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特許7123588解放可能なナイフキャリアを有する外科手術用ステープル留め装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】解放可能なナイフキャリアを有する外科手術用ステープル留め装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A61B17/115
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018052180
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2018158108
(43)【公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】15/467,153
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド バレンタイン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ゲレーラ
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-013437(JP,A)
【文献】特開2015-016325(JP,A)
【文献】国際公開第2016/000247(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術用ステープル留め装置であって、
長手方向軸を画定し、かつ近位部分及び遠位部分を有する細長い本体であって、前記細長い本体は、プッシャ駆動部材及びナイフキャリアプッシャを含み、前記プッシャ駆動部材が、テーパ状遠位部分を有する貫通孔を画定する内側表面を有する、細長い本体と、
ハウジング、複数のステープルを支持するステープルカートリッジ、プッシャ組立体、ナイフキャリア、及びナイフを含む再装填組立体であって、前記プッシャ組立体が、前記ステープルカートリッジから前記複数のステープルを放出するように、後退位置と前進位置との間で移動可能に前記ハウジング内で支持され、前記プッシャ組立体が、貫通孔を画定する内側表面を有し、前記内側表面が、座ぐり孔を画定する近位部分を有し、前記ナイフキャリアが、ナイフを支持し、かつ第1の係合構造体を含み、前記ナイフキャリアが、少なくとも1つの戻り止めを有する、再装填組立体と、を備え、
前記ナイフキャリアプッシャが、前記ナイフキャリアの前記第1の係合構造体に解放可能に係合して、前記ナイフキャリアプッシャを前記ナイフキャリアに連結するように構成された第2の係合構造体を含み、前記第1の係合構造体が、前記第2の係合構造体と係合された第1の位置から、前記第2の係合構造体から係合解除された第2の位置へと移動可能であり、
前記外科手術用ステープル留め装置が発射前状態にあるときに、前記少なくとも1つの戻り止めが、前記プッシャ組立体の前記座ぐり孔内に位置付けられ、前記外科手術用ステープル留め装置が前記複数のステープルを放出し、かつ組織を切断するように作動された後、前記ナイフキャリアが後退されたときに、前記戻り止めが、前記第1の位置から前記第2の位置に向かって前記第1の係合構造体を促して、前記ナイフキャリアを前記ナイフキャリアプッシャから連結解除するように、前記プッシャ駆動部材の前記テーパ状遠位部分に係合するように位置付けられる、外科手術用ステープル留め装置。
【請求項2】
前記ナイフキャリアが、複数の可撓性脚部により画定された近位部分を含む、請求項1に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの戻り止めが、前記複数の可撓性脚部の各々上に支持された戻り止めを含む、請求項2に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項4】
前記戻り止めの各々が、前記ナイフキャリアの長手方向軸から外方に延在する、請求項3に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項5】
前記ナイフキャリアが、前記プッシャ組立体により画定された前記貫通孔内で移動可能に位置付けられる、請求項1に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項6】
前記戻り止めの各々が、前記複数の可撓性脚部のそれぞれの可撓性脚部と一体的に形成される、請求項3に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項7】
前記第1の係合構造体が、前記複数の可撓性脚部の近位部分上に形成される、請求項6に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項8】
前記第1の係合構造体が、前記複数の可撓性脚部の前記近位部分上に形成された凹部を含む、請求項7に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項9】
前記凹部が、環状チャネルを含む、請求項8に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項10】
前記複数の可撓性脚部の各々の前記近位部分が、前記ナイフキャリアの長手方向軸に向かって近位方向にテーパ状である、請求項8に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項11】
前記第2の係合構造体が、前記第1の係合構造体の前記凹部内に受容されるように構成された突出部を含む、請求項8に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項12】
前記突出部が、環状である、請求項11に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項13】
前記第1の係合構造体の前記凹部が、前記ナイフキャリアの前記長手方向軸に対して直交する近位壁により画定される、請求項10に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項14】
前記第2の係合構造体が、前記第1の係合構造体の前記凹部内に受容されるように構成された突出部を含み、前記第2の係合構造体の前記突出部が、前記ナイフキャリアプッシャの前記長手方向軸に対して直交する近位壁により画定される、請求項13に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項15】
前記第2の係合構造体の前記近位壁が、前記ナイフキャリアプッシャの近位移動を前記ナイフキャリアの近位移動へと変換するように、前記第1の係合構造体の前記近位壁に係合するように位置付けられる、請求項14に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項16】
ハンドル組立体を含む、請求項1に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項17】
前記再装填組立体が、前記細長い本体に解放可能に連結される、請求項1に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項18】
前記プッシャ組立体が、環状プッシャと、ステープル押し部材とを含む、請求項1に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項19】
前記環状プッシャが、前記ステープル押し部材の近位部分に当接するように位置付けられる、請求項18に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【請求項20】
前記ハンドル組立体が、電動式ハンドル組立体である、請求項16に記載の外科手術用ステープル留め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術的な説明
本開示は、外科手術用ステープル留め装置を対象とし、より具体的には、ナイフキャリアプッシャに解放可能に連結されたナイフキャリアを含む外科手術用ステープル留め装置を対象とする。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の背景
従来型の円形ステープル留め装置は、細長い本体と、細長い本体の遠位部分上に支持されたシェルもしくは再装填組立体とを含む。再装填組立体は、複数のステープルを支持するステープルカートリッジと、ステープルカートリッジからステープルを放出するようにステープルカートリッジに対して移動可能であるプッシャと、ナイフと、ナイフを支持し、かつ組織を取るようにステープルカートリッジを通して移動可能であるナイフキャリアとを含む。外科手術用ステープル留め装置はまた、プッシャ駆動部材と、細長い本体内に支持されたナイフキャリアプッシャとを含む。プッシャ駆動部材は、ステープルプッシャと係合され、かつステープルプッシャを移動させてステープルカートリッジからステープルを放出するように移動可能である。同様に、ナイフキャリアプッシャは、ナイフキャリアと係合され、かつ組織を取るナイフキャリアの移動に影響を与えるように移動可能である。いくつかの円形ステープル留め装置において、ナイフキャリアプッシャ及びナイフキャリアは、外科手術用ステープル留め装置の細長い本体からの再装填組立体の分離を容易にするように分離可能である。
【0003】
いくつかの設計において、ナイフキャリアプッシャのナイフキャリアからの分離を容易にするように、背角度がナイフキャリアプッシャ上に形成され得る。これらの設計において、選択された背角度が過度に小さい場合、ナイフキャリアは、細長い本体からの再装填体の除去時に損傷を受ける可能性があり、選択された背角度が過度に大きい場合、ナイフキャリアプッシャのナイフキャリアからの係合解除が早期に生じ得、その結果、ナイフの完全な後退が達成されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適な時間にナイフキャリア及びナイフキャリアプッシャの係合及び係合解除に影響を与える、単純だが信頼できる機構が、ステープル留め技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様において、外科手術用ステープル留め装置は、長手方向軸を画定し、かつ近位部分及び遠位部分を有する細長い本体と、再装填組立体とを含む。細長い本体は、プッシャ駆動部材と、ナイフキャリアプッシャとを含む。プッシャ駆動部材は、テーパ状遠位部分を有する貫通孔を画定する内側表面を有する。再装填組立体は、ハウジングと、複数のステープルを支持するステープルカートリッジと、ステープルカートリッジから複数のステープルを放出するように、後退位置と前進位置との間で移動可能にハウジング内で支持されたプッシャ組立体とを含む。プッシャ組立体は、貫通孔を画定する内側表面を有する。内側表面は、座ぐり孔を画定する近位部分を有する。再装填組立体はまた、ナイフを支持するナイフキャリアを含む。ナイフキャリアは、第1の係合構造体と、少なくとも1つの戻り止めとを含む。ナイフキャリアプッシャは、ナイフキャリアの第1の係合構造体に解放可能に係合して、ナイフキャリアプッシャをナイフキャリアに連結するように構成された第2の係合構造体を含む。第1の係合構造体は、第2の係合構造体と係合された第1の位置から、第2の係合構造体から係合解除された第2の位置へと移動可能である。ステープル留め装置が発射前状態にあるとき、少なくとも1つの戻り止めは、プッシャ組立体の座ぐり孔内に位置付けられ、ステープル留め装置が作動されて複数のステープルを放出し、組織を切断した後、ナイフキャリアが後退されると、戻り止めは、第1の係合構造体を第1の位置から第2の位置に向かって促して、ナイフキャリアをナイフキャリアプッシャから連結解除するように、プッシャ駆動部材のテーパ状遠位部分に係合するように位置付けられる。
【0006】
実施形態において、ナイフキャリアは、複数の可撓性脚部により画定された近位部分を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの戻り止めは、複数の可撓性脚部の各々上に支持された戻り止めを含む。
【0008】
一定の実施形態において、戻り止めの各々は、ナイフキャリア長手方向軸から外方に延在する。
【0009】
実施形態において、ナイフキャリアは、プッシャ組立体により画定された貫通孔内で移動可能に位置付けられる。
【0010】
いくつかの実施形態において、戻り止めの各々は、複数の可撓性脚部のそれぞれ1つと共に一体的に形成される。
【0011】
一定の実施形態において、第1の係合構造体は、複数の可撓性脚部の近位部分上に形成される。
【0012】
実施形態において、第1の係合構造体は、複数の可撓性脚部の近位部分上に形成された凹部を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、凹部は、環状チャネルを含む。
【0014】
一定の実施形態において、複数の可撓性脚部の各々の近位部分は、ナイフキャリアの長手方向軸に向かって近位方向にテーパ状である。
【0015】
実施形態において、第2の係合構造体は、第1の係合構造体の凹部内に受容されるように構成された突出部を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、突出部は、環状である。
【0017】
一定の実施形態において、第1の係合構造体の凹部は、ナイフキャリアの長手方向軸に対して直交する近位壁により画定される。
【0018】
実施形態において、第2の係合構造体の突出部は、ナイフキャリアプッシャの長手方向軸に対して直交する近位壁により画定される。
【0019】
いくつかの実施形態において、第2の係合構造体の近位壁は、ナイフキャリアプッシャの近位移動をナイフキャリアの近位移動へと変換するように、第1の係合構造体の近位壁に係合するように位置付けられる。
【0020】
一定の実施形態において、ハンドル組立体は、電動式ハンドル組立体である。
【0021】
実施形態において、再装填組立体は、細長い本体に解放可能に連結される。
【0022】
いくつかの実施形態において、プッシャ組立体は、環状プッシャとステープル押し部材とを含む。
【0023】
一定の実施形態において、環状プッシャは、ステープル押し部材の近位部分に当接するように位置付けられる。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科手術用ステープル留め装置であって、
長手方向軸を画定し、かつ近位部分及び遠位部分を有する細長い本体であって、上記細長い本体は、プッシャ駆動部材及びナイフキャリアプッシャを含み、上記プッシャ駆動部材が、テーパ状遠位部分を有する貫通孔を画定する内側表面を有する、細長い本体と、
ハウジング、複数のステープルを支持するステープルカートリッジ、プッシャ組立体、ナイフキャリア、及びナイフを含む再装填組立体であって、上記プッシャ組立体が、上記ステープルカートリッジから上記複数のステープルを放出するように、後退位置と前進位置との間で移動可能に上記ハウジング内で支持され、上記プッシャ組立体が、貫通孔を画定する内側表面を有し、上記内側表面が、座ぐり孔を画定する近位部分を有し、上記ナイフキャリアが、ナイフを支持し、かつ第1の係合構造体を含み、上記ナイフキャリアが、少なくとも1つの戻り止めを有する、再装填組立体と、を備え、
上記ナイフキャリアプッシャが、上記ナイフキャリアの上記第1の係合構造体に解放可能に係合して、上記ナイフキャリアプッシャを上記ナイフキャリアに連結するように構成された第2の係合構造体を含み、上記第1の係合構造体が、上記第2の係合構造体と係合された第1の位置から、第2の係合構造体から係合解除された第2の位置へと移動可能であり、
上記外科手術用ステープル留め装置が発射前状態にあるときに、上記少なくとも1つの戻り止めが、上記プッシャ組立体の上記座ぐり孔内に位置付けられ、上記外科手術用ステープル留め装置が上記複数のステープルを放出し、かつ組織を切断するように作動された後、上記ナイフキャリアが後退されたときに、上記戻り止めが、上記第1の位置から上記第2の位置に向かって上記第1の係合を促して、上記ナイフキャリアを上記ナイフキャリアプッシャから連結解除するように、上記プッシャ駆動部材の上記テーパ状遠位部分に係合するように位置付けられる、外科手術用ステープル留め装置。
(項目2)
上記ナイフキャリアが、複数の可撓性脚部により画定された近位部分を含む、上記項目に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目3)
上記少なくとも1つの戻り止めが、上記複数の可撓性脚部の各々上に支持された戻り止めを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目4)
上記戻り止めの各々が、上記ナイフキャリアの長手方向軸から外方に延在する、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目5)
上記ナイフキャリアが、上記プッシャ組立体により画定された上記貫通孔内で移動可能に位置付けられる、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目6)
上記戻り止めの各々が、上記複数の可撓性脚部のそれぞれの可撓性脚部と一体的に形成される、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目7)
上記第1の係合構造体が、上記複数の可撓性脚部の近位部分上に形成される、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目8)
上記第1の係合構造体が、上記複数の可撓性脚部の上記近位部分上に形成された凹部を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目9)
上記凹部が、環状チャネルを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目10)
上記複数の可撓性脚部の各々の上記近位部分が、上記ナイフキャリアの長手方向軸に向かって近位方向にテーパ状である、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目11)
上記第2の係合構造体が、上記第1の係合構造体の上記凹部内に受容されるように構成された突出部を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目12)
上記突出部が、環状である、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目13)
上記第1の係合構造体の上記凹部が、上記ナイフキャリアの上記長手方向軸に対して直交する近位壁により画定される、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目14)
上記第2の係合構造体の上記突出部が、上記ナイフキャリアプッシャの上記長手方向軸に対して直交する近位壁により画定される、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目15)
上記第2の係合構造体の上記近位壁が、上記ナイフキャリアプッシャの近位移動を上記ナイフキャリアの近位移動へと変換するように、上記第1の係合構造体の上記近位壁に係合するように位置付けられる、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目16)
ハンドル組立体を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目17)
上記再装填組立体が、上記細長い本体に解放可能に連結される、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目18)
上記プッシャ組立体が、環状プッシャと、ステープル押し部材とを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目19)
上記環状プッシャが、上記ステープル押し部材の近位部分に当接するように位置付けられる、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(項目20)
上記ハンドル組立体が、電動式ハンドル組立体である、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術用ステープル留め装置。
(摘要)
外科手術用ステープル留め装置は、外科手術用ステープル留め装置の細長いシャフトの遠位部分上に支持された再装填組立体を含む。再装填体は、ハウジングと、移動可能にハウジング内で支持されたプッシャ組立体と、移動可能にプッシャ組立体内で支持されたナイフキャリアと、ナイフキャリア上に支持された環状ナイフとを含む。細長い本体は、プッシャ駆動部材と、ナイフキャリアプッシャとを含む。ナイフキャリアは、ナイフキャリアプッシャ上に形成された第2の係合構造体に解放可能に係合して、ナイフキャリアプッシャをナイフキャリアに解放可能に連結するように構成された第1の係合構造体を含む。ナイフキャリアは、ナイフキャリアが後退されて、第1の係合構造体を第2の係合構造体との係合から解除するように促し、ナイフキャリアをナイフキャリアプッシャから連結解除したときに、プッシャ駆動部材の遠位部分と接触するように移動可能である少なくとも1つの戻り止めを支持する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
解放可能なナイフキャリアを含む、本開示の外科手術用ステープル留め装置の種々の実施形態は、図を参照して本明細書の下に記載されている。
【0025】
図1】再装填組立体及びアンビル組立体が近似位置にある状態のアンビル組立体を含む、本開示の外科手術用ステープル留め装置の1つの例示的な実施形態の側面斜視図である。
図2図1に示されている詳細の指定領域の拡大図である。
図3図2に示されている再装填組立体及びアンビル組立体を含む、本開示のステープル留め装置の遠位部分の一部が分離した状態の側面斜視図である。
図4図3に示されている再装填組立体のプッシャ組立体の環状プッシャの近位端部からの側面斜視図である。
図4A図3に示されている再装填組立体のナイフキャリアの近位端部からの側面斜視図である。
図5図3に示されているステープル留め装置の遠位部分のナイフキャリアプッシャの遠位部分からの側面斜視図である。
図5A図3に示されているステープル留め装置の遠位部分のプッシャ駆動部材の側面斜視図である。
図6】発射前状態での外科手術用ステープル留め装置の遠位部分を図示している図2の断面線6-6に沿って切り取られた断面図である。
図6A図6に示されている詳細の指定領域の拡大図である。
図6B】ナイフキャリア及びナイフキャリアプッシャが後退位置にある状態での発射後状態での図6に示されている外科手術用ステープル留め装置の遠位部分の側断面図である。
図7】ナイフキャリア及びナイフキャリアプッシャが前進位置にある状態での発射後状態での図6Aに示されている外科手術用ステープル留め装置の遠位部分の側断面図である。
図8】ナイフキャリア及び駆動部材が後退位置にあり、かつナイフキャリア及びナイフキャリアプッシャの分離を促進するようにその後退位置に向かって移動している状態での、発射後状態で図7に示されている外科手術用ステープル留め装置の遠位部分の側断面図である。
【0026】
実施形態の詳細な説明
次に、本開示の円形ステープル留め装置は、同様の符号がいくつかの図の各々において同一または対応する要素を指定している図を参照して詳細に記載されるだろう。本説明において、「近位」という用語は、概して、臨床医により近いステープル留め装置のそのような部分を指すものとして使用されており、「遠位」という用語は、概して、臨床医からより遠いステープル留め装置のそのような部分を指すものとして使用されている。
【0027】
本開示の円形ステープル留め装置は、ステープル留め装置の細長いシャフトの遠位部分上に支持されるシェルもしくは再装填組立体を含む。再装填組立体は、ハウジングと、ステープルの複数の環状列を支持するステープルカートリッジと、ステープルプッシャ組立体と、ナイフキャリアと、ナイフキャリア上に支持される環状ナイフとを含む。プッシャ組立体は、貫通孔を画定する内側表面を含む。プッシャ組立体の内側表面は、座ぐり孔を画定する近位部分を有する。ナイフキャリアは、プッシャ組立体の貫通孔内で移動可能に位置付けられる。
【0028】
細長い本体は、プッシャ駆動部材とナイフキャリアプッシャとを含む。プッシャ駆動部材は、プッシャ組立体の貫通孔と整列する貫通孔を画定する内側表面を有する。プッシャ駆動部材の内側表面の遠位部分は、外方遠位方向にテーパ状である。ナイフキャリアは、プッシャ組立体及びプッシャ駆動部材内で移動可能に位置付けられ、かつナイフキャリアをナイフキャリアプッシャと連結させるように、ナイフキャリアプッシャと係合された第1の位置から、ナイフキャリアプッシャから係合解除された第2の位置へと移動可能である、複数の近位に延在する弾性脚部を含む。弾性脚部の各々は、ステープル留め装置が発射前状態にあるときにプッシャ組立体の座ぐり孔内に位置付けられた、外方に延在する戻り止めを支持する。ステープル留め装置がステープルを発射するように作動されたときに、プッシャ駆動部材は、プッシャ組立体を前進させてステープルをステープルカートリッジから放出するように前進される。その後、ナイフキャリアプッシャは、ナイフキャリア及びナイフを前進させて組織を切断もしくは取るように前進される。組織がステープル留めされ、取られた後、プッシャ駆動部材が後退され、続いてナイフキャリアプッシャが後退されて、ナイフキャリア及びナイフをハウジング内に後退させる。ナイフキャリアが後退されると、ナイフキャリアの弾性脚部上の戻り止めは、ナイフキャリアの弾性脚部を第2の位置へと促して、ナイフキャリアプッシャをナイフキャリアから連結解除するように、プッシャ組立体の座ぐり孔内の位置からプッシャ駆動部材のテーパ状遠位部分と接触するように移動される。本開示の再装填組立体は、ナイフキャリアのナイフキャリアプッシャからの早期の係合解除の可能性を最小にすると同時に、ナイフがハウジング内に完全に後退された後、ナイフキャリアのナイフキャリアプッシャからの連結解除に影響を与えるのに必要とされる力を低減する。
【0029】
図1及び2は、本開示の外科手術用ステープル留め装置10の例示的な実施形態を図示している。外科手術用ステープル留め装置10は、ハンドル組立体12と、細長い本体もしくはアダプタ組立体14と、再装填組立体16と、技術上知られているような離間及び近似位置間で再装填組立体16に対して移動するように支持されたアンビル組立体18とを含む。再装填組立体16は、細長い本体14の遠位部分14aに解放可能に連結された近位部分16aを含む。ハンドル組立体12は、再装填組立体16及びアンビル組立体18の近似、ステープル36の再装填体16からの発射、及び組織の切断もしくは取得を含む、外科手術用ステープル留め装置10の種々の機能の動作を制御するための静止グリップ22及び作動ボタン24を含む。外科手術用ステープル留め装置10は、ハンドル組立体12からの電力を再装填組立体16及びアンビル組立体18に変換するアダプタ組立体の形態での電動式ハンドル組立体12及び細長い本体14を含む電動式ステープル留め装置として図示されているが、本開示は、手動のステープル留め装置内に組み込まれる可能性もあることが想定される。電動式ステープル留め装置の例は、米国特許第9,023,014号(「‘014特許」)、及び同第9,055,943号(「‘943特許」)内に見られることができ、それらの全体は、参照により本明細書に組み込まれる。代替的に、外科手術用ステープル留め装置10は、ロボットシステムと共に使用するように構成される可能性があり、ハンドル組立体を含む必要はない。
【0030】
図2~3を参照すると、再装填組立体16は、ハウジング26と、プッシャ組立体28と、ナイフキャリア30と、ナイフキャリア30上に支持された環状ナイフ32と、ステープルカートリッジ34と、ステープルカートリッジ34内に支持されたステープル36とを含む。ステープルカートリッジ34は、環状であり、かつステープルポケット40(図3)の環状列を画定する。ステープルポケット40の各々は、ステープル36の1つを支持する。プッシャ組立体28は、長手方向貫通孔28aを共に画定する環状プッシャ42及びステープル押し部材44を含む。プッシャ42は、ハウジング26内のプッシャ42の遠位移動がハウジング26内のステープル押し部材44の遠位移動に影響を与えるように、ステープル押し部材44の近位部分に当接する遠位部分を有する。再装填体16のステープル押し部材44は、複数の指部46を有する。複数の指部46の各々は、ステープルカートリッジ34のステープルポケット40のそれぞれ1つ内に受容され、ステープル押し部材44が後退位置から前進位置へとハウジング26内を遠位に移動されるときに、ステープルポケット40からステープル36を放出するように、それぞれのステープルポケット40を通して移動可能である。
【0031】
図4も参照すると、プッシャ組立体28のプッシャ42は、長手方向貫通孔28aの一部分を画定する内側表面42aを含む。プッシャ42の内側表面42aは、下にさらに詳細に考察される座ぐり孔43をさらに画定するように、その近位部分で外方に段差になっている。
【0032】
再び、図3を参照すると、アンビル組立体18は、技術上知られているような外科手術用ステープル留め装置10の近似機構(図示せず)に解放可能に連結されたアンビルシャフト18aを含む。アンビルシャフト18aは、アンビル組立体18がステープルカートリッジ34に対して離間及び近似位置間で移動するときに、ハウジング26の内側ハウジング部分26aにより画定された貫通孔41(図6)内で移動可能である。
【0033】
図3及び4Aを参照すると、ナイフキャリア30は、後退及び前進位置間で移動可能にプッシャ組立体28の貫通孔28a内で支持される。ナイフキャリア30(図7)の前進位置において、ナイフ30は、ステープルカートリッジ32の遠位端部から延在し、ナイフキャリア30(図6)の後退位置において、ナイフ32は、臨床医による接触からナイフ32を保護するように、ステープルカートリッジ34内で凹状である。ナイフキャリア30は、実質的に筒状の遠位部分50と、実質的に筒状のより小さい直径の近位部分52とを含む。より小さい直径の近位部分52は、その間に溝54を画定する複数の離間した弾性脚部53により画定される。溝54は、プッシャ組立体28内の後退位置から前進位置へのナイフキャリア30の移動を誘導するように、プッシャ42内に画定された突起(図示せず)を受容する。長手方向溝54はまた、下にさらに詳細に考察されているように、弾性脚部53がナイフキャリアプッシャ70(図5)(下に詳細に記載されている)と係合される第1の位置及びナイフキャリア30がナイフキャリアプッシャ70(図8)から係合解除される第2の位置からのナイフキャリア30の弾性脚部53の内方屈曲を容易にする。実施形態において、ナイフ32は、圧着等によりナイフキャリア30の遠位部分50の周りに固定される。代替的に、他の締め付け技術を用いてナイフ32をナイフキャリア30に固定することができる。ナイフキャリア30の遠位部分50の最遠位部分50aは、ナイフ32及びナイフキャリア30が滑らかな外側表面を画定するように、環状ナイフ32を受容するように凹状であり得る。
【0034】
ナイフキャリア30の弾性脚部53の各々は、外方に延在する戻り止め55を支持する。戻り止め55は、それぞれの脚部53と共に一体的に形成され得るか、または代替的に、それぞれの弾性脚部53内に形成された開口57内に挿入された分離したプラグ55a(図6B)として形成され得る。戻り止め55は、ナイフキャリア30及びプッシャ組立体28が後退位置にある状態で外科手術用ステープル留め装置10が発射前状態にあるときに、プッシャ組立体28の座ぐり孔43(図6)内に位置付けられる。図4Aも参照すると、ナイフキャリア30の弾性脚部53の各々は、長手方向軸を画定し、ナイフキャリア30をナイフキャリアプッシャ70(図5)に解放可能に連結するように、下に詳細に記載されているような細長い本体14のナイフキャリアプッシャ70の遠位部分に係合するように構成された第1の係合構造体60を含む。実施形態において、第1の係合構造体60は、下にさらに詳細に記載されているように、ナイフキャリアプッシャ70の遠位部分上に形成された第2の係合構造体80(図5)を受容するように構成された環状チャネルもしくは凹部60aを含む。環状として示されているが、他の凹部構成が想定される。第1の係合構造体60の環状チャネル60aは、遠位及び近位壁により画定され、近位壁80aは、ナイフキャリア30の長手方向軸に対して実質的に直交している。実施形態において、ナイフキャリア30の各弾性脚部53の近位部分53aは、ナイフキャリア30の長手方向軸に向かって内方近位方向にテーパ状である。ナイフキャリア30のテーパ状近位部分53a及び長手方向溝54は、再装填組立体16が下に詳細に記載されているような細長い本体14に取り付けられているときに、ナイフキャリアプッシャ70の遠位部分へのナイフキャリア30の取り付けを容易にする。
【0035】
図5も参照すると、ナイフキャリアプッシャ70は、本体74の中心部分から本体74の遠位部分へと延在する切り欠き75を有する実質的に筒状の本体74を含む。ナイフキャリアプッシャ70は、管状であり、貫通孔74aを画定する内側壁81を含む。実施形態において、第2の係合構造体80は、ナイフキャリアプッシャ70の内側壁81の遠位部分上に形成された突出部81aを含む。突出部81aは環状であるものとして示されているが、他の構成が想定される。環状突出部81aは、ナイフキャリアプッシャ70の長手方向軸に実質的に直交する近位表面81bを含む。環状突出部81aは、ナイフキャリア30をナイフキャリアプッシャ70に連結するように、弾性脚部53が第1の位置(図6)のときに、ナイフキャリア30の環状チャネル60a(図4A)内に受容される。環状突出部81aの近位壁81bは、ナイフキャリアプッシャ70の後退がナイフキャリア30の後退に影響を与えるように、環状チャネル60aを画定する近位壁80a(図6A)に係合するように位置付けられる。実施形態において、ナイフキャリアプッシャ70の筒状の本体74は、細長い本体14内に支持された駆動部材(図示せず)に係合するように構成された凹部84を画定する。駆動部材は、細長い本体もしくはアダプタ等の2015年10月6日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国公開第2016/0106406号(「‘406公開」)が開示している技術上知られているように、ナイフキャリアプッシャ70の近位部分に固定され、再装填組立体16のハウジング26内でナイフキャリアプッシャ70を前進及び後退させるように動作可能である。
【0036】
図3及び5Aを参照すると、細長い本体14は、長手方向軸を画定し、かつ貫通孔92aを画定する内側表面92を有する管状本体90aを有するプッシャ駆動部材90を含む。内側表面92の遠位部分は、外方遠位方向内にテーパ状である先端縁部94を画定する。貫通孔92aは、下にさらに詳細に記載されているように、ナイフキャリア30及びナイフキャリアプッシャ70が後退及び前進位置間で移動されるときに、ナイフキャリア30及びナイフキャリアプッシャ70を受容する。管状本体90aは、前進及び後退位置間のプッシャ駆動部材90の変換に影響を与えるように、細長い本体14内の構造体に係合するように構成された近位部分を含む。その全体が参照により本明細書に組み込まれる‘406公開は、かかる構造体を含む細長い本体を開示している。
【0037】
図6及び6Aは、発射前状態でのステープル留め装置10の遠位部分を図示している。発射前状態において、再装填体16のプッシャ組立体28及びナイフキャリア30ならびに細長い本体14のナイフキャリアプッシャ70及びプッシャ駆動部材90は、後退位置にある。それらの後退位置において、プッシャ組立体28及びプッシャ駆動部材90は、ナイフキャリア30の弾性脚部53の近位部分上の第1の係合構造体60と、ナイフキャリアプッシャ70の遠位部分上に位置付けられた第2の係合構造体80との間の接合部106の周りに延在する。加えて、ナイフキャリア30の弾性脚部53は、戻り止め55がプッシャ組立体28のプッシャ42の座ぐり孔43内に受容された状態でそれらの第1の位置にあり、ナイフキャリア30及びナイフキャリアプッシャ70は、係合状態にある。
【0038】
図6Bは、プッシャ組立体28及びプッシャ駆動部材90がステープルカートリッジ34からステープル36(図6)を放出するように、それらの前進位置に矢印「A」により示された方向に移動された状態で、発射後状態にある外科手術用ステープル留め装置10の遠位部分を図示している。加えて、ナイフキャリア30、ナイフ32、及びナイフキャリアプッシャ70は、それらの後退位置に留まっている。この状態において、戻り止め55は、ナイフキャリア30の弾性脚部53がそれらの第1の位置に留まり、ナイフキャリア30がナイフキャリアプッシャ70と係合した状態を維持するように、座ぐり孔43の近位部分に位置付けられる。
【0039】
図7は、ナイフキャリアプッシャ70及びナイフ32が「B」により示された方向でそれらの前進位置に移動された後の発射後状態での外科手術用ステープル留め装置10の遠位部分を図示している。この状態において、プッシャ組立体28、プッシャ駆動部材90、ナイフキャリア30、及びナイフキャリアプッシャ70は、戻り止め55が座ぐり孔43の中心部分にある状態で、それらの前進位置にある。そのように、ナイフキャリア30の弾性脚部53は、ナイフキャリア30及びナイフキャリアプッシャ70の第1及び第2の係合構造体60、80が、ナイフキャリア30がナイフキャリアプッシャ70に連結された状態を維持するように係合している状態で、それらの第1の位置に留まる。
【0040】
図8を参照すると、ステープル36(図3)が発射され、かつ組織が切断された後、プッシャ駆動部材90は、後退される。上で考察されているように、プッシャ駆動部材90は、プッシャ組立体28と当接関係にあり、よって、プッシャ組立体28は、プッシャ駆動部材90と共に後退しない。続いて(または同時に)、ナイフキャリアプッシャ70は、プッシャ組立体28及びプッシャ駆動部材90内にナイフキャリア30を後退させるように、完全な後退位置へと移動される。ナイフキャリアプッシャ70が完全な後退位置へと移動されたとき、第2の係合構造体80の環状突出部81aの近位壁81bは、ナイフキャリアプッシャ70の後退がナイフキャリア30の後退に影響を与えるように、環状チャネル60aを画定する近位壁80aに係合する。上で考察されているように、壁80a及び81bがナイフキャリア30の長手方向軸に実質的に直交しているため、壁81bによる壁80aに加えられた力は、弾性脚部53をそれらの第2の位置に向かって促さない。
【0041】
ナイフキャリア30がその後退位置に向かって移動されたときに、戻り止め55は、ナイフ32を再装填組立体16のハウジング26内に後退させるように、ナイフキャリアプッシャ70と係合されたそれらの第1の位置に弾性脚部53が留まるように、座ぐり孔43を通して移動する。ナイフ32がハウジング26内に後退された後、戻り止め55は、プッシャ駆動部材90のテーパ状先端縁部94に係合するように位置付けられる。戻り止め55がプッシャ駆動部材90のテーパ状先端縁部94に係合したときに、弾性脚部53は、第1の係合構造体60を第2の係合構造体80から係合解除し、かつナイフキャリア30をナイフキャリアプッシャ70から連結解除するように、それらの第1の位置からそれらの第2の位置に向かって矢印「C」により示された方向に内方に促される。戻り止め55を提供することにより、本発明の再装填組立体16は、ナイフキャリア30のナイフキャリアプッシャ70からの連結解除に影響を与えるように、ナイフキャリアプッシャ70上の背角度に依存しない。戻り止め55は、ナイフキャリア30とナイフキャリアプッシャ70との間の分離のタイミングを正確に制御し、かつナイフキャリアプッシャ70からのナイフキャリア30の早期の分離の可能性を最小にすると同時に、ナイフキャリア30及びナイフキャリアプッシャ70の分離に影響を与えるのに必要とされる力を最小にする機能を果たす。
【0042】
上で考察されているように、ナイフキャリア30の各弾性脚部53の近位部分53aは、ナイフキャリア30の長手方向軸に向かって内方近位方向にテーパ状である。図6Aを再び参照すると、再装填組立体16が外科手術用ステープル留め装置10の細長い本体14の遠位部分に取り付けられたときに、弾性脚部53のテーパ状近位部分53aは、ナイフキャリアプッシャ70の遠位面100に係合するだろう。弾性脚部53のテーパ状近位部分53aとナイフキャリアプッシャ70の遠位面100との間の係合は、第1の係合構造体60が第2の係合構造体80のそばを通ることを可能にするように、弾性脚部53を下方にカム留めするだろう。脚部53の弾性性質に起因して、第2の係合構造体80は、ナイフキャリア30及びナイフキャリアプッシャ70を連結するように構造体が整列したときに、第1の係合構造体60内にスナップ結合するだろう。
【0043】
当業者であれば、本明細書に特に記載され、かつ添付の図に図示されている装置及び方法が、非制限的で例示的な実施形態であることを理解するだろう。1つの例示的な実施形態と関連して図示または記載されている要素及び特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、別の要素及び特徴と組み合わせされ得ることが想定される。例えば、本明細書に開示されている実施形態のいずれも、ステープルカートリッジ及び/またはアンビル上の異なる高さの異なる大きさ及び/または表面にあるステープルを含むことができるだろう。本明細書に開示されている実施形態のいずれも、薬剤もしくは小線源療法のシード等の治療物質を送達するのに使用され得るか、または使用され得ない、外科手術用バットレスを含み得る。同様に、当業者であれば、上に記載されている実施形態に基づく本開示のさらなる特徴及び利点を理解するだろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲により示されているものを除いて、特に示され、かつ記載されているものにより限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図5A
図6
図6A
図6B
図7
図8