(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】ダンパへの作動流体の注入装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/02 20060101AFI20220816BHJP
F16F 15/023 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
F16F15/02 C
F16F15/023 Z
(21)【出願番号】P 2018226317
(22)【出願日】2018-12-03
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504242342
【氏名又は名称】株式会社免制震ディバイス
(74)【代理人】
【識別番号】100095566
【氏名又は名称】高橋 友雄
(74)【代理人】
【識別番号】100105119
【氏名又は名称】新井 孝治
(72)【発明者】
【氏名】森田 恭庸
(72)【発明者】
【氏名】中南 滋樹
(72)【発明者】
【氏名】木田 英範
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-063015(JP,A)
【文献】特開2017-141880(JP,A)
【文献】特開2002-327786(JP,A)
【文献】特開2008-180310(JP,A)
【文献】特開2016-094795(JP,A)
【文献】実開昭58-087609(JP,U)
【文献】実開昭60-143008(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/02
F16F 15/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が充填されるシリンダと、当該シリンダ内に摺動自在に設けられ、前記シリンダ内を第1流体室と第2流体室に区画するピストンと、当該ピストンをバイパスし、前記第1及び第2流体室に連通する連通路と、当該連通路並びに前記第1及び第2流体室とともに流体通路を構成するケーシングに収容された回転体を有し、前記ピストンの摺動に伴う作動流体の流動を前記回転体の回転運動に変換する圧力モータと、当該圧力モータによって回転駆動され、振動抑制効果を発揮するフライホイールと、を備えるダンパに作動流体を注入するための注入装置であって、
作動流体を貯留し、前記ダンパの前記流体通路の第1部位に接続されるタンクと、
当該タンクに連通し、圧力差により前記タンク内の作動流体を前記流体通路に注入するためのポンプと、
前記流体通路の前記第1部位と異なる第2部位に接続され、前記ポンプによる作動流体の注入に伴って前記流体通路から流入した空気を排出するための排気部と、を備え
、
前記ポンプは真空ポンプで構成されており、
当該真空ポンプは、前記圧力モータの前記ケーシングに接続され、当該ケーシング内に負圧を作用させるように構成されていることを特徴とするダンパへの作動流体の注入装置。
【請求項2】
前記排気部は、前記圧力モータの前記ケーシングよりも高い位置に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のダンパへの作動流体の注入装置。
【請求項3】
前記排気部は、前記流体通路から流入した空気が作動流体とともに貯留する排気チャンバを有しており、
当該排気チャンバ内の作動流体の液面レベルを検出する液面計をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のダンパへの作動流体の注入装置。
【請求項4】
前記タンク及び前記排気部はそれぞれ、前記流体通路に設けられたコネクタを介して前記流体通路に着脱自在に接続され、
前記コネクタは、前記タンク又は前記排気部が取り付けられた状態で、流体の流れを許容し、前記タンク又は前記排気部が取り外された状態で、外部から前記流体通路側への流体の流れを阻止する逆止弁を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のダンパへの作動流体の注入装置。
【請求項5】
前記ケーシングは、
前記連通路に連通し、前記回転体を収容する第1ケーシングと、
当該第1ケーシングの上側に配置され、当該第1ケーシングとの間に、作動流体が充填され、前記第1ケーシング内に連通する流体室を画成する第2ケーシングとによって構成され、
前記真空ポンプは、前記第2ケーシングの上壁に接続され、前記流体室に負圧を作用させるように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のダンパへの作動流体の注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動流体の圧力によって作動する圧力モータを有するダンパに作動流体を注入する注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧機器では一般に、配管内に空気が混入すると、音鳴り(異音)の原因になることが知られている。上記のような圧力モータ(例えば歯車モータ)を用いた油圧式のダンパの場合には、特に歯車モータに空気が混入している状態において、歯車モータの回転に伴う音鳴りが発生しやすくなる。また、歯車モータ以外の部位、例えば作動油そのものや、シリンダ、配管などの他の部品に混入していた空気が、歯車モータに移動することによって、音鳴りが発生するおそれがある。したがって、このような音鳴りを有効に防止するために、ダンパに作動油を注入する際、空気の混入を防止することが不可欠である。
【0003】
従来の油圧式ダンパへの作動油の注入装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。このダンパは、作動油が充填されたシリンダと、シリンダ内に摺動自在に設けられたピストンと、シリンダ内に固定されたバルブボディを有する。これらのピストン及びバルブボディにより、シリンダ内には、軸線方向にピストン側から順に、第1流体室、第2流体室及びリザーバ室が画成されている。バルブボディには、軸線方向に貫通する第1通孔及び第2通孔が形成され、第1及び第2通孔をそれぞれ開閉する減衰弁及びチェック弁が設けられている。ピストンがシリンダ内を移動するのに伴い、その移動の方向に応じて減衰弁又はチェック弁が開弁することで、作動油が、第1又は第2通孔を介して第2流体室及びリザーバ室の一方から他方に流れる。
【0004】
また、バルブボディには、ダンパに作動油を注入するために、第3通孔及び第4通孔が形成されるとともに、注入弁及び排気弁が設けられている。第3及び第4通孔は、軸線方向に延び、一端部がリザーバ室及び第2流体室にそれぞれ連通している。注入弁及び排気弁は、それぞれチェック弁で構成され、バルブボディの径方向に互いに対向する位置に配置されており、第3及び第4通孔をそれぞれ開閉する。
【0005】
このダンパへの作動油の注入は、次のように行われる。まず、シリンダがほぼ水平に延びるとともに、排気弁及び注入弁が上側及び下側に位置するように、ダンパの角度及び向きを調整する。次に、加圧した作動油を注入弁に注入する。これにより、注入弁が開弁することで、作動油は、第3通孔を介してリザーバ室に導入され、さらに、開放された第2通孔を介して第2流体室に流入する。この第2流体室内の圧力が排気弁の設定圧に達すると、排気弁が開弁することで、第2流体室内の空気が外部に排出され、それにより、ダンパへの作動油の注入時における空気の混入が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来の注入装置は、シリンダ内にリザーバ室を区画するためのバルブボディを利用して、作動油を注入するので、そのようなバルブボディを有しないダンパには適用できず、作動油の注入を行えない。また、作動油を注入するために、バルブボディに、第1及び第2通孔に加えて第3及び第4通孔が形成されるとともに、注入弁及び排気弁が設けられるため、構成がかなり複雑であるとともに、それらの空隙などに空気が溜まりやすく、その排出を確実に行えない。その結果、ダンパへの作動油の注入の際に空気の混入を確実に防止できず、それに起因する音鳴りなどの不具合を回避することができない。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、構成が比較的単純であるとともに、ダンパ内の空気を除去しながら作動流体をダンパに注入でき、それにより、空気の混入に起因する音鳴りなどの不具合を解消することができる、ダンパへの作動流体の注入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、作動流体が充填されるシリンダと、シリンダ内に摺動自在に設けられ、シリンダ内を第1流体室と第2流体室に区画するピストンと、ピストンをバイパスし、第1及び第2流体室に連通する連通路と、連通路並びに第1及び第2流体室とともに流体通路を構成するケーシングに収容された回転体を有し、ピストンの摺動に伴う作動流体の流動を回転体の回転運動に変換する圧力モータと、圧力モータによって回転駆動され、振動抑制効果を発揮するフライホイールと、を備えるダンパに作動流体を注入するための注入装置であって、作動流体を貯留し、ダンパの流体通路の第1部位に接続されるタンクと、タンクに連通し、圧力差によりタンク内の作動流体を流体通路に注入するためのポンプと、流体通路の第1部位と異なる第2部位に接続され、ポンプによる作動流体の注入に伴って流体通路から流入した空気を排出するための排気部と、を備え、ポンプは真空ポンプで構成されており、真空ポンプは、圧力モータのケーシングに接続され、ケーシング内に負圧を作用させるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の注入装置が適用されるダンパは、シリンダ内のピストンの摺動に伴う作動流体の流動を、圧力モータの回転体の回転運動に変換し、フライホイールを回転駆動することによって、振動抑制効果を発揮するものであり、ピストンで区画される第1及び第2流体室と、連通路と、圧力モータのケーシングによって、流体通路が構成されている。
【0011】
また、本発明の注入装置によれば、タンクに貯留された作動流体が、ポンプによる圧力差により、ダンパの流体通路に注入される。この作動流体の注入に伴い、流体通路に存在していた空気は、排気部に流入し、排出される。これにより、前述した従来の注入装置よりも単純な構成で、ダンパ内の空気を除去しながら作動流体をダンパに注入でき、それにより、空気の混入に起因する音鳴りなどの不具合を解消することができる。
さらに、この構成によれば、真空ポンプによる負圧が、圧力モータのケーシングを介してダンパの流体通路に作用することによって、タンク内の作動流体がダンパに注入されると同時に、ダンパ内に存在していた空気が排出される。また、この構成では特に、真空ポンプが圧力モータのケーシングに接続され、真空ポンプによる負圧がケーシング内に直接的に作用することによって、ケーシング内の空気が良好に排出される。これにより、圧力モータにおける空気の混入を抑制し、音鳴りなどの不具合を解消することができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のダンパへの作動流体の注入装置において、排気部は、圧力モータのケーシングよりも高い位置に配置されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、排気部が圧力モータのケーシングよりも高い位置に配置されているので、ケーシング内の比重が小さい空気を、上方の排気部に良好に導き、排出することができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のダンパへの作動流体の注入装置において、排気部は、流体通路から流入した空気が作動流体とともに貯留する排気チャンバを有しており、排気チャンバ内の作動流体の液面レベルを検出する液面計をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、作動流体の注入の際、液面計で検出された排気チャンバ内の作動流体の液面レベルにより、作動流体の注入量や注入状態を確認しながら、注入作業を適切に行うことができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれかに記載のダンパへの作動流体の注入装置において、タンク及び排気部はそれぞれ、流体通路に設けられたコネクタを介して流体通路に着脱自在に接続され、コネクタは、タンク又は排気部が取り付けられた状態で、流体の流れを許容し、タンク又は排気部が取り外された状態で、外部から流体通路側への流体の流れを阻止する逆止弁を有することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、コネクタの逆止弁の機能により、タンク又は排気部が流体通路に取り付けられた状態では、作動流体の流れが許容されることで、ダンパへの作動流体の注入を支障なく行えるとともに、注入の終了後、タンク又は排気部を流体通路から取り外す際には、外部から流体通路側への流体の流れが阻止されることで、流体通路への空気の逆流を防止することができる。
【0020】
請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれかに記載のダンパへの作動流体の注入装置において、ケーシングは、連通路に連通し、回転体を収容する第1ケーシングと、第1ケーシングの上側に配置され、第1ケーシングとの間に、作動流体が充填され、第1ケーシング内に連通する流体室を画成する第2ケーシングとによって構成され、真空ポンプは、第2ケーシングの上壁に接続され、流体室に負圧を作用させるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、圧力モータのケーシングは、第1ケーシングとその上側の第2ケーシングとの二重構成になっている。第1ケーシングには、連通路が連通するとともに、回転体が収容され、両ケーシングの間には、作動流体が充填され、第1ケーシング内に連通する流体室が画成されている。そして、第2ケーシングの上壁に接続された真空ポンプによって、流体室を介して第1ケーシング内に負圧を作用させる。これにより、圧力モータにおける空気の混入を抑制し、音鳴りなどの不具合を解消することができる。
【0022】
また、第1及び第2ケーシングの間の流体室に充填された作動流体は、第1ケーシング内で発生した音に対して、防音機能を発揮する。このため、たとえ作動流体の注入の際に第1ケーシング内に空気が残留し、それにより圧力モータに音鳴りが発生したとしても、流体室内の作動流体によって良好に防音することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の注入装置が適用されるダンパを一部、切り欠いて示す縦断面図である。
【
図2】第1実施形態による注入装置をダンパとともに、作動油の注入前の状態において示す断面図である。
【
図3】
図2の注入装置をダンパとともに、作動油の注入後の状態において示す断面図である。
【
図4】第1実施形態の第1変形例による注入装置を示す、
図3と同様の断面図である。
【
図5】第1実施形態の第2変形例による注入装置を示す、
図3と同様の断面図である。
【
図6】第2実施形態による注入装置をダンパとともに示す、
図3と同様の断面図である。
【
図8】第3実施形態による注入装置をダンパとともに示す、
図3と同様の断面図である。
【
図9】第3実施形態の変形例による注入装置をダンパとともに示す、
図3と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の注入装置が適用されるダンパ1は、歯車モータ式のものであり、水平に延びるシリンダ2と、シリンダ2内に摺動自在に設けられたピストン3と、ピストン3をバイパスし、シリンダ2内に連通する連通路4と、連通路4に配置された歯車モータ5と、歯車モータ5の出力軸6に連結されたフライホイール7などを備えている。
【0025】
シリンダ2は、円筒状の周壁2aと、周壁2aの両端部に設けられた円板状の第1及び第2端壁2b、2cを一体に有し、これらの3つの壁2a~2cによって内部空間が画成されている。第1端壁2bには、同心状の突出部2dが一体に形成され、その端部には、自在継手を介して第1取付具FL1が設けられている。
【0026】
ピストン3は、シリンダ2内に軸線方向に摺動自在に設けられており、ピストン3により、シリンダ2内が第1流体室2eと第2流体室2fに区画されている。第1及び第2流体室2e、2fと連通路4には、作動油HFが充填されている。作動油HFは、適度な粘性を有する通常のものである。
【0027】
ピストン3には、ピストンロッド10が同心状に一体に設けられている。ピストンロッド10は、ピストン3から第2端壁2cの側に延び、さらに、第2端壁2cのロッド案内孔2gを液密に貫通した状態で、外方に延びている。ピストンロッド10の外端部には、自在継手を介して第2取付具FL2が設けられている。
【0028】
また、ピストン3には、軸線方向に貫通する第1連通孔3a及び第2連通孔3bが形成されている。第1及び第2連通孔3a、3bには、第1リリーフ弁11及び第2リリーフ弁12が、それぞれ設けられている。第1及び第2リリーフ弁11、12は、互いに同じ構成を有し、常閉弁として構成されており、弁体と、弁体を閉弁方向に付勢するばねを有する。
【0029】
第1リリーフ弁11は、第1流体室2e内の作動油HFの圧力が第1所定圧に達するまで、第1連通孔3aを閉鎖し、第1所定圧に達したときに、第1連通孔3aを開放する。これにより、第1流体室2e内の圧力が、第1連通孔3aを介して第2流体室2f側に逃がされ、第1所定圧以下に制限される。同様に、第2リリーフ弁12は、第2流体室2f内の圧力が第1所定圧に達するまで、第2連通孔3bを閉鎖し、第1所定圧に達したときに、第2連通孔3bを開放する。これにより、第2流体室2f内の圧力が、第2連通孔3bを介して第1流体室2e側に逃がされ、第1所定圧以下に制限される。
【0030】
シリンダ2の周壁2aの両端上部には、連通口2h、2hが形成されるとともに、第1ジョイント13、13が取り付けられている。第1ジョイント13、13は、周壁及び上下の壁を有するチャンバ状のものであり、その下壁の孔及び連通口2hを介して、第1及び第2流体室2e、2fにそれぞれ連通している。また、第1ジョイント13、13の周壁の孔に連通路4の両端部が接続されている。
【0031】
また、各第1ジョイント13の上壁にはコネクタ14が設けられている。このコネクタ14は、例えば逆止弁付きのフレアコネクタで構成されている。この逆止弁は、弁体及びこれを付勢するばね(いずれも図示せず)を有しており、コネクタ14に後述の第2ジョイント22が接続された状態では、第1及び第2ジョイント13、22の間の流体(作動油HF及び空気)の流れを許容する一方、第2ジョイント22が取り外された状態では、第1ジョイント13側への流体の流れを阻止するように構成されている。
【0032】
歯車モータ5は、連通路4に配置されており、連通路4内の作動油HFの流動を回転運動に変換し、出力軸6から出力する。また、歯車モータ5は、外接式又は内接式のものであり、ケーシング15と、ケーシング15に収容され、作動油HFの流動によって回転するギヤ(図示せず)を有し、このギヤに出力軸6が一体に設けられている。フライホイール7は、比重が比較的大きな材料、例えば鋼材などで構成され、形状は例えば円板状に形成されており、出力軸6に同軸状に一体に設けられている。
【0033】
以上の構成のダンパ1は、図示しないが、例えば構造物内の相対変位する2つの部位(例えば上梁と下梁)の間に、第1及び第2取付具FL1、FL2を介して取り付けられる。以下、ダンパ1の動作を簡単に説明する。まず、構造物が振動していないときには、ダンパ1は、
図1に示す初期状態にある。
【0034】
この初期状態から、地震時などに構造物が振動すると、構造物の相対変位に応じて、ピストン3がシリンダ2内を移動する。これに伴い、第1又は第2流体室2e、2f内の作動油HFがピストン3で押し出され、連通路4に流入する。この連通路4内の作動油HFの流動が、歯車モータ5により回転運動に変換され、出力軸6と一体のフライホイール7が回転駆動されることによって、回転慣性質量効果(慣性力)が発揮される。また、作動油HFが連通路4などを流動する際の粘性抵抗による粘性減衰効果(粘性力)が発揮されることで、回転慣性質量効果と併せて構造物の振動抑制効果が発揮される。
【0035】
次に、本発明の第1実施形態による、ダンパ1への作動油HFの注入装置21について説明する。
図2及び
図3は、作動油HFの注入のために注入装置21をダンパ1に取り付けた状態を示す。両図に示すように、注入装置21は、第1ジョイント13、13にそれぞれ接続される第2ジョイント22、22と、作動油HFを貯留するオイルタンク23と、作動油HFを吸引するための真空ポンプ24などで構成されている。なお、オイルタンク23は、その容量がダンパ1に充填される作動油HFの総量よりも大きいが、図示の便宜上、
図2などでは相対的に小さく描かれている。
【0036】
第2ジョイント22は、周壁及び上下の壁を有するチャンバ状のものであり、コネクタ14を介して、第1ジョイント13の上側に接続されている。
図2に示すように、この接続状態において、第2ジョイント22は、歯車モータ5のケーシング15よりも高い位置に配置されている。
【0037】
また、
図2の左側の第2ジョイント22は、作動油HFの注入用のものであり、その上壁には、注入ホース25を介してオイルタンク23が接続されている。また、注入ホース25には、手動の開閉弁26が設けられている。
【0038】
一方、
図2の右側の第2ジョイント22は、作動油HFの吸引用のものであり、その上壁には、吸引ホース29を介して真空ポンプ24が接続されている。以上の構成により、真空ポンプ24の運転時、それによる負圧が、第2ジョイント22に作用し、さらに第2ジョイント22に順に連通する第1ジョイント13や連通路4、歯車モータ5のケーシング15、第1及び第2流体室2e、2fなどを含む流体通路に作用する。また、吸引ホース29にはマニホルド30が設けられ、マニホルド30には、吸引ホース29内の圧力を検出する圧力計31が設けられている。
【0039】
また、吸引用の第2ジョイント22の内壁面には、目盛式の液面計27が設けられ、その付近の周壁の部分には窓部28が形成されている。この構成により、外部から窓部28を介して液面計27を視ることによって、第2ジョイント22内の作動油HFの液面レベルを知ることができる。
【0040】
この注入装置21を用いた、ダンパ1への作動油HFの注入(充填)は、例えば以下のように行われる。
(1)まず、ダンパ1の流体通路(第1及び第2流体室2e、2f、連通路4、歯車モータ5のケーシング15、及び第1ジョイント13など)や注入装置21の第2ジョイント22などに作動油HFがないことを確認した後、開閉弁26を閉じた状態で、注入装置21をダンパ1に接続する(
図2の状態)。
(2)次に、真空ポンプ24の運転(真空引き)を開始する。また、その状態で、圧力計31の表示により、ダンパ1及び注入装置21に漏れがないことを確認する。
(3)圧力計31の表示が負圧になった後、開閉弁26を開く。
【0041】
これにより、オイルタンク23内の作動油HFは、重力と真空ポンプ24による負圧が作用することで、注入ホース25及び注入用の第2ジョイント22を介して、一方の第1ジョイント13に導入され、そこから第1流体室2eと連通路4に分岐する。連通路4に流入した作動油HFは、歯車モータ5のケーシング15を通って他方の第1ジョイント13に導入され、そこから第2流体室2fと第2ジョイント22に分岐する。
【0042】
以上のような作動油HFの注入・移動に伴い、それまでにダンパ1の流体通路に存在していた空気は、注入された作動油HFによって置き換えられるとともに、作動油HFよりも比重が小さいことで、上方に移動する。例えば、第1及び第2流体室2e、2fに存在していた空気は、その上方の第1ジョイント13に流出し、連通路4や歯車モータ5のケーシング15内の空気は、第1ジョイント13に流入した後、第1ジョイント13内の空気とともに、上方の第2ジョイント22に排出される。
【0043】
(4)その後、液面計27により、第2ジョイント22内の作動油HFの液面レベルが、満杯よりも若干低い所定のレベルに達したことが確認された時点で(
図3の状態)、開閉弁26を閉じる一方、真空ポンプ24の運転を継続する。この真空引きの継続により、作動油HF中に溶解していた空気の蒸発・排出が促進される。
(5)その後、真空ポンプ24の運転を所定時間以上、継続するとともに、作動油HFの液面レベルがほぼ一定で、かつ圧力計31の表示が負圧になったときに、ダンパ1からの空気の排出が完了したとして、真空ポンプ24を停止し、注入工程を終了する。
【0044】
(6)次に、注入装置21の注入ホース25及び吸引ホース29を取り外し、第2ジョイント22を第1ジョイント13のコネクタ14から取り外すことによって、注入装置21を撤去し、注入作業を終了する(
図1の状態)。コネクタ14が前述した逆止弁付きのものであるので、第2ジョイント22を取り外す際、第1ジョイント13側への空気の逆流が有効に防止される。
【0045】
以上のように、本実施形態の注入装置21によれば、真空ポンプ24による負圧により、オイルタンク23内の作動油HFをダンパ1に注入すると同時に、ダンパ1内に存在していた空気を、上方に位置する第2ジョイント22に良好に導き、排出することができる。したがって、前述した従来の注入装置よりも単純な構成で、ダンパ1内の空気を除去しながら作動油HFを注入でき、それにより、空気の混入に起因する音鳴りなどの不具合を解消することができる。
【0046】
また、コネクタ14の逆止弁の機能により、注入作業の終了後、第2ジョイント22を第1ジョイント13から取り外す際の、ダンパ1内への空気の逆流を防止することができる。さらに、作動油HFの注入の際、液面計27で検出された第2ジョイント22内の液面レベルにより、作動油HFの注入量や注入状態を確認しながら、注入作業を適切に行うことができる。
【0047】
次に、
図4を参照しながら、第1実施形態の第1変形例による注入装置41について説明する。
図4において、第1実施形態と同じ又は同等の構成要素については、同じ参照符号を付している。このことは、後述する他の変形例及び実施形態についても同様である。
図2との比較から明らかなように、この注入装置41は、第1実施形態の第1ジョイント13及び第2ジョイント22を単一のジョイント42に統合し、シリンダ2の周壁2aの両端上部に取り付けたものである。
【0048】
ジョイント42、42の周壁には、連通路4の両端部が接続されている。また、各ジョイント42の上壁には、逆止弁付きフレアコネクタで構成されたコネクタ14が設けられており、これらのコネクタ14、14に注入ホース25及び吸引ホース29がそれぞれ接続されている。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0049】
以上の構成から、この第1変形例においても、前述した第1実施形態の動作を同様に得ることができる。また、第1変形例では、第1実施形態の第1及び第2ジョイント13、22が1つのジョイント42に統合されているので、第1実施形態と比較して、注入装置41をより単純かつコンパクトに構成することができる。
【0050】
次に、
図5を参照しながら、第1実施形態の第2変形例による注入装置51について説明する。この注入装置51では、連通路4及び歯車モータ5はシリンダ2の下方に配置され、連通路4は、シリンダ2の周壁2aの両端下部に直接、接続され、第1及び第2流体室2e、2fに連通している。また、シリンダ2の周壁2aの両端上部には、チャンバ状のジョイント52、52が設けられ、これらのジョイント52、52は、連通口2h、2hを介して、第1及び第2流体室2e、2fにそれぞれ連通している。
【0051】
ジョイント52の容量は、第1変形例のジョイント42よりも小さい。また、各ジョイント52の上壁には、逆止弁付きフレアコネクタで構成されたコネクタ14が設けられ、これらのコネクタ14、14に注入ホース25及び吸引ホース29がそれぞれ接続されている。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0052】
この注入装置51を用いて作動油HFをダンパ1に注入する場合には、真空ポンプ24を運転するとともに、開閉弁26を開く。これにより、オイルタンク23内の作動油HFは、重力と真空ポンプ24による負圧により、注入ホース25及びジョイント52を介して、その下方の第1流体室2eに導入され、連通路4及び歯車モータ5のケーシング15に流入し、さらに連通路4から第2流体室2fを介して、その上方のジョイント52に流入し、さらに吸引ホース29を介して真空ポンプ24に達する。
【0053】
以上の作動油HFの注入・移動に伴い、ダンパ1の流体通路に存在していた空気は、作動油HFとともに上方に送られ、真空ポンプ24から排出される。そして、作動油HF及び空気が真空ポンプ24から溢れ出した時点で、あるいはその後、所定時間が経過した時点で、ダンパ1からの空気の排出が完了したとして、真空ポンプ24を停止させ、注入工程を終了する。その後、注入ホース25及び吸引ホース29をコネクタ14から取り外し、注入作業を終了する。
【0054】
以上のように、第2変形例の注入装置51によれば、第1実施形態と同様、真空ポンプ24による負圧により、オイルタンク23内の作動油HFをダンパ1に注入すると同時に、ダンパ1内に存在していた空気を上方の真空ポンプ24に良好に導き、排出することができ、前述した第1実施形態の動作を同様に得ることができる。
【0055】
また、連通路4及び歯車モータ5がシリンダ2の下側に配置されているため、連通路4や歯車モータ5内の空気が上方に移動しやすくなり、その排出をより良好に行うことができる。さらに、コネクタ14の逆止弁の機能により、注入作業の終了後、注入ホース25及び吸引ホース29を取り外す際の、ダンパ1内への空気の逆流を防止することができる。
【0056】
次に、
図6及び
図7を参照しながら、本発明の第2実施形態による注入装置61について説明する。
図6に示すように、この注入装置61は、上述した第2変形例による注入装置51に対し、吸引ホース29を歯車モータ5のケーシング62に接続し、真空ポンプ24による負圧を歯車モータ5に直接、作用させるようにしたものである。
【0057】
図7に示すように、ケーシング62は、第1ケーシング62aと、その上側を取り囲むように設けられた第2ケーシング62bで構成されている。第1ケーシング62aには、連通路4が接続され、作動油HFが充填されるとともに、互いに噛み合う外接式の入力ギヤ5a及び出力ギヤ5bが収容されている。両ギヤ5a、5bは、連通路4から第1ケーシング62aに流入する作動油HFによって駆動される。また、第1ケーシング62aの上壁には連通孔62cが形成されている。
【0058】
また、第2ケーシング62bと第1ケーシング62aとの間には、作動流体HFが充填される流体室62dが画成されている。この流体室62dは、連通孔62cを介して第1ケーシング62aの内部に連通している。また、第2ケーシング62の上壁には、逆止弁付きフレアコネクタで構成されたコネクタ14が設けられており、このコネクタ14に吸引ホース29を介して真空ポンプ24が接続される。
【0059】
この注入装置61を用いて作動油HFをダンパ1に注入する場合には、ダンパ1の流体通路(第1及び第2流体室2e、2f、連通路4、歯車モータ5の第1及び第2ケーシング62a、62b、ジョイント52など)に作動油HFがない状態で、真空ポンプ24を運転するとともに、開閉弁26を開く。
【0060】
これにより、オイルタンク23内の作動油HFは、重力と真空ポンプ24による負圧により、注入ホース25及びジョイント52を介して第1流体室2eに導入され、さらに連通路4から第1ケーシング62a及び第2流体室2fに流入する。第1ケーシング62aに流入した作動油HFは、連通孔62cを介して第2ケーシング62bとの間の流体室62dに流入する。そして、流体室62dに作用する負圧により、第1ケーシング62に流入した作動油HF及び空気が、吸引ホース29を介して吸引され、真空ポンプ24から排出される。
【0061】
以上のように、第2実施形態の注入装置61によれば、第1実施形態と同様、真空ポンプ24による負圧により、オイルタンク23内の作動油HFをダンパ1に注入すると同時に、ダンパ1内に存在していた空気を、上方の真空ポンプ24に良好に導き、排出することができ、前述した第1実施形態の動作を同様に得ることができる。また、連通路4及び歯車モータ5がシリンダ2の下側に配置されているため、連通路4や歯車モータ5内の空気が上方に移動しやすくなり、その排出をより良好に行うことができる。
【0062】
また、真空ポンプ24が歯車モータ5の第2ケーシング62bに接続され、真空ポンプ24による負圧が、流体室62dを介して第1ケーシング62a内に作用することによって、第1ケーシング62a内の空気が良好に排出される。これにより、歯車モータ5における空気の混入を抑制し、音鳴りなどの不具合を解消することができる。
【0063】
さらに、第1及び第2ケーシング62a、62bの間の流体室62dに充填された作動油HFは、第1ケーシング62a内で発生した音に対して、防音機能を発揮する。このため、たとえ作動油HFの注入の際に第1ケーシング62a内に空気が残留し、それにより歯車モータ5に音鳴りが発生したとしても、流体室62c内の作動流体HFによって良好に防音することができる。
【0064】
次に、
図8を参照しながら、本発明の第3実施形態による注入装置71について説明する。同図に示すように、本実施形態は、作動油HFをダンパ1に注入するためのポンプとして、第1及び第2実施形態の真空ポンプ24に代えて、圧入ポンプ74を用いたものである。
【0065】
この注入装置71では、圧入ポンプ74はシリンダ2の下側に配置され、オイルタンク23はさらにその下側に配置されており、圧入ポンプ74は、オイルタンク23から作動油HFを汲み上げ、加圧した状態で送出する。また、圧入ポンプ74には、圧入ホース75の一端部が接続されている。圧入ホース75の他端側は、二股に分岐し、シリンダ2の周壁2aの両端下部に設けられた逆止弁付きのコネクタ14、14を介して、第1及び第2流体室2e、2fにそれぞれ接続されている。
【0066】
一方、シリンダ2の周壁2aの両端上部には、ジョイント42が設けられている。これらのジョイント42、42は、連通口2h、2hを介して、第1及び第2流体室2e、2fにそれぞれ連通するとともに、連通路4の両端部が接続されている。また、各ジョイント42の上壁には逆止弁付きのコネクタ14が設けられており、コネクタ14にケーシング76が接続されている。このケーシング76は、流入した空気を排出するためのものであり、その上側が開放されるとともに、連通路4及び歯車モータ5よりも上方に位置する。
【0067】
この注入装置71を用いて作動油HFをダンパ1に注入する場合には、ダンパ1の流体通路(第1及び第2流体室2e、2f、連通路4、歯車モータ5のケーシング15、ジョイント42など)やケーシング76などに作動油HFがない状態で、圧入ポンプ74を運転する。これにより、オイルタンク23内の作動油HFは、圧入ポンプ74によって汲み上げられ、加圧された状態で、圧入ホース75を介して第1及び第2流体室2e、2fに圧入される。この作動油HFは、ジョイント42、42を介して上方のケーシング76、76に流入する。
【0068】
以上の作動油HFの注入・移動に伴い、ダンパ1の第1及び第2流体室2e、2fやジョイント42に存在していた空気は、作動油HFとともに上方に送られ、また、連通路4や歯車モータ5のケーシング15に存在していた空気は、ジョイント42側に引き寄せられた後に上方に送られ、ケーシング76から排出される。そして、作動油HF及び空気がケーシング76から溢れ出した時点で、あるいはその後、所定時間が経過した時点で、ダンパ1からの空気の排出が完了したとして、圧入ポンプ74を停止させ、注入工程を終了する。その後、圧入ホース75及びケーシング76、76をそれぞれのコネクタ14から取り外し、注入作業を終了する。
【0069】
以上のように、第3実施形態の注入装置71によれば、圧入ポンプ74による加圧により、オイルタンク23内の作動油HFをダンパ1に注入すると同時に、ダンパ1内に存在していた空気を、上方に位置するケーシング76に良好に導き、排出することができる。したがって、第1及び第2実施形態と同様、従来の注入装置よりも単純な構成で、ダンパ1内の空気を除去しながら作動油HFを注入でき、それにより、空気の混入に起因する音鳴りなどの不具合を解消することができる。
【0070】
また、圧入ホース75をシリンダ2に接続するためのコネクタ14、及びケーシング76をジョイント42に接続するためのコネクタ14がいずれも、逆止弁付きのコネクタで構成されているので、注入の終了後、圧入ホース75やケーシング76を取り外す際に、外部からダンパ1内への空気の逆流を確実に防止することができる。
【0071】
次に、
図9を参照しながら、第3実施形態の変形例による注入装置81について説明する。
図8との比較から明らかなように、この注入装置81は、第3実施形態の注入装置71に対し、圧入ホース75の他端側が分岐せずに第1流体室2eのみに接続される点と、ケーシング76が第2流体室2f側のジョイント42のみに接続される点が異なる。他の構成は、第3実施形態と同様である。
【0072】
この構成によれば、圧入ポンプ74を運転すると、オイルタンク23内の作動油HFは、圧入ポンプ74により加圧された状態で、圧入ホース75を介して第1流体室2eに圧入され、さらに第1流体室2eから連通路4及び歯車モータ5のケーシング15に流入し、連通路4から第2流体室2f及びジョイント42に分岐するとともに、ジョイント42からケーシング76に流入する。以上の作動油HFの注入・移動に伴い、ダンパ1の流体通路に存在していた空気がケーシング76に送られ、排出される。
【0073】
以上の動作により、この変形例においても、第3実施形態と同様、圧入ポンプ74による加圧により、オイルタンク23内の作動油HFをダンパ1に注入すると同時に、ダンパ1内に存在していた空気を、ケーシング76に良好に導き、排出することができる。また、この変形例では、圧入ホース75が第1流体室2eのみに接続され、排出用のケーシング76がジョイント42に1つだけ接続されるので、第3実施形態と比較して、注入装置71の構成を単純化することができる。
【0074】
なお、本発明は、説明した第1~第3実施形態やそれらの変形例に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、各実施形態では、圧力モータとして、歯車モータを用いているが、他の形式の圧力モータ、例えばピストンモータやベーンモータ、ねじモータでもよい。圧力モータは、作動流体の流動を回転体の回転運動に変換するように構成されていて、空気が混入すると、回転体の回転に伴う音鳴りが発生しやすくなるので、本発明の注入装置による利点を有効に得ることができる。また、実施形態では、ダンパの作動流体として、通常の作動油HFを用いると説明したが、他の適当な作動流体を用いてもよいことはもちろんである。
【0075】
また、第1実施形態及びその第1変形例では、第2ジョイント22やジョイント42内の作動油HFの液面レベルを検出する液面計として、液面レベルを視角的に読み取る目盛式の液面計27を用いているが、これに代えて、他の適当な形式のもの、例えばフロートなどを有するレベルセンサを用い、その検出値を表示器に表示してもよい。
【0076】
さらに、第2実施形態では、歯車モータ5のケーシング62を第1及び第2ケーシング62a、62bを有する2重構成とし、外側の第2ケーシング62bを介して真空引きを行っているが、これに代えて、歯車モータ5のケーシングを単一とし、このケーシング内を直接、真空引きしてもよい。
【0077】
また、実施形態では、注入装置を用いた作動油HFの注入を、ダンパ1内に作動油HFがない状態で開始すると説明したが、これに限らず、不足した作動油HFの補充や空気が混入した作動油HFの交換などのために、ダンパ1内に作動油HFが存在している状態で開始してもよい。その他、細部の構成を、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 ダンパ
2 シリンダ
2e 第1流体室
2f 第2流体室
3 ピストン
4 連通路
5 歯車モータ(圧力モータ)
5b 出力ギヤ(回転体)
7 フライホイール
14 コネクタ
15 ケーシング
21 第1実施形態による注入装置
22 第2ジョイント(排気部、排気チャンバ)
23 オイルタンク(タンク)
24 真空ポンプ(ポンプ、排気部)
27 液面計
41 第1実施形態の第1変形例による注入装置
51 第1実施形態の第2変形例による注入装置
61 第2実施形態による注入装置
62 ケーシング
62a 第1ケーシング
62b 第2ケーシング
62d 流体室
71 第3実施形態による注入装置
74 圧入ポンプ(ポンプ)
76 ケーシング(排気部)
81 第3実施形態の変形例による注入装置
HF 作動油