャリア110を収納できる長さに設定されているが、キャリア収納用ダクト130の長さはこれには限定されない。例えば、7個以上のキャリア110を収納できる長さに設定することが可能である。キャリア収納用ダクト130は少なくとも2個のキャリア110を収納できる長さに設定することが必要である。
キャリア110の本体部分110aの内壁に金属箔や金属製テープなどの磁気媒体を取り付け、キャリア110の位置を磁気センサーで検知することも可能である。キャリア110の位置を把握できれば、キャリア110の現在位置に最も近い紙幣投入装置21から投入された紙幣50を最短時間で捕捉することができるようになる。
【0046】
本実施形態に係る紙幣搬送装置100は1個のダクト120を有するものとして構成されているが、紙幣搬送装置100は2個のダクトを有するものとして構成されることもある。
図26は2個のダクトを有する紙幣搬送装置100の一例を示す部分的な斜視図である。
図26に示すように、紙幣搬送装置100は、ダクト120の他に、第二ダクト120Aと、中継装置250と、を備えている。
ダクト120を送られてきた紙幣50は中継装置250に送られ、中継装置250において紙幣50の向きが転換され、その後に第二ダクト120Aに送られる。第二ダクト120Aは紙幣収容室14に接続されており、紙幣50は第二ダクト120Aを介して紙幣収容室14に送られる。
【0047】
中継装置250の手前においてダクト120からキャリア収納用ダクト130が分岐している。
図26に示した構造は図7に示した構造と比較して、紙幣収容室14と中継装置250とが相違しているだけである。このため、ダクト120とキャリア収納用ダクト130との分岐点と中継装置250との間にシャッター装置200を配置することも可能である。
シャッター装置200を設けることにより、第二送風機12bからの空気流が中継装置250に入り込むことはなく、中継装置250の内部に収納されている紙幣50に影響を与えることはなくなる。
【符号の説明】
【0048】
100 本発明の第一の実施形態に係る紙幣搬送装置
110 キャリア
120 ダクト
130 キャリア収納用ダクト
131 センサー
200 シャッター装置
210 ピニオン
211 モーター
212 シャッタープレート
214 ラック
250 中継装置
【要約】
【課題】ダクトの中に発生させた空気流によりキャリアを介して紙幣を搬送する装置において、紙幣の搬送効率を向上させる。
【解決手段】ダクト(120)は、紙幣のみが通過可能な第一領域と、キャリアが通過可能な第二領域と、から構成される。第一領域は紙葉類収容室(14)まで延びており、第二領域は紙葉類収容室(14)の手前で第一領域から分岐し、キャリア収納用ダクト(130)を構成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図32