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特許7123479フィーダー個数管理装置、フィーダー個数管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】フィーダー個数管理装置、フィーダー個数管理方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20220816BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
G05B19/418 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018153812
(22)【出願日】2018-08-20
(65)【公開番号】P2020030446
(43)【公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】東野 昌記
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-207215(JP,A)
【文献】特開2013-062290(JP,A)
【文献】特開2010-016266(JP,A)
【文献】特開2012-230995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダーにより供給された部品をノズルにより保持して基板に移載する動作を、互いに異なる前記フィーダーから供給された2個以上の部品について並行して実行可能な部品実装ラインにおける前記フィーダーの装着個数を各部品種について示すフィーダー個数情報と、基板に実装する部品の個数を各部品種について示す部品個数情報とを記憶する記憶部と、
前記部品個数情報に示される個数の部品を基板に実装するのに要する推定所要時間を当該基板への実装対象となる各部品種について推定する時間推定処理と、前記フィーダー個数情報に含まれる各部品種のうちから、前記フィーダーの装着個数を増やすフィーダー増設の対象となる部品種を前記推定所要時間に基づき選択する対象選択処理と、前記対象選択処理で選択された部品種に対して前記フィーダー増設を実行して前記フィーダー個数情報を更新する情報更新処理とを実行する演算部と
を備えるフィーダー個数管理装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記情報更新処理により更新された前記フィーダー個数情報に対して、前記時間推定処理、前記対象選択処理および前記情報更新処理を繰り返す請求項1に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項3】
前記演算部は、各部品種について前記推定所要時間が目標サイクルタイム未満になると前記時間推定処理、前記対象選択処理および前記情報更新処理の繰り返しを停止する請求項2に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項4】
前記演算部は、前記部品実装ラインに前記フィーダーを装着した状態で前記フィーダーにより供給された部品を前記基板に実装するシミュレーションを実行した結果に基づき前記目標サイクルタイムを算出する請求項3に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記部品実装ラインにおいて前記フィーダーを装着可能な装着箇所が無くなると、前記時間推定処理、前記対象選択処理および前記情報更新処理の繰り返しを停止する請求項2ないし3のいずれか一項に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、同一の部品種の部品を供給する前記フィーダーの最大装着個数を記憶し、
前記演算部は、前記フィーダー個数情報が示す装着個数が前記最大装着個数である部品種については前記フィーダー増設を禁止する請求項1ないし5のいずれか一項に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項7】
前記部品実装ラインは、前記ノズルを有して前記フィーダーと基板との間を移動可能な複数の実装部を備え、
前記最大装着個数は、前記部品実装ラインが備える前記実装部の個数である請求項6に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項8】
前記部品実装ラインは、前記ノズルを有して前記フィーダーと基板との間を移動可能な少なくとも1個の実装部を備え、
前記最大装着個数は、前記実装部が同時に保持できる部品の個数と前記部品実装ラインが備える前記実装部の個数との積である請求項6に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項9】
前記最大装着個数は、ユーザーインターフェースを介してユーザーにより入力された個数である請求項6に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項10】
前記記憶部は、ユーザーインターフェースを介してユーザーにより入力された、前記部品実装ラインへの装着を許可する前記フィーダーの総装着個数を記憶し、
前記演算部は、前記フィーダー個数情報が示す前記部品実装ラインへの前記フィーダーの装着個数が前記総装着個数になると、全ての部品種について前記フィーダー増設を禁止する請求項1ないし9のいずれか一項に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項11】
前記演算部は、ユーザーインターフェースを介してユーザーにより指定された部品種については、前記フィーダー増設を禁止する請求項1ないし10のいずれか一項に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項12】
前記演算部は、ユーザーインターフェースを介したユーザーの入力に応じて、全ての部品種について前記フィーダー増設を禁止する請求項1ないし11のいずれか一項に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項13】
前記フィーダー個数情報は、前記部品実装ラインにおいて複数の基板種の基板への部品実装に共通してセットされる前記フィーダーの装着個数を示し、
前記部品個数情報は、基板に実装する前記部品の個数を各部品種について基板種毎に示し、
前記時間推定処理は、前記推定所要時間を各部品種について基板種毎に推定する請求項1ないし12のいずれか一項に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項14】
前記記憶部は、部品実装を実行する基板の枚数を各基板種について示す生産枚数情報と、所定の目標サイクルタイムとを記憶し、
前記対象選択処理は、各部品種のうち、前記推定所要時間から前記目標サイクルタイムを引いた差に前記生産枚数情報が示す基板の枚数を乗じた推定総時間が最長となる部品種を選択する請求項13に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項15】
前記対象選択処理は、前記時間推定処理で推定された前記推定所要時間のうち、最長の前記推定所要時間に対応する部品種を選択する請求項1ないし13のいずれか一項に記載のフィーダー個数管理装置。
【請求項16】
フィーダーにより供給された部品をノズルにより保持して基板に移載する動作を、互いに異なる前記フィーダーから供給された2個以上の部品について並行して実行可能な部品実装ラインにおいて、基板に実装する部品の個数を各部品種について示す部品個数情報に示される個数の部品を基板に実装するのに要する推定所要時間を当該基板への実装対象となる各部品種について推定する工程と、
前記部品実装ラインにおける前記フィーダーの装着個数を各部品種について示すフィーダー個数情報に含まれる各部品種のうちから、前記フィーダーの装着個数を増やすフィーダー増設の対象となる部品種を前記推定所要時間に基づき選択する工程と、
選択された部品種に対して前記フィーダー増設を実行して前記フィーダー個数情報を更新する工程と
を備えるフィーダー個数管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フィーダーにより供給した部品を基板に実装する部品実装ラインにおけるフィーダーの装着個数を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、複数のフィーダーから互いに異なる種類の部品を供給しつつ、これらの部品を実装ヘッドによって基板に実装する部品実装ラインが知られている。かかる部品実装ラインでは、複数の部品種の部品を用いて基板への部品実装を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-207215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば複数の部品実装機を備える部品実装ラインでは、フィーダーから基板への部品の移載を各部品実装機が並行して実行できる。また、部品実装機に複数のヘッドユニットを設けた部品実装ラインでは、フィーダーから基板への部品の移載を各ヘッドユニットが並行して実行できる。あるいは、1台のヘッドユニットが複数のノズルにより部品を同時に吸着できる部品実装ラインでは、フィーダーから基板への部品の移載をこれらノズルが並行して実行できる。つまり、これらの部品実装ラインでは、フィーダーから基板へ部品を移載する動作を、互いに異なるフィーダーから供給された2個以上の部品について並行して実行できる。したがって、基板への部品実装の完了に要する時間を短縮するには、部品実装ラインに装着するフィーダーの個数を増やすことが有利となる。
【0005】
ただし、部品実装ラインに装着できるフィーダーの個数や、ユーザーが保有するフィーダーの個数には限りがある。したがって、部品実装ラインで部品実装に用いられる部品の部品種が多数存在するような場合には、全部品種についてフィーダーの装着個数を増やすことは現実的に困難である。また、全部品種について同様にフィーダーの増加による効果が得られるわけではなく、一部の部品種については、フィーダーを増加しても、基板への部品実装の完了に要する時間の短縮に繋がらない場合がある。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、不要なフィーダーの増加を抑えつつ基板への部品実装の完了に要する時間の短縮を図ることを可能にする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るフィーダー個数管理装置は、フィーダーにより供給された部品をノズルにより保持して基板に移載する動作を、互いに異なるフィーダーから供給された2個以上の部品について並行して実行可能な部品実装ラインにおけるフィーダーの装着個数を各部品種について示すフィーダー個数情報と、基板に実装する部品の個数を各部品種について示す部品個数情報とを記憶する記憶部と、部品個数情報に示される個数の部品を基板に実装するのに要する推定所要時間を当該基板への実装対象となる各部品種について推定する時間推定処理と、フィーダー個数情報に含まれる各部品種のうちから、フィーダーの装着個数を増やすフィーダー増設の対象となる部品種を推定所要時間に基づき選択する対象選択処理と、対象選択処理で選択された部品種に対してフィーダー増設を実行してフィーダー個数情報を更新する情報更新処理とを実行する演算部とを備える。
【0008】
本発明に係るフィーダー個数管理方法は、フィーダーにより供給された部品をノズルにより保持して基板に移載する動作を、互いに異なるフィーダーから供給された2個以上の部品について並行して実行可能な部品実装ラインにおいて、基板に実装する部品の個数を各部品種について示す部品個数情報に示される個数の部品を基板に実装するのに要する推定所要時間を当該基板への実装対象となる各部品種について推定する工程と、部品実装ラインにおけるフィーダーの装着個数を各部品種について示すフィーダー個数情報に含まれる各部品種のうちから、フィーダーの装着個数を増やすフィーダー増設の対象となる部品種を推定所要時間に基づき選択する工程と、選択された部品種に対してフィーダー増設を実行してフィーダー個数情報を更新する工程とを備える。
【0009】
このように構成された発明(フィーダー個数管理装置、フィーダー個数管理方法)では、部品実装ラインにおけるフィーダーの装着個数を各部品種について示すフィーダー個数情報を用いて、フィーダーの装着個数が管理される。また、フィーダーの装着個数を増やすフィーダー増設の対象が、複数の部品種のうちから選択される。つまり、基板に実装する部品の個数を各部品種について示す部品個数情報に示される個数の部品を基板に実装するのに要する推定所要時間が、当該基板への実装対象となる各部品種について推定される。そして、フィーダー個数情報に含まれる各部品種のうちから、フィーダーの装着個数を増やすフィーダー増設の対象となる部品種が推定所要時間に基づき選択される。こうして部品実装に要する推定所要時間に基づきフィーダー増設の対象となる部品種を限定することで、不要なフィーダーの増加を抑えつつ基板への部品実装の完了に要する時間の短縮を図ることが可能となっている。
【0010】
なお、本明細書において、動作を並行して実行するとは、2個あるいはそれ以上の動作を、それらの実行期間が少なくとも一部で重複した状態で実行することを示すものとする。
【0011】
また、演算部は、情報更新処理により更新されたフィーダー個数情報に対して、時間推定処理、対象選択処理および情報更新処理を繰り返すように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、基板への部品実装の完了に要する時間を効果的に短縮することができる。
【0012】
また、演算部は、各部品種について推定所要時間が基準時間未満になると時間推定処理、対象選択処理および情報更新処理の繰り返しを停止するように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、不要なフィーダーの増加を効果的に抑制することができる。
【0013】
また、演算部は、部品実装ラインにフィーダーを装着した状態でフィーダーにより供給された部品を基板に実装するシミュレーションを実行した結果に基づき基準時間を算出するように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、適切な基準時間に基づいてフィーダー増設の実行を管理し、不要なフィーダーの増加を抑えることが可能となる。
【0014】
また、演算部は、部品実装ラインにおいてフィーダーを装着可能な装着箇所が無くなると、時間推定処理、対象選択処理および情報更新処理の繰り返しを停止するように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、フィーダーの個数を装着可能な範囲に抑えることができる。
【0015】
また、記憶部は、同一の部品種の部品を供給するフィーダーの最大装着個数を記憶し、演算部は、フィーダー個数情報が示す装着個数が最大装着個数である部品種についてはフィーダー増設を禁止するように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、各部品種に対するフィーダーの個数を最大装着個数以下に抑えることができる。
【0016】
また、部品実装ラインは、ノズルを有してフィーダーと基板との間を移動可能な複数の実装部を備え、最大装着個数は、部品実装ラインが備える実装部の個数であるように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、基板への部品実装の完了に要する時間の短縮に効果的な範囲を超えて、各部品種に対するフィーダーが不要に増えるのを抑制することができる。
【0017】
また、部品実装ラインは、ノズルを有してフィーダーと基板との間を移動可能な少なくとも1個の実装部を備え、最大装着個数は、実装部が同時に保持できる部品の個数と部品実装ラインが備える実装部の個数との積であるように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、基板への部品実装の完了に要する時間の短縮に効果的な範囲を超えて、各部品種に対するフィーダーが不要に増えるのを抑制することができる。
【0018】
また、最大装着個数は、ユーザーインターフェースを介してユーザーにより入力された個数であるように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、ユーザーが求める範囲に、各部品種に対するフィーダーの個数を抑えることができる。
【0019】
また、記憶部は、ユーザーインターフェースを介してユーザーにより入力された、部品実装ラインへの装着を許可するフィーダーの総装着個数を記憶し、演算部は、フィーダー個数情報が示す部品実装ラインへのフィーダーの装着個数が総装着個数になると、全ての部品種についてフィーダー増設を禁止するように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、ユーザーが求める範囲に、フィーダーの総数を抑えることができる。
【0020】
また、演算部は、ユーザーインターフェースを介してユーザーにより指定された部品種については、フィーダー増設を禁止するように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、ユーザーの意に反してフィーダーが増えるのを防止できる。
【0021】
また、演算部は、ユーザーインターフェースを介したユーザーの入力に応じて、全ての部品種についてフィーダー増設を禁止するように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、ユーザーの意に反してフィーダーが増えるのを防止できる。
【0022】
また、フィーダー個数情報は、部品実装ラインにおいて複数の基板種の基板への部品実装に共通してセットされるフィーダーの装着個数を示し、部品個数情報は、基板に実装する部品の個数を各部品種について基板種毎に示し、時間推定処理は、推定所要時間を各部品種について基板種毎に推定するように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。かかる構成では、このように異なる基板種の基板への部品実装に共通して使用されるフィーダーについて、不要なフィーダーの増加を抑えつつ基板への部品実装の完了に要する時間の短縮を図ることが可能となる。
【0023】
また、記憶部は、部品実装を実行する基板の枚数を各基板種について示す生産枚数情報と、所定の目標時間とを記憶し、対象選択処理は、各部品種のうち、推定所要時間から目標時間を引いた差に生産枚数情報が示す基板の枚数を乗じた推定総時間が最長となる部品種を選択するように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、不要なフィーダーの増加を抑えつつ基板への部品実装の完了に要する時間の短縮を効果的に図ることが可能となる。
【0024】
また、対象選択処理は、時間推定処理で推定された推定所要時間のうち、最長の推定所要時間に対応する部品種を選択するように、フィーダー個数管理装置を構成しても良い。これによって、不要なフィーダーの増加を抑えつつ基板への部品実装の完了に要する時間の短縮を効果的に図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、不要なフィーダーの増加を抑えつつ基板への部品実装の完了に要する時間の短縮を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】部品実装ラインが備える部品実装機の一例を模式的に示す部分平面図。
図2図1に示す部品実装ライン1を備える部品実装システムの一例を模式的に示す図。
図3】サーバーコンピューターが実行するフィーダー個数管理の一例を示すフローチャート。
図4図3のフローチャートに従って実行される演算結果の一例を示す図。
図5図3のフローチャートに従って実行される演算結果の一例を示す図。
図6図3のフローチャートに従って実行される演算結果の一例を示す図。
図7図3のフローチャートに従って実行される演算結果の一例を示す図。
図8】フィーダー装着制限情報の一例を示す図。
図9】フィーダー個数管理の変形例を示す図。
図10】フィーダー個数管理を適用可能な部品実装ラインの変形例を示すブロック図。
図11】目標サイクルタイムの算出方法の変形例を示す図。
図12】目標サイクルタイムの算出方法の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は部品実装ラインが備える部品実装機の一例を模式的に示す部分平面図である。図1では、鉛直方向に平行なZ方向、それぞれ水平方向に平行なX方向およびY方向からなるXYZ直交座標を適宜示す。同図に示す例では、部品実装ライン1は、1台の部品実装機10により構成される。
【0028】
部品実装機10は平面視で略矩形形状を有する基台11と、基台11に配置された基板搬送部2とを備える。基板搬送部2は一対のコンベア21を有し、一対のコンベア21はY方向に互いに間隔を空けて、X方向に平行に配置されている。コンベア21は、X方向の上流側から搬入した基板Bを作業位置(図1の基板Bの位置)に搬入するとともに、作業位置で部品実装が実行された基板BをX方向の下流側へ搬出する。また、部品実装ライン10は、それぞれ独立して動作する2個のヘッドユニット3を備え、各ヘッドユニット3がコンベア21により作業位置に搬入された基板Bに部品実装を実行する。
【0029】
さらに、部品実装機10は、2個のヘッドユニット3それぞれをXY方向に個別に駆動するXY駆動機構4を備える。このXY駆動機構4は、それぞれX方向に平行に延設された2個のXビーム41を有し、これらXビーム41のそれぞれがヘッドユニット3をX方向に移動可能に支持する。各Xビーム41には、X方向に平行に延設されたボールネジ42と、ボールネジ42を回転駆動するXモーター43(サーボモーター)とが取り付けられ、ボールネジ42のナットにヘッドユニット3が取り付けられている。さらに、XY駆動機構4は、それぞれY方向に平行に延設された一対のYビーム44を有する。各Xビーム41の一端は一方のYビーム44によりY方向に移動可能に支持され、各Xビーム41の他端は他方のYビーム44によりY方向に移動可能に支持される。各Yビーム44には、Xビーム41をY方向に駆動するYモーター45が取り付けられている。各Yモーター45はリニアモーターであり、Xビーム41の端に取り付けられた可動子451と、Y方向に平行に延設された固定子452とを有する。そして、可動子451と固定子452との間に働く磁力によって可動子451とともにXビーム41がY方向に駆動される。かかるXY駆動機構4によれば、Xモーター43およびYモーター45によって、ヘッドユニット3をXY方向に移動させることができる。
【0030】
また、部品実装機10は、一対のコンベア21、21のY方向の両側のそれぞれに配置された部品供給部5を備える。各部品供給部5では、X方向に並ぶ複数のフィーダー51が着脱可能に装着されている。各フィーダー51は集積回路、トランジスター、コンデンサ等の小片状の部品P(チップ部品)を所定間隔おきに収納したテープをY方向に間欠的に送り出すことによって、テープ内の部品Pを部品供給位置に供給する。
【0031】
ヘッドユニット3は、X方向に平行に配列された複数(3個)の実装ヘッド31を有している。各実装ヘッド31はZ方向(鉛直方向)に延びた長尺形状を有し、その下端に着脱可能に取り付けられたノズルによって部品Pを吸着・保持することができる。そして、ヘッドユニット3はフィーダー51の上方へ移動して、フィーダー51により供給される部品Pをノズルで吸着して保持する。続いて、ヘッドユニット3は作業位置の基板Bの上方に移動して部品Pの吸着を解除することで、基板Bに部品Pを実装する。この際、2個のヘッドユニット3のうちY方向の一方側のヘッドユニット3は、2個の部品供給部5のうちのY方向の一方側の部品供給部5により供給された部品Pを基板Bに実装し、2個のヘッドユニット3のうちY方向の一方側のヘッドユニット3は、2個の部品供給部5のうちのY方向の他方側の部品供給部5により供給された部品Pを基板Bに実装する。なお、X方向において実装ヘッド31の配列ピッチとフィーダー51の配列ピッチとは一致しており、ヘッドユニット3は、複数(3個)の実装ヘッド31によって、複数(3個)の部品Pをフィーダー51から同時に吸着できる。
【0032】
このように、部品実装ライン1の部品実装機10では、3個の部品Pを同時に吸着できる実装ヘッド31を2台備える。したがって、フィーダー51により供給された部品Pをノズルにより保持して基板Bに移載する動作を、互いに異なるフィーダー51から供給された複数、すなわち6個(=3個×2台)の部品Pに対して並行して実行可能である。さらに言えば、複数(6個)のフィーダー51から供給される同一の部品Pに対して、当該動作を並行して実行することができる。
【0033】
図2図1に示す部品実装ライン1を備える部品実装システムの一例を模式的に示す図である。図2に示すように、部品実装システムSは、部品実装ライン1を管理するサーバーコンピューター9を備える。特に、本実施形態では、部品実装ライン1の部品実装機10におけるフィーダー51の装着個数が、サーバーコンピューター9によって、部品Pの各種類について管理される。
【0034】
図2に示すように、部品実装機10は、CPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)等で構成された制御部101と、外部との通信機能を担う通信部102を備える。そして、制御部101は、通信部102がサーバーコンピューター9から受信した生産プログラムに従って部品実装機10の各部を制御することで、生産プログラムが規定する手順で基板Bに部品Pを実装する。
【0035】
サーバーコンピューター9は、CPUおよびRAM等で構成されたプロセッサーである演算部91と、HDD(Hard Disk Drive)で構成され、フィーダー51の装着個数に必要な各種データを記憶する記憶部92とを備え、演算部91が記憶部92に記憶されたデータに基づき、フィーダー51の装着個数の管理に要する演算を実行する。また、サーバーコンピューター9は、例えばタッチパネルディスプレイ等で構成されたUI(User Interface)93を備え、ユーザーはUI93を操作することでデータや指令を入力したり、UI93の画面を確認することで部品実装ライン1の状態を確認したりすることができる。さらに、サーバーコンピューター9は、部品実装機10の通信部102との間での通信機能を担う通信部94を備える。
【0036】
図3はサーバーコンピューターが実行するフィーダー個数管理の一例を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、演算部91の演算によって実行される。また、図4図7図3のフローチャートに従って実行される演算結果の一例を示す図であり、これらの図では、異なる複数(3つ)の部品種Pa、Pb、Pcの全部あるいは一部の部品Pを実装することで、異なる複数(3つ)の基板種Ba、Bb、Bcの基板Bを生産する例が示されている。図4図7はこれらの順で得られた演算結果を示しており、先ずは、図3および図4を参照して説明を行い、処理が進むに連れて図5図7を順次参照する。
【0037】
ステップS101では、演算部91は、記憶部92に記憶された部品個数情報を読み出す。図4に示すように、部品個数情報は、基板種Ba、Bb、Bcそれぞれの基板Bを生産するために使用される、部品種Pa、Pb、Pcそれぞれの部品Pの個数を示す。この部品個数情報は、例えばユーザーによりUI93を介して入力されて、記憶部92に予め記憶される。
【0038】
ステップS102では、目標サイクルタイムTcが各基板種Ba、Bb、Bcについて算出される。この目標サイクルタイムTcの算出では、フィーダー51の装着個数に関する制限を示すフィーダー装着制限情報(図8)が参照される。図8はフィーダー装着制限情報の一例を示す図である。図8において、前側部品供給部は、図1のY方向の一方側(下側)の部品供給部5を示し、後側部品供給部は、図1のY方向の他方側(上側)の部品供給部5を示す。図8によれば、部品種Pa、Pbの部品Pを供給するフィーダー51は、前側および後側の部品供給部5の両方に装着可能であるのに対して、部品種Pcの部品Pを供給するフィーダー51は、前側の部品供給部5に対してのみ装着可能であり、後側の部品供給部5に対しては装着不可である。したがって、部品種Paの部品Pを供給する3個のフィーダー51を隣接させて、2個の部品供給部5のそれぞれに装着することで、6個の部品種Paの部品Pを同時に吸着可能であり、部品種Pbについても同様である。また、部品種Pcの部品Pを供給する3個のフィーダー51を隣接させて、1個の部品供給部5に装着することで、3個の部品種Pcの部品Pを同時に吸着可能である。つまり、部品種Pa、Pbについては、フィーダー51から基板Bへの移載を最大6個の部品に対して並行して実行でき、部品種Pcについては、フィーダー51から基板Bへの移載を最大3個の部品に対して並行して実行できる。
【0039】
ステップS102の目標サイクルタイムTcの算出では、部品種Pa、Pbの部品Pを供給するフィーダー51をそれぞれ2個の部品供給部5に3個ずつ装着し、部品種Pcの部品Pを供給するフィーダー51を1個の部品供給部5に3個装着した状況、すなわちフィーダー装着制限情報が示す最大個数のフィーダー51を装着した状況が設定される。そして、この状況下で生産プログラムに従って部品Pを基板Bに実装するシミュレーションが実行される。かかるシミュレーションでは、同種の部品Pを供給可能な複数のフィーダー51は隣接して配置され、部品Pの同時吸着に用いられる。
【0040】
さらに、部品種Paの部品Pをフィーダー51から吸着して基板Bに実装するのに要する吸装着時間を推定し、このシミュレーションで部品種Paの部品Pの吸着・実装の度に発生する吸装着時間の総和を求める。同様に、部品種Pb、Pcそれぞれについても、吸装着時間の総和を求める。そして、部品種Pa、Pb、Pcそれぞれの吸装着時間の総和の合計が目標サイクルタイムTcとして算出される。かかる演算が基板種Ba、Bb、Bcのそれぞれについて実行される。その結果、図4の例では、基板種Baの基板Bの目標サイクルタイムTcは70秒と算出され、基板種Bbの基板Bの目標サイクルタイムTcは30秒と算出され、基板種Bcの基板Bの目標サイクルタイムTcは15秒と算出される。
【0041】
ステップS103では、演算部91は、記憶部92に記憶されたフィーダー個数情報を読み出す。図4に示すように、フィーダー個数情報は、現時点において部品実装ライン1で装着予定のフィーダー51の個数を、部品種Pa、Pb、Pcそれぞれについて示す。図4の例では、基板種Ba、Bbの基板Bの生産中は、部品種Pa、Pb、Pcの部品Pを供給するフィーダー51が1個ずつ装着され、基板種Bcの基板Bの生産中は、部品種Pa、Pbの部品Pを供給するフィーダー51が1個ずつ装着され、部品種Pcの部品Pを供給するフィーダー51が2個装着される。
【0042】
ステップS104では、部品実装ライン1において、フィーダー51の装着箇所に空きがあるか否か、換言すれば、フィーダー51をさらに追加可能か否かが判断される。フィーダー51の装着箇所に空きがない場合(ステップS104で「NO」の場合)には、図3のフィーダー個数管理が終了する。一方、フィーダー51の装着箇所に空きがある場合(ステップS104で「YES」の場合)には、ステップS105に進む。
【0043】
ステップS105では、現時点(図4に示す時点)でのフィーダー個数情報が示す個数のフィーダー51を装着した状態で、フィーダー個数情報が示す個数の部品Pを1枚の基板Bへ実装した場合に、部品種Paの最初の部品Pを最初にフィーダー51から吸着してから、部品種Paの最後の部品Pを基板Bに実装するまでの時間がフィーダー動作時間Tfとして算出される。同様に、部品種Pb、Pcのそれぞれについても、フィーダー動作時間Tfが算出される。かかる演算では、同種の部品Pを供給可能な複数のフィーダー51がある場合には、これらのフィーダー51は隣接して配置され、部品Pの同時吸着に用いられると仮定される。ここでは、かかる演算が基板種Ba、Bb、Bcそれぞれについて実行される。
【0044】
その結果、図4の例では、基板種Baの基板Bの生産において、部品種Paの部品Pを供給するフィーダー51のフィーダー動作時間Tfが15秒と算出され、部品種Pbの部品Pを供給するフィーダー51のフィーダー動作時間Tfが150秒と算出され、部品種Pcの部品Pを供給するフィーダー51のフィーダー動作時間Tfが30秒と算出される。また、基板種Bbの基板Bの生産において、部品種Paの部品Pを供給するフィーダー51のフィーダー動作時間Tfが45秒と算出され、部品種Pbの部品Pを供給するフィーダー51のフィーダー動作時間Tfが15秒と算出される。さらに、基板種Bcの基板Bの生産において、部品種Paの部品Pを供給するフィーダー51のフィーダー動作時間Tfが15秒と算出され、部品種Pcの部品Pを供給するフィーダー51のフィーダー動作時間Tfが10秒と算出される。
【0045】
ステップS106では、フィーダー動作時間Tfと目標サイクルタイムTcとの時間差ΔT(=Tf-Tc)が算出される。ここでは、かかる演算が各部品種Pa、Pb、Pbについて各基板種Ba、Bb、Bc毎に実行される。その結果、基板種Baの基板Bの生産については、部品種Paに関する時間差ΔTが-55秒と算出され、部品種Pbに関する時間差ΔTが80秒と算出され、部品種Pcに関する時間差ΔTが-40秒と算出される。また、基板種Bbの基板Bの生産については、部品種Paに関する時間差ΔTが15秒と算出され、部品種Pbに関する時間差ΔTが-15秒と算出される。さらに、基板種Bcの基板Bの生産については、部品種Paに関する時間差ΔTが0秒と算出され、部品種Pcに関する時間差ΔTが0秒と算出される。こうして、基板種Ba、Bb、Bcと部品種Pa、Pb、Pcとの組合せ毎に、時間差ΔTが算出される。なお、この組合せを、基板部品組合せと適宜称し、各基板部品組合せの違いをそれに属する基板種と部品種の符号の組み合わせで適宜示す。
【0046】
ステップS107では、ステップS106で算出した時間差ΔTのうち、正の時間差ΔTが存在するか否かが確認される。正の時間差ΔTがない場合(ステップS107で「NO」の場合)には、図3のフィーダー個数管理が終了する。一方、正の時間差ΔTがある場合(ステップS107で「YES」の場合)には、ステップS108に進む。
【0047】
ステップS108では、時間差ΔTが正の基板部品組合せが時間差ΔTの降順にソートされる。図4図7の例では、基板部品組合せ(Ba、Pb)、(Bb、Pa)がソートされる。次に、ステップS109でソート順序Nがゼロにリセットされ、ステップS110でソート順序Nがインクリメントされる。そして、ステップS111で、ソート順序Nの基板部品組合せ、ここでは時間差ΔT(=80秒)が最大である基板部品組合せ(Ba、Pb)に属する部品種Pbの部品Pを供給するフィーダー51の装着個数が最大装着個数未満であるかが判断される。この最大装着個数は、図8を用いて上述した最大同時吸着個数以下の範囲で部品種Pa、Pb、Pcのそれぞれについて設定されて記憶部92に記憶され、例えばヘッドユニット3の個数(2個)、1個のヘッドユニット3が同時吸着可能な個数(3個)、これらの積(6個=2個×3個)あるいはユーザーによりUI93に入力された個数等に設定できる。
【0048】
部品種Pbの部品Pを供給する当該フィーダー51の装着個数が最大装着個数未満でない場合(ステップS111で「NO」の場合)には、ステップS112で、時間差ΔTが正の基板部品組み合わせの個数Nxと、ソート順序Nとが一致するかが判断される。そして、これらが一致する場合(ステップS112で「YES」の場合)には、図3のフィーダー個数管理が終了する。一方、これらが一致しない場合(ステップS112で「NO」の場合)には、ステップS110に戻って、ソート順序Nがインクリメントされ、時間差ΔTが2番目の基板部品組合せに対してステップS111が実行される。
【0049】
ステップS111で、部品種Pbの部品Pを供給する当該フィーダー51の装着個数が最大装着個数未満である、すなわち「YES」と判断されると、当該フィーダー51が、フィーダー51の装着個数を増やすフィーダー増設の対象に選択される(ステップS113)。そして、ステップS114では、フィーダー増設の対象に選定されたフィーダー51の増加が可能か、換言すれば、フィーダー51の増加分の装着箇所が空いているか否かが判断される。装着箇所に空きがなく、フィーダー51の増加が不能な場合(ステップS114で「NO」の場合)には、ステップS112に戻る。つまり、部品種Pbの部品Pのフィーダー51を増加できない場合であっても、他の部品種の部品Pのフィーダー51を増加できる場合が想定できるため、これを試みる。
【0050】
一方、フィーダー51の増加が可能な場合(ステップS114で「YES」の場合)には、フィーダー増設の対象に選定されたフィーダー51の個数をフィーダー個数情報において1個増やして、フィーダー個数情報を更新する(ステップS115)。図4図7の例では、図5に示すように、フィーダー個数情報において基板部品組合せ(Ba、Pb)のフィーダー個数が1個から2個に増える(「1→2」)。
【0051】
ステップS115でフィーダー増設が実行されると、ステップS104に戻って、装着箇所に空きがあるかが確認される。図4図7の例では、ステップS104で、空きがある(YES)と判断され、ステップS105に進む。
【0052】
ステップS105では、現時点(図5に示す時点)でのフィーダー個数情報が示す個数のフィーダー51を装着した条件下で1枚の基板Bへの部品実装を実行した場合のフィーダー動作時間Tfが算出される。ここでは、先のステップS113でフィーダー増設の対象に選択された基板部品組合せ(Ba、Pb)について、かかる演算が実行される。その結果、図5に示すように、基板種Baの基板Bの生産において、部品種Pbの部品Pを供給するフィーダー51のフィーダー動作時間Tfが150秒から75秒に短縮される(「150→75」)。
【0053】
ステップS106では、フィーダー動作時間Tfと目標サイクルタイムTcとの時間差ΔTが算出される。ここでは、先のステップS113でフィーダー増設の対象に選択された基板部品組合せ(Ba、Pb)について、かかる演算が実行される。その結果、図5に示すように、基板種Baの基板Bの生産について、部品種Pbに関する時間差ΔTが80秒から5秒に減少した(「80→5」)。
【0054】
そして、ステップS106で算出した時間差ΔTのうち、正の時間差ΔTが存在するか否かが確認され(ステップS107)、時間差ΔTが正の基板部品組合せ(Ba、Pb)、(Bb、Pa)が、時間差ΔTの降順にソートされる(ステップS108)。次に、ステップS109でソート順序Nがゼロにリセットされ、ステップS110でソート順序Nがインクリメントされる。
【0055】
ステップS111で、ソート順序Nの基板部品組合せ、ここでは、図5に示す時間差ΔT(=15秒)が最大である基板部品組合せ(Bb、Pa)に属する部品種Paの部品Pを供給するフィーダー51の装着個数が最大装着個数未満であると判断されると、ステップS113で、当該フィーダー51がフィーダー増設の対象に選択される。
【0056】
そして、ステップS114で、フィーダー増設の対象に選定されたフィーダー51の増加が可能と判断されると、当該フィーダー51の個数をフィーダー個数情報において1個増やして、フィーダー個数情報を更新する(ステップS115)。図4図7の例では、図6に示すように、フィーダー個数情報において基板部品組合せ(Bb、Pa)のフィーダー個数が1個から2個に増える(「1→2」)。
【0057】
ステップS115でフィーダー増設が実行されると、ステップS104に戻って、装着箇所に空きがあるかが確認される。図4図7の例では、ステップS104で、空きがある(YES)と判断され、ステップS105に進む。
【0058】
ステップS105では、現時点(図6に示す時点)でのフィーダー個数情報が示す個数のフィーダー51を装着した条件下で1枚の基板Bへの部品実装を実行した場合のフィーダー動作時間Tfが算出される。ここでは、先のステップS113でフィーダー増設の対象に選択された基板部品組合せ(Bb、Pa)について、かかる演算が実行される。その結果、図6に示すように、基板種Bbの基板Bの生産において、部品種Paの部品Pを供給するフィーダー51のフィーダー動作時間Tfが45秒から22.5秒に短縮される(「45→22.5」)。
【0059】
ステップS106では、フィーダー動作時間Tfと目標サイクルタイムTcとの時間差ΔTが算出される。ここでは、先のステップS113でフィーダー増設の対象に選択された基板部品組合せ(Bb、Pa)について、かかる演算が実行される。その結果、図6に示すように、基板種Bbの基板Bの生産について、部品種Paに関する時間差ΔTが15秒から-7.5秒に減少した(「15→-7.5」)。
【0060】
そして、ステップS106で算出した時間差ΔTのうち、正の時間差ΔTが存在するか否かが確認され(ステップS107)、時間差ΔTが正の基板部品組合せ(Ba、Pb)が、時間差ΔTの降順にソートされる(ステップS108)。次に、ステップS109でソート順序Nがゼロにリセットされ、ステップS110でソート順序Nがインクリメントされる。
【0061】
ステップS111で、ソート順序Nの基板部品組合せ、ここでは、図5に示す時間差ΔT(=5秒)が最大である基板部品組合せ(Ba、Pb)に属する部品種Pbの部品Pを供給するフィーダー51の装着個数が最大装着個数未満であると判断されると、ステップS113で、当該フィーダー51がフィーダー増設の対象に選択される。
【0062】
そして、ステップS114で、フィーダー増設の対象に選定されたフィーダー51の増加が可能と判断されると、当該フィーダー51の個数をフィーダー個数情報において1個増やして、フィーダー個数情報を更新する(ステップS115)。図4図7の例では、図7に示すように、フィーダー個数情報において基板部品組合せ(Ba、Pb)のフィーダー個数が2個から3個に増える(「2→3」)。
【0063】
ステップS115でフィーダー増設が実行されると、ステップS104に戻って、装着箇所に空きがあるかが確認される。図4図7の例では、ステップS104で、空きがある(YES)と判断され、ステップS105に進む。
【0064】
ステップS105では、現時点(図7に示す時点)でのフィーダー個数情報が示す個数のフィーダー51を装着した条件下で1枚の基板Bへの部品実装を実行した場合のフィーダー動作時間Tfが算出される。ここでは、先のステップS113でフィーダー増設の対象に選択された基板部品組合せ(Ba、Pb)について、かかる演算が実行される。その結果、図7に示すように、基板種Baの基板Bの生産において、部品種Pbの部品Pを供給するフィーダー51のフィーダー動作時間Tfが75秒から50秒に短縮される(「75→50」)。
【0065】
ステップS106では、フィーダー動作時間Tfと目標サイクルタイムTcとの時間差ΔTが算出される。ここでは、先のステップS113でフィーダー増設の対象に選択された基板部品組合せ(Ba、Pb)について、かかる演算が実行される。その結果、図7に示すように、基板種Baの基板Bの生産について、部品種Pbに関する時間差ΔTが5秒から-20秒に減少した(「5→-20」)。
【0066】
そして、ステップS106で算出した時間差ΔTのうち、正の時間差ΔTが存在するか否かが確認される(ステップS107)。ここでは、正の時間差ΔTが存在しないため、ステップS107で「NO」と判断され、図3のフィーダー個数管理が終了する。
【0067】
以上のように構成された実施形態では、部品実装ライン1におけるフィーダー51の装着個数を各部品種Pa、Pb、Pcについて示すフィーダー個数情報を用いて、フィーダー51の装着個数が管理される。また、フィーダー51の装着個数を増やすフィーダー増設の対象が、複数の部品種Pa、Pb、Pcのうちから選択される(ステップS113)。つまり、基板Bに実装する部品Pの個数を各部品種について示す部品個数情報に示される個数の部品Pを基板Bに実装するのに要するフィーダー動作時間Tf(推定所要時間)が、当該基板Bへの実装対象となる各部品種Pa、Pb、Pcについて推定される(ステップS105)。そして、フィーダー個数情報に含まれる各部品種Pa、Pb、Pcのうちから、フィーダー51の装着個数を増やすフィーダー増設の対象となる部品種Pa、Pb、Pcがフィーダー動作時間Tfに基づき選択される(ステップS106~S113)。こうして部品実装に要するフィーダー動作時間Tfに基づきフィーダー増設の対象となる部品種Pa、Pb、Pcを限定することで、不要なフィーダー51の増加を抑えつつ基板Bへの部品実装の完了に要する時間の短縮を図ることが可能となっている。
【0068】
特にこの実施形態は、フィーダー増設の候補となる複数の部品種が存在し、これら部品種の数よりも、フィーダー51を装着可能な箇所が少ない場合に効果的に機能する。つまり、候補となる複数の部品種のうち、フィーダー動作時間Tfが比較的長い部品種が優先的にフィーダー増設の対象に選択されるため、部品実装の完了に要する時間の短縮を、より効果的に図ることができる。
【0069】
また、演算部91は、ステップS115(情報更新処理)により更新されたフィーダー個数情報に対して、ステップS105(時間推定処理)、ステップS106~S113(対象選択処理)およびステップS115(情報更新処理)を繰り返す。これによって、基板Bへの部品実装の完了に要する時間を効果的に短縮することができる。
【0070】
また、演算部91は、各部品種Pa、Pb、Pcについてフィーダー動作時間Tfが目標サイクルタイムTc(基準時間)未満になるとステップS105(時間推定処理)、ステップS106~S113(対象選択処理)およびステップS115(情報更新処理)の繰り返しを停止する(ステップS107)。これによって、不要なフィーダー51の増加を効果的に抑制することができる。
【0071】
また、演算部91は、部品実装ライン1にフィーダー51を装着した状態でフィーダー51により供給された部品Pを基板Bに実装するシミュレーションを実行した結果に基づき目標サイクルタイムTcを算出する(ステップS102)。これによって、適切な目標サイクルタイムTcに基づいてフィーダー増設の実行を管理し、不要なフィーダー51の増加を抑えることが可能となる。
【0072】
また、演算部91は、部品実装ライン1においてフィーダー51を装着可能な装着箇所が無くなると、ステップS105(時間推定処理)、ステップS106~S113(対象選択処理)およびステップS115(情報更新処理)の繰り返しを停止する(ステップS104)。これによって、フィーダー51の個数を装着可能な範囲に抑えることができる。
【0073】
また、記憶部92は、同一の部品種の部品Pを供給するフィーダー51の最大装着個数を記憶し、演算部91は、フィーダー個数情報が示す装着個数が最大装着個数である部品種についてはフィーダー増設を禁止する(ステップS111)。これによって、各部品種Pa、Pb、Pcに対するフィーダー51の個数を最大装着個数以下に抑えることができる。
【0074】
また、部品実装ライン1は、ノズルを有してフィーダー51と基板Bとの間を移動可能な複数のヘッドユニット3(実装部)を備える。そこで、上記で例示したように、最大装着個数を、部品実装ライン1が備えるヘッドユニット3の個数(2個)に設定しても良い。これによって、基板Bへの部品実装の完了に要する時間の短縮に効果的な範囲を超えて、各部品種Pa、Pb、Pcに対するフィーダー51が不要に増えるのを抑制することができる。
【0075】
あるいは、最大装着個数を、ヘッドユニット3が同時に保持できる部品Pの個数(3個)と部品実装ライン1が備えるヘッドユニット3の個数(2個)との積(=6個)に設定しても良い。これによって、基板Bへの部品実装の完了に要する時間の短縮に効果的な範囲を超えて、各部品種Pa、Pb、Pcに対するフィーダー51が不要に増えるのを抑制することができる。
【0076】
また、最大装着個数を、UI93を介してユーザーにより入力された個数に設定しても良い。これによって、ユーザーが求める範囲に、各部品種Pa、Pb、Pcに対するフィーダー51の個数を抑えることができる。
【0077】
また、フィーダー個数情報は、部品実装ライン1において複数の基板種Ba、Bb、Bcの基板Bへの部品実装に共通してセットされるフィーダー51の装着個数を示す(図4図7)。また、部品個数情報は、基板Bに実装する部品Pの個数を各部品種Pa、Pb、Pcについて基板種Ba、Bb、Bc毎に示す。そして、ステップS105(時間推定処理)では、フィーダー動作時間Tfを各部品種Pa、Pb、Pcについて基板種Ba、Bb、Bc毎に推定する。かかる構成では、このように異なる基板種Ba、Bb、Bcの基板Bへの部品実装に共通して使用されるフィーダー51について、不要なフィーダー51の増加を抑えつつ基板Bへの部品実装の完了に要する時間の短縮を図ることが可能となる。
【0078】
また、ステップS106~S113(対象選択処理)は、ステップS105(時間推定処理)で推定されたフィーダー動作時間Tfのうち、最長のフィーダー動作時間Tfに対応する部品種Pa、Pb、Pcを選択する。これによって、不要なフィーダー51の増加を抑えつつ基板Bへの部品実装の完了に要する時間の短縮を効果的に図ることが可能となる。
【0079】
このように本実施形態では、サーバーコンピューター9が本発明の「フィーダー個数管理装置」の一例に相当し、演算部91が本発明の「演算部」の一例に想到し、記憶部92が本発明の「記憶部」の一例に相当し、UI93が本発明の「ユーザーインターフェース」の一例に相当し、ステップS105が本発明の「時間推定処理」の一例に相当し、ステップS106~S113が本発明の「対象選択処理」の一例に相当し、ステップS115が本発明の「情報更新処理」の一例に相当し、フィーダー動作時間Tfが本発明の「推定所要時間」の一例に相当し、目標サイクルタイムTcが本発明の「基準時間」の一例に相当し、部品実装ライン1が本発明の「部品実装ライン」の一例に相当し、フィーダー51が本発明の「フィーダー」の一例に相当し、部品Pが本発明の「部品」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品種Pa、Pb、Pcが本発明の「部品種」の一例に相当し、基板種Ba、Bb、Bcが本発明の「基板種」の一例に相当し、フィーダー個数情報が本発明の「フィーダー個数情報」の一例に相当し、部品個数情報が本発明の「部品個数情報」の一例に相当し、最大装着個数が本発明の「最大装着個数」の一例に相当する。
【0080】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、部品実装ライン1でのフィーダー51の総装着個数(換言すれば、上限装着個数)をユーザーが指定できるように変形しても良い。この変形例では、ユーザーが部品実装ライン1への装着を許可するフィーダー51の総装着個数をUI93に入力すると、この総装着個数が記憶部92に記憶される。そして、ステップS104では、部品実装ライン1での装着箇所に空きがあるかを判断する代わりに、部品実装ライン1でのフィーダー51の装着個数が総装着個数に等しいか否かを判断する。そして、フィーダー51の装着個数が総装着個数に等しいと、図3のフィーダー個数管理を終了する。これによって、全ての部品種Pa、Pb、Pcについてフィーダーの増設が禁止される。かかる構成では、ユーザーが求める範囲に、フィーダー51の総数を抑えることができる。
【0081】
また、複数の部品種Pa、Pb、Pcのうち、フィーダー増設の実行を許可する部品種を限定するように変形しても良い。この変形例では、ユーザーは、フィーダー増設を禁止する部品種をUI93に入力することができる。そして、演算部91は、複数の部品種Pa、Pb、Pcのうち、UI93に入力された部品種をフィーダー増設の対象から外すことで、当該部品種についてはフィーダー増設を禁止する。これによって、ユーザーの意に反してフィーダー51が増えるのを防止できる。なお、ユーザーのUI93の入力態様はこれに限定されず、フィーダー増設を許可する部品種をUI93に入力しても良い。この場合も、フィーダー増設を禁止する部品種を入力していることに実質的に相当する。
【0082】
また、フィーダー増設を許可するモードと、フィーダー増設を禁止するモードとを選択的に使い分けられるように変形しても良い。この変形例では、ユーザーがUI93に対してフィーダー増設を許可するモードを選択する入力を行うと、あるいは何もしなければ、演算部91は上記の実施形態と同様にしてフィーダー増設を実行する。一方、ユーザーがフィーダー増設を禁止するモードを選択する入力を行うと、演算部91は全ての部品種Pa、Pb、Pcについてフィーダー増設の実行を禁止する。これによって、ユーザーの意に反してフィーダー51が増えるのを防止できる。なお、ユーザーのUI93の入力態様はこれに限定されず、ユーザーがフィーダー増設を許可する場合に、ユーザーにUI93に対して入力操作を求める一方、ユーザーがフィーダー増設を禁止する場合には、ユーザーにUI93に対する入力操作を求めないように、演算部91を構成しても良い。
【0083】
また、上記の実施形態に係る図4図7の具体例では、基板種Ba、Bb、Bcそれぞれの基板Bの生産枚数は特に限定しなかった。しかしながら、基板種Ba、Bb、Bcの基板Bの生産枚数は、1枚でも複数枚でも構わないし、互いに同じでも異なっていても構わない。いずれの場合であっても、上述のフィーダー個数管理を同様に実行することができる。
【0084】
あるいは、基板種Ba、Bb、Bcの基板Bの生産枚数に応じて、フィーダー個数管理を変形しても良い。図9はフィーダー個数管理の変形例を示す図である。この変形例は、基板種Ba、Bb、Bcの基板Bをそれぞれ1枚、10枚、1枚生産する場合を示す。そして、図3のフィーダー個数管理のステップS106では、生産枚数Mの違いに応じて、時間差ΔTが算出される。具体的には、フィーダー動作時間Tfと目標サイクルタイムTcとの差に基板Bの生産枚数を乗じた値が時間差ΔT(=(Tf-Tc)×M)として算出される。その結果、基板部品組合せ(Bb、Pa)の時間差ΔT(=150秒)が最大となる。したがって、ステップS108~S115の実行に伴って、図4の例とは異なり、基板部品組合せ(Bb、Pa)に属する部品種Pbの部品Pを供給するフィーダー51に対してフィーダー増設が実行される。
【0085】
つまり、この変形例では、記憶部92は、部品実装を実行する基板Bの枚数Mを各基板種Ba、Bb、Bcについて示す生産枚数情報と、目標サイクルタイムTcとを記憶する。そして、ステップS106~S113(対象選択処理)では、フィーダー動作時間Tf(推定所要時間)から目標サイクルタイムTcを引いた差に、生産枚数情報が示す基板Bの生産枚数Mを乗じた推定総時間(=(Tf-Tc)×M)が最長となる部品種Paが、複数の部品種Pa、Pb、Pcのうちから選択される。これによって、不要なフィーダー51の増加を抑えつつ基板Bへの部品実装の完了に要する時間の短縮を効果的に図ることが可能となっている。
【0086】
なお、部品実装の完了に要する時間の短縮は、この変形例とは異なる変形例によって図ることもできる。具体的には、フィーダー動作時間Tf(推定所要時間)に生産枚数情報が示す基板Bの生産枚数Mを乗じた推定総時間(=(Tf×M)が最長となる部品種Paを、複数の部品種Pa、Pb、Pcのうちから選択しても良い。
【0087】
また、上記の実施形態と異なる構成の部品実装ライン1に対して、フィーダー個数管理を適用することもできる。図10はフィーダー個数管理を適用可能な部品実装ラインの変形例を示すブロック図である。この変形例に係る部品実装ライン1は、X方向に並ぶ3台の部品実装機10A、10B、10Cを備える。そして、基板BがX方向に搬送されることで、部品実装機10A、10B、10Cに順番に搬入され、部品実装機10A、10B、10Cのそれぞれは、搬入された基板Bに対して部品Pを実装することで、1枚の基板Bに対する部品Pの実装を分担する。部品実装機10A、10B、10Cのそれぞれは、例えば特開2017-107960に示される部品実装機のように、1台のロータリーヘッド(実装部)を有し、このロータリーヘッドの下端のノズルにより部品供給部5から部品Pを吸着して、基板Bに実装する。ただし、図1に示したインライン型のヘッドユニット3で部品Pを吸着して基板Bに実装するように部品実装機10A、10B、10Cを構成しても、勿論構わない。
【0088】
かかる部品実装ライン1では、フィーダー51により供給された部品Pをノズルにより保持して基板Bに移載する動作を、複数(3台)の部品実装機10A、10B、10Cのそれぞれが、フィーダー51から供給された部品Pに対して並行して実行することができる。さらに言えば、互いに異なる部品実装機10A、10B、10Cの複数(3個)のフィーダー51から供給される同一の部品Pに対して、当該動作を並行して実行することができる。
【0089】
サーバーコンピューター9は、この部品実装ライン1に対してフィーダー個数管理を実行できる。つまり、フィーダー個数情報に従ってフィーダー51を部品実装ライン1に装着した状況において、部品個数情報に示される個数の部品Pを基板Bに実装するのに要する推定所要時間を、当該基板Bへの実装対象となる各部品種Pa、Pb、Pcについて推定する時間推定処理が実行される。また、フィーダー個数情報に含まれる部品種Pa、Pb、Pcのうちから、フィーダー増設の対象となる部品種を推定所要時間に基づき選択する対象選択処理が実行される。そして、部品種Pa、Pb、Pcのうち、対象選択処理で選択された部品種に対してフィーダー増設を実行して、フィーダー個数情報を更新する情報更新処理が実行される。
【0090】
かかる実施形態においても、部品実装ライン1におけるフィーダー51の装着個数を各部品種Pa、Pb、Pcについて示すフィーダー個数情報を用いて、フィーダー51の装着個数が管理される。また、フィーダー51の装着個数を増やすフィーダー増設の対象が、複数の部品種Pa、Pb、Pcのうちから選択される。つまり、基板Bに実装する部品Pの個数を各部品種Pa、Pb、Pcについて示す部品個数情報に示される個数の部品Pを基板Bに実装するのに要する推定所要時間が、当該基板Bへの実装対象となる各部品種Pa、Pb、Pcについて推定される。そして、フィーダー個数情報に含まれる各部品種Pa、Pb、Pcのうちから、フィーダー増設の対象となる部品種が推定所要時間に基づき選択される。こうして部品実装に要する推定所要時間に基づきフィーダー増設の対象となる部品種を限定することで、不要なフィーダー51の増加を抑えつつ基板Bへの部品実装の完了に要する時間の短縮を図ることが可能となっている。
【0091】
また、目標サイクルタイムTcの設定方法は、上記の例に限られない。例えば、特許文献1の許容サイクルタイムを目標サイクルタイムTcとして設定しても良いし、ユーザーが入力した値を目標サイクルタイムTcとして設定しても良い。あるいは、図10に示した部品実装ライン1では、図11および図12に示す例によって、目標サイクルタイムTcを算出しても良い。
【0092】
図11および図12は目標サイクルタイムの算出方法の変形例を示す図である。特に、図11は、3台の部品実装機10A、10B、10Cのいずれにもフィーダー51を装着可能な部品種Paに対する計算方法を示し、図12は、2台の部品実装機10A、10Bにのみフィーダー51を装着可能な部品種Pcに対する計算方法を示す。なお、ここの例では、部品種Pbの部品Pは実装に用いられないものとする。
【0093】
演算部91は、部品種Paの部品Pをフィーダー51から吸着して基板Bに実装するのに要する吸装着時間を、部品実装機10A、10B、10Cのそれぞれについて推定する。その結果、部品実装機10Aの吸装着時間は0.1秒と、部品実装機10Bの吸装着時間は0.1秒と、部品実装機10Cの吸装着時間は0.3秒と求まったものとする。同図において「Best」の欄は、最適状態における部品実装機10A、10B、10Cそれぞれでの部品Pの実装個数と、サイクルタイムTx(秒)とを示す。
【0094】
最適状態は、部品実装機10A、10B、10Cのマシンサイクルタイム(マシンCT)が同じになる状態であることから、図11から次式
p+q+r=600
p×0.1=q×0.1=r×0.3=Tx
が成立し、これらより、部品種Paについて、サイクルタイムTxが次式
Tx=600/(1/0.1+1/0.1+1/0.3)=25.71
で与えられる。
【0095】
また、演算部91は、部品種Pcの部品Pをフィーダー51から吸着して基板Bに実装するのに要する吸装着時間を、部品実装機10A、10Bのそれぞれについて推定する。その結果、部品実装機10Aの吸装着時間は0.2秒と、部品実装機10Bの吸装着時間は0.2秒と求まったものとする。
【0096】
そして、図12から次式
p+q=100
p×0.2=q×0.2=Tx
が成立し、これらより、部品種Pcについて、サイクルタイムTxが次式
Tx=(100/(1/0.2+1/0.2)=10
で与えられる。その結果、目標サイクルタイムTcは、これらの合計をして、35.71秒となる。
【0097】
また、フィーダー51の種類は、上述のテープフィーダーに限られず、スティック上のケースに収納された部品Pを供給するスティックフィーダーや、トレイに配置された部品Pを供給するトレイフィーダーでも構わない。
【符号の説明】
【0098】
1…部品実装ライン
51…フィーダー
9…サーバーコンピューター(フィーダー個数管理装置)
91…演算部
92…記憶部
93…UI(ユーザーインターフェース)
S105…時間推定処理
S106~S113…対象選択処理
S115…情報更新処理
B…基板
P…部品
Tf…フィーダー動作時間(推定所要時間)
Tc…目標サイクルタイム(基準時間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12