(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】生理液の流れの拘束を防止するための多電極カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20220816BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20220816BHJP
A61M 25/095 20060101ALI20220816BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/10 510
A61M25/095
A61B5/02 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017215365
(22)【出願日】2017-11-08
【審査請求日】2020-11-02
(32)【優先日】2016-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517156539
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel) Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, P.O. BOX 275, Yokneam, ISRAEL 2066717
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウラジミール・ルビンシュタイン
(72)【発明者】
【氏名】シュムエル・アウアーバッハ
(72)【発明者】
【氏名】イギル・ウルチン
(72)【発明者】
【氏名】ルドヴィグ・エリーザー・ホランダー
(72)【発明者】
【氏名】メイル・バル-タル
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05345936(US,A)
【文献】特開2013-192948(JP,A)
【文献】米国特許第06016437(US,A)
【文献】特表2008-521505(JP,A)
【文献】特開平07-178113(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0052118(US,A1)
【文献】実開昭59-102004(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 5/25
A61B 5/33
A61M 25/10
A61M 25/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の解剖学的構造の電気活動を取得するために使用される
カテーテルであって、
細長い本体と、
前記細長い本体に連結された先端部分であって、前記先端部分は1つ以上の拡開可能セクションを含み、各拡開可能セクションは
、前記1つ以上の拡開可能セクションの外
面の上に配設された複数の
計測用電極を有する、先端部分と、を含み、
前記1つ以上の拡開可能セクションは、拡開したときに、前記複数の
計測用電極の一部を
心臓の心腔の内面と接触させ
、
前記先端部分がチューリップ形状の拡開バルーンであり、前記1つ以上の拡開可能セクションは1つ以上の孔を含み、前記1つ以上の孔は前記1つ以上の拡開可能セクションの内側と外側の間を貫通し、前記血液が流れるための経路を画定している、カテーテル。
【請求項2】
前記複数の
計測用電極が、マッピング処理中に、及びアブレーション処置中に、前記心臓の
心腔の内面から電気信号を取得するように構成されている、請求項1に記載の
カテーテル。
【請求項3】
前記1つ以上の拡開可能セクションが、
前記血液の
流れの遮断を防止しながら、前記
心臓の複数部分のそれぞれの
前記電気活動を取得するため
に、前記複数の計測用電極により前記心腔の内面を被覆するように構成されている、請求項1に記載の
カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第62/419,930号(2016年11月9日出願)の利益を主張するものであり、当該特許文献は、その全体が本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本出願は、患者の解剖学的構造の電気活動を取得するために使用される医療機器を提供する。機器は、細長い本体と、細長い本体に連結された先端部分と、を含む。先端部分は、1つ以上の拡開可能セクションを含み、該拡開可能セクションのそれぞれは、(i)1つ以上の拡開可能セクションの外面、及び(ii)1つ以上の拡開可能セクションの内面及び外面、のうちの一方の上に配設された複数の電極を有する。1つ以上の拡開可能セクションは、拡開したときに、複数の電極の一部を臓器の表面と接触させ、かつ生理液が先端部分を通って流れるための経路を提供する。
【0003】
本出願は、患者の解剖学的構造の電気活動を取得するために使用される、細長い本体と、細長い本体に連結されたチューリップ形バルーン(tulip balloon)先端部分と、を含む医療機器を提供する。チューリップ形バルーン先端部分は、生理液が先端部分を通って流れるための経路を提供するように構成された複数の拡開可能セクションを含む。拡開可能セクションは、(i)複数の拡開可能セクションの外面、及び(ii)複数の拡開可能セクションの内面及び外面、の少なくとも一方の上に配設された複数の電極を有する。拡開可能セクションは、第1の拡開可能セクションと、第2の拡開可能セクションと、を含む。第2の拡開可能セクションは、第1の状態において、第1の拡開可能セクションと重なり合うように構成されている。
【0004】
本出願は、患者の解剖学的構造の電気活動を取得するために使用される、細長い本体と、細長い本体に連結された拡開可能先端部分と、を含む医療機器を提供する。拡開可能先端部分は、1つ以上の同心円状に巻かれた拡開可能セクションを含み、各セクションは、(i)1つ以上の同心円状に巻かれた拡開可能セクションの外面、及び(ii)1つ以上の同心円状に巻かれた拡開可能セクションの内面及び外面、の少なくとも一方の上に配設された複数の電極を有する。拡開したときに、1つ以上の同心円状に巻かれた拡開可能セクションは、生理液が流れるための経路を提供するための間隙を形成するように構成されており、複数の電極は臓器の内面と接触させられる。
〔先行技術文献〕
〔特許文献〕
〔特許文献1〕米国特許第5345936号明細書
〔特許文献2〕特開2013-192948号公報
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明をより深く理解するために、本発明の詳細な説明を実例として参照するが、この説明は以下の図面と併せて読むべきものであり、図中、同様の要素には同様の参照数字を付してある。
【
図1】本明細書に開示される実施形態による、器具を3次元(3D)空間内でナビゲートするための例示の医療システムの図である。
【
図2】本明細書に記載の実施形態と共に使用するための例示の医療システムの構成要素の図である。
【
図3】一実施形態による、第1の状態にある、例示のチューリップ形バルーン部分の図である。
【
図4】一実施形態による、第2の状態にある、
図3に示される例示のチューリップ形バルーン部分の図である。
【
図5】一実施形態による、第1の状態にある、同心円状に巻かれた拡開可能セクションを有する例示の拡開可能先端部分の図である。
【
図6】一実施形態による、第2の状態にある、
図5に示される例示の拡開可能先端部分の図である。
【
図7】一実施形態による例示の電極アレイの上面図である。
【
図8】
図7に示される例示の電極アレイの側面図である。
【
図9】一実施形態による、グループ化されてより大きなアブレーション用電極を形成する電極を有する電極アレイの図である。
【
図10】一実施形態による、グループ化されてより大きなアブレーション用電極を形成する、等距離の電極を有する電極アレイの図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
カテーテルアブレーション手技(例えば、高周波(RF)アブレーション)は、心臓、胃、肺、耳、鼻、喉、及びその他の臓器の組織などの機能不全組織部分をアブレーションすることを含む。カテーテルアブレーション手技には、心房細動(AFib)などの心不整脈を治療するために用いられるものがあり、該技術では、心臓組織をアブレーションして電気経路を断絶し、心拍障害の原因となり得る不完全な電気インパルスを遮断する。例えば、カテーテルは、皮膚の切開を介して挿入され、また心臓まで誘導されることができ、そこでカテーテルを使用して心臓組織にアブレーション損傷部を作り出す。
【0007】
心臓組織のアブレーションを行う前に、カテーテルを使用して心臓の電気活動を検出して、心臓のマップ(例えば、高分解能マップ)を作成することもできる。例えば、心臓の異なる領域に配置された複数のカテーテル電極を介して、心臓の心内(IC)心電図(ECG)信号を取得する(すなわち、20~30秒間など、ある期間にわたって記録する)。取得した信号をモニターし、3次元(3D)空間内の電極の位置を示す位置情報と共に使用して、心臓の動的マップを作成する。マップの視覚的評価に基づいて、アブレーションの対象となる不規則な心拍リズムを引き起こす心臓領域を含み得る心臓の関心領域(ROI)を決定することができる。
【0008】
心臓マップを作成し、かつ臓器組織をアブレーションするために使用される従来のカテーテルとしては、バスケットカテーテル及びバルーンカテーテル挙げられる。バスケットカテーテルは、典型的には、心臓腔の電極被覆が心臓の電気活動の正確なマッピングを提供するのに十分であるように、多くの電極を心臓の表面と接触させて配置する。しかしながら、これらのバスケットカテーテの電極は、心臓腔の壁に良好に一致しない場合がある。不一致は、複雑な形状を有する左房において顕著である。したがって、いくつかのバスケット電極と心臓腔との接触は不良となり(例えば、部分的又は非接触)、そのため電気信号はこれらの電極を介して取得されない。
【0009】
バルーンカテーテルは、心臓腔内に配置され、かつ、心臓の開口部又は通路を広げるために拡張する部分を含む。これらのバルーンカテーテルの電極は、通常、バスケットカテーテルよりも良好な心臓腔との接触をもたらす。しかしながら、バルーンカテーテルの寸法は、典型的には、生理液(例えば、血液)の流れの拘束(すわち、血流の遮断)を防止するために、マッピングされた心腔の寸法よりもはるかに小さい。したがって、バルーンカテーテルが提供する心臓腔の電極被覆はバスケットカテーテルより小さく、その結果、心臓の電気活動の表示精度は低くなり得る。
【0010】
本出願は、心臓の電気活動の正確なマッピングを提供するのに十分な心臓腔の電極被覆を維持しながら、生理液の流れの拘束を防止するように構成された、拡開可能な構成要素を有するカテーテルを開示する。実施形態は、心臓のマッピングのために使用されるカテーテル、並びに心臓のマッピング及び心組織のアブレーションの両方のために使用されるカテーテルを含む。
【0011】
本明細書に記載の実施形態は、心臓腔をマッピングするための正確な電気活動測定値を、1回の心拍で、ある期間にわたって得る。実施形態は、心腔をマッピングする能力に従って高密度マッピングを可能にするので、心臓腔をマッピングするための電気活動データを取得するために、カテーテルを心臓腔内の様々な場所に移動させる必要がない。
【0012】
アブレーション輪郭制御を容易にするシステム、機器、及び方法も本明細書に開示される。例えば、実施形態は電極アレイを含み、この電極アレイは、カテーテル表面上に構成されて高分解能マッピングを提供する複数の個々の電極を有するだけでなく、それぞれがより大きな電極として機能する1つ以上の電極群へと結合可能であり、アブレーションのためのアブレーション輪郭の生成を容易にする。
【0013】
ここで
図1を参照すると、情報52(例えば、患者の一部の解剖モデル及び信号情報)を生成し表示するために使用され得る例示の医療システム20の図が示されている。器具22などの器具は、例えば、患者28の心臓26内の電位をマッピングするための複数の電極を有するカテーテルのような、診断又は治療処置のために用いられる任意の器具であってよい。あるいは、器具は、必要な変更を加えて、心臓、胃、又はその他の人体臓器内などの異なる解剖学的部分の他の治療目的及び/又は診断目的で使用されてもよい。
【0014】
操作者30は、器具22の先端56が心臓26の腔に入るように、患者の解剖学的構造の一部(例えば、患者28の脈管系など)に器具22を挿入することができる。制御コンソール24は、心臓26内部にある器具の3次元位置座標(例えば、先端56の座標)を決定するために、磁気式位置検出を用いてもよい。位置座標を決定するために、制御コンソール24内の駆動回路34は、コネクタ44を介して磁場発生装置36を駆動して、患者28の解剖学的構造内に磁場を生成することができる。
【0015】
磁場発生装置36は、患者28の外部の既知の位置に配置された1つ以上のエミッタコイル(
図1には図示せず)を含み、該コイルは、患者の解剖学的構造の関心部分が入っている既定の作業範囲内に磁場を生成するように構成されている。エミッタコイルのそれぞれは、異なる周波数で駆動されて一定磁場を放出することができる。例えば、
図1に示す例示の医療システム20では、1つ以上のエミッタコイルは、患者28の胴の下に配置されることができ、それぞれが患者の心臓26が入っている既定の作業範囲内に磁場を生成するように構成されている。
【0016】
図1に示すように、磁場位置センサ38が、器具22の先端56に配設されてもよい。磁場位置センサ38は、磁場の振幅及び位相に基づいて、器具の3次元位置座標を(例えば、先端56の位置座標)示す電気信号を生成する。電気信号は、器具の位置座標を決定するために、制御コンソール24に伝達され得る。電気信号は、ワイヤ45を介して制御コンソール24に伝達されてもよい。
【0017】
あるいは、又は有線通信に加えて、電気信号は、例えば、制御コンソール24の入力/出力(I/O)インタフェースと通信することができる器具22の無線通信インタフェース(図示せず)を介して、制御コンソール24に無線通信されてもよい。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,266,551号は、とりわけ、信号処理装置及び/又は計算装置に物理的に接続されておらず、参照により本明細書に組み込まれる、ワイヤレスカテーテルについて記載している。もっと正確に言えば、送受信機はカテーテルの近位端に取り付けられている。送受信機は、例えばIR送信、RF送信、ブルートゥース送信、又は音響送信などの無線通信方法を使って、信号処理装置及び/又は計算装置と通信する。無線デジタルインタフェース及びI/Oインタフェース42は、当該技術分野で既知である、例えば、IR、RF、ブルートゥース、規格のIEEE 802.11ファミリーの1つ(例えば、Wi-Fi)、又はHiperLAN規格などの任意の好適な無線通信規格に従って動作することができる。
【0018】
図1は、器具22の先端56に配設された単一の磁場位置センサ38を示しているが、器具は、それぞれが器具の任意の部分に配設された1つ以上の磁場位置センサを含み得る。本明細書に記載する器具(例えば、カテーテル)はまた、3Dマッピングシステムを有さずに使用されることもできる。磁場位置センサ38は、1つ以上の小型コイル(図示せず)を含んでもよい。例えば、磁場位置センサは、異なる軸に沿って配向された多数の小型コイルを含んでもよい。あるいは、磁場位置センサは、別のタイプの磁気センサ又は他のタイプの位置検出器(例えば、インピーダンスに基づく位置センサ若しくは超音波位置センサ)のいずれかを含んでもよい。
【0019】
信号プロセッサ40は、位置及び向きの座標の両方を含む器具22の位置座標を決定するために、信号を処理するように構成されている。上述した位置検知方法は、Biosense Webster Inc.,(Diamond Bar,Calif.)製のCARTOマッピングシステムにおいて実装されており、本明細書に引用される特許及び特許出願において詳細に説明されている。
【0020】
器具22はまた、先端56内に収容された力センサ54を含み得る。力センサ54は、器具22(例えば、器具の先端56)によって心臓26の心内膜組織に加えられる力を測定し、制御コンソール24に送信される信号を生成することができる。力センサは、先端56のバネによって接続された磁場送信機及び受信機を含んでいてもよく、バネのたわみの測定に基づいて力の指標を生成することができる。この種のプローブ及び力センサの更なる詳細は、米国特許出願公報第2009/0093806号及び同第2009/0138007号に記載されており、これらの開示事項は参照により本明細書に組み込まれる。代替方法として、先端56は、例えば、ファイバー光学又はインピーダンス測定を用い得る別のタイプの力センサを含んでもよい。
【0021】
器具22は、先端56に連結され、かつインピーダンスに基づく位置検出器として機能するように構成された、電極48を含んでもよい。追加的に又は代替的に、電極48は、特定の生理学的性質、例えば、1つ以上の位置における局所表面電位(例えば、心組織の電位)などを測定するように構成されてもよい。電極48は、心臓26の心内膜組織をアブレーションするために、RFエネルギーを印加するように構成され得る。
【0022】
例示の医療システム20は、磁気に基づくセンサを使用して器具22の位置を測定するように構成され得るが、他の位置追跡技術を用いてもよい(例えば、インピーダンスに基づくセンサ)。磁気位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第6,788,967号、同第6,690,963号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,177,792号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。インピーダンスに基づく位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,983,126号、同第6,456,828号、及び同第5,944,022号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
I/Oインタフェース42により、制御コンソール24と、器具22、体表面電極46、及び任意のその他のセンサ(図示せず)との相互作用が可能になる。信号プロセッサ40は、体表面電極46から受信した電気インパルス、並びに医療システム20のI/Oインタフェース42及び他の構成要素を介して器具22から受信した電気信号に基づいて、3D空間内の器具の位置を決定し、また表示情報52を生成することができ、この情報は表示部50に示すことができる。
【0024】
信号プロセッサ40は、器具22から信号を受信しかつ制御コンソール24の他の構成要素を制御するのに好適なフロントエンド回路及びインタフェース回路を有する、汎用コンピュータに含まれ得る。信号プロセッサ40は、本明細書に記載する機能を実行するように、ソフトウェアを使用してプログラムすることが可能である。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態で制御コンソール24にダウンロードするか、又は光学的、磁気的、若しくは電子的記録媒体などの持続性有形媒体上に提供されてもよい。あるいは、信号プロセッサ40の機能のうちの一部又は全てが、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0025】
図1に示す実施例では、制御コンソール24は、ケーブル44を介して体表面電極46に接続されており、体表面電極46のそれぞれは、患者の皮膚に付着するパッチ(例えば、
図1では電極46の周りの円として示される)を使用して患者28に取り付けられている。体表面電極46は、可撓性基材上に集積された1つ以上の無線センサノードを含み得る。1つ以上の無線センサノードは、局所的なデジタル信号処理を可能にする無線送信/受信ユニット(WTRU)、無線リンク、及び小型の再充電可能電池を含み得る。パッチに加えて又はそれに替えて、体表面電極46はまた、患者28によって着用される、体表面電極46を含む物品を使用して患者上に位置付けられてもよく、着用された物品の位置を示す1つ以上の位置センサ(図示せず)を含んでもよい。例えば、体表面電極46は、患者28によって着用されるように構成されたベストに埋め込まれてもよい。手術中、体表面電極46は、心組織の分極及び脱分極によって生じる電気インパルスを検出し、ケーブル44を介して情報を制御コンソール24に送信することによって、3D空間内の器具(例えば、カテーテル)の位置を提供するのに役立つ。体表面電極46は、磁気位置追跡装置を装備していてもよく、患者28の呼吸サイクルを特定し追跡するのに役立ち得る。有線通信に加えて又はそれに替えて、体表面電極46は、無線インタフェース(図示せず)を介して制御コンソール24と又は相互に通信してもよい。
【0026】
診断処置中、信号プロセッサ40は、表示情報52を表示することができ、情報52を表すデータをメモリ58に格納することができる。メモリ58は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなど、任意の好適な揮発性及び/又は不揮発性メモリを含んでいてもよい。操作者30は、1つ以上の入力装置59を使用して表示情報52を操作することができてもよい。あるいは、医療システム20は、操作者30が器具22を操作している間に制御コンソール24を操作する、第2の操作者を含んでもよい。
図1に示す構成は例示的なものであることを理解されたい。医療システム20の任意の好適な構成を使用し、実装することができる。
【0027】
図2は、本明細書に記載される特徴部が実装され得る医療システム200の例示の構成要素を示すブロック図である。
図2に示すように、システム200は、カテーテル202と、処理装置204と、表示装置206と、メモリ212と、を含む。
図2に示すように、処理装置204、表示装置206、及びメモリ212は、計算装置214の一部である。いくつかの実施形態では、表示装置206は計算装置214から分離されていてもよい。計算装置214は、
図1のI/Oインタフェース42のようなI/Oインタフェースを更に含んでもよい。
【0028】
図2に示すように、カテーテル202は、心臓の電気活動を経時的に検出するための複数のカテーテル電極208を含む。カテーテル202はまた、1つ以上のセンサ216を含んでもよく、該センサとしては、例えば、3D空間内のカテーテル202の位置を示す位置信号を提供するためのセンサ(例えば、磁場位置センサ)、並びに、心臓組織のアブレーション中にアブレーションパラメータ信号を提供するためのセンサ(例えば、位置センサ、圧力又は力センサ、温度センサ、インピーダンスセンサ)が挙げられる。例示のシステム200は、3D空間内のカテーテル202の位置を示す位置信号を提供するために使用される、カテーテル202とは別体の1つ以上の追加のセンサ210を更に含む。
【0029】
また、例示のシステム200に示されるシステム202はRF生成器218を含み、このRF生成器218は、カテーテル202が係合した位置で組織をアブレーションするために、カテーテル202を介して高周波電気エネルギーを供給する。したがって、カテーテル202を使用して、心臓のマッピングを生成するために電気活動を取得し、更には心組織をアブレーションすることができる。しかしながら、上述したように、実施形態は、電気活動を取得して心臓のマッピングを生成するために使用されるが心組織をアブレーションするためには使用されないカテーテルを含み得る。
【0030】
処理装置204は、それぞれが、ECG信号を処理する、ECG信号を経時的に記録する、ECG信号をフィルタリングする、ECG信号を単一成分(例えば、傾斜、波、複合体)に分割する、及びECG信号情報を生成し、結合して、複数の電気信号を表示装置206に表示する、ように構成された、1つ以上のプロセッサを含み得る。また、処理装置204は、心臓のマップを表示装置206に表示するために、マッピング情報を生成し、補間することができる。処理装置204は、位置及び向きの座標を決定するために、センサ(例えば、追加のセンサ(1つ又は複数)210及びカテーテルセンサ(1つ又は複数)216)から取得した位置情報を処理するように構成された1つ以上のプロセッサ(例えば、信号プロセッサ40)を含み得る。
【0031】
処理装置204はまた、マッピング情報及びECGデータを使用して心臓の動的マップ(すなわち、時空間マップ)及び心臓の電気活動を表示するための表示装置206を駆動するように構成されている。表示装置206は、心臓の電気活動の経時的な時空間的発現を示す心臓のマップを表示し、かつ心臓から得たECG信号を経時的に表示するようにそれぞれが構成されている、1つ以上のディスプレイを含み得る。
【0032】
カテーテル電極208、カテーテルセンサ(1つ又は複数)216、及び追加のセンサ(1つ又は複数)210は、処理装置204と有線又は無線通信することができる。表示装置206もまた、処理装置204と有線又は無線通信することができる。
【0033】
処理装置204は、操作者30によって誘導されてカテーテル202の1つ以上の電極208をRF生成器218に接続し、誘導された形状の損傷を心臓26の内面に形成する(例えば、曲線)。
【0034】
図3及び
図4は、器具(例えばカテーテル202)の例示のチューリップ形バルーン部分300の異なる状態を示す。チューリップ形バルーン部分300は、例えば、細長いシャフトの形態のカテーテル本体部分302の先端に位置する。
図3に示すように、チューリップ形バルーン部分300は、それぞれがチューリップの花びらの形状と類似した形状の4つの拡開可能セクション304を含む。
図3及び
図4に示される拡開可能セクションの数は単に例示的なものである。チューリップ形バルーン部分は、異なる数の拡開可能セクション(例えば、4つ未満の又は4つを超えるセクション)を含んでもよい。加えて、
図3及び
図4に示される拡開可能セクション304の形状は、例示的なものである。チューリップ形の拡開可能セクションは、
図3及び
図4に示される拡開可能セクション304と異なる形状であってもよい。拡開可能セクション304は、ポリウレタンを使用して構成され得る。
【0035】
図3に示すように、4つの拡開可能セクション304は、一対の対向する第1の拡開可能セクション304(すなわち、
図3の左右のセクション)と、一対の対向する第2の拡開可能セクション304(すなわち、
図3の上下のセクション)と、を含む。拡開可能セクション304のそれぞれは孔306を含み、この孔306は、拡開可能セクション306の中心が対応する孔306の中にくるように各拡開可能セクション304に位置付けられる。しかしながら、
図3及び
図4に示される孔306の形状、位置、及び数は、単に例示的なものである。例えば、各拡開可能セクション304の異なる位置に多数の孔が配設されていてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、1つ以上の拡開可能セクションは、生理液が孔306を通って流れるための経路を提供する突出部を含み得る。例えば、
図3に示すように、一対の対向する第2の拡開可能セクション304のそれぞれは、バルーンのセクション304の内面から突出し、かつ拡開可能セクション304の対向端部の間に延在する、2つの隆起部308の形態の突出部を含む。
図3及び
図4に示される隆起部308の形状、位置、及び数も、単に例示的なものである。拡開可能セクション304は、生理液が孔306を通って流れるための経路を提供するように構成された、任意の数の突出部(隆起部など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、チューリップ形バルーン部分は突出部を含まない。
【0037】
拡開可能セクション304のそれぞれは、その外面310上に配設された複数の電極(例えば、200個の電極)を含み、これらの電極は、例えば、臓器(例えば、心臓26)の異なる領域の電気信号を経時的に取得するために使用される。チューリップ形バルーン部分300の他の特徴部(例えば、拡開可能セクション304の特徴部)を分かりやすく示すために、
図3及び
図4には電極が示されていない。しかしながら、チューリップ形バルーン部分300の異なる位置に電極が配設され得ることが理解できる。例えば、電極は、拡開可能セクション304の両方の外面310上に配設されていてもよく、また、拡開可能セクション304の外面及び内面の両方に配設されていてもよい(例えば、内面に配設された電極は、単極IC ECG信号を測定するために、外面の電極に対する基準として使用され得る)。
【0038】
拡開可能セクション304は、拡開したときに、拡開可能セクション304の外面310上に配設された電極208が心臓の房室壁の内面(例えば、
図4に示される内面402)と接触して、心臓26の電気活動を検出するように構成されている。
図3及び
図4には示されていないが、電極208はまた、拡開可能セクション304の内面上に配設されていてもよい。これらの電極は、IC ECG基準電極として使用され得る。
【0039】
また、チューリップ形バルーン部分300は、カテーテル本体部分302の先端に1つ以上の位置センサ(例えば、
図1に示される磁場位置センサ38)を含んでもよい。チューリップ形バルーン部分300の特徴部(例えば、拡張可能セクション304の特徴部)を分かりやすく示すために、位置センサは
図3及び
図4から省略されている。しかしながら、1つ以上の位置センサは、チューリップ形バルーン部分300の異なる位置に配設され得ることが理解できる。例えば、拡開セクション304のうちの1つ以上は位置センサを含んでもよい。位置センサは、拡開セクション304内に埋め込まれていてもよく、又はその内面又は外面上に配設されていてもよい)。
【0040】
チューリップ形バルーン部分の1つ以上の拡開可能セクションは、1つ以上のその他の拡開可能セクションと重なり合っていてもよい。例えば、
図3は、チューリップ形バルーン部分300の一対の対向する第2の拡開可能セクション304のそれぞれが、隣接する第1の拡開可能セクション304と重なり合っているところを示す。
図3に示すように、第2の拡開可能セクション304(
図4の一番上の拡開可能セクション)の第1の端部312は、第1の拡開可能セクション304(
図4の左側の拡開可能セクション)と重なり合い、第2の拡開可能セクション304の第2の端部314は、第1の拡開可能セクション304(
図4の右側の拡開可能セクション)と重なり合う。
【0041】
図3に示す第1の開状態では、第1の拡開可能セクション304は、隣接する第2の拡開可能セクション304の隆起部308と接触している。例えば、
図3に示すように、第1の拡開可能セクション304(
図4の左側の拡開可能セクション)は、第2の拡開可能セクション304(
図4の一番上の拡開可能セクション)の第1の端部312の隆起部308と接触し、第1の拡開可能セクション304(
図4の右側の拡開可能セクション)は、第2の拡開可能セクション304第2の端部314の隆起部308と接触する。
【0042】
拡開可能セクション304は、可撓性材料で構成されている。したがって、第1の拡開可能セクション304が拡開し、第2の拡開可能セクション304の隆起部308と接触すると、第1の拡開可能セクション304は、中間部分(すなわち、
図3の孔306を含む部分)が、チューリップ形バルーン部分300の内部から、第1の拡開可能セクション304の端部よりも外方に延出するように屈曲する。心腔の寸法が、
図3の状態で示されるチューリップ形バルーン部分300の寸法と同様である(例えば、心房及びバルーンの軸が同様の長さを有する)場合、第1の拡開可能セクション304の屈曲形状は、第1の拡開可能セクション304の外面310上の部分314に配設された電極208を、心臓の房室壁の内面と接触させる。また、第1の拡開可能セクション304の屈曲形状は、外面310の部分316を心腔の内面から離間させ、生理液が流れる追加経路を提供する。
【0043】
左房の寸法は、例えば、長手方向軸上(隔膜から隆起部まで)で50mm~80mm、及び直交軸上で30mm~50mmである。右心房の寸法は、より幅狭で、長さは同様である。一実施形態において、左心房及び右心房内におけるバルーンの展開方向は、対応する心房の最も長い軸である。拡開したバルーンの寸法は、フルサイズの心房に対応し得る。
【0044】
図4は、心臓26の腔内で第2の開状態にあるチューリップ形バルーン部分300を示す。拡開可能セクション304の、心臓26の腔内で第2の開状態にある部分を示すために、
図4には心臓26の腔のセクションは示されていない。この心腔の寸法は、
図3に関して上述した心腔の寸法よりも大きいので、第2の開状態では、チューリップ形バルーン部分300の拡開可能セクション304は、
図4に示されるそれらの位置まで更に開く。
図4に示すように、チューリップ形バルーン部分300が第2の開状態にあるとき、拡開可能セクション304は心腔の内面402と接触している。拡開可能セクション304は、隣接するバルーンのセクション304と重なり合わず、相互に離間して、隣接する拡開可能セクション304同士の間に間隙404が形成される。したがって、
図4に示される第2の開状態では、拡開可能セクション304の外面310上に配設された電極208(
図4では図示せず)が心腔の内面402と接触して、心臓26の電気信号を取得する一方、拡開可能セクション304同士の間の間隙404は、生理液が流れるための追加経路を提供する。
【0045】
図5及び
図6は、器具(例えばカテーテル202)の例示のバネ状先端部分500の異なる状態を示す。バネ形バルーン部分(spring balloon portion)500は、例えば、カテーテル本体部分302の先端に位置する。
図5及び
図6に示すように、バネ形バルーン部分500は外部シェル502を含む。外部シェル502は、同心円状に巻かれた拡開可能セクション504(すなわち、一連の同心帯など)を含む拡開可能なストリップである。
図5及び
図6に示される例示のバネ形バルーン部分500は、単一の同心円状に巻かれた拡開可能セクション504(すなわち、一重螺旋)を示す。しかしながら、実施形態は、任意の数の同心円状に巻かれた拡開可能セクション(例えば、二重螺旋、三重螺旋等)を含み得る。心臓26の腔内での拡開可能セクション504の位置を示すために、
図5及び
図6には心臓26の一部が示されていない。
【0046】
同心円状に巻かれた拡開可能セクション504は、心臓26の異なる領域における電気信号を経時的に取得するための、その外面上に配設された複数の電極を含む。バネ形バルーン部分500の特徴部を分かりやすく示すために、
図5及び
図6には電極は示されていない。しかしながら、バネ形バルーン部分500の異なる位置に電極が配設され得ることが理解できる。例えば、電極は、同心円状に巻かれた拡開可能セクション504の外面上に配設されていてもよく、また、同心円状に巻かれた拡開可能セクション504の外面及び内面の両方に配設されていてもよい。拡開可能セクション504は、拡開したときに、拡開可能セクション504の外面上に配設された電極208が心腔の内面402と接触して、心臓26の電気活動を検出するように構成されている。電極208は、セクション504の外面上に配置されている場合には、RFエネルギーを心臓26に供給するために使用され得る。
【0047】
図5は、第1の状態のバネ形バルーン部分500を示す。図に示されるように、外部シェル502は、心臓26の腔の形状と類似する回転楕円体(卵様)形状を形成する。同心円状に巻かれた拡開可能セクション504の外面及び同心円状に巻かれた拡開可能セクション504の外面上に配設された電極(
図5には図示せず)は、臓器(例えば、心腔)の内壁と接触する。同心円状に巻かれた拡開可能セクション504は、バネがほどけるのと同じように分離して間隙506(例えば、同心帯の間の連続した間隙)を形成し、この間隙が、生理液が流れるための経路を提供する。したがって、バネ形バルーン部分500は、生理液の流れを遮断することなく、心臓の電気活動の正確なマッピングを提供するのに十分である電極被覆を提供する(例えば、正確な電気活動測定値を得て1つの心拍で心臓腔をマッピングする)。
【0048】
図6は、第2の状態の拡開可能セクション500の一部を示す。心腔の寸法は
図5に関して上述した心腔の寸法よりも大きいので、第2の開状態では、同心円状に巻かれた拡開可能セクション504は、
図6に示されるそれらの位置まで開く。第2の状態においては、同心円状に巻かれた拡開可能セクション504の外面が心腔の内面402と接触し、それにより外面上の電極が心腔の内面402と接触し、電気信号を取得する。加えて、同心円状に巻かれた拡開可能セクション504の同心帯は、第1の開状態におけるよりも更に相互に離間し、それにより間隙506がより大きくなり、生理液が流れるためのより大きな経路を提供する。
【0049】
図7~
図10は、電極が1つ以上の電極群に組み合わされ、それぞれがアブレーション処置のためのより大きな電極として作用する、電極アレイ構成の異なる実施例を示す。
図7は、高分解能マッピングを提供するために使用される個々の電極セット702が組み合わされて、アブレーション用のアブレーションマクロ電極をシミュレーションしている、電極アレイ700のアブレーション輪郭の上面図を示す。1つ以上の電極が選択され、1つ以上の電極と(例えば、プロセッサによって)組み合わされて、より大きなアブレーション電極を提供することができる。
【0050】
図7に示される電極アレイ700は、電極セット702のマトリックスを含み、このマトリックスはそれぞれ6個の個々の電極を含む。
図7に示すように、電極セット702からの異なる電極がグループ化されて(例えば、プロセッサによって選択されて)、
図7に示す楕円で表されるアブレーションマクロ電極704を形成する。図に示されるように、アブレーションマクロ電極704は、6個の電極を有する2つの電極セット702aと、4個の電極を有する2つの電極セット702bと、を含む。マクロ電極704内(すなわち、楕円内)の電極のそれぞれが組み合わされて、1つの大きなアブレーション電極として、又は一連のアブレーション電極として機能することができる。
【0051】
図8は、
図7に示される電極アレイ700のアブレーション輪郭の側面斜視図を示す。
図8はまた、電極アレイ700を使用して組織を(例えば、60℃で)アブレーションしたことにより得られる、推定される損傷802も示す。
【0052】
図9は、電極アレイ900の別の構成の図であり、電極アレイ900は、円形にグループ化されてマクロ電極904を形成する7個の電極902を含んでいる。マクロ電極904は、小さな電極902が組み合わさりアブレーション中に使用される合成電力を得るアブレーション電極をシミュレーションする。
図9に示される電極の数及び電極群の円形形状は、単に例示的なものである。電極アレイは、アブレーション中に使用される電力を有するマクロ電極を提供するために
図9に示される構成と異なる構成にグループ化された、任意の数の電極を含むことができる。
【0053】
図7~
図9に示す電極アレイの構成(例えば、電極の数、電極群の形状)は、単に例示的なものである。実施形態は、アブレーション中に使用される電力を有するマクロ電極を提供するために
図7~
図9に示される構成と異なる構成にグループ化された、任意の数の電極を有する電極アレイを含み得る。アブレーション処置中に、任意の形状を形成する任意の数の電極がグループ化されて(例えば、プロセッサによって選択されて)、アブレーション用のマクロ電極を形成することができる。
【0054】
図10は、電極アレイ1000の別の構成の図である。
図10に示すように、電極アレイ1000は、互いから等距離である電極1002のマトリックスを含む。
図10に示すように、電極1002の一部は、ともにグループ化されてマクロ電極1004を形成するか、又は偶発的なアブレーション曲線の形成に使用される一群のマクロ電極としてグループ化される。
【0055】
本明細書に記載される機能及び方法はいずれも、汎用コンピュータ、プロセッサ、又はプロセッサコアにおいて実施されることができる。好適なプロセッサとしては、例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連する1つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、書替え可能ゲートアレイ(FPGA)回路、任意のその他の種類の集積回路(IC)、及び/又は状態機械が挙げられる。このようなプロセッサは、処理されたハードウェア記述言語(HDL)命令及びネットリストなどその他の中間データ(このような命令は、コンピュータ可読媒体に格納することが可能である)の結果を用いて製造プロセスを構成することにより、製造することが可能である。このような処理の結果はマスクワークであり得、このマスクワークをその後半導体製造プロセスにおいて用いて、本開示の特徴部を実装するプロセッサを製造する。
【0056】
本明細書に記載される機能及び方法はいずれも、持続性コンピュータ可読記憶媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアにおいて実装されて、汎用コンピュータ又はプロセッサによって実行されることができる。持続性コンピュータ可読記憶媒体の例としては、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、磁気媒体、例えば内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク、磁気光学媒体、並びに光学媒体、例えば、CD-ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(DVD)が挙げられる。
【0057】
本明細書の開示に基づいて多くの変更例が可能であることを理解されたい。特徴及び要素が特定の組み合わせで上記に説明されているが、各特徴又は要素は、他の特徴及び要素を用いずに単独で、又は他の特徴及び要素を用いて若しくは用いずに他の特徴及び要素との様々な組み合わせで使用されてもよい。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) 患者の解剖学的構造の電気活動を取得するために使用される医療機器であって、
細長い本体と、
前記細長い本体に連結された先端部分であって、前記先端部分は1つ以上の拡開可能セクションを含み、各拡開可能セクションは、(i)前記1つ以上の拡開可能セクションの外面、及び(ii)前記1つ以上の拡開可能セクションの内面及び前記外面、のうちの一方の上に配設された複数の電極を有する、先端部分と、を含み、
前記1つ以上の拡開可能セクションは、拡開したときに、前記複数の電極の一部を臓器の表面と接触させ、かつ生理液が前記先端部分を通って流れるための経路を提供する、医療機器。
(2) 前記先端部分がチューリップ形バルーン部分であり、前記1つ以上の拡開可能セクションは、前記1つ以上の拡開可能セクションを貫通し、かつ生理液が前記先端部分を通って流れるための前記経路を提供するように構成されている、1つ以上の孔を含む、実施態様1に記載の機器。
(3) 前記臓器が心臓であり、前記1つ以上の拡開可能セクションが、拡開したときに、前記複数の電極を心腔の内面と接触させる、実施態様1に記載の機器。
(4) 前記1つ以上の拡開可能セクションが、
第1の拡開可能セクションと、
第2の拡開可能セクションであって、前記第2の拡開可能セクションの内面から延出する1つ以上の突出部を含む、第2の拡開可能セクションと、を含み、
第1の状態において、前記第1の拡開可能セクションが前記1つ以上の突出部と接触し、屈曲して、前記複数の電極を前記心腔の前記内面と接触させ、かつ前記第1の拡開可能セクションの前記外面の一部を前記心腔の前記内面から離間させ、前記生理液が流れる前記経路を提供するように構成されている、実施態様3に記載の機器。
(5) 第2の状態において、前記第1の拡開可能セクション及び前記第2の拡開可能セクションが相互に離間し、互いの間に間隙を形成して、前記生理液が流れる前記経路を提供する、実施態様4に記載の機器。
【0059】
(6) 前記1つ以上の拡開可能セクションが、同心円状に巻かれた拡開可能セクションであり、拡開したときに、各同心円状に巻かれた拡開可能セクションは、前記生理液が流れる前記経路を提供するために間隙を形成するように構成されている、実施態様1に記載の機器。
(7) 前記複数の電極が、アブレーション電極を形成する一群の電極を含む、実施態様1に記載の機器。
(8) 前記複数の電極が、マッピング処理中に、及びアブレーション処置中に、前記臓器の前記表面から電気信号を取得するように構成されている、実施態様1に記載の機器。
(9) 前記1つ以上の拡開可能セクションが、生理液の拘束を防止しながら、前記臓器の複数部分のそれぞれの電気活動を取得するための電極被覆を提供するように構成されている、実施態様1に記載の機器。
(10) 患者の解剖学的構造の電気活動を取得するために使用される医療機器であって、
細長い本体と、
前記細長い本体に連結されたチューリップ形バルーン先端部分と、を含み、前記チューリップ形バルーン先端部分は、
生理液が前記先端部分を通って流れるための経路を提供するように構成された複数の拡開可能セクションであって、前記複数の拡開可能セクションは、(i)前記複数の拡開可能セクションの外面、及び(ii)前記複数の拡開可能セクションの内面及び前記外面、の少なくとも一方上に配設された複数の電極を有する、複数の拡開可能セクションを含み、
前記複数の拡開可能セクションは、
第1の拡開可能セクションと、
第2の拡開可能セクションと、を含み、
前記第2の拡開可能セクションが、第1の状態において、前記第1の拡開可能セクションと重なり合うように構成されている、医療機器。
【0060】
(11) 前記複数の電極が、マッピング処理中に、及びアブレーション処置中に、心臓の内面と接触し、かつ心腔の前記内面から電気信号を取得するように構成されている、実施態様10に記載の機器。
(12) 前記第1の拡開可能セクションが、一対の対向する第1の拡開可能セクションを含み、前記第2の拡開可能セクションが、一対の対向する第2の拡開可能セクションを含み、前記一対の対向する第2の拡開可能セクションの各セクションが、前記第1の状態において、前記一対の対向する第1の拡開可能セクションと重なり合うように構成されている、実施態様10に記載の機器。
(13) 前記一対の対向する第2の拡開可能セクションのそれぞれが、前記一対の対向する第2の拡開可能セクションのそれぞれの内面から延出する1つ以上の突出部を含み、
前記第1の状態において、前記一対の対向する第1の拡開可能セクションのそれぞれが、隣接する対向する第2の拡開可能セクションの前記1つ以上の突出部と接触し、屈曲して、前記複数の電極の一部を心腔の内面と接触させ、かつ対応する拡開可能セクションの前記外面の一部を前記心腔の前記内面から離間させ、前記生理液が流れる前記経路を提供するように構成されている、実施態様12に記載の機器。
(14) 前記1つ以上の突出部が、前記対向する第1の拡開可能セクションの一方の1つの端部と、前記対向する第1の拡開可能セクションの第2の端部との間で、前記内面に沿って延在する一対の隆起部を含む、実施態様13に記載の機器。
(15) 第2の状態において、前記外面上に配設された前記複数の電極が、心腔の内面と接触し、前記第1の拡開可能セクションが、前記第2の拡開可能セクションから離間して、前記生理液が流れる前記経路を提供する間隙を形成する、実施態様10に記載の機器。
【0061】
(16) 前記複数の拡開可能セクションのうちの1つ以上が、前記生理液が流れる前記経路を提供するための1つ以上の孔を含む、実施態様10に記載の機器。
(17) 前記複数の電極が、アブレーション電極を形成する一群の電極を含む、実施態様10に記載の機器。
(18) 患者の解剖学的構造の電気活動を取得するために使用される医療機器であって、
細長い本体と、
前記細長い本体に連結された拡開可能先端部分と、を含み、前記拡開可能先端部分は、
1つ以上の同心円状に巻かれた拡開可能セクションであって、それぞれが、(i)対応する拡開可能セクションの外面、及び(ii)前記対応する拡開可能セクションの内面及び前記外面、の少なくとも一方の上に配設された複数の電極を有する、同心円状に巻かれた拡開可能セクションを含み、
拡開したときに、前記1つ以上の同心円状に巻かれた拡開可能セクションが、生理液が流れるための経路を提供するための間隙を形成するように構成されており、前記複数の電極が臓器の内面と接触させられる、医療機器。
(19) 前記複数の電極が、アブレーション電極を形成する一群の電極を含む、実施態様18に記載の機器。
(20) 拡開したときに、各同心円状に巻かれた拡開可能セクションの前記外面上に配設された前記複数の電極が、マッピング処理中に、及びアブレーション処置中に、心腔の前記表面から電気信号を取得するように構成されている、実施態様18に記載の機器。