(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】周辺監視装置、作業機械、周辺監視の制御方法及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220816BHJP
B60R 1/20 20220101ALI20220816BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/20
E02F9/26 A
(21)【出願番号】P 2018035844
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】栗原 毅
(72)【発明者】
【氏名】町田 正臣
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-261532(JP,A)
【文献】特開2018-129743(JP,A)
【文献】特開2008-114814(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025367(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 1/20
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の周辺を検知する検知手段と、
前記検知手段からの信号に基づき所定の出力を行う出力手段と、
オペレーティングシステムが起動中であり前記検知手段及び前記出力手段に基づく周辺監視処理を当該オペレーティングシステム上で行う周辺監視モードと、
前記オペレーティングシステムの起動中の状態が維持されながら前記周辺監視処理を行わない監視休止モードと、
前記オペレーティングシステムが起動しておらず前記周辺監視処理を行わない電源OFF状態と、
周辺監視モードと、前記監視休止モードと、前記電源OFF状態との間での状態の切替を制御する状態切替制御部と、を備えた、
前記状態切替制御部は、前記監視休止モードにおいて電源OFF移行要求の入力を受け付けた場合には、前記電源OFF状態に移行する
周辺監視装置。
【請求項2】
作業機械の周辺を検知する検知手段と、
前記検知手段からの信号に基づき所定の出力を行う出力手段と、
オペレーティングシステムが起動中であり前記検知手段及び前記出力手段に基づく周辺監視処理を当該オペレーティングシステム上で行う周辺監視モードと、
前記オペレーティングシステムの起動中の状態が維持されながら前記周辺監視処理を行わない監視休止モードと、
前記オペレーティングシステムが起動しておらず前記周辺監視処理を行わない電源OFF状態と、
周辺監視モードと、前記監視休止モードと、前記電源OFF状態との間での状態の切替を制御する状態切替制御部と、を備えた、
前記状態切替制御部は、前記監視休止モード中において、モニタである前記出力手段に、現在の動作モードが監視休止モードにあることを示す画像を表示させる
周辺監視装置。
【請求項3】
前記状態切替制御部は、前記監視休止モードにおいて前記作業機械に対するキーオン操作の入力を受け付けた場合には、電源OFF状態から周辺監視モードへ移行するよりも早い時間で前記周辺監視モードに移行する
請求項1
または請求項2に記載の周辺監視装置。
【請求項4】
前記状態切替制御部は、前記監視休止モードに移行した後、規定時間が経過した場合には、前記電源OFF状態に移行する
請求項1
から請求項3の何れか一項に記載の周辺監視装置。
【請求項5】
前記状態切替制御部は、前記周辺監視モードにおいて前記作業機械に対するキーオフ操作の入力を受け付けた場合に、前記監視休止モードに移行する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の周辺監視装置。
【請求項6】
請求項1から
請求項5の何れか一項に記載の周辺監視装置を備える
作業機械。
【請求項7】
オペレーティングシステムが起動していない電源OFF状態において、作業機械に対するキーオン操作の入力を受け付けることで、オペレーティングシステムが起動中であり検知手段及び出力手段に基づく周辺監視処理を行う周辺監視モードに移行するステップと、
前記周辺監視モードにおいて、前記作業機械に対するキーオフ操作の入力を受け付けることで、前記オペレーティングシステムの起動中の状態が維持されながら前記周辺監視処理を行わない監視休止モードに移行するステップと、
前記監視休止モードにおいて前記作業機械に対するキーオン操作の入力を受け付けることで、電源OFF状態から周辺監視モードへ移行するよりも早い時間で前記周辺監視モードに移行するステップと、
を備えた周辺監視の制御方法。
【請求項8】
作業機械が有するカメラによって撮像された周辺監視画像を表示し、
前記周辺監視画像が表示された状態において前記作業機械に対するキーオフ操作の入力を受け付けた場合に、前記周辺監視画像とは異なる監視休止画像を表示し、
前記監視休止画像が表示された状態において前記作業機械に対するキーオン操作の入力を受け付けた場合に、電源OFF状態から前記周辺監視画像が表示された状態へ移行するよりも早い時間で、前記監視休止画像が表示された状態から前記周辺監視画像が表示された状態に移行
し、
前記監視休止画像は、現在の動作モードが監視休止モードにあることを示す画像である、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周辺監視装置、作業機械、周辺監視の制御方法及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、油圧ショベルの車体に設置された複数のカメラの画像を合成して俯瞰画像を生成し、モニタに表示する周辺監視装置が開示されている。また、特許文献1には、上述の俯瞰画像に加えて、作業効率を向上させることができる目安情報を表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、作業機械に搭載されるシステムの中には、汎用オペレーティングシステム(以下、「汎用OS」とも記載する。)上で動作するものがある。汎用OSは、汎用的に様々な目的に利用できるアプリケーションを動作させるためのオペレーティングシステムであり、リアルタイム性が高いオペレーティングシステム(以下、「リアルタイムOS」とも記載する。)と比較して、処理能力が高い点や多種多様な機能を有している一方で、起動開始から完了までに数十秒程度の時間を要するというデメリットがある。
【0005】
例えば、上述した周辺監視装置が汎用OSで動作するプログラムであって、他の構成機器(エンジンコントローラ、ポンプコントローラ等)がリアルタイムOSで動作するものであったとすると、以下のような課題が生じる。即ち、作業機械のオペレータが作業機械のイグニッションキーをオンすると、当該作業機械に搭載された各構成機器は、それぞれ、一斉に起動処理を開始する。ここで、リアルタイムOS上で動作する構成機器は、直ちに起動を完了し動作可能な状態となるが、汎用OS上で動作する周辺監視装置は、起動を完了し動作可能な状態となるまでに数十秒程度の時間を要する。オペレータは、周辺監視装置の起動が完了して、作業機械の周囲が安全であることを確認した後に作業を行うことが推奨されている。
【0006】
通常、作業機械のオペレータは、1時間程度の昼休みに入る際、作業機械のイグニッションキーをオフする。作業機械を全停止させると、周辺監視装置への電源供給も遮断され、周辺監視装置は電源OFFとなる。そうすると、オペレータは、昼休み後、作業を再開しようとイグニッションキーをオンする場合にも、周辺監視装置の起動のために数十秒程度待機することとなり、作業効率の低下が懸念される。
【0007】
本発明は、作業機械による作業効率を向上させることができる周辺監視装置、作業機械、周辺監視の制御方法及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、周辺監視装置は、作業機械の周辺を検知する検知手段と、前記検知手段からの信号に基づき所定の出力を行う出力手段と、オペレーティングシステムが起動中であり 前記検知手段及び前記出力手段に基づく周辺監視処理を当該オペレーティングシステム上で行う周辺監視モードと、前記オペレーティングシステムの起動中の状態が維持されながら前記周辺監視処理を行わない監視休止モードと、前記オペレーティングシステムが起動しておらず前記周辺監視処理を行わない電源OFF状態と、周辺監視モードと、前記監視休止モードと、前記電源OFF状態との間での状態の切替を制御する状態切替制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、作業機械による作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る油圧ショベルの全体構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る油圧ショベルの運転室の構成を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る周辺監視装置等の機能構成を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る周辺監視コントローラの動作を説明するための第1図である。
【
図5】第1の実施形態に係る周辺監視コントローラの動作を説明するための第2図である。
【
図6】第1の実施形態に係る周辺監視コントローラの動作を説明するための第3図である。
【
図7】第1の実施形態に係る周辺監視コントローラの動作を説明するための第4図である。
【
図8】第1の実施形態に係る周辺監視コントローラのコンピュータとしての構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係る周辺監視装置及びこれを搭載する油圧ショベルについて、
図1~
図7を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(油圧ショベルの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る油圧ショベルの全体構成を示す図である。
油圧ショベル1は、作業機械の一態様であり、鉱山などで使用されるマイニングショベルなどの大型油圧ショベルである。
図1に示すように、油圧ショベル1は、走行するための下部走行体11と、下部走行体11の上部に設置され旋回可能な上部旋回体12とを有してなる。また、上部旋回体12には、運転室12A、作業機12B、カウンタウエイト12Cなどが設けられている。
【0013】
運転室12Aは、油圧ショベル1のオペレータが搭乗し、操作を行う場所である。運転室12Aは、上部旋回体12の前端部左側部分に設置される。運転室12Aの詳細な構成については後述する。
【0014】
作業機12Bは、ブーム、アーム及びバケットからなる。ブームは、上部旋回体12の前端部に装着される。また、ブームにはアームが取り付けられる。また、アームにはバケットが取り付けられる。また、上部旋回体12とブームとの間にはブームシリンダが取り付けられる。ブームシリンダを駆動することで上部旋回体12に対しブームを動作することができる。ブームとアームとの間にはアームシリンダが取り付けられる。アームシリンダを駆動することで、ブームに対しアームを動作することができる。アームとバケットとの間にはバケットシリンダが取り付けられる。バケットシリンダを駆動することでアームに対しバケットが動作することができる。
【0015】
油圧ショベル1は、周辺監視装置2を備えている。周辺監視装置2は、油圧ショベル1の筐体に取り付けられた複数のカメラ及び複数のレーダを通じて、オペレータによる油圧ショベル1の周辺を監視することを支援する。油圧ショベル1の周辺とは、油圧ショベル1の全周囲および全周囲のうちの一部領域を含む。
【0016】
上部旋回体12には、複数のカメラC1~C7が設置されている。
カメラC1は、上部旋回体12の前面における運転室12A下部に設けられて上部旋回体12の前方を撮影する。カメラC2は、上部旋回体12の右側前方下部に設けられて上部旋回体12の右前方を撮影する。カメラC3は、上部旋回体12の右側面下部に設けられて上部旋回体12の右後方を撮影する。カメラC4は、上部旋回体12の後端部に配置されるカウンタウエイト12Cの後方端下部中央に設けられて上部旋回体12の後方を撮影する。カメラC5は、上部旋回体12の左側面下部に設けられて上部旋回体12の左後方を撮影する。カメラC6は、上部旋回体12の左側面に設けられて上部旋回体12の左前方を撮影する。カメラC7は、カウンタウエイト12Cの下部基端に設けられ、カウンタウエイト12Cの下部領域を撮影する。カメラC1~C7は、隣り合うカメラC1~C7の撮影範囲を互いにオーバーラップするように配置されている。これにより、油圧ショベル1の周辺360度を同時に撮影することができる。カメラC1~C7による撮影は、検知の一態様である。
【0017】
また、
図1において図示を省略しているが、油圧ショベル1には、当該油圧ショベル1の近傍に位置する障害物等を検知可能とする複数のレーダ(
図3に示すレーダR)が取り付けられている。
【0018】
(油圧ショベルの運転室の構成)
図2は、第1の実施形態に係る油圧ショベルの運転室の構成を示す図である。
【0019】
操作レバーL1、L2は、運転室12A内のオペレータシートSTの左右に配置される。操作レバーL1、L2によって、上部旋回体12の旋回動作と作業機12Bのブーム、アーム、バケットの動作を行うことができる。
【0020】
運転室12Aには、周辺監視モニタD1とブザーD2とが配置される。
周辺監視モニタD1は、タッチセンサ式のディスプレイを搭載してなる入出力装置である。周辺監視モニタD1には、カメラC1~C7による単カメラ画像や、カメラC1~C7によって撮像された画像に基づいて生成された俯瞰画像などが表示される。また、周辺監視モニタD1には、オペレータの各種操作を受け付けるための操作パネル等も表示される。オペレータの各種操作とは、例えば、カメラ画像の切り替え操作、画像サイズを変更する操作等である。
ブザーD2は、レーダRによって障害物が検出された場合に発報する。なお、障害物が検出された場合、この障害物の情報は、上述した周辺監視モニタD1にも表示される。
【0021】
オペレータシートSTの左側部には、イグニッションキーKが配置されている。油圧ショベル1に搭乗したオペレータは、最初にイグニッションキーKをオンする、すなわちキーオン操作を行う。これにより、油圧ショベル1のエンジン、ポンプ、周辺監視装置等を含むシステム全体が起動する。また、作業を中断、終了する場合には、イグニッションキーKをオフし、すなわちキーオフ操作し、油圧ショベル1のシステム全体の動作を停止させる。
【0022】
(周辺監視装置等の機能構成)
図3は、第1の実施形態に係る周辺監視装置等の機能構成を示す図である。
【0023】
図3に示すように、周辺監視装置2は、周辺監視コントローラ20と、カメラC1~C7と、レーダRと、周辺監視モニタD1と、ブザーD2とを有してなる。
カメラC1~C7及びレーダRは、油圧ショベル1の周辺を検知する検知手段の一態様である。また、周辺監視モニタD1及びブザーD2は、検知手段からの信号に基づき所定の出力を行う出力手段の一態様である。
【0024】
周辺監視コントローラ20は、周辺監視装置2の動作全体を制御する。本実施形態に係る周辺監視コントローラ20は、内部にCPUを有している。そして、当該CPUが汎用OS上で動作する専用のプログラムに従って動作することで、後述の各種機能を発揮する。
【0025】
具体的には、周辺監視コントローラ20は、検知信号取得部200、周辺監視処理部201、断線エラー検知処理部202、キー信号取得部203、及び、状態切替制御部204としての機能を発揮する。
【0026】
検知信号取得部200は、カメラC1~C7によって取得された画像情報、及び、レーダRからの検知信号を取得する。
周辺監視処理部201は、カメラC1~C7、レーダRからなる検知手段及び周辺監視モニタD1、ブザーD2からなる出力手段に基づく周辺監視処理を行う。具体的には、周辺監視処理部201は、カメラC1~C7を通じて取得された画像情報を周辺監視モニタD1に表示させる処理や、レーダRによって障害物が検知された場合に、ブザーD2から発報する処理等を行う。また、周辺監視処理部201は、カメラC1~C7の各画像を上面視の画像に変換し、繋ぎ合わせてなる俯瞰画像を生成する。
断線エラー検知処理部202は、周辺監視コントローラ20とカメラC1~C7及びレーダRとの通信接続を監視する。断線エラー検知処理部202は、特に、後述する周辺監視モード時において、カメラC1~C7及びレーダRとの通信接続が断線している場合に、周辺監視モニタD1やブザーD2を通じて、その旨をオペレータに報知する。
キー信号取得部203は、イグニッションキーKに対するオペレータのキーオン操作を示すキーオン信号、及び、キーオフ操作を示すキーオフ信号を取得する。
【0027】
状態切替制御部204は、周辺監視装置2の動作モードを切り替える処理を行う。
具体的には、状態切替制御部204は、周辺監視モードと、電源OFFモードと、監視休止モードとの間でのモード切替を制御する。各動作モードの内容及び移行条件については後述する。
【0028】
図3に示すように、油圧ショベル1は、周辺監視装置2以外のシステムコントローラであるポンプコントローラ30、エンジンコントローラ40、モニタコントローラ50等を備えている。本実施形態に係るポンプコントローラ30、エンジンコントローラ40及びモニタコントローラ50は、いずれもリアルタイムOSで動作する。
【0029】
周辺監視コントローラ20、ポンプコントローラ30、エンジンコントローラ40及びモニタコントローラ50は、車体CANを通じて互いに通信可能に接続されている。
また、周辺監視コントローラ20、ポンプコントローラ30、エンジンコントローラ40及びモニタコントローラ50は、イグニッションキーKと接続されている。オペレータがイグニッションキーKに対して操作を行うと、当該操作に基づくキーオン信号又はキーオフ信号が、周辺監視コントローラ20、ポンプコントローラ30、エンジンコントローラ40及びモニタコントローラ50のそれぞれに入力される。
【0030】
(周辺監視コントローラの動作)
図4~
図7は、それぞれ、第1の実施形態に係る周辺監視コントローラの動作を説明するための図である。
図4は、状態切替制御部204によるモード切替処理を示す状態遷移図である。
図5は、状態切替制御部204の処理フローを示すフローチャート図である。
図6、
図7は、各動作モードにおいて周辺監視モニタD1に表示される画像の例を示す図である。
以下、
図4に示す状態遷移図、及び、
図5に示すフローチャート図を参照しながら、全停止中の油圧ショベル1にオペレータが搭乗した時点からの処理の流れについて説明する。
【0031】
まず、全停止中の油圧ショベル1において、周辺監視装置2を含む全ての構成機器は、電源OFFとされている。即ち、周辺監視コントローラ20は、電源OFF状態M0にある。
【0032】
電源OFF状態M0について詳しく説明する。電源OFF状態M0とは、周辺監視コントローラ20において汎用OSが起動していない状態である。そのため、汎用OSによって実現される周辺監視処理等は実行されない。したがって、電源OFF状態M0から周辺監視モードM1に移行するためには、汎用OSの起動プロセスを要することとなる。電源OFF状態M0においては、消費電力がほとんど発生しないため、油圧ショベル1に搭載された図示しないバッテリーに蓄えられた電力を消費しない。
なお、電源OFF状態において、周辺監視コントローラ20は、汎用OSが起動していないものの、バッテリーからは常に電源の供給を受け付けている状態にある。そして、後述するキーオン操作を受け付けることによって汎用OSの起動プロセスを開始する。他の実施形態においてはこの態様に限定されず、周辺監視コントローラ20は、電源OFF状態において、バッテリーからの電源供給そのものが遮断されている状態とされていてもよい。
【0033】
次に、オペレータがイグニッションキーKに対し、キーオン操作を行う(ステップS00:YES)。そうすると、イグニッションキーKから周辺監視コントローラ20にキーオン信号が入力される。当該キーオン信号の入力を受け付けると、周辺監視コントローラ20の状態切替制御部204は、ブートプログラムを実行して、汎用OSの起動プロセスを開始する。ここで、汎用OSの起動プロセスが完了するまでには数十秒程度の時間を要する。汎用OSの起動プロセスが完了すると、状態切替制御部204は、周辺監視コントローラ20の動作モードを周辺監視モードM1に移行させ、通常の周辺監視処理を開始する。
【0034】
なお、オペレータによってステップS00のキーオン操作がなされると、周辺監視コントローラ20の他に、ポンプコントローラ30、エンジンコントローラ40、モニタコントローラ50、カメラC1~C7、レーダR、周辺監視モニタD1及びブザーD2にもキーオン信号が入力され、それぞれ、一斉に起動を開始する。これらの構成機器は、例えば、リアルタイムOSで動作するため、周辺監視コントローラ20よりも短い時間で起動プロセスを完了する。
【0035】
周辺監視モードM1について詳しく説明する。周辺監視モードM1とは、周辺監視コントローラ20において汎用OSが起動しており、周辺監視コントローラ20の周辺監視処理部201による周辺監視処理が実行されている状態である。具体的には、周辺監視コントローラ20の周辺監視処理部201は、周辺監視モードM1において、カメラC1~C7から画像情報を取得するとともに、俯瞰画像に変換して周辺監視モニタD1に表示させる。また、周辺監視処理部201は、周辺監視モードM1において、レーダRによって障害物が検知された場合に、ブザーD2を通じてその旨を報知する。周辺監視処理部201による上述の周辺監視処理は、汎用OS上で動作するプログラムに基づいて実施される。
【0036】
周辺監視モードM1にある周辺監視処理部201が周辺監視モニタD1に表示させる画像の例を
図6に示す。
図6に示すように、周辺監視モニタD1には、カメラC1~C7の画像を組み合わせてなる俯瞰画像G1、カメラC1~C7のうち選択された何れか一つの画像である単カメラ画像G2等が表示されている。また、操作パネル画像G3は、オペレータのタッチ操作を受け付ける領域に表示される。オペレータから操作パネル画像G3へのタッチ操作を受け付けた場合、周辺監視処理部201は、当該タッチ操作の内容に応じて、俯瞰画像G1、単カメラ画像G2の表示態様(例えば、画像サイズ、画像の明度、目安線の有無等)を変更する。俯瞰画像G1、単カメラ画像G2は、周辺監視画像の一態様である。
【0037】
また、周辺監視モードM1においては、周辺監視コントローラ20の断線エラー検知処理部202の機能が有効となっている。即ち、周辺監視モードM1において、断線エラー検知処理部202は、カメラC1~C7、レーダRとの通信接続を監視して、異常(断線)が検知された場合には、周辺監視モニタD1、ブザーD2等によってその旨を報知する。
【0038】
次に、周辺監視モードM1において、オペレータがイグニッションキーKに対し、キーオフ操作を行ったとする(ステップS01:YES)。そうすると、イグニッションキーKから周辺監視コントローラ20にキーオフ信号が入力される。当該キーオフ信号の入力を受け付けると、周辺監視コントローラ20の状態切替制御部204は、監視休止モードM2に移行させる。
なお、ステップS01のキーオフ操作は、周辺監視コントローラ20に対して入力される監視休止モード移行要求の一態様である。
【0039】
オペレータによってステップS01のキーオフ操作がなされると、周辺監視コントローラ20の他に、ポンプコントローラ30、エンジンコントローラ40、モニタコントローラ50、カメラC1~C7、レーダRにもキーオフ信号が入力され、それぞれ、一斉に終了処理を実行し、電源OFF状態となる。
【0040】
監視休止モードM2について詳しく説明する。監視休止モードM2とは、周辺監視コントローラ20において汎用OSが起動中の状態が維持されながらも、周辺監視処理を休止している状態である。即ち、監視休止モードM2では、周辺監視処理部201による周辺監視処理、及び、断線エラー検知処理部202による通信監視処理は実行されない。周辺監視処理部201による周辺監視処理、及び、断線エラー検知処理部202による通信監視処理を休止させることで、ステップS01のキーオフ操作に基づいてカメラC1~C7及びレーダRが電源OFFとなっている場合であっても、誤ってカメラC1~C7及びレーダRの断線エラーを検出することなく、周辺監視コントローラ20の動作を安定させることができる。さらに、汎用OSが起動中の状態が維持されているため、ステップS02のキーオン操作に基づいて早急に周辺監視モードM1に復帰することができる。
なお、監視休止モードM2においては、汎用OS上で動作する周辺監視処理のためのプログラムが動作中の状態が維持される態様であってもよいし、汎用OSのみが起動中の状態を維持し当該プログラムが終了している態様であってもよい。
また、監視休止モードM2においては、後述するステップS02のキーオン操作、ステップS04の電源OFF操作以外の入力操作を受け付けないようにしてもよい。
【0041】
監視休止モードM2にある周辺監視処理部201が周辺監視モニタD1に表示させる画像の例を
図7に示す。
図7に示すように、周辺監視モニタD1には、現在の動作モードが監視休止モードM2にあることを示すスタンバイ画像G4が表示される。スタンバイ画像G4は、
図6に示す周辺監視モードM1時に表示される画像とは異なる画像とされる。また、スタンバイ画像G4には、オペレータによる監視休止モードから電源OFF状態への移行を要求する電源OFF操作を受け付けるための電源OFF用操作パネル画像G5が表示される。スタンバイ画像G4は、監視休止画像の一態様である。
【0042】
次に、監視休止モードM2において、事前に設定された規定時間T1(例えば、1時間)が経過する前に、オペレータがイグニッションキーKのキーオン操作を行ったとする(ステップS02:YES)。そうすると、イグニッションキーKから周辺監視コントローラ20にキーオン信号が入力される。当該キーオン信号の入力を受け付けると、周辺監視コントローラ20の状態切替制御部204は、動作モードを監視休止モードM2から周辺監視モードM1に移行させる。ここで、上述したように、監視休止モードM2においては汎用OSの起動中の状態が維持されている。したがって、監視休止モードM2から周辺監視モードM1への移行に要する時間は、電源OFF状態M0から周辺監視モードM1への移行に要する時間よりも短いものとなる。
なお状態切替制御部204は、図示しないタイマを内部に有している。状態切替制御部204は、監視休止モードM2に切り替えるとともに、当該タイマによる時間計測を開始し、規定時間T1の経過を検知する。
【0043】
他方、監視休止モードM2において、オペレータがイグニッションキーKに対しキーオン操作を行う前に、規定時間T1が経過したとする(ステップS03:YES)。この場合、周辺監視コントローラ20の状態切替制御部204は、汎用OSを停止させて電源OFF状態M0に移行する。
【0044】
また、監視休止モードM2において、規定時間T1が経過する前に、オペレータが電源OFF操作を行ったとする(ステップS04:YES)。ここで、電源OFF操作とは、周辺監視コントローラ20に対して入力される電源OFF移行要求の一態様であって、具体的には、
図7に示す電源OFF用操作パネル画像G5へのタッチ操作である。この場合、周辺監視コントローラ20の状態切替制御部204は、規定時間T1の経過を待つことなく、直ちに、電源OFF状態M0に移行する。例えば、オペレータは、1日の就業後において、キーオフ操作後、すぐに周辺監視コントローラの電源を落としたい場合にこの操作をする。
【0045】
(作用・効果)
以上のとおり、第1の実施形態に係る周辺監視装置2は、周辺監視モード及び電源OFF状態の他に、電源OFF状態からの移行よりも早い時間で周辺監視モードに移行可能な監視休止モードを有することを特徴としている。そして、周辺監視装置2は、周辺監視モードにおいて監視休止モード移行要求であるキーオフ操作の入力を受け付けた場合には監視休止モードに移行し、監視休止モードにおいてキーオン操作の入力を受け付けた場合には、周辺監視モードに移行する(ステップS01、S02)。
このような構成によれば、以下のような作用及び効果を奏する。即ち、鉱山における作業機械は、1時間程度の昼休み中にバッテリー周りのメンテナンスをする場合があり、この場合、オペレータは、当該メンテナンス作業前にキーオフ操作を行って油圧ショベル1を一時的に全停止させる必要がある。この場合、当該キーオフ操作に基づき、ポンプコントローラ30等他の構成機器が電源OFFとなる一方で、周辺監視コントローラ20のみは、監視休止モードに移行する。そうすると、昼休み終了後にオペレータがキーオン操作を入力すると、監視休止モードにあった周辺監視コントローラ20は、電源OFF状態からの移行よりも短い時間で周辺監視モードに移行することができる。キーオン操作後、短い時間で周辺監視コントローラ20が立ち上げられるので、オペレータはすぐに周囲の安全を確認して作業を再開できる。
【0046】
以上より、第1の実施形態に係る周辺監視装置2によれば、周辺監視モードへの移行完了を待つ時間を低減することができるので、作業効率を向上させることができる。
【0047】
また、第1の実施形態に係る周辺監視装置2は、監視休止モードに移行した後、規定時間T1が経過した場合には、電源OFF状態に移行することを特徴とする(ステップS03)。
このような構成によれば、以下のような作用及び効果を奏する。即ち、油圧ショベル1に対しキーオフ操作が入力されたにもかかわらず、周辺監視コントローラ20が長時間に渡って監視休止モードのままでいると、その間、周辺監視コントローラ20が油圧ショベル1のバッテリーを消費することとなり好ましくない。そのため、オペレータは、例えば、1日の作業を終了するような場合には、周辺監視コントローラ20を電源OFF状態に移行させて、全停止中におけるバッテリーの消費を抑える必要がある。
そこで、上記のような構成とすることで、周辺監視コントローラ20は、オペレータのキーオフ操作に基づいて一旦監視休止モードに移行した後、規定時間T1の経過に伴い、自動的に電源OFF状態に移行する。これにより、油圧ショベル1が長時間に渡って全停止が維持される場合に、バッテリーの消費を抑制することができる。
【0048】
また、第1の実施形態に係る周辺監視装置2は、監視休止モードにおいて電源OFF状態への移行要求である電源OFF操作の入力を受け付けた場合には、即座に電源OFF状態に移行する(ステップS04)。
このような構成によれば、オペレータは、電源OFF操作を入力することで、所望するタイミングで監視休止モードから電源OFF状態に移行させることができるため、バッテリーの消費を抑制することができる。
【0049】
また、第1の実施形態に係る周辺監視装置2は、監視休止モード中において、モニタである周辺監視モニタD1に、現在の動作モードが監視休止モードにあることを示すスタンバイ画像G4を表示させる。
このようにすることで、オペレータは、キーオフ操作を行った後、周辺監視コントローラ20が監視休止モードにあることを把握することができる。
【0050】
また、第1の実施形態に係る周辺監視装置2は、周辺監視モードM1から電源OFF状態M0に移行するまでに、監視休止モードM2を経ることになる。このようにすることで、オペレータが誤ってキーオフ操作してしまった場合であっても一旦は監視休止モードM2に移行するだけなので、すぐに周辺監視モードM1に復帰して周辺監視を継続することができる。
【0051】
(変形例)
以上、第1の実施形態に係る周辺監視装置2について詳細に説明したが、周辺監視装置2の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。
【0052】
例えば、第1の実施形態に係る周辺監視装置2は、検知手段としてカメラC1~C7及びレーダRの両方を備える態様として説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。他の実施形態に係る周辺監視装置2は、検知手段として、カメラC1~C7及びレーダRの何れか一方のみを備える態様であってもよい。また、周辺監視処理部201は、レーダRを用いた障害物検知ではなく、カメラC1~C7から得られる画像に対する画像認識処理を通じて障害物検知を行う態様であってもよい。
【0053】
また、第1の実施形態に係る周辺監視装置2は、出力手段として周辺監視モニタD1及びブザーD2の両方を備える態様として説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。他の実施形態に係る周辺監視装置2は、出力手段として、周辺監視モニタD1及びブザーD2の何れか一方のみを備える態様であってもよい。また、出力手段の別態様としては、検知手段からの信号に基づいて油圧ショベル1の動作を強制的に停止させる安全装置などであってもよい。また、ブザーD2による出力は、音声による出力であってもよい。
【0054】
また、第1の実施形態に係る周辺監視装置2は、油圧ショベル1の運転室12A内に備え付けられたタッチパネルモニタD1に俯瞰画像G1やスタンバイ画像G4を表示させるものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。他の実施形態に係る周辺監視装置2は、いわゆるスマートフォンやタブレット等の携帯端末装置、ウェアラブル端末、遠隔操作可能な作業機械においては遠隔操作用のディスプレイ等に、俯瞰画像G1、スタンバイ画像G4等を表示させてもよい。
【0055】
また、第1の実施形態に係る周辺監視装置2は、監視休止モード時に、周辺監視モニタD1に表示される電源OFF用操作パネル画像G5をタッチした場合に、直ちに電源OFF状態に移行するものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。他の実施形態に係る周辺監視装置2は、例えば、油圧ショベル1に別途設けられたボタンの押下を受け付けた場合に、直ちに電源OFF状態に移行する態様であってもよい。
また、この場合において、当該ボタンは、例えば、オペレータが油圧ショベル1に乗り降りする際に用いる昇降ラダーの周辺に設けられていてもよい。このようにすることで、オペレータは、昇降ラダーを通じて油圧ショベル1から降機した後であっても周辺監視コントローラ20を電源OFF状態に直ちに移行させることができる。これにより、例えば、油圧ショベル1から降機した後、周辺監視モニタD1へのタッチ操作により電源OFF状態に移行したかどうかが不明であったとしても、オペレータは、わざわざ運転室12Aまで戻らなくとも、その場で確実に電源OFF状態に移行させることができる。
【0056】
また、他の実施形態に係る周辺監視装置2は、オペレータの操作に基づいて、規定時間T1を可変に設定できるようにしてもよい。このようにすることで、例えば、昼休み等の時間に応じて、監視休止モードの持続時間を適切に設定することができる。
【0057】
また、第1の実施形態に係る周辺監視コントローラ20は、一つの筐体からなる単一の装置とされている態様で説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。例えば、他の実施形態に係る周辺監視コントローラ20は、
図3に示す各種機能部が、所定の通信網(例えば車体CAN)を介して接続される2つ以上の装置に分散して具備される態様であってもよい。
【0058】
また、第1の実施形態に係る周辺監視装置2は、作業機械の一態様として、油圧ショベル1に搭載される例を説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。他の実施形態に係る周辺監視装置2は、油圧ショベル1以外の作業機械(ホイールローダー、ブルドーザー、ダンプトラック、グレーダー等)の作業機械に搭載される態様であってもよい。また、周辺監視装置2は、鉱山で作業を行う作業機械のみならず、建設現場で作業を行う作業機械に適用されてもよい。
また、作業機械と管制とが無線ネットワーク等でつながっている場合、管制からの信号によって作業機械を制御することができる。このような場合には、周辺監視コントローラ20は、管制側で入力されたキーオン操作、及び、キーオフ操作に基づいて、周辺監視装置2のモード切替を行ってもよい。
【0059】
また、第1の実施形態に係る油圧ショベル1のイグニッションキーKは、
図2に示すような、鍵の差し穴を有する態様として説明したが、他の実施形態においてはこれに限られない。即ち、イグニッションキーには鍵の挿し穴がなくてもよく、例えば、キーレスのダイヤル形式、プッシュボタン形式、または携帯端末による操作形式であってもよい。なお、このような態様において、ダイヤルを回す操作、プッシュボタンを押下する操作、携帯端末による操作などは、上述の「キーオン操作」、「キーオフ操作」に含まれるものとする。
【0060】
また、第1の実施形態に係る周辺監視装置2は、監視休止モードM2において、周辺監視モニタD1の電源が付いた状態を維持しながら、当該周辺監視モニタD1にスタンバイ画像G4が表示されるものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。即ち、他の実施形態に係る周辺監視装置2は、監視休止モードM2において、周辺監視モニタD1やブザーD2の電源を切ってもよい。
【0061】
(コンピュータ構成)
図7は、第1の実施形態に係る周辺監視コントローラのコンピュータとしての構成を示す図である。
コンピュータ99は、プロセッサ991、メインメモリ992、ストレージ993、インタフェース994を備える。
上述した第1の実施形態に係る周辺監視コントローラ20は、それぞれ、コンピュータ99を備える。周辺監視コントローラ20がそれぞれ具備する各機能部は、プログラムとしてストレージ993に記憶されている。プロセッサ991は、プログラムをストレージ993から読み出してメインメモリ992に展開し、当該プログラムにしたがって動作することで、
図2、
図3に示す各種機能部としての機能を発揮する。ストレージ993は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース994を介して接続される光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスクおよび半導体メモリが挙げられる。
なお、電源OFF状態においては、汎用OSは、ストレージ993の所定領域に予め記録されており、オペレータによるキーオン操作を受け付けると、CPU991は、所定のブートプログラムに従って動作することで、汎用OSの起動プロセスを開始する。
【0062】
プログラムは、ネットワークを介してコンピュータ99に配信されてもよい。この場合、コンピュータ99は、配信されたプログラムをメインメモリ992に展開し、上記処理を実行する。プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、上述した機能をストレージ993に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせで実現するものであってもよい。また上述した機能の一部は、ネットワークを介して接続された他の装置によって実行されてもよい。つまり、上述した機能は、クラウドコンピューティング、グリッドコンピューティング、クラスタコンピューティング、またはその他の並列コンピューティングにより実現されてもよい。
【0063】
コンピュータ99は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。
【0064】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0065】
上記実施形態においては、周辺監視モニタD1が油圧ショベル1の運転室12Aに設置される形態にて説明したが、その例に限られない。他の実施形態においては、例えば、周辺監視モニタD1が作業機110の外部に設置される図示しない遠隔操作席の周辺に備えられてもよい。
【0066】
上記実施形態においては、周辺監視コントローラ20が周辺監視モードや監視休止モードを有する形態について説明したが、その例に限られない。例えば、周辺監視ではない制御を目的として、汎用OSにて動作するコントローラにおいて、動作モード、休止モード、電源OFF状態を切り替える切替部を有し、休止モードから動作モードに移行する際に、電源OFF状態から動作モードに移行するよりも早い時間で動作モードに移行するコントローラであっても良い。
【0067】
また、上記実施形態における
図3においては、周辺監視コントローラ20以外のコントローラとして、リアルタイムOSにて動作するコントローラを挙げたが、その例に限らず、汎用OSにて動作する他のコントローラを備えていても良い。そして、当該他のコントローラは、休止モードから動作モードに移行する際に、電源OFF状態から動作モードに移行するよりも早い時間で動作モードに移行するコントローラであっても良い。なお、当該他のコントローラにおいて、休止モードとは、上記実施形態の監視休止モードに相当するものであり、動作モードとは、上記実施形態の周辺監視モードに相当するものである。
【0068】
上記実施形態においては、周辺監視コントローラ20が汎用OSによって動作する形態について説明したが、その例に限られない。例えば、周辺監視コントローラ20は、リアルタイムOSによって上記実施形態と同様の動作を行ってもよい。リアルタイムOSを用いる場合においても、汎用OSを用いる場合と同様の課題が存在するためである。なお、オペレーティングシステムは、汎用OSとリアルタイムOSを含む。
【符号の説明】
【0069】
1 油圧ショベル(作業機械)、11 下部走行体、12 上部旋回体、12A 運転室、12B 作業機、12C カウンタウエイト、2 周辺監視装置、20 周辺監視コントローラ、200 検知信号取得部、201 周辺監視処理部、202 断線エラー検知処理部、203 キー信号取得部、204 状態切替制御部、30 ポンプコントローラ、40 エンジンコントローラ、50 モニタコントローラ、99 コンピュータ、991 プロセッサ、992 メインメモリ、993 ストレージ、994 インタフェース、C1、C2、・・、C7 カメラ(検知手段)、R レーダ(検知手段)、D1 タッチパネルモニタ(出力手段)、D2 ブザー(出力手段)、K イグニッションキー、M0 電源OFF状態、M1 周辺監視モード、M2 監視休止モード、G1 俯瞰画像
G2 単カメラ画像、G3 操作パネル画像、G4 スタンバイ画像、G5 電源OFF用操作パネル画像